星取ニュース
2024/11/22
12日目、大関琴櫻は、冷静な取り口で1敗を守った。
突いて出てこようとする大栄翔の動きに落ち着いて対処。
まわしにこだわらず、突き返して攻めきった。
「対応できた。目の前に一番に集中できている」。
直接対決3連敗中だった難敵を攻略した。
逝去した北の富士さんには「たくさん気にかけていただいた」と感謝する。
52代横綱が北の富士さんで、53代が祖父である先代横綱琴桜。
同じ時代をけん引した好敵手同士だった。
それだけに、祖父が相撲の話をする時には「北の富士さんの名前がよく出てきたイメージがある」と振り返る。
12日目、気迫に満ちあふれた相撲で快勝した。
豊昇龍は約20キロ重い正代の立ち合いをまともに受け止めて、1歩も下がらず寄り切った。
「しっかり当たるように。集中してやりました」。
大関昇進後、今年春場所に並ぶ自己最多の11勝目となった。
北の富士さんの訃報に「びっくりしたよね。まだまだ解説してくれると思ったけど」。
忘れられない思い出がある。
2年前の名古屋で、2日目から4連敗。
「風呂に行った時にばったり会った」という北の富士さんに「どうした豊昇龍。俺は君の相撲が好きなんだよ」と激励されたという。
12日目、新大関の大の里が、注目された西前頭16枚目の尊富士との結びの一番を制し、勝ち越しを決めた。
前日11日目に、ともに敗れて取組前の時点で大の里が4敗、尊富士が3敗。
優勝争いからは1歩離された格好となったが、将来を期待される2人の2度目の顔合わせに、大歓声で迎えられた。
尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を果たした春場所は敗れていたが、4場所ぶりの対戦で雪辱した。
12日目、9場所ぶりに三役に復帰した元大関の正代が3場所ぶりに負け越した。
「正代」コールを受け、優勝争いのトップを走る豊昇龍に強く当たったが、突き起こされて寄り切られた。
2場所連続2桁白星で迎えたご当所では、初日に琴桜を土俵際まで追い詰めるなど見せ場をつくったが結果につながらず「応援に応えたい気持ちはあるが、なかなか厳しい」とこぼすこともあった。
負け越しが決まった後の支度部屋では報道陣に対応しなかった。
12日目、西前頭8枚目・豪ノ山が西前頭10枚目・宝富士を回転のいい突き押しで破り、3敗を死守した。
立ち合いで当たって、突き押しで前に出る。
止まらず宝富士を押し切った。
「前に攻められたので。しっかり立ち合いから前に攻めているのがいいのかな思う」と納得顔。
22日の13日目は関脇・霧島と対戦。
「あしたは全力で当たっていこうと思う。勝っているから上で割が組まれる」と力を込めた。
12日目、東前頭6枚目・隆の勝は、関脇・霧島に押し出され、2敗に後退した。
隆の勝は霧島を攻めきれず、上手を引かれ投げられ、体が浮いたところを押し出された。
12日目、東前頭14枚目・千代翔馬は東前頭9枚目・翠富士を押し出して幕内では9場所ぶりの勝ち越した。
立ち合いで張り差し。
右手をたぐり、前に出て押し出した。
「久しぶりでうれしい」と笑顔。
「去年の九州場所から2回腰が痛くなって、引退しようかと思った」と現役引退も考えていたという。
「ケガと付き合いながらやってきたので良かった」と終始笑みがこぼれた。
12日目、東前頭15枚目・阿武剋は東前頭8枚目・狼雅に1分35秒以上の力相撲で敗れ4敗に後退した。
立ち合いで左上手、右前みつで寄り立てるが、あと一歩が出ずに狼雅に粘られる。
何度もチャンスがありながらも決まらず、最後は左上手を切られ、寄り切り。
4敗になり、優勝争いから脱落した。
「スタミナ負け。体力負け。我慢して着実に攻めれば良かった。切り替えて頑張ります」。ガックリ肩を落としていた。
2024/11/21
11日目、大関琴櫻は、自己最速タイで大関としては初となる11日目で10勝に到達し、トップを守った。
先場所敗れた難敵若元春に立ち合いで右から差し、左は押して圧力をかけて押し出した。
「集中して取れたと思います。体も動いてます。まだ場所は終わっていないので、しっかり集中してやっていく」
支度部屋では、同じく1敗を守った豊昇龍の取組のテレビ中継を、鋭い視線で見守っていた。
11日目、豊昇龍は心身の充実ぶりを示し、危なげなく1敗を守った。
大栄翔の動きを見極めながら攻め、右を差して左でまわしを引くと、勝機を逃さずに休まず出た。
「しっかり集中できていた。見ながら取れてよかった」と自賛した。
トップを並走している賜杯争いは意識せず、その日の一番に注力。取り口も落ち着いており、「いい感じ。最後まで頑張る。しっかり一年を締めたい」と手応えを口にした。
11日目、注目を集めた新大関が痛恨の4敗目を喫した。
大の里は、立ち合いで左に動いた隆の勝の強烈な喉輪に体が浮く。
中に入られると、なすすべなく土俵下まで追いやられた。
圧倒的な馬力でスピード出世を遂げてきた一方、得意の右差しを封じられた時の対策が課題だった。
前日の関脇大栄翔戦も右脇が空き、もろ差しを許した。
「きのうから良くない部分が出ている。全て自分に負けてしまった」と漏らした。
11日目、宇良が大熱戦を制した。
平戸海と激しい攻防を繰り広げた相撲は土俵際でもつれ、2番続けて取り直しに。
3度目で相手を押し倒すと、両者の奮闘に大きな拍手が送られた。
宇良は「やりがいがあった。相手が平戸海関なので、熱い気持ちで戦えた」と振り返った。
幕内では、1988年の夏場所で霧島と水戸泉の取組が3度取り直しとなった例もある。
宇良は「初めての経験で面白かった。3度目で決着できてよかった」と一息ついた。
11日目、平幕隆の勝は、右の喉輪で大の里を攻め立てて押し出す完勝で10勝目。
1敗を守った。
左に動いた立ち合いの狙いを「(大の里の)右差しで持っていかれるのを避けたかった。右だけを封じ、喉輪で起こして中に入りたかった」と攻守両面から振り返った。
1敗で琴桜、豊昇龍とトップで並走し、日に日に声援も大きくなっている。
「空気にのまれないように、マイペースでやりたい」と平常心を強調していた。
大相撲の第52代横綱の北の富士勝昭さんが死去していたことが20日、分かった。
82歳だった。
現役時代は優勝10回を誇り、横綱に同時昇進した玉の海とのライバル関係は「北玉時代」と呼ばれるなど、一時代をつくった。
引退後は千代の富士、北勝海と2人の横綱を育て上げた名伯楽。
1998年の日本相撲協会退職後は解説者に転じ、NHKの大相撲中継などでの歯に衣(きぬ)着せぬ解説は人気を博した。
関係者によると、葬儀・告別式は既に近親者によって執り行われ、12月に八角部屋でお別れの会が開かれる予定だという。
2024/11/20
10日目、琴櫻が、27歳の誕生日にトップを守る9勝目。
結びで翔猿を右四つで組み止め、左右への素早い動きを封じて最後は引き落とした。
八角理事長が「懐が深く、腕を返しながら出て行く。いいんじゃないですか」と評価する好内容での白星だった。
琴櫻は誕生日については「別に変わらない。場所じゃなければ違うかもしれないけど」と淡々。
今は一日一番に集中する構えで、「しっかり準備して自分らしくやるだけ。気持ちを切らさずその日その日、しっかり勝負していく」と強調した。
10日目、投げは封印した。
豊昇龍は右下手を引くと、左から強烈なおっつけ。
グイグイと前に出た。目の前で大の里に土がつくのを見ても「特に意識はしてない。自分は自分。自分のことだけ考えて」と集中力が際立った。
同学年の琴勝峰を下し1敗を堅守。
大関昇進後初の優勝へトップを走る。
10日目、新大関Vへ痛すぎる一歩後退となってしまった。
大の里が、過去4戦全勝だった大栄翔にもろ差しを許して上体を起こされ、あっけなく寄り切られた。
3敗目を喫し、先輩大関の琴桜と豊昇龍ら先頭集団とは星の差2つに広がった。
今場所、支度部屋では目を閉じて取材に応じる日が多かったが、質問する記者をしっかり見据えて「もう1回、集中して残り5日間、頑張りたい」、リーチで足踏みとなった新大関場所での勝ち越しへの意識は「考えてない」。
吹っ切れた様子も見せた。
10日目、関脇・霧島が4勝目を挙げた。
東前頭4枚目・美ノ海を相手に左に跳ぶと、左上手投げで転がした。
「(内容は)覚えていないけど、良かった」と振り返った。
大関から関脇に落ちた名古屋場所は8勝、秋場所は12勝。
今場所13勝以上を挙げれば、大関昇進目安とされる「三役で直近3場所33勝」に届く中、まさかの5連敗スタート。
だが6日目からの中盤戦は4勝1敗で終えた。
「勝っているということはよくなっているということだと思う。ここから一番一番しっかり考えていきたい」と、さらなる巻き返しを誓った。
10日目、西関脇の大栄翔が、5度目の対戦で初めて大の里を破った。
立ち合いから得意の突き、押しで攻めようと試みたが、相手に押し込まれて密着。
それでもとっさに左を差して、相手得意の右差しを封じた。
さらに右も差してもろ差し。
最後は四つ相撲顔負けに寄り立てて勝ちきった。
「突いていきたかったけど体が反応できてよかった。(埼玉栄)高校の時はずっと左四つで、その感覚はあった」と、過去の稽古に感謝する白星となった。
10日目、東前頭3枚目・阿炎は、西前頭筆頭・平戸海の鋭い出足に押されながらも、右をのぞかせて残し、逆転の肩透かし。
8勝目を挙げ、2場所ぶりに勝ち越した。
「結果が出ていることを自信につなげて、次の日の相撲に意識を向ける」と振り返った。
2敗をキープし、初優勝した2022年九州場所の再現に期待は膨らむ。
場所中は1日8時間半の睡眠時間を確保できているそうで「たっぷり寝て起きている」と好調の要因を語った。
10日目、隆の勝が2敗の阿武剋をはたき込みで下し1敗を守った。
立ち合いの右喉輪でのけぞらせ、すかさずはたき。
相手が前にばったりと落ちた。
節目の通算500勝を達成し「自分から攻めないと持ち味がでない。相手の上体を起こして攻められた」と笑顔がはじけた。
11日目の大の里戦に向け「わくわくの方が大きい。自分の相撲を最大限取れたらいい」と意気込んだ。
10日目、御嶽海は宝富士が得意とする左差しを封じて我慢。
相手の引きにも乗じて押し出した。
ベテランの連勝を7で止めると、両膝に手を置いてからゆっくりと上体を起こして歩きだした。
6日目の取組で土俵から落ちた際に左肩と腰を打ちつけた。
けがを押して出場を続け、4日ぶりの白星。
「疲れとは違う変な怖さはある。周りの人の応援で出られている」と感謝を述べた。
10日目、東前頭15枚目・阿武剋が1敗の東前頭6枚目・隆の勝にはたき込まれて9日目から連敗で3敗に後退した。
立ち合いで左前まわしに手がかかったが、相手の強烈な右喉輪で起こされ、勢いよくはたき込まれた。
「2番連続で引き落とされてしまい、何か対策しないと」と連日前に落ちての相撲に首をかしげる。
「まわし取ったときの体勢が良くない。前みつを引いて、中に入れたら。足がついてきてない。対策して明日から勝てるように頑張ります」と気を取り直す。
10日目、尊富士が明生を押し出しで下し、返り入幕の場所で勝ち越しを決めた。
2敗をキープし、優勝争いにも残った。
終了後、NHKのインタビューを受けたが顔は生傷だらけで血もにじんでいた。
明生の張り手で引っかかれた影響とみられる。
勝ち越しを決めたが「特に変わりません」と尊富士。
優勝争いに「いや僕が考えることじゃないので。自分の相撲をとって、お客さんを喜ばせるだけです」と力を込めていた。
10日目、日本相撲協会は、7日目から途中休場した西前頭17枚目武将山が、手足口病の症状だったとの診断書を公表した。
「重症のため皮疹が多く、痛みも強く、歩行しづらい状態である。痛みが軽減するまで安静にする必要があり、仕事を休む必要がある」との内容だった。
10日目を終えて1勝6敗3休で、来場所の十両転落が確実な状況となっている。
2024/11/19
9日目、琴櫻が力強い内容で、大関となってから最速となる9日目での勝ち越しを決めた。
左右に動く欧勝馬の動きに落ち着いて対応し、最後は押し倒した。
初顔の一戦だったものの「(相手の動きを)頭に入れて落ち着いて取れた」と納得の表情。
3日目に初黒星を喫したが、そこから6連勝で給金を直した。
「勝ち越したあとが大事。ここが終点じゃない」。
悲願の初優勝に照準を合わせている。
9日目、豊昇龍が大関昇進後では自己最速となる9日目での勝ち越しを決めた。
立ち合いで美ノ海の上体を突き起こすと、すぐさま上手投げ。
わずか約3秒で勝負を決めた。
今場所は初日から立ち合いが決まっている。
迷いがない。
これまでは2、3番か横にずれる注文相撲で墓穴を掘っていたが、今場所は一貫している。
「前に出るんだ」という気持ちが鬼の形相から見える。
9日目、新大関・大の里が3連勝を飾り2敗をキープした。
小結・若元春との立ち合いでもろ手突くと、右を差した。
左でおっつけて、ぐいぐいと前へ出て寄り切った。
支度部屋では「集中していました」と目を閉じて振り返った。
今場所は3大関で優勝争いを引っ張る展開になっている。
「しっかり集中して頑張る」と泰然自若。
10日目に勝てば勝ち越しとなるが、「目の前の一番に集中して頑張る」と足元を見つめた。
9日目、立ち合いは正代の手つき不十分により2度不成立。
それでも集中力を保った。
立ち合いすぐに右を差し、左はおっつけて圧力を加える。
攻め込んで左をハズに切り替えながら万全の形で寄り切った。
これで役力士との対戦を全て終え6勝3敗、これから星を伸ばせそうな状況だ。
9日目、身も心もどっしり構えた平幕阿炎が、大栄翔の突き押しをこらえて逆襲に転じた。
長いリーチを生かし、押し出して7勝目。
過去11勝13敗という合口の悪さをはねのけ、優勝経験者同士の熱戦を制した。
これで3連勝だ。
「しっかり自分の距離になって、押し返す相撲を取れたと思う。(相手が左右の)動きを警戒してくれた部分もあったけど、勝負勘で前に出る選択ができた」
約束の自己最重量ボディーのおかげで、真っ向勝負を貫けた。
今場所、公称からプラス4キロの170キロまで増量。
昨年12月に死去した先代師匠の錣山親方に、生前「目指そう」と言われていた大台に無理なく到達した。
東前頭5枚目・翔猿がくせ者の西前頭2枚目・宇良をうまく送り出しで3敗キープした。
立ち合いで右を差され、左で抱える苦しい体勢。
それでも起こして、いったん離れ、今度は腕で支える格好から、相手の左腕を外し、横について送り出しで勝負をつけた。
「早く攻められた。(白星先行に)集中して気を抜かず頑張ります」と笑みがこぼれる。
9日目、隆の勝が平幕で唯一の1敗を守り、幕内一番乗りで勝ち越しを決めた。
もろ手突きの立ち合いから右を差し、寄り立てながら狼雅の上手を切ると、間髪入れずに左から突き落とした。
9日目の勝ち越しは、幕内5場所目だった20年春場所以来、関取としては2度目の自己最速。
「気分がいい。1番最初に勝ち越すことなんて、なかなかできないので」と喜んだ。
大関2人とのトップ並走に「もちろん優勝したい。自信満々でいきます」と意気込んだ。
9日目、西前頭7枚目・御嶽海は東前頭10枚目・一山本に寄り切りで敗れ、5勝4敗となった。
立ち合いから踏み込むも、一山本の右四つ寄りにあらがいきれなかった。
10日目の19日は西前頭10枚目・宝富士と対戦する。
直近6場所では初場所で顔を合わせ、寄り切りで敗れている。
9日目、37歳のベテランが元気だ。
宝富士は得意の左を差せず、阿武剋に右差しを許す。
間髪を入れず左からいなすと、難なくはたきを決めた。
「内容は全然」と言いつつ、「体に染み付いた動き」。
いぶし銀の相撲だった。
トップに並んでいた入幕2場所目の新鋭に立ちはだかり、健在ぶりを示した。
2連敗発進から2019年秋場所以来となる7連勝とし、「出来過ぎ」と目を丸くする。
「疲れが抜けない」との言葉とは裏腹に、笑顔に充実感がにじむ。
9日目、東前頭15枚目・阿武剋はベテランの西前頭10枚目・宝富士に敗れ、2敗に後退した。
立ち合いで当たって右が入ってものの、腕をたぐられ、はたき込みで土俵に落ちた。
2敗目に「足が上半身についていけなかった。右が差せたので前に出れば良かった。相手の方がうまかった」と悔しそう。
9日目、春場所を制した幕内・尊富士が4連勝で2敗を守った。
幕内・佐田の海に当たりを止められたが、下がりながら土俵際ではたき込んだ。
「ヒヤッとした。15日間あるんでそういう日もある。圧力をかけていたからこういう結果になった」と振り返った。
2024/11/18
8日目、大関の冷静さが際立つ37秒の攻防だった。
けんか四つの美ノ海と対戦した琴櫻は、立ち合いでもろ差しを狙ったものの、右は差し切れず、すぐに上手を取る作戦に切り替えた。
深い右上手を軸にじっくり構え、相手が左差しを嫌って体を沈めた瞬間に上手ひねりで転がした。
「落ち着いて取れていると思います。中途半端なことはしないで、目の前の一番にしっかり集中して対応しながら取れている」
8日目、1敗の豊昇龍は上手投げで欧勝馬との”同級生対決”を制した。
同じ日体大柏高に留学した欧勝馬と対戦するのは2度目で、結びは初めて。
タイミングのいい上手投げで裏返しにした。
「(結びは)うれしい。(同級生という)意識とかそういうのはなかった。巡業からお互い稽古してきた相手。集中して取りました」
「(欧勝馬は)大学に入ってから相撲をやり始めた。しっかりタイトルを取ってきたから強いですよ」。
エールにも聞こえる大関の言葉。
これからも対戦を楽しみにしているようだ。
8日目、大関大の里は翔猿と対し、一気の押し相撲で下した。
押し出された翔猿が花道奥まで飛んでいく珍しいシーンがあった。
一瞬の出来事だった。
立ち会いで勢いよくぶつかった大の里は、そのまま上体が浮いた翔猿に寄って一気に土俵外へ押し出した。
8日目、関脇・大栄翔が2連勝。
同・霧島に立ち合いでもろ手で突いた。
得意の突き押しで一気に前へ出た。
そのまま相手に何もさせず押し出した。
「一番一番集中できている。こういう相撲がとれれば自信になる」と汗をぬぐった。
5日の時津風一門連合稽古では霧島と相撲を取る稽古を行った。
「しっかり稽古が出来た」とこの日の相撲に生きたという。
昨年春場所では優勝を争い、霧島に賜杯をさらわれた。
「過去を考えても仕方ない。一番一番やっていく」と前を向く。
8日目を5勝3敗で終え、勢いに乗る。
8日目、若隆景が強さとうまさを発揮した。
平戸海と右四つで組み合い、左から絞り上げるようなおっつけ。
圧力をかけ、機をみて鮮やかに肩透かしを決めた。
会心にも見える一番も「いつも通り、下からの意識で取った」と淡々と振り返った。
8日目、今場所の隆の勝は足がよく前に出ている。
翠富士戦は立ち合いの当たりも良く、相手が肩透かしにきたところを狙っていたかのように、右で押し込みながら一気に土俵を走った。
先場所までは翠富士の必殺技の肩透かしを警戒し、自分の相撲を取りきれずにいた。
対戦成績も3戦全敗と苦手にしていた。
だが、この日は迷いを吹っ切ったような相撲で一蹴した。
8日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭9枚目・高安に寄り切りで敗れ、5勝3敗となった。
右上手を取られると、力なく土俵を割った。
9日目の18日は東前頭10枚目・一山本と対戦する。
直近6場所では2度顔を合わせ、1勝1敗となっている。
8日目、37歳のベテラン宝富士が連敗発進後に6連勝と元気いっぱいだ。
湘南乃海との2敗対決。
立ち合いで左をのぞかせるとタイミング良く差し手を抜いて、相手を転がした。
「内容は良くないが、踏み込めた。前半はリラックスして取れている」。
この日で史上9位タイの通算1316回連続出場を達成した。
1位の玉鷲が1651回と聞かされると「(追いつくのに)3年半…。無理でしょ」と笑っていた
8日目、入幕2場所目の新鋭が堂々とトップに並んで折り返した。
初の勝ち越しに王手をかけた阿武剋は「あまり考えず全部勝てるように頑張る」。
威勢のいい言葉とは裏腹に取り口は冷静沈着だった。
相手は日体大の先輩の朝紅龍。
まわしが引けないとみると突いて懐に入れない。
タイミング良く左を差し、右を引いて寄り切る万全の形。
新入幕で負け越した先場所と同じ星数に並び、「前回は自分が弱かっただけ」。
さらりと今場所への自信を口にした。
8日目、右足首のけがを乗り越えて再入幕の尊富士が押し出しで竜電を破り、2敗を守った。
あのスーパースター級の爆睡で身も心もすっきして、尊富士が今場所初の3連勝。
竜電の立ち合いの変化に鋭い出足で反応し、一気に押し出した。
春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした25歳が、返り入幕の土俵で勢いに乗ってきた。
「集中できて(変化に)ついていって、勝ちにつなげられたのは自信になる。とにかくけがせずに15日間、しっかり相撲を取っていい成績で終われたら」
2024/11/17
7日目、大関・琴櫻が、1敗を守った。
西前頭3枚目・熱海富士との結びの一番は、立ってすぐ右を差した。
差しで争いをしていた左でまわしをつかむと、下がりながらの上手投げで転がした。
「体が動いたと思います」と淡々と振り返った。
7日目、大関豊昇龍が阿炎の“奇襲”に屈して全勝力士が消えた。
微妙なタイミングで立ち遅れ、引き落としを食らった。
「一瞬、待ったかなと思ったよね。迷わずいけばよかった」と後悔する悔しい内容だった。
阿炎には過去11勝5敗と圧倒していた。
合口のいい相手だけに油断があったのか。
「それを言ったら言い訳になる。ま、しょうがないです。終わったことなんで。明日のことしか考えない。1日一番、集中してやっているんで」と気持ちを入れ直した。
7日目、大の里が前に出る本来の取り口を披露し、連敗を免れた。
もろ手で宇良に当たり、相手を正面に置いて圧倒。
前日は苦し紛れに引いてしまい、若隆景に屈したものの、「しっかり集中して」。
気持ちを切り替えて臨み、白星につなげた。
土つかずが消え、トップとは1差に。
混戦模様となり、「しっかり集中していく」と言葉少なに先を見据えた。
7日目、関脇・霧島が、小結・正代を下して2勝目を挙げた。
立ち合いの力強い突きで相手の上体を起こすと、右前まわし、左下手の盤石の形で寄り切った。
「思い切って前に出る気持ちだった。いい相撲で勝てた」と振り返った。
7日目、東前頭3枚目・阿炎が、大関・豊昇龍を破って5勝目を挙げた。
立ち合いで先に立って相手の上体を起こすと、すかさず引き落とし。
大関はたまらず両手をついた。
「先手を取ることだけを考えていた。先手が取れているから、引きの動きができた。(引きまでの流れを)決めてやろうとしたら、もっていかれていた。当たることだけに集中していた」と納得の表情で振り返った。
これで新大関・大の里に続き、2大関撃破となった。
7日目、隆の勝が手負いの西前頭7枚目・御嶽海を下し連敗阻止した。
立ち合いで右喉輪から右を差して前に出て寄り切り。
「相手はケガしてるので何してくるか分からなかった。落ち着いて前に出られて良かった」と丸い顔を丸くする。
前日は豪ノ山に引き落としで敗れ連勝ストップ。
「今日勝てたのは大きいです。連敗しないで星を伸ばせて良かった」と1敗死守に前を向く。
全勝の豊昇龍が敗れ、再びトップ併走となった。
7日目、前日にけがをした御嶽海が「地方で待っててくれるお客さんもいるわけですから」と治療をして痛み止めを飲み、腰からお尻をテーピングでグルグル巻きにして出場した。
隆の勝に寄り切られ2敗目(5勝)を喫したが、8日目に向けて「明日のために備えたい」と気持ちを入れ直した。
白星には結び付かなかったが、「いい感じで集中に入れた」と8日目につながる感触を得ることができた。
患部は温めた方がいいとのことで「治療に行って、温泉か銭湯に行って備えたい」と前向きに話した。
7日目、まだまだ元気で若い。
”鉄人”玉鷲がまた新たな勲章を手にした。
人生の節目となる40歳の誕生日に幕内の土俵へ。
取組前から「おめでとう」のお祝いの声がファンから注がれた中、翠富士を豪快に押し倒して4勝目。
力勝負で今場所初の連勝をマークし、不惑の初陣を最高の形で飾った。
「人間の体はここまで成長する、できるというのを見せたい。まだ成長中なので」。
40歳以上の現役幕内力士は昭和以降で6人目。
戦後では元大関名寄岩、同じモンゴル出身の元関脇旭天鵬に続いて3人目となった。
7日目、明生が一山本を破って4勝目を挙げ、再び白星を先行させた。
押し合いから相手の右腕をたぐったところで攻め返されたが、引き落としを決めた。
ただ「立ち合いも、たぐったところも良くなかった。(最後の引きは)もう必死で相手の突きを逃れた」と顔色はさえなかった。
白星先行に加えて、一山本には3戦全勝だが「何も感じていない。集中していくだけ」と強調した。
7日目、幕内・尊富士が全勝だった幕内・阿武剋を寄り切った。
立ち合いで受け止めると、前進、左を差して寄りきった。
圧倒し、2敗を守り「流れがよかった。でもまだまだ顔が上がっている」と反省も忘れなかった。
好調な相手だったが「意識しない。自分の相撲を取るだけ」と振り返った。
この日は湊川親方がNHKの初解説を務めた。
「憧れだった大関。(湊川親方が)解説していたので気合が入った」と明かした。
兄弟子の横綱・照ノ富士からは「山ほどのアドバイスをもらっている」という。
春場所を新入幕で110年ぶりに制した男がさらに白星を重ねる。
西前頭17枚目・武将山が九州場所7日目の16日、日本相撲協会に休場を届け出た。
ここまでは1勝5敗で、再出場がなければ十両転落が確実となる。
6日目の取組では西前頭14枚目・錦富士を押し出して今場所初白星。
先場所からの連敗を15で止めていた。
取組後には、古傷の左膝を引きずるしぐさを見せていた。
2024/11/16
6日目、琴櫻は厳しい相撲で中盤戦を好発進した。
好調の阿炎に突き、押しで圧力をかけ、力強く押し出し。
土俵際での逆転もある相手を冷静にさばき「落ち着いて対応できればと思っていた。慌てることなく攻められた」と納得の表情だった。
4日目から3連勝で1敗を維持。
内容と結果が伴っており「変わらずに自分のできることをやっている」と泰然とした口ぶりだ。
前半の取りこぼしが課題なだけに「余計なことは考えず目の前の一番に集中して、その日その日にぶつけていくだけ」と力強く話した。
6日目、豊昇龍は薄氷の勝利。
重さのある熱海富士に攻め込まれて土俵下に落ち、物言いがついた一番は相手に勇み足があって白星を拾った。
軍配通りに勝ち名乗りを受け、「行司さんがこちらに上げていたので。何より勝ってよかった」と胸をなで下ろした。
運も味方し、自身初の初日から6連勝。
「相撲に関しては良くなかった。注意してやりたい」と気を引き締め直した。
6日目、吹っ飛ばされた土俵下で大の里は、両手を腰に当てて肩を落とした。
若隆景の低い当たりにてこずって右を差せず、安易に引いたのを元関脇の優勝経験者に見逃してもらえなかった。
一気に押し出され、大関として初めて結びで敗れて2敗目。
初顔合わせの秋場所に続いて圧倒され、若隆景が天敵となりかねない完敗だった。
土俵下で一番を見守った粂川審判長は「右を差せず、苦しくなって引いた。負け方も悪い。攻められて引いた。良いところなし」と辛口で振り返った。
霧島が6日目にしてようやく初日を出した。
平戸海に攻め込まれた土俵際で逆転の右下手出し投げが決まり、「勝ててよかった」と安堵の表情だ。
ここまでの不振は右手首の故障が一因とみられる。
この日は決着がついた後に左足首をひねり、痛めたようだ。
本人は「大丈夫」と言ったものの、新たな不安材料が加わってしまった。
6日目、正代が同じ小結の若元春を破って2勝目を挙げた。
立ち合いで当たり勝ち、もろ差しで前に出てから引き落とし。
「いい出足だったと思います。一歩目が出てくれたので。思い切り当たって当たり負けしないようにいきました」と満足そうに振り返った。
これで若元春には3連勝となった。
6日目、東前頭2枚目若隆景が、新大関大の里に2場所連続で土を付けた。
3日連続となった結びの一番で殊勲の勝利。
初日から3連勝のあと大関戦で2連敗を喫していたが、“三度目の正直”で4勝2敗とし、白星を2つ先行させた。
悲鳴と歓声が交錯した。
新大関として注目される大の里を、若隆景が秋場所に続いて撃破。
立ち合い鋭く当たった後、相手が引いたところを見逃さなかった。
「前に出られたので良かった」。
土俵際の粘りで勝った秋場所とは一転、この日は快勝といえる相撲内容に「自分の相撲に集中した」と実感を込めた。
6日目、東前頭6枚目・隆の勝は西前頭8枚目・豪ノ山に引き落としに敗れ初日からの連勝は5で止まった。
立ち合いで豪ノ山に圧倒され、右差しから逆襲。
前に出たところを引き落としで土俵にバッタリ落ちた。
「踏み込み負けしました。もう少し押していけたら良かった」とサバサバしていた。
6日目、西前頭7枚目の御嶽海が、担架で運ばれるアクシデントがあった。
琴勝峰を引き落として1敗をキープした際に、土俵下に転落。
倒れたまま動けなくなった。
土俵下であおむけになって、左肩を押さえて顔をしかめる場面もあった。
関係者によれば、左腰や左肩を強打したという。
医務室で救護を受けた後は、関係者の肩を借りながら自力で救急車に乗り込んで、会場を離れた。
6日目、幕内2場所目の阿武剋が危なげなく初日からの連勝を伸ばした。
十両の嘉陽に対して左でまわしを取ると、頭をつけながら一気に寄り切り。
「前まわしを引こうと思っていた。動きを止めるのに成功して、いい相撲だった」と納得した。
秋巡業で充実した稽古を積めたことが自信につながっているという。
「このまま続けていきたい」と意気込んだ。
2024/11/15
5日目、大関琴櫻が幕内宇良を押し出して4勝目(1敗)。
首位と1差を守った取組後は「集中していけたと思う」とうなずいた。
新大関の春場所から3場所連続で2桁勝利と安定感を示していたが、9月の秋場所は大関昇進後ワーストの8勝どまり。
3大関の中では唯一、賜杯を手にしていない。
部屋付きで琴櫻を指導する粂川親方は、先場所の不振について「夏巡業で腰を痛めて稽古ができなかった。バス移動が長くて悪くしたようだ」と明かす。
その上で「今場所の状態は悪くない。ただ、王鵬に負けた相撲(3日目)がもったいない。(毎場所)序盤で取りこぼしが1つ、2つある。中日ぐらいまで全勝でいくと、気持ちも違うんだけど」と課題を挙げた。
5日目、豊昇龍は5連勝。
若隆景に左を深く差されて後退したが、持ち前の反応の良さを生かして小手投げで仕留めた。
若手時代からライバル視している相手で、右膝の大けがを乗り越えて十両に戻ってきた時に「早く(上位に)来ないとな」と励ましたという。
昨年1月の初場所以来となる顔合わせに「相変わらず低いし速い。ずっと楽しみだったし、熱くなった」と冗舌だった。
5日目、連敗を回避した大の里は淡々としていた。
この日から化粧まわしを替え、伝達式で述べた口上の「唯一無二」が刺しゅうされたもので土俵入り。
場所前に贈られた新品だ。
気分転換が奏功して4勝目の新大関は「集中してやれた」とうなずいた。
熱海富士を強烈な左おっつけで圧倒し、土俵下で見守った二所ノ関親方は「良かったんじゃないか」と評価した。
序盤戦を終え、6日目は先場所で敗れた若隆景戦。
好取組に注目が集まる。
5日目、関脇・霧島が、泥沼の5連敗を喫した。
東前頭筆頭・王鵬との一番は激しい突っ張り合いとなったが、押し切れず。
いなされて崩されると、四つんばいになった。
チャンスはあったが、という問いに「そこで白星をつかめなかったので流れが良くない」と唇をかんだ。
八角理事長は「攻めていない。おっつけているだけ。自分の相撲に戻れないのは気持ちが弱いということ。大関に上がっているんだから」と厳しく指摘した。
5日目、東前頭3枚目の阿炎が鋭い動きで相手を翻弄した。
立ち合いで右からかち上げて美ノ海の上体を起こすと、突き押しで一気に攻め立てた。
「相手はしつこい相撲を取る力士なので、くっつかせない立ち合いをと思っていた」とうなずいた。
関脇から平幕に番付を落としたものの、存在感は十分。
前日の4日目には新大関大の里に土を付けるなど、2日目から4連勝とした。
5日目、東前頭6枚目の隆の勝が30歳の誕生日に欧勝馬をはたき込み、自身初の初日から5連勝とした。
一場所でも早く三役復帰を果たし、何度も稽古で鍛えてくれた湊川親方へ恩返しをしたい。
今場所で初めて押し切れなくても、隆の勝は慌てなかった。
喉輪を軸に前に出たところを初顔合わせの欧勝馬にいなされ、背後を取られかけたが、相手の上体だけの攻めを見逃さずにはたき込み。
30歳のバースデー白星で勝ちっ放しをキープ。
初日から5連勝は自己最長となった。
5日目、東前頭15枚目・阿武剋は西前頭17枚目・武将山を寄り切り、自身初の初日から5連勝を飾った。
立ち合い当たって左差し。
右上手も引くと前に出て寄り切った。
危なげない相撲で勝ち全勝を守った阿武剋は「組み止めて押し合いにならなくてよかった」と笑顔。
「左が入って下手が取れたので。まわしが取れて組み止めたのが良かった」と力強い相撲に納得顔だった。
前日の4日目の湘南乃海戦が「良かった。立った瞬間、まわしが取れて良かった。理想ですね」と速攻相撲に磨きをかける。
5日目、春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした再入幕の西前頭16枚目・尊富士は、同13枚目・湘南乃海にはたき込まれ、2敗目となった。
押し込んでいったが、土俵際で足がついていかなかった。
NHK総合テレビで解説をしていた尊富士の師匠、伊勢ケ浜親方は「足が止まってしまった。土俵際で相手がまわりこむのも頭に入れておかないといけない」と指摘した。
2024/11/14
4日目、琴櫻が10場所ぶりの対戦となった若隆景を危なげなく寄り切って3勝目。
「切り替えてしっかり集中できた」と連敗を回避した。
若隆景とは昨年春場所で対戦。
その取組で相手の若隆景は右膝前十字靱帯(じんたい)断裂など大けがを負ったが、琴桜は「目の前の一番に集中して。誰が相手だろうと関係ない」と勝負に徹していた。
4日目、豊昇龍が大関陣で唯一の無傷4連勝を飾った。
低い姿勢で当たってきた西前頭2枚目・宇良をもろ手突きで押し込むと、右上手投げで裏返した。
先場所で敗れていた業師を冷静に退けた。
「やりづらいもなにも、何も考えてない。集中してできた」と、うなずいた。
優勝争いを先頭で引っ張るが「それは気にしない。まだまだ終わったわけではない。次に向けて。その日の相撲に集中していく」と泰然自若の姿勢を貫いた。
八角理事長は「攻めの意識があるから流れがある。いい感じがしますね」と評価。
幕内後半戦の高田川審判長も「圧力をかけてからの投げ。今場所は強いという印象ですね。楽しみですね」と期待していた。
4日目、新大関・大の里が初黒星を喫した。
追い込んだ土俵際で東前頭3枚目・阿炎のすくい投げに屈し、不覚を取った。
阿炎には先場所に続き、苦杯をなめる結果になった。
満員の館内を包んでいた歓声が悲鳴に変わった。
大の里は、阿炎の右のど輪に上体が浮き、下からあてがって構わず前進したが出足が伴わない。
左おっつけが甘く、攻め急いだ土俵際、右すくい投げに192センチ、182キロの巨体は転がされた。
阿炎には先場所千秋楽に続く連敗で、新大関として初黒星に唇をかみしめ、花道へ。
「また切り替えて頑張る。しっかり集中して」と厳しい表情で言葉をつないだ。
4日目、関脇・霧島が初日から4連敗を喫した。
小結・若元春との一番は立ち合いから突っ張ったが、押し込めなかった。
相手得意の左差しを許し、追い込まれた土俵際で苦し紛れのいなしも不発。
そのまま押し出された。
「まっすぐ当たっていい当たりをしたと思うけど、途中から差されてしまった」と悔しそうに振り返った。
4日目、ともに初日から3連敗を喫していた正代と平戸海の九州対決は、正代が快勝して初日を出した。
立ち合いで右喉輪を狙ってきた平戸海に対し、一気に圧力をかけて電車道で押し出し。
「しっかり当たれたという感覚は少なかったが、二本(両腕)が出てくれた」。
それまでの3連敗を「上位戦(大関相手が2番)だから仕方ない」と割り切っていた元大関は「とりあえず初日が出てくれたので、ここから続けていけたら」と前向きに話した。
4日目、5場所ぶりに平幕へ陥落した阿炎だが、そこは実力者。
新大関大の里を豪快なすくい投げで沈めて1敗を守った。
素早い立ち合いから右のど輪で相手の上体を起こすと、右へ回り込みながら右を差す。
流れるような動きで最後に投げを決めた。
独特な距離、リズムで新大関を撃破。
突き押しが型となるが、「体が勝手に。稽古でも右四つの練習をしている。それが出た。先代の親方(元関脇寺尾)も右四つできてたから」と習得に励んだ成果がここで出た。
2年前の九州場所は貴景勝、高安とのともえ戦を制し初優勝を飾った縁起のいい場所だ。
「どうなんでしょうかね。別に悪い場所ってないので。いつも通り」。
淡々と白星を積み重ねていく。
4日目、平幕・熱海富士が初日から4連勝とした。
過去5戦全勝と合口のいい翔猿を寄り切り、念願の新三役昇進へ、これ以上ないスタートを切った。
1分近い大相撲になった。
後頭部へ右手をかけ、引く動作を見せたのが転機だった。
熱海富士は思い直したように前傾して体重をかけ、右をねじ込んだ。
左は翔猿の右腕を抱え、得意の右四つから出た。
昨年の九州場所以来の初日から4連勝。
「(今場所)まだ残りがあるので」と言葉少なだったが、8本の懸賞金を両手で大事そうに受け取った。
4日目、東前頭15枚目・阿武剋が西前頭13枚目・湘南乃海を破り初日から4連勝を飾った。
立ち合いで左を差して、そのまま前に出て寄り切り。
前日は獅司と激しい相撲で勝利した。
「昨日は疲れました。今日は大丈夫。まわしを引いてすぐに前に出ました。ああいう相撲を取っていきたい」と笑顔。
4日目、西前頭16枚目の尊富士は武将山を押し出して3勝目。
右足を後方に引いた独特の仕切りで、腰を決める。
立ち合い、尊富士が鋭角的に突き刺さる。
日焼けした体が、褐色の弾丸となった。
「自分にプレッシャーをかけ過ぎず、自分の相撲を取りたい。まだまだいけると思う。気持ちと体がついてくれば…」
はずに掛かった左腕を力強く伸ばすと、武将山の体は横向きに。
そのまま一気に押し出した。
通算出場を100とした節目の一番を白星で飾り、3勝目を挙げた。
4日目、鍛え上げた筋肉は裏切らない。
朝紅龍が全身のパワーとばねを立ち合いに集中させ、時疾風を後ずさりさせた。
2日目に春場所優勝の尊富士を破るなど勢いに乗る相手の上体が前のめりになったのを見逃さず、はたき込んで2勝目。
新入幕場所で初の連勝をマークして星を五分に戻した。
「立ち合いが肝だった。良かったから、感覚と流れではたきが出た。迷わずにできました」
2024/11/13
3日目、3大関のうち琴櫻に最初に土が付いた。
立ち合いに右を差して前に出たが、土俵際で王鵬に体を入れ替えられた。
その後も動き続ける相手に押し出された。
埼玉栄高の2学年後輩には、先場所に続いて2連敗。
稽古でも何度も顔を合わせてきた相手だけにやりづらさはないかと問われると「気にしていない」。
今後に向けて「切り替えます」と絞り出すように話した。
3日目、大関豊昇龍が平戸海を押し出し、今年初場所以来の初日から3連勝を飾った。
過去5戦全勝と相性のいい相手だったが、「合口がいいとか何も考えない。終わったことは終わったことなんで。今日のことしか考えていない」。
とはいえ、立ち合いから相手を飲み込んだ。
圧力に負けて引きにきた平戸海を一方的に攻めて押し出した。
3日目、新大関の大の里は鋭い立ち合いから一方的に正代を押し出し、2度目の優勝を果たした秋場所に続き初日から3連勝とした。
大関では初の結びにも「気にしていない」と平常心を強調した。
土俵下で見守った粂川審判長が「完璧ですね。初日だけでしょうね、緊張していたのは」と評した通り、内容も日に日に上向いている。
新大関は「目の前の一番一番に集中するだけ」と繰り返し、冷静そのものだった。
3日目、王鵬は琴桜の胸元に頭から当たると、16秒を超える攻防の間、辛抱強く押すことに徹し、大関を押し出した。
途中、もろ差しを許しかける危ない場面があったが、前に出ながら振りほどくことに成功。
地力が付いてきていることを示す相撲内容だった。
「しっかり我慢できたので良かったのでは。よく動けたと思います」
3日目、元関脇で優勝経験もある東前頭2枚目の若隆景は、美ノ海を押し出して3連勝。
2歩目が、速い。
左足から鋭く踏み込んだ平幕若隆景の右足が、追いかけるように前へ出る。
頭を上げず、美ノ海に圧力をかけ続けて一気に押し出した。
「下から前へ出る相撲が取れた。一番一番、一生懸命取るだけ。そういう気持ちで土俵に上がっていきたい」
3日目、熱海富士が危なげない内容で初日から3連勝。
関脇大栄翔の突き押しに一歩も下がらずに圧力をかけて引かせ、機を逃さずに押し出した。
幕内で優勝経験もある実力者に何もさせず、「いつも通りにいこうかなと」。
幕内上位に定着したこの1年で、一番の滑り出しを見せた。
3日目、平幕の隆の勝は翔猿を押し出して3連勝とした。
先場所引退した同部屋の湊川親方の助言もあり、繰り出した右喉輪で大きくのけ反らせる快勝。
2場所前の快進撃を思い出させる初日からの3連勝だ。
隆の勝は優勝決定戦へ進んだ名古屋場所と同じ東前頭6枚目の番付で、翔猿との連勝同士の対決に圧勝した。
3日目、東前頭7枚目の遠藤が通算500勝を達成した。
狼雅を寄り倒しで下し、「勝てて良かった」と振り返った。
日大出身の元アマ横綱。
13年春場所でのデビューから、11年かけて白星を積み重ねてきた。
それでも「それ以外に勝ち星は伸びないですから」と淡々とした口ぶり。
長く相撲を取ってきたという実感は「あまりない」と話した。
3日目、入幕2場所目の阿武剋が新入幕の獅司を上手投げで退け、初日から3連勝とした。
人生初のまわし待ったを挟んだ長い一番で、阿武剋が”横綱魂”を胸に踏ん張って白星をつかんだ。
がっぷりの右四つから獅司の上体を起こして巻き替え、投げをこらえて最後は左からの上手投げ。
力を出し切って息を弾ませながら、自己最長タイとなる3連勝の勝ち名乗りを受けた。
まわし待ったもあって「疲れちゃった」と正直に打ち明けた幕内2場所目。
3日目、返り入幕の尊富士は輝を寄り切り、2勝1敗で白星が先行した。
立ち合いで強く当たって前に出る。
これが尊富士の相撲だ。
輝を一気に攻めて連敗を回避。
「とにかく、前に、前に出る相撲が取れた」と手応えを口にした。
尊富士を一夜にして変えたのは、尊敬する照ノ富士の言葉だった。
黒星を喫した2日目の取組後。
帰りの車に乗り込んだところで横綱から電話がかかった。
「『この2日間、見てたけど何で当たんないんだ。当たる稽古をしてるんじゃないのか。そういう相撲を取れ』と」
今場所も「横綱がずっと花道にいると思ってやってます」と横綱への恩返しを力に変えて臨んでいる。
2024/11/12
2日目、大関琴櫻が連勝発進した。
土俵際で逆転した初日とは一転、この日は前頭筆頭の平戸海に立ち合いから流れを渡さなかった。
相手の鋭い当たりをしっかり受け止めると、右四つ十分の体勢で寄り切った。
「しっかり集中してやれた。この感覚を忘れないようにして、明日以降も続けたい」と納得の表情を浮かべた。
待望の初優勝を目指す中で、落ち着いた取り口で完勝。
「続けていくことが大事。明日もしっかり集中したい」と気持ちを引き締め直した。
2日目、序盤戦の取りこぼしが目立っていた豊昇龍だが、今場所はひと味違う。
1月の初場所以来、5場所ぶりとなる2連勝発進に「久々だね」と不敵な笑み。
充実した稽古を積んだ成果が表れ、「いい感じ」と手応え十分に言う。
返り小結の若元春との結び。
鋭い踏み込みから突き起こし、まわしにこだわらず前に出る。
いなしで崩して体を入れ替え、相手を土俵下へ吹っ飛ばした。
「落ち着いて自分の相撲を取ろうと思っていた」。
初日に続いて力強い取り口だった。
2日目、自身を勢いづけるように大の里が、がむしゃらに前に出た。
得意の右差しではなかったが、立ち合いから王鵬に圧力をかけて押し倒して2連勝。
大関初陣の土俵際の逆転から、内容でもしっかり前進した。
受け身だった初日の取組後、師匠の二所ノ関親方が語った「今まで通りやればいい」というエールに、攻めて応えた。
新大関は「じょじょに」と硬さを認めた上で「目の前の相手に集中して頑張りたい」。
まだまだギアを上げていく。
幕内での連勝スタートは、13勝を挙げて2度目の優勝を果たした秋場所を含めて4場所目。
過去3度は、いずれも11勝以上と験は良い。
八角理事長からの「(大関)3人は全勝で中日まで。そして、最後に優勝争いを」という期待にも「映像を見て反省して」と、気を緩めずに応えていく。
2日目、若隆景が初日の霧島に続いて大栄翔にも快勝し、両関脇を撃破して連勝スタート。
力強い相手の突きをあてがいながら前進し、懐に入った後、一気に押し出した。
「下からかまして、前に出ることができたのでよかった」。
久しぶりの幕内上位で期待感が高まる出だしとなったが、「まだ2日目。しっかり集中する」と気を緩めることはなかった。
2日目、西前頭2枚目の宇良が、関脇霧島を破って今場所初白星を挙げた。
懐に飛び込みたい宇良と、それを阻止する霧島の攻防は、互いに距離を取っての突き、押しの応酬。
宇良が霧島の右をたぐり、後ろ向きにさせると攻防は加速した。
左の突きを空振りし、体勢を崩した霧島の一瞬の隙を逃さず、宇良が突き落とした。
初日は関脇大栄翔に敗れていた宇良は、初白星を決めると勢いよく体を反転。
確実に白星を手にしようと、突き落としの動きからの流れで、再び腕を振り下ろしたところで決着を確認して脱力。
一連の動きはまるで、ガッツポーズのようにも映った。
2日目、熱海富士は、得意の右四つで欧勝馬を寄り切り、11勝を挙げて優勝争いに加わった昨年九州場所以来の2連勝スタート。
支度部屋では「(立ち合いで)もろ差し入ったっすか? そこから右四つ?」と報道陣に逆質問してから「流れですね」と、会心の攻めを振り返った。
念願の三役昇進へ、最高の滑り出しとなったが「始まったばかり。まだどうなるか分からない」と気を引き締めていた。
2日目、ベテランの西前頭9枚目・高安が37歳のこちらもベテラン西前頭10枚目の宝富士を破り、今場所初白星を挙げた。
立ち合いでもろ手突き。
突っ張ってからはたきを見せながら、相手の動きに合わせて前に出て押し出した。
「突き起こしたかった。突いて前に出る考えでした」と納得顔。
3日目は西前頭8枚目・豪ノ山が相手。
「今日勝ったのでいいきっかけにして、あしたもいい相撲を取りたい」と話していた。
2日目、押し相撲の武将山を右四つに組み止めた。
これで万全。
新入幕の獅司が寄り切りで勝負を決めて初日から2連勝。
上々の滑り出しを切った。
戦禍のウクライナにいる家族へ欠かさず給料の半分を仕送りしている孝行息子。
母国にテレビ中継はされていないが「NHKのネットとかユーチューブとかで相撲を見てます」と家族に元気な姿を届けてみせた。
2日目、3場所ぶりに幕内に復帰した尊富士が、時疾風に寄り切られて初黒星。
新入幕優勝を果たした春場所の2敗は、豊昇龍と朝乃山相手で、幕内では大関&優勝経験者以外から初めて土をつけられる一番となった。
低く当たったがもろ差しを許して足が止まり、速攻を封じられて土俵を割った尊富士は「また明日っす」。
切り替えを強調し、足早に帰路に就いた。
2024/11/11
九州場所を初日から休場した横綱照ノ富士の診断書を公表した。
両変形性膝関節症、糖尿病により3週間の加療を要する見込みとの内容。
診断書は5日付。
休場は2場所連続、横綱在位20場所で12度目。
照ノ富士は両膝や腰の慢性的な痛みに加え、持病の糖尿病の影響もあり秋場所を全休。
10月の秋巡業も同症状により取組には1度も入らず、途中離脱して治療を受けるなどした。
8日に行われた取組編成会議で初日の取組から外れ、2場所連続休場が決まっていた。
初日、3大関の1番最後に登場した琴櫻は、西小結・正代の左右のおっつけに上体を起こされて後退。
土俵際での突き落としで辛くも逆転勝ちした。
初日白星にも「決して褒められた相撲ではない。もっと落ち着いて取れたのではないかと思う」と険しい表情で振り返った。
「これから自分の相撲を見直しながら、その日の良し悪しもある。しっかり向き合いながらやっていければ」と先を見据えた。
初日、大関・豊昇龍は低くするどい立ち合いと右のど輪で、東前頭筆頭・王鵬の上体を起こして右でまわしをつかむと、一気に寄り切り。
5場所ぶりとなる初日白星を挙げた。
「いい感じだった。4場所くらい(初日に)負けていたから、集中してやろうと思っていた」と振り返った。
土俵下では1番前の大の里の大関初白星を見届けたが「気にしていない。団体スポーツではないから、集中してやりたい」と気持ちを入れ直した。
初日、新大関の大の里が西前頭筆頭の平戸海を逆転の突き落としで下し、白星スタートを切った。
数々の最速記録を塗り替えてきた将来の横綱候補は、今場所も目の前の一番に集中して白星を重ねる。
勝ち残りの土俵下で大の里は、左側に視線を向けなかった。
師匠の二所ノ関親方が審判として陣取っていた。
対戦成績が2勝2敗だった平戸海にもろ差しを許し、土俵際で逆転の突き落とし。
文字通り顔向けできる内容ではなくても、大関初陣で白星をもぎ取った。
初日、大関復帰を目指す関脇・霧島は、黒星発進となった。
東前頭2枚目・若隆景との一番は立ち合いで踏み込んだが、攻めきれず。
相手の下からの攻めに上体が次第に起き、寄り切られた。
「立ち合いは良かったんですけど、そこから浮き上がってしまいました。でもしっかり立ち合いが思い切り当たれたことは、次につながる。明日の一番に集中して。切り替えるしかないので」と振り返った。
初日、関脇大栄翔が低い姿勢で突っ込んできた宇良の動きに冷静に対処し、突き倒しで白星発進。
「しっかり相手を見ていた。こうして前に出る相撲を取り続けたい」とうなずいた。
この日、31歳となった。
誕生日の取組はこれまで負けることが多かったとしたうえで、手にしたバースデー白星に「良かったです」とにっこり。
小結として2場所連続で勝ち越し、4場所ぶりに関脇に復帰した。
さらなる活躍が期待されるなか、「上を目指す1年にしたい」と誓った。
若隆景が持ち味を存分に発揮した。
霧島との押し合いから右を差し、強烈な左おっつけで前へ。
粘る相手を左から投げるようにしながら寄り切った。
低い姿勢からの攻めが光り、「自分らしい相撲が取れた」と充実の表情を見せた。
右膝の大けがを乗り越え、東前頭2枚目まで番付を戻した今場所。
優勝経験がある元関脇は「久々の上位での相撲。気を引き締めて一日一番」と先を見据えた。
初日、ウクライナ出身で初の幕内力士となった東前頭16枚目の獅司が快勝発進した。
「お客さん多いです。ちょっと緊張しました。つかまえてまわしを取れたのでよかった」。
時疾風を立ち合いでつかまえると、頭を下げた低い姿勢でグイグイ攻め込み、最後は寄り切った。
「よかったです」と言い、得意な言葉の「うれシシ」を求められるも「勝ち越したら、うれシシです」とあと7勝までお預けにした。
場所前は二所ノ関部屋へ出稽古。
元横綱稀勢の里の二所ノ関親方に胸を借りて「ありがたいです」。
幕内を実感し、分厚い大きな胸に感謝した。
初日、再入幕を果たした尊富士は朝紅龍をはたき込み、優勝した春場所以来の幕内での白星を挙げた。
3場所ぶりに幕内へ戻ってきた尊富士にとっては、110年ぶりの新入幕Vを決めた春場所千秋楽以来、231日ぶりの幕内白星。
けがと闘いながら果たした幕内復帰だったが「(どの番付で相撲を取っても)土俵は変わらないんで」と淡々と受け止めた。
前に攻める相撲が持ち味だけに、引き技での決着に「悪い相撲だった」と反省。
それでも、「明日以降、しっかり自分の相撲を取れるようにやるだけです」とすぐに前を向いた。
2024/11/10
最後まで記録ずくめで駆け抜ける。
大相撲の今年最後の本場所、九州場所の初日を翌日に控えた9日、新大関大の里は福岡市の部屋で最終調整。
締め込み姿で、四股などの基礎運動で汗を流した。
今年は5月の夏場所で、初土俵から所要7場所の史上最速優勝。
2度目の優勝を果たした先場所後は、所要9場所と史上最速で大関に昇進した。
勢いは加速するばかりだが「初日の入りは難しい。しっかりと準備して頑張りたい」と、平戸海との初日へ気を引き締めた。
新入幕だった初場所から快進撃続きで、今場所は偉大な大横綱と比較されることは必至だ。
新大関で優勝すれば06年夏場所、後に歴代最多45度も優勝する白鵬以来、18年ぶり9人目。
さらに関脇、新大関と連続優勝すれば、歴代最長69連勝を飾った双葉山以来、87年ぶりの偉業を達成する。
それでも大の里は「そういうことは考えない」と、浮かれず平常心を保っている。
九州場所の初日を翌日に控えた9日、小結若元春と幕内若隆景が福岡県須恵町の部屋で稽古し、兄弟で三番稽古をこなした。
7番とった結果は、低く鋭い踏み込みが目立った弟の若隆景が5勝。
初日前日は軽めの調整で済ませることも多い中で、意欲的に相撲をとった。
若隆景は昨年手術した右膝の炎症で10月の秋巡業を途中離脱したが、回復は順調な様子。
「九州に入ってから相撲をとり始めて、場所に向けて徐々に体が動いてきた」とうなずいた。
昨年の九州場所で右膝のケガから復帰してちょうど1年。
幕下から東前頭2枚目まで番付を戻してきた。
初日は霧島、2日目は大栄翔と、両関脇との対戦からスタート。
青い締め込み姿で最終調整し「久々の上位なので、しっかり気を引き締めて準備していく。上位戦があるのは場所前からわかっていたので、対戦相手というより、集中して自分らしい相撲をとりたい」と力を込めた。
秋場所で11勝を挙げた若元春は3場所ぶりの三役復帰。
仕上がりは「ボチボチいいんじゃないですか。体調を崩さない、ケガをしないことが一番なので、そういう意味ではいい」と自己評価した。
「(再三役は)関係ない。自分の今できる相撲をしっかりとりきっていけば、(結果は)ついてくるかな」と、自然体で一年納めの場所に臨む。
大相撲九州場所は10日、福岡国際センターで初日を迎える。
前日の9日には同センターで15日間の安全を祈願する土俵祭りが行われ、八角理事長(元横綱北勝海)ら日本相撲協会幹部らが出席。
場所の始まりを告げる触れ太鼓が福博の街に繰り出した。
今回は九州場所として28年ぶりに全15日間、チケット完売に当たる「札止め」となった。
最大の注目は先場所2度目の優勝を果たした新大関の大の里。
2場所連続2桁白星で昨年夏場所以来の小結に復帰した大関経験者の正代(熊本県宇土市出身)、大関候補と言われながら先場所は負け越した平戸海(長崎県平戸市出身)ら九州出身力士にも期待がかかる。
2024/11/09
8日、大相撲九州場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
秋場所優勝の新大関・大の里は、初日に幕内・平戸海、2日目に同・王鵬と対戦する。
同い年で三役経験者の平戸海とは過去2勝2敗。
初日に難敵を突破し、2006年夏場所の白鵬以来、18年ぶりの新大関Vに弾みをつける。
秋場所を左足痛で休場し十両に転落した福島・須賀川市出身の白熊は、弟弟子の新大関・大の里と稽古を重ねて復調。
1場所での再入幕を目指す。
復活を期す白熊は、2日に福岡市内の部屋で行われた朝稽古で計16番相撲を取った。
新大関・大の里とは10番で3勝にとどまったが、がっぷり右四つの体勢から寄り切る場面もあり、自分の形になった時の力は十分だ。
秋場所後の巡業は休場し、リハビリに専念。
福岡入り後に相撲を取る稽古を再開した。
「焦って、またケガをして症状を悪くしてしまうかもしれないので、本当に一番一番自分の相撲を取りきるだけ。そこにおまけがついてくればいいかなと思う」。
まずは目の前の一番に集中する。
2024/11/08
九州場所の取組編成会議が8日、福岡国際センターで行われ、初日、2日の取組を発表した。
秋場所を全休した横綱・照ノ富士は初日から休場が決定。
10月の秋巡業には参加したものの、土俵入りのみで取組、稽古には1度も行わず、福岡入り後もイベントには出席したが、稽古場では稽古を行わなかった。
前日には師匠の伊勢ケ浜親方は「腰も膝も悪いし、五体満足じゃない。なかなか難しい」と休場の可能性をほのめかしていた。
幕内翠富士が7日、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で3日ぶりに稽古を行った。
一時は40度を超す高熱で寝込んでいたが、この日は幕内熱海富士らと8番。
持ち前の素早い動きで翻弄し「みんなが気を使ってくれたのだと思う。何とか頑張る」と前を向いた。
174センチ、117キロで28歳の小兵は、東前頭9枚目で臨む。
場所前の調整に狂いが生じ「たぶん負け越すので期待しないでほしい。
十両に落ちてしまうかもしれない」と不安も吐露した。
前頭尊富士が、110年ぶり2人目の新入幕優勝を果たした春場所以来、4場所ぶりに幕内土俵に戻ってくる。
九州場所に向けて7日、福岡・太宰府市の部屋で申し合いに参加し、計12番で6勝6敗。
いきなり錦富士に2度、翠富士、宝富士に1度ずつ敗れ、1度も勝てないまま4連敗したが、その後は2度3連勝するなどして盛り返した。
九州場所の初日、2日目の割を決める8日の取組編成会議前、最後の稽古を元気にこなし「1日一番、しっかりと土俵に上がって、最後にいい結果で終わることだけを意識して頑張ります」と、出場を明言し、千秋楽までの皆勤を誓った。
21歳の十両伯桜鵬は7日、左足親指の関節炎で稽古を3日間休んだことを明かした。
この日から福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋の朝稽古に復帰し、てっぽうなどで上半身を鍛えた。
「関節の中にばい菌が入ってしまった。体重をかけると痛みがある」と語った。
西十両2枚目に浮上し、再入幕を目指す。
昨年の九州場所は左肩手術の影響で全休しただけに「まだ本場所の会場に行ったことがなく、ちょっと楽しみがある。頑張りたい」と前向きに話した。
2024/11/07
九州場所に向け、糖尿病と膝痛で秋場所を全休した横綱照ノ富士は6日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋の朝稽古に姿を見せたものの、ほとんど体を動かすことはなかった。
関係者によると、相撲を取る稽古は再開できておらず、調整が大幅に遅れている。
終了後は自転車に乗って無言で引き揚げた。
稽古中は椅子に腰かけ、若い衆にアドバイスを送ったり、伊勢ケ浜部屋付きの宮城野親方と談笑したりした。
今場所も休場となれば、今年の15日間皆勤は優勝した初場所と名古屋場所の2場所にとどまることになる。
福島市出身で「大波3兄弟」の次男若元春は東小結として2場所連続の勝ち越しを目指す。
三男若隆景は東前頭2枚目で臨み、4場所連続の2桁白星で三役復帰に期待がかかる。
5日は福岡県志免町で時津風部屋との合同稽古をし、今年最後の本場所に向けて士気を高めた。
3場所ぶりに三役の一角、東小結として臨む若元春。
他の力士からマークされる立ち位置に戻ったが、そんな周りの視線に流されることなく泰然自若に調整を進めている。
時津風部屋との合同の朝稽古も「今日はまだ、ぼちぼちです」と穏やかな表情を見せた。
5月の夏場所で右足親指を負傷したことを感じさせない稽古内容だった。
四股やすり足の基礎運動で体を十分にほぐすと、勝ち残り形式の申し合い稽古では気迫のこもった取組で土俵に鈍い音を響かせた。
ぶつかり稽古では幕下力士に胸を出すなど、約3時間汗を流した。
初場所の幕下筆頭を経て、東前頭2枚目で九州場所を迎える若隆景。
直近3場所で十両優勝や殊勲賞を受けるなど破竹の勢いで番付を上げてきた。
「しっかり集中して自分の相撲を取りたい」と誓った。
右膝の状態を「いい感じ。ここから上げていける」と受け止める。
時津風部屋との合同稽古には右膝に軽いテーピングを施した程度で臨み、申し合い稽古でも下からの圧力と横の動きの鋭さを見せ付けた。
九州場所に向けて「久々の上位。しっかり準備していく」と若隆景。
土俵の主役に向け、復活への道を進んでいる。
九州場所に向け、西前頭3枚目の熱海富士は6日、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で幕内尊富士らと20番取って精力的に汗を流した。
稽古開始から若い衆に交じってすり足を行い、終了後も居残って立ち合いの確認を繰り返した。
「いつもやっていることなので」と殊勝に話した。
今年は初場所から幕内上位に定着しながら、勝ち越しは春場所の1場所だけと苦しんでいる。
22歳の若武者は、目標の新三役に向け「1月から決めたいと言ってきて、11月になってしまった。何とか頑張りたい」と闘志を燃やした。
九州場所で、ウクライナ出身初の新入幕を果たす獅司が6日、福岡市の二所ノ関部屋に出稽古し、十両白熊、幕下花の海を相手に連続17番取って、14勝3敗と存在感を見せた。
前日5日から2日連続、二所ノ関部屋へ出稽古。前日も同じ2人を相手に13勝2敗だったが、この日も左を固めた立ち合いからの圧力で圧倒した。
最後は二所ノ関親方に、ぶつかり稽古で約2分半、胸を出してもらい「横綱に胸を出してもらえて、うれシシ(獅司)」と、砂まみれになりながら笑顔で感謝した。
師匠の雷親方も「体が一回り大きくなった」と、四股などの地道な基礎運動が、圧力につながっていると分析する。
事実、太もも回りの筋肉の盛り上がり方は、関取衆でも屈指。
二所ノ関親方も、稽古後に「強いよ」と、胸を合わせたからこその実感を込めてうなった。
九州場所で3場所ぶりに再入幕の尊富士は6日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋で幕内熱海富士らと9番取った。
夏場所を右足首負傷で全休したため、幕内の土俵は110年ぶりの新入幕優勝を遂げた春場所以来となる。
25歳のホープは「何も変わらない。どの地位でもやることをやるだけ」と平常心を強調した。
春場所の快挙後は左大胸筋も負傷し、十両転落を経験。
「筋肉だけでは、また壊れやすい体になってしまう」と故障防止への意識も高まる。
調子次第では優勝候補の一人となりそうで「やってきたことを本場所で出せるように」と静かに意気込んだ。
2024/11/06
二所ノ関一門連合稽古が行われ、琴櫻は9勝11敗と負け越したものの、スタミナ面で、大の里を上回るなど内容的には悪くなかった。
どちらかといえば相手に合わせるスタイルが主だが、この日は常に先手先手。
土俵際まで攻め込む場面が目立った。
詰めの甘さで逆転されると「くそー」と悔しさをあらわにするなど気持ちの入った稽古内容。
「満足はしていないが、ここまでしっかりと稽古できている」と好感触で、師匠の佐渡ケ嶽親方も「攻めている相撲が多くて良かった」と評価した。
時津風一門の連合稽古が5日、福岡・志免町の時津風部屋で行われ、出羽海一門から参加の大関豊昇龍が関脇霧島らと19番連続で取り、16勝3敗と順調な仕上がりを見せた。
先場所12勝で大関復帰を目指す霧島は関取衆最多の25番と精力的に汗を流した。
豊昇龍は低い当たりからの寄りや押しで、若元春と正代の両小結や幕内若隆景を圧倒。
霧島にも4勝3敗と勝ち越した。
関脇だった昨年名古屋場所を最後に賜杯がなく「秋巡業からずっと稽古できているから、いい感じで来ているのではないか。久しぶりに優勝したいね」と笑顔で意欲を示した。
昭和以降最速となる初土俵から所要9場所で昇進した新大関の大の里は、2場所連続の優勝を狙う。
1年半ぶりに三役に復帰した元大関の正代も注目される。
出世の速さに髪の伸びが追い付かず、前代未聞のちょんまげ姿で相撲界の看板を背負う。
「慣れていない部分もたくさんある」と率直な胸中を明かしつつ、「一層、引き締めないといけない」。
言葉には責任感が漂う。
体調不良で秋巡業を途中離脱。
福岡入り後も慎重な調整を続けながら、「稽古が不足しているところはある」と認める。
下半身の粘りはまだ万全ではないそうで、「限られた時間で仕上げていくだけ」と己を鼓舞。
不安に打ち勝とうとしている。
時津風一門連合稽古が5日、福岡・志免町の時津風部屋で行われた。
先場所12勝で大関復帰を目指す関脇・霧島は、出稽古に訪れた大関・豊昇龍ら参加16人で関取衆最多となる計25番の相撲で15勝。
「ギリギリ勝ち越したね。もっと番数を取らないといけない」と満足せず調整のギアを上げていく。
自身の調子を確かめるように豊昇龍とは最後に7番連続の相撲。
最初の一番で上手出し投げを食らうと闘志に火がついた。
続いて力強い押しに耐えながら下手投げで雪辱するなど3連勝した。
その後3連敗もしたが、首の痛みへの不安が軽減してきた様子。
昨年九州場所を制した当時のキレが戻ってきた。
1年半ぶりの三役復帰。
小結に返り咲いた元大関の正代は「給料が上がるな、というくらいで三役に特に思い入れはない」と、どこ吹く風だ。
ひょうひょうとした口ぶりは変わらない。
マイペースを貫き、初日を迎える。
東前頭10枚目で迎えた7月の名古屋場所から2場所続けて2桁白星。
「全体的に攻める相撲が多かった」と手応え十分。
大きなけがさえなければ、圧力十分の出足は健在だ。
右足の親指などに不安があった時期を乗り越え、「伸び伸びやらせてもらっている」と言う。
西前頭9枚目の高安が5日、九州場所に向け、福岡・志免町の時津風部屋で行われた時津風一門の連合稽古に一門外から参加。
関脇霧島や小結若元春に完勝する相撲もあり「調子がいいので出稽古できている。腰をケアしながら、それなりに仕上がってきた」と手応えを示した。
3日に境川部屋へ出稽古した際の疲労を考慮し、4日の二所ノ関一門の連合稽古は回避。
元大関は一年納めの場所に向け「少しでも盛り上がりに加われるように。いい成績で終わりたい」と意気込んだ。
九州場所で新入幕を果たしたウクライナ出身の獅司が5日、福岡市西区の二所ノ関部屋に出向いて幕下・花の海、十両・白熊と15番取って13勝2敗だった。
所属する雷部屋は今年から部屋の九州場所宿舎が二所ノ関部屋から6キロの西区姪浜に移転。
この日は雷親方らと福岡入り後初の出稽古を行った。
申し合いではいきなり9連勝と花の海、白熊を寄せ付けない強さを発揮。
白熊とはがっぷり胸が合った体勢から力強く寄り切るなど成長した姿をアピールした。
土俵を独占したことで終盤は息が上がったが、二所ノ関親方、雷両師匠からの「我慢して」の声に懸命にうなづき、力を出し切った。
10月の秋巡業で胸を出してもらった大の里は師匠との三番稽古だったため稽古は実現せず。
それでも「調子はいい感じ。明日も来ます」と笑顔を絶やさなかった。
2024/11/05
先場所を全休した大相撲の横綱照ノ富士が3日、熊本・玉名市の蓮華院誕生寺で奉納土俵入りを行い、太刀持ちに幕内熱海富士、露払いに幕内翠富士を従えて力強い不知火型を披露した。
土俵入り後は子どもたちとの稽古に締め込み姿で胸を出し「この少年たちがプロに入って、活躍してくれることを祈っている」と笑顔であいさつした。
名古屋場所で10度目の優勝を遂げたが、秋場所は糖尿病と膝痛で全休。
10月の秋巡業も一時離脱するなど調整のペースが上がらず、九州場所の出場可否が注目される。
二所ノ関一門による連合稽古が4日、福岡市の佐渡ケ嶽部屋で行われ、大関琴櫻は同じ相手と何番も続けて取る三番稽古で、新大関の大の里と手合わせした。
本場所では通算3勝2敗と勝ち越している相手と20番。
立ち合いで優位に立つことが多く、「負けた相撲もしっかり前に出ていた。(体は)動いていた」と手応えを口にした。
初優勝を目指す九州場所に向け、「しっかり仕上げていくだけ」と先を見据えた。
大関豊昇龍が九州場所に向けて福岡県糸島市の部屋で27番の申し合いを行った。
出稽古に来た関脇大栄翔、西前頭筆頭の平戸海らと27番の申し合いで23勝4敗と力を示した。
「何番とった? 27か。あと3番とれば30番だったのにな」と笑顔を浮かべ、「体の状態はいいですよ。(秋)巡業でもずっと稽古やってきた。息が上がってからちょうどいい感じだった」と手ごたえを口にした。
昨年名古屋場所で初優勝を飾り大関に昇進も、大関ではすべて勝ち越しは決めているが、優勝争いに絡めていない。
「優勝、したいねえ」と意気込む。
今場所は課題の体重も150キロ台に戻し、重みを増してきた。
「いい感じできている」と今場所こそ、目指す横綱への足掛かりをつかむ。
九州場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われ、新大関大の里は大関琴桜と20番連続で取って11勝9敗だった。
10月の秋巡業で体調を崩した影響はあまり感じられず「不安要素しかなかった。その中で番数をこなせたし、いい部分も悪い部分も出た」と一定の手応えを口にした。
自慢の馬力だけでなく、技術にも磨きをかけ「大関と稽古することで調子も上がってくる。しっかりと自分のものにして頑張っていく」と話した。
琴櫻は、スタミナ面で大の里を上回り、土俵際まで攻め込む場面が目立った。
逆転負けには「くそー」と悔しさをあらわにし、ライバル心をうかがわせた。
関脇霧島が10月31日、九州場所連覇と大関復帰への意欲をみなぎらせた。
福岡県志免町の時津風部屋へ2日連続で出稽古。
関脇大栄翔、小結正代らと19番とって15勝とまずまずの動きを見せた。
「去年は優勝しているし、ここでいい稽古をたくさんやっていたおかげかなと思って」と好印象を踏襲。
「まずは優勝っていう気持ちで」と目標を掲げた。
関脇に転落した名古屋場所から8、12勝。
今場所13勝以上で大関昇進目安とされる3場所合計33勝に達する。
「もちろん、そういう考えもある」と返り咲きへの思いを明かし「まずは自分のやることをやっていきたい」と話した。
九州場所に向けて、昨年夏場所以来9場所ぶりに三役復帰した西小結正代が、福岡県志免町の部屋で、出稽古に来た関脇霧島らと申し合いを行った。
「三役には特に思い入れはないです。給料が上がるな、ぐらいで」と話すが、熊本出身で九州場所は準ご当地場所。
「いいタイミングで上がれたなとは思います」とした。
最近2場所は2桁勝利。上位陣と総当たりの地位で「厳しい場所になりそう」と引き締めた。
九州場所に向けて、右目付近の骨折で10月10日に手術を受けた東前頭筆頭の王鵬は4日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古で12番取った。
「痛みは全くない。最初の数番は当たらないようにずれてしまったが、最後の方はそういうこともなかった」と回復を強調した。
先場所は右目の負傷を押して千秋楽まで闘い、西前頭2枚目で9勝をマーク。
新三役には届かなかったが「勝つしかない。勝っていけば上がる」と再挑戦の今場所へ気合を入れた。
小結から西前頭筆頭に落ちた平戸海が1日、三役復帰へ初の出稽古で力を示した。
師匠の境川親方から厳しい言葉も飛ぶ中、大関豊昇龍の胸を借りるなど23番の申し合いを行った「いい稽古ができました。ここから調子を上げていきたいです」。
長崎・平戸市出身で、準ご当地場所。
声援もひときわ大きくなるのは確実で「頑張りたい」と気合を入れた。
東前頭2枚目で臨む若隆景が1日、福岡県志免町の時津風部屋へ出稽古し、関脇霧島らと14番の申し合いを精力的にこなした。
昨年手術した右膝の炎症で秋巡業を途中離脱し、本格的な稽古再開は福岡入り後。
出稽古もこの日が初めてだったが、6連勝を含む10勝。
力強い踏み込みが目立った。
「最後もうちょっとやりたかったけど、それなりにいい稽古ができたかな」と納得顔。
「下から前に出ることを意識してやった」と持ち味を確認した。
再入幕の名古屋場所で11勝、秋場所も12勝を挙げ、今場所は久々に上位総当たりの位置まで番付を上げた。
右膝のケガから復帰したのは昨年の九州場所で、ちょうど1年。
「しっかり稽古して、一生懸命やるべきことをやって、1年納めの場所をいい形で締めくくれたら」と意気込んだ。
自己最高位の東前頭4枚目に番付を上げた美ノ海は、九州場所に向けて”マイ枕”でさらなる躍進を狙う。
3年ほど前から東京で使っている枕を、地方場所や巡業に持参。
しっかりと睡眠を取ることで日々の稽古が充実し、本場所の結果にもつながっている。
沖縄県うるま市出身。
「去年の九州場所が新入幕だったので、幕内で戻ってこられたのがうれしいです」とご当所場所に臨む気持ちを話した。
元大関の西前頭9枚目高安は3日、福岡・大野城市の境川部屋へ出稽古に赴き、同部屋の幕内平戸海、佐田の海、出稽古に訪れた幕内若隆景と申し合い(勝った者が何度も取る)を行い、計21番取って16勝5敗と気を吐いた。
福岡入りして初の出稽古。
当初は10番程度を予定していたが、ともに三役経験者で優勝経験のある若隆景、上位に定着する平戸海を相手に稽古は白熱し、上手を取って胸を合わせると強く引きつけて2人を圧倒。
途中、8連勝もあった。
高安は「やり過ぎたかな。あした筋肉痛で起きられないかもしれない」と笑いを誘った。
今年は5場所のうち3場所で途中休場したが、皆勤した3月の春場所は11勝で優勝次点。
9月の秋場所も12日終了時点で優勝した大の里に1差に迫るなど、10勝を挙げて存在感を示した。
一年納めの場所は「とりあえず勝ち越しを目標に」と控えめだが、足を運んだ大相撲解説者の舞の海秀平さんは、低い体勢を崩さない若隆景、平戸海に「低さ負けせず、重量感もある。この内容なら優勝争いをする一人に挙げられる」と評価した。
返り入幕、西前頭16枚目の尊富士が“連覇”を狙う。
大相撲九州場所に向けて福岡県太宰府市内の部屋で稽古を開始。
錦富士らと19番の申し合いを行った。
今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾って以来の幕内復帰。
一気に大関昇進を決めた同世代の大の里を励みに、最大のライバルとして立ちはだかる。
日本相撲協会は2日、大相撲九州場所の入場券が15日間の全日程で完売したと発表した。
チケット完売を意味する「札止め」が年6場所の全90日間となるのは「若貴ブーム」に後押しされた1996年以来28年ぶり。
人気定着を象徴する一年となった。
大相撲は2011年の八百長問題など相次ぐ不祥事の影響で人気低迷に苦しんだが、17〜19年は8割程度の集客で出される「満員御礼」を全日程でマーク。
新型コロナウイルス禍を乗り越えた今年も盛況が続き、今場所は新大関大の里らに注目が集まっている。
浅香山親方は「盛り上がりは続くと思う」と熱戦を期待した。
2024/09/23
千秋楽、豊昇龍は千秋楽で給金を直し、初めて大関かど番になるピンチを脱した。
結びの琴桜戦。立ち合いから押し込み、切り返しも交えて揺さぶる。
守勢に回った相手を休まず攻め、「とにかく集中した。本当に勝ってよかった」と表情を緩めた。
先場所は13日目から休場。
今場所前は十分な稽古を積めず、序盤戦で3敗となるなど存在感を発揮できなかった。
大の里の大関昇進は決定的。
「やっぱり負けられない。自分もやってやる、という気持ちでやりたい」と気合を入れた。
千秋楽、心技体を15日間、完璧に整える難しさを知ってから大の里が賜杯を抱いた。
夏場所で初優勝を決めた相手だった阿炎の引き落としに屈して2敗目。
師匠の二所ノ関親方が、初V&横綱昇進を決めた大関時代の2017年初場所で挙げた14勝に並ぶことはできなかった。
「夏場所が12勝で、親方から『もっと高い優勝争いをしろ』と言われて13勝できたが、ホッとした気持ちがあった。14勝したかった。次に向けた課題」
高田川審判部長は、黒星締めにも「どんどん前に出て、相手を倒す相撲は(審判部でも)すごく評価された。今日みたいなこともありますが、前に出ていって(引き技を)たまたま食ってしまった。前に出る意識があるからこそ」と前向きに評した。
土俵下の優勝インタビュー中、25日の臨時理事会の開催を八角理事長が受諾したと聞くと「まだまだ」と口元を引き締めた。
「それに向けてしっかり、さらに高みを目指して頑張りたいなと思います」。
喜びに浸るのは千秋楽後の夜だけ。
史上初のちょんまげ大関として駆け出す準備に入る。
千秋楽、霧島は大栄翔を突き出して5場所ぶりに12勝を挙げ「久しぶり。前に出られてよかった」と胸を張った。
7月の名古屋場所で関脇に転落し、大関返り咲きを目指す。
昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」とされ、8勝、12勝と積み重ねた。
九州場所は1年前に優勝しており「(大関に)戻りたい思いが強い。頑張るしかない」と決意を込めた。
千秋楽、「昭和の大横綱」大鵬の孫の王鵬が、自己最高位の西前頭2枚目で9勝目を挙げ、九州場所の新三役を有力とした。
東前頭4枚目の正代戦は成績、番付から、勝った方が次の小結という意味合いが強い一番。
これを終始攻めて左四つから寄り倒した。
東前頭7枚目で12勝した若隆景らとの兼ね合いだが、両大関を破るなど内容も充実。
祖父の大鵬、父の元関脇貴闘力に続き、3代にわたる三役なら、大関琴桜と同じ道をたどる。
今場所は「持っているものを出せば上位で戦える」と、手応えを感じた。新三役については「上が詰まれば上がれないこともある。しっかり勝っていくしかない」と、過度な期待はせず冷静だ。
今場所2日目に3度目の対戦で初めて勝った関脇貴景勝が、その取組後に引退。
かつて付け人を務めた大関に「最後が王鵬でよかった」と言われた。
「心を受け継いで相撲を取っていきたい。最後に相撲を取れてよかった」と、恩返しを誓っていた。
千秋楽、福島市出身の「大波3兄弟」の次男で西前頭3枚目の若元春が11勝目を挙げ、来場所での三役復帰を確実にした。
若元春は今年の夏場所まで関脇だったため、3場所ぶりに三役に返り咲く見通しとなった。
同日開かれた三賞選考委員会では、大波3兄弟の三男で東前頭7枚目の若隆景が初の殊勲賞に選ばれた。
三賞は2年前の秋場所以来5度目。
若隆景は、今場所で優勝した関脇大の里を12日目に破り、千秋楽も白星を重ねて12勝の好成績を収めた。
千秋楽、岩手県盛岡市出身で西前頭13枚目の錦木は、西前頭7枚目の美ノ海に押し出しで敗れ、11勝4敗で秋場所を終えました。
幕内では自己最多タイの11勝をあげた錦木は初の敢闘賞を受賞しています。
千秋楽、37歳の宝富士が2016年名古屋場所以来となる2桁白星を挙げた。
腰の重さを生かし、頭をつけて粘ろうとする遠藤を押し出し。
「最後にいい相撲で締めくくれた」と、支度部屋では笑みが絶えなかった。
今場所は、十両への転落も見えていた西前頭15枚目。
「次は番付が上がり、大負けしてしまう可能性がある。しっかり稽古をしないといけない」と気を引き締めた。
千秋楽、前日に十両優勝を決めた尊富士が時疾風を下して13勝2敗で今場所を取り終えた。
立ち合い鋭く当たって左おっつけで前に出ながら左上手を取って一気の寄り。
持ち味の速攻で快勝し、新入幕優勝した春場所以来3場所ぶりに初日から出場した15日間を締めくくった。
新十両だった初場所、新入幕だった春場所、そして今場所。
15日間出場した場所は全て13勝2敗という驚異的な記録も残した。
西十両11枚目で13勝を挙げ、来場所の幕内復帰が確実に。
「まだ先があるから、もっと稽古してもっと強くなりたい」とさらなる高みを見据えた。
「次に向けて課題もあるのでしっかり修正して、また一から良い相撲を取って相撲界を盛り上げられれば」。
来場所、再び幕内の土俵で暴れ回る姿が見られそうだ。
千秋楽、日本相撲協会定年の65歳の誕生日となった立行司の第38代木村庄之助(高田川、本名今岡英樹)が結びの琴桜−豊昇龍を裁き、約50年の行司人生に幕を下ろした。
打ち出し後は後輩の行司たちから拍手で送り出され「ぐっと来るものがあった」と感無量の様子だった。
19年初場所から務めた式守伊之助時代を含め、立行司としての差し違えは12度。
苦労も多く経験し「もっとうまく裁けたのではないかと思う」と正直な心境を吐露した。
千秋楽、日本相撲協会は22日、振分親方(35=元前頭旭日松)が、同日付で退職したと発表した。
現役時代は、175センチと小兵ながら、全中王者にも輝いたレスリング仕込みの軽快な動きと、強じんな足腰を武器に、最高位は東前頭11枚目だった。
豪快な塩まきなどでも人気を集めた。
21年6月に引退し、大島部屋の部屋付きとして後進を指導していた。
22日に千秋楽を迎え、懸賞総数は史上最多となる2455本に達した。
昨年秋場所の2325本を更新。
1日当たりの最多は14日目と千秋楽の196本。
2024/09/22
14日目、大関・琴櫻が勝ち越しを決めた。
行司が軍配を返していない中で立ち、阿炎を突き押しで圧倒。
連続勝ち越しは13場所に伸ばしたが「満足していないし、目標はそこではないから」と淡々と話した。
埼玉栄高の1学年上の貴景勝が引退を発表。
「早く追いつきたいと思って頑張ってきた。同じ位置に上がれてうれしかった。しっかり見習っていきたい」と先輩を思いやった。
14日目、関脇大の里が、自己最多の13勝目を挙げて夏場所以来、2度目の優勝を決めた。
結びの一番で、大関豊昇龍を押し出しで破った。
大関昇進の目安とされる「三役直近3場所で計33勝」を上回る34勝目。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部が千秋楽の22日に臨時会議を開くことを決め、大の里の大関昇進が事実上、決定した。
大の里はちょんまげ姿で、今年春場所に史上初のちょんまげVを果たした尊富士を上回る2度目の優勝。
前例のないちょんまげ大関となる見込みだが、二所ノ関部屋関係者によると、来場所には大銀杏(おおいちょう)を結える可能性があるという。
そのため、10月1日から始まる秋巡業が、ちょんまげ大関と触れ合い、取組を見守る貴重な機会となりそうだ。
14日目、関脇霧島が高安との元大関対決を制して11勝目を挙げ、来場所以降の大関復帰に向けた貴重な1勝を挙げた。
霧島は優勝へ生き残りをかけた3敗同士の対戦を制したが、結びで大の里が勝ったため3度目の優勝はならなかった。
支度部屋を引き揚げる時はまだ優勝が決まっておらず、「残り1つあるのでしっかり取りたい」と話していた。
それでも11勝として、来場所以降の大関復帰への足固めにはつながった。
13日目に引退を発表し、年寄「湊川」を襲名した元大関の関脇貴景勝が21日、東京・両国国技館で引退会見を行った。
第一声は「燃え尽きました」。
土俵上とは違う柔和な表情で、わずかに笑みを浮かべながら話した。
「小学校3年生から相撲をやって、横綱になることだけを夢見てきました。横綱を目指す体力と気力がなくなったので引退しました」。
そう続けた時は、涙をこらえているように見えた。
信念は「勝っておごらず、負けて腐らず」。
これから親方として後進の指導にあたる。
「武士道精神を持った、今の時代には不向きかもしれませんが、根性と気合を持った力士を育てていきたいです」。
14日目、若元春はおっつけてから左を差すと、じっくりと右で上手も引き、力強く琴勝峰を寄り倒した。
1月の初場所以来となる2桁白星。
三役復帰へ前進したが、「現状に満足していたら、番付はどんどん落ちる」と浮かれた様子はない。
遅咲きの30歳は「まだまだ相撲人生は半ば。成長しないといけない」と自らに誓った。
14日目、若隆景が大栄翔を寄り倒して11勝目を挙げた。
兄の若元春も琴勝峰を寄り倒し、10勝目。
「大波3兄弟」の次男、三男がそろって2桁勝利となるのは、2年前の秋場所以来だ。
「下から前にという意識でした。自分らしいいい相撲が取れました」と若隆景。
千秋楽の高安戦には初優勝した一昨年春場所以来となる幕内での12勝目が懸かる。
「最後まで自分らしい下からの攻めをしていきたい」と意気込んだ。
14日目、平幕錦木が立ち合いから王鵬を圧倒し、幕内で初の11勝目。
「どう頑張っても10番しか勝てなかった」と自己記録更新を喜んだ。
大の里の結果次第では、千秋楽で大の里との対戦が組まれる可能性もあった。
優勝を懸けた一番を体験することはできなかったが、初日から8連敗した名古屋場所の悔しさは晴らすことができた。
14日目、尊富士は勝てば優勝だった嘉陽との一番は寄り倒しで完敗。
しかし、3敗で追っていた千代翔馬が敗れ、今年初場所以来2度目の十両優勝を決めた。
「思った立ち合いじゃなかった。立ち合いがうまく合わなかった」と反省し、「ま、明日ですね。いい相撲をとりたい」と切り替えた。
今年初場所で十両優勝、続く春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その後はけがで夏場所を全休、名古屋場所は途中出場も左大胸筋の負傷で2連勝後に休場した。
4場所ぶりの皆勤で実力は示した。
2024/09/21
13日目、琴櫻は大の里に屈して6敗目を喫し、昨年九州場所からの連続2桁勝利が5場所で途切れた。
7勝目を挙げてから3連敗で、大関昇進後は初となる負け越しも頭をよぎる苦境。
支度部屋では険しい表情を崩さず、質問を手で制して受け付けなかった。
最初の一番は左上手を引いて攻めきれず、押し込まれて土俵際で同体に持ち込むのが精いっぱい。
取り直しは寄りにあっさりと土俵を割る完敗で、粂川審判長も「根(気)がない」と手厳しかった。
13日目、大の里が大きな大きな自己最多タイの12勝目をつかんだ。
琴桜に挑戦した結びは土俵際でもつれて、軍配は大関に。
しかし、物言いの末、同体となって生き残った。
取り直しでは、右差し&左おっつけの今場所必勝パターンで寄り切り。
大関昇進の目安となる三役での直近3場所で合計33勝を積み上げ、勝てば2度目の優勝という状況まで自力でたどり着いた。
「勝ちはないと思った。よくて、もう一丁と」と正直に打ち明け、土俵下の自身を振り返った。
前日の初黒星のショックはなかった。
「後半は気持ちだと思っている。負けて、より一層集中できた。気持ちを切らさず、土俵下で待っていた。(取り直しは)落ち着いてましたね」と振り返った。
13日目、霧島が豊昇龍の切り返しで豪快に転がされ3敗目。
トップの大の里に再び2差をつけられて、優勝争いから後退した。
今場所は春から抱えていた首の痛みに悩まされることなくいい流れでここまできていたが、最終盤で痛恨の黒星。
「まぁ、残りしっかり相撲を取っていく」と淡々と話していた。
日本相撲協会は20日、元大関で幕内優勝4回の関脇・貴景勝が現役引退し、年寄「湊川」を襲名したと発表した。
協会の理事会で承認された。
21日に東京・両国国技館で引退の記者会見を行う。
引退届を提出した師匠の常盤山親方は20日、「18日夜に貴景勝が部屋に来て、引退の意向を伝えてきた。(貴景勝には)『よくやった』と伝えたい」と報道陣の取材に答えた。
13日目、小結・大栄翔が2敗の前頭15枚目・高安を下して8勝目を挙げ、3場所連続の勝ち越しを決めた。
高安のもろ手突きからの突っ張りに対し、下からあてがいながら突き返して一気に前に出て押し出し。
優勝争いに名を連ねる好調力士を圧倒し「前に攻める相撲が取れた。突き押しでここまでやってきたので、負けたくない気持ちがあった」と会心の内容に充実感を示した。
13日目、若隆景が白星を2桁に乗せた。
低く当たって欧勝馬を押し込み、タイミングのいい引き落とし。
「先に攻められたのはよかった」と淡々と振り返った。
幕内に復帰した先場所も11勝。
力強い取り口からは、右膝の大けがからの復調ぶりを感じさせる。
「一生懸命、少しでも自分の相撲を取ろうとしている」と思いを述べた。
13日目、またも鉄人記録だ!
明生に押し出しで敗れ7敗目を喫した玉鷲だが、この日の土俵で、過去5人しか到達していない幕内連続出場1000回の大台に乗せた。
今場所は通算連続出場記録で歴代トップに立つなど、「鉄人」ぶりを発揮している。
幕内連続出場の1000回以上は<1>高見山1231回、<2>巨砲1170回、<3>黒姫山1065回、<4>寺尾1063回、<5>長谷川1024回で、歴代6位が玉鷲の1000回となっている。
右膝関節炎のため11日目から休場していた東前頭13枚目の北勝富士の再出場が20日、決まった。
14日目の21日に竜電戦が組まれた。
13日目、西前頭13枚目・錦木が、小結・平戸海をはたき込んで、10勝目を挙げた。
7場所ぶりとなる2桁白星に「勝ち越せないと十両に落ちると思っていました。2桁勝てるとは。あとは無理をせずに、ケガをしないようにがんばりたいです」と振り返った。
この日は、米大リーグのドジャース・大谷翔平が史上初となる51本塁打、51盗塁の快挙を達成。
同じ岩手県出身のアスリートの活躍に「やばいですね。僕はお酒と相撲の二刀流です」と笑顔で語った。
13日目、高安が3敗目を喫し、自力優勝の可能性が消えた。
もろ手から攻めたが、大栄翔の圧力に後退。
思わずはたいてしまい、土俵を割った。
「前に出られなかった」。
さばさばと言った。
休場明けの今場所は日を追うごとに調子を上げ、優勝争いに加わった元大関。
「しょうがない。あしたに向けてベストを尽くす」と誓った。
13日目、東前頭16枚目の白熊が休場した。
日本相撲協会に「外傷性足関節症にて3週間の安静加療が必要」との診断書を提出した。
休場は春場所以来2度目。
12日目の狼雅戦で寄り切られて4勝8敗となり、負け越しが決定。
取組後は左足首を気にするそぶりを見せ、足を引きずるように引き揚げていた。
今場所が新入幕だったが、幕内残留は厳しくなった。
13日目の対戦相手、宝富士(伊勢ケ浜)は不戦勝となった。
今場所の十両以上の休場者は、再出場する剣翔(追手風)を含めて11人目。
13日目、1敗で十両単独首位の尊富士が獅司を下して12勝目を挙げ、4場所ぶり2度目の十両優勝に王手をかけた。
立ち合い鋭く踏み込んで強烈な右おっつけで一気に前に出て、そのまま右から押し倒すように突き落としを決めた。
相手に何もさせず、一丁押しのような一方的な攻めで圧勝。
「集中していた。自分の相撲を取るだけだった」と力の違いを見せた。
2024/09/20
12日目、琴櫻は元大関の関脇・霧島との一番。
2度目で立ち合いが成立したが、右差しと左上手を許した。
土俵際で投げの打ち合いになったが、相手の上手投げに屈した。
勝ち越しに王手をかけてから連敗で5敗目。
支度部屋では「切り替えます」と言葉少なだった。
12日目、大関豊昇龍は関脇阿炎に寄り倒しで敗れ、6敗目を喫した。
立ち合い、阿炎の変化に対応できず前のめりに。
一気に形成不利となり、土俵際で寄り倒された。
最後はたたき付けられるような格好となり、土俵で仰向けに。
痛恨の一敗で、6勝6敗となった。
取組後、豊昇龍は「まさか変化とは。ちょっと気合い入り過ぎちゃった。ほんとに頭になかった。勉強になりました。笑うしかない」と苦笑い。
残り3日となり、「しっかり集中してやりたい」と前を向いた。
12日目、関脇大の里は元関脇若隆景に寄り切られ、初黒星を喫した。
大関昇進の目安となる直近3場所の通算33勝まであと1勝とする中、連勝が11で止まった。
立ち合いのもろ手突きから前に出た大の里。
一気に寄り立てた土俵際で若隆景に体を入れ替えられて逆転負けを喫した。
支度部屋では「攻めの甘さが出た」と反省を口にした。
優勝争いは1敗の大の里を2敗の霧島、高安が追う展開。
13日目は大関琴桜との取組が組まれた。
12日目、霧島は過去の対戦で10勝3敗の琴桜を破り2敗を守った。
右四つで寄り立て、土俵際での投げの打ち合いを制し「大関に戻りたい気持ちが強く、今までやってきたことを一から見直してきた」とうなずいた。
大の里とは10日目の直接対決で敗れ、自力優勝の可能性はない。
残りを全勝して3度目の賜杯へ望みをつなぎたい。
「優勝争いは久しぶり。次の一番に集中する」と引き締まった表情で話した。
12日目、王鵬が自己最高位の西前頭2枚目で勝ち越しを決めた。
熱海富士との一番。
左をおっつけてから差し、右もねじ込む。
後退しながらも土俵際で肩透かしを決め、「しっかり我慢できた」と納得顔だった。
今場所は2大関を撃破するなど、存在感が増している。
2場所連続で給金を直し、新三役へ前進した24歳。
「しっかり集中していけたらいい」と気合を入れ直した。
12日目、東前頭4枚目・正代が、西前頭筆頭・翔猿を押し出して、2場所連続での勝ち越しを決めた。
今場所は上位総当たりの番付だったが「上位戦では力負けして、その先ズルズルいきそうだったが、切り替えてできたので良かった」と振り返った。
支度部屋では大関取りに挑んでいる大の里の一番を見届け、プレッシャーのかかる心中を推し量った。
続けて自身が大関として在位した20年11月場所から22年九州場所までを回顧し、「失った2年間。でも、いい経験だった」と、周囲からの重圧と戦った2年間を振り返った。
12日目、平幕若隆景が全勝だった関脇大の里を止めた。
土俵際で執念を見せて寄り切り9勝目。
右膝手術からの復活を感じさせる相撲でトップに2差とし、優勝の可能性も残した。
この粘りこそが真骨頂だ。
初優勝した22年春場所、高安との優勝決定戦をほうふつとさせる下半身の粘り。
支度部屋のモニターで見守った兄の若元春も「差せ!いけいけ!残せ!」と絶叫した。
持ち味を存分に発揮した白星。
若隆景は「何とか残せてよかったかな。
俵の中にいる限り、諦めることはない。
最後まで一生懸命、相撲をとれてよかった」と、納得の表情を見せた。
12日目、平幕・宇良が平幕・遠藤との勝ち越しがかかった力士同士の対戦を寄り切りで制し、9日目からの4連勝で勝ち越した。
宇良の勝ち越しは、新三役昇進を決めた昨年九州場所以来5場所ぶり。
西小結につけた今年初場所以降、連続6勝。
西前頭4枚目だった夏場所は初日から6連勝後、8連敗を喫して負け越すなど苦しい土俵が続いていた。
12日目、苦しい幕内デビュー場所が続いている西前頭14枚目の阿武剋が、ベテラン玉鷲と対戦。
立ち合いから突き放しかけたが、すぐに逆襲の突きを受けると徐々に後退。
たまらず右から引いてしまい、相手を呼び込んでしまうと、そのまま後退し押し出された。
序盤の5日間を1勝4敗と苦しみ、中盤戦は一進一退の星取りで進んだが、前日の新入幕同士の一番で白熊に敗れ7敗目。
崖っぷちの状況で迎えたこの日だったが、負け越しが決まってしまった。
場所は残り3日。
幕尻までは下に2枚半の番付があり、残る土俵に幕内残留をかける。
12日目、高安が厳しい攻めで2敗を守った。
回転の良い突っ張りで平戸海を懐には入れさせない。
相手がたまらず引いたところで一気に前に出て、「落ち着いて、よく見て相撲が取れた」と納得の表情を浮かべた。
休場明けの今場所。
序盤戦は取りこぼしもあったが、「どんどん体が動くようになってきた。尻上がりに良くなっている」と声は明るい。
賜杯争いの終盤で失速する苦い経験を重ねてきた元大関は「伸び伸びやって、お客さんに喜んでもらえるようにしたい」と話した。
12日目、西前頭15枚目・宝富士が勝ち越しを決めた。
西十両2枚目・獅司に攻め込まれたが、粘って得意の左をのぞかせると、いなして崩して右上手もつかんで寄り倒した。
給金直しのNHKインタビューでは「ホッとしました。最後まで諦めずに攻めようと思ったので、最後はがむしゃらに出て、それが良かったですね」と安どの表情を浮かべた。
12日目、東前頭16枚目で新入幕の白熊が4勝7敗の崖っぷちで迎えたこの日、狼雅と対戦。
一度は右四つ、左上手も引いて胸を合わす体勢になったが、その上手を切られ劣勢に。
十分に体勢を整えた狼雅に、両まわしをがっちり引かれて寄り切られた。
5日目から5連敗を喫した後、連勝で盛り返したが、これで負け越しが決定。
これで4勝8敗となったが、場所は残り3日ある。
幕尻までは下に1枚の番付があり、1つでも多く白星を重ね幕内残留を決めたいところだ。
12日目、春場所で新入幕優勝の十両尊富士が十両千代翔馬を寄り切って11勝目(1敗)を挙げた。
10日目は十両東白龍にはたき込まれて初黒星を喫し、11日目は対戦相手が休場したため不戦勝となっていた。
この日の取組後に、尊富士は「慌てて前回(10日目)負けたので、修正しながら慌てずに取りました」と納得の表情を浮かべた。
十両の優勝争いでは、唯一の2敗だった千代翔馬に土をつけ、早ければ明日の13日目に尊富士の優勝が決まる。
このまま白星を積み重ねれば、来場所での幕内復帰も視界に入る。
「十両優勝? そんなに意識はしていないし、15日間取りきるだけ。自分の取組でしっかり戦う。幕内復帰? そう思わないと、勝ち星は挙がっていかない。そういう意識でやっていく」と、返り入幕へ闘志を燃やした。
2024/09/19
11日目、琴桜と豊昇龍の両大関がともに黒星を喫した。
琴桜は小結・大栄翔に押し出されて痛恨の4敗目。
初優勝に向けては極めて厳しい状況となった。
温厚な琴桜にしては珍しく支度部屋の風呂場で絶叫し、悔しさをあらわにした。
報道陣の問いかけには「すいません…」とだけ話し、険しい表情で宙を見つめた。
一方の豊昇龍は東前頭5枚目・宇良に送り出されて5敗目。
2度目のVの可能性は消滅した。
支度部屋での取材には応じなかった。
関脇・大の里が無傷11連勝で大関取りにまい進する中、両大関が優勝争いの蚊帳の外に追いやられる結果となった。
11日目、単独トップの関脇大の里が、物言いがついた琴勝峰との一番を制して全勝を守った。
大関昇進の目安とされる「三役での3場所合計33勝」へ、あと1勝と迫った。
どこまでも前へ前へ。
勢いは止まらない。
大の里が右を差して突っ込み、引いた琴勝峰へ左腕を伸ばして一押しの直後、腹ばいになった。
物言いはあくまで確認。
相手の左足が先に土俵を割っており、引き締まった表情で軍配通りの勝ち名乗りを受けた。
11連勝で単独トップを守った。
支度部屋で積み上げた白星についての質問が飛ぶと、珍しくさえぎった。
「いやいや、気にしていない。一日一番、集中して頑張ります」。
節目で手綱を緩めるつもりはない。
11日目、東関脇の霧島が、変化して敗れた前日を反省し、前に出る意識で勝利をつかんだ。
「昨日は良くない立ち合いをしたので、まっすぐ行こうという気持ちだった」。
動きのある攻防となったが、最後は阿炎をはたき込んだ。
大の里から2差を確保。
「まだ残りはたくさんある。次の場所にもつながる相撲を取りたい」と意気込んだ。
11日目、宇良が押し相撲で豊昇龍を圧倒した。
大関の突き押しにも低い姿勢を保ち、左からの強烈なはず押しで横を向かせて一気に送り出し。
取組内容については「分からない」などとけむに巻いたが、表情には充実感が見て取れた。
2大関を撃破。
9日目の琴桜戦でも、真っすぐ押して白星を手にしていた。
多彩な技も魅力の一つだが、八角理事長(元横綱北勝海)は「宇良は重かった。いいはず押しだった」と褒めた。
11日目、西前頭9枚目の欧勝馬が明生を破って勝ち越しを決めた。
3敗勢で唯一白星を挙げ、数字上では優勝争いにも残った。
今場所初めて幕内後半戦の土俵に登場して明生と対戦。
立ち合い当たりながら左へ動き、右四つに組み止めて前に出ながら左上手投げを決めた。
新入幕だった夏場所に続き、11日目で早くも勝ち越し。
「8番では(番付が)そんなに上がらないのであと2番、できれば4番勝ちたい」とさらなる星の上積みを見据えた。
11日目、東前頭13枚目、北勝富士が、秋場所11日目の18日から休場した。
10日目を終えて6勝4敗で、日本相撲協会に「右膝関節炎」との診断書を提出した。
11日目の対戦相手、玉鷲は不戦勝。
11日目、平幕の錦木が、若隆景との2敗対決を制して9勝目を挙げた。
幕内では4戦全敗だった相手に「あれしかないです」と、土俵際に追い込まれながらも右からの小手投げで逆転した。
先頭の大の里を2差で追うが「別にトップを走ってるわけじゃない。大の里はめちゃくちゃ強いし。一番一番、積み上げていく」と平常心を強調した。
11日目、苦しい土俵が続いている新入幕コンビが、この日の土俵で直接対決。
東前頭16枚目で7敗を喫している白熊が、西前頭14枚目の阿武剋を寄り切って、踏みとどまった。
立ち合いは阿武剋が踏み込み勝ちしたように見えたが、得意でない左を差した白熊が、かいなを返しながら、右はおっつけるように攻め立て、あおるように寄り切った。
日体大で1学年上の白熊が、先輩としてのメンツを保った一番。
両者とも4勝7敗と苦しい土俵が続く中、幕内残留、そして残り全勝での勝ち越しを目指す。
11日目、高安が遠藤との実力者対決を突き出しで制し9勝目を挙げた。
まわしを取らせるとうるさい相撲巧者を突っ張りで一蹴。
「一方的に攻められたので良かった」と笑顔を見せた。
2敗を守って優勝戦線に踏みとどまった34歳の大関経験者。
「意識しても優勝できないので。なるようになる。その日の相撲でベストを尽くしていい相撲を取れたら」と無欲を強調した。
11日目、西前頭15枚目の宝富士が武将山を破り、幕内残留が確実となる7勝目を挙げた。
得意の左を一瞬のぞかせて振りほどかれると、今度は差し手にこだわらず突き放してどんどん前に出て押し出し。
「引いたらいつもついてこられるので」と積極的に前に出る意識で快勝した。
11日目、春場所で新入幕優勝を果たして以来3場所ぶりに初日から出場している西十両11枚目の元幕内・尊富士が10勝目を挙げた。
対戦相手の島津海がこの日から休場。
入門以来初めての不戦勝に「そういう日もあるんじゃないですか」と苦笑いしていた。
取組前の支度部屋では終始リラックスした様子。
初黒星の翌日は良い休養になったようだ。
2024/09/18
10日目、横綱が休場する中、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、豪ノ山を寄り切りで破り、勝ち越しに王手をかける7勝目を挙げた。
立ち合いから突き放して出た大関だが、差し手を払うように嫌われると、ハズ押しで一気に出られた。
気が付けば土俵際まで攻め込まれたが、瞬時に入った右の下手が命綱になった。
体勢を整え、まわしを引きながら逆襲の寄り。
追い詰められたのとは反対側の土俵へ豪ノ山を寄り切った。
10日目、大関・豊昇龍が西前頭4枚目の琴勝峰を下して6勝目を挙げた。
琴勝峰の突っ張りに対して押し返して応戦し、一度左からいなされて泳いだ場面もあったがすぐに体勢を立て直して攻め返して押し倒し。
「しっかり見ながら攻めていけた。はたいて来るのは頭にあった」と動きの良さを見せた。
これで7日目から4連勝。
押して前に出る相撲が増え、調子を上げてきた。
10日目、星の差1つで追っていた大関経験者に奇襲を選ばせた事実が、その地位に値する地力の一番の証明になった。
大の里が、立ち合いで左に変化した霧島を難なく捕まえ、右差しと左おっつけの必勝パターンから寄り切って10連勝。
天王山をあっさり乗り越え、リードを2差に広げた。
「落ち着いて対応できた。しっかり集中できた」。
大関昇進の目安とされる「三役での直近3場所で合計33勝」まであと2勝としても、落ち着き払っていた。
土俵下で一番を見守った師匠の二所ノ関親方は「(霧島が)毎日、いい立ち合いをしていたので、どうかと思ったけど消極的にきてくれた。霧島の作戦負け」。
単独トップの弟子を満足させるつもりはない。
それでも、迷いない攻めへの集中力について「そこだけは良かった」とうなずいた。
10日目、霧島が2敗目を喫し、優勝争いから後退した。
立ち合いで左へ動いて左上手を取ったが、右差しと左おっつけの大の里に一方的に寄り切られた。
「立ち合いが全くダメだった。全然思った通りにいかなかった。立ち合いで変わるつもりはなかった」と完敗に反省しきり。
ふがいない元大関に八角理事長は「恥ずかしいし、格好悪い。こんな相撲を取るようではこれから先、大の里に勝てない」と、あきれ顔だった。
頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアで秋場所3日目から休場中の関脇貴景勝の今後の進退について、師匠の常盤山親方が17日、今場所中に結論を出す見通しを示した。
「どちらにしろ、場所中には決めたい。近いうちに結論が出ると思う」と言及した。
貴景勝はかど番の先場所で5勝10敗に終わり、通算30場所在位した大関から転落。
今場所は1場所で大関に復帰できる10勝以上を目指したが、初日から万全には程遠かった。
慢性的な首の痛みに悩まされ、今年は5場所で勝ち越し1度、休場は4度と苦境にあえいでいる。
10日目、優勝経験者の若隆景が、遠藤との2敗対決を制し、幕内復帰から2場所連続の勝ち越し。
立ち合いで低く当たってから突き落とす内容に「あまり良くなかったけど、体が動いてくれた」。
2敗の平幕では番付最上位で、上位戦が組まれる可能性もあるが「勝ち越しに気を抜くことなく、集中したい。しっかり下から攻める相撲を取りたい」と最後まで口調は落ち着いていた。
10日目、錦木が前に出る相撲を貫いて輝を押し出した。
4場所ぶりの勝ち越しを10日目に決め「気が楽になった。番付が落ちることもないし、十両にも落ちないし」と上機嫌。
11日目は同じ2敗の若隆景と対戦。幕内では4戦すべて敗れている相手だけに「明日勝てれば、調子に乗れるかもしれない」。
苦手を克服し、さらなる上昇気流に乗る構えだ。
10日目、苦しい幕内デビュー場所が続いている西前頭14枚目の阿武剋が、連敗回避の4勝目を挙げた。
金峰山に、もろ手で突き放されたが、左四つから右もこじ入れ、最後は右のまわしを離しながら慎重に寄り切った。
1勝4敗の6日目からは白星と黒星が交互に並ぶ、いわゆる「ぬけぬけ」の状態が続く。
連勝はないが連敗もなし。
どこかで、この規則性を打破し、連勝で波に乗りたいところ。
そのチャンスの11日目は、新入幕同士の白熊と対戦する。
10日目、大関経験者の高安が休場明けで3場所ぶりに給金を直した。
自身の左腕を手繰ってきた錦富士の動きに対応し、圧力をかけて押し出し。
「回り込まれたが、しっかりついていけた。気持ちを引き締めて臨んだ」と振り返った。
場所前はけがの影響で満足に稽古を積めなかったそうだが、2敗を堅持し優勝争いにも絡む。
「勝ち越してほっとした気持ちもある。あとはけがをしないようにやりたい」と足元を見詰めた。
10日目、西十両11枚目の尊富士が、今場所初黒星を喫した。
東10枚目の東白龍にはたきこみで敗れ、初日からの連勝は9で止まった。
立ち合いで相手に変化された。
それ自体は「一応、頭に入っていた」と振り返ったが、さらにはたかれ、手をついた。
不戦敗を除けば、新入幕優勝を遂げた今年の春場所14日目以来の黒星。
「勝ち負けのスポーツなので、負けは負け」と受け止めた。
それでも優勝の可能性はまだ残る。
「(残り)5日あるので修正したい。しっかり次の相手に準備するだけ」と気持ちを切り替えた。
2024/09/17
9日目、土俵下に飛び出した琴櫻が呆然とした表情を浮かべた。
全勝の大の里の背中がかすむ、痛すぎる3敗目だ。
得意の右を差すでもなく、前に出るでもなく、様子をうかがうように宇良の当たりを受けると、頭一つ低い相手にじりじり押されて土俵際。
覆いかぶさるような体勢から、わずかに引く動きを見せた次の瞬間、下から押し上げられ、腰が伸びて土俵を割った。
珍しく真っすぐ押し出されてしまった大関について、土俵下の九重審判長は「宇良は目いっぱい押してはいない。相手に引かせるように徐々に押していった。もったいない。『どうしたの?』と聞きたい」と驚きを隠さなかった。
9日目、大関豊昇龍が合口の良い平戸海の壁となり、3連勝で今場所初めて白星を先行させた。
もろ手突きの立ち合いから、即座に相手の左腕を手繰って体勢を入れ替え、隙を見て右を差した。
さらに腕を返してすくい投げで快勝。
平戸海との対戦成績を5戦全勝とした。
「攻めたのはよかった。寄りたかったけど(腕を)返したら投げになった。気合を入れていった」と胸を張った。
大の里の天敵で土俵では3戦全勝だけに「当たるのを待ってます」と手ぐすね。先場所は不戦敗も「負けは負けだから」と、勝手に雪辱の思いを加味していた。
9日目、大関とりの期待がかかる大の里は、一方的に若元春を寄り倒して全勝をキープ。
差し手争いで後手に回って敗れた先場所の反省も生かし、距離を取って攻め立てて「体が動いてくれてよかった」とうなずいた。
10日目は、ただ一人の1敗霧島との関脇対決。
勝てば賜杯にぐっと近づくが「一日一番、千秋楽まで目の前の相手に集中するだけ」と冷静だった。
9日目、関脇霧島が、優勝争いを盛り上げる。
平幕西前頭5枚目の湘南乃海を寄り切って1敗をキープ。
自己最速の9日目での勝ち越しを決めた。
唯一の1敗力士は、全勝で単独トップの大の里と10日目に激突する。
首痛で大関陥落も、痛みが癒えて本領発揮。
ボクシング井上尚弥が所属する大橋ジムの大橋秀行会長(59)から授かった金言も胸に、序盤から白星を並べて勢いを増していく。
自分より45キロ重い相手を圧倒した。
大関経験者の霧島が、190キロの湘南乃海を下して勝ち越し。
立ち合いで左を軽く差し、右前まわしも取って十分な体勢をつくると、反撃の余地を与えなかった。
初対戦とはいえ、巡業や稽古では胸を合わせたことがあった。
「重いし、あまり長く取りたくない」。イメージ通り、一気にけりをつけた。
9日目、東前頭5枚目の宇良が、大関琴桜を押し出す殊勲の“銀星”を挙げた。
下から突き起こすような押しで大関をズルズルと後退させた。
東土俵に押し込み、さらに琴桜の引く動きにつけ込み、そのまま押し出した。
対戦成績で、ここまで3勝6敗で連敗中だったが、執念の押しの一手で5勝4敗と、再び白星を先行させた。
大関戦勝利は、1場所3勝した今年3月の春場所(初日=豊昇龍、3日目=霧島、5日目=琴ノ若)以来、3場所ぶり。
取組後、NHKのインタビューに呼ばれた宇良は、大歓声を受けての一番に「気持ちで負けないように頑張りました」とし、励みになることは?という問いに「お客さんの声援です」と返答。
10日目以降については「一生懸命、頑張ります」と短く答えて引き揚げた。
9日目、1分半近い熱戦への大歓声と拍手の中心で、若隆景が翠富士を土俵下まではじき飛ばした。
立ち合いで右を差して小兵のの動きを封じ、圧力を掛け続けてもろ差し。
切れ目ない攻めで完全復活の気配を感じさせる寄り切りで、2敗を守った。
「根負けしないように、最後まで集中してやるだけだった」と淡々。
相手の必殺の肩透かしも封じて「止まった時点で頭に入れ、下から(攻める)という意識でいけた」と振り返った。
9日目、東前頭8枚目の遠藤は西前頭6枚目の豪ノ山を下し、再入幕から2場所連続となる勝ち越しに王手をかけた。
西前頭11枚目の輝は西前頭16枚目の北の若に敗れ、7連敗で負け越しが決まった。
遠藤は立ち合いで左に変化。
豪ノ山を難なくはたき込み、「プランの中の一つとしてあった」と明かした。
4連勝と波に乗ってきており、「しっかりと相撲を取れるように準備する」と語った。
9日目、元大関で東前頭15枚目高安は北勝富士をはたき込み、5連勝で7勝目を挙げた。
「おっつけられて、右のまわしが遠かった。なんとか(相手を)起こしてうまくさばけた」
すぐに左を差したが、相手の強烈な右おっつけに後退。
右上手も切れた。土俵際で回り込みながら、右の喉輪で逆襲。
相手との距離が開いたところを左へ体を開いて、はたき込んだ。
9日目、西十両11枚目の尊富士が無傷の連勝を「9」に伸ばした。
西14枚目の欧勝海に何もさせない。
立ち合いもろ差しから、右を巻きかえられてもかまわず出て一気の出足で寄り切った。
「差さないと思ったけど、流れの中ですね。差しても喜ばず。うっちゃりとかあるんで落ち着いていきました」と会心の相撲を振り返った。
今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その場所で痛めた右足首のけがで夏場所を全休。
復帰に向けた稽古で左大胸筋を痛めて名古屋場所も初日から休場したが、8日目から出場。
2連勝後に再休場した。
番付を下げた今場所だが、力差を見せつける9連勝となった。
2024/09/16
8日目、琴櫻は連敗はせずに2敗を守った。
まわしを引けずとも、差し手争いで正代の体勢が崩れたところを見逃さなかった。
長い腕を伸ばし、土俵際で粘る元大関を押し出し。
「切り替えてやった。しっかり攻められた」と、7日目の若元春戦で喫した黒星を引きずらなかった。
大関在位4場所目。
初めての賜杯を獲得するには、これ以上の取りこぼしは許されない。
大の里を2差で追い、「自分らしい相撲を取っていけば、星は上がってくる。しっかり辛抱してやっていきたい」と後半戦を見据えた。
8日目、西大関・豊昇龍は西前頭3枚目の若元春を破り4勝4敗と五分の星に戻した。
立ち合いで左差しで組み止めたが、右が取れない。
相手に寄られたが、土俵際で右からの首投げ。
捨て身の投げで星を五分にした。
8日目、関脇大の里が幕内御嶽海を力強く押し出して無傷の8連勝。
幕内で勝ち越し一番乗りを果たした取組後は「良かったです。一日一番、しっかり集中するだけ。まだ1週間ある。この1週間が大事。しっかり頑張りたい」と気持ちを引き締めた。
今場所の成績次第では大関昇進の可能性があるなか、角界内での評価もうなぎ上りだ。
大の里の師匠、二所ノ関親方の兄弟子にあたる西岩親方は「(今場所の大の里は)ヒザを曲げて相撲を取ることができているのと、左からのおっつけ。今までは馬力、パワーで相手を圧倒する相撲だったけど、一つずつ技術を身に付けて成長しているなと感じる」と分析する。
8日目、霧島は動きのいい宇良を冷静にさばいた。
「中に入ったら、うるさい相手」と突き放して距離を保つ。張り手を交えながらじっくり攻め、押し倒した。
「最後まで諦めずに前に出てよかった」と内容には納得の様子。
調子を上げながら無傷の大の里を1差で追って折り返し、「毎日、一番一番という感じ」。
大関経験者が自信をのぞかせた。
8日目、小結平戸海は連敗を2で止め、5勝目を挙げた。
先場所敗れた隆の勝に、何度も前まわしを取りに行ったがことごとく不発。
土俵際まで押し込まれた。
それでも体をのけぞらせて、相手の突きをかわすと逆襲。
スピードを生かして押し出した。
「内容は全然ダメだけど立ち合いは踏み込めた。体は動いているので、もっと攻めたい」。
大関とりの足固めへ、三役で2場所連続2桁白星に意欲をみせた。
8日目、成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里が幕内で、全勝なら幕内復帰が確実な西十両11枚目の尊富士が十両で、ともに唯一のストレート勝ち越しを決めた。
大の里は御嶽海を、尊富士は朝紅龍を、ともに押し出し。
大の里は5月の夏場所で所要7場所の史上最速優勝、尊富士は3月の春場所で110年ぶりの新入幕優勝と、歴史の扉を開いた。
次代を担う2人が幕内、十両と舞台は違うがそろって強さを示し、優勝争いを引っ張る。
2024/09/15
7日目、大関琴桜は横綱休場により、番付最上位として臨んでいる場所で手痛い2敗目を喫した。
若元春が得意とする左四つに持ち込まれ、胸が合う形となった後に上手が切れて後退。
土俵際で懸命に踏ん張るも、耐えきれなかった。
初優勝を目指す中でトップ大の里との差は2に広がり、「切り替えます」と声を絞り出した。
7日目、大関豊昇龍が“ダメ出し”を払拭する3勝目を挙げた。
正代に頭から鋭く当たり、右手で一押し。
相手が下がったところを追いかけ、両手で力強く押し出した。
礼儀正しく懸賞を受け取り、一礼して土俵を下りた。
二押しで決着をつける電車道に「思い切って自分らしい相撲を取れた」と喜んだ。
前日13日の結びの一番。
王鵬にすくい投げで転がされると、不満げな表情を見せ、一礼せずに土俵を下りた。
慌てた呼び出しに引き留められ、再び土俵に立って一礼した。
この日、師匠の立浪親方から怒られたことを明かし、「切り替えて頑張れ。しっかり礼をすればいい」と送り出されたという。
反省から、快勝にも「昨日のことは仕方ない。僕が悪い」と険しい表情。
「2度とそういうことはしないようにしたい」と約束した。
7日目、成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里が、幕内での自己最長を更新する7連勝を飾った。
取組前まで2連敗中だった小結平戸海を、一方的に寄り切る完勝。
同学年のライバルを破り、無傷で単独トップを守った。
今場所12勝で到達する「三役で3場所33勝」の大関昇進目安には残り5勝。
勢いが止まる気配はなく、いよいよカウントダウン突入だ。
7日目、元大関が元気だ。
もつれて土俵下まで吹っ飛んだのも、攻めの勢いがあったからこそ。
霧島が初顔の琴勝峰を寄り倒し、物言いがついたものの軍配通り。
前への意識が実り、1敗を死守した。
「きれいにやられたかなと思いましたね」と支度部屋で苦笑し、正直に打ち明けた。
受ける意識がなかったからこその結果。
「前に足が出てたんで、そこだけ良かった。後ろに下がるんじゃなく、最後まで諦めずに取って、次につながる相撲かなと思う」
7日目、平戸海が立ち合いのミスで大の里に一方的に敗れた。
「下に入ろうと思った」と、立ち合いで相手の両手をはじくような動きを見せた。
だが不発に終わり、右をねじ込まれて完敗。
「考え過ぎて当たれなかった。当たってないのでダメ」と、視線を落とした。
勝てば直接対決3連勝だったが、対戦成績は2勝2敗となった。
7日目、王鵬は2大関に続いて関脇阿炎も撃破。
自己最高位の西前頭2枚目で3連勝とし、白星を先行させた。
相手の引き技に落ちず、厳しい攻めをしのいで突き落とし。
「しっかり前に出ることができているので、白星が続いていると思う」と手応えを口にした。
顔面に相手の頭部が当たる場面もあり、勝負がついた後の土俵では少しよろけるようなしぐさを見せた。
右目は変色して腫れ上がり、支度部屋では、つらそうな表情で患部を冷やしていた。
7日目、東前頭3枚目・御嶽海は、東前頭5枚目・宇良に押し倒しで勝った。
宇良が引いた瞬間を逃さず一気に前に出て力強い相撲を見せた。
初日以来の白星を挙げ、連敗を5で止めた。
中日の15日は西関脇・大の里と対戦する。
過去6場所では1度顔を合わせ、御嶽海が押し出しで勝っている。
7日目、西前頭3枚目の若元春が、大関琴桜に圧勝で5勝目(2敗)をあげた。
立ち合いの鋭い踏み込みから主導権を握り、最近3連敗中だった大関に何もさせずに寄り切った。
「気持ちで負けないよう前に前に攻めることができた」
昨年初場所から8場所連続で三役の地位を守り続けた「次期大関候補」は、2場所連続負け越し。
出直しの場所で奮闘が続く。
「星数は考えていない。相撲内容も攻めているのが多い。自分らしい相撲をとっていきたい」。
力強く、存在感を示した。
7日目、錦木が通算連続出場1200回を記念星で飾った。
阿武剋に鋭い出足で左を差し、前に出て寄り倒し。
22年に部屋で新型コロナ感染者が出たことによる不戦敗を除くと、これで600勝600敗。
勝率5割での節目到達に「ちょうどいいね。なかなかいないでしょ。(星が)五分の人って」と驚きつつ喜んだ。
連続出場記録には「上には上がいる」と控えめ。
次の節目は700勝700敗、かと思いきや「あと200も相撲取らなきゃいけないの?」と困惑? 顔。
今場所5勝目で、早くも先場所の勝ち星に並んだ。
「形が悪くても前に出られている。勝ち先行で行きたい」と力を込めた。
7日目、初日から圧巻の6連勝で七日目を迎えた十両十一枚目・尊富士が、取組前に花道に登場。
土俵に向かうまでの風格と所作に「横綱級だ」「礼が素敵」などファンが感嘆する一コマがあった。
取組では無傷の7連勝を飾った尊富士が、倒れた相手力士を抱え起こすなどの気遣いも見せ「心技体」の強さを体現してみせた。
2024/09/14
6日目、大関琴櫻は御嶽海を寄り切って5勝目を挙げた。
手に取った金メダルの重みを思い出しながら、琴櫻が盤石の右四つで御嶽海を寄り切って1敗をキープした。
親交があり、NHKテレビ中継でゲスト解説を務めたパリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級金メダリストの日下尚(三恵海運)の前で、連敗せず、しっかり追走モードに入った。
3度の優勝を誇る元大関に先場所、際どい相撲で敗れていた。
しかし、今場所はしっかりやり返して、「落ち着いて取るのが一番。しっかり出し切ってつなげていくことが大事じゃないですか」と納得の表情。
「刺激をもらったんで」と日下への感謝も忘れなかった。
6日目、大関昇進の可能性がある関脇大の里は正代を押し出して、ただ一人全勝を守った。
大の里は元大関の正代を立ち合いのもろ手突きから押し出して、自己最長タイとなる6連勝を飾った。
NHKのテレビ中継で解説を務めたパリ五輪レスリング男子グレコローマンスタイル77キロ級金メダリストの日下尚も「化け物(のように)強い。技術うんぬんじゃなく、シンプルに強さにビビりました」と目を丸くしたほどの圧勝だった。
左からおっつけて、右を差すという文句なしの攻めにも、大の里本人は「一日一番集中するだけなので」。
今場所の定番フレーズを繰り返し、浮かれることはなかった。
6日目、西前頭2枚目の王鵬は大関豊昇龍をすくい投げを下して3勝目を挙げた。
王鵬は2日続けて結びで大関を破った。
豊昇龍を左からのすくい投げで豪快に土俵にたたき付け、星を五分に戻した。
相手の掛け投げの勢いを生かすような逆転だったが、「反応したというか、(投げを)待ってるくらいの気持ち」と落ち着きを強調した。
「昭和の大横綱」といわれる大鵬の孫。
「(結びで)気負うという感覚は分からないけど、みっともない相撲を取れない気持ちでいる」と頼もしかった。
6日目、三役経験者の幕内若元春が関脇阿炎を送り出して4勝目(2敗)。
取組後は「気合が入っていたし、しっかり立ち合いで当たれている」と納得の表情を浮かべた。
6日目、人気の前頭五枚目・宇良が、抜群の身体能力でフェイントを見せ、前頭六枚目・豪ノ山をはたき込みで下して4勝目を挙げた。
宇良のフェイントに、解説を務めた中村親方も感心した様子で「これ反応でやっていますからね」と述べ、お手上げといった様子で絶賛した。
互いに大阪府寝屋川市出身の同郷対決となった一番。
技巧の宇良に馬力の豪ノ山と、好対照な持ち味の両者。
これまでの対戦成績は4番取ってすべて宇良が勝っており、豪ノ山にとってはなんとか苦手意識を払拭したい相手でもある。
だが今回も宇良が一枚上手だった。
立ち合い低く当たった宇良に対し、突っ張って相手を中に入れさせない豪ノ山。
互角の突き押しでぶつかり合う激しい相撲となったが、繰り返し当たった次の瞬間、宇良がぶつかると見せかけてふっとかわし、相手を見失った豪ノ山は空を切って前のめりに突っ伏した。
見事なフェイントで勝利した宇良は4勝目。
6日目、西十両11枚目の尊富士が、無傷の6連勝を飾った。
関脇経験者、東13枚目の碧山との一番。
立ち合いに181キロの巨体でぶちかまされたが、尊富士は真っ向勝負。
うまく下からあてがいながら、1歩も下がることなく一直線に押し出した。
全く危なげない完勝だった。
今場所ファンの注目を集めていた“漆黒”の化粧まわしを大胆チェンジ。
「またかっこいい化粧まわししてる」「素敵すぎる」など、またも反響が相次いだ。
尊富士は今場所、化粧まわしでもファンの注目を集めている。
“漆黒”の化粧まわしは一見すると真っ黒だが、じつは八咫烏(やたがらす)が。
六日目の土俵入りでは心機一転、真っ赤な下地に眼光鋭い顔がデザインされた化粧まわしを着用。
これは地元・青森県五所川原市の立佞武多(たちねぷた)で、ファンからは「赤も似合う」「こっちも素敵」「配色渋い」「またかっこいい化粧まわししてる」と注目するコメントが相次いだ。
2024/09/13
5日目、全勝だった大関琴櫻は王鵬に寄り切られて初黒星。
5度目の対戦で初めて王鵬に敗れ、初日からの連勝がストップ。
立ち合いから攻め立てながら粘られて出足が止まり、最後は上体が起きて根負けしたように寄り切られた。
埼玉栄高の2学年後輩に苦杯をなめさせられ「切り替えていきます。集中するだけ」とだけコメント。
八角理事長は「(王鵬の)右の下手です。がっちり引いていた。琴桜は上手だけでは…」と攻めの厚みの差が勝敗の分かれ目とした。
5日目、豊昇龍は“リトル豊昇龍”との会話で連敗を脱出した。
相撲巧者の御嶽海に、立ち合いすぐに左を差すと、右上手も取って万全の寄り切り。
3日目は熱海富士、4日目は翔猿と、平幕に連敗しており「前に出る意識で『強い相撲を』と思っていた。切り替えて取ることができた」と胸を張った。
切り替え方法を問われると「自分自身と話した。『情けない!』『またか!』と」と、元サッカー日本代表の本田圭佑のような回答。
そんな内心の葛藤を経て「まあ、負けは負けだからね」と、取り戻した平常心を勝因に挙げていた。
5日目、関脇大の里が隆の勝を押し出し、初日から5連勝で単独トップに立った。
気負わず、足元を見つめながら取組に集中し、白星を重ねている。
土俵でも支度部屋でも、脇目も振らなかった。
大の里が見据えるのは、あくまで自分自身の土俵だけ。
立ち合いから圧力をかけ続け、万全の右差しから隆の勝を押し出し初日から5連勝とした後、支度部屋ではテレビの見えない位置で取材に応じ、着替えを済ませた。
単独トップに立った結びの決着の瞬間を見届けず、帰路に就いた。
5日目、小結・大栄翔が正代を下して2勝目を挙げた。
立ち合いから突き放せず正代の圧力に後退したが、相手の左腕を手繰りながら回り込んでとったり。
土俵際ギリギリ残り、物言いが付く際どい勝負を制した。
とったりでの白星は、初土俵から12年間で2度目という珍しい決まり手。
激しい突き押しが持ち味の大栄翔としては「攻める相撲を取りたいので、こういう相撲では…内容が悪い」と反省しきりだった。
5日目、小結・平戸海は、左のど輪で関脇・霧島の上体を起こすと、左に体を入れ替えて一気に押し出した。
「差されないようにしていた。取組内容は覚えてない」と語り、支度部屋では付け人と体の動きを何度も確認。
無心でつかんだ勝利だった。
場所前の荒汐部屋への出稽古では、霧島との三番稽古で1勝4敗と苦戦。
それでも「あの稽古が実になっている」と、元大関と肌を合わせた経験を生かした。
序盤を終えて4勝1敗。
先場所は新小結で10勝を挙げて大関取りの起点をつくり、秋も勢いは止まらない。
八角理事長は「今場所、2ケタ勝ったら大関取りだよ。次(九州場所)は地元だしね」と長崎出身の24歳に期待を寄せた。
5日目、ともに横綱の祖父を持つ2人の対決は、24歳の王鵬が5度目の挑戦にして初めて琴桜を破った。
「やっと勝てたという気持ちですね」としみじみと語った。しかも結びの一番に「気持ちいいですね。いい相撲を取ろうと思ってやってますね」と表情を緩めた。
差し手争いから琴桜に押し込まれると、王鵬は俵を伝って回り込んだが相手得意の右四つになった。
「止まってはいけないと思った」。
琴桜に分があったが体力負けしない王鵬は粘って残すと右下手を取り、左も差し込んで寄る。
根負けしたように土俵を割らせた。
高田川審判長は「王鵬の粘り勝ち。力がついている」と評価した。
5日目、正代は苦手の大栄翔に白星目前まで迫りながら、逆転で初黒星を喫した。
相手の突きを下からあてがい、引きに乗じて前に出た。
だが土俵際で左腕を手繰られて体勢を崩し、とったりで前のめりに倒れて連勝は4で止まった。
大栄翔戦は30度目で9勝21敗となった。「いい出足だったけど、合口の悪い相手だし焦った。もったいなかった」と、唇をかんだ。
それでも前に出る好内容に「流れとしては悪くない。切り替えたい」と、好調維持を口にした。
5日目、返り入幕から2場所目で東前頭7枚目の若隆景が、初日黒星スタートも、その後は4連勝と波に乗り、序盤の5日間を4勝1敗と好調キープだ。
機敏な動きで湘南乃海を揺さぶり、最後はタイミング良くはたき込んだ。
初顔合わせの一番でも「自分の相撲に集中」。
最後まで相手に流れを渡さず、「先に攻めることができた」と先手必勝を貫いた。
返り入幕から2場所目で東前頭7枚目。
初日こそ黒星を喫したが、その後は4連勝と勢いに乗る。
「まだまだ先は長い。気を引き締めてやっていきたい」。
幕内優勝経験者が、さらに白星を伸ばしていく。
5日目、西前頭15枚目の宝富士が錦木を破って4勝目を挙げた。
立ち合いすぐに左四つに組み合うと、右おっつけから右上手を取って寄り切り。
「自分の形で自分の相撲が取れた」と納得の内容だった。
初土俵からの通算連続出場1298回を記録。
元幕内・飛騨乃花を抜いて歴代単独10位に浮上した。
今場所中に通算連続出場の最多記録を塗り替え歴代1位に君臨する玉鷲を引き合いに「10位はたいしたことない」と謙遜していたが、大卒に限れば1位の“金字塔”だと知ると「それはうれしいですね」と頬を緩めた。
学生時代もケガで大会を欠場したことがないという37歳。
「人生で一回も休場してないんですよ」と誇らしげに胸を張った。
5日目、大関経験者の高安が貫禄を示した。
新入幕の白熊の当たりを受け止め、攻めをしのいで左四つ。
豪快な上手投げで土俵にたたき付け、「辛抱して取った」と振り返った。
先場所は左胸のけがで2日目から休場し、東前頭15枚目まで番付を落とした今場所。
星一つ先行して序盤戦を終え、「これをきっかけに精進していく」。
冷静に先を見据えた。
5日目、西十両11枚目の尊富士が、連勝を5に伸ばした。
同8枚目の白鷹山から突っ張りを受けるも下がらず、もろ差しから寄り切った。
前日を終えた時点で生涯勝率88・2%(途中休場による不戦敗を除く)を誇り、相撲を取って負けたのはわずか10度。
その内の1敗を、幕下時代の昨年九州場所で白鷹山に許していた。
それでもこの日は、危なげない内容で勝利。直接対戦成績を2勝1敗とし、「落ち着いてやれた」とうなずいた。
2024/09/12
4日目、琴櫻は危なげない内容。
すぐに右を差し、過去5戦全勝だった熱海富士を問題にしなかった。
前日の翔猿戦は際どい勝負での白星だったが、この日は一気に前に出る内容で4連勝とした。
「いい相撲を取れた。目の前の一番一番に集中して、結果につなげるだけ」と先を見据えた。
4日目、豊昇龍は完全に翔猿の術中に、はまった。
翔猿がフワッと立つと豊昇龍も警戒して見て立った。
立ち合いでいろんなことをしてくる相手で、中に入れさせたくないという立ち合いだった。
見るなら見るでいいが、中途半端に出ていったところをまんまと翔猿にスカされた格好だった。
場所前の横審稽古総見ではいい稽古をしていたのに1勝3敗は意外だ。
毎日毎日うまく自分の相撲を取ることは難しいとはいえ、考えすぎてか気持ちと体の歯車が合わないようにも見える。
2日目の大栄翔戦はもろ差しから一気に寄り切っている。
あの相撲が取れるのだから、何とか気持ちを切り替えてほしい。
4日目、大の里が持ち前の圧力を発揮した。
大栄翔の突っ張りをあてがいながら前進。
のぞきかけた右を突きつけるようにして一気に押し出した。
初日からの4連勝にも「何も考えていない」と表情を変えずに言った。
初日こそ薄氷の勝利に見えたものの、徐々に本来の前に出る取り口が目立ってきた。
「一日一番、集中して頑張る」と繰り返し、成績次第で可能性がある大関昇進に向け、無心を強調しているようだった。
4日目、小結平戸海が会心の速攻を披露した。
低くて鋭い踏み込みから中に飛び込むと、王鵬に何もさせずに寄り倒し、「足も出ていた。久々にいい相撲」。納得の表情を浮かべた。
大関昇進の足固めとしたい場所で、内容も伴って3連勝。
動きの良さの要因を聞かれると、「立ち合いのことしか考えていない。あとは体に任せている」。
大きな手応えを感じている。
4日目、西前頭筆頭の翔猿が、前日3日目に逃した“銀星”をガッチリとつかんだ。
立ち合いで大関豊昇龍が、警戒心から踏み込まずに見てきたが、もろ手突きから押し込み、返す刀でタイミング良く引き落とし。
たまらず豊昇龍が左手をつき、2勝2敗と星を五分に戻した。
「攻め切れてよかった。自分のペースで取れた。切り替えというより『やるしかない』と思っていた」と、静かな口調で胸を張った。
4日目、初日からの4連勝は、初優勝も大関昇進も果たす前の2020年初場所以来。
4年ぶりの好発進ともなれば、自然と舌も滑らかになる。
「慣れないことはするもんじゃない。疲れますよ」と正代。
言葉とは裏腹に、笑顔に充実感がにじむ。
若元春に対して胸で当たり、ぐっと前に出る。
「このまま押し切っていいか迷ってしまった」。
土俵際から攻め返されたが、捨て身で放ったすくい投げで土俵にはわせた。
初日から目立つのが、持ち前の圧力。
足の運びも良く、内容が伴う白星が続く。
この日も「押し込んだから、後ろに(投げを)振り抜くスペースがつくれた。前に出られているのはいい流れ」と手応え十分。
師匠の時津風親方も「いい相撲が取れている。(10勝した)先場所から体が戻ってきた」と、力強さがよみがえりつつあると見る。
4日目、関脇経験者の東前頭7枚目・若隆景が軍配差し違えで3勝目(1敗)を手にした。
業師の宇良との一番。攻め込んだ若隆景だが、土俵際で逆転を食らったとして軍配は宇良に上がった。
しかし物言い。
協議の結果、攻防の過程で宇良の左足が俵を踏み越していたとして軍配差し違え。
若隆景が押し出しで白星をつかんだ。
前日3日目は琴桜−翔猿の微妙な一番に物言いがつかず。
この一番は行司差し違えとなった。
4日目、北の若の動きをよく見ながら前へと圧力をかけ続け、タイミング良くはたき込み。
37歳のベテランは14歳若い相手を元気な相撲で下した。
通算連続出場回数で歴代10傑入りしたことを宝富士は知らなかった。
取組後に報道陣から伝えられると、「10位は大したことない。1位(1632回の玉鷲)がいるんで、どうしてもかすんじゃう」と謙遜したが、立派な記録である。
初土俵以来、15年半に渡って休むことなく1297回も土俵に立ち続け、10位の飛騨乃花に並んだ。
4日目、春場所で新入幕優勝しながら故障で十両に転落した尊富士が初日から4連勝し、幕内返り咲きへ好発進した。
相撲どころの伝統を、重圧でなく力にしていく。
3場所ぶりに初日から土俵に立つ春場所Vの尊富士が、幕内経験者の友風の当たりをしっかり受け止めてから、右に動いて引き落として4連勝。
明治中期から141年間、幕内に名前を連ね続ける青森県出身力士の歴史を担うため、1場所でも早い幕内返り咲きへ突き進む。
2024/09/11
3日目、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、結びの一番で翔猿と対戦。
過去の対戦成績は9勝6敗ながら、最近は4連勝していた相手だが、土俵際でもつれた。
右四つで組み合う形で琴桜が押し込んだ西土俵。
翔猿が右から逆取ったりか、投げか微妙な動きだったが、すっぽ抜ける形となり、押し出そうとした琴桜も目標を失う形で、両者同時に土俵に落ちた。
軍配は琴櫻に上がったが、NHKの正面解説を務めた舞の海修平氏がスロー再生の後に「これは物言いをつけなければいけません」と話したほどの微妙な勝負だった。
だが物言いはつかず、敗れた翔猿も土俵に未練を残すような表情で退き、花道を引き揚げた後の通路で大声を発するほどだった。
3日目、大関豊昇龍が2敗目を喫した。
過去2勝3敗で直近2連敗中だった熱海富士と対戦。
鋭い立ち合いで右四つに組んだ大関が攻めたてた。
しかし残されて左上手を取られ、胸を合わされると体格差で寄り切られた。
初日は隆の勝に押し出された。
あっけない相撲に師匠の立浪親方は「お客さんをがっかりさせる相撲はいけない」と苦言。
前日に豊昇龍は「目が覚めた」と話していたが厳しい相撲となった。
横綱照ノ富士が休場で、番付最上位者として場所を引っ張っていく立場。
課題の序盤で黒星が先行した。
3日目、関脇大の里は西前頭2枚目の王鵬を寄り切り、初日から3連勝とした。
紙一重の勝利だった初日以降、取組を重ねるごとに内容は充実しており、この日も前に出る相撲で相手を圧倒。
「一日一番集中する」と充実した表情で語った。
大の里は勢いのある立ち合いで、一気に前進すると、引いた王鵬を3秒で寄り切った。
4日目は小結大栄翔との一番が組まれ、師匠の二所ノ関親方は「自分のペース、相撲を取っていけるかが大事だ」と話した。
3日目、かつての地位を目指す上で、勢いに乗っていけそうな白星になった。
霧島にとって隆の勝は、幕内での過去12戦で1勝しかしていない合口が悪い難敵。
「やり返す。勝っても、負けても勝負にいきたい」。
強い負けん気で臨んだ。
先場所は張って出たところを反撃された。
師匠の音羽山親方は過去の対戦から「(相手の)突きについていってしまう」ことで消極的になっていたと指摘。
まわしが取れれば勝機はあると見ていた中、突き押しをあてがって左で上手を引くと、すかさず投げて仕留める。
「やっと連敗を止めた」。
同じ過ちは繰り返さなかった。
3日目、平幕の熱海富士が大関豊昇龍を寄り切りで破り、今場所初勝利を挙げた。
土俵だけでなく支度部屋でも、活発な熱海富士が戻ってきた。
取材を断る日々が続いたが、今場所から付け人との反省会からの流れで、ぽつりぽつり。
豊昇龍の攻めをしのいで得意の右四つで寄り切った22歳初白星で、土俵上の気合満点の表情はファンを引きつける笑顔に変わった。
「勝ったんでよかった。でも、ちょっと攻めが遅かったかな」
2場所連続11勝での優勝次点から一転し、負け越した初場所後から、師匠の伊勢ケ浜親方の方針でテレビ以外の取材を受けなかった。
取材解禁のお達しは受けていない。
それを伝えた上で、大関撃破を振り返った。
3日目、大関経験者の正代が好調ぶりを示した。
過去4戦全敗だった湘南乃海との一番は力強く当たって左を差し、右からはおっつけて一気の攻め。
「迷わず出られた」と満足そうな表情を浮かべた。
初日からの3連勝は新大関として迎えた2020年11月場所以来。内容も伴っており、「前に出られていることが一番。余裕が生まれている」と手応え十分に言った。
3日目、玉鷲が38年ぶりとなる大記録の更新を白星で飾った。
初土俵からの通算連続出場を1631回に伸ばし、青葉城を抜いて歴代単独1位に。
かつて自身の付け人だった輝との一番は頭で当たり、強烈な突き押しに喉輪を交えて押し出し。
3日目での初勝利で大きな節目に花を添え、「前に出られてよかった」と笑顔を浮かべた。
歴代1位に並んだ前日よりも緊張感があったという。
幕内最年長の39歳は「うれしい。お客さんはもちろん、力士にも褒められたことがうれしい」と感慨に浸っていた。
3日目、新入幕の阿武剋が高安を破って幕内初白星を挙げた。
高安がもろ手突きから突っ張って左差し右上手と先手を取ったが、上手が切れたところで形勢逆転。
阿武剋が浅い右上手から出し投げで崩して頭をつけ、左で浅い下手も引き付けて万全の体勢を作って寄り切った。
連敗スタートから待望の幕内初白星。
しかも相手は大関経験者であり「学生の時からテレビで見ていた人なので、当たれてよかった」と感慨を込めた。
堂々の勝利だが「稽古場で10番やったら2〜3番しか勝てない。今日はたまたま運が良かっただけ。実力ではまだまだ自分が頑張らないといけない」と謙虚に話した。
3日目、西十両11枚目の尊富士が、横綱の助言も生かして3連勝とした。
アマチュア時代にも顔を合わせたことのある西10枚目藤青雲との対戦。
日大出身の自身に対して、相手は明大出身。
「学生のときからうまさのあるイメージ」という相手に、鋭い立ち合いから有利に運ぶ。
「ちょっと横に送られそうになった」際に右上手を切られたが、慌てることなく対処。
危なげなく押し出した。
2024/09/10
西関脇・貴景勝が、10日の秋場所3日目から休場した。
2場所連続の負け越しで大関から転落した貴景勝は今場所で10勝以上すれば大関に復帰できるが、首の痛みが癒えず、初日から2連敗していた。
2024/09/10
2日目、一気の出足で快勝だ。
出場する力士の中で、番付最上位として臨んでいる東大関の琴櫻が、東前頭筆頭の隆の勝と対戦。
先場所、12勝3敗の優勝同点で今場所も初日に大関豊昇龍を破った隆の勝の勢いを、立ち合いから吸収した。
巨体をぶつけるような強い当たりで、隆の勝の出足を止めると、二本がスッと入った。
休まず寄り立てると、隆の勝の体がフワッと浮く。
一度は残り腰を見せた隆の勝に対し、再び体勢を十分に整えた琴櫻が、すきなく寄り切った。
これで2連勝。まだ気の早い話だが、年間最多勝争いで46勝とし、やはり連勝発進の関脇大の里に1差をつけトップに立っている。
2日目、大関豊昇龍が完勝で初日を出した。
突き押し相撲の小結大栄翔と対戦。
低く鋭い立ち合いで右を差し、相手に間を与えない一気の出足で寄り切った。
砂かぶり席では応援してくれる「高須クリニック」の高須克弥院長が、パートナーの漫画家・西原理恵子さんと観戦していた。
その目の前で迎えた結びの一番。
しっかりと大関の責務を果たした。
2日目、大の里は冷静だった。
翔猿が突っ掛けた後の立ち合い。
足取りを狙ってきた相手を難なくかわすと、自身の正面に置くようにして圧力をかけ続けて突き出した。
「落ち着いて対応できた」と淡々と言った。
初日は物言いがつく際どい相撲で白星を拾っただけに「体もついてきて反応できた。よかったと思う」とまずまずの様子。
成績次第で大関昇進の可能性がある場所で2連勝発進し、「また集中して」と気合を入れ直した。
2日目、関脇・貴景勝は初日から2連敗となった。
立ち合いのあたりといなしで西前頭2枚目・王鵬の体勢を崩しかけたが、その後の攻め込む足が出ず。
左四つに組み止められると、力なく土俵を終わった。
取組後は「明日は明日なので、また準備する。自分としては精一杯やっていくだけ」と言葉少なく語った。
10勝すれば1場所での大関復帰となるが、苦しい序盤戦を強いられている。
八角理事長は「稽古をしていないから仕方がない。気持ちはあるけど、稽古をしてないから、そうそう甘いものではない。稽古をしないと重さが出ない。気持ちはまだ終わっていない。気力ですよ、気力。振り絞ってやっていますよ」と語った。
2日目、自己最高位で今場所に挑む王鵬が、3度目の対戦で大関経験者の貴景勝を破り初白星を挙げた。
過去2戦とも押し切られる形で2敗。
この日は貴景勝のいなしを土俵際で残すと、前に出ながら右上手をつかんで寄り切り。
2019年夏場所から翌年九州場所まで付け人をしていた埼玉栄高の3学年先輩へ、恩返しの白星となった。
2日目、返り入幕から2場所目で東前頭7枚目の若隆景に、初日が出た。
明生を相手に、当たった後、左からいなして相手の体勢を崩すと、欲しかった右の前まわしを瞬時につかんだ。
左もおっつけながら、一気に明生を向正面に運び寄り切った。
初日は美ノ海に、うまく取られ黒星発進だったが、2日目で白星を挙げた。
幕内優勝経験者で大関候補の呼び声も高かった若隆景が、さらに星を伸ばして上位かく乱をファンは期待している。
東前頭10枚目、玉鷲が秋場所2日目、初土俵からの通算連続出場が1630回となり歴代1位の元関脇・青葉城に並んだ。
モンゴル出身の玉鷲は2004年初場所初土俵で、08年秋場所に新入幕を果たした。
幕内在位は歴代9位タイの90場所。
幕内優勝は19年初場所と22年秋場所の2回で、殊勲賞2回、敢闘賞1回、技能賞1回を獲得している。
2日目、新入幕の阿武剋にとっては、ほろ苦い幕内連戦となった。
前日の初日は竜電に寄り切られ、心機一転で臨んだ、この日の宝富士。
警戒していた宝富士得意の左を封じるために、右を固めて立ったが、アッサリと左差しを許した。
自分も左を差したが、右の上手は遠いまま、宝富士には右上手を与える苦しい体勢に。
何とか左に回り込みながら、右を巻き替える動きも見せたが、ズルズルと後退するだけ。寄り切られて土俵を割った。
連敗スタートとなったが、土俵はまだ13日間、残されている。
気持ちを切り替えて3日目に臨む。
2日目、西十両11枚目の尊富士が、貫禄の2連勝を飾った。
初日の大青山に続いて新十両の木竜皇と対戦。
鋭い立ち合いで右を差し、左上手を取ると一気の出足で寄り切った。
初日の取組後に「相手は新十両。
負けじと元気な相撲をと思っていた」と話したが、その言葉をこの日も貫いた。
今年春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った。
その場所で痛めた右足首のけがで夏場所を全休。
復帰に向けた稽古で左大胸筋を痛めて名古屋場所も初日から休場したが、8日目から出場。
2連勝後に再休場した。
今場所は鍛え上げた上半身の張りで、十両の土俵では力差を見せる。
2024/09/09
8日、秋場所を初日から休場した横綱照ノ富士の診断書を公表し、5日付で「糖尿病、両変形性膝関節症で3週間の休業加療を要す」との内容だった。
休場は2場所ぶり、横綱在位19場所で11度目。
夏巡業で膝を負傷し、師匠の伊勢ケ浜親方は「膝が悪いと運動できない。汗を流せるようになれば血糖値も下がる」と説明していた。
秋場所後の秋巡業で復帰を目指す。
初日、大関・琴櫻が3場所ぶりに白星スタートを決めた。
成長著しい小結・平戸海との一番は立ち合いから前へ出たが、回り込まれて右を差され、逆襲を許した。
だが土俵際で左小手に振りながら相手の体勢を崩すと、最後は突き落とした。
「集中していけたんじゃないですかね」と淡々と振り返った。
横綱・照ノ富士が休場し、出場力士の中では番付最上位となった。
結び前で大関・豊昇龍が敗れ、迎えた結びの一番だったが看板力士がしっかり白星で締めた。
だが琴桜は「関係ないですよ。同じ気持ちで臨んで、結果としてそこにつながればいいです」と冷静に語った。
初日、成績次第で大関昇進の可能性が浮上する関脇大の里は物言いがつく相撲で平幕熱海富士をはたき込み、白星発進した。
大の里は勝つには勝ったが、内容的には反省点が多かった。
立ち合いで右差しにいったが、熱海富士が左前みつを取りにきて完全には差さないまま出ていった。
左のおっつけも高すぎ、絞るような形ではなかったため、土俵際で残され、逆に一気に出られた。
土俵際、左足一本で残したものの物言いがつく薄氷の白星だった。
初日、1場所での大関復帰を目指す貴景勝が、口をとがらせ、悔しさを押し殺すようにして花道を引き揚げた。
黒星発進に「自分の相撲を取りたかったが、取れなかった」。首に古傷を抱える中、先行きが不安視されるスタートだ。
大関経験者の御嶽海に頭で当たって押そうとしても、相手は下がらない。
右差しを許して起こされ、力なく後退。9度目のかど番で臨み、大関陥落が決まった7月の名古屋場所と同様に、一気に持っていく馬力が足りないのは明らかだった。
初日、名古屋場所の勢いそのままに、隆の勝が初日から会心のスタートを切った。
得意の右を差し、休まず前へ。「怖がらず前に出られているのでよかった」と笑顔を見せた。
豊昇龍とは過去8回の対戦で2勝。
分が悪い大関の胸を借りるため、場所前に豊昇龍がいる立浪部屋へ出稽古した。
ところが、その日は豊昇龍が境川部屋へ出稽古した日と重なった。
「何できょうなんですか?」とすれ違った豊昇龍に言われたが明生、出稽古に来ていた阿炎とで申し合いはできた。
初日、若元春が白星スタートを切った。
喉輪を交えた大栄翔の攻めに土俵際まで追い込まれたものの、うまく左からあてがって反撃。
力強く押し出し、「狙い通りではないが、食い止めて前に出られた」と振り返った。
3場所ぶりの勝ち越しを目指す。
「白星、黒星よりも、まずは内容」と先を見据えた。
初日、新入幕の阿武剋にとっては、ほろ苦い幕内デビューとなった。
竜電と対戦。
左四つを選択したが、上手は取れず、逆に竜電には差し勝たれる形となり、右上手を引かれた。
相手十分な形で何ら反撃の糸口すらつかめず、アッサリと寄り切られた。
初日、シロクマが描かれた着物で場所入りした新入幕の白熊が、力強い攻めで白星スタート。
北の若に前まわしを許したが、左でおっつけてから前に出て上手でまわしを引き、寄り切った。
得意の右四つになれなかったが「新入幕っぽい思い切った相撲が取れた」と笑顔。
師匠の二所ノ関親方の胸を借りて番付を上げた25歳は、初めて手にした懸賞について「まずは親方にいい報告ができる」と恩返しの手渡しを宣言し、声を弾ませた。
初日、東十両11枚目の尊富士が白星発進を飾った。
鋭い立ち合いからまず左前まわしを取り、休まず前へ。先場所幕下で全勝優勝の大青山を寄り切って完勝した。
力の差を見せつけるような勝ちっぷり。
「相手は新十両。負けじと元気な相撲を、と思っていた」と振り返り、「初日に土俵に上がれたことにほっとしている。今までやってきたことをやるだけ」と、うなずいた。
初日、今場所から昇進した木村容堂改め第42代式守伊之助が、まずは初日を無事に終えた。
終盤の2番を落ち着いて合わせ、「まだ初日が終わったばかり。気持ちを緩めず頑張りたい」と穏やかな口ぶりで語った。
江戸時代から代々受け継がる“譲り団扇(うちわ)”ではなく、この日も以前から使ってきた軍配を手にした。伝統の団扇は2日目以降に使用予定という。
行司の最高位にあたる立行司が2人そろうのは15年春場所以来9年半ぶり。
木村庄之助は今場所で定年を迎えるため、来場所から再び1人戻る。
2024/09/07
大関・琴櫻は6日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で最終調整し、横綱照ノ富士の休場により出場力士では番付最上位となる秋場所へ「今まで通り、変わらずに思い切ってやるだけ。できる準備をしっかりして場所に臨む」と自覚をにじませた。
この日の稽古では本場所用の締め込みを着け、重りを持ったすり足やぶつかり稽古で胸を出して汗を流した。
大関昇進から3場所は全て2桁勝利と安定感がある。
横綱不在の場所で初優勝への期待が高まり「気持ちを出してやっていく」と静かに闘志を燃やした。
日本相撲協会は6日、秋場所の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里は初日に熱海富士、2日目には翔猿戦が組まれた。
昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」。
大の里は新小結で初優勝を飾った5月の夏場所で12勝、新関脇だった7月の名古屋場所は9勝で、今場所で12勝すれば目安の数字には到達する。
昇進問題を預かる審判部は三役で3場所連続の10勝以上を原則としながらも、高田川部長はこの日、大の里について「前へ出る圧力はあるが、押されたときに引き気味になる。先場所もそういう相撲が何番かあった。前へ出れば相撲もよくなって、気持ちもいい。内容を見ていく」と先場所の9勝には言及しなかった。
秋場所で新入幕を果たした東前頭16枚目の白熊が、2桁白星で三賞受賞に意欲をのぞかせた。
6日、茨城県内の部屋で基礎運動などで汗を流した。
稽古後は「緊張してきました」と、初日が近づき、高ぶる胸の内を明かした。
この日の取組編成会議で初日は北の若、2日目は錦富士との取組が決定。
ただ「人から対戦相手を聞かされると必ず負ける」という験を担ぎ、相手は聞かずに集中力を高めた。
2024/09/06
東横綱照ノ富士が秋場所を休場することが6日、決まった。
同日に発表された初日の取組に入らなかった。
先場所で10度目の優勝を遂げたが、場所前は膝の痛みや糖尿病で調整が遅れていた。
照ノ富士の休場は2場所ぶり22度目、横綱在位19場所で11度目を数えた。
初日からの休場は昨年11月の九州場所以来。
今場所は2場所ぶりの横綱不在となった。
2024/09/06
夏巡業終盤に腰を痛めた関脇阿炎は5日、東京都中央区の荒汐部屋で同じく出稽古の関脇霧島や小結大栄翔らと6番取った。
肘の不調で番数は少なかったが「もう大丈夫。そうでなかったら稽古していない」と言葉に力を込めた。
関脇で10、8勝と勝ち越しを続けている。
腰痛の発症から2週間余り。
状態が懸念される中で「申し合いを毎日やることはできなかったが、自分なりにできることをやってきた」と語った。
5年ぶりに関脇に転落した貴景勝が「ぶっつけ本番」で大関返り咲きに挑む。
5日、都内の部屋で四股などで汗を流し、秋場所に向けた本格的な稽古を打ち上げた。
師匠の常盤山親方によると、かど番で5勝10敗だった7月の名古屋場所以降、相撲を取る稽古はしていない。
それでも10勝以上なら1場所で復帰する特例で、再び大関を目指す決意だ。
体には張りがあった。
大粒の汗と相まって、若々しさを取り戻していた。
「関脇貴景勝」は、5年前も今も変わらず、大関への意欲を体現していた。
ただ5年前とは違い、慢性的な首痛を抱える。
名古屋場所から1カ月余り。
首痛で相撲を取ることができなかった。
それでも稽古後、首の状態について「だいぶいい」と即答。
言い訳せず、退路を断った。
続けて「やれることをやってきた。結果が全て。やり切るだけ」と、3日後の初日を見据えた。
