2019.07 本場所 5日目 情報!

■鶴竜
鶴竜は心憎いほどに冷静沈着だった。
もろ手で出た阿炎の回転のいい突きを受けても、微動だにしない。
あてがっては相手を正面に置き、勝機をうかがう。
引きに乗じて一気に前進。新小結の挑戦を難なく退けた。
涼しげな表情で勝ち名乗りを受け、「相手がよく見えていた」と納得顔。
格の違いを見せつけられた阿炎は「横綱は全然崩れなかった。力が逃がされ、伝わらなかった」と脱帽するしかなかった。
場所前の稽古中に腰を痛め、数日間は静養に努めざるを得なかった。
不安を抱えて初日を迎えた中、完勝で4連勝とし、「しっかり相撲に集中できている」。
横綱在位は32場所に到達し、歴代10位タイ。最高位で培った経験、気力が苦境で生きてくるのだろう。
名古屋場所はけがのため、2016年から3年続けて途中休場。
先場所も好内容で白星を重ねながら失速して、朝乃山に賜杯を奪われた。
苦い思いは繰り返したくないだけに、内心に期するものがある。
「目の前の相手に対して、やるべきことをやるだけ」。短い言葉に、昨年夏場所を最後に遠ざかる優勝への決意が感じられた。

■白鵬
大相撲名古屋場所4日目(10日、ドルフィンズアリーナ)白鵬が初顔合わせの相手に、またも横綱の力を見せつけた。
立ち合いから右で張って左を差し、右上手を引きつけると新小結竜電に攻め手を与えることなく寄り切って完勝。
これで平成19年の名古屋場所で横綱に昇進して以降、初顔相手の戦績は48勝4敗となった。
「(竜電は)いい流れで来ていたけど、そうはさせないという気持ちで土俵に上がりました」と涼しい顔だった。

■高安
大相撲名古屋場所4日目(10日、ドルフィンズアリーナ)大関の意地だ。
高安が先場所優勝で初顔合わせの朝乃山を激しい攻防の末に制し、伸び盛りの若手に立ちはだかった。
「当たりは良かった」。体を思い切りぶつけて突き、押し。相手得意の右四つになったが、左上手を与えない。
攻めを右下手投げでこらえ、さらに下手出し投げを放つ。自分から技を仕掛けて横転させた。
2日目から異例とも言える2日連続の取り直しで1勝1敗と苦しんだ。
この日も速攻で仕留めたかったようで「もっと前に勝負を決めたかった」と反省を忘れなかった。
腰に不安を抱えた場所前は二所ノ関一門の連合稽古を欠席。だが兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)は「オーバーワーク気味だった。ちょうどいい休みだったと思うよ」と影響を否定する。
高安は「明日も頑張って取ります」と多くを語らず、集中力を高めた。
初優勝の悲願に向け、取りこぼしは許されない。

■栃ノ心
大相撲名古屋場所4日目(10日、ドルフィンズアリーナ)1場所で大関へ返り咲いた栃ノ心(31)は平幕大栄翔(25)に押し出され、初日から4連敗と精彩を欠く。
取り戻した「大関」の看板が、曇ったままよく見えない。
大関から陥落し、1場所で復帰した栃ノ心が迷走。初日から4連敗となった。
「よくないね。また、あしたから気合を入れる…」。支度部屋での口も重かった。
場所直前、部屋での関取衆との稽古で左肩を痛めた。
だが、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)は「肩は大丈夫。膝でしょう。闘ってはいるんだけどね。自分の相撲を忘れている」。
かつて前十字、側副靱帯を断裂した右膝の不調を指摘した。
定評のある怪力が、すっかり影をひそめている。
突き押し得意の大栄翔に応じて、突っ張り合いに。
だが相手のいなしに上体が泳ぎ、土俵を飛び出すかたちで押し出された。
序盤で平幕3人に取りこぼし。師匠は「膝が(前へ)出ないから手も出ない。頑張らせますけど…」と、休場には言及しなかった。
1月の初場所で初日から4連敗を喫し途中休場。3月の春場所を7勝8敗と負け越して関脇へ転落した。
昭和44年名古屋場所以降、陥落した翌場所で10勝以上挙げれば大関復帰となる現行のかど番制度となり、栃ノ心は5月の夏場所で10勝して1場所で返り咲いた。
こうした例は栃ノ心を含め5人いるが、念願の復帰を果たした場所で再び苦労したのは貴ノ浪(平成12年春場所=7勝8敗)、栃東(16年秋場所=2勝2敗11休)で、すぐにまたかど番へ追い込まれた。
栃ノ心を勇気づける先人がいる。先代春日野親方(元横綱栃錦)だ。
昭和26年春場所。前頭2枚目で初日から7連敗を喫しながら、その後上位とも対戦しながら8連勝。
8勝7敗と勝ち越した、唯一無二の快記録を残している。4連敗で、下を向いてはいられない。

■朝乃山
前頭筆頭の朝乃山(高砂)が大関・高安(田子ノ浦)に下手出し投げで敗れて3敗目を喫した。
今場所初日に大関の豪栄道(境川)を撃破するも、二日目の白鵬(宮城野)、三日目の鶴竜(井筒)と2横綱に連敗を喫した朝乃山。
立ち合い正面からぶつかったものの、高安に右を差されると、右からの下手出し投げで土俵に勢いよく転がされた。

■北勝富士
大相撲名古屋場所4日目(10日、ドルフィンズアリーナ)北勝富士が大関豪栄道を破り、ようやく初日を出した。
土俵際まで追い込みながら引いたところを逆襲されピンチを招いたが、相手がバランスを崩したところをタイミング良くはたき込んだ。
「体の状態が良いので勝てた。普通なら(土俵の外まで)持っていかれていた」。
3日目までは2横綱1大関と対戦し、全敗。「調子の良さと結果を結びつけていけたら」と巻き返しを誓った。

■友風
大相撲名古屋場所4日目(10日、ドルフィンズアリーナ)入幕3場所目の24歳、友風が平幕で勝ちっ放しと好調さが目立っている。
この日は志摩ノ海を攻め立てて押し出すなど内容もいい。
多くの報道陣に囲まれ「今日みたいな相撲は自信になる。自然と(攻め手が)出た結果」と上機嫌だった。
日体大相撲部出身で2年前の夏場所初土俵。183センチ、180キロの体格で突き、押しを武器にデビュー以来負け越し知らずで躍進している。
大学の先輩で慕っている兄弟子の嘉風が休場しているだけに「嘉(風)関の分まで頑張って、いい相撲を取りたい」と言葉に力を込めた。

■照強
照強が先場所に続いて炎鵬との小兵対決を制した。
2度目で成立した立ち合いでも冷静。
相手を潜らせず、強烈な左で押し倒し、「左を差してくると分かっていた。いい感じで当たれた。理想通りの相撲」とご満悦の様子だった。
初日から4連勝。思うように体が動いている実感があるそうだが、「前半が調子良くて、後半に落ちるパターンがある」と、こちらも冷静に自己分析。
「まずは勝ち越しを目指したい」と気を引き締めた。


大相撲名古屋場所(ドルフィンズアリーナ)
大相撲を見逃した!もう一度見たい!方はこちら。