小結大栄翔は5日、東京都中央区の荒汐部屋で同じく出稽古の阿炎、霧島の両関脇らと11番取った。
場所前は大関琴桜の佐渡ケ嶽部屋など精力的に各部屋を回った。
30歳の実力者は「しっかり稽古できたのではないか。本場所の一番に生かしていきたい」と話した。
長かった夏巡業を終え、短い調整期間で秋場所を迎える。
「疲れはみんな一緒。その中でやれることをやるのが大切」と力説。
「序盤戦でいい内容の相撲を取れれば、流れに乗っていける」と自信をうかがわせた。
先場所は敗れながらも優勝決定戦に進出した幕内隆の勝は快進撃の再現を狙う。
5日は東京都板橋区の常盤山部屋で相撲は取らず、四股などで調整。
「体はいい感じ。積極的に攻める相撲を取れば、いい勝負ができる」と元気だった。
東前頭筆頭で臨む今場所に向け、佐渡ケ嶽部屋への出稽古で大関琴桜に胸を借りるなど意欲的だった。
2022年春場所以来の三役復帰を見据え「初日から全力で頑張る」と闘志を燃やした。
秋場所を控えた8月末、荒汐部屋では出稽古に来た力士を含めて多くの関取衆が次々と申し合い。
幕内に復帰して2場所目となる若隆景は低い姿勢からの速攻、強烈なおっつけと本来の持ち味を存分に発揮。
「少しでも状態を上げられるように。しっかりと稽古をする」。
黙々と汗を流す姿は、関脇にいた頃と同じだ。
昨年の春場所で右膝に大けが。
手術と懸命なリハビリを乗り越えて幕下から再起し、名古屋場所で1年ぶりに番付を幕内に戻した。
「一日も早く上がれるようにやってきた。待っていてくれた人がたくさんいる」。
2桁白星と結果がついてきたことはもちろん、土俵に立てる喜びをかみしめた。
現役関取最年長の東前頭10枚目玉鷲は5日、東京・墨田区の片男波部屋で弟弟子の十両玉正鳳と8番取ったほか、2人の力士を相手に相撲を取る同部屋独特の稽古で仕上げた。
秋場所2日目には初土俵からの通算連続出場が1630回となり、史上1位の元関脇青葉城に並ぶ。
「記録に並んで、抜いて。そんな場所がついにやってくる。自分でもそのときになってみないと、どんな気持ちになるか分からない」と苦笑いを浮かべた。
新入幕を果たした阿武剋が5日、千葉県習志野市の阿武松部屋で稽古を行った。
申し合い稽古では、幕下の勇磨、土佐緑、秋良、三段目の荒雄山の4人を相手に連続で14番。
前ミツを引いての攻めやもろ差し速攻、突き放しなど幅広い取り口を試した。
今月3日と4日は大嶽部屋へ出稽古。
幕内・王鵬や兄弟子の十両・阿武咲と稽古を重ねたという。
この日、ちょんまげを結って初めて稽古に臨んだ。
幕下15枚目格付け出しで昨年九州場所初土俵を踏んでから10カ月。
出世の速さに髪の伸びが追いつかず前日の稽古まではざんばら髪だったが、ようやく結えるようになった。
「常に引っ張られているような感じでちょっと痛い」とまだ慣れていないようだったが「(髪が)前に垂れてこないので良い感じ。(秋場所)初日にお披露目ですね」と笑顔を見せた。
11月に福岡市で行われる大相撲九州場所を前に、日本相撲協会の親方たちが県庁を訪れ、「多くの人に足を運んでもらう事で、力士も力が出せる。九州場所を大いに盛り上げていきたい」と抱負を述べました。
5日県庁を訪れたのは、日本相撲協会の理事を務める直方市出身で元大関・魁皇の浅香山親方など九州場所を担当する5人の親方です。
浅香山親方たちは服部知事と面会し「多くの人に現地に足を運んでもらい九州場所を盛り上げたい。多くのお客さんが来ることで力士も力が出せると思うので、イベントを行うなどして、相撲を身近に感じてもらえるようにしていきたい」と抱負を述べました。
2024/09/05
名古屋場所でV10を果たした横綱照ノ富士の秋場所出場は厳しい状況だ。
師匠の伊勢ケ浜親方は4日、東京都江東区の同部屋で取材に応じ「見たら分かるでしょう。内臓とかも調子が悪いから、体にぶつぶつもいっぱいできてるし」と話した。
秋巡業後は相撲を取る稽古をしておらず、秋巡業中に、持病の糖尿病で体重が10キロ減ったことを明かしていた。
8月29日の横審稽古総見も欠席した。
関脇大の里は4日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋で相撲を取らず、押しを受ける稽古を重点的に行った。
守勢の状況を想定して幕下以下の力士の攻めを残し、192センチの長身を丸めて前に出る動きを確認。
「しっかり体勢を立て直すことを意識した。いい感じだ」と本番を見据えた。
成績次第で大関昇進の可能性がある24歳の大器。
2日に師匠の二所ノ関親方と17番取り、意欲がさらに増したという。
「自分の立ち合いをさせてもらえなかった。上にいった方のすごさを感じた。勉強していく」と話した。
秋場所へ向けた時津風一門の連合稽古が4日、国技館内の相撲教習所で行われ、関脇霧島は小結大栄翔らと26番で22勝4敗と好内容だった。
四つ身や突き、押しなど多彩な取り口で「前へ出ることを意識した。他の力士からも『だいぶ調子が戻ったね』と言われた」と笑顔で語った。
痛みを抱える首も回復傾向で、頭をつけて攻める場面も。
師匠の音羽山親方は「気持ちも上向いてきた。あとは立ち合いで、がつんと当たることだ」と評した。
大関復帰へ出直しの場所だが、入門当初に掲げた「横綱」の夢は変わらない。
「高い目標を立てて、頑張っていくのが楽しい」と意欲的だった。
秋場所2日目に通算連続出場1630回で史上1位の青葉城に並ぶ39歳の玉鷲は「気にしていない。自分はまだ現役なので」と大記録を目前に平常心を強調した。
4日は両国国技館内の相撲教習所で行われた時津風一門の連合稽古に一門外から参加。モンゴル出身の後輩の関脇霧島や幕内欧勝馬らと7番取った。
所属する片男波部屋は力士4人と少ないため「人がいっぱいいるところで稽古した方がいい」と狙いを語った。
21歳の十両伯桜鵬が4日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古を欠席した。
部屋関係者によると、複数の力士とともに先週末に溶血性レンサ球菌(溶連菌)に感染。
発熱などの症状で静養し、秋場所の出場に支障はない見通しだという。
十両・尊富士が4日、東京・江東区の部屋で秋場所に向けた稽古を行った。
同部屋の幕内・熱海富士、錦富士らを相手に鋭くスピードある立ち合いなど、持ち味を見せた。
3日から相撲を取る稽古を再開したといい、「僕の持ち味はやっぱりスピード。そこは強化しているつもり。きょうも熱海富士関に『前より動き、スピードがよくなった』と言われて、結構うれしかったですね。そうやって言われると場所につなげられますし、不安もなく、場所に向かえるなと思います」と手応えを語った。
2024/09/04
大関・琴櫻は3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で、出稽古に来た小結大栄翔や幕内隆の勝らと13番取った。
6番目で左足首を痛がるそぶりを見せたが、一呼吸置いて再び土俵へ。
秋場所が迫る中で「気合です。こういう気持ちも15日間を闘っていくには重要」と頼もしかった。
足を滑らせてのアクシデントに冷静に対処。
自身で状態を見極め「休むこともできるが、やれるなら稽古した方がいい。痛くても我慢して出ないといけないこともあるから」。
戻った後の7番は患部をかばうこともなく、力強い出足を見せた。
関脇・霧島が3日、秋場所に向け、東京・中央区の荒汐部屋へ出稽古を行った。
若元春、若隆景、同じく出稽古に来ていた小結・平戸海、北の若との幕内力士の申し合い稽古で計16番取って、11勝5敗。
稽古終盤は平戸海と三番稽古の形になり、5勝1敗の好内容だった。
稽古後は「久しぶりに楽しい稽古ができた。楽しかった」と繰り返し、充実した表情を浮かべた。
16番という番数については「もう少しやりたかった」と振り返った。
大関陥落の一因にもなった首の不安については「大丈夫」と語り、「体も動いている。もちろん早く(大関に)戻りたい。このような感じで稽古を一生懸命やれれば」と秋場所へ向けて意気込んだ。
小結・大栄翔が3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関・琴桜らと計13番取った。
毎場所直前の恒例となっている佐渡ケ嶽部屋への出稽古。
大関・琴桜、幕内・琴勝峰、同じく出稽古に訪れた幕内・隆の勝、王鵬の4人を相手に充実の汗を流した。
8月31日には錣山部屋で関脇・阿炎、関脇・霧島、幕内・御嶽海らとも稽古。
本場所での対戦が予想される力士の約半数と手合わせし「上位のメンバーで良い稽古ができている。キツい稽古ができていてありがたい」と充実感をにじませた。
小結・平戸海が3日、秋場所に向け、東京・中央区の荒汐部屋へ出稽古を行った。
若元春、若隆景、同じく出稽古に来ていた関脇・霧島、北の若との幕内力士の申し合い稽古で計20番取って、10勝10敗。
「いい稽古ができた。踏み込んでいけたので良かった」と振り返った。
稽古終盤は霧島と三番稽古の形になり1勝4敗。
「あまり勝てなかったが、何番かいい相撲を取れた」と手応えを口にした。
荒汐部屋への出稽古は初めてだったという平戸海。
荒汐部屋の若隆景とは7月の名古屋場所で初対戦し完敗した。
先週は若隆景が境川部屋に出稽古に来たこともあり、この日は自ら稽古に出向いた。
ともに体重が130キロ台で幕内では軽量に入る。
優勝経験のある実力者を相手に4勝4敗。
「(若隆景との稽古は)勉強になる」と、充実した表情を浮かべた。
秋場所へ向けては「立ち合いからの出足。
2、3歩目を意識していきたい」と語った。
幕内・隆の勝は3日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古して、大関琴桜らと14番取り「先場所からのいい流れで来られている。自信になっている」と充実の表情で語った。
佐渡ケ嶽部屋に出向くのは2日連続で、琴桜を力強く寄り切る相撲もあった。
元関脇の29歳の実力者は、東前頭筆頭で臨む秋場所に向け「しっかりと勝ち越して、来場所は三役に上がりたい」と明確な目標を掲げた。
元関脇・若隆景は3日、東京都中央区の荒汐部屋へ出稽古に来た関脇霧島、小結平戸海らと5勝6敗だった。
鋭いおっつけを生かして攻める一方、立ち合いで押し込まれる場面もあった。
昨年3月の春場所で右膝に大けがを負い、再起の途中で「上位の力士と稽古できるようになってきた。当たり負けしないようにしたい」と口元を引き締めた。
1年ぶりの再入幕の先場所は11勝を挙げ、秋場所は東前頭7枚目に浮上。
「自分の相撲を取る」と自らに言い聞かせた。
幕内・玉鷲が3日、秋場所に向け、東京・江東区の高田川部屋へ出稽古を行った。
幕内・竜電、同じく出稽古に来ていた十両・千代翔馬と8番。
得意の突き押しに持ち込めない場面もあったからか、「全然だめですね。順調じゃないです」と苦笑いを浮かべた。
今場所初日から出場すると、2日目には元関脇・青葉城の持つ連続出場記録史上1位の1630回に並ぶ。
大記録がかかる玉鷲は「それは、やっぱりみんなの記録です。みんなの支えのおかげ。自分だけの記録じゃない」と周囲のサポートに頭を下げつつ、「盛り上げる気持ちで頑張りたい」と気合を入れていた。
8月31日に福島県須賀川市で行われた白熊の十両優勝・新入幕祝賀会に出席しました。
私も地元にはお世話になっていますが、故郷はいいですね。
白熊は中学から新潟県に相撲留学したので思い出は少ないかもしれませんが、改めてありがたさを感じたのではないでしょうか。
よりいっそう恩返しの思いは強くなったはずです。
入門2年で白熊も新入幕を果たしました。
春先はけがなどもあって2場所連続で負け越し。
少し冬眠をしていましたが、名古屋場所では別人のような取り口で十両優勝しました。
要因は本人の意識が変わったこと。
見るからに稽古量は増えましたし、大の里が優勝したことでこのままではダメと奮起したようです。
名古屋場所前の稽古も良かったですし、場所後もいつも以上に中身が濃い稽古をしています。
2024/09/03
大関・琴櫻が2日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で秋場所へ向けての稽古を行った。
この日は関脇・阿炎、小結・大栄翔、幕内・隆の勝、王鵬が出稽古に訪れており、弟弟子の幕内・琴勝峰も含め5人を相手に連続で15番取った。
同じ相手と続けて取る「三番稽古」の形式ではなく、申し合い形式で代わる代わる相手を指名。
「その方が体力的にキツい。相手が元気(な状態)で来ることもあるので、その中で力を出せた」と自らを追い込んで実りのある稽古を行った。
突き押し相撲を得意とする相手が多い中で、組み止めて自分の形に持ち込む時もあれば押し返して圧力勝ちする場面も。
「やるのはしんどいですよ」と苦笑いしながらも「持っていかれないようにしないといけないし、タイプの違った稽古もできる」と充実感を得ていた。
大関から陥落し、大相撲秋場所では関脇として臨む貴景勝が2日、東京・板橋区の部屋での朝稽古に参加した。
四股やスクワット、腕立てなどの基礎運動で汗を流し、稽古終盤では幕下・若ノ勝を相手に土俵外でぶつかり稽古を行った。
9度目のカド番で迎えた7月の名古屋場所で5勝10敗に終わり、2度目の大関陥落が決定。
関脇に降下するのは、最初に大関から番付を下げた2019年秋場所以来となった。
夏巡業は全休。
今場所で10勝を挙げれば、1場所での大関返り咲きがかなうが、首には慢性的な痛みを抱える。
師匠の常盤山親方は「(状態は)徐々に上がってきている。最初は立ち合いだけだったが、今はぶつかり稽古もしている」と初日へ向けて段階を踏んでいるが、「これからガンガンやるのは、首の具合もあるので、ぶつかり稽古ぐらいです」と語り、今後も慎重な調整が続く。
小結・平戸海は2日、東京・足立区の境川部屋で幕内佐田の海や幕下力士と計18番取って17勝。
得意の右差しから一気に寄る速攻がさえた。
「けがをしないように気合を入れてやっている」。
3日には荒汐部屋へ出稽古に赴き、初日へ向けて熱が入る。
新小結だった7月の名古屋場所で10勝を挙げたが、秋場所では4関脇となったことから番付は小結に据え置かれた。
新小結で10勝をマークしながら次の場所も小結にとどまるのは昭和60年春場所の北尾(のちの横綱双羽黒)以来39年ぶり史上2人目だが、「これまで番付運はよかったと思っているので、今回は仕方ない」と切り替える。
隆の勝が2日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関・琴桜らと計14番取った。
この日は関脇・阿炎、小結・大栄翔、幕内・王鵬も同じく出稽古に訪れており、佐渡ケ嶽部屋の幕内・琴勝峰も含めた5人でまずは申し合い稽古。
鋭い出足で5連勝する場面もあり、調子の良さをうかがわせた。
最後は大関・琴桜と3番。
得意の右差し速攻での好内容も見せた。
名古屋場所は12勝を挙げ、横綱・照ノ富士との優勝決定戦に進出する大活躍。
「前の三役の頃(約2年半前)よりも押す力が強くなっていると思う」と自信を深めており「先場所の勢いのまま行ければなと思います」と秋場所(8日初日、東京・両国国技館)へ意気込んだ。
2024/09/02
30日、千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋で幕内琴勝峰と10番取って8勝2敗だった。
夏巡業で腰を痛め、秋場所への本格的な稽古は再開したばかり。
「やれる範囲でできることをやっている」と慎重な姿勢だった。
この日は得意の右四つで寄る内容が多く、土俵際でいなして逆転する粘り強さもあった。
「いい稽古になった。相撲勘はそんなに落ちていない」と話す。
弟弟子に助言する場面も多く「若い衆が上がってくればうれしいし、いい稽古相手になる。相乗効果なので」と部屋頭の自覚を示した。
復調を目指す大関豊昇龍は8月31日、東京・台東区の立浪部屋で稽古し、幕内明生らと17番取り、すり足や四股などでも精力的に汗を流した。
明生には7勝3敗で「動きが硬い気がする。まだ稽古不足」と満足しなかった。
先場所は右内転筋を痛めて13日目から休場。
完治せず、夏巡業も終盤に加わった。
この日は右差しからの出足を残される場面もあったが「大丈夫。初日までの残り期間で調子は合わせられる」と前向きに話した。
食事量は変わらなく、体重は5月から7キロ増えて149キロに。
持ち前のスピードには影響がない様子で「簡単に押されなくなった。いい方向に重くなったと思う」と語った。
秋場所で大関昇進の可能性がある関脇大の里が2日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋で、師匠の二所ノ関親方と17番続けて取る異例の稽古を行った。
「親方は立ち合いの駆け引き、タイミングのずらし方が本当にすごい。いい勉強、いい稽古になった」と話した。
馬力で勝る大の里に対し、二所ノ関親方は現役時代さながらの左おっつけや厳しい寄り身で応戦。
大の里は10勝7敗と勝ち越したが「自分は得意の右を差せず、逆に左を差されたら何もできない。密着されて巻き替えも難しかった」と驚きを隠せなかった。
1日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、同じ元大関で幕内の御嶽海や正代らと6番取って3勝3敗だった。
大関陥落の先場所は8勝止まりで1場所での復帰を逃し「まずは今場所で2桁勝つこと」と目標を語った。
この日は休む予定だったが、御嶽海が訪れると聞いて変更。
軽めの調整で汗を流した。
古傷の首痛は回復傾向にあるそうで「もう大丈夫だと思う。出稽古での番数も増やし、ペースを上げていく」と意気込んだ。
31日、都内の部屋で幕下以下を相手に15番取って全勝。
鋭い出足から一気に寄り切ったり、押し出したりといった好内容の相撲を続けた。
25日までの約1カ月で、19会場で行われた夏巡業に参加。
疲労も蓄積していたが、秋場所番付発表の26日、健康診断だった27日と、部屋の稽古が行われず「2日間休んで、巡業の疲れは取れました」と、状態の良さを感じていた。
若元春が1日、東京都中央区の部屋で稽古し、9番の申し合いをこなすなどして汗を流した。
出稽古に訪れた幕内明生とは6番とって5勝1敗。
当たりをしっかりと止めて、素早く得意の左四つに持ち込む内容が光った。
申し合いは「やらないつもりだった」というが「あれだけ来てくれたし、時間に余裕もありそうだったのでやろうかなと」と、明生の意欲に熱のこもった相撲で応えた。
31日、千葉県松戸市の部屋で稽古し、大関琴桜と11番とって3勝8敗だった。
得意の右四つだけでなく左四つの形も見せ「相手が嫌がる相撲をとれるように。ガムシャラにいきたい」と狙いを明かした。
再入幕した初場所から4場所連続勝ち越し中。
「気持ちは強くいかないとダメだというのがわかった」とメンタル面の変化を好成績の要因に挙げた。
昨年10月に長男が誕生。「自分一人じゃないので」と父親としての責任が芽生えたことも、成長につながっている。
新入幕の白熊が鉄紺(鉄色と緑の中間のような色合い)の締め込みで挑むことを明かした。
31日に茨城・阿見町の部屋で行われた稽古で、「鉄紺」新しい締め込みを締めて、なじませた。
「かっこいい。(目が)つまっていて柔らかい。硬さもある」とうれしそうだった。
新十両だった昨年秋場所からは「褐返し(かちがえし)」だったが、新入幕の今場所から新調した。
2024/08/30
秋場所へ向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、国技館内の相撲教習所で行われ、山内昌之委員長は所用、7月の名古屋場所で10度目の優勝を遂げた横綱照ノ富士は糖尿病と膝の負傷を理由にともに欠席。
照ノ富士の欠席は横綱昇進後では初めて。
委員長と番付最高位の横綱が不在という極めて異例の総見となった。
土俵を引き締める横綱がいない。
鋭い視線を向けるはずの横審委員長の姿もみえない。
委員長を含め9人いる委員のうち4人が欠席。
大関から陥落し、秋場所で10勝すれば大関復帰となる関脇貴景勝も首痛で不参加とあって、稽古は抑揚を欠いた。
出席した委員で在任期間が最も長い都倉俊一委員は「いつもと比べておとなしい感じ」と言葉を選びつつ、間延びした空気をみて取った。
秋場所に向けた横綱審議委員会による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われました。
横綱・照ノ富士が不在となる中、存在感を見せたのが大関・琴櫻です。
今年の夏場所の番付発表に合わせて「琴ノ若」から元横綱で5度の幕内優勝をあげた祖父のしこ名「琴櫻」を襲名。
偉大な祖父のしこ名で臨んだ2場所では11勝4敗、10勝5敗と勝ち星を積み上げました。
しかし夏巡業中に腰を痛めたという琴櫻。
状態が心配されましたが、この日に行われた稽古では同じ大関の豊昇龍相手に勝ち越すなど回復の兆しを見せています。
「徐々に徐々になので、うまく探りながらの部分もありましたけど、でも出来なかったことを考えるとしっかり序盤から出来たのでそこはプラスに考えていきたい」とコメント。
秋場所を前に、横綱審議委員会による稽古総見が29日、国技館内の相撲教習所で行われた。
大関・豊昇龍は大関・琴桜らと16番の相撲を取った。
最初は小結・大栄翔を指名し、もろ差しから寄り切った。
琴桜との三番稽古(同じ相手と続けて取る)では、最初の手合わせで寄り切り。
だが、もろ差しを許し、一気に寄りきられる場面もあり5勝6敗。
「6敗か。しょうがない」と悔しそうだった。
豊昇龍は名古屋場所で右内転筋挫傷で、13日目から休場した。
夏巡業は最後の3日しか参加できず。
体重も先場所から10キロ増えたという。
この日が復帰後初めての本格的に相撲を取る稽古だった。
それでも「ケガが治ったわけじゃないけど調子は悪くない」と前向きに話した。
秋場所に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。
24日にぎっくり腰を発症し、夏巡業最終盤で離脱していた関脇阿炎は、申し合いの番数こそ3番にとどまったが、軽快な動きで復調をアピールした。
関脇大の里、前頭御嶽海を立て続けに破ったところで、痛そうに腰に手を当て、直後に前頭翔猿に敗れた。
それでも稽古後は「連続で取ると、どうしても腰に痛みが出てしまう。でも、今はもう大丈夫」と、明るい表情で話した。
ぎっくり腰で巡業を離脱後、2度のはり治療で劇的に痛みが引いたという。
当面は、量よりも質を重視した稽古を続け「出稽古もしていくつもり」と、夏場所に続く2度目の三役での2桁白星を目指していく。
秋場所に向けた横綱審議委員会(横審)による稽古総見が29日、両国国技館の相撲教習所で行われた。
成績次第で大関昇進の可能性がある関脇大の里は、計9番で5勝4敗。
積極性に欠く姿勢に、日本相撲協会役員の八角理事長からは稽古不足を指摘され、境川巡業部長からはゲキが飛んだ。
大関昇進への気迫、がむしゃらさを求められた。
横綱照ノ富士は糖尿病と膝痛、関脇貴景勝は首痛で不参加だった。
初土俵から順風満帆だった大の里にとっては、初ともいえる“ダメ出し”連発だった。
関取衆の申し合い序盤で雷が落ちた。
「大の里、お前、目の前だろ! かぶりついてでも、やらんか!」。
1カ月近い夏巡業中からモヤモヤを募らせていた、境川巡業部長の大声が響いた。
目の前で申し合いが決着しても、次の相手として名乗りを上げない消極的姿勢を怒られた。
これには稽古後、大の里も「頑張ります」と反省した。
新三役だった名古屋場所で10勝した小結平戸海が、幕内の申し合いで先陣を切って元気な姿を見せた。
「大人数なんで、しっかり稽古することを意識して。(人数が)多いのでとにかく最初に行かないと」。
気合十分で18番取って7勝。
終盤には大関琴桜から指名された。
長崎出身で、準ご当所となる九州場所での大関とりのためにも、秋場所は大事な15日間。
「やっぱり前に出ること。引かずに攻めて、2桁勝利を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
2024/08/29
28日、健康診断が国技館で行われた。
夏巡業を急性腰痛(ぎっくり腰)で途中離脱した関脇・阿炎は「もう全然大丈夫」と強調した。
24日の巡業(神奈川・座間)中に腰を痛め、「もう(相撲人生が)終わったと思った」。
25日の巡業最終日(同・横須賀)を休場すると、患部にはりを打ち、安静にしたという。
「自宅にいると子どもに乗っかられるかもしれないので、部屋で寝泊まりした」と明かした。
その後、医師の勧めで歩行やサイクリングで“リハビリ”。
この日の健診では幕内・若元春らと談笑する場面もあった。
29日の横綱審議委員会による稽古総見は土俵に上がる予定で「場所まで少しずつやっていく」と話した。
関脇大の里が史上最速大関昇進へ、勝負の秋場所に挑む。
27日は力士会に出席。
「前の場所は考え過ぎた反省もある。あまり考え過ぎず、思い切って自分の相撲を取り切りたい」と抱負を語った。
新小結の夏場所で12勝で優勝し大関昇進の起点となったものの、新関脇の名古屋場所は9勝にとどまった。
高田川審判部長は大関昇進について「基本は三役で3場所10勝以上。(名古屋は)2ケタいかなかったということ。(条件は)来場所の内容次第で変わってくる」と厳しい評価。
大関から陥落し、秋場所では関脇として臨む貴景勝が28日、東京・板橋区の部屋で行われた朝稽古に参加した。
四股や重りを持ちながらのスクワット、腕立てなどの基礎運動で調整。
この日の取材対応は控えた。
自身のトレーニングの合間には、幕下以下の弟弟子たちが土俵上で行う申し合い稽古にも目を配った。
193センチの高身長を誇る三段目・隆勝生には、身長を生かす立ち合いの姿勢をアドバイス。
「体は大きいんだから、自信を持て」と背中を押した。
さらに首を痛めた幕下・若ノ勝には、首に負担をかけないようなぶつかり稽古のやり方を助言。
自身も慢性的な首痛に苦しむ中で、自らの経験を弟弟子たちに惜しげもなく伝えている。
師匠の常盤山親方も「強くさせてあげたいという思いがあるから。自分の知っている知識を教えてくれている」と信頼を寄せる。
28日、東京・両国国技館での力士健康診断後に報道陣の取材に応じ、東前頭2枚目で新三役昇進を目指す秋場所へ抱負を語った。
9月3日に22歳となる大器は「年齢的にも伸びていかないといけない。頑張りたい」と成長を期した。
熱海富士は25日まで夏巡業に参加し「相撲は取らなくても稽古場には出るようにしている」と体を動かし続けた。
横綱照ノ富士に上手の取り方を助言され、十両尊富士に立ち合いの出足の重要性を説かれたという。
最近2場所は前頭筆頭で2大関を破りながら、7勝8敗で新三役の座を逃した。
「大関に勝っても他に負けたら星としては一緒。負けないように」と闘志をにじませた。
初土俵からの連続出場記録2位を持つ関取最年長の幕内玉鷲が、秋場所初日から出場すると2日目に史上1位の元関脇青葉城の1630回に並ぶ。
28日は両国国技館で健康診断に参加し、鉄人ぶりを支える体と心のポイントを語った。
苦手な採血の注射を乗り切った玉鷲が、笑顔で健康レクチャーを始めた。
まずは精神面。「ストレスをためないこと」ときっぱり。
「生きることに対して毎日、感動して生きることですね」と、大ベテランならではの心構えを明かした。
名古屋場所2日目の霧島戦で左大胸筋を部分断裂し途中休場した高安が、秋場所へ向けて稽古を再開していることを明かした。
序二段、三段目の力士に胸を出しながら治療とトレーニングを継続。
「やりすぎてもね。もうね、30万キロぐらい走った車ぐらい乗ってますから」と自分のペースを保ちながら調整を進めている。
けがに泣かされ今年は15日間の皆勤は春場所だけだが、「(番付は下がっても)一喜一憂しない。幕内の土俵に上がっていることを感謝しながら」と前向きに話していた。
2024/08/28
関脇大の里が、秋場所の成績次第で可能性のある大関昇進を「先のことは気にせず」と一時封印すると決めた。
小結の夏場所は12勝3敗で、史上最速の所要7場所で優勝。
同じく成績次第で大関昇進もあった、関脇の名古屋場所は9勝6敗にとどまった。
大関昇進目安は三役で3場所33勝。
数字上、今場所12勝で到達する。
最近2場所で霧島、貴景勝が連続で大関から陥落。
ファンだけではなく、相撲協会内にも新大関誕生を期待する空気が漂うが「考え過ぎず自分の相撲を取りたい」と淡々と話した。
冷静さが鍵を握ると知った、先場所の教訓を生かすつもりだ。
秋場所で10勝以上すれば大関に復帰する貴景勝が27日、同国技館で行われた力士会に参加した。
パリ五輪を見て力をもらった。
「柔道とか一対一で闘う競技は自分も好きだから。オリンピックは4年に1回なんで。自分たちは相撲界で生きていて、スパンが早い分大変なこともあるけど、挽回しようと思ったら比較的回数が多いんで。そういうのを考えながら見てました」と気持ちを奮い立たせてきた。
かど番だった7月の名古屋場所は5勝。
慢性的な首痛で大関からの陥落が決まった。
しかし、秋場所へ向けて「いい状態になるようにやることをやって。いかにいい状態で場所に入るかっていうことを考えて。結果はあとから」と全力を尽くしていく。
福島県須賀川市出身の白熊が東十両8枚目から東前頭16枚目に昇格し新入幕を果たした。
福島市出身の「大波3兄弟」とともに福島県内出身の幕内力士は3人となった。
日本相撲協会によると、福島県内出身の力士3人が同時に幕内となるのは1960(昭和35)年3月場所以来、64年ぶり。
7月の大相撲名古屋場所で、左膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負って途中休場した、大関経験者の朝乃山が27日、東京・両国国技館で行われた関取衆による力士会に参加した。
同場所千秋楽2日後の7月30日に約2時間かけて左膝を手術。
今月10日ごろの退院から、2週間ほどしか経過していないが、松葉づえなどを使うこともなく、軽快に歩くなど元気な姿を見せた。
ほとんどの関取衆から欠席するものと思われており、姿を見せると「大丈夫なの?」「出られるの?」などと質問攻めで、驚きの声が相次いだ。
力士会後は通常のスピードで、自力歩行で帰途に就いた。
その際に取材にも応じ「普通に歩けますよ。サポーターを着けているので大丈夫。リハビリの運動と思って歩いています」と、笑顔で現状を説明した。
ただ現在、下半身はトレーニングなど筋力維持のための運動をできておらず「歩くぐらい。上半身は(トレーニングを)やっている。やらないとダメなので」と、四股、すり足などの基礎運動は、再開のメドも立っていない様子だ。
師匠の高砂親方はかねて「年内の復帰は難しい」と話していた。朝乃山はこの日、復帰時期については「師匠、病院と相談して。しっかりと治すことが優先」と、未定を強調した。
2024/07/29
千秋楽、先場所まで2場所連続で途中休場していた横綱・照ノ富士が苦しみながらも賜杯を抱いた。
ともに目標にしていた2ケタ優勝と名古屋での初優勝を達成した。
「ホッとしている。約束を果たせたかな」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
本割で大関・琴桜に初めて敗れた直後、3敗同士の隆の勝との優勝決定戦は「どっしり構えていこうと思った」という。
当たって右のど輪から双差しで寄り立ててきた相手に、照ノ富士は俵に詰まりながら右を巻き替える。
体を入れ替えると左上手もガッチリ取った。
土俵際は腰を落とし、右のかいなを突き付けて寄り切った。
千秋楽、かど番で5勝10敗と負け越し、関脇への転落が決まった大関貴景勝が、現役続行を公言した。
名古屋市内で行われた常磐山部屋の千秋楽パーティーで意志を明らかにした。
負け越しが決まった13日目の照ノ富士戦後、同市内の部屋宿舎で進退を含めて師匠の常盤山親方と話し合い、秋場所で10勝以上が条件となる特例での大関復帰を目指す方針を確認していた。
常盤山親方によると、パーティーの席上で「頑張ります」と述べた。
夏巡業も初日から参加する予定という。
千秋楽、大の里が2場所連続で殊勲賞を獲得した。
新入幕から4場所連続の三賞受賞は史上初。
「ありがたいことです」と話した。
千秋楽は優勝が懸かった隆の勝に立ち合いから後手に回って一方的に押し出された。
「いいところも悪いところも出た。しっかり修正して来場所頑張りたい」。
今場所は9勝に終わったが、大関昇進に関して高田川審判部長は「内容を見て」と見解を示した。
千秋楽、平戸海はうまさも見せて琴勝峰を下し、新小結の場所で10勝に乗せた。
左で前まわしは引けなかったが、相手の右腕を抱えてとったりで仕留めた。
躍進の要因を「引かないと決めていったのがよかった」と自己分析。
決して大きくはない体で、けれん味のない相撲が光った。
目標だった技能賞獲得と2桁白星を達成。
「十分できた」と充実感たっぷりに振り返った。
千秋楽、愚直に前に出た隆の勝が、初の優勝決定戦で照ノ富士を後退させた。
だが、横綱の壁は高かった。
しのがれて最後は右四つを許し、寄り切らた。
取組後の花道と支度部屋で、何度もギュッと目を閉じて悔しさをあらわにした。
「優勝は簡単にできないと思い知らされた。またチャレンジします」と笑顔も見せた。
関脇経験者が自己最多タイの12勝と敢闘賞。
左膝前十字靱帯断裂などの大けがで大相撲名古屋場所を5日目から休場した元大関で東前頭12枚目の朝乃山が、30日に東京都内で手術を受けることが、28日分かった。
高砂部屋付きの若松親方は「復帰まで半年から1年かかるだろう」と見通しを語った。
存在感を示した。
千秋楽、優勝経験者で元三役の幕内若隆景が幕内北勝富士を渡し込みで下して11勝目。
取組後は「最後まで前に出られたので、良かったと思います」と充実した表情を浮かべた。
昨年春場所で右ヒザ前十字靱帯断裂の大ケガを負った。
長期離脱で幕下まで転落したが、今年の夏場所で十両優勝。
今場所は1年半ぶりの幕内勝ち越しを果たした。
千秋楽、十両は人気力士の白熊が12勝3敗で優勝した。
3敗で並んでいた獅司が伯桜鵬に敗れ、自身は時疾風を撃破。
頭が真っ白になるほど極度の緊張のなか「止まったらダメなので、前に出ました」とがむしゃらに攻めた。
場所前には師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)に胸を借りるなど充実した稽古も実った。
来場所は新入幕が濃厚となり「まだ上では通用しないのでもっと稽古します」と意欲十分だった。
大相撲名古屋場所は28日、千秋楽を迎え、懸賞総数は1759本に達し、2017年の1677本を上回って同場所最多となった。
1日当たりの最多は千秋楽の154本。
2024/07/28
14日目、勝てば優勝が決まった照ノ富士は、隆の勝にいいところなく敗れた。
立ち合いで相手の右腕を手繰りにいって失敗。
左からおっつけられ、一気に攻め立てられた。
金星を与えて2敗目を喫した後の支度部屋では、付け人が報道陣を制して無言。
これまでの攻める姿勢が見えなかった一番を八角理事長は「楽にいこうと思ってしまった」と指摘。
まだ隆の勝と1差あり、優位な状況は変わらないが、賜杯の行方は千秋楽に持ち越された。
14日目、かど番で13日目に負け越し、大関陥落が決まった貴景勝は休場せずに土俵へ上がった。
頭からの当たりが通じず、琴桜との大関対決で押し出され、大関として自己ワーストの9敗目を喫した。
普段と変わらず、朝稽古で体の状態を確認し、見学の子供を呼び寄せて交流。
気持ちも高めた。
「一生懸命、勝つことだけに向けてしっかり準備することを心がけた」と土俵入りと取組時の大声援に応えたかったが、力を出し切れなかった。
14日目、大の里が千秋楽、優勝の行方を左右する。
横綱に1差とした隆の勝との対戦が組まれた。
支度部屋ではその対戦が決まる前。
美ノ海を立ち合い一気の破壊力で押し出し、9勝目をあげた。
自身の三役で2場所連続2桁白星もかかる大きな一番となるが「まだ終わってないんで。明日の一番、集中してやります」と短い言葉に力をこめた。
14日目、小結・大栄翔が西前頭5枚目の湘南乃海を下して8勝目を挙げ、2場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合い当たってすぐに右へずれて右から突き落とし。
「まず当たってから攻めようと思っていたけど」と冷静な判断で初顔の相手を難なく退けた。
7勝目を挙げてからの連敗を2で止めて14日目で勝ち越し。
「ひとまずよかったけど、土俵際で負けたりするもったいない相撲も多かった。連敗もあって、切り替えているつもりでも相撲に出ていた」と反省を口にした。
14日目、大逆転優勝の可能性を残した。
東前頭6枚目の隆の勝が、優勝争いを独走していた横綱照ノ富士に快勝。
一方的に寄り切り、全て照ノ富士を相手に通算3個目の金星を挙げた。
11勝3敗とし、2敗の照ノ富士とは1差。
1場所15日制が定着した1949年(昭24)以降、13日目を終えて2差から逆転した前例はない。
他力の要素はあるが前代未聞の快挙に挑む。
14日目、美ノ海は大の里の破壊力に初優勝の可能性が消滅した。
ただ本人は「それ(優勝の可能性)は残ってないです。何日も前から」と変わらず平然だった。
星よりも相撲内容を悔やむ。
「もうちょっと自分の相撲をとりたかったけど、途中であごが上がってしまった。小さい力士がやっちゃいけないこと」。
大健闘の場所だが「けっこうボロボロ。ちょっと気を抜いたらすぐかぜ引きそう」と笑った。
14日目、若隆景が厳しい攻めを披露した。
王鵬に低く当たり、右を差して前進。
土俵際で小手に振られたが、相手の右足を取って崩し、そのまま押し出した。
「前に攻めることができてよかった」と納得の表情を浮かべた。
右膝の大けがを乗り越え、幕内では関脇だった2022年秋場所以来、11場所ぶりとなる2桁白星に到達。
「一日一番、自分の力を出し切ろうとしてやった結果」とさらりと言った。
2024/07/27
13日目、照ノ富士は貴景勝を落ち着いて仕留め、優勝に王手をかけた。
タイミング良くはたきを決め、「圧力がかかっていた」と自己分析した。
大の里に土をつけられた11日目も含め、今場所はよく前に出ている。
「いい感じで圧力をかけることができているから、相撲が良くなっている」と言い、状態が上がっていることを実感。
節目となる10度目の賜杯獲得は目前だが、「あと2日もある。その日、その日の積み重ねだから」と気は緩めなかった。
大関豊昇龍が名古屋場所13日目の26日から休場した。
師匠の立浪親方によると、3敗を守った12日目の琴桜戦で股関節付近を痛め、日本相撲協会に「右内転筋挫傷で約3週間の安静、加療を必要とする見込み」との診断書を提出した。
豊昇龍は12日目を終え、単独トップの照ノ富士と2差で優勝の可能性を残していた。
立浪親方は「仕方がない。力が出ない状況では、お客さんもがっかりする」と述べた。
13日目の対戦相手、大の里は不戦勝。
豊昇龍の休場は1月の初場所以来。
13日目、かど番で負け越して関脇への2度目の転落が決まった大関貴景勝が27日、現役続行を決めた。
師匠の常盤山親方が明かした。
秋場所で2桁勝利が条件の特例復帰を目指す。
横綱照ノ富士に敗れて8敗目を喫し、大関からの陥落が決まった26日の取組後、貴景勝は「まだ場所中なので、先のことは…」と今後について明言しなかったが、名古屋市天白区の常磐山部屋宿舎で師弟で進退も含めて話し合い、再起を決断。
師匠は「本人の意志を尊重」する方針を示していた。
13日目、大の里が思わぬ形で勝ち越しを決めた。
大関豊昇龍の休場により不戦勝で8勝目を手にした。
過去3戦全敗だった相手。
「しっかり準備してきたつもりだった。また来場所(の対戦)に向かって頑張りたい」。
残り2日に三役で連続2桁白星がかかる。
「残り2番、集中してやります」と気合を入れ直した。
13日目、東関脇霧島が平幕隆の勝に押し出しで敗れて、6敗目を喫した。
この結果、10勝以上で今場所を終える可能性が消滅し、1場所での大関復帰はならなかった。
霧島は2度目のかど番だった夏場所を首痛の影響で1勝6敗8休で終えて、在位6場所で大関から陥落。
1場所で大関に返り咲くには10勝以上を挙げる必要があったが、今場所は4日目からの3連敗が響いて、厳しい状況が続いていた。
13日目、平幕隆の勝が関脇霧島を押し出し、3場所ぶりの2桁勝利を挙げ、優勝争いで踏みとどまった。
相手が立ち合いで繰り出した張り手にひるまなかった。
「低い姿勢なら持っていかれることはない」と考えた下から下からの粘り強い押しが光った。
14日目は結びで横綱照ノ富士との一番が組まれた。
負ければ横綱の優勝が決まる一方、金星を手にすれば千秋楽まで自身の初Vの可能性を残せる大一番となるが、「挑戦者として思い切りぶつかって、どれだけ自分のいい相撲が取れるか。作戦なんてない」と無心を強調した。
13日目、平幕美ノ海が、同学年の小結大栄翔を送り出して、3敗を守った。
鳥取城北高出身の美ノ海と、埼玉栄高出身の大栄翔の対戦は高校時代が最後。
プロでは初めてとなっただけに、「朝起きたときとか、(懐かしさを)感じました。土俵に上がる前は楽しみだなぁと」と感慨深げなところをみせたが、勝負は別。
「土俵に上がってからは何も考えないタイプなので」と取組に集中し、入幕5場所目で初の2桁勝利を決めた。
13日目、優勝、関脇経験のある若隆景が、新小結の平戸海を圧倒。
右を差し、左からはおっつけて厳しく攻め、最後は胸の辺りを押して土俵下まで飛ばした。
初顔の新鋭に実力を示した一番を「内容も良かったんじゃないですかね」と自賛した。
再入幕で東前頭14枚目。
今場所初めて幕内後半で相撲を取り、「雰囲気も違うし、気合も入る」。かつては当たり前だった舞台で、存在感を示した。
2024/07/26
12日目、横綱照ノ富士は前日初黒星の影響なく、阿炎を力強く寄り切り1敗を守った。
「昨日は昨日。まあよかったんじゃないか」。
13日目に3敗3力士が負けて貴景勝に勝てば目標に掲げていた10度目の優勝が決まる。
しかし「まだ早いだろ」と厳しい表情のまま、「まだ3日もありますから」と目の前の相撲に集中する。
12日目、豊昇龍が逆転の首投げで、3敗で並んでいた琴桜との大関対決に勝った。
もろ差しを許して攻め込まれながらも、右で首を巻いて足も掛けながら仕留めた。
「内容は良くなかったが、残してしっかり勝ってよかった」と一息ついた。
5連敗していた難敵を退けてトップの照ノ富士との2差をキープ。
「まだ横綱戦があるので、しっかり集中して最後までやりたい」と気合を入れ直した。
大きく後退した琴桜は「結果が全て」と言葉少なだった。
12日目、かど番の大関貴景勝が、いよいよ崖っぷちに追い詰められた。
先場所初優勝の関脇大の里に、上手投げで敗れて5勝7敗。
9度目のかど番脱出には、残り3番を全勝するしかなくなった。
慢性的な首の痛みで、今年は先場所までの3場所を皆勤したことはなく、苦しい土俵の連続。在位30場所目の大関死守へ、13日目の横綱照ノ富士戦から3連勝を目指す。
12日目、新関脇の大の里が、大関貴景勝を破り2ケタ10勝に望みをつないだ。
貴景勝の当たりをまともに受け、一気の押しで土俵際まで後退。
だが、右上手をつかむと体を左に開き、右足一本で残しながら上手投げを決めた。
取組後、NHKのインタビュールームに呼ばれた大の里は、相撲内容を問われ「良かったかなと思います。集中できてたかなと思います」と、いつものようにハキハキと答えた。
前日は横綱照ノ富士、そしてこの日は大関を撃破。
勝ち越しに王手をかけ「残りあと3日。やるべきことを、先のことは考えずに目の前の一番一番を、しっかり集中してやりたい」と話した。
12日目、遊牧民パワー≠ナ大関復帰となるか。
関脇霧島が幕内熱海富士を寄り切って7勝目(5敗)を挙げた。
取組後は「立ち合いからいい流れでいけました」と納得の表情を浮かべた。
大関から陥落した霧島が、1場所で復帰するためには10勝が必要。
すでに5敗を喫しており、残り3日間で一敗も許されない。
12日目、新小結・平戸海の相撲っぷりが光った。
長崎県出身の24歳が、押し相撲の豪ノ山を圧倒して勝ち越しを決めた。
「いい相撲が取れた。まずは一安心」と振り返った。
頭からの当たり合いから左右ののど輪で押し込まれたが、平戸海の動きが速かった。
ここから頭を低くして反撃する。逆にのど輪気味の押しから攻め立てると相手の体が立った。
二の矢も早い。鋭く懐に飛び込んで豪ノ山に残す暇を与えず押し出した。
12日目、大関経験者で東前頭10枚目の正代が、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
取り直しとなった一番で、琴勝峰を豪快な上手投げで下した。
最初の一番は、琴勝峰に攻め込まれ土俵際、逆転の突き落としで執念を見せたが、軍配は琴勝峰に。
物言いがつき協議の結果、琴勝峰の足の甲がかえるのと、正代の体が土俵につくのが同時とみて、取り直しとなった。
12日目、平幕の美ノ海が3敗を守った。
新入幕だった昨年九州場所に並ぶ自己最多の9勝目。
優勝争いに名を連ね、鳥取城北高の1学年後輩の横綱・照ノ富士を2差で追走する。
美ノ海は武将山に押し出されたかに見えたが、際どく残って同体取り直しに。
「負けたと思った。次は踏み込んで前に出ようと」と巡ってきたチャンスをものにした。
勝っても負けてもあまり感情は表に出さない性格。
2桁勝利に王手をかけても「あまり変わらない。いっぱいいっぱいです」といつもの穏やかな表情だった。
12日目、再入幕の遠藤が7連勝で8勝目。
北勝富士に押し込まれた土俵際で数本のさがりをつかみ、俵伝いに回り込んで送り出した。
先場所は8年ぶりに十両へ転落。
1場所で幕内に復帰した。
幕内では昨年秋場所以来の勝ち越しとなった33歳は「またこんな日が来るとは思っていなかった。毎日、きょうで最後という気持ちで取っている」。
人気力士の必死の土俵が、館内を盛り上げる。
2024/07/25
11日目、横綱照ノ富士が、座布団が舞う花道を表情を変えずに引き揚げた。
夏場所に続き大の里に連敗。
初日からの連勝が10でストップした。
初日から丁寧に報道陣の取材に応じ続けていたが、初めて取材を拒んだ。
取組前に「優勝の仕方を知っている。序盤で集中して勝っている。うまい流れになっている」と照ノ富士を高く評価していた八角理事長だが、敗戦を見届けると「まわしを取って、勝ったと思ったのでは」と一瞬の隙ができたことを指摘した。
11日目、琴櫻は痛恨の3敗目。
霧島に素早い動きから左上手を取られていなされ、体勢が崩れたところを寄り切られた。
ただ、全勝の横綱照ノ富士も敗れ、首位と2差は変わらず。
12日目は豊昇龍との3敗対決。
悲願の初優勝へ負けられない闘いに向け「切り替えます」と絞り出し、必勝を誓った。
11日目、豊昇龍は土俵際での逆とったりで3敗を死守し、優勝戦線に踏みとどまった。
阿炎にもろ手で突かれ、右喉輪でのけ反らされながらも、その腕をたぐって転がした。
「集中していた。体が動いてくれた」と納得の口ぶり。
昨年の名古屋場所で初優勝し、大関昇進を決めた。
ゲンの良い場所という思いはあるが、残り4日へ「優勝とか考えず、一日一番、しっかり取っていきたい」と無欲を強調した。
11日目、大関かど番の貴景勝は、気迫あふれる相撲で連敗を免れて5勝目。
突き押しの応酬から、豪ノ山を左からいなして突き落とした。
取組中に口を切ったよう。止血をしつつ、「集中して、やることをやるだけだった」。
残り4日間で横綱、大関との対戦も残す中、12日目は3月の春場所で敗れた大の里の挑戦を受ける。
「もう一度、気持ちをつくり直してやる」と表情を引き締めた。
11日目、横綱を突き落としで土俵にはわせた大の里が、1度だけ大きくうなずいた。
そして、座布団が乱舞する中で勝ち名乗り。
結びで勝ちっ放しの照ノ富士戦と、これ以上ない舞台で連敗を止め、存在感を示す6勝目をもぎ取った。
右の相四つの横綱に左上手を許したが、右の差し手を抜いて相手が突っ込んできた一瞬のチャンスを逃さなかった。
「とっさ。完全に相手に(まわしを)取られて、動こう動こうと思った。気合を入れ直して残り5日間、頑張ることだけを考えていた」
11日目、5敗となり、1場所での大関復帰へ後がなくなった霧島が、2敗だった琴桜を破った。
鋭く踏み込んで、左からのおっつけや、いなしで崩して寄り切る完勝。
よく一緒に稽古する大関を撃破し、「負けない気持ちで、と思っていた」と納得顔だった。
厳しい星勘定は頭に入れず残り4日間に臨む。
「勝ち負けは関係ない。思い切りいくしかないので考えることはない」と構えた。
11日目、西前頭12枚目の美ノ海が、幕内では自身最速の11日目で勝ち越しを決めた。
同6枚目の王鵬と対戦。
もろ手で立った相手をかいくぐるように、左の前まわしを一瞬で引くと、右も差して前進。
かいなを返しながら反撃のいとまを相手に与えず、万全の体勢で寄り切った。
11日目、右膝の大けがを乗り越え、1年ぶりに番付を幕内に戻した若隆景が勝ち越しを決めた。
千代翔馬との一番は巻き替えられた後、右で上手を引いて頭をつけ、うまく出し投げを打った。
幕内では関脇だった昨年初場所以来、9場所ぶりとなる給金にも、感慨に浸ることはない。
「特にそういう感じはない。まだ残りがあるので、気を抜かず自分らしい相撲を取っていく」。
そう言って先を見据えた。
2024/07/24
10日目、横綱照ノ富士が霧島を小手投げで下し、全勝優勝した21年九州場所以来の初日から10連勝を飾った。
「立ち合いは少し高かった感じだが、前に圧力をかけられたので良かった」。
10度目の優勝へ独走状態だが「まだ残り5番もあるから」と緩めない。
ひげをそったことを問われると「何でも理由をつけたがるな。ひげは伸びたらそるだろ」と一蹴した。
10日目、相手の武器を封じてから攻め切った。
琴櫻が、がっちり引いた左上手からの投げで大の里を転がし、12場所連続勝ち越し。
ただ一人、2敗をキープした。
3度目の対戦だった夏場所は大の里に深い右差しを許して寄り切られていた。
左を固めてぶつかりおっつけて隙を見せず、大関の意地で嫌なイメージを断ち切った。
「(先場所を)頭には入れていたけど、自分の相撲をしっかり取ろうと思った」。
倒れ込みながら投げ、立ち上がる際には両手を力強く「パチン!」。
何げない動きに充実感をにじませた。
10日目、大関貴景勝は、かど番脱出へ痛い黒星となった。
阿炎を一気の出足で軍配をもらったが物言い。
左手が先に落ちたとして行司軍配差し違えで6敗目を喫した。
相撲の流れは完全に大関だったが「まあ負けは負けですね」。
上位と対戦を残す厳しい終盤戦となるが「最後の一番まで相撲をとるだけなんで」と決意を示した。
10日目、大の里は琴桜に敗れ、5勝5敗。
得意の右を差したが、左上手を許す。
寄って前に出た力を利用され、上手投げを喫した。
先場所は大の里が琴桜の上手の方に寄って勝った。
今場所は、同じ上手投げでも琴桜が大の里の足の間に左足を入れて投げた。
この一番に向けての準備という面でも琴桜に分があった。
10日目、関脇・霧島が5敗目を喫し、大関復帰の10勝まで崖っぷちとなった。
横綱・照ノ富士に低く当たるもきめられて、後退した。
最後は小手投げで完敗。
「頭付けて中に入ってみようと思った。中に入れたが、きめられた」。
過去全敗の相手だが「緊張はなくて思いきりいこうと思った」と振り返った。
10日目、東前頭10枚目・正代が7勝目を挙げて、勝ち越しに王手をかけた。
西前頭8枚目・金峰山の突っ張りに土俵際まで追い込まれる。
それでも右に周って体を残しての突き落とし。
大きく白星を先行させての残り5日間に「だいぶ心に余裕ができてくる。気を抜かずにやっていく」と笑顔で語った。
10日目、再び幕内へと帰ってきた若隆景が3敗を堅守した。
土俵際でうまく体勢を入れ替えると、一気の攻め。自分より小さな翠富士をスピードとうまさで上回った。
「いつも通り、下からです。なんとか最後まで押せました」。
目指す攻めは1つ。
一切の迷いはない。
昨年春場所で右膝前十字靱帯を断裂。
まだ、稽古をしすぎると膝が熱を持つなど万全ではないが、優勝経験者であり大関候補となった力士。
番付は幕内下位だが、その実力は誰もが認めるところだ。
東十両2枚目尊富士が10日目から再び休場した。
師匠の伊勢ケ浜親方によると、場所前の稽古で左胸を痛めた。
初日から休場していた今場所は、8日目から出場して2連勝。
再出場せずに治療に専念する。
10日目の対戦相手、大奄美は不戦勝となった。
尊富士は新入幕優勝を遂げた3月の春場所で右足首を負傷し、5月の夏場所を全休して十両に転落した。
2024/07/23
9日目、横綱照ノ富士は小結大栄翔を上手出し投げで下し、9連勝とした。
完全に乗っている。
「とにかく、圧力をかけないと持っていかれることが多いから。構えて待つと持っていかれること多いから」と、まわしにはこだわらずとにかく攻めた。
過去8勝5敗(不戦敗除く)と大栄翔のパワフルな押し相撲に屈することもあったが、今場所は休場明けとは思えない動きの良さを見せつけている。
9日目、琴櫻は落ち着いていた。
新小結平戸海に右を差されたが、慌てない。
しっかり腰を備えて寄り返し、最後は押し出し。
「いつも通り集中してやっただけ。しっかり攻め切れたのでよかったんじゃないか」と振り返った。
これで4連勝。
大関以下の役力士ではただ一人、2敗を守って横綱を追う。
「その日の一番のために準備しているので、あしたもしっかりやっていければいい」と泰然と話した。
9日目、大関貴景勝が御嶽海を押し出し、4勝5敗とした。
今場所は9度目のかど番。
7日目まで2勝5敗と大関陥落の危機を迎えていたが8日目、9日目と今場所初の連勝で盛り返してきた。
「しっかり準備して明日もやるだけ。15日間、自分の一番いい状態にすること。それを明日やるだけ」と気持ちにぶれはない。
9日目、大の里が痛恨の敗戦を喫した。
立ち合いから腰高になり、消極的なはたきで墓穴を掘って豪ノ山に押し出された。
支度部屋では、まげを結い直すこともなく、「また明日。集中して頑張ります」と淡々と話し、足早に引き揚げた。
成績次第では、場所後の大関昇進の可能性もあったが、照ノ富士とは4差。高田川審判長は「悪い癖が出た。押し込まれたときが課題」と指摘した。
9日目、しぶとく白星を重ねた。
霧島は立ち合いこそ踏み込めなかったものの、右で前まわしを引いて明生を攻め返す。
「久しぶりにまわしを取ることができたのがよかった」。
すかさず引き付けながら相手を起こし、寄り切った。
大関復帰を目指す今場所。
初日から3連勝と好発進しながら、4日目からの3連敗で失速した。
2桁白星が求められる中、思い通りの立ち合いができず、「もっと当たることができれば、相撲も取りやすい」。
苦悩の日々が続く。
9日目、幕内最年長の前頭9枚目、玉鷲が竜電を下手投げで下し、5勝目を挙げた。
現役中に死去した同部屋の名横綱、玉の海が一度も休場しなかったことを意識して、連続出場記録を伸ばしながら奮闘している。
一人じゃない。
玉鷲は、ご当所で片男波部屋の大先輩横綱と一緒に戦っている気持ちでいる。
鋭い出足から竜電に何もさせず、一気に押し出して5勝目。連敗を3で止め、白星を先行させた。
「(連敗中は)嫌な3日間でしたね。きょうこそ前に出ようと。自分のいいところを出さないと勝てないので」
9日目、平幕の美ノ海が十両で対戦して以来、4年ぶりの顔合わせとなった千代翔馬を下手投げで下し、2敗を守った。
「立ち合いは0点なので。あとは我慢して取れたかなと思います」と粘りの相撲で全勝の照ノ富士を2差で追う。
ただ、美ノ海に優勝争いに加わっているという意識はない。
「関係ないです。(横綱は)負けないんじゃないですか。僕が連勝でむこうが2敗なら考えますけどね。強い方が連勝なので」と笑って受け流した。
9日目、東十両2枚目・尊富士が東十両筆頭・時疾風を押し出して、途中出場から2連勝とした。
持ち前の出足のするどい相撲にも「まあまあです」と表情を変えることなく振り返った。
2024/07/22
中日、立ち合いから格の違いを見せつけるような相撲だった。
照ノ富士は湘南乃海より頭一つ低い姿勢で踏み込んで押し込むと、右を差し、左上手をがっちり。
あっという間に自分の形に持ち込んで寄り立てる。
相手は右からの投げで局面を打開しようとしてきたが、詰めは怠らない。
腰を下ろして押し出した。
初顔合わせの挑戦を盤石の取り口で退け、「落ち着いてじっくりやろうと思っていました。まわしも取れたし、圧力が掛かっていたから良かったんじゃないですかね」と汗をぬぐった。
これで無傷の8連勝だ。
照ノ富士の全勝ターンは横綱昇進以降では4度目。
過去3度(令和3年秋、同年九州、昨年夏)は、いずれも賜杯を抱いている。
中日、会心の一番だった。
大関かど番の貴景勝が1場所での大関復帰を目指す霧島を圧倒。
鋭く踏み込み、引きにも乗じて土俵下まで押し出した。
3日ぶりの白星でようやく3勝目を挙げ、「勝たないといけない。負けるよりはいいと思う」。
表情は引き締まったままだった。
朝稽古では、てっぽうなど基本動作を確認し、筋力トレーニングにも励む。
万全の状態には遠い中、「強くなったり、弱くなったりはしない。自分の力を出せるように準備をするしかない」と真摯(しんし)に土俵と向き合う。
中日目、大の里は足を飛ばした翔猿の奇襲にも冷静だった。
立ち合いの右蹴手繰りにも構わず前進。
鋭い出足で攻め、豪快に土俵下まで押し出した。
4連勝と勢いが出てきて「良かった。目の前の一番に集中するだけ。また明日から頑張っていく」と気を引き締めた。
序盤戦は雑な取り口で黒星が先行したものの、ようやく本領を発揮してきた。
土俵下の粂川審判長は「いろいろと対策されたが、対応し始めている」と評価した。
中日、新小結の平戸海が平幕・明生を寄り切り、5勝目を挙げた。
立ち合いで押し込まれたが左へ回り込んでしのぎ、反撃開始。突き放して押し返し、最後は右差し、左は前みつを引いて土俵外へ運んだ。
「引いて自分で体勢を崩すことが多かった。我慢して引かなかった」。
心掛ける我慢を、土俵上で体現して会心の勝利だった。
中日、西前頭筆頭の熱海富士は左前頭2枚目の若元春を寄り切り、3度目の対戦で初勝利を挙げた。
立ち合いすぐに相手得意の左四つ。
劣勢かと思いきや、左下手をつかんで右は巻き替えを狙いつつ、圧力を加えた。
相手の右上手投げにも崩されず、そのまま寄り切った。
中日、正代が若隆景との2敗対決を制した。
劣勢となった中、出し投げを打たれたが、うまく回り込んで突き落とした。
大関だった2022年名古屋場所以来となる6連勝。
「足がよく動いている。反応もいい」と納得の表情を浮かべた。
後半戦では、役力士との対戦が組まれる可能性も。
優勝経験者の正代は手ごわそうな存在だが、本人は「(戦うのは)嫌だ…。上位の人の方が取っているので、相手はやりやすいかも」と言った。
中日、新入幕優勝を遂げた3月の春場所で右足首を痛め、5月の夏場所から休場が続いていた東十両2枚目の尊富士が途中出場。
1敗だった阿武剋に快勝し、「(観客の多さに)体が硬くなったが、自信を持っていけた」と一息ついた。
関取との稽古は最近再開したばかりで、「(実戦)感覚はないが、やっていくしかない」ときっぱり。
初めて大いちょう姿で土俵に上がり、「慣れてない。髪が伸び続けるので結うしかなかった」と笑った。
2024/07/21
7日目、「満員御礼」の結びで、この日一番の歓声が上がった。
照ノ富士はとったり、肩透かし、出し投げで揺さぶる宇良の攻めをことごとくしのぐ。
「じっくりいこうと思っていた」。
右で下手を引いて動きを止めると、力尽きた相手は土俵を割った。
勝負が決し、敗者を土俵下に追いやることはない。
健闘をたたえるかのように、相手の背中に手を添えた。
膝の古傷に加え、腰や左脇腹などにも不安を抱える。
「痛くないところはない」と言うほど、満身創痍(そうい)で土俵に上がっている。
状態が不安視されたものの、長い相撲にも乱れることなく、初日から7連勝。
「まだ半分以上も残っているから」と慢心はない。
7日目、今場所はかど番の大関貴景勝が、新小結の平戸海に寄り切られた。
5敗目を喫した後は厳しい表情を浮かべながら言葉を絞り出した。
「まぁ、勝たなきゃ何の意味もないんで。また明日からしっかりと準備をしていきます」
平戸海との激しい突っ張り合いは、懐に入られると、休まず前に出る相手の圧力に耐えられなかった。
土俵際へ詰められてそのまま俵を割った。
八角理事長は「稽古が足りないから馬力不足。馬力がないから、相手が余裕をもって取れる」と厳しく指摘した。
7日目、阿炎にとって今場所一番の相撲だった。
立ち合い、もろ手で御嶽海を突き起こすと、そのまま右のど輪を効かせて一気に押し出し。
会心の内容に「一発で持っていくつもりだった」と表情も晴れやかだ。
場所前の稽古はしっかり積めたという。
その要因の一つが、愛知県東海市の錣山部屋の稽古土俵に今年から付いた鉄骨造りの大きな屋根。
昨年まではイベント用の大型テントで土俵を覆っていたが、雨が入ってくることがあり、「立派なものを作っていただき、ありがたい」と阿炎も感謝を口にする。
7日目、じわじわ前に出て、相手を寄せ付けなかった。
大の里が力で圧倒して3連勝。
中日を前に今場所で初めて白星が先行した。
熱海富士に左のまわしを取られて得意の形に持ち込まれたが、大の里は冷静だった。
「腰の重い相手なので勢いに任せるのではなく、落ち着いてしっかり前へ出られた」。
得意の右四つで力強さを見せつけて寄り切り、納得の表情を見せた。
7日目、関脇・霧島が連敗を止めて、4勝目を挙げた。
これまでの対戦成績が8勝8敗と五分の大関・豊昇龍との一番。
立ち合いで力強く踏み込んできた相手に、左へ体をずらしながらいなして引き落とし。
1秒4で決着をつけた。「立ち遅れてしまった感じで、向こうの方が早かったですし、良い出だしではなかったです。内容は良くなかったです」と反省を語った。
7日目、新小結・平戸海が大関・貴景勝を破った。
立ち合いの大関の突っ張りにも後退せず、負けじと突き返した。
途中のいなしによろめきかけたが、持ち前の俊敏な動きで立て直し、最後は右をのぞかせ、左の前回しを取って寄り切った。
「突き合いは想定していた。下から攻めて最後はまわしに手がかかって良かったです。いい相撲が取れたかなと思います」と振り返った。
7日目、平幕・宇良が、7戦全勝とした横綱・照ノ富士を今場所、最も追い詰めた。
立ち合いで押し込まれたが相手右かいなをたぐって回り込む。
そして押し込むと、今度は相手左かいなを肩すかし。
もろ差しから前へ出て、照ノ富士が肩越しに左上手を取りにきても切り、右下手投げを打ちながらさらに回り込んだ。
最後は左を深く差し込まれてバンザイ状態になり、勝負あったが、その奮闘に場内は歓声と拍手に包まれた。
「追い詰めてはないです」。
取組後、言葉少なに応じた宇良はさらに、「自分の力では測れません。相手の力量と対等でなければ測れない。全然足りません」と照ノ富士への敬意から、善戦とは認めなかった。
7日目、湘南乃海が欧勝馬との平幕2敗対決を制して5勝目を挙げた。
夏場所で優勝争いの単独先頭も経験。精神面を上積みし、先場所を上回る快進撃を狙う。
「体がしっかり反応できた」と納得顔で振り返った。
7日目、元大関の平幕・正代が佐田の海を下し、3日目からの5連勝で2敗を守った。
5日以上白星を連ねるのは、大関だった22年名古屋場所以来2年ぶり。
前頭2桁台という陥落後では自身最も低い地位で徐々に存在感を増してきた。
「出足が速かったのがよかった。初日が出てから気持ちも乗ってきた」と会心の内容に充実感を示した。
7日目、8日目の十両の取組が発表され、春場所で新入幕優勝を果たすも、右足首を痛めた影響で夏場所を全休し、名古屋場所は初日から休場していた十両尊富士(25)=伊勢ケ浜=が途中出場。阿武剋と対戦する。
十両から出直しの今場所は東十両2枚目。
全休の場合は幕下に落ちる可能性があった。
尊富士は当初、名古屋入り前に相撲を取る稽古の再開を目指していたが、場所の1週間前に入ってようやく解禁するなど、調整が遅れていた。
幕内優勝経験者の十両転落は史上19人目で、優勝場所から1場所で幕内の座を失うのは史上最速。
記録について「気にしてもしょうがない。これからしっかり前向きにやっていく」と言及していた。
2024/07/20
6日目、横綱照ノ富士は翔猿を押し出し、ただ一人6戦全勝とした。
1敗勢がいなくなり、6日目を終えて首位と後続が2差つくのは1998年春場所以来。
一人横綱が、追随を許さなかった。
照ノ富士は立ち合いの後、二度三度と組み合った体を離されたが、全く動じず。
技を繰り出そうとする翔猿を土俵際に追い込むと、最後は左から投げ付けるかのように押し出した。
技巧派の印象が強い相手にも「(やりにくさは)特にない。微妙なタイミングのずらし方がうまいだけで、変な大技を出したりする力士じゃないから」とものともせず。
自らの相撲に「落ち着いて取れている」と納得の表情を浮かべた。
6日目、大関豊昇龍は、負ければ2年連続の名古屋場所優勝が大きく遠ざかる中、同体取り直しの末に薄氷の白星を拾った。
取組前まで5勝4敗と合口が良くはない宇良に、最初の一番は「一気に攻められてビックリ」と、同体に持ち込むのが精いっぱいだった。
これで目が覚め、取り直しの一番は「何でもいいから思い切っていこうと思った」と、逆に鋭い出足で一方的に突き出した。
「次の相撲に集中して頑張りたい」と、白星を手にして前向きに話していた。
6日目、カド番の大関・貴景勝が4敗目を喫した。
立ち合いから平幕・若元春に頭で当たった。
得意の突き押しで、前に出たが本来の力強さは鳴りを潜めた。
押し切れないと、左ですくい投げを打つも決められず。
体勢を整えた若元春に右上手を許して、最後は送り出された。
「もう(時間は)戻って来ないので明日に向けてやっていきたい」と悔しさをかみしめた。
6日目、新関脇大の里が幕内明生を寄り切って星を3勝3敗の五分に戻した。
取組後は「落ち着いていたので良かったです。どっしり構えて相手の動きに対応できた。連勝できたことが一番良かった。また明日から集中して頑張ります」と表情を引き締めた。
6日目、もがいても、もがいても、前に進めない。
大関復帰を目指す霧島の苦境を象徴するような取組だった。
立ち合いの後、すかさず喉元を目がけて突っ張り始めた。
右、左、右、左…。
手数の多さに、連敗脱出に懸ける思いの強さがにじんだ。
だが、懸命の突きも、重さに欠けた。
今場所の連勝中「いい時は前に足が出ているので、それを忘れず」と話していたが、この日は前に足を運べなかった。
小兵ながら馬力のある平戸海ににじり寄られ、皮肉にも突きを繰り出す度に後退していく。
残す間もなく押し出された。
3連勝の後、3連敗。
支度部屋では付け人を通じて取材を断り、無言のまま引き揚げた。
6日目、中卒たたき上げの新小結平戸海が、度胸の良さで先場所まで大関の霧島に快勝した。
2度突っかけた後で、立ち合いこそ慎重になって押し込まれた。
それでもガムシャラに押し返し、まわしにこだわらず、体を預けて押し出した。
「足が出てよかった。2回、突っかけたけど、思ったよりも踏み込めた。体が動いている」。
10勝以上で大関特例復帰を狙う難敵を破っての五分の星に、胸を張った。
6日目、東前頭13枚目の北勝富士が錦富士を下して3勝3敗の星を五分に戻した。
立ち合いから突き放して一気に押し込むと、左上手を取って右喉輪で押し出そうとするが決めきれず。
土俵際で残した錦富士にもろ差しを許して攻め返されると、最後は倒れ込みながらの右小手投げで勝負を決めた。
攻防のある内容に「お客さん的には盛り上がってよかったんじゃないですか。やっている方はしんどいけど」と苦笑いした。
6日目、平幕若隆景は輝を土俵際まで追い詰め、押し切ろうとしたが、その勢いを逆用されて押し出された。
2敗目となり、全勝の照ノ富士との差を広げられた。
若隆景は「最後の詰めの部分」と繰り返し、不満げだった。
それでも、立ち合いから鋭くいく姿勢は崩さない。
「下がって待つ相撲じゃないので。切り替えてやっていきたい」と語った。
2024/07/19
5日目、2場所連続途中休場明けの照ノ富士が、盤石の内容で豪ノ山を一蹴した。
突き押し自慢の相手に素早く左上手を引くと、右をおっつけて出て力強く押し出した。
6秒7の圧勝劇に「立ち合いから当たれて、その流れでまわしを取れたから良かった」と淡々と振り返った。
花道で左腕を気にするしぐさを見せたが「大丈夫」と問題なしを強調。
初日からの5連勝は、4場所休場明けながら8度目の優勝を飾った昨年夏場所以来となる。
ただ一人の全勝を堅持したが「まだ10日間もあるからね」と泰然としていた。
5日目、カド番大関の貴景勝が連敗を止め、2勝目を挙げた。
序盤戦を黒星先行で終えたが、前へ出る自らの相撲を取り戻しつつある。
立ち合いで押し込まれる場面もあったが、簡単に引かない。
こらえて2本が入ると一気に走った。
土俵際での逆転技もある宇良だが、かまわず出ると、相手の足が俵を割った。
5日目、新関脇大の里は関脇霧島を押し出して2勝目を挙げた。
今場所初めて、持ち味の前に出る相撲で白星を手にした。
2勝3敗と黒星先行で序盤戦を終えたが「気持ちを切らさず、今日勝てたのは大きい」と手応えをつかみ、中盤戦に向かう。
大器が大関復帰を目指す霧島を寄せ付けなかった。
突き、押しで攻めきり、大の里は「状態は良くないので、思い切っていった」と振り返った。
デビューして初めて黒星が先行する展開で苦しみ、兄弟子の白熊は「昨日はめっちゃへこんでいた」と明かす。
八角理事長は「馬力がある。自分の良さを出せているのはいいこと」と転機になることを期待した。
5日目、平幕御嶽海が大関琴桜を下手投げで下した。
御嶽海は2勝3敗。琴桜は2敗目を喫した。
投げの打ち合いとなった土俵際。
御嶽海は右手で琴桜のさがりをつかんだ。
物言いがつく微妙な勝負となったが、その執念が少しの差で白星を呼び込んだ。
「今場所は体が動いている。悪くないんで、負けた相撲も」。
まだ黒星が先行しているが、確かな手応えを口にした。
5日目、三役復帰を目指す平幕翔猿が動きの良い明生を押し出して、2日目から4連勝。
「良い感じに動いている。良い相撲で勝てている」と納得の表情を見せた。
6日目は全勝の横綱照ノ富士と対戦する。
昨年の名古屋場所では3日目に金星を挙げているが、「まあ…。特に変わらないんで」。
闘志を内に秘めながら再度の殊勲を狙う。
元大関で東前頭12枚目、朝乃山が名古屋場所5日目の18日、日本相撲協会に「左膝前十字靱帯(じんたい)断裂、左膝内側側副靱帯損傷、左大腿(だいたい)骨骨挫傷で、現時点で約2カ月間の休務加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
5日目、若隆景は2日目から4連勝。
タイミング良くいなして美ノ海の体勢を崩すと、得意の右を差して一気に寄った。
内容が伴う白星に「一生懸命、いい相撲を取ろうと思った。徐々に良くなっている」と手応えを口にした。
昨年3月の春場所で負った右膝の大けがを乗り越え、幕内に復帰した今場所。
序盤をいい形で終え、「あしたからもしっかり集中して、一番一番、自分らしい相撲を取りたい」と淡々と話した。
腰痛で初日から休場していた東前頭15枚目の千代翔馬が、6日目の19日から出場することが18日、決まった。
宝富士との対戦が組まれた。
5場所ぶりに幕内に戻った千代翔馬は「腰椎椎間板ヘルニア」で6月末に手術を受けた。
2024/07/18
4日目、2場所連続休場明けの横綱照ノ富士が一気の寄りで御嶽海を下して4連勝。
4日目にして早くも単独トップに立った。
3日目終了時点まで全勝は照ノ富士を含め5人いたが、土俵に上がるまでに他の4人にすべて土がつく展開。
さすがに横綱は悪い波には飲まれなかった。
取組後は「良かったんじゃない。まわしが取れたし。ちょっと高かったような印象あるけど」と冷静に振り返った。
4日目、琴櫻が2日目から3連勝と調子を上げてきた。
立ち合いでしっかりと踏み込み、若元春の横への動きにも対処。
もろ差しから一気に出て寄り切った。厳しく、かつ速い攻めを披露し「集中して取れたと思いますし、しっかり反応できた」と満足顔だ。
この日も他の大関が敗れた中で1敗をキープ。
「一日一番切り替えてやっていくことが大事」と言い聞かせるように話した。
4日目、かど番の大関貴景勝が、東前頭4枚目の翔猿に敗れて3敗目と序盤戦で厳しい星数となった。
立ち合いから激しい突き合い。
しかし、右の突きが抜けたところをうまく交わされ、最後は送り投げを食らった。
埼玉栄高の先輩でもある翔猿は「動きはいいです。明日からも頑張ります」と話した。
4日目、大の里が平戸海の注文相撲に不覚を取った。
同じ2000年生まれで、5月の夏場所は真っ向勝負を挑まれて完敗した相手。
次世代のライバル同士と目され、熱戦が期待された一番であっさりと突き落とされた。
夏場所で初賜杯を抱き、成績次第では、今場所後の大関昇進の話題が出る可能性もある中、早くも3敗目。
「毎日頑張るだけ。集中して頑張る」と自らに言い聞かせた。
4日目、平幕玉鷲が金峰山を押し出して連敗を回避し、3勝目を挙げた。
重い金峰山をなかなか押し切れず、差されそうにもなったが小手投げで振りほどいた。
最後まで押しに徹して勝負をつけた。
「止まったら絶対相手が有利になるから」と関取最年長の39歳が攻めきった。
このまま休まず出場を続ければ、来場所2日目には青葉城が持つ初土俵以来の通算連続出場記録(1630回)に並ぶ。
それとは別に、この日は幕内連続出場が976回となり、貴闘力を抜いて単独7位に。
「1000まであと2場所ですか。辞めた後のお酒のいいおかずになる」と、記録を更新していくことも励みになっている。
東前頭12枚目・朝乃山が18日の名古屋場所5日目から休場することがわかった。
この日の朝、師匠の高砂親方が取材対応し「全十字靱帯が切れていた。手術するしかない。『こうなった以上はしっかり治そう』と話した」と明かした。
手術をすれば完治までは半年以上かかる見込みで、関取陥落はほぼ確実となった。
朝乃山は昨年夏場所の再入幕から8場所で6度目の休場。
2024/07/17
3日目、照ノ富士が完勝で無敗を守った。
けんか四つの若元春が相手でも、差し手争いにはこだわらなかった。
立ち合いではじき飛ばすと、相手得意の左四つでも全く寄せつけずに寄り切った。
「意識したのは、ちゃんと当たること。先手を取っていれば左(四つ)でも取れないことはないから」。
前回対戦した初場所では金星を配給した相手に、力の差を見せつけた。
「ここからが大事」と自らに言い聞かせていた。
3日目、大関・貴景勝が2敗目を喫した。
幕内・熱海富士(伊勢ケ浜)に立ち合いで低く当たった。
さらにいなしてはたいたが、勝負を決められず。
組み止められると、最後は寄り倒された。
「あまり覚えてないけれど、ダメだから負けた」と唇をかみしめた。
9度目のカド番で再び黒星が先行した。
「また明日に向けて集中していく」と切り替えた。
3日目、新関脇・大の里が小結・大栄翔をはたき込み、初白星を挙げた。
この日は自身のしこ名の由来となった大ノ里(本名・天内萬助)ゆかりの天内家の当代である天内司さん(71)が観戦。
連覇を狙う今場所はまさかの連敗発進だったが、ゆかりある人の目の前で勝利を届けた。
3日目、関脇霧島が豪ノ山を上手投げで下し、関脇で10勝という特例での大関復帰へ、初日から3連勝と好スタートを切った。
先場所まで豪ノ山との対戦は1勝2敗。
馬力のある相手にリードを許している。
それだけにこの日は慎重だった。
場所前の出稽古で胸を合わせている。
「稽古場と同じ相撲でしたね。しっかりと相手の動きを見て。それがよかった」と上手を取って豪ノ山の動きを止め、さらに頭をつける万全の体勢から勝負を決めた。
3日目、出番前、熱海富士は広い名古屋場所の支度部屋で激しく体を動かしてから花道に向かう。
21歳のみなぎる力は連日、土俵で遺憾なく発揮されている。
この日は貴景勝の当たりを受けた後、いなされ、体が泳ぎかけたものの、そこからが重かった。
素早く向き直って左をのぞかせながら体を入れ替えると、左上手をがっちり。
大関を勢い良く寄り倒した。
体勢が大きく崩れないのは稽古十分な証拠だ。
土俵下で勝負を見届けた高田川審判長も「熱海富士は力が付いている。強いですよ」と高く評価する。
熱海富士は師匠の伊勢ケ浜親方の方針で、相撲に集中するため取組後も報道陣に口を開かないが、テレビの殊勲インタビューでは「前に出られたんで良かったと思います。落ち着いて出られたかな」と柔らかい表情で語った。
3日目、先場所を全休して平幕で出直しとなった朝乃山が、締め込みを変えて心機一転の3連勝だ。
初顔合わせとなった美ノ海は同学年で、高校、大学時代に数回対戦している間柄。
「高校の時から(美ノ海は)左を取ったら強いというのは知ってますから」と右まわしを取らせなかった。
簡単に引かずにこらえて得意の左上手を取って前に出ると、右も差して万全の形に。
「右が深く入ったので体を密着させた。胸を合わせれば大丈夫」と寄り切った。
2024/07/16
2日目、横綱照ノ富士は苦手の明生を圧倒し、そろって勝った3大関とともに上位安泰とした。
鋭い踏み込みから、まわしにこだわらず前に出続けて寄り切り、連勝。
2連敗中で、最近6度の対戦で2勝4敗だった相手を寄せつけなかった。
勝っても反省の弁が口をついた初日の平戸海戦から一転「久しぶりに当たれたから、よかったんじゃないか。2連敗していたけど、相手うんぬんじゃなくて自分の体との戦い」と手応えを口にした。
2日目、9度目の大関かど番の貴景勝は連敗を免れた。
返り小結の大栄翔を一気に攻めることはできなかったが、頭をつけ合った後、タイミングの良いはたき。
「集中して、気持ちだけちゃんと入れてやった」と振り返った。
5月の夏場所は首の古傷が悪化して途中休場。
「千秋楽が終わらないと分からない。やり切った後の結果」と気を引き締めた。
2日目、新関脇の大の里は3場所ぶりの連敗となった。
春場所から2連勝中だった若元春を立ち合いから、突き押しで攻めたが、左差しから左四つを許して形勢逆転され、最後は押し倒されてあおむけ。
土俵に座り込んでショックを隠せなかった。
取組後の支度部屋では「初日よりも前に攻めたけど、相手の形になってしまった」と反省しつつ「残り13日間ある。ここから集中してもう一度、しっかり考えて自分の相撲が取れるように」と切り替えを強調した。
2日目、東前頭2枚目・若元春が関脇・大の里を破った。
立ち合い、もろ手で突いてきた相手の圧力に土俵際まで追い込まれるが、得意の左差しが入り形勢逆転。
大の里が引いたところで一気に前進し、最後は右手1本で押し倒した。
取組後は「たまたまですね。土俵際では焦ったが、体に染みついているものが出せた」と振り返った。
大の里には直近2場所で連敗中だったが「今日の勝ちはたまたま拾った勝ち。来場所も当たると思うので、次に向かっていきたい」と元関脇の実力者は今後のさらなる対戦を見据えた。
2日目、人気力士の宇良が連勝発進した。
同じ出身地の「大阪・寝屋川対決」となった豪ノ山に対し、押し込まれたが土俵際で、屈伸運動のように膝を曲げて残すと、きれいに二本が入った。
そのまま、対角線を走り、寄り切った。
先場所は初日から6連勝も、7日目から8連敗で負け越し。
ファンは先場所の二の舞いは踏まずに白星を並べることを願っている。
2日目、大関経験者で東前頭12枚目の朝乃山が、3場所ぶりに連勝発進を決めた。
取組前まで10勝3敗と合口の良い北勝富士を破り、初日から7連勝した初場所以来の好スタートを切った。
先場所は直前の春巡業で右膝を負傷し、全休した。
錦木をすくい投げで破った初日は、3月の春場所14日目に、優勝が懸かっていた尊富士戦で挙げて以来の白星だった。
取組後は「踏み込んでいけたけど、先に右を差されて、焦って巻き返す形になった」と、手応えと課題が入り交じった内容だったと自己分析した。
2日目、平幕若隆景は狼雅を相手に右を差し、左を巻き替え万全の体勢に。
間髪入れず前へ出て押し出した。
幕内では2023年春場所13日目の小結琴ノ若戦以来、479日ぶりの白星だった。
「やっと戻ってきたなという気持ちです。早く幕内の土俵で取りたいという思いでやってきたので」
勝った瞬間に一段と大きくなった拍手。
「ようやく戻ってきたんだと改めて実感した。また明日に向けて気を引き締めてやっていこうと思います」。
幕内優勝も果たし、今もけがさえ治れば大関候補。
目指すところはまだ先にある。
2024/07/15
初日、2場所連続休場から再起を目指す横綱照ノ富士は新小結平戸海を寄り切り、白星スタート。
貴景勝、豊昇龍、琴桜の3大関に次々と土がつく波乱の初日。
そんな悪い空気を横綱が見事に振り払った。
「初日だし、きょうはちゃんと締めたいなと思ってました」
平戸海に食い下がられてまわしが引けず、抱え込んで攻めあぐねた。
だが左上手を引くと、これで万全。
余裕を持って寄り切った。
初日、大関かど番の貴景勝は力なく明生に屈した。
頭で当たり、突き放そうとしたが、前まわしをつかまれて封じられる。
引いて呼び込み土俵を割り、「負けたので駄目だった」と淡々と言った。
休場明けで、首の古傷に不安を抱える。
9度目の窮地脱出に向けて厳しいスタート。
「集中してやっていきたい。やることをしっかりやりたい」と切り替えに努めた。
新関脇・大の里の初日に土がついた。
初顔合わせの御嶽海との立ち合いで得意の右を差せず。
元大関に左差しを許すと、一気に押し出された。
「(立ち合いは)ダメだった。修正して頑張ります」と言葉少な。
中学時代から「目標にしていた」アマチュア横綱の先輩に完敗。
連続優勝かそれに準ずる成績ならば大関昇進の可能性があるだけに「明日へしっかり切り替える」と強調した。
初日、関脇霧島が10勝以上での大関特例復帰に向けて、好発進した。
取組前まで6勝7敗と合口の良くなかった高安に粘り勝ち。
首を痛めて大関で2場所連続して負け越した先場所までとは違い、相手の突きにもひるまなかった。
何度も低い姿勢から組みつき、最後は寄り切り。
「先場所までの2場所は初日に負けていたのでよかった。『ここで緊張してどうする』と気持ちをコントロールして戦えた」と、心身充実をうかがわせた。
初日、再小結・大栄翔が大関・琴桜を破って白星発進とした。
立ち合い当たってすぐに少し右へずれると、左おっつけ右喉輪で一気に前に出て相手の右への回り込みも許さず押し出し。
「前に出る良い攻めができた。初日にしては良い相撲取れた」と会心の内容だった。
2場所連続で初日に琴桜と顔が合い、2場所連続勝利。
今年に入ってから4場所連続で場所前には佐渡ケ嶽部屋へ出向いて胸を借りており「良い稽古させてもらったので、稽古場で良かった相撲を取ろうと思った」と本場所の一番に生かした。
初日、東前頭筆頭の明生がかど番の大関貴景勝を押し出して白星発進した。
9度目のかど番となる貴景勝は厳しい初日となった。
立ち合い、大関が突き放しにくるが、明生が右前まわしを取って動きを封じる。
まわしを切られてもかまわず前に出て、貴景勝の上体を起こして一気に押し出した。
先場所は西前頭5枚目で10勝5敗の好成績で三役復帰に王手の地位まで番付を上げた。
「前に出る相撲がとれました。しっかり当たるだけであとは体が動いてくれるなと何も考えずにいけた。小手投げにしっかり対応していけました。(名古屋は)勝っているイメージはある。いい相撲をとっていきたい」と話した。
初日、西前頭筆頭の熱海富士が、先場所も初日に対戦して勝利した大関豊昇龍を“連破”した。
右四つの展開。
先に両まわしを許した大関に攻めたてられたが、じっくりと構えた熱海富士ががっぷりに組み、体を生かして圧力をかけて寄り切った。
念願の三役昇進を目指す熱海富士は、最高のスタートを切った。
初日、平幕の御嶽海は、先場所覇者の新関脇大の里を出足鋭く押し出した。
3大関は全て敗れ、2場所続けて初日に大関陣総崩れとなった。
悲鳴とどよめきを巻き起こしながら御嶽海が、大の里を完封した。
低い立ち合いで密着して相手の必殺の右差しを許さず、電車道の押し出し。
優勝3度の大関経験者の意地が、先場所で史上最速の入門から7場所で賜杯をつかんだニューヒーローをねじ伏せた。
「しっかり集中して、自分の相撲が取れた。自分のことだけ考えて、自分のできる範囲で」と冷静に振り返ってから「(大の里は)若手だし、緊張してただろうから」。
相手を気遣う余裕が、完璧な内容の証拠だった。
初日、休場明けの土俵で、朝乃山が新たな装いで幸先の良いスタートを切った。
これまでの黒や紫とは印象が異なる鮮やかな緑の締め込みを初めて着用して土俵に上がり、「着けてる僕も明るくならないといけない」と決意を示した。
右膝に不安を抱えながらも、再び上を目指すため、心機一転で真夏の土俵に向かう。
4カ月ぶりに朝乃山が土俵に上がると、明るい締め込みが輝き、会場から大きな歓声が沸いた。
立ち合いで鋭く踏み込み、錦木の出足を止める。
左上手を取れず、浅いもろ差しを許したが慌てない。
巻き替えを狙った右をねじ込み、すくい投げを決めた。
14日、大相撲名古屋場所を初日から休場した東前頭15枚目千代翔馬が提出した診断書を公表した。
千代翔馬は6月28日に腰椎椎間板ヘルニアの手術を受け、「安静を要するため、7月14日から28日の名古屋場所は休場とする」との内容だった。
14日、大相撲名古屋場所を初日から休場した東十両2枚目尊富士が提出した診断書を公表した。
尊富士は右足関節の外側側副靱帯(じんたい)損傷で「12日より2週間の加療を要する」との内容だった。
2024/07/14
2場所連続休場から再起を懸ける横綱照ノ富士は13日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で最終調整し、本場所で使用する紺色の締め込みで汗を流した。
立ち合いからの動きを入念に確認。
稽古後は見学に訪れた知人と談笑するなどリラックスした様子だった。
場所前に相撲を取った日数は少なく、師匠の伊勢ケ浜親方が「稽古量が物足りない」と懸念する状態。初日は5日の出稽古でぶつかった新小結平戸海の挑戦を受ける。
連続優勝を目指す関脇・大の里が13日、愛知・安城市にある部屋で稽古を行った。
四股やすり足など基礎運動をこなした。
「場所前の調整はいい感じにできた。初日、そして前半戦が大事だと思っている」とうなずいた。
夏場所後は優勝パレードや役力士としての仕事もあったが、「忙しいといえば忙しかったがしっかり稽古ができた」と手応えは十分だ。
1場所での大関復帰を期す関脇霧島が13日、名古屋市内の部屋で四股など基礎運動を中心に約1時間、最終調整した。
濃い紫色の新しい締め込み姿を披露。
初めて本場所で着用することを明かした。
濃い紫は、実は縁起のいい色だ。
先代師匠の陸奥親方が1991年初場所で初優勝した時も着けていた。
「色を決める時は先代と一緒に決めた。こういう色の方がいいかなって」と説明。
大事な場所を前に2代目も、くしくも同じ色をチョイスした。
首痛の影響で大関から陥落。
ただ、今場所前は出稽古も重ね「先場所前より稽古できている。気持ち的に焦りはない」と手応えはある。
初日は高安、2日目は御嶽海と対戦。
元大関の2人を退け、大関復帰へのスタートダッシュを決める。
13日、大相撲名古屋場所を前日に控え、名古屋市中川区の荒汐部屋で調整稽古を行った。
この日は本場所用の締め込みを着用。
四股などの基礎運動で汗を流した後、三段目・寛龍を相手に一丁押しを13本行い、立ち合いの感触を入念に確かめた。
名古屋入り後は他の部屋の役力士とも充実の稽古を積んでおり「場所始まってみないと分からないけど、コンディションは良いかなと思います」と好感触を得ていた。
先場所を全休した朝乃山は東前頭12枚目で復帰の土俵に臨む。
4月に右膝を負傷し、本土俵に上がるのは4カ月ぶりとなる。
復帰戦の相手は元小結の錦木となる。
腰の重いベテランだが、朝乃山が今年の初場所、春場所と2連勝している。
日本相撲協会は公式ユーチューブチャンネルで、朝乃山が荒汐部屋に出稽古した際の動画を公開。
対戦の可能性がある元関脇若隆景や、若元春らと激しく相撲を取っている様子が紹介され、朝乃山は「準地元力士なので、精いっぱい頑張る」とメッセージを寄せた。
13日は会場で土俵祭りが営まれ、審判部の親方衆らが15日間の安全を祈願。
会場前には朝乃山らののぼりが掲げられ、本番へ熱気が高まった。
1年ぶりの幕内復帰を果たした東前頭14枚目の若隆景が13日、名古屋市中川区の荒汐部屋で調整稽古を行った。
この日は本場所用の青色の締め込みを着用し、まずはすり足や鉄砲などの基礎運動。
そして幕下・丹治を相手に一丁押しを8本行い、おっつけで下から攻める形も何度か確認した。
名古屋入り後は、出稽古に訪れた大関・豊昇龍や関脇・霧島、幕内・朝乃山らと連日のように稽古を積んでおり「良い稽古できた。しっかり準備してきた分、明日から力を出していければ」と充実感を得た。
大相撲名古屋場所は14日、初日を迎える。
13日は会場のドルフィンズアリーナで恒例の土俵祭が行われ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)らが土俵の安全を祈願した。
13日、名古屋場所初日から休場する十両尊富士は部屋で体を動かした。
師匠の伊勢ケ浜親方は状態次第で途中出場の可能性を示唆しているが「出たい気持ちはあるけれど、親方の判断もあるので」と複雑な胸中を明かした。
春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾ったが、痛めた右足首の回復に時間を要しており、今場所の成績次第では幕下転落の可能性がある。
2024/07/13
12日、大相撲名古屋場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
夏場所で初優勝した新関脇・大の里は、初日に西前頭2枚目・御嶽海、2日目に東前頭2枚目・若元春と対戦。
今場所も賜杯を抱けば一気に大関昇進の機運が高まる可能性がある。
大の里が愛知・安城市の部屋宿舎で調整。
本場所仕様の青色の締め込み姿で、四股やてっぽうで汗を流した。
新関脇は連続優勝か、それに準じる好成績なら一気に大関昇進を引き寄せる可能性が出てきそうだ。
初日の御嶽海とは初顔合わせで、稽古場でも胸を合わせた経験はないという。
元大関との対戦を知ると少し驚いた様子で「初めてですね。一日一番集中して頑張ります」と静かに闘志を燃やした。
12日、愛知・蟹江町の部屋での稽古で、明るい緑色の締め込みを初めて着用。
これまでは黒、紫と、落ち着いた色合いの締め込みで本場所や巡業に臨んでいたが、全く異なる系統の色で今場所を戦い抜くことを決めた。
稽古後、当初は報道陣に「これ、似合ってないですよね?」と、自信なさそうにたずねていた。
それでも「せっかくいただいたものなので、思い切って変えてみようと思って」と、自らに言い聞かせていた。
初日から休場と発表されました。
2024/07/12
2場所連続休場中の横綱照ノ富士が大相撲名古屋場所に出場することが11日、決まった。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言し「稽古量は物足りないが、責任感が強い。最後までしっかり取り、優勝を目指してやらないといけない」と語った。
大関・貴景勝が11日、9度目のカド番で迎える名古屋場所へ向けて最終調整を行った。
この日は名古屋市内の部屋宿舎で四股や筋力トレーニングを行った。
先場所は古傷の首の痛みが原因で、2日目から途中休場。
首の状態については言及しなかったが、この日の稽古では首を気にする仕草はほとんど見せず「あとは調整するだけ」と語った。
4日には愛知・大府市の芝田山部屋へ出稽古に出向くなど稽古を積んできた。
初日まで残り3日と迫り「場所で集中してやるだけ」と意気込んだ。
関脇霧島は11日、名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に出向き、大関琴桜、同じく出稽古の小結大栄翔らと計15番取って11勝4敗だった。
琴桜とは2勝2敗で、左差し手を返して力強く寄り切る相撲もあった。
動きも素早く「ここでやったことを場所で出せれば」と手応えを口にした。
直前に調子を崩した最近2場所と違い、今場所は「頭でもちゃんと当たれているし、何よりここまでけがなくやってこられた」との自信がある。
2桁勝利で大関に戻れるが「10勝じゃなく、優勝が目標」と力強かった。
新小結に昇進した平戸海は「気持ちの面も強くなってきた。自信がついてきた」。
厳しい稽古で知られる境川部屋で鍛えられた。
試練の日々が実を結びつつある。
2016年春場所で初土俵を踏んだ中卒たたき上げの24歳。
同じ長崎県出身の師匠、境川親方の最高位に並び、「一つの夢だった。超えられるように頑張りたい」と目を輝かす。
名古屋入り後も充実した稽古を積んでいる。
5日には立浪部屋に出稽古し、番数を重ねた。
同じく出稽古に来た横綱照ノ富士に指名されて胸を借りた。
「雰囲気にのまれるな」と助言も授かりながら、懸命に攻める。
何度はね返されても、正攻法を貫いて前に出た。
2024/07/11
横綱・照ノ富士は10日、名古屋市の部屋宿舎で名古屋場所に向けて稽古を行った。
相撲は取らず、すり足やゴムチューブを使ったトレーニング。
その後は土俵外で幕内・宝富士を相手に立ち合いの確認をした。
稽古後の取材には応じなかった。
5日は名古屋市内の立浪部屋に出稽古し、新小結・平戸海を相手に11番。
状態は「徐々に良くなっている」と話していた。
分厚いサポーターを着ける両膝には不安を抱えており、この日は椅子代わりのビールケースに腰を下ろす時間も長かった。
宝富士によると前日も同様に土俵内でのぶつかり稽古を行ったという。
左脇腹痛などによる2場所連続休場からの復帰に向け、慎重な調整が続く。
新関脇の大の里が10日、場所前初の出稽古として名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に赴き、計21番取った。
関脇霧島らと15番をこなした後、大関琴桜とは3勝3敗と互角の勝負。
「すごくいい稽古ができた。感覚的にいいものをつかんだ」と充実感をにじませた。
関脇霧島が10日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、大関復帰に向けて復調を印象づけた。
同じく出稽古に来た関脇大の里、小結大栄翔らと精力的に稽古し、計15番で8勝7敗だった。
大の里には2勝4敗だったが、勝った2番はいずれも、前まわしを引き、頭をつけて一気に寄り切りと持ち味を発揮。
勝敗以上に状態の良さを印象づけた。
「体の動きも良くなってきた」と、手応えを口にした。
名古屋場所は「みんなに優勝のチャンスがある。自分も3度目の優勝を目指すつもりでやる」と、力を込めて話した。
十両・尊富士が10日、名古屋市内の部屋宿舎で名古屋場所に向けて、相撲を取る稽古を再開した。
幕下以下の力士を相手に頭からぶつからず、立ち合いを受け止める形で4番を取った。
その後は土俵外でぶつかり稽古をしながら、立ち合いの動きを確認した。
「状態もわからないので、いろいろ確認しながらです」と語った。
3月の春場所で110年ぶりとなる新入幕優勝の快挙を果たしたが、14日目の取組で右足首を負傷。
その影響で5月の夏場所は全休を余儀なくされた。
この日は稽古中に師匠の伊勢ケ浜親方と5分近く話込む場面もあり「出場する方向でいます。
『状態は大丈夫です』と伝えて、いろいろ話しました」と説明。
出場の判断は場所直前に師匠と行う予定だという。
2024/07/10
名古屋場所を前に、佐渡ケ嶽部屋の大関琴櫻関が8日、各務原市那加手力町の手力雄神社を訪れ、戦勝祈願をした。
第53代横綱の祖父も訪れたことのある神社に足を運んだ琴櫻関は「たくさんの人に応援してもらっている。力に変えて、いい報告ができるようにしたい」と決意を新たにした。
9度目のかど番で臨む大関貴景勝が9日、名古屋市天白区の常盤山部屋で稽古し、途中休場明けの今場所の出場を明言した。
数日前に熱中症のような症状で体調を崩し、相撲を取る稽古は控えているという。
それでも「問題ない。場所に向けて頑張るだけ」と気迫をにじませた。
先場所は古傷の首の痛みで2日目から休場。
この日は四股やてっぽう、上半身の筋力トレーニングなどに励んだ。
「今、焦ってもしょうがない。5、6月にやることはやってきた」と冷静に語った。
師匠の常盤山親方は「ぶっつけ本番でも出ないと」と悩ましそうに話した。
小結・大栄翔が9日、愛知・名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、12番相撲を取った。
追手風部屋は全44部屋の中で名古屋市内から最も遠い三重・鈴鹿市に宿舎があり、佐渡ケ嶽部屋までの道のりは約63キロ。
この日は朝6時半頃に宿舎を出発して、1時間40分を要したという。
これまでは移動時間を考慮して名古屋場所前は出稽古に出向くことはなかったが、前日には50キロ離れた愛知・東海市にある錣山部屋への出稽古も敢行。
「部屋の力士は強い人たちがそろっていますけど、みんな30歳を超えてケガもあるし、毎日稽古をできなくなってきたので、若い子ときつい稽古をしないといけない」と狙いを明かした。
この日は幕内力士の申し合い稽古で琴勝峰、王鵬、豪ノ山、錦木の4人を相手に計8番。
最後は大関・琴桜の指名を受けて4番相撲を取った。
得意の突き押しも健在で「今日もいい稽古はできている。このままこの調子でいければ」と語った。
王鵬が9日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、10番相撲を取った。
幕内力士の申し合い稽古では琴勝峰、大栄翔、豪ノ山、錦木の4人を相手に計8番。
最後は大関・琴桜の指名を受けて2番相撲を取った。
名古屋入りをしてからは精力的に出稽古しており「最初に比べたら体が動くようになっていると思います」と状態は上向きだ。
稽古途中では右眉の上部から出血。
本場所の取組でも目元付近から出血することがあり「自分がズレてしまっただけです。僕の悪いクセなので、血が出ていない時の方が調子いいと思っていて、真っ直ぐ当たれているということなので。疲れてくると横を向いてしまいます」と説明した。
2024/07/09
横綱照ノ富士は8日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、幕内錦富士らと9番取った。
左脇腹痛などで2場所連続休場中。
14日の初日まで1週間を切った名古屋場所へ、今後の調整内容が重要となりそうだ。
稽古後は報道陣の取材に応じなかった。
両肘と両膝にテーピングを施し、基礎運動の後は立ち合いからの流れを確認。
幕下の若手力士に土俵際の残り方を実演し、助言していた。
錦富士を鋭い当たりで一方的に寄り切る場面もあった。
今場所に向け「最善を尽くす」と話していた照ノ富士。
5日には出稽古に赴くなど、地道に調整を続けている。
師匠の伊勢ケ浜親方は出場可否を明言せず「本人はやれることをやっている」と語るにとどめた。
右膝のケガで大相撲夏場所を全休した東前頭12枚目・朝乃山が8日、愛知県蟹江町の高砂部屋で、出稽古にきた西前頭15枚目・狼雅、弟弟子の西十両4枚目・朝紅龍と計13番の申し合いを行った。
4月25日の春巡業木更津場所で、右膝関節内側側副靱帯を稽古中に損傷。
他の部屋の関取との申し合いは右ヒザ負傷後、初めてで、名古屋場所へ向けた調整ペースを上げてきた。
「必死に取っています。下がって取ると危ないと思うので、攻めて前へ出る相撲を取ります」と2場所ぶりの出場へ意欲を見せた。
元幕内の十両伯桜鵬(20=伊勢ケ浜)が8日、名古屋場所に向け、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で幕内の熱海富士、錦富士らとの申し合いを行った。
先場所は右腕の負傷などで途中休場から再出場も負け越し。
一時は落ちたという体重も戻り「状態は良くなってきた。いい稽古ができている」と充実感を漂わせた。
新入幕だった昨年の名古屋場所ではざんばら髪で千秋楽まで優勝争いを演じ、敢闘賞と技能賞を獲得。
「名前を覚えてもらった」と感慨深げに語る。
8月で21歳になるホープは「番付は下がったが、十両で優勝争いをして、また幕内で活躍したい」と再起を期した。
尊富士(25=伊勢ケ浜)が8日、十両転落で臨む名古屋場所へ「出る方向ではいる」と出場の意向を明言した。
110年ぶりの新入幕優勝を果たした春場所の14日目に右足首を負傷。
回復が遅れ、先場所は全休していた。
まだ相撲を取る稽古は再開できていないが、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で患部にサポーターを施し、ぶつかり稽古やすり足などに励んだ。
今場所はぶっつけ本番になりそうだが「(出場への)気持ちはずっと変わらない。気負わず、自分が今やれることを精いっぱいやるだけ」と意気込んだ。
名古屋場所の新弟子検査が8日、名古屋市内で行われ、昨年の国体成年個人優勝で日大出身の川渕一意(かわぶち・かずま)(22)=大阪府出身、木瀬部屋=ら受検した4人全員が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
2024/07/08
古屋場所を控えた6日、横綱照ノ富士が名古屋市の熱田神宮で奉納土俵入りを行った。
太刀持ちに同じ伊勢ケ浜部屋の熱海富士、露払いに翠富士を従えて不知火型を披露。
約5000人の見物客を沸かせ、「暑い中、見に来てくれた方がいるのはありがたい」と語った。
1月の初場所で復活優勝を遂げた後、2場所続けて途中休場。
10度目の優勝を狙う名古屋場所に向け、「最善を尽くしてやっている。いい成績が残せるように、できることを考えてやっている」と述べた。
土俵入りの前には、照ノ富士に加え、琴桜、豊昇龍、貴景勝の3大関や八角理事長らが参拝した。
大関琴櫻は7日、名古屋市西区の部屋で出稽古に来た幕内王鵬らを相手に12番取って9勝3敗だった。
14日に初日を迎える名古屋場所へ着々と調整を進めている。
悲願の初優勝に向けて「変わらずにやり切るだけ。優勝したら、またその先も見えてくる」と静かに闘志を燃やした。
準備運動の際は左足に足袋を履き「少し割れてしまった」と説明。
相撲を取る際にはテーピングを施したが、動き自体に問題はなかった。
日曜日とあって見学客の中には子どもも多く、稽古後は丁寧に写真撮影やサインに応じていた。
名古屋市内も猛暑が続く。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方によると、熱中症で相撲が取れない状態にならないよう、番数を普段より抑えているという。
「まずは暑さに勝つのが最優先。15日間を闘い抜かないといけない」と語った。
大関豊昇龍が愛知県扶桑町の境川部屋に出稽古し、順調な調整ぶりを示した。
扇風機の風に時折当たって涼みながら、新小結平戸海、同じく出稽古の関脇霧島と18番連続で取って12勝。
「いい稽古ができた。しっかりこのままやっていきたい」と話した。
元気のいい平戸海を2度もつり落とすなど力強い内容だった。
「いい感じ。優勝したいね。けがしないことを大事にしたい」と気を引き締めた。
5月の大相撲夏場所で初優勝した新関脇大の里の祝賀パレードが7日、出身地の津幡町中心部で行われ、沿道に詰め掛けた2万5千人(町発表)が祝福した。
師匠の二所ノ関親方とオープンカーに乗り込んだ大の里は「思い出のある道をパレードできて感慨深い」と喜び、14日初日の名古屋場所へ気持ちを新たにした。
紋付きはかま姿の大の里は午後4時半に町文化会館シグナスを出発し、町役場までの約1キロを30分ほどかけて移動。
沿道からの声援に手を振って応えた。
町役場前で開かれた報告会では「名古屋場所では、もう一度(優勝を)目指して頑張りたい」と決意を語った。
名古屋場所で1場所での大関返り咲きを目指す関脇霧島が、精力的に出稽古を重ねている。
6日は愛知県扶桑町の境川部屋で新小結平戸海、同じく出稽古の大関豊昇龍らと8勝4敗。
「やっと調子が戻った感じがする。こういう稽古をやっていたら問題ないと思う」と手応えを口にした。
陥落の一因となった首の痛みは快方に向かい、2日間の荒汐部屋、立浪部屋と4日連続の出稽古。
「やっぱり当たらないと相撲が取れない。そこから前に出ること」と語る。
師匠の音羽山親方は「昨日より今日と良くなっている。当たりをもう少ししっかりしていけばいい」と評した。
霧島は「子供から『パパ優勝してね』と言われている」と意気込む。
大関復帰の条件となる2桁勝利だけでなく、賜杯を狙っていく。
名古屋場所に向け、新小結の平戸海が6日、愛知・扶桑町にある部屋で18番の相撲を取った。
出稽古に訪れた大関・豊昇龍、関脇・霧島らと7勝11敗。
負け越しはしたものの、右を差して寄るなど得意な形で存在感をみせた。
「考えてというより思い切りいこうと思った」と振り返った。
前日5日は立浪部屋へ出稽古。
猛暑の中、横綱・照ノ富士、豊昇龍、霧島らと28番の相撲を取っており、2日で計46番相撲を取った。
師匠の境川親方が同部屋で豊昇龍らに声をかけ、実現した。
平戸海は「ありがたい。いい稽古が出来た」と同親方と応じてくれた豊昇龍らに感謝した。
夏場所を自身初めてけがで全休した幕内朝乃山が6日、平幕下位では異例の番数となる可能性のある優勝経験者対決に意欲を見せた。
同日は、愛知県蟹江町の高砂部屋宿舎での朝稽古でてっぽうや若い衆に胸を出すなどして調整した。
6月下旬の稽古で右目上を負傷して7針縫ったが、経過が順調なら週明けに出稽古を解禁。
「できることをしっかりやる」と、好取組をイメージして仕上げていく。
遠藤は酷暑が続くなか、7日は三重・鈴鹿市の追手風部屋で部屋の小結大栄翔、幕内翔猿らと14番(7勝)取った。
黙々と続ける根気強さが、心を磨く。
大相撲元幕内木村山の岩友親方、木村守(きむら・まもる)さんが6日未明、療養中の病院で死去した。
日本相撲協会が同日発表した。
42歳だった。関係者によると、心臓の病気で入院していた。
葬儀・告別式は未定。
和歌山県御坊市出身。
和歌山・箕島高から東洋大を経て春日野部屋に入門し、2004年春場所初土俵。
相手との間合いをうまく取る突き押しを武器に、08年初場所新十両、同年名古屋場所で新入幕を果たした。
幕内在位16場所で、最高位は西前頭7枚目。
14年初場所限りで引退し、春日野部屋付きの親方として後進を指導。
名古屋場所の担当親方を長く担った。
相撲協会の公式ユーチューブでは軽妙な語り口で大相撲の魅力を伝え、ファンの人気を集めた。
l 2024/07/05
4日、愛知県大府市の芝田山部屋へ、名古屋場所に向けた初の出稽古を行い、十両・島津海と連続10番取った。
8勝2敗の内容は、最初の3番こそ立ち合いから押し込まれる場面があったが、徐々にエンジンがかかると、前へ圧倒する取り口が増えた。
残り9日間の稽古で仕上げていく。「なるようにしかならない。初日に合わせることだけ考えていく」。
迷いのない表情で言い切った。
4日、愛知県安城市の二所ノ関部屋で稽古し、十両白熊らと14番取って10勝4敗だった。
鋭い出足の一方、四つ相撲で劣勢に回る場面もあったが「しっかり追い込めた。先場所がいい結果で今場所はすごく大事だが、細かいことは気にせず伸び伸びやっていく」と充実の表情で話した。
仕上げのぶつかり稽古では、まわし姿の師匠の二所ノ関親方の胸を借りた。
腰の重い親方を何度も押しては転がって砂にまみれ「すごくきついが、ありがたい。自分の押しはまだまだと思った」と感謝した。
1場所での大関復帰を期す関脇霧島が4日、名古屋市内の荒汐部屋へ2日連続で出稽古し、復調の手応えをのぞかせた。
関取衆と13番の申し合いで10勝。
持ち味のまわしをとって素早い動きで攻める内容が多く「前より稽古ができているかな。だいぶ体がよくなっている。これから本当に楽しみ。調子が戻ったら負けないという気持ち」と力強く話した。
新三役となった小結平戸海は4日、愛知・扶桑町の境川部屋で幕内佐田の海、十両妙義龍、対馬洋と関取衆との申し合い(勝った者が何度も取る)で、最初の一番から13連勝するなど16勝2敗と気を吐いた。
初土俵から約8年半で三役となり「頭が起きなくなってきたし、自分でも力がついてきたと実感できる」。
立ち合いの鋭い踏み込みから左前まわしを取り、右差しから一気に走る速攻相撲を磨く。
5月の夏場所で初優勝を飾った新関脇大の里とは同学年で、先場所は平戸海が快勝した。
昨年の名古屋場所以来となる幕内上位に番付を上げた御嶽海が4日、出羽海部屋と同じ愛知県犬山市に宿舎を構える時津風部屋へ出稽古した。
久しぶりの上位に「緊張してますよ」と話したが、目指すことは決まっているのでぶれることはない。
尊富士、大の里とちょんまげ力士の優勝が続いている状況にも「(意識は)もうないかな。前だったら若手に負けないっていうのあったけど。若い力士が場所を盛り上げてほしいですね」と自身のことに集中する。
4日、名古屋場所に向けて愛知・大府市の芝田山部屋へ出稽古し、同じく出稽古にきた幕内一山本、十両島津海と計17番取った。
うだるような猛暑の中で「スタミナが奪われた」といい、後半は一方的に押し出される場面も。
「急に暑くなって、準備ができていなかった。慣れていかないと」と苦笑いした。
元関脇の実力者は夏場所の2場所ぶり勝ち越しで東前頭6枚目に上昇。
2日に結婚を発表した妻からは「絶対に戻らないとね」と三役復帰へハッパをかけられているといい「しっかり稽古して、上がるしかない」と意気込んだ。
2024/07/04
2日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で幕下力士と8番取り、名古屋場所へ始動した。
左脇腹痛などで2場所連続休場中。稽古後は報道陣の取材に応じなかった。
照ノ富士は関取衆が申し合いを繰り広げる中、四股やてっぽうなどの基礎運動でじっくりと汗を流した。
左右の肘と膝にサポーターを施して土俵に上がり、立ち合いからの流れの確認や土俵際で寄りを残す動きなどを何度も繰り返した。
この日の稽古中には師匠の伊勢ケ浜親方と言葉を交わす場面もあった。
腰や両膝などにも不安を抱えるだけに、慎重な調整が続きそうだ。
3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋宿舎に出稽古に来た王鵬や錦木らと12番取った。
厳しい暑さの中、得意の右四つやもろ差しに持ち込むなど、持ち前の圧力を生かして全勝。
「できる限りのことをやってから場所に臨むことができればいい」と決意を示した。
大関3場所目となる名古屋場所で初優勝を狙う。
横綱だった祖父のしこ名を継承して臨んだ5月の夏場所は、11勝4敗と4場所連続で2桁白星に到達しながら、賜杯には届かなかった。
「やることは変わらない。そこ(優勝)に向けてしっかりやっていく」と意気込んだ。
9度目のカド番で迎える大関・貴景勝が3日、相撲を取る本格的な実戦稽古を再開した。
この日は名古屋市内の部屋宿舎で同部屋の幕内・隆の勝と12番取った。
先場所は古傷の首の痛みが原因で、2日目から途中休場となった。
だがこの日の稽古では、立ち合いで頭から当たる場面もあった。
久々となった相撲を取る稽古の自己評価は「別に普通ですよ。しっかり体を動かそうという感じで」と多くは語らなかったが、名古屋場所に向けてはひとつ明るい材料となりそうだ。
患部の首の状態についても「大丈夫」と語った。
今後は「調子を見ながら」と自らの体と相談しつつ、徐々にペースアップをしていくもよう。
カド番脱出がかかる勝負の15日間に向けては「頑張るだけです」と短い言葉に決意を込めた。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、関取衆の申し合いに参加した。
この日は関脇・霧島と十両・北の若も出稽古に訪れており、荒汐部屋の幕内・若元春と若隆景の三役経験者2人も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
6月中は部屋で稽古を積んでおり、関取衆との実戦稽古はこの日が夏場所後初めて。
「幕下とは桁違いに速くてびっくり。幕内のスピード感に慣れるように」と苦笑いしながらも少しずつ感覚を取り戻した。
大関とりの足固めを目指す関脇大の里が3日、師匠の二所ノ関親方の38歳の誕生日に合わせて「名古屋の稀勢の里超え」を目標に掲げた。
師匠は、大関時代の2016年の12勝が最多。
関取として最初で最後のドルフィンズアリーナでの15日間で、ハイレベルな優勝争いを目指す。
夏場所、12勝3敗で史上最速の初土俵から所要7場所で初優勝したが、師匠を教訓に満足していない。
「親方も『12勝3敗で優勝できなかった』と言っていたし、13勝2敗で優勝できなかった時(同年春、夏など計6場所)もあった。一日一番、集中して頑張りたい」
この日は愛知県安城市の部屋宿舎での朝稽古で、十両白熊を相手に7勝2敗など相撲を取る稽古を再開。
「追い込まないといけない時期なので」と暑さに負けず、仕上げていく。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、計16番取った。
この日は関脇・阿炎と十両・北の若も出稽古に訪れており、荒汐部屋の幕内・若元春と若隆景の三役経験者2人も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
首のケガによる途中休場を含む2場所連続の負け越しで大関から陥落。
関脇以下のため、申し合いで最後に土俵に入って相手を指名しながら取り続ける“大関仕様”ではなく勝ち残り形式から参加した。
しかし途中から気合が乗ってきたのか、若隆景と阿炎に連勝した後に北の若と連続で11番。
大関時代を思い出すような三番稽古で充実の汗を流した。
10勝以上すれば1場所で大関復帰となる名古屋場所へ、ここから調子を上げていく。
1日、日本相撲協会から発表された。
平戸海が新小結に昇進。
愛知県扶桑町の部屋で会見に臨んだ。
「ひとつの夢でもあったのでうれしいです。目標ですね」と語る。
三役の地位は「正直、厳しかったと思うが、上を目指して頑張ってきてよかった。力が違いすぎてあきらめかけたこともあったが、稽古を頑張ってきてよかった」とかみしめた。
アマエリートに対するライバル心も隠さない。
春場所は新入幕の尊富士、先場所は所要7場所の大の里と同年代の力士が優勝を飾った。
「自分も頑張らないといけないと思った。(自分もの気持ちは)ありますね」ときっぱり言った。
3日、名古屋市中川区の荒汐部屋で関取衆の申し合い稽古に参加した。
この日は関脇・霧島、阿炎と十両・北の若が出稽古に訪れており、幕内・若隆景も含めた5人の豪華メンバーで申し合い稽古が行われた。
関脇だっ夏先場所は右足親指のケガで途中休場があり4勝8敗3休。
名古屋場所は東前頭2枚目に番付を下げた。
まずは三役復帰を目指して再出発となるが「変わらず自分の出せる力を出すだけ」と心境の変化は特にないようだった。
2日、青森・三沢市出身で27歳の女性と結婚していたことを明らかにした。
幕下時代に知人の紹介で知り合ったという。
挙式披露宴は来年に行う予定。
今場所で幕内通算30場所となる隆の勝は力強い押し相撲を得意とし、関脇に5場所在位。
この日は名古屋市天白区の常盤山部屋で四股などの基礎運動で汗を流した。
「状態は悪くない。しっかり稽古して追い込んでいければ。もう1人ではないので、より一層頑張らないといけない」と決意を新たにした。
3日、名古屋市の部屋で、兄弟子の大関・琴桜、出稽古にきた平幕・錦木、平幕・王鵬と名古屋場所へ向けた計11番の申し合いを行った。
昨年九州場所で十両優勝して再入幕すると、4場所連続勝ち越し中。
21年初場所での自己最高位・東前頭3枚目が目前の東前頭7枚目まで番付を戻して臨む15日間へ、「前へ出るからこそ、いろんな技が繰り出せる。馬力、圧力をつけていきたい」と意気込んだ。
先月9日、結婚披露宴を東京都内のホテルで開いた。
3年前に知り合い、昨年6月9日に婚姻届を提出。
同年10月には長男も誕生した。
3日、愛知県豊明市の藤田医大病院を訪れ、小児科病棟に入院中の子どもたちと交流した。
新入幕の先場所は10勝5敗で敢闘賞。
質問コーナーで今後の目標を聞かれ「大相撲で一番強くなること。今場所は全員に勝ちたい」と宣言した。
欧勝馬は昨年に続いて2度目の訪問。
「病気やけがを抱えながら頑張っている。自分たちも15日間、しっかり相撲を取り切りたい」と気持ちを新たにした。
3日、名古屋市港区の高田川部屋へ出稽古し湘南乃海、輝と稽古。
最後は5人の力士を同時に押すぶつかり稽古で締めた。
名古屋場所を皆勤すれば初土俵から無休の通算連続出場は1628回となり、次の秋場所で史上1位の青葉城(1630回)の記録に挑むことになる。
「やることをちゃんとやって、それでいて守りに入らない」と39歳になっても挑戦者の気持ちは変わらない。
3日は愛知県蟹江町の部屋で下半身を中心にじっくり鍛えた。
名古屋入り前の稽古で右目上を7針縫う負傷。
「ここの抜糸が終わるまで相撲がとれないんで」。
土俵には上がらなかったが2時間以上、基礎運動を中心に酷暑の中でたっぷりと汗を流した。
夏場所で小結に復帰したが、直前の春巡業で右膝を痛めて全休した。
今場所は東前頭12枚目に番付を落とし、再び上位を目指す。
抜糸が済めば、週明けにも出稽古を予定。
「どこに行くか、全く決めていない」と話し、「関取衆と相撲をとってみないと。(番付の)近い相手と稽古したいですね」と話した。
再入幕する若隆景が、出稽古に訪れた関脇・霧島、同・阿炎らと7番の申し合いを行った。
立ち合いで動いてきた阿炎には冷静に対応し、もろ差しになると最後は寄り切った。
霧島には2勝1敗で「霧島関とは1年半ぶりに稽古した。入門から稽古したこともあるし、すごく懐かしかった」と汗を拭った。
昨年春場所で負った右膝の大けがにより、長期離脱。
関脇から4場所連続休場を余儀なくされて幕下まで転落した。
昨年名古屋場所以来の再入幕に「15日間しっかり戦いたい」。
右膝の状態についても「完璧に治ることはないが、徐々に良くなってきている」と手応えを示した。
その名古屋場所が長く開催されてきたドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)の移転新築工事が進められている。
2022年7月に起工式が行われ、オープンは2025年夏の予定。
名古屋城を中心とした城址公園である名城公園(めいじょうこうえん)内での移転となり、現在の位置から900mほど北に建設される。
移転新築の目的は、1964年に建てられた施設の老朽化とともに、現代において規模や機能がスポーツの国際大会を開催するための国際水準を満たしていないため。
2026年に愛知県と名古屋市が共催するアジア最大のスポーツの祭典であるイベントの会場として利用できるように整備を進めることとした。
2024/05/27
千秋楽、琴桜は豊昇龍との大関対決を制して11勝に星を伸ばした。
既に大の里の優勝が決まっており逆転優勝の夢はついえていたが、最後まで気持ちを切らさず左小手投げで勝利。
「勝って締められてよかったけど、悔しい」。
偉大な祖父のしこ名を襲名した場所で、悲願の初優勝に届かず悔しさが募った。
「結果を受け入れて稽古に励むしかない。自分が強くなればいいだけ」と必死に前を向いた。
千秋楽、4敗勢で唯一、自力での逆転優勝の可能性があった阿炎は大の里に完敗し「圧力で負けた。向こうが強くて自分が弱かった」と潔く負けを認めた。
決定戦に持ち込むことは「考えてなかった」と無欲で臨んだが、本割から優勝決定巴戦まで3連勝して賜杯を抱いた22年九州場所の再現ならず。
それでも三役で初めて2桁勝利を挙げて大関獲りの起点をつくり「目指しているものに近づいている」と確かな手応えを得た。
千秋楽、角界の超新星が快挙をやってのけた。
単独トップで迎えた新小結大の里が関脇阿炎を押し出し、12勝3敗で初優勝を果たした。
初土俵から7場所目の賜杯獲得は最速で、新三役の優勝は67年ぶり。
初の殊勲賞と2度目の技能賞にも輝き、新入幕から3場所連続の三賞受賞は25年ぶりだ。
7月14日に始まる名古屋場所では新関脇として準ご当所の土俵に上がる。
支度部屋で記者の質問に涙ぐみながら答える大の里の父・中村知幸さん
大の里の歴史的Vを、家族が実家の石川県津幡町から駆け付けて見届けた。
幼少期に指導した父・中村知幸さんは、初黒星を喫した2日目の高安戦で大の里が足首を痛めていたことを明かし、休場の可能性を尋ねると「そんなことは思ったことない」。
場所中のやり取りを振り返り「自分を信じる力が、彼の強み」と声を震わせた。
母朋子さんは、初日と千秋楽に東京屈指のパワースポットとして知られる小網神社にお参りし、必勝を祈願したという。
賜杯を手にした息子の勇姿に「頼もしい。わが子じゃないみたい」と感慨深げだった。
千秋楽、4敗の大栄翔は勝って優勝決定戦進出に望みをつないだが、出番は回ってこなかった。
琴勝峰に激しい突っ張りからの引き落としで快勝。
その後、大の里の優勝が決まっても「もちろん悔しい気持ちはあるけど自分のやるべきことはやった」とすがすがしい表情だった。
8場所ぶりに転落した平幕で11勝。
1場所での三役復帰を確実とし「ここからまたスタート」と大関獲り再挑戦を見据えた。
千秋楽、平戸海は自己最高位の東前頭2枚目で、5連勝で9勝目。
来場所での新三役昇進に大きく前進した。
大関経験者の御嶽海に一度は追い込まれたが、左で前まわしをつかむと休まずに攻め、「9番も勝てると思っていなかった」と表情が緩んだ。
地道に番付を上げてきた24歳。
優勝した大の里を破るなど奮闘した。
「いつも通りに稽古をするだけ」と淡々と先を見据えた。
千秋楽、西前頭14枚目・欧勝馬は勝てば新入幕での敢闘賞の決まる西前頭10枚目・金峰山との一番。
右差しを狙ってきた相手に土俵際まで押し込まれるも、すかさず頭をつけて左上手を左前まわしに入れ替えた。
低い姿勢で相手の体を浮かせながら寄り切り。
「勝ったらもらえるというのは場所に来て知った。緊張した。自信になる。体が良く動いた」と振り返った。
千秋楽には来日10年目で、初めて来日した母・セレングーさんが国技館に応援に駆けつけた。
当初は観戦予定がなかったが、師匠・鳴戸親方の計らいでチケットが用意された。
「花道では母の姿が見えた。三賞を獲得した姿も見せられてうれしい」と笑顔を浮かべた。
千秋楽、1敗で十両単独首位の若隆景(29=荒汐部屋)が對馬洋(30=境川部屋)を下し、14勝1敗で十両優勝を決めた。
立ち合い左にずれて相手の当たりをかわし、向き直るところを押し出し。
14勝の好成績で締めた。
1年ぶりに関取として15日間の戦いに臨んだ先場所は、初日から7連勝するなど好調だったが9勝6敗に終わった。
「先場所は後半崩れたので、しっかり最後までいい相撲を取ろうと思っていた」。
今場所は最後まで力の違いを示した。
大相撲夏場所は26日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1980本に達した。
1日当たりの最多は初日の173本。
2024/05/26
14日目、豊昇龍が特別な相手に意地を示した。
新入幕の欧勝馬とは、モンゴルから同じ飛行機で来日した間柄。
左から張ってすぐに右で上手を引き、難なく寄り切った。
「負けたくない気持ちだった」。
4敗対決を制し、誇らしげに言った。
連敗スタートから巻き返し、賜杯獲得への望みをつないで千秋楽を迎える。
「(優勝は)考えていない。一番を大事にしたい」と冷静に足元を見詰めた。
14日目、琴櫻が4敗と優勝争いから1歩後退した。
直近7連勝中と相性の良い阿炎に押し出しで敗れ、トップから陥落。
立ち合いから前に出て土俵際に追い詰めたが、体を入れ替えられると一気に押し出された。
支度部屋では「ちょっとすみません」とだけ一言。
その後は質問に応じなかった。
千秋楽は結びの一番で豊昇龍との大関対決。
大の里の結果次第ではあるが、逆転優勝へ勝利を目指す。
14日目、関脇・阿炎が2022年九州場所以来、2度目の賜杯に望みをつないだ。
3敗でトップタイだった大関・琴桜を土俵際からの逆転で押し出し、4敗を死守した。
千秋楽は単独先頭で3敗の新小結・大の里との一番が組まれた。
再び首位を引きずり降ろし、大逆転Vを狙う。
自らの力で優勝に望みをつないだ。
1差でトップを走っていた大関・琴桜との結びの一番。
阿炎は立ち合いで突っ張ったが、相手がひるむことなく前進。
土俵際まで追い込まれた。
それでも必死に相手の右手をたぐって背後をつき、形勢逆転。
強烈なのど輪と腹を突いて押し出した。
「しっかり体が動いて良かったと思います」。
7連敗中と苦手にしていた相手から白星をつかみ、4敗を死守した。
14日目、小結大の里が、初土俵から所要7場所の史上最速優勝、さらには67年ぶりの新三役優勝に、王手をかけた。
経験の差だった。
落ち着いた表情で土俵に立った大の里は、立ち合いすぐに右を差した。
そのまま寄り立て、相手をよろめかせ、最後は力強く押し出した。
逆転の隙など全く見せない完勝。
新入幕から3場所目ながら、毎場所、横綱や大関らと顔を合わせて優勝を争ってきた。
今場所初日には、横綱照ノ富士も撃破。
幕内前半で星を伸ばした湘南乃海とは大舞台の場数が違う。
「15日間、しっかり戦い抜くだけ。また明日」。
初優勝に王手をかけても一喜一憂しなかった。
14日目、大栄翔が激しい押しで高安を下し、4敗を守った。
今場所は平幕へ陥落したが、実力者であることを証明。
優勝の可能性も残した。
1差で大の里を追い、千秋楽は琴勝峰と対戦。
勝てば優勝決定戦に進む可能性もあるが、プレッシャーもなく「ほんとに、明日の一番に集中して。自分が気にすることじゃないんで。いい相撲を取って終わりたい」と話した。
14日目、新入幕の欧勝馬が大関・豊昇龍との4敗対決に敗れ、優勝争いから脱落した。
立ち合い豊昇龍に少し右へ動かれて右上手を許すと、上手出し投げから一気に寄り切る速攻に屈して完敗。
「うまくやられた。当たってくると思っていた」と悔やんだ。
14日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、志摩ノ海を寄り切って12勝目をあげた。
相撲巧者らしい取り口だった。
差し手争いで相手が引いたタイミングを逃さず、左差しから一気に前へ出た。
終始関取のペースだったとの問いに「そうですか。そう見えたならよかったです」と表情を緩ませた。
十両でも人気ぶりは変わらず。
呼び上げられると大歓声が沸き起こる。
「自分はその(盛り上げている)つもりはないですけどね」と言い、若隆景に1差で千秋楽を迎える優勝争いも「そこまでの意識を持ちたいですね」と自然体を貫く。
元三役の優勝経験者が、完全復活に近づいた。
14日目、十両若隆景が新十両阿武剋をはたき込んで13勝目。
1敗対決を制して単独トップに立ち、十両優勝に王手をかけた。
若隆景は「集中を切らさず相撲を取れた。(状態は)悪くないと思います」と取組を振り返り、千秋楽へ向けて「明日の一番に集中して。自分らしい相撲を取るだけです」と気持ちを引き締めた。
2024/05/25
13日目、豊昇龍が翠富士を小手投げで9勝目をあげた。
2連敗発進も10日から4連勝で優勝争いも1差に詰めてきた。
「(優勝争いの意識は)全然。連敗から始まってるんで」と言いつつ、「(大関の責任感は)それもあるしね。残り2日、頑張っていきたい」。
終盤に調子を上げてきたが「何でか分からない。教えてほしいね」と笑顔で話した。
13日目、琴櫻は湘南乃海との3敗対決を制し、トップを死守した。
立ち合いで右に動いて上手出し投げ。
あっさりと勝負を決め、3連勝とした。
「(相手が)仕切り線からずれていた。横から攻めようと思った結果、ああいう形になった」。
3敗は大の里と2人だけ。
初優勝も見えてきたが「また明日の相撲も集中してやるだけ」。
14日目の阿炎との結びの一番を見据えた。
13日目、関脇若元春が新入幕の欧勝馬を優勝争いから引きずり降ろした。
3敗で優勝争いのトップに並んでいた欧勝馬に、いったんは右下手を取られたが焦らない。
「若いし、動ける相手だが、落ち着いていけた」と慌てずに回しを切って押し出した。
新入幕の欧勝馬とは稽古場でも相撲を取ったことがなかった。
「自分の星数も相手の星数も気にしてないが、一番気にしていたのは初顔ということ。肌を合わしていない、初顔はやりづらい」。
そんな状況だったが、しっかりと三役力士の意地を見せた。
13日目、関脇阿炎は明生を突き落とし、9勝目を挙げて4敗を堅守した。
14日目は、3敗の大関琴桜と直接対決、新小結大の里との対戦も残しており、自力優勝の可能性はある。
13日目、新小結・大の里が3敗とトップの座を堅持した。
西前頭4枚目・宇良に押し出しで快勝し、10勝目。
阿武咲以来となる史上2人目の新入幕からの3場所連続2ケタ白星の快挙を達成するとともに、大関取りの起点とした。
大関・琴桜は東前頭10枚目・湘南乃海との3敗対決を制し、こちらも首位を守った。
1差の4敗で大関・豊昇龍、関脇・阿炎、平幕の大栄翔、湘南乃海に新入幕の欧勝馬を加えた5人が追う展開となった。
大の里が業師をねじ伏せた。
立ち合いで頭を低く下げて、懐へ潜ろうとする宇良をもろ手突きで横向きにさせ、鋭い出足で一気に押し出し。
土俵下まで吹っ飛ばした。
新小結で堂々の10勝目を挙げた一番はイメージ通りだ。
目を閉じて「圧力をしっかりかけられた」と静かに振り返った。
13日目、大栄翔が「攻めるしかない思いだった」と御嶽海を電車道で押し出し、4敗を守った。
昨年秋場所以来の2桁勝利へも王手をかけた。
名古屋場所での三役復帰を確実にするとともに、優勝争いにも生き残り「先頭を走っているわけではない。残り2日、自分の相撲が取れるように」と一日一番の土俵に集中する。
13日目、湘南乃海が琴桜の上手出し投げに屈し4敗目。
優勝争いから一歩後退した。
支度部屋では自分から「言うことないです。すいません。ありがとうございました。自分が弱かっただけです」と一気に話し、1人になると充血した目をぬぐった。
14日目は大の里との割りが組まれている。
まだチャンスはある。前を向くしかない。
13日目、快進撃でつかんだ格上挑戦は、粘り及ばなかった。
欧勝馬が、三役初挑戦で若元春に押し出しで敗れ、4敗目を喫して2番手集団に後退。
土俵上で首をかしげたが、下を向くことはなかった。
「当たって、自分のできることをやろうと思った。左だけは差させたくなかったけど、差されちゃった」。
ただ、落胆の色はない。初めての幕内後半の土俵を「楽しいっすよ。負けても勉強なので」と振り返った。
13日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、同じ1敗だった阿武剋の浴びせ倒しに敗れて2敗に後退した。
立ち合いで左四つに組み止めて膠着(こうちゃく)状態となった。
右からの上手投げで仕掛けた遠藤だが、そのタイミングで体を寄せられた。
「ま、いっぱいいっぱいやったので。いい稽古になりました」と苦笑いで振り返った。
2024/05/24
12日目を終えて3敗のトップに4人が並び、混戦模様に拍車が掛かる土俵。
ここにきてようやく大関が存在感を示し始めた。
御嶽海に快勝して給金を直した豊昇龍は復調ぶりを問われ、「いつも通り、しっかり集中している」。
眼光の鋭さも戻ってきた。
3敗だった大関経験者を問題にしなかった。
すぐに右で上手をつかむと、引き付けて一気に寄り切る。
「良かったと思う。すぐにまわしを取ろうと思った」と自賛の取り口だった。
12日目、琴櫻は薄氷の白星。
若元春が得意の左四つに組まれて上手を与え、投げを打たれたものの、わずかに相手が倒れるのが早く、軍配通りに勝ち名乗りを受けた。
物言いがついた一番の内容には反省しつつも、「もう一丁、という気持ちをつくっていた」。
3敗を死守してトップに並んだ。
混沌(こんとん)とする賜杯争いは残り3日。
「しっかり目の前の一番に集中してやるだけ」と短い言葉に決意を込めた。
12日目、新小結・大の里が平幕・宝富士との3敗対決を制した。
もろ手で当たると、右を差した。
力強く押し出して9勝目を挙げて「良かった」と短く振り返った。
11日目は大関・豊昇龍に下手投げでひっくり返されて完敗した。
師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は「昨日、12勝3敗は優勝じゃないという話をした。将来のために頑張ろうと言った」ことで吹っ切れた様子。
大の里も「昨日から切り替えられた」と師匠の助言が生きたようだ。
八角理事長は「宝富士の右だけを気を付けていた。内容は完璧でしょう」と讃えた。
湘南乃海が敗れ首位に並んだが「気にしない」と足元を見つめた。
12日目、西前頭7枚目・御嶽海は大関・豊昇龍に寄り切りで敗れた。
踏み込んできた豊昇龍に左を差され、そのまま右で上手を取られると、なすすべなく土俵を割った。
星は8勝4敗。
13日目の24日は、西前頭筆頭・大栄翔と対戦する。
直近6場所では2度顔を合わせ、1勝1敗となっている。
12日目、湘南乃海は引いて墓穴。
左差しを狙って踏み込んだが果たせず、阿炎に突き放される。
たまらず相手を呼び込んでしまい、よろめきながら土俵を割った。
「切り替えて頑張る」。
悔しさを押し殺すように言った。
連勝は3で止まり、単独トップから転落した。
八角理事長は「勉強じゃないの」と述べ、初めて終盤戦で優勝争いを経験する26歳の成長を願っているようだった。
12日目、新入幕の前頭14枚目・欧勝馬が西同9枚目・正代をはたき込み、3敗を死守した。
2敗で単独首位だった東同10枚目・湘南乃海が3敗に後退したため、先頭に並んだ。
先場所は尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を果たして話題をさらったが、今場所も快挙の予感が漂ってきた。
トップは大関・琴桜、新小結・大の里を加えた4人で、12日目を終えて3敗が首位は2003年名古屋場所以来。
1差に大関・豊昇龍、関脇・阿炎、平幕の大栄翔ら7人がひしめく大混戦となった。
12日目、西前頭16枚目・宝富士は4敗目を喫した。
新小結・大の里との3敗対決は、もろ手で起こされると相手得意の右差しを許し、なすすべなく最後は押し出された。
「完敗です。右を差されてちょっと動けなかったですね」と脱帽した。
痛恨の黒星となったが、2敗で単独首位だった湘南乃海が3敗に後退したため、トップとは1差で変わらず。
初賜杯の可能性は残されているが「ないです。上位は強いです」と苦笑い。
37歳のベテランは「久しぶりに上位と取れたので、もっといい相撲を取れれば良かったですね。明日から頑張ります」と切り替えていた。
12日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目・遠藤が、立ち合い変化で11勝目をあげた。
同じ石川県出身の輝との一番。
「最善の策でした」と遠藤は立ち合い変化で突き落としを決めた。
前日11日目に初黒星も引きずらなかった。
「切り替えは普通にできないタイプじゃないんで」と言った。
すでに幕内復帰濃厚は星数をあげた。
十両の優勝争いは阿武剋、若隆景と3人が1敗で並ぶ展開。
「(優勝は)無理と思ってるし。千秋楽に土俵に上がっているかも分からない。そんなことを考える余裕はない」と遠藤節で話した。
2024/05/23
11日目、192センチ、181キロの巨体が宙に浮いた。
満員の館内にどよめきが起こる。
大関豊昇龍は大の里を背負うと、そのまま下手投げで豪快にひっくり返した。
柔道の一本勝ちのような目の覚める決まり方に「気持ち良かったよね」。
新小結を結びの一番でトップから引きずり降ろし、喝采に酔いしれて花道を引き揚げた。
立ち合いで素早く右下手を奪う。
大の里の持ち味の休まない出足と馬力を封じ、余裕ができた。
一呼吸置いて前進してくる相手に対し、待ってましたと言わんばかりに勢いを利用して、土俵へ投げつけた。
自身は4敗を死守し、「ここで星を挙げないと。大関として強い相撲を取りたかった」と誇らしげだった。
11日目、元横綱の祖父からしこ名を受け継いだ2代目の大関琴櫻が、50年ぶりに「琴櫻」として勝ち越しを果たした。
明生との3敗対決は、苦しみながらも上手投げ。
優勝争いに踏みとどまった。
祖父が最後に果たした74年春場所以来の勝ち越しにも「まだ終わっていない。しっかりと自分の相撲を取っていきたい」と力説。
逆転での初優勝を見据えた。
11日目、新小結の大の里は、結びで豊昇龍に完敗して3敗目。
並走していたトップから後退した。
立ち合いの出足を止められ、右を差し合った体勢で左からおっつけようと体を寄せたところ、右下手投げで転がされた。
これで初顔合わせだった初場所から3場所連続、同じ決まり手で黒星。
取組後の支度部屋では今場所初めて報道陣に背を向けて悔しさを隠そうとせず、「また明日から頑張ります」とだけ語った。
11日目、西前頭筆頭の大栄翔が宇良を退けて8勝目を挙げ、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
立ち合いは相手の動きを警戒して踏み込まず、中に入れさせないように見ながら突っ張りを繰り出した。
はたいたところを渡し込まれそうになったが、右上手投げを打つと相手の方が一瞬早く落ちた。
「危なかった。突き切りたかったけど反応できることも大事」と動きの良さにも手応えを得た。
11日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭13枚目・美ノ海に寄り切りで勝ち、2場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合いから勢いよく頭で当たると、美ノ海の引きに乗じてそのまま寄り切った。
左足の負傷を感じさせない力強い相撲で、星を8勝3敗とした。
12日目の23日は東大関・豊昇龍と対戦する。
11日目、東前頭10枚目・湘南乃海が単独トップに立った。
西同16枚目・宝富士との2敗対決を小手投げで制した。
神奈川・大磯町出身で中学卒業後に角界入りした、たたき上げの26歳。
同県勢65年ぶりの優勝へ向け、首位をひた走る。
勝負を決めた瞬間、フッと息を吐いた。
トップ2敗で並んでいた宝富士との一番。
立ち合いで左を差されたが、相手の右上手を許さず、左腕を抱え込んで小手投げ。
優勝争いの緊張感でも「集中できて良かったと思います」と相手に得意の形をつくらせず、冷静な取り口で2敗を守った。
結びでは同じく2敗の大の里が敗れ、単独トップに躍り出た。
11日目、欧勝馬が琴勝峰を寄り切り、新入幕で勝ち越しを決めた。
「勝ち越してよかったですね。我慢できてよかった」。
優勝争いに絡む位置にいるが「全然意識していない」。
一方で、2桁勝利には「あと一番勝ってから考えます」と、笑みを浮かべた。
11日目、16年春場所以来、8年ぶりに十両で相撲をとる人気力士の東十両3枚目、遠藤(33=追手風)の連勝が10で止まった。
関脇経験者の若隆景の肩透かしに敗れた。すでに幕内復帰は濃厚な星数だが、花を添えたい優勝争いで並ばれた。
「あと4日しかないですからね。1日1日、しっかりやるべきことをやるだけ」と切り替えた。
大相撲の西十両3枚目、千代翔馬(32=九重)が日本国籍を取得したことが22日付の官報で告示された。
年寄名跡の襲名には日本国籍が必要で、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得た。
日本名は後援者から名前をもらい、石橋翔馬の予定。
2024/05/22
10日目、琴桜は巻き替えてもろ差しに持ち込んだが、腰の重い高安を攻め切れず。
土俵際で振り回されるように投げられ、前に落ちた。
支度部屋では目を伏せて口を真一文字に結び、絞り出すように「切り替える」と一言。
初賜杯獲得に向けて手痛い3敗目を喫し、ショックを隠せない様子だった。
7日目から右足親指の靱帯(じんたい)損傷を理由に休場していた東関脇若元春が、22日の11日目から再出場することが21日、決まった。
前日9日目に大の里を破った平戸海との対戦が組まれた。
6日目の大栄翔戦で黒星を喫した際に負傷し、10日目まで3勝4敗3休。
残りを全勝すれば勝ち越すチャンスが残されている。
10日目、小結大の里は押し相撲の豪ノ山に押し勝った。
立ち合いで右からかち上げて相手の勢いを止めると、二の矢の押しで一気に土俵際へ。
さらに回転の速い突っ張りを繰り出し、押し倒した。
9日目に8勝目を挙げた過去2場所よりは1日遅いが、新入幕から3場所連続の勝ち越しに「よかった」とひと安心。
11日目は過去2戦2敗と苦手な大関豊昇龍戦だが「明日から5日間、集中して頑張る」と力を込めた。
10日目、西前頭筆頭の大栄翔が王鵬を下して7勝目を挙げた。
激しい押し合いから一度右でいなして横から崩して押し出し。
「今日はよかった。自分の相撲を取ることが一番なのでそれを心掛けました」。
先手を取って攻め続け、連敗を2で止めた。
初対戦だった先場所は、埼玉栄高の後輩にまさかの完敗。
場所前には佐渡ケ嶽部屋で何度か手合わせもあり、2度目の対戦できっちり意地を示した。
10日目、腰を痛めて途中休場したとは思えない力を示している。
平幕の高安が苦しみながらも琴桜を破り、再出場した9日目から2日連続の結びの一番で2大関を倒した。
支度部屋で報道陣に感想を問われると、少し間を置いてから「やっぱり、最高ですね」と喜びを表した。
狙った右まわしを立ち合いで取れず、計算が狂った。
それでも引いたり体を入れ替えたり足を運んだ末に、左上手をつかむ。
にじり寄ったが残され、反対に相手が出てきたところで、強引に左から投げを試みた。
右下手の大関と投げの打ち合いになり、先にはわせた。
「思い通りにいかなかった。左まわしが生命線だった」。
粘りと意地の白星だった。
10日目、琴勝峰は御嶽海を押し出し、3連敗から7連勝で勝ち越しに王手をかけた。
「今日はちょっと守りに入りすぎた」と反省しつつ「体は動いている。見過ぎた感じはありますけど、当たってからは普通に流れでいけた」と振り返った。
同部屋の兄弟子、琴桜の大関昇進に刺激を受ける。
「まだ終わっていないので集中したい。とりあえず勝ち越すこと」と表情を引き締めた。
10日目、湘南乃海は動きのいい翠富士を中に入らせず、「我慢ができた」。
相手が引いたところを一気に押し出した。
自身最速、10日目で給金を直しても「まだ終わってないので」と表情を緩めない。
役力士の休場が相次ぐ大混戦の場所。
2敗でトップに並ぶ、たたき上げの26歳は「集中している」と短い言葉に気合を込めた。
10日目、勝って引き揚げてきた宝富士に気の早いファンから「優勝だ」の声が降り注いだ。
2敗を守って、幕内の勝ち越し一番乗り。
花道の奥で、近大相撲部の同期である千田川親方と笑顔でグータッチを交わした。
落ち着いた取り口だった。
一山本の突き押しをよく見て受け止めると、右から強烈に押っ付けて相手を起こす。
最後は万全のもろ差しで寄り切った。
10日目、十両の遠藤が、島津海を右からの豪快な上手投げで下して、初日からの連勝を10に伸ばした。
8年ぶりに幕内の座を失った今場所は、東十両3枚目で1場所での幕内返り咲きを確実にした。
下がりながらの内容に「イメージ通りではないけど」と前置きしつつ「しっかり反応して、白星につながったと思います」とうなずいた33歳。
動きの良さを「たまたまですね」と謙遜したが「できすぎ。満足しています」と終始、穏やかに振り返った。
2024/05/21
9日目、大関豊昇龍が大関経験者の幕内高安に屈して4敗に後退。
2度目の賜杯は、風前のともしびとなった。
高安は腰痛で3日目から休場し、この日が再出場の初戦。
一方で、豊昇龍にとっては過去1勝7敗(不戦を除く)と合口の悪い天敵≠ナもあった。
大関はやりにくさを感じていたのか、なかなか手を付かない。
相手に左を深く差されて後退すると、苦し紛れの小手投げも不発。
最後はすくい投げで豪快に土俵に転がされた。
審判長の粂川親方は「高安が、うまく左を深く差した。あれで豊昇龍が動けなくなった」と指摘。
八角理事長は「豊昇龍は手をつくのが遅い。自分でリズムを崩している」と手厳しかった。
9日目、大関・琴桜が土俵際からの逆転勝ちで2敗を死守した。
東前頭5枚目・阿武咲の鋭い当たりに後退したが、右足一本で残して右から突き落とした。
「いい相撲ではない中で、しっかり体が反応してくれた」と振り返った。
1敗勢が敗れて首位に並んだ。
「もちろん、攻めて勝った方がいいが、こういうのも一つの星につながれば、次が変わってくる」と淡々とした表情だった。
同じ佐渡ケ嶽部屋付きで、幕内後半戦の粂川審判長は「懐が深いし、重たい。(相手は)あそこ(土俵際)まではいくが、そこから押せない」と粘り強さを評した。
9日目、新小結の大の里は、平戸海に立ち合いで前まわしを探られ、はたいたところを一気に押し出されて2敗目を喫した。
勝てば単独トップだったが、右差しを封じられてしまい、相手の対策の巧みさを「そうなんじゃないですか」と認めるしかなかった。
新三役での勝ち越しもかかっていたが、「考えていない」と重圧を否定。
「頑張ります」という言葉を繰り返して、気持ちの切り替えを強調した。
9日目、東前頭2枚目・平戸海が首位を走る新小結・大の里を止めた。
鋭く踏み込んで左前まわしをつかみ、相手得意の右差しを封じて前進。
一気に押し出した。電光石火の内容に「しっかり踏み込んで、引いたところを攻めようと思った」と、うなずいた。
9日目、大関経験者で東前頭3枚目の高安が、6日間の休場から再出場していきなり、結びの一番で“銀星”を挙げた。
優勝争いに踏みとどまりたい大関豊昇龍をすくい投げで破り、4敗に後退させた。
自身は休場で1つの不戦敗はあるが、土俵に立てば全勝。
3勝1敗5休とした。10日目も結びの一番で大関琴桜戦。
トップが2敗で5人が並ぶ混戦場所で、カギを握る存在に浮上した。
9日目、上松町出身で西前頭7枚目の御嶽海は、西前頭10枚目の金峰山に勝って勝ち越しに王手をかけました。
19日の取り組みで痛めた左足のけがが心配された御嶽海。
立ち合い直後に左へかわすと、上手投げで金峰山を破りました。
9日目、東十両3枚目・遠藤が無傷の9連勝を飾り、1場所での幕内復帰に大きく前進した。
同7枚目・獅司を上手出し投げで下した。
2016年春場所以来、8年ぶりに十両へ番付を下げた土俵で快進撃を続けている。
十両土俵で意地の9連勝だ。
遠藤は、獅司の押しに耐えて左四つで組み止めると、前に出た相手に最後は右上手出し投げを決めた。
激しい攻防で館内を沸かせると大きく息を吐き、「相撲を取った気がした。久々に動いたかもしれない」とクールに振り返った。
1場所での再入幕にも大前進。
それでも「毎日いっぱいいっぱいなので、それどころではない」と必死さを強調した。
2024/05/20
中日、役力士の半数以上が休場し、くしの歯が欠けたような場所。
結びで王鵬の挑戦を退けた琴櫻は「辛抱して相撲が取れた」と一息ついた。
トップとの1差を維持して折り返し、大関の面目を保った。
距離を取ろうとする王鵬に対して慌てず、勝機を探る。
まわしにこだわらずに突き返し、じわじわと圧力をかけて押し出した。
「気持ちで負けないよう、冷静でいられた」と振り返る。
大関3連破を狙っていた相手にも、「自分は自分。関係ない」と余計な気負いは見せなかった。
中日、土俵際まで後退した大の里が次の瞬間、踊るように大きく右に飛んだ。
勢いよく突っ込んできた大栄翔は目標を失って前にばったり。
軽快な身のこなしで1敗同士の対決を制した大の里は「たまたま体が反応した。2日目に負けてから修正して、どんどんエンジンが掛かってきている」と明朗な口調で振り返った。
大栄翔の出足を警戒し、この日の朝稽古後には「向こうは絶好調。立ち合いが勝負かな」と話していた。
その立ち合い。突き起こされそうになりながらも、うまくこらえてバランスを崩さなかったことが白星につながった。
土俵下で大の里の取組を見届けた九重審判長は「ひらめきというか、相手の次の攻め方が分かっているように動いている。イメージができているのでしょう。大栄翔の土俵の空気感ではなかった。大の里の空気になっていた」と評価する。
中日、急性腰痛症で3日目から休場していた大関経験者で東前頭3枚目の高安が、9日目から再出場することが決まった。
復帰土俵は、いきなり結びの一番で、大関豊昇龍戦が組まれた。
高安は初日に前頭若元春、2日目に小結大の里を破り、連勝発進しており、9日目は2勝1敗5休から、勝ち越しの可能性を残して復帰することになる。
中日、上松町出身の西前頭7枚目・御嶽海は、東前頭10枚目・湘南乃海に押し出しで勝ち、6勝2敗とした。
立ち合いは大柄な相手の当たりにひるみかけたが、すぐさま押し返して土俵際に持ち込み、最後ははたき込まれながらも正面に追いやった。
押し出した際に土俵に左太ももを打ち付け、取り組み後に痛がる様子もあった。
中日、平幕の宝富士は竜電を寄り切って、1敗をキープした。
宝富士が重い腰で竜電に寄っていく。
土俵際で下手投げ。
ほぼ同時に倒れ込んだ。
微妙な勝負にもの言いがついたが、投げる前に竜電の足が出ていて、軍配差し違えで宝富士が7勝目。
勝ち越しに王手をかけ、大の里と並んで首位を走る。
今後を見すえて「ほんのちょっと油断した。この甘さだと、これから勝ちきれなくなる」と勝っても自身を戒めた。
中日、東十両3枚目の遠藤が無傷の8連勝で給金を直した。
幕内の土俵に立ち、新入幕の時疾風との一番。
土俵際まで攻め込まれたが、相撲巧者ぶりを発揮する。
投げの打ち合いで左の下手を抜きながら、くるりと右に回って仕留め、「勝ってよかった」と実感を込めた。
2016年春場所以来、約8年ぶりに十両に転落した今場所。
1場所での幕内復帰に前進し、「これ以上、前向きになることはない」。
普段は口数が少ないが、舌も滑らかだった。
2024/05/19
7日目、豊昇龍は大関の責務を果たせなかった。
同じ2018年初場所初土俵で同学年の東前頭4枚目・王鵬との結び。
おっつけられ、強烈なのど輪で上体を起こされ、主導権を握れず。
肩透かしで体勢を崩されると、防戦一方で引き落とされた。
3敗に後退。
三役以上の過半数が休場する中、頼みの大関も安泰とはならなかった。
7日目、大関琴櫻が宇良に今場所初めて土をつけ、単独首位から引きずり下ろした。
頭をつける相手の攻めを辛抱強くこらえ、最後は強烈な押しを繰り出して豪快に倒した。
これで5勝目。
大関の意地を見せたが「あわてず落ち着いていこうと思った」と冷静な口ぶりだ。
この日から大関霧島と関脇若元春が休場。
出場を続ける看板力士の責任は重いが「しっかり土俵を務めることが、そういう(責任を果たす)ことにつながる」とした。
大関霧島が7日目、日本相撲協会に休場を届け出た。
「頸椎(けいつい)症性神経根症で約2週間の加療を要する」との診断書を出した。
師匠によると3月の春場所前から首付近に痛みを抱えており、この日から4日ほど検査入院する。
大関在位6場所目の今場所は、かど番で6日目まで1勝5敗。
再出場はせず治療に専念するため、事実上負け越しが確定。
7月の名古屋場所は関脇に転落する。
関脇若元春が7日目、右足親指の靱帯(じんたい)の損傷により休場した。
師匠の荒汐親方によると、3敗目を喫した6日目の大栄翔戦で痛めた。
再出場の可能性については今後、本人と話し合う。
7日目の対戦相手、関脇阿炎は不戦勝。
7日目、大の里が我慢の相撲で1敗を守った。
初顔の熱海富士に左上手を与えて後手に回ったが、土俵際で回り込み、下手出し投げで仕留めた。
「立ち合いが完全に相手のペースだった」と反省しつつ、「残って逆転に成功したのは、体が動いているということ」と手応えもあった。
二つ年下、21歳の熱海富士とは今後、何度もぶつかるだろう。
三役の座は先につかんだ大の里だが、「自分が学生の頃から(相手は)関取。幕内で対戦できてうれしい」。
敬意も忘れなかった。
7日目、西前頭筆頭・大栄翔が1敗を守り、全勝が消えたためトップに並んだ。
東同2枚目・平戸海の引きに落ちず、攻勢に転じて押し出した。
先場所は引き落としで敗れており、「先場所それ(引き技)で負けているので、しっかり考えてやった」と反省を生かした。
7日目、結び勝率100%!
東前頭4枚目の王鵬が大関豊昇龍を引き落としで破った。
前日17日の大関霧島戦に続く結びの一番の連勝だけでなく、春場所の横綱照ノ富士からの金星を含めて3戦3勝。
中日も結びで大関琴櫻に勝てば「結び王」襲名だ。
7日目、人気力士の西前頭4枚目・宇良が敗れて、全勝力士がいなくなった。
大関琴櫻と対戦。
立ち合い、左から絞って出る宇良の流れも引いてしまい、そこを一気に出た琴櫻に押し倒された。
7日目、西前頭11枚目の北勝富士が新入幕の欧勝馬を下して4勝目を挙げ、白星先行とした。
立ち合い低く当たって強烈な左おっつけで相手の右差しを封じると、もろハズで下から押し上げて一気に前に出て押し出し。
好調の新入幕を退け「良い相撲取れてよかった。ああいう相撲取ると気持ちいいですね」と笑顔で振り返った。
7日目、37歳のベテランは、冷静に足元を見詰める。
「相撲人生もそんなに長くない。引かない、という気持ちで前に攻める自分の相撲を見せたい」と宝富士。
現役生活の終盤と認識しているからこそ、力士としての生きざまを体現しようとしている。
6日目に喫した初黒星を引きずることなく、「切り替えるしかない」と臨んだ一番。
得意の左を差せず、197キロの巨体を生かした水戸龍の圧力に後退したが、攻めに転じようとしたところ、相手は足が乱れて腰砕け。
驚いたような表情を見せ、「大きな勝ちだ」と喜んだ。
8年ぶりに幕内から陥落した東十両3枚目の遠藤が7連勝とした。
東十両6枚目の白熊を引き落としで破り、十両で唯一の勝ちっぱなしとなった。
立ち合いすぐ左に引き落とし、あっさりと勝負を決めた。
「勝っていることがなにより。星が出ているのはいいこと」と淡々としていた。
2024/05/18
6日目、豊昇龍は翔猿を退け4連勝。
うるさい相手だったが右上手引いて捕まえ、どっしりと寄り切った。
「しっかり動きを見ながら取ることができた」
初日から2連敗。
それでも日に日に本来の動きの良さが発揮されてきた。
「体はいい感じで動いていると思う。しっかり集中して、自分の相撲を取ることしか考えていない」と話した。
6日目、大関・琴櫻が、過去2戦2勝の新小結・大の里に屈し、痛恨の2敗目を喫した。
胸で当たったが、すぐに右を差された。
左上手を取り、下がりながら投げに転じたものの、追撃されて寄り切られた。
今場所前の稽古では苦戦した相手だったが「関係ないと思います」と影響を否定した。
トップからは2差に後退。
「しっかり修正してやれることをやっていきます」と必死に切り替えた。
6日目、大関霧島が夏場所7日目の18日、日本相撲協会に休場を届け出た。
大関かど番の今場所は6日目まで1勝5敗。
負け越しが決まれば、7月の名古屋場所は関脇に転落する。
7日目の対戦相手翔猿は不戦勝。
霧島の休場は新大関だった昨年7月の名古屋場所以来。
6日目、新小結・大の里が、大関・琴櫻から初白星を挙げて4連勝。
5勝1敗とした。
琴櫻との立ち合いで両脇を締め、体をぶつけた。
大関の脇が空いた隙を見逃さず、得意の右をねじ込んだ。
「体が動いてくれた」と、相手の投げに乗じて一気に寄り切り。
4秒0での完勝に「何も考えていなかった」。
口元を引き締め、土俵上でうなずいた。
6日目、大栄翔が会心の立ち合いから突進し、若元春を一方的に倒した。
2大関2関脇を破るなど5勝1敗とし、「しっかり当たれているし、落ち着いて攻めている」と納得の表情を浮かべた。
3月の春場所で負け越し、8場所ぶりに三役から転落。
「悔しい気持ちは強い。1場所で早く戻りたい」と闘志満々だった。
6日目、前頭四枚目・宇良が前頭七枚目・御嶽海を上手出し投げで下し、無敗キープの6連勝を遂げた。
土俵中央で御嶽海を受け止めた際には、宇良の鍛え抜かれた腕の筋肉が突如、ググっとたくましく隆起し「腕の筋肉すごい」「さすが握力キング」と大いに盛り上がった。
全勝対決の一番。
立ち合い頭を下げて当たった宇良は、下がらない御嶽海に押し返されたが、力比べの直後、素早く腕をたぐって右に回り込むと、まわしを掴んで華麗な上手出し投げを決めた。
6日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭4枚目・宇良との全勝対決に臨み、上手出し投げで敗れた。
今場所初めて土がつき、連勝が5で止まった。
相手の低い当たりを受け止めた御嶽海。
おっつけながらじわりと前に出たが左を手繰られて体が入れ替わり、上手を取られて土俵の外へと送られた。
6日目、返り入幕の37歳、宝富士は新入幕の欧勝馬にはたき込まれ、今場所初黒星。
初日からの連勝は自己最長タイの5で止まり、記録更新はならなかった。
立ち合いから右に動いた相手をつかまえられず、最後は足が流れて土俵に手をついた。
取組後の支度部屋では、5日目までと変わって厳しい表情。
それでも「また頑張ります」と決意を語り、気持ちを切り替えていた。
日本相撲協会は大相撲夏場所6日目の17日、東京・両国国技館で理事会を開き、西幕下11枚目の琴恵光(32=佐渡ケ嶽、本名・柏谷充隆、宮崎県延岡市出身)の引退と、年寄尾車の襲名を承認した。
後日、引退会見を開く。
琴恵光は07年春場所で初土俵を踏み14年九州場所で新十両、18年名古屋場所で新入幕を果たした。
最高位は21年名古屋場所の東前頭4枚目で、幕内は通算29場所を務めた。
先場所は東十両12枚目で1勝14敗で負け越し。
8年ぶりの幕下陥落となった今場所は休場していた。
2024/05/17
5日目、琴櫻がうるさい翔猿を相手に会心の白星。
右でまわしを引いて捕まえると、あとはじっくり前進して寄り倒し、「慌てず取れたんじゃないかな」。手応えを口にした。
初日黒星の後は立て直し、出場している3大関の中で唯一、1敗で序盤を終えた。
「変わらずやるだけ。自分のできる準備をしていく」。
表情を変えずに気を引き締めた。
5日目、かど番の大関霧島が新小結の大の里に寄り倒され、4敗目を喫した。
先に左上手を取るも、大の里に右下手から攻め立てられ、寄り倒された。
物言いがついた際どい相撲だったが「まあ相手が強かったですよ。止まらなかった」と潔く負けを認めた。
序盤の5日目にして4敗。
かど番として厳しい状況だが、本人は動じた様子はない。
支度部屋に戻って座ると鼻歌を歌った。
そんな様子からは腹をくくった覚悟が垣間見える。
5日目、新小結・大の里が大関・霧島を撃破し、3連勝を飾った。
右を差して土俵際へ。
寄ったが、両者がジャンプして土俵外へ。
軍配は大の里に上がったが、物言い。
長めの協議の末、軍配通りになった。
「結果どうこうよりも攻めるつもりだった。相手に先手を取られて内容が良くなかったが勝ちに結びついて良かった」と振り返った。
5日目、流れるような取り口で「満員御礼」の館内を沸かせている。
立ち合いで錦木の懐に入った宇良が、一気に寄り立てた。
次の瞬間、タイミング良く引いて鮮やかな肩透かし。
腰の重い相手を難なく土俵にはわせた。
初日からの5連勝は初めて。
取組後の支度部屋では、何を聞かれても涼しい顔で「分からない」「何もない」。
本場所中に宇良が相撲内容を振り返ることは、ほぼない。
5日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭5枚目・明生を寄り切りで破り、連勝を5に伸ばした。
押し合いから左を差されるも、我慢の末に体を入れ替え寄り切った。
6日目の17日は西前頭4枚目の宇良と対戦する。
直近6場所では2度顔を合わせ、1勝1敗となっている。
5日目、幕内・佐田の海が通算700勝を挙げた。
元大関・正代にもろ差しとなると、一気に寄り切った。
「一気に走ろうとは思ってなかったが体が反応してくれた」と会心の相撲にうなずいた。
3勝2敗と星が先行し、「初日と2日目が悪すぎた。流れはこれから」と意気込んだ。
5日目、返り入幕の幕尻、西前頭16枚目の宝富士が東十両筆頭の大奄美を寄り切って、17年春場所以来の初日から5連勝を決めた。
先場所は12年ぶりに十両へ転落。
歴代6位の幕内連続出場が990回でストップした。
満身創痍(そうい)の37歳は落ち込み、気持ちも切れかけたが、家族の支えなどで奮起。
1場所で幕内に返り咲くと、勝ちっ放しで序盤を終えた。
2024/05/16
4日目、豊昇龍に力強さが戻ってきた。
右の相四つの平戸海との激しい攻防。
上手を与えた中、右からの投げでしのいだ後、休まずに攻めて土俵下に寄り倒した。
「慌てるのではなく、しっかり(動きを)止めようと思った」。
場所前に手合わせをしていた相手。
快勝とはいかなかったが、勝機を逃さない冷静さも光った。
2連勝で星は五分に。
勢いも出てきた大関は「もっと柔らかい相撲を取らなければいけない」と反省も忘れなかった。
4日目、大関・琴櫻が、父で師匠の佐渡ケ嶽親方の56歳の誕生日を白星で添えた。
東前頭2枚目・豪ノ山との一番は左を差しきれず、突き押し自慢の相手の圧力に後退した。
だが土俵際で左上手をつかむと、俵の上で左足一本を残しての投げで腹ばいにさせた。
「土俵際は(豪ノ山が落ちるのが)見えてはいたので、あとは反応じゃないですかね」と冷静に振り返った。
琴ノ若から改名し、祖父で元横綱の「琴櫻」のしこ名を継いで初めて上がった土俵で黒星スタートも、2日目から3連勝を飾った。
師匠に白星のプレゼントを届けたが、琴櫻は「良かったんじゃないですか。(気合のノリは)変わらないです」と、照れ隠しのように淡々と語った。
4日目、カド番の大関・霧島は、西前頭筆頭・大栄翔に押し出され、早くも3敗目となった。
霧島は大栄翔を土俵際まで押し込んだ。
相手の反撃もいなして、大栄翔は土俵を割りそうになった。
霧島は「勝ったと思った」と動きを止めた。
それでもこらえ、反撃を受け、押し出された。
「本当は出て行きたかった」と負けを悔やんだ。
4日目、初土俵から所要6場所で新三役に昇進した大の里が、相手十分になりながらも関脇・若元春を破った。
昭和以降で2位のスピード出世を果たした23歳の新小結は「本当に体が動いている」と好調さを口にする。
立ち合いはもろ手で突いて右を差しに行ったが、相手得意の左四つに組まれた。
それでも「止まったらダメ」と冷静だった。
動きの中から勝機を見いだす。
最後は左からの突き落としを決めた。
「流れでもぎとった勝ち」と振り返りつつ「内容は良くない」と反省も忘れない。
4日目、業師の宇良が正攻法の押しで翠富士を下して初日から4連勝。
これまで幕内で3連勝は3度あったが、その壁を破って自己記録を塗り替えた。
ただ、本人は4連勝には無関心。
「何もないです」とポツリ。
自己記録だと聞いても「知らなかったです。覚えてないです」と続けた。
そして、関心がない理由を「意識しても意味がないところじゃないですか。
今日勝てば記録更新なんて思って取らないですし」と話した。
2度の大けがで幕内から序二段まで番付を下げた経験を持つからこそ、連勝に一喜一憂しない。
4日目、上松町出身の西前頭7枚目・御嶽海は、東前頭5枚目・阿武咲に下手投げで勝ち、連勝を4に伸ばした。
初日から4連勝は、新大関として11勝4敗の成績を残した令和4年3月の春場所以来。
立ち合いから押し込まれたが左を伸ばして圧力をそぎ、右下手をつかんだ。
土俵際、強引な寄りに慌てず放った投げは、うまさと力強さが光った。
4日目、返り入幕の宝富士が4連勝。
友風の突き手をあてがい、土俵際でうまく体を開いてはたき込んだ。
「前に攻める相撲を取っていかないと厳しい」と反省しつつも、白星が並んでいるだけに表情は明るい。
「しっかり稽古を積むことができた」という今場所は持ち前の腰の重さを生かした相撲も目立っている。
初日から5連勝となれば、2017年春場所以来。
37歳は「若い時は連勝すれば調子が上がってくるが、最近は緊張してしまう」と笑った。
4日目、東十両3枚目の遠藤が、無傷の4連勝を飾った。
武州山に押し込まれたが、土俵際ではたき込み。
左足1本で耐えて白星となった。
「勝ちになったんで良かったんじゃないですか」と振り返った。
8年ぶりの十両で連勝を続けている。三役経験がある実力者は「これ以上ないですからね。4番が、5番にはならないですからね」と、勝率100%に納得していた。
2024/05/15
3日目、豊昇龍が初白星をつかんだ。
大栄翔の突き押し、いなしに体勢を崩しかける場面もあったが、耐えて立て直すと、最後は素早く攻めて寄り切った。
2日目までは前に出ることができなかった。
師匠の立浪親方から「内容が悪い」と苦言を呈され、「きょうこそはしっかりやらないと」と気合を入れ直して土俵に上がった。
大関として5場所目。
3連敗は免れ、「落ち着いて相撲が取れた」と安堵の表情を浮かべた。
3日目、大関琴櫻が2連勝で幕内通算200勝目を挙げた。
立ち合いは平戸海の突っ張りを受ける形になったが、肩越しの左からの上手出し投げで形勢逆転。
相手を土俵際に追いやると、圧力をかけて押し出した。
初日こそ黒星だったが、琴ノ若のしこ名を今場所から改め、琴櫻として初の白星先行。
幕内通算200勝は「知らなかった。自分の相撲を心がけてやっていく」と話し、今後も白星を積み上げていくことを誓った。
3日目、カド番の大関・霧島が2敗目を喫した。
東前頭筆頭・熱海富士との立ち合い、低く当たったが、跳ね返された。
圧力に引いてしまい、左に動いたが、背中を向けてしまった。
最後は強烈な一発で押し倒されて尻もち。
その勢いのまま土俵下まで転がり落ちた。
「久しぶりに変な落ち方した」と苦笑し、唇をかみしめた。
3日目、関脇若元春が豪ノ山を破り、通算400勝を挙げた。
土俵際まで押し込まれたが、いなして崩すと逆に押し出した。
若元春は「立ち合いはしっかり当たれた。押し込むには至らなかったが、流れの中で向こうが崩れたところを前に出た。先場所は胸から行って圧力に負けたので、今場所は頭から、起こされないようなイメージで行った。思っていたような相撲じゃなかったが、はたきにいってからは攻められたので、そこは良かった」と振り返った。
3日目、新小結の大の里は、初顔合わせの翔猿の素早い動きに惑わされず、右を差して捕まえて寄り切った。
初黒星を喫した2日目の高安戦を踏まえて「自分で下がって危ない相撲だった。反省を生かしてやりました」と積極的に圧力をかけた。
白星先行を「連敗しなかったのが一番」と振り返り「これから役力士との対戦が増える。
一日一日を大切に頑張る」と気を引き締めた。
3日目、結びで組まれた霧島戦。
低い姿勢を保ちながら、動きの良い相手を正面に置いて攻めた。
圧力勝ちして大関を土俵下まで転がし、「落ち着いていた」。
上位戦でも、もう気後れはない。
土俵を下りるまで引き締まっていた熱海富士の表情が、花道で一変した。
手にした分厚い懸賞金の束を何度も見ると、目を丸くして破顔一笑。
いかにも21歳らしい姿だった。
3日目、幕内・高安が日本相撲協会に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
休場は、腰痛などによる1場所2度の休場があった今年の初場所以来で17度目。
3日目の対戦相手、阿炎は不戦勝となった。
師匠の田子ノ浦親方によると、同日の朝稽古で痛めたという。
元大関の高安は2日目に小結・大の里に快勝し、ここまで2連勝と好調だった。
田子ノ浦親方は「力が入らない。まずは何とか治すこと」と説明した。
3日目、平幕の御嶽海が昨年秋場所以来の3連勝スタートを飾った。
元小結の錦木に何もさせずに寄り切り。
鋭い踏み込みから、もろ差しに持ち込んで密着して無駄なく圧力を伝えた。
「自分の相撲しか考えず、貫くことができた。白星につながってよかった」。
幕内で3位タイの183キロの体重がある錦木の腰の重さを、まるで感じさせない完璧な攻めに納得の表情だった。
3日目、新入幕の欧勝馬が、無傷の3連勝を飾った。
左からの上手出し投げで友風の体勢を崩して送り出し。
「イメージ通り。自分の考えた相撲がとれていることがいい」。
最近は対戦相手の動画を見ないで、土俵に上がっている。
「これまで(研究して)相手の動きに合わせてしまっていた。自分がやりたいことをやる。稽古場でも、本場所でも。それで体が動く」と好調の理由を説明した。
3日目、勝って引き揚げてきた支度部屋、多くの記者に囲まれた宝富士は「まだ3連勝ですよ」と言って照れくさそうに笑った。
確かに、まだ大騒ぎするほどの連勝ではないかもしれない。
それでも再入幕の37歳が元気なことは明るい話題だ。
狼雅との一番は、相手に右をねじ込まれそうになったところから我慢して左を差し勝つ。
得意な形に持ち込んで堂々と寄り切り。
「休まず自分から攻めていったのが良かったです」と小さくうなずいた。
2024/05/14
2日目、横綱照ノ富士が、日本相撲協会に「左肋(ろく)軟骨損傷、右変形性膝関節症により3週間の安静加療を要する」との診断書を提出し、休場した。
両国国技館で取材に応じた師匠の伊勢ケ浜親方は「膝と脇の肉離れ。(脇は)痛すぎて力が出ない状態。せきをしただけで痛いらしく、きつい、戻すぐらいの痛み止めを飲んでも、良くならない。膝は古傷」と説明した。
新三役の小結大の里に敗れた、前日12日の初日取組後から師弟で話し合い、休場を決めた。
2日目、大関・豊昇龍は、西関脇・阿炎に押し出しで完敗、苦しい連敗スタートとなった。
立ち合いから突き押し自慢の阿炎の強烈なもろ手にのけぞり、わずか1秒7の速攻にあらがうことすらできず、土俵下に転落。
屈辱的な黒星に、悔しさで顔をゆがませた。取材には応じず、取組後は無言を貫いた。
八角理事長は「阿炎の突っ張りは体重が乗っていた。昨日(横綱、大関の総崩れ)があったから、下の力士も俺も頑張ればできるんだというね。若い大関が多いから気持ちはあるけど、体がついてこない。気持ちはあるけど体が空回りしている」と指摘。
2日目、琴ノ若から改名した大関・琴櫻が初勝利を挙げた。
東前頭筆頭・熱海富士を肩透かしで下した。
「琴櫻」の白星は、元横綱の先代・琴櫻が現役最後の白星を挙げた1974年春場所14日目(3月23日)以来、50年ぶりとなった。
初日から1横綱4大関総崩れとなった今場所。
その上、この日から横綱・照ノ富士、大関・貴景勝が休場した中、偉大なしこ名を継いだ大関が主役の座を狙う。
2日目、大関貴景勝が、2場所連続の途中休場を決めた。
師匠の常盤山親方によると慢性的に抱えている「首のヘルニア」を悪化させたという。
先場所は勝ち越しを決めた後の14日目から休場していたが、常盤山親方は「再出場はない。かど番となるが、7月(名古屋場所)に向かってやろうと思っている。治療優先」と説明した。
全休なら7月の名古屋場所は、9度目のかど番となる。
阿炎は取り口に迷いがなかった。
右喉輪で豊昇龍をのけぞらせると、そのまま一気に走って押し出し。
過去3勝10敗だった大関を圧倒し、「立ち合いで当たれて、よかったんじゃないかと思う」と納得顔だった。
2年ぶりに番付を関脇に戻した今場所。
「一番一番が大事。しっかりとした相撲を取りたい」と表情を引き締めた。
2日目、初日に横綱照ノ富士を破った新小結の大の里は、大関経験者の高安の圧力に引いてしまい押し出されて完敗。
連勝はならなかった。
師匠の二所ノ関親方の弟弟子にあたるベテランに圧倒され、「修正して頑張ります」と繰り返した。
土俵際で右足首をひねるような場面があり、土俵上で気にするしぐさも見せていたが、支度部屋では「大丈夫です」ときっぱり。
しっかりした足取りで引き揚げた。
2日目、新進気鋭の若手に、大関経験者の34歳が立ちはだかった。
高安は、初日に横綱照ノ富士に完勝した新小結の大の里を退けた。
「よかったんじゃないか」という短い言葉に充実感がにじむ。
しっかり当たり、馬力のある相手を受け止める。
はたきに崩されることなく前に出て、土俵際での回り込みを許さなかった。
九重審判長は「はたいてくることも計算していた。力ではなく、体のさばきで勝った」と評価。冷静さも光った一番だった。
2日目、前頭七枚目・錦木が、前頭八枚目・隆の勝を幕内では3年ぶりとなる決まり手“網打ち”で下し、1勝目となる勝ち星を挙げた。
発生確率0.1パーセントの珍しい決まり手に、ファンからは「見られてラッキー」「初めてみたかも」と興奮気味の声が寄せられた。
2日目、西前頭7枚目・御嶽海は西前頭6枚目・翠富士と戦い、小手投げで勝った。
差されて寄られるも土俵際で粘り、鮮やかな逆転を決め、連勝スタートとなった。
3日目の14日は東前頭7枚目・錦木と対戦する。
直近6場所では3回顔を合わせ、御嶽海は2勝1敗となっている。
2024/05/13
初日、「ぶっつけ本番」の影響が出た。
照ノ富士が約2年ぶりに、2場所連続黒星発進の屈辱を味わわされた。
うなずく大の里とは対照的に、唇をかんで顔をしかめた。
先場所は腰痛のため7日目に休場。
春巡業は皆勤し、終盤の4月下旬から相撲を取る稽古を再開し取組も行っていた。
しかし、2日の稽古総見で土俵に上がる前に左脇腹を痛めて一転、今月に入って相撲を取る稽古はできていなかった。
前日11日は「今できることを精いっぱいやる。自分との闘い。ぶっつけ本番」と意気込んでいたが、この日は報道陣には無言で引き揚げた。
初日、大関豊昇龍は春場所に続き、初日黒星となった。
熱海富士に立ち合いで左上手を許し、苦しまぎれに投げたところで上手投げを喫した。
自身の取組前に3大関が敗れる悪い流れを止められなかった。
先場所は11勝4敗の準優勝。
昨年名古屋場所以来の優勝を目指す中、いきなりつまずいた。
取組後は取材に応じず、表情は硬かった。
初日、琴ノ若改め琴櫻も、悪い流れにのみ込まれた。
元横綱の祖父と同じしこ名を継いで上がった初日。
「琴櫻〜」の大声援の中、立ち合いで左差しを狙った。
大栄翔の攻めに耐え、一時は土俵際まで追い込んだ。
しかし突き押しで逆襲されて黒星発進。
「切り替えます」と短い言葉を絞り出した。
初日、大関貴景勝が先場所は初顔合わせで勝利していた平戸海に雪辱を許した。
立ち合い一気の攻めを受けると、あっさりと押し出された。
春場所では、かど番脱出後の大関琴ノ若戦で負傷。
右大胸筋損傷などで14日目から途中休場し、春巡業も全休した。
2日の稽古総見には参加も、大関陣との申し合いで1勝5敗と苦戦。
状態が心配されていた。
この日は取材対応なく、足をひきずるようにして会場を後にした。
初日、大関霧島がかど番の初日でなすすべなく敗れた。
立ち合いでまわしがとれず、豪ノ山の素早い攻めにあっさりと土俵を割った。
春場所は5勝10敗と屈辱の負け越し。
場所前は精力的に出稽古を行って調整してきただけに、出はなをくじかれた形。
支度部屋では取材に応じなかった。
初日、新小結・大の里が、照ノ富士をすくい投げで破る大仕事で、横綱戦初勝利を挙げた。
初顔合わせで屈した初場所の雪辱を果たし、2018年初場所の貴景勝以来となる新三役初日での横綱撃破。
観戦した母・朋子さんに最高の「母の日」のプレゼントを贈った。
初日は1横綱4大関が全滅する波乱のスタート。
デビュー7場所目、ちょんまげ頭の元アマチュア横綱が場所の主役を奪う。
初日、東前頭筆頭の熱海富士が、大関豊昇龍に完勝した。
立ち合いで狙った左上手をつかみ、大関が強引な投げ技にきたところうまく体を寄せて、最後は上手投げを決めた。
「(上手の)いいところが取れた。いい相撲がとれたと思います」。
同部屋で仲のいい尊富士が先場所、110年ぶりの新入幕優勝を果たし、大きな刺激を受けた。
今場所は休場した尊富士の思いも背負い、悲願の初Vへ好発進した。
初日、西前頭筆頭の大栄翔が、大関琴櫻を圧倒して白星発進した。
立ち合いから本来の圧力で押し出した。
場所前に稽古で胸を合わせてきた。
「いい稽古をさせてもらったので、結果につなげることができた」と話す。
今場所は昨年春場所から7場所死守してきた三役の座から陥落した。
久々の平幕も「意識はしていません」ときっぱり。
優勝経験もあるだけに、復活に向けて好発進となった。
初日、東前頭2枚目の平戸海が、大関貴景勝を押し出した。
立ち合いから一気の出足で大関を圧倒した。
「いい相撲だった。立ち合い負けしないよう、しっかり当たっていけた。感覚はよかった」と会心の白星を振り返った。
初日、西前頭2枚目の豪ノ山が、かど番の大関霧島を押し出して白星発進した。
立ち合いから一気の攻め。
らしい相撲での快勝に「前に出られたのでよかったです。自分の相撲をとれるよう、前に出ようと思った」と振り返った。
初日、高安は若元春の形になりかかった中、胸を合わせて圧力をかけ、「攻めに転じることができた」。
内無双で崩してから力強く押し出した。
3月の春場所で11勝を挙げて東前頭3枚目まで番付を戻した。
今場所からは青系統の色の締込みを着け、34歳は「気持ちを新たに」と意気込む。
まずは関脇を倒し、「初日としてはいい。次につながる」と納得顔だった。
初日(12日・両国国技館)1横綱4大関が全て敗れる波乱のスタート。
出場した5人以上の横綱、大関陣の総崩れは、1横綱5大関だった2006年秋場所6日目以来。
初日では昭和以降初の事態となった。
2024/05/12
横綱・照ノ富士は11日、優勝額贈呈式に出席し、10度目の優勝を目標に掲げた。
今場所は左脇腹痛で十分な稽古ができていない中での「ぶっつけ本番」。
ただ、3場所連続で休場していた1月の初場所では強行出場し、9度目の賜杯を手にした経験もある。
初日は新小結・大の里を下し、徐々に調子を取り戻し初場所の再現を狙う。
大関2場所目の琴ノ若改め琴櫻は、元横綱の祖父のしこ名で臨む初めての場所。
初日と重なった母の日に、先代琴櫻の長女でおかみの母・真千子さんへ記念の白星を届ける。
偉大な祖父のしこ名を襲名した琴櫻が、新たな歴史をつくる。
今日初日の“改名初戦”の相手は西前頭筆頭の大栄翔。
春巡業や場所前の稽古で何度も手合わせしてきた埼玉栄高の先輩相手だが「しっかり自分の相撲を取ることだけ集中すればいい」と無心を強調した。
日本相撲協会は11日、夏場所15日間の懸賞申し込み総本数を2254本と明らかにした。
新規で12社の申し込みがあり、昨年夏場所前の1850本を上回った。
力士指定本数の上位は貴景勝、琴櫻の両大関、平幕御嶽海の順だった。
2024/05/11
2日の横綱審議委員会による稽古総見で相撲を取らなかった横綱照ノ富士が、大相撲夏場所への出場を決めた。
総見で稽古を回避した理由は左脇腹痛。本人は9日の報道陣の代表取材に「せきをしたら痛めた。ちょっとした痛みは残っている。せきをするのが怖いよ」と明かした。
相撲への影響はゼロではないだろうが、同日の伊勢ケ浜部屋での稽古では十両伯桜鵬の当たりをがっちり受け止めるなどして表情は明るかった。
10日、大相撲夏場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新三役の小結・大の里は、初日に結びで横綱・照ノ富士と対戦。
いきなり注目の一番が組まれた。
殊勲星で波に乗り、先場所で110年ぶり新入幕Vを決めた尊富士に続き“ちょんまげ旋風”の再現を狙う。
宮城期待の星が、幕内土俵の晴れ舞台に挑む。
時疾風は今場所前、出稽古に来た霧島、豊昇龍の両大関らの胸を借りた。
所属する時津風部屋には、普段から幕内上位の力士が多く集結し、実力者と肌を合わせてきた。
それだけに「毎回来てくれるメンバーなので、幕内で取るからといって変わったことはない」と“予行練習”はバッチリだ。
稽古では豊昇龍を寄り切るなどの見せ場もあり、「自分の形になって勝てたので、自信になる」と手応えをつかんでいる。
2024/05/10
横綱・照ノ富士が夏場所に出場することが10日、決まった。
この日、日本相撲協会は両国国技館で取組編成会議を開き、照ノ富士が初日の取組に入った。
照ノ富士は3月の春場所を腰の負傷で7日目から途中休場。
今月2日の横綱審議委員会による稽古総見では、左脇腹を痛めて相撲を取る稽古を急きょ、回避した。
都内の部屋での稽古が公開となった9日には「軽い肉離れじゃないかな、とは思いますけどね。せきをしたら痛めてしまった。ずっと筋肉が固まっていた部分を、せきをしたら急激に痛めたというか。ちょっとした痛みは残っている。せきをするのが怖い」と自身の状態を明かしていた。
夏場所に向け、大関・豊昇龍が東京・台東区にある立浪部屋で稽古を行った。
相撲は取らず、幕下以下の力士に胸を出し、指導した。
「稽古は今日まで。今は本当に動けているし、巡業からいい稽古が出来ている」と胸を張った。
春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした幕内・尊富士が、夏場所を休場することが9日、決まった。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言した。
尊富士はこの日、患部の右足首にサポーターを施し、土俵周りで四股やゴムチューブを使ったトレーニングなどの基礎運動にとどめた。
報道陣の取材には応じなかった。
代わって師匠が「四股も満足に踏めず、稽古していない」と状態を説明。
4日の取材対応時に尊富士自身は「自分でも出たい気持ちもある反面、しっかり治さないと、と不安な部分はありますし…。いろいろ難しいですよね」と複雑な胸中を吐露していた。
2024/05/09
右大胸筋損傷などで先場所を途中休場した大相撲の大関貴景勝が8日、夏場所に向け「できることはやってきた。後悔もないし、どれだけ自分の体がやってくれるか」と出場を明言した。
この日は東京都板橋区の常盤山部屋で幕内隆の勝と10番取って7勝3敗。
首にも古傷を抱える中、頭で激しく当たって一方的に押し出す相撲もあった。
27歳の大関は「感覚は徐々に良くなってきた。調子がいいと思っても本場所で駄目な時はある。場所前の調子は考えない」と冷静に語った。
大関・霧島が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計23番取った。
大栄翔と7番、錦木と8番、再び大栄翔と6番、最後に新入幕・時疾風と2番。
3人を相手に連続で23番、約30分間相撲を取り続けた。
前日は時津風一門の連合稽古で25番取っており、連日の20番超え。
今月3日の出稽古では首の痛みによって8番で切り上げていたが、この日は立ち合い頭で当たれるようになっており復調ぶりがうかがえた。
大関経験者の小結朝乃山が、約3年ぶりに三役復帰の夏場所を休場することが決定的となった。
8日、都内の部屋での稽古は、土俵周りでの四股など基礎運動中心に終始。
4月25日の春巡業で右膝内側側副靱帯(じんたい)を損傷、全治3週間と診断されて以降、稽古参加は前日7日に続いて2度目だったが、まだ土俵には立てていない。
「気持ちは出たいけど体が『出るな』と言っている。
今は7月場所に出るつもりでやっている」と唇をかんだ。
膝の負傷は初めてだけに慎重な姿勢を崩さない。
約1週間前まではギプスで患部を固定しており、右足全体の筋力が落ちた。
特に右太もも裏は「すぐつる。衝撃だった」と、経験したことのない状態に戸惑った。
両足の筋力の差も激しく、元の感覚を取り戻すまでには時間を要する見通し。
相撲を取る稽古も、再開時期のめどが立っていない。
新小結に昇進した大の里が8日、茨城県阿見町の同部屋で十両・白熊との3番稽古で7勝3敗だった。
三番稽古では相手の左差しを切りながら前に出ていく攻めや迫力満点の立ち合いから一気に前に運ぶなど、順調な仕上がりをアピール。
「いいイメージで取れて良かった」と納得の表情だった。
西前頭筆頭・大栄翔が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計29番取った。
ず平幕力士の申し合いに参加し、計4人を相手に16番。
いきなり8連勝するなど力を示し、その後は大関・霧島と7番、一度退いてから再び6番取った。
「来たからにはやらないと。番数多めだったので最後疲れてしまったけど、集中して良い稽古できたかな」。
先場所前よりも状態は良く、充実感をにじませた。
西前頭11枚目・北勝富士が8日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古した。
強烈な喉輪や、立ち合いから四つに組みにいく相撲など幅広い取り口を見せた。
「思った以上に体を動かせている」と夏場所への好感触を口にした。
首や膝に故障を抱えており十分な稽古ができない中だが「先場所よりは力が入るような気がします」と復調の気配を見せた。
尾車親方が日本相撲協会を近日中に退職することが8日、関係者の話で分かった。
一昨年4月の定年退職後は再雇用の参与となったが、任期満了の70歳を待たずに退く。
尾車親方は佐渡ケ嶽部屋に所属した現役時代、がぶり寄りを生かして優勝2度。
引退後は尾車部屋の師匠として豪風、嘉風の両関脇らを育て、協会では事業部長など理事を5期10年務めた。
2024/05/08
大関・豊昇龍が4日、東京・墨田区の時津風部屋に出稽古をし、21番をとった。
この日は出稽古に7人の関取衆が訪れ、時津風部屋の2人を含む計9人の関取による申し合い稽古が行われた。
豊昇龍は御嶽海と3番、錦木と5番、時疾風の3番まで、力強い立ち合いで相手を圧倒して11連勝。その後は明生、欧勝馬とも取って前日の17番を上回る計21番で17勝を挙げた。
稽古を振り返って「いい感じになってきいているから、ちょっとずつ番数を増やしていきたい」と手応えを口にした。
大関霧島が、ボクシング井上尚弥のTKO勝利を刺激に、時津風一門の連合稽古で圧倒的な存在感を見せつけた。
7日、東京・両国国技館の相撲教習所で行われた、所属する一門の連合稽古に参加。
関取衆最多の25番取って23勝2敗と絶好調だった。
前日6日は東京ドームで井上の試合を観戦。
「素晴らしい試合。すごい力になったし『オレも頑張らないと』と思った。だから今日は調子が良かったのかな。イメージ通りに稽古できた」と笑顔で話した。
右膝を痛めている大相撲の小結朝乃山は7日、東京・墨田区の高砂部屋で四股を再開し、夏場所の出場には「今の状態ではまだ出られない。無理して出たら、力士人生が縮んでしまうかもしれない」と慎重な姿勢を示した。
今場所は約3年ぶりに三役復帰を果たし、大関返り咲きへの一歩を期待されている。
30歳の元大関は4月25日の春巡業で負傷し、右膝内側側副靱帯損傷で全治3週間と診断された。
この日は右膝下にテーピングを施していた。
最近はけがが増え「他の部分はかばいながら相撲を取れたが、膝をかばってやることはできない」と苦渋の表情で語った。
10日午前の取組編成会議までに結論を出す必要があり、師匠の高砂親方は「まだ日にちがある。(休場の)話をするのはまだ早い」と述べた。
新小結の大の里が7日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、大関琴桜を圧倒した。
鋭い出足から圧力をかけて押し込むなど6勝2敗。
「本当にいい稽古だった。状態としてはだいぶ良い」と充実感を漂わせた。
琴桜には過去2戦全敗だったことから、師匠の二所ノ関親方に出稽古を直訴。
「不安な状態で場所を迎えたくなかった」。
所属する二所ノ関一門の連合稽古以外で他の部屋へ出向くのはこの日が初めてで、「無駄にしたくなかった。いい感覚をつかめた」と振り返った。
西前頭筆頭大栄翔が7日、東京・両国国技館の相撲教習所で行われた、所属する時津風一門の連合稽古に参加した。
関取衆の申し合いで14番、霧島と8番。
計22番は大関霧島の25番に次いで関取衆で2番目に多く、10勝12敗だった。
霧島に土をつけたのは大栄翔だけで「いい稽古ができた。自分の相撲を取れたのも、何番かはあった」と、手応えを口にした。
夏巡業大相撲岐阜場所(岐阜新聞社など主催)が8月6日、岐阜市長良福光の岐阜メモリアルセンターで開催される。
会場には横断幕が設置され、開催ムードを盛り上げている。
5年ぶりの開催で、横綱の照ノ富士、大関の貴景勝、琴櫻らが参加する予定。
公開稽古や取組などを披露する。
日本相撲協会の枝川親方(元幕内・蒼樹山)が7日、藤枝市役所を表敬訪問。
大相撲夏巡業・藤枝場所の開催を北村正平市長にアピールした。
藤枝場所は8月7日に静岡県武道館(藤枝市前島)で午前9時から行われる。
市内で巡業が開催されるのは2008年以来16年ぶり2回目。
静岡県出身の翠富士や熱海富士も参加予定で、親方は「本場所と違い、お相撲さんもリラックスして気軽にサインや握手に応じます。公開朝稽古もあり、近くで迫力を感じられます。たくさんの市民の皆さんに楽しんでほしい」と話した。
2024/05/07
2日の稽古総見で、直前に土俵に上がることを回避した横綱照ノ富士が4日、東京・江東区の部屋で行われた稽古に参加。
またも土俵には入らなかった。
土俵周りでの四股やゴムチューブを使ったトレーニングに終始。
稽古総見当日に痛めたとみられる、左脇腹を時折触って気にする場面もあった。
稽古後は無言で引き揚げた。
師匠の伊勢ケ浜親方によると、今後は状況を見ながら稽古再開を模索する。
横審も大絶賛だ。
2日、横綱審議委員会による稽古総見が国技館で行われた。
大関豊昇龍は相撲を12番取って7勝5敗。
横綱照ノ富士が稽古を回避した中、大関陣最多の番数をこなしてアピールした。
横審の山内昌之委員長は「(大関2場所目の)琴桜は、はつらつとしていた。しかし、豊昇龍はそれに立ちはだかって先に横綱になるのは許さないという気迫、先輩(大関)としての責任感を感じた。豊昇龍の頑張りに期待したい」と絶賛。
横綱候補として期待を寄せた。
大関・琴ノ若改め琴桜が5日、千葉・松戸市の部屋で出稽古に訪れた大栄翔と王鵬、弟弟子の琴勝峰の幕内3人を相手に計13番をとって12勝だった。
力強い大栄翔の突き押しや王鵬の立ち合いをしっかり受け止めた。
大栄翔と4番、王鵬と6番とって全勝。
琴勝峰に一度寄り切られただけで、大関が12勝1敗と力の差を示した。
それでも取組後に首をかしげる場面もあり、「相手に攻められていたので」と現状の内容に満足していない。
「場所前終盤で仕上げられるように」と本場所を見据えた。
気になるケガの状態は?
2日、国技館で横綱審議委員会(横審)による稽古総見が一般公開で行われた。
大関貴景勝は琴桜ら大関同士の申し合いで6番取り、1勝5敗と精彩を欠いた。
春場所は8度目のカド番を脱出する一方で、首の古傷の影響もあり14日目から途中休場。
春巡業も全て欠場した。
貴景勝は「(番付)上位と相撲を取るのは(3月の)春場所以来。久しぶりだったので、感覚を確かめながら。少しずつ、少しずつ判断しながら」と話し、あくまでマイペースで調整していることを強調した。
カド番の大関・霧島が6日、東京・墨田区の時津風部屋に出稽古をし、17番。
肩周りや左腕にテーピングをしながら、勢いのある立ち合いをみせた。
最初の手合わせでは元大関・御嶽海に左を差して寄り切った。
首付近への不安を口にしていたが、この日は頭からのぶつかりも見せて16勝。
「久しぶり。首の状態をみて頭からぶつかった」と明かした。
夏場所に向けて好材料だ。
師匠の音羽山親方も稽古場を訪れ「頭から当たれていれば、首に原因がないことが分かった。
右膝を痛めている小結朝乃山の出場が6日、厳しい状況になった。
師匠の高砂親方は「まだ分からないが、無理をして出る必要はない」と出場に慎重な見解を示した。
6日は東京都墨田区の高砂部屋での稽古を休み、初日まで1週間を切った段階で四股も再開できていない。
元大関で30歳の朝乃山は4月25日の春巡業で負傷し、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で全治3週間と診断された。
今月2日の横綱審議委員会による稽古総見は欠席。
今場所は約3年ぶりに三役復帰を果たしたが、調整は大幅に遅れている。
高砂親方によると痛みは和らぎ、通常の歩行は可能になったと説明。
「しっかり治してから出したい。本人と話し合って決める」と述べた。
新小結の大の里が5日、茨城・阿見町の二所ノ関部屋で稽古し、十両白熊らと11番取って8勝3敗だった。
入幕3場所目は序盤から横綱、大関陣との対戦が確実。
23歳のホープは「初日に全開でいけるように頑張るだけ」と気合を入れた。
2日の横綱審議委員会による稽古総見では、大関陣と互角の内容だった。
それでも「今のままでは駄目。何かを変えないと横綱、大関には勝てない」と危機感を口にする。
申し合いに加わる前に、立ち合いからの流れを何度も確認し、理想の形を模索している。
新入幕から2場所連続で11勝を挙げたが、豊昇龍と琴桜には2場所とも敗れており、両大関の攻略が鍵になる。
「春巡業中は大関陣と稽古できなかった。総見の経験を無駄にしないように」と三度目の正直を期した。
西前頭筆頭の大栄翔が4日、夏場所に向けて、千葉・松戸市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古した。
大関琴桜とは8番取って3勝5敗。
うち連続で取った7番は、最後に連敗するまでは常に大栄翔が白星を先行させる流れで、先場所まで7場所連続で三役を務めた実力を発揮した。
回転の速い突っ張りの威力は変わらず「自分の相撲を何番かは取ることができた。ここから場所に向けてギアを上げていきたい」と、一定の手応えを感じた様子だった。
西前頭5枚目・明生が3日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古して計11番取った。
まず平幕力士6人による申し合い稽古に参加し、新入幕の欧勝馬や正代らを相手に8番。
その後、同部屋の大関・豊昇龍と3番取って充実の汗を流した。
明生は春巡業の全日程を休場。
提出された診断書には「尋常性疣贅(ゆうぜい)」と記されていた。
疣贅とは、いわゆる「いぼ」のこと。
「1年以上前から気にはなっていた」と左足のかかとに違和感を感じており、春場所後の3月26日に手術。
「切開して深くえぐった」という。
大相撲春場所で110年ぶりの新入幕優勝を飾った尊富士が、右足首を負傷した影響で夏場所の出場を迷っている。
春場所14日目に右足首を痛め、春巡業は全休。
4日の朝稽古では、患部にテーピングを巻き、ぶつかり稽古には参加したが、相撲は取らなかった。
東前頭17枚目から同6枚目まで一気に番付を上げた夏場所の出場については「出たい気持ちがある反面、しっかり治さないとという不安もあって難しい」と揺れる思いを明かした。
琴勝峰が5日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で計15番取った。
まずは平幕3人による申し合いで、出稽古に訪れた大栄翔と王鵬を相手に12番。
その後、兄弟子の大関・琴ノ若改め琴櫻と連続で3番取った。
「圧力ある人たちなので良い稽古になります」と充実感。
再入幕から2場所連続で勝ち越しており「毎場所勝ち越しを続けていけるように頑張りたい」と夏場所への意気込みを述べた。
初土俵から約2年半で新入幕の欧勝馬は30日、東京都墨田区の鳴戸部屋で記者会見。
元学生横綱は十両で2年近く足踏みし「ファンや後援会の方から『もう十両は見飽きた』と言われ、頑張ってきた。
やっと上がれてうれしい」と語った。
モンゴルから同じ飛行機で来日した豊昇龍は大関になり、日体大の後輩の大の里は新三役に昇進。
「頑張って稽古すれば自分も三役まではいける。早く対戦したい」と気合十分だ。
師匠の鳴戸親方は部屋創設から初の幕内力士に「真面目にこつこつやってきた。もっと上を目指して前に出る相撲を磨けばいい」と期待した。
日本相撲協会の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士、青森県つがる市出身)らが30日、つがる市役所を訪れ、今年8月21日に同市の伊藤鉱業アリーナつがる(市総合体育館)で、夏巡業の「大相撲つがる場所」を開催すると報告した。
10月行われる秋巡業大相撲相模原場所(大相撲相模原場所実行委員会主催)を前に、日本相撲協会巡業部の枝川親方(時津風部屋、元前頭筆頭の蒼樹山)が4月30日、同市役所を訪れ、本村賢太郎市長を表敬訪問した。
同市で巡業が行われるのは2019年10月以来、5年ぶりになる。
枝川親方は約200人の力士らが巡業の前日から相模原市内に宿泊すると明かし、「お相撲さんが相模原の夜の街を歩いているかもしれません」と、市民が土俵を離れた力士の姿を見る機会にもなると話した。
日本相撲協会の秋巡業「大相撲倉敷場所」の10月27日開催が決まり、鳴戸親方(元大関琴欧洲)が1日、倉敷市役所を訪れ、伊東香織市長に報告した。
市内での巡業は2019年秋以来5年ぶり5回目。
岡山県内では昨秋の岡山、真庭市以来。
日本相撲協会は1日、4月16日に開いた「能登半島地震復興支援・勧進大相撲」での入場料金全額やグッズの売上金など2733万8699円を能登半島地震で被害を受けた石川県に寄付すると発表した。
石川県出身の大鳴戸親方(元大関・出島)、竹縄親方(元関脇・栃乃洋)が7日に石川県庁を表敬訪問し、馳浩県知事に渡す予定。
内訳は入場料金全額が2523万5955円、売店売上の一部が124万7026円、館内募金全額が85万5718円だった。
2024/03/25
千秋楽、霧島は50秒の熱戦の末に琴ノ若を上手投げで下し、5勝10敗で今場所を終えた。
師匠・陸奥親方(元大関・霧島)が4月に定年を迎えて部屋を閉鎖するため陸奥部屋所属として臨む最後の一番。
気力で大関対決を制した。
2桁黒星は三役昇進以降ワースト。
首を痛めていたことを明かし「いろいろな思いがあった。親方の最後を飾るために(ケガも)良い経験として」と最後まで土俵に上がり続けた。
今後は師匠の陸奥親方とともに音羽山部屋へ転籍する。
千秋楽、豊昇龍が大の里を下手投げで破って11勝目を挙げた。
立ち合いで左前みつを狙ったが果たせず。
それでも、得意の右で下手を引くと即座の投げで土俵下まで転がした。
「優勝は逃したけど今場所は楽しかった。尊富士の全勝を止めた。そこは満足しておこうかな」。
優勝を争った新星2人の壁になり、自らに及第点を与えた。
千秋楽、琴ノ若は現在のしこ名で取る最後の一番を白星で飾れなかった。
霧島との大関対決で上手投げを残せず、行司軍配差し違えで黒星。
新大関場所は終盤まで優勝争いに加わったものの10勝で終わった。
来場所から祖父で先代師匠が名乗っていた琴桜を襲名する意向。
「また来場所しっかりやります」と絞り出すように話した。
千秋楽、西前頭筆頭の朝乃山が関脇・若元春に敗れて9勝6敗で今場所を取り終えた。
けんか四つの相手に差し負けて左四つになると、上手が取れず左下手も切られ、若元春の巧みな攻めに完敗。
「最後に負けているから何も意味ない。どうしても2桁勝ちたかった」と悔やんだ。
千秋楽、大の里は敢闘賞、技能賞のダブル受賞に輝き、来場所の新三役昇進も確実にした。
千秋楽は大関・豊昇龍の右下手投げに屈するも、先場所に続く11勝は立派だった。
過去に例のない13日目終了時2差からの奇跡の逆転優勝はならなかったが、尊富士とともに堂々と「荒れる春場所」の主役を担った。
二所ノ関部屋がある茨城県阿見町では、地元住民らが同部屋の大の里の初優勝を願い、応援に声をからした。
千秋楽まで優勝争いを演じ、あと一歩で初優勝を逃したが、「よく頑張った。地元の誇りだ」「次は絶対優勝していつか横綱になってほしい」と、ざんばら髪で大相撲界を沸かせた「地元の星」をたたえた。
千秋楽、東前頭16枚目の遠藤が、3場所連続で5勝10敗と大きく負け越し、来場所の十両陥落が濃厚となった。
御嶽海に押し出され、4連勝締めとはならなかった。
16年夏場所から、約8年間守ってきた幕内からの陥落が現実味を帯びる状況は、自身も理解しているが12〜14日目には3連勝するなど意地も見せた。
これに「来場所につながるか?」と問われると「そうですね」と即答。
幕内の座を守ることができなかったことを節目とした、現役引退の可能性はまるで見せなかった。
千秋楽、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が豪ノ山を押し出し、13勝2敗で初優勝を遂げた。
前日14日目の取組で右足を負傷。
救急車で大阪市内の病院へ搬送される事態で出場も危ぶまれた千秋楽。
師匠の伊勢ケ浜親方に直訴しての強行出場で白星を飾った。
史上最速の所要10場所で、110年ぶりの新入幕V。
さらにまだ大銀杏を結えないちょんまげ力士の優勝も初。
尊富士は三賞も殊勲、敢闘、技能すべて獲得した。
師匠の伊勢ケ浜親方は「よく頑張ったね」とたたえた。
NHKのテレビ解説では感極まった様子も見せ、「そりゃね。心打つものがね」。
ケガを押して大記録を達成した弟子の長所を「気の強さ」とし、「まだ幕内の一番下ですし、目指すものはいっぱいある。
自分の相撲をしっかり貫いて上を目指してやってほしい」と期待した。
また、場所後に行われる春巡業について、7日目から休場した横綱照ノ富士は出場するが、尊富士は休場する見込みだと明かした。
千秋楽、西十両2枚目の水戸龍(29=錦戸部屋)が碧山(37=春日野部屋)を下して12勝目を挙げ、21年名古屋場所以来自身2度目の十両優勝を決めた。
立ち合い右を差しにいくも、前傾姿勢の碧山に左からおっつけられて差せず。
それでも前に出て圧力をかけ続けて力強く押し出した。
今場所は積極的に前に出る相撲が目立っており「最後も前に出て勝ててよかった」と好内容を振り返った。
敗れれば4敗の欧勝馬(26=鳴戸部屋)との優勝決定戦にもつれ込む一番。
前日に「2番取るのは嫌」と自力で決めることを宣言しており「負けることを考えずにやった」と見事に有言実行を果たした。
千秋楽、日本相撲協会は25日に東京・両国国技館で評議員会を開催し10人の理事を承認し、選出された理事による新理事会で互選で新理事長を決める。
現職の八角理事長(元横綱・北勝海)の再選が確実で、15年に急死した北の湖前理事長(元横綱)の後を受け実質5期目に突入する。
1月の役員候補選挙では無投票で理事候補10人が決定。
二所ノ関一門の高田川親方(元関脇・安芸乃島)、時津風一門から勝ノ浦親方(元幕内・起利錦)、伊勢ケ浜一門から浅香山親方(元大関・魁皇)が新たに名を連ねた。
2024/03/24
14日目、大関豊昇龍は痛恨の黒星で、2度目の優勝の可能性が消滅した。
立ち合いで右に動いて琴ノ若の上手を取りに行った。
だが見透かしていたように、鋭くは踏み込まなかった相手に左を差されて体を預けられ、寄り倒された。
得意の右からの投げを繰り出すことができなかった。
大関同士としては初対戦だった相手の大きな体に押しつぶされた格好となった。
14日目、大関貴景勝が春場所14日目の23日、休場した。
13日目の大関琴ノ若との一番に送り出しで勝利。
勝ち越してかど番脱出に成功も、その取組の際に右大胸筋付近を痛めたとみられる。
ここまで8勝5敗だった。
貴景勝の休場は今年初場所に続いて12度目。
14日目の対戦相手、大関霧島は不戦勝。
14日目、新大関の琴ノ若が豊昇龍の逆転Vの可能性を消した。
投げにきたところで、うまく体を寄せての寄り倒し。
「(豊昇龍の投げは)頭にはありました。体がよく動いたと思います」。
大関の勝ち越しとされる10勝をクリアした。
それでも「別に。優勝争いに入れていないんで、そこは」と笑顔はない。
千秋楽は今のしこ名で最後の相撲となる予定だが、「それは師匠と話して決めるんで」とだけ話した。
14日目、西前頭筆頭の朝乃山が、大関経験者として、幕内優勝経験者として意地を見せ、番付の重みを示した。
勝てば文句なしで、110年ぶりの新入幕優勝と、所要10場所という最速優勝記録更新だった尊富士を破った。
相手の出足を組み止め、右をねじ込むとグイグイと前に出て寄り切った。
取組後、胸の内を明かした。
「(尊富士が)単独で先頭を走っていて、自分に勝ったら110年ぶりという歴史があった。どうしてもそれだけは避けたいと思っていた」。
偉業達成を許した相手として、後世に名を残してしまう屈辱を味わわされたくなかった。
その一心で、前へ、前へと出続けて白星をつかんだ。
前夜も「相手が今場所、どうやって取ってきたかを見た」と、今場所の尊富士の取組映像を見て研究。
「土俵に上がったら、目の前の相手との一番に集中した。
力を出し切った。
「自分の相撲を信じて」と胸を張った。
14日目、直前の一番で、勝てば優勝だった尊富士が敗れただけでなく、負傷して車いすで花道を引き揚げた。
館内がざわつく中で、ざんばら髪の大の里が落ち着いて白星を積み上げた。
長い手を生かした阿炎のもろ手突きに下がらず、相手が前に出てきたところをはたき込み、「相手の動きを見て、体が反応できた」。
土俵下の浅香山審判長は「引いたけど、立ち合いでしっかり当たっているから」と評価した。
14日目、西前頭10枚目・御嶽海は東前頭13枚目の竜電を突き落としで破り、昨年の九州場所以来2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
竜雷の当たりをいなして突き落とし、8勝6敗とした。
千秋楽の24日は、東前頭16枚目の遠藤と対戦する。
直近6場所では2回顔を合わせ、御嶽海が2勝している。
14日目、勝てば110年ぶりの新入幕優勝だった尊富士が元大関の平幕朝乃山に寄り切られ、2敗目を喫した。
尊富士は右足を負傷した。
大の里は小結阿炎をはたき込んで3敗を守った。
豊昇龍は琴ノ若に寄り倒され、4敗目。
賜杯は尊富士と大の里に絞られた。
千秋楽に尊富士が豪ノ山に勝つか、負けても大の里が豊昇龍に敗れれば初優勝が決まる。
3敗で並べば平幕同士による優勝決定戦となる。
2024/03/23
13日目、豊昇龍が豪ノ山との3敗対決をすくい投げで制して優勝の可能性をつないだ。
押し込まれたが、右から豪快にすくって土俵へはわせた。
12日目に今場所初めて土をつけた尊富士が若元春に完勝した。
「スゲーな、アイツ。オレ、倒したからいいや。自慢できる」。
千秋楽の優勝決定戦での再戦を思い描き「誰か2人(尊富士を)倒してくれないかな」とまずは朝乃山に願いを託した。
13日目、3連敗中だった貴景勝は、琴ノ若との大関対決で左上手を許す苦しい展開で粘り、すくい投げから背後を取って送り出して勝ち越した。
かど番を脱出したが、勝ち残りの土俵下で表情をゆがめ、支度部屋では付け人に右胸付近の痛みを訴える場面があった。
取材には応じずに引き揚げた。
13日目、新大関琴ノ若が貴景勝との大関対決に敗れ4敗目。
「結果がすべてなんで」と下を向いた。
来場所からは祖父のしこ名「琴桜」を襲名するため、琴ノ若のしこ名での優勝は今場所がラストチャンスだった。
1敗の尊富士を逆転する可能性がなくなり「ちょっとすいません」と唇をかんだ。
13日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、4連勝で勝ち越しを決めた。
幕内では取組前まで7勝4敗、直近は2連勝中だった小結阿炎を破った。
相手のもろ手突きの立ち合いから、回転の速い突っ張りを受けながらも、左上手を引いて出し投げを打った。
阿炎にはすぐに向き直されたが追撃し、土俵際まで押し込んだが、反撃に遭った。押し返されたが、朝乃山は上体の柔らかさで、のけぞりながら圧力を逃がし、相手がバランスを崩したところを突き落とした。
8勝5敗とし、来場所で3年ぶりに三役に返り咲く権利を得た格好となった。
13日目、東前頭2枚目の熱海富士が平戸海を下して8勝5敗とし、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
すぐに右四つに組み合うと体勢の低い相手に先に上手を引かれて攻め込まれたが、重い腰で残して右下手を引いて攻め返しながら左上手もガッチリ。
両まわしを引き付けて胸を合わせて力強く寄り切った。
東前頭2枚目で勝ち越しを決め、新三役昇進へ一歩前進した。
西筆頭の朝乃山が勝ち越していたり西5枚目の大の里が10勝を挙げていたりと三役争いは混戦模様。
静岡県出身では94年ぶりとなる三役昇進へ、残り2日間の戦いにも注目だ。
13日目、東前頭4枚目翔猿が東前頭筆頭の宇良をはたき込みで破った。
「我慢比べですね」と評する動きの大きなくせ者同士の対戦となったが、「体が動いてくれた」と勝利に満足感をみせた。
これで7勝目。勝ち越しに前進し「あと2番頑張ります」と気持ちを引き締めた。
13日目、平幕の大の里は大栄翔の押しに少し後退するも、焦ることなくタイミングよくはたき込んだ。
これで10勝目。
「この地位で2桁勝つことを目標にしていたので、うれしいです」と素直に喜びを表現。
192センチの深い懐を生かした取り口には、魅力が詰まっている。
新入幕だった先場所は11勝。
新入幕から2場所連続での2桁は2022年名古屋場所、秋場所ともに10勝を挙げた錦富士以来。
「先場所と違って番付を上げて2桁勝てたのは、自信になりますし大きなこと。(千秋楽まで)勝てばマックス12勝ですし」と白星を積み上げていくつもり。
13日目、「角界の鉄人」の異名で知られる西前頭7枚目の玉鷲が史上7位の幕内出場1300回を果たした。
史上1位は旭天鵬の1470回。
東前頭16枚目の遠藤に引き落としで敗れた。
13日目、東前頭16枚目遠藤が西前頭7枚目の玉鷲を破り、連勝で4勝目を挙げた。
立ち合いで右に変化し、玉鷲を引き落とした。とっさにひらめいたのかと聞かれ、「そんなことできたらいいんですけど、あれしかできなかった」と苦笑した。
「あと2日、精いっぱいしっかり準備しないといけない。気は抜けないですね」と気持ちを引き締めていた。
13日目、歴史的な優勝へ自ら王手をかけた。
尊富士が関脇・若元春に快勝。
1世紀以上、誰も成し遂げられなかった新入幕優勝が、14日目にも実現する可能性が高まった。
立ち合いが素晴らしい。
鋭く立つと左を差して押し込んだ。
さらに、自慢のスピードに加えた工夫が見られた。
止まらず右に振って相手にたたらを踏ませると、双差しに持ち込み寄り切った。
「よく覚えていないが体は動いていた」と会心の速攻相撲を振り返った。
2024/03/22
12日目、がぜん注目を集めている相手を前にして、豊昇龍の闘志がかき立てられないはずがない。
「楽しみにしていた」という尊富士との一番。
自身の強みを見せつけ、新入幕の快進撃をようやく止めた。
「しっかり集中できていた」。
負けん気の強い大関が、風格たっぷりに言った。
右から張って出たが、鋭い出足を受けて土俵際まで後退した。
ただ、ここからが豊昇龍の真骨頂。
狙ったまわしは引けなくても、柔軟で強い下半身を生かし、鮮やかな小手投げで余裕十分に逆転。
「うまく反応した。体も動いていた」と自賛した。
12日目、休場明けのカド番大関・貴景勝は関脇・若元春に元気なく寄り切りで敗れ、5敗目。
勝ち越しに王手をかけてから、足踏みが続いている。
12日目、大関琴ノ若が大の里を小手投げで下し、3敗を守った。
11日目は初日から10連勝していた新入幕の尊富士の壁となれなかったが、「引きずったり考えたりしない」と自分の中で消化。
この日は「集中していけた。自分が余計なことをしたら持っていかれる。そこだけ集中して」と大関としての自信を胸に、ざんばらの大の里を引きずり下ろした。
関脇・若元春は、ここまで6勝5敗。
12日目、大関・貴景勝との対戦。
踏み込んで右のまわしとった若元春が、そのまま一気に貴景勝を寄り切った。
これで7勝目、勝ち越しに王手をかけた。
12日目、返り小結の阿炎が勝ち越しを決めた。
高安に押し込まれたが、うまく回り込んでしのぐ。
頭を上げずに耐えた後、腰の重い相手を押し切り、「よく攻めることができた」と満足げだった。
入門時の師匠だった元関脇寺尾が死去したことを受け、今場所前に錣山部屋付きだった立田川親方が部屋を継承。
環境が変わった中で好結果を出したが、「まだ終わっていない。集中してやっていく」と気合を入れ直した。
12日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、今場所初の3連勝で7勝5敗とし、勝ち越しに王手をかけた。
今場所で金星を挙げている西前頭3枚目の隆の勝に、立ち合いから相手の右のど輪で上体をのけぞらせたが、すぐに反撃して右を差して寄り立てた。
相手に寄り返されたが、前に出続けると、ようやく左上手を引いて寄り切った。
3年ぶりの対戦だったが、過去5勝1敗という合口の良さを継続させた格好となった。
12日目、幕内2場所目の西前頭5枚目大の里が、痛い3敗目を喫し、ざんばら髪として初優勝の快挙が遠のいた。
2日連続の大関戦&結びの一番となった琴ノ若戦に小手投げで敗れて9勝3敗。
新入幕で11勝した先場所に続く、幕内2場所連続2桁白星はお預けとなった。
すでに単独トップの尊富士とは対戦を終えて敗れており、自力での逆転優勝の可能性は消滅。
12日目、豪ノ山が大栄翔が前掛かりに押してきたところをはたき込みで破った。
「勝てて良かった。立ち合いしっかり当たることを意識した」。
9勝目を挙げたことで優勝争いにも絡んできた。
「全然分からない」としながらも「残りも全部勝てれば」。
まずは13日目、大関豊昇龍との3敗対決が組まれた。
大阪・寝屋川出身。
地元の声援を力に大仕事に挑む。
12日目、東前頭16枚目遠藤が西前頭9枚目琴勝峰をたたき込みで破り、3勝目を挙げた。
5日目から7連敗を喫して負け越し。
16年夏場所以来、約8年間守ってきた幕内残留の可能性が遠のいた中での取組となったが、この日は相手の力をうまくさばき「(体が)動いたね」と振り返った。
結果が出ていなかっただけに「だいぶズルズルしたけどね」と自虐しつつ、「勝つに越したことない。あんまり余計なことを考えず、次の日もってなるしね。前向きになるよね」と話した。
12日目、初日から11連勝で単独トップの東前頭17枚目の尊富士が、初黒星を喫した。
大関豊昇龍に小手投げで敗れた。
新入幕の初日からの11連勝は、1960年初場所の大鵬に並ぶ最長だが、記録更新はならなかった。
それでも唯一、2敗だった大の里が敗れ、2差は変わらず半歩前進。
早ければ14日目にも初優勝が決まる。
新入幕優勝を果たせば、1914年(大3)5月場所を、所要11場所の史上最速で制した両国以来、110年ぶりの快挙と同時に所要9場所の最速優勝となる。
支度部屋に戻った尊富士は、飾らずに「あー、クソッ!」と、悔しさをあらわにした。
相手は大関で自身は新入幕。
番付の違いなど戦う前から分かっている。
ただ、同学年で最も出世している豊昇龍に、ただただ勝ちたかった。
だからこそ心の声が漏れた。
「見ての通りです。(緊張は)なかった。しょうがない。勝ち負け、勝負なので」。
自らに言い聞かせるように話したが、何度も唇をかんだ。
2024/03/21
11日目、霧島の負け越しが決まった。
もろ差しを狙ったが、若元春に得意の左を差され、力なく後退して完敗。
今場所はいいところがなく、「これから直していくしかない」と自らに言い聞かせた。
精彩を欠いた要因に稽古不足を挙げた。
5月の夏場所は2度目の大関かど番で迎えることになり、「落ち込むことはないので、いい経験と思ってやりたい」と話した。
11日目、豊昇龍が辛抱強く大栄翔を退けた。
相手の攻めを左右にいなしてしのぎ、最後は突き落とし。
足腰の良さを生かし、「(相手が)見えて、落ち着いて相撲が取れた」と納得顔。
勝ち越しを決めたが、「うれしいことじゃない。しっかり最後までやっていく」と笑顔はない。
12日目は全勝でトップを走る新入幕、尊富士の挑戦を受ける。
快進撃を止め、大関の面目を保つ覚悟だ。
11日目、大関貴景勝は結びの一番で大の里に敗れ、かど番脱出は持ち越しとなった。
ざんばら髪の大の里の挑戦を受けた貴景勝。
立ち会いで相手の圧力に押し込まれると、懸命にのど輪、張り手を繰り出して相手の勢いを止めようとした。
だが引こうとしたところを一気に押し込まれ、最後は勢いよく土俵の下まで飛んでしまい、危うく観客と衝突するシーンもあった。
11日目、新大関琴ノ若は新入幕の尊富士に寄り切られて痛恨の3敗目。
優勝争いから一歩後退し、支度部屋で悔しさをかみしめた。
相手の鋭い出足を一度は食い止め、前に出たが、懐に飛び込まれて反撃されると、なすすべなく土俵を割った。
12日目もここまで2敗と勢いがある大の里の挑戦を受ける。
「切り替えていきます」と言葉を絞り出し、自らを奮い立たせた。
11日目、大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山が、連勝で6勝5敗とし、今場所初めて白星を先行させた。
今場所で初金星を挙げている東前頭3枚目の王鵬を破った。
立ち合いで右を差せなかったが、左からのおっつけで相手を横向きにした。
そのまま前に出て最後は寄り切り。
王鵬には、十両だった昨年春場所の初顔合わせこそ敗れたが、その後は3連勝とした。
今場所は初日に大関貴景勝に敗れて以降、勝ったり負けたりが続き、星を五分に戻すことはあっても、白星先行には至らない展開続き。
ようやく白星先行となり、3年ぶりの三役返り咲きの可能性が出てくる勝ち越しに前進した。
取組後は「相手の右肘に、ちゃんとあてがいながら崩して攻められた」と、左からのおっつけの良さを勝因に挙げた。
11日目、正念場で大器であることを示した。
大の里が大関を初めて撃破。
貴景勝を土俵下のたまり席まで吹っ飛ばす力強い相撲で連敗を阻止し、トップと2差に踏みとどまった。
結びの一番。
立ち合いから圧力で一気に後退させた。
いなしにも焦らず付いていく。
たまらず引いた大関に乗じて、前傾姿勢になりながら前進。
最後は豪快に押し出した。
前日の尊富士戦は後手に回り、痛恨の2敗目を喫した。
「昨日の反省を生かして、腹を決めて前に出るだけだった。体が動いてくれた」。
修正力を見せ、終始圧倒した。
先場所に続く2桁勝利にも王手をかけた。
「今場所は関脇に勝って、大関にも勝てた。先場所より成長していると思う」と手応えも十分だ。
11日目、東前頭16枚目遠藤が東前頭9枚目北勝富士に突き落としで敗れ、9敗目となった。
立ち合いはしっかり当たったが、そのまま左膝から崩れ落ち「まあ、こんなもんだ」と力なく話した。
16年夏場所以来、約8年間守ってきた幕内残留の可能性も遠のく1敗。
集まった報道陣に「皆、それが気になるから聞きたいんでしょ?」と苦笑しながら、「それ相応の力。こんなもんだって。それも含めて想定内」とつぶやいた。
11日目、巨人、大鵬、卵焼き――。
昭和に絶大な人気を誇った大横綱の持つ最長記録に、ついに並んだ。
幕尻の尊富士が大関初挑戦で新大関の琴ノ若を破り、新入幕連勝を幕内優勝32回の元横綱・大鵬と同じ11にまで伸ばした。
持ち味のスピードを存分に生かした。
一度は押し込まれるも素早く体をずらす。
距離ができた瞬間に「とっさの反応」と相手より先に前に出て右を差すと一気に寄り切った。
「流れが良かった」と素直に喜んだ。
2024/03/20
10日目、大関霧島は平戸海の下手投げに屈し、7敗目を喫した。
右張り差しは不発に終わり、平戸海にもろ差しを許して腰が伸びる。
最後は強引な右上手投げに左下手投げを合わされた。
支度部屋ではうつろな表情を浮かべ、報道陣の問いかけに無言を貫いた。
10日目、大関・豊昇龍が関脇・若元春を上手投げ下し7勝目。
V争い生き残りへ3敗を死守した。
迎えた結びの一番だったが勝負は一瞬。
豊昇龍が立ち合いで右に素早く変化し対応できなかった若元春を破った。
10日目、新大関の琴ノ若は力強い攻めを披露。
王鵬を左からおっつけていなす。
体勢が崩れた相手を難なく寄り切り、「集中していけたかなと思う。体が動いてくれた」と落ち着いて振り返った。
10日目で給金を直した。
「まだ場所が終わったわけじゃない。気を引き締めてやっていきたい」。
11日目には全勝の新入幕、尊富士の挑戦を受ける。
優勝争いを占う一番を前に「自分のやるべきことをやるだけ。そんなに変わらない」と表情を変えずに言い切った。
10日目、東前頭筆頭の宇良が小結・錦木を破って5勝5敗と星を五分に戻した。
立ち合い左に動きながら潜って相手の右足をつかむと、足取りで崩して一気に前に出て押し出し。
速攻の得意技で地元・大阪のファンを大いに沸かせた。
10日目、東前頭4枚目翔猿が休場した。
途中休場は新型コロナウイルス関連の2022年名古屋場所を除けば初めて。
10日目の対戦相手、豪ノ山は不戦勝となった。
師匠の追手風親方(元幕内大翔山)によると、腸炎が原因。
下痢や発熱の症状はあるが、新型コロナウイルスとインフルエンザは陰性だった。
11日目の取組が発表され、西前頭2枚目明生との取組が組まれた。
10日目、平戸海が大関戦初勝利を挙げた。
不振の霧島相手に立ち合いで素早く2本差し。
一気に攻め込むと半身で粘る相手に体を密着させて、下手投げで破った。
「しっかり中に入ろうと思っていた。入ってもろ差しになれた」。
大関には巡業などの稽古で指名されることが多く、恩返しの勝利。
「こういう相撲で勝てて自信になります」と笑顔を爆発させた。
10日目、東十両5枚目の翠富士が琴勝峰を下して5勝5敗で星を五分に戻した。
立ち合い当たって右をのぞかせるとすぐに右へ体を開いて十八番の肩透かし。
2日連続の必殺技を決め「目標はあと5連勝。5連続で肩透かし決めます」と2桁勝利を視野に入れた。
10日目、大の里は持ち味の馬力を生かした相撲を取ることができなかった。
立ち合いの出足を尊富士に止められると、下がりながら右からの投げ。
そこを一気に攻め込まれ、2敗目を喫した。
勝てば1敗で尊富士とともにトップに並んでいただけに、大の里は「楽に勝とうとしてしまった」と悔やむと「最低の相撲を取ってしまった」と自身を責めた。
10日目、立ち合い左からの強烈なおっつけで攻めると、美ノ海に前まわしを引かれるも、かまわず出ていき勝利。
決まり手は“極め倒し”で、日本相撲協会の公式サイトによれば発生割合0.1パーセントの非常に珍しい特殊技である。
勝った玉鷲は4勝目。
19日には日本国籍を取得したことが官報に告示されたことも話題を呼んだ。
10日目、遠藤が東前頭16枚目で負け越しが決まった。
得意の右上手を引いても攻め切れず、金峰山の反撃を受けて土俵を割った。
10日目での8敗に「勝たないとね。負け越しは悔しいし、みんなそうだよ」とつぶやいた。
2016年春場所以来、約8年ぶりとなる十両転落もちらつく厳しい状況。
残り5日に向け、「精いっぱいやるだけ。勝てば気持ちいいだろうが、落ち込んでも仕方ない」と先を見据えた。
10日目、ちょんまげ姿の尊富士が、鋭い立ち合いから右を差してざんばら頭の大の里を足を止めずに押し出した。
まだ大銀杏(おおいちょう)が結えない同士の首位決戦。
新入幕の尊富士が1敗だった入幕2場所目の大の里を倒して無傷の10連勝を飾った。
単独トップの重圧とは無縁。
「声援がすごいと思ったけど、土俵では自分と大の里だけ」と集中できた。
勝敗の鍵を握っていた相手の右差しを完封してみせた。
110年ぶりの快挙へ。
優勝争いも2番手との差を「2」に開き、1914年(大3)5月場所の両国(元関脇)以来となる新入幕Vや、両国の所要11場所を上回る9場所のスピード優勝に大きく前進した。
11日目は2敗を守って勝ち越した新大関琴ノ若との初大関戦に挑む。
2024/03/19
9日目、霧島はようやく3勝目。
重さのある錦木にしっかり当たると、喉輪などで先に攻め続けて寄り切り、「何より勝てたこと(が一番)」。
黒星先行の厳しい状況でも、師匠の陸奥親方から受けた「次につながる相撲を取れ」との励ましを胸に土俵に立つ。
「勝っても負けても、自分の立ち合いを取り戻せるようにしたい」と課題を見つめた。
9日目、大関貴景勝は翔猿を下し、かど番脱出へあと1勝とした。
新大関の琴ノ若も関脇大栄翔を退けて2敗を守ったが、豊昇龍は翠富士に屈して3敗に後退。
霧島は錦木を寄り切って3勝目。
新入幕の尊富士は小結阿炎に快勝し、9連勝で単独トップを譲らず、関脇若元春を破った大の里が1敗で追う。
返り小結の錦木は負け越し。
新大関での勝ち越しに王手≠かけた。
9日目、新大関の琴ノ若が関脇大栄翔を下して7勝目(2敗)を挙げた。
取組後に琴ノ若は「しっかり攻めて、自分の相撲が取れた」と手応えを口にした。
大関候補の相手を力強く押し出す快勝には、審判長を務めた粂川親方も「落ち着いていた。一方的な相撲だった」と高評価を与えた。
9日目、小結の阿炎が、新入幕の尊富士に押し出されて3敗目を喫した。
もろ手で起こしにかかるが、低い立ち合いのまま圧力をかける相手の攻めを防げなかった。
なすすべなく敗れ、「圧力が強くて、押し負けたかんじ」と脱帽した。
9日目、翠富士が豊昇龍を十八番の肩透かしで下し、3敗へ引きずり下ろした。
昨年春場所以来の豊昇龍戦の連敗も5で止め「狙い通りでしたね。また勝ち続けられるように頑張りたい」。
21年初場所の初顔合わせからは4連勝しており、その再現への意欲を語った。
全勝で優勝争いの首位を走る弟弟子・尊富士への援護射撃にもなり、「程よいアシストになりました」と笑顔を見せた。
9日目、大の里が関脇若元春を寄り切り、三役から初白星を挙げた。
大の里はざんばら髪として史上初の優勝を目指す。
しこ名通りのスケールの大きさで勝ち切った。
大の里は立ち合いで若元春をはじき飛ばすと、圧力をかけて前進。
左を差される相手得意の形になり、1度は寄り返されたが構わず出続けた。
粘る相撲巧者に体を預け、圧力だけで初めて三役から白星を挙げた。
「土俵際で差され、慌てる形になったけど、役力士に勝って自信になった。先場所よりは成長したと思う。止まったらねじ伏せられるので、多少ガムシャラでも前に出た」と胸を張って話した。
10日目、無敗の新入幕尊富士と互いに勝てば初優勝に前進する直接対決に臨むことになった。
9日目、新入幕の尊富士は役力士との初対戦にも動じなかった。
小結阿炎のもろ手突きをあてがい、一気に攻めて押し出し。
馬力で上回り、「何をされても対応できるように準備はしていた。自分の相撲を集中して取り切れた」。
館内を沸かせた完勝を冷静に振り返った。
ただ一人全勝をキープ。
兄弟子の照ノ富士が休場した中、主役に躍り出ている。
憧れの存在は常に頭にあり、「横綱が場所にいなかったら、誰かが活躍しないといけない。いつまで頼っていても、僕らが成長しない」と力強かった。
日本相撲協会は18日、元幕内で西幕下36枚目の照強(29)=兵庫県南あわじ市出身、伊勢ケ浜部屋=が引退届を提出し、受理したと発表した。
阪神・淡路大震災が発生した1995年1月17日に被災地で生まれ、最高位は2020年秋場所の西前頭3枚目。
幕内在位は22場所だった。
2024/03/18
8日目、大関・霧島が苦しい6敗目だ。
くせ者の東前頭4枚目・翔猿との一番は、動かすとうるさい相手を突っ張り合いから右四つに組み止めた。
だが、右前まわしを許し、頭も着けられた。
それでも右かいなを返していたが、強引に肩越しから左上手を取りにいき、上体が浮いた。
そこをつけ込まれてあっけなく寄り切られた。
支度部屋では報道陣に言葉を発することなく会場を後にした。
8日目、カド番の大関・貴景勝が2敗をキープした。
5日目に照ノ富士から横綱初挑戦金星を挙げた東前頭3枚目・王鵬との一番。
強烈な突き合いにも屈せず前進。
何度も頭からぶつかり、気迫あふれる押し相撲で快勝した。
会心の内容での6勝目にも「いつも通りです。(後半戦も)いつも通りやるだけです」と平常心を強調した。
八角理事長は「必死さが伝わってきますよ。勝ち越しに向けていい勝ちだった」と褒めた。
8日目、新大関の琴ノ若が、挑戦を受ける立場で迎えた初の結びの一番を快勝した。
2敗で優勝同点だった、先場所で敗れていた関脇若元春を押し出し。
立ち合いから攻め続ける好内容で、トップを2差で追う6勝2敗とした。
2敗目を喫した5日目夜にかけられた、父で師匠の佐渡ケ嶽親方の言葉で、重圧から解放されて本来の動きを取り戻した。
新入幕の尊富士が、無傷の8連勝で単独トップを守った。
8日目、小結阿炎が連敗を2で止めて優勝戦線に踏みとどまった。
くせ者の宇良を中に入れず、距離をとって押し出した。
「自分の距離でくっつかないように、しっかりできたと思います」。
初日から5連勝も6日目、7日目と大関戦で連敗した。
「気分いいとかはないけど、続けていきたい」と気合を入れ直した。
8日目、大の里は難敵玉鷲を破って1敗とトップ尊富士との1差を守った。
玉鷲の圧力に真っ向から対抗し、押し合う展開。
1度はのど輪で押し返されたが、下からあてがってこらえると、右を差して前に出た。
土俵際での相手の突き落としにも「ビビらずに押し切れた」と逆転を許さなかった。
初顔合わせだった先場所に続く白星に「当たる時の感触は分かっていた。思い切って当たることだけ考えた。連敗しなかったのは大きい」と、勝ち越し王手に胸を張った。
8日目、尊富士がただ一人、ストレート勝ち越しを決めた。
三役経験者の竜電を、低い立ち合いから押し込みながら右上手を取り、休まず攻めて最後は押し出した。
11年技量審査場所で9連勝した魁聖以来7人目となる新入幕で初日から8連勝。
しかも新入幕が単独トップで折り返すのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降で初の快挙。
「全く想像していなかった。どこまで幕内でできるのか不安もあった」と笑顔で明かした。
2024/03/17
7日目、大関霧島が、過去1勝9敗の“天敵”隆の勝に敗れ手痛い5敗目を喫した。
立ち合いから突き放され、1度は土俵際で身をかわすも冷静に押し出された。
「まっすぐに行くことしか考えていなかった。負けても次につながる相撲を取っていきたいという気持ちだった」。
体調自体は「元気ですよ」。
リズムの悪さも「たまたま」というが結果につながらない。
「気持ちを上げるためにもいい相撲を取るしかない。次につながる相撲のためにも、どんどん前に行くことを考えて土俵に立っている」と前を向く。
7日目、豊昇龍が大関の意地を見せた。
好調な阿炎の突き押しに引くことなく前進。
最後はあおむけに押し倒して2敗を死守し、「攻めたかった」と息をついた。
7日目、琴ノ若が2度目の連勝で5勝目を挙げた。
鋭い立ち合いの明生に右を差されたが、慌てずに対応。
左で抱えて振り回し、小手投げで仕留めた。
「差されるのは良くないけど、体は反応していた。慌てて墓穴を掘ったら意味がない。落ち着いて取ろうと思った」と、危なげない取組に納得顔。
無敗の新入幕尊富士、1敗の幕内2場所目大の里と、経験の浅い2人を2敗で追う展開も「余計なことを考えずに準備したい」と、初優勝の思いは封印していた。
7日目、西前頭筆頭の朝乃山は、関脇大栄翔を押し出し、3勝目を手にした。
5連敗中だった苦手な相手から約3年ぶりに白星を挙げても「今日の相撲は今日で終わり。明日に向けて準備する」と気を引き締め直し、折り返しの中日を見据えた。
7日目、東前頭5枚目翠富士が、西前頭7枚目玉鷲との初顔合わせの一番を引き落としで勝利した。
若い頃から「頑張れよ」「体作れよ」と何かと気にかけてもらっていたと言い、「ついにやれるな」と気合十分で臨んだが、立ち合いが合わず「合ってなかったですね。勝てて良かったですけど、不本意ですね」と苦笑い。
“恩返し”が不完全燃焼に終わったこともあり、「また当たることもあると思うので負けないようにしたい」と語った。
7日目、大の里は初顔合わせだった先場所に続いて阿武咲に敗れ、初日からの連勝が止まった。
立ち合いから右差しを狙って前に出た。
だが相手に右に回り込まれるうちに、左を差されて最後はすくい投げで土俵を割った。
初黒星で尊富士と並んでいたトップから後退。
「不利な体勢で寄ってしまい勝ち急いだ」と、唇をかんだ。
一方的に敗れた先場所と比べ「内容はまだよかった」としたが「土俵際の甘さが出た」と、反省していた。
7日目、新入幕の尊富士が湘南乃海を寄り切りで破り、初日から7連勝として単独トップに立った。
尊富士は鋭い出足から、湘南乃海の巨体を一気に持っていった。
「絶対に気持ちで負けたくないので。土俵に上がったときだけは、心を鬼にしているつもり」
出世が早すぎてまだ大銀杏も結えないが、初日から無傷の7連勝に浮かれることもない。
新入幕力士が7日目を終えて単独トップに立つのは1991年九州場所の貴ノ浪以来、実に33年ぶりとなった。
2024/03/16
6日目、1人横綱が窮地に陥った。
先場所優勝の横綱照ノ富士が、3日連続で金星を配給した。
西前頭3枚目の隆の勝に寄り切られて痛恨の4敗目。
横綱昇進以来初めて相撲を取っての3連敗となった。
2場所連続の賜杯で目標にしてきた10度目の優勝を狙っていたが、6連勝の大の里、尊富士との差は4に広がった。
横綱照ノ富士が春場所7日目の16日、日本相撲協会に休場を届け出た。
2場所連続優勝を狙った今場所は、ここまで2勝4敗と不振だった。
6日目、大関かど番の貴景勝が気迫を見せた。
激しく頭で当たり、強烈な突き押しで初顔の平戸海を攻め立てる。
圧力を受けた相手が思わず土俵を割った。
好内容にも「いつも通り」。
険しい表情は変わらなかった。
8度目の窮地脱出に向け、波に乗れそうな白星。
古傷を抱える首の状態は気がかりだが、「思い切ってやるだけ」と気合を入れ直した。
6日目、初日から無傷の5連勝だった返り小結の阿炎の挑戦を受けた一番。
琴ノ若は「相手の星数は関係ない」と誓って臨んだ。
気負うことなく仕留め、新大関としての実力を示した。
長い腕を生かした突き押しを受けても、うまく左に回り込みながらいなしていく。
「どんな形でも辛抱して、自分の相撲を取り切るだけだった」。
最後は土俵際で突き落として決着をつけた。
6日目、西前頭3枚目隆の勝が横綱照ノ富士を相手に2つ目の金星を挙げた。
22年名古屋場所以来となる横綱戦。
自分の相撲だけに集中し、「とにかく足を出そう」と中に入り、もろ差しで寄り切った。
同年5月場所以来の金星に「うれしいですよ。やっぱり」と喜びをかみしめた。
6日目、大の里が4日目に金星を挙げた明生に何もさせず押し出し、自己最長タイの6連勝。
口元を引き締め、勝ち名乗りを受けた。
両親が観戦に訪れた5日目は不戦勝で残念がったが、心身のバランスはキープしている。
「落ち着いて慌てず。うまく立ち合いで(力が)伝わった」。
右を差し、まわしに手がかかりそうになった場面もあったが「覚えていないっす。前に出ることに精いっぱいだったので」と体の動きに任せ、ひたすら圧力重視だった。
6日目、風格すら漂う。
初日から6連勝を飾った新入幕の尊富士。
二重、三重に取り囲んだ報道陣に好成績の感想を聞かれると「そういう感情はない。やれば結果はついてくる」。
落ち着いた表情で、淡々と話した。
2024/03/15
5日目、照ノ富士がピンチに陥った。
王鵬の攻勢に手を焼き、強引な左からの小手投げも不発。
あっさりと土俵を割った。
2日連続の金星配給は、昨年名古屋場所以来3度目。
過去2度は休場に追い込まれた。
不戦敗を含まず序盤5日間で3敗したのは、横綱昇進後初。
顔を紅潮させて引き揚げてきた支度部屋では、付け人が即座に取材を断った。
大関霧島が5日目でようやく初白星。
明生に突き起こされかけたが、タイミング良く左に回り込んではたき込んだ。
ほっと一息つくように、勝ち名乗りを受けた。
浅香山審判長は「内容は良くないかもしれないが、取りあえず勝つことが大事」と胸中を思いやる。
白星を良薬とし、中盤戦で巻き返したいところだ。
5日目、関脇・大栄翔が若元春との関脇対決を制して2勝目を挙げた。
立ち合い頭で当たって強烈な突き放しで土俵際まで攻め込むと、一度残されてから左喉輪で起こしておいての引き落としで仕留めた。
「土俵際で慌てずに攻めれた。勝ち急いで負けたら意味ないので」。
土俵際逆転のはたき込みで敗れた過去の対戦経験を生かし、一気に決めにいかず勝負どころを見極めた。
小結阿炎は小結錦木を突き落として無傷の5連勝を決めた。
5日目、宇良が新大関の琴ノ若を破り、またご当所の館内を沸かせた。
おっつけた右をのぞかせると、圧力をかけてからタイミング良く肩透かしを決めた。
取り口については「精いっぱい頑張りました」と詳細を語らないが、八角理事長は「押す力がなかったら残される」と指摘。
馬力が増したことを評価した。
上位陣総当たりだった序盤戦は、3人の大関を撃破して白星先行。
三役復帰が懸かる中盤以降に向け、「大事にやっていきたい」と気合を入れ直した。
5日目、熱海富士が粘り強く取って貴景勝を撃破。
突きを受け、大関にはたかれても動じない。
しっかり攻め返して押し出した。
内容も伴う白星に、「思い切りいくだけだった。落ち着いていた」と笑みがこぼれた。
貴景勝には本割で過去2戦全敗。
昨年の秋場所では優勝決定戦で屈した。
「ずっと負けていて、勝ちたかった」。
序盤戦で白星を先行させ、「まだ10番ある。あした頑張る」と今後を見据えた。
5日目、大器に覚醒の予感が漂った。
王鵬は照ノ富士を突き放し、喉輪、おっつけで押し込む。
差した右のかいなを返し、小手に振られても慌てない。
体勢の崩れた相手を寄り切り、「気分がいい」。
誇らしげに花道を引き揚げた。
横綱初挑戦で金星獲得。
稽古で胸を出してもらった経験もなく、「朝からすごい緊張感があった」と言うが、堂々とした取り口を披露。
館内を騒然とさせ、「歓声と拍手が普段の相撲と全然違う」と口ぶりに実感を込めた。
昭和の大横綱の祖父・大鵬、父の元関脇貴闘力に続く、親子三代金星は史上初となった。
5日目、東前頭5枚目の翠富士が隆の勝を破って2勝3敗とした。
隆の勝の押しに少し後退しながらも、タイミングよく右からいなして崩して押し出し。
「ちょっと押されたけど、とりあえず当たっていくことだけを考えた。小さい人は先に攻めていかないといけないので」。
立ち合い大の里に一発で持っていかれた前日の反省が生きた。
これで幕内100勝目。それを報道陣から知らされると「へ〜そうなんですか」と初めて知った様子
5日目、入幕2場所目の西前頭5枚目大の里は、対戦相手の金峰山が休場したため、不戦勝で5連勝とした。
取組がなくなったことには「やりたかったですね。稽古してたんで」。
両親も応援に駆けつけていたといい、残念がった。
5日目、元大関で西前頭8枚目の高安が東前頭8枚目の阿武咲を上手出し投げで破り、4勝目を挙げた。
「動きが良かったですね、今日は。良い踏み込みができたし、ちゃんと当たれて次の手も早かった」と満足感を示した。
5日目、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が初日からの連勝を5に伸ばした。
東十両筆頭の時疾風と対戦。
低い姿勢の立ち合いから素早く左を差し、休まず攻めて押し出した。
「相手どうこうではなく、最後まで力を出すこと。一瞬で勝負が決まる競技なんで頭で考えてもしょうがない。
どの地位でもやることは変わらない。
土俵をしっかり使って、自分の相撲をとる。それだけです」と言った。
2024/03/14
4日目、横綱照ノ富士は明生に寄り切られて2敗目を喫した。
明生は二つ目の金星。新大関琴ノ若は隆の勝を下して3勝目。
豊昇龍は王鵬を、かど番の貴景勝は宇良を退け3勝としたが、霧島は朝乃山に敗れて4連敗。
阿炎が若元春との無敗対決を制し、土つかずは大の里と尊富士を含む3人になった。
4日目、霧島は精彩を欠いて初日から4連敗となった。
がむしゃらに前に出る朝乃山の攻めに守勢に回ると、消極的な引きで墓穴を掘り、あっさりと寄り切られた。
場所前の精力的な稽古がウソのような不振。
八角理事長も「霧島は集中力がない。初日に負けて相撲が狂ってしまった」と厳しかった。
この日も支度部屋では取材に応じず、結びで敗れた照ノ富士とモンゴル語で反省会を開き、会場を後にした。
4日目、東小結阿炎が、西関脇の若元春を一方的に突き出して全勝対決を制した。
立ち合いでしっかりと先手を取り、「たぐられたり、いなされたりを考えていたので対応できて良かった」と振り返った。
若元春とは親友で、食事に行ったり、妻同士も仲良しと家族ぐるみの付き合い。
場所前も「お互いに頑張ろう」とは話をしたが、「場所に入れば会話はしない」と目の前の1番1番に集中している。
この日は師匠の錣山親方が解説を務め「今まで見た中で1番」と内容を褒めた。
阿炎は「うれしいですね」と笑顔を見せながら、「今日の相撲を意識してできるように頑張ります」と先を見据えていた。
4日目、西前頭筆頭の朝乃山は、大関霧島を寄り切り、2勝目を手にした。
能登半島地震の被災地を勇気付ける活躍で「できれば白星を届けたい。相撲を取る姿を見ていただき、喜んでもらえたらうれしい」と話した。
4日目、明生が昨年夏場所に続き、照ノ富士から金星を挙げた。
もろ差しを果たすと、休まず出て横綱を土俵外へ追いやり、「しっかり足を前に運べた。無我夢中で出るしかなかった」と自賛した。
ともに2011年技量審査場所初土俵。
同期だと水を向けられると、「立場が違い過ぎます」と苦笑い。
横綱戦を「(番付)上位にいないと当たることができない」と捉えるが、三役経験者は金星にならない地位にいたいはずだ。
1月の初場所を盛り上げた期待の星が、今場所も主役の一人となりそうだ。
大の里が翠富士を問題にせず4連勝。
「持ち味を出せば、おのずと結果は出る」と自信がにじむ。
相手は身長174センチの小兵だが、低く当たっておっつけると一気に前へ。
勢いそのままに、土俵下へ吹っ飛ばした。
「深く考えずに、走ることだけ考えた。止まらないで攻められたのはよかった」
4日目、西前頭12枚目島津海が休場した。
日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)不全断裂で、今後約3週間程度の通院加療を要する見込み」との診断書を提出した。
休場は22年名古屋場所以来、6度目。
4日目に対戦の東前頭14枚目の錦富士が不戦勝となった。
4日目、新入幕の東前頭17枚目・尊富士が無傷の4連勝を飾った。
同15枚目・妙義龍に押し出しで快勝した。
1958年の年6場所制以降初土俵では、最速タイ(付け出し除く)の所要9場所で新入幕を果たした新星候補が、上々の滑り出しを見せている。
2024/03/13
3日目、照ノ富士はうるさい宇良をねじ伏せ、連敗を免れた。
すぐに左で抱えてつかまえ、最後は右肘で首の辺りを押して土俵下に吹っ飛ばした。
「まあ、落ち着いていこうと思っていたから。動きを止めれば、というところ」と納得顔だった。
初日は錦木に不覚を取ったものの、「いつも言っているが、その日の一番に集中するだけ」と切り替えた。
序盤戦で確認したい事は「体づくりじゃないか」と話し、節目の10度目の優勝へ状態を上げていく。
3日目、霧島の調子がなかなか上がってこない。
22年初場所以来となる初日からの3連敗。
支度部屋では前日に続いて取材に応じなかった。
もろ手から低い姿勢の宇良を押し上げて土俵際まで攻め込むが、相手の突き落としに足が流れて前に落ちた。
大阪入り後は連日精力的に稽古を行ったが、本来の出足、安定感が影を潜める。
八角理事長は「霧島は流れが悪い。それを断ち切るのも実力だ」と奮起を促した。
3日目、かど番の大関貴景勝は明生をすくい投げで破り2勝目。
逆転勝ちで連敗を免れた。
馬力を欠いた立ち合いで明生を押し込めず、逆に土俵際まで追い込まれたが左腕を差し入れ、起死回生のすくい投げでたたきつけた。
2日目まで無言を貫いていた取組後の支度部屋では、取材にも対応。
多くを語ることはなかったが「いつも通り」「明日頑張ります」と少ない言葉に闘志をにじませた。
3日目、前日に黒星を喫した新大関琴ノ若は連敗せず、白星を先行させた。
巻き替えの応酬からもろ差しになり、振りほどいた錦木を力強く突き出し。
「落ち着いて取れた。何かを変えても仕方がない。自分のやれることを考えてやった」と悪い流れを引きずらなかった。
錦木とは場所前も佐渡ケ嶽部屋で手合わせを重ねていた。
土俵下の粂川審判長は同部屋付きで琴ノ若を指導する。
「錦木の小手投げも頭に入っていただろう。常に圧力をかけていた」と冷静な取り口を評した。
3日目、よく伸びる腕に、阿炎の好調ぶりがうかがえる。
大栄翔に突きをあてがわれてわずかに下がったものの、強烈な喉輪で攻め立てた。
のけぞった相手を一気に押し出し、「集中して、自分の相撲が取れている」。
言葉に充実感がにじんだ。
返り小結で初日から3連勝。
霧島、貴景勝の2大関を撃破し、内容も充実している。
1月の初場所は5連敗スタートだったが、今場所は長い手足の先まで神経が行き届いているよう。
「(相手の動きが)スローに見える瞬間が増えてきた」と手応え十分に言った。
3日目、宇良が土俵際の逆転で霧島を破った。
攻め込まれたが、低い体勢でもぐりながら、左からうまく突き落とした。
反応の良さを見せた取り口にも「分からない」と普段と変わらず言葉は少ない。
大阪府寝屋川市出身。
「とても過ごしやすくて好き」と言うご当所での場所で、初日の豊昇龍に続いて大関を撃破。
この日も館内を大いに沸かせた。
3日目、大の里が同じ23歳の平戸海を相手に大物ぶりを発揮した。
低い立ち合いで中に潜り込まれたが、かまわず前に出る。
左からおっつけながら192センチ、183キロの巨体を生かしてグイグイ圧力をかけて寄り切り、初日から3連勝を決めた。
「立ち合い迷ったが攻める意識を忘れず止まらずにいけたのがよかった。体を生かして、めちゃくちゃでもいいからとにかく攻めようと思った」
同世代の平戸海に「意識するものはあった」という。
中学を卒業して入門したたたき上げの平戸海は大相撲界で大先輩。
それだけに「今日の一番は大きなものだったと思う」と言った。
3日目、34歳の元大関で、西前頭8枚目・高安が初日から3連勝を飾った。
24歳の琴勝峰を44秒9の相撲で寄り切った。
右上手を取った際に、相手のまわしが伸びてしまい、引きつけられず。
それでも冷静に我慢強く勝機をうかがう経験値の高さを見せつけて完勝した。
「(逆転されないように)土俵際だけ警戒しました。
上手がちゃんと取れず、(まわしを)取り直したが引きつけが効かなかった」と振り返りつつも、「立ち合いもいいし、しっかり踏み込めている。続けていきたい」と好スタートに手応えをつかんでいた。
3日目、新入幕で東前頭17枚目の尊富士が、初日から3連勝を飾った。
鳥取城北高の同期で、ともに無敗の狼雅との顔合わせ。
立ち合いで、やや半身になって左上手を取りに行くと、前のめりにバランスを崩した相手を見逃さず、そのまま左から上手投げで仕留めた。
22年秋場所の初土俵から所要9場所での新入幕は、年6場所制が定着した1958年以降としては、常幸龍と並んで付け出しを除いて最速だった。
2024/03/12
2日目、照ノ富士はうるさい宇良をねじ伏せ、連敗を免れた。
すぐに左で抱えてつかまえ、最後は右肘で首の辺りを押して土俵下に吹っ飛ばした。
「まあ、落ち着いていこうと思っていたから。動きを止めれば、というところ」と納得顔だった。
初日は錦木に不覚を取ったものの、「いつも言っているが、その日の一番に集中するだけ」と切り替えた。
序盤戦で確認したい事は「体づくりじゃないか」と話し、節目の10度目の優勝へ状態を上げていく。
2日、新大関・琴ノ若は、立ち合いで大関経験者の幕内・朝乃山の圧力に後退し、そのまま押し出された。
序盤戦で土がつき「内容が悪いだけ」と悔しさをにじませた。
東日本大震災の発生から13年を迎えた3月11日。
福島市出身の若元春にとっては、忘れられない「特別な日」だ。
「地元に明るいニュースと笑顔を届けたい」。
自身の活躍で故郷を勇気づけたいとの思いを胸に土俵に上がった。
明生を問題にしなかった。
突き起こしにきた相手に対し、すぐに右で上手を引くと、休まず攻める。
投げにも動じず、土俵外へはわせた。
「先場所から前に攻めることを意識してやっている」。
満足そうに言った。
2日目、返り小結の阿炎が持ち味を発揮。
突き押しで貴景勝を攻め、引きに乗じて前に出てきた大関を上手投げで仕留めた。
左足一本で踏みとどまる土俵際のうまさを披露し、「体が動いている」と納得の表情を浮かべた。
初日の霧島に続いて大関を撃破。
三役で初日からの2連勝は初めてで、「しっかり集中して土俵に上がることができている」と手応えを口にした。
2日目、大関経験者の意地が勝った。
西前頭筆頭・朝乃山は、立ち合いの圧力で新大関・琴ノ若を後退させると、そのまま押し出した。
初日は黒星スタートだっただけに、「切り替えて、思い切っていきました。前に出る相撲が取れて良かったです。勝たないと上に上がれないですし、負ければ自分が弱いだけ。いかに冷静になれるかでした」と納得顔だった。
3月1日に誕生日を迎え、30歳初勝利にもなった。
2日目、入幕2場所目の大の里は豪ノ山を寄り切り、2連勝とした。
力強い当たりで相手の上体を起こすと、右を差して前進し「立ち合い負けしないことを意識した」と納得の表情。
日体大出身で新入幕の先場所は11勝を挙げ、敢闘賞を受賞したホープ。
2歳上の中大出身の相手とは学生時代にも対戦経験があり「負け越していると思う」という。
「嫌なイメージがあったので勝ててうれしい」と喜んだ。
2日目、新入幕で東前頭17枚目の尊富士が、日大の9学年先輩の遠藤を破り、2連勝を飾った。
立ち合いで突っ張って出たが、主導権を取るまでには至らず、相手得意の左四つに組む展開。
相撲巧者を相手に、左を差して圧力をかけ、右上手を取ると迷いなく前に出て寄り切った。
2024/03/11
初日、横綱照ノ富士は目標の2ケタ、10度目の優勝へ、まさかの黒星発進となった。
錦木を右四つがっぷりに組み止めながら攻めきれず、左を巻きかえられると上体が起きて寄り切られた。
番付会見では「まずは場所の時の疲労をとること」と話し、3場所ぶりの出場で優勝した初場所の反動を含めていた。
支度部屋では付け人を通じて取材を断るなど、厳しい表情を見せていた。
初日、モンゴル出身の2大関はともに不覚を取った。
霧島は阿炎の引き落としにあっさりと手をつき、熱戦を期待した館内にはため息が充満。
昨年は初優勝した思い出深い場所で出はなをくじかれ「全然前に出ていない。何もできなかった。これから直していく」と切り替えに努めた。
豊昇龍は宇良を攻め込みながら肩透かしに横転。
悔しそうに唇をかみ、支度部屋では取材に応じなかった。
初日、大関かど番の貴景勝は、朝乃山を退けて白星発進。
立ち合いで突いて出て、攻め返されそうになったところを、タイミング良くはたいた。
一息つけそうなものだが、ほっとした様子は一切見せない。
取組後の支度部屋では付け人が報道陣を制し、取材に応じなかった。
大阪入りした後の稽古も非公開にしている。
勝ち越して8度目の危機を脱するまでは、ぴりぴりとしたムードが続きそうだ。
初日、新大関・琴ノ若が、幕内・熱海富士を下し、白星発進した。
琴ノ若は相手の当たりを受け止め、「しっかり踏み込んで、あとは流れで取れた」。
なおも向かってくる相手を右に開き、はたき込んだ。白星発進にも「いつもどおりです」と淡々と振り返った。
本場所の場内アナウンスで初めて「大関・琴ノ若」と呼ばれた。
取組前に館内は大盛り上がりだったが、「集中していた」と飲まれず。
26歳は「(地位が)上がって何が変わるわけではない。やることをやる」とブレずに相撲を取り切った。
初日、小結阿炎が、節目の取組を白星で飾った。
もろ手突きの立ち合いで、大関霧島の上体を起こし、主導権を握った。
相手がやや強引に、阿炎の両腕を下からはね上げようとしてできた隙を逃さず、とっさの引き落としであっという間に勝負をつけた。
昨年12月に、入門時の師匠だった先代錣山親方が亡くなった。
1月の初場所では、師匠代行として指導していた当時部屋付きの元小結豊真将の立田川親方が、同場所後に正式に「錣山」名跡を襲名。
「新生錣山部屋」所属として最初の取組で大関を撃破した。
初日、返り小結の錦木が照ノ富士を撃破。
横綱の寄りを土俵際で耐え、左を巻き替えてもろ差しに。
持ち前の力強さを発揮して攻め返し、「やられそうになったが、ぎりぎり残れた」と振り返った。
新小結で挑んだ昨年秋場所は、直前での右脚のけがにも泣いて5勝止まり。
3場所ぶりに戻ってきた三役で絶好のスタートを切った。
「とりあえず6番。過去の自分に勝たないといけない」と意気込んだ。
初日、平幕宇良がご当地場所で大関豊昇龍を肩透かしで破り白星発進。
「(相撲の流れは)分からない。15日間、お客さんに喜んでもらえるような相撲を取りたい」と気を引き締めた。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は「(宇良が)勝った瞬間、桜が満開になったような桃色のタオルが…」と指摘していた。
初日、今場所も活躍が期待される大の里は好スタートを切った。
鋭い当たりから右差しで剣翔を一方的に寄り切り。
西前頭5枚目に躍進した有望株は腰の重い相手に力を発揮し「ほっとした。すごい声援があった」と喜んだ。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は、「剣翔も左の上手を取ったんですが、苦しくてどうしようもなくて、嫌々上手投げを打ちにいったように見えました。そこを大の里は右手を突きつけていくような見事な寄りでしたね。体の寄せ方がうまかったですね。横綱、大関を破るだけの力はありますからね」と期待していた。
尊富士は新入幕場所の初日を白星で飾った。
右上手は切れたものの、左からの出し投げで崩して日大の先輩に当たる大奄美を後ろ向きにした。
「硬くなると思った」という一番で、うまさを発揮。懸賞も獲得し、「幕内を感じる」としみじみ話した。
初土俵から所要9場所で入幕した24歳のホープ。
テーピングが施された右脇腹に痛みを抱えるが、「やるしかない。大丈夫」と気合を入れ直した。
2024/03/10
新大関琴ノ若は、春場所初日を控えた9日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で最終調整し「何も変わらず、今まで通りやるだけ」と平常心を強調した。
新たな看板力士へ高まる期待をよそに、表情は落ち着き払っていた。
本場所用の締め込み姿で四股やすり足などの基礎運動で汗を流し、仕切りの所作などを確認。
初日前日の流れをこなし「あとは自分の相撲を取るだけ」と冷静に語った。
母校の埼玉栄高から大関昇進記念で贈られた2本目の化粧まわしを稽古後に試着。
先輩で憧れの元大関豪栄道と同じ黒基調で、自ら希望したデザインに笑みを浮かべた。
西前頭筆頭の朝乃山は、三役復帰を懸けて土俵に向かう。
初日は大関貴景勝、2日目は新大関琴ノ若との対戦が組まれた。
初日から大関戦が続き、さっそく正念場を迎えることになる。
9日は会場で土俵祭りが営まれ、親方衆らが15日間の安全を祈願した。
会場前には朝乃山らののぼりがはためき、本番へ熱気を高めた。
2024/03/09
8日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新大関・琴ノ若は、初日に東前頭2枚目の熱海富士と、2日目に大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山と対戦することが決まった。
琴ノ若はこの日、大阪・松原市の部屋でぶつかり稽古など軽めの調整。
後輩力士にアドバイスを送る場面もあった。
大関として初めての場所を迎えるが「普段通りやっていくだけ。違いを感じる必要はない。番付が変わろうが自分らしくやるだけ」と平常心を貫く構えを見せた。
8日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、初日の幕内と十両、2日目の幕内の取組を発表した。
1年前の春場所では番付上に看板力士が1横綱1大関しかおらず、7日目以降は貴景勝の休場によって昭和以降初の横綱大関不在という異常事態。
あれから1年で新たに3人の大関が誕生し、今場所は21年名古屋場所以来約3年ぶりの1横綱4大関という豪華な布陣となった。
日本相撲協会は8日、春場所15日間の懸賞申込総本数が1717本と発表した。
昨年春場所前の1606本を上回った。
力士指定本数の上位は大関貴景勝、宇良、朝乃山の順。
新大関琴ノ若は4番目に多い78本だった。
2024/03/08
大関豊昇龍は7日、大阪市住吉区の立浪部屋で幕内明生や幕下以下の力士と計12番取って春場所前の本格的な稽古を終えた。
稽古用の白まわしではなく、本場所で使用する青色の締め込みを着用。
「本番モードになる」と集中力が高まった様子だった。
明生とは激しい突き、押しの攻防を繰り広げる相撲もあり、3勝1敗。
先場所14日目から休場する原因となった右膝にはテーピングを施していたが、影響はなさそうだ。
「しっかり動けているから、ああいう相撲が取れる」と満足そうに話した。
大関貴景勝が、8度目のかど番で迎える春場所に出場することになった。
師匠の常盤山親方が7日、「もちろん出る。休む予定は全くない」と明言した。
貴景勝は1月の初場所で首の古傷が悪化し、4日目から休場。
今月4、5日に行われた二所ノ関一門の連合稽古を欠席していた。
常盤山親方は「首は心配だが、出てみないと分からない。本人は結果を残すつもりで出る」と話した。
新大関として迎える琴ノ若は7日、場所前の本格的な稽古を打ち上げた。
この日は大阪・松原市の部屋宿舎で、出稽古に来た関脇・大栄翔、小結・錦木、幕内・豪ノ山と20番取って12勝8敗だった。
豪ノ山に3連敗するなど苦戦し、いらだちを見せる場面もあった。
「昨日、今日と連続(での手合わせ)だったので、向こうも考えてくるでしょうし。それよりも自分の内容が悪かったですね」と反省を口に。
残りの2日間はコンディション調整を軸にした稽古になる予定で「しっかり明日、明後日で修正して」と話した。
関脇・大栄翔が7日、春場所に向け、大阪・松原市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古を行った。
新大関・琴ノ若、小結・錦木、幕内・豪ノ山らと取って8勝6敗だった。
新大関を相手に持ち味の突き押しを発揮する場面もあった。
「強い人とやるのが一番なので。大関とできるのはありがたいですし、力を出す稽古なので、良かったと思います」と汗を拭った。
場所前は琴ノ若に加え、霧島や豊昇龍ら他の大関陣とも胸を合わせたという。
「番付上位の人といっぱいやったので、いい稽古ができました」と充実の表情だった。
2024/03/07
6日、2場所連続10度目の優勝が懸かる春場所に出場する意向を示した。
大阪市東成区の時津風部屋への出稽古後に「出るに決まっている」と語った。
ここまで態度を明らかにしていなかった。
6日は元大関の幕内正代と11番連続で取って全勝。
素早く左上手を引いたり、腰を振ってまわしを切ったりする動きも見せ「少し力を出すとか、調整してという感じ。先場所前と比べても、調子は変わらない」と話す。
4日は荒汐部屋に出向いて関脇若元春と10番取った。
先場所で敗れた2人と胸を合わせ、一定の手応えを得たようだ。
先場所覇者の横綱ながら出場の可否を問われる状況に「最近休場ばかりしているから、そういうことを聞かれる」とぼやく。
仕切りの際に苦悶の表情を浮かべるなど気がかりだが、目標とする2桁優勝の大台を目指す。
6日、大阪・松原市の部屋宿舎で出稽古に来た関脇・大栄翔や元大関の幕内・朝乃山らと24番取って17勝7敗だった。
「ただ番数をこなすだけではなく、中身をしっかり自分で求めて、悪いところは修正して、ということをやりながらしっかり稽古できたかなと思います」と振り返った。
朝乃山との新旧大関対決は熱のこもった内容で、7番続けて取って4勝3敗だった。
もろ差しで勝つ相撲もある一方で、巻き替えに乗じて寄られる場面もあった。
新大関は土俵に入ってから、しばらく他の力士と取った後に朝乃山を指名した。
理由については「苦しくなってからの稽古ですし、辛抱どころだったり苦しい場面で力を出せるように。(右の)相四つですし、がっぷりなので、力が入るじゃないですか。その分(体力が)削られますし、ごまかしきかないので。そこを集中してやろうと」と説明。
新大関場所に向けて、自らを追い込んでいる様子だった。
6日、春場所に向けて大阪・松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎に出稽古を行った。
新大関・琴ノ若とは3勝4敗で、合計では10勝6敗だった。
関脇・大栄翔、小結・錦木ら多くの関取衆が集まり「いい稽古になったと思います」と充実の表情だった。
琴ノ若とは幕内では昨年秋場所の1度のみ。
春場所の対戦を見据え、初めて佐渡ケ嶽部屋を訪れたという。
力強い寄りで新大関を圧倒する場面もあり、大関経験者の実力を見せた。
「柔らかいし、重いです。力強さも増しています」と琴ノ若の成長を認める一方で「僕も負けたくない気持ちはありました」と意地ものぞかせていた。
6日、大阪市東成区の時津風部屋に出稽古し、幕内正代らと7番取った。
昨年の春場所は初日から10連勝の快進撃で賜杯レースを盛り上げた。
「昨年と同じ5枚目だし、今年もワンチャンスある」と再現を誓った。
昨年10月4日に第1子となる長女が誕生し、今年の2月14日には晴れて結婚式も行った。
公私ともに充実している27歳の小兵は、今年中の新三役を狙っており「大阪は験がいいと思っている。いい結果になることを信じたい」と笑顔で話した。
23歳の大器の快進撃は続くか。
初土俵から6場所目、幕内2場所目の大の里が春場所で西前頭5枚目まで番付を上げた。
上位とぶつかる地位で真価を問われる。
「自分はまだ新弟子。初心を忘れずに一番、一番取っていくだけ」と謙虚な姿勢で挑む。
大阪府寝屋川市出身の豪ノ山にとって、幕内で初めて臨むご当所場所。
連日のように上位陣が集まる部屋に足を運んで力を磨く。
6日は、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古した。
「場所まであと少し。気合、入ってます。幕内で帰ってきたので良い成績を残したい」と意気込む。
大関琴ノ若らと15番取って4勝11敗ながら、前に出ようとする姿勢が際立った。
「自分の相撲を徹底しないと上の人とは闘えない。攻め続けたい」と言葉に力を込めた。
2024/03/06
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、琴ノ若と2日連続で手合わせした。
8連勝スタートを含めて12勝を挙げた。
右四つで組み、出し投げから寄り切る攻めを「頭をつけて取っていきたい。それが自分の相撲」と振り返って「大関が4人で、誰が先に(横綱に)上がるか。負けたくない」と気合十分だった。
4日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春、幕内翠富士と11番取って鋭い動きを見せた。
先場所は右膝を痛め、10勝3敗で迎えた14日目から休場。
「膝の調子もいいし、けがも治った。本場所で頑張るしかない」と明るい表情だった。
今場所から4大関となったが「そこは気にしない。自分の相撲に一日一番、集中してやればいい」と冷静な口調。
大関昇進後は優勝がなく「今の目標としてやっている」と視線を鋭くさせた。
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、霧島と2日連続で手合わせした。
土俵を割って壁をたたいて悔しがる場面も。
3勝どまりだったが「前に攻めて土俵際でやられたり、もったいない相撲も多かった。修正して気持ちをつくっていけばいい」と冷静だった。
5日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春や同じく出稽古の関脇大栄翔らと6勝7敗だった。
三役復帰を目指す場所を前に積極的に上位陣に挑み「強い人と稽古ができている」と充実感を漂わせた。
1日に30歳になったばかり。
立ち合いでさまざまな形を試しながら若元春に1勝4敗、大栄翔には1勝2敗だった。
内容面では前に出る姿勢が目立ち「稽古場で攻めの相撲を取れば場所にもつながる。しっかり攻めたい」と狙いを語った。
5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古で、小結錦木らと8番取った。
元横綱大鵬の孫で24歳の大器は初めて上位陣総当たりの地位に浮上。
先場所は10勝5敗と好調で「しっかり前に出る相撲を取っていけば、勝ちにもつながっていく」と気合を入れた。
新大関琴ノ若は埼玉栄高の2年先輩に当たり、本場所での対戦も予想される。
「いい相撲を取れれば。自分ができることをやるだけ」と語った。
5日、春場所での3場所連続勝ち越しと、夏場所以降での金星&三役の最年長記録更新に意欲を示した。
同日は大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋宿舎での二所ノ関一門の連合稽古に参加し、申し合いとぶつかりで順調な仕上がりを見せた。
11月で40歳。
不惑を迎えるまでに目指す金字塔がある。
まずは、1940年1月場所で大潮が39歳5カ月で記録した金星の最年長記録。
春場所は西前頭7枚目。
「この番付だと横綱と当たれないよね。もっと上に行って挑戦したいし、楽しみにしたい」
その先には、戦後で名寄岩の38歳3カ月を上回る史上最年長三役が待っている。
玉鷲自身、2015年に初めて三役に昇進を果たした験の良い大阪で、6年ぶりの3場所連続勝ち越しを決め、足掛かりをつくりたい。
2024/03/05
4日、堺市の荒汐部屋に出稽古し、関脇若元春と10番続けて取って5勝5敗だった。
出稽古は場所前初めてとなり「本格的に力を出して稽古するのは久しぶりで、動きを確かめたかった。悪くはない」と語った。
先場所2日目に敗れた若元春に対し、左四つがっぷりで「力を抜くな。有利な体勢じゃないか」と攻めを促す場面も。
熱のこもった内容だった。
初場所は「何とか乗り切れたという印象しかない」と述懐。
春場所出場は明言しなかったが「しっかり力を出し切って最後までやり切る」と抱負を述べた。
二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市の芝田山部屋で行われ、一門外から加わった大関霧島が新大関琴ノ若との三番稽古(同じ相手と続けて何番も取ること)で汗を流した。
切れのある速攻で優位に立って8勝3敗。
先輩大関の力を示し、「お互いに力を合わせて取れた。いい稽古ができた」と話した。
大の里や王鵬らとの申し合いでも圧倒するなど、「相撲を取るスタミナが戻っている」と充実感をにじませた。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われた。
かど番の大関貴景勝は、首の痛みで連合稽古に姿を見せなかった。
師匠の常盤山親方は「首はだんだん良くなっているが、大事を取って休んだ。中途半端な相撲を取るのは失礼ですから」と5日に行われる連合稽古も欠席するという。
部屋では4日連続で隆の勝と相撲を取るなどしており、春場所に向けての調整は問題はないことを強調した。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われ、大関同士が火花を散らした。
先達の大関に食らいついた。
琴ノ若は、同じ相手と続けて当たる三番稽古で霧島に挑み、連続11番。
「負けた中でも、攻められた相撲があった」と冷静に分析した。
頭をつけて低い体勢から攻めてくる霧島に苦しめられたが、189センチ、172キロの体格を生かして先手を奪うと、馬力ある相撲で土俵を割らせる場面も。
終わって見れば3勝8敗という悔しい結果にも「負けた相撲を勝ちにつなげられれば」と前向きになれた。
4日、堺市の荒汐部屋で充実の稽古を積んだ。
出稽古に来た横綱照ノ富士と5勝5敗の五分など計19番。
「なかなかやってもらえることではない。得たものは大きかったし、ありがたい」と話した。
7場所ぶりの平幕から1場所で関脇に復帰。
大関豊昇龍とは5番取った実力者は「自分らしい相撲を取っていきたい」と意欲的だった。
春場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が4日、大阪市内の芝田山部屋で行われた。
平幕の大の里が、二所ノ関一門の連合稽古で存在感を示した。
一門外から参加した大関霧島に挑んで3番。
鋭い出足から押し出して1勝をもぎとった。
他にも、幕内王鵬らと計9番取り5勝4敗とし「疲労が残ってきつかったが、充実した稽古を積めて良かった」と汗をぬぐった。
入幕2場所目に向けても「初心の気持ちを忘れず、しっかり準備したい」と意気込んだ。
2024/03/04
2日、大阪市住吉区の住吉大社で奉納土俵入りを行い、2場所連続10度目の優勝を目指す春場所へ向け「できることをやっていく。大阪の皆さんに元気な姿をお見せしたい」と心境を語った。
大相撲春場所後に陸奥部屋が閉鎖されることを受け、所属する大関霧島が同じ時津風一門で、元横綱鶴竜が師匠を務める音羽山部屋に転籍する方向で調整していることが2日、関係者の話で分かった。
陸奥親方(元大関霧島)は4月に65歳となって日本相撲協会の定年を迎える。
元鶴竜は現役時代、所属していた井筒部屋が師匠(元関脇逆鉾)の死去に伴って閉鎖となり、陸奥部屋に移った。
引退後も部屋付き親方として同じモンゴル出身の霧島を指導しており、昨年12月に独立して創設された音羽山部屋への転籍を大関が強く希望しているという。
陸奥部屋の他の所属力士についても、時津風一門の部屋に移る方向で調整している。
2日、大阪・堺市の追手風部屋へ出稽古に赴き、訪れた大関霧島と5番取って全勝。
関脇大栄翔にも8勝1敗、計15勝4敗と俊敏な動きで攻め勝った。
大阪入りして初の出稽古で「いい稽古ができた。よく動けた」。
初優勝を飾った昨年名古屋場所後に大関となり、2月中旬には昇進披露宴が催された。
「たくさんの人の顔をみて応援、期待の高さがよくわかった。それに応えなければ、と実感できた」。
「きょうのような相撲が取れれば、膝も大丈夫」と、春場所での再起に自信をみせる。
大相撲の魅力を発信するイベント「うめきた場所」が3日、JR大阪駅前の商業施設で5年ぶりに開催され、大関・琴ノ若らが参加した。
取組に加え、初っ切りや髪結い、子供との稽古と盛りだくさん。
約3000人が見守った。
子供相撲では白鵬杯2位の実力者と熱戦?を展開し場内を沸かせた琴ノ若は「こういう機会に子供たちが相撲を目指す気持ちを抱いてくれるのは大事。大切なイベントだった」と収穫を口にした。
3日、堺市の追手風部屋で20番取り、出稽古の大関霧島には4勝7敗。
鋭い出足で一気に押し出す内容もあり「自分の相撲も何番か取れた。いろんなことができる大関に対応できていた」と手応えを得た様子だった。
昨年春場所は12勝3敗で霧馬山(現霧島)との優勝決定戦に惜敗した。
大関昇進争いで先を越され、埼玉栄高で後輩の琴ノ若にも追い抜かれた。
6場所連続関脇の実力者は「昨年は全ての場所が悔しかった。大阪からいい年になるようにしたい」と巻き返しを期した。
3日、大阪・大東市にある宿舎で幕下以下の力士と12番の相撲を取った。
得意の押しで格下を圧倒したが、立ち合いで遅れ、押し出される場面もあり9勝3敗。
大阪入り後は猛稽古を続けており、「いい稽古ができている。でも、今日は立ち合いが悪かったし、今は疲労感もある」と話した。
4〜5日は二所ノ関一門連合稽古が行われ、大関・琴ノ若、同・貴景勝らが参加予定。
役力士からの指名も予想され、大の里にとっては力試しのチャンスで「いい経験になる」と前向き。
番付は、10枚ジャンプアップし、西前頭5枚目。
「春場所の目標は勝ち越し」と控えめに語るが、充実した調整をしているようだった。
1日、節目の30歳の誕生日を迎え「まだ腐りたくない。もっと上を目指す。まだまだ行けるという気持ち。良い年にしたい」と思いを新たにした。
大阪市中央区の高砂部屋での稽古後に取材に応じた。
大関復帰の目標へ、まずは三役返り咲きを目指す。
「今場所は横綱大関、三役以上と当たる。自分の型になり、自分から攻めていけば勝機はある」と意気込んだ。
大相撲春場所の新弟子検査が2日、大阪市内で行われ、昨年10月の国体成年個人8強で幕下最下位格付け出し資格を持つ松井奏凪人(19)=福岡県出身、宮城野部屋=ら受検した27人全員が身長167センチ、体重67キロ以上(中学校卒業見込み者は165センチ、65キロ以上)の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
年6場所で最も志願者が多い春場所では昨年の33人を下回り、義務教育修了が受検資格に定着した1973年以降で最少となった。
鳥取城北高出身の松井は171センチ、118キロでパス。
「やっとスタートラインに立った。毎日いい稽古ができて充実している」と語った。
2024/02/28
昨年、大相撲春場所で初優勝を飾った大関霧島が27日、大阪府庁を訪れ、吉村洋文知事から前年優勝力士に贈られる優勝盾を授与された。
「もちろん優勝したい」と吉村知事に連覇を約束した霧島は、最後に大阪府広報担当副知事の「もずやん」と相撲をとる一幕も。
「もう1つ上を」と横綱を目指す霧島が、右からの突き落としで転がしていた。
27日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で大阪入り後初の稽古を行い、四股や重りを背負ってのすり足などで汗を流した。
相撲を取らなかったが、春場所に向けて「体もある程度戻ってきた。結果は自分で引き寄せるもの」と意欲をにじませた。
大阪に入る前は多忙を極める中、幕内琴勝峰との申し合いなどをこなした。
「稽古はきちんとやってきた。朝に稽古場に下りられない日が続くかと思ったが、そんなことはなかった」と浮ついた様子はなかった。
今後は部屋で調整し、出稽古に来る力士と胸を合わせてペースを上げていく。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方は「協会の看板である横綱、大関はさまざまな仕事をこなさなければいけない。その中でも体は全くしぼんでいない」と心配していなかった。
関係者によると、大関昇進披露パーティーを9月29日に都内で開く予定にしている。
地位の重みを実感する日々に、琴ノ若は「音を上げている場合ではない。お祝いしてもらっているので感謝。うれしい悲鳴」と活力にす
27日、堺市西区の荒汐部屋で10番の申し合い稽古を行った。
右膝前十字靱帯断裂の大ケガから長期休場を経て春場所で関取復帰を果たした弟の若隆景と6番。
もともと取り口的に苦手としている中で、もろ差しを許して寄り切られたり逆に喉輪で力強く押し出したりと互いに持ち味を発揮した。
「やっぱり強いですよね。調子戻してますね」。
弟の復調ぶりを肌で感じた。
入幕2場所目で西前頭5枚目に躍進した大の里が27日、大阪市内で行われた力士会後に取材に応じ「びっくりした。10枚も上がるなんて想像していなかった。春場所は初めてなので勉強の気持ち」と心境を語った。
初場所は西前頭15枚目で11勝を挙げた。
この日は大阪府大東市の二所ノ関部屋で幕下力士と10番ほど取り、大阪での稽古をスタート。
今場所もざんばら髪で臨む23歳の大器は「(デビュー前の)1年前は丸刈りで大阪に来たので感慨深い。勝ち越そうが負け越そうが、何ごとも経験だと思う」と快活に話した。
26日、大相撲春場所の番付を発表し、右足の負傷で、昨年夏場所から4場所連続で負け越し十両に陥落した錦富士(十和田市出身)は、10勝5敗で5枚上げ東前頭14枚目となり、1場所で幕内に復帰した。
2024/02/01
大相撲初場所で優勝同点の13勝を挙げた琴ノ若が、満場一致で大関に昇進した。
1月31日、東京・両国国技館で大相撲春場所の番付編成会議と臨時理事会を行い、承認した。
千葉・松戸市の部屋で行われた昇進伝達式には、父で師匠の佐渡ケ嶽親方と並んで臨んで口上。
「謹んでお受け致します。大関の名に恥じぬよう、感謝の気持ちを持って、相撲道に精進してまいります」
と祖父で元横綱琴桜の先代師匠の言葉と、母校埼玉栄中、高相撲部の部訓を込めた。
大関琴ノ若として1場所土俵に立ち、その後、50年ぶり「琴桜」復活となる改名の意向を示した。
2024/01/29
千秋楽、休場明けの横綱・照ノ富士が、上の番付を目指す2人の挑戦を退けた。
復活を印象付ける9度目の優勝を決めた。
本割は、直前に優勝の可能性が消えた3敗の大関・霧島を、持ち上げるように抱え込んで寄り切り。
2敗で並んだ琴ノ若との優勝決定戦に持ち込んだ。
真剣なまなざしで立った大一番。
相手の双差しを巻き替え、じわじわと追い詰めて土俵下に転がした。
支度部屋に戻ると、息を切らしながら「力を出し切ったと思う」と話した。
千秋楽、大関霧島が初の綱とりで厳しい現実に直面した。
横綱照ノ富士に寄り切られて11勝4敗で終えた。
「けがなく15日間を終えられてよかった」と言いつつ、初の綱とりには「プレッシャーは厳しかった。また、頑張りたいです」。
気持ちをすぐに切り替え、横綱へ新たに挑戦する。
千秋楽、関脇琴ノ若が、悔し涙で事実上の大関昇進を決めた。
本割は東前頭4枚目翔猿を、上手投げで破って13勝2敗。
同じく2敗を守った横綱照ノ富士との優勝決定戦は、寄り切りで敗れて初優勝は逃した。
それでも、ともに関脇の先々場所9勝、先場所11勝と合わせ、大関昇進目安の三役で3場所33勝に到達。
日本相撲協会審判部は、31日の臨時理事会招集を要請し、了承された。
臨時理事会で昇進を見送られた前例はなく、事実上「大関琴ノ若」が内定した。
千秋楽、三賞選考委員会が開かれ、前頭筆頭の若元春が殊勲賞に初めて選ばれた。
三賞受賞は技能賞を獲得した昨年の夏場所に続き2度目。
千秋楽では10勝目を挙げ、来場所の関脇復帰も確実にした。
若元春は今場所2日目では横綱照ノ富士を破り、初の金星を挙げた。
千秋楽では前頭5枚目の錦木に勝ち、4場所ぶりの2桁勝利となる10勝5敗とした。
若元春は「番付を落としての三賞。満足せず、貪欲に上の番付を目指してやりたい」と話した。
千秋楽、千秋楽の国技館をこの力士が沸騰させた。
小結・宇良が、前頭五枚目・竜電を珍手「伝え反り」で下し、そのアクロバティックな取組に「なんじゃこりゃー!!」「これどうなってん?」「すごい技が出た」など驚きの声が寄せられた。
千秋楽、西前頭7枚目の朝乃山は、関脇大栄翔に引き落とされ、9勝3敗3休で今年最初の土俵を終えた。
能登半島地震で被災したふるさとに元気を届けたいと土俵に立ち「物足りない部分はあるけど、自分なりに土俵の上で闘う姿を見せられた」と思いを寄せ、来場所は三役復帰に挑む。
千秋楽、新入幕の大の里が玉鷲を破って11勝目を挙げ、初の敢闘賞を獲得した。
立ち合いから力強く前進。
土俵際に追い込むと、タイミング良く引き落としで39歳のベテランを転がした。
今場所は12日目に結びの一番で横綱・照ノ富士にも挑戦。
史上最速の金星は逃したが「想像していなかった15日間だった。(結びの)あの空気感で相撲を取れたのは大きい」と実感を込めた。
千秋楽、新十両優勝を決めている尊富士が時疾風を破って13勝目を挙げた。
鋭い立ち合いから一気に前に出て押し出した。
「前に出ればケガしないので、良い相撲取れたかなと思います」。
今場所、勝った13番のうち11番は一気に前に出る圧倒的な内容。
稽古場で前頭筆頭の熱海富士と互角に渡り合う実力を持っており、十両の土俵では敵なしを印象づけた。
幕内下位と十両上位の成績の兼ね合いで、来場所の新入幕が確実な状況に。
新十両から1場所通過は遠藤以来、平成以降5人目。
初土俵から所要9場所で昇進となれば、年6場所制となった1958年以降では常幸龍に並ぶ最速タイ記録(付け出しを除く)となる。
大相撲初場所は28日に千秋楽を迎え、懸賞本数は2088本に達した。
1日当たりの最多は初日の177本。
2024/01/28
14日目、相撲を取ることなく2敗のトップを守った照ノ富士。
豊昇龍の休場を知っても、「体がなまってしまう」と支度部屋での準備は普段と変えず、土俵で勝ち名乗りを受けた。
初めて経験する不戦勝に「(自身の)不戦敗はいっぱいあるのだから、1回ぐらいはいいんじゃないか」といつもより表情は柔らか。
3場所連続の休場から復帰した中で尻上がりに調子を上げ、力強い相撲が戻ってきた。
復活優勝を懸け、一人横綱が千秋楽に臨む。
14日目、綱とりが懸かる霧島は痛恨の3敗目を喫し、自力優勝の可能性がなくなった。
大関昇進に挑む琴ノ若を相手に攻めて出たところをいなされ、あえなく後ろ向きに。
悔しさのあまり、取材には無言を貫いた。
師匠の陸奥親方は「緊張していた。体が動かなかった」と手厳しく言った。
千秋楽は過去10戦全敗の照ノ富士戦。
八角理事長は「終わったわけではない。最後まで力を出し切ることが大事」と奮起を促した。
14日目、豊昇龍は日本相撲協会に「右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷で約1週間の加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
3敗目を喫した13日目の霧島戦で痛めた。
千秋楽も出場しない。
豊昇龍は優勝争いでトップの照ノ富士、霧島、琴ノ若の3人を1差で追っていた。
14日目の対戦相手、照ノ富士は不戦勝。
豊昇龍の休場は昨年の初場所以来。
14日目、連敗を免れ、初賜杯と大関昇進へ望みをつなぎたい一番。
立ち合いで2度、突っ掛けた琴ノ若の表情はいつも以上に険しく、トップで並ぶ大関を前に肩の力が入っているようにも見えた。
もろ手で立った霧島に体を起こされた。
のど輪で動きを止められたが、ここから流れるように反撃。
勢いよく突き返し、慌てて前に出ようとした相手をいなしてから右でまわしを引く。
一気に勝負をつけ、「しっかり体が動いてくれた。我慢できたと思う」。
冷静な動きを見せたのは大関ではなく、琴ノ若の方だった。
13日目は横綱照ノ富士に完敗し、単独トップの座を明け渡した。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方によると、「本人は悔しがっていた」。
部屋に帰ってから四股を踏み、切り替えに努めたという。
終盤戦で綱とりを狙う大関を破り、自己最多に並ぶ12勝目。
大関昇進の目安とされる三役での直近3場所の合計33勝まで、あと一つに迫った。
二つの大願成就が懸かる千秋楽に向け、琴ノ若は「まずは取組に集中しないと意味がない。やり切るだけ」と真っすぐ前を見据える。
その表情から気負いは感じられない。
14日目、関脇・大栄翔が前頭6枚目の金峰山を下して8勝目を挙げた。
回転よく突っ張った大栄翔が左へ左へ回り込む金峰山を土俵1周分追いかけ、最後は強烈な左喉輪で横向きにさせて押し出し。
母と兄が枡席で見守る前で7場所連続となる勝ち越しを決め、確かな実力と安定感の高さを示した。
14日目の勝ち越し決定はこの7場所で最遅。
既に6敗を喫して2桁勝利の可能性はなくなっており「ひとまず勝ち越しはよかったけど、勝ち越しが目標ではないので。そういう意識を持ってやらないと」と悔しさをにじませた。
14日目、西前頭2枚目の阿炎が、場所前の錣山親方死去も乗り越え、7連勝で勝ち越しを決めた。
立ち合いも計算通りだった。
「右のおっつけが強いので、ちょっとずらしていこうと思った」。
若元春の右を警戒し、少し左に変化気味。
押し込まれても、土俵際で引き落としを決め、最後は相手の足が出るのを確認するかのようにジャンプして残した。
物言いがついたが、軍配通りの結果に笑顔を見せた。
14日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が、再出場後、2連勝を飾った。
昨年9月の秋場所千秋楽以来、2度目の対戦となった西前頭筆頭の熱海富士を寄り切り。
立ち合いから右を差して寄り立て、前のめりに倒れたが、先に相手の足が流れて土俵を割っていた。
「(相手は)体が大きいので、下手にがっぷりになると、重たいので攻められないかと思って、下から、下からいった。土俵際は負けたかと思った。下を向きすぎていたのは反省」と、胸をなで下ろしていた。
14日目、新入幕の大の里が、佐田の海を切り返しで破って10勝目。
場所前に師匠の二所ノ関親方から課された新入幕場所での”稀勢の里超え”を果たした。
師匠の新入幕は2004年の九州場所で9勝6敗だった。
立ち合いで許した左上手からの投げを、左足一本でこらえて反撃に転じた内容に「慌てずに上体でこらえるだけでなく、下半身も使えてよかった」と納得の表情。
9日目からは琴ノ若、豊昇龍、照ノ富士への役力士挑戦で3連敗したが、これで2連勝。
「負けを無駄にせずやるだけ。15日間が終わってから、(師匠に)報告したい」と白星締めを誓った。
14日目、尊富士が12勝目を挙げて後続に2差をつけ、22年秋場所の栃武蔵以来となる新十両優勝を決めた。
初土俵から所要9場所目での十両優勝は、幕下付け出しを除けば12年秋場所の常幸龍に並ぶ史上最速記録。
後ろに下がって負けたことがこれまで一度もないという圧倒的な馬力を誇る新星は、この日も一気の電車道で勝負を決めた。
「気負うことなく自分を信じた」と堂々としており、取組後も「全然集中は切れていません」と言い切った。
2024/01/27
13日目、横綱照ノ富士が琴ノ若を単独トップから引きずり下ろした。
「(琴ノ若は)今場所を見ても圧力がすごいし、落ち着いて相撲を取っている。落ち着いてさばいていこうと思った」と右四つから寄り切った。
琴ノ若には「残り2日、むこうも勝負じゃないですか」とエール。
照ノ富士も4場所ぶり優勝のチャンスだ。
「万全でない中で、できることをやっていく」と冷静に話していた。
13日目、2敗で並ぶ大関対決。
同じモンゴル出身の好敵手を退け、綱取りの懸かる霧島が優勝争いのトップに並んだ。
先に右上手を許したが、相手が前に出た瞬間に勝機を見いだした。
豊昇龍の体をややつり上げ、重心の寄った右足を自身の左足で蹴って豪快に転がした。
取組後は「相撲内容は良くなかったが最後(の結果)が一番大事。勝って終わったので」と安堵(あんど)した。
13日目、大関昇進を目指す関脇琴ノ若は横綱照ノ富士に寄り切られ、2敗目を喫した。
照ノ富士も11勝2敗。
気が付けば横綱の形だった。
立ち合いで右を差した琴ノ若が、左ものぞかせてもろ差しを狙いつつ前に出たが、巻き替えられて棒立ち。
最後は照ノ富士得意の右四つからの寄りに屈して2敗目。
大関とりへ横綱戦初勝利でアピールはならず、単独トップの座からも引きずり下ろされた。
照ノ富士相手に6度目の正直ならず、引き揚げた支度部屋でショックをにじませた。
これまで間を置かずに答えてきた最初の質問に、30秒近く沈黙。
「切り替えます」とつぶやくのがやっとだった。
13日目、西前頭7枚目の朝乃山が再出場し、東前頭3枚目の豪ノ山を小手投げで仕留め、勝ち越しを決めた。
朝乃山は「まだ2日ある。2桁勝利も目指せる」と闘志を燃やす。
5日ぶりの本場所の土俵はなかなか始まらなかった。後から手を着いた朝乃山がつっかけ、3度目でようやく立ち合い成立。
相手の鋭い出足に下がったが冷静だった。
突き、押しを下からあてがってしのぐ。
右で抱えると豪快な小手投げで逆転した。
休場原因の右足首のけがについて「大丈夫。動けるようになったから出ている」と強調。
相撲内容には「前へ出て攻めたかった」と反省も忘れなかった。
13日目、新入幕の大の里が隆の勝を破って9勝目を挙げた。
立ち合い胸から当たった大の里が隆の勝の右喉輪を下から跳ね上げて右を差すと、前に圧力をかけ続けて一気に押し出した。
4日ぶりの会心の白星に「落ち着いていけてよかった」と胸をなで下ろした。
13日目、右膝の大けがから再起を期す元関脇若隆景は7戦全勝で幕下優勝を果たし、確実としている来場所の十両復帰に花を添えた。
4場所連続休場から復帰2場所目で「まだ反省点はあるが、先場所より体が動いている実感はある」と手応えを口にした。
幕内優勝経験者の幕下制覇は令和元年九州場所の照ノ富士以来2人目。
NHKでテレビ解説を務めた宮城野親方は「去年の九州場所より本当によくなってきましたから、日に日に場所ごとによくなっていくんじゃないですかね。早く幕内で相撲が見たい」と復活を期待していた。
13日目、元幕内で西幕下5枚目の伯桜鵬が、東十両12枚目・千代丸を寄り切りで破り、3場所ぶり復帰の土俵を白星で締めた。
左おっつけから左を差すと、やや膠着(こうちゃく)状態となったが、相手の巻き替えに乗じて寄り切った。
「組んでしまいましたけど、自分の形で相手が不十分だったので、落ち着いていきました」と振り返った。
新入幕だった昨年名古屋場所で優勝争いを演じたが、同年8月末に左肩を手術した影響で秋、九州場所と連続で全休を余儀なくされた。
3場所ぶりの復帰となった今場所は幕下に転落。
全勝での優勝を目指していたが、6勝1敗で終えた。
「全勝を目指していたので、ダメですね。自分が弱いから負けた。(今場所の)相撲内容は0点です」と自らに厳しく振り返った。
2024/01/26
12日目、横綱・照ノ富士が、西前頭15枚目・大の里を上手投げで下して5連勝。
最高位として10年ぶりとなる新入幕力士の挑戦を退け、2敗を堅守した。
3場所連続休場明けから逆転Vへ、13日目は1敗で単独トップの大関昇進を目指す関脇・琴ノ若と対戦する。
大の里は4敗目で優勝争いから脱落。
照ノ富士の貫禄勝ちだ。
立ち合いは低く当たって踏み込んで左前まわしを取った。
大の里も右を差して左をおっつけながら前に出たが、腰の高さが違っていた。
最後は豪快な上手投げ。
12日目、霧島は玉鷲との激しい攻防を制した。
最後はタイミング良くはたいたが、突き押しに後退した場面を反省。
「自分から攻めたかった」と首をかしげた。
横綱昇進を懸ける中、賜杯争いでトップと1差をキープしている。
13日目の相手は同じモンゴル出身の豊昇龍。
「相手よりも自分のことを考える。絶対に負けない気持ち」。
2敗同士の大関対決へ闘志を燃やした。
12日目、豊昇龍は隆の勝に付け入る隙を与えなかった。
素早く中へ入り、右を差す。
下手をがっちり引いて相手を豪快に裏返し、「いいんじゃないか。立ち合いも狙い通りで、動きも悪くない」。
内容にも納得した。
場所前の稽古総見では精彩を欠いた上に、右膝を痛めた。
状態が不安視された中で4連勝発進。
「しっかり体が動いている」。
5、6日目に連敗したが、そこから6連勝。
11日目は新入幕で快進撃を見せた大の里を難なく退け、格の違いを示した。
相撲っぷりは確実に上向いている。
12日目、優勝争いで単独トップを走る関脇琴ノ若が、2差で追う西前頭14枚目の阿武咲を、はたき込みで破り1敗を堅守した。
13日目は、過去5戦全敗の横綱照ノ富士と対戦する。
時は来た。
琴ノ若にとって勝てば大関昇進と初優勝が、グッと近づく大一番がやってくる。
過去5戦全敗の照ノ富士戦が、13日目に組まれた。
それに先立ち、この日は阿武咲の当たりを受け止め、重い腰で相手の突き、押しを下からあてがいながら、反撃の機会をうかがった。
その矢先、相手が足を滑らせて前のめりに倒れてはたき込み。
1敗を守って先場所に続く11勝目に到達し「落ち着いて取れた。体が動いてくれたのでよかった」とうなずいた。
休場していた朝乃山が、2場所ぶりの勝ち越しに向け13日目から再出場します。
今場所7日目まで全勝だった朝乃山は、中日の玉鷲戦で敗れ右足首を負傷、9日目から休場していました。
朝乃山は、12日目まで7勝2敗3休。
残り3日間、勝ち越しをかけて戦います。
13日目の復帰戦の相手は、東前頭3枚目の豪ノ山です。
12日目、東前頭10枚目の玉鷲が幕内出場1284回。
安芸乃島を抜き単独史上7位。
同1位は旭天鵬の1470回。
玉鷲「へえ、7位になったんだ。いつも言うけど現役の間は(記録は)気にしないよ」。
12日目、再入幕の琴勝峰が若元春を寄り倒しで撃破し幕内では1年ぶりの勝ち越しを決めた。
相手得意の左差しを許したが、土俵際で強引に振って体を入れ替え逆転勝ち。
「前に落ちてもいいから(土俵際は)がむしゃらにいった。久々の幕内で勝ち越して良かった」と安堵(あんど)の様子だ。
昨年6月に結婚し昨秋に長男も誕生。
「帰ったら家族がいる。今の一番のやりがい」と好調の要因を挙げた。
12日目、新入幕で西前頭15枚目の大の里の記録ずくめの金星はならなかった。
結びの一番で初顔合わせの横綱照ノ富士に敗れ、8勝4敗。
金星を期待した場内のファンからは、ため息が漏れた。
大の里は、照ノ富士に土俵下まで投げられた。
体当たりの立ち合いから真っ向勝負。
右をのぞかせて前に出ようとしたが、相手は動かない。
次第に棒立ちにさせられ、それでも強引に前に出ると、誘い込まれるように上手投げで仕留められた。
「立ち合いで当たったけどビクともしなかった。さすが横綱だと思った。頭が真っ白。何も自分の相撲を取らせてもらえなかった」と唇をかんだ。
12日目、新入幕で東前頭17枚目の島津海が、うれしい勝ち越しを決めた。
相手の美ノ海十分の形に組み止められたが、粘り腰で踏ん張り逆転の小手投げを決めた。
取組後、NHKのインタビュールームに呼ばれた島津海は「(新入幕まで)12年かかったので、すごくうれしいです。相手の形になったけど、辛抱して、ああいう形で勝ててよかったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
新入幕勝ち越しをかけた一番とあり「(勝ち越しを)意識して硬くなって(立ち合いで)当たれなかった」と素直に吐露。
9日目から4連勝で給金を直した相撲内容には「踏み込んで先手、先手で攻めているのがいい」と自己分析。
番付発表の際に宣言した、技能賞という目標には「全然(自分には技能は)ありません」と苦笑したが、残り3日の土俵に向けて「力を出し切って、会場を沸かせる相撲を取りたい」と話した。
2024/01/25
11日目、2敗を守った横綱照ノ富士は、12日目に新入幕の大の里との割りが組まれたことを聞かれても、表情ひとつ変えなかった。
「まあ、誰とあたっても、その日の一番に集中してやっていく」
この日は阿武咲を寄り切った。
3場所ぶりの復帰でここまで十分に務めを果たしてきている。
「当たろうと思ったけど、相手の体勢を見て変わった。調子は悪くはないけど、よくもない。徐々に…」と本人にとってはモヤモヤした相撲だったかもしれないが、藤島審判部副部長は「ものすごく集中している。今日はよくある動きだったが、乗ってきている」と評価した。
11日目、勢いに乗る新鋭を力でねじ伏せた。
大関・豊昇龍が新入幕の大の里を退けた。
立ち合いで右が入り、左で上手をつかむと、前に出てくる相手の勢いを利用するように右から下手投げを決めた。
強い足腰を生かして体重で40キロ以上重い相手を転がし、「狙い通り、まわしを取れてよかったと思います」と冷静に語った。
ざんばら髪で白星を伸ばしてきた大の里とは高校生以来の対戦だったことを明かした。
当時1学年下だった相手に勝ったことを振り返りながら、「(対戦を)楽しみにしていた。絶対に負けたくなかった」。
新入幕の力士が大関と対戦するのは、2020年秋場所で貴景勝に敗れた翔猿以来という一番で、大関として格の違いを示した。
11日目、大関昇進を目指す琴ノ若が、また一歩前進した。
王鵬の突き押しを下からあてがい、攻勢の手を緩めずに押し出し。
「攻め続けた分、慌てないでいこうと思った」。
埼玉栄高の後輩に貫禄を見せつけた。
1敗のトップを死守。
2場所連続となる2桁白星に達した。
昇進への機運は高まりつつあるが、「まだ場所は終わってない。変わらず、自分のやってきたことをやるだけ」と平常心を強調した。
11日目、若元春が6日目から6連勝で給金を直した。
得意の左が差せなくても、おっつけながら前進。冷静に動いて玉鷲を押し出し、「しっかり足が出ていた。思い切って取れている」と納得の表情だった。
関脇から東前頭筆頭に落ちた今場所は照ノ富士から金星を奪うなど、内容のいい取り口が続いている。
「目の前の一番に集中することを心掛けている」と充実感を漂わせた。
11日目、新入幕の大の里が初の大関戦で敗れ、3敗に後退した。
豊昇龍との立ち合いで右を差したが、同じく右を差した豊昇龍に下手投げを食らった。
「簡単にまわしを取られてしまった。相手は格上だけど、自分の持ち味を出し切れなかった」と悔しそうだった。
完敗した10日目の関脇・琴ノ若戦とは立ち合いを変えた。
それでも勝てず、「2日連続でダメだった」と反省。
だが、幕内後半戦の審判長を務めた藤島親方は「昨日はもろ手で失敗して、今日は思い切り当たりにいった。立ち合いはよかった」とうなずいた。
2024/01/24
10日目、横綱照ノ富士は幕内金峰山を豪快な上手投げで一蹴。
8勝目(2敗)を挙げ、首位と1差を堅守した。
今場所は、腰痛の影響による3場所連続の休場明け。
中盤まで無事に乗り切り「体がなじんできた感じがある。ケガをしてから、やれることが少しずつ増えてきた」と復調へ手応えを口にした。
10日目、霧島が我慢の相撲で白星をつかみ、しぶとく2敗をキープ。
阿武咲の突き押しをあてがってしのぎ、土俵際で持ち前の反応の良さを生かしてはたき込んだ。
苦戦を認め、「どうかなと思ったが、勝ててよかった」と一息ついた。
綱とりを狙う場所でまずは給金を直し、優勝争いでもトップを1差で追う。
「一番一番、目標に向けてやっていく。意識して相撲が取れているので、先も見えてくる」と言い、終盤戦の自身に期待しているようだった。
10日目、番付の重みを示した。
大関とりの関脇琴ノ若が、新入幕の西前頭15枚目大の里との1敗対決を制した。
中盤戦を終えて9勝1敗。同じく1敗だった前頭阿武咲も敗れ、優勝争いの単独トップに立った。
新入幕として110年ぶり、ざんばら髪として史上初の優勝が期待される大の里に完勝。
何もさせずに寄り切った。
祖父は、自身が9歳の時に亡くなった元横綱琴桜。
故人と大関昇進で受け継ぐことを約束した、しこ名「琴桜」を襲名する日が現実味を帯びてきた。
10日目、福島市出身で幕内筆頭の若元春は王鵬と対戦。
押し出しで勝利し5連勝。
これで7勝3敗と勝ち越しに王手となった。
24日は玉鷲と対戦する。
10日目、東前頭10枚目の玉鷲が西前頭筆頭の熱海富士を破って勝ち越しに王手をかけた。
昨年から旋風を起こす18歳下の熱海富士に動き負けせず、土俵際で押し倒した。
この日で幕内出場1282回となり、元横綱白鵬と並んで歴代8位タイとなった。
今年11月には40歳となるが、角界の鉄人は衰えることをしらない。
今年40歳を迎えるとは、とても思えない。
39歳の玉鷲は18歳下で、番付では上位の熱海富士を破った。
取組後、戻ってきた支度部屋では「楽しかった。気持ちがいい。(年下に勝つのは)どこの世界でも気持ちいいでしょ」と満面の笑みを浮かべた。
10日目、平幕の阿武咲が綱とりを目指す霧島に敗れて2敗に後退した。
阿武咲があと一歩のところで霧島にはたき込まれた。
攻めの流れをつかみかけていただけに悔しそう。
「なかなか中に入れてくれなかったですね。左をのぞかれてちょっと慌てました」と振り返った。
2日目からの連勝は8で止まったが、11日目は照ノ富士戦。
「また明日っすね。相撲を取れることに感謝です」と気持ちを切り替えた。
10日目、1敗対決は、新入幕の大の里が大関昇進に挑む琴ノ若に寄り切られ、2敗目を喫した。
琴ノ若に完敗した大の里だが、新入幕での三役挑戦は貴重な経験となった。
「やっぱりうまいし、強かった。自分のよさを伝えたかったけど、まったくできなかった」と力の差を痛感させられたが、「この時間は基本的に部屋にいる時間ですし、想像していなかったし、ワクワクしますし」と話した。
11日目は大関豊昇龍と対戦する。
「同じ失敗を繰り返さないように、気合を入れて集中していきたい」と再び上位に挑む。
2024/01/23
9日目、照ノ富士が借りを返した。
昨年の名古屋場所で不覚を取った錦木との一番。
もろ差しを許したものの、強烈にきめて右から投げを打ち、相手の体勢を崩すと、得意の右四つに持ち込んで寄り切った。
「しっかり形になれた」と納得の表情だった。
3場所連続の休場から復帰した今場所。
前半は不安定な内容もあったが、徐々に本来の姿を取り戻しつつある。
「久しぶりにしっくりきた」と手応えを口にした。
9日目、綱とりの霧島は行司差し違えの一番で正代を退けて連敗を免れ、2敗を守った。
照ノ富士は錦木を、大関豊昇龍は竜電を下して7勝目。
大関昇進に挑む琴ノ若は関脇大栄翔に快勝してトップの1敗を堅持。
新入幕の大の里が給金を直し、トップは、1敗だった朝乃山の休場による不戦勝で白星を手にした阿武咲を加えた3人。
9日目、大関・豊昇龍は、平幕・竜電を寄り切りで下し、勝ち越しに王手を掛けた。
立ち合いから右上手を引くと、左四つで寄り切った。
完勝での7勝目に「相手は柔らかいし、力が強い。がっぷり四つにはなりたくなかったので、先に先に攻めていった。よかったですね」とうなずいた。
優勝争いではトップの1敗に関脇・琴ノ若、平幕の阿武咲、新入幕・大の里の3人。
1差で追いかける大関は「そこは気にしていない。一日一番。その日の一番を大事にしていきたいです」と、意気込んだ。
9日目、大関昇進が懸かる琴ノ若が、大栄翔との関脇対決を制し、優勝争いの先頭を守った。
埼玉栄高の先輩でもある大関候補のライバルを寄り切った。
前日8日目は通算2度目の不戦勝。
それでも取組がある日と同じ準備をして、流れを変えずに勝ち越しを決めた。
中1日の取組でも、相撲勘は失わず、体の反応はさえ渡っていた。
琴ノ若は立ち合いから、大栄翔の突きを浴び続けた。
だが、ことごとく下からあてがい、威力を軽減。
1度は引く場面があったが、喜んで出てきた相手に返す刀で右を差して勝負あり。
体を密着させ、一気に前に出て寄り切った。
「下がる場面があったけど考え直して我慢して、攻めに変えられたのがよかった。体がしっかりと動いて、反応良く相撲を取れた」。
9日目、宇良が新三役“初勝利”を挙げた。
貴景勝の休場による不戦勝はあったが、相撲を取っての白星は今場所初となった。
4連勝中と好調で初顔の熱海富士に対し「強い相手だと思って臨みました」。
立ち合いで低く当たると、相手の勢いをうまく使い、肩透かしで破った。
勝ち越しの望みをつなぎ、「残りも頑張りたい」と巻き返しを期す。
9日目、西前頭3枚目の北勝富士が休場した。
日本相撲協会に「右膝関節挫傷により、約2週間の加療と1月場所の休場を要する」との診断書を提出した。
北勝富士は8日目の豊昇龍戦を押し出しで敗れ、土俵下に尻から落下。
その場で古傷の右膝を押さえながら動くことができず、最後は両脇を担がれる形で花道へ移動し、そこから車いすに乗せられて引き揚げていた。
西前頭7枚目の朝乃山が初場所9日目の22日、休場した。
敗れた8日目の平幕玉鷲戦で負傷し、同日に日本相撲協会に「右足関節捻挫で全治2週間を要する見込み」との診断書を提出した。
10日目も休場する。
師匠の高砂親方は「2、3日様子を見ようということになっている」と話した。
休場は2場所連続で11度目。
9日目、圧勝の土俵上で大の里が2度、わずかにうなずいた。
新入幕で勝ち越し一番乗りを決めたリアクションはそれだけ。
立ち合いの圧力を生かして右をねじ込み、ぐいぐい前へ出て最後はきっちり腕を返して明生を寄り切り。
誰よりも冷静に勝ち名乗りを受けた。
「自分の良さの立ち合いをぶつけた。特別なことをやってるわけじゃない。厳しく攻めた」。
勝ち越しは場所前の第一目標。
師匠の二所ノ関親方が審判として土俵下で見守る中で決めた孝行に「勝ち越しを一番近くで見てもらえた」と少しだけ表情を和らげた。
9日目、東十両10枚目の尊富士(24=伊勢ケ浜部屋)が欧勝海(22=鳴戸部屋)との新十両対決を制して9戦全勝とした。
鋭く踏み込んで一気に押し込んでおいてのはたき込み。
立ち合い相手に左から張られたが「そんなの分からなかったです」と全く問題にしなかった。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)や部屋の横綱・照ノ富士(32)からは「集中を切らすな」とアドバイスを受けており、ここまでしっかり持続させた。
2024/01/22
8日目、照ノ富士は何とか連敗を免れた。
狙った右差しを果たせず、竜電に右上手を与えて頭をつけられた。
我慢する中、左から起こして寄り切り、「下手だけは取らせないように。取られたら残せないと思った」。
2敗での折り返し。
3場所連続休場から復帰した今場所は、相手を圧倒する相撲が少なくなっている。
「何とか白星を取っている感じ。悪い考えを持たないように自分を追い込んでいる」。
後半戦に向けて、自らに言い聞かせるようだった。
8日目、大関霧島が「自分が引いてしまうと、いろんな攻めをしてくるので」と警戒していた翔猿に、手痛い2敗目を喫した。
低い体勢のまま繰り出す相手の突きを嫌がり、たまらず下がってしまった。
注意していたはずの攻めを許し、土俵際でも残れず押し出された。
全勝がいなくなりトップに並ぶチャンスを逸し、取組後の取材には応じなかった。
8日目、小結・高安が21日、「インフルエンザB型感染、急性腰痛症の再発により約10日間の自宅療養および安静加療を要する」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。
休場は今場所2度目で通算16度目。
8日目の対戦相手で、大関昇進を目指す琴ノ若は不戦勝となった。
1年ぶりに三役に復帰した元大関の高安は初黒星を喫した2日目の大関・霧島との取組前に腰を痛め、3日目から休場。
6日目(19日)に再出場したが、20日の夕方から発熱があった。
8日目、豊昇龍が押し出しで北勝富士を下したが、取り組み後にアクシデントが起こった。
勢いよく突っ張り合った両者。
それでも大関が最後は力強く北勝富士を押し出した。
だがお尻から土俵下に落下した北勝富士はその場で右膝を押さえながら動くことができず。
場内からは大きな拍手とともに「頑張れー!」と激励の声がわき起こったが、苦悶の表情を浮かべ自力で立ち上がることができなかった。
最後は両脇を担がれる形で花道へ移動し、そこから車いすに乗せられて引き揚げた北勝富士。
再び国技館は大きな拍手に包まれたが、右膝は古傷でもあるだけに、その状態が気がかりだ。
8日目、会心の相撲で綱獲りの大関を撃破し、翔猿の表情も和んだ。
「久しぶりにいい相撲が取れた」と納得顔だ。
低い姿勢から圧力をかけて、一気の押し出し。
星も4勝4敗の五分に戻し「体の動きは悪くない。思い切りやっている」と口調も滑らかだ。
8日目、元大関の幕内・朝乃山が初黒星。幕内・玉鷲ののど輪で後ろに反り返った。
それでも下がらず右を差したが、すくい投げで転がされた。
「玉鷲関に突き落とされて、足からバランスを崩して落ちた」。
土がつくと土俵下でしばらく、立ち上がれず。
支度部屋でも右足を気にするそぶりをみせたが「大丈夫」と気丈にふるまった。全勝が止まったことについては「いいんじゃないですか。1敗くらいして」と開き直った。
8日目、39歳の鉄人が、節目の一番で大仕事をやってのけた。
平幕の玉鷲が、全勝で単独トップだった朝乃山を引きずり降ろした。
得意の右四つを許す万事休すの展開から巻き返し。
押し込まれながら、土俵際で右の腕を返してすくい投げを決めた。
館内を沸かせる好取組で5勝目に「もちろん気合が入っていたので、勝ってよかった。まわしを取られたくないと前に出ていく気持ちが良かった」とうなずいた。
支度部屋の風呂場では横綱照ノ富士らと鉢合わせし、「またやったな」とねぎらいの言葉を贈られたと笑みをこぼした。
これで通算出場は1576回。安芸乃島を抜いて史上10位に到達し、現役ではもちろん1位。
鉄人健在を示す偉業だが「全く気にしていない。自分も強い相手と戦えるのは楽しいし、お客さんも楽しいと思う」と声を弾ませた。
8日目、西前頭11枚目の王鵬が琴勝峰との2敗対決を制して6勝目を挙げた。
立ち合い頭で当たり合ってから押し込まれた王鵬が左へ回り込んではたくと、琴勝峰は前にのめって土俵を飛び出した。
勝った王鵬は「立ち合いからすごい勢いだったので必死で余裕はなかった。もっと前に出たかった」と納得の内容ではなかったが、ライバル撃破に安どした。
8日目、新入幕の西前頭15枚目大の里が、憧れの郷土の先輩を破り、優勝争いの先頭に並ぶ1敗を守った。
石川県出身対決となった10歳上の西前頭13枚目遠藤との初顔合わせで押し出し。
新入幕が、昭和以降最速タイ(もう1人は伯桜鵬)の所要3場所だった遠藤に、同3位の所要4場所で果たした大の里が完勝し、勝ち越しに王手をかけた。
8日目、新十両の尊富士(24=伊勢ケ浜)が獅司(27=雷)を下して、十両で唯一のストレート勝ち越しを決めた。
立ち合いで鋭く当たると、一気に前に出て押し出し。
「相手が大きいから、とにかく下から。集中してやった」と完勝につなげた。
ストレート勝ち越しについての感想を問われると、「特に(ないです)。一日一番なので」と引き締めた。
「勝ち星にかかわらず自分の相撲を取ろうと思っていた。これが勝ちにつながっている」とし、「勝ち越しても気持ちは変わらない。終わるまでは気を緩めない」と次なる戦いを見据えた。
2024/01/21
7日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士は元大関の正代に敗れ、中日を前に早くも2敗目を喫した。
正代戦の立ち合いでもろ差しを許すと、小手に振るも上体を完全に起こされた。
何とか両腕できめにかかったが、体勢を作る前に相手に左からすくわれ、寄り倒された。
屈辱のあお向け。
館内に座布団が飛び交う中、険しい表情で土俵を引き揚げた。
7日目、横綱昇進がかかる大関霧島が、予期せぬハプニングにも動揺することなく6勝目を挙げた。
北勝富士と対戦。
激しい突き合いの流れから三役格行司が転んでしまうトラブルにも落ち着いて相撲を取り、盤石の寄り切りで1敗を守った。
7日目、平幕力士との対戦が組まれる前半戦での連敗は避けたい。
大関昇進を目指す琴ノ若にとって、辛抱する局面だった。
「目の前の一番に集中した。それが結果につながったと思う」。
竜電を寄り切り、1敗を死守。
踏みとどまった。
先場所敗れた相手だけに「悪い形になりたくない」と慎重だった。
7日目、西前頭筆頭の熱海富士が阿炎を破って3勝目を挙げた。
左前ミツ狙いの立ち合いから押して一気に前に出ていき、突き押し得意の阿炎を電車道で圧倒した。
支度部屋に戻ってくると「めっちゃ良い相撲だった〜」と笑顔で一言。
自他ともに認める会心の内容だった。
7日目、西前頭4枚目の正代が横綱照ノ富士を破り、4勝3敗と白星を先行させた。
「止まってしまうと厳しい。あの形になるしかなかった」と立ち合いから鋭い出足を見せた。
足を動かし続け、もろ差しにすると、優位な体勢から一気に土俵際に追いつめて、自身2つ目の金星を挙げた。
「座布団が飛び始めたところで、初めて実感が湧いた」。
会心の相撲内容を振り返り「久しぶりに終始攻めた相撲だったんじゃないかと」とうなずいた。
7日目、平幕朝乃山は明生を寄り切り、ただ1人の全勝をキープ。
単独首位を保った。
しかし、支度部屋では「内容が悪い」と不満げな表情。
差し手争いから力強く前に出たが、「左上手が取れなかった。もっと下から攻めないとダメ」と首をひねった。
単独首位で重圧も大きくなっているが、「たくさんの声援をいただいている。白星を出し、それに打ち勝たなければいけない」と自らを鼓舞した。
7日目、現役関取最年長の39歳、東前頭10枚目の玉鷲は隆の勝を押し出して4勝目。
白星を先行させ、「通算出場」が1575回となり史上10位の安芸乃島と並んだ。
「気にしていないけど、名前を出させてもらってありがたい」
10日目の土俵に立てば「幕内出場回数」が史上8位の元横綱白鵬と並び、11日目には7位の安芸乃島に追いつく。
現役トップの「通算勝ち星」も、この日の4勝目で796となり、元横綱貴乃花を2つ上回った。
8勝すれば元横綱稀勢の里の800勝に並ぶ。
初土俵から休みなく出場し、史上2位の「通算連続出場」も9月の秋場所中には首位に立つ。
7日目、並外れた圧力を物語る立ち合いの衝撃音が、初場所の幕内前半の土俵の新たな名物になりつつある。
新入幕の大の里が王鵬との1敗対決で踏み込むと同時に右を差し、速攻で寄り切った。
「エンジンがかかって、ギアが上がってきた」と立ち合いの手応えは上々。
だが、まだ全開じゃない。
「強い相手とやるためにもこれ以上に。器用なほうじゃない。一歩に集中し、立ち合いを追求したい」
平幕、碧山が右ひざを痛めたため、20日、7日目から休場することになりました。
前頭17枚目の碧山は今場所、初日から6連敗するなど精彩を欠いていて、19日の取組のあとには足を痛めた様子を見せていました。
その後、東京・両国の国技館にある相撲診療所で診察を受けた結果、「右ひざ前十字じん帯断裂」の疑いと診断されたため、日本相撲協会に休場を届け出て、7日目の20日から休場することになりました。
碧山の休場は3年前の夏場所以来6回目で、20日対戦する予定だった阿武咲は不戦勝となります。
師匠の春日野親方によりますと、今後、入院して治療にあたるため、再出場はできないとしています。
日本相撲協会は大相撲初場所7日目の20日、元十両で西幕下16枚目の千代嵐(32)=本名渡辺慶喜、千葉県出身、九重部屋=の引退を発表した。
2007年春場所初土俵。
押しを武器に11年秋場所で新十両に昇進した。
13年名古屋場所で左膝を負傷。
十両から転落した後、22年初場所で昭和以降で最長となる49場所をかけて関取復帰を遂げた。
2024/01/20
6日目、横綱照ノ富士が、長期休場前の最後の一番で敗れた東前頭4枚目の翔猿との“因縁”対決を制した。
立ち合いで張ってきた相手の指が目に入り感情のコントロールが難しくなったと反省し「格下の相手にあれだけ熱くなってしまった自分が恥ずかしい」。
周囲の注目とは裏腹に、特に意識はなかったというが「(仮に)先場所負けたから根に持っていたらアホな話」と言葉は激しかった。
1敗を守るも、動きについてはまだまだ納得していない様子だった。
6日目、綱取りに挑む大関・霧島が、1敗を守った。
突き押し自慢の東前頭3枚目・豪ノ山を相手に立ち合いから右で張って左を差すと、右上手もつかんで危なげなく寄り切った。
先場所は立ち合いで当たり負けして突き落とされた。
不覚を取り「すごく悔しかった。絶対に負けない気持ちだった。走ったら止まらない相手。(張り差しが)こんなにうまくいったのは初めて」と自画自賛だった。
幕内後半戦の浅香山審判長は「張り差しでずらして、止めて組んで、考えた相撲だった」と評していた。
6日目、大関昇進の可能性がある関脇琴ノ若は見せ場なく若元春に押し出され、初黒星を喫した。
四つ相撲同士の対戦だったが、立ち合いから最後まで突き、押しで攻めてきた相手に、終始主導権を握られた。
初の大関とり場所での初黒星。
取組前まで朝乃山と並んでいた優勝争いのトップから陥落した。
「結果は結果。気持ちの問題。引きずらないようにしたい」と淡々と話した。
6日目、腰を痛めて休場していた小結高安が“復帰戦”を白星で飾った。
大関霧島に敗れた2日目以来の土俵は、小結宇良との対戦。
潜り込まれた高安だがうまくしのぎ、最後は投げの打ち合い。
宇良を頭から土俵に突き刺すような豪快な上手投げで2勝目を挙げた。
大関経験者の高安は今場所、1年ぶりの三役復帰となった。
2日目の取組前に負傷し、3日目に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場。
5日目まで1勝2敗2休だった。
6日目、場内の温かい拍手が、今年の初勝利の特別な意味を彩った。
西前頭二枚目の阿炎が持ち味のもろ手突きとのど輪で豊昇龍の動きを封じてから引き落とし。
大関撃破で連敗を5で止め、昨年12月に60歳で死去した師匠の錣山親方への手向けの白星をつかんだ。
6日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が土つかずの6連勝。
5戦全勝で並んでいた関脇琴ノ若が敗れたため、6日目にして優勝争いの単独トップに立った。
腰の重い錦木相手に、右四つの体勢になったが左上手が取れない。
状況を打破しようと左を巻き替えたが、錦木に逆の右を巻き返され、狙っていたもろ差しの体勢は取れなかった。
腰が浮いたところを攻め込まれたが、下手投げを打ちながら回り込み、最後はその左からの下手投げでけりをつけた。
やや強引にも見えた巻き替えに、報道対応した日本相撲協会の八角理事長も「錦木は腰が重いから巻き替えにいったんだろうが危なかった」と指摘。
さらに、かねて朝乃山の課題に挙げていた上手の取り方についても「おっつけながらの上手になれば本物だが、まだまだ(以前のようには)戻っていない。
上手が深いから、もっと下から引きつけるように取らないと」と求めた。
東前頭8枚目北青鵬が初場所6日目の19日、日本相撲協会に休場を届け出た。
師匠の宮城野親方によると、5日目の湘南乃海との取組で古傷を抱える右膝の状態が悪化した。
再出場は厳しいという。
5日目を終えて2勝3敗だった。
北青鵬の休場は十両だった2021年11月の九州場所以来。
6日目の対戦相手、竜電は不戦勝。
6日目、王鵬が祖父に当たる優勝32回を誇る昭和の大横綱・大鵬、納谷幸喜さんの命日に初勝利をあげた。
遠藤を受け止め、右で突き落としを狙った。
倒せなかったが、体勢を崩すことには成功。
そこを見逃さず一気に前へ出て押し出した。
4連勝に「立ち合いは思った形とは違った。でもしっかりを前を向いて圧力をかけられた」と充実感があふれ出た。
19日は大鵬、納谷幸喜さんが72歳で死去してから11年になる。
孫の王鵬にとっては特別な日だったが、5連敗中だった。
6日目、新入幕の大の里が幕内宝富士を一方的に押し出して5勝目(1敗)。
大の里は実力者の宝富士に完勝。
取組後は「良かったと思います。みんな強い相手なので、自分の武器をぶつけていきたい」と初々しく意気込んだ。
2年連続アマチュア横綱の実績を引っ提げ、昨年夏場所に幕下10枚目格付け出しでデビュー。
昭和以降3位タイの所要4場所で新入幕を果たした今場所は、序盤から大器の片りんを見せつけている。
2024/01/19
5日目、3場所ぶりに出場した照ノ富士は北勝富士をうまさと出足で圧倒し、4勝目を挙げた。
照ノ富士自身は「まだ全然だめ」というが、自らの置かれた立場の厳しさ以上に、横綱がいる意味が重なる場所の序盤を1敗で乗り切った。
5日目、綱獲りの霧島が終始防戦一方の展開から逆転勝ちした。
阿炎の猛攻を受けて俵に詰まったが、うまく回り込むと相手の足が勢い余って出た。
まさに“綱渡り”の勝利。
「しっかり場所前に稽古をしたことが(粘りに)出た。
最後まで残して頑張ったのが良かった」と振り返った。
連敗は許されない中、薄氷の白星をつかみ1敗を死守。
「一番一番集中して」と平常心を強調した。
5日目、大関豊昇龍が幕内豪ノ山に屈して土がついた。
豊昇龍は豪ノ山が先に両手をついてから合わせにいったが、一気に寄り切られる完敗。
取組後は取材に応じず、沈黙を貫いた。
5日目、関脇・琴ノ若が小結・宇良を送り出しで下し、初日から無傷の5連勝を飾った。
大関にまた一歩近づいた琴ノ若の盤石な相撲に、ファンも「上手い!」「強さが際立つ」と称賛の声を寄せた。
大関取りを目指す琴ノ若は五日目、新三役・宇良と対戦。
素早く動いて翻弄してくる宇良を落ち着いて捕まえると、上手を深く取ってから背中を奪い、送り出しを決めて危なげなく5連勝を遂げた。
琴ノ若は先場所で11勝、先々場所で9勝を挙げており、大関昇進目安とされる“3場所33勝”まで残り星8つと迫った。
ABEMAの視聴者も「上手い!」「盤石」「強さが際立つ」「余裕あるな」と称賛した。
5日目、関脇・大栄翔が東前頭筆頭の若元春を下して4勝目を挙げた。
鋭い立ち合いからの突っ張りで先手を取ったが、タイミングよく右からいなされると体勢を崩されて左四つに。
突き押し得意の大栄翔が相手十分の左四つに組み合う絶体絶命の状況となったが、まわしは与えず機を見て右から強烈な突き落としで転がした。
腰の痛みのため、大相撲初場所を3日目から休場している小結 高安が19日の6日目から再び出場することになりました。
高安は1年ぶりに三役に返り咲いた今場所、2日目に大関 霧島に敗れたあと「急性腰痛症」でおよそ2週間の治療を要する見込みだと診断され3日目から休場していました。
18日、日本相撲協会が発表した6日目の取組で高安は新小結の宇良と対戦が組まれ、再び出場することが決まりました。
休場が決まった際、師匠の田子ノ浦親方は「状況を見てだが、よくなれば再出場も考えたい」と話していました。
5日目、泥くさくトンネルを抜けた。
西前頭筆頭の熱海富士が、右差しを許すまいと右腕を手繰って頭をつけて粘る翔猿を、倒れ込みながら押し出して2024年初白星。
初日からではワーストだった4連敗を力強く止めてみせた。
引き揚げた支度部屋での第一声は「やっとだよ」。
質問が飛ぶ前の独り言に、安堵(あんど)感をにじませてから「長かった。切り替えて結果が付いてくれば思い、落ち着いて攻めました」
5日目、東前頭三枚目の豪ノ山の出足がさえわたった。
立ち合いから一気に前へ。
豊昇龍に上手を取られたが、お構いなしに勝負を決めた。
「足も前に出たのでよかった。前に前に。踏み込んでいけた」。
2勝目だが3日目の白星は不戦勝。
大関を破って”新年初白星”となった。
先場所の対戦では豊昇龍と仕切りで呼吸が合わず、立ち合うまで3分を超えた。
じらされ続けた豪ノ山は押し出されて4敗目。
後味の悪い内容となった。
その一件について話を振られると、「意識はしない」ときっぱり。
今回は押し相撲の豪ノ山らしいすっきりとした勝ち方となり、「前に出ないと自分の相撲を取らせてもらえないのは分かっているので」と迷いは全くない。
5日目、朝乃山にとって特別な日の一番を白星で飾った。
この日は2020年に亡くなった近大時代の恩師、伊東勝人さんの命日。
元大関の威厳を示して平戸海を問題にせず、土つかずの5連勝とした。
今年の目標に掲げるのは三役復帰。
「(伊東さんに)毎場所結果で恩返しする」との強い思いが、原動力になっている。
5日目、新入幕の西前頭15枚目大の里が、2連勝を飾り、序盤戦5日間を4勝1敗の好成績で通過した。
西前頭17枚目の碧山を立ち合いから押し込み、1度いなされたが、向き直して再び押した。
最後まで休むことなく攻め続けて押し出した。
立ち合いからの良い流れに「よかったと思う。前半戦(序盤戦)は、あまり立ち合いが良くなかったので、もう1回、攻める意識で行こうと思っていた。体が動いていたのでよかった」と、今場所は前日まで少なかった、内容にも納得の取組だった。
2024/01/18
4日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が、今場所初の連勝を飾り3勝1敗とした。
突き押し自慢の東前頭3枚目・豪ノ山の当たりを受け止め、相手の右腕をたぐって左上手投げで転がした。
ただ「立ち合いで踏み込めるかどうか、ちょっと迷いがあった」と浮かない顔で振り返った。
初顔の挑戦には「若く勢いがある子がどんどん出てくるのは、いいことだと思いました」と歓迎しながらも、自身の動きには「まだまだ全然」と首をかしげた。
白星は伸び始めているが「(動きの良さは)勝ち星で変わることじゃない。本場所もそうだが、そうじゃないときも日に日に、という感じですね」と話していた。
4日目、霧島が翠富士の肩透かしに不覚。
横綱昇進が懸かる場所は4日目で土がついた。
小兵に中に入られて腕をきめにいったものの、相手が動きを止めず、果たせない。
すくい投げで崩されたところをうまく転がされ、「つかまえようと思ったが…」と言葉少なに振り返り、「またあしたから頑張ればいい」。
八角理事長は「安全に勝ちにいき過ぎて、思い切りがなかった」とみた。
4日目、大関貴景勝が初場所4日目の17日、「頸椎(けいつい)症性神経根症により今後2週間程度の安静加療を要する見込み」との診断書を日本相撲協会に提出して休場した。
師匠の常盤山親方によると、2日目の熱海富士戦後に首の状態が悪化した。
右腕に力が入らない状態だと言い、「今朝本人と話したら『休場させてください』と連絡がありました」と説明した。
続けて同親方は「無理をさせたくない。再出場はありません」と明言。
「本人からできないと言ってきたわけだから相当痛いはず」とおもんぱかり、「一生懸命にやってきたから。体が一番大事。ゆっくり治すように集中して休ませてあげたい」と話した。
貴景勝の休場は昨年7月の名古屋場所以来で11度目。
これにより4日目の新小結宇良の不戦勝となった。
貴景勝はこのまま再出場せず負け越すと、3月の春場所は8度目のかど番となる。
4日目、大関昇進の好機を迎えている関脇・琴ノ若が、無傷4連勝を飾った。
成長著しい西前頭筆頭・熱海富士の当たりを受け止め右をのぞかせると、体を開いて肩すかしで転がした。
「集中して取れたかなと思います。頭で考えるより先に、体がしっかり動いていると思います」と好調ぶりをうかがわせた。
看板力士への挑戦場所で、ここまでは上々の序盤戦だ。
4日目、関取衆最軽量116キロの東前頭2枚目翠富士が、大仕事をやってのけた。
2場所連続優勝を目指す綱とりの大関霧島に快勝。
得意の肩透かしで、無敗だった相手に土をつけた。
さらに結婚していたことも判明。
今場所後の2月14日には、都内で式を挙げることも分かった。
3場所休場明けから復活優勝を狙う、兄弟子の横綱照ノ富士の援護射撃にもなる今場所初白星。
巻き返して、来場所の新三役に望みをつなぎ、喜び二重奏、三重奏へとつなげるつもりだ。
4日目、ひたすら耐えた北勝富士が逆転の突き落としを決めて3勝目を挙げると、「よく耐えたな」「根性見せたね」と館内が大きな拍手に包まれた。
立ち合いもろ手突きで攻めた阿炎。
やや引いてから前に出ると、強烈なのど輪で北勝富士の上体を押し上げていく。
だがなんとか耐えた北勝富士が最後、右からの突き落としを決めて勝利をもぎ取った。
館内は拍手喝采。
逆転勝利を遂げた北勝富士は息も絶え絶えの様子で鼻を手で拭っていた。
4日目、元大関で西前頭7枚目・朝乃山が、平幕では唯一の無傷4連勝を飾った。
東同8枚目・北青鵬を寄り切った。
初日から4連勝は、再入幕で12勝した昨年夏場所以来。
この日は阪神大震災から29年となった。
今年の元日には能登半島地震が発生し、富山出身の朝乃山も心を痛めており、白星で少しでも被災地に勇気を与えていく。
大の里が島津海を圧倒し、新入幕同士の一番を制した。
3日目に初黒星を喫して「(気持ちが)軽くなった」。
土つかずだった相手に何もさせず土俵下まで吹っ飛ばし、「先場所で負けているので意識した。自分の立ち合いができた」。
注目を集める23歳の大器。
まずは勝ち越しを目標に掲げる。
「一日一番、集中してやるだけ」と言葉に力を込めた。
2024/01/17
3日目、3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が、連敗を免れた。
西前頭2枚目・阿炎をとったりで退け、2勝1敗で白星を先行させた。
照ノ富士は、阿炎の右のど輪を食らって上体がのけぞったが、左からいなして後ろを向かせるも、すぐに相手が反応。
再び左からいなしたが、距離ができて阿炎の逆襲を許した。それでも下がりながらのとったりで転がした。
調整不足が懸念されていたが、照ノ富士自身も「昨日(2日目)の相撲もそう。稽古が足りていない」と認めた。
ただ一方で「万全ではないが(腰などの)痛みの具合はよくなっているのは事実。もう少し時間をかけてやっていきたい。15日間取り切るのが大事」と皆勤に意欲を見せた。
3日目、綱とりに向け、取りこぼしだけは避けたい序盤戦。
ここに課題を抱える霧島が、優勝した先場所に続き初日から3連勝を飾った。
「稽古のおかげ。一生懸命、力を出してやっているから」。
早くも力を発揮している。
立ち合いで予想より低く熱海富士に当たられた。
思わず引き、あっという間に土俵際へ。
ここからが真骨頂だ。下がりながら左を差し、すくうように揺さぶり体を入れ替えた。
間髪入れずに右も差し、まわしを握って相手の上体を起こす。
最後は反撃の隙を与えず寄り切った。
「考えてきたな」と相手の立ち合いを褒めつつ、「焦らず攻められた」と貫禄を漂わせた。
3日目、琴ノ若が相手のお株を奪う肩すかしで、3連勝を飾った。
自身よりも15センチ身長が低い、174センチの翠富士に潜り込まれないよう、踏み込みすぎない立ち合いを選択。
得意の肩すかしを狙える体勢だった相手の両腕をきめ上げ、さらに右をのぞかせると、上から押しつぶすように相手の得意技で勝負を決めた。
「落ち着いて取れた。(肩すかしを)打たせないように、相手に圧力をかけながら攻めた。
(自身の肩すかしは)たまたま」と、冷静に話した。
元大関で、東小結の高安が初場所3日目、日本相撲協会に「急性腰痛症で約2週間の安静加療を要する」との診断書を提出し、休場した。
1年ぶりに三役に復帰した今場所は、2日目を終えて1勝1敗だった。
高安の休場は昨年5月の夏場所以来。
師匠の田子ノ浦親方によると、2日目の大関霧島との取組前に体を動かしている際に痛めた。
師匠は「良くなれば、可能性はある」と述べ、回復次第では再出場する見通しを示した。
3日目の対戦相手、豪ノ山は不戦勝。
3日目、若元春が初金星を挙げた2日目に続き、今度は“銀星”となる大関貴景勝撃破に成功した。
立ち合いから一気に土俵際に押し込まれたが、耐えて残すと反撃。
まわしにこだわらずに前に出て突き出した。
「弱気にならずに取ろうと思っていた。気持ちで負けずに押し返せた」と胸を張った。
続けて「三役でもないので勝つ相撲よりも、自分が取りたい相撲と考えていた。押し込まれても我慢した」と話し、引きやはたきで逃げずに勝ちきり胸を張った。
3日目、カザフスタン出身の東前頭6枚目・金峰山が一山本を破って2勝1敗とした。
長い腕を生かした持ち味の突っ張りで一気に前に出て完勝。
「突っ張られないようにした。前回負けているのでその悔しさもあって力入った」と先場所の雪辱を果たした。
この白星が通算100勝の節目。
日大を卒業して21年九州場所で三段目付け出しデビューしてから約2年、これまで負け越しは2場所だけの通算100勝58敗と高い勝率で番付を上げてきた。
早いスピードでの100勝到達に「うれしいですね。早過ぎたかな?」と自分でも少し驚いた様子だった。
3日目、元大関で西前頭7枚目の朝乃山が3連勝発進した。
白星への道筋は右四つだけじゃない。
立ち合いで左を深々と差して一気に前へ。
脇を締めた右も差し、けんか四つの湘南乃海に何もさせずに寄り切った。
「左がうまく入って体を密着させて、右は差されないように固めて立てたと思います」。
稽古場で右四つに組めなかった経験をしっかり生かしたが「まわしを取らないとだめ」と反省。
新たな攻め手はまだまだ、伸びしろを秘めている。
3日目、新入幕の島津海は宝富士を寄り切り3連勝とした。
27歳の新入幕が連日、活気ある相撲で館内を沸かせている。
初日から白星を2つ並べた島津海。
この日は幕内在位72場所のベテラン宝富士との対戦だった。
島津海がもろ差し狙いなのに対して、宝富士の得意は左四つ。
焦点だった差し手争いを制したのは島津海だ。
身長175センチ、体重160キロの体を低く構え、相手の左腕を下から何度もはじき上げる。
動きの中で抱き付くように2本差すと、一気に走って寄り切った。
次々と新世代の力士が登場する角界だが、2024年は豊作の年になるかもしれない。
3日目、序ノ口の取組前に行われた「前相撲」には東・西に分かれて計13人の力士が登場。
まだ本場所デビュー前の初々しい様子の中にも、早くも関取クラスの体格を誇る者も含まれ、ファンから「新弟子多いな!」「強そう」といった声が飛び交うことになった。
2024/01/16
2日目、3場所ぶり復帰の横綱照ノ富士が、早くも初黒星を喫した。
元関脇の平幕、若元春と対戦。
相手の得意な左四つになられ、さらに右上手を許す苦しい展開に持ち込まれた。
1分40秒余りにわたる長い相撲となり、最後は土俵際まで押し込まれて寄り切られた。
189日ぶりの白星で好発進を切った照ノ富士だが、2日目にして金星を配給した。
師匠の伊勢ケ浜親方に自分から「出たい」と進言して出場を決めた。
稽古不足で師匠すらどこまでできるか分からないという厳しい状況下で臨んでいる。
まさかの敗戦だが、まだ星は五分。立て直しを図りたい。
2日目、横綱昇進がかかる大関霧島が、難敵を攻略して2連勝を飾った。
先場所で敗れ、さらに場所前の稽古で全く歯が立たなかった高安を力強く押し出した。
雪辱に燃えていた。
「稽古場で負けていたので、自分から思い切り当たっていくことだけを考えた」と、まわしにこだわらず前に出続け高安から白星をつかんだ。
横綱昇進がかかる場所で難敵から会心の内容を見せ、「力を出し切って次につながる相撲ができた」と喜んだ。
2日目、大関豊昇龍が翠富士を押し出して2連勝とした。
「とりあえず前に詰めてくると思った。あまり無理せずに集中してやろう」と翠富士の鋭い立ち合いに冷静に対処。
腕を手繰ってうまく体を入れ替え、押し出した。
初の綱とりに挑戦中で大関霧島について問われると、「それぞれのこと」とキッパリ。
モンゴル時代から同じ柔道場で稽古をし、各界入り後の対戦も、豊昇龍の8勝7敗と熾烈(しれつ)な争いを繰り広げている。
それでも意識はせず「自分のことしか考えていない。自分のことに集中する」と引き締めた。
2日目、大関昇進の好機を迎えている関脇・琴ノ若が連勝発進を飾った。
東前頭3枚目・豪ノ山を相手に立ち合いから踏み込んだが、押し返された。
だが右四つで食い止めると、左上手もつかんだ。
最後はタイミング良く体を開いての上手投げ。
「慌てないようにと思っていました。すぐに投げるのではなく、圧力負けしないで、うまく体を開いたと思います」と、うなずいた。
この日は幕内300回出場の節目。
ただ父で師匠の佐渡ケ嶽親方が歴代10位の幕内1260回出場を記録しているだけに「毎回、引き合いに出しますけど、師匠はどれだけ長いんだという話ですよ。まだ顔じゃない(身分不相応の意)です」と苦笑していた。
2日目、自らの武器を信じ、貫き、平幕若元春が初の金星を獲得した。
横綱照ノ富士に幕内3度目の挑戦で初勝利。
左四つでがっぷり組み合い、「自分の型に自信を持って取り切れた」と胸を張った。
立ち合いは突き放し、圧力を受けても下がらなかった。
動きの中で左を差し下手を引き、右上手も奪った。
左右ともに一枚まわしながら、最も力が出る得意な体勢。
一度は勝負に出たがこらえられると、土俵中央で膠着(こうちゃく)すること約30秒。
その間、肘を張りまわしを遠ざけ、横綱に上手を取らせなかったのが良かった。
最後は渾身(こんしん)の力を振り絞り、まわしを引きつけて寄り切った。
2日目、大関経験者で西前頭7枚目の朝乃山が、初日から2連勝を飾った。
十両だった昨年初場所以来、1年ぶり2度目の顔合わせとなった、最近2場所勝ち越し中の東前頭6枚目金峰山を破った。
初日は、先々場所で十両優勝、先場所で一時優勝争いの単独先頭に立つなど、最近2場所好調の一山本に快勝。
勢いに乗りそうな気配が漂い始めた。
2日目、西前頭13枚目の遠藤が隆の勝を押し出して初白星を挙げた。
「初日が出てよかった。変わらず一生懸命。自分ができることをやるだけ」と表情を変えずに振り返った。
能登半島地震の被害が大きい石川県穴水町出身。
この日は能登半島などがデザインされた化粧まわしを使用した。
「少しでも元気を送れるように頑張ります、また明日も」と話した。
2日目、新入幕の大の里が琴勝峰を破り、2連勝とした。
どよめきの中で、ざんばら髪の大器は冷静だった。
大の里が、立ち合いから琴勝峰に圧力をかけ続け、押し倒しで土俵下まで吹っ飛ばして2連勝。
十両だった昨年九州場所、本割と優勝決定戦でいずれも敗れた相手にきっちりやり返した。
同じ失敗はしない。
先場所は2番とも、左上手を許して攻め込まれ、投げで転がされた。
「思い切って当たって、動きの中で」。
まわしを探る暇も与えずに密着した一気の攻めを振り返り、少しだけ表情を緩めてうなずいた。
2024/01/15
初日、腰痛などによる休場から3場所ぶりに復帰した横綱・照ノ富士が、白星発進した。
新小結・宇良の右腕をきめながら豪快に振り、力強く押し出した。
白星は昨年の名古屋場所初日以来、189日ぶりとなった。
この日は横綱審議委員会(横審)による場所総見だった。
“御前”で貫禄を示し、復調ぶりをアピールする形ともなった。
初日、綱獲りの霧島は若元春を冷静に引き落とし白星発進。
「もっと前へ出て内容のいい相撲を取りたかった」と反省するも、「集中はできていた」とうなずいた。
この日の朝稽古後、師匠の陸奥親方から「稽古場では近くで見てやれるが、本場所では1人。しっかりやれよ」とハッパをかけられた。
春場所後に日本相撲協会の定年を迎える師匠への恩返しに向け「いつも通りいけばいい」と平常心を強調した。
初日、豊昇龍が先場所は初顔合わせで敗れていた熱海富士に雪辱した。
立ち合いすぐに右下手を引くと、最後まで離さなかった。
下手投げで振って相手の体勢を崩すと、そのまま寄り切った。
「先場所は攻めすぎた。今場所は攻めすぎないことを意識した」と、相手をよく見て快勝。
右膝のサポーターは、9日の稽古総見で倒れた際、俵に打ちつけた際の打撲だというが「大きなケガじゃないから大丈夫」と、笑顔で話していた。
初日、大関貴景勝は立ち合いで変化してきた翠富士に冷静に対処し、初日白星をつかんだ。
6、7日に行われた場所前の二所ノ関一門の連合稽古は首痛の影響で不参加。
7日までは相撲を取る稽古も再開しておらず、調整不足ではと心配されたが、初日に間に合わせてきた。
「明日も集中してやります」と力を込めた。
初日、大関昇進待ったなしを強烈に印象づけた。
大関とりの関脇琴ノ若が、西前頭2枚目の阿炎に快勝。
立ち合いから相手の突っ張りに上体をのけぞらせたが、1歩も引かずに前に出続けた。
距離を詰め、相手のリーチの長さを封じて最後は土俵下まで押し出した。
「我慢して取ることができた。(相手の引きは)頭にあったけど、慌てないことだけ考えた。落ち着いて、狙い通りに取れた」と、納得顔で話した。
初日、高安が北勝富士に圧力勝ち。あてがいながら難なく押し出した。
「前に出ることができた。体がうまく動いた」と納得の様子。
2場所連続で10勝を挙げ、1年ぶりに三役に返り咲いた。
場所前にあった横綱審議委員による稽古総見では霧島、豊昇龍の2大関を圧倒するなど、好調ぶりを印象付けており、「いいスタートを切ることができた。やることをやってきたので」。短い言葉にも自信がにじむ。
初日、自己最高位の前頭筆頭まで番付を上げた熱海富士は、豊昇龍に寄り切られて黒星スタートとなった。
取組前には、昨年の秋、九州と2場所連続で優勝争いに加わった活躍が評価され、受賞した東京中日スポーツ、中日スポーツ制定の「幕内最優秀新人賞」の表彰もあって「評価していただいた分、これからが大事になる」と気合を入れ直していた。
初日、大関経験者の西前頭7枚目・朝乃山は、先場所は一時優勝争いの単独先頭に立っていた同い年の一山本を圧倒した。
立ち合いから突いて出てきた相手に、左おっつけで対抗。前進を許さずに反撃し、押し出した。
先場所は初日から7日間休場していただけに「初日から出られたのはうれしい。今日の初日のために稽古してきた」とうなずいた。
富山市の実家は、能登半島地震から日常を取り戻したというが「土俵で戦う姿を見せて、相撲で恩返しするしかない」と、北陸地方を勇気づけたい思いは強かった。
初日、上松町出身の東前頭9枚目・御嶽海は、西前頭9枚目・明生に押し出しで勝ち、白星発進した。
物言いがついて取り直しとなった一番も圧力を弱めず、自分の相撲を取り切った。
最初の取組は一気の出足を見せたが、土俵際で回り込まれた。
取り直しの一番も同じような展開となったが今度は反応よく足を運び、動く相手を逃さなかった。
2日目の15日は西前頭8枚目・平戸海と当たる。
過去2回対戦し、いずれも御嶽海が敗れている。
初日、新入幕の大の里は武将山をはたき込んで幕内白星デビュー。
幕下、十両をそれぞれ2場所で通過し、昭和以降3番目のスピード出世を果たした23歳は「立ち合いの集中を欠いていた」と相手の当たりを受ける内容を反省を忘れなかった。
石川県津幡町出身で、能登半島地震の被災地に対しても「いい姿を見せたい。一日一番、集中する」と思いを寄せていた。
2024/01/14
初場所で横綱昇進が懸かる大関霧島が、気力充実で初日に臨む。
同場所初日を翌日に控えた13日、会場の東京・両国国技館で行われた優勝額贈呈式に出席。
昨年11月の九州場所で2度目の優勝を飾り、今場所優勝なら昇進濃厚。
初の綱とりへ「気合でいくと決めたので頑張るだけ」と力を込めた。
初日は昨年全6場所で三役の東前頭筆頭若元春、2日目は場所前の稽古総見で3戦全敗、本場所では過去5勝7敗と苦手の小結高安と、いきなり難敵が続く。
さらに過去10戦全敗の横綱照ノ富士も出場するが「当たったらやるしかない。逃げることはない」と、天敵撃破での昇進を見据えた。
式典は昨年秋場所優勝の大関貴景勝も出席し「いつでもやってやるという気持ち。一生懸命、気合を入れてやるだけ」と力説した。
西前頭2枚目・阿炎が13日、初場所へ向けた最終調整を行った。
土俵に降りてから約1時間半、四股やすり足の基礎運動と一丁押しなどで汗を流した。
初日に琴ノ若、2日目に大栄翔と、大関昇進を狙う両関脇と対戦する。
「(相手は)強いけど、しっかり自分をぶつけていけるように集中して取りたい」と気持ちを高めた。
初場所は14日に両国国技館で初日を迎える。
13日には土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルスなどの感染症対策で力士は出席しなかったが、一般客約600人が見守った。
日本相撲協会の芝田山広報部長は初場所に向け、「(力士)それぞれが攻防がある熱のこもった相撲を繰り広げてもらいたい」と奮起を求めた。
能登半島地震で大きな被害が発生している中、「相撲をしっかり開催することで、被災者の皆さんへの応援、励ましを伝えなければならない」と強調した。
館内に募金箱を設置するほか、協会としての支援は今後検討する。
日本相撲協会は13日、初場所15日間の懸賞申込本数が2366本と発表した。
昨年の2007本を上回り、新規は10社。
力士指定では貴景勝と霧島の両大関、関脇琴ノ若、前頭御嶽海が人気を集めた。
2024/01/13
3場所連続休場明けの横綱・照ノ富士は初日に新小結の宇良、2日目に若元春と顔を合わせる。
会議後に取材に応じた審判部の佐渡ケ嶽部長は宇良戦が今場所を占う一番になる可能性が高いと指摘。
「宇良にかき回されて負けるようでは(横綱の)腰、膝がやはり悪いのかなとなる」と見解を述べた。
大関昇進に挑む関脇琴ノ若は12日、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で立ち合いの確認などを行った。
本場所用の締め込みで汗を流し「上へ上がるにはただの白星ではなく、内容のいい相撲が求められる。
そのための準備はしっかりしてきた」と意気込みを語った。
今場所は初日から1横綱3大関がそろい、戦いは激しさを増す。
「気持ちで負けないこと。苦しくても辛抱すれば、いい相撲が取れる」と気合を入れる。
初日は難敵の阿炎戦が組まれ「どんな相手でも負けない気持ちでぶつかる」と集中力を高めていた。
大相撲で富山市出身の大関経験者、西前頭7枚目の朝乃山が、元日に起きた能登半島地震の被災者を勇気づける、2桁白星と優勝争いを誓った。
初日を2日後に控えた12日、都内の部屋で調整。
自身はコロナ規律違反の6場所出場停止処分から復活半ばだけに、故郷への思いも背負って戦う決意だ。
3月に30歳になる。
今場所が20代最後だ。
節目の年が暗い出来事で始まった分「この1年が勝負」と決意も新た。
謹慎休場を除き、年6場所で唯一、初場所は負け越しなしと験の良さも後押し。
北陸地方に明るい話題を届ける24年にするつもりだ。
大相撲初場所で第38代木村庄之助(64)=高田川=が誕生した。
第41代式守伊之助が昇格し、2015年春場所以来約9年ぶりに行司の最高位が復活した。
本名は今岡英樹(いまおか・ひでき)。
12年初場所で第11代式守勘太夫を襲名。
13年夏場所から三役格。
19年初場所から立行司に昇進し、第41代式守伊之助に。
24年初場所から木村庄之助となった。
2024/01/12
横綱・照ノ富士が初場所に出場することとなった。
師匠の伊勢ケ浜親方が11日、明言した。
照ノ富士は腰痛などの影響で3場所連続休場中。
初日から出場すれば3場所ぶりで、昨年夏場所以来の優勝を目指して復帰の土俵に臨むこととなる。
一人横綱が3場所ぶりに土俵に帰ってくる。
出場可否判断のリミットとなる取組編成会議を前日に控え、照ノ富士の師匠・伊勢ケ浜親方は「出ることになっています。本人は“調子が良い”と話している」と明かした。
大関霧島が11日、都内の時津風部屋を訪れ、錦木や正代ら関取衆と29番(23勝6敗)取って、出稽古を打ち上げた。
初の綱とりに挑む初場所直前でも稽古量を落とさず、調整してきた。
「場所が来るのが楽しみ。いつもと変わらずにいきたい」と決意を語った。
前日にも時津風部屋に行き連続33番相撲を取り、この日も錦木、正代、王鵬、豪ノ山、北青鵬を次々と指名して三番稽古を行った。
まわしにこだわらず、のど輪を交えた攻めから押し出したり、隙を見て豪快な投げを繰り出したり。
それぞれの力士に応じて攻め方を変える様子を見せた。
先場所敗れた豪ノ山とは最多の11番取り、力強い押しに残せず土俵を割った際に「あー、くそぉ〜」と悔しそうに声を出す場面もあった。
稽古後には「30番取るのが目標だった。ちゃんと稽古はやれている」と手応えを口にした。
大関昇進を狙う関脇琴ノ若は、千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で出稽古に来た関脇大栄翔と10番続けて取り、5勝5敗だった。
「ここまで内容の濃い稽古を積めた。挑戦できることに感謝して、精いっぱいやっていきたい」と奮闘を期した。
昇進すれば、母方の祖父で横綱まで上り詰めた先代師匠の「琴桜」を襲名予定。
一方、父で師匠の佐渡ケ嶽親方から受け継いだ現在のしこ名にも強い愛着を抱き「何場所か大関としてやってから変えるのもいいかなと思う。師匠への恩返しにもなる」と考えを巡らせた。
関脇大栄翔が千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋へ出稽古し、大関昇進に挑む関脇琴ノ若を相手に突き、押しの感触を確かめた。
8、10日も訪れており、9日の稽古総見を含めて4日連続で琴ノ若と手合わせ。
「一番勢いがあるし、実力がある。気持ちを入れてやった」と汗を拭った。
昨年は6場所全てで勝ち越したが、大関昇進が期待された名古屋場所では9勝止まりと勝負どころで力を発揮できなかった。
「そこがもう1つ上に行けない弱さ。今年はいいスタートを切って、優勝もしたい」と決意を新たにした。
自己最高位の西前頭筆頭で臨む熱海富士がこのほどスポーツ報知の取材に応じた。
昨年は秋、九州場所で優勝争いし、角界の次代を担う力士として注目を浴びた。
新三役が目前の2024年は初賜杯への期待が高まる。
真価が問われる新年の土俵へ「熱闘」の2文字に思いを込めて、躍進を誓った。
東前頭3枚目の豪ノ山が、目標の三役昇進へスタートダッシュを決める。
11日、都内の時津風部屋で出稽古に訪れ、大関霧島らと熱のこもった三番稽古をした。
出足を止められて敗れる場面は多々あったが、低い当たりから一気に持っていくなど見せ場も作った。
前日にも同部屋を訪れて霧島と2日間で計22番取るなど充実した稽古を積めたことに「場所前に大関と良い稽古ができた」と感謝を口にした。
2日連続で大関の胸を借りて稽古を積んだことについて「相撲も圧倒される内容も多く、まだまだだなと思うのが多かった。足を止めると勝てないと分かったので、自分の前に出る相撲でいきたい」。
今年の目標には三役昇進を掲げており、「ゆっくりはしてられない。上がれる時に上がりたい」。
22年九州場所から7場所連続で勝ち越しと勢いに乗る25歳。
初場所からエンジン全開へ。
「毎場所が勝負。今場所もしっかり勝ち越せるようにいきたい」と誓った。
富山市出身の朝乃山関は、能登半島地震で被災した人たちへの直筆メッセージを朝乃山富山後援会に寄せた。
「頑張ろう北陸!!頑張ろう富山!!」と結んでいる。
北青鵬が11日、都内の時津風部屋へ出稽古に訪れ、大関霧島らと13番相撲を取り調整した。
「体も動いてますし、いろんな人と良い稽古もできてます」と話し、今年の目標について「絶対に三役に上がるという気持ちで頑張らないといけない」と気を引き締めた。
現役最長身の204センチの恵まれた体を武器に昨年春場所で新入幕を果たし、幕内6場所目は東前頭8枚目で臨む。
師匠の宮城野親方からは「去年の自分よりもさらに上へ」と言われ、「初場所から優勝争いができるようにしたい」と誓った。
注目の大器が、いよいよ幕内の舞台に立つ。
192センチ、183キロと堂々たる体格を誇る23歳の大の里は、幕下10枚目格付け出しデビューから所要4場所で新入幕を果たした。
「1日でも早く番付を上げて、上にいきたい」と大志を抱く。
初めて力士として新年を迎えた1日。
故郷の石川県を能登半島地震が襲った。
津幡町にある実家も停電や断水の被害を受けた。
「能登が好きなのですごく悲しい。初場所で頑張って、いい姿を見せるのが一番」とあふれる思いを口にした。
近年は混戦続きだけに、親方衆からは「大の里は優勝候補の1人」との声も上がる。
本人は「まずは勝ち越しを目指す。先のことは考えない」と謙虚に語る。
2024/01/11
横綱昇進に挑む大関霧島が10日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古し、同じく出稽古の幕内北勝富士らと連続で33番取り、24勝。
「いろいろと調整してみたかった。もっと取れたな」と貫禄を漂わせた。
「立ち合いで当たって、そこから残す」ことをテーマに臨んだ。
昨年の九州場所で敗れた幕内豪ノ山とは最も多く胸を合わせた。
低い当たりを受け止め、豪快に投げたり、万全な四つの体勢で寄ったりするなど強さを示した。
「もうちょっと当たれれば良かったけど」と反省しつつも、息が上がる相手とは対照的にスタミナ面でも余裕を感じさせた。
大関貴景勝は10日、東京都板橋区の常盤山部屋でスクワットなどの基礎運動で調整した。
首に不安を抱え、思うような稽古ができていないが「下半身さえしっかりつくっておけば大丈夫。しっかり準備して初日に感覚を合わせていく」と前向きに語った。
この日も器具を使って入念に首をケア。
首周辺を付け人に押させると、思わず顔をしかめた。
師匠の常盤山親方は「首の調子が全てだが、場所には出る。痛みが分かるのは本人だけなので任せるしかない」と話した。
初場所で大関昇進に挑む関脇・琴ノ若が10日、出稽古に訪れた関脇・大栄翔との三番稽古(同じ相手と続けて取る)で汗を流した。
同じ大関候補の実力者を相手に10勝5敗。
突き押し自慢の相手に下がる場面はあったが、圧力をかけての寄りなど力強さも見せた。
「続けて(強度の高い稽古を)できているので、いいんじゃないですかね」と手応えを語った。
「師匠を超える番付だし、先代に追いつくために行かないといけない番付なんで、そこは死ぬ気で取りに行かないといけないなと思っています」と勝負の場所への覚悟を示した。
2024/01/10
横綱審議委員会による稽古総見が9日、東京・国技館内の相撲教習所で行われ、腰の負傷で3場所連続で休場している照ノ富士は、霧島、貴景勝の両大関、関脇大栄翔を指名して稽古。
まわしが取れれば安定した取り口を見せ「悪い流れではない。大丈夫だと思う」と振り返った。
出場に向けても「そのつもりでいます」。
まだスタミナ面に不安があるが、八角理事長は「序盤を乗り切れれば大丈夫だと思う」とポイントを挙げた。
横綱審議委員会による稽古総見が9日、東京・国技館内の相撲教習所で行われ、横綱昇進に挑む霧島は平幕に3勝したが照ノ富士に2敗、高安に3敗と横審へのアピールとはいかなかった。
本人も「調子は悪かった。番数少なかったですね。あんまりよくなかった」と不完全燃焼。
昇進するには越えなければいけない壁である照ノ富士に対しては、「久しぶりに横綱とやって、力負けしました」。
初日までの4日間で追い込んでいく。
初場所に向け、時津風一門が国技館内の相撲教習所で連合稽古を行った。
一門外から大関・豊昇龍が参加。
合計では18番取って10勝8敗。
うち、霧島との大関同士の稽古では1勝4敗だった。
豊昇龍は霧島に“もう一丁”を求めたが、応じてもらえず。
豊昇龍は「(最後は)熱くなっちゃったな」と笑顔ながらも、自ら稽古を切り上げた霧島にはご不満の様子。
横綱審議委員会による稽古総見が9日、両国国技館内の相撲教習所で行われた。
大関・貴景勝が横綱・照ノ富士と8番の相撲を取り、復調をアピールした。
貴景勝は照ノ富士の指名を受け、土俵に上がった。
「自然とそういう流れになった」。
最初の手合わせでは敗れたが、続く対戦ではハズで起こして、押し出した。
4度目の対戦でも得意の押しで押し出した。
2勝6敗に終わったが「自分より番付が上なので精いっぱい当たっていこうと思った。肌で感じられてよかった」と手応えを感じていた。
6、7日の二所ノ関一門の連合稽古は首の不安のため欠席していたが、「今のところはいつも通り」と安心した様子。
初日に向けては「一番良い状態でやれることを毎日考えている」と意気込んだ。
今年も横綱昇進を目標にすることを明かした。
初場所で大関昇進に挑む琴ノ若。
「考えることも大事だが、考え過ぎて硬くなっても仕方がない。できることをやる」。
重圧をよそに、迷いはない。
稽古場では無心に汗を流す。
7日に千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋であった二所ノ関一門の連合稽古では、一門外から参加した霧島らと手合わせ。
大関より先に土俵に入っており、体力が消耗している状態での踏ん張りを意識。
「そこで辛抱できるか。我慢して勝機を見いだすことが大事」。あえて負荷をかけ、自らを追い込む。
横綱審議委員会による、東京場所前恒例の稽古総見が9日、東京・両国国技館内で行われ、大関経験者の小結高安が、大関2人を圧倒した。
霧島と豊昇龍の2人に3度ずつ勝ち、大関戦6連勝。
最後は前頭若元春も退け、無傷の7連勝で随一の存在感を示した。
圧力をかけて寄り切ったり、低い姿勢の相手を突き落としたりと攻めも多彩。
「(番数は)少なかったけど、我慢強く取ろうと思っていた。いい稽古ができた。(状態は)悪くはない」。
2大関に押し込まれても踏ん張って逆転など粘り強さも光った。
自己最高位の西前頭筆頭で臨む熱海富士は都内の伊勢ケ浜部屋で幕内宝富士と新十両尊富士を相手に29番取った。
人気上昇中の21歳のホープは「応援してくださる方が増えるのはうれしい。番付を上げたい」と今年の抱負を語った。
2場所連続で千秋楽まで優勝争いに加わり、今場所は初めて上位陣総当たりの位置に浮上。
「昨年で大体のことを経験したので緊張することもないかなと思う。強い人ばかりなので勝てるようにしたい」と頼もしかった。
元大関で富山市出身の朝乃山が9日、東京・両国国技館内で行われた横綱審議委員による稽古総見後に取材に応じ、1日に起きた能登半島地震を受けて、「自分たちは土俵の上で戦い、北陸の人に勇気を与えたい」と語った。
富山県内でも大きな揺れや津波が発生。
1日は東京にいたため、親族らに電話で安否を確認したという。
まずは三役復帰を目指す中、初場所では故郷に明るい話題を届けたいところ。
「皆さんが少しでも元気になれるように。昨年よりも良い一年にしたい」と意気込みを示した。
二所ノ関一門連合稽古が6日、東京・墨田区の高田川部屋で行われ、新入幕の大の里が大関・霧島と5番とった。
多くの幕内力士が見つめる中、霧島は元アマ横綱を指さした。
大関と相撲を取るのは初。
「びっくりましたし、先場所優勝している方に胸を借りるつもりでいった」。
最初の手合わせでは、鋭い立ち合いで押し込み土俵際へ。
網打ちで逆転負けしたものの、いきなり看板力士を慌てさせた。
その後も善戦し、稽古場の親方衆と関取衆はホープの相撲に目を奪われた。
4度目の対戦では一気に押し込み、押し出した。
霧島には1勝4敗だったが「指名は驚いたし、緊張していた。思うようなことができなかった」と振り返った。
2023/12/05
いつもご利用いただきまして、誠にありがとうございます。
12月6日より、当社ホームページサーバーのメンテナンスがございます。
これに伴いまして、表示が古くなったり、不具合が生じる場合がございます。
置き換えは、12月6日 〜 12月8日 までの期間内に完了予定でございます。
期間終了後、大変お手数ですが、各ページ毎に、再表示(再読み込み[Ctrl+F5])を行って頂ければ幸いです。
今後とも、当社ホームページを宜しくお願いいたします。
2023/11/27
千秋楽、貴景勝は「立ち合いがすべて」と押し切れず、霧島に突き落とされた。
3度目の綱とりの主役は9勝に終わった。
今年1年を振り返り、「けがもしたし、優勝もしたし。妥協したつもりはないし、一生懸命やってきたが、また頑張るしかない」。
来年初場所は霧島が綱とりに挑む。
今度は自身が試練の壁となる。
千秋楽、大関・霧島が春場所以来、2度目の優勝を飾った。
1差で追っていた平幕の熱海富士が敗れて決まると、結びの一番で大関・貴景勝に突き落としで勝ち、13勝2敗とした。
霧島の優勝を見届けた師匠の陸奥親方は、照れくさそうにこうつぶやいた。
「あっぱれ。いい親孝行だな」。
来年4月に定年を迎える鹿児島県出身の師匠が最後となる九州場所。
大関昇進時に「霧島」のしこ名を譲り受けたまな弟子も「親方から素晴らしい名前をいただいて、優勝したいという気持ちでした。優勝できてよかった」と感無量の表情で2度目の賜杯を抱いた。
熱海富士が敗れたことで決まった優勝だが、結びで貴景勝から13勝目を奪って締めた。
来年の初場所は綱とり。入門を決めた8年前に師匠と交わした約束を、果たすときがきた。
千秋楽、豊昇龍が自画自賛の好内容で今年を締めた。
鋭い踏み込みから、立ち合いで大栄翔に、突きを繰り出す間を与えずに左を差した。
振りほどこうとする相手に何もさせず、一方的に寄り切り。
「今場所で1番いい相撲を取れた」と、うなずいた。
新大関の先場所は千秋楽に勝ち越しを決めたが、今場所は2桁白星。
1段階成績を上げたが、1場所先に大関に上がったライバルの霧島に、大関として初優勝で先を越され「悔しい。稽古して来場所は狙っていきたい」と力を込めた。
千秋楽、琴ノ若が、初賜杯の可能性を残していた熱海富士を退けて白星で締めた。
頭で当たってきた相手の圧力に負けず、タイミング良く土俵にはわせた。
「落ち着いて相手が見えていた。体が反応した」。
11勝目を挙げ、5度目の敢闘賞も獲得。
新関脇で臨んだ9月の秋場所から白星を20個積み上げた。
来年1月の初場所は大関昇進を懸けることになるが、「また稽古を積んで、良い形で臨めるように準備したい」と気を引き締めた。
千秋楽、小兵、くせ者、業師と、数々の異名を持つ西前頭筆頭の宇良が、31歳にして来場所の新三役に大きく前進した。
自身より29センチも高い、現役最長身204センチの北青鵬を押し倒し。
もろ差しで組みつくと、肩越しの上手を許さず、肩透かしで相手の体勢を崩して攻め立て、7勝7敗同士の一番を制した。
前夜は「しんどかった」と、寝付きが悪かった。
それだけに「勝ち越せてよかった」と、ホッとした表情を見せた。
千秋楽、またも初優勝はお預けとなった。
優勝した大関霧島を、1差で追っていた西前頭8枚目の熱海富士は、関脇琴ノ若に引き落とされて11勝4敗。
霧島の取組前に、優勝が決まる展開となった。
大関貴景勝との優勝決定戦に敗れた先場所に続いて優勝に迫り、2場所連続となる敢闘賞を受賞。
三役をうかがうところまで番付を上げると予想される、来年1月の初場所の雪辱を誓った。
初優勝の壁は高かった。
頭からぶつかったが圧力は伝わらず、1度離れた直後に二の矢で頭から突っ込むと、ひらりとかわされた。
前のめりに倒れ込み、唇をかみながら立ち上がった。
支度部屋では霧島の取組を放心状態のままテレビに視線を送った。
「またダメだった…。今場所も上位では勝てない。厳しい」。
独り言のようにつぶやいた。
千秋楽、一山本は金峰山をはたき込み、幕内自己最多の11勝目を飾って初の三賞、敢闘賞を受賞した。
「めちゃくちゃ緊張しました」。
敢闘賞はこの日の相撲に勝てばの条件付きだったが「(知っていたかに)それはもちろん。トロフィーは一生の宝物にしたい」。
先場所は13勝で十両優勝。
つけてきた力を実証した。
「来場所は番付が上がる。そこでしっかり勝負できるようにしたい」と意気込んだ。
地元の人々も祝福した。
木村清彦町長は「初の三賞受賞は郷土の誇り。けがに気をつけて自分の相撲が取れれば、星を重ね、さらに上を目指せると思う」と期待を寄せた。
一山本の母校、大野農業高(北斗市)の相撲部顧問、布施美樹さんは「けがを機に、基礎に重点を置くようになったことで持ち味の突き出しを安定して取れるようになったのではないか」と分析。
同高OBでもある布施さんは、一山本が中学3年の頃から相撲を教えてきた。
9月に一山本が帰郷した際は、十両優勝を祝おうと部員みんなで胴上げしたという。
「先場所、今場所と活躍が続き、後輩たちの大きな励みになっている」と喜んだ。
千秋楽、西十両筆頭の琴勝峰が、3度目の十両優勝を果たした。
本割は、もろ手突きの立ち合いから朝紅龍を一気に突き出し。
先に取組を終えていた大の里と並ぶ12勝3敗とした。
大の里との優勝決定戦では、先に左上手を引いて振り回し、遠心力を使って上手投げで仕留めた。
先場所までは10場所連続で幕内を務め、11場所ぶりとなった十両土俵で、実力を示した。
返り入幕が確実な来場所は、1年前に幕内優勝を争ったが「今年と来年では、また違う。その時、その時に気持ちをつくって、挑戦する気持ちでいきたい」と、挑戦者の気持ちで臨むことを強調した。
今場所で初土俵から丸6年。
来年を飛躍の年にしたい思いをにじませた。
千秋楽、1年納めの九州場所が幕を閉じた。
今場所も連日の満員御礼で、今年は本場所開催全90日のうち、87日で満員御礼の垂れ幕が下がった。
盛況ぶりに日本相撲協会の八角理事長も「おかげさまです。協会員みんなが頑張った、かいがあった。お客さんに観てもらってナンボ。(コロナ禍から)よく戻ってきたと思う」と感慨深げに話した。
来場所は大関霧島の綱とり場所になる。
ただ理事長自身、一人横綱の経験があるだけに、現状に歯がゆさを感じざるを得ない。
「もう(横綱が)出てもいい。遅いぐらいだ。一人横綱になって普通は1年以内に(横綱が)出るでしょう」と、番付上で照ノ富士の一人横綱が、13場所連続となっている現状からの打破を、次期大関候補らに求めた。
2023/11/26
14日目、大関・貴景勝は関脇・大栄翔に完敗で、5敗目となった。
立ち合いから猛然と突いて出てくる相手に何もできず、突き出されて最後は土俵下まで転落した。
支度部屋では「立ち合い負けしたから。負けた原因はたくさんある」と悔しさをにじませた。
先場所は11勝4敗で優勝。今場所、ハイレベルな成績での連覇なら綱取りの可能性もあったが、絶望となっている。
賜杯のゆくえは、14日目終了時点で大関・霧島と平幕の熱海富士の2人に絞られていた。
優勝の可能性も消え、精神面での難しさを問われた貴景勝は「それは関係ない」と否定。
2023年最後となる千秋楽の霧島戦へ「14日間やってきたことを最後に出すだけですね」と語った。
14日目、大関霧島が平幕熱海富士との2敗同士の直接対決を寄り切りで制し、12勝2敗で単独首位に立った。
霧島は4場所ぶり2度目の優勝に大きく前進すると同時に今年61勝目で初の年間最多勝を決めた。
2位の関脇大栄翔と1勝差で残り1日での逆転が不可能となったため。
千秋楽は、大関貴景勝と対戦する。
14日目、大栄翔が貴景勝を突き出しで破り、9勝目。
初の年間最多勝に望みをつないだ。
過去5勝18敗の大関に快勝し「自信になる一番だった」と好感触だ。
千秋楽の豊昇龍戦に勝ち霧島が敗れれば61勝で並び、70年の北の富士、玉の海以来となる複数での年間最多勝に輝く。
来年の大関獲りにつなげるためにも2桁には乗せたいところで「最後も集中して、自分の相撲を取る」と気合を入れた。
14日目、琴ノ若は連敗を「2」で止め、来場所以降の大関昇進へ価値ある2桁白星に到達した。
互いに四つ相撲の湘南乃海と、立ち合いから突き、押しの応酬。
上手を許したが、前のめりになった相手を見逃さずに突き落とした。
優勝消滅で今場所後の大関昇進ムードも沈下したが、今年全て三役で、直近の11勝、9勝に続く10勝目。
「自信を持って明日、取り切りたい」。
昇進の望みをつなぐべく、優勝を狙う熱海富士戦での11勝目へと視線を向けた。
14日目、大関経験者で初日から7日間休場していた東前頭筆頭の朝乃山が、14日目にして会心の白星を挙げた。
同じく大関経験者で東前頭2枚目の正代に、立ち合いすぐに左上手を引くと主導権を握った。
右の差し手争いも制すると、鋭い出足のまま寄り切った。
これで3勝4敗7休。復帰土俵の8日目に勝った貴景勝戦は受ける展開、2勝目を挙げた前日13日目の若元春戦は辛勝だったが、ようやく内容も伴った完勝を飾った。
正代とは先場所も14日目に顔を合わせていたが、その時はもろ差しを許して完敗していた。
それだけに、この日の取組後は開口一番「先場所は2本差されて負けたので、しっかりと立ち合いで踏み込んだ。左(上手)が取れたのでよかった」と話し、雪辱の思いの強さをうかがわせた。
14日目、5連敗スタートから、星を5分に戻しただけに喜びもひとしおだろう。
前頭筆頭・宇良が、前頭四枚目・豪ノ山を粘りの相撲で撃破し、7勝目をあげた。
勝利を決めた瞬間の宇良の表情を受け、視聴者からは「超うれしそうにしてたなw」「嬉しそうだ」などの声が寄せられた。
立ち合いから豪ノ山の鋭い攻めに、押された格好の“業師”宇良だったが、下から攻めのタイミングを伺うなど、粘り強い相撲を見せる。
宇良は左まわしを取ると、低い体勢で前へと圧力をかけ、ジリジリと豪ノ山を追い込み、最後は寄り切った。
14日目、熱海富士は優勝争いから後退した。
大関霧島との2敗対決。
得意の右は差したものの、まわしは引けず。
巻き替えからもろ差しを許して力尽きた。
「(大関の強さに)言うことはない」と完敗を認めた。
成長著しい21歳は何度も首をかしげ、「あしたあるんで。頑張ります」。
悔しそうに言葉を絞り出し、支度部屋を後にした。
14日目、大関霧島が12勝目で今年の61勝目を挙げ、初の年間最多勝を確定させた。
2位の関脇大栄翔と1勝差で、残り1日での逆転が不可能となった。
千秋楽で霧島が勝つか、大栄翔が敗れれば単独での最多勝となる。
大関以上の年間最多勝は2021年の横綱照ノ富士以来2年ぶり。
霧島は九州場所前の時点で49勝の2位だったが、7日目から8連勝するなど星を伸ばした。
日本相撲協会の八角理事長は自らの経験を踏まえ「年間を通して、いい相撲を取れた証しでもある」と評価した。
津幡町出身、大の里は25日も勝って11勝とトップタイを守りました。
大相撲14日目、十両優勝へ、負けられない大の里。
相手は日体大の先輩、朝紅龍(あさこうりゅう)。
立ち合いから激しくぶつかると、体格差を生かして、相手を土俵際まで追い込み押し出しで、11勝目を挙げました。
これで琴勝峰(ことしょうほう)と並んでトップタイ!26日は千秋楽。
十両優勝へ期待が高まります。
14日目、右膝前十字靱帯断裂の大ケガから4場所ぶりに復帰した東幕下6枚目の元関脇・若隆景が千代の海を下して5勝目を挙げた。
立ち合い左で張って右を差しにいった若隆景が、相手の左突き落としに体を寄せてついていって押し出し。
前に出る一方的な内容で今場所最後の相撲を締めくくった。
復帰場所を5勝2敗で取り終えると「まずはケガなく終えられたことがよかった」と安どの表情。
序盤は1勝2敗になるなど本来の実力を発揮できずにいたが、最後は4連勝。
「徐々に体も動いてきた。また来場所に向けてしっかり体を作っていきたい」と、関取復帰を懸けて臨む来場所を見据えた。
2023/11/25
13日目、貴景勝が豊昇龍との大関対決を制し、4敗を守った。
だが、打ち出し後の取組編成で14日目に2敗の大関・霧島と幕内・熱海富士の対戦が決まったため、2場所連続優勝の可能性がなくなった。
13日目、落ち着いていた。
霧島は先場所で不覚を取った関脇大栄翔との一番を前に「自分の形でいこう」と誓った。
強烈な突き押しにも下がらない。
足腰の良さを生かし、あてがって起こす。
タイミング良くはたき込み、年間最多勝争いでトップに並んでいた相手に快勝した。
2敗を堅持。
平幕の熱海富士と優勝争いで先頭に並ぶ。
新大関として臨んだ7月の名古屋場所は休場もあって負け越し、いきなりかど番に。
先場所も賜杯争いに絡めなかったが、今場所は大関として初めての2桁白星に到達した。
「いつも通り。自分のやることをやっていく」と平常心を貫く。
13日目、琴ノ若は名古屋場所で11勝、秋場所で9勝をあげて今場所を迎えたが、残り2日を勝ち11勝となっても3場所合計は31勝で、大関昇進の目安となる直前3場所33勝には届かない。
支度部屋では落胆の表情で「残り2日?余計なことを考えず切り替えていきます」と必死に前を向いた。
13日目、元大関の正代は金峰山の押しに圧倒され、2場所ぶりの負け越しが決まった。
前日の12日目、宇良にとったりで敗れた際、倒れ込んだ相手に左膝に乗られ、しばらく立ち上がれなかった。
一夜明けて痛み止めをして臨んだ一戦。
「土俵に上がれば痛みはなかった」というが「(痛みより)怖さが先に立ってしまった」と険しい表情だった。
13日目、西前頭3枚目の翔猿が北青鵬を下して6勝7敗とした。
翔猿は幕内で最も背の低い1メートル73。
対する北青鵬は現役最長身の2メートル4。
31センチ差の対戦は、最小兵の翔猿に軍配が上がった。
立ち合いもろ手突きで距離を取ってから左に動いて相手の右腕を手繰って後ろについて送り出し。
小よく大を制して場内を沸かせた。
翔猿は、北青鵬が新入幕した頃から対戦を望んでいた。
普段から技とスピードで大きな相手を翻弄している翔猿だが、ここまで身長差のある相手と相撲を取るのは初めて。
「デカいね。おかしい(笑)」というほど、土俵上で向き合うとその大きさは想像以上だったようだ。
「つかまってはいけないなと。考えたとおり取れた」と狙い通りの勝利。
「宇良関の相撲を勉強した」と、同学年の同じ小兵の相撲からヒントを得た。
13日目、熱海富士が耐えて大きな白星をつかんだ。
大関経験者の高安の攻めに前傾姿勢を保ってしぶとく応戦し、「いつも通りに落ち着いていこう」。
土俵際で体を入れ替えて押し出し、「前に出ることができた。勝ててうれしい」と一息ついた。
14日目の結びで、2敗でトップに並ぶ霧島との直接対決が組まれた。
優勝争いは大関と自身の2人に絞られたが、「みんな強い。まだ2番ある」。
初の賜杯が近づく中、一切の油断はないようだ。
13日目、西前頭9枚目・御嶽海は西前頭12枚目・玉鷲を押し出しで下し、先場所に続いて勝ち越しを決めた。
給金直しは2場所連続。星は8勝5敗。
頭で当たって圧力をかけた御嶽海。
出足を止められてもどっしり低く構え、タイミングを逃さずに前に出て土俵の外に運んだ。
14日目の25日は8勝5敗の西前頭13枚目・剣翔と戦う。
直近6場所で2度当たり、いずれも御嶽海が敗れている。
13日目、2019年の九州場所以来、4年ぶりに幕内に復帰した東14枚目・友風が西11枚目・平戸海を押し出して7勝6敗。
19年の名古屋場所以来の勝ち越しに王手をかけた。
会心の相撲だった。
立ち合いに頭で当たって下がることなく好調な平戸海を押し出した。
「まわしを取らせたくなかった? ハイ。その通りです」と笑いをかみ殺したドヤ顔で、囲んだ報道陣を見回した。
13日目、西前頭14枚目・一山本は、同5枚目・翠富士の変化に屈した。
もろ手で立ったが、相手にかわされると四つんばいになった。
4敗目で優勝争いからも脱落した。
「(変化は)あるかなとは思っていましたが、もう少し警戒するべきでしたね。(翠富士は)気持ちが強い。僕にはあの大舞台で変化できない。僕にもあの気持ちが欲しいです」とサバサバした表情だったが、悔しさをにじませた。
幕内では自身2度目の2ケタ白星に王手をかけているだけに「勝てるように頑張ります」と切り替えていた。
13日目、新入幕の30歳美ノ海が勝ち越しを決めた。
7勝目の後から3連敗で迎えた佐田の海とのご当地対決。
押し合いから追い込まれたが、土俵際で逆転のすくい投げを決めた。
「自分の相撲ではない。最後もあまりやらない動き」と反省しながらも「勝ち越しはうれしい。諦めずに最後までと思っていた」と語った。
残り2番で2桁白星もかかる。
「番付を上げるのも大事だが、土俵に上がることはもっと大事。そこに感謝したい」と謙虚な言葉を残した。
2023/11/24
12日目、大関・貴景勝が12日目にようやく勝ち越した。
関脇・若元春との立ち合いで低く当たった。
得意の左を差そうとする相手を右でいなした。
バランスを崩した関脇を押し出した。
「始まったら内容はあまり覚えていない」と必死に積み上げた白星だった。
場所前に古傷の首付近を痛めた。
綱取りがかかる今場所は頭から何度も当たれず、突き押しは本来の姿は影を潜めた。
それでも底力で勝利を重ねた。
支度部屋ではしばらく沈黙した後、「また明日の相撲に集中するだけです」。
すでに4敗を喫し、横綱昇進は極めて厳しいが、看板力士は土俵に上がる。
12日目、大関豊昇龍が平幕の熱海富士に屈して星を落とした。
頭から当たって前に出たが、土俵際で突き落とされて逆転負け。
4敗(8勝)に後退し、大関初優勝は厳しい状況となった。
報道陣の取材には応じず、沈黙を貫いた。
この日の取組後、叔父の元横綱朝青龍は自身の「X」(旧ツイッター)を更新し「攻めて前に落ちる事大切!! またやり直せる。また覚える、考える」などとメッセージを立て続けに投稿。
無念のおいへ向けてゲキを飛ばしていた。
12日目、霧島が大関の意地を示した。
左上手を奪って右で前まわしを引く。
粘る琴ノ若をじっくり寄り切った。
大関昇進を目指す関脇を下し、「相手のことはあまり考えず、自分のことを考えていた」。
大関昇進3場所目で初めての2桁白星に到達し、優勝争いの先頭に並ぶ。
賜杯獲得に向け、「いつも通りに自分のことを考えてやるしかない」と気合を入れ直した。
12日目、関脇大栄翔が3連勝で給金を直した。
「何でもしてくる」と翠富士の立ち合いを警戒。
じっくり見ながら得意の突き押しで土俵際へ追い込み、一気に突き倒した。
「(相撲内容が)良くなっている」と納得顔だった。
勝ち越しはこれで6場所連続。
「ひとまず良かった。残り3日が大事。集中して頑張る」。
貪欲に2桁白星を目指す。
12日目、関脇琴ノ若は天敵の大関霧島に敗れて初優勝が遠ざかった。
立ち合いから、大関に頭をつけられて前まわしを許す苦しい体勢。
右下手こそ引いたが腰高で、じっくりと攻められ寄り切られた。
これで霧島には4連敗、直近9度の対戦で1勝8敗。
すでに豊昇龍、貴景勝には勝っており、勝てば3大関撃破で自身の今場所後の大関昇進に近づいていた。
それだけに「内容が悪い。何もできなかった」と唇をかんだ。
12日目、東前頭5枚目の阿武咲が西16枚目の錦富士を下して3勝目を挙げた。
低い立ち合いから相手が少し引いたところを中に入って一気に前に出て寄り切り。
電車道の速攻で会心の白星をつかんだ。
この両者は青森・三本木農業高相撲部の同期で、小学生の頃から県大会などで何度も対戦してきた間柄。
阿武咲は幼い頃から錦富士に負けたことは一度もなく、プロ3度目の対戦でも快勝した。
6日目から続いていた連敗は6でストップ。
それでも「今日1勝1敗ですけどね。ひっくり返されたので」と苦笑い。
立ち合いが成立したのは3度目で、1度目は錦富士に突っかけられて土俵下まで転げ落ちていた。
「あれ、わざとですよね。止まってくれたらいいのに(笑)」。
冗談めかして言えるのも仲が良いからこそ。
「でも熱くなったらダメだと思った。熱くならずにできてよかった」と冷静に自分の相撲に集中した。
12日目、西前頭8枚目・熱海富士が初の結びで大関戦初勝利という大仕事をやってのけた。
豊昇龍を土俵際で突き落として逆転。
2敗でトップの座を守った。
先場所、優勝決定戦に進出した21歳の若武者が、今度こそ賜杯をつかみにいく。
大関・霧島は関脇・琴ノ若との2敗対決を寄り切りで制し、首位を並走。
3敗で琴ノ若と平幕の一山本が追う展開となった。
大関・貴景勝は勝ち越しを決めた。
12日目、平戸海(長崎県平戸市出身)が同じ4敗だった美ノ海(沖縄県うるま市出身)とのご当地対決を制して、3場所ぶりの勝ち越しを決めた。
鋭く当たって、一気に押し出し。
「今日はすごく良かった。立ち合いでしっかり当たれた。(勝ち越しで)とりあえずほっとしています」と満面に笑みを浮かべた。
12日目、平幕一山本が頭からかまし、重い腰の錦木を後退させた。
土俵際で右四つの体勢になったものの、「前に出るしかない」と圧力をかける。このがむしゃらさが勝利を呼び込み、3敗を守った。
連勝もあれば連敗もするタイプ。
取組後の取材では開口一番、「(連敗が)2で止まってよかった」と笑わせた。
今場所の優勝争いは2敗と3敗の計4人に絞られつつある。
相撲どころといわれる北海道出身力士の優勝は1991年春場所の横綱北勝海が最後だ。
どさんこ力士への期待は高まるばかりだが、本人は全くといっていいほど気負いがなく、トレードマークの笑顔を浮かべながら「(意識は)全然。(心配しなくても)大丈夫っす。まずは2桁。3日で1番勝たなきゃいけない。来場所のために1番でも」と受け流した。
2023/11/23
11日目、今場所での綱とりは絶望的となっている大関貴景勝は、関脇琴ノ若に屈して4敗目を喫した。
立ち合いで突き放せず、いなされて左上手を許して後ろを取られ、そのまま送り出された。
埼玉栄高の後輩に完敗。
「負けたので、何かしら原因はあると思う」と、表情を変えずに痛い黒星を受け止めた。
優勝争いでもトップと2差に後退。
2場所連続優勝が遠のいたが「また明日、集中してやるしかない。しっかりオンとオフを切り替えてやっていきたい」と懸命に前を向いた。
11日目、大関霧島は結びの一番で、若元春を寄り切り、2敗を死守した。
左四つ、右上手のまま押し込み、土俵際での逆転のうっちゃりへの警戒も怠らなかった。
「危なかった。やられる可能性もあるので、しっかり腰を下ろして」と盤石の攻め。
優勝争いの行方は混戦模様となり、星が落とせない状況だが「しっかり稽古してきたから。最後なんで自信を持っていくしかない」と引き締めた。
11日目、豊昇龍は大関経験者の朝乃山との力相撲を制し、給金を直した。
右の相四つの相手に上手をがっちり引かれたが、持ち前の下半身の粘りで耐え、土俵際での投げの打ち合いを制した。
「前に出ることができた。落ち着いていた」
千秋楽に辛くも勝ち越した先場所よりも余裕を感じさせる相撲っぷりに、「しっかりと稽古をしたので、自信の問題かな」と胸を張る。
トップを1差で追う終盤戦。「集中して頑張る」と気合を入れた。
11日目、大関相手に余裕すら感じさせた。
関脇・琴ノ若は厚い胸板で貴景勝を受け止める。
左からいなし、送り出し。
「しっかり反応よく取り切れた。自信にしていきたい」。
冷静に口を開いたが、3大関のうち2人を撃破して2敗を死守。
大関昇進の機運が一気に高まってきた。
粂川審判長は「そういう話も出てくるでしょう。内容もいい。大関にいい相撲を取っている」と昇進の可能性を明言。
勢いだけではなく、そう言わせるだけの地力がついてきた。
11日目、翠富士が2場所連続の勝ち越しを決めた。
4日目から7連勝と波に乗っていた平戸海との一番。
「前に出ていこうと思った」。
強烈なおっつけで相手の体を起こす。
距離をつくったところで中に入り、押し出した。
初日から10連勝した3月の春場所は優勝が頭にちらついたが、今場所は「意識せずに取れている」。
伊勢ケ浜部屋の弟弟子、熱海富士も9勝と好調。
負けじと白星を重ねていくつもりだ。
11日目、熱海富士が新入幕の美ノ海を撃破し、9勝目を挙げた。
立ち合いで素早く前みつを取りにきた相手を封じ、圧力をかけて前に出て力強く押し出した。
霧島、琴ノ若と並んでトップを維持し、12日目に初めて結びで取ることが決定。
対戦相手が豊昇龍だと聞くと「お〜〜。終盤って感じですね。まあ頑張るす」とリラックスした表情のまま会場を後にした。
11日目、佐田の海が連敗を2で止め、6勝目を挙げて再び白星を先行させた。
左四つ、右上手で攻勢から新入幕の北の若に体を入れ替えられたが、すかさず力強く寄って寄り倒し。
「よく残せた。目いっぱい寄っていた相手の体が浮いたのかな。もっと早く攻めて終わりたかったが」と苦笑いしながらも「いつも同じ相撲は取れない。今日のように残せたのは大きい」と手応えも語った。
11日目、平戸海が同じ3敗だった翠富士に完敗し、連勝は7でストップした。
3場所ぶりの勝ち越しはお預けとなり、優勝争いからも後退。
幕内では翠富士に過去2戦2勝と合口は良かったが、中に入れず押し出された。
「立ち合いで当たれず、受ける感じになってしまった。(勝ち越しは)そんなに考えずにいけたが…」。
12日目には4敗で並ぶ美ノ海とのご当地対決。
「切り替えていきます」と言葉を残して会場を後にした。
11日目、西前頭14枚目・一山本が、連敗で3敗目。
首位の座から陥落した。
関脇・大栄翔のもろ手で上体を浮かされると、次の瞬間に引き落とされた。
「相手が強かったです。番付の違いってこんなにあるんだなと思いました」と三役の力に舌を巻いた。
11日目、十両の水戸龍と志摩ノ海の一番は、今場所2度目の「水入り」の大熱戦となった。
志摩ノ海が左上手を引いて頭をつけた体勢で動きが止まり4分38秒が過ぎたところでいったんストップ。
再開後も長引き、計6分の死闘を水戸龍が制した。
水入りは今場所7日目幕内の北青鵬―翠富士戦以来。
1場所で2度の水入りは平成以降で初の珍事となった。
勝った水戸龍は「残り(4日)の分も全部取ったぐらい疲れた」と苦笑いしていた。
2023/11/22
10日目、綱とり継続はなるか。
2場所連続優勝を目指す大関貴景勝が小結阿炎を下して7勝目(3敗)。
首位と1差に接近した取組後は「今日は今日で、集中した。優勝争い?明日の相撲に集中して、その先にそれはあると思う」と気持ちを引き締めた。
秋場所は4場所ぶりの優勝を果たす一方で、星数は11勝どまり。
今場所での横綱昇進には好成績&好内容での連覇が求められていた中、中日までに平幕に3敗して絶望的な状況となった。
この日も後ろへ下がりながらのはたき込み。
審判長の浅香山親方(元大関魁皇)は「引いて勝つ相撲が多い。褒められた相撲ではない」と厳しい評価を下している。
10日目、霧島が錦木を送り出しで勝ち、2敗をキープ。
1敗の一山本が敗れたことで、琴ノ若らとトップタイに立った。
霧島が大関初Vを視野に置き、トップタイで終盤戦に突入する。
中盤戦の最後は先場所負けている錦木。
「先場所の取組を見て」敗因をチェックしてから土俵に上がった。
「先に上手を取られたら先場所のようになる可能性もあるので。自分から攻めたかった」と先に踏み込んで起こしにいった。
そこからすぐにいなしたところは「流れで引いたっすね」と反省していたが、背後について送り出し。
軽快な動きを披露し「勝ててよかった」と振り返った。
先場所は9勝6敗。
優勝争いに残れず悔しい思いをしたが、それを晴らすように先場所で負けた力士には錦木を含めてすべて勝っている。
11日目に対戦する若元春にも先場所は負けている。
1つ1つお返しをしながら白星を重ね、大関初Vへと向かう。
「まだ早いんで」と優勝争いは意識の外にあるが、「5日間しかないんで、思い切り自分の相撲を取っていきたい」と集中モードに入っている。
10日目、勝負を焦るような取り口で2連敗を喫して迎えた21日の朝。
大関豊昇龍は師匠の立浪親方から「一日一番、しっかりやれよ」とハッパをかけられた。
場所中としては珍しく向けられた言葉に気合が入る。
「もう終わったこと」と気持ちを切り替えた。
10日目、関脇・大栄翔が前頭筆頭の朝乃山を下して6勝目を挙げた。
鋭い立ち合いから回転よく突っ張ると、相手の引きに乗じて左喉輪で一気に前に出て押し出し。
四つ相撲の元大関に対し「差されたりまわしを取られたりしたら勝てないので」と自分の相撲を取りきった。
ここ2日は土俵際の逆転で星を落としていたが、しっかり切り替えて連敗ストップ。
「負けが続くと気持ち的にも乗らない。連敗しないことを意識した」と会心の相撲で悪い流れを断ち切った。
10日目、琴ノ若が、初顔合わせの豪ノ山の圧力に後退したが、こらえて左からの上手投げで転がし、8場所連続勝ち越しを決めた。
直近6場所は関脇、小結での勝ち越しで「自分の中で、自信にしてもいいのかな」と充実の口ぶりで振り返った。
2敗でトップに並んで「やってみないと分からないけど、自分の相撲に集中してそこにつなげられれば」と気合十分で優勝争いを見据えた。
10日目、大関経験者で初日から7日間休場していた東前頭筆頭の朝乃山は、前日9日目の大関霧島戦に続く連敗で、今場所2敗目を喫した。
関脇大栄翔に押し出され、1勝2敗7休。
大栄翔にはこれで、不戦敗を含めて最近4連敗、通算の対戦成績でも7勝13敗となった。
9日目に霧島に敗れ、すでに今場所の負け越しは決まっていた。
それでも前日の取組後は、勝った貴景勝戦よりも「前に出ていて、むしろ内容はよかった」と話していた。
さらに「前に出たので、明日につながる負け。一方的にやられたら(気持ちが)落ちていたけど、本当にあと1歩のところだったので。負け越した後の一番一番が大事になってくる。必死に取っていきたい」と続け、復調を感じ取っていた。
10日目、熱海富士の圧力が光った。
湘南乃海に低く当たり、右からのおっつけ。
左はずで押し込み、一気に土俵外へ追いやった。
幕内復帰後、2場所連続の勝ち越しに「うれしい」と笑顔を見せた。
2敗を守り、トップに並んだ。
先場所は千秋楽まで優勝争いをリードした21歳。
「(経験を)生かせるのであれば、生かしたい。頑張りたい」と終盤戦を見据えた。
琴恵光は10日目、日本相撲協会に「左膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷で約2週間の治療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
休場は新型コロナウイルス関連(22年名古屋場所)を除けば初で、07年春場所の初土俵から続けていた連続出場が1043回で止まった。
32歳となった前日9日目。
北青鵬に敗れた後には「もう少し自分の持ち味を出したかった」と悔しさをかみしめていた。
誕生日を迎えたことに「この歳まで相撲を取れていることは自分の力だけではなく、周りの人たちの力があるから」と感謝していた。
10日目、平戸海が前日まで単独トップの一山本に快勝し、3連敗後の連勝を7に伸ばした。
相手が引いたところを突いて一気に寄り切り。
「考えた通りに取れた。中に入ったら(相手は)引くと思ったので、そこを突こうと」と狙いがはまった形だ。
まずは3場所ぶりの勝ち越しに王手。
「7連勝は入幕してから初めてでうれしいが、あと一番、切り替えていきたい」と3敗で並ぶ翠富士とぶつかる11日目の一番を見据えた。
10日目、西前頭13枚目の剣翔が北青鵬を破って5勝目を挙げた。
立ち合いすぐに右四つに組み合うと左も巻き替えてもろ差しに。
腹をぶつけてガブってから、最長身2メートル4の大きな北青鵬を高々と吊り上げて前に出て寄り切った。
もろ差しの体勢から「上手が切れなかったから吊るしかない」と豪快な技を選択。
「思った以上に重かった」としながらも「中に入って吊れない人はいない。僕が一番重いから」と幕内最重量187キロの巨体を生かした。
10日目、1敗で単独トップを走っていた一山本が平戸海に寄り切られ2敗に後退した。
トップという硬さがあったのか聞かれると「じゃっかん…。硬くなったつもりはないんですけど。優勝を意識していませんと言っている時点で意識している」と自己分析した。
ただ、2敗になってもまだ優勝争いでトップタイ。
「ぼくの見せ場は終わりました」と笑みを浮かべたが、硬さは抜けたようにも見えた。
2023/11/21
9日目、大関貴景勝は、横綱昇進が極めて厳しくなった前日8日目朝乃山戦の黒星を引きずらずに快勝した。
錦木に立ち合いから先手を取ると、タイミングの良い引き落とし。
相手を前のめりに倒した。
「毎日やることは一緒。どういう状態でもやっていかないといけない」ときっぱり。
疲労についても「みんな同じ条件。集中して切り替えてやっていきたい」と、2差で追う優勝争いに視線を向けた。
9日目、霧島は大関経験者・朝乃山を退けて2敗を死守した。
立ち合いから相手の馬力に押し込まれて辛抱の展開。
最後は押し込まれながら、捨て身のはたき込み。物言いが付いたが、軍配通りに白星を拾った。
「まわしを取らせないように我慢した。稽古のおかげ」。
年間最多勝争いでも56勝で先頭の大栄翔に並んだが、「意識してない。自分の相撲を取りたい」と意気込んだ。
9日目、大関豊昇龍は、琴ノ若戦3連敗を喫した。
立ち合いから右ののど輪で押すも両脇が空いたところを狙われ、右四つを許して万事休す。
189センチ、170キロの体を密着させられるとこらえられず、あえなく寄り倒されて痛恨の3敗目。
取組後の取材には応じなかった。
9日目、豪快に大関を土俵下まで吹っ飛ばした。
琴ノ若が、結びの一番で大関・豊昇龍の突き押しをしのぎ、右四つに組んで寄り倒して2敗対決に完勝。
最高の形で連敗を止め、今年の対大関の戦績を4勝3敗とし、勝ち越しにリーチをかけた。
これで対豊昇龍は3連勝。
「(これまでも)攻めていく相撲はあったので、自分の相撲を取りきれば勝ちにつながっていく」。
冷静な振り返りの中に自信がのぞいた。
土俵下で見守った師匠の佐渡ケ嶽審判部長は「良い勝ち方をすると、覚えるんじゃないですか? 体の寄せも良かった」。
2連敗した前夜、宿舎に戻ってからも四股を踏んでいたと明かし、師匠目線で「力士にとって大事なこと。皆、琴奨菊(秀ノ山親方)らの背中を見ているから」と元大関を手本とする姿勢を評価していた。
王手をかけた幕内で初の年6場所オール勝ち越しは通過点。
琴ノ若は「いろいろな事を目指していく上で、皆さんに認めていただけるように、地力をつけていきたい」。
次の番付へ、白星を連ねていく。
9日目、前頭筆頭・宇良が小結・阿炎を引き落としで下し、3勝目を上げた。
頭四つの状態から宇良が素早くしゃがみ込んだ瞬間に、阿炎の巨体が生まれたての小鹿のようにバランスを失ってゴロリと転倒。
一瞬の出来事に客席は沸き、ファンからは「ハンドパワー」「空気投げ」と驚きの声も相次いだ。
低い姿勢で下から攻める宇良と、よく見て突いていった阿炎。
両者が頭四つの体勢で組み合い、しばしこう着状態となったが、その直後、宇良が素早く腰を下げて屈伸するようにしゃがむと、186センチの阿炎の大きな体がゴロリと転がった。
一瞬の出来事に館内からは大きな歓声が沸き起こった。
勝った宇良は3勝目。
9日目、熱海富士は、初顔合わせの阿武咲をはたき込んで2敗をキープした。
土俵際に追い込まれてからの逆転に「前に出たいです」「前に出られていない」「もっと前に出たかった」と、反省の弁を3連発で並べた。
2場所連続勝ち越しへあと1勝としたが「明日からしっかり」と目先の勝利よりも、内容重視の心構えを強調していた。
9日目、平戸海が3連敗からの6連勝を飾った。
新入幕の狼雅に対して左上手を素早く取り、振ってから頭を付けて寄り倒す力強い内容。
「体格、身長とも差がある相手なので、頭を付けていこうとは思った」。
先場所まで幕内での連勝は4が最長。
6連勝に「落ち着いているし、体も動いている」と満足そうだった。
9日目、返り入幕の西前頭14枚目、一山本が、関取としては自己最速9日目で勝ち越しを決め、単独トップを守った。
圧力のある玉鷲を立ち合いから一方的に突き出す完勝。
4度目の対戦で初めて勝ち、調子の良さを示した。
普段はもろ手突きの立ち合いが多いが「手だけでは押し切れないので、頭からかました」と、立ち合い負けしなかったことを勝因に挙げた。
「遠くの目標よりも1日1日の積み重ね。次の目標は2桁。優勝は…。ちょっとはチラつくかな」と笑って話した。
9日目、新入幕の美ノ海が2敗を守った。
相手の遠藤は美ノ海が日大1年時の主将。
「話しかけられないくらい雲の上の人。(対戦は)楽しみというより怖いのが一番だった」。
プロ、アマを通じて初対戦という今回は、遠藤のいなしをこらえ、相手が出てきたところで肩透かしに沈め「うれしい気持ちが強い」と顔をほころばせた。
トップとは1差。
沖縄出身力士として初の賜杯も狙える位置にいるが「考えていない。さすがにそこまで余裕はないです」と強調した。
2023/11/20
8日目、大関貴景勝の3度目綱とりが事実上、終了した。
朝乃山の下手投げに屈し、3敗目を喫した。
先場所優勝も11勝で、今場所での横綱昇進には高いハードルが課せられていた。
貴景勝も3敗目の重みを十分に感じていた。
「いつも通りでした。(相撲内容は)あまり覚えていない。(体が)動いていない」と厳しい表情で言った。
中日を終えて1敗も一山本1人だけという大混戦場所。
2場所連続優勝の可能性は消えていないが、横綱昇進に向けては圧倒的な力を示す必要があった。
厳しい土俵が続く。
「明日、頑張るしかないですね」。
気持ちを切り替え、大関の務めを果たしていく。
8日目、大関候補の大栄翔は早くも3敗目。
「内容は悪くない。後半戦も集中してやりたい」と気合を入れ直した。
昇進の目安となる直近3場所合計33勝に届かないことはおろか、首位を走る年間最多勝争いでも豊昇龍、霧島に1差に迫られ、苦境に立たされている。
阿炎を突き起こして攻め込んだが、土俵際に落とし穴があった。
回り込まれて引き落としを食い「悪いところが出た。もっと落ち着いて攻められたら良かった」と声を落とした。
8日目、琴ノ若は過去8勝3敗と合口の良かった正代に不覚を取り、2連敗。
大関昇進の目安となる直近3場所の合計33勝へ後がなくなった。
「負けたのが全て。切り替えて、またいい相撲が取れるようにしたい」と視線を落とした。
立ち合いから元大関を押し込みながら、突き放せず、左おっつけに手を焼いた。
腰が上がって寄り切られ「土俵際はもっときっちりと攻めていかないといけない」と、自らに言い聞かせるように語った。
8日目、取組前の土俵下、朝乃山の足は震えていた。
左ふくらはぎのけがの影響で、自身初となる途中出場の初日。
大関貴景勝との一番で緊張感に襲われた。
「前に出る相撲を取りたかった。必死さが伝わってくれたならうれしい」。
強敵相手に執念で、2020年春場所以来の白星をつかみ取った。
8日目、前頭4枚目の豪ノ山が2大関撃破の勢いに乗って関脇・若元春も破った。
相手得意の左を差されかけたが、右喉輪で振りほどいて逆に右を差して馬力で圧倒。
「引かずに前に出られている」と会心の内容に手応えを得た。
初めての上位陣総当たりの地位で4勝4敗の折り返し。
持ち味の押し相撲が通用しており「そうしないと勝てないので」とさらに徹底していくことを誓った。
8日目、錦木が大関豊昇龍を破って6連勝とした。
強烈な突きに後退したが、重い腰を生かしてこらえる。
タイミングのいい小手投げで逆転し、「土俵際で残れたから良かったと思う。太っているので」と笑みを見せた。
2連敗スタートからの巻き返しにも、「順調と言えば順調だけど、勝ち越さないと。千秋楽までには勝ち越します」。
控えめに目標を明かした。
8日目、幕内・熱海富士が隆の勝を破って連敗を2で止め、6勝目を挙げた。
立ち合いで得意の左上手は引けなかったが、左で抱えて頭をつける体勢に。
相手が右差しで強引に出てくるところを左へ回り込みながら土俵際逆転の小手投げで仕留めた。
「勝てたのでよかったです。連敗止まったので」。
3日ぶりに笑顔を見せた。
8日目、平幕の一山本が7勝目。
宝富士の圧力を受けても「我慢できた」。
喉輪で攻めて相手と距離をつくり、タイミング良く突き落とした。
7日目に引いた相撲で初黒星を喫し、師匠の放駒親方から「前に出なきゃ駄目と言われた」。
助言をしっかり生かした。
伸びる星数にも「目の前の一番しか見えていない」と冷静。
勝ち越しの懸かる9日目の一番に向け、「どれだけ平常心で取れるか」と気を引き締めた。
8日目、新入幕の美ノ海がトップと1差の2敗をキープした。
2敗で並んでいた再入幕の友風を押し出し。
左前みつを取る得意の形にはならなかったが「踏み込めた。距離があると張り手が来るので、距離を詰めていった」と振り返った。
ここまでについて「まだ半分ですね」と語り「気持ちが後ろ向きな負けがない。前に出て取れている」と納得の表情だった。
2023/11/19
7日目、貴景勝が土俵下まで吹き飛ばされ、あおむけに転がった。
同じ押し相撲の平幕豪ノ山に為す術なく完敗。
横綱昇進を目指すうえで痛恨の2敗目だ。
立ち合いで当たり負けし、押し返そうとするも、ほとんど前に出られない。
左からいなそうとしたところで、相手に右を深く差されて万事休す。
一気に寄り切られた。花道の奥で取組のリプレイを確認した後、支度部屋で「負けたら理由が必ずある。ただそれだけ」と口数少なく答えた。
7日目、関脇・大栄翔が小結・北勝富士を下して5勝目を挙げた。
立ち合い強烈な突き放しで先手を取ってから激しく突っ張り、右へ回り込む相手を逃さず攻め続けて最後は豪快に吹っ飛ばした。
「思い切りやりました。今日はよかったと思います」と会心の内容。
「決まるまで集中して落ち着いて取ることを意識した」と厳しい攻めで埼玉栄高の先輩を圧倒した。
7日目、6日目まで全勝だった琴ノ若は宇良にとったりで敗れ、今場所初黒星を喫した。
低い姿勢の相手を押し込めず、左腕をたぐられて振られ、腹ばいになった。
「しっかり当たって流れで取ろうと思っていたが、ついていけなかった」と無念の表情。
それでもまだ1敗。
今場所は13勝すれば、大関昇進目安の直近3場所合計33勝に届く。
「しっかり切り替えていくだけ」と気持ちを奮い立たせた。
左ふくらはぎ痛で大相撲九州場所を初日から休場していた、元大関で東前頭筆頭の朝乃山が8日目から出場することが18日、決まった。
復帰の一番は先場所優勝の大関貴景勝戦が組まれた。
残る8日間を全勝すれば勝ち越しとなり、来年1月の初場所で三役返り咲きの可能性を残した。
朝乃山は10月末に秋巡業で負傷し、日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を提出して休場。
出場停止中を除き、初日からの休場は初めてだった。
師匠の高砂親方によると、17日に朝乃山から「出たい」と申し出があり、本人と相談して決定した。
高砂親方は「心配なところはあるが、四股やすり足ができるようになってきた。
出るからには最後まで。けがなく取ってほしい」と語った。
7日目、宇良が業師ぶりを発揮し、館内の喝采を浴びた。
琴ノ若に対し、低い体勢で頭をつけた展開から、さっと体を開いて相手の左腕をつかみ、とったりで土俵にはわせた。
無傷の6連勝だった関脇を止めても、「気分がいい、とかはない。そんなことを考えて別にやっていないので」と笑顔はない。
5連敗スタートから2連勝し、集中力を高めているようだった。
7日目、正代が2日連続で関脇を破って3勝目。
得意の左を差した若元春に圧力負けすることなく、「前に出ることができた」。
最後は土俵際ですくい投げ。
物言いがつく微妙な勝負となったが、軍配通りに白星を手にし、「寄りに来たので、投げるスペースがあった」と冷静だった。
熊本県出身で準ご当所となる九州場所。
元大関は「何とか競り合うことができている」と手応えを口にする。
大きな声援を背に、ここから星を伸ばしていきたいところだ。
7日目、憧れの先輩に恩返しを果たした。
豪ノ山が先場所に続く2度目の挑戦で、大関貴景勝から初白星。
「場所はまだあるので、喜んでいられない」。
支度部屋では笑顔一つなく、低い声でとつとつと振り返った。
「押し負けないように、引かずに前に出ようと思った」。
低く当たり、激しい突き押しの応酬にもひるまない。
相手が左からの突き落としを狙ったところで中に入り、土俵下へ追いやる。
同じ関西出身で、大関は埼玉栄高の2学年先輩。
子供の頃から背中を追ってきただけに、口ぶりこそ淡々としながらも、こみ上げるものはあっただろう。
幕内3場所目の今場所は自己最高位の東前頭4枚目。
同じ大阪府寝屋川市出身の師匠、武隈親方は「まだまだこれから」としつつ、「馬力は通用している。いろいろな経験をしたことで上位陣の雰囲気や感覚が分かってきた」と成長を認めている。
6日目の霧島に続き、連日の大関撃破となったが、まだ黒星が一つ先行。
「残りも気を引き締めてやるだけ」と先を見据えた。
7日目、北青鵬が翠富士と水が入る7分近い大相撲を上手投げで制した。
「ま、長いですね。右を差して前に出たかったけど無理だった。特に何も考えずにいきました」。
204センチの長身を生かし、上手を取っての持久戦が得意の相撲。
「あの体勢はしんどくないんで。疲れたとかはないです。我慢して相手が仕掛けてきた感じです」。
連敗を4で止めた。
「それが大きい」と笑顔を見せた。
7日目、佐田の海が6日目の熱海富士に続き、一山本にも快勝して土をつけた。
相手の突っ張りを手繰ると、引きに乗じて一気に前へ。
「珍しく(前に)落ちなかった。冷静さがあったのかな」と足の運びを自賛した。
熊本県出身の36歳は元気な相撲を披露して白星先行。
「土俵に上がったら、五分だと考えている。相手の調子がいい、とか考えている余裕はない」と胸を張った。
2023/11/18
6日目、大関貴景勝は直近の本場所で5連敗していた翔猿を送り出しで下し、1敗を堅守した。
貴景勝は支度部屋で「いつも通りです」と2度つぶやき、翔猿を送り出した攻めを振り返った。
今場所、毎日のように繰り返している言葉だが、記録に目をやると特別な一番。
負ければ34年ぶりに大関としての連敗記録に並ぶ屈辱を、冷静な突き押しで相手もろともはじき飛ばした。
天敵だった。
埼玉栄高の4学年先輩の翔猿には、昨年の九州場所から5連敗。
大関が関脇以下の力士に6連敗となれば、小錦が幕内安芸ノ島に屈した1989年秋場所以来だった。
6日目、大関・霧島が痛い2敗目を喫した。
東前頭4枚目・豪ノ山の突っ張りを食らい一気に後退した。
手繰ろうとしたが空振り。
最後はあっけなく突き落とされた。
「勝ち負けなので、悪いところが出たと思う。足が一歩前に出なかった」と唇をかんだ。
6日目、大関豊昇龍は高安の小股すくいに屈して初黒星。
他の2大関は2場所連続優勝を狙う貴景勝が翔猿を下して1敗を守ったが、霧島は豪ノ山に圧力負けして2敗。
関脇琴ノ若が返り小結の北勝富士を退けて6連勝とし、土つかずは平幕の一山本を加えた2人に。
大栄翔、若元春の両関脇は敗れた。
6日目、関脇・琴ノ若が、自己新の無傷6連勝を飾った。
再小結・北勝富士戦は、相手自慢の激しい突っ張りを何とか我慢。
左からのいなしで立て直すと、最後は目いっぱい腕を伸ばして突っ張り、一気に土俵外へと押し出した。
激しい一番を制し、「離れすぎたり、苦しい体勢になったら(相手は)馬力を発揮するので、そこで勝負しないようにした。引いたのはよくなかったが、相手の間合いにならないように押し返し、辛抱して取れました」とうなずいた。
6日目、ベテランの域に入ってきた大関経験者が、若い大関を豪快にひっくり返し、館内を大いに沸かせた。
結びの一番で高安が豊昇龍に土をつけ、「小股すくい」の決まり手に「序二段以来かな。十数年ぶりか」。
余裕たっぷりに振り返った。
豊昇龍の突き押しをうまく回り込みながらしのぎ、左を深く差して動きを封じた。
苦し紛れの掛け逃げを狙う大関の右足を持ち上げ、引っこ抜くように後ろに投げ捨てる。
土俵下の佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は「いい流れで取っている。ずっと高安の攻めが光っていた」とうなった。
6日目、豪ノ山が霧島を破って大関戦初勝利を挙げた。
強烈なぶちかましから激しく突っ張って相手の足が流れたところを突き落とし。
今場所まだ2勝目のため表情に緩みはないが「うれしいですね」と素直な心境を語った。
霧島には稽古場で何度も指名されて胸を借りたことがある。
その時はなかなか勝てなかったが「気合入れて思い切りいったのがよかった」と本場所の土俵で“恩返し”を果たした。
6日目、身長204センチの大器がふわりと浮く光景に観客は大いに沸いた。
33歳の錦木が22歳の初顔、北青鵬を怪力でつり出した。
右へずれて立った相手にもろ差しを果たし、足を進める。
粘り腰に攻めあぐね、左から振って土俵中央へ。
相手が肩越しの左上手をつかんだ瞬間、勝負に出た。まわしを引き付けて豪快につり上げ、土俵から出した。
錦木は連敗スタートから4連勝。
北青鵬とは場所前に稽古したそうで「感覚はあった。つってしまえばこっちのもの」と上機嫌だった。
反対に北青鵬は4連敗。
「全く駄目。上手を取れたけど、腹に乗せられたら利かない」と残念がった。
6日目、西前頭8枚目の熱海富士は初日からの連勝が5でストップした。
立ち合いで右を差したが左上手でまわしを引けず、徐々に佐田の海に上体を起こされて寄り切られた。
今場所初黒星に「負けたか。くっそー」と花道で声を上げた21歳は「悔しい。負けたんで、切り替えて頑張ります」と言葉少な。
「すいません」と取材を切り上げて引き揚げた。
6日目、封印したはずの引き技で、辛くも勝ちを拾った。
前に出る相撲を徹底してきた一山本が一転してこの日ははたき込み。
「前に出ようと思ったが、押し切れませんでした」。
再入幕の30歳は、ばつが悪そうだった。
立ち合いから両手で突いて押し込んだ。
2度、3度と頭を当てながら突き、前に出る展開。ところが4度目だった。
反撃する錦富士の首の背後に右手を当て、後ろに引いてしまう。
これに乗じられて俵に詰まりながらも何とか左に動き、はたいて転がした。
2023/11/17
5日目、2場所連続優勝を狙う大関・貴景勝は連敗を免れた。
大関経験者の東前頭3枚目・高安の左かち上げを右でいなした。
体が泳いだ相手に体を預けて押し出した。
「しっかりおっつけて。いつも通り。相手がどうこうと言うより自分がどうしていくか」と振り返った。
先場所が11勝4敗での優勝だったため、綱取りにはハイレベルな成績でのVが求められる。
その中で4日目の明生戦で不覚を取り、早くも初黒星を喫したが、序盤の5日間を4勝1敗で終えた。
5日目、大関・霧島は連敗を免れた。
西前頭2枚目・明生をはたき込んだ。
4日目に貴景勝を撃破している明生の当たりを受け止めると、右からいなして回り込み、さらに出てくる相手を左からいなして勝負を決めた。
霧島は「立ち合いはちょっと下がったけど、焦らずに行けた。昨日(4日目の高安戦)は自分の相撲を取れなかった。負けても思い切り行こうと思っていた」と振り返った。
「内容はよくなかったけど、勝って流れはいい。調子はよくなっていくと思う」と中盤戦以降を見据えた。
5日目、大関・豊昇龍と前頭四枚目・豪ノ山の取り組みで場内が騒然となった。
待ったなしの状況となったが、豪ノ山が右手をついている状態で、豊昇龍がまったく手を下ろさず、じっと豪ノ山をにらみ続けた。
行司が「待ったなし」、「手をついて」とうながしてもまったく手を下ろさないまま、80秒間が経過し、豪ノ山がたまらず立ち上がって、仕切り直しとなった。
この際、豊昇龍は土俵下の審判部から注意を受け、小さく頭を下げた。
再度待ったなしで仕切り直したが、これも立ち合いがなかなか合わず。
ようやく立ちあうと立ち遅れて、豪ノ山に押し込まれたが、なんとか反撃して押し出しで5連勝を飾った。
5日目、琴ノ若は踏み込んで大栄翔の当たりを止めると、タイミング良く肩透かしで仕留めた。
4連勝同士の関脇対決に快勝し、「相手の圧力を止めて、自分の流れにできた」と納得の表情。
初日から5連勝は幕内では初めてで、「雑にならないで、集中してやっているのが(白星に)つながっている。しっかり準備するだけ」と冷静に話した。
5日目、熱海富士が新入幕の昨年九州場所で敗れた琴恵光に勝利し、「初日から5連勝は初めて。ちょっとうれしいですね」と幕内自己最多の好発進を喜んだ。
立ち合ってすぐに左上手を引く万全の相撲で力強く寄り切り「落ち着いて取れている」。
先場所の悔しさを糧に初優勝も期待される中で「まだこれから長いんで」と気を引き締めた。
5日目、2019年の九州場所以来の幕内復帰となった東前頭14枚目・友風が全勝の東12枚目・玉鷲を引き落として3勝2敗とした。
頭で当たって玉鷲の突き押しにも負けない圧力をかけた。
最後は右のど輪でワンプッシュして引き落とした。
「はたいたより開いた、体が動いている感じですね。相手は39歳? 尋常じゃない圧力なので、精いっぱいやりました。対戦したこともあるし、何度も稽古していますから、のど輪の強さはわかっています。うまく対応することができました」と笑顔を見せた。
4日目はまともに引いて2敗目。
悪い癖が出てしまったと反省。
部屋付きの中村親方には「出してしまったこと(悪い癖)は忘れろ。切り替えが大事」と改めて背中を押されたという。
入門した時の師匠、尾車親方からは「あまりヒヤヒヤするような相撲は取らないでくれ。心臓に悪い」とのラインが届いたという。
序盤の3勝2敗。
「まだまだ、これからだと思っています」と引き締めていた。
5日目、3場所ぶりに再入幕の一山本が北の若を押し出しで退けて初日からの連勝を5に伸ばした。
全勝は豊昇龍、琴ノ若、熱海富士、一山本の4人となった。
引き技を完全に封印した。
一山本は立ち合いからひたすら真っすぐ攻め込んで、そのまま北の若を押し出した。
「いい相撲だったと思います。思い切り当たってどうにかしようと思って」。
これで初日からの5連勝。
顔には笑みが浮かんだ。
5日目、沖縄出身力士として17年ぶりの新入幕となった美ノ海が好調だ。
ベテランの宝富士に対し、左で前まわしを取る得意の形は決まらなかったが、相手の左を手繰ってから後ろに回り込み、送り出した。
「立ち合いが合わず、ふわっと立ってしまったが、そこから反応できた」。
3日目から3連勝でトップと1差をキープ。
2023/11/16
4日目、敗れた取組の映像を確認すると、切り替えるように「ふーっ」と大きく息をついた。
先場所覇者で横綱昇進を目指す貴景勝は明生に屈し、序盤で痛い黒星を喫した。
苦境にも落胆は見せず「毎日やってきたことを信じてやるしかない」と淡々と語った。
頭で当たって先手を取ったが、攻めきれなかった。
過去に8勝5敗、最近は3連勝としていた明生に対し「いつもと違うと思った」。
突き、押しで応戦されて戸惑ったのか、続くいなしに体が大きく泳ぎ、一気の寄りに土俵を割った。
4日目、大関霧島は高安に突き落とされて初黒星を喫し、令和3年秋場所以来となる初日からの4連勝はならなかった。
支度部屋では厳しい表情で無言を貫いた。
NHKでテレビ解説を務めた舞の海秀平氏は「思い切り鋭くもろ手突きというふうには見えないですし、前まわしを狙いにいったというふうにも見えないですし、ちょっと変わり気味に上手を取りにいった動きでもないですしね、全部中途半端」と指摘。
「立ち合いで何とか(相手を)捕まえて自分の体勢に持ち込めるんだろうなという、ちょっと予想が甘かったのか。あとは崩れ方ですよね。ちょっともろいですよね。腰が痛いのか背中に痛みがあるのか」と心配していた。
4日目、2度目の優勝を狙う大関豊昇龍が乗ってきた。
先場所敗れた翔猿を盤石の攻めから寄り切り、初日から4連勝を飾った。
立ち合いでうるさい相手の動きを止められたことが勝ちにつながった。
がっちり組み止め、すかさず右を差して身動きを封じた。
左上手も取って、体を密着させながら土俵外へ持っていった。
「つかまえればいいと思っていた。相手をよく見ながら取れて、悪くなかった。集中できている」と手応えを感じていた。
4日目、関脇・大栄翔が宇良を押し出して初日から4連勝とした。
立ち合い相手を見ながらもろ手で突き放し、下からあてがおうとする宇良を圧力で吹っ飛ばした。
先場所は引いたところを押し出されて敗れた相手。
「しっかり見て攻めようと思った。うまく攻めれたと思います」と狙い通り快勝につなげた。
2日目は豪ノ山に攻め込まれていただけに「内容は攻める相撲で良いリズムで来ている。良くなっていると思います」と調子は上向いてきた。
4日目、祖父・元横綱琴桜、父・元関脇琴ノ若の佐渡ケ嶽親方のサラブレッドが完全開花の兆しを見せた。
関脇琴ノ若が小結阿炎を一方的に押し出し、初日から4連勝を飾った。
「流れの中で攻めたし、前に出る意識だけ。やれることはやって、明日からもしっかり続けていきたい」。
今年は三役ですべて勝ち越し。
大関も見据える中で力を示していく。
4日目、ご当所の元大関正代が初日を出した。
初顔合わせの豪ノ山にやや当たり負けしたが、左を差してから突き落とし。
「立ち合い?どうですかね…。当たり負けか…。まあ、左がのぞいたので…」と淡々。
それでも「初日が出てほっとしたか?」と問われると「そうですね。それが一番でかいですね」と笑みを浮かべた。
4日目、高安が厳しい攻めを披露した。
霧島に対し、左からかち上げ気味に出て突き起こす。
休まず攻めて右から突き落とし、「しっかり踏み込んだ。腰の重さを出せた」と満足そうに振り返った。
持ち前の圧力を存分に発揮し、好調の大関に土をつけた。
元大関の意地を示し、「この相撲をきっかけに、いい相撲を取りたい」と先を見据えた。
4日目、平幕熱海富士が竜電をはたき込みで下し、初日から4連勝とした。
何度も俵に足が掛かるピンチをしのいで、土つかずの4連勝。
熱海富士は竜電に前まわしを取られて攻め込まれたが、重い腰で残して最後ははたき込んだ。
1分超えの熱戦に、支度部屋に戻ってもなかなか息が整わずに「しんどいっすね」と苦笑い。
下がりながらの決着を振り返って「ダメですね。前に出ないと」と反省も忘れなかった。
4日目、38歳で臨む最後の一番は「久しぶりに自分の相撲が取れた」。
戻った支度部屋で玉鷲が破顔一笑した。
頭で当たって左おっつけ、右喉輪で佐田の海の上体を起こす。
さらに一押しで土俵の外へ追いやった。
これで幕内出場回数を歴代単独9位の1261回に伸ばした。
感想は「毎日、相撲を取っているから。それは後で」とあっさり。
記録にこだわらない姿勢を見せるが、師匠の片男波親方は「あいつが言っていることは逆だから」。
4日目、今場所、幕内に戻った岩内町出身の一山本が勝って、4連勝としました。
九州場所で返り入幕となった前頭14枚目の一山本は、初日から3連勝で、4日目は前頭14枚目の友風と対戦しました。
一山本は、立ち合いの突き押しのあと、友風が引いたところを逃さず、一気に前に出て、「押し出し」で勝ちました。
4日目、新入幕の狼雅が剣翔を破って幕内初白星を挙げた。
互いに得意とする右四つに組み合うと、左上手を引き付けて力強く前に出て寄り切り。
「自分の相撲が取れたかな」と完勝に笑顔を見せた。
2023/11/15
3日目、秋場所を制し、成績次第で綱とりが浮上する可能性のある大関貴景勝が、初日から9連勝した2021年九州場所以来、2年ぶりに3連勝スタートとした。
宇良を正面に置いて突き出し、この日も「いつも通りですよ」と冷静。
「準備だけはしっかり。それだけは勝ち負け関係なくできるので、徹底していく」と土俵への心構えを語った。
3日目、大関3場所目の霧島は、大関経験者の幕内・正代を寄り切りで下し、無傷3連勝とした。
立ち合いは左前みつに手が掛からなかったが、厳しい左のど輪攻め。
右上手を取って前に出ると、最後は両手で押し出した。
完璧な内容に「前に出られてよかったですね。いい流れになっている」と、手応えを口にした。
カド番だった先場所は本来の力が発揮できず、9勝6敗に終わっただけに今場所は雪辱に燃えている。
絶好調の大関は4場所ぶり2度目の賜杯に向け、「勝ち負けを考えずに自分の相撲を取る気持ち。あまり考えずに、一番一番取っていくだけです」と、気を引き締め直した。
3日目、大関豊昇龍が、本割では連敗中だった小結北勝富士を破って3連勝で結びの一番を締めた。
立ち合いで左差しを狙ったが突き放されると、前に出た直後に、タイミング良くはたき込んだ。
初優勝した7月の名古屋場所の優勝決定戦では勝っていたが、先場所までの最近2場所の本割では敗れていた難敵を退けた。
「相手を見ながら相撲を取りたかった。落ち着いてできたので良かったと思います」と振り返った。
新大関だった先場所は、3日目を終えて1勝2敗と黒星が先行していた。
その後、白星が先行したのは、ギリギリで勝ち越しを決めた千秋楽。
そこから一転、今場所は連勝街道。
貴景勝、霧島の2大関とともに星を伸ばし、横綱不在の場所を盛り上げている。
3日目、関脇大栄翔が平幕高安を押し出し、無傷の3連勝とした。
11月14日は故郷・埼玉県民の日で、2016年から8連勝(19年は不戦勝)とし、2度目の賜杯へギアを上げていく。
故郷の血が騒いだ。
大栄翔は高安のはたきを何度もこらえると、最後は力強く押し出し。
「相手の動きについていけるように攻めた。自分の相撲が取れている」と大きくうなずいた。
3日目、若元春はうるさい翔猿に冷静についていき、得意の左四つに持ち込んで寄り切った。
過去8勝2敗と合口のいい相手。「(動きは)頭に入っていた」と納得の表情だった。
大関候補として、まずは2桁白星が目標。
白星を先行させたが、「もっと早く自分の形をつくりたかった」と反省も忘れなかった。
3日目、関脇・琴ノ若が西前頭2枚目・明生を大逆手(おおさかて)で下し、無傷の3連勝を飾った。
幕内では2010年初場所14日目に把瑠都が決めて以来となった。
初賜杯を抱けば、大関への機運が一気に高まる可能性もある土俵。大技で逆転した勢いに乗り、白星を積み上げる。
初日からの3連勝は3場所ぶり。
父で師匠の佐渡ケ嶽審判部長は土俵下で執念を見届け、「よく粘った。肩越しの上手だったけどね。大逆手は私もやったことはない。稽古でももちろんないよ」と評価した。
3日目、21歳の熱海富士は今場所も好調だ。
先場所は最後まで優勝を争う大活躍。
2場所続けて初日から3連勝とし「前よりも落ち着いて取れている」と成長を実感している。
顔つきにはたくましさが増してきた。
大きな金峰山を左前まわしから一気に寄り切り「前に出られたのが良かった」とうなずく。
この日は自らを含めた伊勢ケ浜部屋の幕内4人が勝利。
「みんな頑張っているので、僕も頑張らないと。まだまだ始まったばかり」と意欲を新たにしていた。
3日目、玉鷲は突き放して平戸海にまわしを与えず、タイミング良く引き落とした。
初日からの3連勝は5場所ぶりだが、「まだまだ。気を抜いては駄目」。
言葉と裏腹に笑みがこぼれる。
幕内出場が歴代9位に並ぶ1260回に。
感慨に浸る様子はなく、「(現役を)やめたら、お酒のいいつまみになる」とおおらかに言った。
3日目、3場所ぶりに再入幕した一山本が、剣翔を寄り倒して初日から3連勝を決めた。
速い回転の突きで剣翔を押し込み、右四つになっても止まらずに前に出た。
突き押しが得意の一山本だが、左ではなく右四つなら「少しは相撲が取れるんで。ああなったら前に出るしかない」と勝因を口にした。
剣翔とは十両での対戦を含めて、これで9戦全勝。
「逆に緊張するんです。そろそろ負けるんじゃないかとか、嫌なイメージも湧く。でも、土俵に上がればしっかり相撲が取れてたかなと思います」と波に乗っていきそうな気配がある。
押し相撲は流れが大事。
「初日から2日間はあんまり足が出てなくて、引かれてギリギリだったんですけど、今日はしっかり前に出ていい相撲を取れたかなと」。
このいい流れを切らさず白星を重ねていきたい。
3日目、沖縄県出身力士として17年ぶりの新入幕を果たした美ノ海(同県うるま市出身)が、同じ新入幕の北の若に快勝し、2勝1敗で白星を再び先行させた。
立ち合いからすぐに左前まわしをつかみ、出し投げを打ちながら圧力をかけて最後は寄り倒し、「出し投げで決めにいったが、相手のまわしが伸びたので切り替えた。
この3日間、引いての負けがない。いい相撲を取れている」と語った。
この日は母校・鳥取城北高の生徒が修学旅行で会場に。
30歳の先輩は大きな声援を受けた。
「ありがたかったです」。
ただ同校は横綱照ノ富士らも巣立った全国屈指の強豪。
「自分は修学旅行に行っていないんですよ。試合が入っていたし…」と少しうらやましそうだった。
2023/11/14
2日目、貴景勝が正代に勝ち2連勝。
細かく盛り上がった臀部(でんぶ)の筋肉や、内側にボコッと膨らんだふくらはぎに、基礎固めの跡が表れている。
3度目の綱とりに挑む貴景勝が初日から連勝。
昇進には高いレベルでの優勝が求められる中、好発進を決めた。
先場所で苦杯をなめた正代をもろ手で突き起こし、土俵際まで追い込んだが残され、反撃に遭う。
右に動いていなし、それでも押され、最後は両足を俵にかけながら回り込んで引き落とした。
自身の取り口が不満だったのか「立ち合いで押し切れなかったが」との質問には沈黙を貫いた。
2日目、大関・霧島が連勝スタートを飾った。
小結・阿炎のもろ手も構わず一気に押し出し。
最近は3連敗中の相手だったが「変なことは考えず、しっかり前に出ようと思っていました。自分の相撲を取ろうという気持ちでした」と振り返った。
大関在位3場所目。
まだ2ケタ白星はないが、一年納めの九州場所で好発進だ。
それでも「一日一番、集中するだけです」と、あくまで冷静だった。
2日目、大栄翔が豪ノ山との取り直しの一番の末に白星。
最初の相撲は激しい突き押しの応酬から、両者が前のめりに落ちた。
「本当に分からなかった」。
軍配は自身に上がったものの、同体とみなされる。
取り直しの一番では先に圧力をかけ、出てきた相手を引き落とした。
埼玉栄高の後輩との熱戦を制して連勝スタート。
「まだまだ序盤。攻め急がずに落ち着いて取れている」と冷静だった。
2日目、初白星を挙げた若元春が、右膝の大けがから4場所ぶりに復帰した弟の元関脇若隆景へ思いを語った。
幕下から再起に挑む3兄弟の末弟へ「この世界はけがで落ちていく人はたくさんいる。違和感はないが、肉親なので早く戻ってきてほしい」と言葉をつないだ。
左四つで力強く明生を寄り切り「中途半端だったが自分の形になれた」と話す。
初日は敗れた若隆景へ「ともに負けじと切磋琢磨してきた仲。頑張ってほしい」とエールを送りつつ、自分も勝利を重ねていく構えだ。
2日目、関脇琴ノ若が高安を押し出し、通算300勝をマークした。
押してくる相手をいなして、逆に押し返して勝負をつけた。
「相手がいることなので、完璧にというのは毎度毎度ないですけど、自分の形にするための対処は稽古場でもしている。
自信を持って取れればいけると思っている」
通算300勝の話題を振られると「知らなかったです」と笑い、「聞いてもなかったです」。
父でもある師匠は通算782勝。
「師匠はもっといってますし、半分にも満たない。早く抜けるように頑張りたいです」と通過点でしかない。
目標はまだある。
今年の初場所で三役に昇進してから、秋場所まで全場所で勝ち越し。
着実に力を蓄えながら、大関へと向かっていく。
2日目、翔猿が埼玉栄高の同級生、北勝富士を送り出し、プロでは三段目だった平成27年秋場所での初対決以来、9戦目で初白星。
アマ時代を含めても高校2年3月の全国高校選抜大会個人戦以来、13年ぶりの勝利となり、「(うれしさは)思ったより…普通です」と言いながらも「へへっ」と笑った。
超難敵を破っての今場所初勝利に「ここから(連勝と)いきたいですね」と意気込んだ。
2日目、前頭七枚目・北青鵬が前頭八枚目・遠藤を強引な上手投げでねじ伏せ、2勝目となる勝ち星を上げた。
規格外のスケールで下した北青鵬に、解説の豊ノ島も「説明ができない」と唖然となっていた。
北青鵬の豪快な攻めに、ABEMAで解説を務めた元関脇の豊ノ島はしばし無言になった後、「説明ができないですね……」と唖然とした様子。
「こういうの習っていないので……でも(上手が)取れるから仕方ないですよね」と続けると、豊ノ島は「でも上位に行くことを考えたら、あれだけに頼るのではなくて、(上手を)浅く取るということもやっていかないといけないような気もします」とアドバイスも送っていた。
2日目、西前頭8枚目の熱海富士が大関経験者の御嶽海を盤石の攻めで寄り切って2連勝を飾った。
優勝同点と躍進した先場所に続き、幕内3場所目となる九州でも序盤から存在感を発揮する。
その力の源は中学時代。
同郷で静岡・熱海市出身の女子プロゴルファー渡辺彩香とは同じトレーナーの下で練習を積んできた。
弟のようにかわいがってくれた国内ツアー5勝の渡辺からのエールも励みに、先場所あと1歩で逃した史上最速優勝を目指す。
2日目、返り入幕の友風が4年ぶりに幕内で白星を挙げた。
力強い突き押しで宝富士を寄せ付けず、「前に、という気持ちだった。歓声が多かったので、本当にうれしかった」と、ほっとした表情を浮かべた。
西前頭3枚目だった2019年の九州場所で右膝に大けが。
西序二段55枚目まで番付を落としたが、懸命に稽古に励むなどして返り咲いた。
「言い表せない苦しみだった。でも、こういう形で土俵に立てている」と感慨深げに語った。
2023/11/13
初日、連覇を狙う大関・貴景勝が、白星スタートを飾った。
先場所初日に敗れた小結・北勝富士を押し出して雪辱した。
大関として優勝した翌場所は過去2度とも黒星発進だったが、3度目にして“鬼門”を突破。
先場所は11勝4敗での賜杯だったため、綱取り成功にはハイレベルな成績での優勝が求められる中、意味のある白星をつかんだ。
6日の連合稽古を古傷の首の違和感で欠席。
首の状態が心配されていたが、この日の相撲内容に八角理事長は「今日の当たりを見れば、大丈夫だろう」と分析。
大関として過去2度の優勝翌場所は、ともにけがで途中休場しているだけに、慢心は一切ない。
「今日を一生懸命やった人だけが次に進める。その日をやり切った人だけが、次の日に戦う資格がある。そう言い聞かせています」。
初日、霧島が白星スタートを決めた。
西前頭筆頭・宇良に寄り倒しで快勝した。
鹿児島県出身で師匠の陸奥親方のしこ名を継いで初めて迎えた九州場所。
ゆかりのある土俵で好発進した。
3大関が初日そろって白星を挙げるのは、20年11月場所以来(4大関を除く)となった。
「宇良関は最後(土俵際)に変な残り方をする。考えながらやった」と冷静に話した。
白星発進も「一日一日が大事」と浮かれる様子はなかった。
横綱・照ノ富士が休場し、看板力士への期待は大きい。
八角理事長は「落ち着いていた。圧力をかけていて、中に入ってからは慌てなかった。稽古があるから自信もある」と高評価した。
一方で「自分のペースで、自分の相撲で先までいきたい」と語る。
初日、大関2場所目の豊昇龍が、秋場所で負けた正代を突き出して白星スタートを切った。
先場所のことは「負けたけどそれは気にしてない。相撲は勝ち負けが当然なので。負けた相手とか考えてなかった」と硬くなることはなく、「初日だしいい流れをつくりたいと思った。しっかり集中して相撲が取れた」と満足げに振り返っていた。
初日、年間最多勝争いでトップに立つ関脇大栄翔が持ち味を存分に発揮した。
もろ手から突き押しで明生を攻め立てて問題にせず。
「初日としては良かった。出稽古もしてきたし、力がついている」と手応えをにじませた。
この白星で年間52勝目。
今月10日には30歳となり、「応援してくれる人のために頑張りたい」と言葉に力を込めた。
初日、返り三役の小結阿炎が、持ち味全開で快勝発進した。
もろ手突きの立ち合いから、同じ押し相撲の豪ノ山のいなしにもこらえながら、回転の速い突っ張りを出し続けて押し出した。
昨年、貴景勝、高安とのともえ戦の末、初優勝を飾った九州場所で、再び存在感を見せることを予感させるような好内容だった。
錣山部屋付きの立田川親方は、秋場所後に右肘の内視鏡手術を受けたことを、解説を務めたNHKのテレビ中継で明かした。
その上で「1週間ぐらい前から徐々に相撲を取り始め『調子はいい』と言っていたので出ることになった」と、当初は休場も視野に入れていたが、状態を上げて臨んでいたことも付け加えていた。
初日、幕内・北青鵬が隆の勝を破って白星発進とした。
右を差して隆の勝の出足を止めると、相手の出方を待って土俵中央で1分が経過。
2メートル4の長身と長い腕を生かして左上手をつかむと、引き付けてじっくり前に出て最後は両上手で寄り切った。
この日は22歳の誕生日。
「去年は上を目指して少しずつ上がってきた。22歳の年は、6場所全部勝ち越して自分にとって最高の1年にしたい」と決意を新たにした。
この日、父・エンフテブシンさんと母・バルハス・アリューナーさんが北海道から応援に駆けつけ、枡席で観戦。
エンフテブシンさんは「初日だし誕生日だったのでよかったですね」と笑顔で息子の白星を祝福した。
初日、幕内・熱海富士が妙義龍を破って白星発進とした。
立ち合いすぐに右を差して左で抱えて相手の動きを止めると、じっくり前に出て左から豪快な小手投げ。
「右が入ってよかった。落ち着いていたかな」と完勝に笑顔を見せた。
先場所は11勝を挙げて優勝決定戦に進出する大活躍。
今場所は自己最高位の西前頭8枚目まで番付を上げて臨むが「やることは変わらないので」と平常心で自分の相撲を取りきった。
初日、佐田の海が琴恵光とのご当地対決≠ノ快勝した。
この日の観客数は6564人。
昨年の初日には出なかった「満員御礼」の垂れ幕が下がった館内を大いに沸かせた。
鋭い踏み込みから右前まわしをつかみ、左を差してかいなを返しながら寄り倒し。
「起こされると浮いてしまうので、低く当たっていった。初日に勝つと気持ちが乗りやすい。良かった」と喜んだ。
初日、一山本は先場所で自身2度目の十両優勝を飾り、夏場所以来の返り入幕。
突いてくる東白龍に土俵際ではたかれて倒れたが、物言いがつき、東白龍の右足が先に出ていたとして軍配差し違えで白星となった。
「相手は引いてくるので、そこだけ気をつけて我慢しようと思っていた。勝てて良かった」。
けがをすることが多いという九州場所。
「けがをしないように、いい相撲を取れれば」と幕内では初場所以来の勝ち越しを目指す。
初日、沖縄県出身として17年ぶりの新入幕となった30歳の美ノ海(同県うるま市出身)が、同じ新入幕を狼雅を寄り切って、幕内力士としての初白星を飾った。
左前まわしを素早くつかみ、出し投げで攻め、力強く寄った。
「(相手の左)足が土俵を割ったのが分かった」と勝ちを確信して力を抜いたが、取組はそのまま進行。
逆に寄り切られて狼雅に軍配が上がった。
幕内力士として初白星。
「もう中堅の年齢だし、浮足だってはいない。いつもと変わらない」と強調しながらも「(幕内力士だけに許された)専用の座布団に座れたのはうれしかったですね」と笑みを浮かべた。
初日、新入幕の北の若が、23歳の誕生日を幕内初白星で祝った。
けんか四つの錦富士を突き起こすと左上手を引いて得意の右四つをつくり、休まずに攻め続けた。
最後は右のど輪も加えて寄り倒した。
場所前から磨いてきた前に出る力を発揮した。
「相撲のことに集中しすぎて誕生日のことを忘れてました。思い通りの攻めができた」と喜びをかみしめた。
幕内初白星にも浮かれる様子はない。
「明日も切り替えて、1つでも多く白星をつかめるように頑張りたい」。
新型コロナウイルス感染防止対策として、口をつけずに形式的に行われていた大相撲の「力水」の所作が12日、2020年初場所以来、約4年ぶりに再開した。
36歳の佐田の海は先場所までと同じく、口に水を含まずひしゃくを返してしまい「しっかり忘れていた」と苦笑い。
33歳の錦木は「久々すぎて『どうだったっけ』と思った」と戸惑っていた。
コロナ禍以降に関取になった力士にとっては、新鮮だった様子だ。
北青鵬は「ひしゃくに口をつけたのは初めて」と驚きの表情。
新入幕の北の若は「やっと本来の相撲らしい形に戻ってきた。幕内の初日からできたのは感慨深い」としみじみとしていた。
2023/11/12
大関貴景勝が九州場所初日を翌日に控えた11日、福岡・篠栗町の常盤山部屋で最終調整を行った。
福岡入りした後の稽古で首の違和感を訴え状態が心配される中で、この日は相撲は取らず四股やてっぽうといった基礎運動などで汗を流した。
稽古後、集まった報道陣の取材には応じず、無言のまま後にした。
師匠の常盤山親方は「痛いとは本人から絶対言わない。一緒にご飯を食べる時とかに首の状態のことを話している」と愛弟子の体調を気に掛けていた。
関脇・若元春が11日、福岡県須恵町の荒汐部屋で、あす12日に初日を迎える九州場所への最終調整を行った。
本場所で締める黒の締め込み姿で稽古場に現れ、四股などの基礎運動と一丁押しで汗を流した。
番付発表後は時津風部屋や木瀬部屋へ出向いて大関陣ら積極的に稽古。
「豊昇龍関や霧島関とも取れた。(調子は)良いと思います」と好感触を得て「あとは場所で取ってみないと分からない」と気持ちを高めた。
2場所ぶりに三役に復帰した小結阿炎が11日、同じ埼玉県出身の関脇大栄翔、小結北勝富士との三役同士での対戦で連勝を誓った。
2003年九州場所での青森県勢(若の里、高見盛、岩木山)以来となる同一都道府県出身の三役3人の”埼玉ダービー”を制し、大関とり再挑戦の勢いにつなげる。
20年ぶりの記録の当事者となり、声も弾んだ。
「大栄翔関と北勝富士関と一緒に頑張りたいし、負けたくない気持ちはあります。自分のメンタルを支えるというか、スイッチが切れないような状態にするために、そういうのも意識して」。
3人とも突き押しが武器。
真っ向勝負で場所に熱気を注ぎ込む。
東前頭の正代が11日、日本相撲協会の公式X(旧ツイッター)で意気込みを語った。
ご当所となる正代は動画で「九州出身力士として精一杯頑張りますので、応援よろしくお願いします。ぜひ見に来てください」などと述べている。
これに対しファンからは「熱い応援をします!! |ω・`)ガンバッテ!」「いけいけ、正代!」「正代関 同じ熊本出身なので応援しています」などと声が寄せられている。
九州場所は12日から26日まで福岡国際センターで行われる。
鹿児島県出身の幕内明生は11日、福岡県糸島市の立浪部屋で筋力トレーニングなどを行い、最終調整した。
ご当地場所へ向け「頑張らないといけないという気持ちになる。大きな声援を力に変えないといけない」と一層の奮起を期した。
三役返り咲きを狙った先場所は西前頭筆頭で7勝8敗。
「上を倒さないと先は見えてこない」と悔しさを味わった。
初日は過去4勝14敗で「苦手」という関脇大栄翔に挑み「最初に自分の相撲を取れれば、体が動いてくる」と気合を入れた。
1年納めの大相撲九州場所は12日に福岡国際センターで始まる。
照ノ富士は3場所連続休場で横綱不在。
先場所覇者の大関貴景勝が中心の優勝争いは混戦が予想され、霧島、豊昇龍の両大関、大栄翔、若元春、琴ノ若の3関脇に注目が集まる。
貴景勝はハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば、横綱昇進の機運が高まる。
11日は会場で土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方らが出席し、15日間の安全を祈願。
力士は参加しなかったが4年ぶりに一般公開し、約60人が見守った。
昨年同様に観客数の上限は設けず、通常開催で実施する。
2023/11/11
昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は10日、九州場所で2場所連続優勝を目指す大関貴景勝について「変化ではなく、貴景勝らしい突き、押し相撲を見せてほしい」と言及した。
先場所の優勝決定戦で平幕熱海富士を立ち合いの変化で退け、勝ち方が物議を醸していた。
先場所の貴景勝は11勝4敗と低い優勝成績で、綱とりにはハイレベルな成績と内容が求められる。
「審判部としては本当に最後まで見てみないと」と述べるにとどめた。
先場所で10勝の関脇大栄翔は大関昇進に再挑戦。
佐渡ケ嶽部長は若元春、琴ノ若の両関脇も含め「3人並んでいるかなという感じ」と強調した。
関脇・大栄翔が10日、30歳の誕生日を迎え、本紙の取材に応じた。
この日、部屋の稽古は休み。
番付発表後は出稽古を含む連日の激しい稽古で疲労も溜まっており、治療を受けて体をしっかり休めた。
20歳で新十両昇進、21歳で新入幕を果たすなど若い頃から活躍してきた大栄翔は、関取10年目となる今年ついに30代の大台に突入した。
「30か〜。自分が子供の頃は30歳ってすごい大人に見えていたな」としみじみ。
それでもベテランの域に入るのはまだ早く「変わるのは数字だけなので。30だからって急に弱くはならないし、衰えるわけでもない」と心身ともに元気いっぱいだ。
現在、年間最多勝争いの単独首位に立っており、2日後に迫った九州場所の成績次第では大関昇進の可能性もある。
節目の年を迎え「30歳を機に、また一段と強くなりたい」と決意を新たにした。
元大関で、東前頭筆頭の朝乃山が10日、九州場所の休場を決めた。
10月28日の秋巡業で負った左ふくらはぎ肉離れの回復が間に合わなかった。
福岡市中央区の高砂部屋宿舎での稽古後に取材に応じた朝乃山は「痛みが取れれば、出るつもり」と話し、回復次第で途中出場する意向を示した。
朝乃山は日本相撲協会に「左腓腹筋(ひふくきん)損傷で3週間の安静加療を要する」との診断書を提出した。
休場は7月の名古屋場所以来で10度目となる。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止を除き、初日からの休場は初めて。
九州場所(12日初日・福岡国際センター)で4場所ぶりに復帰する元関脇で東幕下6枚目の若隆景(荒汐部屋)は、初日に西幕下6枚目の嘉陽(二所ノ関部屋)との取組が組まれた。
10日の取組編成会議で決まった。
28歳の若隆景は春場所で右膝を痛めて途中休場し、4月に靱帯再建手術を受けていた。
夏場所から3場所連続で全休し、2018年夏場所から守ってきた関取の座を失った。
強烈なおっつけが武器の相撲巧者で、一時は大関候補筆頭の呼び声が高かった。
2023/11/10
横綱・照ノ富士が9日、腰痛のために九州場所の休場を決めた。
師匠の伊勢ケ浜親方が明言した。
休場は3場所連続19度目で2場所連続で初日から横綱が不在となった。
照ノ富士はこの日、福岡県太宰府市の伊勢ケ浜部屋で立ち合いの確認などを行った後に休場を師匠に申し出た。
伊勢ケ浜親方は「ちょっと無理ですね。(膝など)他は調子がいいが、腰だけが悪い。いなされると対処できないし、前に出ると痛みが走る。相撲が取れないからね」と説明した。
照ノ富士の今場所の全休は濃厚で、今年の15日間皆勤は夏場所のみ。
慢性的な膝のケガも抱えており、復帰への道のりはかなり険しいものとなってきた。
大関・霧島が9日、福岡県志免町の時津風部屋に出向き、幕内・正代、錦木、関脇・大栄翔の3人を相手に計17番取った。
最初に正代と5番、次に錦木と3番取ってそれぞれ全勝。
一気の押しやもろ差し速攻で相手を寄せ付けない内容が目立った。
最後に大栄翔と9番取って5勝4敗。
馬力で圧倒される相撲もあったが、まわしを取れば強さは健在だった。
時津風部屋への出稽古は6日連続。
25番、26番、27番、29番、41番と日に日に増やしていったが、この日は少し番数を抑えた。
「昨日、一昨日と良い稽古をしたので。体の様子を見ながらやっている」と理由を説明。
それでも、九州場所まで3日と迫った中での17番は十分な稽古量と言えるだろう。
秋場所で優勝同点の西前頭8枚目の熱海富士が、充実の調整で九州場所に挑む。
9日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋で稽古。
本場所初日に向けて「いつも通り良い感じできている」と手応えを口にした。
「巡業に出ていた分、番数はできていないですけど」と振り返る表情からは、トレードマークの笑顔が自然とこぼれた。
「いろんな人とできた」という普段の稽古場とは違う環境で大きな刺激を受けたことも明かした。
福岡入りした後は同部屋の関取衆らと相撲を取りながらコンディションを上げてきた。
普段より番数は少ないが、「一番、一番濃いんで」と、考えて取る相撲で満足した調整が詰めている様子だった。
西前頭16枚目の錦富士が、10月中旬に双子の男児が生まれたことを報告した。
9日、福岡・太宰府市の伊勢ケ浜部屋での稽古後に取材に応じ、秋巡業中の10月13日に誕生したことを明かした。
「コロナ禍で立ち会うことはできなかったんですけど、看護師さんから『元気に生まれてくれました』と連絡がきて。本当にかわいいすね」とメロメロだった。
父として初めて迎える本場所は「いつもと変わらないけど、今までよりも活力的なものはある。体が辛い時にも頑張らないといけないと思う」。
3場所連続2桁黒星を喫している中で、支えてくれる家族のためにも12日に初日を迎える年納めの九州場所で巻き返しを誓った。
元横綱の北の富士勝昭さん(81)がNHKの大相撲九州場所(12日初日、福岡国際センター)のテレビ中継の解説を“全休”することになった。
9日、同局の広報担当者が明らかにした。
“休場”は春場所、夏場所、名古屋場所、秋場所に続き5場所連続となった。
同局の大相撲の公式サイトには、初日のテレビ解説は正面が舞の海秀平さん、向正面は立田川親方(元小結豊真将)が務めると記載され、北の富士さんの名がなかった。
“休場”理由について、同局広報担当者は「個人に関することなので、こちらからお伝えできることはありません」と話した。
2023/11/09
横綱照ノ富士が12日に初日を迎える九州場所を休場することが9日、決まった。
報道陣の取材に応じた師匠の伊勢ケ浜親方は「(出場は)無理ですね。腰が痛くて前に出る相撲が取れない」と説明。
照ノ富士の休場は3場所連続通算19度目で、横綱昇進後は在位14場所で8度目の休場となった。
名古屋場所、秋場所と腰のケガの悪化などで休場し、後に腰骨の一部が折れていたことが判明。
途中合流した秋巡業では終盤に申し合いに参加するなど、徐々に調整のペースを上げて福岡入りしていた。
持病の糖尿病も両膝も問題なかったというが、やはり腰だけは不安を拭いきれなかった。
同親方によると、この日の朝稽古で2人で出場可否について話し合い、3場所連続の休場を決断した。
2023/11/09
8日、痛みを抱える腰の治療のため、福岡県太宰府市での伊勢ケ浜部屋の朝稽古を休んだ。
九州場所の出場可否について、師匠の伊勢ケ浜親方は「検査結果と9日の稽古の状況で最終判断する。出るか出ないかは本人次第」とした。
照ノ富士は名古屋場所を途中休場し、秋場所は全休。
腰骨の一部が折れていたことも判明した。
両膝には古傷を抱えるが、師匠は「腰以外は全て調子がいいと言っている。それだけにもどかしいところだろう」と話す。
福岡入り後は3日に1度ほどの頻度で通院しているという。
照ノ富士は10月13日の秋巡業から途中合流。
終盤には申し合いに参加するなど、徐々に調整のペースを上げていた。
今場所も休場となれば、今年の15日間皆勤は8度目の優勝を遂げた夏場所だけとなる。
大関3場所目の霧島は、福岡県志免町の時津風部屋へ出稽古し、大栄翔と若元春の両関脇らと41番連続の猛稽古だった。
所属する陸奥部屋の稽古休みを返上し「ここで休んだら最初の状態に戻ってしまう。こんなにやったよ、という気持ちになれる。体力的には50番ぐらいやりたかった」と充実の汗。
36勝5敗と圧倒した。
7日は29番取ったそうで、2日間で最近の角界では出色の計70番。
大関でまだ2桁勝利を挙げておらず「調子は上がってきた」と張り切っていた。
大栄翔と若元春の両関脇は8日、福岡県志免町の時津風部屋に出稽古し、大関霧島らと申し合いを繰り広げた。
大栄翔は計24番。
今場所は大関昇進と首位の年間最多勝も懸かる。
好不調の波が消え、今年は5場所全て勝ち越しと安定感がある。
「連敗は少なくなってきた。一番一番の積み重ね」と手応えをつかんでいる。
2場所連続9勝止まりの若元春は計23番こなし、今場所へ「絶対に2桁はクリアしないといけない」と意欲十分。
10月に30歳を迎え「この地位にしがみつくのではなく、もう一個上にいきたい」と闘志を燃やした。
幕内・北青鵬が8日、福岡・志免町にある時津風部屋に出稽古した。
申し合いでは十両・時疾風、幕内・正代(ともに時津風)、錦木(伊勢ノ海)、関脇・大栄翔(追手風)、若元春(荒汐)を相手に計12番。
3勝9敗と負けが先行したが、「体は動いてなくはない。(状態は)いつも通りですね。内容というか動きを重視しています」と、うなずいた。
秋巡業は古傷の右膝の内側側副靱帯(じんたい)損傷で途中離脱となったが、22歳の誕生日と重なる九州場所初日に向けては順調に調整を進めている。
一年納めの九州場所へ「まずは勝ち越して、2桁勝てるように頑張りたい」と言葉に力を込めた。
先場所は優勝同点の大活躍をみせた幕内熱海富士は、伊勢ケ浜部屋で幕内翠富士らと22番取った。
全体稽古終了後には、居残って立ち合いの動きを確認。
「稽古中にはできないことなので。いつも場所前にはやっている」と話した。
自己最高位の西前頭8枚目で迎える幕内3場所目に向け「弱い人はいない。全員が強い」と気合を入れた。
カルビー(東京都千代田区)は、11月12日から福岡市内で始まる大相撲九州場所を盛り上げるため、各相撲部屋に「ポテトチップス 九州しょうゆ」30ケース(360袋)などを贈呈し、親方による試食会を行った。
試食会で不知火親方は、「九州へ来るたびに買ってしまう」とにんまり。
小野川親方も、「場所を観戦しながら食べてほしい」と期待を込めた。
同社九州支店長の興津智幸さんは「相撲協会とタイアップして、九州場所を盛り上げたい」と話した。
2023/11/08
首に違和感を訴えた大関貴景勝は7日、福岡県篠栗町の常盤山部屋で幕内隆の勝と8番取り、6勝2敗だった。
6日は二所ノ関一門の連合稽古を欠席。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば、横綱昇進の話題が浮上しそうな九州場所への影響が懸念される中、まずまずの動きを見せた。
本人は取材に応じず、師匠の常盤山親方は「状態がいいとは言えないが、完全に休んでしまうと、体をつくり直さないといけない。慎重に考えながらやっている」と語った。
大関・霧島が7日、福岡県志免町の時津風部屋に出向き、幕内・正代と関脇・大栄翔を相手に計29番取った。
まずは正代と6番取って5勝1敗。
そして大栄翔と23番取って17勝6敗。
時間にして約45分間、疲れを見せずに最後は8連勝するなど無尽蔵のスタミナで休みなく相撲を取り続けた。
「大栄翔とは久しぶりで、最後まで力を出して良い稽古になった」と充実感を示した。
連日30番近い猛稽古。九州場所へ向けて調整は順調に見えるが、本人の中ではまだもの足りないという。
「稽古で勝てない時があって調子良くない。調子を戻すには稽古しかない。稽古が足りないと思って、毎日30番ぐらいやれたらいい」とさらなるペースアップを見据えた。
3場所連続で大関昇進に挑む関脇大栄翔は豊昇龍、若元春と3人同時昇進の可能性があった名古屋場所ほど重圧を感じていない。
目安とされる直近3場所合計33勝に14勝が必要で「常に目指してはいるが、前みたいにしっかりと懸かっているわけではない。いつも通りやる」と自然体で臨む。
先場所前は右肋骨(ろっこつ)骨折の影響から急ピッチでの調整を強いられた。
今場所は福岡市西区の追手風部屋で始動した日から幕内翔猿、遠藤らと16番取る充実ぶり。
「前と比べるとしっかりできている」と出足も鋭かった。
今場所直前の10日に30歳の誕生日を迎える。
「変わるのは数字ぐらい。体が急に落ちるわけではない」と意識しない。
2度目の賜杯となれば昇進ムードも高まりそうで、節目の年に大きな夢をつかみたい。
幕内・正代が7日、福岡県志免町の時津風部屋で12番の申し合い稽古を行った。
まずは関取衆の申し合いに参加し、出稽古に訪れた関脇・大栄翔、幕内・北青鵬、弟弟子の十両・時疾風の3人を相手に6番。
その後、大関・霧島に指名されて連続で6番取って1勝5敗だった。
霧島と肌を合わせるのは4日連続で「出稽古に来ていただいているので助かります」と感謝。
ここまでの調整は「順調な方かな」と好感触を得た。
5日に32歳の誕生日を迎え、この日は稽古を見守った鶴竜親方から祝福と激励の言葉を受けた。
熊本県出身の正代にとって、三役復帰目前の東前頭2枚目で臨む九州場所はご当所。
10年目の地元場所へ「良い成績を残せたら番付もついてくる。しっかり初日に合わせて調整できたら」と意気込んだ。
御嶽海ら出羽海部屋の関係者が4日、小城市芦刈町を訪れ、県内の子どもたちと交流した。
ぶつかり稽古で4人がかりの押しに御嶽海が土俵を割ると、見守った父母やファンから歓声が沸いた。
同市三日月町出身の元関脇、初代小城ノ花が出羽海部屋に所属し、現在は長男の二代目小城ノ花が11代親方を務めていることを縁に交流が続いている。
子どもたちとの交流は新型コロナ禍の影響で4年ぶり。
小中一貫校・芦刈観瀾(かんらん)校の相撲場での交流会には小学1年から高校2年までの18人が参加。
出羽海親方の弟の中立親方が四股の踏み方やすり足などの基本を教えた。
ぶつかり稽古では御嶽海と三段目の小城ノ正が胸を出し、土俵際まで攻め込む子どもに「下からもう一押し」などと声をかけた。
交流後には御嶽海らと記念写真に収まるファンサービスも。
主催の市相撲連盟や後援会の関係者は「小城と縁のある部屋なので、九州場所では頑張ってほしい」と話した。
日本相撲協会の枝川親方が7日、横浜市役所を訪れ、来年春の巡業で「横浜アリーナ場所」を行うことが決まったと、山中市長に報告しました。
来年春に開催される巡業「大相撲横浜アリーナ場所」。
人気の現役力士たちの迫力ある取組のほか、公開稽古や客とのふれあいなど、本場所では見られない催しが丸1日行われます。
2023/11/07
横綱・照ノ富士関が5日、福岡県添田町の英彦山神宮で土俵入りを奉納した。
同神宮での土俵入りは初めて。
周辺地域で近年、豪雨などによる災害が相次いでいるため、「四股を踏んで災厄を防ぐ地固めを」と企画された。太刀持ちに翠富士関、露払いに熱海富士関を従えた照ノ富士関が不知火型を披露すると、約600人の観衆から「よいしょ」とかけ声が上がった。
行橋市から家族で訪れた飲食店経営者は「すごい迫力だった。九州場所の活躍に期待したい」と話していた。
大関貴景勝が6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われた二所ノ関一門の連合稽古を首の違和感で欠席した。
師匠の常盤山親方によると、5日夜に本人から申し出があった。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝を果たせば横綱昇進の話題が浮上しそうな九州場所に向け調整への影響が懸念される。
常盤山親方は「福岡に入ってから痛めた。場所が近いし、無理はさせられない。初日に合わせてくれたら」と説明。
貴景勝は5日の連合稽古で11番取ったが、稽古中に古傷を抱える首を気にするそぶりも見せていた。
二所ノ関一門による連合稽古が6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われ、関脇琴ノ若は一門外から参加した幕内豪ノ山らを相手に15番連続で取り、11勝4敗だった。
九州場所に向けて順調な仕上がりぶりを披露し、「いろんな動きができた」と手応えを口にした。
初場所の新三役から5場所連続で勝ち越し。
大関候補として期待が高まる中、「出るからには優勝を狙わないといけない。どんな時もチャンスがあると思ってやっていく」と気合十分だった。
朝乃山が6日、福岡市中央区の高砂部屋で九州場所へ向けた調整稽古を行った。
秋巡業終盤の10月28日に左ふくらはぎを肉離れ。
この日は「まだ足がダメなので、負担にならないように」と上半身のトレーニングに終始した。
初日まで1週間を切ったが、回復はそれほど順調でない様子。
「最初は良い方向だったけど、そこで止まってしまっている。稽古ができていないので不安しかない」。
三役復帰目前の東前頭筆頭まで番付を上げて迎える九州場所へ、複雑な胸中を吐露した。
西前頭筆頭・宇良が2日、福岡市東区の木瀬部屋で出稽古に来た新入幕の東白龍らと計9番の申し合いを行った。
4勝止まりだった昨年春場所以来の自己最高位で臨む九州場所。
「新三役とか筆頭とかどうでもいい。上位と勝負できた感覚が欲しい」と目前まで来た新三役への意識はない。
2年前に唯一の三賞の技能賞を獲得した九州場所。
「九州は好きです。過ごしやすい気候になってきた」。
押しを磨いて、成長した姿をお披露目する場とする。
九州場所を前に、熊本県出身の元大関で幕内正代は6日、ご当地場所へ向け「一番意識している場所。応援を力に変えたい」と強い意欲を示した。
東前頭2枚目で臨み「新年を三役で迎えると気持ちも引き締まる」と気迫十分。
福岡県志免町の時津風部屋で出稽古に訪れた幕内錦木らと13番取り、出足の鋭さが光った。
新小結の先場所は5勝10敗だった錦木は「自分が弱かっただけ」と受け止める。
平幕から出直しとなり「ここから。けがをせず、まずは勝ち越しを目指す」と巻き返しを期した。
幕内・翔猿が1日、福岡市西区の追手風部屋で14番の申し合い稽古を行った。
関脇・大栄翔、幕内・遠藤、剣翔、十両・大奄美の4人を相手に4勝10敗。
実戦稽古が久々だったため「まだまだ相撲勘が戻ってない」と慣らしながらだったが、素速く動いて中に入ったり引き落としを決めたりと随所に持ち味を見せた。
11日後に迫った九州場所へ、ここからさらに調子を上げていく。
出羽海一門の幕内豪ノ山は6日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋での二所ノ関一門による連合稽古で13番取った。
大相撲九州場所に備え、2日続けて参加し「師匠(武隈親方=元大関豪栄道)に出稽古したいと伝えたら、連合稽古に行けばいいと言われた。いろいろな関取衆とできて良かった」とうなずいた。
入幕3場所目で東前頭4枚目に躍進し、上位陣との対戦も予想される。
稽古熱心な25歳のホープは「挑戦という気持ちではなく、しっかり勝つという気持ちで臨みたい」と頼もしかった。
九州場所の新弟子検査が6日、福岡市内で行われ、今年の全国高校総体個人3位で青森・五所川原農林高の長谷川力響(17)=青森県出身、安治川部屋=ら受検した3人が身長167センチ以上、体重67キロ以上の体格基準を満たした。
内臓検査の結果を待ち、初日に合格者が発表される。
協会の制度改定で長谷川は三段目最下位格付け出し資格を得ていたが、前相撲から初土俵を踏む意向。
検査は183センチ、131キロでパスした。
三段目最下位格付け出しを選ばなかった長谷川は「特に悩まなかった。いずれにしても自分の力をつけていかないと駄目なので、前相撲からでも遅くないと思った」と異例の決断に至った経緯を説明した。
右四つ、寄りが得意で、憧れは同じ青森県出身で師匠の安治川親方(元関脇安美錦)と即答。
付け出し対象の全国高校総体個人3位は、制度改定の9月下旬から1カ月以上前だった。
「もともと前相撲から取るつもりだったので、変えずにやろうと考えた。4年後には十両まで上がっていたい」と目標を語った。
今年の新弟子検査合格者は最大で53人にとどまり、年6場所制となった1958年以降では2012年の56人を下回って最少となった。
2023/11/06
腰痛などで2場所連続休場中の大相撲の横綱照ノ富士は3日、福岡・太宰府市の部屋での稽古後「(腰の)痛みはあるが、動きは徐々に良くなっていると思う。様子を見ながらやってみて」と話した。
九州場所について師匠の伊勢ケ浜親方は「もちろん出るつもりでやっている。痛みなどは本人しか分からないが自分なりに調整するしかない」と話した。
この日はスクワットなどで汗を流してから、幕内宝富士と11番取り全勝。
右四つからの寄りや、左巻き替えからのもろ差しも試した。
九州場所に向けた二所ノ関一門の連合稽古が5日、福岡市東区の佐渡ケ嶽部屋で行われ、先場所覇者の大関貴景勝は関脇琴ノ若、幕内王鵬と11番取り、8勝3敗だった。
一方的に押し込む相撲がなく、はたく内容が多かった。
古傷の首を気にするそぶりも見せたが「いつも通り普通の調整。毎日集中して取り組み、頑張った先に結果がある」と話した。
ハイレベルな成績で2場所連続優勝となれば、横綱昇進のムードは高まる。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の佐渡ケ嶽部長からは「しっかり当たれていたし、集中すれば本場所でも力は出せると思う」とエールを送られた。
九州場所で大関3場所目を迎える霧島は2日、福岡市南区の陸奥部屋で出稽古に訪れた小結北勝富士、新入幕の北の若と計13番、熱のこもった稽古を繰り広げた。
昇進後は2桁勝利がなく、秋場所も9勝止まり。
「先場所はもう終わった。これから」と気持ちを新たにした。
鹿児島県出身の師匠、陸奥親方は来年4月に日本相撲協会の定年を迎えるため、最後の九州場所となる。
この日は焼酎最大手の霧島酒造(宮崎県都城市)から紫色を基調とした化粧まわしを贈られ「自分にできることは1つしかない」と2度目の賜杯へ気持ちを高めた。
九州場所に向け、大関・豊昇龍が福岡・糸島市内にある宿舎で幕内・明生(ともに立浪)らと申し合いの稽古を20番行って13勝。
福岡入り後、初めて相撲を取ったというが、明生との一番では押し込まれて土俵際まで追い込まれた。
大関昇進に再び挑む関脇大栄翔は福岡市内で精力的に幕内翔猿、遠藤らと16番取り、12勝4敗とした。
先場所前の稽古は右肋骨(ろっこつ)骨折の影響から急ピッチでの調整となっただけに「このままの調子で場所に臨みたい」と充実の表情だった。
21場所ぶりに三役へ復帰した北勝富士が2日、福岡市南区の陸奥部屋へ出稽古した。
大関霧島とは4番取って1勝だったが「(勝った一番は)しぶとくしぶとく取れた。一番でもああいう相撲があれば。量より質です。それに最近気づきました」と内容にこだわった稽古をやっている。
「20番も30番も稽古できないので。すぐ体が痛くなるし。若くないところを逆に利用して」と話すが、場所中に31歳の誕生日を迎えた今年の名古屋場所では、敗れはしたが豊昇龍と優勝決定戦で賜杯を争った。
三役は通算4場所目。過去3場所は負け越しているが、年齢をうまくカバーしながら、まずは三役初勝ち越しを目指していく。
元大関朝潮で先代高砂親方の長岡末弘さんが67歳で死去したことを受けて4日、高砂部屋の部屋頭の幕内朝乃山が、福岡市中央区の部屋宿舎で取材対応。
入門時の師匠の最後の教え「前に出ろ」を胸に、九州場所での活躍を誓った。
入門時の師匠との別れに、朝乃山はうなだれた。
それでも、場所は待ってくれない。
先代高砂親方の訃報を2日に聞いた。
黙とうをささげ、最後の教えを胸に前を向いた。
三役復帰を手繰り寄せ、手向けにしたい。
秋場所で11勝を挙げ、優勝決定戦に進出した幕内熱海富士(21)が3日、福岡県太宰府の伊勢ケ浜部屋宿舎での朝稽古で翠富士ら関取衆との申し合いを行い、九州場所に向けた最終調整をスタート。
「もっとできる。前に出たい」と取り口の課題を挙げた。
秋場所の大活躍もあって、稽古後は大勢のファンに囲まれて記念撮影で笑顔を振りまいたが、自己最高位の西前頭8枚目で迎える九州場所の話題になると「足りないところばかりです」と、表情を引き締めた。
関取衆が多い環境を生かし、出稽古ではなく部屋で番数を重ねていくという。
30日、九州場所の番付を発表し、28歳の友風は右脚切断の危機を乗り越え、宇良に次いで史上2番目に低い地位から4年ぶりの再入幕を果たした。
幕内上位の2019年九州場所で右膝を負傷。
断裂した前十字靱帯の再建など4度の手術を受け、西序二段55枚目まで下がった。
秋場所中には「うれしいというよりも、いろいろな人に感謝の思いしかない」と語っていた。
現在も右脚の感覚は鈍く、土俵上でつまずきそうになることもある。
昨年2月に尾車部屋の閉鎖に伴い、元横綱稀勢の里が率いる二所ノ関部屋に移籍。
師匠にとって、21年8月の独立から初の幕内力士となった。
東洋大相撲部出身の東白龍が入門から4年半かけて新入幕。
「素直にうれしい」と?をゆるめた。
大関貴景勝とは同学年で、専大松戸相撲部時代は埼玉栄の貴景勝と何度も対戦した経験がある。
「6、7回やっていると思います」。
ただ勝ったのは1回だけ。
まだ番付は離されているが幕内という同じ舞台まで上がってきた。
「早く対戦できるように頑張りたい」と気合を入れた。
30日、九州場所の新番付を発表し、沖縄県うるま市出身の美(ちゅら)ノ海が新入幕を果たした。
十両から西前頭15枚目に昇進した。
沖縄県出身の幕内力士誕生は2006年秋場所の琉鵬以来17年ぶり5人目となる。
30日、新入幕を遂げた狼雅が福岡県飯塚市の二子山部屋宿舎で記者会見し、番付表に載った自身のしこ名を見て、「すごく大きく、ちゃんと見える。うれしい」と感慨深げに語った。
ロシア出身の24歳。
初土俵から十両昇進まで4年を費やしたが、入幕は1年で達成。
「いつも師匠に言われているので、攻める相撲を毎日考えながら取っていた」と振り返り、今場所の目標に「2桁(白星)」を掲げた。
二子山親方は、2018年に独立してから初の幕内力士が誕生。
「しっかり稽古もしている。問題ない」と活躍に太鼓判を押した。
30日、大相撲九州場所の番付を発表し、新入幕の北の若は、解説やコラムなど”休場”が続く北の富士勝昭さん(元横綱)からしこ名の一部「北の」を授かった孫弟子として、元気づける活躍を誓った。
東白龍、美ノ海、狼雅を含め、新入幕4人は2013年夏場所以来、10年ぶり。
恩人に満足してもらうため、新入幕はスタート地点に過ぎない。
北の若は、福岡市南区の八角部屋宿舎で会見し、師匠の八角親方の師匠・北の富士勝昭さんの孫弟子として「もっともっと、元気になってもらえるように」と活躍を誓った。
大相撲の元大関・朝潮の長岡末弘さんが67歳で亡くなってことがわかってから一夜明けた4日、都内の高砂部屋前で恵夫人が取材に応じた。
長岡さんは、2日に小腸がんのため自宅で息を引き取ったことを明かし「(長岡さんが)外にいることが多くて、家族でじっくりといることは少なかったので、今は家族で静かに。
2023/09/25
千秋楽、11勝4敗で並んだ大関・貴景勝が、前頭十五枚目・熱海富士との優勝決定戦を制して、4場所ぶり4度目の優勝を飾った。
優勝インタビューでは「絶対負けられないという、強い気持ちでやりました」と優勝決定戦について振り返った。
千秋楽まで熱海富士を星の差1つで追いかける展開となったが、熱海富士が敗れたことで、再びチャンスが巡ってきた。
本割でしっかりと関脇・大栄翔を下し、迎えた優勝決定戦では、立ち会いで左に変化してのはたき込み。
注文相撲は賛否を呼んだが、大関の役目を果たした。
新大関の豊昇龍は千秋楽で給金を直し、来場所のかど番を免れた。
204センチの北青鵬との一番。
中に入ると、足技で崩してから左で渡し込み、優勝の可能性を残していた21歳を転がした。
9日目に6敗。
苦しい状況から終盤で意地を見せた。
「勝ち越せてよかった。勉強になった。来場所に向けて、この気持ちを忘れないようにしたい」と静かに言った。
千秋楽、大栄翔は優勝決定戦進出が懸かった一番で、貴景勝との真っ向勝負に敗れた。
頭で当たり合って正面から激しい押し合い。
「ここが(大関との)差なのかな。弱い部分が出た」と潔く負けを認めた。
名古屋場所中に肋骨を骨折した影響で、場所前に十分な稽古ができなかった中での2桁勝利。
大関獲りにつながる成績を残し「もっともっと稽古して強くなりたい」と悔しさをこらえながら言葉に力を込めた。
千秋楽、朝乃山が優勝争いの先頭に立っていた熱海富士に快勝した。
右の相四つの相手に左からおっつけて組む。
力強く寄り切り、「やることは変わらない。圧力をかけて、攻める気持ちだった」。
西前頭2枚目で9勝6敗。
三役復帰を目指す元大関は来場所に向けて、「稽古をして、しっかりけがを治して、準備したい」と闘志を燃やした。
千秋楽、逆転優勝を目指した高安は結びで霧島の引き落としであっけなく前に落ち10勝5敗に終わった。
支度部屋では表情は穏やかだったが言葉は少なめ。
千秋楽まで優勝を争うのは8度目で「精いっぱいやりました」と淡々と振り返った。
腰などに不安を抱えながらの15日間。改めて力のあるところは証明した。
「来場所に向けてもっと努力していきたい」。
悲願の優勝へ決して諦めない姿勢を示した。
千秋楽、平幕の北青鵬は渡し込みで豊昇龍に敗れ、千秋楽まで優勝を争った15日間の戦いを10勝5敗で終えた。
6日目まで2勝4敗と黒星先行させながら、その後に8連勝。
「13日目まであんまり意識することなかったですけど、14日目に勝って意識しました」という。
優勝は逃したが204センチのリーチを生かした四つ相撲は驚異。
「まわしを取れば通用すると思ってます。右上手、右下手を引く稽古をしていきたいです」と自分の型に磨きをかけていく。
千秋楽、東前頭15枚目・熱海富士は賜杯にあと一歩、届かなかった。
本割で大関経験者の西前頭2枚目・朝乃山に寄り切られると、4敗で並んだ大関・貴景勝との優勝決定戦では変化され、はたき込まれた。
初土俵から18場所目での初Vなら年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下、三段目付け出しを除く)では最速記録だったが、及ばず。
記録ずくめの賜杯は来場所以降へお預けとなった。
「(決定戦は)入門してから横綱が取っているのを見てきたし、自分があの場に立てていることを、昔の自分に言いたいですね。勝ちたかったです。目の前にあったんですけどね。本割も決定戦も…悔しいです」
この日は母・武井奈緒さんと、妹・陽奈さんも館内から見守った。
本割の取組前には花道モニターに映った家族2人の姿を確認。
悲願の瞬間を見せたかったが、あと一歩及ばず、「勝ちたかったですね。ダメですね」と唇をかんだ。
史上まれに見る大混戦場所で、一番の存在感を見せた平幕は幕内2場所目で初の敢闘賞に輝いた。
「評価していただけたことはうれしい」。
そう言ったが悔しさは顔に出た。
それでも最後は「稽古が足らないですね。やることがいっぱいある。相撲人生は長いので、強くなりたいです」と顔を上げた。
千秋楽、十両は西7枚目の一山本が13勝2敗で制した。
新十両で元アマ横綱の大の里と2敗で並んでいたが、本割で大奄美を押し出し、大の里は狼雅に敗れたため、21年九州場所以来の2度目の十両優勝が決まった。
名古屋場所で左膝を傷め5日目から途中休場も8日目から再出場。
治療しながらも実戦を重ね、稽古を積んできた。
今場所は優勝よりも再入幕を意識して戦ってきた。
師匠からは「守りに入るな」とアドバイスされた。
「今日は攻めて相撲が取れたので良かった」と満足そうに言った。
石川が生んだ大器が関取デビュー場所でその片鱗(へんりん)を存分に見せつけた。
大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は十両で一番下の番付ながら初日から9連勝と快進撃を続け、12個の白星を並べた。
破壊力抜群の突き、押しで圧倒する相撲はファンの目を奪い、日に日に大きくなる声援に大の里は「15日間、土俵入りの時から歓声を感じていた。応援してもらえてありがたかった」と感謝を口にした。
狼雅に投げられ、土俵下に転がり落ちた大の里は土俵に手をついて下を向き、険しい表情を浮かべた。
十両トップで並んでいた一山本は先に13勝目を挙げていたが、結果は見ずに土俵へ。
「自分の一番のことだけを考えて相撲を取った」ものの、優勝にはわずかに届かなかった。
取組後は「気にしていない。勝ち越しが目標だったので」と吹っ切れた様子。
新十両の場所としては十分な成績で、体格を生かした相撲は角界内外に「怪物ぶり」を印象付けた。
日本相撲協会は24日、大相撲秋場所の懸賞本数が2325本となり、過去最多だった2018年秋場所の2160本を上回ったと発表した。
千秋楽には204本の懸賞がつき、今場所初日の198本を超え、1日の総数として最多を更新した。
15日間を通して館内に「満員御礼」の垂れ幕が下りる盛況。
八角理事長(元横綱北勝海)は「低い優勝争いになったが、力士は一生懸命やっている。お客さんに喜んでもらえる一番一番の相撲を取った」と話した。
2023/09/24
14日目、大関・貴景勝が新大関・豊昇龍に敗れ、首位から陥落した。
立ち合いから低く当たり突っ張るも、豊昇龍をとらえきれなかった。
距離を縮められず回り込まれると、左腕を抱えられて転がされた。
連勝が5で止まり、「負けなので、それがすべて」と短い言葉で悔しさを押し殺した。慎重にいったかとの問いには「結果論ですね。出来なかったイコール弱い。強くなるしかない」と受け流した。
逆転優勝へ貴景勝は「切り替えではなく、やることはやっている。明日また集中していきたい」と意気込んだ。
14日目、新大関豊昇龍が、大関貴景勝を上手投げで破り、星を7勝7敗の五分で千秋楽を迎える。
「しっかり集中してやろうと思った。(相手は)はたいてくるんで気をつけていった。勝って、何よりよかったです」
立ち合いから突き放し、タイミングで引き技を繰り出してくる貴景勝のパターンを読み切っていた。負ければかど番となる、大きな一番となる千秋楽。
「しっかりあと一番、集中してとりたいです」と自らに気合を注入した。
14日目、関脇大栄翔が捨て身の小手投げで霧島を破り、10勝4敗で優勝争いに残った。
霧島にもろ差しを許す絶体絶命のピンチだったが「攻めるしかないと。(小手投げは)とっさに出ました。(稽古場でも)ないですね」。
これで2桁にも乗せた。
大関昇進を目標に掲げる大栄翔にとって「2桁勝てたことはよかった」と1つの課題をクリア。
千秋楽の貴景勝戦に思い切り臨むことができる。
14日目、琴ノ若が苦しみながら新関脇での勝ち越しを決めた。
金峰山の出足に土俵際へ後退し、左上手投げで逆転。
「勝ち越しはうれしいけど、内容的にはそんなに…」と表情はさえなかった。
先場所の11勝に続く2桁勝利で大関昇進の足固めが期待されていた。
25歳のホープは目標に届かず「地力がなかった。相手がどうこうというより、自分の内容が大事」と反省の言葉を並べた。
それでも三役では5場所連続勝ち越しをマークし、安定感の高さを証明。
「自分にできることを見つめ直す。生まれ変わるくらいの気持ちでもう一回やる」と意気込む。
千秋楽を締めくくり、来場所へつなげたい。
14日目、元大関で東前頭7枚目の高安が千秋楽まで優勝争いに食らいついた。
動きのある翔猿を「よく見て相撲が取れました。手を休めなかったのがよかったですね」と冷静に対処。
勝負どころとみるや、すかさず攻勢に転じて送り出した。
トップの熱海富士とは1差。
千秋楽結びの一番で組まれた霧島との対戦に勝てば、熱海富士の結果次第で優勝のチャンスが巡ってくる。
高安は「もうないでしょー」と優勝への意識はまったくない。
それよりも「明日の千秋楽はいい相撲を取りたい。それだけですね」と内容にこだわっている。
9日目まで1敗を守っていたが、その後にぎっくり腰を発症して失速した。
この日も「あれが全力です。持てる力を使いました」と話したが、残り1日。初Vへすべてを出し尽くす。
14日目、平幕の北青鵬が10勝目を挙げ、初の幕内2桁勝利で逆転優勝に望みをつないだ。
立ち合いで得意の右四つになり、剣翔に何もさせずに寄り切り。
連勝を8に伸ばして「いい感じ。ここまで来たら(優勝を)意識することもあるが、誰が相手でも自分の相撲を最後までやりたい」
千秋楽は「これより三役」に抜てきされ、初の大関戦で豊昇龍に挑戦する。
14日目、東前頭15枚目・熱海富士が初優勝に王手をかけた。
同2枚目・阿炎を寄り切って3敗を死守。
並走していた大関・貴景勝が4敗に後退したため、再び単独トップに立った。
千秋楽で西前頭2枚目・朝乃山に勝てば、年6場所制となった1958年以降初土俵(幕下、三段目付け出しは除く)で最速となる初土俵から18場所目での優勝が決まる。
4勝止まりだった新入幕場所から一転、5場所ぶりに返り咲いた幕内2場所目で躍進する新鋭は「やっと、あと一番。長かったです。(優勝の意識は)まだ番付が下なので、意識することもない。場所がようやく終わりますね」と一息。
語る姿は悠然としたもの。
109年ぶり2人目となる十両、幕内の連続Vへ―。
14日目、新十両の大の里が、再び十両優勝争いの先頭に並び、千秋楽を迎えることになった。
立ち合いで東白龍を突き放すと、左1本で押し、そのまま腕を伸ばして土俵下まで押し倒した。
12勝2敗とすると、その後の取組で1敗だった一山本が敗れて2敗に後退。
12日目に2敗目を喫してから、一山本を1差で追っていた大の里が、再度トップに並んだ。
2人に続くのは4敗の友風だけに、十両優勝は大の里と一山本に絞られた。
取組後は「いい相撲だったかなと思う」と、納得の表情で振り返った。
帰り支度の最中だったが、一山本が敗れたことは支度部屋内のテレビで確認したというが「あまり気にせんと、明日で15日間が終わるので、明日の対戦相手のことだけを考えたい」と、無欲を強調した。
2023/09/23
13日目、霧島が豊昇龍との大関対決を制し、かど番を脱出した。
立ち合いで左に動いて右四つで組み、土俵際まで攻め立ててから上手投げで仕留めた。
「差してくると思って、ずれていった。差されたら何もできない」。
狙い通りだった。
優勝争いには絡めていないが、「自分の相撲を取ることを考える。思い切りいくしかない」。
残り2日、看板力士としての意地を見せる。
13日目、ついに捉えた!
大関貴景勝が、1差で追っていた東前頭15枚目の熱海富士を破り、5連勝で10勝3敗として優勝争いの先頭に並んだ。
大一番で攻め続け、最後は体を預けて寄り切った。
押し相撲の貴景勝が寄り切りで勝つのは全416勝のうち、わずか6度目。
4度目の優勝へ、気迫で白星をつかんだ。
取組後、大関の意地について問われると「どんな相手でも一生懸命やるだけで特にない」と、淡々と語った。
番付の重み、若手の壁になる思いは「周りが言っているだけで、結果的にそうなるようにしてきた。集中してやり切ることが、相撲につながる」と続けた。
13日目、大栄翔が激しい押し合いを制して4敗を守った。
埼玉栄高の5年後輩にあたる豪ノ山に顔を張られる場面もあったが、冷静に押し込んでからのはたき込み。
前日の熱海富士戦に続き、初挑戦の若手を退けた。
7日目から7連勝で「気持ちも乗っている」と勢いは止まらない。
大関獲り継続や逆転優勝の可能性もある残り2日へ「2桁以上勝ちたい。しっかりやっていきたい」と闘志を燃やした。
13日目、関脇の若元春は、剣翔の形になっても負けなかった。
立ち合いで張られ、自身の得意とは逆の右四つで組んでも、まわしを引きつけて攻める。
出し投げで崩してから寄り切り、「大きい相手だが、押し込まれなかった」。
鼻から血をしたたらせ、勝ち名乗りを受けた。
3連敗後の2連勝で、7場所続けて給金を直した。
「勝ち越しで満足せずに。まだあるので、自分らしい相撲を取れるように」と先を見据えた。
13日目、西前頭2枚目の朝乃山は東前頭11枚目の御嶽海との元大関対決を制し、勝ち越しを決めた。
6場所出場停止処分を受け、昨年7月の名古屋場所で復帰してから8場所連続で給金を直した。
御嶽海とは2021年5月場所以来、約2年ぶりの対戦となった。
ともに学生相撲出身で1学年上の先輩だ。
先に手をついた朝乃山。
立ち合いで頭から当たると、御嶽海の突き、押しをしのいで、左上手をつかむ。
右おっつけで起こしながら前に出続け、一気に寄り切った。
14日目は東前頭3枚目の正代との対戦が組まれ、2日連続の元大関対決となる。
正代とは過去8勝4敗で、直近は4連勝中と相性は悪くない。
同じ時期に大関を張った好敵手との一番に挑む。
13日目、悲願の初優勝を目指す東前頭7枚目・高安が北勝富士に送り出されて、厳しい4敗目を喫した。
腰に不安を抱えながらの土俵が続く。
支度部屋で髪を結う間、しばらく質問にも無言を貫いた後に「何とか勝ちたいですね。また明日、準備していい相撲をとりたい」。
14日目は小結翔猿との対戦が組まれた。速い動きの相手への対応が求められるが、もう負けられない。
気力で賜杯への可能性をつないでいく。
13日目、現役関取最長身の204センチ、西前頭11枚目の北青鵬が隆の勝をはたき込み、9勝目をあげた。
優勝争いの可能性も残したが、残り2日に向けて「何も考えずにいきます」と平常心。
7日目から7連勝と不気味な存在で、14日目は8勝5敗の剣翔との対戦が組まれた。
「まわしを取る。自分の相撲をとるだけです」。
まずは幕内で初の2桁勝利を目指す。
13日目、東前頭15枚目の熱海富士は、貴景勝に寄り切られ、3敗目を喫した。
かみ締めた唇は「へ」の字。
取組後の支度部屋。
熱海富士が口元に感情を凝縮させていた。
初の大関挑戦。立ち合いこそ互角以上だったが、貴景勝にいなされて前のめりになり、右差しを許して寄り切られた。
連敗で単独トップから引きずり降ろされた。
「いや〜、負けたっすね。悔しいなぁ」とぽつり。
圧力はかけたが、相手を慌てさせるまでには至らず。
「緊張はなくいけていた。強いっすね、大関だもんな〜。(自身が)顔じゃないっす」と、最後は分不相応を意味する角界用語も持ち出し、完敗を受け入れた。
2023/09/22
12日目、大関・貴景勝が3敗を死守し、優勝戦線に踏みとどまった。
新関脇・琴ノ若に押し出しで快勝。
1敗でトップを走っていた東前頭15枚目・熱海富士が2敗目を喫し、1差に迫った。
13日目は両者の直接対決。
首位から引きずり下ろし、2016年秋場所の豪栄道以来、9人目となるカド番優勝を狙う。
取組の一番前には単独トップ・熱海富士が敗れたが「変わらない」と気持ちは乱れず。
1差に迫る9勝目に「今日は今日で集中してやるだけでした。勝敗は周りが言うことで、一日一番です」と先を見据えた。
カド番Vとなれば、埼玉栄高の先輩でもある16年秋場所の豪栄道以来、史上9人目となる。
「明日の一番、いい形で集中してやる。それがその後につながる。今日、一生懸命やった人だけが明日戦える」と貴景勝は言う。
12日目、21歳の平幕が主役になりつつある秋場所で、関脇大栄翔が壁になった。
役力士にとってはふがいない戦況を食い止めるように、得意の押し相撲を終始展開。
「よく攻めて、自分の相撲が取れた」。
淡々と振り返った。
立ち合いで右腕を伸ばし、熱海富士の肩口を押し上げて相手の腰を浮かせた。
間髪入れず左右から強烈な突きを繰り出し、まわしにほとんど触れさせない。
相手がじれたのか、前のめりに出てきたところを引き落とし、土俵に沈めた。
「100%の立ち合いをすれば押せる。それができた」。
低い姿勢で当たってまわしを取り、快進撃を続けてきた初顔の相手に、何もさせなかった。
12日目、西前頭2枚目の朝乃山は西小結翔猿を寄り切り、勝ち越しに王手をかけた。
得意の左上手をがっちりとつかみ、うるさい相手を力強く仕留め「上手を取れたので、前に出るだけと思って出られた。土俵際もしっかり腰を割れた」と納得の口ぶり。
13日目での勝ち越しを目指す。
12日目、前頭四枚目・宇良が前頭十六枚目・剣翔を掛け投げで下して6勝目を挙げた。
土俵際で抜群の体幹力を見せた宇良の取組に、視聴者も「柔らかさが出た」「Y字バランスみたいなってる」と驚きの声を上げた。
立ち合い剣翔に張られた宇良。
左四つに組まれるも、右前みつを引いた宇良は頭を下げて出し投げを打っていく。
剣翔が残すと、宇良は回り込みながら足を取る素早い攻めを展開。
最後は体を密着させながらジリジリと土俵際まで寄っていき、相手の外掛けにも動じず、右足一本で立ちながら宇良が投げの打ち合いを制した。
掛け投げで勝った宇良は6勝目。
12日目、大関経験者で東前頭7枚目・高安が執念の相撲で3敗を死守した。
新小結・錦木をもろ手で攻めたが押しきれず。
最後は引いて呼び込み土俵際へ追い込まれたが、俵の上に左足一本を残してはたき込んだ。
「精いっぱいの相撲でした」と表情を変えることなく振り返った。
10日目の熱海富士との一番に敗れた際、腰付近を痛めたもようだが、これで連敗を「2」で止めた。
トップの熱海富士とは1差に迫り、優勝戦線にも踏みとどまった。
何度も目前に迫りながら賜杯を逃している。
13日目は東前頭筆頭・北勝富士との一番だ。
12日目、東前頭11枚目・御嶽海は西前頭12枚目・佐田の海を押し出しで下し、勝ち越しを決めた。
夏場所以来、2場所ぶり。星は8勝4敗。
御嶽海は会心の相撲で給金直しとなった。
頭で当たると出足良く前に出て、一気に相手を土俵の外に運んだ。
13日目の22日は7勝5敗の西前頭2枚目・朝乃山と当たる。
直近6場所で御嶽海との顔合わせはない。
12日目、現役関取最長身204センチの西前頭11枚目・北青鵬が、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
大翔鵬を寄り切って8勝目。
7日目から6連勝とした。
「立ち合いは重かったけど、前に出ることができた。(連勝中は)攻める相撲をとることができた」と言った。
幕内ではまだ2桁勝利をあげていない。
残り3日に向けて「まわしを取る自分の相撲をとって勝てるよう頑張りたい」と意欲を示した。
12日目、再入幕・熱海富士は、関脇・大栄翔に引き落としで敗れ、2敗目を喫した。
前日に三役初挑戦で小結・翔猿を下した熱海富士は、大栄翔との大一番。
立ち合いから突き押し自慢の相手に一歩も引かずに食らい付いたが、最後はバッタリと前に落ちた。
支度部屋では開口一番、ため息交じりに「悔しいですね…」と唇をかんだ。
それでも八角理事長は、「熱海富士も引かなかった。いい相撲だった。お互いに足を出してはたかれないようにしていた。熱海富士は予想以上に重たい。がっちり成長している。臆することがない。普段、横綱と稽古から上位慣れしているね。だから初めて上位と対戦しても力が出せる」と評価。
単独先頭で終盤に挑む21歳に対し、「この経験を大事にしてほしい。まだ行けると思うよ。今日みたいな相撲を取れば開けてくる」と期待を込めた。
12日目、新十両で東十両14枚目の大の里が、同級生対決に敗れて2敗目を喫し、初日から守ってきた十両優勝争いの先頭から陥落した。
東十両2枚目の北の若に立ち合いすぐに右を差し、左を抱えて前に出た。
だが左上手を離さなかった北の若に、土俵際で逆転の上手投げを浴び、土俵に突っ伏した。
10勝2敗となり、1敗を守った一山本を1差で追う展開となった。
2023/09/21
11日目、大関・貴景勝が勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
関脇・若元春に頭で当たって自慢の突き押しで前へ。
左へ逃れようとする相手を追い、最後は左手一本で押し倒した。
「今日は今日でしっかり集中していきました。自分がどうして、どういう気持ちで準備して、向かっていくのかを考えてやりました」と振り返った。
カド番を脱出し、「結果が全てなので、負け越して落ちればそういう実力しかないから落ちるだけ。勝てばその地位にいられる、誰が見てもわかりやすいことなので。一生懸命やって、あくまで15日間の結果論ですから。今日を頑張ってやった人にしか明日はない。今日を頑張った人にしかやる資格がない」と独特の表現で感想を述べた。
取組後は左腕を気にする場面があったが「大丈夫です」と多くは語らず。
3敗をキープ。
1敗で首位の平幕・熱海富士とは2差がついてているものの、優勝戦線には踏みとどまっている。
「強い方が勝つし、準備だけは誰でもできる。取組が終わったらいったん電池を切って、明日に向かっていく。明日も集中してやっていきたいです。上位はみんな強いから上位にいる」と先を見据えた。
11日目、関脇・大栄翔が5連勝で7勝目を挙げた。
2敗の東前頭7枚目・高安との立ち合いで、右にいなした。
素早く入れ替わると、強烈に押し出した。
「内容もよくなっている」と充実感を漂わせた。
先場所は終盤に右ろっ骨を痛め、大関取りにも失敗した。
夏巡業は途中参加。場所前には出稽古で調整したが、6日目まで2勝4敗と出遅れた。
それでも7日目に新関脇・琴ノ若を倒すと乗ってきた。
「動きもいい。体調面も良くなっている」と本来の突き押しが戻ってきた。
12日目には1敗で単独首位の東前頭15枚目・熱海富士と対戦する。
同じ追手風部屋で埼玉栄高の先輩でもある西同16枚目・剣翔が3敗で首位を2差追走している。
終盤戦に向け「自分の相撲を取って、いい相撲で終わりたい」とキッパリ。
熱海富士を倒し、部屋の仲間を後押しする。
11日目、西前頭2枚目の朝乃山は同5枚目の湘南乃海を寄り切り、幕内通算350回出場の節目を白星で飾った。
6勝目で白星を先行させ、今場所最後の三役戦へ「一日一番、しっかり自分の相撲を取って、明日以降につなげたい」と気合を入れ直した。
朝乃山は本来の右四つとは逆の左を差す立ち合いになった。
先場所の途中休場の原因となった左上腕の負傷を抱えており「止まると苦しい。左を差したからには出るしかない」と覚悟を決め、右でおっつけながら前進し、休まず一気に寄り切った。
「昨日はふがいないというか、悔しい相撲だった」。
10日目には対抗意識を燃やす関脇大栄翔に完敗だったが、黒星を引きずらずに「切り替えて前に出る相撲を取れたのが良かった」と一息ついた。
11日目、高安は立ち合いで大栄翔にいなされ、突き押しで反撃した。
しかし上体が起き、あっけなく押し出されてしまった。
3敗に後退し、支度部屋では報道陣の問い掛けに無言だった。
10日目の熱海富士戦では、土俵に体を強く打ちつけ、付け人の肩を借りて引き揚げていた。
11日目の朝は稽古場に下りず、体のケアに専念。
八角理事長は「ちょっと力が入っていなかった」とトップを2差で追う大関経験者を案じた。
11日目、東前頭9枚目の翠富士が佐田の海を破って6勝5敗で白星先行とした。
翠富士が立ち合いすぐに中に入って一気に前に出ていくと、佐田の海は左へ回り込んで左上手投げを狙いにいく。
翠富士は右外掛けでこらえ、足を絡めたまま右すくい投げで打ち返して決めた。
内掛けから跳ね上げる掛け投げではなく外掛けから覆い被さるような“変則掛け投げ”。
「あれしかできなかったので」と前に出ながら豪快に決めた。
白星先行で残り4日へ。
3場所ぶりの勝ち越しを目指し「熱海富士に番付越されないようにできるだけ頑張りたいです。抜かれたくはないんで」と笑いながら意気込んだ。
11日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭16枚目・輝と対戦し、引き落としで勝った。
7勝目を挙げ、2場所ぶりの勝ち越しに王手をかけた。
上背で勝る輝にもろ差しを許した御嶽海。
タイミング良く距離を取り、左のど輪で上体を起こして体を開くと相手が前に落ちた。
12日目は5勝6敗の西前頭12枚目・佐田の海と当たる。
直近6場所の対戦成績は御嶽海の2勝3敗。
11日目、熱海富士の左上手投げには驚いた。
立ち合いは翔猿がまわしを取りに行ったというより、熱海富士の鋭い踏み込みが、動きのいい翔猿を組み止めたという感じだ。
そして半歩だけ前に出て左から下に打ち下ろすような上手投げ。
足腰のいい翔猿が一回転するほどの切れ味。
どっちか番付上位かわからない内容だった。
6日目の御嶽海との一番だった。
土俵際の逆転技に「下がって勝っても意味がない。目先の白星にこだわるな」と批判したのを熱海富士が読んでくれたと信じたい。
それ以来、前に出る相撲に変わった。
12日目は調子を上げてきた関脇・大栄翔の胸を借りる。
優勝の難しさ。
残り4日の眠れない夜など何度もこのコラムで力説してきたが、熱海富士が大栄翔というの壁を越えたら一気に走りそうな気がする。
勝ち名乗りを受け、ニコニコしながら引き上げる姿は“ただ者”ではない。
恐るべき21歳である。
11日目、西前頭16枚目剣翔は、北勝富士をはたき込んで8勝目を挙げ、勝ち越した。
優勝争いに身を置いていることを実感する。
幕内下位の剣翔が、今場所初めて幕内後半の土俵へ立った。
番付上位と組まれ、北勝富士をはたき込み。
3敗を守った。
「自分の力ではどうすることもできない。自分の相撲を思い切り取っていくしかない」
立ち合いで押し込む。
いなして、押して。
張り手も飛ばしながら、攻め続けた。
11日目での勝ち越しは5月の夏場所に続き、自己最速だ。
1敗で単独首位に立つ平幕熱海富士とは5日目に対戦し寄り切って白星を挙げたが、2差を縮めるには他力に頼むしかない状況にある。
11日目、新十両の大の里が美ノ海を押し出しで破り10勝目を挙げた。
前日、初日からの連勝は9で止まったが、この日は立ち合いで相手をはじき飛ばして、一気に出る豪快な勝ちっぷり。
「新十両なので元気のいい相撲を取ろうと切り替えた。
2桁勝てて良かった」と相好を崩した。
1敗を守り一山本と首位で並走。
「残り4日間、より一層集中したい」と表情を引き締めた。
2023/09/20
10日目、自身7度目のカド番で臨む大関・貴景勝が宇良を下して7勝目を挙げ、勝ち越しに王手をかけた。
一度は相手に軍配が上がった一番は、取り直しの末に勝利。
3敗を守って優勝争いにも残った。
最初の一番、貴景勝は宇良を一気に押し出したかに見えたが、軍配は宇良に上がった。
「負けはないかなと思った」。
同体の判定となった取り直しの相撲は、立ち合いで相手をよく見て上からはたき込んだ。
10日目、大関の豊昇龍は、若元春をもろ差しから寄り倒し、連敗を3でストップ。
鋭い立ち合いから右を差し、左もねじ込む速攻だった。
「何も考えずにいきました。(連敗中は)いろいろ考えたけど、一日一番しかないので集中してやりました」と納得の表情。
「今場所一番。この気持ちで最後まで頑張ります」と元気も戻ってきた。
10日目、関脇・大栄翔が朝乃山を下して6勝目を挙げた。
立ち合い踏み込んで前に出てくる朝乃山に対して突き返して応戦。
右喉輪でのけ反らせてからの引き落としで勝負を決め、通算500勝目となる節目の白星を挙げた。
序盤戦は得意の突き押しが通用せず逆に押し負けることもあったが、7日目から4連勝で6勝4敗。
「徐々に内容が良くなってきている」。
大関獲り継続の可能性も残す終盤戦へ「あと5番もしっかりやりたい」と意気込んだ。
10日目、新関脇琴ノ若が幕内明生を押し出して、6勝目(4敗)を挙げた。
前日に新大関豊昇龍を破った勢いをそのままに、2連勝。
取組後、琴ノ若は「(昨日は)内容がそんなによくなかったけど、白星にはつながった。今日は、最後まで落ち着いて対応ができた」と、この日の相撲には納得の表情を浮かべた。
明日は、カド番の大関霧島との顔合わせ。
強敵との対戦が続くが「やることをやって、しっかりとやっていくしかないと思うので。目の前の一番を出し切れるように、一日一日集中するだけ」と平常心で挑むことを誓った。
10日目、今場所初の結びで錦木が霧島を寄り切りで撃破した。
立ち合いから圧力をかけて前に出て、大関に何もさせない完璧な内容。
「岩手のブルドーザー」と呼ばれる力強い出足を披露し「雑な相撲が続いていたので良かった。出足も良かった」と満足そうに分析した。
新小結はこの日で上位との対戦を終えて5勝5敗と五分に戻した。
「何とか3勝。最低でも2番」と終盤戦を見据えた。
10日目、平幕・北勝富士が小結・翔猿との同学年対決に押し出しで勝利し、3敗を守って勝ち越しに王手をかけた。
20年春場所以来3年半ぶりの三役復帰にもダブル王手とした。
三役復帰へあと1勝とした。
実現すれば21場所ぶり。
15日間を3分割し、5日ずつの成績を意識するという北勝富士は中盤の5日間を4勝1敗で切り抜けた。
「次の5番も勝ち越せるように」と、あと3勝を加算して、優勝決定戦に進出した先場所の12勝に続く連続2ケタを見据えた。
10日目、高安が1敗でともにトップに並んでいた熱海富士に敗れ、2敗に後退した。
押し合いから引いてバランスを崩したところを押し倒され「ちょっと消極的だった」と反省。
「前向きないい相撲をとりたかったけど、しょうがない。弱いから負けた」と、淡々と敗戦の弁を述べた。
さらにこの取組で腰を痛めたとみられ、付け人の両肩に手を乗せて慎重にゆっくり歩いて帰路についた。
「しっかり体が戦える準備をして、切り替えていきたい」と話したが、優勝争いから一転、11日目以降の出場にも暗雲が垂れ込めてきた。
10日目、相撲巧者の遠藤が3連敗発進から7連勝。
ベテランの妙義龍と3敗同士でぶつかり、低い当たりから相手の引きに乗じて難なく押し出した。
「動くための準備がうまくいっている」。
幕内での7連勝は2019年の名古屋場所以来で、2場所連続の勝ち越しに王手。
「(連勝は)あまり気にしていない。集中はいつもしている」と表情を変えずに言った。
10日目、上松町出身の東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭5枚目の豪ノ山を下手投げで下し、6勝4敗とした。
がっぷり四つの力比べとなったが休まず、初顔合わせの一番を制した。
11日目の20日は、東前頭16枚目の輝と当たる。
10日目、5場所ぶりに再入幕の東前頭15枚目・熱海富士が、単独トップに立った。
元大関で東前頭7枚目・高安との1敗対決を押し倒しで制した。
新入幕の昨年九州場所は4勝11敗ではね返されたが、幕内2場所目の21歳が主役の座に躍り出た。
大関・貴景勝は取り直しの末に7勝目を挙げ、カド番脱出に王手をかけた。
同じくカド番の大関・霧島は4敗目で、新大関・豊昇龍は4勝目。
高安が唯一の2敗で追い、3敗で貴景勝、平幕の北勝富士ら5人が追う。
幕内2場所目の熱海富士が、大関経験者の高安に勝って、ついにV争いの先頭に立った。
1敗で並ぶ2人の直接対決。
10日目、東十両14枚目の大の里が今場所初黒星を喫し、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降の新十両として、史上初の初日から10連勝はならなかった。
1敗の一山本に、長いリーチののど輪で上体を起こされた。
大の里は右ハズでのど輪を外し、反撃に出たが、一山本に左に回り込れると、足がついていかずにはたき込まれた。
「負けたので、切り替えてまた明日(11日目)から。明日から5日間、エンジンをかけ直して、集中力を高めてやっていきたい」と、自らに言い聞かせるように話した。
2023/09/19
9日目、貴景勝は頭からぶちかますと、豪ノ山の胸に何発も突きを打ち込んでいった。
ひたすら真っすぐ前へ攻めて突き倒し。
「今日は今日のことに集中しようと思った」。
7、8日目の連敗から息を吹き返す会心の相撲で、かど番脱出まであと2勝に迫った。
支度部屋へ戻ると、土俵上で見せていた厳しい表情が一変した。
今場所と同じくかど番だった夏場所と同じ「チーム埼玉栄」の付け人たちと笑みを浮かべながら取組を振り返った。
9日目、新大関・豊昇龍が新関脇・琴ノ若に小手投げで敗れ、早くも6敗目とカド番のピンチに立たされた。
土俵際まで追い詰めたが、物言いの末に行司軍配差し違えで痛恨の黒星。
これで3連敗と苦しい土俵が続いている。
豊昇龍がつかみかけた念願の白星はスルリと逃げた。
結びで新関脇・琴ノ若戦。
立ち合いは右に動いて狙い通りに上手を取ったが、すぐに切られた。
焦りが出たのか、右を差すと、引きに乗じて相手の小手投げに構わずに前へ。
両者もつれるように倒れ込んだ。
際どい判定に立行司・式守伊之助も思わず目をつむり、豊昇龍に軍配。
だが、約2分間の長い協議の末、粂川審判長が「豊昇龍の足の甲が先にかえっており…」とアナウンス。
館内からは悲鳴と歓声が入り交じった。
9日目、先場所に続いて大関昇進に挑む関脇同士の一戦は、持ち味発揮の大栄翔が制した。
突き、押しで休まず前進。
攻めながらはたき込まれた先場所の反省を生かし、引いた相手を土俵下まで押し出した。
白星先行に「良かったと思う」と短い言葉に実感を込めた。
9日目、新関脇琴ノ若が新大関豊昇龍を小手投げで破り、5勝目(4敗)を挙げた。
土俵際まで攻め込まれ、軍配は豊昇龍。
審判から物言いがつき、行司差し違えで白星が舞い込んだ。
しかし、琴ノ若は自身の取組に納得していないようで「勝てたけど、内容はよくなかった」と悔しい表情を見せた。
豊昇龍とは過去2勝10敗と合口はよくないが、先場所に続いて2連勝と苦手意識を払拭しつつある。
「対戦相手とか関係なく、自分の相撲をしっかりと取るだけ。まずは勝ち越しできるように。いい相撲が取れるように、気を引き締めていきたいと思います」と7場所連続の勝ち越しへ向けて力を込めた。
9日目、大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山が、3連勝で5勝4敗と白星を先行させた。
21年初場所以来、2年8カ月ぶりの顔合わせとなった前頭玉鷲を寄り切った。
相手は初日から白星がなく、前日8日目にストレートで負け越しが決定と元気がなかった上に、これで対戦成績は朝乃山の5連勝という合口の良さも後押しした。
10日目は、関脇以上では唯一、対戦を残していた関脇大栄翔戦。最近5度の対戦では、先場所途中休場の不戦敗を含めて1勝4敗と、この日とは一転して、合口の悪い相手との顔合わせとなる。
9日目、高安が琴恵光を寄り切って勝ち越しを決めた。
9日目での勝ち越しは若隆景との優勝決定戦に敗れた昨年春場所以来。
「今日まで順調にきました」と手応えを感じているが、本当の勝負はこれから。
10日目には同じ1敗の熱海富士との対戦が組まれた。
単独トップに立つかどうかの大一番となるだけに、「明日は調子がいい相手だから気を引き締めて」と気合を入れ直した。
9日目、再入幕の熱海富士が、勝ち越し第1号を決めた。
金峰山戦は立ち合いで左前ミツを取ると、一気の電車道だった。
新入幕場所は4勝止まりだったが、5場所ぶりの再入幕場所は9日目で自己最速の勝ち越し。
完勝で飾り、「勝ち越せてうれしいのが一番です。新入幕がボロボロだったので、よかったです」とはにかんだ。
この日は「あいつがいないと何もできない」と全幅の信頼を置く付け人・蒼富士が取組で負傷。
急きょ変更のハプニングもあったが、動じずに勝利をつかんだ。
好調の再入幕に、八角理事長も「稽古を積んでいる力士は乗ってくると強い」と期待した。
取組後の支度部屋で先頭で並走する高安の勝利を見届けた熱海富士は、「単独トップに立てないか、厳しいですね」と本音を吐露。
「毎日頑張って、全部勝てればいいなと思う」。
素直な21歳の存在感が増してきた。
9日目、大の里が初日からの連勝を9まで伸ばし、新十両では1場所15日制定着の1949年夏場所以降の最長記録に並んだ。
過去には53年初場所の成山、08年九州場所の翔天狼がマーク。
立ち合いで千代丸が左に動きながらいなしてきたが、動じず盤石の寄り切りに「落ち着いて取れた」と余裕があった。
幕下以下の先場所までは1場所7番。
疲れもあるというが「集中力でカバーしている」と分析。
「残り1週間。一日一番に集中していきたい」と力を込めた。
2023/09/18
8日目、大関・霧島は過去1勝8敗と苦手の東前頭4枚目・隆の勝にいいところなく敗れた。
立ち合いは互角だったが、引いて墓穴を掘り突き出された。
「立ち合いはいつも通り当たって行った。悪くない。そこから体が起き上がって引いてしまった」と振り返った。
合い口の悪さは「全然、考えていない」と否定。ただ幕内後半戦の浅香山審判長は「合い口の悪さがもろに出た。何もできなかった。
8日目、7度目のかど番の大関貴景勝が、取組前まで4連敗中と合口の悪かった小結翔猿にまたも敗れ、5勝3敗となった。
前日7日目は大関経験者の前頭正代に敗れており、手痛い今場所初の連敗。
翔猿戦は5連敗で通算4勝6敗となった。
4度目の優勝が遠のく形で、かど番脱出の勝ち越しには、残り7番で3勝が必要となった。
8日目、若元春が2敗を堅持した。
玉鷲との一番。
つかまえることができず、ベテランと突っ張り合った中、タイミング良くいなしてから、はたきで仕留めた。
「相手に付き合う相撲になった。あまり褒められたものではない」。
狙い通りではない内容に、反省を口にした。
得意の左四つに持ち込めなくても白星を重ね、6連勝での折り返し。
「納得したら終わり。初日から負けが続いたので、一日一日、集中してやるだけ」と、謙虚に先を見据えた。
8日目、大関貴景勝を押し出しで破り、5勝目を挙げた。
大関戦は2大関撃破と好調。
三役対戦もほとんど終わり、格下対戦の後半戦に期待が高まる。
8日目、富山市出身の朝乃山は明生を下し16日から連勝。
星を5分に戻しました。
ここまで3勝4敗と黒星先行の西前頭二枚目・朝乃山は、先場所初日に黒星を喫した西前頭筆頭の明生と対戦。
明生の当たりを受け止めた朝乃山はそのまま土俵際に追い込み「寄り切り」で白星、4勝4敗と星を5分に戻しました。
18日は今場所まだ初日が出ていない西前頭三枚目の玉鷲と顔を合わせます。
8日目、新大関から白星を奪ったというのに、ついついぼやきが出てしまう。
宇良は低く当たって豊昇龍を押し込んだ。
動きを止めずにはたきを繰り出すと、相手はバッタリと肩から土俵に崩れ落ちた。
内容は完璧。
常に主導権を握り続けて勝負を決めた。
しかし、相手は大関なので、「たまたまです。実力的に(白星を)取れないところで取れたのは大きいです。大事にしていきたいですね」と謙虚に振り返った。
8日目、元大関の東前頭7枚目高安が同じく元大関の東前頭11枚目御嶽海をはたき込んで7勝目(1敗)。
東前頭15枚目熱海富士と並んで、優勝争いをリードしている。
高安は取組後、大きな拍手が送られた熱戦を振り返り「今日は力が入っていたし、慎重に行くことしか考えていなかった。(お客さんに)喜んでもらえてよかったですし、それが一番ありがたいですね」と納得の表情を浮かべた。
8日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭7枚目・高安と対戦し、はたき込みで敗れた。
押し合いから頭を付け、足を取って出ようとしたところ、回り込む相手に頭を押さえられて前に落ちた。
5勝3敗でターンした。
8日目、東前頭15枚目・熱海富士が、東前頭14枚目・碧山を押し出しで下し、勝ち越しに王手を掛けた。
186キロの巨漢・碧山戦は立ち合いから前傾姿勢で前に出ると、相手の強烈な突っ張りにも構わず土俵外へ押し込んだ。
危なげない内容に「前に出られたと思います。いつもどおり前に攻めようと。勝ててよかったです」とうなずいた。
前半戦が終わったが、熱海富士は「疲れという疲れはないです。毎日きちんと寝られていると思います」。
場所前に友人からもらったアロマキャンドルをたき、良質な睡眠につなげているという。
2023/09/17
7日目、7度目のかど番の大関貴景勝は、2日目からの連勝が「5」で止まり、5勝2敗として優勝争いの先頭から後退した。
取組前の時点で対戦成績が15勝6敗と、合口の良い大関経験者の前頭正代が相手だったが、手痛い黒星となった。
正代戦の連勝も「5」で止まった。
初日は同体取り直しの末、前頭北勝富士に敗れたが、その後は連勝していた。
持ち前の突き、押しで2日目は小結錦木、3日目からはいずれも前頭の明生、朝乃山、阿炎、玉鷲と難敵を次々と退けていた。
だが正代に敗れて勢いを止められた格好。
8日目は前頭翔猿との顔合わせとなった。
対戦成績は最近4連敗中で、通算でも4勝5敗と負け越している合口の悪い相手。
4度目の優勝を狙う上で平幕相手に連敗は避けたいところだけに、カギを握る対戦となりそうだ。
7日目、若元春が息を吹き返した。
北勝富士に勝ち、連敗スタートから5連勝。
「100点かと言われれば100点ではないが、悪くはない」。
7月の名古屋場所でかなわなかった大関とりへ、わずかに望みをつなぐ白星を重ねている。
立ち合いで激しく当たってきた相手に、左手で突きを払い、すかさず左下手をつかんだ。
引きつけて胸を合わせれば、勝負あり。
動きを封じて前にじりじり出て、寄り切った。
得意の左四つで、押し相撲の相手を圧倒した。
それでも支度部屋では開口一番、右上手を取れなかった点を反省。
「取らないと振られる体勢だった」。
反撃を食らう余地を残したとして、自己採点は辛口。
にこりともしなかった。
7日目、184キロの持ち前の腰の重さを生かして攻め、9歳年下の新大関を土俵下へと追いやった。
新小結の錦木が豊昇龍を撃破。
相手の鋭い踏み込みにも動じず、力強く左から起こしての押し出し。
「いい相撲だった」と笑みを浮かべた。
この白星で豊昇龍には3連勝とし、「だんだん内容が良くなっている」と納得顔。
5日目の若元春、6日目の琴ノ若には相手に得意な形を許して連敗したが、本来の姿が戻った。
土俵下の佐渡ケ嶽審判部長は「あの体重が生きた」と評価した。
7月の名古屋場所は終盤まで優勝争いに加わって2桁白星。初土俵から所要103場所で新三役に昇進した遅咲きの苦労人は気負うことなく、「平幕でも、三役でも相撲を取るのは一緒」。
8月に33歳となった中、老け込む様子は全くない。
ベテランの域に達しても、自身の伸びしろを実感。
「体の重心の使い方とか、自分にしっくりくるものがあった」と地道に稽古を重ねる。
「器用な相撲は取れない」と、己の弱さを認めることができる謙虚さも、前進を支える。
努力し続けてたどり着いた地位。堂々と土俵を盛り上げる。
7日目、西前頭2枚目・朝乃山が、2020年初場所以来3年半ぶりとなる東前頭2枚目・阿炎戦を押し出しで制し、3勝目を挙げた。
3日目から続いていた連敗を「4」で止め、「しっかり一日一番、自分の相撲を取っていきたいですね」と気を引き締めた。
立ち合いから阿炎の強烈な突きに、体をのけぞらせたが、下からはね上げるようにしてしのいだ。
ジリジリと前に出て、最後は一方的に土俵外へと押し込んだ。
危なげない内容に「怖がらずに前に攻められた。逃げた方向に対応できてよかった」と、うなずいた。
7日目、正代がまた大関を破った。
貴景勝が狙った突き落としにも動じず、強烈な張り手を食らっても、ひるまずに前進。
過去6勝15敗だった相手を力強く押し出し、「逆に思い切りいけた。大関戦だし、引かれたら仕方がない」と胸を張った。
4日目には新大関の豊昇龍を撃破。
3連敗発進から、この白星で3勝目とし、「変な感覚。きょうみたいな相撲が取れるなら、他の相撲ももうちょっと内容良く取れた」と自嘲気味に言った。
7日目、西前頭4枚目の宇良が、初土俵から8年かけて通算300勝を挙げた。
竜電を鮮やかな上手出し投げで退け、4勝目とした。
両膝の大けがで2度の長期休場を強いられ、一時は序二段まで番付を落とした苦労人。
積み上げた白星が大台に到達した。
苦難を乗り越えて到達した節目について「うれしいというのはないです。もうちょっと早くたどりつきたかった」は本音だろう。
回り道をした分、貪欲に相撲を取り続ける。
7日目、幕内・豪ノ山が王鵬を破って5勝目を挙げた。
立ち合い頭で激しく当たり合ってから豪ノ山が突っ張って土俵際まで押し込み、少し押し返されたところで左からいなして後ろについて送り出し。
持ち味の馬力を発揮して2敗を守った。
ともに埼玉栄高出身で、豪ノ山の方が1年先輩。
高卒で角界入りした王鵬に対し、中大卒の豪ノ山は1年半遅れて先場所新入幕。
プロ初対戦が実現し「特に後輩には負けたくない」と先輩の意地を示した。
7日目、高安が翠富士の立ち合い変化に対応し1敗を守った。
星が伸びているから、相手の動きがよくみえる。
よくみえるから、白星が増える。
元大関の平幕高安が4連勝で6勝目。
軽快な動きで、翠富士を封じた。
「落ち着いて、よくみていたから攻められた。組み止めて前へ出られれば、盤石。流れのなかでうまく決められた」
立ち合い、相手が左へ変化。高安の体が泳いで背中をみせたが、鋭く反転。
左のど輪で起こし、左上手を取ってつぶすような上手投げ。
平幕熱海富士とともに1敗を守り、首位に立った。
7日目、平幕の御嶽海が碧山を押し出して5勝目とした。
元大関は前頭西13枚目だった16年春場所以来の前頭2桁の番付で取り、20年春場所以来の対戦となった稽古仲間の先輩へ“恩返し”の白星となった。
7日目、再入幕で21歳の熱海富士が1敗を守り、首位をキープした。
輝にもろ差しを許したが、頭をつけて耐えると、低い姿勢で押し出した。
十両で対戦した先場所ははたき込みで敗れており、「勝てて良かった」と安堵の表情。
6日目は同体取り直しで2番、相撲を取った末に元大関の御嶽海を破った。
疲労も心配されたが、「場所中なので疲れますよ」と話す言葉からも充実感がにじみ出た。
2023/09/16
6日目、大関かど番の貴景勝は玉鷲をもろ手で突いて前進。
最後まで反撃の隙を与えずに押し出した。
2日目から5連勝とし「きょうはきょうで集中していけた。オンとオフで切り替えて、あしたのことをやっていきたい」と淡々とした表情で話した。
7月の名古屋場所は両膝のけがで全休していた。
八角理事長は「稽古していないと、体を鍛えていないと出ない攻め。足が動いているからいい攻めができる」と高く評価した。
6日目、新大関の豊昇龍が、大関経験者で西前頭2枚目の朝乃山を豪快な下手投げで仕留め、星を3勝3敗の五分とした。
「(立ち合い)待ったと思ったんだけどな。『はっきよい』の声がかかっていたし、気を抜いたらだめだと。組んでしまったが、考えて相撲を取りました」
「勝ちたい、勝ちたいと体が硬くなっていた」と2日目から3連敗したが、本来の相撲を取り戻してきた。
「しっかり1日一番。余計なことは考えず相撲に集中してとっていきたい」と引き締めた。
6日目、若元春が翔猿を押し出し、3日目から4連勝と調子を上げてきた。
立ち合いから足を取りにきた相手を冷静に下から押し上げる。
土俵際ではたかれて前へ泳いだが、土俵を割った翔猿より一瞬長く、右足一本で残して勝ち名乗りを受けた。
「いろいろ技のある相手ですから。(自分は)強い力士じゃないので、できることをしっかりやっていかないと」と勝利への執念が勝敗を分けた。
6日目、大関経験者が、新大関の壁にはね返された。
両者、互角の当たりから右四つに組んだ。
左前みつ狙いの豊昇龍は、思惑通りに左上手を引く、一方、左上手が取れない朝乃山は、何とか打開しようと左からの巻き替え、さらには右からの下手投げで攻勢に出た。
さらに寄り立て勝負を決めようとしたが、土俵際で豊昇龍の逆転の右下手投げで転がされた。
八角理事長も「(互いに)よく攻めてよく守った良い相撲だった。最後は豊昇龍の反応の良さが出た」と健闘を評価した。
その上で、朝乃山について注文もつけた。
相撲の流れ自体は「朝乃山のペースだった」と話しつつ「朝乃山からすれば、まだまだ稽古が足りないようだ。もうひと息じゃないかな」。
この4連敗中に、体が流れる場面も見受けられる。
同理事長も「(大関に)上がってきた時のようなドッシリさがない」と指摘。
さらなる奮起を促した。
6日目、前頭四枚目・宇良が関脇・大栄翔を押し出しで下した一番で、土俵際で宇良が迫力満点の一回転の華麗な受け身を披露。
その瞬間、館内が拍手喝采。
観客の表情が一瞬で笑顔に変わると「運動神経やばいわw」「宇良の相撲は楽しい」「宙返りの術」など視聴者も騒然となった。
宇良の華麗な一回転に、ABEMAで実況を務めた清野茂樹アナウンサーも「押し出し! 一回転!」と驚き交じりに叫んだ。
視聴者からも「裏返った」「受け身上手すぎ」「運動神経やばいわw」「宙返りの術」と驚きの声が続出したほか、「宇良の相撲は楽しい」「魅せる相撲」「お客さんもビックリ」と喜ぶファンも相次いだ。
6日目、高安が持ち味を発揮して3連勝。
豪ノ山の強烈な当たりを受け止めると、左、右と腕を伸ばして押し込み、一気に土俵下まで飛ばした。
会心の内容に「あしたにつながる一番。気を引き締めて、またしっかり準備したい」。
相手は武隈親方の弟子。
現役時代の同親方としのぎを削った33歳の大関経験者は、「豪栄道関の雰囲気がある。どんどん強くなると思う」と評していた。
6日目、1メートル74の翠富士が幕内最長身2メートル4の北青鵬を寄り切りで下し、身長30センチ差対決を制した。
相手に肩越しの上手を許したが、「投げに来るのを下手で返そうと待っていた」と慌てず対処。
最後は外掛けで巨体を半身にさせ、左も取って寄り切った。
館内の大声援を受け「大きい人に勝つとうれしい」と笑顔。
3番前に同じ静岡県出身で弟弟子の熱海富士が熱戦を制しており「気合入りました」と自分のことのように興奮した様子だった。
6日目、東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭15枚目・熱海富士と戦い、上手投げで敗れた。
2度の物言いがつく際どい攻防の末に星を落とし、4勝2敗となった。
取り直しとなった一番で、もろ差しから前に出た御嶽海。
土俵際でもつれて再び物言いがついたものの、協議の結果、相手の足が残っているとして軍配通りとなった。
7日目の16日は2勝4敗の東前頭14枚目・碧山と当たる。直近6場所は対戦がない。
6日目、再入幕の東前頭15枚目、熱海富士が、御嶽海との1敗対決で取り直しの末、左からの上手投げで粘り勝ち。
再び物言いがついた一番で元大関を倒して「冷や冷やしたけど、3度目の準備はできていた」と体力面の充実をアピールした。
「もっと前に出られるようにしたい。自分のことで精いっぱい」と首位タイは意識せず、先を見ていた。
2023/09/15
5日目、カド番の大関・霧島が意地の白星を挙げ、5日間の序盤を3勝2敗で乗り切った。
元大関で西前頭2枚目の朝乃山を外掛けで退けた。
在位2場所目で早くも初のカド番だが快勝劇を弾みに、まずは勝ち越しまで突っ走る。
朝乃山に得意の右差しを許したが、左上手をつかみ頭をつけた。
元大関の攻めをしのぎながら次第に有利な体勢をつくると、最後は外掛けで転がした。
1分7秒4の長い相撲を制し、カド番の場所で序盤戦を白星先行の3勝2敗でしのいだ。
連敗も止め「頭をつけて絶対に離さない意識だった。最後は思い切りやって良かった」と胸をなで下ろした。
師匠の陸奥親方に足が前に出ていないことを指摘され、実践。
「親方の言うことが一番大事ですね」と感謝した。
5日目、かど番脱出を目指す大関貴景勝が徐々に調子を上げてきている。
三役以上でただ一人、1敗を守り風格を漂わせた。
平幕阿炎とは対戦成績が先場所まで4勝6敗。
考えを巡らせ、いつもの頭からぶちかます立ち合いではなく、もろ手突きを選択。
一気に引かせて押し出した。
この日、NHKラジオ第1「NHKジャーナル」に電話出演した舞の海秀平氏は「場所前の稽古を見てかなり心配だったんですけど、ここまで4勝1敗で切り抜けましたので、何とかかど番は脱出できるんじゃないか。体調も万全じゃないので、今場所は速い相撲で決着をつけたいという気持ちで相撲を取っていると思いますね」と分析していた。
5日目、新大関の豊昇龍が連敗を3で止めた。
玉鷲戦は一時土俵際まで押し込まれ、攻め返した土俵際でも前へ泳ぎかけたが、持ち前の足腰の強さを生かして押し出した。
「勝ちたい、勝ちたいという思いから硬くなっていた」。
師匠の立浪親方からは四股、すり足の基本を徹底するよう諭されたという。
「自分の相撲が取れるようになりました」と早速効果を実感した。
5日目、若元春が3連勝。
得意の左四つで組み、重い腰を生かして粘る新小結の錦木の下手を切ると、力強く寄り切った。
「普通に押したら勝てない。左からいくのは絶対に必要だった」。
狙い通りに快勝した。
大関昇進が懸かっていた先場所は、終盤戦で消極的な取り口が目立って9勝止まり。
今場所は「星のことは考えていない。その日、その日でいい相撲を取っていきたい」と集中している。
5日目、西前頭2枚目の朝乃山は1分を超える激闘の末、東大関霧島の外掛けに屈した。
3連敗を喫し、休場を除き復帰後初めて黒星先行で中盤戦に突入することになり「まだまだある。明日に向けて準備して取り組むしかない」と自らを鼓舞した。
6日目は豊昇龍と組まれ、大関3連戦の最後の一番に臨む。
朝乃山は立ち合いでもろ手突きを受けて組めなかった。
「大関の形にさせてしまった」と言う通り、突き、押し合いから左上手を許してしまう。
息をのむ攻防が続くが、徐々に霧島が有利な体勢になると、頭をつけられ、左外掛けにあおむけに倒れた。
痛めている左上腕を打ちつけ、しばらく立ち上がれなかったが「大丈夫」と話した。
土俵下の浅香山審判長は「互いに攻防があった。霧島が厳しい相撲で朝乃山の形を窮屈にした。見応えがあった」と熱戦をたたえた。
5日目、高安がはたき込みで初顔の湘南乃海を破り、1敗を守った。
湘南乃海はまだ入幕2場所目だが、「気を引き締めて取りました」。
はたき込みという内容に「流れの中なのでしょうがないですけど、ほんとは前に出て勝ちたい」と戒めた。
6日目も入幕2場所目の豪ノ山が相手。
「終盤に向けて、どんどんよくしていきたい。油断だけしないように」と表情を変えず話していた。
5日目、東前頭11枚目・御嶽海は、東前頭9枚目・翠富士と対戦し、押し出しで勝った。
頭を付けておっつけながら前に出る翠富士の攻めをこらえると、相手が体を開きかけて離れた瞬間を逃さずに突いて出た。
6日目は4勝1敗同士となる東前頭15枚目・熱海富士と戦う。
初顔合わせになる。
2023/09/14
4日目、かど番の霧島は覇気がなく2連敗。
阿炎の喉輪にのけ反り、引きにあっさりと手をついた。
取組後は厳しい表情を崩さず、今場所初めて取材に応じなかった。
2連勝で好スタートを切ったかに思えたが、平幕に連敗。
横綱不在で出場力士最高位の責任を果たせていない。
土俵下の佐渡ケ嶽審判長は「(阿炎が)タイミングのいいはたきだった。まだ4日目なので」と巻き返しを求めた。
4日目、カド番の大関・貴景勝が元大関で西前頭2枚目の朝乃山をはたき込み、1敗をキープした。
互いに大関だった2021年春場所以来、2年半ぶりの対戦で快勝。
看板力士の意地を示し、2日目から3連勝とした。
低く鋭い当たりで朝乃山の上体を起こした。
攻め手を休めず、前へ出続け回り込もうとする相手をはたき込んだ。
「集中して取れた。いつも通り」。
幕内500回出場の節目を白星で飾り、2日目から3連勝。笑顔はないが充実感がにじみ出た。
4日目、新大関の豊昇龍は逆転負け。
大関経験者の正代を土俵際まで追い込んだが、仕留め切れずにすくい投げに屈した。
3連敗を喫し、花道を引き揚げる際には首をかしげるような場面もあった。
看板力士としての重圧も感じているのだろう。
八角理事長は「番付の重みというか。成長の過程にあると思う」と思いやった。
4日目、新関脇の琴ノ若が会心の攻めで3勝目。
すぐにもろ差しを果たすと、隆の勝に何もさせずに一方的に退けた。
「集中できている。しっかり踏み込んで前に出ることができた」
大関昇進の足固めを狙う中、体がよく動いている。
「もっと詰めるところを詰めて、しっかり(次の日に)つなげたい」と先を見据えた。
4日目、新小結の錦木が、素早い小結翔猿を懐に入れさせずに寄り切り、三役対決を初めて制しての3勝目を挙げた。
取組後には「投げていないですよね?」と逆質問して、「ある程度は残せると思い、慌てずに相撲を取れた。実力のある相手に勝てたのは良かった」。
勝っても負けても連日、支度部屋では多くの報道陣に囲まれているだけに「もう話すことがないよ」と苦笑いしつつも、リラックスした様子だった。
4日目、西前頭2枚目の朝乃山は西大関貴景勝にはたき込みで敗れ、2連敗を喫した。
2勝2敗となり、白星先行で序盤戦を終えるためにも気持ちを立て直す。
朝乃山は貴景勝の低い当たりで上体が起き、強烈な突き、押しにぐらつく。
右をのぞかせたが、左おっつけを受けて力が通じない。
出足に詰まった土俵際でバランスを崩し、両手をついた。
「圧力をかけて流れを止めたかったが、防戦一方だった」と唇をかんだ。
4日目、阿武咲が193センチ、185キロの湘南乃海を、立ち合いの当たりから一気に押し出して、初日からの4連勝を飾った。
「今場所一番速い相撲じゃないですか。(今場所は)珍しく長い相撲を取ってたんで」と手応えのある内容。
「瞬発的な力を出せた」と持ち味のスピードが光った。
春場所で膝を痛めて途中休場。
今もサポーターをつけている。
「土俵に上がってる以上は…」とけがの話題には触れないが、「装具もつけたことがありますけど、動きが制限されるので。装具じゃない。サポーターですよ」と最低限の保護で秋場所に挑んでいる。
「負けたくないのは誰にも負けたくない。それより自分の相撲に集中していけてるんで」。
3人の平幕が先頭に立つ場所で、実力者の阿武咲が存在感を示している。
4日目、金峰山が御嶽海との全勝対決を制した。
相手の引きに乗じて前に出て押し出し。
「足が出てよかった。体は動いている」と好感触だった。
新入幕で11勝も、その後は首を痛めて思うような相撲が取れず直近2場所連続で負け越し。
ストレッチや治療で徐々に回復し「先場所より良くなっている」と本来の相撲を取り戻した。
好スタートにも「まだあるので、ケガしないように」と気を引き締めた。
4日目、東前頭11枚目・御嶽海は東前頭10枚目・金峰山と対戦し、押し出しで敗れて連勝が止まった。
立ち合いで当たると同時に引き、相手を呼び込む形になって見せ場なく屈した。
今場所初黒星で星は3勝1敗。
5日目の14日は東前頭9枚目・翠富士と戦う。
直近6場所は御嶽海が1勝2敗と負け越し、先場所は突き落としで敗れた。
4日目、初日からのエールの白星がまた連なった。
返り入幕の熱海富士が千代翔馬との1分を超える長い相撲で踏ん張り、最後は左からすくい投げ。
豪快に土俵下まで転がして、幕内では自身初となる4連勝をマークした。
「ホッとしたので」と土俵上で2度うなずいた熱海富士。
ただ、内容には満足していない。
「横綱みたいに前に出ないとダメ」。
同じ右四つが得意の兄弟子・照ノ富士を理想に挙げ、さらなるレベルアップを誓った。
2023/09/13
3日目、かど番の大関霧島が、北勝富士に寄り切られて初黒星を喫した。
突き起こして土俵際に追い込んだがしのがれ、右上手でまわしを許すと圧力で上回られて土俵を割った。
「向こうがまわしを取らせてくれなかった。一番一番、考えていくしかない」と切り替えを強調していた。
これで早くも、三役以上の全勝がいなくなった。
3日目、7度目のかど番の大関貴景勝が連勝で白星を先行させた。
つかまえたい明生を何度も突き放し、最後は頭を下げたところを突き落とし。
初日こそ北勝富士に敗れたが、本来の突き、押しがさえて、他の2大関と2勝1敗で並んだ。
4日目はかつて、ともに大関としてしのぎを削った注目の朝乃山戦。
「誰とやるにしても集中して、100%を出し切る。それだけ」と、自らに言い聞かせていた。
3日目、豊昇龍は序盤で手痛い2連敗を喫した。
大関として初めての結び。
うるさい翔猿に対して見て立ったが、いなしに体勢を崩されて土俵の外へ。
「ちょっと失敗した。これも勉強。まだ始まったばかりなので、しっかりやっていきたい」と言葉を絞り出した。
3日目、大関昇進の足固めを狙う新関脇の琴ノ若が、連敗を免れた。
玉鷲の突き押しをあてがい、左でまわしを引くと一気に決着。
「自分の流れで最後まで取り切れた」と満足そう。
2日目は元大関の朝乃山に屈したが、「きのうはきのう」。
気持ちを切り替え、黒星を引きずることはなかった。
3日目、新小結の錦木が、4年ぶりの対戦となった幕内・朝乃山を破って2勝目を挙げた。
立ち合いで右をねじ込み、下手を取った。
左を差され動きが止まったが、左を巻き替えると、最後は右上手投げ。
「前に行けないから巻き替えたんです」とニヤリ。
「左上手を取られないように頑張った。流れでタイミング良く投げられた」と充実感がにじんだ。
過去2勝6敗で2連敗中。
前回の対戦はお互い幕内だった19年夏場所。
3日目、小結翔猿が結びで豊昇龍を送り出し、7場所連続で大関撃破。
互角の立ち合いを見せて出足を止め、左に動いて相手が体勢を崩したところを攻め切った。
直前の取組で北勝富士が霧島に勝ったのを「自分も負けていられないと思った」と発奮材料に挙げ、三役3場所目で初の勝ち越しに向けて「自分らしく、何でも思い切ってやること。弱気でいかないように」と気合を入れ直していた。
3日目、東前頭筆頭・北勝富士が3大関総なめで無傷の3連勝を飾った。
カド番の大関・霧島に寄り切りで快勝。
平幕力士が初日から3日連続で大関を破るのは、昭和以降5例目で自身2度目の快挙となった。
先場所は優勝決定戦に進出もV逸の悔しさを味わったが、今度こそ初賜杯を手にすべく白星街道を突っ走る。
大関を3連破するのは2019年初場所以来、自身2度目。平幕力士が初日から大関3連破を複数回マークするのは、昭和以降初の快記録だ。
「うれしい」としながらも、「たまたま」と謙遜した。
先場所は優勝決定戦の末に当時関脇の豊昇龍に敗れ、初賜杯をあと一歩で逃した。
「悔しさは一生もの」と振り返るが、自己最多の12勝。
3日目、朝乃山は小結・錦木と対戦し痛い黒星を喫しました。
激しい立ち合いから。
がっちりと組み合い探り合いが続き、朝乃山が仕掛けたところを、錦木が一瞬のすきをついて「上手投げ」。
朝乃山は今場所初黒星で2勝1敗となりました。
「相手が出てくるのを警戒した隙に、錦木関に左に巻き返されてそれにあわせてしまった。それで重心が右の方にいったので、上手投げをくらったかと思う。明日またありますので、きょう負けたことは忘れるしかない。思い切っていくしかない。当たって当たって当たる。当たるのみ。前進あるのみ」
3日目、押し上げて懐に入り込み、相手に何もさせなかった。
東前頭11枚目御嶽海が立ち合いから右でおっつけ、初顔合わせの北青鵬の左上手狙いを封じて速攻の押し出し。
初日からの3連勝は、新大関だった昨年春場所以来となった。
身長179センチが、関取最長身204センチの21歳を圧倒して「自分の相撲だけ意識した。足も動いていたし、体が全体的に機能してくれている」と納得のうなずき。
初日からオール押し出し。
出足の力強さを物語る決まり手に「それしかできないんでね。うれしい」と少しおどける余裕も出てきた。
3日目、佐田の海が物言いの末に琴勝峰を破り、令和3年九州場所以来の初日から3連勝とした。
突っ張ってきた相手にひるむことなく突き返して前進し、最後は倒れ込みながら押し出した。
5月に36歳になったが、「どうしたら体がよく動くか、毎日考えている」と試行錯誤しているといい、今場所は「腰から下に重さがある」と好調を実感。
三役以上の勝ちっ放しがいなくなる中、存在感を発揮している。
2023/09/12
2日目、カド番の大関霧島が幕内明生を押し倒して連勝発進した。
新大関で臨んだ先場所は右肋骨のケガの影響で、6勝7敗2休と負け越し。
カド番脱出へ幸先のいいスタートを切った霧島は「いつも通りやるだけ。一日一番しか考えていないし、それが一番。(余計なことを)考えずに相撲を取っていくことが大事」と気を引き締めた。
2日目、7度目のかど番の大関貴景勝が、復活を印象づける108日ぶりの白星を挙げた。
先場所で、関脇以上を総なめにした新三役の小結錦木を突き落とし。
身上とする突き、押しで攻め続け、5月26日の夏場所13日目、明生戦以来の白星で1勝1敗と星を戻した。
先場所全休の要因となった、両膝のけがからの復調とともに、気迫全開の取り口も戻ってきた。まずはかど番脱出。
その先に4度目の賜杯も見据える。
2日目、豊昇龍が大関初黒星を喫した。
先場所の優勝決定戦で顔を合わせた北勝富士に胸から当たって押し込んだが、右を巻き替えたところではたき込まれた。
取り組み後の支度部屋では「大丈夫。相撲内容は悪くなく、バランスを崩しただけ」と淡々。
「この1敗は気にせず、一日一番でまた一からやっていけたら」と話し、切り替えていた。
北勝富士は新大関の豊昇龍に対して立ち遅れたが、おっつけなどで応戦。
巧みにはたき込んだ。
先場所の優勝決定戦で敗れた相手だけに「特別な雰囲気。その中で相撲を取れたことが財産だし、一生の悔いにもなる」。
そんな思いを抱えながら、初日の貴景勝に続いて大関を撃破。
「2勝は2勝。久々の上位なので、思い切りやっていくだけ」と平然と言った。
2日目、西前頭2枚目・朝乃山が連勝スタートを飾った。
新関脇・琴ノ若を上手投げで撃破。
大関候補の若手を相手に、元大関が意地を見せた。
朝乃山が元大関の意地で次期大関候補をねじ伏せた。
初日の若元春戦に続き、大関昇進を狙う関脇を破ったが「まだ2日目。始まったばかりです」と浮き立つ様子は見せなかった。
執念を見せた元大関に、八角理事長(元横綱・北勝海)も「腰を落として残そうというのがあった。集中力がそれだけある。先場所でけがしてから前に出るいい相撲を取っている気がする」と評価した。
2日目、人気力士、西前頭4枚目の宇良が先輩の“面目”を保った。
ともに大阪・寝屋川市出身で同じ道場で鍛錬した東前頭5枚目の豪ノ山と初顔合わせ。
低い立ち合いで立ち勝った宇良が、豪ノ山の引きに乗じて一気に出て押し出した。
取組後は「ホッとしました」と本音をはき出した。
豪ノ山は入幕2場所目。
新入幕の先場所は2桁10勝で敢闘賞を受賞した。
宇良は一気に伸びてきた後輩との対戦を楽しみにしながら「不安もありますよね。なんだ、こんなもんかと思われたらどうしよう」と冗談めかして話していた。
それだけに気合十分で後輩に幕内の大先輩としても強さを示す必要があった。
今場所の初日はただの1勝に終わらない、格別な思いもこめられた。
2日目、東前頭11枚目御嶽海が2場所ぶりの連勝を決めた。
立ち合いから宝富士に頭をつけ、下から下からおっつけて圧力をかけてて、最後は一気に押し出し。
「我慢できました。気持ちいいですね」と取り口を冷静に振り返った元大関。
2016年春場所以来の前頭2桁の番付での土俵も「だらだら待つよりもいい」と前向きに捉えていた。
元幕内で東幕下37枚目の徳勝龍(37)=本名青木誠、奈良県出身、木瀬部屋=が、現役引退の意向を固めたことが11日、関係者への取材で分かった。
再入幕した2020年の初場所で幕尻優勝。
年寄「千田川」を襲名する見通し。
2023/09/11
初日、在位2場所目で初のカド番大関・霧島が白星発進。
立ち合いから小結・翔猿を突くと、もろ差しになった。
そのまま体を入れ替えると、土俵際でつり出した。
師匠の陸奥親方が現役時代の得意技で退けると「あまりきれいなつり出しではない。でも、最後までよかった」と照れくさそうだった。
初日、カド番の貴景勝は悔しい黒星発進となった。
押し込んだところを土俵際で北勝富士にはたかれて同体取り直しに。
2度目も同じような展開になり、今度は足がついていかなかった。
際どい判定だったが「白星か黒星の世界。負けは負け」と淡々と取材に応じた。横綱不在で、いつも以上に重圧がかかる今場所。
「一生懸命頑張ることしかできない。負けたら責任を果たせなかっただけの話」と冷静に前を向いた。
初日、新大関・豊昇龍が白星スタートを決めた。
東前頭2枚目・阿炎に土俵際まで押し込まれたが、逆転のとったりで「大関1勝」を手にした。
2006年夏場所の白鵬以来、17年ぶりの新大関優勝に向け、白星を積み重ねていく。
引き揚げた支度部屋では「正直に言いますけど、緊張しました」と、ホッと胸をなで下ろした。
初日、琴ノ若が、父で師匠の佐渡ケ嶽親方に並ぶ新関脇の初日を白星で飾った。
大関経験者の正代を組み止めると、圧力をかけ続けて寄り切り。
今場所は、小結で11勝し、大関とりの起点をつくった先場所に続く足場固めの場所。
連続2桁白星へ勢いのつく完勝に「慌てず前に出る相撲を取れた」と納得顔をみせた。
EXILEらが所属するLDH JAPANからの懸賞を手にし「向こうが有名すぎて」と恐縮していた。
初日、錦木が力強く玉鷲を押し出し、新三役初白星を挙げた。
2日に右ふくらはぎを肉離れし、3日間相撲を取らずに治療に専念したというが「痛みはなかった。しっかり当たれて、前に出られたので気にならない。いい相撲でしたね」とにっこり。
「(幕内上位の時と)当たる人は変わらないので、元気に相撲を取りたい」と三役の重圧は感じさせなかった。
初日、西前頭2枚目の朝乃山は、西関脇の若元春を寄り切り、白星発進した。
名古屋場所で左上腕を負傷し、夏巡業の氷見場所では稽古中に右足親指を痛めたもようだった朝乃山。
けがの影響が心配されたが、関脇の攻めに耐え、もろ差しで力強く寄り切り、好スタートを切った。
2日目は新関脇の琴ノ若と対戦する。
初日、東前頭8枚目の琴恵光が、今場所前の婚約発表後、最初の一番を白星で飾った。
立ち合いから突っ込んできた平戸海を左でいなすと、右を差して寄り立て、最後はすくい投げ。
幕内では自己最長となる、4場所連続の勝ち越しに向けて好発進した。
取組後には、年内に婚姻届を提出する意向か問われ「そうですね」と明かした。
ただ、婚約発表を受けて、先場所までとの思いの違いを問われると「特に変わらないです。勝ってよかったな、とは思いますけど、まだ初日なので」と、冷静に話していた。
左肩のケガで今場所を休場している幕内・伯桜鵬が10日までに、「左肩関節脱臼術後」「復帰まで3カ月以上かかる見込み」と記された診断書を日本相撲協会に提出した。
この日、師匠の宮城野親方が報道陣の取材に応じ、完治させる方針を示した。
伯桜鵬は新入幕の名古屋場所で11勝を挙げ優勝争いに絡む大活躍。
場所後は夏巡業を休場して地元・鳥取で治療に専念したが思うように回復せず、師匠と話し合って8月31日に手術に踏み切った。
3カ月以上かかるため、復帰は早くても来年初場所以降に。
このまま休場が続けば九州場所で十両へ、初場所で幕下転落となる。
それでも本人は既に前を向いてリハビリに励んでいるという。
「3カ月の診断は当然。まだ若いから万全に治して。またやってしまえば元に戻ってしまう。焦らないことが大事。ゆっくりやっていきたい」。
目先の番付よりも、期待の大きな愛弟子の将来を案じた。
初日、5場所ぶりに幕内に復帰した熱海富士が琴勝峰を破って白星発進を決めた。
立ち合いで素早く左の浅い上手を引くと、頭をつけて前に出ながら右も差して万全の体勢で寄り切り。
「稽古場で言われていることができたのでよかった」と会心の内容だった。
新入幕だった昨年九州場所以来の再入幕。
幕内土俵入りや勝った後の懸賞金など、十両とは違う独特の雰囲気を5場所ぶりに味わい「幕内帰ってきたっすね」と笑顔を見せた。
日本相撲協会は10日、秋場所初日の懸賞本数が198本となり、一日の本数で過去最高を更新したと発表した。
これまでの最多は今年5月の夏場所千秋楽で190本。
結びの霧島―翔猿には54本が懸けられた。
2023/09/10
10日に東京・両国国技館で初日を迎える。
9日には土俵祭が行われ、日本相撲協会の八角理事長や、審判部の親方らが土俵の安全を祈願。
一般のファン約400人も開放された客席から見守った。
7月の名古屋場所で初優勝を果たした新大関豊昇龍は、早くも「一つ上の番付」を見据えている。
国技館での優勝額贈呈式後に取材に応じ、「番付は変わったが、相手は変わっていない。一日一番を大事にして勝っていけば何とかなる」と意気込んだ。
芝田山広報部長は8日、大相撲秋場所でEXILEらが所属する芸能事務所「LDH JAPAN」が関脇・琴ノ若らの取組に懸賞を提供すると発表した。
相撲協会によると「マネジメント事務所が出すのは珍しいケース」という。
大相撲秋場所を翌日に控えた9日、会場の東京・両国国技館で、本場所開催の安全を祈願する土俵祭が行われた。
東京では20年初場所以来、3年8カ月ぶりに一般公開。
大阪で行われた今年3月の春場所に続き、熱心な相撲ファンらが午前中から会場に足を運んだ。
広報部長を兼任する芝田山親方は、事業部長の立場で取材に応じ「初日から目の離せない取組が組まれた。攻防のある熱い取組を期待したい」と話した。
すでに日本相撲協会から販売する前売り券は、15日間全て完売しているという。
同親方は「あとは、お茶屋さんが持っているチケットが、どのぐらい残っているかまでは分からない。でも、懸賞も昔から比べたら、すごく多くなっているし、土俵に目を向けてもらえているのは確か」と、相撲熱の高まりを口にした。
横綱照ノ富士の休場については、自身の経験も踏まえて「横綱という立場は、中途半端には出られない。次に出てくる時に、どういう気持ちで出てくるかは、師匠と本人の判断。周りの皆さんは賛否両論あるでしょうが、1番つらいのは本人。休めば休むほど、自分がつらくなる」と話し、今後の復活に期待していた。
2023/09/09
新関脇として迎える琴ノ若が8日、千葉・松戸市内の部屋で軽めの調整を行った。
締め込み姿で基礎運動を中心に体を動かし、「昨日まで相撲を取っていたんですけど、今日は締め込みを慣らす程度で。あとは体と向き合って、自分の力が発揮できるようにまた明日もしっかり準備していきたいと思います」と語った。
この日は秋場所の取組編成会議が東京・両国国技館で開かれ、2日目までの取組が決定。
琴ノ若は初日に幕内・正代、2日目に朝乃山戦が組まれた。
期待の新関脇は「やれることはやってきたと思うので、それをどれだけ出し切れるかの勝負だと思う。思い切って行ければいいなと思います」と、意気込んだ。
大関経験者の朝乃山は、8日に行われた秋場所の取組編成会議で、初日が若元春、2日目が琴ノ若と、関脇との2連戦からスタートすることが決まった。
この日は都内の部屋で稽古。
四股、すり足、てっぽうなどの基礎運動、立ち合いの確認を行った。
朝乃山と同様、ともに大関昇進を目指す難敵との2連戦から始まることを聞くと「やるしかない。あさってから初日なので、やるだけですね」と、自らに言い聞かせるように力を込めて話した。
7月の名古屋場所は、左上腕二頭筋部分断裂で途中4日間、休場。
さらに8月27日に地元富山県の氷見市で行われた夏巡業では、朝稽古の際に右足親指も痛めた。
その後は相撲を取る稽古ができない日が続いたが、6、7日に前頭千代翔馬、十両欧勝馬が出稽古に来て、関取衆を相手に「腕とか足は完治していないので(2日間ともに)15番ぐらい」と、相撲を取る稽古を再開した。
「納得はしていないけど、それは仕方ない」と内容には不満が残っている様子ながら、相撲を取る稽古を再開できないまま本場所を迎えるぶっつけ本番は回避した。
日本相撲協会は8日、大相撲秋場所を休場する東十両7枚目の若隆景の診断書を公表し、「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷の術後。今後約1カ月間の加療などを要する見込み」との内容だった。
元関脇の若隆景は4月上旬に靱帯の再建手術を受け、5月の夏場所と7月の名古屋場所を全休。
今場所は十両に転落した。
秋場所15日間の懸賞申し込み総本数が8日、2154本と発表された。
新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年秋場所に近い水準に戻ったという。
力士指定本数の上位は貴景勝と霧島の両大関、幕内御嶽海の順だった。
2023/09/08
横綱照ノ富士が、秋場所を休場することが決まった。
8日に発表された初日の取組に入らなかった。
休場は2場所連続で、今場所は横綱不在となる。
両膝に古傷を抱える照ノ富士は、腰椎椎間板ヘルニアなどにより、7月の名古屋場所を途中休場。
夏巡業や、今月2日にあった横綱審議委員による稽古総見には参加したものの、本格的な稽古はできていなかった。
2023/09/08
横綱照ノ富士が7日、都内の部屋で稽古を行った。
7月の名古屋場所を腰痛で4日目から休場後、前日6日までは相撲を取る稽古ができず、約1カ月の夏巡業も取組は1度も行わなかった。
この日は若い衆が申し合いを行う間、土俵回りですり足など基礎運動を行った。
ただ、稽古に集中させたい師匠の伊勢ケ浜親方の配慮で、途中からは報道陣非公開となった。
伊勢ケ浜親方、本人ともに取材には応じなかった。
一般的に初日を休場する場合、初日2日前の午前中から始まる、取組編成会議までに休場届を提出する。
8日朝までに師弟で話し合い、出場可否を決めるのが有力とみられる。
大関・霧島が7日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて15番の申し合い稽古を行った。
幕内・正代、豪ノ山、関脇・大栄翔、十両・天照鵬、輝鵬を順番に指名して連続で15番。
馬力のある相手に対して、出足を止めて四つ相撲に持ち込む展開が多かった。
番付発表後は8月30日から9月1日まで3日間出稽古、2日は稽古総見と連日15番前後の申し合いをこなしていたが、今週に入ってからは1日おきに稽古を休んで回復に努めた。
「毎日ケアしている」。
稽古のしすぎで調整に失敗した名古屋場所の反省と、師匠の陸奥親方の助言もしっかり生かしている。
「出稽古は今日で終わりなので、あとはしっかり体を休めて」。
カド番で迎える秋場所に万全な状態で臨むべく、調整はここから最終段階に入っていく。
関脇・大栄翔が7日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて計12番の申し合い稽古を行った。
まず幕内・正代、十両・時疾風、宮城野部屋から出稽古に訪れた幕内・北青鵬、十両・輝鵬、天照鵬の5人を相手に9番。
最後は大関・霧島から指名されて3番取った。
得意の突き押しの威力は健在で、霧島に引かせて一気に攻め切る場面も。
稽古を見守った宮城野親方からは「自分の形になったら一番強いね」と、持ち味を発揮した時の強さを評価された。
時津風部屋への出稽古は3日連続。
その前日には部屋で幕内・高安と三番稽古を行った。
大関を含む幕内上位陣とのレベルの高い稽古を重ね「良い稽古できてよかった」と充実感を漂わせた。
幕内・豪ノ山が7日、都内の時津風部屋へ出稽古し、大関・霧島と連続で7番取った。
組み止められてもがむしゃらに攻める姿勢を見せ、寄り切って一度だけ勝利。
大関相手に善戦し「場所前に良い稽古ができた。凄く良い経験をさせてもらった」と、自己最高位の東前頭5枚目で臨む秋場所への手応えを得た様子だった。
稽古場に訪れた宮城野親方は「素晴らしいね」と豪ノ山を絶賛。
大関に懸命に食らいついていく姿を見て「必死さが違う。これが(本当の)稽古だ」と褒め称えた。
2023/09/07
腰痛で7月の大相撲名古屋場所を途中休場した横綱照ノ富士は6日、都内の部屋で四股や筋力トレーニングで調整した。
若い衆などに対して積極的に助言を送る一方で、相撲は取らなかった。
秋場所が迫る中、本格的な稽古は再開できないまま。
古傷の両膝が安定しても、腰痛という新たな不安が解消されていない様子で、出場可否に注目が集まる中、取材には応じなかった。
7度目のカド番として挑む大関・貴景勝が6日、都内にある時津風部屋に出稽古した。
場所前初の出稽古では13番取って8勝5敗。
終盤は得意の押しを中心に関脇・大栄翔、幕内・正代らに6連勝で締めた。
帰りがけに取材に応じ「普通。頑張るしかない」と汗をぬぐった。
一方で不安も残した。
先場所は両膝半月板損傷のため全休。
そのためか、本来の出足の鋭さは見られず、幕内・高安には4連敗。
簡単にまわしをとられ、投げられる場面もあった。
稽古を見守った解説者で元小結・舞の海秀平氏は「当たりが弱いので捕まってしまう。当たりの強さが使えないとなると厳しい。今日の稽古だと不安」と心配そうだった。
関脇大栄翔が6日、東京都墨田区の時津風部屋を出稽古で訪れ、大関貴景勝、幕内高安らと相撲をとった。
13番で6勝7敗ながら、持ち味の突き押しの威力は十分。
大粒の汗をしたたらせ「いい稽古ができた。高安関といい稽古ができたし、大関ともしっかり相撲がとれたのでよかった」と収穫を口にした。
名古屋場所は9勝で、大関昇進はならず。
13日目の若元春戦で右肋骨を痛め、場所後の夏巡業も途中からの参加だった。
申し合い再開から1週間が経過し、状態も上向いてきた様子。
秋場所へ「いい感じなので、ここからやっていきたいと思います。もう(初日まで)短いんで」と、どん欲に稽古を重ねる構えをみせた。
幕内高安が6日、東京都墨田区の時津風部屋に出向き、同じく出稽古の大関貴景勝、関脇大栄翔らと相撲をとった。
押して良し、組んで良しの内容で、11番とって8勝3敗。
貴景勝には4連勝し「よかったですね。しっかり当たれたので」と手応えを口にした。
名古屋場所は中盤から失速して7勝8敗と負け越し。
夏巡業も急性腰痛で一時離脱したが、現在の腰の状態は「まあ、ボチボチですね。ケアをしながら」と問題はなさそう。
秋場所へ向けた稽古は「もう、お腹いっぱいです」と十分に積んだとし「いつも通りです」と、順調な調整ぶりをうかがわせた。
幕内・熱海富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で26番の申し合い稽古を行った。
幕内・宝富士、幕下・尊富士、研修生のオチルサイハンの3人を相手に計26番。
番付発表後は休みなく毎日稽古を続けており「まだ調子良いとは言えないですね」と初日へ向けてのさらなる上積みを見据えた。
9月3日には、21歳の誕生日を迎えた。
部屋の兄弟子からもらった誕生日プレゼントは、トレーニング用のウオーターバッグ。
すり足や体幹トレーニングの時に持つおもりとして使っているものを新調してもらった。
「トレーニングしがいがあります」と笑顔。
21歳を迎え「年取った感じがします」と冗談交じりに笑った。
「プロに入って3年たつのか…早いですね」としみじみ。
そして「番付を上げていきたい。三役いきたいです」と21歳の抱負を語った。
2023/09/06
腰痛で先場所途中休場の横綱照ノ富士は5日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古を休んだ。
部屋関係者によると、8月29日の稽古再開から相撲を取っておらず、調整のペースは上がらないままだ。
「勢いのある若い力士とやりたい気持ちは変わらない」と以前に語ったことのある一人横綱。
思いとは裏腹に、秋場所へ心配な状態が続いている。
自身初のカド番で迎える霧島が5日、都内の時津風部屋に出稽古した。
関脇・大栄翔らと14番連続で取って全勝と好調をアピールし「(状態は)いいと思いますよ。昨日休んだからね、ちゃんとやらないといけないと思いました」と、笑顔を浮かべた。
この日は大栄翔、豪ノ山、北青鵬、新十両・朝紅龍らが出稽古で集結した。
申し合いでは正代と3番、大栄翔と6番、豪ノ山と5番。
先場所新入幕ながら、一気に東前頭5枚目まで番付を上げた新鋭・豪ノ山には、組み止めて背後を取っての送り出しや、鮮やかな内無双など圧倒する内容が目立った。
申し合い後には胸を出し、「せっかく来てやっているからね、最後までいい稽古になるようにね」と稽古をつけた。
新大関だった名古屋場所は右ろっ骨などのケガに苦しんで負け越し。
今場所は在位2場所目にして初のカド番となるが、ここまでは順調な調整。
残り5日に迫った初日に向け、確実に仕上げていく。
関脇・大栄翔が5日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて12番の申し合い稽古を行った。
時津風部屋の幕内・正代、十両・時疾風に加え、出稽古組の大関・霧島、幕内・豪ノ山、十両・朝紅龍の計5人を相手に12番。
前に出る圧力のある正代や豪ノ山が相手でも得意の突き押しで圧倒していた。
大関獲りに挑戦した名古屋場所中に肋骨を骨折。
夏巡業は途中から合流したが実戦稽古は行わなかった。
8月30日に部屋で申し合いを再開し、出稽古はこの日が初めて。
「他の部屋の強い人とやりたかったので」と狙いを説明した。
直近3場所で優勝決定戦も含め4連敗中の霧島には、この日6番取って一度も勝てず。
四つに組み合う展開が多く見られた。
夏巡業中には、動きによってはケガした箇所が痛むこともあると話していた。
この日は「大丈夫です」と無事を強調。
成績次第では大関獲り継続の可能性もある秋場所へ、不安要素はなくなってきたようだ。
9月10日から始まる大相撲秋場所で関脇昇進が決まった「琴ノ若」を応援する祝賀パーティーが5日、山形県天童市で開かれました。
琴ノ若は「およそ四半世紀ぶりに関脇琴ノ若を復活させることができた。この地位で山形に帰ってくることができ、光栄に思う」
「下を見てしまったら上がれるものも上がれない。常に上だけを見て一日でも早くてっぺんに上り詰められるようにやっていくだけ」と語りました。
佐渡ヶ嶽親方は「私も先代の師匠から、入門した以上は一番強くなれと常に教えてもらっていた。私は大関、横綱とはなれなかったので、息子に託していきたい。」と語りました。
朝乃山が、相次ぐけがを乗り越えて“復活プラン”を実現する。
秋場所に向けて5日、都内の部屋で稽古。
7月名古屋場所の左上腕二頭筋部分断裂に続いて、8月27日に地元富山・氷見市で行われた夏巡業で右足親指を痛め、相撲を取る稽古はできず、四股などの基礎運動中心に汗を流した。
調整遅れは否めないが「休む気はない」と出場を断言。
年内の三役復帰という今年最大の目標へ「10勝以上を目指す」と誓った。
幕内・豪ノ山が5日、東京都墨田区の時津風部屋に出向いて15番の申し合い稽古を行った。
時津風部屋の幕内・正代、十両・時疾風に加え、出稽古組の大関・霧島、関脇・大栄翔、幕内・北青鵬と豪華なメンバーで行われた申し合い。
身長2メートル4の北青鵬を相手にまわしを与えず一気に突き出したり、上手を取られても切ってハズで押し出したりと動きの良さを見せた。
その後、霧島から指名されて連続で5番。
そのまま大関の胸を借りて押し続ける「あんま」も約5回行った。
最後は大栄翔の胸を借りてぶつかり稽古。
稽古を見守る師匠の武隈親方に叱咤(しった)激励されながら、泥まみれになりながら、力を出し尽くした。
充実の稽古にも「圧力で全然負けているのでまだまだ」と反省しきり。
役力士との力の差を痛感していた。
名古屋場所は新入幕で10勝を挙げ、秋場所は自己最高位の東前頭5枚目で臨む。
「もっとしっかり稽古して、万全の状態でできれば」と上位挑戦を見据えた。
2023/09/05
腰痛で先場所を途中休場した横綱照ノ富士は4日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で相撲を取らなかった。
両方の膝、肘にサポーターを施して立ち合いを入念に確認。
腰を押さえたり、ねじったりするなど不安をのぞかせた。
皆勤した夏巡業では取組や申し合いを行わず、慎重な調整は変わらない。
2日の横綱審議委員会による稽古総見後は「上に立っている限りはできることを尽くしていきたい」と語っていたが、初日まで1週間を切ってもペースは上がってこない。
新大関豊昇龍は4日、千葉・柏市内で母校の日体大柏高が開いた7月の名古屋場所での初優勝、場所後の昇進を祝う祝賀会に出席し、約200人を前に「大関が終わりではない。番付にはまだ上がある」と横綱昇進への決意を新たにした。
語学などを担当した教諭らから、当時の写真や昔話を披露され「恥ずかしかったけど、楽しかった。自分にとっては大切な3年間だった」。
豊昇龍は当地を「日本の故郷」という。
この日は東京・台東区の立浪部屋で出稽古に訪れた関脇若元春と9番取って6勝3敗。
18番続けて取るなど秋場所に向けて稽古のペースを上げてきた。
関脇大栄翔が4日、埼玉県草加市の追手風部屋に出稽古に来た幕内高安と連続で12番取り、「良い稽古をさせてもらった。圧力を受けられたのはプラスだと思う」と荒い息で汗をぬぐった。
名古屋場所13日目に右肋骨(ろっこつ)を骨折。
8月30日から相撲を取る稽古を再開したばかりとあって、この日は元大関相手に3勝9敗と分は悪かったが、痛みなく相撲を取れるところまで復調しているという。
稽古の最後には、高安に立ち合いの当たりを何度も受けてもらうなど泥まみれになりながら体を追い込んだ。
「稽古が足りていない。(秋場所初日の10日まで)日にちがないんで、やれることをやっていきたい」と語り、5日以降は出稽古を計画していることを明かした。
幕内・北勝富士が4日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向いて幕内・正代、十両・時疾風、同じく出稽古に訪れた幕内・豪ノ山の3人と計9番の申し合い稽古を行った。
北勝富士は、名古屋場所で初優勝こそ逃したものの12勝を挙げて優勝決定戦に進出する大活躍。
秋場所では東前頭筆頭まで番付を上げ、昨年夏場所以来の上位陣総当たりが予想される。
「やっと元いたところへ戻れたので楽しみ。若手みたいにがむしゃらにできたら」と意気込んだ。
また、大活躍だった名古屋場所中に右ふくらはぎ肉離れのケガを負っていたことを明かした。
「6日目の朝稽古でぶつかりをしていたらブチッといった。それから毎日痛み止めと治療でなんとか乗り切った」。
星数からは想像もつかないアクシデントが実は場所中に起きていた。
この経験を踏まえ「どれだけ万全でも勝てない時は勝てないし、(体は)関係ないんだなと思った。気持ち一つですね」と新たな発見を得た。
現在は既に回復している様子。
そして「調子悪くても12番勝てたのは自信になった」とプラスに捉えた。
日本相撲協会は4日、延岡市出身で東前頭8枚目の琴恵光関(31)=本名柏谷充隆、佐渡ケ嶽部屋=の婚約を発表した。
父の柏谷正倫さん(59)によると相手は福岡県出身、在住の一般女性。
約6年の遠距離恋愛を実らせた。
幕内・伯桜鵬が左肩の負傷により、秋場所を全休することが4日、決まった。
この日の朝稽古後、師匠の宮城野親方が取材に対応。
秋場所の全休と、先月31日に手術したことを明かし「5月に痛めてリハビリをしていたが、なかなかよくならなかった」と説明。
「先場所の活躍で期待されただけに、師匠として申し訳ない」と頭を下げた。
伯桜鵬本人は、「あまりにも早く新十両になって、新入幕もして、いろいろな方から注目していただいた。正直、左肩は限界だったが、その注目されているところから落ちるのがやはり怖かった。手術の決断に至るまでは、すごく時間がかかった」と悩み抜いた心境を明かした。
鳥取城北高時代に右肩を痛め、卒業後はすぐに入門せず手術を受けた。
だが今度は左肩を負傷。自らの状態について「両肩の関節がすごく小さく、人より肩が弱い」と説明した。
伯桜鵬は「どこまで落ちてもいいと思っている。幕内にいることが目標ではない。夢をかなえるための最善の選択」と強い覚悟を示した。
また「師匠に恩返しをしないといけない。半年後の自分の姿を想像し、僕も含め全員前を向いている。今より強くなって復帰しようと。焦りはもうない」とも言い切った。
完全復活、その先にある夢の横綱へ。
“令和の怪物”が新たな闘いに挑む。
日本相撲協会は4日、東京・両国国技館で10月2日に第80回全日本力士選士権を開催すると発表した。
新型コロナウイルスの影響で2020、21年は中止。昨年から再開された。
2023/09/04
西前頭9枚目、伯桜鵬が左肩の負傷により、秋場所を全休することが4日、決まった。
本人と師匠の宮城野親方が明言した。
8月31日に手術を受けたという。
全休すれば11月の九州場所での十両転落は確実。
伯桜鵬は「左肩の状態は限界だった。どこまで落ちてもいいと思っている。今より強くなって復帰したい」と語った。
宮城野親方は復帰時期について「医師と相談しながら決めていく」と述べるにとどめた。
新入幕の先場所で最後まで優勝争いに加わった伯桜鵬は11勝4敗で敢闘賞と技能賞を受賞。
入幕2場所目も注目されていたが、場所後の夏巡業は左肩関節亜脱臼のため不参加だった。
2023/09/04
審議委員会による稽古総見が2日、両国国技館で行われた。
4年ぶりに一般に公開して実施されたが、腰痛で先場所途中休場となった横綱・照ノ富士は相撲を取らず、ぶつかり稽古で胸を出すのみ。
復活を期す秋場所へ、暗雲が垂れ込めた。
4年ぶりに一般公開された稽古総見。
腰痛で先場所途中休場した照ノ富士は、相撲を取らずに調整した。
現状について「見ての通り、まだ稽古ができていない状態。間に合わせたいと思っています。状態を見ながらやりたい」と慎重な姿勢を崩さなかった。
昇進披露宴が3日、東京都内で開かれ、日本相撲協会の八角理事長、横綱照ノ富士ら約700人が祝福に訪れた。
「こういうパーティーは初めて。夢みたい」と声を弾ませた。
新大関として臨んだ7月の名古屋場所は右肋骨(ろっこつ)の骨挫傷があり、6勝7敗2休に終わった。
現在はけがも癒え、体の状態に不安はないという。
秋場所に向けて着々と稽古を重ねており、「かど番ということは頭に入れず、いつも通りにいけば大丈夫」と自信を示した。
2日、横綱審議委員会の稽古総見が国技館で行われた。
大関貴景勝は新大関豊昇龍、大関霧島らと相撲を12番取って6勝6敗。
4年ぶりに一般公開された稽古総見を終えて「お客さんの前では巡業でも稽古してるけど、みんな番付発表後でピリッとしてる。気合を入れて一番一番集中してやろうと思った。なかなか(番付が)上同士で取れることはないので良かった」と充実感を漂わせた。
和製大関は「自分の相撲人生、上がったり落ちたりなんで。いいこともあれば、悪いことも、常に隣り合わせでやってきた。今年も出だしはいいところから始まって、またケガをして今があるので。いいことが続くように、頑張るだけ」。
復活への強い決意を口にした。
勝負師の顔に満面の笑みが広がった。
大相撲の新大関豊昇龍が3日、美容整形外科「高須クリニック」の高須克弥院長から贈られた飛騨牛を使った絶品肉ずしを堪能した。
都内の部屋で後援者を招いて夕食会が行われ、高級レストランに在籍する一流職人が握るすしが振る舞われた。
飛騨牛をふんだんに使った肉ずしを前に手が止まらず、豊昇龍は「本当にうまいね」と何度もおかわりしていた。
職人から教わって自分で握った肉ずしを若い衆に食べてもらい、感想を聞いてご満悦な笑みを浮かべた。
関脇・若元春が1日、東京都墨田区の時津風部屋へ出向き、同じく出稽古に訪れた大関・霧島らと16番の申し合い稽古を行った。
一昨日に続いて霧島の胸を借りたこの日は9戦全敗。
得意の左四つに持ち込んでも、両まわしを引き付ける十分な体勢になる前に先に動かれて翻弄された。
「やっぱり大関強いですね」と実力差を痛感。
秋場所の成績次第では大関獲り継続の可能性もある中「そこに食らいつけるぐらいの力がないと(大関に)上がれない」と現状を分析した。
幕内・正代とは3番取って1勝2敗。もろ差しを許して馬力負けする場面もあり「自分十分になれていない」と課題を口にした。また「元大関と現大関に囲まれて稽古できるのは幸せ」とレベルの高い稽古環境に感謝した。
あす2日には両国国技館で横綱審議委員会の稽古総見が行われる。
ここまでの調整については「巡業も(番付発表前)ギリギリまでやって、それなりに動いてきているので良いんじゃないですかね」と好感触だった。
新関脇琴ノ若は1日、大関昇進の足固めを狙う秋場所に向け「早く勝ち越して、そこから一つでも積み上げたい。優勝を目指すくらいの気持ちでいかないといけない」と意気込んだ。
先場所は小結で11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。
25歳のホープは千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で幕内の琴恵光や琴勝峰らを相手に14勝1敗。
189センチ、170キロの恵まれた体で一方的に寄り切る攻撃的な内容が光った。
「今までは出し切れない部分があった。これが当たり前にできないと、上には上がれない」と旺盛な向上心をのぞかせた。
横綱審議委員会の稽古総見が2日、東京・両国国技館で行われ、新型コロナ禍前の2019年秋場所以来、4年ぶりに一般公開された。
新小結錦木が、ぶつかり稽古で右ふくらはぎを負傷。
稽古後に「肉離れした。すごく痛い」と自ら打ち明けた。
関取衆の稽古では、幕内力士では土俵一番乗りで胸を出すなど精力的に動きながら、まさかのアクシデント。
「どうにか治します。そんなにひどくなければ出稽古に行きたい」と出場を目指し、治療と調整を続けていく。
横綱審議委員会の稽古総見が2日、両国国技館で行われ、西前頭2枚目の朝乃山が参加し、番付発表以降で初めて公開で相撲を取った。
ここまでけがの影響で調整が遅れているが、本場所までの残り1週間でスパートをかける。
稽古総見の終盤は、3大関を中心とする申し合い稽古が繰り広げられた。
三役陣が土俵を囲む中、朝乃山も実力者として輪に入った。
左腕にテーピングを施した朝乃山は積極的には相撲を取らなかったものの、新大関の豊昇龍から指名を受け、土俵へ。
鋭い立ち合いから一気に圧力をかけて豊昇龍を押し込むも、土俵際の逆転に屈した。
この日に相撲を取ったのはこの1番のみだった。
豊昇龍は指名した理由について「元大関ですし、いい稽古相手になります」と明かした。
朝乃山は夏巡業で右足親指を痛めた影響で、番付発表以降は相撲を取らずに調整を進めてきた。
指の腫れは徐々に引いており、左腕の状態もみながら調整を急ぐ考えだ。
入幕2場所目で東前頭5枚目の豪ノ山が3日、東京都大田区の武隈部屋で四股やすり足などの基礎運動を中心に汗を流した。
新入幕の先場所は10勝5敗で敢闘賞。
25歳のホープは「自分の相撲を取って勝ち越して、またその上を目指していきたい」と貪欲に語った。
夏巡業の稽古では番数を重ね、新大関豊昇龍にも胸を借りた。
今後の対戦を見据え「挑戦とは言っていられない。勝ちたい」と闘志を燃やす。
4日からは出稽古を見据え「しっかり稽古して、万全の状態で臨みたい」と表情を引き締めた。
左肩痛を抱える入幕2場所目の伯桜鵬は本格的な稽古再開のめどが立たず、心配な状況が続いている。
3日は同じ鳥取城北高出身で宮城野部屋の先輩、元幕内大喜鵬の山口雅弘氏の断髪式を欠席。
師匠の宮城野親方は「また肩が痛いということで、来ることができなかった」と説明した。
20歳の伯桜鵬は先場所で11勝を挙げ、三賞ダブル受賞に輝いた。
だが左肩関節亜脱臼で夏巡業を全休。
2日の横綱審議委員会による稽古総見も欠席した。
宮城野親方は手術の可能性について「病院で検査をしてもらっている」と話すにとどめ、秋場所の出場可否へ言及を避けた。
名古屋場所で十両優勝し、再入幕を果たした熱海富士が3日、21歳の誕生日を迎え、同部屋の横綱照ノ富士を上回る若さでの三役昇進を目標に掲げた。
番付の頂点に立つ兄弟子の期待に結果で応えたい。
得意の攻めは同じ右四つだが、「体の使い方から、そのために必要な鍛え方まで稽古場で教えてもらっている。横綱を信じて、白星につなげたい」と意気込む。
日本相撲協会が29日、十両以上の力士の最新の身長、体重を発表した。
幕内力士の平均は、
身長184・8センチ、体重161・7キロ(前回の計測時から0・3キロ減)
十両の平均は
身長182・8センチ、体重158・3キロ(同1・4キロ増)
関取のうち最重量は
<1>水戸龍=201キロ
<2>大翔鵬=198キロ
<3>剣翔=187キロ
最軽量は
<1>翠富士、輝鵬=115キロ
<3>朝紅龍=120キロ
最長身は
<1>北青鵬=204センチ
<2>湘南乃海、金峰山、獅司=193センチ
唯一の2メートル超えした北青鵬は前回の計測時と変わらなかったが、今後さらに伸びる可能性も十分。
1953年9月場所以降では元横綱曙と並んで歴代最長身に立つが、今後さらに伸びて単独トップに立つことを期待したいところだ。
最短身は
<1>輝鵬=167センチ
<2>武将山=171センチ
<3>翔猿=173センチ。
2023/09/01
腰痛で先場所を途中休場した横綱照ノ富士は慎重に始動した。
28日には腰に痛み止めの注射を打ったとし「痛みは和らいだが、治ったわけではない。その日、その日で状態を見ながらやっていく」。
相撲を取る稽古の再開時期は「分からない」と述べるにとどめた。
昨年10月の両膝手術を乗り越え、今年5月の夏場所では1年ぶりの復活優勝。
「膝は手術してからスムーズに動くようになり、良くなったのかなと思う。あとは腰だけだ」と現状を説明した。
30日、都内の荒汐部屋へ出向いて関脇・若元春と18番連続で取った。
互いに得意とする左四つの展開が多く、右上手からの攻めやもろ差しの速攻で13勝5敗。
関取同士の三番稽古では1番取るごとに「待った」をして呼吸を整えることが多いが、最後の5〜6番は気合が乗り“待ったなし”で取り続けた。
「最後2人で盛り上がったね」と霧島。
若元春の息が上がる中、霧島は無尽蔵のスタミナを発揮して余裕の表情だった。
充実の稽古をこなしながら「これから徐々に体をつくっていく」とまだ始動段階の様子。
名古屋場所前は稽古で追い込みすぎて調整に失敗し、背中の痛みで初日から3日間休場した。
カド番で迎える秋場所へ「疲れた時は休みを取りながら」と先場所の反省を生かす方針だ。
万全な状態で秋場所に臨むために、適度な“待った”を入れながら調整していく。
31日、秋場所で実現する霧島、豊昇龍との大関対決に自信を見せた。
2人とはお互いに大関となって初の対戦となるが、過去、貴景勝がお互いに大関として初対戦したときの成績は3勝1敗。
先輩大関の意地を見せ、7度目のかど番場所で勢いに乗りたい。
同日は東京都板橋区の常磐山部屋で朝稽古した。
誰と取っても一番は一番。
力むことはない。
その一方で、場所の終盤で組まれる看板力士の激突への期待の高さは、誰よりも分かっている。
「ファンが楽しみにしてくれてますから。いい相撲を取れれば。淡々とやれることをやっていく」名古屋場所を両膝半月板損傷で全休し、この日は土俵に入らなかったが、十両貴健斗との立ち合いの確認では、踏み込みを左右両足で試す場面も。
「どっちでもできるように」と準備は着々。
1年ぶりに3大関となる土俵で、主役に躍り出る。
31日、都内の部屋で明生と9番連続で相撲を取り8勝。
中には左下手を許し、土俵際まで追い込まれたが、もろ差しで反撃に転じ最後は寄り切るなど勝負強さを示した。
「見ての通りいい相撲とっていたんじゃないかな」と胸を張った。
新大関となり、大きな注目を浴びる。
先場所までとは違う状況だが、「番付は上がっても相撲を取る相手は変わらない。気にしていない」とキッパリ。
巡業で充実した稽古を送ったこともあり「疲れもある。(場所前稽古の)やり方を変える必要はない。変えるとケガにつながるかもしれない」。
まずは部屋で稽古を積んでから出稽古に赴くつもりだという。
大関昇進へ再挑戦する関脇大栄翔は31日、埼玉県草加市の追手風部屋で十両大奄美や幕下以下の力士らと13番取り「出直しのつもりで稽古し、また一から積み上げていく」と意欲を語った。
先場所13日目の若元春戦で右肋骨を負傷。
夏巡業は終盤から参加して相撲は取らなかった。
申し合いは30日から始めたばかりで、この日の稽古では出足の鋭さを欠いた。
引き技が目立ち「久々で怖さがある。動きは戻っていないが、時間がないので気を張ってやっていきたい」と話した。
今後は「他の部屋の関取衆とどれだけやれるか。そこで調子を測っていく」と出稽古を視野に入れた。
30日、都内の部屋で出稽古に来た大関・霧島と18番の相撲を取った。
5勝に終わったが、得意の左四つは健在だった。
終盤は間を空けない“待ったなし”。
だが、最後は「大関が立て続けに、そんきょして先に手をついたので僕が『待った』をするわけにはいかない。勘弁してください」と苦笑した。
大関取りがかかった先場所は9勝に終わった。
秋場所も成績次第では大関昇進の可能性は残っているが、「いつもと変わらず、昇進は意識しない。でも2ケタ勝利は最低限のハードル」。
本県出身力士として23年ぶりに小結昇進を果たした盛岡市出身の錦木関30日、同市内のホテルで記者会見し、大相撲秋場所に向けて「新三役での勝ち越しを目標に頑張りたい」と意気込みを語った。
7月の名古屋場所では横綱照ノ富士関を破る金星を挙げるなど10勝5敗の好成績。
「全体としては(初の)殊勲賞も取れたし良かった」と振り返った。
28日に発表された秋場所新番付では東小結に。
初土俵から103場所での新三役は史上3番目に遅い記録だが、「あまり気にせずにやっていきたい」と話した。
将来の目標については「上にはまだ関脇、大関、横綱の位がある。何年かかるか分からないが、引退しない限りは上を目指したい」ときっぱり。
「自分が勝っていくところを見てもらい、スポーツや勉強でも諦めずに頑張ってほしい」と周囲への気配りも忘れなかった。
31日、都内の立浪部屋で17番連続の申し合い稽古を行った。
新大関・豊昇龍とは9番取って1勝8敗。
立ち合いの低さを重視しており「できていたと思うけど、2歩目を出すのが難しい」と課題を口にした。
2場所連続で勝ち越し、秋場所では西前頭筆頭まで番付を上げた。
4歳下の弟弟子・豊昇龍の大関昇進には「当然悔しい」と刺激を受けている。
「勝ち越して、まずは三役に戻って、そこからまたスタート」。
三役復帰とその先への思いを語った。
31日、都内の部屋で稽古し、基礎運動を中心に汗を流した。
27日の地元の富山・氷見市で行われた夏巡業の稽古中に右足親指を負傷しており、この日は軽めの調整。
状態については「(土俵の土を)指でかめない。まだ少し痛いですね」と不安をのぞかせた。
故郷での巡業で負傷し、「最後、地元で相撲を取ってケガしたのは悔しい」。
右足は「血管が見えないぐらい腫れていた」という負傷時に比べると、腫れは引いたという。
秋場所の初日は来月10日で、3日には稽古総見も控えているだけに、「明日、テーピングとか多めにぐるぐる巻きにして、できたら少し(相撲を)取りたい。時間もないですし、やらないといけないので」と危機感を示した。
31日、自己最高位の東前頭5枚目で迎える秋場所に向けて「25歳と、すごく若いわけではないので、挑戦者(という意識)とかでなく、しっかり勝っていかないといけない」と意気込みを示した。
武隈部屋での稽古後に取材に応じた。
新入幕だった名古屋場所は10勝5敗で敢闘賞を受賞。
夏巡業では霧島、豊昇龍の両大関ら上位力士に胸を借りて稽古できたことが収穫だったという。
番付を一気に8枚上げた秋場所を前に「もう一度、鍛え直して臨みたい」。
この日は相撲は取らず、四股やすり足、ぶつかり稽古などで汗を流したが、武隈親方によると、9月3日以降は出稽古も検討している。
29日、秋場所を休場する可能性を示唆した。
この日は東京・墨田区の部屋で、ゴムチューブを使うなどして汗。
左肩に故障を抱えるだけに、慎重な調整だった。
稽古後に出席した国技館での力士会後に取材に応じ、「あまり状態は良くない。休場して番付が落ちたとしても、幕内にいることが目標ではない」と述べた。
新入幕の先場所で11勝を挙げ、千秋楽まで優勝争いに絡む大活躍を見せた。
だが左肩関節亜脱臼の影響で夏巡業は全休。
故郷の鳥取県などで治療していた。
30日、東京都中央区の荒汐部屋で三段目力士らを相手に12番の申し合い稽古を行った。
朝7時半過ぎに稽古場に降りると、四股やすり足で入念に体を動かしてから申し合いに参戦。
東三段目90枚目の寛龍と2番、西序二段22枚目の飛騨野と10番連続で取った。
実戦稽古を再開したのは8月後半からで「まだ取り始めたばかり」という。
それでも立ち合いの鋭い踏み込みや下からの厳しい攻めは健在で、格下相手ではあるが全く寄せ付けず12戦全勝。
順調な回復ぶりをうかがわせた。
若隆景は関脇だった春場所で右膝前十字靱帯断裂の大ケガを負い、4月上旬に靱帯の再建手術を受けた。
それ以降は休場が続き、秋場所の番付は東十両7枚目。
今場所も全休なら関取の座を失うことになる。
「復帰に向けて段階を踏んでいる。一日一日で良くなるようなケガではないので、少しずつ積み重ねて今できることをやっていけたら」。
術後すぐは歩くこともできなかったが、懸命なリハビリを経て少しずつ相撲が取れるまでに回復した。
2023/07/27
日本相撲協会は26日、関脇豊昇龍(24=立浪)の大関昇進を正式に決定。
豊昇龍は名古屋市内の部屋宿舎で行われた伝達式で「大関の名を汚さぬよう、気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力いたします」と口上を述べた。
新大関は「どんなことがあっても、力強く立ち向かうという意味」と口上に込めた思いを説明。
「ここで終わるわけじゃない。次(横綱)に向けて頑張りたい」と決意を新たにした。
2023/07/24
朝青龍級≠フポテンシャルだ。
千秋楽、関脇豊昇龍が12勝3敗で初優勝し、大関昇進も確実にした。
本割で19歳の新入幕伯桜鵬、優勝決定戦では幕内北勝富士に連勝して2冠≠達成。
元横綱朝青龍を叔父に持つサラブレッドの実力は「本物」なのか。
元大関琴奨菊の秀ノ山親方は、豊昇龍の潜在能力に太鼓判を押した上で「叔父さんと同じ番付(横綱)までいける」と期待した。
豊昇龍は優勝決定戦で北勝富士を押し出して勝ち名乗りを受けると、こらえきれずに涙を拭った。
表彰式の優勝力士インタビューでは「(涙は)出ちゃったですね。すごくうれしくて。我慢してたんですけど、止まらなかった。誰に伝えたい? 一番最初に親方(師匠の立浪親方)に。その後に叔父さん(元朝青龍)に言いたいです」と喜びをかみしめた。
千秋楽、条件付き受賞だった琴ノ若が、ここまで10連勝していた竜電を寄り切りで退け、11勝目。
4度目の敢闘賞を手にし「まずは自分の相撲を取ることが大事だった。集中してやれた」と胸を張った。
今年初場所で三役に昇進し、2桁勝利は初。
秋場所は新関脇に昇進する可能性が高い。
千秋楽、殊勲賞を受賞した錦木は記録ずくめの場所になった。
前半は照ノ富士や3関脇を撃破するなど夏場所からの14連勝で場所を盛り上げた。
初土俵から103場所目での三賞受賞は歴代最スロー。
千秋楽は敗れたこともあり「最後は勝ちたかった」と笑みはなかった。
それでも秋場所は史上3位のスロー出世となる新三役昇進が濃厚で「新三役で頑張りたいです」と切り替えた。
千秋楽、東前頭4枚目の朝乃山が力強い内容で関脇若元春を寄り切り、再出場した12日目から4連勝で勝ち越しを決めた。
それでも元大関は「勝ち越しは通過点と思っていた。
2桁を勝ちたかったので満足していない」と納得はしていない様子。
右腕の負傷で休場を強いられただけに、三役復帰を目指す来場所へ向け「けがをしない体づくりをしたい」と肉体の強化を誓った。
31歳の北勝富士は初優勝を逃した。
本割で錦木を破り、豊昇龍との決定戦に。
押していったものの、前傾姿勢を保つ相手をはたいてしまい、一気に土俵の外に追いやられた。
「我慢していけばよかった。まだまだ稽古が足りない」と悔しさをにじませた。
賜杯獲得にはあと一歩届かなかったが、幕内では初めての12勝。
敢闘賞も手にし、「またこつこつと稽古していく」と誓った。
千秋楽、新入幕の豪ノ山が先に三賞を決めていた伯桜鵬、湘南乃海に続いた。
ベテランの玉鷲相手に一歩も引かず、逆に相手を引かせて押し出した。
4連勝締めで勝ち星を2桁に乗せ、敢闘賞を受賞。
「しっかり自分の相撲で勝てたので自信になります」と充実した表情をのぞかせた。
新入幕3人が10勝以上を挙げたのは11年九州場所の松鳳山、碧山、妙義龍以来。
「強い人が多いので負けないように」と刺激を受けている様子だった。
千秋楽、新入幕の湘南乃海が敢闘賞を受賞した。
ベテランの妙義龍戦は相手を起こしながら土俵際ではたき込み10勝目を挙げ「欲を抑えてしっかり自分の相撲を取り切ることを意識しました」と話した。
これで昨年の名古屋場所から7場所連続勝ち越し。
成長著しい25歳は「もっと前に出ていい相撲を取って、地元に恩返ししたい」と今後を見据えた。
伯桜鵬は11勝で並んでいた豊昇龍に敗れ、開口一番「悔しいです」。
新入幕で優勝すれば109年ぶりだったが、その偉業達成は逃した。
「優勝は狙っていなかった。勝つための準備をして勝てなかったのが悔しい」。
19歳の新鋭は力の差を痛感し、唇を震わせた。
この日の朝、師匠の宮城野親方から、投げ技に対応するための助言を得ていた。
それでも、得意の左四つから上手投げを食い、裏返しにされた。
師匠が新入幕場所で挙げた12勝が目標だった。
13、14日目にトップを破るなど快進撃を見せたものの、あと一歩届かず「情けない」。
昭和以降で最速タイの初土俵から所要3場所で入幕した逸材は、「稽古して強くなるしかない」。
感情を押し殺すように決意を語った。
新入幕優勝の快挙は逃したが敢闘賞と技能賞を獲得し、新入幕では平成26年秋場所の逸ノ城以来のダブル受賞となった。
千秋楽、三賞は史上最多の7人が受賞した。
名古屋場所千秋楽の23日に名古屋市内で三賞選考委員会が開かれ、
殊勲賞は錦木、敢闘賞は伯桜鵬と北勝富士、技能賞は伯桜鵬を選出。
さらに、千秋楽の一番に勝てば豊昇龍、琴ノ若、豪ノ山、湘南乃海を敢闘賞とすることを決めた。
条件付きの4人が全員勝ったため、計7人が受賞。これまでの最多だった1998年夏場所と2020年初場所の5人を上回った。
2023/07/23
14日目、霧島の負け越しが決まった。
突っ張っていったが、元大関の朝乃山を起こせず、得意の右差しを許してすくい投げで転がされた。
八角理事長は、背中付近の痛みのために4日目からの出場となった新大関を「気持ちと体のバランスが悪かった」と指摘。
かど番で迎える来場所の土俵に万全の状態で上がることを期待した。
14日目、幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長が、打ち出し後に報道陣の取材に応じ、千秋楽を残して3場所32勝に到達した大関とりの関脇豊昇龍について「まだなんとも言えないところですね」と明言を避けた。
そして「これが33勝とか、34勝だったら話が違うと思うんですけど、後は千秋楽の相撲を見てから」。
場所後の大関昇進かどうかは千秋楽の取組が終わった上でと説明した。
この日、大関とりのライバル若元春に立ち合い変化されるも冷静対処し、小手投げで退けたことについては「豊昇龍は若元春の変化に対して、しっかりついていけた。ある意味落ち着いて相撲が取れているのかな」と評した。
新たな大関候補に名乗りを上げた。
14日目、小結琴ノ若が幕内宇良を押し出して10勝目(4敗)。
三役として初めて2桁白星を挙げて、大関とりの起点を築いた。
取組後の琴ノ若は、10勝到達にも冷静。
「最初から上を目指してやってきている。(10勝以上が)当たり前になるぐらいじゃないと、つながっていかない」と、あくまで通過点≠ナあることを強調した。
23日千秋楽の千秋楽は幕内竜電と対戦。
今場所最後の相撲へ向けて「まだもう一番ありますし、終わったわけではないので。明日に向けてしっかり準備して、気を引き締めていくつもり。もう1勝? そうですね。きっちりと終わりたい」と気合を入れた。
14日目、東前頭筆頭の錦木は竜電に敗れ、3敗を守れなかった。
「前に出られたのはよかったけど、最後は棒立ちだった」と反省を述べた。
「負けたくはなかった」という同期生との対決。
4連敗から10連勝を飾った竜電には、先場所に自ら記録した終盤8連勝を引き合いに「僕のマネをしなくていい」と冗談を飛ばした。
優勝の可能性こそ消滅したが、落胆はなし。
「勝って、気持ちよく終わりたい」と前向きに千秋楽での勝利を目指す。
14日目、大関経験者が、勝負にかける矜持を示した。
元大関の幕内朝乃山が新大関の霧島を真っ向勝負で破り、7勝目(4敗3休)。
突き放しにきた相手を右四つで組み止めると、豪快なすくい投げで土俵に転がした。
取組後は「昨日(霧島との)対戦が決まってから、思い切っていくことだけを考えていた。あの投げも思い切ってやった結果。しっかり相手を見てここしかない≠ニいうところで、体が反応した」と振り返った。
朝乃山が結びで相撲を取るは、一昨年の夏場所以来2年ぶり。
当時は大関として格下の挑戦を受ける立場だった。
今回は、逆に挑戦者として臨んだ一番。
「新大関の霧島関に、思い切って自分の相撲を取って勝てたことを少しでも自信にしたい。連日応援していただいている中で、結びで勝てたのはうれしかった。拍手や歓声が力になりました」と謙虚な姿勢で受け止めた。
14日目、北勝富士は、1差だった新入幕の伯桜鵬に屈し、3敗のトップに並ばれた。
「自分の相撲を取らせてもらえなかった。ただ悔しい」と静かに言った。
すぐに左差しを許して胸を合わせ、互いに上手を探る攻防に。
揺さぶってきた相手を押し込んだが、土俵際での詰めが甘く逆転され、「(最後は)腰が抜けて足もそろってしまった。焦りが出た」。
賜杯争いは、豊昇龍を加えた3人に絞られた。
初優勝を懸けて臨む千秋楽に向け、「自分の立ち合いができるように頑張りたい」と己に言い聞かせた。
14日目、竜電が下手投げで錦木を下し、5日目からの連勝を10に伸ばした。
「体勢が悪かったけど、最後まで諦めずにいけた」。
昨年秋場所での11勝以来となる2桁勝利については「まだ最後の一番があるので、前に出る相撲を強い気持ちを持ってやるだけ」と総括は先送りした。
千秋楽で3敗対決が組まれたため、優勝の可能性は消えたが、土俵へ向かう気持ちに変わりはない。
14日目、敗れれば、優勝の可能性が消える一番。
連日館内を沸かせる19歳の伯桜鵬が、北勝富士を土俵際の逆転で破った。
13日目の錦木に続き、優勝争いで先頭にいた力士をまたも撃破し、3敗を死守してトップに並んだ。
「おっつけが強い。やりにくかった」と振り返る。
初顔の相手に対応する相撲勘、感性の良さこそ、新入幕で白星を積み重ねる原動力だろう。
左四つで組み、前日に続いて長い相撲に。
自身が仕掛けたところを突かれて攻め込まれたが、俵に掛かった右足で耐えて突き落とし。
物言いがついても、自信はあった。
「残せている」。
不安げな表情はなく、軍配通りに勝ち名乗りを受けた。
元横綱白鵬の宮城野親方は、新入幕の場所で12勝を挙げた。
偉大な師匠と同じ星数を今場所の目標に掲げ、左肩の痛みにも耐えながら奮闘する。
数字だけでなく、「すごく憧れ」と表現する賜杯獲得も現実味を帯びてきた。
千秋楽は関脇豊昇龍との一番が組まれた。
109年ぶりの新入幕優勝はなるか。
「自分は優勝できるレベルではない。勝てるように準備する」。
大一番を前にしても変わらない落ち着きで、快挙に挑む。
2023/07/22
13日目、大関昇進を目指す豊昇龍が、関脇で3場所連続の2桁白星に到達した。
新大関霧島との一番。
立ち合いで右に動いて上手を引き、頭をつける。
低い体勢から寄り切り、「よかったと思う」と納得顔だった。
同じモンゴル出身で、先に出世を果たした大関に完勝。
優勝争いでも、トップと1差につけて存在感を発揮し、「集中できているので、この感じで頑張る」と意気込んだ。
13日目、大関昇進を狙う大栄翔は、3連敗で痛恨の5敗目。
昇進の目安とされる三役での直近3場所の合計33勝はクリアできなくなった。
若元春を喉輪で攻めたものの、体が伸びてしまい、回り込まれてはたきを食った。
土俵下の粂川審判長は「気持ちばかり前にいっている。いい突き押しだったが、前に落ち始めたから、力が入り過ぎているのでは」と語った。
13日目、若元春が大栄翔との関脇対決を制した。
立ち合いで大関取りのライバルの鋭い押しにもひるまなかった。
土俵際でしのぐと、張り手で応戦。再三ののど輪を弓なりにながら、耐えた。
最後は土俵際で左足1本残してはたき込んだ。
「中々つかまえられず、突かれてしまった。相手の流れではたいて勝った。自分の流れにできなかったので、自己評価はよくない相撲」と反省。
13日目、錦木は我慢比べの末に痛恨の連敗。
左は十分でも、右で上手をなかなか引けない。
伯桜鵬の内掛けを食い、「攻め切れず、押し切れなかった。残念」。
13歳も年下の新鋭に屈しても、表情はすがすがしかった。
トップの北勝富士を1差で追う展開に変わった。
初賜杯獲得の可能性はあるだけに、「残り(2日は)精いっぱいやって、一つでも勝てればいい」と静かに意気込んだ。
13日目、朝乃山は正代を破り、再出場から2連勝を飾った。
立ち合いで左上手を取り、「右脇を締めて体を密着できた」と逃げる正代を離すことなく寄り切った。
「星勘定はしていない」と話し、来場所につながる相撲を取ることに集中。
14日目は大関・霧島と結びの一番でぶつかるが、くしくも2人の番付は2年前の前回対戦からそっくり入れ替わった。
「思い切って相撲を取るだけ。自分から攻めていけば勝機はある」と大関撃破に向けて気合をみなぎらせた。
13日目、西前頭9枚目の北勝富士が単独トップに立ち、14日目にも初優勝を飾る可能性が出てきた。
相撲巧者の遠藤を寄り切って11勝2敗。
幕内での11勝は6度目で自己最多に並んだ。
師匠は八角理事長。
現役理事長の弟子が優勝すれば、1963年(昭38)名古屋場所で、当時の時津風理事長(元横綱双葉山)の弟子の大関北葉山が優勝して以来60年ぶり。
14日目伯桜鵬戦に勝ち、3敗の豊昇龍、錦木が敗れれば初優勝となる。
13日目、新入幕の東前頭13枚目・豪ノ山が勝ち越しを決めた。
剣翔と対戦。相手に引かせたところを一気に出て押し出した。
「ホッとしている部分はあります。止まったらダメだと思っていた。我慢して勝ててよかった」
初日から5連勝も、その後4連敗を喫した。
「切り替えられず連敗してしまった。そこは課題として修正していきたい」。
新入幕トリオ全員が勝ち越しとなった。
豪ノ山がしんがりとなり「出遅れているのでしっかり頑張りたい」とライバル心をのぞかせた。
13日目、ざんばら髪の逸材の快進撃が止まらない。
新入幕の伯桜鵬が2桁白星に到達。
2敗でトップに並んでいた錦木を引きずり下ろし、「13日間やった結果が10勝3敗」。
淡々と話す姿は、19歳とは思えない落ち着きぶりだ。
32歳のベテランとの一番。
土俵際まで追い込まれたが、しぶとく残し、左四つで胸を合わせる。
相手が出てきたところを逃さず、「呼吸が乱れたので足を狙った」。
内掛けであおむけに倒した。
横綱照ノ富士を破るなど、今場所好調の錦木を冷静に仕留めた。
その取り口に土俵下の粂川審判長は「末恐ろしい。左四つのいい形がある。千秋楽まで楽しみ」と評価した。
元横綱白鵬の宮城野親方を師匠に持ち、昭和以降では最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕。
最終盤で賜杯争いに絡み、新入幕で優勝を遂げれば、109年ぶりの快挙となるが、「(記録のことは)全く考えていない」。
緊張や重圧を味わっているのか、表情に出さないのは頼もしい。
14日目は単独トップに立つ北勝富士との一番が組まれた。
「しっかり準備してやっていく」。
期待を一身に背負いながら、堂々と戦う。
13日目の21日、元幕内で西幕下5枚目の千代の国(33)=本名沢田憲輝、三重県出身、九重部屋=の現役引退と年寄「佐ノ山」襲名を発表した。
今後は部屋付き親方として後進の指導に当たる。十両から転落した今場所は初日から休場していた。
2006年夏場所初土俵。
激しい突き押しを武器に出世し、12年初場所新入幕。
両膝のけがなどで三段目まで番付を下げたが、再起して返り咲き、幕内を34場所務めた。
最高位は東前頭筆頭。敢闘賞2回、金星1個。
佐ノ山親方(元幕内天鎧鵬、本名南貴由輝)は年寄「北陣」に、北陣親方(元関脇琴勇輝、榎本勇起)は年寄「荒磯」に名跡を変更。
2023/07/21
12日目、高い壁として立ちはだかっている。
新大関の霧島が11日目の大栄翔に続き、昇進に挑む関脇若元春に貫禄勝ち。
看板力士の強さを見せ、「よかったと思う」。
普段通り、表情は変わらない。
短い言葉に余裕がにじんだ。
厳しい攻めだった。
低い姿勢で当たり、強烈なおっつけで若元春に得意の左を差させない。
もろ差しを果たし、相手の体を起こして難なく寄り切った。
日ごろから出稽古で手合わせしている相手。
「絶対負けない気持ち」で寄せ付けなかった。
12日目、2敗対決の北勝富士に押し出された豊昇龍は、2敗目を喫した10日目に続いて取材対応しなかった。
突き押しの北勝富士に先手の攻めを許して防戦一方。
押しをこらえようと踏ん張った左足が土俵外まで出て、勝負あった。
取組を見守った浅香山審判長は「北勝富士がよく動いている。気持ちがよく出ていた」と勝者を称えつつ、「豊昇龍は前に攻めているけど、バタバタしている。明日の相撲だ」ときょう13日目の霧島戦へ、切り替えを勧めた。
12日目、大栄翔があっさりと土俵を割ってしまった。
本来なら土俵際で踏ん張って逆襲するのが大栄翔のパターン。
勝ちたい、大関に上がりたい欲が出てきたのか。
体が膠着(こうちゃく)して、ぎこちない動きになった。
残り3日。
13日目からはサバイバル決戦が始まる。
大栄翔はファーストバトルで若元春との対戦が組まれた。
ターゲットは当然、このライバル決戦である。
目の前の玉鷲を一気に押し出して勢いをつけたいと思ったのかもしれない。
気負いが立ち合いの腰高になって踏ん張る力もなくした。
昇進の目安となる3場所33勝の数字はクリアしないが、今年の初場所での10勝。
春場所での優勝決定戦進出と印象度はかなり高いと思っている。
残り2勝に相撲人生をかけろ。
12日目、若元春は結びの一番で霧島に寄り切られた。
まさに負の連鎖である。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。
あくまで目安とはいえ、横綱照ノ富士、大関貴景勝と最上位2人がいない場所とあれば、ハードルを下げるわけにはいかない。
若元春は4敗した時点で残りを全勝しても11勝。
直前2場所は計21勝なので、どう頑張っても32勝止まり。
今場所の大関昇進は消滅が確実だ。
12日目、単独トップだった錦木は、新入幕の湘南乃海に屈した。
相手の立ち合いは映像で確認して臨んだが、「大きくて組めなかった」。左四つからやや強引に巻き替えにいったところ、体勢が浮いてしまい、小手投げで転がされた。
2敗に後退し、北勝富士に並ばれたものの、「終わったことは考えてもしょうがない。切り替えて、あした勝てれば大丈夫」と、さっぱりとした表情で語った。
12日目、左腕を痛めて8日目から休場していた朝乃山が土俵に戻り、翔猿との一番を制した。右をねじ込むと、厳しく攻め続け、すくい投げで裏返しに。
5勝目とし、「まだ力が伝わっていないが、最後は気持ちでやった」と振り返った。
東前頭4枚目まで番付を戻した今場所。
まだ痛みはあるというものの、「出るからには勝ち越して来場所につなげたい」。
元大関は先を見据えた。
12日目、前頭四枚目・宇良が土俵を動き回って粘り、最後は前頭二枚目・御嶽海をとったりで下して6勝目を挙げた。
ファンからは「何でそれが残れるんだ」「熱戦だった」と興奮気味のコメントが相次いだほか、際どい勝負を見極めた行司に「ナイス」「よく見てた」と称賛の声も寄せられた。
立ち合い頭を下げて当たった宇良。
前に出る御嶽海に押されるが、回り込んで残すと、土俵際でも驚異的な粘りを見せて体を入れ替えた。
最後は御嶽海の左腕を取った宇良が、力強いとったりを決めて勝ち星を挙げた。
白熱した一番に館内からは大きな拍手が沸き起こった。
宇良は6勝目。
敗れた御嶽海は10敗目を喫した。
激しい取組を受けて、ABEMAで解説を務めた元前頭の大岩戸は「お客さんは大喜びの相撲ですよね」と感嘆。
続けて「宇良はやりにくそうにも見えましたね。読まれていますもんね」と指摘すると、「御嶽海の調子が悪いので足が出ない。それで一呼吸おいて宇良が体勢を立て直したというのがありました」と勝因を分析した。
12日目、西前頭9枚目・北勝富士が2敗を守り、トップの東前頭筆頭・錦木に並んだ。
同じ2敗の関脇・豊昇龍を立ち合いからおっつけ、組ませなかった。
力のこもった押し相撲で回り込もうとする相手を逃さなかった。
そのまま押し出した。「我慢して細かく圧力を与えられた。しぶとく相撲を取れた」と会心の取組を振り返った。
11日目に連勝が7で止まっていた。
それでもプラス思考だった。
12日目、西前頭10枚目の妙義龍が宝富士を下して6勝目を挙げた。
当たって右でいなしてから浅く二本のぞかせて先に攻めて寄り切った。
ともに学生相撲出身で36歳の同学年ベテラン対決。
この日で妙義龍が通算出場1100回、宝富士が通算連続出場1200回と、互いに節目を迎えていた。それを聞くと「取組の前に教えてよ〜さらに気合入ったのに」と笑顔。
学生時代から対戦があり、幕内で27度目となる顔合わせに「それだけずっとやっているんですね」と実感を込めた。
「大学の時からやっていて、幕内で10年以上もやっているって素晴らしいことじゃないですか。引退している人も多い中で、同級生でまだやっているって」。
現役生活15年目、まだまだ元気な36歳は感慨深げだった。
12日目、新入幕の19歳、伯桜鵬は小結阿炎の激しい突きやはたきに耐えると、最後は低い姿勢で押し出し、初の三役力士との対戦で白星を挙げた。
これで9勝目。
ただ立ち合いは3度合わず、取組後に審判部から注意を受け「迷惑をかけてしまった」。
さらに勝った後、左肩の痛みから土俵の上であおむけに倒れ「あの姿は情けない」と反省。
それでも首位と1差で残り3日へ「やるべきことをやっていきたい」と闘志を燃やした。
2023/07/20
11日目、霧島が大栄翔に立ちはだかった。
相手の激しい突き押しをあてがい、ひるまずに前進。
「攻めて先手を取らないといけない」。
はたきで仕留め、5勝目を挙げた。
大関の座をつかみ、今場所は昇進を目指す3関脇の壁になる立場となったが、「自分が勝つことだけ考えてる」と冷静。
体の状態が懸念された中、3連勝と調子を上げてきており、「あと4日。勝っても負けても、次につながる相撲を取りたい」と先を見据えた。
11日目、大関とりの関脇豊昇龍が終盤戦へギアを上げた。
闘志むき出しの相撲で同じモンゴル出身の玉鷲を押し出し、9勝2敗とした。
大関昇進祝いの予定だった真新しい化粧まわしを着けて幕内土俵入りを行い、気持ちを高めた。
昇進目安の三役で3場所33勝には、残り4日間で3勝。同じく大関とりの関脇大栄翔が敗れて3敗に後退し、優勝争いでも1敗の平幕錦木を1差で追う。
気持ちが入っていた。
豊昇龍は鋭い眼光で玉鷲をにらんだ。
玉鷲の強烈な突き押しをしのぎ、右をのぞかせながら攻め返すと、もろ手で力強く押し出した。
「しっかり相手を見ながらいけた。良いと思います」と納得の表情。
前日には琴ノ若に完敗して2敗目を喫したが、「気にしてません」と引きずらなかった。
11日目、大栄翔は新大関・霧島に屈して3敗に後退した。
まさに蛇に睨(にら)まれたカエル。
大栄翔は相手を見ながらの立ち合いが失敗だった。
逆に霧島に低い立ち合いから突っ張られ頭で当たられて後退。
立て直して前に出ようとしたところをはたき込まれた。
本来なら霧島の立ち合いを大栄翔がやらなければならなかった。
11日目、絶対に負けられない戦いで、関脇・若元春が伝家の宝刀を抜いて大関取りに望みをつないだ。
「三役で直近3場所33勝以上」の大関昇進の目安には12勝が必要だが、前日に敗れて3敗となり、後がなかった。
しかも、相手は賜杯争いでトップを並走していた三役経験者の北勝富士。
重圧は計り知れなかったが、頼みの左四つが力を発揮した。
立ち合いではつかまえ損ねて相手の攻勢を受けたが、「焦りはなかった」と粘り腰で左を差してまわしを取る。
こうなれば若元春の相撲。
一度の寄りでは決めきれなかったが、「この番付で簡単に勝てる相手はいない。その中でしっかりと力を出せた」と左四つの形を崩さないまま寄り切った。
11日目、勢いが止まらない。
錦木が、前回までの対戦成績が1勝6敗だった同い年の遠藤に完勝。
優勝争いの単独トップに返り咲いた。
差し手争いから左を差し、相撲巧者に反撃の糸口も与えず一気に寄り切った。
「苦手意識しかなかった。振られて危なかったが、ついていけた。流れは良いと思う」。
幕内では2018年秋場所以来の2桁勝利に表情を緩めた。
11日目での2桁到達は初めて。
優勝への期待も高まっているが、無欲を強調する姿勢に変わりはない。
「そんなに期待されてもねえ」とはぐらかし、声援が増えていると振られても「増えています?今日なんか相手の方が大きかったですから」とかわした。
既に三役以上との対戦を全て終え、今後の対戦相手は白星が伸び悩んでいる前頭の上位か、白星を伸ばしている前頭の中位以下に限られる。
初優勝へ有利な状況にも思えるが、幕内では11勝以上の経験がないこともあり「(次の目標は)11番。ここから4連敗したら普通の勝ちになる」と足元を見据える。
夏場所の8日目から18勝1敗と人が変わったように圧倒的な成績を残すベテランは、無欲を貫き通すことができるか。
8日目から途中休場していた東前頭4枚目の朝乃山が、12日目の20日に再出場する。
7日目の関脇豊昇龍戦で左上腕を負傷し、4日間休んでいたが、状態が改善し、復帰を決めた。
11日目までに4勝4敗3休で、勝ち越しに望みをつないだ。
12日目は西前頭筆頭の翔猿と対戦する。
朝乃山は「左上腕二頭筋部分断裂で4週間の局所安静を要する」と診断されて休場した。
当初は痛みがあり、力が入らないような状態だったという。
一方で、朝乃山は休場してからも連日、白まわしを着用して朝稽古に参加し、積極的に体を動かして状態を維持してきた。
休場から一夜明けた17日も、左腕に負荷をかけるトレーニングを見送りながら、幕下以下の力士を相手に立ち合いを確認するなど、本番を見据えた稽古に励んでいた。
師匠の高砂親方は「けがはそこまで悪くないようだ。本人の出たいという気持ちが大事。出る限りは一番でも多く勝たないといけない」と語った。
11日目、若元春に敗れ、2敗目を喫した北勝富士は「手応えはあったが、引かれてバランスが崩れた。当たってからの流れは良かったが…」と淡々と振り返った。
優勝争いから一歩後退し、12日目は豊昇龍と2敗同士の対戦。
「まずは2桁(勝利)。連敗ぐせがあるので、しっかり切り替えられたらと思う」と昨年秋場所以来の10勝目を見据えた。
11日目、伯桜鵬は支度部屋へ引き揚げてくるとすぐ、憧れの師匠のもとへ向かった。
新入幕の19歳は元大関の高安に全力で立ち向かい、もろ差しになって送り出した。
勝ち越しを報告すると、師匠から「おめでとう」とねぎらわれたという。
遠藤と並び史上最速タイとなる所要3場所で新入幕。
その11日目での勝ち越しも、遠藤と並ぶ史上最速タイ。
「素直にうれしいですけど、まだ残りがあるんで、あしたから頑張ります」。
表情を変えることなく、心の中で喜びをかみしめた。
幕内で楽しみにしていたのが、師匠が現役時代に戦った相手と対戦できることだった。
もちろん高安戦が初めてではなかったが、師匠が23回対戦し金星を1つ配給している相手だった。
場所前に「常々言われているのが、土俵の上では憧れを捨てて勝ちにいくことが大事だということ」と師匠の教えを話していた伯桜鵬は、取組を終えて「師匠と対戦されている方と相撲を取ることは感慨深くて、うれしい気持ちと怖い気持ちもありますが、(これからも)プロの伯桜鵬として戦いきりたい」と決意を新たにした。
2023/07/19
10日目、新大関霧島が幕内宇良を下して4勝目(4敗2休)。
宇良に土俵際まで攻め込まれる場面もあったが、最後は寄り切って勝負を決めた。
4日目からの途中出場後初となる連勝。
取組後は「(宇良は)何かやってくると気を付けて、考えながら取った。落ち着いていけた。これからだと思います。連勝で乗っていける? 自分の中で、そう思ってやっている」とさらなる連勝へ意気込んだ。
10日目、大関昇進を狙う関脇豊昇龍は小結琴ノ若に押し出されて2敗目を喫した。
俵に詰まった豊昇龍が懸命に残す。
琴ノ若に胸元を突かれても、のど輪で押し込まれても、弓なりになりながら右まわしを命綱≠ノ踏ん張った。
最後は力尽きて押し出されたが、勝負がついた後も、その右まわしは離さなかった。
けがにつながる危険があるため褒められたことではないが、叔父の横綱朝青龍を彷彿とさせる勝利への執念だった。
土俵下で取組を見届けた粂川審判長は、大関昇進を懸ける豊昇龍が重圧を感じているかについて「そうは思わない」としたうえで、11日目以降に向けて「切り替えるだろう」と予想する。
10日目、大関取りを狙う関脇・大栄翔が勝ち越しを決めた。
東前頭5枚目・平戸海を突き落とし、トップとは1差の2敗もキープ。
昇進目安とされる「三役で直近3場所33勝」には、あと3勝とした。
執念で8勝目をつかんだ。
大栄翔は平戸海の鋭い立ち合いにやや下がったが、ひるまずに猛然と突いて前進。
逃れる相手に左前みつを許したが、左に回り込んで突き落とした。
10日目、大関取りを狙う関脇・若元春が痛恨の黒星を喫した。
西前頭5枚目・阿武咲に一気に押し出された。
右かち上げ気味に立ったが効果は薄く、相手の出足に屈した。
「ここまで来たら相手が(得意の左差しを)警戒するのは当然。差せないときに落ち着いて対応しないと。だめなところが前面に出た相撲だった」と唇をかんだ。
昇進目安の「三役で直近3場所33勝」到達には今場所12勝が必要だが、既に3敗目。
ノルマに向けては後がない状況となった。
若元春は「まだあと5日あるので、ここまで来たら勝敗を気にせず、思い切って臨むだけ」と必死に前を向いた。
10日目、最後まで圧力をかけた。
琴ノ若は豊昇龍にもろ差しを果たし、巻き替えに乗じて前進。
俵に足を掛けて耐える相手に、「しっかり攻め切ろうと思っていた」。
のど輪で起こし、はず押しで決着。
好調の関脇を2敗に引きずり下ろした。
豊昇龍には1度しか勝ったことがなく、先場所まで10連敗。
それでも気後れせず常に先手を打ち、付け入る隙を与えなかった。
「止まらず動けた。我慢できた」。
過去には土俵際で逆転の投げを食ったこともある相手を、油断することなく攻め切った。
10日目、幕内錦木が幕内明生を寄り倒して9勝目。
幕内北勝富士とともに1敗を守り、優勝争いのトップをキープした。
平幕優勝も現実味を帯びてくる中、錦木は謙虚な姿勢を崩さない。
「9勝まできたら、2桁(10勝)は勝ちたい。(残り)5日間で、どこかで1勝できれば…」と、かなり控えめな目標を掲げた。
11日目(19日)は2敗の幕内遠藤と対戦。
過去1勝6敗で合口が悪いとあって「まだいける? いけないです。明日の相手を見てください。何で当たるんですか。苦手です」と苦笑いを浮かべていた。
10日目、西前頭9枚目の北勝富士が、玉鷲を押し倒して9勝目を挙げた。
2度目の立ち合いからもろ手を出して果敢に前から攻め入ると、バランスを崩した相手が足を滑らせる格好となった。
「気づいたら相手が転がっていた」と無心だった。
4日目から7連勝と好調を維持することには「前に出ている証拠じゃないですか」と手応えを実感した。
関脇の豊昇龍が琴ノ若に敗れたために、1敗は錦木との2人になった。
終盤戦に向けて白熱化する優勝争い。
苦い経験が今度はいきる。
「前に優勝争いをしたときは気負って肩に力が入った」ことを敗因と分析し、周りに惑わされず自分らしい相撲を貫くことを心掛ける。
10日目、日焼けした肌に、玉のような汗が浮かぶ。
今にも波の音が聞こえてきそうなしこ名。湘南乃海には、やっぱり暑い夏が似合う。
立ち合いで大きな体を武将山にぶつけ、長いリーチでつかんだ上手から出し投げ。
反応よく勝負を決めて7勝目。
新入幕での勝ち越しに王手をかけた。
「やることをやるだけです。自分の相撲をしっかり取っていくことが大事かなと思います」。
言葉数は少ないが強い決意がうかがえる。
暑い名古屋も「特に気にしてないというか、ただ淡々と自分のやるべきことをやるだけ」と取組に集中できている。
10日目での勝ち越しに「よかった。早いに越したことはない」とほっとした様子。
立ち合いで圧力をかけ、千代翔馬の引きに乗じて一気に押し出した。
「集中できた」と納得の表情。
先場所は初日から6連敗し、両膝のけがで7日目から休場。
今場所は東前頭16枚目まで番付を落とした。
それでも、「番付ではなく、自分とどう向き合うか。それはしっかりできている」。
八角理事長は「休場明けで立派」と評価した。
10日目、新入幕の伯桜鵬が7勝目を挙げ勝ち越し王手とした。
立ち合いで琴恵光に右から張られたが「速い相撲を取りたかった」とかまわず左差し速攻で一気に勝負を決めた。
前日は大翔鵬に圧力負け。
「負けた相撲は勝った時の倍ぐらい見直す」と研究して修正につなげた。
「幕内は本当に全員がバケモノ」と強さを肌で実感しながらもここまで好成績。
11日目に勝てば、同じ所要3場所で新入幕の遠藤と並ぶ幕内最速勝ち越しとなる。
2023/07/18
9日目、4日目から出場した霧島が3勝目を挙げた。
連敗を止めたとはいえ、明生に押し込まれて一度は土俵に詰まったように本来の動きには遠い。
今後も大関とりに挑む3関脇ら、難敵との対戦が控える。
苦しい土俵が続く新大関は「一日一番という考え。そうすると調子が上がってくる。次につながる相撲を取りたい」と前を見据えた。
9日目、大関昇進を目指す豊昇龍が勝ち越しを決めた。
9日目での勝ち越しは昨年の九州場所に並ぶ自己最速タイ。
土俵際の逆転で平戸海を退ける薄氷の白星にも「しっかり集中していた。動きは悪くなかったので良かったと思う」と表情を変えず、力強く言い切った。
大関昇進と初優勝が懸かる残り6日間に向けても「気にしていない。一日一番の相撲をしっかりやっていくだけ」と言葉に力を込めた。
9日目、大関とりに挑む関脇大栄翔が、勝ち越しに王手をかける7勝目を挙げた。
阿炎を押し出しで下した。
取組後は「(立ち合いは)しっかり、よく見ていこうと思った。よかった」と、冷静に話した。
阿炎には先場所で敗れていたが「同じ相手に連敗しなかったのは、いいと思う」と、うなずいた。
自慢の突き押しは今場所も健在だった。
初日に正代、2日目に御嶽海、3日目には自身よりも48キロも軽い、116キロの小兵翠富士に何もさせず突き出して3連勝を飾った。
4日目に錦木に敗れて初黒星を喫したが、「悪い相撲じゃなかったが、土俵際だけ。(明日以降に向けて)特に変わらない」と淡々とした。
9日目、大関昇進を狙う若元春は業師の宇良を落ち着いた相撲で退けた。
4連勝で勝ち越しにあと1勝としても「この番付ならそれは当たり前のこと」と泰然と話した。
得意の左を差し、振って相手を呼び込んだが、慌てなかった。
右喉輪で起こして土俵際まで追い詰め、右すくい投げで転がした。
「いろいろとやってくる相手。圧力をかけて前に出られた」と手応えを強調。
一層の重圧がのしかかってくるが「自他共に認められる相撲を取れれば、地位に見合った力士になれる」と前だけを見た。
9日目、東前頭筆頭・錦木が勝ち越しを決め、来場所での新三役を決定的にした。
元大関の西前頭2枚目・御嶽海を寄り切った。
新三役なら、史上3位のスロー記録となる初土俵から所要103場所での昇進へ32歳の苦労人は、1敗を守り優勝争いでも堂々トップを並走。
1928年10月場所の横綱・宮城山以来の岩手県出身力士Vへ白星を積み重ねる。
賜杯争いでトップを並走し、八角理事長は「びっくりしたね。2本差されてからの両上手が好調の理由。落ち着きがある」と評価。
新三役どころか28年10月場所の宮城山以来、95年ぶり2人目となる岩手県出身力士Vの期待も高まってきた。
座右の銘は「念ずれば花開く」。
三賞経験もない苦労人は「まずは2ケタ勝利したい」と地道に白星を積み重ねていく。
9日目、ベテランの北勝富士が新進気鋭の王鵬に快勝。
1敗を守り、5場所ぶりの勝ち越しを決めた。
1敗で勝ち越しを決めたのは、初日から9連勝した昨年の秋場所に次ぐ自身2番目の速さ。
「本当にうれしい。こんなに早く勝ち越すことができてビックリしている」と表情を緩めた。
好調の要因について、師匠の八角理事長は「中に入れなくてもしぶとくね。精神的にしぶとくいくように言っている」と説明した。
この日も低い立ち合いから王鵬を起こし、一気に押し出した。
自身は「(好調の要因は)分からない。リフレッシュできているからかな」と言葉を濁すが、実は本心かもしれない。
コロナ禍によるここ数年の行動制限がなくなったことが、プラスになっているからだ。
「今までずっと出られなかった。おいしいご飯を食べて。サウナも大好きだし」。
優勝争いでも豊昇龍、錦木と並んでトップを走る。
横綱、大関の休場などで波乱含みとなった今場所の主役を奪いそうな勢いだ。
9日目、東前頭16枚目・遠藤が2敗を守り、勝ち越しに王手をかけた。
新入幕の同13枚目・豪ノ山との一番は突き押しで攻め、得意の左差し。
最後は押し出した。
「集中して取れた。良かったです」と振り返った。
先場所は両膝を痛めて7日目から途中休場し、1勝も挙げられなかった。
幕内下位まで番付を下げたが、1差でトップを追走している。
連日のように猛暑が続くが、対処法を問われると「食って寝ること」とキッパリ。
「一日一番なので、しっかり集中して気を抜かずに過ごしたいですね」と静かに前を見つめた。
9日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の落合あらため伯桜鵬の連勝が3でストップした。
東前頭14枚目の大翔鵬と対戦。押し出しで敗れ、3敗目を喫した。
「だれが相手でも、いつも勝つために準備している」と常に口にする。
19歳とは思えない姿勢を示してきたが、またも課題を突きつけられた。
先場所から不安を抱える左肩の影響も否めない。
6日目の豪ノ山戦では外した左肩のテーピングを7日目の遠藤戦から復活させていた。
「テーピングはしないといけないんで」と取組後に話した。
本人は否定したが、やはり過去3戦3敗だった豪ノ山戦には特別な思いがあったはず。
3敗目となったが、底知れない素質はここまで十分に示している。
残り6日間、師匠の宮城野親方の新入幕場所と同じ、目標の12勝へラストスパートをかける。
2023/07/17
中日、霧島は連敗。
小柄で動きのいい翠富士との一番は「まわし待った」を挟んだ熱戦に。
頭をつけた相手の右差しを抱えて抵抗したが、下手投げに屈した。
「我慢して取っていかないといけない。相手も同じくきつい」と反省。
八角理事長は「黒星先行で精神的な粘りがない」と指摘し、新大関の奮起を促した。
中日、豊昇龍は静かに目を閉じ、土俵下で出番を待っていた。
一切の雑音をシャットアウトするかのように、自分だけの世界で集中力を高めていく。
隙は見当たらない。
業師でならす宇良の立ち合いを、まずはもろ手で見極める。
「相手をちゃんと見ながらいこうと思っていたんで。いいんじゃないですか。集中してやりました」。
宇良に体勢を立て直す時間を与えない。
頭を押さえつけるようにはたき込んだ。
幕内で過去3度の対戦で2敗していた宇良を難なく下し、大関昇進を目指す場所で8日目を終えて1敗を堅守。
優勝争いでもトップに並ぶ。
8日目、大関とりに挑む関脇大栄翔が、対戦相手の朝乃山の休場により不戦勝で6勝目を挙げた。
直近2場所で22勝を挙げており、大関昇進目安の3場所33勝へ残り7日で5勝とした。
8日目、左を差せば十分。
若元春は琴ノ若の圧力に土俵際まで後退しながらも、もろ差し狙いの相手に左を差し勝つ。
「ちょっと押し込まれたが、何とかねじ込もうと思った」。
同時に右上手も取り、一気に出て勝負をつけた。
得意の左四つには磨きが掛かり、「戦える武器」と言い切る。
有利な形に持ち込むため、「(左を)差すというより、相手に右を差させない」ことを強く意識。
この日も、左腕をくの字に曲げて脇を締め、相手の右をはね返す。
日頃の鍛錬の跡が見えた。
3連勝で昇進の目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」まであと6勝とした。
8日目、錦木が勝ち越しに王手をかけた。
幕内で過去3戦全敗だった翔猿との一番。
左から小手に振って体を入れ替えた後、回り込もうとする相手を倒れながら押し出した。
際どい勝負に「負けたと思った」と笑った。
自己最高位の東前頭筆頭で臨む今場所。
給金を直せば、三役の座も見えてくる。
「流れはいい。一発で決めたい」と意気込んだ。
8日目、人気小兵力士・翠富士が結びで新大関・霧島を破った。
まわし待ったもあり、中断含めて約4分40秒の大熱戦を制しての殊勲星に、大関撃破では異例の座布団が舞った。
満員御礼となった会場から祝福を受け、翠富士も「初めての体験だったのでうれしかったです。疲れました」と目を輝かせた。
幕内朝乃山が名古屋場所8日目の16日、「左上腕二頭筋部分断裂で4週間の安静を要する」との診断書を日本相撲協会に提出、休場を届け出た。
7日目に関脇豊昇龍に敗れて4勝3敗。
取組中、相手の投げを残した際に痛めたという。
8日目の対戦相手の大栄翔は不戦勝ちとなる。
師匠の高砂親方は再出場について「本人次第だが、様子を見て」と話した。
8日目、暑さの増す地で、北勝富士が元気に勝ち星を伸ばしている。
この日は持ち前の低い攻めが光る相撲だった。
高安の右かち上げを左の押っ付けではね上げて止めると、相手の突き押しに頭を上げず、懐に飛び込んで押し出した。
額に大粒の汗を浮かべながら「我慢して取れた。途中、ちょっと引いてしまったけど、うまく中に入れた」と納得顔だ。
1敗で豊昇龍、錦木と並ぶが、まだ本人に優勝争いの意識はない。
「必死なんでね。ここから全部負けたら意味がない。とにかく勝ち越したい」。
先場所まで4場所連続負け越し中なだけに、まずは早めにあと1勝をもぎ取りたい。
中日、19歳の伯桜鵬は湘南乃海との新入幕対決を制し、3連勝で6勝目。
左を差されながらも右の出し投げで横を向かせて寄り切った。
しかし「立ち合いが遅れたので、ああいう相撲になった」。
幕下付け出しから昭和以降で最速となる所要3場所での新入幕を果たし、注目を集める成長株は自らに厳しい。
「あと7番、切り替えて頑張ります」と力を込めた。
2023/07/16
早くもカド番危機だ。
7日目、新大関の霧島が幕内御嶽海に一方的に押し出される完敗。
取組後は途中出場してから初めて取材対応せず、沈黙を貫いた。
今場所は「右肋骨骨挫傷」の診断書を提出して初日から休場。
4日目の出場以降は白星と黒星を交互に繰り返し、波に乗ることができていない。
7日目を終えた時点で、2勝3敗2休。
ここから勝ち越すためには、残り8日間で6勝が必要となった。
今回の途中出場にあたり、師匠の陸奥親方は千秋楽までの出場を厳命=B
霧島自身も「もう休めない」と決意を口にしていた。
このまま出続けて、来場所のカド番を回避することができるのか。
新大関が、早くも正念場を迎えている。
7日目、関脇豊昇龍が元大関朝乃山を上手投げで退け、6勝1敗とした。
強烈な上手投げを2度も打たれれば、さしもの大関経験者も宙を舞うほかなくなる。
「集中してやる気持ちだった。できてよかった」と豊昇龍。
取組後、ほおをふくらませて息を吐く表情が、気迫に満ちた。
他の2関脇に一歩先んじる、6勝目を挙げた。
1度目の投げは、左四つから。
「組む意識はなかった」という状態から、一気に持っていった。
朝乃山に耐えられたが、土俵の逆側に引きずり出してもう一度右上手投げ。
今度は、朝乃山をきれいに投げ切った。
7日目、大関昇進を目指す関脇大栄翔は宇良を押し倒して2敗を守った。
回り込んで逃げる相手を冷静に追いかけて突きを繰り出し、「しっかり見て攻めることができた」と納得の表情。
今場所は4日目と6日目に敗れたが、連敗はせず、「しっかり切り替えられている」と手応えを実感。
5勝目を挙げ、昇進目安の直近3場所合計33勝までは残り8日であと6勝とした。
7日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が5勝目を挙げた。
過去1勝3敗の小結阿炎に、はたき込みで勝利した。
前日6日目は明生に快勝したが「圧力をかけたからこそだが、あそこで引きにいくのは。成績も大事だが、関脇として内容も大事。その点、今日はあまりよくなかったかな」と表情を緩めなかった。
場所前から、注目を集める大関とりへの意欲は示さなかった。
それ以上に「番付を1つ上げるより、自分の実力を上げたい」と話していた。
7日目、琴ノ若が錦木を得意の右四つから寄り切り、全勝を消滅させると共に、5勝目を挙げた。
「相手どうこうじゃなく、自分の相撲が取れたのが良かった。一番いい選択肢で一番いい相撲が取れた」。
錦木とは場所前、出稽古で肌を合わせた間柄。当時の記憶をたどりながら、迷いなくぶつかれた立ち合いに手応えを示した。
5日目から3連勝。
「猛牛」が愛称だった元横綱・琴桜の孫が勢いに乗ってきた。
7日目、錦木は小結琴ノ若に屈して土がついた。
もろ差し狙いできた相手の圧力をまともに受け、なすすべなく土俵を割った。
「予想していた形。完敗」とさばさばと振り返った。
出場した三役以上を総なめとはならず、5月の夏場所からの連勝も14でストップ。
「次は連敗記録をつくったらどうしよう」と笑いつつ、「まだ1敗。勝ち越したい」と気持ちを切り替えた。
元大関で東前頭4枚目の朝乃山が名古屋場所8日目の16日、休場した。
7日目の関脇豊昇龍戦で敗れた際、左腕を気にするしぐさを見せていた。
7日目まで4勝3敗だった。
8日目の対戦相手、関脇大栄翔は不戦勝。
7日目、幕内最年長38歳の玉鷲が若々しい相撲で21歳の北青鵬を圧倒した。
204センチの相手をのど輪攻めから休まず、最後は「抱えて走っていった」と寄り切った。
「今日はもやもやはない。気持ちいいね」と心地よく流れた汗をぬぐった。
北青鵬とは初顔合わせだった。
その長身は仕切りの際に驚かされた。
「顔を上げたら(頭の)てっぺんが見えない。あれっ!? と思って、それで待ったした」。
仕切り直した立ち合いでは、そんな心の動揺をかけらも見せない。
さすがはベテランの相撲だった。
1敗で優勝争いのトップに並んだ。
優勝2回の実績を持つが「ないよ。名古屋は絶対にない」と笑い、「明日からも先のことは考えず、楽しくやります」と締めた。
7日目、右足で俵を踏んだまま剣翔をはたき込んだ。
軍配を確認できなかった北勝富士は「負けたと思いました」とあきらめかけた。
勝ったと知って「運がよかった」と表現したが、この日が31歳の誕生日。
「誕生日だから勝てたのかもしれないですね」と笑みを浮かべた。
部屋には地元・所沢の後援会からケーキが届いた。
ほかに「たくさんの方からお祝いのメッセージやプレゼントをいただきました」となれば、発奮するしかない。
これで1敗を守りトップに並んだ。
「夏男なんで」という北勝富士は名古屋に強い。
入門してから負け越したのは1場所だけ。
7日目、有望株の伯桜鵬は遠藤に快勝し、連勝で5勝目を挙げた。
自身にとっては、初土俵から同じ所要3場所で新入幕を果たした先輩。
「よかった」と納得の表情を浮かべた。
遠藤には、小学6年生の頃に巡業で胸を出してもらったことがある。
「まさかこういう日が来るとは。感謝の思いがあったので、すごくうれしい」と感慨深げだった。
2023/07/15
最後まで務めを果たせるか。
6日目、新大関の霧島が元大関の幕内正代を下して2勝目(2敗2休)。
立ち合いから突き放して攻め込むと、最後は突き落として正代を土俵に転がした。
取組後は「真っすぐ当たることを意識した。自分の相撲をとることしか考えていなかった」と振り返った。
審判部副部長の浅香山親方は「相撲を見ているぶんには(ケガの)影響はないかなと思うけど、こればかりは本人にしか分からない。大変だと思うが、気持ちを引き締めてしっかり相撲をとってもらいたい」と一人大関の奮闘を願ったが…。
果たして、どうなるか。
6日目、豊昇龍は過去の対戦で3勝5敗と苦手の翠富士を退け1敗を守った。
相手に中に入り込まれたが、両腕で抱え込みながら足をかけて倒した。
取組後は「集中してやりました。(外掛けは)体の動きでそうなっただけ。いいんじゃないですか」と淡々。
3関脇の中では唯一トップと1差につけているが「星は気にしていない。一日一番集中してやりたいです」といつも通りのフレーズで締めた。
6日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が4勝目を挙げた。
西前頭3枚目の明生と対戦。
はたき込んで勝利した。
2敗を守った白星だが、表情は緩まない。
「圧力をかけたからこそだが、あそこで引きにいくのは。成績も大事だが、関脇として内容も大事。その点、今日はあまりよくなかったかな」と反省を忘れない。
6日目、筋肉のよろいで固めた180キロで、錦木が圧力をかけた。
阿炎がたまらず引く。
その瞬間を待ってましたとばかりに攻め切った。
これで先場所からの連勝を「14」に伸ばす初日から6連勝。
豪ノ山、高安と全勝力士が敗れたため、自身初の単独トップに躍り出た。
「困りますね。どんどんプレッシャーがかかってきますから」と言いながらも、「まだ勝ち越してもない。9日ありますから」と笑い飛ばす。
ちょっとしたことで相撲が変わってくるから面白い。
「チャーンスって思って出るのは出るんですけど、頭下げすぎるとか、そういうのはしないようにしてる」。
この日も阿炎にはたかれて手をついたが、しっかりと勝負を決めた後だった。
6日目、元大関で東前頭4枚目の朝乃山が連敗を免れ、4勝目をマークした。
西同6枚目・王鵬との一番は、鋭い踏み込みで前進。
相手の突っ張りをはねのけつつ、引いてきたところに乗じて右をのぞかせ、左上手もつかんで寄り切った。
「王鵬関が(場所前に)出稽古に来て下さったので、その日に何十番も肌を合わせた感覚が少し残っていた感じでした」と振り返った。
宇良が身長204センチの北青鵬との熱戦を制して館内を沸かせた。
肩越しに右上手を取った相手に振られながらも片足でこらえ、土俵際では体をのけぞらせて粘る。
左を深く差した状態から体をうまく入れ替え、最後は背後からまわしをつかんで土俵下へ落とした。
身長差は約30センチ。
「疲れました」と一息ついた。
2020年に引退した長身の兄弟子、希善龍に稽古で何度も投げられた経験が生きたという。
「その時のことを思い出しながらやっていた」と笑みがこぼれた。
6日目、幕内最年長38歳の玉鷲が、平戸海を寄り切って1敗を守った。
好成績だが、支度部屋で記者に囲まれた顔は浮かない。
本来の押し相撲がとれていないのが原因。
「気づいたら差してる。しかも自分から。星を伸ばして本音はうれしいけど、もやもやするね」。
押し相撲のプライドがある。
「今場所だけならいいよ。でも、まだ先があるんだから」。
ただ勝つだけで浮かれない。
ベテラン力士は誇りを示した。
6日目、幕内・遠藤が十両・水戸龍を下して5勝目を挙げた。
立ち合いすぐに左前ミツを引くと、一度は切られたが突き放してから左を深く差してもろ差しに。
水戸龍の右小手投げに合わせてタイミング良く鮮やかな左切り返しを決めた。
ともに日大相撲部で主将を務めた経験のある元アマチュア横綱。
4学年違いのため稽古場で相撲を取ったことはなく、水戸龍にとっては憧れの先輩との初対戦だった。
「うまかった。仕切りの所作から落ち着いていて冷静さが凄い。上体が低くて落ちそうに見えるけどはたいてみたら全然落ちそうになかった」。
心技体充実の先輩の凄さを体感、そして感心していた。
伯桜鵬は場所前から豪ノ山を意識していた。
これまで一度も勝ったことがなく、先場所の十両優勝決定戦を含めると3連敗中。
番付発表の会見では「本当に悔しい。悔しいけど、自分が弱いだけなので」と語っていたほどである。
同じ新入幕同士、初めての幕内での対戦。
もう負けられないという気迫がみなぎっていた。
この日は徹底的に低く攻めた。
相手が我慢しきれず一度、二度と引いてきたのは狙い通り。
しっかり付いて行き、最後は冷静にはたき込んで勝負を決めた。
「素直にうれしい。チャレンジャーの気持ちで行った」。
語る声は小さかったが、充実感はにじんだ。
2023/07/14
5日目、大関とりに挑む豊昇龍が、阿炎に勝利し4勝目を挙げた。
直近の春場所と夏場所で計21勝を挙げた豊昇龍は初日に翔猿、2日目に正代を下して2連勝と幸先よいスタートを切った。
横綱照ノ富士を破って勢いに乗る錦木に前日の3日目に敗れて初黒星を喫しても、「終わったことなんで気にしないです」と前を向いた。
負けん気の強い男が燃えないはずがない。
連敗を避けたいところで4日目の御嶽海を寄せ付けずに星を伸ばし、「しっかり集中してやりました」と淡々と振り返った。
重圧の中、連敗しなかったことが何よりの収穫だろう。
会心の一番を見せた大栄翔が大関昇進が懸かる場所の序盤戦を4勝1敗で乗り切った。
明生が狙った左差しをおっつけで封じ、持ち前の力強い突っ張りを見舞って一気に追い込む。
4日目は腰の重い錦木に対し、土俵際の詰めが甘くなって屈しただけに「きょうは真っすぐ攻めよう」。
明生を正面に置きながら足を運び、最後は腰も下ろす盤石の取り口を披露した。
優勝経験者。
波に乗れば、止められない強さを発揮する一方で、突き押し相撲の力士に多いとされる連敗癖は課題と言える。
4日目に敗れた後は部屋の宿舎に戻る車の中で映像を数度、見返したという。
「落ち込むような相撲じゃない」と精神面を立て直し、冷静に反省点を探して、好内容の白星につなげてみせた。
八角理事長は「落ち着いていた。上出来じゃないか」と評価。
大栄翔自身も「しっかり切り替えてできている。気持ち的にも成長している」。
中盤戦へ向け、自信にあふれる言葉が続いた。
5日目、大関昇進が懸かる若元春は痛い2敗目を喫した。
「関脇としてまだまだ。星の数も、相撲内容的にもまだまだ足りていない」と顔をしかめた。
突き、押しが空回りし、錦木に左前まわしを与えての寄りに完敗。
「一つうまくいかないと簡単に負けてしまう番付。もう少し考えて取らないと」と自らを戒めた。
昇進の目安とされる直近3場所合計33勝には12勝が必要。
八角理事長は「連勝していると気にしないが、負けるとプレッシャーがかかる。これからだ」と奮起を促した。
5日目、東前頭筆頭の錦木が、初日から5連勝と快進撃を見せている。
大関昇進がかかる関脇の若元春を寄り切り、先場所から続く連勝を13に伸ばした。
「主役候補」に何もさせなかった。
錦木は鋭い踏み込みで左前まわしを引き、右おっつけで一気に前進。
棒立ちの若元春を力強く寄り切った。
「珍しく出足が良かった。今場所一番」と自画自賛。
先場所8日目の若元春戦から13連勝とし「元春で始まり、元春で終わるのかと思ったら終わらなかった」と豪快に笑い飛ばした。
自己最高位の東前頭筆頭で臨む今場所も、快進撃が続く。
初日は新大関霧島の休場による不戦勝、2日目には横綱照ノ富士を撃破で4年ぶりの金星を獲得した。
3日目は豊昇龍、4日目は大栄翔、5日目には若元春と大関とりの3関脇を破り、「こんなに勝っていいのかなと思う。自分でもびっくり」。
一躍、名古屋場所の台風の目となった。
5日目、東前頭4枚目の朝乃山は東前頭6枚目の北青鵬に寄り切られ、2敗目を喫した。
優勝争いを期待される今場所の序盤戦で、痛い二つ目の黒星。
先場所敗れた身長2メートルを超す巨漢に雪辱を果たせず、「相手が大きいのでしんどい。悔しさはいろいろある」と唇をかんだ。
朝乃山は、得意の右四つでがっぷりの体勢となったが、相手の右下手投げで土俵際に追いやられた。
懸命にこらえたものの、両まわしを許しての寄りに土俵を割った。
「見ながら当たってしまった。もっと思い切っていけば良かった」と反省しきりだった。
5日目、西前頭4枚目の宇良が3連勝で白星を先行させた。
中学1年のころ、同じ大阪府寝屋川市出身で小学1年だった豪ノ山と稽古をしたことがある。
6学年下の後輩が同じ幕内力士となり「感慨深い。思い出はいっぱいある」と笑顔を見せた。
6月下旬の新入幕会見で「(宇良と)戦えたらうれしい。楽しみ」と話していたことを聞くと、「頑張るだけ。豪ノ山の期待に応えられるか心配だけど」と笑わせた。
5日目、現役最長身2メートル4の北青鵬が2場所連続で朝乃山を破った。
先場所は立ち合い変化で上手を求めたが、今回は正面から相手得意の右四つがっぷりに組み合って堂々の寄り切り。
完勝に「今朝、師匠(元横綱・白鵬の宮城野親方)に“真っ向勝負しろ”と言われた。良い相撲を見せられたかな」と充実感をにじませた。
自己最高位の東前頭6枚目で白星先行。
「まわしを取れば通用している」と元大関相手でも自信たっぷりだった。
5日目、元大関の幕内高安が幕内平戸海をはたき込んで無傷の5連勝。
取組後は「組み止めるのが万全ですけど、相手を押し込むことができた。(体の反応は)少しずつ上がってきている」と手応えを口にした。
昨年の名古屋場所はコロナに感染した影響で全休を余儀なくされた。
2年ぶりとなる出場に「久々の名古屋場所で応援してもらいえるのは励みになる。つまらない相撲だけは取りたくない」と気合を入れて臨んでいる。
5日目、新入幕で東前頭13枚目の豪ノ山が無傷の5連勝。
思い切りのいい突き押しで琴恵光に組ませず、相手がバランスを崩したところをはたき込んだ。
「自分の相撲を取れているのが良いところだと思う。組んだら絶対に勝てないと思っているので、そこは徹底している」。
6日目は注目の伯桜鵬との新入幕対決。
2差をつけているが「負けないように、しっかり気合を入れていければ」と謙虚な姿勢を崩さなかった。
5日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の落合あらため伯桜鵬が2敗目を喫した。
竜電と対戦して寄り切りで敗れた。
新入幕場所で師匠の宮城野親方が敢闘賞を受賞した星数と同じ12勝を目標に掲げ、初日に碧山、2日目に輝と2連勝と幸先よくスタートを切った。
3日目に36歳ベテランの宝富士に敗れて幕内初黒星に、「(感じたのは)相手のうまさ、自分の弱さです」とレベルの高さを痛感。
ただ、ここで崩れないのが、「令和の怪物」。
気持ちを切り替えた4日目に武将山を寄り切り、「少し危なかったけど連敗しなかったのはよかった」と振り返った。
2023/07/13
途中出場の霧島が新大関初勝利を挙げた。
小結・琴ノ若を送り出し、昇進を機に霧馬山から改名後の初白星ともなった。
昭和以降で初日から休場した新大関の途中出場は初めてだったが、快勝で看板力士の意地を示した。
大関取りを狙う3関脇は明暗。豊昇龍と若元春は連敗を免れたが、大栄翔は初黒星を喫した。
三役以上の勝ちっぱなしが消え、全勝は錦木、高安、新入幕の豪ノ山の3人。
照ノ富士の休場で横綱が不在となり、大関以上の出場は霧島だけとなった。
手負いとは思えない堂々たる内容で、霧島が新大関としての1勝目を手にした。
4日目、大栄翔が錦木との全勝対決に敗れ、初黒星を喫した。
鋭い立ち合いから得意の突き押しで先手を取ったが、右喉輪の腕が伸びたところを手繰られて前にバッタリ。
「悪い相撲じゃなかったけど、土俵際をもっと丁寧にいかないと。弱い部分が出た」と悔やんだ。
大関獲りに挑む大事な序盤で平幕相手に痛い1敗。
それでも「明日から切り替えて自分の相撲を」と淡々と前を向いた。
大関昇進を目指す若元春は連敗を免れた。
小柄で動きのいい翠富士を得意の左四つには組み止められなかったものの、「自信がない」という突き押しで圧力をかけ、タイミング良くはたいた。「切り替えは毎日できている」と振り返った。
大栄翔が敗れ、土つかずは平幕の3人。
5日目には、その平幕の中の1人、錦木と当たるが、「余計なことは考えずに集中できている。思い切っていくだけ」と静かに闘志を燃やした。
4日目、錦木が、大関を目指す大栄翔との全勝対決を制した。
土俵際で逆転の引っかけ。
初日から4連勝は、幕内では昨年の名古屋場所以来で4度目だ。
無類の酒好きで、「(一杯)引っかけましたね」と振られると、「自分は引っかけるだけじゃなくて、たくさん飲むから」とニヤリ。
同じ岩手県出身で、米大リーグでも投打の二刀流で活躍する大谷翔平(エンゼルス)に話が飛ぶと「あんだけ投げられて、あんだけ打てるってどういうこと」と感心した後、「自分もあんだけ飲んで、あんだけ相撲を取れたら」と笑った。
朝乃山は阿武咲に対して得意の右を差したが、巻き替えを許して一気に後退。
土俵際のすくい投げで逆転し、辛うじて白星を手にした。
「雑だった。左上手を取れたので、そこで寄り返すのがベストだった」と苦し紛れの投げを反省した。
幕内上位に戻ってきて3連勝。
まずまずの滑り出しにも、元大関は「この相撲じゃ、なかなか通用しない」。
三役以上とはまだ対戦していないこともあってか、表情は厳しかった。
4日目、元大関の高安が4連勝とした。
隆の勝との頭をつけた押し合いからタイミングよくはたき込み。
ただ攻め手を欠いた内容に「うまく回り込めたが、組ませてもらえなかった。相手が引いてしまう相撲を取らないと」と不満そうだった。
馬力で一気に前へ出る相撲は減ったが、勝ちにつなげるところは33歳のベテランの経験値か。
6月に結婚披露宴を開き、発奮材料もある。
トップに立つ状況を「気持ちは前向きになる。精神的には良いのではないか」と受け止めた。
4日目、幕内最年長の38歳、西前頭7枚目の玉鷲が、節目の「鉄人記録」を白星で飾った。
この日で幕内連続出場が886回となり青ノ里、金城を抜いて歴代単独9位に浮上した。
1位は高見山の1231回で現役1位は西前頭15枚目・宝富士の934回。
記念日は押し相撲の玉鷲にとって“珍手”の寄り切りで錦富士を下し、3勝目(1敗)をあげた。
幕内連続出場の記録に「そんなのあるんですか? 知らなかった」と報道陣に逆質問。
記録について「今は感じることないけど、辞めてから感じると思う。記録とか、そのために相撲とってないから」とクールに反応しつつ、「でも勝ってよかったね」と笑顔を見せた。
4日目、西前頭8枚目・錦富士は、西前頭7枚目・玉鷲に寄り切りで敗れ、4日目にして土がついた。
先手を取りながらも惜敗し、「悪くはなかったと思いますが、勝負所で前に出るのを怖がってしまった」と反省した。
先場所中には右足じん帯を損傷。
今場所前は十分な調整ができていない中、右足首をテーピングなどで固めて強行出場に踏み切った。
取組後の支度部屋では、すぐに氷袋をあててアイシング。
ここまでは3勝1敗と白星を先行させており、「その日できることをやれている」と振り返った。
この日(4日目)から兄弟子で横綱・照ノ富士が休場となった。
兄弟子思いで、今月22日には27歳の誕生日を迎える錦富士は「昨日の相撲(照ノ富士が2敗目を喫した翔猿戦)を見て悔しくなったというのはある。
『横綱の分まで』というほど自分に余裕はないですけど、日々勉強させてもらったことをいかして、勝ち星を挙げられたらなと思います」と力を込めた。
4日目、新入幕の東前頭13枚目・豪ノ山が、勢い止まらず初日からの連勝を4に伸ばした。
32歳のベテラン、竜電と対戦。変わらず思い切りのいい立ち合いから、一気に攻め込んで突き出した。
「自分の相撲をとることだけ。しっかり集中できている」と手ごたえを隠さない。
師匠の元大関豪栄道の武隈親方からも「しっかり自分の相撲をとれ」とだけ言われている。
十両優勝した先場所からの流れも失わず、「(幕内は)雰囲気も違うが、自分の間で集中できている」と話した。
2023/07/12
照ノ富士が名古屋場所4日目の12日から休場することになった。
この日、日本相撲協会に休場を届け出た。
照ノ富士の休場は2場所ぶり17度目で、新横綱となった2021年秋場所後では6度目。
照ノ富士は名古屋場所2日目に幕内・錦木、3日目に幕内・翔猿に破れ、2日続けて金星を配給していた。
3日目の取組後には花道奥の通路で付け人の肩を借りて歩くなど古傷の膝を気にする場面も見られた。
また今月1日には弟弟子の幕内・翠富士との稽古で力なく土俵を割り、その後はわずか1番で稽古を切り上げていた。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は持病のぎっくり腰だと説明していた。
4日目、けがのため初日から休場していた新大関の霧島が出場し、小結 琴ノ若と対戦します。
霧島は今月8日、右の背中付近に動けないほどの痛みを訴え、右ろっ骨の骨挫傷と診断されて初日から休場し、新大関では昭和以降で初めて初日に不戦敗となりました。
しかし、けがの状態がよくなっているなどとして、12日、4日目から出場することを決め小結 琴ノ若と対戦することになりました。
過去の対戦成績は霧島が5勝2敗と勝ち越しています。
ともに四つ相撲を得意としていて、霧島としては30キロ余り重い相手に対して前まわしを取って頭をつけるなど距離を取って攻められるかどうかがポイントになります。
一方の琴ノ若は立ち合いから密着し、体格の違いを生かして圧力をかける形に持ち込めればチャンスが生まれます。
3日目、大関とりに挑む豊昇龍が、初黒星を喫した。
2日目に横綱照ノ富士を破って勢いに乗る錦木にはたき込みで敗れた。
日頃からサポートを惜しまない「yes!高須クリニック」から5本の懸賞を掛けられたが、期待に応えられなかった。
今場所3日目にして初黒星。
「立ち合いは悪くなかったけど、流れがダメだった」と反省しつつ、「終わったことなんで気にしないです」と前を向く。
大関とりに挑む場所は始まったばかり。
昇進目安の「三役3場所33勝」へ白星を積み重ねていきたい。
3日目、大関昇進が懸かる3関脇のうち、大栄翔だけが3連勝。
立ち合いから休まずに前へ出て翠富士を突き出し「何でもする、うるさい相手。しっかり見て、自分の力を伝えられるようにと思った」とうなずいた。
相撲巧者の翔猿や腰の重い剣翔ら、さまざまなタイプがそろう同じ部屋の力士との稽古も連勝を後押ししているようだ。
重圧に負けず、順調な滑りだし。
「気持ちに余裕が見える。さらに自分の相撲を取れるように」と足元を見つめた。
3日目、三役で2場所連続2桁勝利をあげて初の大関とりに挑む関脇若元春が、1敗目を喫した。
大関経験者の正代と対戦し、押し出しで敗れた。
昨年初場所で新入幕を果たしてから今場所が幕内10場所目。
安定感が際立つ。
負け越したのは同名古屋場所の1度だけ。
弟の若隆景を追いかけながら、いつの間にか「大関候補」の立場は逆転した。
場所前、大関とりには「(意識は)まったくですね。何年か前まで幕下をうろうろしていた。今の関脇にいることが夢のよう。上の地位を意識することはないし、意識しないという意識を変えないようにしている」と話していた。
“無意識”だけに3日目という早々の黒星も気にはならない。
切り替えて1番1番に臨む。
3日目、錦木は連日の「主役候補」食いで勢いが止まらない。
大関昇進を狙う関脇豊昇龍を絶妙なタイミングではたき込み。
前日の金星に続き、先場所8日目から続く連勝を11に伸ばした。
「流れはいいですね。(11連勝は)気にせずやります。まだ始まったばかり。どこがいいとか言えない」とベテランらしい落ち着き。
この日に4本増の懸賞金に「イエスですね」と喜んだ。
翔猿が照ノ富士から2個目の金星獲得。
「がむしゃらにいった。止まったら、終わりだったので」。
荒い息のまま、支度部屋で振り返った。
連敗スタートを反省し、「どんどん出よう」と強気な姿勢を保つ。
横綱の攻めを何度もしのぎ、反撃につなげた。
前回の金星は、コロナ下で自粛ムードが強かった昨年の秋場所。
頭上を舞った座布団に「今まで見たかった光景。気持ち良かった」と感慨もひとしおだった。
3日目、東前頭5枚目の平戸海を寄り切り、2勝目を手にした。
快勝で白星を先行させ、「4日目以降もこういう相撲でいきたい」と表情は明るかった。
朝乃山は鋭い踏み込みから右をのぞかせ、じりじりと前に出て左上手を引く。
土俵際で逆転の突き落としを狙う平戸海を落ち着いて退け「無理に出ていったら突き落とされる。じっくり寄り切れた」と手応えをにじませた。
3日目、25歳の豪ノ山が3人の新入幕でただ一人、連勝を3に伸ばした。
40キロ以上も重い大翔鵬を威力十分の突き、押しで圧倒し「落ち着いて取れた。足も体もよく動いて、前に出られた」と自画自賛の内容だった。
先場所は14勝1敗で十両優勝のホープ。
出稽古に励んだ場所前は朝乃山らと番数を重ね、持ち味の押し相撲に磨きをかけた。
「まだまだ先は長い。15日間、しっかり集中して相撲を取っていきたい」と気合十分。
勢いはどこまで続くか。
2023/07/11
2日目の取組が行われ、2場所連続優勝を狙う横綱・照ノ富士が2日にして土がついた。
2場所連続優勝を狙う照ノ富士は平幕・錦木にすくい投げで敗れ、初黒星。
2日にして土がつき“一人横綱”としての貫禄を見せることが出来なかった。
2日目、初日から休場した新大関・霧島は10日、稽古せず治療に専念した。
ケガの状態について、師匠の陸奥親方は「一昨日より昨日、昨日より今日の方が良くなっている。治りが早いですからね」と説明。
少しずつ快方に向かっており、途中出場の可能性については「明日(11日)ぐらいにまわしを締められれば」と話した。
逆に「様子を見てダメなら…」と全休の可能性も示唆。
11日の朝稽古で判断する予定だ。
2日目、大関とりの関脇豊昇龍が、会心の相撲で2連勝を飾った。
大関経験者の正代に鋭い出足から間髪入れずに攻め立て、攻め入る隙を与えず力強く寄り切った。
文句なしの快勝だった。
豊昇龍が正代を強烈なのど輪で起こし、左に逃れて立て直そうとする相手を構わずに追いかけた。
右まわしをつかむと、そのまま一気に土俵外へ持っていった。
初日の翔猿戦では際どい判定にSNS上では物議を醸したが、今回は盤石の寄り切りで完勝。
2連勝について「しっかり集中できている」と手応えを実感した。
2日目、大関獲りに挑む関脇・大栄翔が御嶽海を下して2連勝とした。
鋭い立ち合いから腕の回転よく突っ張り、右喉輪もよく伸びて電車道の突き出し。
完璧な内容に「しっかり当たれて手を伸ばして攻めれた。今日もよかった」と納得の表情で振り返った。
初日の正代戦に続き、2日連続で元大関を圧倒。
大活躍を予感させる上々の滑り出しに「そう考えてやっていきたい」と気を引き締めた。
2日目、若元春は翔猿に張られて右差しを許したが、おっつけながらふりほどいて得意の左四つ。
右上手も取って寄り切った。
若元春の下半身は土俵に張り付いていた。
翔猿が懐に入ろうとした時、体を丸めてバリアを作るようにしてはじいた。
たまらず引いたところを前に出て左を差して左四つ。
ワンテンポ遅らせて引き付けると翔猿の体が浮いた。
2日目、東前頭筆頭・錦木が4年半ぶりの金星を挙げ、波乱の土俵を演出した。
一人横綱の照ノ富士をすくい投げで撃破。
幕内では過去3戦全敗だった難敵から初白星をもぎ取り、連勝スタートを切った。
金星は2019年初場所の鶴竜戦以来、2個目。関取になるまで約10年を要した苦労人が、悲願の新三役昇進に向け白星を積み重ねていく。
「もろ差しじゃないと寄れない。負けてもいいから、ねじ込もうと思った」と誇らしげに汗を拭った。
朝乃山は連敗しなかった。
初顔合わせの宇良との一番。
右を差して寄り、土俵際まで追い込んだところ、抵抗する相手を上手投げで仕留めた。
「自分の相撲を取ることだけを考えていた」。
集中できていたようだ。
黒星発進となった中、「悔しいが、切り替えていこうと思った」と引きずらなかった。
東前頭4枚目まで番付を戻した元大関は「ここから連勝していきたい」と意気込んだ。
2日目、昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の伯桜鵬が、連勝発進を決めた。
十両・輝との立ち合いは頭で当たって右前ミツを取り、勢いを止めた。
「突っ張りが強い相手なので落ち着いていこうと。よかったと思う」。
最後は巧みに出し投げで崩すと一気に寄り切った。
前日に手にした初懸賞は「師匠(宮城野親方、元横綱・白鵬)とお世話になっている家族に贈りました」と明かし、「喜んでいただけてよかった」と感謝。
師匠からは「毎日勝ったら1本ずつくれよ。15個並ぶから」と、冗談交じりにハッパをかけられたといい、「頑張ります」と活躍を誓った。
2023/07/10
横綱・照ノ富士が、2場所連続9度目の優勝へ向け好発進した。
難敵の小結・阿炎を危なげなく押し出し。
霧島と貴景勝の休場で、いきなり大関不在となった土俵を一人横綱がしっかりと締めた。
「いい相撲だと思う。落ち着いて圧力をかけようと思い、その通りできた」と、うなずいた。
動きも良く、両膝などの状態も心配なさそうな様子だ。
「始まったばかりだし、これからが大事」と引き締めていた。
大関とりに挑む豊昇龍は翔猿を押し倒した。
もつれる中で先に手をついたように見える場面もあったが、軍配通りに勝利を手にした。
冷静な表情を浮かべつつ、偽らざる本音がもれた。
「何より勝ってよかった」。
大関とりへの大事な初日。
ヒヤリとしながら、豊昇龍が3関脇白星そろい踏みの最後を締めた。
戻った支度部屋でどっかりと腰を下ろし、安どの色をにじませた。
勝負の場所で、締め込みを新調した。
色は深い青。
「すごくお世話になっている方が作ってくれたので、本場所でも使おうと。自分は青い色が好き。気に入ってます」と明かした。
まわしがなじむのにかかる時間も、「自分は硬い方がいい。意外と動きやすかった」とプラス材料。
そんな“新兵器”が勝ち運も連れてきた。
元大関を圧倒した。
関脇大栄翔は低い立ち合いから両手で当たり、休まず前に出た。
組もうとする正代に反撃の糸口を与えることなく押し出し、「立ち合いから最後まで攻められた。慌てることもなかった」と満足げだ。
程よい緊張を感じながら、満員の会場から送られる声援や拍手を味わう心のゆとりもあった。
「いい緊張感がある。いつも以上に声援をもらっているので、そういう期待に応えられるようにしたい」。
前夜も普段通りに眠れたというだけに、表情も豊か。
大関が懸かる場所に気負いなく臨むことができている。
関脇若元春は立ち合いで踏み込むと同時に左を差した。
右は上手。
こうなれば負けないという万全の型だ。
体を密着させて大関経験者の御嶽海を寄り倒し。
大関とりに挑む3関脇の先陣を切って白星を挙げたが、本人は大関昇進を意識していない。
「大関ってあまり考えてないっすね。関脇という番付も過分だと思うので。関脇という番付をまっとうできること、しっかり自分の相撲を取りきることを意識して」
考え方はずっと変わらないが、集中力は変わってきた。
好きなことに対する集中力は幼少期から飛び抜けていた。
夏場所の12勝で東前頭4枚目まで番付を戻した朝乃山が明生に逆転負けで黒星発進。
土俵際まで2度攻め込みながら上体だけの寄りになり、逆に浴びせ倒された。
「攻め急がず自分の型をつくって攻めたかった。精神面の弱さでしょうか」と反省。
三段目で復帰して1年、今場所は幕内後半戦で上位陣と総当たりとなる。
「お客さんが多いし取りがいがあります」と負けを引きずる様子はなかった。
昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした西前頭17枚目の落合改め伯桜鵬が白星スタートを飾った。
三役経験者の東同17枚目・碧山に寄り切りで快勝した。
同じく初土俵から所要3場所で昭和以降最速新入幕だった遠藤は、2013年秋場所の初日が黒星だったため、伯桜鵬の勝利は“最速幕内星”の快挙に。
満員御礼の会場から大拍手を浴び、19歳は「素直にうれしいです」と初々しかった。
2023/07/09
新大関・霧島がけがのため、名古屋場所初日の9日から休場することになりました。
新大関が初日に不戦敗となるのは昭和以降では初めてです。
今場所に新大関として臨む霧島は8日、名古屋市内の病院で診察を受けた結果、右ろっ骨の骨挫傷で、およそ3週間の安静と加療を要する見込みと診断されました。
そして9日、日本相撲協会に届け出て、名古屋場所初日の9日から休場することになりました。
霧島の休場は3年前の秋場所以来、4回目です。
9日、対戦する予定だった錦木は不戦勝となります。
新大関が初日に不戦敗となるのは昭和以降では初めてです。
また、新大関の初日からの休場は平成12年夏場所の武双山以来となります。
今場所は大関・貴景勝も休場していて今場所は初日から大関が不在となりました。
2023/07/09
新大関霧島は稽古を2日連続で休んだ。
稽古熱心な力士だけに珍しいことだが、疲労蓄積による休養とみられる。
4日の出稽古で右肘を痛めながら、その後も懸命な調整を続けてきた。
陸奥部屋関係者によると、これまで病院には行っていないという。注目の新大関は初日に錦木の挑戦を受ける。
大関獲りに挑む関脇・大栄翔が8日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で調整稽古を行った。
初日を前日に控え、相撲は取らずに四股やすり足などの基礎運動とぶつかり稽古で汗を流した。
番付発表後は10日連続で休みなく激しい稽古を積んでおり、7日は休み、この日は軽めの運動で調整。
「明日始まってからは緊張感持ってやれるけど、今日までは変に考えても仕方ないのでリラックスして落ち着いています」。
休養をはさみ、勝負の場所への気持ちを高めた。
初日は東前頭2枚目の正代と、2日目は西前頭2枚目の御嶽海と対戦する。
正代には直近5連勝、御嶽海には直近5場所で4勝1敗と合口の良い相手だが「実力のある相手なので思い切ってやるだけ」と気を引き締めた。
大関昇進を目指し、元大関の2人を初日から退けて勢いに乗っていきたいところだ。
大関とりに挑む関脇若元春が8日、名古屋市内の部屋宿舎で稽古し、初日を前に「いい意味で、そんなに緊張感を持ってない。力が出せればいいかな」と自然体で抱負を語った。
オフタイムには、名物のみそ煮込みうどんなどに舌鼓を打ってリフレッシュ。この日は相撲は取らず、10本弱の一丁押しで立ち合いを確認した。
勝負の場所でも、肩に力は入り過ぎず。
腰痛によるペースダウンもあったが「それなりにできたかな」と、ここまでの調整を振り返った。
初日の相手は御嶽海。
若元春は「乗った時の強さはある。いかに相手に相撲を取らせないか」とポイントを挙げ「勝ち越しとか2桁を目指す上で、一つでも負けられない。
気持ちを引き締めていきたい」と必勝を誓った。
5日に死去した父の大道春男さんの葬儀で長野県に帰省していた幕内御嶽海は7日夜、名古屋場所に備えて愛知県犬山市の出羽海部屋宿舎に戻った。
師匠の出羽海親方が8日に明らかにした。
故郷の長野県上松町で行われた7日の告別式では喪主を務めた。
西前頭2枚目の元大関は初日に関脇若元春と対戦。会場のドルフィンズアリーナに飾られた七夕の短冊には「色々と復帰」としたため、大関返り咲きへの意欲をうかがわせた。
北青鵬が8日、愛知・豊田市内の宿舎で最終調整を行った。この日は相撲は取らずに基礎運動を中心に汗を流し、幕内最長身204センチの大器は「順調です。気持ちは変わらず、いつも通り自分の相撲を取るだけです」と、うなずいた。
前日(7日)には同場所の取組編成会議が行われ、初日は幕内・阿武咲、2日目は元大関の高安戦が組まれた。
「(阿武咲は)前にやったことある相手ですし、そうですね。けがのないように15日間、やっていきたいと思う」と、平常心を強調した。
大相撲名古屋場所の開幕を前に場所の安全を祈願する「土俵祭」が行われました。
名古屋場所の舞台となる名古屋市中区のドルフィンズアリーナで8日午前10時から行われた土俵祭には、八角理事長ら相撲協会の役員などおよそ50人が参加しました。
ファンクラブから抽選で選ばれたおよそ30人の相撲ファンらが見守る中、行司が祝詞を上げたあと縁起物のするめや昆布などを土俵の中央に埋めて、場所の安全と成功を祈願しました。
名古屋場所担当の出羽海親方は「横綱照ノ富士の2連覇、新大関・霧島、3人の関脇の大関獲りが見どころだと思います。声出しの応援(が解禁)ということで力士の力になるのではないか」と話しました。
9日から始まる名古屋場所は4年ぶりに声出し応援や座席での飲食が解禁となります。
2023/07/08
照ノ富士が、名古屋場所の優勝争い本命を印象づけた。
7日、名古屋市の部屋で稽古し、同部屋の翠富士、宝富士の前頭2人に計12番で11勝1敗。
敗れた1番も、あえて宝富士が得意とする左四つに組み、さまざまな攻めを試す中で土俵を割ったもので、終始2人を圧倒した。
名古屋場所の会場ドルフィンズアリーナ入り口付近に飾られた七夕の短冊は「無事に15日間 終わらせられますように」と控えめに記したが、稽古後は「どう見える?」と報道陣に逆取材。
仕上がり良く見えるとの回答に「そうやって持ち上げておいて、落とすからな」と冗談交じりに切り返した。
表情も明るく、2場所連続優勝への自信をのぞかせた。
大関・貴景勝が名古屋場所を休場することが7日、決まった。
日本相撲協会は名古屋場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めたが、貴景勝は割から外れ、協会に「両膝半月板損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」などの診断書を提出した。
綱取りに挑んだ3月の春場所では左膝を痛めて無念の途中休場。
一転、カド番で迎えた先場所は右膝も悪化させながら13日目に勝ち越しを決め、8勝7敗で辛うじて地位を守った。
今場所前は相撲を取る稽古ができておらず、調整が遅れていた。
モンゴル出身の霧馬山改め霧島が新大関として挑む。
派手さがなく、正直、これまで目立つ存在ではなかったものの、誰よりも早く大関に上がったので少々驚いている。
次の大関候補と目されていた豊昇龍や大栄翔らは先を越されて悔しい思いをしているだろう。
親方衆の間では「地味だけど、強いよね」という話にはなっていたが、こういう形になれば盤石という型もなく、つかみどころがない。
私の現役時代にはいなかったタイプで、なんとも不思議な力士だ。
そこが霧島の面白さであり、魅力なのかもしれない。
9日に初日を迎える大相撲名古屋場所で、豊昇龍、大栄翔、若元春の3関脇が大関取りに挑む。
史上初となる3人同時昇進が実現するか注目される。
大関昇進の目安が「三役で直近3場所合計33勝」とされる中、大栄翔は2場所で計22勝、豊昇龍と若元春は計21勝と星を積み上げてきた。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の佐渡ケ嶽部長は3関脇のここまでについて、ほぼ横一線の評価。
先場所後に霧島が一足先に大関へと駆け上がったことで「3人とも気合が入ってくると思う」とみる。
勝負の場所の捉え方は、それぞれ異なっている。
豊昇龍は「気にしていない。あまり自分からも言わない」、若元春も「上(の番付)を意識することはあまりない。そうやって、ここまでの成績になったので」と自然体を強調する一方、大栄翔は「チャンスがあるので意識した方が良いと思う。自分はしっかり考えてやりたい」とあえて向き合う姿勢。
約2年ぶりの上位総当たりに挑む元大関の東前頭4枚目・朝乃山は7日、愛知・蟹江町の部屋で最終調整を行った。
取組編成会議がこの日開かれ、初日は西同3枚目・明生、2日目は東同5枚目・平戸海との対戦が決まった。
同場所恒例となった関取衆の七夕企画では、短冊に「優勝・三役」としたため、1年前にどん底から再出発した地で自身2度目となる優勝を誓った。
朝乃山が“節目の場所”で願いをかなえる。
幕内として戻ってきた愛知・蟹江町の部屋でこの日、若い衆を相手に申し合いでは10戦全勝。
得意の右四つでねじ伏せ、好調ぶりをのぞかせた。
着実に番付を戻してきた元大関は「やっとここまで戻ってこられた。ここからが本当の勝負だと思う。
7日、大相撲名古屋場所を休場する西前頭12枚目の若隆景の診断書を公表し、「右膝前十字靱帯(じんたい)損傷の術後。
約3カ月間の加療を要する見込み」との内容だった。
元関脇の若隆景は4月上旬に靱帯の再建手術を受け、小結だった5月の夏場所を全休した。
リハビリが長期化し、復帰時期は不透明な状況となっている。
遠藤に並ぶ昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした伯桜鵬が、七夕の短冊に決意を記した。
名古屋場所の会場ドルフィンズアリーナ入り口付近に飾られた短冊に書き込んだ気になる内容は「15日間やりきる」。
師匠で元横綱白鵬の宮城野親方も期待を寄せる19歳は初日に碧山、2日目にはスピード昇進の“先輩”遠藤と対戦することが決まった。
初めての幕内土俵で「令和の怪物」がどんな活躍を見せるか、注目が集まる。
2023/07/07
ぶっつけ本番で名古屋場所に挑む。
6日、名古屋市内の常盤山部屋で基礎運動を中心に最終調整。
出場の方向だが、両膝痛の影響で場所前の稽古では一度も相撲を取っておらず、稽古後の取材には応じなかった。
師匠の常盤山親方も「心配なところはある」と表情を曇らせた。
猛暑日となったこの日は全身汗だくになりながら黙々と四股を踏み、すり足では膝の動きを気にするしぐさもあった。
最終的な出場可否の判断は取組編成会議のある7日朝にする見込みだが、この日の午後に収録したテレビ番組「大相撲名古屋場所前夜祭」(8日午後2時放送、CBCテレビローカル)では「一生懸命頑張ります」と意欲を示した。
綱取りの春場所は左膝負傷で無念の途中休場。
一転、カド番の先場所は右膝も悪化させながら何とか勝ち越すなど苦しい状況は続く。
新大関霧島は6日、名古屋市西区の陸奥部屋で下半身を中心に鍛えた。
相撲は取らず、四股やスクワットなどで入念に汗を流し「場所前のいつもの運動をした。予定通りの調整」と淡々と話した。
出稽古は5日の荒汐部屋を最後に打ち上げ。
右肘痛を抱えながら、大関昇進を目指す関脇若元春らと15番ほど取ったという。
「いい内容ではなかったが、稽古を休みたくなかった」と語った。
初日が迫り、負傷の影響が懸念される。それでも「問題ない。やるしかない」と気合を入れた。
御嶽海の父・大道春男さんが、5日に木曽町で亡くなったことが6日に分かった。
74歳だった。葬儀は7日午後12時30分から上松町の玉林院で営まれる。
喪主は御嶽海が務める。
取材に応じた名古屋場所担当部長で、師匠の出羽海親方によると、春男さんは6月下旬に木曽町で行われた部屋の合宿に足を運んでいたという。
5日夕に御嶽海から連絡を受けた師匠は「突然だったのでびっくりしました。帰らせてほしいということだったので、いいよと」。
9日に初日を迎える名古屋場所に向けては「もちろん初日から出ます」と話した。
犬山の宿舎には初日に間に合うように戻ってくる予定。
「あすには帰ってくると思うが、そうなるとお母さん1人になりますから…」と師匠は弟子を思いやった。
「自分を持っている人だと思う。めちゃくちゃ尊敬している」と父のことを話したことがある御嶽海。
名古屋場所は初優勝を飾った2018年にその父も駆けつけてくれた。
師匠は「今場所は頑張るしかない。お父さんのためにも。一番、お父さんが楽しみにしてたわけだから」と話した。
6日、愛知県蟹江町の高砂部屋で名古屋場所へ向けての稽古を行った。
この日は、腰の状態があまり良くないとのことで軽めの調整。
鉄砲やすり足などの基礎運動で汗を流した。
番付発表後は、今月2日までは出稽古に訪れた新入幕の豪ノ山や西前頭6枚目の王鵬と、今週に入ってからは時津風部屋で正代らと、錣山部屋で小結・阿炎らとも稽古を重ねてきた。
「押し相撲と自分より大きな相手に先場所負けているので、そこをどうやっていくか」。
課題を持って苦手克服に取り組んだ。
目標は、先場所と同じく「2桁(勝利)以上」。
さらには「上位で厳しい場所ではあると思う」としながらも「優勝を目指していきたい。これからはそうやって(元大関として)見られると思うので、常に優勝争いしないといけない」と高い目標を掲げた。
6日、名古屋場所に向けて好調をアピールした。
名古屋市内の部屋で稽古し、若い衆と計13番で12勝1敗。
得意の押し、右を差しての一気の寄りなど、軽快な動きを披露した。
稽古後は「いい感じだと思う。先場所前よりも充実した稽古ができている。痛いところもないし、今場所は勝てそうな気がする」と、自信に満ちた表情をみせた。
連日の猛暑で食欲が落ちがちな時期だが「体重は減っていない」と、コンディションづくりも順調の様子だ。
名古屋名物は「うなぎと手羽先を食べました」とニッコリ。
「手羽先は、1人前5本として、8人前食べました。40本! 他にもおつまみを食べました」と、食欲は落ちるどころか、旺盛なようで、持ち前の笑顔で話していた。
大相撲の秋巡業「焼津場所」(同実行委員会主催)が10月12日、焼津市保福島の市総合体育館で開かれる。
市内で大相撲巡業開催は4年ぶり。6日には日本相撲協会巡業部の千田川親方が市役所に中野弘道市長を訪ね、場所開催決定を報告した。
焼津場所には力士含めて計200人が参加。力士による公開朝稽古から始まり、幕内力士による取り組みや横綱の土俵入り、相撲の禁じ手を紹介する初切りなどを行う。
千田川親方は「サインをもらったり、握手をしたりして、力士と触れあってほしい」と呼びかけた。
焼津市出身の翠富士も参加予定。
「小柄なのに頑張っている。戦いぶりを地元の人に見てほしい」と語った。
2023/07/06
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で15番の申し合い稽古を行った。
幕内・翔猿、剣翔、大翔鵬、遠藤、十両・大奄美の関取衆5人による申し合い稽古が繰り広げられた後、最後に土俵に入った大栄翔が5人を相手に15番連続で取り続けた。
得意の突き押しの威力が光り、自身より30キロ以上重い大翔鵬を一発で吹っ飛ばす場面も。
一度だけ組み合う展開になった翔猿戦では左四つから強烈な引き付けでつり出して四つ相撲の力強さも見せた。
最初は遠藤を相手にいきなり2番続けて敗れたが、その後は立て直して12勝3敗。
「しっかり修正していけた」と振り返った。
5日、愛知・名古屋市内にある宿舎で申し合いを行い、計17番13勝4敗だった。
新三役から4場所連続小結を務める25歳は「(初日まで)もう近いですし、暑さもまた来る。しっかり気持ち引き締めて、あとは(状態を)うまくいいところまで持っていきたい」と、順調な調整をうかがわせた。
名古屋場所では大関取りの起点となる2桁白星を狙う。
好調の小結は「稽古内容がよくなっている。前に出る相撲を意識してやれていたので、それをしっかり本場所で出せるように気持ちをしっかり作って臨みたいです」と力を込めた。
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で8番の申し合い稽古を行った。
名古屋場所で大関獲りに挑む関脇・大栄翔とは5番取って1勝4敗。
一方的に突き出される内容は一番もなく、持ち前の素速い動きで逆に翻弄する場面も見られた。
内容の濃い8番に「良い稽古している」と充実感。
埼玉栄高の1年後輩にあたる大栄翔を「強いっすわ」と素直に評価し「でもそこにしっかり食らいついていかないと」と対抗心ものぞかせた。
番付を上げて名古屋場所は西前頭筆頭。
三役復帰を見据え「2桁(勝利)目指して頑張ります」と力を込めた。
今度の日曜日、9日から大相撲の名古屋場所が始まります。
それをまえに、奄美大島の瀬戸内町で立浪部屋が合宿を行いました。
地元出身力士の明生も力強い稽古で、見守った住民を喜ばせていました。
奄美大島瀬戸内町出身の明生です。
篠川中学校を卒業後、立浪部屋入りし、夏場所では3場所ぶりに勝ち越し、殊勲賞を受賞。
4年ぶりに地元・瀬戸内町に帰ってきました。
瀬戸内町で2日間行われた立浪部屋の合宿は、明生や関脇の豊昇龍らを一目見ようと多くの住民が会場に詰めかけました。
明生関は「写真撮ってと言われたり握手してと言われたり、すごいみんなのパワーをいただきました」と語りました。
北青鵬は愛知県豊田市の宮城野部屋で稽古し、幕下力士相手に11戦全勝だった。
2メートル4、185キロの巨体を生かした右かいなを返しての寄りは迫力十分。
「今年中に三役という目標を立てている。(前頭)何枚目でも変わりない」と言い切った。
右膝負傷から幕下で復帰した昨年初場所以降、9場所連続で勝ち越し中。
大器は「ケガをしないことが一番。一気に横綱、大関にいけるわけではない。焦る必要はない」と達観したような口ぶりで話した。
西前頭8枚目の錦富士が、不退転の覚悟を見せた。
5日、名古屋市内の部屋で稽古した。
申し合いには加わらず若い衆の胸を借りて立ち合いの当たりの角度などを入念に確認した。
実は先場所終盤に右足の靱帯(じんたい)を痛めており、今もなお万全の状態とは言えない。
それでも「出るからには言い訳はできない」と場所に向けて調整を急いでいる。
錦富士は「まだ相撲を取れる状態ではない。強行出場みたいなところはある」。
痛めたのは先場所終盤。一番でも多く白星を伸ばそうとしていた中で起きたアクシデントにもめげず、場所が終わると治療に専念。
「手術すれば間に合わない」ことを考慮し、リハビリを重ねた。
この日も痛めた右足にテーピングを施して稽古に臨み、「最後3日間ぐらいの段階で相撲を取ってどれくらいできるか」と今後を展望した。
周囲から女優の土屋太鳳に似ているといわれる藤添静香さんと5月に挙式を挙げ、10月には第1子が誕生する予定。
先場所3勝12敗とふがいない成績に終わったからこそ、今場所にかける思いは強い。
名古屋へたつ前に妻から「無理をしすぎず、ダメな時は休むのも勇気だよ」と心温まる言葉をもらって、さらに活気づく。
「なんとしても場所に向けて良い状態でいきたい」。
支えてくれる妻のためにも、暑い名古屋で巻き返す。
5日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で9番の申し合い稽古を行った。
同部屋の関取5人を相手に、前さばきのうまさを見せて7勝2敗。
名古屋場所で大関獲りに挑む関脇・大栄翔には、当たってすぐの引き落としと前ミツを引いての寄りで2勝するなど存在感を示した。
遠藤が前頭15枚目以下まで番付を下げるのは、16年夏場所以来7年ぶりのこととなった。
この日は両膝にテーピングが施されていたものの、ケガの影響を全く感じさせない動きの良さを見せた。
6月から精力的に申し合い稽古に参加しており、調整は順調な様子。
本来の実力が発揮できれば、名古屋場所での大勝ちにも期待が高まる。
また、今場所は新入幕の伯桜鵬と番付が近く、初対戦も予想される。
所要3場所での新入幕という最速記録を持つ2人の対戦が組まれれば、幕内前半の土俵に大きな注目が集まるだろう。
名古屋場所で昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした、落合改め伯桜鵬(はくおうほう)がこのほど、スポーツ報知のインタビューに応じた。
“令和の怪物”とも称されるホープは幕内の土俵を「夢舞台」と表現し、活躍を誓った。
また、かつてはサッカー少年であり、相撲は嫌々で始めたという事実も明かした。
昭和以降最速、16年ぶりの10代新入幕。
スピード出世に周囲の期待は高まるが、伯桜鵬は驚くほど冷静に語る。
「今までテレビで見てきたところに入れたのはすごくうれしいですし、最速記録も光栄。でもまだ上があります。1つずつ上がっていくという目標を持つのが大事かなと思っています」
十両2場所通過は師匠の宮城野親方と同じ。
2023/07/05
4日、岐阜県瑞穂市の朝日大を訪れ、相撲部の稽古視察と講演会を行った。
直前に迫った本場所に向け「優勝(争い)の中心にいたい」と自信を見せた。
場所へ向けた仕上がり具合を問われ「いずれも準備万端」と答えた横綱。
新大関霧島が誕生し、若元春、豊昇龍、大栄翔が大関とりに挑むというこれまでにない盛り上がりを見せるが横綱は「自分が優勝(争い)の中心にいたい」と語り、主役の座を譲らない決意をにじませた。
また、両膝に不安を抱える横綱は、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で軽めの調整にとどめた。
ゴムチューブを使ったトレーニングや段差を付けた腕立て伏せの後は弟弟子への指導に専念。
幕下以下の力士にぶつかり稽古で胸を出し、汗を流した。
新大関の霧島が4日、名古屋市内の佐渡ケ嶽部屋に出稽古したが、右肘に痛みを訴えて途中で切り上げた。
小結琴ノ若らと18番取った後に患部を氷で冷やし、帰り際には「問題ない。大丈夫」とだけ話して車に乗り込んだ。
右肘にはサポーターを施し、申し合いに臨んだ。
右で突き放した際には、肘を曲げ伸ばしして気にする場面もあった。
同じく出稽古で幕内錦木や新入幕豪ノ山と番数を重ねた後、土俵際でもつれた琴ノ若との2番目で投げを打ち、悪化させたようだ。
注目の場所に向け「『さすが大関』と言われる相撲を取っていきたい」と意気込み、精力的に稽古を重ねてきた。
仕上げの調整を行う段階で不安材料が浮上し、暗雲が垂れ込めてきた。
大関昇進に挑む関脇豊昇龍は4日、名古屋市内の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、小結琴ノ若らと18番取って11勝7敗だった。
陸奥部屋に出向いてから新大関霧島とともに同行。
ただ右肘を痛めた霧島との申し合いは実現せず「誘われたのに1度も稽古していない」と苦笑いだった。
関脇大栄翔が、名古屋場所で、2度目の優勝&大関昇進の“ダブル取り”を誓った。
豊昇龍、若元春の両関脇とともに、史上初の大関トリプル昇進の期待が高まる中、4日は三重・鈴鹿市の部屋で稽古。
連続15番相撲を取って13勝2敗と絶好調をアピールした。
昇進目安は三役で3場所33勝。前2場所で計22勝と、他2人の同21勝を1勝リードする。
あえてビッグマウスで退路を断つ、サッカー元日本代表の本田圭佑流で、大輪の花を咲かせる。
大関昇進の目安まで11勝だが「11番勝とうとしたらダメ。優勝を目指す。その結果、大関に昇進できたら」と、堂々と話した。
若元春は名古屋市中川区の荒汐部屋で稽古し、兄の幕下・若隆元を相手に立ち合いの動きを確認した。
腰痛を抱えていることもあって慎重な調整ぶり。「今日は一丁押ししかしていない。頑張ります」などと語り、言葉少なに引き揚げた。
昇進目安は12勝。
初日まで1週間を切った中でのペースダウンは気がかりだが、今後は再び出稽古を視野に入れて調整を進めるという。
北青鵬は12番取り、長身を生かした四つ相撲の強さを発揮して8勝4敗。
自己最高位の東前頭6枚目で臨む名古屋場所は上位戦の可能性もあるが「いつも通りのことをやるだけ」と意に介さなかった。
また、地元・北海道で後援会が発足したことを明かした。
6月下旬に北海道知事や札幌市長を表敬訪問。
故郷の応援を受けて英気を養い「今年中に三役に上がりたい」と先を見据えた。
新入幕の豪ノ山は4日、名古屋市西区の佐渡ケ嶽部屋に出向き、同じく出稽古の新大関霧島に3連勝するなど実力の高さを示した。
得意の突き、押しが光り「思い切り当たって、しっかり足も前に出た。本場所でもいい相撲が取れればいい」と手応えを口にした。
3日も同じ佐渡ケ嶽部屋への出稽古で横綱照ノ富士に胸を借りた。
「上位陣の雰囲気や空気感を味わえて、すごくいい稽古ができている。目標は大きく持っていきたい」と初日を心待ちにしていた。
新入幕を果たした落合改め伯桜鵬が4日、愛知県豊田市の宮城野部屋で19番の申し合い稽古を行った。
最長身2メートル4の幕内・北青鵬や関取最小兵1メートル67の新十両・川副改め輝鵬、腰の重い押し相撲の幕下・向中野らさまざまなタイプを相手に計19番取って12勝7敗。
北青鵬には、まわしを与えずに横から速く攻める動きの良さも見せて1勝2敗だった。
「(北青鵬は)幕内で2場所連続勝ち越しているので、そういう人と取って一つ自信に」と手応え。
初めて臨む幕内の土俵へ、十分な稽古環境と充実の内容で気持ちを高めた。
番付発表後から休みなく毎日稽古しており「けっこう疲れてます」と苦笑い。
4月に痛めた左肩は万全ではなく、この日も大きなテーピングが施されていた。
「ずっと付き合っていかないといけないので、どう工夫して取るかが大事」。
不安を抱えながらも最善の策を模索している。
その中で「ケガしながらでも番数取れるようになってきた。先場所より状態は凄く良い」と調整は順調だ。
夏場所は本格的な実戦稽古が十分にできないまま臨んだにもかかわらず、十両で14勝の好成績。
新入幕場所での大勝ちにも期待は高まるが「幕内という一つレベルの違う舞台になったので、調子良くてもどうなるか分からない」と冷静に足元を見つめた。
富山県警OBらでつくる富山を楽しくする会は4日、朝乃山の大相撲名古屋場所での活躍を願い、富山市古沢の県道沿いに手作りの吹き流しを設置した。
吹き流しは長さ5メートル、直径1・2メートルの赤、青、黄色の布製で、12メートルの支柱に固定した。
一気に横綱まで上り詰めてほしいという思いを込め、「百折不撓(ひゃくせつふとう) 朝乃山」「雲外蒼天(うんがいそうてん) 朝乃山」などとしたためた。
朝乃山が大関昇進時の口上で述べた「愛と正義」を書いた手作りの化粧まわしも設置した。
長谷川敏博事務局長(72)は「優勝できるよう頑張ってほしい」とエールを送った。
大相撲秋巡業の「京都場所」が10月19日、島津アリーナ京都(京都市北区)で開かれる。
新型コロナウイルス禍で、京都場所の開催は4年ぶり。
実行委員会(桝本頼兼委員長)が7月4日、市内で記者会見して発表した。
定員は約7000人。
東日本大震災の避難者や養護施設の入所者、日本文化に関心を持つ外国人留学生ら1000〜1300人程度を無料で招待する。
2023/07/04
3度目の連覇、通算9度目の優勝へ、大相撲の横綱照ノ富士が、いよいよ稽古を本格化させた。
3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に、名古屋場所前としては初めて出稽古。
同じく出稽古に来た新入幕の豪ノ山を三番稽古に指名し、力を十分発揮させながら9勝3敗と圧倒した。
4場所休場明けから復活優勝した、先場所同様の強さを見せつけた。
初めて胸を合わせた豪ノ山の予想外の馬力に、3番は不覚を取った。
あえて土俵際まで押させた後、踏ん張りきれず土俵を割り「つえー」と、苦笑いする場面も。
ただ相撲を取りつつ動きの止まった豪ノ山に「そこで終わっちゃダメだ。力を抜くな」などと助言。
終始、稽古をつける形で、9勝3敗以上の力の差、仕上がりの良さを印象づけた。
大関獲りに臨む関脇・豊昇龍が3日、名古屋市西区の陸奥部屋で新大関・霧島と計16番の三番稽古を行った。
途中10連勝と霧島を圧倒し、若元春、大栄翔の3関脇で挑む史上初の大関“トリプル昇進”へまずは好仕上がりを印象づけた。
大関昇進に挑む関脇大栄翔が3日、三重県鈴鹿市の追手風部屋で稽古し「しっかりチャンスを生かしたいという強い気持ちがある。1回で決めたい」と意気込みを語った。
この日は幕内の遠藤、大翔鵬ら部屋の関取衆を相手に10番続けて取り、8勝2敗。
暑さによる疲労の蓄積があるようで「番数も少なく、内容もそんなに良くなかった」と不満顔だった。
昇進の目安となる直近3場所の合計33勝には11勝で到達。
「先のことを考えても仕方がない。変わらずにやることをやって、しっかり場所に臨めれば」と表情を引き締めた。
3日は岐阜放送本社を訪れ、ぎふチャンラジオ「きょうもラジオは !?2時6時」に生出演しました。
三役復帰への意気込みを語るとともに来場を呼び掛けました。
朝乃山関は富山市出身で、高砂部屋所属の29歳。
先場所は幕内力士として2年ぶりの土俵で12勝3敗をマークし、東前頭14枚目から4枚目まで番付を上げ、名古屋場所では勝ち越し、2ケタ勝利、優勝で一気に三役復帰を目指します。
杉山幹夫岐阜新聞社最高顧問から、出げいこなど場所直前の調子を聞かれると仕上がり具合の順調さをアピール。
スナーから寄せられた質問にも笑顔で答えていました。
「(地元の)富山県から車で来やすい名古屋場所ですので、また応援に来てくださる方々も多いと思いますので、しっかり自分の相撲をとりきって、2ケタ以上、優勝を目指してがんばりたいです」
新入幕の東前頭13枚目豪ノ山が3日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋に出稽古し、同じく出稽古に来た横綱照ノ富士に初めて胸を借りた。
この日、佐渡ケ嶽部屋には照ノ富士と豪ノ山の2人に加え、錦木、翠富士、王鵬の前頭3人も出稽古に来た。
佐渡ケ嶽部屋の小結琴ノ若と、琴恵光、琴勝峰の前頭2人を合わせ、計8人もの幕内が集結。
その中で豪ノ山は唯一、照ノ富士の指名を受けて三番稽古、ぶつかり稽古で胸を借りた。
照ノ富士との三番稽古は3勝9敗で、その前に2勝3敗だった関取衆の申し合いと合わせ、5勝12敗だった。
それでも5分以上にわたった、ぶつかり稽古後には充実の表情。
「ありがたいです。横綱に選んでいただけるとは思ってもいなかった。いい経験になりました」と、巡業などを含めても初めて横綱に胸を借り、感謝しきりだった。
「存在感がすごかったですね。思い切って当たっても、全部受け止められた。鍛え直して頑張りたい」。
先場所は14勝1敗で十両優勝したが、前日2日までに先月末から3度訪れた高砂部屋の大関経験者朝乃山に続き、幕内上位との実力差を感じ、発奮材料にしていた。
4日も佐渡ケ嶽部屋を訪れる予定で、新入幕場所に向けて準備に余念がない。
西前頭13枚目琴勝峰が、6月9日に婚姻届を提出、11月には第1子の男児が誕生予定であることを明かした。
名古屋場所に向けて3日、名古屋市の部屋で稽古後、千葉・柏市役所に婚姻届を提出したと説明。
「特別に何かの記念日というわけではありませんが、妻が届を出してくれました」。
6月3日に、同い年の珠奈さんとの婚約を発表。
「その時には言っていませんでしたが、11月に子どもが生まれる予定です。男の子です」と、パパの顔になって話した。
珠奈さんとはまだ同居しておらず「名古屋場所が終わって、すぐに夏巡業があって…。一緒に住むのは8月の終わりぐらいですかね」と、冷静な口調で話した。
新居探し、新生活準備と、慌ただしい日々となるが、新たな家族も増える予定だけに、随所にうれしそうな表情を見せていた。
日本相撲協会の英語圏向けユーチューブチャンネル「SUMO PRIME TIME」が大相撲名古屋場所の新入幕力士を特集。
落合改め伯桜鵬が登場した。
初土俵から所要3場所での新入幕は、遠藤と並び昭和以降1位のスピード昇進。
その伯桜鵬は幕内デビューを前に「今までのような相撲だと通用しないと分かっている。稽古でもう一度自分の相撲の形をしっかりつくって、師匠に教えてもらいながら幕内で戦える相撲を磨いていかないといけない。武道の言葉である心技体を鍛えていかないといけない。応援していただいてる方、お客さんに喜んでもらえるような気持ちのいい相撲を取れれば」と気持ちを引き締めた。
高松市では5年ぶりとなる大相撲の地方巡業が2023年10月に行われることが決まりました。
日本相撲協会の理事で、62代横綱大乃国の芝田山親方が、7月3日に高松市で会見を開き明らかにしました。
この巡業は大相撲高松場所として2023年10月22日に高松市のサンメッセ香川で行い4000人の来場を目指します。
約200人の力士による稽古、相撲甚句、初っ切りという見せ物、幕内などの取り組みを披露します。
高松市での巡業は2018年以来、5年ぶりで、チケットは7月12日からインターネットなどで販売されます。
2023/07/03
2日、名古屋市瑞穂区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、部屋の関取衆と計10番取った。
前日の稽古中にぎっくり腰になったことを明かしたが、影響を感じさせない動きを見せ「ちょっと痛みが走ったくらい。まだ1週間ある」と軽症を強調した。
翠富士に5戦全勝とし、宝富士には3勝2敗。
宝富士得意の左四つ十分に組ませる場面もあり「いろいろ試すのが稽古」と説明した。
両膝にも不安を抱える中、じっくりと調整を進めており「毎日、体と相談しながらという感じ。いつものことだ」と自然体で話した。
2日、名古屋場所へ向け、名古屋市内の伊勢ノ海部屋宿舎へ出稽古。
幕内・錦木と26番連続で相撲を取り、19勝を挙げた。
無尽蔵のスタミナだった。
20番過ぎから錦木がヘトヘトになる中でも、霧島のペースは落ちなかった。
「まだまだ何番もできる感じ。20番でも30番でも稽古するつもりだった」と涼しい表情で語った。
立ち合いから押しや左差しなど一番ずつ攻め方を変えた。
狙いを「自分の立ち合いを思い切りやってみた」と明かした。
新大関の場所は注目を浴び、警戒される。
初日に向け「立ち合いを一段階ずつ上げている」と徐々にペースを上げていくつもりだ。
名古屋入りしてから出稽古が続いているが、「暑さにも慣れてきた。これからも出稽古はしていく」と貪欲だった。
大関昇進を懸ける関脇豊昇龍が29日、名古屋市中川区の荒汐部屋へ出稽古し、同じく大関を狙う関脇若元春らと23番取って16勝7敗だった。
持ち味の多彩な攻めが光り「いい稽古になったと思う」と充実感をにじませた。
ライバルの若元春を7勝3敗と圧倒。
関脇経験のある小結阿炎、明生に対しても好調ぶりが際立った。
昇進目安の直近3場所で合計33勝には、自己最多を1つ上回る12勝が必要。
高いハードルに向け「毎日毎日、順調にやれている」と気負いは感じられなかった。
大関取りに挑む関脇・大栄翔が、連続稽古でスタミナアップを図る。
三重・鈴鹿市の宿舎で30日、幕内・翔猿、遠藤らと16番連続で取り、14勝2敗。先場所後から始めた試みといい、「夏場はスタミナがやばいので、連続稽古すれば力がつく」と狙いを明かした。
同じく大関取りを狙うライバルの若元春と豊昇龍は出稽古を中心に調整している。
ただ追手風部屋は名古屋市近郊から車で約1時間半かかるため、休養なども考慮し部屋での調整を選択。
「出稽古できない分、きつくしないといけない」と自らを追い込んでいる。
自慢の突き押しは健在で、翔猿につり出しで勝つ場面もあった。
「四つの対策はできている」と手応えをつかんでいる様子だった。
1日、名古屋市内にある宿舎で幕下以下の力士と10番連続で相撲を取った。
申し合いの最後に土俵へ上がると、相手に許したまわしを切ったり、四つになってからの動きを丁寧に確認した。
兄・若隆元らに9勝1敗だったが、「まだ万全じゃない」と明かした。
前日6月30日は稽古がなかったこともあり、「腰が硬くなっているので、番付が下の力士と動きを確認した。じっくり攻めるイメージだった」と意図を語った。
腰の違和感については「昨日、今日の痛みではない。仕方のないこと」と一大事ではないと強調した。
稽古後はファンにサイン会を行った。写真撮影にも気軽に応じ、笑顔。
ちゃんこ鍋も振る舞われる中、「幕下が長かった。出世した姿を地方の方にみせられるのはありがたい。期待は大いにしてもらってると思う」と気を引き締めていた。
29日、名古屋市の佐渡ケ嶽部屋で名古屋場所に向けた稽古を行った。
申し合いでは20番取り、出稽古に訪れた大関・霧島とは13番で4勝9敗だった。
新大関へ果敢に立ち向かった。
立ち合いから右四つとなると、そのまま寄り切った。
土俵際まで追い込まれても耐えて反撃に転じるなど、「遠慮したら強くなれない。比較的前に向かっている相撲だった」と手応え。
終盤に5連敗を喫して4勝に終わったが「勝ち負けよりもっと内容にこだわりたい」と話し、充実感を漂わせた。
名古屋場所は19年に新十両としてのぞみ、幕内だった21年は初の三賞となる敢闘賞も獲得した。
愛知・蟹江町の部屋で2日、出稽古に来た新入幕の豪ノ山と三番稽古を行い、計14番で11勝3敗。
十両で2場所連続2桁白星、先場所は14勝1敗で優勝するなど、力をつけてきた豪ノ山を寄せ付けなかった。
朝乃山は鋭い立ち合いから距離を詰め、相手得意の突き、押しを封じて寄り切るなど、いきなり7連勝した。
6場所出場停止から、昨年名古屋場所で三段目として復帰して1年。
東前頭4枚目まで番付を戻し、上位戦を迎える今場所に懸ける思いを示すように、気迫のこもった相撲を続けた。
30度を超える暑さの中、屋外土俵での稽古だったが「いい感じで体が動いている。この暑さの中で、しっかり稽古できた。豪ノ山関が来てくれているのはうれしいし、お互いにいい刺激で稽古できていると思う」と、手応えを口にした。
30日、愛知・豊田市内の宿舎で名古屋場所に向け調整した。
新入幕の伯桜鵬、新十両の輝鵬、幕下力士らと10番取るなどして汗を流した。
先場所は元大関の朝乃山の連勝を止めるなど、204センチの長身を生かした型破りな相撲で勝ち越し。
自己最高位となる東前頭6枚目まで番付を上げた。
それでも「気にしていない。変わらずいつも通りです。番付が何枚上がろうと、けがをせず勝ち越して場所を終えることが大事なので」と冷静。
「応援に応えられるように一日一番自分の相撲を取って喜んでもらえればなと思っています」と気合。
師匠の宮城野親方ような右四つを基本型とするが、元横綱・曙のような突っ張りの相撲も目指している。
最近の稽古でも「押し相撲を今、頑張っています」としつつも、一筋縄ではいかないようで「そんなに簡単にはいかない。一歩ずつですね」と話していた。
2日、愛知・蟹江町の高砂部屋に出稽古し、大関経験者の朝乃山に三番稽古で胸を借りた。
計14番で3勝11敗と圧倒された格好。
同行した師匠の武隈親方には「つかまったら何もできない、じゃあ、稽古にならないだろ!」などと怒声を浴びせられた。
ガムシャラにでも振りほどいて、得意の突き、押しの形に持ち込む必死さを求められた。
三番稽古開始から7連敗したが、その助言の成果もあって後半は3番勝った。
稽古後、豪ノ山は「朝乃山関には圧力や腰の重さは到底及ばない」と、素直に実力差を認めた。
それでも番付発表後の愛知入り後、この日で高砂部屋への出稽古は3度目。
「だんだん、できることも増えてきた」と、成果が出ている手応えも感じている。
昭和以降最速タイの初土俵から所要3場所で新入幕を果たした伯桜鵬が30日、愛知・豊田市内の宿舎で名古屋場所に向け、幕内・北青鵬、新十両・輝鵬、幕下以下の力士と計13番取って汗を流した。
鋭い出足からの一気の寄りなど実力を見せ「いい稽古ができているかなという感じです。体力的には徐々についてきていると思います」と手応えを口にした。
蒸し暑い日々が続いており、「地元の鳥取は暑いので、暑さには慣れていると思うんですけど、鳥取以上に暑いです」と思わず苦笑い。
それでも「年6場所あるうちの名古屋場所、この暑さも醍醐味だと思っていますし、逆に九州場所、初場所は寒いので、こういう体調管理もひとつの仕事だと思っていますね」と、19歳らしからぬ落ち着きぶりを見せていた。
盛岡市出身で大相撲の立行司・第27代木村庄之助を務めた熊谷宗吉さんが6月22日、97歳で亡くなった。
小学生で上京して土俵に立ち、若くして最高位を襲名。
半世紀にわたって大相撲の歴史を支えた。
退職から30年以上となる熊谷さんの 訃報ふほう を受け、県内外の関係者に悲しみが広がった。
元テレビ朝日アナウンサーの山崎正(やまざき・ただし)さんが6月25日午後6時52分、肺炎による呼吸不全のため死去したことが30日、分かった。
79歳だった。
2019年に小脳出血で入院後、高次脳機能障害を患い東京都内の施設で生活。
昨年6月に肺炎で入院し、今年1月には新型コロナウイルスに感染。
体力が落ち、寝たきりの状態となっていた。
山崎さんは同局の人気長寿番組「大相撲ダイジェスト」を03年の放送終了まで約30年担当し、大相撲ファンに愛された。
通夜は3日午後6時、葬儀・告別式は4日午前10時、東京都新宿区上落合3の34の12、落合斎場で。
喪主は長男の富洋(とみひろ)氏。
なかいま強「うっちゃれ五所瓦 粘り腰編」1巻が、本日6月29日に発売された。
週刊少年サンデー(小学館)の人気作「うっちゃれ五所瓦」の約30年ぶりの続編となる「うっちゃれ五所瓦 粘り腰編」。
不器用で口下手だが相撲への情熱は誰にも負けない男・五所瓦角が、新たな家族、そしてかつての仲間たちが見守る中、今度は大相撲を舞台に活躍する。
2023/05/29
千秋楽、14日目に8度目の優勝を決めた照ノ富士が、有終の美で締めくくった。
貴景勝を土俵下まで吹っ飛ばす完勝劇。
「2ケタ優勝という思いを強く持って過ごしていたので、それにちょっとでも近づくことができたのはうれしい」と、かみしめた。
支度部屋での記念撮影で賜杯と幼い長男を抱くと、険しかった表情がようやく緩んだ。
両膝の手術と4場所連続休場を乗り越え、14勝の好成績で1年ぶりに賜杯を抱いた。
「出るからには最後まで優勝を争うのが横綱としての宿命」との思いを結果につなげた。
「とりあえず今場所は終わったので、来場所に向けてもう一回、体と向き合ってやっていきたい」と先を見やった。
目標まではあと2つだ。
霧馬山の大関昇進が事実上、決まった。
目安とされる「三役で直近3場所合計33勝」を1つ上回ったことなどを受け、番付編成を担う日本相撲協会審判部が昇進を諮る臨時理事会の招集を八角理事長に要請し、受諾された。
これまで理事会で昇進が見送られた例はない。
佐渡ケ嶽審判部長は「34勝を挙げているので反対意見はない」と説明。
千秋楽、関脇豊昇龍が、大関昇進を事実上決めた霧馬山を破って11勝目を挙げ、大関とりへ大きな1勝を挙げた。
もろ差しで体を密着させると、持ち上げてから下手投げ。
関脇だった先場所の10勝と合わせて2場所で21勝を挙げた。
大関昇進目安は「三役で3場所33勝」で、大きな意味を持つ1勝となった。
「来場所のことはまだ気にしていない。負けた相撲は(研究し)もっと稽古して直したい」と力を込めた。
千秋楽、大栄翔は若元春との関脇対決。
立ち合い、頭から当たって先手を取ると、勢いそのまま突き放す。
懸命に残そうとする若元春をよく見て追い立て、最後は土俵下まで激しく突き倒した。
先場所は小結で優勝同点の12勝、そして今場所10勝。
大関取りへの足場を固めた29歳は「今日が一番、相撲内容が良かった。来場所につながる。上に上がる気持ちでやらなければ上がれない」と表情を引き締めた。
千秋楽、念願だった三賞を手にするも、若元春の表情は変わらなかった。
大栄翔との関脇対決は立ち合いで上体を起こされ、怒とうの突きを受けた。
なんとか右にいなしてしのぐも防戦一方。
最後は、突き倒されて後ろに一回転しながら土俵下に転落した。
千秋楽、元大関の朝乃山は、2年ぶりに立った幕内の土俵を白星で締めた。
重い剣翔と右四つで胸が合って動きが止まった後、上手を引いての寄り。
12勝という結果について「もう1、2番は勝ちたかった」と満足はしなかった。
緊張感のある15日間だったという。
「来場所が勝負。自分の実力が通用するかどうか。しっかり勝ちたい」と言葉に力を込めた。
千秋楽、大関昇進が事実上決まった霧馬山を含め、4関脇全員が2ケタ白星をマークした。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、初めてのこと。
昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は豊昇龍、大栄翔、若元春の3人が名古屋場所(7月9日初日・ドルフィンズアリーナ)で大関取りになることを明言した。
初の“トリプル昇進”が現実になる可能性が出てきた。
千秋楽、東十両筆頭の豪ノ山(ごうのやま、25=武隈)が決定戦の末に十両優勝を飾った。
千秋楽で北の若を退け1敗を守り、落合との優勝決定戦では電光石火の押し出しで快勝した。
「もともと2番取る意識でした。優勝してほっとしています」。
場所前に出稽古に訪れた平幕の王鵬と稽古を重ねて自信をつけた。
新入幕が濃厚な来場所へ「基礎からしっかり見直して、良い形で場所に入りたい」と意気込んだ。
千秋楽、西十両8枚目・落合(19)=宮城野=が、遠藤に並ぶ昭和以降最速の初土俵から所要3場所での新入幕を決定的にした。
決定戦で敗れ優勝は逃したが、十両2場所目で堂々の14勝をマーク。
名古屋場所(7月9日初日・ドルフィンズアリーナ)では、10代幕内誕生が見られそうだ。
この日の部屋の千秋楽パーティーでは、しこ名が本名から「伯桜鵬(はくおうほう)」へと改名されることが明かされた。
大相撲夏場所は28日、千秋楽を迎え、懸賞総数は1789本に達した。
1日当たりの最多は千秋楽の190本で、2019年夏場所千秋楽の178本を上回り、過去最高を更新。
15日間全てで館内に「満員御礼」の垂れ幕が下りる盛況だった。
2023/05/28
14日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が昨年夏場所以来、1年ぶり8度目の優勝を決めた。
唯一の2敗で追っていた関脇・霧馬山に寄り切りで快勝。
昨年10月の両膝手術などからの復活を遂げた。
3場所連続全休明けで優勝の横綱は1968年秋場所の大鵬、89年初場所の北勝海に次いで3人目となった。
14日目、関脇霧馬山の大関昇進が決定的になった。
番付編成を担う日本相撲協会審判部が千秋楽の28日に部内で昇進を協議することで一致。
関係者によると反対意見はないとみられる。
ここまで11勝3敗の好成績で直近3場所合計34勝をマークし、昇進目安の33勝を上回っている。
モンゴル出身で27歳の霧馬山は小結の初場所で11勝、新関脇の先場所は12勝で初優勝。
今場所も最終盤まで優勝争いに絡む活躍だった。
藤島審判部副部長は昇進への明言を避けたが「素晴らしい相撲を取っている」と高い評価を与えた。
千秋楽に向け「いい相撲を見せてくれるのではないか」とした。
14日目、豊昇龍は剣翔をすくい投げで下して10勝目。
10勝5敗だった先場所に続き2場所連続の2桁勝利に到達した。
立ち合いからすぐにもろ差しになると、引っ張りこまれて後退したが、土俵際で力強くひっくり返した。
千秋楽で対戦する同じモンゴル出身の霧馬山が来場所の大関昇進を大きく引き寄せた。
「先に行かれてしまった。自分も頑張らないと」。
まずは今場所最後の闘いで意地を見せる。
14日目、関脇・大栄翔が明生を下して9勝目を挙げた。
立ち合いから激しい突っ張りで先手を取った大栄翔。
一度は土俵際まで押し返されてバランスを崩したが、再び回転よく突っ張って豪快に突き倒した。
関脇4場所目で初めての勝ち越しを決めてから一つ星を上積み。
「一番一番に集中できている」。
三役での2場所連続2桁勝利に望みをつないだ。
先場所は優勝決定戦で惜しくも敗れたが小結で12勝の好成績。
現時点で2場所合計21勝まで星を伸ばした。
14日目、貴景勝の張り手を4発も浴びながら、若元春はひるまなかった。
下からおっつけながら、ジリジリと前に出る。
「ここまで勝ったことがない大関戦だった。きょうこそは、と思って臨んだ。落ち着いて、気持ちで負けず」。
気迫で土俵下まで押し倒した。
小結で11勝を挙げた春場所に続き、三役で2場所連続の2桁勝利。
名古屋場所での大関とりに名乗りを上げた。
これが若元春の性格なのか、「(大関を)考えてはないですね。今の関脇の番付を、しっかりまっとうすることだけ考えて」と期待を冷静に受け止める。
関取になる前から稽古を重ねてきた霧馬山が場所後の大関昇進を濃厚にしたが「刺激はもらってます。
純粋にすごいなと。ぼくとしては今の番付が精いっぱいで毎日必死に取ってる。
上に上がっていくのはすごいと思った」と素直に敬意を表した。
14日目、錦木は、もろ手突きできた阿炎をいなすと、力強く押し倒した。
7連勝で給金を直し、「最初から連勝したかった。立ち合いからの次の手がいいのでは」と舌も滑らかだ。
負けが込んだ前半戦から見事な巻き返しを見せた32歳は、「何が験担ぎか分からない。何もやらないから」と、とぼけ顔。
大好きなお酒が好調の要因かと聞かれ、「(飲むのは)1年中だから」と豪快に笑った。
14日目、朝乃山が、正代との元大関同士の対決を制した。
一気に攻め込み、土俵際でこらえる相手を寄り倒し。
11勝目を挙げて3連敗を免れ、「思い切っていこうと、切り替えたことがよかった」と一息ついた。
終盤まで優勝争いに絡んだものの、大栄翔、照ノ富士と三役以上の力士には屈した。
「今の自分の力では勝てない。(来場所は)負けないように精いっぱいやりたい」と決意を新たにした。
14日目、東十両筆頭の豪ノ山(25=武隈)が、玉正鳳を押し出して13勝目をあげた。
「内容はよかったと思う。明日もう1番、集中していきたい」。
十両2場所目「令和の怪物」落合も、同じ13勝目をあげた。
来場所の新入幕は確実にしているが、十両優勝で花を添えたい。
「今場所は足が出ているかなと思う。自分の相撲がとれるよう、気合を入れていきたい」と力をこめた。
2023/05/27
13日目、照ノ富士が横綱の貫禄を示した。
大関経験者とはいえ幕内に返り咲いたばかりの朝乃山に今の番付の違いを示した。
右の相四つ。
左から押っつけて前に出る朝乃山の攻めに下がりながら、抜けた右で小手に巻き、最後は土俵に転がした。
取組後の支度部屋では紅潮した顔で「(立ち合いは)しっくりこなかったですけれど、落ち着いてやれたかなと思います」と振り返った。
13日目、大関・貴景勝は勝ち越しを決め、カド番を脱出した。
貴景勝が立ち合いで左に動いてカド番を脱出した。
覚悟の変化だった。
大関の責任を一途(いちず)に追求している寡黙な大関。
観客からのブーイング、周囲の雑音にも耐えて、大関の地位を守るために苦渋の決断を下した。
13日目、大関昇進が懸かる霧馬山が、北青鵬との1分を超える相撲を制した。
長身の相手に肩越しに左の上手を許したが、すぐに切って頭をつける。
左でまわしを引き、外掛けで仕留め、「我慢できた」と汗をぬぐった。
11勝目を挙げ、悲願へまた一歩前進した。
14日目は、1敗で単独トップの横綱照ノ富士に挑む。
「自分の相撲を取れるように、自分から攻めていきたい」と言葉に力を込めた。
13日目、西前頭6枚目の御嶽海は東関脇の大栄翔を寄り倒し、連勝で8勝5敗として7場所ぶりの勝ち越しを決めた。
13日目、大関経験者で東前頭14枚目の朝乃山は、1差で追うトップの横綱照ノ富士に敗れ、10勝3敗で自力優勝の可能性が消滅した。
同じ右四つの照ノ富士に、これで6戦全敗。
立ち合いで相手に右を差させないよう、左はおっつけにいった。
だが相手に左を抱えられ、前への推進力を利用されて小手投げに敗れた。
「横綱の右手が抜けて、押し込んでいく時に左を差してしまったのがダメだった。抱えられて、上体が伸びて、起きてしまった」と、悔しそうに振り返った。
13日目、西十両8枚目の落合が湘南乃海を土俵下まで豪快に吹っ飛ばし、豪ノ山とともに12勝目を挙げ、首位を守った。
師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)は十両2場所目に12勝で優勝して翌場所新入幕。
場所前から12勝を目標に掲げており「うれしく思っています」と一言。
遠藤と並び史上最速となる入門から所要3場所での新入幕、そして憧れの大横綱と同じ道へ大きく前進した。
26日、大相撲名古屋場所後に実施する夏巡業の日程を発表し、昨年より13日増えて18日間の開催となった。
新型コロナウイルス禍による中止から再開された昨年は関東近郊限定だったが、今年は東北や北海道などでも行う。
2023/05/26
12日目、照ノ富士が執念を見せた。
新関脇の若元春が得意とする左四つで組んだが、「ある程度、頭に入っていた」。
場所前の出稽古で手合わせした感覚を生かし、うまく体を入れ替えて寄り倒した。
4場所連続の休場明け。
白星を重ねて周囲の不安をはね返し、1敗で単独トップに立った。
取組後、古傷を抱える両膝を気にするしぐさを見せたものの、「大丈夫。まずは15日間、無事に終わること。最後まで優勝争いに絡まないといけない」。
横綱として強い責任感を示した。
12日目、貴景勝は12日目でのかど番脱出はならなかった。
大関昇進を狙う霧馬山に一方的に寄り切られ、土俵下に転げ落ちた。
両膝にテーピングを施して闘う中、痛々しい負け方で支度部屋の取材にも応じなかった。
大関復帰の2019年九州場所から21場所在位した地位を守れるか。
師匠の常盤山親方は「苦しいと思うが、あと1勝まで来ているから。何とか残り3番を頑張ってほしい」と祈るように話した。
12日目、関脇霧馬山が大関貴景勝を破って10勝目を挙げ、今場所後の大関昇進を確実にした。
霧馬山は陸奥部屋所属でモンゴル出身の27歳。
初場所は小結で11勝し、春場所は関脇で12勝を挙げて初優勝を果たした。
大関昇進は三役で3場所合計33勝が目安とされている。
夏場所で10勝を挙げれば計33勝となることから、場所前に昇進を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長が「2桁勝利で千秋楽を迎えてほしい」と10勝が昇進ラインになると明言していた。
12日目、豊昇龍が関脇として意地を示した。
204センチの北青鵬に肩越しに右の上手を許したが、相手の右脇の下に頭を入れるようにして切ると、左から出し投げを打って後ろ向きに。
「しっかり集中できていた」と、手応え十分に振り返った。
成長著しいモンゴル生まれの後輩に巧みさを見せつけ、9場所連続の勝ち越し。
「うれしい。終わったわけじゃないので残りの3番、頑張っていきたい」と気合を入れ直した。
12日目、宇良が幕内では25年ぶりの決まり手「ずぶねり」で翔猿に勝利した。
激しい差し手争いの後、土俵際から相手の懐へ飛び込んだ。
さらに背筋を使って頭でひねり倒すと、翔猿が左側へ1回転しながら土俵へ落ちた。
98年春場所5日目、旭豊が寺尾に決めて以来。
関学大までのアマチュア時代を含め、「記憶にない」と振り返る珍手。
その大学時代、同じ小兵の同級生が得意技にしたことで、逆に受けてきたという。
「人よりは見てきたし、むしろされていた」。当時の経験が思わぬ場面で生きた。
12日目、朝乃山が2敗目を喫し、優勝争いで一歩後退した。
関脇大栄翔に攻め込まれると、そのまま一気に押し出され「相手が下から突いて、まともに受ける形になって、そこから足を運べなかった」と残念そうだった。
幕内の後半戦で相撲を取るのも、三役との対戦も大関時代の2021年夏場所以来、2年ぶり。「久しぶりに遅い時間に取れたし、上位と取れたのも良かった」と話した。
13日目は1敗の横綱照ノ富士に挑む。
勝てば再び優勝争いのトップに並ぶが「緊張すると思う。冷静に、無心で取りたい」と無欲を強調した。
2023/05/25
11日目、照ノ富士は危なげない相撲。
豊昇龍の両肘をがっちりきめると、力強く土俵の外へ運び出した。
「動きが良かった」と満足げに振り返った。
9日目に初黒星を喫したが、「その日の一番はその日で終わっている」と引きずらなかった。
1敗のトップで優勝争いの佳境を迎える。
「あと4日もある。できることをやっていく」と集中していた。
11日目、大関・貴景勝がカド番脱出まであと1勝とした。
同じ突き押し相撲の関脇・大栄翔の突っ張りを下からあてがってしのぐと、機を見て引き落とした。
取材には応じなかった。
八角理事長は「最初の攻防があるから効いた。押せなかったが、押し合ったことが大事ですよ」と分析。
幕内後半戦の藤島審判長は「(9、10日目は)痛い2連敗でしたからね。きょうはいい当たりだったのでは。相手が格下だと落とせないという気持ちになってしまうが、きょうは向かっていったのが良かった」と振り返った。
11日目、霧馬山が寄り切りで平戸海を下し、大関昇進の目安となる三役で3場所通算33勝にあと1勝まで迫った。
初対戦の相手だったが、「自分の形になってゆっくり攻めたのがよかった」。
八角理事長も「強引さがなかった。落ち着いていた。焦らなかった」と内容をほめ、1差で追いかける優勝争いにも「チャンスはチャンス」と話した。
11日目、若元春は、新鋭の東前頭11枚目・北青鵬を退け、新関脇で勝ち越した。
立ち合いから得意の左を差すが、相手に右上手を許し、土俵中央で膠着(こうちゃく)状態に。
じりじりと寄られた土俵際で、起死回生のうっちゃりで逆転した。
だが、「俵を使って何かしてくると思ったのでビビって前に出られなかった。相手が覆い被さってきたので自然に出た。うっちゃりは頭に入れてなかったし、良いことではない」と反省が口をついた。
11日目、通算1000回出場を白星で飾り「攻める気持ちを前面に出していこうと思っていた。自分一人だけの力では成し遂げられないことなので、いろいろな人に感謝したい」と話した。
11日目、土俵際で勝負への執念を見せた。
2年ぶりに幕内力士として出場する朝乃山が白星を2桁に乗せた。
好調の明生に懐に入られても、朝乃山は下がりながら左でまわしをつかんだ。
体をひねるように右から逆転の突き落とし。
相手とともに、勢い余って土俵下へ転がり落ちた朝乃山は「内容は悪いけれど、最後に思い切った結果。左上手を取れていなかったら、たぶん負けていた」と、安堵(あんど)と悔しさが入り交じった表情を見せた。
11日目、幕内・剣翔が元大関の御嶽海を破って8勝目を挙げ、新入幕だった19年秋場所以来となる11日目での勝ち越しを決めた。
立ち合いすぐに得意の左上手を取り、右で浅い上手を引いて外四つで相手に力を出させずに寄り切り。
「ああなったら前に出るしかない。思い描いたとおりの相撲が取れた」と納得の内容だった。
新入幕場所以来、幕内で約4年ぶりの2桁勝利も視界に入る好調ぶり。
「ここ最近に比べて膝の調子が良くないので、長い相撲を取ったらよくないから速い相撲を取るようにしている」と“ケガの功名”だったことを明かした。
11日目、1敗の十両・豪ノ山が、ただ一人全勝の落合を下して10勝目を挙げた。
立ち合い激しく当たり合って左四つに組み合うと先に下手を取られたが、右を巻き替えて豪ノ山が右下手。
左おっつけから左前ミツも引いて相手の上体を浮かせて最後は押し倒し。
“令和の怪物”を土俵上で仰向けにする快勝にも「立ち合い差されてしまったのがよくなかった。はじいてハズで持っていければよかった」と反省点を口にした。
豪ノ山は東十両筆頭で既に勝ち越しているため、来場所の新入幕が確実な状況。
優勝争いで一歩リードする19歳との“頂上決戦”を制して1敗に引きずり下ろした。
優勝争いについては「意識はしてないけど一番一番集中して取っていきたい」と意気込む。
「集中して自分の相撲を取れば良い結果は付いてくる」と信念を貫くことを誓った。
2023/05/24
10日目、前日に初黒星を喫した横綱照ノ富士が意地を見せた。
琴ノ若との攻防を制し、1敗を死守した。
もろ差しを許して土俵際まで追い詰められながらも、左を巻き替えて応戦。
難を逃れると、体を密着させながらじりじりと持っていき、力を振り絞って寄り切った。
ストレート給金をした照ノ富士は、9日目に明生に敗れて初黒星。
過去6勝2敗と圧倒していたが、今回は食い下がられ、速い動きに上体が起きてしまい寄り切られた。
連敗は免れたが、取組後の取材には9日目に続き応じなかった。
10日目、貴景勝はまたも、あっけなく土俵を割った。
かど番脱出へ日を追うごとに緊張感が増す中、平幕相手に痛恨の連敗。
険しい表情で花道を引き揚げ、これまで同様に取材に応じることなく国技館を後にした。
相手は初顔の金峰山。
立ち合いで十分に押せず、いなしに乗じられて攻め込まれる。
簡単に横向きにされ、最後は力なく押し出された。
痛めている両膝の状態の悪さが影響したのか。
入幕2場所目の金峰山が「大関はいつも通りではなかった」と案じた。
10日目、関脇同士の対戦を制して勝ち越しを決めた。
霧馬山が大関昇進を見据えて、最初の関門を突破した。
突っ張りから得意の左四つに持ち込みたい若元春の攻めをしのいだ。
小手に振られようとしたところを外掛けで耐えると、右から手繰るように小手投げを決めて、土俵の外へ転がした。
「立ち合いがいい。やっと当たれるようになった。最後、肘をきめられて怖かったけど、落ち着いていけた」と振り返った。
10日目、右太腿の負傷で初日から休場していた平幕・高安が11日目から出場。
阿炎との対戦が組まれた。
初日の朝稽古で痛め「右内転筋筋損傷で全治に約3週間を要する見込み」との診断書を提出していた。
西前頭5枚目、琴勝峰が10日目の23日、日本相撲協会に休場を届け出た。
「左反復性膝蓋(しつがい)骨亜脱臼で約5日間の休場および安静加療を要する」との診断書を出した。
9日目に隆の勝に敗れ、8連敗で負け越しが決まっていた。
琴勝峰の休場は、新型コロナウイルスの影響で途中休場した昨年7月の名古屋場所以来。
10日目の対戦相手、大栄翔は不戦勝。
10日目、身長204センチの北青鵬がスケールの大きな相撲を披露した。
明生に土俵際まで攻め込まれたが、相手の肩越しに取った右上手を命綱にして、つま先立ちでこらえる。
そして最後は豪快な上手投げ。
「右上手は取れていたので、余裕はあった」と涼しい顔で振り返った。
3連勝で勝ち越しを決め、トップとは1差につける。
それでも、「自分の相撲を取るだけ」と浮かれた様子はない。
10日目、東前頭14枚目の朝乃山は西前頭9枚目の平戸海をはたき込み、9勝目を挙げた。
1敗を堅守し、横綱照ノ富士とともに賜杯レースで首位を走る。
今後は三役陣との対戦が組まれる可能性もあり、朝乃山は「今の自分の力がどこまで通じるのかやってみたい」と意欲を示した。
朝乃山は鋭く踏み込み、まわしを探る。
平戸海の左おっつけに右を差せなかったが、冷静だった。
低く攻めてくる相手に対し、まわしにこだわらず左へ回り、前のめりになったところをはたき込んだ。
朝乃山は「前には出られなかった相撲だが、体がうまく反応してくれた」とまずまずといった表情を浮かべた。
2023/05/23
9日目、自身6度目のカド番の大関・貴景勝は、西前頭4枚目・錦木に寄り切りで敗れ、3敗目を喫した。
大関はこの日も報道陣の取材には対応しなかった。
不戦勝を除いて6連勝中だった合い口のいい錦木戦は、立ち合いで右四つに組み止められると、出足が止まった。
胸が合うと、なすすべなく電車道で寄り切られた。
八角理事長は「こういうこともある。悪くはなかった。まだまだ足りないところがある感じですね」。
終盤は役力士との戦いが続くだけに、10日目の幕内・金峰山戦は落とせない。
9日目、大関取りを期す関脇・霧馬山は、関脇・大栄翔を突き落としで下し、2敗を守った。
大栄翔は、先場所決定戦で賜杯を争った相手。
先場所は本割、決定戦といずれも突き落としで勝利しており、この日で3場所連続となった。
立ち合いは「最初から頭でまっすぐ行こうと思った」と低い姿勢で突っ込んだが、相手自慢の突き押しに土俵際に押し込まれた。
「攻められて最後は下がったけど、力を出せて勝ててよかった。あまりいい相撲ではないですけど」。
それでも右四つに組み止めると、「流れでした」と左からの巧みな突き落としが決まった。
9日目、若元春が、ともに2敗でぶつかった豊昇龍との関脇対決で気迫を見せた。
右からかち上げ、左をねじ込むと、投げにきた相手を切り返し、「番付が並んでいるので、負けてはいられない」と、いつになく意地をにじませた。
トップの照ノ富士らを1差で追う。
ここまで持ち味を発揮しており、「勝っても、負けても、切り替えて、浮き足立たないようにしたい」と自らに言い聞かせた。
9日目、明生が照ノ富士に土をつけた。
しっかり当たった後は肩透かし、出し投げで揺さぶる。
うまく横から攻めて寄り切り、「いろいろなことは考えず、自分のできる範囲で動こうと思った。あまり実感がない」と淡々と振り返った。
初金星。
3場所ぶりに給金を直した。
横綱を引きずり下ろしてトップに並んだが、初賜杯への意識は全くないといい、「自分の相撲に自信を持ちたい。目の前の一番に集中しないといけない」。
浮かれることはない。
9日目、9場所ぶりに再入幕を果たした元大関の東前頭14枚目・朝乃山の力強い足音が下から聞こえてきた。
同10枚目・竜電に左に変化され、左上手を取られて頭を付けられても慌てなかった。
腰を振って、下手を切ってもろ差し狙い。
左が入らないと判断すると、すぐに上手を取って万全の体勢。
最後は引き付けて竜電の腰を砕いた。
今場所は、霧馬山を筆頭に4関脇の大関争いが話題の中心かもしれないが、優勝争いにスポットを当てると3人の1敗勢の中でも朝乃山が一歩、リードしていると思う。
NHKの勝ち越しインタビューで映し出された肩から胸の筋肉が自信に満ちあふれていた。
宮城野親方のように左上手が下から取れれば、さらに強くなる。
2023/05/22
8日目、3場所全休明けの横綱照ノ富士が、ストレート給金を達成した。
休場中に力をつけてきた琴勝峰を押し出して、幕内では21年九州場所以来となる6度目の全勝で折り返した。
平幕の明生と朝乃山がともに敗れて1敗に後退し、早くも単独トップに立った。
初の横綱戦に燃える琴勝峰を圧倒。
当たりを受け止めると右を浅く差し、左で抱えながら前進。
左に逃れる相手に対し、しっかり足を運んで押し出した。
「落ち着いて、圧力をかけられた」と振り返り、21年九州場所以来の全勝ターンには「そうですか」と涼しい顔だった。
8日目、カド番の貴景勝が小結正代を突き出して6勝目(2敗)を挙げた。
休場明けで臨んだ序盤は消極的な相撲が目立っていたが、中盤に立て直して3連勝。
大関残留まであと2勝とした。
元大関琴奨菊の秀ノ山親方は貴景勝の復調の要因を分析するとともに、看板力士として一層の奮起を求めた。
8日目、大関昇進を目指す霧馬山は、業師の宇良を退けて連敗を免れた。
低く当たってくる相手を下からうまく攻め、引いたところを押し倒し。
「前に行く気持ちだった」と振り返った。
7日目は、元大関の正代に消極的な相撲で敗れた。
その反省を生かし、「負けてもいいので、気持ちで負けないように、自分の相撲を取ろうと思った」と満足そうだった。
8日目、東前頭11枚目・北青鵬の魅力は規格外のスケールだ。
元大関の東前頭14枚目・朝乃山との一番。まともに当たったら一気に持って行かれると考えたのだろう。
左に変わって左上手。朝乃山も右を差して、左前まわしをつかむ万全の体勢だったが、北青鵬の人並み外れたパワーが朝乃山を包み込んだ。
204センチ、185キロの体と底なし沼のように深い懐。
最後はクレーンでつり上げるように下手投げでなぎ倒した。
8日目、朝乃山に土がついた。
左上手を狙って横に動いた北青鵬の立ち合いは「予想していなかった」。
長身の相手に苦しい展開。寄って突破口を探ったが、下手投げで転がされた。
2年ぶりの幕内の土俵。
初日から着々と白星を重ね、元大関の貫禄を示してきた中、ストレート給金はならず。
「欲が出たかもしれない。悔しい」と肩を落とした。
8日目、十両・豪ノ山が狼雅を下して8戦全勝とした。
立ち合いすぐに左前ミツを取られ、一気に攻め込まれたが下がりながら逆転の右突き落とし。
今場所初めての攻め込まれる内容に「立ち合い浮いちゃって相手の形になってしまった。まわしを取られて起きてしまった。なんとか勝ててホッとしている」と胸をなで下ろした。
2023/05/21
7日目、照ノ富士は初顔合わせの金峰山に貫禄勝ち。
すぐに右を差して寄り、上手投げで仕留めた。
「落ち着いて取れた。日に日に良くなっている」と納得の表情を浮かべた。
4場所連続の休場明けで無傷の7連勝。
着々と調子を上げているように見える中、「15日間終わってみないと分からない。できることを毎日やっていく」と油断はない。
7日目、関脇霧馬山が小結正代に寄り切られ、2敗目を喫した。
今場所ここまで5勝を挙げてきた霧馬山。
10勝に到達すると、大関取りの目安となる「三役(関脇・小結)で直近3場所合計33勝」をクリアする。
今場所で決めたい思いは強いが、土俵では後手後手に回る相撲が多い。
この日の取組についても本人は「全然ダメでした。何もできなかった」とガックリと肩を落とした。
7日目、苦しい展開にも慌てずに形勢逆転。
三役相手に白星を並べ、大栄翔が安定感を示している。
埼玉栄高の後輩でもある琴ノ若が前に出てくるところを、俵に足がかかりながら回り込み、突き放した。
「(相手の差し手を)うまく振りほどけて良かった」と一瞬空いた間を詰めるように、得意の突きで土俵外へ押し出した。
「稽古場(けいこば)でも必ずしも突き放せるわけではない」というが、「稽古場でやっている動きが染みついている」と日々の鍛錬が実った格好でもある。
7日目、1歳の誕生日を迎えた娘へ、この日の白星は何よりのプレゼントになった。
新関脇の連勝を6日目に「5」で止められた若元春だが、黒星を引きずらない。
得意の左四つから逃げられたが、主導権を渡さず錦富士を押し出して6勝目。
「勝っても負けても切り替えていくのが大事。勝っていくと浮ついた相撲になる。落ち着いて一番一番取れていると思います」。
少しも慌てず、堂々とした内容を見せつけた。
7日目、正代は力強い当たりから霧馬山を一気に攻める。
右を差して寄り切り、「しっかり(体を)ぶつけられた」。
大関昇進が懸かる相手に、元大関としての意地を見せた。
「自分より後輩が(大関に)上がるのは、精神衛生上、良くない」。
過去9勝5敗だった霧馬山とは今場所前、時津風部屋に出稽古に来た際に手合わせ。
「手応えはなかった」と、相手の実力を測りかねていたが、貫禄を示した格好だ。
遠藤はひざの痛みが悪化したため、夏場所7日目の20日から休場となりました。
穴水町出身の遠藤は先場所9勝6敗と勝ち越し、番付を4枚上げて西の前頭2枚目で今場所を迎えました。
しかし初日から6連敗を喫するなど動きに精彩を欠いていました。
師匠の追手風親方によりますと以前けがをした両ひざの痛みが悪化したということで、20日朝、埼玉県の病院で診察を受けたところ、両ひざの関節のねんざで3週間の安静と治療を要すると診断されました。
このため遠藤は日本相撲協会に届け出て夏場所7日目の20日から休場となりました。
7日目、平幕で全勝をキープしている明生は、見ていて気持ちの良い相撲を取る力士だ。
1メートル80、154キロの体は大型力士が増えた今の幕内の中では、決して大きい方ではない。
それでも立ち合いから真っ向勝負で相手に真っすぐ当たる取り口は、歯切れが良い。
佐田の海戦も左差しを狙って前に出ながら、土俵際まで押し込んだ。
そのまま押し切れなかったが、右からいなして肩透かしのような形で突き落とした。
今場所は自分の形に持ち込めなくても、二の矢の攻めが速い。
それだけ体がよく動いている証拠だろう。
腰や肘を痛め番付を落とした時期もあったが、体調の不安もなくなってきたようだ。
7日目、朝乃山は初顔の一山本を寄せ付けなかった。
得意の右差しは果たせなかったものの、圧力を生かして押し出し。
「下からあてがって、最後は相手が逃げる方についていけた」と満足そう。
幕内で初日からの7連勝は、新大関として臨んだ2020年の7月場所以来。
勝ち越しに王手をかけたが、「やるべきことは変わらない。恥ずかしい相撲は取れない」と気を引き締めた。
十両・豪ノ山(25=武隈部屋)が欧勝馬(26=鳴戸部屋)を下して初日から7連勝とした。
頭で激しく当たり合うと、突っ張ってからもろハズで一気に前に出て一方的に押し出し。
「自分の当たりでハズに入って持っていけたので良かったと思います」と完璧な内容に充実の表情を見せた。
場所直前には、時津風部屋に出稽古して関脇・霧馬山(26=陸奥部屋)や小結・正代(31=時津風部屋)らの胸も借りた。
「三役の稽古に混ぜてもらって、上位陣の緊張感や稽古に対する姿勢、雰囲気を感じることができて勉強になりました」。
4関脇が集結する豪華な稽古を間近で見ることで、学ぶことも多かった。
2023/05/20
6日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が土つかずの6連勝を飾った。
西前頭4枚目・錦木を相手に立ってすぐ右差し。
上手には届かなかったが、抱えた左でねじ伏せるように小手投げで転がした。
「とにかく圧力をかけようと思っていた」と冷静に振り返った。
6日目、連敗はしない。
かど番の大関貴景勝が、立ち合いからはじき飛ばす本来の相撲で錦富士を押し出し、4勝目をあげた。
前日5日目の翔猿との一番は、行司差し違えで2敗目の黒星となった。
いやな流れを引きずっての連敗だけは避けたかった。
7日目の相手は業師の宇良が組まれた。
両膝に不安を抱える中で難敵は間違いない。
この日も取材対応はなく、黙って土俵だけに集中する。
6日目、霧馬山はうるさい翔猿に快勝した。
相手の突き押しや巻き替えにも動じず、組んで出て土俵際で上手投げ。
「よく相手のことを見られた」。
過去4勝6敗と合口の悪い相手にしっかり対応した。
大関昇進への目安となる2桁白星まであと5勝。
「一日一番しっかり」と集中している。
6日目、注目の関脇対決は大栄翔の良さだけが目立ちました。
前日の阿炎戦はすかされたような負けでしたが、豊昇龍戦は自分のやるべきことをしっかりやりきりました。
立ち合い100点、土俵際100点。
相手に何もさせないワンサイドの勝利でした。
大栄翔がこだわりを示す立ち合い。
何をするか分からないくせ者に両手を出して動きを止めて、そこから畳みかけました。
一見普通の攻めにも見受けられますが、手で行きながら頭でも行くように立つ独特の動きでした。
相手を懐に入れないという意味では作戦通り。
成長の跡がうかがえます。
6日目、若元春は阿炎の変化を警戒して立ったが、張り差しをまともに受け、簡単に肩透かしを食った。
「頭にないことをやられて足が止まった。ああいうところで対応できないのが足りないところ」と沈んだ声。
新関脇として迎えた今場所、初日からの連勝は5でストップ。
「体は動いている。一番一番勉強だと思ってやる」と気を取り直すように話した。
6日目、明生が幕内で自己新となる初日から6連勝を決めた。
業師の宇良に対して迷わず当たり、腕を手繰られそうになっても構わず前進した。
全勝は3人となり、期待も高まるが「ずっと負け越しているんで先のことは見えてないです。勝ち越したいという気持ちです」と無欲で臨んでいる。
6日目、現役力士最長身2メートル4の幕内・北青鵬が琴恵光を下して5勝目を挙げた。
北青鵬は立ち合い左から張って左で引っ張り込もうとするが、琴恵光が左おっつけ右喉輪で徹底的に距離を取って攻める。
中に入った琴恵光がもろ差しで寄っていくと、抱えた北青鵬が右小手投げで振ってから左上手を引いて寄り切った。
「どこかのタイミングで(まわし)取れればいいと思って最後取れたので」と、攻め込まれながらも絶対的な自信を持つ形に持ち込むまで余裕はあったようだ。
入幕2場所目でここまで5勝1敗の好成績。
先場所は9勝を挙げて勝ち越したが、目標だった2桁勝利には届かなかった。
「敢闘賞を獲れずに悔しい思いをしたので、今場所は優勝争いに絡みたい」。
現役最長身の大きな北青鵬が、大きな目標を見据えた。
6日目、9場所ぶりに幕内に復帰した元大関の朝乃山が水戸龍を寄り切って全勝を守った。
「先に先に攻める気持ちでいった」と手応えを示す左四つの型は、この日引退を表明した栃ノ心との稽古で磨いた。
新入幕直後の18年の巡業から、同じ左四つの朝乃山に声がかかった。
「栃ノ心関からしたら取りやすかったのでしょう。指名してもらったから今がある。少しでも活躍して恩返ししたい」と感謝の思いは尽きなかった。
6日目、日本相撲協会は、ジョージア出身で元大関の東十両5枚目・栃ノ心(35)=春日野=の現役引退を発表した。
栃ノ心は国技館で会見し、今年初場所で負傷した左肩の悪化が引き金となったと説明。
「相撲を取るのが怖くなった」などと語った。
親方になるための日本国籍は取得しておらず、協会には残らない。
2023/05/19
5日目、4場所連続休場明けの横綱・照ノ富士が土つかずの5連勝を飾った。
くせ者の東前頭4枚目・宇良にきめ出しで完勝した。
この日は横綱審議委員会(横審)による本場所総見。
“御前”で復調ぶりをアピールした。
照ノ富士が乗ってきた。
くせ者の宇良との一番。
もろ差しを許しながらも当たりを受け止めると、両腕で抱えて動きを止めた。
必死に抵抗する宇良を意地でも離さず、そのままきめ出し。
「(動きを止めるのが)一番大事だと思っていた。狙っていたわけじゃない。流れでそうなっただけ」と淡々と振り返った。
5日目、カド番の貴景勝が埼玉栄高の先輩・翔猿から2敗目を喫した。
当たって突いたが、足が出ない。
いなされて泳いだところを左四つに組み止められ、上手投げ。
貴景勝もすくい投げを打ち返し、軍配は貴景勝に上がったものの、協議の結果、差し違えだった。
取組後、貴景勝は取材対応せず、横綱審議委員会の本場所総見に出席した山内昌之委員長は、「この場所は試練と受け止めて、乗り越えてほしい」と期待していた。
5日目、大関獲りの霧馬山が小結・琴ノ若を下し、序盤を4勝1敗で終えた。
立ち合いは「稽古場でやっていたのでやってみようと思った」と珍しくもろ差しを狙い、押し込まれながらも左を差して左へ回り込んですくい投げで逆転した。
前日は勝ちを意識して取り直しも含めた2番連続の立ち合い変化。この日は「最初から真っすぐいくと決めていた。負けてもいいから自分の相撲を」と納得の内容だった。
5日目、関脇豊昇龍が、連勝で序盤戦5日間を4勝1敗で通過した。
小結正代に、立ち合いは突いて出ると、流れで左を差して前に出た。
そこから正代に組み止められ、今度は相手の圧力に後退。
だが相手の出足を利用し、右からの上手投げで仕留めた。
「集中して、いい相撲を取れたなと思います」と、胸を張った。
正代の時津風部屋には、場所前に何度も出稽古し、胸を合わせていた。
互いに手の内を知る相手だが「あまり気にしていない。自分のことだけを考えて、自分を信じて、1日1番、しっかり集中していきたいです」と、力強く話した。
5日目、新関脇若元春は、翠富士を寄り切って初日から5連勝とした。
得意の左四つに組み止めると、歓声が先走る。
観客にも勝利の「型」にはまったことが認識されているのだろう。
左差し、右上手。新関脇若元春が翠富士を寄り切って、幕内自己最多の5連勝。
初日からは初めてとなった。
「上手が引けてよかったけど、ちょっと遅かった。つかまえてから止まらずにいけた」
押し込みながら、左を力強くねじ込んだ。
右腕を長く伸ばして上手を探る。
2度目で指先がかかり、胸を合わせると休まず前へ出た。
序盤を無傷で乗り切り、「あまり考えていない。その日の一番に集中している」と表情を崩さなかった。
5日目、阿炎が3連敗中と苦手にしていた関脇大栄翔を突き落として、昨年春場所以来の勝利。
初日から4連勝と好調の相手に今場所初めて土を付けた。
立ち合いから押し込まれたが、土俵際で左へ回り込んで逆転。
「大栄翔関戦はいつも持っていかれるが、しっかり体が動いた」と満足そうに振り返る。
「押し込まれても慌てないで、しっかり集中できた。自分らしい相撲が取れた」と本人も手応え十分の一番だった。
5日目、平幕明生が錦木を下手投げで退け、初日から5連勝を飾った。
5連勝スタートは自己最長タイ。
目を細めて照れくさそうに笑った。
2021年初場所に並ぶ自己最長タイの5連勝発進。
明生は「うれしいっすね」と素直に喜びを口にした。
錦木に対して立ち合いでもろ差しに。
巻き替えられて左を差されて寄られたが、土俵際で逆転の下手投げを決めた。
「もうダメかなと思った」と振り返る展開からの白星に、好調ぶりがうかがえた。
春場所後、逆まつげに長年悩まされていた右目の手術に踏み切った。
医師には「眼球を傷つけて見えなくなると言われていた」という。
光をまぶしく感じて頭痛がするなどの症状も改善。
「ホッとした。痛くなくなった」と日常のストレスが減り、相撲により集中できている。
5日目、朝乃山が碧山を押し出し、5連勝とした。
得意の右差し、左上手にもこだわらず一気に出た。
碧山が左を固めてきたこともあったが「しっかり踏み込めた」と手応えを口にした。
夏場所では4年前、平幕優勝して当時のトランプ大統領から米国大統領杯を受け取った。
この日、サミット出席のため、バイデン大統領が来日。
感想を問われたが「もう過去のこと」とし、波乱に満ちた4年間を踏まえて視線を前だけに向ける覚悟を示した。
2023/05/18
4日目、3場所連続全休していた横綱・照ノ富士が帰ってきた。
翔猿をきめ出して初日から4連勝。誰が優勝するか分からない「戦国土俵」で、番付最高位のプライドを見せている。
4場所ぶりに初日から出場の照ノ富士は、順調に白星を並べた。
「動きを止めることを意識して」と前回対戦した2022年秋場所で不覚を取った翔猿を引っ張り込んで抱えると、つり上げるようにしてきめ出した。
4日目、かど番の大関貴景勝は、相撲巧者の遠藤に相撲をとらせなかった。
立ち合い、左変化ではたき込み。
今場所初めての連勝で星を3勝1敗とし、通算勝利を401勝とした。
テーピングで固めた両膝への不安を抱える中で、大関の座死守へ、必死の土俵が続く。
この日も取組後の取材対応はなかった。
4日目、大関取りを狙う関脇・霧馬山が取り直しの末に3勝目を挙げたが、不安が残る内容だった。
最初の一番は錦富士を相手に左へ変化気味に立った。
前に出るも土俵際でもつれ「(突っ張りを)絶対外さないと思ったけれど相手の動きが速くて外れてしまった」と反省。
行司の軍配は錦富士に上がったが、物言いがつき、同体取り直しとなった。
取り直しの一番でまたも飛んだ。
左四つになって攻めると、最後ははたき込んだ。だが内容について「立ち合いの手があまり合わなかった。思ったとおりいけていない」と不満げ。
3日目に土がついており、連敗こそ免れたが「自分の中でもバタバタしていると感じている。明日からしっかりやりたい」と反省の弁が続いた。
4日目、豊昇龍が連敗を免れた。
阿炎の突き押しに動じず、うまくいなして体勢を整えると、一気に土俵の外へ。
「しっかり落ち着いて、自分の相撲を取った」と満足そうに振り返った。
大関昇進が懸かる霧馬山ら、4関脇がひしめく。
後れは取りたくないところだが、「周りを気にしないで、一日一番、取っていきたい」と、淡々と言った。
4日目、大栄翔は、正代を突いて起こし、1度は引いたものの、思い直したように突き押しを繰り出し、タイミング良くはたきこんで無傷の4連勝。
押し相撲で頂点に上り詰めた八角理事長は「今日は立ち合いから思いきり行かず(相手を)見て行き、無理して出て行かなかった。勝てると思う相手に、安全に勝ちに行くのは押し相撲の力士には難しいこと。今日はそういう相撲を取った」と分析した上で「そういう意味で力をつけた印象」と、こちらは好印象を持ったようだ。
4日目、新関脇・若元春が自己タイの無傷4連勝を飾った。
全勝同士の対決となった小結・琴ノ若との一番を押し出しで快勝。
弟の小結・若隆景が先場所中の負傷で長期休場の見込みとなる中、兄が奮闘している。
浅香山審判長は「自分の形になれば強い。自分の形で勝つことはいいこと」と評価。
八角理事長は「左四つになった後の攻めが速い。おっつけながら左を差すというね。相当に力が強いのでしょう。ここ数場所、自信を持っていて内容がいい」と、成長を指摘した。
4日目、東前頭6枚目の明生が北勝富士を寄り切って、初日から4連勝とした。
明生が北勝富士を破り、令和3年初場所以来の初日から4連勝。
立ち合いから押し込み、体を左に開いていなし。相手の体勢を崩して右差し、左上手を取って寄り切った。
相手がよく見えるそうで、「体が動いている。集中もできている」。
4日目、東前頭14枚目の朝乃山は、盤石の相撲で西前頭16枚目の王鵬を押し出し、初日から4連勝とした。
初顔合わせとなった先場所では痛恨の黒星を喫したが、雪辱を果たし「気持ちだけでいった」と手応えを示した。
立ち合いで当たると、瞬時に右をねじ込み、ぐいぐいと前に出る。
左に逃げる王鵬に冷静についていき、3秒の速攻相撲で勝負を決めた。
先場所を振り返り「悔いが残る一番だった。先場所のことは何も考えないで踏み込んだ」と無心を強調した。
2023/05/17
3日目、一人横綱・照ノ富士は、幕内・遠藤を押し出しで下し、無傷3連勝を飾った。
全勝を守り「始まったばかりですし、(残り)12日もあるのでね。
満足できるような相撲ではないけど、とりあえず勝っているんでね」と淡々と話した。
立ち合いは右を固めて踏み込むと、相手の右腕を手繰って背後を取った。
くるりと一回転して立て直す遠藤に反撃のスキを与えず、一気に押し出した。
幕内後半戦を土俵下で見守った佐渡ケ嶽審判部長は「(横綱は)遠藤の左四つを警戒して脇を固めていった。立ち合いの後も膝が曲がっていた。攻めてもいた」と、横綱の攻めを評した。
3日目、かど番の大関貴景勝が気迫で最初の大ピンチを乗り越えた。
前日に続きテーピングを施した両膝への不安を抱えながら、翠富士を攻め続けて押し出した。
最悪の連敗を阻止して節目の通算400勝を飾り、2勝1敗と白星を先行させた。
NHKの解説を務めた元小結の舞の海氏は「気迫に満ちた相撲でした」と感嘆した。
3日目、初の「大関とり」に挑む関脇霧馬山は阿炎に引き落とされ初黒星を喫した。
阿炎のもろ手突きをこらえて前に出たが、タイミングよく引かれると土俵にバタリと手をついた。
「最後にもう一歩、足が出なかった」と反省。
それでも「直近3場所を三役で33勝以上」とされる大関昇進の目安までは残り12日間で8勝。
「まだ先は長い。これからも自分の相撲を取っていきます」と気持ちの切り替えを強調した。
3日目、関脇大栄翔が、錦木を押し出して先場所に続き、初日から3連勝とした。
一度は組み止められるも右上手を振って体を入れ替え、得意な突き押しの体勢に持ち込んだ。
取組を振り返って大栄翔は「こういう相撲で何番も勝てるわけではないので自分の相撲を取りきりたい」と反省点を口にしたが、星が付いてきていることが何よりの喜び。
「勝ち星が続いているのは良いこと。しっかり集中して相撲を取りたい」と前を向いた。
3日目、新関脇・若元春は、元大関で小結・正代を逆転の突き落としで下し、無傷の3連勝を飾った。
天然理心流か北辰一刀流か。
若元春の土俵際の切れ味鋭い突き落としには目を疑った。
元大関・正代をまさにコマ送り。立ち合いの当たり、スピード、圧力を併せ持つ“四つ相撲のスペシャリスト”が久しぶりに出てきたと思った。
若元春の良さは土俵際の粘りだけではない。
本来、四つ相撲の力士は肩で当たるものだが、若元春は頭で当たることもできる。
圧巻は左の使い方だ。
相手の右のかいな(腕)を絞りながら、下からおっつけて差すので体を浮き上がらせることができる。
職人技といっていいだろう。
3日目、小結・琴ノ若が右からの上手投げで錦富士を倒し、3連勝とした。
立ち合いで右から当たるとすぐさま体を開いて投げ捨てた。
「15日間前へ出る相撲を取り切れないこともある。こういう相撲も自信にしたい」。
春場所は終盤の3連敗が響き2桁勝利を逃した。
終盤対策を問う声にも、「序盤に関しては一日一番しっかり取れている」と眼前の戦いから視線を外さなかった。
3日目、御嶽海は4連敗中だった玉鷲に土俵際まで押し込まれたが、体を入れ替えて逆襲。
押し出して玉鷲との連敗をストップした。
前日の2日目に通算400勝を達成したが、「まだ400勝。負け過ぎました」と幕内優勝3回の元大関には不満の残る白星のペース。
通算401勝目のこの日は「しっかり相手に圧力をかけて勝つことができた。早く500勝に到達するようにどんどん勝っていきたい」と自らを奮い立たせた。
3日目、行司の軍配は琴恵光に上がったが、攻めていたのは朝乃山。
際どい勝負に藤島審判長の手が挙がる。
物言い。「負けだと思ってた」という朝乃山だったが、協議の結果は軍配差し違え。
9場所ぶり再入幕の朝乃山が、初日から3連勝となる白星を手にした。
右を差し、168キロの体を生かして一気に攻めたが、まわしをつかんでいなかったことを「ほんとに勉強不足。というかアホですね」と自分を責めた。
「(勝っても)うれしいとは思わない」と反省の言葉しか出なかったが、「無意識かもしれない」と土俵に落ちるときにたたんだ左腕が執念の白星を呼び込んだ。
初日から休場している小結 若隆景について、手術を受けた右ひざの治療におよそ5か月を要する見込みだとする診断書を公表しました。
荒汐部屋の若隆景はことし3月の春場所で右ひざを痛めて途中休場し、その時の診察では、およそ3か月の治療が必要だと診断されていました。
その後、先月、右ひざの前十字じん帯の再建手術を受けた若隆景について、日本相撲協会は16日、新たな診断書を公表しました。
それによりますと、手術を受けた右ひざについて、先月15日に都内の医療機関を受診した結果、およそ5か月の治療を要する見込みと診断されたということです。
若隆景は先場所まで7場所連続で関脇を務めるなど大関候補としても注目を集めてきましたが、これで長期の休場は避けられず、番付も大きく下げることになります。
2023/05/16
2日目、3場所連続全休明けの横綱照ノ富士が、阿炎を突き落として2連勝を飾った。
初日からの連勝は昨年の1月の初場所以来と8場所ぶり。
課題としていた当たりの強さにも手応えをつかんだ。
2日目、カド番の大関・貴景勝は小結・琴ノ若に寄り切られて早くも初黒星を喫した。
初日には見られなかった両膝のテーピングが貴景勝の現状を物語っている。
初日も土俵から下りるのもつらそうだった。
苦しそうなそぶりをめったに見せない大関のなりふり構わない姿。
琴ノ若の胸に思い切り当たり、押せないと判断するとすぐに引いた。
頭を付け左からいなそうとしたが、圧力がかかってないから全く利かない。
最後は右を差されて上体が浮き上がり、そのまま寄り切られた。
2日目、相撲巧者の遠藤を横向きにさせると、反撃を許さず一気の押し。
文句なしの完勝で、霧馬山が大関とりの場所を連勝で滑りだした。
「相撲はあんまり覚えてないんですけど、流れはいいと思います」
土俵下で勝負を見守っていた藤島審判長も「伸び伸び取ってます。毎日土俵に上がるのが楽しいというぐらい」と評すほど、自然と体が動く。
すべては稽古のたまものだ。
2日目、新関脇の若元春は激しい突き押しで翔猿を土俵下に転がり落とし、初日から連勝発進を決めた。
圧勝劇について「たまたまです」と謙遜しながらも「前に出るしかないと思っていったら相手がはじけて、隙間が空いたのでああいう勝ち方になった」と好調をアピール。
「日々いっぱいいっぱいで相撲を取っているので自信とかはないですけど、状態はいい。あとは変に今の状態を崩さないだけです」と3日目以降も無心で挑む。
2日目、小結・琴ノ若は貴景勝を破って2連勝とした。
右差し左上手の得意の形をつくって完勝。
埼玉栄高の先輩で膝のケガを抱える手負いのカド番大関が相手だが「土俵に上がったら関係ない。相手ではなく自分との勝負」と心境に変化はなく平常心を貫いた。
この日は父であり師匠でもある佐渡ケ嶽親方の55歳の誕生日。
母の日だった初日に続いて父にも白星を届けた。
正代が取り直しの末に白星をつかんだ。
土俵際で突き落とされ、錦富士に軍配が上がったものの、同体とみなされて「チャンスがもう一番ある」。
前に攻め続けて寄り切り、「しんどかった。出足が浅くなったが、最後は体を預けられた」と一息ついた。
平幕に転落した先場所で10勝を挙げ、小結に返り咲いた。
本来の馬力ある相撲を取り戻しつつあり、元大関は「今後につながる」と先を見据えた。
2日目、西前頭6枚目・御嶽海は東前頭7枚目・北勝富士に寄り倒しで勝ち、今場所初白星を挙げた。
御嶽海は通算400勝とした。
3日目の16日は西前頭7枚目・玉鷲と対戦する。
最初の一番は押し切れずに引いたところを寄られて土俵を割り、同体で取り直しとなった。
取り直しの一番は互いに土俵際まで押し込む一進一退の攻防となり、最後は御嶽海が左下手を引いて寄り倒した。
2日目、元大関で9場所ぶりに再入幕を果たした東前頭14枚目・朝乃山が、西同14枚目・妙義龍を寄り切って連勝スタートを飾った。
三役経験豊富な実力者に万全の内容で勝ち波に乗ってきた。
朝乃山はベテラン妙義龍に鋭く当たって右を差し勝ち、左上手もつかんで力強く足を運んだ。
「相手のもろ差しが見えたので、右を固めて差せた。左を引きつけてじっくり寄れた」と手応えをにじませた。
2023/05/15
14日、8カ月ぶりに土俵へ帰ってきた。
休場している間に解禁となった声を出しての応援。
「久しぶりって感じですかね。やっと土俵に立てた。久しぶりに盛り上がる歓声を聞けてうれしいです。一日も早く土俵に戻りたいと思ってやってきました」。
胸に込み上げてくるものがあった。
復帰初戦で正代をすくい投げ。
寄られながらも右腕をこじ入れた。
本来の勝ち方ではなかったかもしれないが、「いつも通りできたかな」と滑り出しとしては合格点。
横綱在位中の連続休場は実に歴代8位の51。
昨年秋場所8日目の錦木戦以来となる238日ぶりの白星をかみしめた。
14日、先場所の綱とりから一転、かど番で迎えた場所で白星発進した。
過去3勝6敗と苦手にしていた東前頭筆頭の阿炎との一番。
立ち合いで押し込まれてひやりの場面もあったが、左からの強烈なおっつけから押し出した。
自身が陥落すれば、大関がいなくなるピンチとなる。
取組後の取材対応はなかったが、大関として生き残る意気込みは土俵の上で示した。
14日、大関取りを狙う関脇・霧馬山が白星発進した。
立ち合いから幕内・翠富士を引いて呼び込んでしまったが、しぶとさを発揮。
土俵際で体を左に開いて肩すかしで逆転した。
緊張や硬さもあったことを明かし「相手が低くてビビって引いちゃった。でもよく残して、流れで勝てた」と安ど。
八角理事長も「踏み込まれて中に入られたけど我慢した。押し返したのは足腰の良さとバランスの良さ」と評した。
東前頭2枚目高安が夏場所初日の14日から休場した。
師匠の田子ノ浦親方によると、同日の朝稽古で右太もも付近を負傷。
日本相撲協会に「内転筋の損傷で全治には約3週間を要する」との診断書を提出した。
初日の対戦相手、豊昇龍は不戦勝。
14日、三段目からはい上がってきた元大関・朝乃山が、21年夏場所11日目以来725日ぶりとなる幕内力士としての白星を手にした。
「725日、長いですね。白星よりも(幕内で)お客さんの前で相撲を取れるのがうれしいです」と感謝の気持ちを込めた。
幕内・千代翔馬との立ち合いは右をねじ込むと、得意の右四つ。
最後は冷静にかいなを返しながら、確実に寄り切った。
大歓声を浴び「土俵に立った時は緊張感があった。前に出て取れたのでよかった」と納得の表情だった。
夏場所は4年前に平幕で初優勝し、トランプ米大統領から大統領杯を受け取った思い出もある。
「ここからが本当の勝負という気持ちだった。前の番付はプレッシャーだが、それに打ち勝てるように。序盤5日間が大事なので集中していきたい」と気合を入れた。
2023/05/14
かど番の大関貴景勝と大関とりがかかる関脇霧馬山が13日、両国国技館で行われた優勝額の贈呈式に出席した。
春場所で初優勝を飾った霧馬山は、自身の額を目にし「かっこいいですね。すごくうれしかった。入った時からいつか優勝するんだと目標にしていた。今日は朝から良い一日」とご機嫌。
「また優勝するという気持ちで」と意気込んだ。
芝田山広報部長は「ここ数場所の相撲内容や勢いが持続すれば、場所後に大関昇進の声が聞こえるのでは」と期待した。
初場所を制した貴景勝は報道陣の囲み取材には応ぜず。
左膝のケガで春場所を途中休場したとあって、緊張感を漂わせた。
西前頭6枚目に下がった元大関の御嶽海は、東前頭6枚目の明生と当たる。
2日目は東前頭7枚目の北勝富士との顔合わせが組まれている。
新型コロナウイルス禍で3年余できなかった場所前の出稽古に励んだ成果を見せて、好発進したい。
大相撲夏場所初日を翌日に控えた13日、会場となる東京・両国国技館で土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方らが15日間の安全を祈願した。
一般には非公開で、横綱照ノ富士や大関貴景勝ら力士は出席しなかった。
今場所は4場所ぶりに横綱、大関陣が初日からそろって出場する。
新関脇だった先場所で初優勝した霧馬山は大関昇進に挑戦。
元大関の朝乃山は2年ぶりに幕内の土俵に上がる。
新型コロナウイルスの5類移行に伴い、本場所約2週間前の番付発表後は認められていなかった出稽古が、今場所から初日直前まで認められた。
2023/05/13
昇進問題を預かる審判部の佐渡ケ嶽部長は12日、夏場所で大関昇進に挑む関脇霧馬山について「1回で決めてほしい。1桁ではなく2桁(勝利)。10勝以上の成績で千秋楽を迎えてもらいたい」と期待した。
霧馬山は三役で11、12勝と続け、先場所で初優勝。
昇進目安とされる直近3場所合計33勝には10勝で届く。
佐渡ケ嶽部長は2場所前に前頭筆頭で10勝、先場所は小結で12勝の大栄翔にも言及。
「筆頭での10勝というのがある。審判部で今後、話をしていかないといけない。今場所の成績にもよる」と慎重な見解を示した。
12日、大相撲夏場所を休場する西小結の若隆景の診断書を公表し、3月24日付で「右前十字靱帯損傷、右外側半月板損傷などで3カ月程度の療養を要する」との内容だった。
4月上旬に靱帯再建手術を受け、師匠の荒汐親方は11月の九州場所までに出場できるかは微妙との見解を示している。
若隆景は先場所まで7場所連続で関脇を務め、大関候補と期待されていた。
休場が長引けば、年内には幕下に番付を下げる可能性が高い。
12日、東京・両国国技館で夏場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
元大関で再入幕の東前頭14枚目・朝乃山は「2ケタ以上、絶対に勝ちます」と決意。
元大関が幕内の土俵に戻ってくる。
9場所ぶりに再入幕の朝乃山はこの日、都内の部屋で稽古後に取材に応じ、「2年ぶりの幕内ですし、楽しみではある。けど成績を残さないといけない。自分の相撲を取り切って結果を残したい。2ケタ以上絶対に勝ちます」と決意を込めた。
2023/05/12
大関昇進に挑む関脇霧馬山が11日、東京都墨田区の時津風部屋へ出稽古し、同じモンゴル出身で元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジさんの激励を受けた。
ダグワドルジさんのおいの関脇豊昇龍らとの15番で場所前の出稽古を終了し「きょうは特別。いい稽古ができたと思う」と充実感を漂わせた。
夏場所で10勝以上ならば昇進の目安とされる直近3場所の合計33勝をクリアする状況にも「一日一番、いつも通りにいくしかない」と平常心を強調する。
ダグワドルジさんからは「優勝を経験している人間。自信を持って引っ張ってほしい」との熱いエールが送られた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、夏場所15日間の懸賞申し込み総本数を1850本と明らかにした。
新規で10社の申し込みがあり、昨年夏場所の申し込み時点を100本程度上回った。
個人では大関貴景勝が142本でトップ。
十両・落合が11日、都内の宮城野部屋で稽古を行い、夏場所(14日初日、東京・両国国技館)への意気込みを語った。
昭和以降初の所要1場所での新十両となった春場所は10勝5敗。
「15日間取り切るのは大変だと改めて感じた。一日一日の切り替えが大事」と学びを得た。
師匠の宮城野親方(元横綱・白鵬)は十両2場所目の04年春場所で12勝を挙げて十両優勝を飾り、翌場所新入幕。
くしくも当時の白鵬と全く同じ西十両8枚目の“令和の怪物”は「自分も12勝したい」と十両2場所通過を目標に掲げ、憧れの大横綱と同じ道を歩むことを誓った。
2023/05/11
両膝痛などで4場所連続休場中の大相撲の横綱照ノ富士について、師匠の伊勢ケ浜親方は10日、夏場所の出場を改めて明言した。
「出るからには優勝を目指して頑張らなくてはいけない。初日、2日目と順調に勝っていければ波に乗れる」と見解を示した。
この日の照ノ富士は東京都江東区の伊勢ケ浜部屋ですり足やゴムチューブを使ったトレーニングなどで汗を流し、相撲は取らなかった。
本人は取材に応じなかったが、師匠は「ちゃんと汗をかいているし、稽古をやれている」と語った。
陸奥部屋で、幕下以下の力士による暴力が判明してから一夜明けた10日、部屋付きの鶴竜親方は、出稽古した部屋頭の関脇霧馬山に同行し、都内の時津風部屋の朝稽古を指導した。
朝稽古では何度も「投げにいかない」「我慢しろ」と助言。
安易な投げを打ちがちな霧馬山に、粘って腰を下ろして寄り切るよう求めた。
稽古後、霧馬山について「いい感じで来てるんじゃないかな。このままケガなくいけば」と、夏場所で10勝以上すれば有力視される、弟弟子の大関昇進を期待している様子だった。
大相撲夏場所を控えた10日、幕内錦富士が東京・江東区の富岡八幡宮で結婚式を挙げた。
お相手は石川県出身で元会社員の藤添静香さん。
11日に婚姻届を提出する。
静香さんとは一昨年10月にパーティー会場で知り合い、錦富士がひと目ぼれ。
同年12月25日のクリスマスに交際を申し込み、その1年後にプロポーズした。
錦富士は「(第一印象は)見た目もすてきなんですけど、中身も含めて絶対にいい人だなと。周りからは土屋太鳳さん(女優)に似ていると言われる」と幸せいっぱい。
10月には第1子が誕生予定で「想定外のこともたくさん起きると思う。そこは2人で手を取り合って1個ずつ成長していけたら」と早くもパパの自覚をのぞかせた。
大関を狙う4関脇が10日、都内の時津風部屋に集合した。
霧馬山(陸奥)、豊昇龍(立浪)、大栄翔(追手風)、若元春(荒汐)らが出稽古に訪れた。
国技館から目と鼻の先の時津風部屋で力のこもった“前哨戦”が繰り広げられた。
先場所優勝の霧馬山は最多の計20番。
圧巻は12番連続での相撲だった。
大栄翔、若元春を撃破するなど9連勝。
「自分から(申し合いに)行きました。番数もちょうどよかった」。
豊昇龍には負け越したが、大栄翔には2勝1敗、若元春には3勝0敗と勝ち越した。
続いたのは同じモンゴル出身の豊昇龍の計19番(13勝6敗)だ。
霧馬山とは3番続けて相撲を取り、3連勝するなど4勝2敗。
だが番数で負けたことを報道陣に知らされると「そうか。もっとやりたかったね」と悔しさもにじませた。
若元春は計11番で3勝8敗も「調子は上がっている」と手応え。
計7番で3勝4敗だった大栄翔も「強い相手だと簡単に押せない。同じくらいの番付の力士とやるのは1番いい」と振り返った。
大栄翔は夏場所まで出稽古する予定がないことを明かした。
大関昇進を狙う4人が顔を合わせるのはこの日が最後となりそうだ。
吉本興業株式会社、株式会社LIVE FORWARDは11日
8月3日に茨城県龍ケ崎市のニューライフアリーナ龍ケ崎(たつのこアリーナ)で
「龍ケ崎市市制70周年記念 大相撲龍ケ崎場所」を開催すると発表した。
同市での巡業開催は約5年ぶり。
横綱・照ノ富士、大関・貴景勝、土浦市出身の高安ら200人の参加を予定している。
関連リンク
令和5年夏巡業 龍ケ崎市市制70周年記念 大相撲龍ケ崎場所
2023/05/10
両膝痛などで4場所連続休場中の横綱照ノ富士が調整ペースを上げてきた。
9日は東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で幕内宝富士と10番取って9勝1敗。
新三役を狙う翠富士や錦富士の他、幕下以下の力士にも胸を出すなど精力的に汗を流した。
腰を深く落としたすり足もこなした。
横綱は取材には応じなかったが、8日には師匠の伊勢ケ浜親方が夏場所出場を明言。
万全の仕上がりを目指していく。
大関昇進を目指す霧馬山の他、豊昇龍と大栄翔の3関脇が9日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、熱のこもった申し合いを繰り広げた。
最多の22番を取って13勝9敗だった霧馬山は「もう少しやりたかった。久々にいい稽古ができている」と満足そうに汗を拭った。
豊昇龍は霧馬山との手合わせを求め、7番の直接対決は3勝4敗だった。
ともにモンゴル出身で、対抗心をむき出しにした攻防となり「全部がいい感じ。良かった」と白い歯をのぞかせた。
大栄翔は「自分の中ではいつもより稽古できている感覚はある」と充実感を漂わせた。
新関脇の若元春が9日、東京都中央区の荒汐部屋で幕下以下の力士に胸を出し、ゴムチューブを使ったトレーニングでも汗を流した。
「基礎となるところをしっかり見直している。順調に調整できている」と手応えを話した。
小結2場所目だった春場所で11勝。
夏場所では初三賞に意欲を燃やしており「関脇として恥ずかしくない成績を残したい」と意気込んだ。
先場所10勝を挙げて優勝争いに加わった西前頭筆頭の翠富士は9日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で西前頭3枚目の錦富士らと11番取った。
新三役昇進を狙う夏場所へ「まずは勝ち越し。そうすれば周りの成績次第で、三役昇進もあり得る」と語った。
体重は幕内最軽量の116キロ。
激しい取り口で活躍した小兵の元関脇鷲羽山に憧れており「押し、投げと何でもできる力士。自分もああなりたい」と話した。
西前頭14枚目の妙義龍が、夏場所に向けて、順調な仕上がりを披露した。
7日、都内の部屋で稽古し、前頭佐田の海、平戸海、十両対馬洋を相手に10番取って、8勝2敗。
序盤から8連勝し、豪快な上手投げや鋭い出足で寄り切るなど、多彩な内容だった。
「初日を万全な状態で迎えるため、ハイペースで稽古をしている。若い衆も活気がある」と場所に向けて充実の表情を見せた。
1横綱6大関時代だった12年ごろを振り返り「白鵬関、日馬富士関、琴欧洲関みんなすごかったよね。1場所で三役以上との対戦だけで10番くらいあったからね」と懐かしんだ。
「またあのしびれる雰囲気を味わうためにもう1度、三役に戻りたい」。
これが妙義龍が稽古に打ち込む原動力だ。
陸奥部屋で力士による暴力行為があったことが9日、分かった。
昨年末から今年1月にかけて幕下以下の力士1人が他の力士1人に暴力を振るい、加害者は4月に引退したという。
同部屋は元大関・霧島が師匠を務め、夏場所で大関昇進に挑む関脇・霧馬山が所属している。
2023/05/09
両膝手術の影響などで4場所連続休場中の大相撲の横綱・照ノ富士について、師匠・伊勢ケ浜親方が8日、夏場所の出場を明言した。
「出ます。15日間取り切って、横綱ですので出るからには優勝を目指してやってもらわないといけない」と語った。
進退を懸けるかどうかについては言及しなかった。
左膝負傷で先場所を途中休場し、大相撲夏場所は6度目のかど番となる大関貴景勝が8日、東京都板橋区の常盤山部屋で稽古し、相撲は取らず四股などの基礎運動で汗を流した。
前日は関脇大栄翔や幕内遠藤らが所属する追手風部屋に出稽古。
本人は取材に応じなかったが、師匠の常盤山親方は「もちろん出る」と出場を明言した。
患部にテーピングやサポーターを施さなかったものの、すり足は少しぎこちない足の運びで、痛めたのとは反対の右膝を気にするそぶりも見せた。
9日以降は稽古場での取材を控えるよう師匠を通じて報道陣に求め、かど番脱出に向けて緊張感を漂わせた。
初めての大関とりに挑む関脇霧馬山は8日、東京・墨田区の時津風部屋へ出稽古に赴き、出稽古に訪れた関脇大栄翔らとの申し合い(勝った者が何度も取る)で、29番取って20勝9敗と気を吐いた。
大栄翔も21番(10勝11敗)を取り、直接対決は霧馬山の10勝5敗。
激しい突き合い、土俵際の逆転の投げなど緊張感を漂わせ、敗れても「もう一丁」と願い出て全52番の土俵はほぼ2人の独占状態に。
新型コロナウイルスの5類移行に伴い、日本相撲協会は出稽古を初日直前まで緩和。
所属部屋でただ一人の関取となる霧馬山は、それを有効活用し「大栄翔とやりたかった。このまま1日30番くらいは取っていきたい」とこのペースを維持するという。
稽古を視察した大相撲解説者、舞の海秀平氏は「2人は(番付の)上を目指す者の稽古をしている。(霧馬山は)優勝争いの中心になるのでは」と評価した。
新関脇として臨む若元春が3日、東京都墨田区の時津風部屋に出稽古し、横綱照ノ富士と相撲をとった。
横綱に指名され、連続4番で1勝3敗。
「勉強になった。稽古場で買って(=指名して)いただけることが光栄。しっかり勉強できた」と収穫を口にした。
すべて得意とする左四つに組んだが、最初の一番で寄り切った後は歯が立たず。
がっぷりに組み止めた横綱から「前へ出ろ」、「まわしを切って前へ出ろ」とゲキを飛ばされる場面もあった。
必死の形相で攻めようとしても前に出られずに寄り切られ「重かったっすね。重いし、引きつける力が違う」と脱帽した。
2場所連続小結で勝ち越し、先場所は11勝。
夏場所では大関とりの足固めを狙う。
横綱との対戦が組まれることは確実。
「左四つがっぷりでまわしを許してしまうと、自分の形ではとりきれない。相手十分にさせないように、自分の十分を作っていかないと」と思案を巡らせていた。
大関経験者の小結正代が、夏場所に向けて、心身ともに状態上向きをアピールした。
5日、都内の部屋で稽古し、十両時疾風、幕下吉井を相手に13番取って10勝3敗。
土俵際まで寄られても、左からのすくい投げで逆転したり、豪快に突き倒したりと、力強い内容の相撲を披露した。
先場所は西前頭筆頭で10勝5敗の好成績。
「ケガも治って体が動くようになっている」と、先場所に続き、状態の良さを感じている。
昨年11月の九州場所は、かど番で6勝9敗に終わり、大関から陥落した。
10勝すれば大関に復帰できた1月の初場所も6勝9敗。
「自分らしさがなかった」と振り返る。
大関を務めた2年間を振り返って「勝ちにこだわりすぎていた。前に出るのが怖かった。前に出て、かわされるんじゃないかと思っていた。でも、かわされたとしても、前に出ればよかったと今は思う。ずっと後悔していた」と、しみじみと語った。
コロナ禍で磨きをかけた思考力で夏場所に挑む。
7日、部屋での稽古で平戸海や妙義龍ら関取衆と9番取り、「体の張りは悪くない」と順調な仕上がり。
11勝を挙げて敢闘賞を獲得した昨年の同場所の再現を狙う。
35歳のベテランは、今も強さを追い求めて考えることを怠らない。
きっかけはコロナ禍。
社会が停滞し移動も行動も制限がかかる不自由な環境が、逆に「自分で考えることが身についた」という。
体の使い方を学ぼうと柔術を教わったり、空手のチャンピオンから話を聞いたり。
良いと思えばさまざまなことを取り入れ「コロナというマイナスな期間でも、プラスにも捉えられた」と受け止める。
養った考える力は、今はっきりと武器になっている。
「若いときに聞いても気がつかなかったことが、今はかみくだけることだってあるんですよね。これってどういうことなんだろうと考えるんです。何かヒントはないかといつも考えてます」。
東前頭8枚目として臨む夏場所。
「去年と同じく調子が良く、場所に入りたい」と意気込んだ。
西前頭9枚目の平戸海が7日、都内の部屋で夏場所に向けて熱のこもった稽古を行った。
申し合い稽古では21番をこなし12勝9敗。
相撲巧者の兄弟子、佐田の海を一方的に寄り切る場面もあった。
土俵以外の時間では、境川親方の勧めで、第58代横綱千代の富士の動画をチェック。
自身と同じく、左で前まわしを取る相撲を得意とした昭和の大横綱からヒントを得ているという。
元関脇で西前頭13枚目の逸ノ城が4日、電撃引退した。
この日、日本相撲協会に引退届を提出。
東京・両国国技館で緊急会見を開き、腰痛の深刻化が理由とした。
モンゴルから鳥取城北高に相撲留学し、2014年初場所に幕下15枚目格付け出しで初土俵。
所要4場所で新入幕を果たし、旋風を巻き起こした。
昨年名古屋場所の初優勝が記憶に新しい中、力士生活に別れを告げた。
21年9月に日本国籍を取得したが年寄名跡を取得しておらず、協会には残らない。
再入幕で迎える東前頭14枚目・朝乃山が7日、都内の部屋での稽古後に取材に応じた。
今月1日の番付発表後からは稽古場の木札が十両から幕内に掛け替わり、「あれを見たときは少しは『やっとここまで来たな』というのもありました。けどここで終わりではないです」と実感を込めた。
前日は関脇・大栄翔や元大関の小結・正代らが出稽古に訪れ、約25番。
十両で13勝を挙げた先場所後は、巡業や出稽古で精力的に他の部屋の関取と手合わせしており「いろんな関取衆と相撲を取れている。その中でやっぱり幕内と十両は違うなっていうのを肌で感じましたね」と充実感をにじませた。
2023/03/27
千秋楽、東関脇・霧馬山が3敗からの大逆転で初優勝を飾った。
本割で2敗の小結・大栄翔に勝って優勝決定戦に持ち込んで2連勝。
ともに土俵際での逆転の突き落としで決着をつけ、決定戦では物言いがつく際どい一番を制した。
モンゴル出身力士の優勝は9人目。
新関脇優勝は昨年春場所の若隆景以来、史上4人目となった。
昭和以降初めて横綱、大関が不在となる異常事態の場所で三役力士が締めた。
夏場所では大関取りに挑む。
千秋楽、若元春は左を巻き替えたところを琴ノ若に攻め込まれたものの、うっちゃって逆転勝ち。
物言いがついた勝負を拾い、「鶴竜親方(元横綱)の巻き替えを意識して練習していたのが土壇場で出た」と稽古の成果を強調した。
小結2場所目。
幕内で自己最多の11勝を挙げたが、「目標の三賞に届かなかった」と志は高い。
荒汐部屋に日頃から出稽古に来ていた霧馬山が賜杯を抱き、「刺激を生かせるように頑張りたい」。
千秋楽、小結・大栄翔は関脇・霧馬山に本割と優勝決定戦で連敗し、2度目の優勝を逃した。
最後まで自らの相撲を貫いた。
それでも2度目の賜杯は目前でするりとこぼれ落ちた。
単独で優勝争いの先頭を走っていた小結・大栄翔は本割、優勝決定戦と関脇・霧馬山に連敗。
「土俵際の甘さが弱いところ」。
ともに相手を追い詰めながら、逆転を許した。
先場所で4場所ぶりに2桁勝利を挙げ、小結に戻って迎えた今場所。
光ったのは圧力のある突き押しだった。
初日から6連勝すると、以降も連敗をしなかった。
最後もその持ち味を出したが、及ばず。
「自分の相撲でやっていたので、それで負けたので仕方ないです」と潔かった。
千秋楽、大関経験者の西前頭筆頭正代が2桁勝利で締めくくった。
今場所を盛り上げてきた幕内最小兵の翠富士と対戦。
もろ差しにきたところをがっちり固め、最後はきめ出した。
2桁10勝は大関時代の昨年名古屋場所以来。
「(2桁は)けっこう遠のいていたので素直にうれしい。全体的に持ち味が出た相撲が多かった。それに成績が伴ってきた」と振り返った。
来場所は三役復帰の可能性も。
「持ち味を出せたら成績もついてくる。来場所はもっと自分の相撲をとれるようにしたい」と自信も回復させた。
千秋楽、勝てば三賞受賞となる敢闘賞を獲得できる東前頭5枚目の翠富士だったが、正代に極め出された。
今場所は初日からの10連勝で一時は後続に2差をつけるなど優勝争いを引っ張ったが、その後は5連敗。
「結果的には良かったと思うが、5連敗で勝ち越した気分じゃない」と悔しそうだった。
来場所は再び新三役をうかがう位置へ番付が上がるとみられる。
小柄な体が連敗の原因だと感じているようで「来場所は体をでかくして、いい結果を残したい」とさらなる飛躍を誓った。
千秋楽、カザフスタン出身の新入幕・金峰山が11勝を挙げ、敢闘賞を受賞した。
隆の勝を右の喉輪で押し込み、土俵際で左をたぐられたが、右から力任せのすくい投げで快勝。
「自分の相撲を取ろうと思った。三賞はうれしいです」と笑みを浮かべた。
「いつもと違う場所で疲れた」と振り返るものの、破壊力満点の突き押しは将来性十分。
夏場所に向け「とりあえず8番だけ。勝ち越したい」と控えめに話した。
千秋楽(26日、大阪府立体育会館)、元大関の十両朝乃山(29=高砂)が新十両の落合(19=宮城野)を下し、13勝2敗で15日間の戦いを終えた。
令和の怪物≠ニの注目の一番。
落合にもろ差しを許して土俵際まで寄られる場面もあったが、最後は上手投げで土俵に転がし、元看板力士の貫禄を示した。
一方で、十両逸ノ城(湊)が14勝1敗で優勝を果たし、目標に掲げていた連覇はならず。
朝乃山は「逸ノ城関は安定感があった。悔しい思いを来場所にぶつけていきたい」とリベンジを誓った。
夏場所では幕内復帰が確実。
自身2年ぶりとなる幕内の土俵へ向けて「今のままの相撲だと全然ダメ。鍛え直していきたい」と気持ちを引き締めた。
2023/03/26
14日目、東関脇・若隆景が休場した。
13日目の琴ノ若戦で右膝を負傷し、「右前十字靱帯(じんたい)損傷、右外側半月板損傷、骨挫傷、右外側側副靱帯損傷で3カ月程度の療養を要する」と診断された。
師匠の荒汐親方は「歩けないくらいの状態。結構(症状が)重い」と説明した。
2022年春場所で優勝した若隆景は13日目までに7勝したが、9場所続いた勝ち越しに届かず、来場所は7場所連続で務めた関脇から陥落することが確実になった。
14日目、豊昇龍は右に動いて上手を引き、若元春を豪快に転がした。
「集中してやった。何より勝ててよかった」。
10勝目をつかんだ一番を満足そうに振り返った。
三役昇進後、2桁白星は11勝を挙げた昨年11月の九州場所以来2度目。
優勝争いからは脱落したものの、気持ちを切らさない貪欲さが光る。
千秋楽に向けても「残り一番、気を抜かずやる」と意気込みを示した。
14日目、霧馬山は思わぬ不戦勝で3敗を保った。
千秋楽は結びの一番で2敗の大栄翔と直接対決。
本割、優勝決定戦を連勝すれば、逆転での初優勝が実現する。
2人による争いでは直近では17年秋場所で横綱・日馬富士が大関・豪栄道に2連勝している。
浅香山審判部副部長は「本来なら相撲を取って、勝って迎えるのが一番望ましい。休んだことでどうかな」と影響を案じた。
14日目、小結・大栄翔が2度目の賜杯に王手をかけた。
西前頭5枚目・翠富士を突き倒しで圧倒し、2敗と単独トップの座を死守した。
関脇・霧馬山は関脇・若隆景の休場による不戦勝で、3敗をキープ。
千秋楽は大栄翔と霧馬山の直接対決が組まれ、賜杯の行方は2人に絞られた。
大栄翔が勝てば2021年初場所以来の2度目のVが決まる。
同じ轍(てつ)は踏まなかった。
大栄翔は後続1差で3敗の翠富士戦。
立ち合いは相手が左に変わるのが見えた。
「落ち着いて、相手をしっかり見て攻められたのでよかった」。
昨年秋場所で同様の変化に屈した苦い記憶があり、冷静にもろ手で対応。
すかさず二の矢、三の矢を見舞い、逃げ回る小兵を突き倒した。
2度目の優勝に王手をかける12勝目。
14日目、圧力をかけ続けた正代は右を巻き替えて2本差しに。
竜電を力強く寄り切った。
大関だった昨年7月の名古屋場所以来となる勝ち越しに「気持ちもだいぶ落ちていたので、うれしい」と率直な思いを語った。
平幕からの出直しとなった今場所は、馬力が徐々に戻ってきた印象で、3関脇をいずれも倒した。
残り2日へ「自分の持ち味を出して、来場所につながる相撲で終えたい」と力強かった。
14日目、翠富士は1差で追っていた首位の大栄翔との直接対決で、一方的に突き倒されて4連敗。
初優勝はなくなったが、「相手が強かった」と潔かった。
171センチ、117キロの幕内最小兵ながら、初日からの10連勝で一時はトップに立った。
「いい経験になった。あと一番勝ったら三役もあるかもしれない。最後、集中して頑張りたい」と千秋楽に目を向けた。
14日目、宇良が地元の大阪で勝ち越しを決めた。
東龍に潜るようにして当たって前進。
引き技に乗じて押し切り、館内には大きな歓声が響いた。
初日から3連勝した後に3連敗。
一進一退だった中、3場所ぶりに給金を直した。
「うれしい。最後の一番もしっかり頑張りたい」と千秋楽を見据えた。
14日目、東前頭14枚目の新入幕・金峰山が東前頭2枚目の阿炎を押し出し、勝ち星を10勝へ乗せた。
立ち合いで阿炎の突きを受けたが後退せず、右からいなすと阿炎の体をあっさり泳がせた。
チャンスを逃さず、そのまま押し出した。
「ちょっと危なかった。ケガせずに8番くらい勝てればと思っていた」
阿炎が土俵を割った瞬間、勝利が信じられないかのように目を見開いて立ち尽くした。
阿炎は昨年九州場所の優勝力士。
しかし10日目には元大関の高安も破っていた。
一昨年九州場所、三段目100枚目格付け出しというカザフスタン初の幕内力士は、底知れない潜在能力を秘めている。
14日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両7枚目の島津海(放駒部屋)を上手投げで仕留め、12勝目を手にした。
十両首位の逸ノ城も勝利したため、1差で千秋楽の逆転優勝に望みをつないだ。
朝乃山は「追い掛ける立場。千秋楽の最後の一番、悔いのないよう自分の相撲を取り切って終わりたい」と前を向いた。
2023/03/25
13日目、新関脇の霧馬山が3敗を守り、優勝争いに踏みとどまった。
遠藤をうまくいなして送り出し。
自身が1度つっかけたものの、落ち着いていた。
東小結で11勝を挙げた先場所に続いて2桁白星に到達。
足腰の強さを生かし、大関昇進への道筋をつくった。
八角理事長は「上がりたい気持ちを前面に出すこと」と今後に期待を寄せた。
13日目、若元春が北勝富士に逆転勝ち。
土俵際まで押し込まれたが、得意の左を差すと反撃に転じて寄り切り、「余裕は全くなかった」と、ほっとしたような表情を浮かべた。
小結2場所目。
三役で初めてとなる2桁白星に「最低限のハードルは10番と思っていた。ここから星を伸ばさないといけない」。
賜杯争いにも絡む中、気合を入れ直した。
13日目、大栄翔がエンジン全開モードに突入した。
明生との立ち合いはもろ手で突くも出足が止まった。
左にいなして立て直すと、土俵際で軽快に動き回る相手に対して攻め急がず。
最後はこん身の突きで突き飛ばした。
「相手を見て攻めようと思っていたので、考え通りの相撲が取れたと思います」。
完勝で11勝目を手にし、賜杯争いでは今場所初めて単独先頭に立った。
14日目は3敗・翠富士戦が組まれた。
12勝目を挙げ、その後に3敗の霧馬山、若元春の2人が敗れれば、千秋楽を待たずに2度目の優勝が決まる。
3敗以内の4人の中では唯一優勝経験があるだけに、八角理事長は「落ち着いてますよね。(V経験?)生きているような気がしますよね。明日が大事ですね」と期待した。
13日目、圧力をかけ続けた正代は右を巻き替えて2本差しに。
竜電を力強く寄り切った。
大関だった昨年7月の名古屋場所以来となる勝ち越しに「気持ちもだいぶ落ちていたので、うれしい」と率直な思いを語った。
平幕からの出直しとなった今場所は、馬力が徐々に戻ってきた印象で、3関脇をいずれも倒した。
残り2日へ、「自分の持ち味を出して、来場所につながる相撲で終えたい」と力強かった。
13日目、翠富士は3連敗で首位から後退した。
左上手を引いて右ハズで頭をつけるも豊昇龍に攻め込まれ、足が流れたところを下手投げで転がされた。
勝ち越しを決めた8日目には「10勝3敗になる夢を見た」と話しており「現実になっちゃった」と苦笑い。
10連勝からの失速にも、明るく振る舞って前を向いた。
負ければ初優勝の夢が消滅する大栄翔戦へ「自分で引きずり降ろして最後まで頑張りたい」と再逆転を見据えた。
13日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同7枚目の天空海(立浪部屋)を押し倒し、11勝目を挙げた。
前日の黒星から気持ちを立て直し「昨日(12日目)みたいな相撲は取りたくない。明日につながる相撲を取っていきたい」と残り2番に全力でぶつかる。
2023/03/24
12日目、関脇霧馬山が9勝目を挙げ、大関とりの足場固めとなる三役で2場所連続2ケタ白星に王手をかけた。
結びの一番で関脇豊昇龍を撃破。
立ち合いからすぐに左前まわしを引き、頭をつける得意の体勢となった。
一気に勝ちきれなかったが、じりじりと寄り上手投げで仕留めた。
取組後はリモート取材に応じなかったが、場所前は「できれば勝ち越して、2ケタまでいきたい。硬くならないように(2ケタ白星を)意識しないようにやりたい」と話していた。
前日11日目に勝ち越し、慌てずじっくりと攻めて勝った。
大栄翔は先場所平幕での2場所連続2ケタ白星だが、霧馬山は先場所が小結で11勝。
初優勝の可能性も残しつつ、正真正銘、来場所が大関とりとなる白星へ、あと1勝までたどり着いた。
12日目、若元春は遠藤を小手投げで破り、3敗をキープした。
一直線に寄られて、あっという間に土俵際。
若元春は両足を俵の上に乗せながら、遠藤の左腕を両腕で抱えて左後方に投げ捨てた。
捨て身の逆転で3敗を守ったものの、物言いが付く薄氷の白星に取組後は反省しきりだ。
「最後、残れたと思ったけど、全然、前に攻められなかったので」。
左の相四つである遠藤には、過去3勝1敗と対戦成績でリードしていた。
この日は左から押っ付けて、相手が嫌がったところを差す作戦だったというが、許してもらえず後手に回った。
とはいえ、終盤戦になれば、このような紙一重の勝負をものにできるかどうかは大きい。
2番後で弟の若隆景が、優勝争いのトップを走っていた翠富士を2敗に引きずり下ろす援護射撃≠ノ成功。
初めて賜杯を抱ける可能性が出てきた。
12日目、小結の琴ノ若が明生を寄り切り、3敗を守った。
昨年の春場所以来の2桁勝利に王手。
トップとは1差に迫ったが「目の前の一番に集中して、出し切っているだけ。しっかりと良い相撲をして食らいついていければ。一日一番、出し切れれば結果はついてくると思う。しっかり我慢してやっていければ」と表情を変えずに話した。
12日目、小結・大栄翔が2敗を死守し、優勝争いでトップに並んだ。
東前頭7枚目・北勝富士を一気に突き出した。
「しっかり立ち合いから持って行けました。いい相撲だと思います」と納得顔だった。
これで西前頭筆頭だった先場所に続き、白星を2ケタに乗せた。
「うれしいです」と、うなずいた。
13日目以降に向けては「残り3日間なので、全力で集中して一番ずつやりたいですね」と一戦必勝を期した。
八角理事長は「落ち着いていた。立ち合いはよくなかったけど、その後の攻めは落ち着いていた。慌てなかったですしね。実力がついてきたような感じがしますね」と評価した。
3敗までの5人のうち、優勝経験があるのは大栄翔だけだ。
幕内後半戦の粂川審判長は「横一線だけれども、少し抜けてるのは大栄翔。やはり経験がありますから」と予想していた。
12日目、前頭5枚目の翠富士が連敗を喫し、2敗で大栄翔に並ばれた。
若隆景に突き放された瞬間に右を差されて防戦一方となり、最後は出し投げにばったり。
「両方差していきたかったが逆に差された。攻められている時点で良くない」と残念そうだった。
優勝争いの先頭を走り、周囲からは硬くなっていると思われている様子。
「みんなから『硬くなり過ぎ』と言われる。普通に吹っ切れているつもりですが…」と首をひねった。
12日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は幕内の土俵で西前頭15枚目の王鵬(大嶽部屋)に寄り切られ、痛恨の2敗目を喫した。
十両優勝を争う逸ノ城は11勝目を挙げたため、2番手に後退。
朝乃山は「あと3日しかない。悔いのないよう目の前の一番に集中し、自分の相撲を取り切って終わりたい」と切り替えに努めた。
2023/03/23
11日目、関脇・豊昇龍が前頭六枚目・遠藤を豪快な上手投げで下し、今場所勝ち越しとなる8勝目を挙げた。
相手を振り回すような投げに、ファンからも「こえー!」「なんて技や」と驚きの声が相次いだ。
立ち合い素早く突いていった豊昇龍。
立ち遅れた遠藤は左に避けるも、豊昇龍はすぐに右上手を引き、ペースを掴んで力強い攻めを展開。
そのまま豊昇龍が遠藤を振り回すように豪快な上手投げを決め、8勝目となる白星を挙げた。裏返しに転がされた遠藤は3敗目を喫した。
豊昇龍の豪快な上手投げに、ABEMAで解説を務めた元前頭・若ノ城は思わず「上手いなあ!」と一言。
同じく実況を務めた舩山陽司アナウンサーも「豊昇龍の投げの強さはもちろんありますが、遠藤があそこまで裏返しになるとは、なかなか見る光景ではありません」と驚き交じりにコメントしていた。
11日目、新関脇の霧馬山が7場所連続となる勝ち越しを決めた。
どっしりと構えて明生の強烈な当たりを止めると、タイミング良くはたき込んだ。
今場所はまだ連敗がなく、優勝争いに踏みとどまった。
初黒星を喫した平幕の翠富士とは2差。
土俵下の浅香山審判長(元大関魁皇)は「まだ読めない。力の差があるわけじゃない」と言い、終盤でのさらなる奮起に期待した
11日目、無傷で快走していた翠富士を止めたのは、小結・若元春の切れ味抜群の「左」だった。
左四つの型に自信を持つ。
激しく当たりあった立ち合いで、狙い通りに左が入った。
回しを取れれば理想だが、好調の相手も得意の肩すかしで形勢逆転を図る。
すかさず足を出して圧力をかけた。
俵の外で尻餅をついた翠富士は「ついてこられた。逃げの技になってしまった」と脱帽した。
11日目、小結・大栄翔が2敗を死守した。
元大関で西前頭7枚目・高安に劣勢となる場面もあったが、押し出して9勝目を挙げた。
単独トップの西前頭5枚目・翠富士に土がつき、優勝争いでも1差と迫った。
大栄翔らしくない相撲だった。
高安にいなされて土俵際まで追い込まれたが、逆に左からいなして息を吹き返した。
立ち合いからの一気の押しが大栄翔の勝ちパターン。
優勝を意識し始めたことは間違いない。
2021年の初場所で平幕優勝。
経験は本場所で生きることもあるが、「もう一度、優勝の美酒を味わいたい」という誘惑になることもある。
大栄翔もどこかで“甘い蜜”を求めてしまっているのかもしれない。
それでも苦しみながら拾った白星。
押し相撲は1個の黒星で大きく崩れる傾向がある。
2敗をキープしたことは今後の希望だ。
11日目、全勝だった翠富士に土がついた。
立ち合いで若元春に組み止められ、得意の肩透かしも不発。
そのまま後退し、押し倒された。
完敗に「右の前みつを狙ったが、相手の左が強過ぎてやられた。肩透かしも逃げ気味でついてこられた」と残念そう。
ただ、後続との差は詰まったものの単独トップは変わらず「できれば全部勝ちたかったが、また明日から頑張りたい」と前向きな姿勢は変わらなかった。
11日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同6枚目の豪ノ山(武隈部屋)を上手投げで下し、10勝目を挙げた。
1敗で逸ノ城と並んで首位を守り、残り4番へ「星勘定は気にしないで、自分の相撲を取っていきたい」と語った。
十両優勝争いを演じる豪ノ山との一番。
朝乃山の出足はさえない。
踏み込みが鈍く、勢いのある豪ノ山の出足に下がる。
なんとか右をねじ込み、左上手も取って懸命に寄りを残す。
土俵際でこらえて体を開き、逆転の左上手投げを決めた。
2023/03/22
序盤戦で影の薄かった関脇が徐々に存在感を示し始めている。
10日目、豊昇龍が大栄翔に完勝して2敗に引きずり下ろし、自らの勝ち越しにも王手をかけた。
馬力自慢の大栄翔に何もさせなかった。
立ち合い、左で張って出足を止めて自分のペースに。
はたこうとする相手に、すかさず2本差して勝負あり。
攻撃の手を緩めずに寄り切った。
「よかったと思う」。短い言葉に自信がにじむ。
10日目、小結・琴ノ若が4場所連続で勝ち越しを決め、優勝争いに踏みとどまった。
東前頭2枚目・阿炎の突きを下からあてがい、しのいだ。
最後は押し倒して4連勝。
「もろ手を、頭に入れてメリハリをつけた。落ち着いて取れた」。
相手を分析した成果が出た。
単独トップの翠富士とは2差。
初優勝をかけた終盤戦にむけては「目の前の一番に集中したい」と闘志。
八角理事長も「力を付けた。余裕を持っている」と成長に目を細める。
昭和以降で初めて横綱と大関が不在の異常事態。
三役として場所を盛り上げるため「良い相撲取ればお客さんに喜んでもらえる。持ち味を出せたらいい」。
責任感も口にした。
10日目、大栄翔は手痛い2敗目を喫した。
豊昇龍に立ち合いで張られたが、ひるむことなく前進。
しかし、突き落とそうとしたところを逆に中に入られ、寄り切られた。
「手が抜けてしまった。しっかり相手を見ないと…」と無念の表情。
全勝の翠富士とは2差となったが「さらに集中して一日を過ごしていきたい」と、残り5日間での逆転を誓った。
10日目、西前頭5枚目・翠富士が、11年ぶりの珍手で無傷10連勝を飾った。
いよいよ幕内最小兵171センチの翠富士が独走態勢に入った。
翔猿との今場所初の役力士戦。立ち合いは右の張り差し、左上手。途中で右を抜いて呼び込む形となったが、最後は右ハズで吹っ飛ばした。
決まり手は2012年九州場所で稀勢の里が決めて以来、幕内約11年ぶりの割り出し。
珍手で小結を破った業師は「何年ぶりと聞くと、やっぱりうれしい。勝手に反応してなったと思います」と笑顔を見せ、無傷10連勝には「今後できるか分からないので、このままの流れで勝てたら」と正直に喜んだ。
10日目終了時点で平幕の単独2差は過去2例あるが、いずれも初めての賜杯を手にしている。
割り出したデータ上の初V率は、100%だ。
まさに押せ押せの雰囲気だが、師匠・伊勢ケ浜親方には尻をたたかれているといい、「笑いながら『お前、勘違いするなよ』と言っていただきました」と告白。
「勘違いはしてないです」とニヤリと笑った。
10日目、このコラムで遠藤を取り上げるのは久しぶりだ。
理由は明白。最近の角界のトレンドでもある“群雄割拠”の中に遠藤の名前が入ってないからだ。
しかし、今場所は元気。正代との一番でも立ち合いは頭で当たって低く踏み込んだ。
突き離した後に正代に左を差し込まれたが、立ち合いの踏み込みが良かったから、余裕を持って土俵際でのすくい投げを決めた。
若手の台頭で“昔の名前で出ています”的な力士になっているが、今場所は琴勝峰、阿武咲、平戸海らに勝って若手の壁になっている。
今後、大関を目指せとは言えないが、立派な優勝候補と言い切ることはできる。
若い時から寡黙にコツコツと稽古を積み重ねてきた。
膝を痛めてもテーピングを巻かずに、きれいで立派な土俵を務めた。
私の好きな力士。おもしろい存在だ。
10日目、新入幕の金峰山が元大関の高安を撃破した。
臆せずに突っ張り、相手の引き技にも足腰は崩れない。
最後は押し出し、「勝っても負けても自分の相撲を取ろうと思った」と胸を張った。
カザフスタン出身で初の幕内力士。
勝ち越しにも王手をかけ、「けがをしないように頑張りたい」と短い言葉で意気込みを示した。
10日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両5枚目の炎鵬(金沢市出身、金沢学院大OB、宮城野部屋)を寄り倒し、「北陸対決」を制した。
9場所ぶりの幕内返り咲きを確実にしている朝乃山は小兵の炎鵬を退け、9勝目を挙げた。
懐に入られる苦しい展開から逆襲に転じ、落ち着いて勝負を決めた。
十両では新十両の落合が敗れ、1敗は幕内優勝経験者の朝乃山と逸ノ城の2人となった。
2敗の落合と東十両6枚目の豪ノ山(武隈部屋)の2人が追う展開で、朝乃山は「星勘定は気にせず、残りも集中して、楽しんで相撲を取りたい」と前を向いた。
2023/03/21
9日目、小結・若元春が阿炎を下して6勝目を挙げた。
もろ手突きの相手に対して立ち合いで左を差して体を密着させ、左ハズで押し込んでから胸を合わせて寄り切り。
「しっかり圧力がかかっていた。左を差して落ち着いて攻めれた」と納得の表情で振り返った。
9日目、琴ノ若は明らかに強くなっている。
正代との2敗対決。
左肩ではじき合って正代の出足を右でおっつけながら残し、差し手を振りほどいた後は突っ張って一気に寄り倒した。
流れのある力強い相撲だった。
幕内に上がった頃は器用な相撲が目立っていた。
押せなかったときは下がっていなしたり、土俵際の逆転技も得意。
上位に定着してからは前に圧力がかかるようになった。
大きな体での圧力が最大の武器でもある。
2敗は当然、優勝圏内である。
群雄割拠の戦国模様を勝ち抜けないと大関も見えてこない。
琴ノ若には「次の大関はオレだ」という気持ちで土俵に上がってほしい。
私は現状、琴ノ若が最も大関に近いと思っている。
決して忖度(そんたく)ではない。
立ち合いの当たりなど課題はあるが、それだけの実力はつけている。
9日目、小結・大栄翔が快勝劇で勝ち越しを決め、1敗を守った。
東前頭筆頭・玉鷲を相手に猛然と突いて出ると、一気に突き倒した。
「今日は本当に前に圧力を伝えられて良かった」と納得顔で振り返った。
1差でトップの翠富士をピタリ追走。
昭和以降で初めて横綱、大関が不在となる事態の中で、三役が意地を見せている。
「本当に、ファンの皆様のために気合を入れてやりたい」と闘志を燃やした。
八角理事長は「背中を丸めて押し方がいい。土俵際も落ち着いている。前回の優勝よりは落ち着いている。経験があるからでしょう。1回の経験は全然、違う。賜杯の経験は大きいと思いますよ」と話していた。
9日目、西前頭5枚目・翠富士が、人気業師・宇良を押し倒しで下し、無傷9連勝を飾った。
動きの速さが光った会心の相撲に、「(勝った瞬間の心境?)『よかったな』という感じですね、『あぶねえ〜』みたいな。
体は動いているから(相手に)引かれても対応できているのかなと思います」とうなずいた。
星を伸ばし、優勝争いの単独先頭を堅守した。身長171センチ、体重117キロの幕内最小兵力士。
初優勝がチラつく毎日で、のしかかる重圧は大きい。
常に正直な26歳は「一睡もできなかった。11時ぐらいには部屋を暗くしたんですけど、本当に寝られなくて、オールでそのまま(今朝の)稽古に行った。これストレスかな〜って」と、不眠を明かした。
静岡出身初のV力士誕生へ、期待は高まるばかり。
10日目は小結・翔猿戦戦が組まれた。
絶好調の業師は「(今日は)しっかり寝たいですね。(残り6日間も)自分を信じてやるだけかなと思います」と、力を込めた。
東前頭4枚目、阿武咲が9日目、日本相撲協会に「両側内側半月板損傷などで約2カ月間の加療が必要となる見込み」との診断書を提出して休場した。
師匠の阿武松親方によると、両膝を痛め、右膝の状態が特に悪いという。
「本人は再出場したいと言っている。様子を見て自分が判断する」と述べた。
7日目の関脇若隆景戦に敗れた際に膝を痛めたそぶりを見せ、8日目まで4勝4敗だった。
休場は昨年夏場所以来で5度目。
9日目の対戦相手、北勝富士は不戦勝。
今場所の十両以上の休場者は横綱照ノ富士、大関貴景勝に続いて3人目となった。
9日目、人気力士の遠藤が2敗を守り、優勝争いに踏みとどまった。
古傷を抱える両膝などサポーターが見られず、今場所はコンディションの良さがうかがえる。
前さばきの応酬から右を差し、左おっつけで攻める。
引いた平戸海を寄り切った。
リモート取材に応じなかったが、充実した表情だ。
32歳のベテランは一昨年夏場所で千秋楽まで賜杯レースを演じるなど土俵経験は豊富。
このまま星を伸ばせば、不気味な存在となるかもしれない。
9日目、高安が碧山を押し出して連敗を2で止め、優勝争いに踏みとどまった。
「自分の形になって前に出られたので、明日につながると思う」。
連敗を振り返り、「気持ちの問題なんで引き締め直した」と言う。
全勝のトップとは2差だが、勝負はここから。
まずは王手をかけた「勝ち越しを目指して頑張ります」と言った。
9日目、大関経験者で東十両筆頭の朝乃山(29=高砂)が、夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)での再入幕を確実にした。
狼雅を破り、5連勝で8勝1敗。
逸ノ城らと並び、十両優勝争いの先頭で勝ち越しを決めた。
全28人いる十両で最上位の番付で、勝ち越せば原則的に番付が上昇する。
正式には5月1日の来場所の新番付発表を待って決定するが、再入幕をほぼ手中にした。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、6場所の出場停止処分が出て2年。
大関から三段目まで番付を落としたが、ついに幕内に戻ってくる。
2023/03/20
8日目、小結大栄翔が1敗を守り、全勝の翠富士との1差をキープした。
同じ押し相撲の阿炎を押し出し。
前日7日目に小結若元春に、逆転で今場所初黒星を喫した反省を生かして攻めきった。
その7日目から埼玉栄高の後輩で、仲の良い大関貴景勝が休場。
再出場はしない見通しで、綱とり場所から一転、来場所はかど番となる貴景勝に、エールを送る2度目の優勝を目指す。
全勝と1敗は各1人で、2敗で琴ノ若、正代、高安らが追う。
大栄翔は、止まらなかった。
長い両手から繰り出される阿炎の突っ張りに、何度も上体を起こされた。
それでも右をおっつけると勢いは加速。
休まず攻めて押し出した。
「落ち着いて、しっかり、相手をよく見て相撲を取れた。立ち合いで当たり負けないこと。先に攻めることが、突き、押し同士だと大事。さらに乗っていける」と胸を張った。
8日目、横綱、大関が不在の中、平幕で奮闘する大関経験者の正代が小結若元春を圧倒。
豪快に寄り倒して2敗対決に勝ち、後半戦に向けて勢いを加速させた。
昭和以降で初となる異常事態に、元大関が日に日に存在感を増している。
初場所で大関復帰の特例を生かせず、3年ぶりに平幕まで降下した正代が、持ち前の馬力を発揮した。
左を差して前に出ると若元春が浮き上がる。
13場所の大関在位中でも1場所しかなかった2敗の8日目折り返し。
「先場所に関しては思うような相撲が取れなかった。自分らしさというのが出てくると、気持ちの面でもいい方向に向いていきますね」と充実の表情で取材に応じた。
8日目、西前頭5枚目・翠富士が自身初のストレート給金を決め、単独トップの座を堅持した。
東同9枚目・碧山を寄り切り。
横綱、大関が昭和以降初めて不在となる異常事態の中、幕内で一番の小兵が大きな存在感を放っている。
もう“令和の鷲羽山”と呼ぶべきか。
171センチ、117キロの翠富士が大きな碧山のかち上げにひるむことなく前に出た。
強烈な突っ張りを下からはね上げ、左上手を取って右からの突き落とし。
碧山の体を泳がせると両まわしを取って拝むように前に出た。
小兵の参考書のような相撲だった。
今場所は体が動いて次から次へと技が出ている。
前に出て引いて横に動いて前に出る。
昨年の名古屋場所で10勝を挙げてから幕内上位に定着。
原動力は前に出る力が強くなったことだ。
174センチ、110キロの元関脇・鷲羽山さんの武器も前への鋭い出足だった。
小兵の前への圧力ほど厄介なものはない。
前に出るスピードが上がれば、翠富士に“令和の鷲羽山”のお墨付きをあげることはできる。
おもしろい後半戦だ。
翠富士には三役との対戦が待っている。
どの力士もチャンスだと思っているはずだ。
優勝を占ってほしいと言われても、分からないと答えるしかない。
8日目、西前頭8枚目の宇良が隆の勝を寄り切り、5勝目を挙げた。
隆の勝の突きを素早くかわし左上手を取ると、右ハズをあてがいながら体を寄せて土俵を割らせた。
過去3連敗中の相手にも動じなかった。
「たまたまです。力を出し切れて良かったです」と声を弾ませた。
連日の激しい取組に疲れはたまるが、会場に来るまでの他愛のない会話が息抜きになっているという。
「場所に来るまでのドライブが一番楽しいです。行きより、帰りの方が楽しいです」
話題になるのはおいしかったおはぎの話や格闘技の話など事欠かない。
白星先行で折り返して後半戦へ。
ドライブ中の会話も盛り上がりそうだ。
中日、新入幕で関取最長身204センチの北青鵬が珍しい決まり手「はりま投げ」で琴恵光を破って連敗を3で止め、5勝目を挙げた。
相手の下からの攻めに土俵際まで追い込まれたが、28センチの身長差を生かして肩越しに両手でまわしをつかみ、振り回すように投げ捨てた。
北青鵬はリモート取材に対応しなかったが、琴恵光は「最後に持ち味を出されてしまった」と悔やんだ。
8日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両4枚目の欧勝馬(鳴戸部屋)をはたき込み、7勝目を挙げた。
初顔の新鋭を速攻相撲で仕留め、幕内復帰が確実となる勝ち越しに王手をかけた。
中日を終え十両の1敗は4人となり、後半戦に向け「自分から圧力をかけ前に出る相撲を取っていきたい」と語った。
盛況の大阪の土俵に、右目付近の傷が痛々しい朝乃山が登場すると、大きな拍手と声援が送られた。
朝乃山は落ち着いた表情で両手をつくと、冷静な取り口で勝負を決めた。
優勝争いのトップで前半戦を折り返し、再入幕も目前に迫ってきた。
4日目の初黒星から完全に立て直し「今日のような相撲がいい。自分の相撲を取っていきたい」と気合を入れ直した。
2023/03/19
貴景勝が春場所7日目、日本相撲協会に「左膝内側半月板損傷」との診断書を提出して休場した。
横綱・照ノ富士は初日から休場しており、横綱と大関の不在は昭和以降、初めて。
師匠の常盤山親方によると、再出場しない意向で、夏場所は6度目のカド番が濃厚。
3日目の正代戦で左膝を痛め、6日目の御嶽海戦は「貴景勝にしては長い(時間の)相撲で負担がかかった」ことで悪化し、病院で診察後の17日夜、本人から休場の申し出があった。
手術はせず治療する。
関脇豊昇龍が竜電を下して白星先行。
注文相撲で勝った6日目とは違い、鋭い踏み込みから鮮やかな肩透かしで仕留めた。
「いいんじゃないか」納得の表情で短く振り返った。
一人横綱の照ノ富士、綱とりを目指していた貴景勝が休場して看板力士は不在に。
土俵を一層盛り上げる奮起が期待される3関脇に対し、八角理事長は「突き抜ける人が出てほしい」と願う。
昨年春場所の新三役昇進以降、しぶとく勝ち越してきた豊昇龍も、一気に殻を破りたいところだ。
若元春は反撃への好機を逃さなかった。
大栄翔の力強い当たりに後退したが、相手の腕が伸びたところを素早く右へ動いて突き落とし。
「タイミングがばちっと合った」と胸をなで下ろした。
もっとも、6連勝中だった相手に先手を奪われた内容に納得はしていない。
貴景勝の休場で横綱、大関が不在となり、三役陣への期待が高まる中、「自分の相撲を取り切る」と気合を入れ直した。
正代は内容の伴う白星で5勝目。
阿炎のもろ手突きに耐えて左を差すと一気に前進。
「落ち着いて取れたのがよかった。体が反応してくれている」と納得顔だった。
今場所は持ち味の力強い相撲が戻ってきており、「いい流れが来ている。続けていけたらいい」。
平幕からの巻き返しを期す元大関が意地を見せている。
7日目、綱とりを目指していた大関貴景勝が休場。
昭和以降で初めて横綱、大関が不在となった土俵で、西前頭5枚目の翠富士が高安との6戦全勝同士の一番を制し、単独トップに立った。
幕内で一番小さな翠富士が、でっかい夢に向かっている。
171センチ、117キロは幕内で最も小さく最軽量。
立ち合いで高安のかち上げに、頭がガクンと揺れた。
それでもひるまない。下から押し上げながら、突き落とし。
全勝対決を制し単独トップに立った。
「肩透かしを狙ったっすけど。結果オーライです。勝てたんで、とりあえずいいのかなあ。いつバーッと負け出すか分かんないんで」。
挑戦者らしく、気負いはない。
八角理事長は、「楽しみですね。小さい力士は夢を与える。小さくても勝てるんだとか、小さい人の目標になれる。気持ちさえあれば、小さくてもお相撲さんになれると」。
7日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両3枚目の湘南乃海との一番で苦しい体勢からの逆転に成功し、6勝目を手にした。
投げの打ち合いで顔面から土俵に落ちる気迫を示し、右目の上下に痛々しい擦り傷をつくりながらも「絶対に負けたくない気持ちだった」と勝利への執念を見せつけた。
2023/03/18
7日目、本日より貴景勝が休場となり、1点枠力士の補充力士が不在となりました。
この場合、1点枠は『無得点』となります。
よって、本日より千秋楽まで、1点枠は無得点で集計されます。
ご了承頂きます様宜しくお願いいたします。
2023/03/18
大関・貴景勝が7日目から休場すると発表した。
綱獲りに挑む今場所、3日目の正代戦で左膝を負傷。
6日目に御嶽海に敗れて3敗目を喫し、場所後の横綱昇進が絶望的な状況となっていた。
貴景勝の休場は9度目。
この日対戦予定の錦木は不戦勝となる。
6日目、小結・大栄翔が、逆転で三役以上唯一の無敗を守った。
小結・琴ノ若に右差しを許して後退。
土俵際まで追い込まれたが、逆転の突き落としで白星を手にした。
内容は今ひとつだっただけに「今日は立ち合いが全然だめですね。立ち遅れて集中力がなかった。もっと集中しないとだめです」と反省ばかりが口をついた。
勝ち星を拾う形となったが、初優勝した2021年初場所でストレート給金を決めて以来となる無傷6連勝。
「連勝できていると、すべてが良くなるので、すべてをプラスに考えて一日一番という気持ちでやりたいですね」とポジティブにも捉えた。
八角理事長は「立ち合いが大失敗だね」と指摘する一方で、「その後、もがいたのが良かった。元気な人は何とかしようとするからできる。気力の問題ですから。勝っているから気力も充実しているでしょう」と“全勝効果”が白星を呼び込んだと分析した。
幕内後半戦の粂川審判長は「こういう相撲を勝つのは運もあるということ」と評していた。
6日目、幕内最軽量117キロ、西前頭5枚目の翠富士が「ポケモンパワー」で主役候補に浮上してきた。
遠藤を得意の肩透かしで6連勝。
初日からの自己最多連勝をさらに更新した。
取組後は外出を自粛し、ゲームで気分転換しているという伏兵は、7日目に高安との「全勝対決」が組まれた。
今場所初披露の得意技で相撲巧者を沈めた。
遠藤と対戦した翠富士は「立ち合い差し勝ったんで圧力をかけていけた」。
右差し左ハズで押し込み、最後の仕上げが肩すかしだった。
「(肩透かしが)決まると『あっ出たっ』って自分でも思いますね」。
思わず表情も緩む快勝で6連勝とした。
6日目、元大関で西前頭7枚目の高安が初日から6連勝を飾った。
東同8枚目の一山本相手に立ち合いから前に出た。
いなされてバランスを崩しかけたが、こらえると逆襲。
右四つで食い止め、最後は下手投げで豪快に転がした。
「ちゃんと作戦を立てて、土俵の上でそれができている」と納得の表情だった。
好調だが「目の前の一番に気持ちを高めて、ベストを尽くしたいと思います」と冷静に話した。
昨年春場所と先場所、ダブルでの雪辱に燃える高安は、7日目に翠富士との全勝対決。
「いつもどおり、相手を倒すことだけを考えたい」と平常心を強調した。
6日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は万全の相撲で同4枚目の千代丸(九重部屋)を突き出し、元大関の地力の差を見せつけて5勝目を挙げた。
過去1勝4敗と相性の良くない相手にも完勝し「体は動いている。目の前の一番に集中し、相手をよく見て自分の相撲を取りきりたい」と集中力を高めた。
2023/03/17
5日目、綱取りに挑む大関・貴景勝は西前頭2枚目・竜電を押し出し、連敗を免れた。
綱取り序盤で2敗している貴景勝は、竜電を電車道の押し出しで退け、3勝目を挙げた。
立ち合いは頭でかまし、左ハズで土俵際まで押し込むと、もろ手突きで吹っ飛ばした。
リモート取材にはこの日も応じなかったが、浅香山審判長は「しっかり当たって前に攻めていた。見ていても元に戻ったな、引きずってないという感じがした」と、連敗しなかったことを評価した。
2敗目を喫した4日目と同様、心配される左膝をテーピングで固めたが、不安を払拭するかのような完勝。
依然として綱取りには厳しい状況だが、八角理事長は「これしかないという気持ちでしょう。大変だけど頑張るしかない」と思いやった。
5日目、小結大栄翔が元気だ。
好調な正代を一方的に押し出して5連勝。
立ち合いで当たり勝って、一気に前へ出た。
三役でただ一人全勝をキープしても「前へ出られたが、土俵際を厳しくしないといけない」と、相手に左を浅く差されたことを反省した。
初優勝を飾った令和3年初場所の初日から8連勝した勢いに迫り、「勝ち星が並んで余裕を持って取れている」と気分も乗ってきた。
5日目、伊勢ケ浜部屋の同期生コンビが好調だ。
西前頭5枚目・翠富士と同10枚目・錦富士がともに無傷5連勝。
翠富士は同6枚目・佐田の海を寄り切り、錦富士は同9枚目・平戸海を上手投げと力強い内容で破った。
部屋頭の横綱・照ノ富士が休場する中、弟弟子たちが大阪の土俵を盛り上げていく。
親友であり、ライバルでもある2人の勢いが止まらない。
まず土俵に立ったのは錦富士。
平戸海のもろ手をものともせず、得意の左四つ、右上手をがっちりつかんだ。
前に圧力をかけ続け、最後は豪快な上手投げで転がした。
初の無傷5連勝。「うれしいけど、今日の一日を勝てたという感じ」と冷静だった。
翠富士も続いた。
佐田の海に右差しを許したが、左上手を引きつけた。
幕内で最も低い身長171センチの小兵だが、真っ向勝負。
一気に寄り切り「差し負けたが、すぐ右をおっつけて前に出られた」と納得顔だった。
5日目、休場明けの高安が無傷の5連勝。
大関経験のある実力者が好調な滑り出しを見せた。
ご当地力士で会場の大声援を受ける宇良を相手に激しく突っ張り、背中を突いて土俵に転がした。
途中で右足を狙われるなど「業師」のしぶとい攻めを受けたが「冷静に、よく見て対応できた」と振り返った。
初日からの5連勝は昨年春場所以来。
その場所は10日目まで無敗を守りながら終盤に3敗し、優勝決定戦で若隆景に敗れて涙をのんだ。
賜杯にあと一歩届かなかった場所が幾度となくある高安にとって、初優勝は「悲願」だ。
5日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は西十両2枚目の栃ノ心(春日野部屋)を電車道で撃破し、4勝目を挙げた。
前日の初黒星を引きずらず、十両では昭和以降初となる元大関同士の対戦を制し、1敗を堅守。
朝乃山は「悔しかったけど、落ち込んでる暇はない。寝て起きればまた取組がくる」と土俵に臨む心境を明かした。
2023/03/17
当社ホームページの稼働が確認出来ました。
成績照会の更新も完了しておりますので、どうぞご利用ください。
商品購入版 成績照会
集計版 成績照会
本日は、サーバー障害により大変ご迷惑をお掛けいたしまして誠に申し訳ございませんでした。
今後とも、よろしくお願い申し上げます。
2023/03/16
4日目、綱取りに挑む貴景勝は、過去3勝5敗の難敵・阿炎に押し出され、痛い2敗目を喫した。
立ち合いの圧力をもろ手突きで止められると、相手速攻のはたきに体勢を崩した。
必死にこらえるも、踏ん張りきれずに、むなしく土俵を割った。
序盤で早くも2つ目の黒星。
リモート取材にはこの日も応じることはなかった。
前日の正代戦後には左膝を気にするしぐさを見せており、患部にテーピングを施して土俵に上がった。
結びの一番を土俵下で見守った佐渡ケ嶽審判部長は「ケガだけが心配です。少しかばっている感じ。阿炎のいなしについていけていなかった。本来の足腰だったら残せていますから」と指摘。
それでも、「責任を持って、テーピングをしてまで出ようという気持ちがありました。無理はしてほしくないですね」と思いやった。
4日目、大栄翔が積極的な相撲で御嶽海を倒した。
「立ち合いから終始、攻められたので良かった。稽古でできていることが場所でもできている」
初日から4連勝は、優勝した2021年初場所以来だが「連勝しているのは良いこと。自分の相撲が取れている時は勝ちにつながっている」とうなずいた。
白星にも、霧馬山は反省を忘れなかった。
圧力があった若元春をとっさにいなして送り出し。
「最後は勝ったのでよかった。相撲的には良くなかった」
大関昇進の足固めを狙う場所。
2桁白星が求められる中、3勝目を挙げた。
星勘定をしたくなる日々が続くが、「一日一番なので、自分のできることに集中するのが一番大事」。
地に足が着いている。
正代の迫力が勝った。
若隆景を相手に左を差すと、抱えるように前進。
最後は胸を押して決着をつけた。
「勢いがあるうちに出たのが良かった」と納得の一番だった。
平幕から巻き返しを期す中、3関脇を全て破った元大関。
好調ぶりを実感しているようで、「よく体が動き、自分らしさを出せている」と口も滑らかだった。
4日目、土俵際で貴景勝をはたきこんだ阿炎は「当たってから動くと決めていた。イメージ通りの相撲が取れたと思う」と落ち着いた表情だった。
幕内での対戦成績は7勝3敗ながら「(貴景勝の)前へ出る力は違う。今の自分では太刀打ちできないので速さで勝とうと思った」という。
昨年秋場所以来の三役復帰を目指す場所で2日目から3連勝と調子を上げてきた。
高安が琴勝峰を突き出し、4連勝とした。
先月28日に33歳となった元大関高安が元気だ。
先場所は千秋楽まで貴景勝と優勝を争った琴勝峰を鬼の形相で突き切り、連勝を4に伸ばした。
「よく見て最後まで前に出ることができた。良い緊張感で落ち着いて相撲が取れている」
足腰の良さが光る。
琴勝峰のいなしに2度体勢を崩されかけたが、そこで踏ん張り、逆襲。先場所は右膝付近を痛め、途中休場しているが、「できることにしっかり取り組んできましたから」と手応えをにじませた。
4日目、新入幕の北青鵬が水戸龍を寄り切り、初日から4連勝を飾った。
関取最長身204センチの北青鵬が無傷の4連勝。
力強い取り口で序盤戦を沸かせる21歳の新入幕力士に、歴代の横綱たちも熱い視線を注いでいる。
水戸龍を相手に立ち合いから得意の左上手を取った。
押し込まれても慌てず、上手をぐっと引いて一気に寄り切った。
4勝の決まり手はいずれも上手を取っての寄り切りだ。
武将山に右上手の体勢から快勝した2日目は「自分的にも反省点がない」と胸を張った。
4日目、東十両筆頭の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は同3枚目の逸ノ城(湊部屋)との幕内優勝経験者対決に敗れ、初黒星を喫した。
過去、勝ったことがない苦手な相手にまたも敗れ「立ち合いは悪くなかったが、まわしを取れないまま前に出てしまった。悪い癖が出た」と悔しさをにじませた。
2023/03/15
綱とりに挑む貴景勝は14日、2連勝としたものの、勝負がついた後に左脚を気にするしぐさを見せた。
正代を猛然と突いて土俵際まで攻め込み、粘る相手を押し出し。左足をやや引きずって花道を引き揚げた。
師匠の常盤山親方は「大丈夫。やります」と4日目以降の出場に支障がないことを強調した。
一方的な相撲内容とは対照的に不安を抱かせる姿が見られ、リモート取材にも現れなかった。
注目の大関は3日の大阪入り後、全ての取材に応じず、沈黙を貫いている。
土俵下で見た粂川審判長は「貴景勝はよく攻めた。終わってから脚を気にしていたから、ちょっと心配だ」と語った。
3日目、小結大栄翔が竜電を押し出しで完勝。
初優勝した2021年の初場所以来、13場所ぶりに初日から3連勝の好スタートを切った。
立ち合いから猛攻を見せた。
竜電に強烈なもろ手ののど輪をあてがい、土俵の外へ一直線の電車道で圧倒。
「きょうも良かったと思います」と胸を張った。
3日目を終えて、追手風部屋勢は絶好調。
遠藤は2勝1敗。
剣翔、大翔鵬、そして同じく小結の翔猿は無傷の3連勝中だ。
大栄翔は「ほとんど3連勝でみんな調子良いと思う。同じ部屋で良いライバルだと思ってやっているので、そういうのがいいのかな」。
“ライバル”よりも先に負けるわけにはいかない。
「勝ち続けたいという気持ち」と闘志満々で先を見据えた。
高安の充実ぶりが光っている。
佐田の海を攻め込み、引きに乗じて前傾姿勢で押し出した。
危なげなく白星を三つ重ねた一番に「自分の流れで相撲が取れた。慌てないで出ることができた」と満足げだった。
場所前も納得できる稽古を積めたようで、「できることはやってきた。持てる力を発揮して毎日取りたい」。
不安のない姿を土俵で見せている。
故郷の声援の力は「想像以上」。
大阪府出身で唯一の幕内力士、宇良がはつらつとした取り口を披露し、地元のファンを盛り上げている。
平戸海との一番。果敢に向かってくる相手を下から突き放し、差し手を許さない。回り込んで体勢を整えると、勝機を逃さず押し切った。
初日からの3連勝は8場所ぶり。
「たまたま」と謙遜したが、強い下半身を武器にした低くて粘り強い攻め、素早い動きには状態の良さを感じさせる。
若手が次々と三役の座をつかむ中、30歳の宇良の番付は一進一退を続ける。
膝に古傷も抱え、「自分にとって15日間完走するのは当たり前じゃない」。
だからこそ、相撲に対する執念は人一倍。
取り口については普段から多くを語らず、「ペラペラ話して相手に種明かしはしない」。
土俵を下りても、勝負師であり続ける。
昨年の春場所は西前頭筆頭で4勝11敗。
地元の期待に応えられなかった悔しさは、もちろん胸の中にあるだろう。
「元気な相撲を見せていきたい」。
ご当所への思いはやはり格別だ。
3日目、新入幕の武将山が王鵬を押し出して初白星。
立ち合いから得意の突き押し、頭からかまして先手を取った。
「ほっとした。下がらずに攻める相撲で勝ち切れた」。
師匠の藤島親方からは「一日一番、切り替えて集中するように」と指導されている。
現師匠が藤島部屋を創設してから、同部屋初土俵の力士では初の新入幕力士。
「これからも真っ向勝負でいく」と気合を入れた。
3日目、東前頭15枚目・北青鵬が無傷3連勝を飾った。
“快進撃の巨人”から目が離せない。
204センチの最長身新入幕・北青鵬は、同じく2連勝中で192センチの金峰山との新入幕対決。
立ち合いで狙い通りに得意の左上手を取ると、右四つがっぷり。
力いっぱいに引きつけながら前へ。
好調の新鋭に何もさせず、最後はドッシリと腰を割って寄り切った。
自己新となる無傷の3連勝を飾ったが、「新入幕同士の意識? 特に何も思うことはないです。いい相撲だったと思います」と淡々と振り返った。
モンゴル生まれで北海道育ちの大器は、八角理事長をもうならす逸材だ。
安定感のある新入幕の活躍ぶりに、「よく前に出るようになった。以前は長い相撲が多かったが、体を生かして前に出るようになった」と指摘。
過去に師匠・宮城野親方に対し、北青鵬の突っ張り習得を進言したといい、この日は「曙のように突っ張りがあれば今後の伸びが違う。先手を取ってからまわしを取ることが大事」とさらなる期待を込めた。
3日目の14日、東十両筆頭の朝乃山は西十両筆頭の東白龍との見応えのある一番を制し、初日から3連勝とした。
立ち合いから相手の攻勢にあうも、こらえて逆襲し、地力を示した。
取組後、朝乃山は汗を拭いながら「自分も必死。気持ちで負けないよう、絶対に勝つぞという気持ちで土俵に上がっている」と決意を語った。
2023/03/14
2日目、目を閉じたまま土俵下で出番を待つ。
自分の世界に入り、集中を高めていく。
綱とりへ連敗だけはできない一番で、貴景勝に迷いはなかった。
玉鷲の引きにも崩れず、危なげなく押し切った。
取組前に「弱気になっちゃだめ」と話していた八角理事長(元横綱北勝海)も、取組後は「いい相撲ですね」。悪い流れは断ち切った。
春は思い出の場所。
初日に続き取材に応じなかったが、場所前に「新十両も大阪場所で、新大関も大阪で決めて。いい節目になってる場所だと思うので」と貴景勝は話していた。
2日目、小結2場所目の若元春は連勝と好発進を決めた。
錦木を左四つに組み止めるも「上手を取れずバタバタしてしまった。あまりいい相撲とは言えないが、足はしっかり出ていたので」。
振り回されながらも攻め続けて最後は寄り切った。
好調に映るが、「はたから見るより余裕ないです。いっぱいいっぱい」と言いながら表情は明るかった。
2日目、大栄翔は持ち前の馬力を発揮。
若隆景を突き起こすと、回り込もうとする相手を難なく押し出した。
関脇を圧倒しての連勝発進に「しっかり自分の相撲を取れている。調子もいいと思う」と納得の表情を浮かべる。
返り小結。「毎場所の積み重ね。目の前の一番を頑張る」と勇ましかった。
2日目、1場所での三役復帰を果たした翔猿も2連勝。
「そこに関してはプラスな刺激。お互いに負けないという良い関係だと思っているので、最後までやっていきたいと思っています」。
ともに埼玉栄高出身の追手風部屋再小結コンビが、互いの存在を“追い風”にして白星を積み重ねていく。
2日目、西前頭筆頭・正代が、7場所ぶりの連勝スタートを決めた。
新関脇・霧馬山に攻め込まれたが、左を差して逆襲。
相手の体を起こして、最後は押し倒した。
「ここ何場所かの中では動けているのかなと思います」と、うなずいた。
2020年初場所以来となる平幕に番付を下げたが、その場所で好調な滑り出しだ。
「序盤からよく体が動いているのは、モチベーションもよくなってくると思うので、なるべく続けていけたらなと思います。ちょっと連勝から遠のいていたので、いい流れが来ているんじゃないかなと思います」と手応えをつかんでいる。
2日目、高安が内容も伴って白星を重ねた。
左からかち上げ気味に出て遠藤を押し込むと、冷静に引き技で仕留め、「前に出られたと思う」。
この2日は「集中して、いい緊張感で相撲が取れた」と言い、心持ちも良く滑り出した。
連勝発進は、東西こそ違うが、同じ前頭7枚目だった昨年春場所以来。
その時は優勝決定戦に進んだ。元大関が快進撃を見せても不思議ではない。
2日目、宇良が2連勝発進。
館内にしこ名を呼ぶ声がこだまする中、大きな碧山を相手に潜るようにして下から攻め、一方的に押し出した。
1月の初場所は終盤に苦しんで7勝8敗。
巻き返しを誓って乗り込んだ地元の大阪の盛り上がりに感謝し、「声援を聞いたら、疲れたとは言ってられない」。
ご当所の期待が最高の発奮材料になりそうだ。
2日目、カザフスタン出身で初の幕内力士となった身長192センチの金峰山は武将山を送り出した。
金峰山は「体が動いている。(北青鵬と)2人で(番付を)上がっていきたい」と意識していた。
2日目、新入幕の北青鵬が204センチの長身を生かした危なげのない内容で、171センチの武将山を寄り切った。
連勝スタートに「反省点がない相撲」と満足そうだ。
初日の取組後は両親をはじめ、多くの知人らからメッセージを受け取ったという。
「『幕内最初の白星がかっこよかった』などと連絡があった。明日からも自分の相撲を取って勝つだけ」と威勢が良かった。
2日目、西前16枚目の剣翔が、十両の東白龍との熱戦を寄り切りで制して2連勝とした。
1度は東白龍に軍配が上がったが、物言いがついて協議の結果、軍配差し違えで勝ち名乗りを受けた。
「負けていたと思っていました」と自分でも分からないきわどい勝負を制しても、「土俵際で絶対にはたいてくると思っていたのに前に落ちたので、そこは反省です」と課題を口にした。
これで初場所に続き初日から2連勝としたが、前回はそこから6連敗と崩れただけにうかれない。
「勝てる時に勝ちたい」と気を引きしめた。
2日目、東十両筆頭の朝乃山は同2枚目の千代の国を一気に押し出し、初日から2連勝とした。
初日には662日ぶりに幕内の土俵に上がって白星を飾っており、大阪の土俵で元大関の地力を見せつけている。
朝乃山は「あしたも初日のつもりで、一日一番、自分の相撲を取りたい」と気を引き締めた。
十両の最後の取組で登場した朝乃山。
土俵に上がると、会場からは大きな歓声が上がった。
2023/03/13
早くも暗雲だ。
初日、綱取りに挑む大関貴景勝が小結翔猿のはたき込みに屈して痛恨の黒星。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、会場を後にした。
1月の初場所は12勝3敗で13場所ぶり3度目の優勝を達成。
綱取りには「2場所連続優勝」が必要となる中、いきなり出足でつまずいた。
横綱昇進の可否をあずかる審判部長の佐渡ヶ嶽親方は「立ち合いの当たり、出足ともに良かったが、最後に急ぎすぎた。まだ初日ですから。ここから開き直って大関の責任を果たしてほしい」と一人大関に奮起を促した。
初日、新関脇霧馬山が阿炎の突き放しに下がらず、力強く押し出して白星発進。
「先に自分から前へ出ていこうと思った」。
新たな番付で迎える初日にも「いつも初日は緊張する」と笑みが広がった。
大関は貴景勝一人だけで、3関脇4小結が出世を争う。
1月の初場所では小結で11勝を挙げた霧馬山にとって、今場所は大関昇進への足場を固める大切な土俵となるが、「意識せず、考えない。一日一番で」と平常心を保つ。
初日、翔猿が貴景勝を破り、初日から「荒れる春場所」を演出した。
押し込まれた土俵際ではたき込み。
埼玉栄高の後輩でもある相手の綱とりには「意識がなかった」と話す。
この大関に3連勝で「体が動いたのが良かった。うれしいし、自信になる」と満足した。
2場所ぶりに小結復帰のくせ者は結びの一番の歓声が気持ち良かった様子。
「力に変えていきたい。まずは勝ち越しを目指していく」と意気揚々と語った。
初日、東前頭筆頭の玉鷲が、関脇若隆景を破って白星発進した。
立ち合いから、のど輪で押し込み、その後も突き放して攻めた。
だが回り込まれて相手に左を差されると、右前まわしも引かれ、一気に守勢へと回った。
それでも土俵際で逆転の突き落とし。
「よかった。とっさの反応ですね」と、笑顔を交えて振り返った。
部屋の力士は、自身を含めて4人しかいないが、今場所から弟弟子の玉正鳳が新十両に昇進し、この日は先に白星を挙げていた。
「弟弟子の白星が力になったか」の問いに「もちろん、それはありました。それを見て『よしっ、自分も頑張らないと』と思いました」。
玉正鳳は、十両での自分の取組が終わると、序二段力士とともに玉鷲の付け人も務めていただけに「部屋の力士たちのおかげ」と感謝していた。
2日目は結びの一番で、今場所後の横綱昇進を目指す大関貴景勝との顔合わせとなる。
貴景勝は黒星発進となり、連敗は何としても避けたい状況となったが「こっちもこっちで、頑張らないといけないですね」と、対抗心をのぞかせていた。
正代が厳しい攻めを披露した。
豊昇龍に前まわしを与えたものの、左から強烈におっつけて一気に押し出した。
大関候補に対して持ち前の圧力を発揮し、「止まらず前に出て、引きつけさせなかったのがよかった」と自賛した。
2020年初場所以来となる平幕で臨む今場所。
再出発を白星で飾った元大関は「気楽に自分の持ち味を出せたらいい」と冷静に先を見据えた。
高安が盤石の取り口を見せた。
北勝富士に対し、左で上手を引くと、低い姿勢を保ちながら一気に前進。
攻め手を緩めず、力強く押し出した。
関脇だった1月の初場所は右膝を痛めて途中休場。
平幕からの仕切り直しとなる中、「前向きな相撲を取りたい。ベストを尽くす」。
快勝での発進に、元大関の表情は明るい。
初日、スケールが大きい新入幕2人がそろって白星スタート。
204センチの長身で21歳の北青鵬は懐の深さを生かし、右四つから寄り切った。
初土俵を踏んだ3年前の春場所は無観客開催で「寂しかった。やっぱり声援はうれしい。ファンに喜んでもらえる相撲を取りたい」と気合を入れた。
25歳の金峰山は武将山との新入幕対決に快勝。
日大で活躍後、2021年九州場所で三段目100枚目格付け出しデビュー。
カザフスタン出身初の幕内力士になった。
まだ大銀杏が結えない有望株は「緊張した。ここから良くなっていくと思う」と?を緩めた。
初日、元大関の十両・朝乃山が幕内の水戸龍を寄り切りで破った。
幕内の土俵は、出場停止前の21年夏場所11日目以来662日ぶり。
「十両に比べたらお客さんも多い。あの雰囲気で勝ちたいという気持ちになります」。
昨年は出場停止、一昨年は東京開催だったため近大時代に4年間過ごした大阪は3年ぶり。
今場所は幕内復帰目前の東十両筆頭で「出るからには優勝を」と2場所連続十両優勝を見据えた。
日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は12日、4年ぶりの通常開催で初日から満員御礼となった春場所について「ありがたい。大阪は熱心なファンがたくさんいる。戻ってきたなと感じる」と手応えを口にした。
館内の視察で熱気の復活を感じつつ「まだ控えめな感じがして、気を使っている」とも語った。
2日目の13日から新型コロナウイルス感染対策のマスク着用は各自に委ねられる。
相撲協会は取組表に着用を推奨する文面を記載しているが、八角理事長は「個人の判断」との見解を示した。
両膝痛で4場所連続休場の横綱照ノ富士については「次の場所で結果を残せるように、きっちり治して」と述べた。
2023/03/12
大関貴景勝が横綱昇進に挑む。
歴代の横綱はほぼ四つ相撲の力士だった。
押し相撲だった元横綱北勝海は左四つでの寄りも力強かった。
身長203センチの元横綱曙は規格外の長いリーチを生かした突き押しだったので例外的な存在だ。
押し相撲一筋の貴景勝が綱をつかめば、大相撲史においてエポックメーキングな出来事となる。
福島市出身の関脇若隆景と小結若元春が東日本大震災から12年の11日、朝稽古後に取材に応じ、若隆景は「毎年振り返るし、東京などでも地震があった時は思い出す」と胸中を述べた。
若元春は地元ファンとの交流などを通じ、被災地が復興途上であることを実感するという。
「復興の進み具合も地域によって違うし、風評被害もまだある。1年に1度、震災について考えてもらえたら」と神妙な面持ちで語った。
震災発生当時、2人は長兄の幕下若隆元が入門した東京の荒汐部屋に身を寄せた時期もある。
西前頭7枚目の高安が、演歌歌手の妻、杜このみさんとの挙式披露宴を6月に東京都内のホテルで開くことが10日、分かった。
2020年7月に結婚。
21年2月に長女、22年8月に長男を授かった。
10日は大阪市平野区の田子ノ浦部屋で稽古し、幕下以下の力士と21番取った。
右で素早く前まわしを引いて寄る動作を確認するなど、休場明けの春場所へ最終調整。
「何の不安もない状態で初日を迎えることが大事。それができれば場所を面白くできる」と再起への思いを語った。
新入幕を果たした北青鵬が11日、大阪市内の部屋宿舎で最終調整を行った。
身長204センチの大器は「(調整は)順調です」と好調をアピール。新入幕場所だが「特に変わることもなく。十両と幕内でどれだけ違うか。相撲を取ってみないとわからないですけど、楽しみの方が大きいですね」と待ちきれない様子だった。
この日は師匠の宮城野親方の38歳の誕生日でもあった。
北青鵬自身が2年前に初めてまげを結った日でもあるといい、特別な思いがある。
その直後に迎える春場所へ向け「(白星を贈りたいのは)もちろんですし、敢闘賞をプレゼントしたいのもあります」と気合。
そのためには2ケタ白星は欲しいところだ。
「まずは勝ち越しを目指して、そこから意識していきたいと思います」と闘志を燃やした。
大相撲で元横綱白鵬の宮城野親方が東日本大震災から12年の11日、大阪府の宿舎で「日本中が忘れてはいけない日。思いは変わらない。東北の皆さんともお会いしたい」と被災地へメッセージを送った。
この日は38歳の誕生日でもあった。
現役時代は関取衆で構成する力士会の会長として復興支援の中心を担った。
誕生日が春場所期間中に重なることが多く「絶対に負けない。勇気と希望をもたらしたいという気持ちで土俵に上がった」と述懐。
昨年7月から部屋を率いる立場となり「弟子たちにこの気持ちを受け継いでもらいたい。(被災者を)元気づけてほしい」と願った。
先月、少年相撲の国際親善大会「白鵬杯」では、力士会が土俵を再建した岩手県山田町の子どもたちも奮闘した。
「交流が実を結んでいる」と感慨深げだった。
大相撲春場所の土俵祭が11日、会場となるエディオンアリーナ大阪で行われた。
この日は新型コロナウィルス感染対策緩和の一環として、20年初場所以来となる一般公開も実施。
150人が八角理事長(元横綱・北勝海)らとともに15日間の安泰を祈願した。
春場所としては4年ぶりの正常開催。
担当部長の伊勢ノ海親方(元幕内・北勝鬨)は「チケットも順調に売れている。今のところ、大入りは全日(15日間)出ると思う。かなり盛り上がるのではないかと思うし、力士はいい相撲を見せてほしい」と話した。
2023/03/11
横綱・照ノ富士が春場所を休場することが10日、決まった。
昨年10月に手術した両膝のケガだけでなく、10日に提出された診断書には「糖尿病」の病名も加わった。
以前、大関から序二段まで落ちた時に苦しんでいた病気でもあり、再発が心配される。
休場は4場所連続16度目。
前日には実戦稽古も行っていたが、師匠の伊勢ケ浜親方は、休場の決断について「場所に出られるかというと、立ち合いが物足りない」と説明。
照ノ富士は大阪市東成区の部屋での稽古に姿を見せ「毎場所、出たいよ。無理しないと出られない」と胸中を語った。
少しずつ回復はしており、4月の春巡業から復帰の予定。伊勢ケ浜親方は「5月はもう大丈夫。稽古もできていますから。あとは15日間しっかり取れる下半身づくりをしないと」と夏場所での完全復活に期待を持たせた。
10日、春場所の取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
1月の初場所を12勝3敗で優勝し、横綱昇進に挑む大関貴景勝は初日に小結翔猿、2日目は平幕玉鷲と対戦する。
先場所に続き1横綱1大関の今場所も横綱照ノ富士の休場に伴い、貴景勝が出場する力士で番付最高位。
今場所は観客数に制限を設けず、新型コロナウイルス感染拡大後では4年ぶりに通常開催となる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10日、春場所15日間の懸賞申込総本数が約1600本と明らかにした。
新規で8社の申し込みがあり、昨年終了時点での1494本を上回った。
個人では貴景勝が190本でトップ。
2023/03/10
横綱・照ノ富士が9日、春場所を4場所連続で休場する可能性が出てきた。
大阪市内での稽古では西前頭10枚目・錦富士、同12枚目・宝富士と計9番をとったが、宝富士に1勝4敗と苦戦するなど5勝4敗。
稽古後、笑みを浮かべながら「まあまあ。おそらく親方が答えを出すと思う」と話し、宿舎へ戻った。
「出場した横綱は勝たないといけない。あとで話し合い、最終的に決める」と師匠の伊勢ケ浜親方は10日午前に行われる取組編成会議に向け、9日夜に最後の話し合いをすることを明かした。
昨年秋場所を途中休場し、10月に両膝の手術に踏み切った。
その後、2場所連続で全休。
春場所での復帰を目指し、3月に入ると稽古の強度も徐々にあげた。
「(休場後では)一番状態は良い」と話していたが、万全の状態ではない。
伊勢ケ浜親方も「相撲を取れるようになったのは最近。稽古ができても番数が足りない」と慎重な姿勢を示していた。
出場は微妙な情勢で、初場所に続いて1横綱1大関ながら、横綱を欠く寂しい春場所となりそうだ。
関脇の若隆景が9日、大阪・堺市の大鳥大社にある部屋で稽古した。
およそ100人の見学者の前で、兄の小結若元春、十両の荒篤山と相撲を取り8勝3敗と力を見せた。
昨年は同場所で初優勝を飾り「験がいい場所」という大阪の地で順調に調子を上げている。
代名詞の強烈なおっつけは健在。
三番稽古では若元春の差し手を何度もふさいで、再三攻勢をかけていた。
出稽古時に痛めた左わき腹付近も「大丈夫です」と強調。
「毎場所やることは一緒なんで」と場所に向けてもう一段ギアを上げていくと話した。
新関脇霧馬山が9日、堺市の陸奥部屋で稽古し、春場所の目標を「まずは勝ち越し。やるべき相撲を取っていれば結果はついてくる」と掲げた。
土俵で胸を出した鶴竜親方に精力的にぶつかり「久しぶりだった。さすが親方。重かった。力になる」と充実の表情だった。
初場所は小結で11勝を挙げ、今場所は大関昇進への足場を固める重要な闘いとなる。
大関は貴景勝一人だけで、3関脇4小結が出世を争う状況。
「今は誰が上がってもおかしくない。自分も負けたくない。先に先に、という気持ちがある」と意欲たっぷりに語った。
西前頭7枚目・高安が9日、大阪市内にある宿舎で春場所に向けて調整した。
先場所は右膝負傷の影響で途中休場したが、「問題ないです。(調子も)悪くないです」と順調。
若い衆と計12番の相撲に加え、一人一人に胸を出して1時間ほど土俵の中で精力的に体を動かした。
昨年の春場所は若隆景との決定戦に逆転で敗れ、目前に迫った初賜杯を逃した。
「過去の経験は全部生きますから。経験をプラスにして、精神的にもっとずぶとくいきたい」と、1年前の“悪夢”は成長の糧にしている。
この日はWBC日本代表の初戦で、茨城・土浦一中時代は野球部だった元野球少年は「みんな注目している。大谷、ダルビッシュなどMLB選手が4人も来て、すごい強いと思う」と期待。
3月はセンバツ高校野球など話題が豊富なだけに「(相撲も)負けないように頑張りたい」と目をギラつかせた。
幕内宇良が9日、1月下旬にプロ野球・オリックスの平野佳寿投手の自主トレに参加し、異競技から学びを得たことを明かした。
宇良にとって鳥羽高の9年先輩。
相撲部監督だった恩師の田中英一氏が平野の担任でもあったことから、京都府内での“一日入門”が実現した。
体の調子を確認する動き、膝をケガしにくくなるトレーニングなどを教わった。
日米通算221セーブを誇る右腕の体を目の当たりにし「野球のピッチャーって大きいんだなと思いました」と刺激ももらった。
異競技のトレーニング参加は自身初。
相撲に生かせるものは取り入れ、続けている。
「全然できなくて。平野さんが活躍するのもそれだけバランスが整っているから。差を見てみたい」と苦笑しつつ日々勉強。
貪欲な姿勢が、さらなる進化につながるはずだ。
大阪府寝屋川市出身。
ご当所となる春場所では、2016年に関取昇進を決め、17年には新入幕を果たした。
過去5度のうち4度勝ち越しと相性もいい。
この日は大阪府吹田市の部屋での稽古には参加せず、体のケアなどに努めた。
西前頭8枚目で臨む今場所の目標を「力を出し切ること」と掲げた。
2023/03/09
貴景勝は綱とりへ闘志を燃やす。
新番付の発表前には、部屋で隆の勝との三番稽古を始めた。
押し込まずに頭をつけ、左からのおっつけで相手の動きを封じた。
押しが武器の大関。
自身にとっては不利とも言える止まった状況から、すくい投げなどで打開する。
1月の初場所、優勝を決めた千秋楽の琴勝峰戦で見せた投げも、「体が勝手に動くまで、体に染み込ませた」。
日々の稽古で積み重ねてきた技を物にしつつある。
初めて綱とりに臨んだ2年前の初場所は初日から4連敗を喫し、左足首を痛めて途中休場。
改めて好機を迎え、「ここで後悔したら、一生忘れない。それだけはしたくない」と覚悟を口にする。
勝負の時を前に「余計なことを考えてたどり着ける地位ではない。やり切ったという気持ちで終われるような15日間にしたい」と決意を述べた26歳。
兵庫県出身。
準ご当所の大阪で再び最高位に挑む。
関脇・豊昇龍が8日、大阪市住吉区の立浪部屋で春場所に向けて調整。
四股や腕立てなどの基礎運動を行い、土俵下では幕下力士らと軽く胸を合わせて投げ技などの動きを確認した。
初場所は左足首のケガで途中休場しながらも勝ち越し。
春場所の成績次第では大関獲りにつながる可能性もある。
同じモンゴル出身の霧馬山の新関脇昇進でライバル意識はより一層高まっているが「気にしていない。自分は自分だから、やることをしっかりやるだけ」と自らに言い聞かせるようにして集中力を高めた。
この日は本場所で使用する赤の締め込みを着用。
心身ともに“本場所モード”に入っていた。
8日、大阪市福島区の阿武松部屋での稽古後に取材に応じ、東前頭4枚目で迎える春場所に向けて「優勝はすごいことなのだなと思った。一つの乗り越えないといけない壁」と決意を新たにした。
初場所は12日目終了時点で単独首位に立ったが、13日目の大関貴景勝戦から3連敗。
「一瞬だけ現実味を帯び、それがすごく遠く感じた。気持ちの面でもまだまだ弱かった」と潔く受け止めた。
8日、大阪市住吉区の立浪部屋で春場所へ向けての稽古を行った。
前日までは申し合い稽古も行っていたが、この日は参加せず。
四股やすり足といった基礎運動や、おもりを使った体幹トレーニングなどで汗を流した。
1年ぶりの三役復帰だった初場所は5勝10敗と負け越し。
悔しさから得るものはあったそうだが「自分だけが知っていればいい」と胸の内にとどめた。
西前頭4枚目で迎える今場所は「勝ち越したい。しっかり頑張るだけです」と短い言葉に力を込め、三役復帰を見据えた。
右膝を痛め、関脇だった1月の初場所を途中休場した元大関の高安にとって、春場所は西前頭7枚目からの出直しとなる。
「完全に治った。厳しい相撲を取りたい」。表情に充実感が浮かぶ。
2月28日で33歳に。
年齢を自覚する言葉も増えてきた中、原動力は「(番付で)上がりたい気持ち」。
大関の地位を失ってから3年余り。
もう一花咲かせる覚悟は場所ごとに強まる。
兄弟子の二所ノ関親方の下に出稽古し、胸を出してもらった。
佐渡ケ嶽部屋も訪れ、小結琴ノ若らと手合わせ。
「力を出し合ったいい稽古だった」と手応えをつかんだ。
春場所で新入幕となる北青鵬が8日、控えの土俵下で使用する座布団のデザインを師匠・宮城野親方の現役中と同じ配色にしたことを明かした。
大阪の後援者から贈られ、「親方と全く同じ茶色と黄色です。親方の座布団もその方が作っていて、僕があえて頼みました」と笑顔を見せた。
自身のしこ名が入った座布団は幕内力士の証しだ。
最長身204センチ、規格外の新入幕は「唯一、違うのは優勝回数が入ってないこと。(入れられるように)頑張ります!」と角界の頂点を目指し、気合を入れた。
2023/03/08
若隆景が7日、大阪・堺市にある大鳥大社内の宿舎で稽古した。
昨年は、双葉山以来86年ぶりの新関脇Vで初賜杯を抱いており、「験のいい場所なので、気持ちを高めていきたいと思います」と意気込んだ。
春場所は過去6年は一度も負け越しがなく、相性は抜群だ。
6日から大阪での稽古を開始したが、この日の稽古では相撲は取らず。
基礎運動を中心に汗を流した後、若い衆を相手に15本の一丁押しで立ち合いの当たりを確認した。
先月中旬には、稽古中に左ろっ骨付近を負傷したが、ケガの状態については「問題ないですよ」と、順調な回復ぶりを強調した。
9場所連続勝ち越し中と安定感抜群の次期大関候補。
先場所は9勝にとどまっただけに、「2桁という星は大事かなと思います。けど、やっぱり一日一番、自分の相撲を取ることを意識して頑張りたいですね。しっかり準備して、初日に臨みたいと思います」と静かに闘志を燃やした。
西前頭7枚目の高安は7日、春場所に向けて大阪市内の田子ノ浦部屋で三段目以下の力士と連続31番取り、相手に存分に攻めさせながら圧倒した。
関脇だった1月の初場所では右膝下を負傷して途中休場。
平幕からの出直しとなる。
2月28日に誕生日を迎えたばかり。
33歳になって初めての場所に「また1年貴重な経験を積んだということ。いいスタートを切りたい」。
昨年は優勝同点が2、優勝次点が1度。
悲願の初優勝へ気持ちを新たにした。
元大関で東十両筆頭の朝乃山が7日、大阪市中央区の同部屋で幕下以下の力士と18番取った。
仕上げのぶつかり稽古では全身泥だらけに。
肩で息をしながらも「上に行きたい気持ちがある。すぐに結果が出なくても、積み重ねが大事だと思う」と充実の笑みを浮かべた。
春場所は6場所出場停止から復帰5場所目。
関取に戻った先場所は14勝1敗で十両優勝したものの、再入幕には届かなかった。
「試練というか、プラスに考えて。『もう1度上がるぞ』という気持ちになった」と燃えている。
十両には自身の他に栃ノ心、逸ノ城、徳勝龍と4人の幕内優勝経験者が名を連ねた。
「結構ハイレベルだけど、土俵に上がったら関係ない。自分のやるべきことは変わらない」と落ち着いた表情で語った。
埼玉県小鹿野町長留の旅館「宮本家」に「力士風呂」が完成し、7日、お披露目された。
宮本家12代当主の宮本一輝さん(44)は、元大相撲幕内の剣武。風呂場の壁には、「秩父夜祭」の化粧まわし姿の剣武の錦絵(縦120センチ、横71センチ)が掲げられている。
大相撲錦絵師の木下大門さん(76)に依頼し描いてもらった。
所属していた武蔵川部屋に伝わる力士修業心得も展示。
窓からは、土俵祭りで神事に使う榊(さかき)の木が植えられた庭が見える。
脱衣所は、稽古(けいこ)場をイメージして、元横綱の白鵬、日馬富士、横綱の照ノ富士の優勝ミニ額や、相撲部屋で番付の位が描いてある板番付・鉄砲柱などがある。
宿には毎日新聞社寄贈の優勝額や、武蔵丸と白鵬が使った横綱なども展示されている。
木下さんは「夜祭の化粧まわしはすごく細かいので描くのに苦労した。力士の絵がある風呂はここにしかないのではないか」。
宮本さんは「幕内に上がらないと絵番付は描いてもらえないので、幕内に上がれてよかった。風呂に入って大きくなった剣武を皆さんに見てもらいたい」と笑顔で話した。
宮本家の電話は(0494・75・4060)。
2023/03/07
大相撲で3場所連続休場中の横綱照ノ富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古後、春場所の出場について「親方(師匠の伊勢ケ浜親方=元横綱旭富士)と相談して決める」と話すにとどめた。
昨年10月に手術した両膝の状態は「日に日に良くなっている」と回復傾向を強調。
この日の稽古では分厚いサポーターを施し、幕内の翠富士や錦富士との申し合いで12番取った。
その合間に「どう、当たれてる?」「重い?」と弟弟子に確認し、錦富士が「最近の中で一番いいと思います」と返すと笑みを浮かべた。
照ノ富士は昨年9月の秋場所を途中休場。
手術後は2場所続けて全休した。
大関貴景勝が綱とりに挑む今場所は一人横綱として存在感を示したいところだが「まだ自分のことで精いっぱい。早く本調子に戻したいという意識で、復活に向けてやっている」と静かに語った。
先場所6勝からの巻き返しに燃える西前頭5枚目の翠富士が6日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で稽古し、2桁勝利を目標に掲げた。
「勝っていれば、三役に上がっていけると思う。10番勝てるように頑張りたい」と意気込んだ。
先場所は「後半に気持ちが切れてしまった」と13日目から3連敗。
117キロの体重を増やすため、食事量などを見直してきたという。
この日は横綱照ノ富士に胸を借り「横綱より強い人はいない。そういう人と稽古ができるのはありがたいこと」と感謝を口にした。
大相撲の大関経験者の正代が、順調な仕上がりに自信をのぞかせた。
6日、春場所に向けて大阪市内の部屋で稽古をした。
十両昇進をうかがう東幕下3枚目の時疾風と三番稽古を行い、12勝2敗と全く寄せ付けなかった。
口ぶりや表情からも充実ぶりをのぞかせ、「油断しないように、このままいけたら」と気を引き締めた。
昨年末の稽古中に右足親指を痛めた。
休場も考えるほどの負傷だったが、1月の初場所は15日間相撲を取った。
結果は6勝9敗。
10勝を挙げれば大関に復帰できる特例を生かせず、今場所は西前頭筆頭に座り、20年初場所以来となる平幕力士として臨む。
心配された右足の状態も復調しつつあり、「(踏み込みで)もっと蹴りたいですね」と理想に近づくべく調整に励む。
まずは三役に返り咲くところが目標。
3場所連続で負け越しているが、ここで勝ち越しを決めて悪い流れを断ち切る。
1歩、1歩、地道に積み重ねていく。
大相撲春場所がご当所となる大阪府寝屋川市出身の西前頭8枚目・宇良が6日、吹田市の部屋で稽古し、四つ相撲を習得中と明かした。
関学大時代から足取りや居反りが代名詞の業師は、右膝の大ケガで序二段まで転落した経験もあり、増量して押しを磨いてきた。
さらに「四つ相撲を練習してます。できないことをやってます」と、新境地開拓に挑む。
1年前は自己最高位の西前頭筆頭で4勝に終わり、新三役を逃した。
ただ、当時大関だった正代からも勝利し「全然悔しくない。上出来」と前向き。
中入り後の土俵から存在感を発信していく。
小山市外城(とじょう)の栃木県南体育館で8月20日、「夏巡業 大相撲小山場所」(同実行委員会主催)が25年ぶりに開かれることが、このほど決まった。
横綱や大関などの力士、巡業関係者ら約200人が集結する予定。
取り組みのほか、公開稽古の観戦や力士との記念撮影を楽しむことができる。
今月2日には日本相撲協会巡業部の枝川(えだがわ)親方(元幕内蒼樹山)、同実行委の安藤大平(あんどうたいへい)会長、高橋幸浩(たかはしゆきひろ)副会長が市役所を訪れ、浅野正富(あさのまさとみ)市長らに巡業の概要などを説明した。
枝川親方は「力士は間近で見ると迫力がある。夏休みでもあるので、幅広い世代で見に来てほしい」と呼びかけた。
浅野市長は「伝統ある大相撲を見ることができる良い機会。開催日を心待ちにしている」と、25年ぶりの巡業に期待を寄せた。
1場所出場停止の懲戒処分を受けて1月の初場所を全休し、春場所では16場所ぶりに十両へ転落したモンゴル出身の東十両3枚目逸ノ城が腰の手術を受けながらも、「ぶっつけ本番になっても、出る」と強行出場を明言した。
慢性的な腰痛に苦しむ逸ノ城は2月13日に東京都内で内視鏡によるヘルニア除去手術を初めて受けた。
6日は大阪・大東市の湊部屋でぶつかり稽古などで汗を流したが、先月初旬から相撲を取る稽古は行っていない。
弁護士を依頼し、師匠との意思の疎通を遮断する事態へ陥ったが、現在は互いに会話をするなど関係は徐々に改善。
「もう終わったこと。自分が駄目なところもあった。10勝以上を挙げて1場所で幕内へ戻りたい」と出直しを期す。
2023/03/06
綱とりの可能性は?
日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルに西岩親方が登場。
春場所の見どころを解説した。
西岩親方は初めに、大関貴景勝の綱とりについて言及。
「一番の注目は貴景勝の綱とり。初場所で優勝したので、いよいよ連続優勝で横綱昇進というところまできた。ぜひ達成してほしい。地元関西(兵庫)出身ですので、地元の大声援を受けて土俵に上がって、いい結果で春場所が終わるといいと思う」と期待を寄せた。
また、春場所で2場所連続優勝を果たす可能性についても「気迫を前面に出して相撲を取ってほしい。初場所でも何度も流血をしながら、気迫のこもった相撲で勝った相撲が何番かあった。ああいう気迫が春場所でも出ると、十分に優勝を狙える」と太鼓判を押した。
春場所で関脇の豊昇龍が5日、大阪市の住吉大社にある立浪部屋で稽古し、新関脇で同じモンゴル出身の霧馬山に対抗心を見せた。
幕内での対戦成績では豊昇龍が6勝5敗と1歩リードしているが、実力者同士のということもあり拮抗(きっこう)。
霧馬山から番付発表会見で負けたくない相手として名指しされたことについて「同じ関脇の地位だから、俺も負けたくないね」と闘志を燃やした。
小結琴ノ若が5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で稽古し、大関昇進への起点となる2桁勝利を目標に据えた。
「頭には入っているし、土台をつくれればいい。目の前の一番に集中して、自分の力を出し切るだけ」と決意を口にした。
新小結の先場所は4連敗スタートから立て直し、千秋楽に勝ち越した。
5日の稽古では幕内琴勝峰や琴恵光らに9勝4敗。
三役2場所目に向け「気持ち一つだと思う。思い切って自分のできることをやれればいい」と闘志をかき立てた。
大相撲の関取衆最年長、東前頭筆頭の玉鷲が、春場所の“台風の目”となることを予告した。
4日、都内の部屋で稽古。
同部屋の新十両、玉正鳳と15番の三番稽古を行い、13勝2敗と圧倒した。
部屋の若い衆2人と同時に相撲を取る稽古は「いつもはやっている」というが、この日は疲労などを考慮して行わなかったが、順調な仕上がりをうかがわせた。
勝ち越せば、小結だった昨年11月の九州場所以来、3場所ぶりの三役復帰に大きく前進する。
ただ、本人が目指しているのは「関脇まで戻りたいね」と、19年7月の名古屋場所以来、4年ぶりとなる関脇の地位だ。
大関だった昨年秋場所から3場所連続で負け越し、西前頭筆頭まで番付を落とした正代が再浮上を目指して気持ちを立て直す。
5日は大阪市内の時津風部屋で2人の幕下力士と連続20番取って全勝。
鋭い出足で圧倒した。
関脇に降下した1月の初場所では、10勝を挙げれば大関に復帰できる特例をいかせず6勝に終わった。
春場所では令和2年初場所以来3年ぶりに平幕で取るが、「大関は負けられないという気持ちが強くて精神的につらい部分もあった。正直、少しほっとしている」と自らを解放する。
不振の原因は右足甲の痛み。
手術すれば数カ月かかるとあって「痛みさえ落ち着けば、しっかり当たれる」。
現行のかど番制度となった昭和44年名古屋場所以降、1場所での復帰がならず、再び大関へ復帰した例は所要7場所の魁傑と20場所を要した照ノ富士の2人だけだが、希望の轍(わだち)≠ヘ存在する。
西前頭3枚目で32歳の錦木は3日、東京都文京区の伊勢ノ海部屋で幕下以下の力士に胸を出し、新三役昇進へ気合をにじませた。
これまで春場所後に新十両や新入幕を果たしており「転機になる場所。しっかり自分の体をつくることが大事」と表情を引き締めた。
9勝を挙げた初場所後は立浪部屋などで出稽古に励み「いい調整ができている」と充実した様子。
東日本大震災発生から12年となる11日を前に、盛岡市出身のベテランは「頑張っている姿を地元に届けられれば」と決意を口にした。
西前頭4枚目の明生は4日、大阪市住吉区の立浪部屋での稽古をスタートし「また三役に戻れるようにやっていきたい」と意欲を語った。
小結だった先場所は5勝10敗と負け越し。
「自分が弱いだけ」と一切の言い訳はしなかった。
2月中は左手首を痛めた影響もあり、出稽古を控えた。
不安要素は「全部。(左手首も)良くはない」と苦笑い。
それでも「けがをしていない人はいない。頑張るだけ」と自らを奮い立たせた。
1月の大相撲初場所で千秋楽まで優勝を争って11勝を挙げた幕内琴勝峰が5日、大阪府松原市の佐渡ケ嶽部屋で稽古し、小結琴ノ若や幕内琴恵光に15勝5敗と充実の内容だった。
東前頭5枚目で迎える春場所に向け「あまり意識せず、自分のいいところを出したい」と意気込んだ。
左足首を痛めた影響で、4日に申し合いを再開したばかり。
それでも鋭い出足で琴ノ若に4勝3敗と勝ち越すなど、23歳のホープは地力の向上を印象付けた。
先場所は1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で初めて、平幕力士として千秋楽相星決戦に臨んだ。
「経験をプラスに」と抱負を語った。
2023/03/03
関脇若隆景は1日、東京都中央区の荒汐部屋で取材に応じ、2月中旬に十両朝乃山との稽古で痛めた左肋骨付近の状態について「特に、何もない。いつも通り。しっかり春場所に向けて稽古する」と多くを語らなかった。
7場所連続で関脇を務め、大関候補として期待される。
昨年の春場所は初優勝を果たしており「験のいいところ。自分の相撲を取り切ることを意識する。一日一番、下から攻めていきたい」と気持ちを高めた。
小結若元春が1日、東京都中央区の荒汐部屋での稽古後、今場所の目標に2桁勝利と初の三賞受賞を掲げた。
新三役で9勝を挙げた先場所の活躍に満足していないといい「周りからは良かったねと言われるけど、三役として2桁くらいは頑張って勝ちたかった」と貪欲に語った。
さらなる飛躍を期すため、力強く押し込んでから得意の左四つに持ち込む取り口を磨いている。
同部屋で弟の関脇若隆景に刺激を受け「負けたくない。もっと上の番付を目指さないといけない」と闘志を燃やした。
元大関・栃東の玉ノ井親方が、福島県内では4年ぶりとなる夏巡業(2023年8月5日・福島市で開催)のPRに福島テレビを訪れた。
2019年の大相撲夏巡業では、総勢160人の力士が登場し大いに盛り上がった。
巡業は、部屋が違う力士同士が稽古をする姿を見ることができたり、地域の人と力士との触れ合いが魅力だという。
玉ノ井親方は福島とも縁が深い。
先代の栃東が、現在の相馬市出身ということで県内で玉ノ井部屋の合宿も行っていた。
地元の人との触れ合いも楽しかったし、浜風が吹き涼しく稽古しやすい気候で、また合宿に訪れたいと話す。
そして現在は、玉ノ井部屋に福島県出身の力士が4人いるということで、今後の活躍も期待したい。
十両・朝乃山が2日、所属する都内の高砂部屋で稽古を行い、若い衆を相手に約25本の一丁押しで立ち合いの当たりを入念に確認した。
前日1日は29歳の誕生日。
お祝いのメッセージは約70件届いたそうで「もう(来年で)30歳ですし、ゆっくりはできない。早く幕内へ行きたい」と決意を新たにした。
春場所の十両には朝乃山、栃ノ心、逸ノ城、徳勝龍と幕内優勝経験者が4人も名を連ね、十両で史上初となる栃ノ心との元大関対決も予想される。
「先場所よりは厳しい場所になるけど、そこでいかに自分の相撲を取りきって成績を残せるか、非常に楽しみ」とハイレベルな戦いを見据えた。
勝ち越せば幕内復帰確実の東十両筆頭。
「できれば大勝ちして(前頭)1桁台を狙っていきたい」と13勝以上を目標に定めた。
15戦全勝なら、一気に幕内上位へのジャンプアップも可能となる。
2023/03/02
真っすぐに己を貫き、幕内の土俵にたどり着いた。
大相撲春場所を新入幕で迎える武将山は「考えて器用なことができるタイプじゃない。押し込んで、迷わないで、集中する」と胸に刻む。
171センチ、171キロ。
丸っこい体で攻めていく取り口は、相撲を始めた小学2年生の頃から変わらない。
水戸市内にあり、藤島親方の父が指導する道場で基礎を学び、名門の埼玉栄高では主将を務めた。
憧れの存在だった師匠の下に入門。
初土俵から9年をかけて幕内力士の座を手にした。
高校の後輩に当たる大関貴景勝や小結琴ノ若らに出世では先を越された。
幕下時代は焦りもあったが、「最終的には、自分が弱いから上に行けない。やはり稽古するしかない」と心に誓った。
西十両筆頭で臨んだ昨年1月の初場所、2勝13敗とはね返され、1年後の先場所は同じ地位で9勝。
「少しは力がついたのかな」と謙虚に喜べば、真っ向勝負が身上だった師匠も「精神的にタフになり、負けても切り替えができるようになってきた」と成長を認める。
柔らかい表情が印象的な一方、本場所では「あまり笑わないし、極力しゃべらない。集中したい」という武骨さも魅力。
磨き上げた押し相撲を大阪の地で披露する。
春場所は宮城野部屋の凸凹コンビに注目!新入幕で大相撲春場所に臨む現役関取最長身2メートル4の北青鵬が1日、所属する都内の宮城野部屋で幕下力士を相手に15番、相撲を取った。
身長で33センチ低い雷鵬には後ろを取らせる絶体絶命の体勢からまわしをつかんで逆転するなど、まさに規格外の内容。
「工夫したつもり」と自ら考案した“ハンデ戦”の珍しい稽古も披露した。
一方、関取最小兵となる1メートル67の十両・炎鵬も同じ宮城野部屋所属で、見上げるような弟弟子を前に「面白いんじゃないですか」とニヤリ。
新十両の落合ら若手が台頭する部屋で「置いていかれないように」と小さな体に大きな責任感を宿した。
春場所の目標を大きく「2桁勝利と三賞」と公言する北青鵬に対し、初場所中に右眼窩(がんか)底を骨折した炎鵬は「15日間ケガなく」と控えめで、こちらも好対照。互いの魅力を発揮して、大阪の土俵を盛り上げる。
東十両筆頭で元大関の朝乃山が1日、29歳の誕生日を迎えた。
都内の同部屋で稽古し、幕下以下との申し合いで20番とって18勝2敗。
部屋の力士から祝福され「20代最後の年は、去年よりいい年にしたい」と抱負を述べた。
初場所は14勝1敗で十両優勝。
春場所での再入幕はならなかったものの「自分のやるべきことは何も変わらない。しっかり稽古して、土俵の上で白星を取るだけ」と落ち込む様子はない。
春場所へ向け「優勝を目指してやりたい」と意気込み、30歳までの目標を「今年は三役を目指していきたい」と宣言した。
港北区に4年ぶりに大相撲の熱狂が戻ってくる。
横浜アリーナで4月22日(土)、「相鉄・東急新横浜線開業記念?令和5年春巡業 大相撲横浜アリーナ場所」が開催される。
主催は、(株)横浜アリーナ、(株)テレビ神奈川、ランドマークエンターテイメント(株)
前回アリーナ場所が開催されたのは、2019年。
同社の30周年記念事業として、18年ぶりの開催となり大きな賑わいを見せた。
翌年も開催予定だったが、新型コロナの流行で中止に。
今回は、4年ぶりの開催となる。
2023/03/01
両膝痛で3場所連続休場中の横綱照ノ富士は28日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での朝稽古に姿を現さなかった。
関係者によると、ここ数日は膝の状態が思わしくなく、相撲を取る稽古を控えているという。
この日は部屋には訪れ、ストレッチやお湯で温めて回復に努めた。帰り際には「元気ですよ」とだけ答え、迎えの車に乗り込んだ。
一人横綱の照ノ富士は昨年9月の秋場所を途中休場し、10月中旬に両膝を手術。その後は2場所続けて全休している。
27日、の新番付を発表した。
新関脇に昇進した霧馬山は東京・両国国技館で会見。
会見場で初めて実物の番付を見たといい、横綱、大関に続いて自身のしこ名が記されていることに「よかった。うれしい」と、笑顔を見せた。
小結で臨んだ1月の初場所は、三役として初の2ケタ白星となる11勝を挙げた。
大関とりの起点となる好成績。
それでも大関を目指す意識を問われると「全然まだ。これから、もっと稽古して頑張らないと。『絶対に無理』と思ったこともあるけど近くまで来た。これから、やることをやっていくしかない」と、気を引き締めた。
右膝下部の負傷で初場所を途中休場していた高安が28日、東京・江戸川区の部屋で若い力士を相手に稽古をした。
この日は33歳の誕生日。
「あっという間ですね」と感想をもらした。相撲に打ち込んできたからこそ月日がたつのを早く感じるが、まだまだこれからだ。
「経験してきたことというのは、全部自分のためになりますから。いい経験ができている。その経験を生かすだけ」と気持ちを引き締める。
昨年は春場所、秋場所、九州場所と年3場所で優勝を争った。
苦い経験だったかもしれないが、それが最高の結果につながっていくと信じている。
「相撲を見てくれるファンのみなさんに喜んでもらえるようベストを尽くしたい」と春場所での健闘を誓った。
弟弟子の白まわし姿に満面の笑みがこぼれた。
大相撲春場所で新入幕の北青鵬が28日、都内の部屋で稽古した。
この日から関取の証ともいえる稽古用の白まわしを着けた新十両の落合について「白まわしを着けている落合と稽古をするのも不思議な感じでしたけど、うれしいです」と自分の事のように声を弾ませた。
落合との申し合い稽古では8戦全勝。
部屋頭としての実力を示し、春場所に向けて順調な仕上がりを見せた。
春場所について「良い形で場所に迎えたい。勝ち越して、自分の相撲を取って2桁勝って敢闘賞を取れたら」と意気込んでいた。
2023/01/23
千秋楽、大関・貴景勝が2020年11月場所以来、13場所ぶり3度目の優勝を果たした。
3敗同士となった東前頭13枚目・琴勝峰との相星決戦をすくい投げで制し、4場所連続平幕Vを阻止。
125年ぶりに1横綱1大関となり、横綱・照ノ富士も不在の中、出場力士最高位としての意地を示した。
春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)では再び綱取りに挑む。
千秋楽、史上3組目となる兄弟同時三役を務めた弟で関脇若隆景と、兄で新小結の若元春が千秋楽に勝ち、そろって9勝で場所を終えた。
来場所の新関脇が濃厚の若元春は「一日一日必死に取ってるんで。手応えとか考えてるひまがない。(番付も)あまり考えてないです」。
一方、若隆景は目指していた2桁には届かず、「力がついてる実感はありますけど、上を目指すうえでは力をつけていかなくてはいけない」と奮起していた。
千秋楽、小結の霧馬山が11勝をあげて、初の技能賞獲得に花を添えた。
東前頭5枚目・竜電との一番では立ち合いで左前みつを取った。
頭をつけるも膠着状態が続いたが機をみて巻き替えて寄り切り。
1分を超える相撲を制した。
息を整えて今場所を振り返り、「前に攻める相撲ができてよかった」と話した。
初の技能賞を受賞。
「初めてだしうれしいです」と充実した表情を浮かべた。
三賞は20年初場所の敢闘賞以来2度目。
八角理事長は「力をつけてますよね」と評価。
大関昇進への起点にもなり、来場所は足固めとなる。
同理事長は「隙を見せないでまわしをとったら勝負を付けるなどの相撲を取らないとダメ。もっと稽古しなければいい成績は残せない」とさらなる成長を促した。
千秋楽、幕内・阿武咲が関脇・豊昇龍に敗れ、勝てば受賞の条件付きだった敢闘賞を逃した。
低い立ち合いから押し込んでおいてのはたき込み。
勝ったかに思われたが、はたいた時に左手が豊昇龍のまげをつかんでいた。
「(まげに手が)入った感覚はありました。抜かなきゃと思ったけど抜けなくて…はたきにいった自分がダメでした。攻めきれなかった自分が悪いです」。
12日目を終えて単独首位に立つなど優勝争いを引っ張ったが、13日目から3連敗で10勝5敗。
「久しぶりに緊張やら普段味わえないような感情になりましたし、良い経験だった」と今場所を振り返り「またしっかり頑張るだけです」と潔く前を向いた。
千秋楽、東前頭13枚目・琴勝峰は完敗で初の賜杯を逃した。
大関・貴景勝との優勝を懸けた大一番。
15日制定着後では初めて千秋楽相星決戦に挑むことになった平幕は、立ち合いで起こされると、左差しを許した。
直後に転がされた。土俵に座り込むと悔しそうに顔をしかめた。
立ち上がったときに埼玉栄高の3学年先輩でもある貴景勝に左腕をたたかれた。
ねぎらわれると小さくお辞儀した。
自身2度目の結びを「いつもやっていた取組とは雰囲気が違った。実力不足だなと感じた」。
千秋楽で平幕として初めて相星決戦に臨んだことについては「光栄なこと」と胸を張った。
幕内で自身最多の11勝を挙げた。
初めて敢闘賞も獲得。
「(受賞は)うれしい。今場所は体がよく動いていて、肩の力も抜けていた」と話した。
秀ノ山親方は「すり足などもう1回相撲の基礎運動を見直した。そこら辺が相撲の動きに繋がってる」と明かした。
千秋楽、元大関の西十両12枚目・朝乃山は14勝目をマークし、来場所の再入幕を決定的とした。
14日目に優勝を決めた朝乃山が、再入幕を引き寄せた。
長身2メートルの北青鵬との立ち合いは左上手を取って右差し。
最後は出し投げで崩すように投げ飛ばした。
6場所ぶりの十両復帰場所を終え「15日間相撲を取れたことが幸せで、感謝の気持ちでいっぱい。(十両Vは)一つの通過点」と充実感をにじませた。
同10枚目以下での14勝以上Vは、15日制が定着した1949年夏場所以降では過去7例で、残留は59年秋場所・宇田川の1例だけ。
番付は他力士の成績に左右されるが、今場所は幕内に休場、引退力士を含めて最低4枠が空く見込みで昇進は決定的だ。
千秋楽、出場力士の番付最上位で臨んだ、大関貴景勝の優勝で幕を閉じた新年最初の場所。
15日中、12日で満員御礼の垂れ幕が下がり活況を取り戻した感のある初場所に、報道陣とのリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長も「いつも思うことだけど千秋楽を無事に迎えられて本当にホッとしています」と興行完走に安堵(あんど)の言葉を述べた。
コロナ禍前、最後の場所がちょうど3年前の初場所だった。観客制限など徐々に規制緩和し、今場所はマスク着用での声援も可能になった。
確実に以前の姿に進んでいるように思えるが、同理事長は「ファンの皆さんの後押しがあってこそで、私たちだけでは進められない。
たくさん(会場に)来ていただかなくては進めないことですから」と、あらためて相撲ファンへの感謝の念を伝えた。
その一方で「若くて元気のいい力士たちが本当に我慢している」と感染防止に徹している力士たちにも、ねぎらいの言葉を送った。
2023/01/22
14日目、1度は自力優勝が消滅していた大関貴景勝が、20年11月場所以来、2年2カ月ぶり3度目の優勝に王手をかけた。
関脇豊昇龍をはたき込みで秒殺。
左足首を痛めて10日目を休場し、立ち合い変化も考えられる難敵を、迷いなく攻めて完勝した。
今場所後の横綱昇進の可能性は極めて低くなったが、かえって土俵に集中。
最終盤にして「心技体」が充実し、同じく3敗の琴勝峰との千秋楽相星決戦を見据える。
14日目、若元春、若隆景の兄弟が今場所5回目の同日勝利で8勝6敗と勝ち越した。
若元春は玉鷲の当たりを食い止めて前に出ると相手の小手投げにも腕を抜いて対応し押し出し。
史上初となる兄弟同時で三役勝ち越しを決め「うれしいことだと思います。なんか気の利いたコメント出ないですけど(笑い)よかったと思います」と笑顔を見せた。
若隆景も下からの厳しい攻めで正代に快勝。
2人そろっての勝ち越しには「良かった」とホッとした様子だった。
大関候補に名乗りを上げた。
14日目、小結霧馬山が幕内阿武咲を突き落として10勝目(4敗)。
三役4場所目で初の2桁白星を挙げ、大関とりの起点を築いた。
取組後は「先場所は12日目に勝ち越してから3連敗。いい経験になった。明日(千秋楽)は自分の相撲を取って終わりたい」と残りの一番へ意気込んだ。
14日目、阿武咲は4敗に後退し、優勝争いから脱落した。立ち合いから勢いよく押していこうとしたが足が出ず、霧馬山の左突き落としにバッタリ。
「相手がずれた時に足が止まってしまいました」と振り返った。
12日目を終えて単独首位に立ったが、連敗で初優勝は夢と消えた。
意識しないつもりでもプレッシャーはあったようで「そのへんも含めて自分が弱かっただけです」と悔しさを押し殺すように言葉を紡いだ。
14日目、平戸海が連敗を3で止めて2場所連続の勝ち越しを決めた。
「とりあえずほっとしています」と胸をなで下ろした。
右四つから先に左上手を奪い、琴恵光に上手を与えないように左から引きつけて寄り切った。
「相手の力が強くて頭をつけようとしたが、その隙もなかった。苦戦でした」と顔をゆがめながら勝ち名乗りを受けた。
2桁勝利には届かないが「千秋楽は気合の入った相撲を取りたい」と意気込んだ。
14日目、「花のイチイチ組」と呼ばれる平成11年度生まれ。
同世代の豊昇龍、王鵬ら粒ぞろいの先陣を切る初優勝へ、琴勝峰が王手をかけた。
大栄翔の強烈な当たりを、琴勝峰はグッと踏み込み受け止めた。
まわしをつかむ。万全の体勢から寄り切った。
「立ち合いのことだけ考えて。本当によけいな力が抜けてる。(勝因は)そこだけだと思います」
千秋楽は埼玉栄高の先輩で、過去2戦2敗の大関貴景勝との一発勝負が組まれた。
最初の対戦では「いつも通りいこうと思ったんですけど、高ぶり過ぎたところがありました。ちょっと高ぶり過ぎた分、見られてはたかれました」と琴勝峰らしさを出すことができず沈んでいる。
対戦するのは12場所ぶり。
2年が過ぎた。
当時とは違う、成長した姿を見せる。
14日目、元大関で6場所ぶりに十両復帰した朝乃山が千代の国を寄り倒して13勝目。
1差で追っていた金峰山が敗れたため、千秋楽を待たず十両初優勝が決まった。
1月21日は2017年に死去した富山商時代の恩師である浦山英樹監督の命日。
「1つでも恩返しできたらと思って土俵に上がった」と天国に白星を届けた。
千秋楽も勝てば春場所での再入幕は濃厚。
処分中も支えてきた朝乃山富山後援会の青木仁理事長は「覚悟を持ってやっていた。かっこ悪くてもいいから勝ちたいと」と気迫が伝わった。
14日目は21日、満員御礼となった。
観客上限は通常の約91%に当たる1日約9700人で、千秋楽の22日は既にチケット完売。
日本相撲協会関係者によると、15日間で大入りは12日間となり、想定以上の集客だったという。
今場所から新型コロナウイルス対策の観戦ルールが一部緩和され、マスク越しでの声援が可能になった。
両国国技館は、力士らを呼ぶファンの声で盛り上がっている。
八角理事長(元横綱北勝海)は「戻ってきた感じがある。それに応える、いい相撲内容だ。ありがたい」と感謝していた。
2023/01/21
13日目、一人大関の貴景勝が3敗を守り、再びトップに並んだ。
“流血戦”の末、同学年のライバルで東前頭8枚目の阿武咲を押し出し、単独先頭の座から引きずり降ろした。
優勝争いのレベルを超えていた。
同学年で子供の頃からのライバル。
負けたくないという意地がぶつかり合った“鬼対決”だった。
貴景勝は作戦を練っていた。
立ち合いは頭で当たってすぐに左からのいなしで阿武咲の勢いをそぎ落とした。
その後は突っ張られて押されたが、右の強烈な張り手で再び勢いを止めた。
熱くなった阿武咲が右の張り手を返した時に右の脇が空いた。
その一瞬を貴景勝は逃さなかった。
中に入って一気に押し出した。
13日目、東前頭4枚目・錦富士が、平幕・明生をすくい投げで下し、4勝目を挙げた。
連敗を「5」で止め、「長かったなという思いと、連日負けていましたけど、ちゃんと準備して臨んでいたので、こうやって一つでも多く勝つチャンスが来たんじゃないかなと思います」と、白星をかみ締めた。
さらにこの日は土俵入りの際に、地元団体から成る「十和田市地域農業再生協議会」から贈られた化粧まわしを使用。
今場所から着け始めたといい、「地元の方々協力して作ってくれた物です。十和田はにんにく、長いも、ネギ、ごぼうが日本一ということで、その中でも一番有名なにんにくの『にんにん』というキャラクターみたいです。少しでもPRにつながればと思い、いろんな方に尽力いただき、作れた物です」と、地元の宣伝も忘れなかった。
13日目、たまり席近くまで吹っ飛ばされた阿武咲は、思わず顔をしかめた。
勝てば初の賜杯がグッと近づく一番を落とし、貴景勝と琴勝峰に並ばれる形に。
同学年の小さい頃からのライバルとの大一番だっただけに「張られたときにちょっとむきになって、右が空振りになった」と熱くなり過ぎたことを認めた。
「冷静にいこうと思っていたが…。自分が弱かっただけ。シンプルに悔しい」と唇をかんだ。
幕内後半戦の藤島審判長は「張られてからだけだった。そこまでは攻めていた。阿武咲はちょっとがくっときたような気がする」と分析。
「ライバル、優勝争いという意味でも今日勝てば、というのがあったと思う。そこから切り替えられるか」と背中を押した。
終盤の重圧は「特にない」と阿武咲。
痛い黒星だが、トップに変わりはない。
「切り替えてまた一生懸命やるだけ」と必死に前を向いた。
13日目、勝つか負けるかで今後の展開が大きく変わる阿炎との一番。
いつもは胸から当たって、まわしをさぐりにいく琴勝峰がもろ手で突いて出た。
相手の突っ張りを下からあてがいながら威力を半減させ、最後は右からいなし気味に突き落とした。
阿炎にすれば想定外の立ち合いだったに違いない。
不意を突かれその分、対応が後手に回った。
見方を変えればそれだけよく考えた琴勝峰の相撲だった。
13日目、西十両12枚目の朝乃山は、東十両5枚目の金峰山を突き落としで下し、12勝目を挙げた。
十両首位を並走する両者による大一番で、物言いが付く際どい勝負を勝ちきって1敗を守った。
14日目にも十両優勝の可能性が出てきた。
朝乃山は「周りのことは意識せず、自分との戦い」と先を見据えた。
日本相撲協会は20日、大相撲春場所後の4月に実施する春巡業の日程を発表し、東海、関東地方などを中心に15日間の開催となった。
春巡業は2019年以来4年ぶりの実施。
新型コロナウイルス禍で中止が続いた巡業は、昨年8月の夏巡業から再開していた。
2023/01/20
12日目、大関・貴景勝の今場所での綱取りが絶望的となった。
小結・霧馬山のすくい投げに屈して痛恨の3敗目。
突っ張ったが、前へ出られない。
空いた自身の右脇をすくわれて腹から落ちた。
取組後のリモート取材には応じず、国技館を後にした。
61年ぶりとなる4関脇4小結の中で、真っ先に勝ち越したのは、三役4場所目となる小結霧馬山だった。
大関貴景勝にすくい投げで勝ち、「真っすぐ自分の相撲を取る。その気持ちでやれた」と満足げに振り返った。
12日目、幕内・大栄翔が御嶽海を押し出して8勝目を挙げ、4場所ぶりの勝ち越しを決めた。
回転の良い突っ張りから相手の引きについていって押し出し。
気合の入った表情でまわしを一度たたき、4場所ぶりの勝ち越しをかみしめた。
「しっかり前に出ることを意識していた」と納得の内容だった。
12日目、平幕の阿武咲が2敗を守り、単独トップに立った。
迷いも、恐れも、今の阿武咲にはない。
この日の相手は2度の優勝経験を誇るベテラン玉鷲。
4連敗中と分が悪かったが、勢いに乗る26歳に、そんなことは関係なかった。
立ち合い、馬力のある玉鷲に対し、良い角度で当たって押し勝つ。
突き返されて土俵中央に戻されても前傾姿勢は全く崩れない。
次の瞬間、相手に引かせて、素早く反応。
足を送って一気に押し出した。
「我慢して下から攻められてよかったです。『下から、下から』。それしか考えていませんでした。変な緊張感もなく、のびのびやれています」。
快勝で2敗を守っても、その表情は引き締まったままである。
12日目、琴勝峰が3敗を守って9勝目を挙げた。
右四つで錦木に攻め込まれたが、右へ回り込みながらのすくい投げで逆転勝ち。
狙っていたもろ差しにはならなかったが「自分から動いたので対応できた」と落ち着いていた。
首位と1差で13日目を迎える展開にも「先頭ではないので気にすることなくやっています」とプレッシャーは感じず、自然体で逆転優勝を狙っていく。
12日目、平戸海のもろ手突きの立ち合い。
東龍は予想していなかった。
ただ、頭の中は冷静だった。
背中越しに左上手を取る。
そして投げた。
35歳8カ月でのうれしい幕内初勝ち越し。
34歳11カ月という高齢新入幕記録を持つ小野錦が35歳6カ月で初勝ち越ししたのを上回る、昭和以降の新入幕力士の最高齢記録だった。
12日目、大関経験者で西十両12枚目の朝乃山が、東十両13枚目の湘南乃海を寄り切りで退けて11勝目を挙げた。
前日の11日目に初日から続いていた連勝が10でストップしたが、黒星を引きずることなく、白星を積み上げた。
十両優勝へ、残り3番。
「しっかり自分の相撲を取りきって、良い結果で終わりたいです」と誓った。
2023/01/19
11日目、前日休場し、再出場の関脇・豊昇龍は、東前頭4枚目・錦富士を寄り切って7勝目を挙げた。
豊昇龍が執念で白星を引き寄せ、勝ち越しに王手をかけた。
左足首の捻挫で10日目を休場も、この日から再出場。
右に少し動きながら右上手を取ると、左前みつもつかんで引きつけた。
上手投げで相手の体勢を崩して寄り切った。
「まわしを取ることしか考えていなかった。しっかりこらえてよく集中できたと思う。勝って良かった」と安どした。
不戦敗の翌日に再出場して白星を挙げるのは、21年秋場所の剣翔以来だった。
八角理事長は「執念は立派」と、たたえた。
ただ、この日は取組前から左足を気にするそぶりを見せ、勝利後も足を引きずる場面があるなど、負傷の影響は色濃く残る。
それでも「最後までやる」と力強く宣言した。
11日目、関脇・豊昇龍が執念で白星を引き寄せ、勝ち越しに王手をかけた。
東前頭4枚目・錦富士との立ち合いでは、右に少し動きながら右上手を取った。
左前みつをつかんで引きつけ、最後は上手投げで相手の体勢を崩して寄り切った。
「まわしを取ることしか考えていなかった。しっかりこらえてよく集中できたと思う」と振り返った。
11日目、取組後の取材で琴ノ若は「思い切って行った」と3度口にした。
埼玉栄高の1学年上の先輩でもある大関の圧力に引かない強い気持ちがあった。
立ち合いで遅れた貴景勝の隙(すき)を見逃さず、しっかりと踏み込んだ。
強烈な押しをこらえて前に出続ける。
大関に張られても冷静で、中に入ってひっくり返した。
11日目、迫力満点だった。
38歳の玉鷲が激しい突き押しで32歳の錦木に勝利。
ベテラン同士の白熱の一番に館内は沸いた。
喉輪で先手を取り、腰の重い錦木を突き起こす。
粘られても攻め続けて前進すると、最後は相手が根負けしたかのように土俵を割った。
「自分の考えた通りの相撲」。納得の内容で勝ち越しを決めた。
愚直な押し相撲はもろさもはらむ。
6日目には、立ち合いで動いた若隆景に苦杯を喫した。
それでも「前に出る。はたかれてもいい」。
そんな潔さが玉鷲の魅力だ。
昨年9月の秋場所で2度目の優勝。
しかし、三役に復帰した11月の九州場所は、6勝9敗と星を伸ばせなかった。
年が変わって臨む今場所は「いい環境でできている」。
心機一転、本来の力強い取り口で白星を重ねている。
貴景勝が2敗に後退し、トップとは1差。
賜杯を抱くチャンスは膨らんでいる。
昨年の優勝で、周囲から「2度あることは3度ある」と期待されているという。
気力は充実。
経験も豊富な玉鷲が、終盤戦を盛り上げそうだ。
11日目、東前頭8枚目の阿武咲は東同13枚目の琴勝峰との2敗対決を制した。
立ち合いで右を差す形となったが、下がりながらの右すくい投げで裏返した。
突き押しが得意なだけに、思い通りの展開とはならなかったが、「しっかり落ち着いて取れた」とうなずいた。
琴勝峰は過去4勝1敗と合口は良かったものの、「ものすごく柔らかくて粘りのある力士」と警戒心を緩めず、白星につなげた。
開業間もない新横浜線で、4年ぶりとなる「大相撲巡業」を観に行きませんか。
「新横浜線(相鉄・東急直通線)」の開業(3月18日)から1カ月ほど後となる今年(2023年)4月22日(土)、新横浜駅近くの横浜アリーナでは大相撲の春巡業「横浜アリーナ場所」が予定されています。
2023/01/18
10日目、一人大関の貴景勝が難敵を退け1敗を守った。
過去5勝5敗と五分の小結・明生に右差しを許したが、小手投げでねじ伏せた。
単独トップの座も堅持。
ただ、取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「貴景勝は焦ってはいなかったですね。明生がまわしにこだわりすぎた」と分析。
懸命に一人大関の責任を果たす姿を「よくやっていると思いますよ」と、たたえた。
豊昇龍が左足首を捻挫し10日目に休場した。
3敗目を喫した9日目の若元春戦で痛め、初場所の休場を要すると診断されたが、11日目から再出場する。
錦富士戦が組まれた。
豊昇龍は昨年3月の春場所で新小結に昇進。
それ以降は負け越しがなく、同11月の九州場所では11勝を挙げた。
10日目、新小結の若元春が3連勝。
うるさい翔猿を正面に置き、左を差してつかまえると一気に押し出し。
「落ち着いて取れた。圧力をかけながらじわじわ攻められた」と納得した。
1月17日は祖父の元小結若葉山の命日。
三役として初めて迎えた特別な日に、会心の白星を挙げた。
「毎日、自分ができる精いっぱいを心掛けている。自分の相撲を取り切るだけ」。
気負いは感じさせず、終盤戦をじっと見据えた。
10日目、玉鷲が大栄翔との激しい一番を制した。
同じ突き押し自慢の相手に「絶対に負けたくなかった」。
互いによく手を出し、いなされて土俵際まで後退しても、うまく体を開いて突き落とした。
7日目から白星を四つ並べて7勝。
勝ち越しを目前にしたベテランは「意識しないで、きょうみたいに盛り上げられたらいいと思う」と肩の力が抜けている。
10日目、目の覚めるような出足だった。
阿武咲は左を差して一気に寄る。
土俵際での錦富士の突き落としにも構わず前進。
「集中して取れた」。完勝だった。
錦富士とは青森・三本木農高で同学年。
阿武咲は高校を中退して一足先に角界入りした。
「小さい頃から知っているので、負けたくない気持ちはある」。
昨年7月の名古屋場所での初対戦に続き、手の内を知る相手を圧倒した。
10日目、期待の若手の一人が土俵を盛り上げている。
23歳の前頭13枚目、琴勝峰が幕内で自身最速となる10日目で勝ち越しを決めた。
取り直しになった宇良との一番。
突っ張って前に出ると、懐に潜られ、右足を取られたが、こらえて最後はふり払うように突き落とした。
「何も考えず、気持ちだけでいこうと思った。肩の力は抜けていたので良かった」とくせ者の奇襲にも冷静に対応した。
10日目、元大関の十両十二枚目・朝乃山が十両四枚目・東白龍を押し倒しで下し、初日から10連勝を飾った。
圧倒的な実力を見せた朝乃山は幕内復帰へと近づき、ファンも「つええ」「10勝素晴らしい」と大盛り上がりの様子を見せていた。
2023/01/17
9日目、大関・貴景勝が3日目からの7連勝で1敗を守り、単独トップに立った。
西前頭4枚目・佐田の海に鋭い出足で頭から当たった。
そのまま突っ張り、一気に前進した。
佐田の海に何もさせず、押し出した。
この日は1敗で並んでいた琴勝峰が2敗に後退し、単独トップに。
リモート取材には応じなかったが、八角理事長は「いい押しをしましたね」と、うなった。
9日目、下からの攻めからタイミング良く引き、竜電をはたき込みで退けた。
「先に先に攻めようと思ったのが良かったと思います」。
100点満点の内容ではないだろうが、今場所初の連勝を決めた。
9日目、若元春はすくい投げで豊昇龍を破った。
福島市から駆け付けた両親が見つめる土俵で、若元春が存分に持ち味を発揮した。
関脇豊昇龍との三役同士の一番。
立ち合いが一度、合わなかったが、「逆に『待った』があったからこそ落ち着けた。ひと呼吸置いて自分の立ち合いができた」と、しっかり当たって右のど輪で相手をのけぞらせる。
果敢に先手を取り、ここで左を差せたことが勝因だ。
豊昇龍が局面を打開しようと小手に振ってくると、うまく体を寄せ、投げの打ち合いを、すくい投げで制した。
9日目、ベテランの前頭二枚目・玉鷲が前頭筆頭・翔猿を一気に押し出し、6勝目を挙げた。
敗れた翔猿が遠くへ吹き飛ぶほどの玉鷲のパワーに、解説の西岩親方も「40歳、大関目指せるんじゃないですか」と太鼓判を押した。
9日目、宇良が手品師のような動きを見せて、6勝目を挙げた。
幕内通算100勝目の節目となり、取組後は「そうなんですか? よく頑張っていると思います」と笑顔で自画自賛した。
錦富士と突き合い、頭を上げずに応戦すると、最後は引いてはたき込み。
よろめく相手には触れず、両手で手招きをするように、ぱたぱたと空中を何度もあおぎ腹ばいにした。
空気の力で相手を倒したようにも見える取組に館内も沸いた。
けがから復活した角界きっての人気力士も30歳になったが、「まだまだ伸びしろがある。イケイケな相撲を取れるように頑張ります」と誓った。
9日目、阿武咲が連敗を免れて2敗を守った。
勢いよく頭からぶつかり、一気の出足で北勝富士を圧倒。
理想の立ち合いに「とにかくしっかり当たり、圧力を伝える意識だった」と満足そうだった。
今場所は持ち前の馬力が光る。
「集中して取っている。残りも一番一番、取れればいい」と表情を引き締めた。
9日目、大関経験者で西十両12枚目の朝乃山が初日から負けなしの9連勝とした。
西十両8枚目の北の若を寄り切りで下した。
6日目以降単独トップを続け、十両優勝へひた走る。
「自分より上背があり、まわしを取られたらやっかいだと思ったので、しっかり踏み込んで前に前に攻めれた」と振り返った。
「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」との気持ちを持ちながら土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての実力を見せつけている。
全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。
この勢いのまま、いまだ手にしていない十両優勝へ白星を積み重ねる。
2023/01/16
8日目、大関・貴景勝が6連勝を飾り、1敗を守った。
東前頭4枚目・錦富士との一番は激しい突っ張り合いに。
押し込んだが攻めきれず、相手の反撃を許した。
それでも最後は左に回り込んではたき込んだ。
7日目の翠富士戦に続き、取組後は口の周辺から出血。
顔を赤く染め、花道を下がった。
取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「内容も引いてではなく、横からのいなしが効いていますよ。足が一歩出ている、立ち合いがいいから、流れがいい感じ。しぶとく勝つことを覚えてきた」と評価した。
中日、新小結若元春と関脇若隆景が兄弟三役として今場所2度目の同時白星を挙げた。
最初だった6日目は若元春が不戦勝だったが、この日は兄の若元春が正代を寄り切って4勝4敗。
若隆景も翠富士を送り出して星を五分に戻した。
若隆景は「いつも通り下から攻めようと思っていた。集中して相撲を取っていきたい」と後半戦を見据えた。
中日、豊昇龍は2敗を守った。
立ち合い、前に出てきた佐田の海をよく見て右へ変化し、よろめかせた。
ひと押しで送り倒し、「一日一番、大事に相撲を取りたい気持ち」と淡々と振り返った。
優勝争いの先頭を走る大関貴景勝と平幕琴勝峰を1差で追う後半戦。
叔父が元横綱朝青龍の23歳は「自分の相撲を取って最後まで頑張りたい」と誓った。
8日目、立ち合いからの出足で見せ場を作った正代だが、新小結の若元春に体を入れ替えられ、最後は寄り切られた。
土俵に手をつくと、1場所での大関返り咲きがなくなったことを受け止めるように、息をはいた。
取組後の取材にも応じず、国技館を後にした。
大関に昇進した頃の勢いのある踏み込みは影を潜めた。
初日から連敗し、初白星を挙げた3日目の取組後は「(踏み込みに)ちょっとまだ不安が残るところ。(右)足が気になっていた」と首をかしげた。
「ここから内容もこだわっていけたら」と前を向いたが、その後も調子を取り戻せなかった。
8日目、前半戦を5勝3敗で折り返した霧馬山は「自分の相撲で前にと思った。勝てて良かった」と表情を緩めた。
阿炎の踏み込みが弱いとみるや、逆に相手の得意とするもろ手で先制攻撃。
相手を受け身にさせて一気に押し出した。
昨年春場所から5場所連続勝ち越し中。
大関・貴景勝らとの対戦も残しており、後半戦のキーマンは「一日一番、しっかりやります」と気合十分に話した。
8日目、東前頭4枚目・錦富士は自身初の結びの一番で、大関・貴景勝にはたき込みで屈し、5敗目(3勝)を喫した。
満員御礼となった国技館の結びにふさわしい激闘を繰り広げたが、あと一歩及ばず、「結果として負けてしまったので悔しい」と唇をかんだ。
8日目、東前頭13枚目・琴勝峰が1敗を死守した。
西同16枚目・千代丸との一番。
立ち合いからのもろ手はかわされたが、落ち着いて対処し、最後は押し出した。
「もろ手で来ると思ったので、先手で行こうと思った。うまくいったと思う」と振り返った。
8日目の15日、西十両12枚目の朝乃山は、東十両10枚目の豪ノ山を小手投げで仕留め、8連勝で無傷の勝ち越しを決めた。
単独首位をキープしたまま順調に折り返した朝乃山は「自分の中では通過点。また明日もある。切り替えて思い切っていきたい」と前だけを見据えた。
2023/01/15
7日目、貴景勝が翠富士の挑戦を受けた結びは、互いに張り手を繰り出す激しい一番に。
右差しを許して寄られたところ、こん身の小手投げで裏返しにして退け、「満員御礼」の垂れ幕が下りた館内は大いに沸いた。
八角理事長は「熱くなったね。最後は強引だった」と内容は褒めなかったが、ただ一人出場する看板力士として責任を果たしている。
7日目、連敗せず1敗をキープできるか、片や大関とりの足固めにするためにも3連敗を避けられるか。
この日の好一番だった1敗の平幕阿炎と2敗の関脇豊昇龍の一番は、足腰の良さを見せた豊昇龍に軍配が上がった。
阿炎の得意のもろ手突きからの攻めを、下からあてがいながら防ぐ豊昇龍。
阿炎の攻勢が続いたが、その阿炎が伸ばした右腕を手繰った豊昇龍が体を入れ替えた。
同時に左の上手を深い位置でとり、そのまま体を寄せ寄り切った。
豊昇龍は連敗を2で止め、一方の阿炎は連敗で優勝争いで先頭集団から後退した。
ここまで4勝1敗と過去の対戦成績の相性がそのまま表れるような一番に、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「豊昇龍がうまく(阿炎の右腕を)はね上げた。突っ張りも(阿炎の手を)あてがいながら、うまく回転させなかった」と対応力の高さをほめた。
阿炎の突っ張りに体が立ったが「やっぱり足腰がいい。(突っ張られて体が)弓なりになっているけど(しっかりと)あてがっていた」と身体能力の高さもあらためて評価していた。
7日目、1場所での大関復帰を狙う関脇・正代が崖っぷちに立たされた。
西前頭2枚目・玉鷲にいいところなく突き出され、5敗目。
1場所での大関返り咲きには10勝が必要だが、前半戦で1つも落とせない状況に陥った。
八角理事長は「気持ちで負けていますよ」とメンタル面を指摘。
幕内後半戦の藤島審判長は「自信なさげですよね。本人しかわからないが、可能性がある限り頑張ってもらいたい。復帰とかじゃなくて、まずその日の一番に集中してほしい」とゲキを飛ばした。
7日目、よく伸びる腕に、大栄翔の好調ぶりがうかがえる。
鋭く当たって押し込み、素早い佐田の海が回り込もうとするのを許さない。
一気に土俵下へと吹っ飛ばし、「立ち合いから流れが良かった」と声を弾ませた。
3日目の貴景勝戦こそ、激しい攻防の末に土俵際で逆転を許したが、持ち味を存分に生かして6勝目。
「勝っていることで自信がつき、思い切り取れているのは間違いない」と手応えを感じている。
7日目、は前頭の阿武咲が平戸海を寄り切り、1敗を守った。
阿武咲の迫力が際立つ今場所だ。
生きのいい若手の平戸海を圧倒して、1敗を堅持。
一人大関・貴景勝としのぎを削った小結経験者が躍動している。
貴景勝と同じ押し相撲が身上。
平戸海との立ち合いは互角だったが、足は止まらなかった。
「前みつを取りたかった」という相手の動きを封じ、一気に寄り切った。
「しっかり押せたので良かった」。
勝ち負けにかかわらず、必ず取材に応じる律義な力士のいつもと変わらない口調に手応えがにじんだ。
7日目、14日に現役引退を発表した元関脇隠岐の海改め君ケ浜親方が、9月30日に東京・両国国技館で自身の引退相撲を行うと発表した。
同日、さっそくSNSを開設。自身のツイッター(@sumokamen)で「八角部屋の元隠岐の海です。本日をもって18年の現役生活を引退する事となりました。全国のファンの皆様方には沢山のご声援、激励を賜りまして、本当に有難うございました。今後は親方として頑張ります。宜しくお願い致します」とファンに報告した。
2023/01/14
6日目、一人大関の貴景勝が、先場所の優勝決定ともえ戦で敗れた東前頭3枚目・阿炎に雪辱を果たした。
低く立つと、左からおっつけ気味に攻めて体を入れ替え、最後は押し出した。
取組後のリモート取材には応じなかった。
ともえ戦に敗れた一番を含めると5連敗中だった“天敵”との取組を快勝した。
全勝が消え、1敗を守りトップにも並んだ。
八角理事長は「突っ張られてもうまく下からいなして、落ち着いていた」と評価していた。
関脇高安が初場所6日目から休場した。
高安は4敗目を喫した5日目の琴ノ若戦で右膝を痛め、日本相撲協会に「右脛骨(けいこつ)近位端の骨挫傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出。
6日目、大関復帰を目指す関脇正代が幕内翔猿を押し出して2勝目(4敗)。
胸から当たって前へ出ると、逃げ回る相手に圧力をかけ続けて押し出した。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、国技館を後にした。
昨年11月の九州場所はカド番で負け越して、大関から陥落。
1場所で返り咲くためには10勝が必要となる中、崖っぷちの手前で踏みとどまった。
土俵下で審判長を務めた佐渡ヶ嶽親方は「本来の相撲を取れていた。あの相撲を取っていれば、星は伸びる。これがきっかけになるかもしれない」と期待した。
6日目、大栄翔は小結霧馬山を押し出して1敗を守った。
「しっかり突きを当てられた。立ち合いからよかったと思う。前に出る意識があるんで、いい相撲だなと思います」と自画自賛。
大混戦の場所で2年前の初場所を制した経験は大きな武器。
「場所前もしっかり前に出る稽古をしてきた。そのままの相撲がとれている」と確かな自信を胸に残り9日間に臨む。
6日目、阿炎は勝てば単独トップという結びの一番で、今年初黒星を喫した。
貴景勝に間合いを詰められ、持ち前の回転の速い突っ張りが不発のまま押し出された。
昨年九州場所で初優勝。
勢いに乗って今場所は初日から5連勝した。
平幕優勝した力士の翌場所の初日からの連勝としては、1933年(昭8)5月場所で当時小結、後の横綱男女ノ川の最長記録に並んでいた。
初日から6連勝で、90年ぶり更新とはならなかったが、依然トップ。
次は史上初の平幕での連続優勝を目指す。
6日目、翠富士が粘りを発揮し、豊昇龍との物言いがついた一番を制した。
土俵際まで追い詰められ、左から突き落とし。
自身も土俵下に落ちる際どい勝負だっただけに「ドキドキした」が、軍配は変わらず、4勝目をつかんだ。
3場所続けて幕内上位で戦う。
同年代も多い三役以上の力士への対抗心は強く、「自分で引きずり落とすつもりで勝っていく」と鼻息を荒くした。
6日目、阿武咲は連敗を免れて5勝目。
碧山の重い突きをはね上げながら、引き技にも足を止めずに前へ。
ベテランに土をつけ、「圧力負けせず、下からいこうと思っていた」と威勢が良かった。
好内容が目立つ今場所。
「あしたもしっかり集中して相撲を取るだけ」と気合を入れた。
引退する意向を固めたことが明らかになりました。
隠岐出身のベテラン力士が土俵を降りることになりました。
隠岐の海は、初場所6日目の13日に休場を発表。
TSKが関係者を取材したところ「限界を感じた」として引退を決意したことを、すでに複数の関係者に報告しているということです。
隠岐の海は、島根県隠岐の島町出身の37歳で、2005年に初土俵を踏み、2015年の春場所で自身最高の番付となる「関脇」に昇進しました。
身長189センチの恵まれた体格を生かした取り組みで、殊勲賞を1回、敢闘賞を4回受賞しています。
初土俵から18年…107場所に出場したベテラン力士が土俵を降りることになりました。
2023/01/13
5日目、結びの大関・貴景勝と西前頭2枚目・玉鷲との一番は、3度の待ったによる立ち合い不成立があった。
なかなか呼吸が合わず、4度目でようやく立ち合い成立。
相撲は、貴景勝が電車道で押し出して1敗をキープした。
貴景勝、玉鷲ともに取組後のリモート取材には姿を見せなかった。
幕内後半戦の粂川審判長は「相撲(内容)はいいが、待った3回は良くない」と苦言。
取組後に両力士を呼んで口頭で注意したことも明かした。
5日目、役力士でただ1人、無傷で優勝争いを引っ張っていた関脇豊昇龍に、今場所初黒星がついた。
初対戦から連敗も、その後は4連勝中だった平幕の大栄翔と対戦。
立ち合いで左から張って押し込んだが、残された後は押し込まれ、突き倒しで向正面の土俵下に吹っ飛ばされた。
5日目、関脇正代が小結明生に押し出されて4敗目(1勝)。
本来は格下の相手に一方的に攻め立てられ、力なく土俵を割った。
取組後は報道陣のオンライン取材に応じず、帰路についた。
昨年11月の九州場所はカド番で6勝9敗と負け越し、大関の地位から陥落。
今場所で10勝すれば復帰できる中、序盤の5日間で早くも厳しい状況に追い込まれた。
土俵下で審判長を務めた粂川親方は覇気のない相撲内容に「正代は、ずっと同じことを言うんだけど…」と口にしかけてから「どうなんでしょう」と言葉をのみ込んだ。
5日目、大栄翔は三役以上で唯一、勝ちっぱなしだった豊昇龍に土をつけた。
立ち合いこそ押し込まれたが、押し返し、最後は突き倒し。
「押し込まれたけど、当たれていたし、そのまま落ち着いて、慌てずに最後まで攻められた」と胸を張った。
これで関脇4人全員を撃破。敗れた3日目の貴景勝戦を含め、好内容の取組が続く。2年前の初場所では優勝しており「あの時と同じように意識せずにやりたい」と冷静に話した。
5日目、東前頭2枚目・御嶽海は西小結・若元春に寄り切りで敗れ、3連敗となった。
鋭い立ち合いから一気に土俵際まで追い詰めるものの攻め切れず、反撃に遭って土俵を割り、2勝3敗と負けが先行した。
6日目の13日は、2勝3敗で並ぶ東前頭4枚目・錦富士と対戦する。
先場所は御嶽海が寄り切りで敗れている。
5日目、先場所初優勝の阿炎が、勢いを止めない。
関脇若隆景を、立ち合いのもろ手突き一発でバランスを崩させ、そのまま休まず攻勢を続け、わずか1秒5の速攻相撲で突き出した。
破壊力ある阿炎の相撲に、報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「(もろ手突きは)タイミングが良かった。(小兵の若隆景は)的が小さいから阿炎も思いきっていけないだろうと思っていたが、思い切っていった」と阿炎の迷いのなさも評価した。
若隆景の胸中を察するように「肩に力が入りすぎた。阿炎の突きが強いだけに、早く突っ込まないと、と思って肩に力が入りすぎて柔らかさがなかった。仕方ないが」とも話した。
5日目、東前頭10枚目の碧山が昨年夏場所以来となる初日からの5連勝を飾った。
西前頭8枚目の王鵬との一番は突っ張り合いから、引いて呼び込む場面が何度かあったが、最後は体を右に開いての上手投げで決めた。
「粘って、粘って。よく我慢した」とする一方で、内容については「あまり良くはない」と反省も口にした。
序盤の5日間を振り返り、「悪くない」と手応え。
中盤戦に向けては「まだまだ分からないけど、一日一日ケガしないように」と気合を入れ直す。
この日から同部屋で1歳年下の西前頭11枚目の栃ノ心(春日野)が休場となり、「早く元気になってほしい」と思いやった。
5日目、東前頭13枚目の琴勝峰が、関取としては自己最長に並ぶ、初日から5連勝を飾った。
寄り倒しで水戸龍を破り、阿炎、碧山と並び、3人となった無敗の一角に名を連ねた。
高校時代からライバルの関脇豊昇龍とともに、189センチの長身から将来を期待されながら、最近は4場所連続で負け越し。
年男の今年最初の場所で、うさぎ年らしく飛躍を予感させる序盤戦全勝通過を飾った。
2023/01/12
4日目、大関・貴景勝は3勝目を挙げた。
まさに電車道。
低い立ち合いから突っ張って頭で当たる“貴景勝スペシャル”で元大関の御嶽海を圧倒した。
今場所は集中力が一段と研ぎ澄まされている。
2日目の翔猿との一番は前に倒れての黒星。
気にすることはない。
3日目の大栄翔は粘り強く突き落とした。
テレビ解説の錣山親方も言っていた。
カエルのようにピョコンと跳び上がる立ち合いを見せた時は調子がいい証拠。
優勝した場所もカエルの立ち合いが顕著だった。
4日目、馬力自慢の玉鷲の当たりにも、豊昇龍はひるまなかった。
いなされ、土俵に手をつきかけても、ぐっとこらえる。
昨年は右足のけがに苦しんだが、今場所は下半身が崩れない。
すぐに向き直ると、まわしを探って反撃。
2本差してつかまえ、一気に寄った。
実力者との土つかず同士の一番を制し、「集中して自分の相撲を取り切れた」と自賛した。
八角理事長は「前につんのめっても足腰が良いから残れる」と評価した。
4日目、1場所での大関復帰を目指す関脇・正代が早くも3敗目を喫した。
先場所覇者で東前頭3枚目・阿炎にのど輪混じりの突きに防戦一方。
なすすべなく突き出された。肩を落として花道を引きあげ、リモート取材には姿を現さなかった。
3日目は新小結・琴ノ若から新年初勝利を挙げた。
初日からの連敗も止め、「ここから上げていきたい」と巻き返しを誓っていたが、今場所3連勝中の阿炎に屈した。
藤島審判長は「今日勝つと大きかった。でもあと2回負けられるという気持ちで最後まで諦めずにやってほしい」と激励した。
4日目、大栄翔は若隆景に何もさせなかった。
もろ手で突いてから一気に押し込み、最後は喉輪でとどめ。
「立ち合いでしっかり当たれた。足も出ていい攻めだった」と満足そう。
大関貴景勝には惜敗したものの、関脇から3勝を挙げる好発進。
「まだ序盤だが調子がいいことに変わりはない。しっかり集中してやっていく」と気合を入れ直した。
4日目、東前頭2枚目・御嶽海は西大関・貴景勝に押し出しで敗れ、連敗を喫した。
厳しい攻めになすすべなく土俵を割り、2勝2敗の五分となった。
4日目、昨年11月の九州場所で初賜杯を抱いた東前頭3枚目・阿炎が、今場所から関脇に転落した正代を突き出しで下し、無傷4連勝を飾った。初Vの波に乗る28歳は、「しっかりと自分の相撲が取れていると思います」と充実感を漂わせた。
先場所まで大関だった正代との立ち合いは、もろ手突きからの強烈な右のど輪で相手を起こした。
相手の左からのおっつけにも動じず、回転のいい突っ張りで攻め続け、力強く土俵外へと突き飛ばした。
元大関から完璧な内容で白星を挙げ、「集中して取れた一番だと思います」とうなずいた。
4日日、阿武咲が相撲巧者の遠藤を力強く押し出し、初日から4連勝を飾った。
「落ち着いてとれたと思います」と冷静に振り返る。
連勝にも「特に何も考えることはない。やることは変わらないんで、また明日に集中して頑張りたい」と言いつつ、「稽古もしっかりやってきたんで」と自信ものぞかせる。
同じ13年に初土俵の阿炎の優勝に刺激を受け、白星を積み重ねていく。
4日日、碧山は輝に攻め込まれながら、絶妙なタイミングで引き落とし、初日から4連勝を飾った。
「最後、何とか勝ててよかったです。体は動いていると思います」と手応え十分。
17年名古屋場所で13勝、19年春場所でも12勝と優勝争いも経験している。
観客が入り「何年間かこんな雰囲気なかったので、応援はうれしい。自分は相撲に集中してますけど」と力にしている。
2023/01/11
3日目、一人大関の貴景勝が、連敗を阻止した。
過去15勝5敗の西前頭筆頭・大栄翔との一番は激しい突き合いに。
最後は土俵際へ追い込まれたが、右へ体を開いてかわし、突き落とした。
唇からは2日連続で出血。取組後のリモート取材には姿を見せなかった。
高いレベルでの優勝なら綱取りの可能性もある今場所。
連敗は許されない状況だったが、2勝目。
八角理事長は「だいぶ押されたが、よく引かずに我慢してやっていた」と振り返った。
幕内後半戦の佐渡ケ嶽審判長は「見応えのある一番だった。お互いにいい内容の相撲で、貴景勝は下から下から突き返しながら自分の間合いで相撲を取っていた。しっかり修正できていると思った」と評価していた。
3日目、動きのいい翔猿をつかまえると、流れるような攻めで力の違いを見せつけた。
連敗を免れた若隆景は「しっかり一日一番という気持ちでやっている」と淡々。
自らに言い聞かせるようだった。
翔猿には先場所で敗れた。
今場所2日目には大関貴景勝を破った相手だが、「先に攻めることができた」と積極性が戻った。
右四つに組んで動きを止めると、上手出し投げで泳がせて、すかさず送り出し。土俵下の佐渡ケ嶽審判部長は「自分の形。慌てなかった」と評価した。
3日目、豊昇龍の強烈な引きつけ。
大関から陥落したとはいえ、実力者であることに変わりはない御嶽海に、反撃の余地すら与えない。
一歩、また一歩と余裕すら感じさせる寄りで全勝を守った。
「しっかりと集中できてるんで。しっかり落ち着いてるんで。この気持ちで頑張ります」。
3連勝にも「気にしてないんで。一日一番、集中して頑張ります」。
相撲と同様に、コメントからも落ち着きが感じられた。
3日目、1場所での大関復帰を目指す関脇・正代が3日目で新年初白星を挙げた。
新小結・琴ノ若にやや立ち遅れたが、左を差して出足を受け止めた。
体を入れ替えて押し出し、「いい内容ではなかったが、とりあえず初日が出て良かった」と胸をなで下ろした。
取組後に右足を気にする場面もあり、「足に体重をかける相撲を取ってしまったので、嫌な感じはした」と話しつつ、「大丈夫」と明かした。
3日目、東前頭2枚目の御嶽海は西関脇の豊昇龍に寄り切られ、3連勝はならず初黒星を喫した。
豊昇龍には通算3勝4敗。
4日目は結びで西大関の貴景勝と当たる。
3日目、関取最年長38歳の玉鷲が、関脇に復帰した高安を右喉輪中心に土俵際から攻め返して押し出し、初日から3連勝と星を伸ばした。
「体が勝手に動いた。凄く良かった」と満足感をのぞかせた。
これで高安戦の対戦成績を17勝17敗の五分に。
「聞けば長いけれど、やる方にとってはアッという間です」。
2人合わせて70歳対決を制し、意気揚々と両国国技館を引き揚げた。
3日目、勢いだけでなく、安定感も出てきた。
先場所優勝の平幕・阿炎が1歳下の小結を攻め切り、序盤から星を伸ばしている。
立ち合いから明生に踏み込まれても、慌てなかった。
相手が手繰ってきたところを突いて前に出て、最後は押し出した。
土俵下の佐渡ケ嶽審判長は「出足は明生が良かったが、阿炎が腕も肘も伸びていた。先場所と変わらず、調子はいいんじゃないでしょうか」と評価した。
3日目、前頭七枚目・宇良と前頭八枚目・王鵬の一番で、宇良が秀逸な“時間差立ち合い”を披露。
駆け引きの巧みさに、ファンも「すげえ」「タイミングずらした」と驚く一幕があった。
立ち合い仕切り線に先に両手をついたのは王鵬。
一方、宇良はゆっくりと腰を下げると、右手、左手と順に手をついていく。
宇良はすぐにつっかけると思わせながら両手をついたまま動かず、王鵬はたまらずふわりと体を起こしてしまう。
すかさず相手の懐に潜り込んだ宇良は、一気の攻めを見せて押し出しを決め、2勝目となる勝ち星を挙げた。
3日目、阿武咲が初日から3連勝とした。
最初の相撲は押し込んでいった土俵際ではたき込まれて同体取り直しに。
「集中力を切らさずいけた」と次は最後までしっかり足を運んで妙義龍を押し出した。
「押そうという気持ちだけでやりました」。
自分の相撲を貫き、10勝を挙げた昨年初場所以来の3連勝スタート。
4日目以降へ「集中してやるだけ」と気を引き締めた。
2023/01/10
2日目、一人大関の貴景勝に、早くも土がついた。
連日の満員御礼となった国技館の大歓声を、はいつくばった屈辱の土俵上で浴びた。
出場番付最高位の一人大関として結びを務める貴景勝と、くせ者・翔猿戦。立ち合いは右で張られると、出足が止まった。
相手の素早い動きに呼応するように前に出ると、最後は巧みなはたきを食ってバッタリと倒れ込んだ。
2日目に早くも土。
引き揚げる花道では口からの出血で唇が真っ赤に染まった。
この日はリモート取材には応じず、無言で帰路についた。
今場所は照ノ富士の休場で横綱不在。
重圧を背負う大関に対し、八角理事長は「我慢して我慢して我慢したけどね。(翔猿の)策にハマってしまった。切り替えるしかない」と激励した。
2日目、関脇・豊昇龍は新小結・琴ノ若を下手投げで下し、三役以上でただ1人、連勝スタートを決めた。
獲物を狩るような鋭い目から、突き刺さるような立ち合い。
豊昇龍は首から背中、腰が1本の矢のようになって琴ノ若の胸に飛び込んだ。
一度は残されたが、攻め込んだ分だけ余裕があった。
最後は腰を使って体を回転させながら豪快な下手投げでなぎ倒した。
2日目、関脇・正代が、いいところなく初日から2連敗となった。
10勝以上で大関に特例復帰できるが、西前頭筆頭・大栄翔に突き出された。
突き押し自慢の相手に上体を起こされると、防戦一方で土俵を割った。
取組後はリモート取材に応じなかった。
幕内後半戦の粂川審判長は「いいところがない。悪いときと同じ内容。腰が高い」と厳しかった。
2日目、翔猿が高校の後輩の貴景勝を2場所連続で撃破した。
立ち合いで大関の突進をうまくかわしながら動き回って、最後はタイミング良くはたいた。
NHKのインタビューでは息を切らしながら「うれしい」と笑顔。
新小結だった九州では7勝8敗と悔しい結果に終わっただけに「ここから集中して頑張ります」と気合十分に話した。
2日目、東前頭2枚目・御嶽海は東関脇・若隆景を送り出しで破り、連勝を飾った。
立ち合いから一気に押し込むと、回り込む相手を逃さずに差した右から攻めて土俵の外に運んだ。
3日目の10日は、連勝同士の西関脇・豊昇龍と対戦する。
過去6場所の対戦成績は不戦敗を含めて御嶽海の1勝3敗となっている。
2日目、阿炎はもろ手で突いて若元春を起こすと、相手が反撃に転じてきたところを体を開きながら突き落とし。
物言いこそついたが、「取り直しか、勝ちか、どっちかだと思っていた。しっかり前に出たからこそできた」と納得の表情を浮かべた。
先場所で初賜杯を抱いた。
周囲の期待の大きさも感じる中、「一番集中」を胸に刻み、動きが硬くなることはない。
土俵下の粂川審判長は「際どい相撲を拾っていくことで優勝できた。今場所も拾えるかが大切になる」とみた。
2日目、幕内・宇良が、同学年で学生相撲出身の北勝富士を破って今場所の初白星を挙げた。
立ち合い少し潜るようにして北勝富士のもろ手突きを外すと、下から押し上げて突っ張って一気の電車道。
押し相撲の相手に真っ向から押し勝った。
幕内でこれまで4度対戦して全て勝っていたが、いなしを交えた攻めがほとんど。
押しに徹して完勝したのは初めてだった。
会心の内容にも「たまたまです。うまくかみ合ってよかったです」とコメント。
潜るような立ち合いの選択が、相手のもろ手突きに対しては効果的だった。
「相撲ってじゃんけんみたいなものなので、じゃんけんに勝ったかなってぐらい。そんなものだと思います」。
業師らしく、ワードセンスも多彩。独特の表現で勝因を分析した。
2023/01/09
有言実行≠ネるか。
初日、大関貴景勝が新小結若元春を押し出して白星スタート。
取組後は「集中してやろうと思いました」と冷静に振り返った。
今場所は125年ぶりに1横綱1大関となった上に、照ノ富士が昨年10月に両ヒザを手術した影響で休場。
出場力士の番付最上位として土俵に上がることになった。
重圧がかかる立場だが「それはあまり関係ない。自分は目の前の一番に集中してやるしかない」と言いきった。
初日、関脇・若隆景が小結・明生を退け、4場所ぶりの白星スタートを切った。
立ち合いで右のおっつけから右の上手をとって休まず攻めて寄り切った。
取組後、「右の上手を流れの中で取ってから、先に攻めることができた」と納得顔だった。
125年ぶりの1横綱1大関。
大関の有力候補として期待がかかるが、「一日一番、しっかり相撲を取りたい」と目の前の戦いだけを見つめる。
兄・若元春が新小結に昇進し1992年春場所での関脇・貴花田、小結・若花田以来31年ぶりで史上4組目の兄弟三役に。
兄は結びで大関・貴景勝に敗れたが見せ場は作った。
若隆景は結び前で兄の前で白星。
だが「意識はない。一番に集中しようと思った」と淡々と話した。
初日、関脇・豊昇龍が完璧な内容で白星発進とした。
立ち合い左で張って右を差すと一気に前に出て2秒足らずの速攻で翔猿を圧倒。
叔父・朝青龍ばりのスピード感あふれる相撲内容で力の違いを示した。
先場所は途中まで単独首位で優勝争いを引っ張るも最終盤に失速。
今年は初優勝、そして新大関への期待がかかる。
1年間の目標を問われると「口に出さないようにしています」と明かさず、内に秘めた闘志を燃やした。
初日、10勝すれば大関に復帰できる関脇・正代は、東前頭2枚目・御嶽海に寄り切りで敗れた。
大関復帰を期す場所での黒星発進も、「初日なので、あまり意識しないように。初日が早い段階で出たらいいなと思っています」と前を向いた。
御嶽海との立ち合いで土俵際に押し込まれると、左からの押っつけで攻め返した。
それでも、最後は力無く土俵を割り、「(立ち合いで上体が)起きないようには意識していたんですけど。固くなりすぎました。何とか押し返しましたけど、最後まで押し切れなかったので、そこが課題かなと思います」と振り返った。
初日、阿炎が厳しい攻めで新小結の琴ノ若を一蹴した。
立ち合いから主導権を握り、いなしから一気に突き出した。
体が軟らかい四つ相撲の相手に隙を与えず快勝。
「自分の相撲を取り切れた。組まないことを意識した」と和やかな表情を見せた。
九州場所優勝力士として優勝額贈呈式ではファンの拍手を受けた。
「素直にうれしい。いつも通り集中できた」と力強く話した。
初日、初場所は観客上限が通常の約91%に当たる1日約9700人で開催。
中入りでは東京場所で20年初場所千秋楽以来となる満員御礼の垂れ幕が下りた。
声援はマスク着用で認められ、土俵入りではしこ名を呼ぶ歓声が響いた。
黙食を前提に客席での食事が可能になり、飲酒制限も緩和。
八角理事長は初日恒例の協会あいさつで「飛躍の一年にすべく、相撲道にまい進する力士たちの努力を通じて皆さまに感動をお届けできることと存じます」とあいさつした。
2023/01/08
7日、初場所に向けて都内の部屋で稽古し、基礎運動など軽めの調整をこなした。
稽古だけでなく、年末年始も元日以外は部屋のジムでトレーニングを継続。
「しっかり自分のやることを考えているので。やる時はしっかりやって、今場所に向けて頑張りたい気持ち」と仕上がりに自信をのぞかせた。
新小結琴ノ若は、父で部屋の師匠でもある佐渡ケ嶽親方と史上6組目の親子三役を実現させた。
初日に昨年九州場所を制した平幕阿炎と対戦する琴ノ若は電話取材に応じ、「番付にはまだ上がある。気持ちは常に上を向いている」と意欲をにじませた。
年末と年始めには母方の祖父で「猛牛」と呼ばれた先代師匠の元横綱琴桜(本名鎌谷紀雄氏)が眠る千葉・松戸市の「松戸霊苑」を訪れ、墓参りをした。
大関に昇進すれば「琴桜」のしこ名を襲名する約束を生前に交わしており、「喜んでくれていると思うが、『ここで喜んでいる場合じゃない』といわれると思う。まず師匠(関脇)に追いついてもう一つ、もう一つと上を目指していきたい」。
約3年ぶりに平幕に落ちた東前頭2枚目の御嶽海(木曽郡上松町出身)は、5場所ぶりの勝ち越しを目指す。
右肩の故障や新型コロナウイルス禍を受けた稽古不足に足を引っ張られてきた30歳の元大関は、勝ち星をつかみながら立て直しを図れるか、注目される。
7日は本場所中の安全を祈願する土俵祭や優勝額の贈呈式があった。
贈呈式では、昨年9月の秋場所で37歳10カ月(当時)の幕内最年長優勝を果たした玉鷲と、11月の九州場所で初の賜杯を手にした阿炎に毎日新聞社から優勝額が贈られた。
阿炎は前頭9枚目だった九州場所で大関・貴景勝、高安と12勝3敗で並び、三つどもえの優勝決定戦を制した。
三役以上の力士との総当たりが見込まれる前頭3枚目で臨む初場所へ「挑む気持ちを忘れずに、チャレンジャーとして『一番集中』で取り組んでいきたい」と意気込んだ。
2023/01/07
125年ぶりとなる1横綱1大関の場所で横綱が休場し、貴景勝が看板力士の責任を一身に負う。
初日に若元春、2日目は先場所敗れた翔猿と対戦。
佐渡ケ獄審判部長は「相撲がだいぶ良くなってきている」と復調を認め「今場所は一人大関だけど、大関の責任を果たしてほしい」と求めた。
貴景勝は先場所12勝3敗で優勝決定ともえ戦に進出。
場所後の横審では、今場所ハイレベルの優勝で綱取りの可能性も出てくる見解が示されたが、この日の佐渡ケ獄部長は「今のところ何とも言えない」と話すにとどめた。
6場所ぶりに関取に復帰した元大関で十両の朝乃山は、初日に貴健斗と初対戦が組まれた。
関取として大銀杏を結って土俵に上がるのは、出場停止処分前の21年夏場所以来。
14勝以上なら幕内復帰が見えてくる。
番付発表後には「15日間取れる喜びと感謝の気持ちを忘れずに、自分の相撲を取りきって番付を上げていきたい」と話していた。
2023/01/06
東横綱照ノ富士が6日、初場所の休場を決めた。
昨年10月に手術を受けた両膝の回復が万全ではないとみられる。
休場は3場所連続15度目を数え、昇進9場所目で4度目。
先場所に続く全休も確実で、またも横綱不在となった。
史上4組目の兄弟三役となった関脇・若隆景、新小結・若元春が5日、東京都中央区の荒汐部屋で稽古後に取材に応じた。
十両・荒篤山を含めた3人の申し合いでは若隆景が若元春に7戦全勝するなど13勝1敗と順調な仕上がりを披露。
昨年春場所で初優勝した実力者は8場所連続勝ち越し中。
兄の出世も刺激になっているようで「2023年の目標として、もう一つ上へという気持ちがある」と大関昇進への意欲を語った。
史上4組目の兄弟三役となった関脇・若隆景、新小結・若元春が5日、東京都中央区の荒汐部屋で稽古後に取材に応じた。
若元春は思うように得意の左四つになれず7勝8敗。
「なかなか体が動かない」と苦笑いした。
昨年秋、九州と2場所連続で10勝を挙げ新三役を射止めた。
ともに横綱になった3代目若乃花、貴乃花の「若貴兄弟」以来となる兄弟三役の快挙にも「自分の番付を考えている余裕はあまりない。一日一日、集中して必死に取るだけ」と言葉に力を込めた。
日本相撲協会は5日、大相撲初場所(8日初日・両国国技館)を新型コロナウイルス関連で休場する力士はいないと発表した。
昨年12月下旬のPCR検査で陽性判定を受けた力士もいたが、既に回復しているという。
昨年7月の名古屋場所では最終的に全体の3割近い174人の力士が休場し、取組が激減する異常事態が起きた。
次の秋場所からは療養期間が明けた翌日以降の出場を認め、所属部屋全体を全休とする従来の措置を緩和している。
2023/01/05
大関貴景勝が4日、東京・常盤山部屋で稽古し、初場所に向けて順調な仕上がりを見せた。
平幕の隆の勝を相手にした三番稽古では10番取って8勝2敗で締め、「一番一番、考えながら違う相撲を取った」と本場所を想定して行った。
「ここまで来たら、力抜いてやるだけ」と気を引き締めた。
この日の相撲の狙いについて、貴景勝は「突き、押しだけで一気に持っていけたらいいですけど、上位だとそういう展開にならないこともあるので。一気に持っていく稽古も大事ですけど、そうならなかった時の対応とかも意識してやっています」と説明。
4日後から始まる初場所に向けて「最終段階に入っているので。番数は少ないですけど、一番一番しっかり考えて集中してやろうと思った」と口にした。
番付上で1横綱1大関となるのは、1898年(明31)春(1月)場所の横綱小錦、大関鳳凰以来の125年ぶり。
大関としての責任について問われると、「毎場所優勝目指してやっているんで、人数が減ったからって別に変わることはないです。やるべきことをやるだけかなと思います」ときっぱり。
「頭のどこかには必ず逆算してやってます」という初場所の初日に向けて、「気合入れてやるだけ」と誓った。
8場所ぶりの三役復帰で初場所に臨む関脇高安が2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で新年の稽古を開始した。
部屋の稽古が休みだった大みそかと元日は「ゆっくり、のんびりと家で家族と過ごしました」と話した高安だが、ずっと頭から離れないのが優勝への思い。
稽古再開のこの日は若い力士を相手にたっぷりと汗を流すと、「やっぱり悔いのない1年にしたいので。結果を出さなきゃいけない、必ず。優勝ですね。意識していかないと近づいてこない。何となくやっても結果は出ないので。新年を迎えて思うのは、1年って早いので。あっという間に1年たったなと思う。1日を大事にしないと」と言葉に力を込めた。
元大関で関脇の正代が4日、今月8日初日の初場所に向けて東京・時津風部屋で稽古した。
すり足や四股といった基礎運動で汗を流した後、幕下の吉井との三番稽古を行った。
土俵際で粘れず敗れた際には「あ〜、もう!」と悔しそうに声を上げる場面もあったが、6勝2敗と終始圧倒した。
稽古後の取材には応じなかった。
正代は自身5度目のかど番となった昨年11月の九州場所で6勝9敗と負け越し、大関からの陥落が決まった。
大関陥落の翌場所となる初場所で10勝以上すれば、再び大関に特例復帰できる。
2023/01/04
初場所を控える中、横綱照ノ富士が着実に復帰ロードを進んでいる。
10月に両ヒザの手術を受けた影響で今場所も休場が濃厚だが、患部は順調に回復。
伊勢ヶ浜部屋専属トレーナーの篠原毅郁氏によると、ヒザにたまった水を抜く処置が不要となり、腫れも治まりつつあるという。
部屋ではまわしを締めて稽古場に姿を見せ、四股やテッポウなど基礎運動で汗を流すことも可能になった。
篠原氏は「(水を抜かなくなったのは)進歩ですね。回復は非常に順調」と前置きした上で「(初場所は)今の段階で相撲を取れていないと厳しいですよね。
トレーナー目線では、もうちょっと時間がかかるかなと。
ドクター(担当医)も『横綱は頑張り屋だから、抑えるべきところは抑えたい』と考えているようです」と現状を明かす。
また、横綱のヒザの状態については「骨棘(こつきょく)を取ったので(ヒザが)グラグラするような感覚を持っているんじゃないかなと。それはヒザの周りの筋肉を鍛えることによって固まっていく。時間とともに解決するでしょう」と説明した。
照ノ富士が目指すのは、あくまで綱の務めを果たすこと。
そのために本人も周囲も妥協する考えはない。
「絶対全勝優勝する、それぐらいのレベルにいかないといけませんし、横綱もそれがお客さまへの恩返しだと。ハンパな状態で出るわけにはいかないと思っていますよ。それに筋肉が付くのも治りも人より3倍早いですからね」(篠原氏)。
焦らず万全の状態に戻した上で本場所復帰を実現させるつもりだ。
大関貴景勝にとって、初場所は土俵人生の大きな節目になるかもしれない。
横綱審議委員会が「相当の成績で優勝」を条件に、場所後の横綱昇進について可能性を示唆したからだ。
綱とり初挑戦の2021年初場所では負け越しており、新春に夢を形にできるか。
現在26歳の貴景勝は19年春、初土俵から所要28場所で大関に。
年6場所制となった1958年以降6番目のスピード出世で、兵庫県出身の大関誕生は39年ぶりの快挙だった。
横綱昇進の条件は2場所連続優勝か、それに準じる成績とされる。
貴景勝は昨年11月の九州場所で賜杯こそ手にできなかったが、12勝3敗で優勝決定戦まで持ち込んだ。
前回の綱とりは初日から4連敗。
左足首も痛めて途中休場を余儀なくされ、かど番に転落した。
直近の貴景勝は首に古傷を抱えるも、3場所連続で2桁勝利を挙げている。
今回の2度目の挑戦で第74代横綱の誕生となれば、兵庫県出身では110年ぶりの偉業。
魚崎村(現神戸市東灘区)出身で1913(大正2)年に昇進した第23代、大木戸以来2人目となる。
報知新聞社制定「令和4年(2022年)第65回報知年間最優秀力士賞」に関脇・若隆景が27日、初選出された。
都内で行われた選考委員会では、春場所の初優勝や初の年間最多勝(57勝)などが評価された。
関脇以下の受賞は1992年の貴花田(後の横綱・貴乃花)以来30年ぶり。
来年は大関昇進の期待がかかる。
初場所初日に表彰が行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。
若隆景が、初受賞の吉報に声を弾ませた。
関脇以下では30年ぶり2人目。
大鵬、千代の富士ら歴代の受賞者を目にすると、「栃若時代からですか。昔から見てきたお相撲さんばかりでみんな横綱、大関。ここに名前を連ねるのは信じられない」と驚嘆。
次期大関の呼び声高い相撲巧者は「名誉ある賞をいただけたことは励みになりますし、この面々を見たら、上を目指さないといけないなという気持ちです」と決意を新たにした。
九州場所で三役として初の2桁となる11勝を挙げ、初場所で大関とりの足固めを狙いにいく関脇豊昇龍が28日、東京・墨田区の立浪部屋で稽古を行い取材に応じた。
九州場所では12日目から3連敗で優勝争いから脱落したが、11日目まで1敗を守って場所を引っ張った。
あらためて優勝への思いを聞かれると「高まったねえ。えへへへ、できなかったけど。ちょっと自信になりましたね」と話し、周囲から大きな期待がかけられている大関とりについては「まあ、近づいたなと思ったっすけど、やっぱり気を抜いちゃいけない思いもあるので。しっかり頑張りたい」と気を引き締めていた。
8場所ぶりの三役復帰で初場所に臨む関脇高安が2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で新年の稽古を開始した。
部屋の稽古が休みだった大みそかと元日は「ゆっくり、のんびりと家で家族と過ごしました」と話した高安だが、ずっと頭から離れないのが優勝への思い。
稽古再開のこの日は若い力士を相手にたっぷりと汗を流すと、「やっぱり悔いのない1年にしたいので。結果を出さなきゃいけない、必ず。優勝ですね。意識していかないと近づいてこない。何となくやっても結果は出ないので。新年を迎えて思うのは、1年って早いので。あっという間に1年たったなと思う。1日を大事にしないと」と言葉に力を込めた。
失地回復はなるか。
初場所で、関脇正代が大関復帰をかけた土俵に臨む。
5度目のカド番で臨んだ11月の九州場所は6勝9敗で負け越し。
大関在位13場所での陥落は歴代10位の短命記録≠ニなった。
ここから看板力士に返り咲くことは簡単ではない。
現行のカド番制度が定まったのは、1969年の7月場所から。
大関が2場所連続で負け越せば関脇へ転落し、直後の場所で10勝すれば特例で復帰できる。
約半世紀の間で、特例復帰を果たしたのは三重ノ海、貴ノ浪、武双山、栃東(2回)、栃ノ心、貴景勝の6人(7例)だけ。
直近では先場所の御嶽海が6勝9敗に終わり、大関復帰に失敗している。
初場所で6場所ぶりに小結に復帰する明生が28日、都内の同部屋で15番の申し合い稽古を行った。
十両・天空海や幕下・上戸らを相手に11連勝を含む14勝1敗。
立ち合いの鋭い踏み込みから前に出て圧倒する相撲が目立った。
初場所へ向け、立ち合いと土俵際を特に意識して取り組んだ。
九州場所では初日から3連敗するなどここ数場所、序盤戦が「一番の課題」と自覚している。
「体の乗り方が難しいですね。そこを勝てるようになれば2桁(勝利)も見えてくると思います」。
勝ち越し、そして三役では自身初となる2桁勝利を目指していく。
4関脇4小結と群雄割拠の番付。
「関脇は経験しているので、その上を目指して」と大関を見据える。
弟弟子の豊昇龍が大関獲り足固めに挑む初場所。
「勝ち越しをまず一つの目標にコツコツいきたい」と大きな目標は明言しなかったが「混戦を突破できるように」と次期大関争いに名乗りを上げた。
九州場所で三つ巴の決定戦を制して初優勝を果たした阿炎は、東前頭3枚目に番付を上げた。
「もう自分の中では次の場所に切り替えている」と優勝の喜びに浸ることなく初場所を見据えている。
今後は返り三役、そして大関へと期待がかかるが、「“一番集中”だけなので番付は気にしない」と気持ちはぶれない。
来年へ向け「師匠を番付だけではなく人としても超えていきたい」と、さらなる心身の成長を誓った。
大相撲の東前頭7枚目の逸ノ城が、新型コロナウイルス対応ガイドラインに違反したことについて、謝罪した。
28日、所属する埼玉・湊部屋の朝稽古に参加し、「ファンの皆さんに申し訳ないです。これからしっかり考え直していきたいです」と反省の弁を口にした。
12月26日の日本相撲協会の臨時理事会で、逸ノ城は新型コロナウイルス感染防止策の一環として外出禁止となっていた一昨年11月、昨年8月に無断で2度外出したことが確認された。
これにより、年明けの初場所は出場停止。
だだし稽古に参加することについての規制はなく、現在は復帰する3月の春場所に向けて調整に励んでいる。
この日は幕下の諒兎馬と三段目の昂輝を相手に約20番相撲を取り、テッポウ柱に向かって黙々と突っ張りを繰り返すなど汗を流した。
若い衆に身ぶり手ぶりを交えながら教える姿もあり、師匠の湊親方と話し込む場面も見せた。
「腰の痛みが結構前からずっとあるんで、それを治しながら考えて稽古しています」と現在の状況を説明した。
自己最高位の西前頭8枚目で迎える王鵬が29日、東京都江東区の大嶽部屋で稽古し「全ての場所で勝ち越せるように頑張る」と来年の抱負を語った。
22歳のホープは史上2位の優勝32度を誇る元横綱大鵬の孫。
先場所は2日目から9連勝し、幕内5場所目で初の2桁となる10勝を挙げた。
この日は弟の幕下夢道鵬と兄の三段目納谷を相手に19勝1敗と圧倒した。
先場所は初の三賞に届かず「途中からもらえる気になっていた。それでは駄目だ」と反省。
「見ている人は力が足りないと思ったはず。そう思わせないような相撲を取っていく」と貪欲に述べた。
二所ノ関部屋が2日、茨城県阿見町の部屋で新年の初稽古を行った。
大みそかと元日は休み、この日から申し合いなどを再開。
今年は初場所の初日が8日に迫っていることもあり、師匠の二所ノ関親方は「初場所は正月休みを挟み変則日程だが、元日に(弟子には)初日が近いことを話した」という。
寒い時季で調整が難しい中、幕下・友風ら所属力士が熱い稽古で汗を流した。
日本相撲協会は27日、東京・両国国技館で年寄総会を行った。
冒頭で伊勢ケ浜親方と湊親方が謝罪。
前日26日の臨時理事会で、伊勢ケ浜親方は弟子2人の暴力行為が発覚して理事を辞任、湊親方は弟子の前頭逸ノ城の新型コロナウイルス対応ガイドライン違反が発覚し、減給の懲戒処分を受けた。
ともに「今後はしっかりと弟子の指導にあたります」と頭を下げたという。
2月に暴力問題撲滅の研修会を実施予定。
また芝田山広報部長によると、初場所は「飲食は黙食で。声援はコロナ前に戻す方向で努力」と、観戦ルール緩和の方針を確認した。
2022/11/28
昨年に続き、貴景勝は今年も賜杯を抱けなかった。
ともえ戦では、初優勝に王手をかけた阿炎の突き押しに防戦一方。
序盤の連敗から立て直した大関の意地も最後は実らなかった。
「貴景勝が一番悔しいね」と八角理事長が心情を推し量った。
関脇豊昇龍は白星なら獲得という条件付きの技能賞を手にした。
霧馬山との取組、右上手を取って左を差すも、すぐには勝負を決められず。
上手投げは決まらず、相手の下手投げに耐えて寄り切った。
中盤戦では優勝争いで存在感を示したが、終盤戦での3連敗が響いた。
千秋楽、負け越しが決まった上松町出身で関脇の御嶽海は、前頭5枚目の錦富士と対戦し、寄り切りで敗れました。
立ち合いであたったあと、錦富士に上手を取られた御嶽海は引きつけられ、元気なく寄り切りで敗れました。
大関復帰をかけて臨んだ九州場所でしたが、御嶽海は3つ黒星が多い6勝9敗の成績で終えました。
千秋楽、またしても、東前頭筆頭・高安から初賜杯が逃げていった。
ともえ戦で西前頭9枚目・阿炎が優勝を決めた瞬間を、土俵下の控えで見届けると、目を赤くしながら花道を下がった。
「稽古が足りないというふうに、つくづく思います。もう一回鍛えます」。
リモート取材でも、涙声のようだった。
様々な悔しさを味わった2022年。
高安は「本当に、実りある年で成長できたと思います。勉強になりました。前向きな相撲が取れました。変わらず、上を目指して頑張りたいです」と声を絞り出した。
来年こそ夢を手にする。
千秋楽、幕内・琴ノ若が竜電を破って9勝目を挙げ、来場所の三役昇進を確実にした。
竜電に前ミツを引かれて頭をつけられる苦しい体勢から、左を巻き替えてもろ差しで胸を合わせて前に出て寄り切り。
「自分の形に持っていくまで我慢できたのがよかった」と振り返った。
幕内上位に定着したこの1年、7勝3敗からコロナ関連で途中休場した名古屋場所以外は安定感を見せて全て勝ち越した。
年間勝利数の55勝は、57勝で最多の若隆景に次ぐ成績。
「全部が全部よかったわけではないけど、いろいろ自分の中で成長になる1年だった」と飛躍の年を振り返った。
千秋楽、西前頭9枚目・阿炎が初優勝を決めた。
1994年春場所以来、28年ぶりの3人による優勝決定ともえ戦で、東前頭筆頭・高安、大関・貴景勝に連勝。
2020年に自身の不祥事により3場所出場停止など、どん底を味わった男が悲願の賜杯を手にした。
3場所連続平幕優勝は史上初。
6場所全て違う力士が優勝するのは、1958年の年6場所制以降で31年ぶり3度目。
関脇以下が年間5度制覇も年6場所制で初めてとなった。
阿炎が泣いた。
恩返しの初優勝だ。
28年ぶりの三つどもえの決定戦で高安、貴景勝に連勝し、一気に決着をつけた。
土俵下で行われた勝者のインタビュー。
館内の視線を独り占めしながら、感謝の言葉をつないだ。
不整脈などで休場中の師匠・錣山親方への思いもあふれた。
「本当に迷惑しかかけてこなかったので、少しでも喜んでくれたらいいです…」と目頭を押さえた。
自分をずっと信じ続けてくれたことへの感情が、涙としてあふれ出た。
本割で単独先頭の2敗・高安を引きずり下ろし、進んだ決定戦。
続けて高安を立ち合いのはたき込みで破った。
もう、恐れるものはない。
迎えた大関戦はもろ手突きで前へ、前へ。
足が流れかけながらも、死力を尽くして押し込んだ。
「うれしい。まだ何かウソのような感じで、たかぶってます」。
役力士がいるV決定戦を平幕が制したのは初だ。
東前頭16枚目の照強が初日から無念の15連敗。
巨漢の逸ノ城に肩越しに上手を与え、投げに屈した。
皆勤した幕内力士としては1991年名古屋場所の板井以来31年ぶりの不名誉。
来年1月の初場所で再起を図れるか。
大相撲九州場所は27日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1262本に達した。
1日当たりの最多は千秋楽の137本。
十両の優勝争いは決定戦にもつれ込み、欧勝馬(25=鳴戸部屋)が大奄美(29=追手風部屋)を破って混戦を制した。
欧勝馬と大奄美の2人による決定戦となり、頭を下げての押し合いから土俵際に詰まった欧勝馬が相手の左腕を手繰ってうまく体を入れ替え、最後は右で極めるように抱えて押し出した。
勝てばその時点で優勝が決まる本割は「一番だけで決めたかったけど体が硬くなって。今日の一番だけ凄く緊張しました」と力を出し切れなかった。
それでも決定戦で本割の雪辱を果たし「凄くうれしいです」と喜びを表した。
学生横綱の実績を持って入門し、幕下15枚目格付け出しデビューから1年。
「幕下でも優勝、十両でも優勝できたので、もっと大きい目標を考えて上でも優勝できるように頑張りたい」。
早くも幕内優勝を視野に入れ、大きな夢を描いた。
2022/11/27
14日目、一方的な攻めで王鵬を押し出し3敗対決を制した貴景勝は「しっかり準備することしか場所中はできないんで、それをやっただけ」といつもと同じ言葉で淡々と相撲を振り返った。
王鵬は埼玉栄高の後輩で入門後は同じ二所ノ関一門で一時は付け人も務めてくれたが、「勝負になったら関係ない」と無心で下した。
千秋楽まで優勝争いに加わり、大関としての責任を果たしたが「全体的なことは考えていない。千秋楽もしっかり準備するだけ」と今年最後の一番しか見ていない。
14日目、若隆景が8勝目を挙げて年間57勝とし、初の最多勝のタイトルを単独で獲得することが確定した。
取組後のリモート取材では「明日の一番にしっかり集中して相撲を取っていきたい」と話した。
14日目、上松町出身の関脇・御嶽海は大関の正代と対戦しました。
ここまで6勝7敗と、負け越しまで後がなくなってから2連勝で踏みとどまっている御嶽海。
正代を土俵際まで追い詰めたものの攻めきれず、逆に押し返されて、押し出しで敗れました。
御嶽海はこれで6勝8敗となり、4場所連続の負け越しが決まりました。
14日目、高安は右から当たって押し込んだが、輝もよく応戦し、危ない場面もあった。
最後は引いたところを出られて、土俵際でうまく回り込んではたき込んだ。
絶対に落とせない一番で硬くなったのも無理ないが、気持ちで残した感じだ。
千秋楽の相手は阿炎。
今年春場所も2敗でトップに並びながら千秋楽、阿炎に屈し、若隆景との決定戦で敗れた苦い経験もあり、嫌な思いが頭をよぎるだろう。
何度も目前で優勝を逃し、これほど悔しい思いをしている力士はいない。
目いっぱい当たると阿炎には変化もあるし、あまり見すぎると逆に一気に出られる。
慌てず自分の相撲を取り切ることだ。
14日目、阿炎が3敗対決に生き残り、自力での逆転初V権利を手にした。
豊昇龍に左まわしを引かれかけたが、突き放してから右に動いて引き落とし。
過去4戦全敗だった相手から初白星を挙げ「考えてちょっと低く当たろうと。イメージ通りに当たれたので流れがよかった」と自賛した。
優勝争いは3度目。
「全然意識はしていない。自分の相撲を取れるように集中を高めて臨みたい」と本割で高安戦に勝ち決定戦に持ち込む。
東前頭16枚目、照強が崖っぷちに立たされた。
14日目、東前頭3枚目の宇良に押し倒しで敗れ、今場所通算0勝14敗。
27日の千秋楽も敗れて全敗となれば、1991年名古屋場所の板井以来、31年ぶりとなり、不名誉な記録回避に向けて奮闘が期待される。
14日目、平戸海が幕内2場所目で初の2桁白星を挙げた。
中盤まで優勝争いに加わっていた錦富士をもろ差しからの寄りで圧倒。
「考えていた通りの相撲。うれしいです」と顔をほころばせた。
ここに来て3連勝。
千秋楽には家族が応援に来るという。
「この3日間のような内容のいい相撲を取りたい」と意気込んだ。
2022/11/26
13日目、大関貴景勝が2敗で先頭だった豊昇龍を下して3敗を守った。
立ち合いから突き押しで攻めるも簡単には崩せず。
一切引くことなく、圧力をかけ続けて押し出した。
「始まったら覚えていない」と無心で臨んだ一番。
14日目は優勝争いに加わっている埼玉栄高の後輩、王鵬と初対戦する。
「また準備して一生懸命やるだけ」と逆転優勝は諦めない。
13日目、大関からの陥落が決まった一番は寂しい内容だった。
正代は玉鷲に喉輪で攻め立てられた。
右からのいなしが精いっぱいの抵抗。
すぐに押し出された。
表情を曇らせた正代は、取組後のリモート取材に応じなかった。
一昨年の11月場所で新大関となって在位13場所で、2桁白星はわずか2度。
途中休場を含む負け越しは6度で皆勤の2桁黒星も2度あり、通算94勝89敗10休はふがいない。
昇進した頃から10キロ近く体重が減った影響もあったのか、強く当たる立ち合いは影を潜めた。
13日目、若隆景は錦富士を寄り切って7勝目を挙げて年間勝利数を56勝とし、初の年間最多勝が確定した。
あと1勝するか、豊昇龍と琴ノ若がともに1敗すれば単独での最多勝となる。
年6場所制となった1958年以降で関脇以下が年間最多勝となるのは60年の大鵬、92年の貴花田、2019年の朝乃山以来3年ぶり4度目。
取組後の取材には応じなかった。
13日目、西関脇・御嶽海は東前頭5枚目・北勝富士にはたき込みで勝った。
立ち合いに当たって左に動いた御嶽海は、すかさずはたいて2連勝し、6勝7敗とした。
14日目は結びの一番で、かど番で負け越しとなり大関陥落が決まった西大関・正代と対戦する。
過去6場所では御嶽海が3勝1敗とリードしている。
13日目、高安は迷いなく立ち合い、右からかち上げ、突っ張って左差しで王鵬を組み止めた。
今場所、当たって攻め込んでから引く相撲もあったが、引くと付いてこられそうな相手だけに徹底して前に出て、上手投げのタイミングもよかった。
王鵬も敗れたとはいえ、若武者らしく真っ向から応戦したのはすがすがしかった。
豊昇龍が貴景勝に敗れ、高安が単独トップに立った。
残りがまだ3日も4日もあり雑念も入りやすい状況と違い、ゴールの近いあと2日での単独トップなら集中しやすいだろう。
14日目の輝は小細工などしない相手だけに思い切っていける。
何度も優勝争いに加わった経験が生きてきそうだ。
13日目、阿炎は輝を圧倒し、3敗を堅持した。
立ち合いのもろ手突きで相手の上体を起こし、そのまま突き出し。
「集中して立ち合いでしっかり当たれた。2桁勝てたのはうれしいけど、まだ終わりじゃない。集中したい」。
14日目で、3敗対決の豊昇龍戦に全力を尽くす構え。
土俵下で見届けた伊勢ケ浜審判長は「このへんで勝つのは不思議じゃない。もともと三役の力がある」と、現在の地位なら星を伸ばすのは当然という受け止めだ。
13日目、幕内2場所目の平戸海が遠藤を寄り切って9勝目を挙げた。
遠藤の突っ張りで土俵際まで追い込まれた平戸海が一瞬浅く二本差して逆襲に転じ、左四つの体勢でどんどん前に出て寄り切った。
左四つは遠藤が得意とする形。
それでも平戸海は「止まったら負けと思っていたので、四つに組んだ瞬間、前に出ました。馬力で勝つしかないと思って」と攻めを休めず、勢いで勝った。
前日に幕内で初の勝ち越しを決めたが「気が抜けたらダメなので2桁目指してやっています」と慢心はない。
1年前は新十両だった長崎県出身の22歳が、地元・九州の土俵で大きな成長を示した。
2022/11/25
12日目、東大関・貴景勝が、西前頭5枚目・錦富士を押し出して9勝目。
3連勝で3敗を守り、賜杯レーストップを1差で追走する。
回転の良い突き、押しで、新入幕から2場所連続で10勝を挙げている若手成長株を退けた。
貴景勝は、立ち合いから強烈な突き押しで前に出た。2度、3度と圧力をかけて、最後は土俵下へと押し出した。
「今日も昨日の夜からしっかり準備して、相撲を取りました」と言葉少なに振り返った。
12日目、5度目のかど番の正代は大関陥落に崖っぷちまで追い込まれた。
霧馬山に前みつを取られ、振りほどこうと右に回ったが、喉輪で起こされ寄り切られた。
残り3日間で役力士との対戦を残して7敗目。
11日目に難敵の若隆景を退けて5勝目を挙げた際は「攻めは良くなっている」と手応えを口にしていたが、1日で暗転。
取組後のリモート取材には応じなかった。
12日目、関脇豊昇龍が幕内王鵬にはたき込まれて10勝2敗となった。
立ち合いから頭で当たったが、引いた相手に土俵際ではわされた。
取組後は取材に応じることなく、土俵下の佐渡ヶ嶽審判部長は「出足を使って一気に攻めようという相撲に見えた。特に同い年だから気負ってしまったのかなと。でも、見ごたえあるいい相撲だったんじゃないか」と語った。
12日目、大関復帰に失敗した西関脇の御嶽海は西前頭4枚目の佐田の海を押し出し、連敗を6で止めて5勝7敗とした。
御嶽海はかど番継続だった先場所11日目に、佐田の海に突き落としで敗れて8敗目を喫し、大関陥落が決まった。
今場所も負け越しが決まるか否かの終盤戦の土俵で顔を合わせた相手に対し、大関経験者の意地をにじませながら押し勝った。
12日目、東前頭筆頭・高安が、西前頭6枚目・竜電を引き落として10勝目をあげた。
西関脇・豊昇龍が敗れたため、2敗の元大関は優勝争いのトップに並んだ。
立ち合い。得意のかちあげで相手を押し込むと、タイミング良く引き落とした。
2場所連続の2ケタ白星に「しっかりと厳しく攻められました」と胸を張った。
優勝争いの緊張感については「毎日変わらず、淡々と取り組むことができていると思います」と冷静に話した。
八角理事長も「流れが良いですね。一番、一番に集中している感じ」と落ち着いたたたずまいに目を細めた。
佐渡ケ嶽審判長は「落ち着いていたと思います。元大関として色々勉強もしてきたでしょうしね」と酸いも甘いも知る32歳に賛辞を送った。
12日目、平幕の阿炎と輝は3敗を守り、優勝争いに残った。
両者は13日目に対戦する。
阿炎は立ち合いで右へ大きく跳び、若隆景を上手投げ。
「ちゃんと集中できている。これを継続していきたい」と平常心を強調した。
輝は今場所初めて幕内上位に挑み、琴ノ若を押し出した。
7連勝と勢いに乗り「自分のペースで取れている。一日一番で頑張ればいい」と無欲な様子だった。
12日目、失うものはなにもない。
挑戦する立場だからこそ、思い切りぶつかっていった。
王鵬は力強い踏み込みから豊昇龍にぶち当たり、やや押し込んだ。それが大きかった。
豊昇龍は低い体勢から押し返してきた。
だが、立ち合いで有利に運べたため、少し間ができた。
そして俵までも距離をつくることができた。
「引いてしまったけど、めちゃくちゃいい立ち合いができました」。
土俵際、はたき込みが決まった。
1敗と2敗の直接対決。
しかも同期生で、大鵬の孫と朝青龍のおいとあっては否が応でも注目が集まる。
「勝ちたい気持ちは誰に対してもあります。でも気合は自然と入りましたね」。
豊昇龍を自力で引きずり下ろし、2敗で肩を並べた。
12日目、平戸海が幕内で初の勝ち越しを決めた。
北勝富士に攻め込まれたが、土俵際で突き落とし。
物言いも軍配通りに「負けたかなと思ったので勝ててよかった。ホッとしました」。
新入幕の先場所は千秋楽に負け越し。
地元の長崎・平戸から連日駆けつける応援団の後押しに「先場所は悔しい思いをしたので、取り返そうと頑張りました」と話した。
山崎敏広さん(やまざき・としひろ=大相撲の元立行司、第36代木村庄之助)23日午後11時1分、肺がんのため死去、74歳。
鹿児島県出身。葬儀・告別式は29日午前10時30分から東京都江戸川区船堀2の23の14、ふなぼり駅前ホールで。喪主は妻キミ子さん。
64年夏場所で井筒部屋から初土俵。
11年九州場所で行司の最高位、木村庄之助を襲名した。
13年夏場所の定年まで49年間、一度も休場がなかった。
達筆で知られ、番付表の書き手も長く務めた。
2022/11/24
11日目、貴景勝が2場所続けて埼玉栄高の先輩、北勝富士を破って勝ち越しを決めた。
変化ではたき込んだ先場所と違い、頭から激しく当たる真っ向勝負で勝利。
まったく逆の取り口となったが、「今日は今日なので」と特に意識はしていなかった様子。
3敗を守り、首位豊昇龍を2差で追う。
「また明日頑張ります」と、いつもの言葉に決意を込めた。
11日目、カド番の大関・正代が連敗を3で止めた。
関脇・若隆景との一番ではやや立ち遅れたが、左をのぞかせると右もねじ込んで寄り切った。
「ちょっと立ち遅れたのはあったんですけど、それが逆にいい角度で入れたのかなとは思います」と振り返った。
これで5勝6敗。
「その後の攻めも良かったので、あとは立ち合いが硬くなってるかなというところがあるので、そこは気になるところですね。負けが込んできているので、どうしても星の関係でだいぶ意識しているのかなというのはあります」と心境を明かした。
11日目、豊昇龍が御嶽海との関脇対決を寄り切りで制し、1敗を守って単独首位に立った。
勢いの差がはっきり表れた。
関脇同士とはいえ、場所を引っ張る豊昇龍が、来場所の大関復帰という大きな目標を失った御嶽海を寄せ付けなかった。
11日目、大関復帰を果たせなかった西関脇の御嶽海は、西関脇の豊昇龍に寄り切られ、6連敗で4勝7敗と勝ち越しに後がなくなった。
豊昇龍には通算3勝3敗。
12日目の相手は西前頭4枚目の佐田の海。
9月の秋場所千秋楽で1差を追って臨んだ玉鷲との直接対決に敗れ、優勝決定戦に持ち込めなかった高安は「何度でも挑戦する。整理はついている」と潔かった。
その誓いを果たすため、持ち前の力強い相撲を貫いている。
11日目、錦富士との2敗同士の対戦。
迷いはなかった。
かち上げから先手を取り、攻め手を緩めない。
必死に回り込む相手に対し、突き押しで前進。
もつれた土俵際で逆転は許さず、「とてもいい相撲。我慢してついていけた」。
手応えは十分だった。
八角理事長は「積極的。慌てるかと思ったが、土俵際で勝っているからこそ、冷静にいけた」と評価。
錦富士とは秋場所前に出稽古で手合わせしており、その時の感覚も勝負どころで生かされたのだろう。
王鵬とともに1差でトップの豊昇龍を追う。
3月の春場所でも優勝決定戦で若隆景に敗れた元大関にとって、あと一歩で届かない初賜杯。
「いい相撲を取れている」との実感がある中、一年納めの九州場所で念願を遂げられるか。
勝負のときを迎える。
11日目、阿炎が2日目から9連勝と勢いに乗る王鵬に関脇経験者の貫禄を示した。
持ち味の激しい突きで何もさせず、突き出した。
右肘と左足首の手術を受けて先場所は全休しており、2場所ぶりの勝ち越しとなったが「結果としてはうれしいが、まだ終わっていないので」と淡々。
首位と2差の優勝争いにも「考えていない。明日の相撲に集中するだけ」と強調した。
11日目、元横綱大鵬の孫で22歳の王鵬は完敗。
もろ手で立った阿炎の喉輪を交えた攻めに、なすすべなく土俵を割った。
関脇経験者に力の差を示され、トップ並走ならず。
リモート取材には現れなかった。
11日目、関脇御嶽海の1場所での大関復帰が消滅し、大関正代は5勝6敗とかど番脱出に向けて苦境が続く。
来年1月の初場所は1横綱1大関という寂しい番付に陥る可能性がある。
現実になれば、1898年1月の春場所以来で125年ぶりの異常事態となる。
NHKでラジオ解説を務めた北の富士勝昭氏は、「そんな昔の話? それはなるべく避けてもらいたいね」と奮起を促していた。
2022/11/23
10日目、大関貴景勝は霧馬山を退け、連敗を免れて3敗を守った
10日目、カド番の大関・正代が痛恨の6敗目を喫した。
トップの1敗で好調を維持する関脇・豊昇龍に左差しを許して後退。
土俵際で逆転の突き落としを狙ってもつれたが、物言いはつかず。
寄り倒しで敗れて3連敗を喫し、これで6敗目となった。
10日目、豊昇龍は、かど番の大関正代と勢いが違った。
一気の出足で寄り倒し。
土俵際は微妙も物言いはつかなかった。
「自分から攻めたい気持ちがあったのでよかった。(プレッシャーは)あるけど集中できている」と充実感をにじませる。
1敗で並ぶ王鵬は「気にしない」。
ただ優勝争いは「頑張ります」と力をこめた。
10日目、西関脇御嶽海は翠富士に寄り切られて4勝6敗となり、今場所後の大関復帰がなくなった。
1場所で大関に返り咲くには、10勝以上が必要だった。
御嶽海は今年1月の初場所後に大関に昇進。
初めてかど番で臨んだ7月の名古屋場所は2勝4敗で迎えた7日目から休場したが、新型コロナウイルス関連の特例措置によって地位は据え置かれた。
翌秋場所は4勝11敗に終わり、関脇に転落した。
10日目、東前前頭筆頭高安が、小結翔猿をはたき込みで破り、勝ち越しを決めた。
強烈な右からのかち上げで攻めて翔猿を土俵際まで押し込み、前に出てきたところを冷静にはたき込んだ。
「しっかり立ち合い当たれて。その後の流れがよかった」と納得の一番。
2場所連続となる勝ち越しを決めて「次は2桁に向けてしっかり集中していきたい」と意気込んだ。
2敗を守り、1差の関脇豊昇龍と平幕の王鵬を追い掛ける。
今年は春場所と秋場所で優勝争いを経験。
32歳、大関経験者と経験豊富なだけに終盤5日間で崩れる訳にはいかない。
「いい九州場所になるように目指したい」と初賜杯を抱いて、納めの場所で笑う。
10日目、錦富士が会心の内容を見せた。
幕内最重量の逸ノ城に立ち合いから低く当たって先手を取ると、そのまま一気に押し出して8勝目。
3場所連続となる勝ち越しを決めて「相手が重いので、体を起こしてから流れでいけました」と納得の表情を見せた。
大一番を控えるサッカー日本代表の相馬勇紀は友人。
「僕が(左肘を)手術するときにビデオメッセージをくれた」と勇気づけられたことを感謝している。
今回代表入りを決めた際には「テレビでしか応援できないけど頑張ってね」と激励のメッセージを送ったという。
「友人も出ているので注目しています。テレビで応援します」。
もちろん23日の日本−ドイツ戦はテレビ観戦の予定だ。
トップを1差で追って優勝争いに絡む。
「明日からは上位と組まれると思うので思い切りの良い相撲を見せたい」と意気込んだ。
10日目、王鵬が勢いに乗っている。
立ち合い頭で当たって押していこうとしたが、碧山が左から張ってきたことで不本意ながら左を差してしまった。
しかし、右も絞ってもろ差しから力強く寄り切った。
本来は突き押しだが、四つでも取れるところを見せた。
2日目から9連勝。
幕内5場所目でようやく慣れてきたのだろう。
迷いがなく安定感も出てきた。
優勝争いのトップでこれからは当然上位にも当たる。
11日目は阿炎で、スピード負けせず下からどんどん攻められれば面白い。
優勝争いなど頭にはないだろうが、ノーマークは強み。
相撲界のサラブレッドぶりを見せつけてもらいたい。
10日目、西前頭16枚目の平戸海が初の勝ち越しに王手をかけた。
琴勝峰に攻め込まれたが、土俵際で逆転の突き落としを決めた。
「当たり負けしないようにいこうと思ったけど、硬くなって中途半端になってしまった」と反省しつつ、「途中は覚えてないですけど、最後は落ち着いてとれたと思います」と振り返った。
新入幕の先場所は千秋楽に負け越した。
後ろがない幕じりだったが「番付運」に恵まれて幕内に残った。
地元の長崎・平戸からは連日のように応援団が駆けつけている。
「とりあえずあと1番、集中して頑張ります」。
場所後には長崎で巡業が開催される。
応援と期待に恩返しできるよう、気合を入れ直した。
2022/11/22
9日目、貴景勝が新小結の翔猿に敗れ、3敗に後退した。
激しい突っ張り合いで相手の手数の多さに押され、引くような動きを見せたすきをつかれて押し出された。
優勝争いの先頭とは2差となり「勝てなきゃだめだと思う。それだけ。(相手の手数が多かったことは)負けているというのは、そういうことなので」と悔しそうだった。
9日目、自身5度目のかど番の大関正代は小結大栄翔に押し出しで敗れ、5敗目を喫した。
立ち合いで相手に低く当たられて体を起こさられると、そのまま粘ることができず力なく土俵を割った。
今場所2度目の連敗で黒星先行。
取組後の取材には応じなかった。
9日目、関脇豊昇龍が、西前頭4枚目の佐田の海を上手投げで下して8勝目を挙げた。
平幕の王鵬と2人で1敗を守った。
「最初から上手を狙っていたんで、狙い通りの相撲」と会心の内容だった。
これで勝ち越しを決め優勝争いでも先頭に立つが、本人は「気にしないで自分の相撲だけに集中して、1日一番でいきます」と精神を研ぎ澄ませている。
9日目、憧れ続け、ようやくつかんだ大関の地位にもう一度戻るため、絶対に必要なのは10個の白星。
御嶽海は9日目にして5敗目を喫し、早くも後がなくなった。
左四つ巧者の若元春に立ち合いの圧力で勝てず、前に出られない。
警戒していたはずの左差しを許すと防戦一方になり、土俵を割るしかなかった。
花道を下がる表情には覇気がなく、八角理事長(元横綱北勝海)は、「弱気を見せちゃ駄目。気持ちで負けている」と切り捨てた。
9日目、小結玉鷲が、57年ぶりの珍決まり手で2勝目をあげた。
潜り込もうとする東前頭3枚目宇良を、しつこく突き押しで攻めた。
長いリーチをいかし、右のど輪でつかまえ、左手は肩付近に当てながらひねり倒した。
アナウンスされた決まり手は「合掌ひねり」。幕内の土俵では65年九州場所9日目に、大心が前田川に決めて以来の大技だった。
しかし、オンライン取材で笑顔はなかった。
むしろ「いやー、あんまりしたらいけない技だなと思いました。やっぱり間違ったら違う方向にいっちゃうので」と振り返った。
首をつかみながらのひねり技となっただけに、宇良の心配をしていた。
9日目、翔猿はしこ名の通り小兵で動き回るだけというイメージだったが、相撲に厚みを増し、前に出る圧力を間違いなくつけている。
貴景勝戦は立ち合いで右に変化して、後は真っ向から突き押しで攻めた。
動かれたことで貴景勝はよく見ていこうとしたが、思いのほか翔猿の圧力が強く、たまらず引いたところを翔猿が押し出した。
翔猿は準備運動後や三番稽古の前後など、1日3回もぶつかり稽古をこなしていると聞く。
1回だけでも苦しく嫌がる力士もいるが、瞬発力、持久力がつくのがぶつかりだけに、変身ぶりもうなずける。
新小結でここまで5勝4敗は上出来で、優勝戦線を思う存分かき回してほしい。
9日目、小結・大栄翔がカド番の大関・正代を押し出して4勝目を挙げた。
直近6戦5勝と合口の良い正代を相手に、突き放してから右おっつけで一方的に押し出して完勝。
「立ち合いが良かったのでその後の攻めも流れよくできた」と振り返った。
連敗を3で止めて4勝5敗に。
「連敗が止まったことは良いことなので、ここからは連勝できるようにしっかりやっていきたい」と巻き返しを誓った。
9日目、錦富士が1敗の阿炎を突き落とし、2敗を守って優勝戦線に生き残った。
阿炎のもろ手突きをまともに受けて後退したが、右へ回り込みながら右から突き落とすと、支えを失ったように相手が崩れ落ちた。
「十両時代、阿炎関との対戦で相手にならなかったのでうれしい」。
入幕3場所目で、9日目まではいずれも7勝2敗。
最終的に過去2場所とも10勝5敗だっただけに、残り6日間に成長力が問われる。
9日目、大横綱大鵬の孫、王鵬が自己最速での勝ち越しを決めた。
阿武咲の突き押しをこらえると、タイミング良くいなし、最後は送り出し。
「立ち合いでしっかり当たれている。それが結果になってうれしい」と喜んだ。
9月の先場所は終盤に5連敗して2場所連続の勝ち越しを逃した。
今場所は出稽古の成果を実感しており、「集中して相撲を取れていることが一番」。
白星が伴い、自信も深まってきたようだ。
2022/11/21
8日目、若元春を突き出して6勝目を挙げた。
八角理事長は「貴景勝は立ち合いが良かった。押し込む流れができると、余裕が生まれる。」と語った。
8日目、自身5度目のかど番の大関正代は、西前頭4枚目の佐田の海に上手出し投げで敗れて4敗目を喫した。
共に熊本出身という同郷対決。
立ち合いから胸から当たって前に出た正代はしっかり組み止めることができず、左上手を取った相手に出し投げをくらった。
中日を終えて星を五分に戻した。
取組後の取材には応じなかった。
8日目、関脇豊昇龍は小結翔猿を上手投げで退け、7勝目を挙げた。
立ち合い左から張って翔猿を右四つで組み止めると、そこから豊昇龍が存分に土俵を動き回った。
まず左上手を引きつけながら外掛けを繰り出し、決まらないとみるや、間髪を入れず出し投げ。
相手の蹴返しは素早く足を引いてかわした。
差し手争いで後手に回り、外四つの苦しい体勢になってからが真骨頂だった。
伸びていた右の1枚まわしを深く取り直すと、遠心力を効かせて相手を引きずるように振り回す。
最後は自ら深くしゃがみ込みながら上手投げを決めた。
やや粗い取り口ながらも持ち前のバネを生かして豪快に白星をもぎ取り、本人も「動きは悪くないし、体も落ち着いているので、この調子で頑張りたい」と気を良くした様子である。
8日目、上松町出身の西関脇・御嶽海は、西前頭筆頭・琴ノ若に肩透かしで敗れ、3連敗で4勝4敗となった。
中日を五分の星で折り返すのは6勝9敗に終わった今年5月の夏場所以来。
9日目の21日は、東前頭4枚目・若元春と対戦する。
8日目、好調な高安が霧馬山を退け1敗をキープした。
立ち合いから激しい攻防となった一番は、お互い右四つとなったところで、豪快なすくい投げで勝負をつけた。
「我慢して圧力をかけられました。(すくい投げは)流れでうまく決まって良かったです」。
3日目から6連勝と安定感抜群で、初賜杯のチャンスは十分にある。
「毎日やりがいがありますし、精いっぱい良い相撲を取って、九州場所を盛り上げたいです」とさらなる奮起を誓った。
8日目、琴ノ若は御嶽海を破って5連勝。
しっかり当たった後、すぐに肩透かしで仕留め、「思い切って何でもやろうと踏み込んだ。その後は体が動いてくれた」。
元横綱琴桜を祖父に持ち、期待を集めてきた中、19日には25歳になった。
自己最高位の西前頭筆頭で臨んでいる今場所。
新三役昇進も視野に入るが、「上があるので、どんどん力を付けて上がっていければいい」と言い切った。
8日目、一気の相撲で勝負を決めた阿炎。
堂々の取り口に「前に出られてよかった」と声が弾んだ。
もろ手で突いて前へ。
遠藤の上体を起こすと、ほとんど抵抗させずに土俵下へと追いやった。
「集中できていた」。会心の内容だった。
口癖のように「集中」と繰り返す。
突き押しが武器。
雑念を振り払って踏み込むためには、「言葉に出すことが大事。毎日使うようにしている」。
神経を研ぎ澄ませ、あっさりと決着をつけた攻めは理想の形だった。
20日、元小結の千代大龍が日本相撲協会に引退届を提出し受理された。
中日で潔く土俵を去った男は協会には残らず、焼き肉店開業を目指すという。
8日目、平幕の王鵬が1敗を守った。
歴代2位の優勝32回を誇る元横綱・大鵬を祖父に持つ22歳の王鵬。
2日目から7連勝と勢いに乗って、混戦の場所を折り返した。
幕内最年少20歳で新入幕の熱海富士と、今後に期待がかかる若手同士の一番。
前傾姿勢の相手を突き起こしながら前に出て押し出し、「先輩」の貫禄を示した。
2022/11/20
7日目、大関貴景勝は翠富士の奇襲にも慌てることなく対応し、5勝目を挙げた。
立ち合いで左に大きく跳んできた相手の動きについていき、もろはずで一気に押し出しと冷静さが光ったが、「しっかり準備してやりました」と淡々。
今場所も取組後のリモート取材では「一生懸命、明日の準備をするだけ」と繰り返してきたが、それを実践するような白星となった。
地の利≠生かして巻き返す。
7日目、大関カド番の正代が幕内宇良をはたき込みで下し、4勝3敗と白星を先行させた。
取組後は「出足で押し込めたので、最後のはたきにつながった。立ち合いが良かった。続けていければ内容も良くなっていくと思うので、徹底していけたら」と手応えを口にした。
7日目、豊昇龍は力強かった。
突いてから中に入ると、つり上げて若元春の体勢を崩し、左からの外掛けで仕留めた。
6勝目に「悪くない」と言葉少なに振り返ったが、八角理事長は「積極的に2本差し、(本人が)目指す相撲だろう。これを貫き通すことが大事」。
多彩な決まり手で星を並べてきた関脇に対し、正攻法の相撲を評価した。
7日目、、西関脇・御嶽海は西小結・霧馬山に寄り切りで敗れた。
低く当たった相手に前みつを許し、左を深く差されて上体が起きると何もできないまま土俵を割った。
2連敗で星は4勝3敗となった。
中日となる8日目の20日は、4勝3敗の西前頭筆頭・琴ノ若と対戦する。
先場所まで4連敗中と相性が悪い。
7日目、高安はかち上げて主導権を握り、休まず攻めて右からの突き落とし。
安定感十分に大栄翔を破り、「立ち合いの当たりが良かったので、流れも良かった」と自賛した。
6勝目を挙げ、「とりあえず勝ち越しを目指したい」と率直に言った。
混戦模様の今場所。
元大関の初賜杯獲得はなるか。
八角理事長は「かち上げから圧力をかけることが大事。貫き通してほしい」と期待を寄せた。
7日目、先場所の覇者に何もさせない。
抵抗すら許さなかった。
今場所初めて「満員御礼」の垂れ幕が下がった土俵で、平幕琴ノ若が玉鷲を破って3連敗後、4連勝で白星を1つ先行させた。
「前へ出る相撲がきっちりできた。目の前の一番をしっかりやるだけ。そのあとの結果だと思う」
立ち合ってすぐにもろ差しを果たし、寄りながら差し手を抜いて押し出した。
この日は25歳の誕生日で、幕内出場200回に花を添えた。
誕生日に相撲を取った新十両昇進以降では、これで3戦全勝だが、「あまり意識していないが、結果として出ていることはいいですね」と笑みを浮かべた。
7日目、192センチ、179キロの巨体に対し、真っ向から攻め込んで寄り切った。
「落ち着いてできたと思います」。
メキメキと力をつけている錦富士が、先場所に続いて大関経験者の栃ノ心を撃破。
2敗を守った。
7日目、西前頭9枚目・阿炎が、東前頭8枚目・宝富士を突き出して6勝目。
1敗を守り、初優勝に向けて賜杯レースの先頭をキープした。
立ち合いでもろ手で突き放すと、のど輪で相手を一気に土俵際まで押し込み、一方的に突き出した。
危なげない完勝で1敗を守り「しっかり集中して自分の相撲が取れた。一日一番集中しているからこそ、結果もついてきていると思っているので。これからも一日一番、勝敗考えずに続けていきたい」とうなずいた。
西前頭12枚目で大相撲九州場所に臨んでいた千代大龍が、19日の取組を最後に引退する決断をした。
20日にも引退届が提出される見込みで、8日目の輝戦は不戦敗となる。
親方となるために必要な関取在位数はクリアしているが、今後は相撲協会を離れ東京都内で飲食店開業を目指す。
いわば第2の人生を歩み始めるための前向きな決断だ。
7日目、平幕・王鵬が十両・英乃海をはたき込んで1敗を守った。
自己記録を更新する2日目からの6連勝で、関脇・豊昇龍、平幕・高安、阿炎と4人が並び立っている。
2度あることは3度ある。
ここ2場所続く平幕優勝が3場所へ伸びてももう驚かない。王鵬が英乃海を退けて1敗を維持した。
「もっと前へ出て勝負したい。丁寧に自分のいいところを出して納得いく相撲を取ります」
初日から5連勝した先場所を更新する2日目からの6連勝。
大鵬に貴闘力。
祖父、父に続く3代優勝への機運も高まっているが、初優勝への意識を問う質問にも正面から応じず、「しっかりいい相撲を取ります」。
受け継いだ鋼の精神力を示すように、前を向いた。
今場所で初めて「満員御礼」の垂れ幕が下がった。
観客の上限に制限がない場所としては2020年初場所の千秋楽以来で観客数は定員6976人の約9割の6244人。
今場所最多で、コロナ禍前に「満員御礼」を出す基準だった8割を超える盛況だった。
新型コロナウイルス感染防止対策として会場内での食事や飲酒に制限がある中でも来場したファンへの感謝も込めたという。
八角理事長は「横綱が休場したにもかかわらず、ありがたい。(力士には)それに応えるいい相撲を取ってほしい」と語った。
2022/11/19
6日目、貴景勝は宇良を押し出して4勝目。
八角理事長は「貴景勝は当たった後の攻めが良かった。押し相撲はいい相撲を取ると乗ってくる。」と語る。
6日目、カド番の大関・正代が気迫の相撲で連敗を止め、3勝3敗と星を五分に戻した。
先場所敗れた西前頭3枚目・翠富士を押し倒した。
動きのいい相手に圧力をかけ続けた。
懐に入られて追い込まれる場面もあったが、右で振って体勢を崩し、土俵下まで吹っ飛ばした。
6日目、1分を超えた大相撲を制した若隆景。
鼻血のためか顔面を真っ赤にしながら勝ち名乗りを受ける姿に「ここで負けるわけにはいかない」という意地が見て取れた。
今年の優勝者同士の対戦。
気力が上回ったのは名古屋場所を制した逸ノ城より、大きな目標がある春場所の覇者だった。
212キロの相手に80キロも軽い関脇が頭から当たった。
右を差してまわしを取ると相手に振られて足がもつれた。
しかし、下手まわしを命綱にして体勢を立て直すと頭をつけ、左からおっつけて逸ノ城の動きを止めた。
6日目、大栄翔との一番。
豊昇龍の悪い癖で、安易な右からの張り差しでまわしを取ろうとした。
私の現役時代は横綱や大関が格下相手に使った技。
最近では若手も頻繁に使うようになったが、立ち合いの当たりが弱くなってしまう。
豊昇龍も大栄翔に土俵際まで押し込まれた。
左に動いて足腰の良さだけで白星を積み上げたが、紙一重の勝負だった。
6日目、霧馬山が先場所優勝の玉鷲を力強く突き出し、連敗を免れて4勝目を挙げた。
馬力自慢のベテランに対し、まわしは引けなかったものの、相手のお株を奪うように猛然と突き返す。
「よかった。落ち着いて前に出た」と納得の表情。
今場所は圧力が光る。
「下からきつく当たって勝っていかないといけない」。
そう臨んできた稽古の成果が表れているようだ。
先場所は小結に返り咲き、三役で初めて勝ち越した。
新関脇昇進に向け、今場所は2桁白星が明確な目標。
「どこまでできるか楽しみ」と、自身への期待は膨らむ。
6日目、ともに大関経験者で、1敗同士の対戦は高安が御嶽海を危なげなく退けた。
かち上げて攻め込んだ後に右四つに組むと、左で上手をがっちり。
じわじわと圧力をかけて寄り切り、「まわしのいい所が取れたのでよかった」と納得の表情を浮かべた。
館内のファンも初賜杯の獲得を期待しているのか、取組後は大きな拍手を浴びた。
「それだけがやりがい。より一層、頑張りたい」。
32歳が鼻息を荒くしている。
6日目、23歳の琴勝峰とは初顔合わせ。
若さを生かした馬力のある相手を、もろ手突きで上体を起こし、右に動いて土俵にはわせた。
阿炎は「自分の考えた相撲ができたので良かった。圧力をかけようと思っていたので、そのおかげで横の動きができた」。
1敗を守り、八角理事長も「元気がいい時に戻っている。度胸がある」と称賛した。
6日目、22歳の平幕王鵬が照強を破り5勝1敗とした。
5連勝は幕内通算5場所目で自己最多タイ記録。
懐へ潜られたが、上から体重をかけて小手に巻いて投げ捨てた。
「慌てたら相手の思うつぼだと思った。結果を怖がらずに取れている」。
場所前は宮城野部屋や武隈部屋へ出稽古に赴いた。
所属する大嶽部屋を訪れた平幕阿武咲には「めちゃくちゃ吹っ飛ばされた」と苦笑いを浮かべたが、精力的な稽古の成果が出ているようだ。
2022/11/18
5日目、貴景勝は右へ変わり気味に立って巨漢の逸ノ城を惑わせると、休まず攻めて押し出し。
昨年の名古屋場所での対戦で首を痛めた相手。
立ち合いについて問われて「覚えていない」ととぼけたが、3連敗中の難敵だけに、なりふり構わずに白星を狙った形だ。
連敗を2で止めたものの、大関の表情は晴れない。
「6日目に向けて一生懸命準備したい」と言葉に力を込めた。
5日目、大関正代が幕内明生に寄り切られて3敗目(2勝)。
突き放され、もろ差しを許すと一気に攻め込まれて土俵下に落ちた。
取組後は取材に応じることなく、土俵下の藤島審判長は「当たりは悪くなかったんですけどね。最後もなんとか残そうとしていたんだけど…」と振り返った。
5日目、大関昇進の足固めが懸かる関脇若隆景は宇良を押し出し、序盤は3勝2敗とした。
相手の引き技に土俵際で腹ばいになり、物言いがついたものの、出足を止めずに前へ出て「先に先に攻められた」。
4日目の黒星から「気持ちを切り替えてやれた」。
年間最多勝争いのトップに立ち、これで52勝目。
大関貴景勝が残りを全部勝ってもこの数字に届かず、横綱、大関陣からの年間最多勝獲得はならないことが決まった。
5日目、関脇・豊昇龍が10年ぶりの珍手で1敗を守った。
過去5戦全敗と苦手にしていた西前頭3枚目・翠富士をかわず掛けで下した。
幕内では2012年春場所5日目に隆の山が決めて以来となった。
5日目、関脇・御嶽海が新小結の翔猿を突き落として4勝目(1敗)。
大関復帰に向け好スタートを切った。
5月の夏場所で右肩を痛めた影響で心技体のバランスが崩れていたが、場所前の稽古で不安を解消。
しかも肩だけではなく、尻まわりも絶好調≠セという。
御嶽海が翔猿をじっくり攻め、突き落として4勝目を挙げた。
取組後は取材に応じることなく帰路に就いたが、土俵下の藤島審判長は「よく我慢した。絶体絶命の体勢だったけど。先場所よりも(体の)状態がいいんでしょう」とうなずいた。
5日目、高安は立ち合い、右から体当たり気味に当たって玉鷲に圧力負けせず逆に押し勝ち、左が入ってからの攻めも早く一方的に寄り切った。
今場所は圧力がモロに伝わる体当たりの立ち合いがしっくりいっているようで、その後の流れがいい。
場所前に右足親指を痛めたそうで、どの程度のけがかはわからないが、下がれば負担になるので攻めなければ、という気持ちが相撲に表れているのかもしれない。
大関から落ちた後も常に一生懸命で、ひたむきな姿勢が伝わっている。
先場所は千秋楽で玉鷲に敗れ、またもあと一歩で優勝を逸した。
期待しているファンのためにもこの流れを大事にしてほしい。
5日目、平幕明生が大関正代を寄り切り、連日の殊勲の星を挙げた。
前日には大関貴景勝を破り2大関を撃破。
「左を差されたので先に動こうと思った。止まったらきついので」。
振りほどいて突き放し、もろ差しを果たした。
3連敗後に2連勝。
場所前、同じ立浪部屋の関脇豊昇龍との三番稽古(同じ相手と何度も取る)は、土俵際でも力を抜かない激しいものだった。
「体の動きは悪くない。攻める気持ちをもってやっている」と納得の表情をみせた。
5日目、日本相撲協会の八角理事長が序盤、4勝1敗の好成績を挙げている西前頭5枚目・錦富士を絶賛した。
5日目は東5枚目・北勝富士をタイミングよくはたいて白星を積み上げた。
184センチ、148キロの均整の取れた体。
八角理事長は「力を付けている。力強さが出ている。稽古をやっているなという体つきですよ。いい方、いい方に行ってもらいたい。こういう元気のいい力士は横綱、大関を目指してほしい。青森出身? どおりで粘り強いと思った」と大きな期待を寄せていた。
5日目、新入幕の熱海富士が3日目から3連勝。
輝に押し込まれたが逆転のはたき込みで勝利も「引いてしまったのでダメ」と満足の内容ではなかった。
3日連続で鼻血を出しながらの白星。
昔から鼻血が出やすい体質のようで、この日は取組前から出血しており鼻に詰め物を入れて土俵に上がった。
「よく分からない。なんで鼻血出るんだろう。何もしなくても出てしまう」と困惑した様子だったが、“血気盛ん”な20歳が調子を上げてきた。
2022/11/17
4日目、貴景勝は立ち合ってすぐに引き、東前頭2枚目・明生に寄り切られた。
痛い連敗。引いたのが良くないか、と問われ「そうですね」と言葉少な。
「もう明日頑張るしかないので頑張ります」と絞り出した。
4日目、自身5度目のかど番の大関正代が、西前頭2枚目の逸ノ城に寄り切りで敗れ2敗目を喫した。
立ち合いで圧力をかけられず後手に回ったことを敗因に挙げ「上手が引けるか、もしくは中に入れてたらもう少し内容は違った。また一から集中して連敗しないようにできたらと思います」と振り返った。
4日目、小結・玉鷲が38歳の誕生日を白星で飾った。
小結・大栄翔との激しい相撲を押し出しで制して初日を出した。
1969年の九州場所以来、53年ぶりに4日目で全勝力士が消える珍事が起こった一年納めの土俵。
先場所、37歳10か月で昭和以降最年長優勝を果たした“鉄人”が、諦めずにトップを追いかけていく。
4日目、平幕高安が関脇豊昇龍に土をつけ、3勝目。
立ち合いの強烈な体当たりで相手の腰を浮かせ、はたき込んだ。
「いい当たりができた。これからも前向きに自分の考えた相撲が取れれば…」。
早くも全勝力士がいなくなり、序盤から元大関の存在感をアピールする。
今年はここまでの5場所で全て優勝者が異なり、今場所も違う力士が制すれば、年6場所制となった昭和33年以降では3度目となる。
悲願の初優勝へ向け、風が吹く。
4日目、東前頭2枚目の明生が、大関貴景勝を寄り切りで破って初日を出した。
立ち合いから鋭く当たって先手を取り、嫌がった貴景勝の引きにも動じなかった。
右を差して頭を付けて前に出て、土俵外に運んだ。
今場所初白星に「ホッとしました。思いっきりいこうという気持ちで、しっかり踏み込めた」と納得の内容だった。
ご当地場所で初日からまさかの3連敗。
この日対戦した貴景勝には今年1月の初場所以来白星が遠かったが「あんまりそういうのは考えなかった。しっかり稽古をしてやることをやっていればと思ってやっていました」と揺るがない。
“銀星(平幕が大関に勝つ)”を弾みにして「1日1番しっかり土俵に上がっていきたい」とここから巻き返す。
4日目、平幕・逸ノ城は結びで、カド番大関・正代を寄り切りで下し、2勝目を挙げた。
立ち合いは右を差して踏み込み、得意の右四つ。
「今日はじっくり自分の相撲が取れたのでよかったです」。
左上手もガッチリ引いて勝負あり。
自慢の怪力でカド番大関を土俵外へと運んだ。
7月の名古屋場所以来、今年2度目の賜杯へ。
「しっかり自分の相撲に自信を持って、やることをやっていきたいです」と、闘志を燃やした。
4日目、若元春は勢いよく3勝目。
もろ手突きで先手を取り、両まわしをがっちり引いて佐田の海を寄り切った。
「踏み込まれることが多い相手。よく攻められた」と自賛する内容だった。
新入幕から3場所連続で勝ち越したが、上位初挑戦だった名古屋場所は負け越し。
その時と同じ東前頭4枚目の今場所。
「ここまで地道に番付を上げている。できることをやるだけ」と足元を見詰めて臨んでいる。
4日目、相撲巧者を寄せ付けなかった。
錦富士が初顔合わせの遠藤を退けて3勝目。
新入幕から2場所連続で10勝を挙げている新星が、ベテランを圧倒した。
遠藤の取り口を、錦富士は「お手本のような力士で参考にしてきた」。
ずっと憧れてきただけに、相手の得意な形はしっかりと頭に入っていた。
「上手を先に引かせない」。
頭から当たり、激しい突き押しでまわしを遠ざけるように攻め、土俵の外へ追いやった。
4日目、幕内最年少20歳の新入幕・熱海富士が粘りの相撲で37歳のベテラン・隠岐の海を破った。
初日から2連敗後、白星を並べて勢いが出てきた。
17歳上の相手に押し込められても土俵を割らなかった。
体勢を立て直して低い姿勢から攻め立て、土俵外へ追いやった。
前日に続いて鼻血を出しながら白星をつかみ、「あまり深く考えずにいった。落ち着いていたと思う」とうなずいた。
2022/11/16
3日目、立ち合いから大関経験者の気迫に押されたか。
強烈なかち上げで上体を起こされると、突き放され、最後ははたかれて土俵に突っ伏した。
高安の流れるような攻めに、何もさせてもらえなかった。
3日目、5度目のカド番を迎えている大関・正代が難敵を退けて連勝を飾り、2勝1敗と白星を先行させた。
過去5戦全敗だった西前頭筆頭・琴ノ若を立ち合いから圧倒して押し出した。
苦手からの勝利で勢いに乗り、熊本県出身でご当所となる九州の土俵を盛り上げる。
“異例”の早さで正代が立ち直った。
過去5戦全敗の琴ノ若戦。
立ち合いで猛然と体をぶつけると左をのぞかせる。
たまらず引いた相手を攻め続け、最後は気迫で押し出した。
「立ち合いの角度もよかった。休まずに攻められた」。
自身5度目のカド番で迎えた今場所は初日黒星。
だが2日目に流れを変えると、この日は苦手な相手をはね返し白星を先行させた。
3日目、大関昇進への足固めの場所に臨んでいる関脇若隆景が連勝で白星を先行させた。
明生に対し右を差しながら圧力をかけ、回り込んだ明生が引くところを逃さず、最後は左の前まわしを引きつけながら向正面に寄り切った。
報道陣のリモート取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「力強さがあった。(明生の出足を)ガチッと受け止めて圧力があるから右を差し勝っている」と話した。
前日は「今後は圧倒するような相撲に期待したい。強い相撲で勝つことが大事で『強いな』というイメージを残してほしい」と話していたが、その期待に応えるかのような若隆景の相撲に「こういう勝ち方をどんどん積み重ねていってほしい。まわしを取ったら前に出るという、こういう相撲をね」と期待した。
3日目、動きの良さも、相撲勘もさえ渡った。
関脇豊昇龍が巨漢の逸ノ城を手玉に取って快勝。
三役昇進後では初めて、初日から3連勝とし、「集中して取れてよかった」と力強く言った。
立ち合いで左上手を狙ったが、取れないとみるや、いったん距離をつくってから右を差す。
投げをこらえ、左では前まわしも引いて懐に入った。
70キロ以上重い相手を一気に寄り切る。
流れるような動きに、土俵下の佐渡ケ嶽審判部長は「迷いがない」と評価した。
3日目、10勝すれば大関に復帰できる関脇・御嶽海は、小結・大栄翔に引き落としで敗れ、3日目にして土がついた。
この日は取組後、報道陣のリモート取材には応じなかった。
大栄翔との立ち合いは持ち前の馬力で押し込むも決めきれず。
土俵際から相手の強烈な突きに押し返され、最後はタイミングよく引き落とされてバッタリと土俵をはった。
八角理事長は「立ち合いの当たりは良かったけど、大栄翔が辛抱強かった。御嶽海は馬力がないから頭を下げて前に行こうとしたところを引かれた。これまでも負けた次の日にガタガタとなるケースがあった。明日(4日目)が大事」とした。
3日目、新小結の翔猿が狙い通りに3連勝。
先場所優勝の玉鷲に対し、やや右に動いて足取りを試みた後、中に入って一気に寄り切った。
前回の対戦では突き押しで圧倒されており、「一発で持っていかれないように、下から攻めようと思った」と納得の表情を浮かべた。
先場所では照ノ富士や御嶽海を破って10勝。
自信を深めながらも、慢心はない。
「思い切っていくだけ。変わらず、集中していく」と誓った。
3日目、高安は右からかち上げた後、突き押しで前進。
タイミング良くはたいて、大関貴景勝を腹ばいにさせた。
「相手を起こせたので、自分の流れで相撲を取れた」と満足そうに振り返った。
初日に若隆景に勝った後には、右足を気にするそぶりを見せた。
2日目は元気なく敗れたが、「問題ない」ときっぱり。
気迫十分の相撲を取り戻し、ファンを安心させた。
3日目、平幕阿炎が栃ノ心を破って3連勝。
立ち合いはもろ手突きで相手の上体を起こし、タイミングよく引き落とした。
「前へ出られた。集中して取れている」。
小結で8勝を挙げた7月の名古屋場所後に痛めていた右肘と左足首を手術。
9月の秋場所は全休した。
けがの不安も解消し、「土俵で精いっぱい相撲を取りたい」。
初日から3連勝は1月の初場所以来。
このときは優勝次点の12勝を挙げており、一年納めの土俵も熱くする。
3日目、新入幕の西前頭15枚目熱海富士が、東十両2枚目の美ノ海を押し出しで下して幕内初白星を挙げた。
鼻血を出すほどの激しい一番を制した。
立ち合いから積極的に前に出る。
先に前みつを許す厳しい展開になっても、決して慌てない。
中学時代に毎食4合の米と1リットルの牛乳を飲んで作り上げた大きな体を生かし体を密着させて圧力をかけ強気な攻めで押し出した。
3日目で記念すべき幕内初白星。
「本当に勝ててよかったというのが一番大きいです。(狙っていた)右が入らなかったけど、落ち着いていけました」。
初めての懸賞金を受け取り感慨が一層高まった。
3日目、平戸海は相撲巧者の照強を寄り倒し、初日から3連勝を飾った。
「止めたら勝てると思ったんで、立ち合いだけ。先場所みたいに足を取られないように落ち着いていけました」。
照強が得意とする足取りを警戒。
狙い通りに白星を重ねた。
新入幕の先場所に続く3連勝も「考えすぎないようにと思っている」と慎重な姿勢。
2022/11/15
2日目の取組が行われ、今場所番付筆頭の大関・貴景勝は前頭筆頭・琴ノ若を下し、6場所ぶりの連勝発進を飾った。
今年はここまでの5場所で全て優勝者が異なり、今場所も横綱・照ノ富士不在の“戦国場所”。
3場所続けて黒星発進だった貴景勝だが、初日は小結・大栄翔をを危なげなく押し出しで破り白星発進。
2日目も琴ノ若を押し出しで下し、6場所ぶりとなる無傷の2連勝。
今場所番付筆頭としての意地を見せた。
2日目は、かど番の大関正代が高安を寄り切り、初白星をマークした。
ご当地力士の結びの一番を見守った場内もホッとしたのだろう。
5度目のかど番を迎えている正代が2日目に初白星を飾ると、その体を温かい拍手が包み込んだ。
5連勝中と合口の良い高安が相手。
「相手もいろいろと考えてくるからやりづらさもあった」と不安を抱えていたが、ふたを開ければ大関相撲だった。
頭から当たった高安の圧力を胸で受けてやや押し込まれたが、左を差して勢いを止め、右からいなして自分の流れに持ち込んだ。
右を巻き替えて得意の形に持ち込み、難なく寄り切った。
2日目、若隆景が自身初の年間最多勝に向けて初日を出した。
霧馬山の突き押しに引かず、頭を押さえられて引かれても落ちなかった。
右を差し、頭を相手の右肩付近に着けて低い姿勢をキープ。
左上手も取って力強く寄り切った。
「下からいこうと思っていた。いい相撲だったと思う」と短い言葉ながら充実の表情だった。
2日目、豊昇龍は先場所優勝したモンゴルの先輩を引っ掛けで下して2連勝とした。
土俵際に追い詰められても慌てず、突きにきた相手の左を手繰って体を開くと玉鷲の右足が土俵外に出た。
「しっかり当たれた。集中してやれたし勝ててよかった」と納得の様子。
初場所から5場所連続で勝ち越し中だが、初日からの連勝スタートは今年初めて。
万全の仕上がりを見せる関脇の勢いは止まりそうにない。
2日目、大関復帰を目指す西関脇の御嶽海は、西前頭2枚目の逸ノ城を押し出し、2連勝とした。
逸ノ城には通算16勝7敗。
3日目の相手は西小結の大栄翔。
2日目、新小結の翔猿が2連勝とした。
押し合いからうまくいなし、明生が前に出てくるところを俵の上で右足一本残ってはたき込み。
物言いがつく際どい相撲で白星をつかみ「残っていたのかなとは思ったけど、物言いがついたら怖いですね」と胸をなで下ろした。
初日は押して前に出る相撲で正代を破っており、この日は持ち前の軽快さを発揮。
押してよし、動いてよしの今場所の内容に「体は動いている」と手応えを得た。
2日目、平幕・錦富士が竜電を突き出して初日から2連勝。
史上2人目となる、新入幕から3場所連続の2桁勝利へ好発進した。
三役経験のある竜電を突き出した。
立ち合いから突っ張り、一度いなして泳いだところを我慢強く突いた。
錦富士は本来左四つの四つ相撲。
自身より3センチ長身でリーチもある相手に突き勝つ、26歳の急成長を表す勝ち名乗りだった。
「手の長い相手に前へ出られてよかった。浮かれずに明日に臨みたい」。
土俵下で見守った藤島審判長は「圧力負けしなかった。力をつけているという印象」とその成長ぶりを証言した。
2日目、西前頭9枚目・阿炎が“地元パワー”で連勝発進を決めた。
同10枚目・千代翔馬を押し出した。
毎年11月14日は故郷、埼玉県民の日。
越谷市出身の阿炎にとって相性のいい日で、関取で臨んだときは5戦全勝となった。
関脇経験のある実力者が“記念星”でさらに勢いづいていく。
2日目、東前頭15枚目の輝は同16枚目の照強を落ち着いて押し出し、初日から2連勝とした。
3場所ぶりの幕内で好発進し「調子はいい。これを続けたい」と意気込んだ。
輝はうるさい照強の動きをよく見ながら攻め、力強く押し出した。
初日の東龍戦に続き、前に出る相撲が光った。
10月の出稽古期間には春日野部屋で精力的に番数を重ね「他の部屋の関取衆としっかり稽古できた」と自信をのぞかせた。
初日の13日を休場していた枝川審判委員(元幕内蒼樹山)が同場所2日目の14日に復帰し、幕内前半戦などの勝負審判を務めた。
場所前に新型コロナウイルスに感染し、療養期間を終えたという。
2022/11/14
13日、日本相撲協会が、初日から休場している横綱照ノ富士の「両変形性膝関節症により11月30日までの休場を要する見込み」との診断書を公表した。
照ノ富士は9月の秋場所を古傷の両膝の負傷により途中休場。
10月中旬に両膝の内視鏡手術を受けた。
取組編成会議が行われた11日には、師匠の伊勢ケ浜親方が「膝がやはり使えない。四股が踏めない状態」などと休場理由について説明していた。
横綱不在の中、貴景勝がまずは大関の貫禄を示した。
埼玉栄高の先輩に当たる大栄翔との結び。
左からいなすと、相手のはたきに乗じて出た。
「あまり覚えていない。集中してやるだけだった」と淡々と振り返った。
7月の名古屋、9月の秋と2場所続けて平幕力士が優勝し、自身は一昨年の11月場所を最後に賜杯から遠ざかっている。
「毎場所、優勝を目指している。自分は一生懸命やるしかない」。
看板力士としての責務を果たすつもりだ。
熊本県出身でご当地の正代は消極的な内容だった。
翔猿に苦杯をなめ、かど番で苦しい滑り出し。
「初日は硬くなるかなと思っていた。仕方ない。体は動いている。場所の空気に慣れて、本来の相撲が取れたらいい」と切り替えを強調した。
小兵の突き、押しに終始劣勢だった。
「立ち合いでのさばきが気になっていた。ちょっと体重を乗せることができなかった」と反省した。
5場所連続関脇で、大関昇進の足固めが懸かる若隆景は高安に押し出されて黒星スタートとなり、「切り替えて。しっかり攻めて集中してやる」。
9月の秋場所は初日から3連敗を喫しながら、8連勝して盛り返し優勝次点の11勝を挙げた。
今年は序盤の5日間で黒星が先行したケースが4度もあるが、年間最多勝争いのトップに立つ男は出足のつまずきにも気持ちは切らない。
関脇に落ちた御嶽海が、いい勝ちっぷりを見せた。
立ち合いの踏み込みもよく、もろ差しにはなれなかったが、明生の左差しを右おっつけで封じ、そのまま一気の出足で押し出した。
急に弱くなって大関から落ちたわけではなく、肩の状態さえよければこういう相撲が取れるはずだ。
今場所10勝すれば大関に復帰できるが、昇進のときの三役で3場所33勝という目安とは違い、明確な基準だけに、近ずくにつれてプレッシャーも大きくなる。
何でもないときの10勝に比べ11勝、12勝にも相当する厳しい道のりだが、初日に最高の相撲が取れたことで光も見え、自信を取り戻せただろう。
新三役の小結翔猿が大関正代を押し出した。
9月の秋場所も初日に対戦して敗れただけに「どんどん前へ出られてよかった。(新三役で)ワクワクしながら不安な気持ちもあったが、いい感じで取れた」。
まわしを与えないように突き放し、前傾姿勢を崩さずに攻め続けた。
素早い動きに加え、半年ほど前からぶつかり稽古の量を大幅に増やして「翔猿からゴリラになるように」と力強さを求めており、その成果が出た。
初日、高安が11勝して千秋楽まで優勝を争った先場所に続き、好発進を決めた。
立ち合いから突き放し、回り込んで反撃を狙う若隆景を押し出した。
「前へ出られた。考えていた相撲が取れました」と手応え十分で、秋巡業最終日を右足親指の負傷で休場した影響も感じさせなかった。
「治療に努めました。部屋で稽古は積んできました」。
2場所連続の快進撃を予感させた。
先場所優勝の玉鷲を破って白星スタートを決めた。
師匠の湊親方夫人に暴力を振るうトラブルを起こした疑いがあることが場所前に浮上。
関係者によると、すでに日本相撲協会から事情聴取を受けている。
騒動が起こる中で実力者に快勝したが、取組後のリモート取材には応じなかった。
青森県北津軽郡中泊町出身の前頭十一枚目・阿武咲が白星発進。
勝利を受け、客席では中泊町の後援会タオルが大量に揺れていた。
前頭十枚目・千代翔馬との取組で立ち合いから勢い良く前へと出ていった阿武咲は、中へと入っていきそのまま寄り切った。
この取組を受け、ABEMAで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は「千代翔馬は立ち合いから張っていくんですけど、あんなに体勢が高くて、胸を開けてたら“出てきてください”と言っているようなもの」と指摘。
それから「一方の阿武咲は良い相撲でした。褒めてあげたいですね」とコメントした。
2022/11/13
新三役の小結翔猿は福岡市内の追手風部屋での稽古後、電話取材に応じ「挑戦者の気持ちで思い切りいきたい。どれくらいできるのか、ワクワクしている」と語った。
初日は大関正代と対戦する。
12日、小結の大栄翔が稽古後に電話取材に応じた。
先場所は2大関を破る活躍を見せるも7勝8敗と負け越してしまい、関脇の座を守れなかった。
今場所は「やっぱり優勝を目指して臨みます」と気持ちを奮い立たせている。
今場所では、年間6場所すべてで異なる優勝力士が誕生するかが注目の1つになっている。
そうなれば、1991年に霧島、北勝海、旭富士、琴富士、琴錦、小錦が優勝して以来、31年ぶり3度目の珍しい記録となる。
大栄翔は昨年初場所で押し相撲がさえわたり初優勝。
誰もが認める実力者だけに、優勝の可能性は十分にある。
今月10日に29歳になった。
1年納めの場所ではあるが、大栄翔にとっては20代最後の1年のスタート。
「20代が終わるのは自分では本当に信じられない。20代最後の1年はしっかり、やっぱりいい1年にしたい」と意気込んだ。
13日に初日を迎える大相撲九州場所の土俵祭りが12日、会場となる福岡市の福岡国際センターで営まれ、日本相撲協会の八角理事長や同場所担当部長の境川親方らが15日間の安全を祈願した。
力士は新型コロナウイルス感染拡大防止のため出席しなかった。
今回は九州場所としては3年ぶりに定員6976人の観客数に制限を設けずに行われる。
境川親方は両膝の手術を受けて照ノ富士が休場して横綱不在の場所となったことを「残念」と語り「(大関の)正代(熊本県宇土市出身)ら役力士が盛り上げてほしい」と期待した。
2022/11/12
11日、取組編成会議を開き、横綱・照ノ富士が休場すると発表した。
初日から横綱不在となるのは昨年夏場所以来9場所ぶり。
両変形性膝関節症、右膝骨挫傷で秋場所を途中休場した照ノ富士は先月18日に両膝を内視鏡手術し、1週間前から土俵に下りての稽古を再開したが、出場には後ろ向きだった。
師匠の伊勢ケ浜親方は「リハビリはずっとやっているけど間に合わない。まだ四股も踏めない状態なので」と現状を説明。
復帰の時期については「それは分からない。今やれることをやるしかないので」と、焦らずに完全復活を待つ考えを示した。
関脇として臨む御嶽海が、20代最後の場所に向けて気を引き締めた。
11日、福岡・新宮町の出羽海部屋の稽古に参加し、1年を締めくくる場所に向けて「1日1勝。それだけですよね。自然と結果はついてくるんだと思います」と目の前の取組に集中することを誓った。
大関陥落の翌場所となる今場所で10勝以上すれば再び大関に復帰できる特例もあるが、本人は「僕は一切考えないです」ときっぱり。
もちろん2桁白星は絶対クリアするという気持ちはある。
ただ、そういった目先の数字を追うあまり見失っていたこともあると思っている。
「いろいろ矛盾していると思いますけど、上がるのは絶対。
だけど10番とか、数字でいろいろ上がらないといけないというのは考えない。
考えていたからこそ見失っている部分がいっぱいあったので」と丁寧に自分の思いを説明した。
西前頭2枚目逸ノ城と湊親方の師弟関係が、修復不可能な状況にまで陥っていることが11日、分かった。
日本相撲協会関係者によると、逸ノ城の湊親方夫人への暴行の疑いが浮上。
一方で師弟間での金銭トラブルや、逸ノ城が会話の際に弁護士を通す必要を主張していることなどが判明した。
既に協会から事情聴取を受けており、九州場所は出場の方向で、初日と2日目の取組に入った。
今後、コンプライアンス委員会が事実関係を調査し、九州場所後にも処分案をまとめる可能性が出てきた。
2022/11/11
5度目のカド番で迎える大関・正代は10日、福岡県志免町の時津風部屋で幕下力士相手に12番取って10勝2敗。
番数は少なめだが「ちゃんと稽古ができて、まずはいつも通り初日は迎えられる」と穏やかな表情を見せた。
10月に行われた自身の昇進披露パーティーでは八角理事長から厳しい叱咤(しった)を受けた。
それでも「正直、言われても仕方がないかなという成績。理事長の言葉に耳を傾けて、大関として頑張っていかなくては」と真摯(しんし)に受け止める。
今年は34勝41敗と大不振。徳俵に追い込まれた中でも「最後が良かったら納得がいく一年になるのかな。しっかり締めていければ」と前を向く。
復活への鍵は、4場所連続で1勝4敗と崩れている序盤をいかに乗り切るか。
「初日、2日目というのは凄い重要になってくる。しっかり合わせていければ」と鬼門に全力投球の構えだ。
九州場所を前に順調な仕上がりをみせた。
10日、福岡・糸島市内の立浪部屋での朝稽古に参加。
関取衆らと17番取り、平幕の明生とは7勝6敗と激しい攻防を繰り広げた。
土俵際にもつれ込んだ際は「どっち?」と周りに聞くなど、勝敗にこだわった様子もみられた。
手の内を知られる明生に体を寄せられて敗れると「あ〜クソ!」としきりに悔しがった。
「お互い毎日真剣勝負をしている。悔しい時もあるっすけど、やっぱ稽古だから。稽古場で力を入れないと本場所でできない」と、1年を締めくくる九州場所を前に体を仕上げきた。
今年は三役に定着してきたが「僕にとっては良い年だったと思いますけど、まだ終わっていない」と気を緩めることはない。
「場所が終わって、本当に良い年だったと言えるように頑張りたい。しっかり自分の相撲を取りきることをやっていきたい」と1日一番を心掛ける。
師匠の湊親方との確執が深刻化し、逸ノ城がおかみに暴力を振るった疑惑があることが10日、分かった。
日本相撲協会ではすでに逸ノ城と師匠を個別に呼び出し、事態を把握。
複数回にわたって事情を聴いている。
13日に初日を迎える九州場所には、常軌を逸した師弟関係のまま出場するという。
会話が成り立たない。
そもそも、受け答えがない。
常軌を逸脱した師弟関係に陥ったまま、逸ノ城が九州場所を迎える。
7月の名古屋場所で初優勝を果たし、再び上昇機運をつかんだようにみえた逸ノ城だが、私生活ではかねて過度な飲酒が問題視されていた。
部屋関係者によると、温厚な性格としながらも、泥酔すると姿が一変。
「師匠の再三の注意もあり、本人も自覚はしていたが、店で来客とトラブルを起こしそうになったり、おかみにも手をかけることがあった」と、痣(あざ)をみたこともあったという。
10日、日本相撲協会の関係者が暴力団の排除を宣言しました。
大相撲九州場所が行われる福岡市の福岡国際センターには、日本相撲協会の関係者と博多臨港警察署の署員が集まり、九州場所期間中の暴力団の排除を宣言しました。
◆日本相撲協会 境川豪章 地方場所部長
「警察署等関係機関と連携し、暴力団排除活動を推進する」
今年も会場には、暴力団員の立ち入りを禁じる看板が設置されるほか、期間中毎日、警察官10人が警戒にあたるということです。
2022/11/10
九州場所に向けて仕上げの段階に入っている。
9日、福岡・篠栗町にある常盤山部屋の朝稽古に参加。
同部屋の平幕隆の勝を相手にしての三番稽古では、立ち合いの動き方などを入念に確認しながら10番相撲を取り、9勝1敗だった。
「もう仕上げに入っている。ピークの時よりはだいぶ落としている。あとは疲労を抜いて、良い状態でやるだけ」と順調さがうかがえた。
3度目の優勝へ期待がかかる。
先場所の秋場所は10勝を挙げ、2場所連続での2桁白星。
不振が続く大関陣の中でただ一人、気を吐いた。
それでも「大関には三賞はないし、優勝しか目指すものはない」と満足する様子はない。
直近の優勝は、20年九州場所にさかのぼる。
今場所は、両膝手術の影響で出場が危ぶまれる横綱照ノ富士が休場となれば、自身が番付上で最高位となる。
「別に変わることは全然ないと思います」ときっぱり話し、続けて「横綱がいるから負けてもいいよ、と思ったことはないですし、あとは成績でみなさんに判断してもらうしかない。自分は一生懸命やるしかない」と静かに闘志を燃やした。
9日、一番一番に集中する覚悟を示した。
今年ここまで積み上げた白星は46。
トップの関脇若隆景の49勝に次ぐ2位につける。
初の年間最多勝も視界に入るが「なるようにしかならない。自分だけの話ではないですから」とこだわりは見せず。
「どれだけ自分自身がいい相撲を取れるか」と力を込めた。
7月の名古屋場所こそ、部屋でコロナ感染者が出たため途中休場を余儀なくされたが、ほかの4場所は全て勝ち越し。
この日の福岡市内の宿舎での稽古では四つにこだわらず、押しを見せるなど柔軟さも披露した。
平幕の琴勝峰や琴恵光らと相撲を取り21勝3敗と順調さをうかがわせたが「数だけではなく、中身のある稽古ができればいい。体は動いている。あと少しきっちりやりたい」と、慢心はない。
宿舎の目の前には博多湾が広がり、稽古後に若い衆らが砂浜などで釣りをするのが恒例。
前日8日には釣ったスズキや平目に舌鼓を打ったという。
「僕は食べる専門。楽しみに待っています」と釣りは得意ではないが、本業では、白星をきっちりと釣り上げる。
元大関・朝乃山の関取復活への期待を込めて、あまの薬房の「富山を楽しくする会」が富山市月見町に応援のぼりをつくりました。
化粧まわしを模したのぼりは縦2メートル幅1.1メートルで立山連峰や桜など富山の風景が描かれています。
近くの住民:「まあーびっくりしました、これが本当のまわしだったら、朝乃山ってすっごい大きい人なんだなあと思って」
月岡校下防犯組合連合会 会長 大野健朗さん:
「今回ことし最後のチャンスという形でですね、ぜひとも関取・十両に上がってほしいと思っております」
2022/11/09
8日、福岡市南区の陸奥部屋宿舎で朝稽古を行い、三役として初めての2桁勝利を目標にすると話した。
秋場所は9勝6敗で、「9番と10番では全然違う。自分にできることは全部やって10番勝ちたい」と意気込んだ。
4日に福岡入りし、この日は幕下以下の力士を相手に21番、相撲を取った。秋場所後に蓄膿(ちくのう)症の手術をして秋巡業は不参加。
稽古不足を取り戻そうと汗を流す。手術前は患部への負担から頭で当たる相撲に不安があったというが、「これからは怖がらずにいける」と喜ぶ。
同じモンゴル出身で三学年下の関脇豊昇龍をライバル視。
「関脇に先に上がったのは豊昇龍。どっちが先に大関か、優勝か。一生懸命やれば(自分に)チャンスはある」と、混戦模様の九州場所を制する決意も見せた。
8日、福岡市東区の木瀬部屋で稽古を行い、東前頭3枚目で新三役昇進を目指す九州場所に向け「あっという間に始まるなと。もちろん上を目指してやっている」と意欲をのぞかせた。
稽古では東大初の力士で序二段須山ら幕下以下の力士と13番。
先場所は横綱照ノ富士を破って5年ぶりの金星を獲得し、幕内上位で勝ち越した。
幕内で20年ぶりに奇手の伝え反りを決めるなど、多彩な技で土俵を盛り上げた。
それでも「実力は上がっていない」と謙虚な姿勢で鍛錬している。
一年納めの福岡の地は思い出深い。
3年前には右膝の大けがによる5場所連続休場から序二段下位で復帰。
昨年は初の技能賞に輝いた。
「涼しくて風が気持ちいい。けがなく15日間を取り切りたい」と目標を語った。
8日、福岡・大野城市で朝稽古を行った。
平幕の妙義龍と平戸海と申し合い稽古を行い、19番取って7勝12敗。
ぶつかり稽古では幕下以下の若い衆に胸を出すなど、精力的に稽古を行った。
ここまでの調整について「思ったより調子はいいですね。本場所が始まってみたら応援が多いので気合が入りますね」と、やはり九州場所への思いはひと味違うようだ。
ご当地出身として臨む1年納めの九州場所。
プロ野球のヤクルトファンなだけに、最多本塁打を記録した村上と同郷であることを振られると「3冠王には勝てないな」と謙遜しつつも「便乗したいですね」とあやかった。
「番付は結果次第のところもあるけど、勝ち越さないと話にならないので」と同郷の主砲に負けじと奮闘し、悲願の新三役、さらに初優勝も狙う。
8日、福岡県大野城市の境川部屋で平幕・佐田の海、平戸海との申し合いで12勝2敗。
「常に同じペース。やることは変えてますけど基本は変わってない」と謙遜するものの、前みつを取って一気に走る速攻など厳しい取り口が光った。
10月に36歳になったが「今は大きなケガがない。だましだましでやっているわけでなく、思い切り稽古できるから年齢関係なく元気です」という。
秋場所では玉鷲が37歳10カ月で2度目の優勝を果たしたのも刺激になっている。
「闘志はある。強い上位とやりたいとか」と目を輝かせた。
2022/11/08
両膝のけがで10月に内視鏡による手術を受けた横綱照ノ富士は7日、報道陣の代表取材に応じ、九州場所について「こんな状況だから無理ではないか。親方と話して決める」と述べ、休場することを示唆した。
7日、新入幕の熱海富士ら幕内力士中心の申し合いなどで汗。
「いつもに比べたら調子悪い方だった。(普段は)どっしり感があった。今日は下半身とか朝からやっていたので、その分ひざの曲がりが悪かったり、初速が遅かった」と貪欲に話した。
新入幕だった7月の名古屋場所から2場所連続で10勝。
九州場所では、3場所連続の2ケタを狙う。
達成なら、青森・三本木農高時代の同級生でもある阿武咲と並ぶ快挙となる。
今場所の番付は西前頭5枚目。
最近は平幕上位から三役が好成績を残すことが多く、詰まっている状態が続いてる。
それでも大勝ちすれば、新三役の可能性は出てくる。
錦富士は「三役は当然目指して稽古しているので。周りは2場所連続2ケタなので、今場所も、という気持ちもうれしいけど。そこに至るまでには自分がしっかり成績をあげないといけないので。ほんとに一日一番が基本だけど、集中してとれたらいいかなと思う」と地に足を着けながらも、「でも頑張りたいですね。チャンスはあるので」と意欲を見せていた。
新入幕として迎える熱海富士が7日、翠富士、錦富士ら幕内力士の申し合い稽古に加え、幕下力士とも精力的に稽古。
合計64番を数えるハードな内容となったが「番数はいつもどおりっすね」と意に介さなかった。
稽古中には師匠の伊勢ケ浜親方や横綱・照ノ富士から左上手の取り方を厳しく指導され、思わず涙ぐむ場面もあった。
「できない自分が悔しい。自分の形がないとずっと言われている」と反省しきりだった。
左上手を取るよう助言されたが、なかなかできずに落ち込む場面も。
「今日はちょっと、いつもより怒られましたけど…。見てもらったらわかると思いますけど、情けない姿を見せてしまいました」と頭をかいた。
「自分が言われてもできないんで、申し訳ないです」と反省モードだった。
それでも稽古後には笑顔で対応。
「相撲を取るのは好きなんで、高校の時から笑いながら相撲を取っていますね」と稽古熱心なところをのぞかせた。
1年納めの九州場所には、家族が観戦に来る計画もあるという。
「その日に来るって言うと負けちゃうんで。『来る日は言わないで』と言って」と笑わせつつも、「幕内に上がったんで多少なりともかっこいい姿を見せられるかなと思います」とけなげに話した。
日本相撲協会は7日、九重部屋付きの佐ノ山親方(元小結千代鳳、本名木下祐樹)が同日付で年寄「大山」に名跡変更したと発表した。
2022/11/07
4日、信濃毎日新聞の取材に応じ、ここまでの稽古の進み具合について「悪くない。体の感覚も良い」と語った。
従来の場所前よりも稽古の強度を上げており、思い通りに動ける体に仕上げようと努めている。
4日、東京・中央区の荒汐部屋で兄の幕内若元春、十両荒篤山と相撲を取って14勝1敗と圧倒した。
すでに師匠の荒汐親方や若い衆は九州入り。
来週中盤まで、東京に残っている関取衆と調整を続ける。
9月の秋場所は初日から3連敗後に8連勝し、大関昇進の起点となる11勝を挙げた。
「気持ちを切り替えて、中盤から自分の相撲が取れたと思う」と手応えを得た。
大関昇進の目安は「直近3場所を三役で33勝以上」。
今年の5場所を終えて49勝26敗と首位(2位は平幕琴ノ若の46勝25敗4休)に立ち、一年納めの九州場所で年間最多勝利を狙う。
「上(大関)を目指すには2桁勝利が重要になってくる。いい相撲を取って一年を締めくくりたい」。
大願を抱えて、新たな年を迎える。
5日、東京・墨田区の部屋で稽古を行い取材に応じた。
料理や裁縫、イラストなど多趣味で知られる玉鷲が最近は断捨離にはまっているそうだ。
「今は物を片付けるのが趣味ですね。物を片付ける、捨てる」と話す。
「趣味のいろんな物があるじゃないですか。物が増えるんですよ。例えば人からもらったお土産の箱があったら、その箱いいなと思いながら、気づいたら1年そこにあるとか」
といっても地方場所に行くと再び物が増えるようだ。
場所中は基本的に外出できないため、レゴを持っていく。
「車を作るやつとか。それを組み立てる。普通は1週間とか10日とかかかってやるものなんですけど、頑張って1日でやりそうな感じになる。1万何ピースなのに」。
やはり多趣味な玉鷲だった。
4日、東前頭4枚目の若元春が東京・日本橋にある部屋での朝稽古後、報道陣の取材に応じた。
既に師匠と若い衆は福岡へ移動しており、この日は部屋の関取衆3人で稽古に汗を流し、若元春は弟の関脇若隆景西十両8枚目の荒篤山との稽古で3勝9敗。
若隆景には番付差を見せつけられたが「いつも通りで、やっぱり格が違う。弟とはいえ、そういう地位。そういう地位の相手を稽古出来るってだけでも身にはなると思う」とプラスにとらえた。
そうはいっても、若元春も今年初場所の新入幕から存在感を示し続けている。
3場所連続9勝で番付を上げ、7月の名古屋場所は初の上位総当たり。
6勝9敗とはね返されたが、大関初挑戦で正代を破り、照ノ富士戦では2分を超えるまわし待ったの大熱戦の末、金星こそ逃したが、幕内上位の力が十分にあることを示した。
2022/09/26
来場所の関脇転落によって「大関 御嶽海」のアナウンスは、この日でいったん途切れる。
節目の土俵で、御嶽海は不振を引きずったまま、若隆景の兄で1学年下の若元春に当たり負けし、左四つであえなく敗れた。
4勝11敗は、2015年11月の新入幕以降で最低の戦績。
報道陣のリモート取材に応じなかった。
25日、関脇若隆景は佐田の海を寄り切り、11勝目を挙げた。
初日からの3連敗が悔やまれるが、その後は立て直し技能賞も獲得。
「素直にうれしい。立ち上がりは悪かったけど徐々に内容も良くなった」と振り返った。
7場所連続勝ち越し。
しかも関脇での11勝は大関昇進への起点となり、価値がある。
「もちろん、そこ(大関)を目標にやっていきたいと思います。しっかり自分の相撲を取っていきたい」と話した。
25日、30歳の翔猿が10勝目を挙げ、初の殊勲賞を獲得した。
自己最高位の東前頭筆頭で、来場所の新三役昇進は確実。
照ノ富士、御嶽海を破るなど場所を大いに盛り上げ「どんどん力がついてきた。努力の結果が出ている。来場所も翔猿らしい沸かせる相撲を取りたい」と胸を張った。
殊勲賞は千秋楽での白星が条件だった。
隆の勝に低く当たり、蹴返しやはたきを交えて攻勢。
動き回って押し出した。
新入幕で11勝し、敢闘賞に輝いた2020年秋場所以来の三賞。
「(勝利が条件は)正直嫌だったが、思い切って攻められた」と笑みを浮かべた。
最年長V力士の余力≠ヘ未知数だ。
大相撲秋場所千秋楽、幕内玉鷲が2019年初場所以来、2度目の優勝を果たした。
今場所は初日から6連勝とスタートダッシュに成功すると、1横綱3大関を撃破するなど勝負強さを発揮。
この日は1差で追う幕内高安を力強く押し出して賜杯をたぐり寄せた。
師匠の片男波親方は「(今場所目立ったのは)立ち合いからの当たり、その後の流れ。特に勝負が早い。前に出る力もそうだけど、左右の動きというか、特に右差してから攻めるという感覚をつかんだんだと思う」と最後まで好調をキープした要因を挙げた。
25日、元大関で平幕の高安は11勝3敗で星一つの差で追っていた平幕玉鷲との直接対決に敗れ、初優勝はならなかった。
勝てば優勝決定戦に進む大一番。
高安は玉鷲の右の突きに攻め立てられ、押し出された。
取組後、高安は「持てる力を精いっぱい出した。玉鷲関が強かった」と潔く語った。
今場所は9日目に横綱照ノ富士から金星を挙げ、千秋楽まで優勝争いに絡んだ。
6度目の敢闘賞獲得も、初土俵から104場所目で目指した初賜杯は、またしてもあと一歩届かなかった。
「(優勝への)距離は縮まっていると感じる。今の気持ちを忘れず、何度でも挑戦したい」と誓った。
25日、西前頭8枚目の北勝富士は初の敢闘賞受賞を逃した。
「勝てば」の条件付きだった関脇大栄翔との一番にはたき込まれた。
「自分が弱いんでしょうがないです」と悔しさをにじませた。
今場所は自己最高の初日から9連勝で、上位陣が不振の優勝争いを盛り上げた。
しかし、10日目以降は1勝5敗と失速した。
「悔しいですけどね。10番勝てたんで、次の場所に向けて変わらず稽古したいと思います」と切り替えを強調。
「こういうプレッシャーを乗り越えて三賞とったり優勝したり。そういう部分ではまだまだ弱い。もっともっと稽古して自信につなげていきたい。いい経験として、またこういう機会がくるように頑張りたい」と悔しさをバネにする。
25日、錦富士は琴ノ若を送り出して10勝目を挙げ、新入幕から2場所連続の2桁勝利となった。
当たった後、押し込まれたが、右に動いて回り込んだ。
先場所は10勝のうち3勝が不戦勝で「実質7勝と言われて悔しい部分もあった。10番勝てて良かった」と喜びの表情。
13日目まで首位と1差と優勝争いにも絡み、「本来当たることがない番付の力士と対戦でき、いい経験になった」と充実感を漂わせた。
2022/09/25
若隆景が厳しい攻めで北勝富士を圧倒した。
かち上げにもひるまず、低い姿勢から右を差すと一気に寄った。
優勝争いにも絡む注目の一番だったが、「特にない」。
高い集中力で臨んだ。
関脇での2桁白星は、初優勝した3月の春場所以来。
もう一つ上の番付を目指す上で、白星を一つでも多く上積みしたいところだろう。
「一生懸命、自分の相撲を取り切れるようにやっていきたい」と千秋楽を見据えた。
5場所ぶりに小結復帰した霧馬山が宇良をはたき込み、三役で初めての勝ち越しを決めた。
幕内屈指の業師を恐れず踏み込んで突き放す。
土俵際で相手の重心が前へかかった瞬間を逃さなかった。
「うれしいです。小結で勝ち越せたのは大きい」。
場所前に関脇の若隆景らが所属する荒汐部屋へ出稽古し、本場所で3大関を撃破する成果を残した。
「自分の相撲を取れている。千秋楽も思い切りいきたい」。
さらに星を伸ばして地力強化を印象づけたい。
14日目、全く迷いのない相撲だった。
玉鷲は力強い踏み込みから頭で当たり、両手をグイッと伸ばすように強烈な突き押しを2度見舞う。
度肝を抜く力で、瞬く間に今場所好調だった翔猿を土俵下へと吹っ飛ばした。
押し倒しで12勝2敗と星を伸ばし、単独首位をキープ。
高安が勝利したため優勝は持ち越しとなり、千秋楽へと全神経を注ぐためかリモート取材には応じなかった。
八角理事長はこの日の一番を「最高の相撲。(動きが)キレている。思い切りがある」と絶賛した。
14日目、土俵上で眉間にしわを寄せ、にらみつけてきた豊昇龍。
それに対し高安は、表情を変えず淡々と仕切りを続ける。
負ければ玉鷲の優勝が決まる場面で、高安の冷静さは際立っていた。
立ち合いでかち上げると、瞬時の引き。
「反応よく決めることができました」。
勝負後も淡々と取材に応じた。
玉鷲を1差で追って千秋楽の直接対決。
優勝へは本割、決定戦の連勝しかないが、千秋楽まで優勝争いに加わったのは若隆景との決定戦に敗れた春場所以来、4回目。もう逃さない。
「今場所も含めてこれからも優勝争いをしたいので。その中で今日の相撲なんで。平常心で取れました。明日もリラックスしていきます」。
決戦を前に硬さはみじんもない。
4度目の正直へ「とても穏やかな感じですけど」。
どっしりと、そしてゆったりとした余裕を感じさせた。
14日目、東前頭10枚目の錦富士が、大関貴景勝に突き落としで敗れた。
幕内2場所目にして優勝争いに絡む活躍を見せたが、上位陣との対戦が続き3連敗。
体を合わせたからこそ分かる差を実感し「刺激になりましたし、良い勉強になりました」と前向きに捉えた。
初の大関戦。同い年の貴景勝とは「ずっと対戦したいと思っていた」と心待ちにしていた。
立ち合いから力強くぶつかって、何度も大関の体をめがけて当たった。
最後は左の突きにやられて土俵に伏せる形となったが、相手の得意な型に持っていかれても決してひるむことはなかった。
対戦前には同部屋の横綱照ノ富士から「しっかりやることをやれば勝機はあるんじゃないか」と背中を押されて臨んだが、勝ちを拾うことはできず。
「(大関は)動きの中での圧力、切り替えとかはすごかった」と収穫を得た様子だった。
新入幕ながら先場所は10勝5敗、今場所は9勝5敗。
優勝戦線に加わったことで「みんなが1日一番死に物狂いでくる」勝負の厳しさを肌で感じた。
2場所連続での2桁白星へ。
「最後の一番しっかり勝って、来場所につなげたい」と気を引き締めた。
14日目、十両は栃武蔵(埼玉県出身、春日野部屋)が11勝3敗で制し、2018年九州場所の友風以来となる新十両優勝を決めた。
幕下は元十両の大成龍(青森県出身、木瀬部屋)、三段目は欧勝海(石川県出身、鳴戸部屋)、序ノ口は日大出身で先場所初土俵の大谷(沖縄県出身、宮城野部屋)がいずれも7戦全勝で13日目に優勝を決めている。
序二段は先場所の序ノ口を制した日体大出身の高橋(福島県出身、二所ノ関部屋)と千代大豪(兵庫県出身、九重部屋)が7戦全勝で並び、千秋楽の25日に優勝決定戦を行う。
14日目、審判部の二子山親方(元大関雅山)が、14日目の24日から休場した。
家族が新型コロナウイルスに感染し、濃厚接触者となったため。
二子山親方に症状はなく、千秋楽も休場する。
部屋の力士は濃厚接触者にあたらないため、出場できる。
2022/09/24
13日目、熱戦が期待された結びの一番は拍子抜けだった。
前日に好調の北勝富士に立ち合いの変化で勝った貴景勝。
今度は若隆景の変化を食らって敗れた。
ばったりと両手をついた大関は5敗目に土俵上で悔しそうな表情を浮かべ、リモート取材に応じなかった。
左に飛んだ若隆景は「とりあえず下からという意識だったが、体が反応した感じ」と説明。
大関昇進への足掛かりとなる2桁白星に王手をかけ、逆転優勝への望みも残した。
八角理事長は上位陣の連日の注文相撲に「お客さんには申し訳ない」と話した。
13日目、8勝4敗と、もう1敗も許されない若隆景。
4敗で並ぶ大関・貴景勝との一番に挑んだ。
結果は、立ち合いの変化で叩き込み。
9勝4敗としたが、優勝争いでトップを行く玉鷲が2敗を守ったため、崖っぷちの状況が続く。
13日目、玉鷲が初顔の錦富士を退け、2連敗を免れた。
立ち合いは劣勢でも焦らず、低い体勢の相手を上から押しつぶすようにして仕留めた。
「きのうはすごく緊張してもったいなかった。しっかり落ち着けてよかった」。
土俵上でぐっと両目を閉じ、大きく息をして安堵(あんど)感をにじませた。
単独トップを堅持。
14日目にも、史上2位の年長記録となる37歳10カ月での優勝が決まる可能性がある。
「緊張しないように、あと2日間、自分の相撲を取っていきたい」。
穏やかな口ぶりで正念場を見据えた。
13日目、悲願の初優勝を目指す32歳の高安は3敗で踏みとどまった。
霧馬山に強烈な右かち上げを見舞い、下半身が崩れた相手を一方的に突き落とし。
「しっかり当たった。もう前に出るだけだった」と納得の表情だ。
1差で追う玉鷲とは千秋楽での対戦が予想される。
14日目も勝って自力優勝の可能性を残したい。
「いい相撲を取って、喜んでもらえるようにするだけ。迷わずに自分のやるべきことをやる」と表情を引き締めた。
土俵下の佐渡ケ嶽審判長(元関脇琴ノ若)も「足も常に出ている。あと2日ある。元大関だし、頑張ってほしい」と期待した。
13日目、北勝富士は連敗を3で止め、トップの玉鷲との1差を堅持した。
埼玉栄高時代の同学年で、好調の翔猿と3敗同士の一戦。
やや左にずれながら立つと、難なく左突き落としで仕留めた。
「当たってから相手が低かったので流した。体が動いた」と満足した。
12日目は貴景勝の立ち合いの変化に屈したが「思い切りいくのが自分の信条」と引きずらなかった。
逆転での初優勝を目指し、14日目は若隆景に挑む。
「体もしんどいが、しっかり一日一日、全力でやっていきたい」と闘志を燃やした。
元小結・常幸龍が日本相撲協会に引退届を提出し受理されました。
木瀬部屋の常幸龍は、東京・北区出身の34歳。
右四つからの寄りや上手投げを持ち味に初土俵から9場所のスピード出世で新入幕を果たし、平成26年の秋場所で小結に昇進しました。
その後は右ひざのけがもあって平成28年の九州場所では三段目まで番付を下げましたが、この場所で優勝しその後は幕下と十両を行き来していました。
今場所は西の幕下33枚目で臨み、1勝6敗の成績となっていました。
日本相撲協会によりますと、常幸龍は23日、引退届を提出し、受理されたということです。
常幸龍は24日、引退の記者会見を行うことにしています。
2022/09/23
12日目、大関貴景勝の立ち合いの変化にはがっかりした。
相手は優勝を争っている北勝富士。
高校の先輩でもある。
まともに勝負して負けても仕方ないと思うのがふつうだが、貴景勝は勝ち越しがかかった目の前の1勝を取った。
北勝富士はまさか変化するとは思わなかったろう。
それを見越しての変化にも見えた。
勝ちは勝ちでも大関として問われるのは勝ち方で、元気な相手には力でハネ返すような相撲を取る責任がある。
勝てば何でもいいというこんな勝ち方は誰もほめはしない。
相撲を取らせてもらえなかった北勝富士はもちろん、お客さんもさぞ落胆したろう。
3連敗からの怒涛の8連勝で優勝争いを続けている若隆景。
22日は同じく3敗で並ぶ前頭4枚目の高安と対戦した。
結果は引き落としで高安に敗れ4敗目。
痛い黒星となりましたが1敗の玉鷲を若隆景の兄・若元春が破ったため優勝争いに踏みとどまった。
残り3日負けられない取り組みが続く。
12日目、平幕の翔猿が錦富士を降し、3敗を守った。
翔猿には思い描く相撲がある。
それは「どんどん前に出る」ことだ。
身長174センチ、体重133キロの小兵だが、目指すのは真っ向勝負の相撲。
好調の錦富士との一番は、理想に近づく相撲だった。
立ち合いで低く当たって前に出る。
下から鋭い突き押しを繰り出し、錦富士得意の四つ相撲に持ち込ませない。
引いて逃れようとする相手を素早い足運びで落ち着いて押し出し、「我慢しきれなかった」と嘆かせた。
12日目、混戦の優勝争いを引っ張る玉鷲は2敗目を喫した。
左喉輪でのけ反らせたが、左前まわしの若元春を押し切れない。
鋭い出足に土俵を割った。
2敗だった北勝富士と錦富士も敗れ、単独首位は依然変わらず。
リモート取材に応じなかった。
2019年初場所以来2度目の賜杯を狙うベテラン。
年6場所制となった1958年以降では、37歳8カ月で制した旭天鵬を上回る37歳10カ月での最年長優勝が懸かる。
土俵下の粂川審判長は「1回優勝しているし、緊張することもそうないでしょう」との見立てを示した。
取組が進むたび、賽(さい)の目のごとく優勝への星勘定が変化していく。
ただ一人1敗だった玉鷲に土がつき、関脇若隆景との3敗同士の星のつぶし合いを迎えた。
「前へ出た。後手にならないように。思い切り踏み込んだのがよかった」
立ち合い。
激しい体当たりから、突き上げて相手の上体を起こした。
いなされても腕を突き出し攻めを休まず、圧力をかけて引き落とした。
若隆景とは3月の春場所では優勝決定戦で賜杯を争い、土俵際まで攻め込みながら逆転の上手出し投げで土俵下まで転がされた。
「落ち着いて相撲を取ることを心掛けた。切羽詰まるよりは…」。
4連敗中だった相手を、その手で引きずり落とした。
2敗の北勝富士も敗れた。
先に玉鷲が敗れ、再び首位に並ぶチャンスだったが一歩後退。
立ち合い勢いよく踏み込んでいったところを貴景勝に左へ変わられた。
互いに激しい押し相撲を得意としているだけに、土俵下の粂川審判長は「押し合い、当たり合いが見たかった。予想外」と不満の声。
大関のまさかの変化に「ああいう相撲は少し残念」と苦言を呈した。
12日目、東前頭10枚目の錦富士が翔猿に押し出され3敗目を喫した。
あごを引いて低い姿勢で押してくる翔猿に我慢しきれず引いてしまい押し出された。
「ああいう相撲を取ってくるの分かってる中で我慢しきれなかった。途中から合わせて相撲を取ってしまった」と反省の言葉を並べた。
とはいえ3敗は十分に優勝圏内。
「(優勝は)どうしても頭の隅にありますけど、一日一番相撲を取って、そこからの話なんで」と集中していた。
2022/09/22
11日目、不振の正代が2日目からの連敗を9で止め、長いトンネルを抜けた。
ようやく手にした2勝目に「ちょっと長かった。変に考え込んでしまっていた」と、ほっとした様子。
大関在位中のワースト連敗記録は2016年夏場所の照ノ富士の13だった。
土俵際で若元春を右突き落としで逆転。あっさりと敗れていた10日目までとは違い「思い切って最後まで取れた」と実感を込めた。
熊本県出身の大関はご当地の九州場所を5度目のかど番で迎える。
「千秋楽まで勝って締めくくれたら」と奮起していた。
11日目、土俵際まで佐田の海を押し込む。
右でとどめを刺しにいった御嶽海。
だが、これがすっぽ抜けると佐田の海にまわり込まれて突き落とされた。
6日目から6連敗。
名古屋場所から仕切り直しとなったかど番で、大関から陥落する負け越しが決定。
ため息がもれる館内で、御嶽海は表情を変えず負け残りの控えに座った。
新大関昇進した3月の春場所からわずか4場所。
昭和以降で6位の短期在位となった。
大関2場所目だった夏場所初日の高安戦で右肩を負傷した。
御嶽海は場所前に、「悪くもなってないし、良くもなってない。現状維持」と決して弱いところを見せなかったが、本来の姿は影を潜めた。
11日目、若隆景が豊昇龍との関脇対決で下から攻める力強い相撲で押し出し、3連敗からの8連勝で勝ち越しを決めた。
昨年秋場所から7場所連続、今年春場所の新関脇から4場所連続の勝ち越し。
3連敗時と比べ「気持ちもだがしっかり体も動いていると思う」と手応えを隠さない。
優勝争いの中では番付最上位で優勝経験者。
「まだ4日ある。しっかり頑張りたい」と控えめながら意欲を示した。
翔猿が自己最高位の東前頭筆頭で勝ち越しを決めた。
頭四つで見合う展開から先に攻めて右下手投げ。
宇良は学生相撲出身の同学年で、新弟子の頃から一緒に「“上で盛り上げよう”と言っていた」という。
小兵同士の1分を超える熱戦で幕内上位の土俵を沸かせ「感慨深いですね」としみじみ振り返った。
新三役へ大きく前進し、優勝争いも3敗で追走。
前に出る力をつけたことが結果に表れ「努力は裏切らない」と自信を深めた様子だった。
11日目、玉鷲が2019年初場所以来2度目、37歳10カ月で年6場所制(1958年)以降の史上最年長優勝へ、ついに単独トップに立った。
北勝富士との1敗対決。立ち合いで左前まわしを取られてもかまわず突き放し、力強い相撲で押し出した。
「今日はどうしても自分の相撲をとりたかった」と息をはずませ、優勝に向けては「しっかり自分の相撲をとっていけば結果は出ると思います」と自信をにじませた。
これまでの最年長Vは、2012年夏場所を37歳8カ月で制した旭天鵬(現在の大島親方)。
玉鷲が優勝すれば、年長記録を2カ月更新する。
11日目、すぐに左を差すと、右上手も引いた。
錦富士のうまさと力強さがここから光った。
腰を動かし、千代翔馬の命綱となっていた左下手を切る。
慌てて再度つかもうとしてくるところを前に出た。
まわしに手がかかったときはもう土俵際。最後はなんなく寄り切った。
八角理事長も「技能相撲ですね。うまいね」と称賛したほど。
3敗と好調だった技巧派を退け、錦富士は「翻弄(ほんろう)されないように、立ち合いから当たって、自分の相撲を取ろうと思いました」と充実感を漂わせた。
前日10日目に勝ち越しを決めると、同部屋で無念の休場となった照ノ富士から「強いな。崩れかけても軸がしっかりしているから残せる。稽古をしっかりしているからな」と太鼓判を押された。横綱の言葉で、自信はより深まった。
今場所最大の“波乱”が起きた。
元大関の幕下・朝乃山が、24歳の勇磨(阿武松部屋)に突き落としで敗れて初黒星。
来場所の関取復帰が絶望的となった。
立ち合いで得意の右が差せないとみると突き押しに変え、左へ左へ回り込む相手を組み止めずに追い詰めていった土俵際で逆転の左突き落としを食った。
まさかの敗戦に、この日は取組後の取材に応じなかった。
2022/09/21
10日目、横綱照ノ富士が日本相撲協会に「両変形性膝関節症、右膝骨挫傷で3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
照ノ富士の師匠で、電話取材に応じた伊勢ケ浜親方によると、19日(9日目)の打ち出し後に本人から休場の申し出があったという。
横綱はここまでリモート取材には一度も応じなかったが、師匠は「痛みを我慢してステロイドなどを注射しながらやっていた。病院ではこれ以上ステロイドを打つとじん帯などが弱くなると言われた」と説明した。
御嶽海は7敗目を喫し、かど番脱出へ後がなくなった。
気持ちが空回りしたのか、合口の良い玉鷲を相手に土俵際での詰めを欠く始末。
八角理事長は「いっぱい、いっぱいで余裕がない」とみた。
6日目からは5連敗。
勝負を途中で諦めたように映る取組もあり、気力が充実しているとは言い難い。
大関在位4場所目。
照ノ富士が休場し、横綱不在となった土俵で、せめて意地を見せたいところだ。
取組後にあまり多くを語らない若隆景の心中を読むのは難しい。
その関脇が7連勝で3敗を守って、優勝への意識があるかと問われると、「全くない」と言い切った。
先を見ず、目の前の勝負に集中している姿勢が見て取れた。
宇良との一番。
低い姿勢から何をしてくるのか分からない相手に恐る恐る取る力士も多い中、冷静に戦い切った。
力強くおっつけた右を差し手に変えると、中に入って一気に前進。
土俵際で粘る反動も利用し、右からすくって転がした。
3敗以内の力士で三役以上は若隆景だけ。
賜杯争いの上位に平幕がずらりと並ぶ混戦にあって、優勝の経験があるのも終盤戦で大きな武器。
「自分の相撲に集中したい」。自らに言い聞かせた。
10日目、玉鷲が御嶽海を破り、横綱、大関総なめとした。
平幕力士が番付上の横綱、大関を総なめするのは85年名古屋場所の北尾以来、37年ぶりで「言葉に表せられない」。
1敗を守り、北勝富士とトップで並走。
11日目は北勝富士と直接対決が組まれ「楽しい相撲を見せたい。しっかり前に出たい」と観客を沸かせる。
10日目、優勝争いの先頭を走る相手に、直接対決で土をつけた。
大関経験者の高安が北勝富士の初日からの連勝をストップ。
横綱が不在となった秋場所で、精彩を欠く大関陣を尻目に気迫あふれる相撲を見せている。
北勝富士の右からのはず押しで後退した。
悪い時はこらえきれずに引いて相手を呼び込んでしまう高安だが、この日は左でおっつけながら懸命に粘った。
最後は右足が流れた相手を押し倒し。
「落ち着いて、辛抱強く取ろうと思いました。我慢して取れました」
北勝富士の師匠でもある八角理事長は「(高安は)引かないで押し返せたのが良かった。圧力勝ちしている」と評価した。
10日目、北勝富士の初日からの連勝は9で止まった。
右はず押しで高安を土俵際へ追い詰めたが、一気に勝負を決められなかった。
「いい形をつくれていたのに、もったいなかった。悔しさが結構ある」と唇をかんだ。
勝機を生かせず、元大関の反撃に後退。
右足が流れ、押し倒された。
11日目には1敗で並んだ玉鷲とぶつかる。
突き、押しが得意の両者の一番は、激しい展開が予想される。
「思い切りできる相手。勝っても負けても自分らしく闘いたい」と闘争心を高めた。
10日目、入幕2場所目の東前頭10枚目錦富士が若元春との「好調対決」を押し出しで制し、2敗を守って勝ち越しを決めた。
この日から休場した横綱照ノ富士にかわいがられてきた“秘蔵っ子”。
横綱の無念を受け、過去の入幕3場所目を超える最速Vを狙う。
先が見えない場所で入幕2場所目の伏兵が浮上してきた。
錦富士が若元春を押し出し2敗を守って勝ち越し。
「めちゃくちゃうれしいです」と表情を崩した。
新入幕の先場所も11日目に勝ち越しを決め、10勝で敢闘賞を受賞。
すでに折り紙付きの実力はあなどれない。
優勝争いで1差となったが「優勝を争う中で自分は実力的に一番下なんで。意識すると硬くなる。(頭の)片隅に置くぐらいで頑張りたい」と言った。
2022/09/20
横綱照ノ富士が秋場所10日目の20日、日本相撲協会に休場を届け出た。
9日目に高安に敗れて4敗に後退。
古傷を抱える膝の状態にも不安があるとみられ、2場所ぶりの優勝は厳しい状況となっていた。
照ノ富士の休場は3月の春場所以来で、今場所は横綱不在となった。
10日目の対戦相手、大栄翔は不戦勝。
幕内の休場者は小結阿炎に続いて2人目。
9日目、大関正代は宇良に引き落とされ、2日目から8連敗で負け越し。
11月の九州場所でのかど番が決まった。
おびえたような立ち合いが、痛々しく見える。
大関正代が8敗目。
9日目での負け越しは大関になって最も早く、11月の九州場所では5度目のかど番となる。
立ち合いで右へ変化した宇良の動きに棒立ちとなり、両足で跳ねながら追いかけた。
懐へ飛び込まれ、頭もつけられた。
肩越しに上手を取りにいったところを押し込まれ、なすすべなく引き落とされた。
9日目、かど番継続の西大関御嶽海は東関脇の大栄翔に突き出され、4連敗で3勝6敗となった。
大栄翔には十両時代から通算14勝9敗。
10日目の相手はこの日1敗を守った東前頭3枚目の玉鷲。
幕内最年長の玉鷲が、秋場所9日目の取組で初土俵からの通算の連続出場を1457回とし、元関脇 貴闘力を抜いて歴代単独3位となりました。
前頭3枚目の玉鷲は37歳。
18日、平成16年の初土俵以来通算の連続出場を1456回とし、歴代3位の元関脇 貴闘力の記録に並びました。
そして9日目の19日、平幕 明生との一番で通算の連続出場を1457回とし、歴代単独3位となりました。
玉鷲は今場所、持ち味の力強い突き押し相撲が好調で、ここまで一横綱二大関二関脇を破ったほか、19日に明生に勝って8勝1敗とし、幕内で自身最速の勝ち越しを決めました。
取組のあとのインタビューで玉鷲は、若いころに比べて土俵に上がる気持ちが変わってきたかと聞かれ「全然変わっていない。元気のいい相撲を取りたいと思って土俵に上がっている」と話しました。
また、前頭5枚目の宝富士は平成25年の初場所から続く幕内での連続出場記録を864回とし、元横綱 北の湖を抜いて歴代単独10位となりました。
9日目、高安は照ノ富士との長い相撲を制し、2敗を守った。
14年九州場所以来となる46場所ぶり5度目の横綱撃破。
昭和以降では歴代2位のブランク金星となった。
「最後に『ここだ!』と思っていたときに決めることができました」と好機を逃さなかった。
後半戦に向けて「千秋楽まで粘り強く良い相撲を取り、優勝争いに絡んで場所を盛り上げたい」と力強く言った。
9日目、北勝富士は若元春を押し倒しで下し、初日から負けなしの9連勝とした。
自己最長を更新する連勝記録。幕内でただ1人無敗をキープ。
「今日から初日だと思ってやっているので、ちゃんと勝てて良かった」と勝負の後半戦で好発進を切った。
「気楽に集中して思いっきりやるのが僕の心情」と初優勝に向けて気負わず、残り6番も平常心で臨む。
2022/09/19
8日目、横綱照ノ富士は平幕錦木を上手投げで破り、5勝目を挙げた。
素早く左上手を引き、左で振って右を差す。
差し手を返し、体を開いて相手を土俵に転がした。
リモート取材には応じなかった。
土俵下の審判長を務めた師匠の伊勢ケ浜親方は「十分な形になったので、いいんじゃないか」と評価しつつ「立ち合いでもっと早くまわしを取る意識がほしかった」と注文をつけた。
8日目、東大関・貴景勝が、西前頭4枚目・高安を引き落としで下し、6勝目を挙げた。
横綱、大関陣で唯一2敗をキープして全勝の北勝富士)、1敗の玉鷲の平幕2人を追っている。
今場所好調の元大関との相撲を制した。
立ち合いから激しい突き押し合戦となり、貴景勝は土俵を左へ、左へと懸命に動き回った。
最後は一瞬の隙をついて、右に引き落とした。
過去の対戦成績は9勝9敗だった難敵に競り勝ち「一生懸命やろうと思った」と淡々と振り返った。
花道を引き揚げる際には、痛めている首を気にする仕草も見られたが「大丈夫です」と話すに止めた。
見守った八角理事長も「貴景勝は土俵際で必死に残した。よく回り込んだ。勝ってくるとしぶとく残れるというか、体が動くようになる。精神的にも粘り強くできている」と日に日に存在感を増している大関をたたえた。
8日目、大関正代は、同じ星だった大栄翔にいいところなく押し出され、7連敗と崖っぷちに追い込まれた。
NHKの解説を務めた元横綱白鵬の宮城野親方はあまりのらしくない相撲に「どこかけがしてるんでしょうね」と心配した。
正代は取組後、オンラインの取材に応じず、真偽は不明。
場所後に大関昇進を祝う会の予定も、それどころではなくなってきた。
若隆景が粘りを見せた。
御嶽海の寄りを残し、投げにも左で上手を引きつけて対応すると、頭をつける格好に。
大関の巻き替えに乗じて寄り切った。
東洋大の先輩に快勝。
「下からよく我慢できたかなと思う」と納得の表情を浮かべた。
3連敗スタートから5連勝と挽回。
「一生懸命、毎日、土俵に上がっている。徐々に体が動いてきているので、目いっぱい相撲を取りたい」と、後半戦への意気込みを示した。
玉鷲が佐田の海を一気の押し出しで下し7勝目を挙げた。
37歳の現役最年長。
初土俵以来休まず土俵に上がり、貴闘力に並ぶ史上3位の通算1456回連続出場を果たした。
過去4勝10敗と合口の悪かった相手を土俵際で押しつぶすように倒し「久しぶりの電車道。本当に良かった。凄く(合口を)意識したけど自分の相撲を取れて良かった」と笑顔だった。
8日目、東前頭6枚目の若元春が取り直しの末に妙義龍を突き落とし2敗を守った。
最初の相撲は「攻め込まれた相撲。感覚的はよくない相撲」と話したが気持ちをすぐに切り替えて取り直しの相撲に。
土俵際での突き落としで勝負を決め6勝目。
優勝争いにも食らいついているが「むしろ実力より勝ち過ぎている。変わらず、気持ちで攻める相撲を取っていきたい」と冷静に挑んでいる。
北勝富士は自身初の初日から8連勝で、3場所ぶりに勝ち越しを決めた。
立ち合いから低い姿勢を作り、おっつけやはず押しで攻めて寄り切った。
7日目から続く、唯一の勝ちっ放しを死守。
「(全勝が)1人というのは意識していない。普段通り、平常心を意識している」と冷静に話した。
8日目、平幕の王鵬が隆の勝に勝ち、2敗を守った。
上位陣が精彩を欠く場所では、若手の活躍に注目が集まる。
歴代2位の幕内優勝32回を誇る元横綱・大鵬を祖父に持つ王鵬が平幕で星を伸ばしている。
三役経験者の隆の勝が頭で当たってきたところを、右に体を開いて肩すかしが決まった。
王鵬は「引いてしまったが、左の脇を締めてよく当たれたと思う」。
初日から5連勝の後、2連敗していただけに、悪い流れを断ち切った。
2022/09/18
7日目、横綱・照ノ富士が、西小結・逸ノ城を寄り切った。
先場所苦杯を喫した難敵を退けて連敗を2で止め、4勝3敗と白星を先行させた。
横綱の意地と気迫がこもった結びの一番となった。
身長、体重ともに上回る相手に立ち合いから頭をつけて、左上手を素早く引くと一気に寄って出た。
12年前にモンゴルから同じ飛行機で来日した、先場所優勝力士を一方的に下した。
報道陣のリモート取材には応じなかったが、横綱昇進後初となる3連敗は回避。
見守った八角理事長は「気力というか。頭をつけてね。絶対に負けないという気持ちじゃないですか。いいんじゃないですか」と横綱の意地を歓迎した。
痛めている両膝の状態が心配されるが、佐渡ケ嶽審判部長は「そんきょをしている時は痛そうに見えるが、土俵に上がったらそんなことは言っていられないでしょうからね。(今日は)相手も大きいですから良かったかなと思いますけど、左右の動きのない力士ですから本来の相撲が取れたかな」と分析していた。
貴景勝は連敗せず5勝目を挙げた。
前日は照ノ富士を撃破した宇良に中に入らせずよく見て突き放して押し出し。
目の前で御嶽海と正代が敗れて2日連続3大関総崩れの危機だったが、なんとか逃れた。
不振の2人を考える余裕はなく「自分のことで精いっぱいでした。自分の相撲に集中することしか考えてなかった」と振り返った。
悪い流れを断ち切り2敗で優勝争いに食らいついていく。
7日目、正代が精彩を欠き、泥沼の6連敗となった。
錦木の攻めに一度はこらえたものの、押し返すまではいかず、最後は寄り切りで敗れた。
「不用意に巻きかえをしてしまいました。ちょっと自分が思い描いている相撲が取れていない。思ったように動いていないと思います」。
そう話す大関の姿はどこか痛々しかった。
初日こそ翔猿を力強い相撲で圧倒したが、2日目から様相が一変。
苦しい相撲が続いている。
7日目、かど番の大関御嶽海が、小結霧馬山に敗れ4敗目を喫した。
立ち合いでがっちり組まれ相手の得意な左四つの型を作られて後手に回った。
土俵際でも粘ることができず、あえなく寄り切られた。
初日、2日目と連勝して波に乗るかと思われたが、そこから黒星が上回る展開になっている。
中日8日目に関脇若隆景との一番で連敗脱出を目指す。
取組後の取材には応じなかった。
7日目、関脇若隆景が幕内玉鷲を突き落として4連勝。
のど輪に後退するも土俵際で踏みとどまって逆転し、白星を先行させた。
取組後は「体は少しずつ動いてきているなと。一日一番取っていきたいです」と振り返った。
この日は「大波三兄弟福島後援会」の会員ら約30人が地元・福島から国技館に応援に駆け付けた。
「いつも通り集中してやっています」と話す若隆景だが、熱い声援に結果で応えたことには「それはよかったです」と語った。
前日まで全勝だった玉鷲に土をつけ、土俵下の佐渡ヶ嶽審判長は「やはり若隆景の足腰。勝負勘というか、そういうところがうまいのかなと思った」。
今場所は3連敗スタートだったが、復調の兆しを見せていることには「まだ優勝したときのような相撲ではないですけど。でも、徐々に戻ってきているのかな」とうなずいた。
7日目、大関になにもさせなかった。
立ち合いから左を差して下手を取り、右上手も引いた。
霧馬山は両腕に力を込め、グイッと御嶽海の体を引きつけると、そのまま力強く寄り切った。
「すぐにまわしが取れて良かったです。まわしを取って、落ち着いていけました」。
3連勝で勝ち星を5に伸ばし、2敗をキープ。
大関貴景勝以外の役力士とはすでに対戦を終えており、賜杯争いに加わる勢いだ。
西小結だった昨年九州場所は初日から5連敗するなど6勝9敗とはね返された。
しかし、今年は春場所、夏場所と2場所連続で10勝。
上位陣も勝ち越すなど番付運に恵まれなかったが、力は間違いなく付いている。
5場所ぶりの三役復帰となった今場所は当然、期するものがある。
「場所前の稽古をしっかりやれた。体も動いている。最後まで一日一番の気持ちでやります」。
混戦模様だからこそ、不気味な存在である。
7日目、錦木が正代を寄り切りで破り、19年初場所以来となる大関からの白星。
勝ち名乗りを受けると観客から大きな拍手でたたえられ「うれしいです」と相好を崩した。
4勝と白星先行。
8日目に横綱照ノ富士に挑む。
「胸を借りるつもりで」と気を引き締めた。
高安が相撲巧者の遠藤を圧倒し、連勝を5に伸ばした。
左からかち上げて相手の上体を起こすと、休まず突いて土俵の外へ。
「立ち合いで厳しく当たれた」と満足そうに言った。
今場所前は伊勢ケ浜部屋などに出向いて申し合いを重ねた。
「稽古量を増やしてきたので、自信を持って相撲が取れている」。
ここまでは素早く決着をつける内容が光り、八角理事長は「努力をしているから、いい相撲が出てくる」と褒めた。
7日目、積み上げてきた数字が幕内通算500回の出場だ。
7月に30歳になった北勝富士は節目を白星で飾り「(好調なのは)僕にも分からないが、大卒ということで、入門してからはあまり時間がなかった。自分なりにコツコツとやってきたのがいいのかな」と喜ぶ。
唯一の土つかずで、場所の折り返しを前に優勝争いの先頭に立った。
考え抜いた押し相撲だった。
立ち合いで当たった直後に左にずれた。
狙いは、右四つでも取れる隆の勝の右腕を封じるため。
左からの強烈なおっつけを見せると、相手が我慢しきれずに引いたところで頭を下げて一気に前に出た。
師匠の八角理事長は「しつこくやらないと。馬力があるわけじゃないから」と評した。
2022/09/17
6日目、横綱、大関陣が総崩れした。
横綱照ノ富士は平幕宇良に寄り切られ、早くも3敗目。
横綱照ノ富士は宇良に寄り切られて2日連続、今場所3つ目の金星を配給。
下半身が動いておらず、早くも3敗目を喫して休場危機に直面する。
八角理事長は「上体ばかりの相撲で、まわしを取りにいっていない」と、右膝の状態を心配した。
6日目、関取最年長37歳の玉鷲が元気だ。
貴景勝をはたき込んで全勝を守った。
立ち合い、頭で当たり、右に開くと足が止まる相手は土俵に落ちた。
これで1横綱2大関2関脇を撃破。
8日目まで出場すれば、通算連続出場記録が歴代3位(1456回)の元関脇貴闘力に並ぶ。
鉄人は「一番、一番大事に自分の相撲を取りたい」と力を込めた。
宇良が5度目の挑戦で初めて照ノ富士を撃破。
「うれしい」と繰り返して、金星の味をかみしめた。
うまく距離を取ってまわしを与えず、横綱が自身を呼び込もうとして、体勢が高くなったところを逃さなかった。
素早く中に入って寄り切り。
内容については「精いっぱいやるだけだったので分からない」と振り返り、無心を強調した。
高安はうるさい翠富士を退けた。
まわしにこだわらず、厳しく突いて圧倒。
「しっかり見ながら手が出た。落ち着いてできてよかった」
初顔の相手だったが、今場所前には出稽古した伊勢ケ浜部屋で手合わせしており、「稽古場では機敏な相撲でやられた。やったかいがあった」と笑み。
着々と星を伸ばして5勝1敗とし、「結果が出ているので、自信を持って前向きにやりたい」と穏やかな口ぶりだった。
思い描く取り口で快勝した。
若元春は力強い当たりで阿武咲の出足を止めると、すかさず右で上手を引いて得意の左四つに。
密着を嫌った相手に対して素早く足を運び、勝負をつけた。
初顔合わせの阿武咲とは場所前、荒汐部屋に出稽古に来た時に手合わせ。
馬力のある相手に一気に持って行かれることが目立ったが、その反省から「しっかり当たって、自分から踏み込むイメージ」。
準備してきたことを本場所で発揮した。
5勝1敗の好成績にも「勝ち星は結果論なので、いい相撲を取るように心掛けたい」と言って、表情を変えることはない。
遅咲きで控えめな28歳が場所前に掲げた目標は、幕内で初めての2桁白星。
まだまだ喜ぶわけにはいかない。
6日目、錦富士を押し出して全勝を守った北勝富士は、2018年秋場所以来、4年ぶりの初日から6連勝となった。
相手は初顔の錦富士だったが「止まらないこと。組んだら力を出す力士。休まずいい攻めができた」と北勝富士らしい粘り強い内容を披露。
まだ先は長い。
「千秋楽、笑顔で終われるように」と気を引き締めていた。
6日目、看板力士が次々に敗れた。
横綱、大関が休場することなく総崩れになったのは2006年以来。
16年前も、秋場所6日目だった。
2022/09/16
5日目、照ノ富士は玉鷲にまたも不覚。
早くも2敗となった。
喉輪で上体を起こされ、右ですくわれて体勢を崩す。
棒立ちになって寄り切られると、心配される右膝を確認するように脚をぶらぶらと振り、退場の際も膝をかばうような歩き方を見せた。
リモート取材には応じず、土俵下の審判長を務めた師匠の伊勢ケ浜親方は「気合を入れてやるしかない」と奮起を促した。
5日目、気迫のこもった激しいぶつかり合い。
闘志むき出しの貴景勝。明生も引かない。
バチンという音が何度も響く中、最後は大関が左から力のこもった突き落としで退けた。
ここ1年は4度の対戦で2勝2敗。
楽な相手ではなかったが、貴景勝は「しっかり準備してやりました。自分の攻めをしたい、そういう気持ちでした」と納得の一番だった。
先場所は逸ノ城と1差の準優勝。
実に7回目の優勝次点(優勝は2度)だった。
「一番の重みというか。前半2勝2敗だったのが全て」と悔いていたように、序盤が響いた。
今場所も初日いきなり黒星発進。
心配されたが、2日目から4連勝ときっちり立て直した。
「一日一日の積み重ねなんで。また明日、頑張ります」。
役力士に全勝はいない。
ここから星を伸ばしていけば、今場所は十分にチャンスがある。
大関・正代が琴ノ若に押し出され、2日目から4連敗になった。
5日目での1勝4敗は4場所連続。
初日こそ翔猿に快勝したが「体が動いている感覚はあるがかみ合わないところが出ている」と悩みは尽きない。
これで格下で、年下でもある琴ノ若に5戦全敗。
「対戦成績は知っていた。その分、意識は強かったのかな」とトンネルに出口は見えない。
5日目、西大関・御嶽海は西前頭3枚目・宇良を押し倒しで下した。
仕切り線から離れて手を付いた相手の当たりを受け止めると、圧力をかけてまっすぐ前に出た。
連敗を止め、3勝2敗で白星先行とした。
6日目は2勝3敗の東前頭2枚目・琴ノ若と対戦する。
御嶽海はここ3場所は続けて敗れるなど相性が良くない。
5日目、関取最年長の玉鷲に限界という言葉はない。
横綱を突き起こし、がむしゃらに攻める。
右が入ると一気の寄り。
37歳9カ月での金星は昭和以降で史上4位。
それを、この年にして自己新となる初日から5連勝で飾ってみせた。
7月の名古屋場所は昭和以降初となる同一横綱から4場所連続金星を逃したが、「ほんとうれしいです。一気に勝負を決められてよかったです」と興奮を抑えて語った。
錦富士は立ち合いで千代大龍の変化に対応できず、背中に付かれ万事休すと思われた。
だが、押し出そうとする相手を土俵際でひらりとかわして逆転し、はたき込んだ。
普段の稽古で、動きのいい兄弟弟子の翠富士に同じ状況にされることがあり、「相手が突っ込んできそうなタイミングでイチかバチかいく。それがうまくはまった」と誇らしげ。
新入幕で10勝を挙げた先場所に続いて元気な姿を見せており、「自分の相撲を取れば結果もついてくる」。
王鵬が照強を突き出して5連勝とした。
立ち合いで潜る相手の動きに機敏に対応し、常に相手を正面に置いて攻め立てた。
「イメージ通り、前へ出られたのでよかった」と幕内3場所目で初めて勝ち越した先場所の流れを継続できている。
「反省するというよりはいいところを見て、気持ちを上げていきたい」。
帰宅後、取組をチェックするポイントも前向きだった。
2022/09/15
4日目、横綱照ノ富士はこの1年間で1勝2敗と負け越している明生を力でねじ伏せ、1敗を守った。
いなしと肩透かしで攻める相手を両腕でがっちりと抱え込んで前進。
最後は押しつぶすように豪快にきめ倒した。
ただ、古傷の膝に違和感があるのか、土俵を降りる際の動作にはきごちなさも。
取組後のリモート取材には応じなかった。
4日目、東大関・貴景勝が、東前頭2枚目の琴ノ若を激しい張り手合戦の末、押し出して3勝目を挙げた。
埼玉栄高の1学年違いの先輩・後輩対決は激しい相撲となった。
立ち合いから175センチ、163キロの大関が圧力をかけて押し込んだ。
189センチ、167キロの琴ノ若が懸命に残してまわしをとろうとすると、貴景勝はその差し手を嫌った。
左右から強烈な張り手を次々に連発。
最後は、左の張り手で上体が起き上がった相手の懐に飛び込むと、のど輪で起こして一気に押し出した。
異様な熱気を帯びた、壮絶な相撲に館内もどよめき、騒然となった。
見守った八角理事長は「(貴景勝は)張り手に行って、横に向かせて、という攻め手しかなかったというのかな。琴ノ若を押しづらいということになる。力が付いた証拠じゃないかな」と2人の取組の意図をくみ取った。
4日目、かど番の御嶽海は2敗目を喫した。
立ち合いから腰高で翔猿の突き、押しに劣勢。
もろ差しを許し、防戦一方で寄り切られた。
2連勝スタートから一転して2連敗。
過去3戦全勝だった同学年の小兵に不覚を取った。
覇気のない表情で花道を引き揚げ、リモート取材に応じなかった。
部屋関係者の新型コロナウイルス感染で途中休場し、先場所から継続となったかど番で苦しんでいる。
八角理事長は「全く駄目。いいようにやられてしまった。悪い時こそ、精神的なものが問われる」と奮起を促した。
翔猿が2日目の初金星に続いて殊勲の星を挙げた。
両下手を引いて大関・御嶽海を寄り切り。
「どんどん攻めたのでよかった」と動きの速さに加え、力強さも見せた。
プロ4度目の対戦で同学年の元学生横綱に初勝利。
「ずっと意識していたので勝ててうれしいです」と声を弾ませた。
早々と勝ち越しながらもコロナ関連で途中休場を余儀なくされた先場所の悔しさを胸に「一番一番集中して頑張ります」と好調の持続を誓った。
4日目の時点で全勝は平幕の4人になったが、中でもベテラン玉鷲の元気さは目を見張るほどだ。
正代の胸を出す立ち合いは当たりやすかったこともあるが、思い切り頭で当たり手もよくのびて、いっぺんに押し出した。会心の一番だった。
毎場所感心するが、年齢(37歳)の割にはごまかしのきかないまともな押し相撲でよく頑張っている。
先場所、コロナで13日目から途中休場したが、初土俵からの連続出場記録は継続が認められたことは、大きな励みになったろう。
5日目は照ノ富士戦。
会心の白星で気をよくし、迷いなく臨めるはずだ。
大技を見届けた観客がどよめき、大きな拍手が注がれた。
宇良が業師の本領を発揮。
20年ぶりに「伝え反り」を披露した。
左四つに組み止めたい宝富士を相手に動き回った。
おっつけたり、いなしたりして機をうかがう。
体が離れた一瞬に勝機あり。
潜り込んで相手を背後に置く。
左脇の下をくぐり抜けながら一気に反り倒した。
代名詞でもある居反りなど、大学時代から珍手を見せてきた。
取組後、この日の狙いを聞かれると、「分からないです」。
けむに巻いていたが前回、幕内で伝え反りを決めたのが優勝25回の横綱朝青龍だったと知ると、たちまち笑顔に。
憧れの存在だったと言い、「小さい頃から元気をもらっていた。うれしい」。
20歳の時に65キロだったという体重が、今では151キロ。
正攻法へのモデルチェンジも実を結びつつある。
「急に太ったわけではないから変わらない」。
多彩な技に加え、下半身の強靱(きょうじん)さも証明した。
「元気な相撲を取れるように頑張る」。
これで3連勝。
土俵を活気づけ、館内を盛り上げるためにも欠かせない力士だ。
4日目、北海道で応援する愛する息子と家族へ、パパ高安が土俵上で勇ましい姿を見せた!
西前頭4枚目の高安が、東前頭4枚目の錦木を上手投げで退けて3勝目を挙げた。
過去4戦全勝と合口の良い相手に対し立ち合いから先手を取った。
左を差すと、体をひねって右の上手から投げを見舞った。
「踏み込んで自分らしい厳しい相撲が取れました」と納得の攻めを見せた。
場所前には妻で演歌歌手の杜このみとの間に第2子となる長男が誕生した。
「場所前に1泊ですけど、北海道に会いに行きました。抱っこできた」と明かし、今場所に向けてより一層頑張りたいという気持ちを高めた。
初日から4連勝の平幕4人(玉鷲、若元春、北勝富士、王鵬)を追う中で、家族の応援を励みにする。
「北海道からパワーを送ってもらっている。子どもが生まれた場所ですから、記念になるように精いっぱいベストを尽くしたい」と奮闘を誓った。
4日目、昭和の大横綱大鵬の孫、王鵬が好調だ。
37歳のベテラン隠岐の海を一気に押し出し、幕内では自身初の4連勝。
22歳は「良かったと思います」と充実感を漂わせた。
今場所は「相撲を取る頃におなかがすくから」と朝の稽古後すぐに取っていた食事を2時間、遅らせるなど調整を工夫する。
昨年1月の初場所での十両昇進から10場所目。
関取生活にも慣れ、素質を開花させてきた。
2022/09/14
3日目、大関陣で初日にただ一人敗れた貴景勝が2連勝で白星を先行させた。
2日目に横綱照ノ富士を破って勢いに乗るくせ者√ト猿が相手だったが、「自分がどうするかだけを考えた」。
立ち合いから迷いのない強烈な当たりで土俵際まで後退させると、とどめの一突きで土俵下まで吹っ飛ばす、わずか2秒の完勝だった。
3日目、西大関・御嶽海は西前頭2枚目・明生に押し出しで敗れた。
初日からの連勝は2で止まり、2勝1敗。
立ち合って明生の右のおっつけに引いた御嶽海は、そのまま後退して土俵を割った。
4日目の14日は、1勝2敗の東前頭筆頭・翔猿と戦う。
直近6場所では1度の対戦で、御嶽海が勝っている。
豊昇龍の頭脳プレーの勝利だった。
逸ノ城とは体重差が78キロもあり、まともに組んでは勝ち目がない。
そのため、立ち合いで少し左に動きながら左上手を取った。
自分の左まわしを取られないように、すぐに相手の横っ腹に食らいつく。
そして、左に回り込みながら逸ノ城に自分の投げを意識させた。
最後は無警戒になった相手の右足に左足を絡め外掛けで土俵に仰向けにさせた。
最近は勢いのある若手も増えてきたが、外掛けで勝負を決められる力士はなかなか珍しい。
豊昇龍はこの一番で、大きな相手でも自分から上手を取って、相手の体勢を崩して勝つ形をつくり上げたのではないか。
叔父さんの元横綱・朝青龍はスピードがあって腰にバネがあった。
豊昇龍も似た資質を持っている。
まわしを取っても投げにこだわらずに前に出る相撲を心掛ければ、面白い存在になっていく。
番付運にも恵まれて前頭筆頭まで上がった翠富士。
上位との対戦にも果敢に挑み、大関戦初勝利を引き寄せた。
幕内では2番目に低い身長171センチの小兵は双差しで正代の懐に入ると、右でつかんだまわしを離さず、出し投げから前に出て寄り切った。
土俵下の粂川審判長は「うまく取った。食いついて中に入ろうとして、すぐに出し投げを打って攻めが速かった」と評価した。
3日目、宇良が恩人にささげる白星を喜んだ。
相撲内容については多くを語らなかったが、自分から「きょうに関しては京都で大変お世話になった方が亡くなって。京都からたくさんの差し入れをいただいた方で。支えになってくださった方なので、頑張れてよかった」と思いを語った。
幕内・若元春が宝富士をうっちゃりで破って初日から3連勝とした。
互いに得意の左四つに組み合うと、両者上手を引けないまま長引いた。
宝富士が右上手を引いて出てくるところを左へうっちゃった。
初日にも佐田の海を相手に同じ技を決めており、今場所早くも2度目。
夏場所14日目にも一山本に決めており、名古屋場所では惜しくも決まらなかったが豪快なうっちゃりを繰り出した相撲もあった。
「下がっての相撲なので褒められたものではないかな。苦し紛れのって感じなのであまりよくないですね」。
本人は内容に納得いっていない様子。
碧山を一気に押し出した2日目のような相撲や左四つの四つ相撲を理想としており「前に出て相撲を取りたい」と反省していた。
それでも自身初の初日から3連勝。
「前に出ることを意識しながら取りたいですね」と前を向いた。
3日目、平戸海が勢いそのままに豊山に快勝で初日から3連勝とした。
「本当に完璧な相撲だったと思います。前みつを引こうと思っていたので、考えた通りだったと思います」。
低い立ち合いから一気の出足で押し出し。
旋風の予感も漂わせる新入幕は「まだ始まったばかりなので。勝っても喜ばずに引き締めていきたいと思います」と謙虚に言った。
山崎製パンから大相撲九月場所開催に合わせて、日本相撲協会監修商品が期間限定で販売されています。
山崎製パンのホームページによると「国技館で販売されている名物グルメや人気のお土産をイメージした惣菜パンや中身がたっぷり入ったあんぱんやどら焼きなど、大相撲を楽しめる商品ラインアップです。」と言うことです。
おいしい秋場所のラインナップは…
ランチパック「北の富士カレー風」
辛口の相撲解説でおなじみの北の富士さんが作った昔懐かしいカレーの味を再現したレトルトカレーが入っています。
はっけよいどら焼き。
スイーツ親方として知られる芝田山親方(元横綱 大乃国)太鼓判のどら焼です。
大入あんぱん。
つぶあんと求肥餅をたっぷり包んで、しっとりとした食感に焼き上げています。
国技館やきとり風味パン。
国技館の地下で焼いている「国技館やきとり」の味をイメージしています。
「おいしい秋場所」は2022年9月30日(金)までの期間限定販売となっています。
どうぞお見逃しなく!
山崎パンHP
https://www.yamazakipan.co.jp/feature/sumo/index.html
2022/09/13
2日目、横綱照ノ富士が翔猿に初金星を配給した。
過去4勝0敗と1度も負けていなかった。
突き放してくる相手を慎重に見ながら攻めていったが、最後はもろ差しを許した。
優勝争いの絶対的本命が、2日目にして早くも黒星を喫した。
取組後は初日に続いて、取材には応じなかった。
2日目、西大関・御嶽海は西小結・逸ノ城を押し出しで破り、連勝を飾った。
先場所優勝の巨漢に対して左に回り込んで攻め手を探り、両はずで挟みつけるように上体を浮かせて土俵の外に運んだ。
3日目の13日は1勝1敗の西前頭2枚目・明生と戦う。
ここ2場所は対戦がなく、直近6場所では御嶽海が負けなしの4連勝を飾っている。
大相撲秋場所は11日に初日を迎えた。
御嶽海は西前頭筆頭・翠富士を押し出しで破り、かど番で迎えた場所で白星スタートを切った。
新関脇の豊昇龍が初白星。
押し込んでから左で上手を引くと、外掛けも繰り出して琴ノ若の抵抗を封じ、最後は寄り倒し。
「手応えは良かった」と納得の表情を浮かべた。
闘志十分の23歳は「これからが大事。頑張っていきたい」。
小結では果たせなかった2桁白星に向け、気を引き締めた。
2日目、自己最高位の東前頭筆頭で臨んでいる翔猿が、うれしい初金星を挙げた。
前傾姿勢から横綱の懐に飛び込むようなそぶりを見せながら、適度な距離を保ち横綱の焦りを誘った。
なかなか組み止められない照ノ富士が、左から大きく振りかぶるように張ったが、そのスキを見逃さず二本差して堂々と寄り切った。
報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「翔猿のペースになった。やっているうちに(照ノ富士の)膝が立ってしまった」と終始、主導権を握った翔猿の相撲を評価。
その心中を思いはかるように「思い描いた相撲だったろう。立ち合いから間隔ができていた。立派な相撲だ」と称賛の言葉を贈った。
関取最年長となる37歳の玉鷲が連勝スタートを切った。
同じ突き押しの大栄翔戦。9歳下の圧力にも負けずに応戦し、最後は左の喉輪で押し込んで激しい攻防を制した。
「久しぶりに熱い相撲を取った気がする。向こうも熱くなっていたので負けていられないと思って頑張った」。
初土俵以来の連続出場記録が中日で史上3位の貴闘力(1456回)に並ぶ。
「一日一日集中して。頑張ります」と静かに闘志を燃やした。
宇良が立ち合いで勝負を決めた。
左に動いて足取りにいくと、体勢を崩した高安を難なく土俵の外へ。
前回対戦した昨年の九州場所でも足取りを決めており、またも術中にはめてみせた。
先場所は千秋楽で逸ノ城に敗れ、勝ち越しを逃した。
その悔しさを晴らしたいところ。
軽やかな動きで初白星をつかみ、「元気な相撲を見せたい」と言った。
2022/09/12
11日、大関の正代は前頭の翔猿を降した。
正代は迷いがなかった。
立ち合いで鋭く踏み込むと、休まず攻めて一気に押し出した。
初日に白星を挙げるのは今年1月の初場所以来で4場所ぶり。
「良い出だしだと思う」とうなずいた。
今年は初日が「鬼門」だった。
春場所は初日から4連敗し、9勝6敗。
続く夏場所では初日から3連敗して負け越した。
10勝5敗だった名古屋場所も初日から3連敗し、苦しい土俵になった。
考え込みやすい性格で、負けが続くと気持ちも落ち込む悪循環。
なかなか浮上のきっかけをつかめなかった。
だが、この日は見違えるようだった。
「初日はどうしても緊張したり、浮足立ったりする」と冷静に己の心と向き合い、課題の立ち合いに集中。
素早い動きが持ち味の翔猿を土俵中央でつかまえると、何もさせなかった。
「初日にしては良い立ち合いだった。こういう立ち合いを続けていけたら」と正代。
期待が膨らむ場所になりそうだ。
初日、大関・御嶽海が、カド番脱出へ好スタートを切った。
西前頭筆頭の翠富士を一気に押し出して、初白星を挙げた。
立ち合い鋭く踏み込むと、前へ、前へと圧力をかけ続けて一方的に相手を土俵下へと押し出した。
「しっかり自分の相撲を徹底してやれたと思います。自分の相撲を忘れかけていたので、15日間全部前に出る相撲を徹底したい。自分の相撲だけ意識して」と今場所は強い気持ちを持って、周りは関係なく自分の相撲を取りきる考えを強調した。
初のカド番だった7月の名古屋場所は、右肩痛の影響で2勝5敗と不振。
7日目に所属部屋から新型コロナウイルス感染者が確認されて途中休場した。
今場所にカド番が継続となり「大関としてしっかり仕事を果たし、10番以上取れるように頑張りたい」と今場所前には巻き返しを誓っていた。
この日の取組を見守った八角理事長は「コロナによる休場明けになるが、相撲勘が良かった。思い切って前に出ていた」と高く評価した。
初日、7月の名古屋場所で初優勝を飾り、5場所ぶりに三役へ返り咲いた小結逸ノ城は大関貴景勝を押し出して白星発進。
硬くて厚い、肉の壁が大関を弾き飛ばす。
関取最重量212キロ。
7月の名古屋場所で初優勝を果たした逸ノ城が、勢いそのままに貴景勝を押し出して自画自賛した。
「まわしを取りに狙っていったが、取れなくて圧力をかけて前へ出た。いい相撲だった」
立ち合いは大関の当たりを受け止め、左手でまわしを探った。
だが、相手のさがりが2本指に引っ掛かっただけだったため、そのまま巨体をぶつけて走った。
11日、東前頭2枚目の琴ノ若が前に出る圧力で、関脇若隆景を圧倒した。
先場所は10日目で7勝3敗と優勝争いに加わったが、部屋に新型コロナウイルスの陽性者が出たため途中休場。
出場できていれば新三役の可能性もあったが、「まあ、そうですねえ、悔しいですけど誰も悪くないし、番付が落ちなかっただけでもよしと切り替えて」と前向きに捉えて今場所に臨んでいる。
11日、前頭六枚目・若元春が、前頭五枚目・佐田の海をうっちゃりで下した一番で、鮮やかな決まり手に「ここから逆転するのか…」と相撲ファンが興奮する場面があった。
立ち合い、正面から当たっていった佐田の海の勢いに押され、若元春は後退したが、土俵際で粘り、最後はうっちゃりで佐田の海を下した。
鮮やかな逆転劇に館内は興奮に包まれた。
この取り組みを受け、ABEMAで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は「佐田の海よく前に出ましたけど、まわしを取ったら若元春は強いですね」
「最後は上手くうっちゃりました」と若元春の力を称賛。
同じく実況席に座った元NHKの藤井康生アナウンサーは「かつて私が相撲を一生懸命見始めた昭和40年前後、うっちゃりという決まり手はよくあったのですが、最近は本当に珍しくなりました」とその決まり手の貴重さを説明していた。
新入幕の水戸龍が得意の右四つで剣翔を力強く寄り切って快勝発進。
新十両から4年半かけてつかんだ幕内での勝利にも「相変わらずです。別に何も感じませんでした」と淡々とマイペースを貫いた。
同じく新入幕で幕内最年少22歳の平戸海は、両前まわしを引いての攻めで志摩ノ海に完勝。
「緊張しなかった。立ち合いで負けなかったので落ち着いて取れた」と堂々としていた。
2022/09/11
5月の夏場所、7月の名古屋場所で優勝した横綱照ノ富士と小結逸ノ城は10日、国技館で行われた「優勝額贈呈式」に出席した。
2人は平成22年3月に同じ飛行機でモンゴルから来日し、相撲留学した仲。
贈呈式は動画投稿サイト「ユーチューブ」の協会の公式チャンネルで配信され、照ノ富士は「いい成績を残せるように頑張る」。
逸ノ城は「2桁(10勝以上)を目指して頑張る」と意気込んだ。
初日から休場する小結・阿炎の診断書が提出された。
病名は「右肘離断性骨軟骨炎、左足関節遊離体」。
名古屋場所は肘と足首の痛みを抱えながらも8勝7敗で勝ち越し。
場所後に右肘関節鏡、左足関節関節鏡手術を行い、夏巡業は5日間全て休場していた。
今場所も出場の可能性を探っていたが、9日の午後に休場を決断した。
大相撲秋場所初日を翌日に控えた10日、会場となる東京・両国国技館で土俵祭りが営まれ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方衆、行司らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス感染対策のため一般には非公開で、横綱照ノ富士ら力士は出席しなかった。
2場所ぶりの優勝を狙う照ノ富士を軸に、貴景勝と正代、御嶽海の3大関らが続く賜杯レースは混戦模様だ。
先場所初優勝で5場所ぶりに小結に復帰した逸ノ城や三役以下にも期待がかかる。
今場所は両国国技館開催だった5月の夏場所と同じく、観客上限は約87%の9265人で実施される。
日本相撲協会は10日、東京・両国国技館で10月6、7日に開催する大相撲ファン感謝祭の概要を発表し、ちゃんこ鍋の味を競い合う「相撲部屋ちゃんこぐらんぷり」をはじめ、手形早押しや同時に四股を踏んだ最多人数のギネス世界記録に挑戦する企画などを実施する。
大相撲公式ファンクラブ会員か東京都墨田区に在住か在勤、在学していれば無料で入場できる。
ちゃんこぐらんぷりには八角、陸奥、春日野、宮城野、錣山の5部屋がエントリー。
部屋自慢の味で「初代ちゃんこ横綱」の栄冠を争う。
四股はファン、親方、力士で一斉に踏み、記録達成を目指す。
両国国技館の天井近くに掲げられる優勝額のかけ替えが10日に行われ、大関時代の2017年初場所で初優勝した二所ノ関親方(元横綱稀勢の里)の額が外された。
優勝額は計32枚で、年3度の東京開催場所の際に2枚ずつかけ替え。
今回は直近2場所を制した照ノ富士と逸ノ城が新たに加わった。
30歳の初制覇でファンを熱狂させた記念の優勝額が国技館から消え、二所ノ関親方は「実際になくなると寂しいものがある。思い出深いし、あっという間の5年間だった」と話した。
初優勝の額は部屋を構える茨城県阿見町に一時的に寄贈し、公民館に飾られる予定だという。
日本相撲協会は10日、秋場所の幕下以下の休場力士を発表した。
元幕内・石浦は東幕下10枚目で初日から休場となった。
西前頭5枚目だった春場所で頸椎を痛めて途中休場し、夏場所から2場所連続全休。
15年春場所で新十両に昇進して以来初めての幕下陥落となっていた。
2022/09/10
9日、カド番の大関・御嶽海が東京都墨田区の出羽海部屋で取材に応じ「何があっても初日、2日目は白星。3、4日目から感覚を取り戻して、ぐーっと上げていきたい」と好発進を誓った。
8月下旬には久しぶりに春日野部屋に出向き、巨漢の幕内・碧山、栃ノ心にぶつかった。
「本当にいい稽古だった」。
大関の地位を守るだけでなく、最高位への思いも強く「まだ一個上がある。大関で止まっていられない」と意欲を示した。
9日、秋場所の休場を決めた。
8月下旬に新型コロナウイルスに感染したが、関係者によると足首や両肘のけがが理由だという。
今場所は全休する見通し。
9日、本場所中のコロナ休場に関する新たな指針も発表した。
これまでは感染者が出た部屋は所属力士全員が全休となっていたが、秋場所からは隔離期間が明けた翌日から出場が可能となる。
名古屋場所ではコロナ感染で休場者が続出。
全体の3割近い174人が土俵に上がれない異例の事態が起きた。
芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「7月場所のように大量休場を繰り返すのは、足を運んでくれたお客さんに申し訳ない」と話し、休場者を減らすことを念頭に、政府の隔離期間短縮に伴い緩和した。
陽性者は7日間の隔離期間後に出場が可能となり、濃厚接触者も2回の検査でともに陰性なら3日後に出場できる。
2022/09/09
9日、小結・阿炎が秋場所を初日から休場すると発表した。
午前中に行われた取組編成会議で一度は初日の幕内と十両、2日目の幕内の取組が発表されていたが、後に阿炎の休場が決まった。
そのため、以下のように取組を作り直す「割り返し」が行われた。
2022/09/09
新関脇として臨む大相撲秋場所へ、豊昇龍が臨戦態勢に入った。
8日、所属する東京・立浪部屋での稽古後に取材に応じ、「良い感じに体も張ってきた。あとは場所が楽しみ」と、充実した調整が積めていることを明かした。
この日は平幕の明生らと申し合い稽古を行い、5勝6敗。
明生には2勝6敗と苦戦したが、幕下以下には全勝。
スマホで自身の相撲を動画撮影し、一番終わるたびに稽古場に置かれたモニターでチェック。
気づいた点をあぶり出して、次の一番で改善を図ろうとしていた。
千葉・柏日体高(現在は日体大柏)の恩師で現在は「相撲少年団」監督の永井明慶氏から薦められたと言い「相撲を取った後にすぐ見れるじゃないですか、すごい便利ですよ。自分の悪いところがすぐ分かる」と効果を実感していた。
ハイテク機器を活用して順調に調整を重ね、新関脇として臨む秋場所。
「もちろん2桁を目指して頑張ります。何よりケガしないことが一番大事なので。そういうところをしっかりすればいいかな」と意気込みを語った。
27歳の明生は西前頭2枚目に上がり、3場所ぶりに上位総当たりの位置に戻った。
先場所は新型コロナウイルス関連の休場者が続出した影響で、西前頭10枚目の9勝6敗から大躍進。
「びっくりした。自分がこれだと思えるような、いい相撲を取れたらいい」と闘志を燃やした。
8日は東京都台東区の立浪部屋で新関脇豊昇龍らと11番取って9勝2敗。
今年は腰痛に苦しんできた元関脇の実力者は「国技館の土俵は好き。土俵に上がって力を出すだけ」と気合を入れた。
新型コロナウイルスの影響で7月の名古屋場所を途中休場した平幕の一山本が8日までに日刊スポーツの取材に応じ、15日間にわたって行われる秋場所を戦い抜く決意を見せた。
「まずは勝ち越し、そこから一番、一番しっかり取って2桁(白星)を目指したい」と口にした。
先場所は初日から4連勝で8日目を終えて6勝2敗とトップと並んでいた。
9日目に所属する放駒部屋で新型コロナの感染者が出たことにより、一山本を含む所属全力士が休場を余儀なくされた。
あと2番勝てば3場所連続の勝ち越しだった。
先場所に続き東前頭13枚目に据え置かれ「そうだろうなというのが大方の予想でしたし、こればっかりはしょうがないです」と冷静に受け止めた。
6月末に引退した元小結松鳳山の松谷裕也さんから受け取った「場所中に星勘定はあんまり気にするな」という金言が、巻き返しを図る上で鍵になる。
北海道の町役場の職員を退職してまで進んだ大相撲界。
幕下時代に兄弟子から受け取ったアドバイスを胸に、休場明けの秋場所の本土俵で力強い姿を見せる。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は8日、大相撲秋場所(11日初日・両国国技館)の番付発表があった8月29日以降に新型コロナウイルスの感染者が出た高砂、錣山、境川、宮城野の4部屋について、秋場所出場に問題はないと明らかにした。
錣山部屋は小結阿炎、高砂部屋には元大関で東幕下15枚目の朝乃山らが所属。
朝乃山は6場所出場停止処分から今場所が復帰2場所目となる。
取組編成会議前日の8日時点で、新型コロナ関連での休場者はいない。
先場所はコロナ感染者が相次ぎ、全休を含めて休場は計13部屋。
全体の3割近い174人が土俵に上がれない異常事態だった。
2022/09/08
名古屋場所で初優勝し5場所ぶりに三役復帰した小結逸ノ城が7日、埼玉県川口市の部屋での稽古後に取材に応じ、秋場所へ「2桁(勝利を)目指してやりたい。負け越したりして恥ずかしいところを優勝した後に見せたくない」と自覚十分に語った。
稽古では幕下以下の力士と37番取った。
連日40番ほどこなし、鋭い出足と馬力で調子の良さをうかがわせた。
「自信を持っていけば何とかなる。1回だけで終わりたくない」と2度目の賜杯へ意欲を示した。
西前頭筆頭で秋場所に臨む翠富士が思わず苦笑いした。
所属する伊勢ケ浜部屋付きの安治川親方に「何勝できますか」と尋ねると、冗談交じりに「3勝12敗」と返された。
7月の名古屋場所の西前頭11枚目から10勝5敗で一気に出世を果たした格好となり、兄弟子は率直にそう思ったのだろう。
「番付は生き物」と言われる。
8勝7敗で一つ勝ち越せば1枚上がり、6勝9敗なら3枚落ちるのが目安とされるが、先場所は新型コロナウイルス関連で幕内だけでも15人が休場。
それまでに勝ち越し、負け越しが決まっていなかった場合、特例措置として原則、地位を据え置かれた。
異例の状況により、番付編成を担当する審判部の親方衆は頭を悩ませた。
「みんなと話し合って公平にやった」と伊勢ケ浜審判部長。
会議は通常と比べて大幅な時間を要した。
翠富士は勝ち越し五つで10枚も上がった。
8勝4敗の時点から休場した翔猿は西6枚目から東筆頭に、9勝6敗だった明生は西10枚目から西2枚目となった。
初めて幕内上位を経験する翠富士は「同い年の貴景勝関を倒して、10番ぐらいは勝ちたい」と威勢が良く、翔猿も「相撲をやっているからには上位で取りたい。いつもより気合が入る」。
巡ってきた好機に、共に目の色を変えている。
新入幕の水戸龍が7日、大相撲秋場所に向けての稽古を行った。
部屋の所属力士は他におらず、四股など一人でできる基礎運動に終始。
ウオーターバッグを使った下半身トレーニングでは師匠の錦戸親方が“マンツーマン指導”する場面もあった。
「やっぱり一人だと寂しい。相手がいないと相撲の感覚がなくなってしまう」。
申し合いどころかぶつかり稽古もできない状況に不安は隠せない。
いつどんな稽古をするか、決めるのは全て自分。
「腰が痛くなったら無理はしない。自分のペースでやれるのが良い」と“一人稽古”ならではの良さも語った。
不利な環境を前向きに捉える。
「稽古相手がたくさんいて毎日相撲を取っている人たちに、稽古が十分にできない俺が勝ったら面白い。負けて当たり前」と挑戦者の気持ちで臨む。
目標に掲げた新入幕勝ち越しで“一人でも強くなれる”と証明したい。
2022/09/07
6日、東京都板橋区の常盤山部屋での稽古後に取材に応じ、秋場所へ「準優勝が多くて、星が1個足りない。一番勝っておくと、準優勝と優勝でまた違うものが見えてくる」と3度目の賜杯に意欲を示した。
先場所は初優勝した逸ノ城の12勝に次ぐ成績だった。
6日は幕内隆の勝と15番取って13勝2敗。鋭い立ち合いから強烈な左はずと右喉輪で押し込んだ。
首や膝などに不安を抱え「いきなり体の調子が悪くなることもある。ここ1、2年で変わってきたところ。アンテナを張ってやらないといけない」と調整を進めている。
6日、大関正代が東京・墨田区の部屋で稽古を行い、幕下以下の力士を相手に相撲を13番取って調整した。
先月下旬には右足親指の巻き爪で相撲を取らない日もあったが「もう大丈夫です。稽古もできてるので。最初は指に力を入れるのが怖かったけど、今では腫れもなくなってきて痛みもないので、いつも通り取れている」と現状を説明。
「体は動いてるほうじゃないですか。何とか場所初日までに、ちゃんとできるようにしたい」と5日後に迫った本番に照準を合わせた。
6日、東京・墨田区の陸奥部屋で稽古を行い取材に応じた。
番付運に恵まれず、東前頭4枚目だった春場所から2場所連続で10勝も三役に届かず。
東前頭筆頭の名古屋場所で勝ち越し、ようやく5場所ぶりの返り咲きを決めた。
穏やかな性格の霧馬山も、「なかなか上がれなくて。今回やっと上がれて。次の目標も近づいてくるし。絶対に負け越さないように」と気合が入る。
刺激となる材料が2つある。1つは入門前のモンゴルで、同じ柔道クラブに通っていた後輩の豊昇龍が新関脇に昇進したこと。
「後輩の豊昇龍が先に関脇に上がったし。今まで自分が先にいってたんで。ここまできたらもっと上を目指して頑張らないと」
もう1つは名古屋場所で同じモンゴル出身の逸ノ城が優勝したこと。
「逸ノ城関が優勝して自分も頑張ろうかなと。頑張っていれば優勝のチャンスがくるかなと」
その先にあるのは、まずは師匠の陸奥親方と同じ大関昇進。
「最初からそういう目標を持ってやってきた」と大きな目標を見すえている。
右肩負傷で先場所を途中休場した西前頭10枚目の隆の勝が6日、東京都板橋区の常盤山部屋での稽古後に「初日までに完璧にしていけるように。今場所は15日間取れるように万全にしていけたら」と意欲を語った。
西前頭筆頭だった先場所はわずか1勝と振るわず、7日目から休場。
6日の稽古では大関貴景勝になかなか右を差せず2勝13敗と劣勢で「体が自然と怖がっているというか、切れが悪いのは感じている。そこを修正して本場所に臨みたい」と話した。
2022/09/06
新三役を狙う西前頭3枚目宇良が5日、都内の部屋での稽古後に取材に応じ、体重に関する持論を展開した。
日本相撲協会が8月30日付で発表した身長、体重で、151キロを計測。
目標としていた大台の150キロを突破し「やっとですね。だいぶ時間はかかりましたけど」と納得の表情だった。
大学在学中の20歳の時は65キロだったといい、10年かけて約90キロ増量した。
目標体重に到達も「(大学の時が)一番元気に動けていた」と理想と現実の差があるようだ。
身長は175センチで、秋場所での幕内平均身長の183センチより低く、上位で戦うための増量だった。
「まだ(体重に)慣れていない。この体重をしっかりキープしながら、動ける体にしたい」と調整はまだまだ続く。
増量のためにマクドナルドのダブルチーズバーガーを毎日のように食していたのは有名な話だ。
しかし「(体重が)人としての限界を迎えた。今はもういいかな」と現在は控えているようだ。
よく口にしているものには「コンビニのヨーグルトと卵焼き」を挙げた。
食トレは得意ではなく、苦労して増量したが「駄目だったら落とせば良い。10キロは1、2週間で落とせる。ウエートコントロールはうまくいっている」と150キロ台にこだわりすぎない姿勢も見せた。
ここ1年は平幕上位にいるなど、安定感が増してきた。
それでも「上位にいる相撲取りではない」と分析。
「小細工して勝ちを拾っているしギリギリでかじりついている感じ。地力がある人が三役にいる。僕みたいにおこぼれを狙う人はまだまだ」と謙遜気味に話した。
だからといって欲がない訳ではない。
「(実力は)まだないです」と話すも「もちろん勝ちにいきます。もちろん(新三役を)目指しています。稽古して地力を上げて番付を上げていければなと思います」と語気を強めた。
元横綱白鵬の宮城野親方(37)が5日、オンライン会見を開き、来年1月28日、東京・両国国技館で「白鵬引退宮城野襲名披露大相撲」を開催することを発表した。
新型コロナウイルス感染拡大のあおりを受け、昨年9月の現役引退から、1年が経過し、ようやく開催が決まり発表にこぎ着けた。
当日は横綱土俵入りでの露払い、太刀持ち役などにサプライズを予告した。
いまもトレーニングに励み、現役時代と変わらぬ体での土俵入りを頭の中で描く大横綱の“最後の勇姿”となる。
数々の記録を樹立してきた宮城野親方が、ついにまげと別れを告げる日が決まった。
きれいなまげを結い、スーツ姿で会見に臨んだ同親方は「15歳からずっとこのかたちで、これが自分の姿。一人前の力士としての魂が、このまげにあると思う。寂しいけど、この魂を弟子たちに受け継いでもらいたい」と、引退相撲で行われる断髪式への思いを語った。
2022/09/05
2日、東京都墨田区の時津風部屋で幕内豊山らと12番取り、秋場所への調整内容を「今のところは良い方」と語った。
8月末に巻き爪のような状態で右足親指を痛め、相撲を取らない日もあった。
直近3場所は初日から3連敗スタート。
今場所は序盤から波に乗りたいところで「より意識して初日から勝負を懸けていかないと」と気を引き締めた。
3日、新三役昇進を目指す琴ノ若が千葉県松戸市の部屋で稽古を行い取材に応じた。
7月の名古屋場所は7勝3敗と優勝争いに加わりながら、部屋に新型コロナウイルスの陽性者が出たために途中休場。
今場所の番付は先場所と同じ東前頭2枚目に据え置かれた。
5月の夏場所では西前頭2枚目で9勝6敗と勝ち越したが、半枚しか上がらなかった。
ただ、三役は確実に近づいてきており、「逆に珍しいんじゃないですか? 3場所連続2枚目って」。
笑って受け流すだけの気持ちの余裕がある。
「やっぱり三役に上がりたいですし、師匠(元関脇琴ノ若)に追いつきたいっていうのもあるので」。
自らに、今度こそという気合を入れた。
史上4位の通算1448回連続出場記録を持つ東前頭3枚目の玉鷲が2日、東京都墨田区の片男波部屋での稽古後に取材に応じ、秋場所へ「勝ち越して10番は勝ちたい」と語った。
モンゴル出身で37歳のベテランは2日の稽古では幕下以下の力士2人と同時に相撲を取った。
土俵を丸く使うことが目的で、前後や左右から同時に攻めてくる相手を巧みにさばいた。
先場所は部屋関係者が新型コロナウイルスに感染し、13日目から途中休場。
2004年初場所の初土俵から初めて休み「取り残されたような気がして(テレビ中継を)まともに見られなかった」という。
新型コロナ関連による休場は本人の意向に関わらないため、日本相撲協会の判断で連続出場記録は継続。
「すごくうれしかった。しっかりやらないと」と意気込む。順調なら秋場所8日目で貴闘力に並び3位となる。
3日は千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋で21番連続の申し合い。
幕内琴ノ若には3勝11敗で「めちゃめちゃ強い。
自分がいい体勢になっても、なかなか攻め切れない」と大器の成長を実感した。
176センチ、131キロと小兵の30歳。
秋場所に向け「いい反応が出てきた。本場所につながるような意識で稽古をしている」と手応えを示した。
東前頭11枚目で23歳の琴勝峰は相撲を取らず、基礎運動に励んだ。
新型コロナウイルス感染の影響が残っているようで「しっかり場所に間に合うように」と話した。
2日、新型コロナウイルス感染者が出た部屋の追加検査で、高砂親方の陽性判定を発表した。
同親方が師匠の高砂部屋では十両朝乃若の感染が8月29日に判明していた。
他に感染者が確認されたのはともに幕下以下の力士で錣山部屋が3人、宮城野部屋が1人。
発熱など体調不良者はいない。
このまま無症状ならば、再検査する宮城野部屋勢以外は大相撲秋場所の出場に問題はないという。
2日、元幕内大飛の大山親方(69)=本名小椋進、愛知県出身、八角部屋=が8月31日付で退職したと発表した。
2017年10月の定年後は再雇用制度で「参与」として協会に残り、70歳の期限まで残り約1カ月半だった。
2022/09/02
30日、横綱照ノ富士が報道陣の代表取材に応じた。
部屋の稽古では相撲は取らず、腕立て約200回などで調整。
「体の具合を見ながら。番付が出て、もうすぐだねっていう感じ」と振り返った。
ヒザに不安を抱えており、自らの体調と向き合いながら体を仕上げている一方で、弟弟子の稽古も気にかけている。
十両熱海富士には土俵際の残り方を実演指導=B
また、この日が26歳の誕生日の幕内翠富士には「誕生日プレゼントだ」とぶつかり稽古で胸を出した。
上位陣に変化はないが、三役や平幕上位の入れ替わりが激しく、横綱は「いいですよ。勢いのあるやつとやるのは楽しい。みんな勢いがある」と歓迎。
そうした力士らの壁≠ノなるためにも「(場所前の稽古は)もうちょっとやっておけばよかったなと思わないようにやっている。だから飛ばしすぎる部分もあるから、うまく調整しないといけない」と気持ちを引き締めた。
1日、大関正代が東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
前日は巻き爪になっている右足親指に痛みが出たため相撲を取らなかったが、この日は幕内豊山らと計11番。
稽古後の代表取材では「(腫れは)昨日がピークだったんですよ。しこ踏んだときに痛かったんで、昨日はやめました。1日様子見て病院行こうかなと。朝起きたら落ち着いてたんで。ギュッとしたら(力を入れたら)痛いですけど」と現状を説明した。
1日、関脇若隆景が朝稽古に報道陣の取材に応じた。
この日は部屋の関取衆と16番の申し合い。
兄で東前頭6枚目の若元春、東十両7枚目の荒篤山を相手に15勝1敗と圧倒し、部屋頭の貫禄を見せた。
関脇も、これで4場所連続。
その新関脇の春場所は12勝3敗で初優勝を成し遂げ、夏場所は9勝6敗。
星数次第で大関昇進の可能性もあった7月の名古屋場所は14日目にようやく勝ち越しを決め8勝止まり。
大関とりは振り出しに戻されたかっこうとなった。
その名古屋場所を振り返り「やっぱり序盤戦が、もう少し力を出せるようにという意識はありますね」と分析するように4日目までの3敗を喫したことが響いた。
大関昇進を期待される声には「周りからは、そういう声もありますし、そういう期待に応えられるように稽古場から一生懸命、やっていけたらいいと思います」と謙虚に語った。
大関とりへ再スタートを切る秋場所。
特別、今場所で意識することはないようで「毎場所毎場所、一生懸命に15日間、しっかりやっていきます。少しでも自分の相撲に集中して、自分の相撲を取れるように頑張りたいです」と若隆景らしく、飾り気のない言葉で足元をみつめるように話した。
1日、埼玉県草加市の追手風部屋で稽古を行った。
部屋に新型コロナの感染者が出たため途中休場となった名古屋場所後にチャレンジしたのがキックボクシング。
知人の紹介を受け、8月に東京都内の格闘系フィットネスジムでトレーニングしたことを稽古後の電話取材で明かした。
「突き押しなので、腕の出し方とか体重移動っていうのがつながればと言っていただいたので。他競技をやることもたまにはいいのかなと思って」と初めてグローブをつけ、ミット打ちやサンドバッグ打ちのほかキックも体験した。
「やっぱり難しいですね」と苦笑いで振り返ったが、「体幹をぶらさずにやるとか、こういう(腕の)出し方もあるのかなとか、いろいろ考えながらやりました。
うまく自分で考えて相撲につなげられれば」とも。
この経験で新たな突き押しが生まれるかもしれない。
小結の阿炎が新型コロナウイルスに感染したことが確認されたと発表しました。
相撲協会によりますと、9月11日に初日を迎える秋場所を前に31日、協会員を対象に行った新型コロナの検査で、錣山部屋に所属する小結・阿炎と、部屋付きの親方で元小結・豊真将の立田川親方、そして幕下以下の複数の力士が陽性と判明したということです。
また宮城野部屋の幕下以下の力士1人と境川部屋の幕下以下の力士1人も陽性と判明したということです。
阿炎など陽性と判明した力士が秋場所に出場できるかどうかは現時点で決まっていないということです。
1日、埼玉県内の部屋で稽古後に電話取材に応じ、自己最高位の東前頭筆頭で臨む秋場所への抱負を語った。
先場所は10日目で勝ち越し。
新型コロナ陽性者が部屋で確認されて13日目から休場し、8勝5敗2休だったものの、西前頭6枚目から上がった番付に「うれしかった。やっぱり相撲をやっているからには上位でとりたい」と声を弾ませた。
新入幕だった2年前の秋場所は、13日目まで2敗をキープ。
優勝を争って11勝を挙げ、敢闘賞も受賞した。
「思い出しますね」というゲンのいい9月。「やっぱり力はだいぶついたなと思います」と、成長に自信をのぞかせた。
この日は、関取衆と10番超の申し合いをこなし「良い感じになってきた」と好感触。
秋場所で勝ち越せば近づく新三役の座にも「しっかり意識してやっていきたい」と照準を定めた。
30日、都内の部屋での稽古後に、大関撃破と新三役を誓った。
この日が26度目の誕生日で、今年1年の目標を問われると「三役に上がりたいですね。めっちゃ意識します」と即答。
稽古では幕下以下の若い衆と15番程度申し合い稽古を行った他、ぶつかり稽古では横綱照ノ富士に胸を出してもらって手荒い祝福を受けた。
前日29日には秋場所の新番付が発表され、10勝を上げた名古屋場所での西前頭11枚目から、一気に西前頭筆頭まで番付を上げた。
上位総当たりとなる秋場所では「貴景勝関を倒したいですね。同い年なので」と同学年の大関を意識。
「(対戦は)高校の時が最後でそれ以来。プロになってからもないです」と久しぶりの対戦を待ち遠しそうにした。
稽古中には、部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)から「西筆頭は大負けする」と発破をかけられた。
そのことについて問われると「前、(安治川)親方に『何勝できますかね』って聞いたら『3勝12敗』と言われました」と上位の厳しさを説かれたという。
ただ、「目標は10番は勝ちたい。目標なので高めに」と志高く、秋場所に臨む。
1日、平幕の若元春が朝稽古に報道陣の取材に応じた。
この日は部屋の関取衆と16番の申し合い。
弟の関脇若隆景、東十両7枚目の荒篤山を相手に14番取って5勝9敗。
若隆景には8番取って1番も勝てず番付の差を見せつけられたかっこうだ。
弟に三役争いで先を越され、この日の稽古も「実力が違うっすよね。強いっす」と歯が立たなかったが、今年初場所の新入幕から存在感は示している。
3場所連続9勝で番付を上げ、迎えた7月の名古屋場所は、初めての上位総当たり。
6勝9敗とはね返されたが、5日目に大関初挑戦で正代を破り、8日目の照ノ富士戦では、2分を超えるまわし待ったの大熱戦の末、敗れはしたが幕内上位の力が十分にあることを示した。
その先場所を「すごく勉強になった場所なので、それをどれだけ生かせるか」と、ただの負け越しでは終わらせないつもりだ。
番付は2枚下がったが、前半戦の活躍次第では再び上位戦の可能性がある。
存在感があるが、と問われ「影みたいな力士なので、頑張ります」と若元春らしい言葉で応じたが、期待の力士の1人であることは間違いない。
秋場所に向けて「(先場所は)あれだけ力を出せたので、今回はしっかり力を出して星を上げたいなと思っています。ずっと2ケタ勝ったことがないので、そこはずっと目標にしてしっかりやっていきます」と目標数値を隠すことなく設定した。
1日、審判部長を務める伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が新型コロナウイルスの検査で陽性となったと発表した。
大相撲秋場所(11日初日)の新番付が発表された8月29日以降、高砂、錣山、宮城野、境川の各部屋で陽性者が判明していた。
2022/08/31
29日、元関脇で東幕下筆頭の魁聖(35、本名・菅野リカルド、大島部屋)の引退および年寄「友綱」襲名を発表した。
魁聖は2006年秋場所で初土俵を踏み、11年5月技量審査場所ではブラジル出身初の新入幕を果たした。
祖父母が日本人の日系3世で、14年11月には日本国籍を取得。
16年名古屋場所で新関脇に昇進。
幕内在位60場所で三役は4場所務め、敢闘賞3回を受賞した。
近年は膝などの負傷に苦しみ、名古屋場所は東十両11枚目で5勝10敗。
秋場所の番付では幕下へ転落していた。
29日、大相撲秋場所の番付を発表した。
元大関の朝乃山(高砂)は東幕下15枚目となり、九州場所での関取復帰が可能となった。
7戦全勝なら、幕下15枚目以内で全勝は優先的に十両昇進の内規の条件を満たす。
朝乃山は、新型コロナウイルス感染対策のガイドライン違反による6場所出場停止処分から名古屋場所で復帰。
三段目で全勝優勝を飾っていた。
九州場所での関取復帰が可能となったことで、最速なら十両を1場所で通過して来年初場所の再入幕もある。
2022/08/22
21日、都内の部屋で、出稽古に来た平幕の錦木や北勝富士らと申し合い稽古を行った。
集まった関取衆の中で最多の14番取って9勝5敗。
部屋のお盆休みで稽古再開が前日からだったこともあり「ここから少しずつしっかり稽古して。しっかり場所に向けてやっていきたいと思います」と話した。
秋場所後には、師匠の荒汐親方の断髪式が行われる。
それでも「気持ちは変わらないですね」といつも通り、多くは語らずに引き締めた。
結果によっては大関昇進の可能性もあった名古屋場所では8勝7敗。
大関とりへ1歩後退も「しっかり準備してしっかり自分の相撲を取りきるようにするだけです」と気にするそぶりはなく引き締めた。
3場所連続で関脇で勝ち越すなど、三役に定着しつつある。
結果も経験も着々と積み重ねる27歳。それでもやはり「特に変わらない。本当に自分の相撲に集中して、下からの攻めで取っていきたい」と揺るがないものがある。
名古屋場所で初優勝した逸ノ城が、所属している相撲部屋がある埼玉県川口市の市役所を訪れ、「これからも上を目指します」と抱負を語りました。
逸ノ城は、名古屋場所で横綱・照ノ富士から金星を挙げるなど12勝3敗の成績で初優勝を果たしました。
18日は、湊親方や後援会長らとともに、所属している湊部屋がある川口市の市役所で優勝を報告しました。
このなかで、逸ノ城は「みなさんのおかげで名古屋場所で初優勝できました。これからも上を目指せるように頑張っていきますので、応援をよろしくお願いします」とあいさつしました。
これに対して、奥ノ木信夫市長は「これを契機に三役や大関への定着、さらには横綱を目指していただければと思います」とエールを送りました。
市長を訪問したあと逸ノ城は「市長や市民のみなさんに良い報告ができてよかったです。期待に応えられるようしっかり頑張っていきたいです」と話していました。
21日、都内の荒汐部屋に出稽古に行き、関脇若隆景らと申し合い稽古を行った。
夏巡業後は17日まで時津風部屋に、この日からは荒汐部屋に来るなど、精力的に出稽古を行う。
期間の今週いっぱいまで出稽古を続けるといい「土俵に上がらないと。強くなれないので、他の子と違って。いい稽古ができればと思っている」と話した。
名古屋場所は所属する部屋で新型コロナ感染者が出たため、日本相撲協会が定める規定により13日目から途中休場となった。
規定とはいえ、06年春場所で初土俵を踏んで以降、初の休場。
「暇だなぁ、と思って。場所中なのに暇だなぁと。不思議な感覚だった」と振り返った。
勝ち越しはすでに決まっていたが「やはり最後まで相撲は取りたかったですね」と皆勤できなかったことを悔しがった。
結果的に自身を含めて所属する力士ら全員が陽性反応を示したというが「僕は全然元気だった」と体調に問題はないという。
再入幕を果たした3月の春場所から3場所連続で勝ち越しを決め、秋場所では幕内上位の番付が見えてきた。
「久々に(上位に)戻る。5年ぶりぐらい。イケイケだった時期から十両のケツまで落ちて、それで戻ってきたことはすごくうれしい。年齢的にも上の方なので無理せずとは思っているけど、稽古しないと強くなれない。より一層頑張ろうと思う」と気合十分だ。
19日、都内の立浪部屋で同部屋の小結・豊昇龍、出稽古に来た幕内・高安と申し合い稽古を行った。
13番取って4勝9敗。
高安には6戦6敗で「いやあ…、強いっす」と舌を巻いたが、持ち前の動きの良さなど見せ場を作った。
昨年名古屋場所では新三役(小結)に昇進、秋場所では自己最高位の関脇に番付を上げた。
だが腰痛に苦しめられ、今年初場所は5勝10敗、平幕に番付を下げた春場所は1勝14敗の屈辱を味わった。
ただ夏場所は8勝7敗、名古屋場所は9勝6敗と復調の兆しを見せている。
明生は「名古屋場所は9番勝って感覚も良かったんで、その感覚を残しつつ、また上げていけたらと思っていたんですけど、名古屋場所が終わったぐらいからまた調子が落ちてきちゃって。またここから調子を上げていきたいなって感じですね」と明かした。
納得がいかない部分については「自分の体をまだ扱えていない」とした一方で「下がったら上がると思っているんで。今は調子がいくら悪くても本場所で力を出せたらいいかなと思いながら」と前向きに話した。
腰については「うまく付き合っていかないといけないと思いながら稽古しています」と話す。
トレーナーから負担がかからないような姿勢や使い方を学習中という。
「(普段の)生活もそうですけど、相撲のときも、今まで使ったことのない筋肉を使うじゃないですけど、腹筋とかも大きくして、構える位置とか、四股を踏んだときの腰の使い方とか、そういうのを頭に入れながら。覚えるまでが、体が勝手に動くまでが疲れますね」と明生。それでも「伸びしろだと思って」と、あくまでポジティブに話した。
秋場所に向けては「しっかり勝ち越すことと、けがを悪化させないこと」とした上で「三役に行く気持ちで毎日やっています」と言葉に力を込めた。
17日、京都府警下京署の一日警察署長を務めた。
京都駅前で防犯イベントに参加し、詐欺や事故の防止を呼びかけた。
宇良関は鳥羽高校(京都市南区)の相撲部出身。
身長173センチは角界では小柄ながら、体重は148キロ。
多くの一日署長は警察官の制服姿で登場するが、宇良関の体格に合う制服がなかったこともあり、いつもの浴衣に「警察署長」のたすきをかけて登場した。
まずは、署員らが服装や手錠、警棒などの所持品を確かめる「通常点検」に点検官として立ち会った。
その後、駅前の広場で防犯や交通事故防止を呼びかける催しに参加。安全に道路を横断するための「合図」を覚えるダンスを警察官らと踊ったり、駅の利用者やファンらに反射材などのグッズを配ったりして、署長業務をこなした。
森野淳署長は「相撲で鍛えた強靱(きょうじん)な心身で、下京区の土俵から、事件や事故を『押し出し』てもらえれば」。
宇良関は「名誉ある一日署長をやらせていただき、うれしい。1年くらいやりたいです」と笑顔だった。
18日は母校の鳥羽高校を訪れ、かつて所属した相撲部の稽古を見学しました。
生徒たちは、しこやすり足を入念に行ったあと力強い相撲をとり、宇良はその様子に見入っていました。
そして稽古のあと、生徒たちに「いいあたりをしているし、脇もしまっていて、相撲の基礎がちゃんとできていると思いました。いまみたいな相撲をとっていれば必ず強くなります。ともにがんばりましょう」と激励しました。
相撲部の主将で3年生の齋藤藍さんは「宇良関が直接、相撲を見てコメントをしてくれてうれしかったです。宇良関の相撲は学ぶものが多く、それを自分も取り込んで今後にいかしていきたいです」と話していました。
宇良は「母校に戻って来ることができて非常にうれしいです。後輩たちは活気があって相撲も若々しくて励みになりましたし、自分ももっと稽古をしないといけないなと思いました。後輩たちには、ここでの歩みを大事にしてほしいと思います」と話していました。
18日、阿武咲とともに東京都台東区の立浪部屋で出稽古を行った。
出稽古期間は15日から始まっており、高安はこの日が本格始動。立浪部屋の小結・豊昇龍と幕内・明生も含め幕内力士4人での申し合い稽古に参加し、16番取って8勝8敗だった。
「ぼちぼちじゃないですか。まだこれからだと思います」と秋場所へ向けて少しずつペースを上げていく。
名古屋場所前と同様に、出稽古期間は積極的にいろいろな部屋へ出向く予定。
「制限はありますけど、いいんじゃないですかね」。
夏巡業の稽古でも精力的に汗を流した32歳は、貴重な機会を有効活用していく意欲を示した。
19日、前日に続いて東京都台東区の立浪部屋へ出向き、小結・豊昇龍と幕内・明生を相手に申し合い稽古を行った。
休場明けとなる秋場所へ向けての出稽古2日目となったこの日、計15番取って豊昇龍に5勝4敗で明生には6戦全勝。
豊昇龍を相手に突き放して圧倒するなど前に出る力強さを発揮した。
「相撲が若いね。なんでもしてくる力士はためになりますね」。
いろいろな取り口を試してくる若手と激しい稽古を繰り広げ、充実の表情を見せた。
19日未明に第2子となる長男が誕生した。
妻で演歌歌手の杜このみが故郷の北海道札幌市で出産。
立ち会うことはできなかったが、深夜に電話で知らせを聞き「そわそわしていました。母子ともに健康でホッとしています」と胸をなで下ろした。
「より一層頑張らないといけないなって、これを励みに良い稽古できました」。
2児の父となり新たな気持ちで臨んだ稽古はいつにも増して気合が入った。
これからも父として強い姿を見せることが目標。
「子供たちが物心つくまでは一生懸命相撲を取りたい。良いところをしっかり子供たちに見せたい」。
まだまだ元気な32歳が、記念の日に新たな誓いを立てた。
21日、都内の荒汐部屋へ出稽古に行き、関脇若隆景らとの申し合い稽古で10番取って6勝4敗とした。
自身が所属する部は関取が自身しかいないため、番付発表前の出稽古期間は貴重な期間となる。
明日も荒汐部屋に出稽古に行く予定だといい「積極的に肌を合わせられたらなと思う。
(部屋で稽古するのと)仕上がっていくスピードが違う。楽しいです、稽古していて」と話した。
幼なじみと結婚していたことを、8日に発表して以降の公の場でもあった。
結婚前との気持ちの変化を問われると「相手が相手だったので安心した。兄妹みたいで、1つ下だけど、全てにおいて似ている。一緒にいて気楽ですし、家に帰っても誰かがいてくれるのはすごくいい」と話すなど、居心地がよさそうだ。
互いの実家は近所の上、互いの両親同士は同級生だという。
「昔から一緒だった。好きなこと、感覚、価値観、本当に全部一緒」と最高の人生の伴侶を得て、秋場所で2場所連続勝ち越しを狙う。
21日、都内の荒汐部屋に出稽古し、関脇若隆景らとの申し合い稽古で汗を流した。
数日前には都内の時津風部屋にも出稽古に行き、大関正代らと稽古したという。
「関取衆と肌を合わせるのが大事。これから、ちょっとずつ(体を)作っていければなと思います」と話した。
名古屋場所千秋楽に陽性反応を示した。
当時は39度以上の発熱に加え「鼻とだるさ。だるさは結構残って」と症状があり、体重は8キロ減。
「(現在も)本調子じゃないけど、徐々に稽古していけば体は強くなってくる」と悲愴(ひそう)感を口にした。
また、20年5月には勝武士さんが新型コロナに感染して死去。
「亡くなった力士もいる。怖さしかない。恐怖感との戦いでもあった」と感染時を振り返った。
9月11日には、大相撲秋場所が幕を開ける。
22日も荒汐部屋に出稽古予定など、迫り来る本場所に向けて調整を進める。
「土俵に上がるからにはケガしないように、勝てるように集中してやらないといけない」と引き締めた。
20日、新たな師匠として始動した東京都墨田区の宮城野部屋で稽古を公開した。
稽古場に立った同親方は、若い衆に効果的な腕立て伏せの方法などを指導。
「夢をたくさん持つ力士を育てていきたい」と抱負を述べた。
今月上旬に移転した部屋は、かつて横綱曙が育った東関部屋の建物で、「横綱を生んだ素晴らしい場所に構えることができて光栄」。
昨年まで20年以上に及んだ自身の現役生活を振り返り、「今度は20年走り続けるような力士を」と意気込んだ。
部屋の十両炎鵬は、「心機一転、新弟子の頃のようなわくわくした気持ち」と新しいスタートを喜んだ。
2022/07/29
日本相撲協会は、元横綱 白鵬の間垣親方が年寄「宮城野」を襲名し、宮城野部屋を継承したと発表しました。
元横綱 白鵬の間垣親方は、去年の秋場所後に引退したあと宮城野部屋の部屋付きの親方として指導に当たってきました。
日本相撲協会は28日、東京 両国の国技館で開かれた理事会で、間垣親方が年寄名跡の「宮城野」を襲名し、宮城野部屋を継承することを承認しました。
史上最多の45回の優勝など数々の記録を持つ元横綱 白鵬は今後、宮城野親方として部屋に所属する力士の指導に当たることになります。
宮城野部屋には、十両の炎鵬や石浦、北青鵬などが所属しています。
これに合わせて来月、日本相撲協会の65歳の定年を迎える元幕内 竹葉山、宮城野親方は年寄「間垣」を襲名しました。
日本相撲協会によりますと、再雇用され宮城野部屋の部屋付きの親方として残るということです。
27日、東京・両国国技館で大相撲秋場所の番付編成会議を開いた。
名古屋場所はコロナ関連で途中休場するケースが初めて出たこともあり、この日の編成会議で論議となった。
新十両発表も通常より1時間ほど遅れ、伊勢ケ浜審判部長は「みんなと(いろいろ)話し合いましたから」と明かした。
同部長によると、コロナ関連で途中休場した力士の番付は従来通り据え置きに近い措置を取るが、休場時点で勝ち越しや負け越しが確定していた力士は「昇降」させたという。
明言は避けたが、8日目から休場の大関・御嶽海は番付が据え置かれるもようだ。
新番付は来月29日に発表される。
26日、第37代木村庄之助の畠山三郎(はたけやま・さぶろう)さんが22日午後7時ごろに慢性間質性肺炎のため自宅で死去したと発表した。
72歳だった。
青森県上北郡六戸町出身の畠山さんは1965年(昭40)に角界入り。
2012年九州場所から立行司、第39代式守伊之助を襲名。
2013年九州場所から第37代木村庄之助となり、2015年春場所を最後に退職していた。
畠山さんの退職から7年以上が経過したが、今も最高位の木村庄之助は空位が続いている。
日本相撲協会は、二子山親方と立川親方が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。
日本相撲協会によりますと、元大関 雅山の二子山親方と元関脇 土佐ノ海の立川親方の、新型コロナの陽性が25日判明したということです。
24日、千秋楽を終えた大相撲名古屋場所では、感染拡大の影響で力士や親方などの休場が相次ぎ、けがの2人を含め、戦後最多となる23人の関取が休場する異例の事態となっていました。
2022/07/25
照ノ富士は貴景勝に敗れて4敗となり、逸ノ城との優勝決定戦に進めなかった。
大関を最後までつかまえられずに押し出され、「自分のできることはここまで」。
悔しさを押し殺した。
序盤戦で2敗と苦しんだ後は白星を重ねたものの、14日目に正代の引き技に不覚を取ったのが痛かった。
2場所連続の優勝はならず、「一から体をつくり上げたい」と先を見据えた。
逸ノ城が3敗を守り、取組前には優勝がなくなったものの、照ノ富士との結びに「力を出し切ろうと思った」。
抱えようとする横綱を下から起こして押し出した。
取組後の表情は浮かなかった。
7日目に3敗となった後、巻き返して優勝争いに食らい付いたが、14日目に若隆景に喫した黒星は痛恨。
「優勝以外、何もない」と大関のプライドをのぞかせ、「1勝の重みが大きい。そういうところが弱いところ」と自身に厳しい目を向けた。
正代が9場所ぶりの2桁白星となる10勝を挙げた。
力強く当たって終始攻め、粘る若隆景をはたいて土俵にはわせた。
持ち味の馬力を発揮し、「常に圧力をかけられていたのでよかった」と納得顔だった。
4度目のかど番だった今場所は初日から3連敗を喫したが、何とか盛り返した。
「優勝争いにほとんど関われていないのは悔しい。来場所以降は絡んでいけたら」と奮起を誓った。
24日、「未完の大器」が真の怪物になった。
西前頭2枚目逸ノ城が12勝3敗で初優勝した。
宇良を退け、3敗で並んでいた横綱照ノ富士が敗れた。
新入幕から所要47場所は史上9位のスロー記録。
1972年名古屋場所で米ハワイ出身の平幕高見山が外国出身力士初制覇を果たしてから50年の節目に、モンゴル出身力士が初優勝を達成。
コロナ禍で途中休場の関取が戦後最多23人と、前代未聞の場所でもあった。
怪物と呼ばれた男が、ついに悲願を達成した。逸ノ城は「本当に夢のような感じ。いつか優勝したいと思っていた」としみじみ言った。
新入幕の14年秋場所で白鵬と優勝を争ってから8年。
回り道をしながら、やっと頂点にたどり着いた。
また、殊勲賞も受賞。
5日目には照ノ富士に勝ち、歴代10位タイとなる通算9個目の金星を獲得していた。
逸ノ城の殊勲賞は19年春場所以来、3回目の受賞(三賞は4回目)となった。
千秋楽、幕内・北勝富士が24日、新型コロナウイルスに感染したため休場した。
千秋楽の対戦相手、新入幕の錦富士は今場所3度目の不戦勝。
休場は昨年秋場所以来で3度目。
同部屋の幕内・隠岐の海も休場し、対戦相手の千代丸は不戦勝となった。
同部屋で十両・北の若や幕下以下の所属力士は、取組が北勝富士の陽性判明前だったため出場した。
師匠の八角理事長は幕内優勝表彰式を欠席し、陸奥事業部長が代行した。
24日、新入幕の錦富士が敢闘賞を受賞した。
三賞選考委員会に千秋楽で勝利したらという条件付きで選考されたが、その後に対戦相手の北勝富士の休場が発表され、受賞が決まった。
この日も含めて今場所は3度の不戦勝もあった。
それでも2桁へと白星を乗せ「勝ったときはしっかり当たって自分の相撲が取れました。不戦勝は複雑な気持ちもあるけど、朝からしっかり準備してのもの。いい結果になったと思います」と話した。
コロナ関連で途中休場が初めて出たことで、秋場所の番付編成は変則的な措置が取られそうだ。
本紙が十両以上の秋場所予想番付を作成。
関脇、小結で番付降下する力士が不在(大栄翔はコロナ休場で据え置きとみられる)で優勝した逸ノ城が1枚しか上がらない状況となり、関脇を4人と予想した。
コロナ関連で途中休場した力士は休場した時点で勝ち越し、および負け越しが確定している力士は「昇降」させた。
番付編成会議は27日に開催される。
2022/07/24
14日目、横綱照ノ富士が大関正代に不覚を取り、3敗に後退。
立ち合いで右にいなされ、引き落としを決められた。
2敗で並ぶ平幕の逸ノ城も敗れたため依然優勝争いをけん引することは変わりないが、名古屋開催では初の賜杯獲得を目指す中で不安を残す一番となった。
取組後の取材には応じなかった。
14日目、東大関・貴景勝は、東関脇・若隆景に送り出されて黒星を喫した。
2敗だった横綱・照ノ富士、西前頭2枚目・逸ノ城ともに敗れ、賜杯の行方は1差で追う貴景勝を含めた3人に絞られた。
成長著しい27歳の難敵に苦杯を喫した。
立ち合い当たって、相手の右腕をつかんで左からの小手投げを繰り出すも残された。
若隆景に素早く右を差されて、体の左から一気に押されて土俵下へと送り出された。
幕内での対戦成績は直近3連敗となり、通算5勝4敗となった。
「しっかり自分の攻めをしたかったんですけど…。勝たなきゃいけない。負けたということでした」と取組後は言葉少なに場所を後にした。
14日目、大関正代が横綱照ノ富士に土を付けた。
「まわしを取られたら相手の相撲になるので、低く、前傾で取るようにしました」と狙い通りまわしを許さず、引き落としで横綱に勝利。
引き落としも見事だったが、その後の“技”も見事だった。
場内はどよめき、座布団が舞う。
勝ち名乗りを受けるため、そんきょしたとき、後頭部になんと座布団が直撃した。
だが、顔色ひとつ変えず、自身に当たった座布団が土俵に落ちる前に、見ることなく左手でつかみ取ったのだ。
「顔に当たったら危ないけど、後ろからだったので大丈夫でした」。
冷静に話したが、ビックリのスーパーキャッチだった。
若隆景が6場所連続の勝ち越しを決めた。
鋭く踏み込み、貴景勝のやや強引な小手投げにもうまく対応。
横に食い付いて土俵の外に運んだ。
4日目までに3敗を喫したが、そこから立て直した。
八角理事長は「ここで勝ち越せるのは力をつけている証拠。大関と対戦しても見劣りしない」と評価した。
霧馬山が若元春との熱戦を制した。
取り直しの一番。
突き押しでは攻め切れずに左四つで組んだが、巻き替えてすくい投げや出し投げで崩した。
土俵際のうっちゃりにも耐えて寄り倒し、「負けても前に攻めようという強い気持ちだった。うれしい」と声を弾ませた。
場所前の出稽古で手合わせした相手から、幕内では3度目の対戦で初白星。
勝ち越しが懸かる千秋楽に向け、「一生懸命頑張る」と気合を入れた。
14日目、西前頭2枚目の逸ノ城が明生に寄り切られ、痛恨の3敗目を喫した。
張り差しから左上手を引いたが圧力をかけられず、明生に得意の左四つになられ万事休す。
取材には応じなかった。
八角理事長は「相撲に対する姿勢ですよ、姿勢。苦労しないで、楽して上手を取ろうとするとこういう結果になりますよ。これで反省してくれればいいですけど」と厳しいコメント。
まだ優勝の望みはある。
理事長の言葉を胸に奮起するしかない。
14日目、阿武咲が新入幕の錦富士を寄り切って9勝目を挙げた。
立ち合いから押し込まれたが二本差して形勢逆転。
一気に攻め返して勝負を決めた。
この2人は青森・三本木農業高の同級生。
阿武咲は中泊町、錦富士は十和田市の出身。
小学生の頃から何十回と対戦してきており、高校では阿武咲が退学するまでの1年弱、チームメートとして一緒に稽古してきた。
公式戦では全て阿武咲が勝っていたという。
場所前から互いにこの対戦を熱望しており、14日目にようやく実現。
阿武咲は「純粋にうれしかったですね」と盟友との再会を喜んだ。
高校の稽古場で顔を合わせて以来、10年ぶりの対戦が幕内の土俵。
「青森の方々や自分と隆聖(錦富士=本名・小笠原隆聖)の指導者の方にも恩返しになる」。
立派に成長した姿を見せることができた。
大相撲名古屋場所の十両は、三役経験者の竜電が24日の千秋楽を待たずに2回目の優勝を果たしました。
名古屋場所の十両は22日の13日目を終えて高田川部屋の竜電がただ一人2敗でトップに立ち、4敗で宮城野部屋の北青鵬などが追う展開となっていました。
23日の14日目、竜電は中入り後の取組で幕内の妙義龍に寄り切りで勝ち、24日の千秋楽を待たずに、2回目の十両優勝を果たしました。
2022/07/23
照ノ富士が完勝。
立ち合いでややずれた若隆景が左でまわしを引いたが、構わず前に出て、力強く押し出した。
勝ち越しが懸かっていた関脇相手に気迫あふれる相撲。
土俵下の粂川審判長は「尻上がりに良くなっている」と評価。トップで並ぶ逸ノ城には5日目に敗れており、「もう落とせないという気持ちじゃないか」と横綱の胸中を推察した。
13日目、大関貴景勝は大関正代を力強く押し出して3敗を死守。
取組後は「集中してやりました。体の状態? あまりいいとか悪いとか考えない。どちらにしろやらないといけない」と淡々と語った。
優勝争いトップの横綱照ノ富士、幕内逸ノ城を1差で追走。
逆転Vをあきらめていない大関は「毎日負けたくないんで、あんまり今日どうとかない」としつつ「明日も準備して一生懸命頑張ります」と気合が入っている。
13日目、前日に勝ち越しを決めてかど番脱出した大関正代は同じ大関の貴景勝に押し出しで敗れ、6日目から続いていた連勝が「7」で止まった。
立ち合いから右を差しにいったが、仕留めきれなかった。
「流れとして悪くなかったけど、土俵際で攻めきれなかったですね」と反省点を並べた。
新型コロナウイルスの影響で途中休場する力士が相次ぐ今場所。
この日は幕内の取組が、5番連続で不戦勝が起きる異例の事態もあった。
「取る時間帯はあまり変わらなかったのでいつも通りアップはできましたけど」と振り返る正代だが、「出番が来るのは早く感じました」と普段と異なる雰囲気を感じていた。
前日に勝ち越しを決めてかど番脱出を果たしたが、ここで終わるつもりはない。
いつも以上に体調管理を徹底しながら「あと2番あるので、しっかり最後まで相撲を取り切りたい」と抱負を述べた。
13日目、逸ノ城は不戦勝で11勝目を挙げ、照ノ富士とともに変わらず首位。
朝稽古後に対戦相手の錦木の休場を知ったといい「しっかり残りを頑張りたい」と勝負の2日間を見据えた。
支度部屋では「ちょっとゆっくりした感じ」と、軽めのウオーミングアップにとどめたという。
初優勝が視界に入る最終盤。
空白が一日できたことによる影響は「ちょっと分からない」と言う。
29歳の実力者は「一日一番、自分の相撲を取り切りたい」と変わらぬ姿勢を口にした。
大横綱大鵬の孫、王鵬が幕内3場所目で初めて勝ち越した。
5日連続となった照強の足取り狙いも想定内。
潜ってきた相手に覆いかぶさるようにして上手をつかみ、出し投げで土俵にはわせた。
これまで幕内では終盤戦に黒星が重なっていたが、今場所は「集中力が続いている」と順調。
場所前の出稽古の成果が出ているといい、「体の使い方がだいぶ良くなってきた」と手応えを口にした。
13日目、翔猿の休場により、錦富士が26歳の誕生日に不戦勝で9勝目を挙げた。
9日目の一山本戦に続き、昨年9月場所の高安以来となる1場所で2つの不戦勝獲得。
取組がないことは早くに分かっていたが、この日の朝はいつも通り汗を流したという錦富士。
「毎日、しっかり準備してることが健康面とかいろんなことにつながってよかった」。
26歳での抱負を「けがなく飛躍の年にしたい」と語った。
大相撲名古屋場所は、十三日目の二十二日、芝田山、片男波、伊勢ノ海、追手風の四部屋で新型コロナウイルスの陽性者が出たため、所属力士らが休場した。
今場所の十両以上の休場者は、けがによる二力士を含めて二十一人と戦後最多となり、この日の幕内取組十八番のうち七番が不戦と異例の事態となった。
この日は、自身の感染が判明した東前頭五枚目で追手風部屋の遠藤や、八勝四敗と好調だった西前頭八枚目の錦木らが休場。
錦木の対戦相手で優勝争いトップの逸ノ城は不戦勝となった。
新型コロナ関連で力士らの途中休場は七日連続で十一部屋目。
場所前に全休が決まった田子ノ浦部屋を合わせると全四十三部屋のうち計十二部屋となった。
休場者数は全力士の三割に近い百七十二人で、幕内では全四十二人のうちけが人一人を含めて十四人。
日本相撲協会 休場ページはこちら。
https://www.sumo.or.jp/ResultData/absence/
新型コロナウイルス感染対策のガイドライン違反で6場所の出場停止処分を受け、西三段目22枚目で復帰した元大関・朝乃山が7戦全勝で三段目優勝を果たした。
「素直にうれしい。自分の相撲を取り切ることだけを考えて土俵に上がった。今まで応援してくれた方々に、自分の不祥事で申し訳ないという気持ちがあったが、少しでも恩返しができたかなと思う」と語った。
2022/07/22
照ノ富士は2連敗中だった大栄翔を問題にしなかった。
圧力に苦しめられていたが、この日は突っ張りをあてがいながら前進。
反撃の隙を与えずに押し出した。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長は「立ち合いで踏み込んでいた。受けていなかった」と評した。
貴景勝が錦木を圧倒した。
右の喉輪で起こすと、反撃を許さずに押し出し、「あまり覚えていないが、集中してやった」。
淡々と振り返った。
11日目の翔猿に続いて好調な平幕力士を下した。
この日は内容も良く、「しっかり準備して頑張る」。
自身が1差で追う照ノ富士と逸ノ城との優勝争いを見据えた。
12日目、やや遅れ気味の、上体が起きた立ち合い。
序盤の正代なら、この後なすすべなく負けていたかもしれない。
今は違う。
「よく足が出てくれたと思います」。
どんどん前へと踏み出し、突いてくる碧山が逆に下がる。
巨体にぶつかっていき、最後は倒れ込みながらも押し出した。
7連勝で勝ち越し。
初日から3連敗したが、暗雲を吹き飛ばし、かど番脱出を決めた。
「すごくホッとしています」。
春場所では初日から4連敗という絶体絶命の状況から奇跡のかど番脱出。
これは現行のかど番制度ができた1969年7月場所以降では初だったが、今回も驚異の反発力を見せた。
逸ノ城は動きのいい翔猿を冷静に退けた。
どっしりと構え、相手を正面に置いては圧力をかけ続け、土俵の外に追いやった。
白星を1年ぶりに2桁に乗せ、照ノ富士とともにトップを守ったまま残り3日間へ。
八角理事長は「落ち着いている。平常心で力を出せれば」と、初優勝への条件を挙げた。
12日目の21日、新型コロナウイルス感染拡大で休場者が続出した影響で、幕下と三段目の取組で両力士とも不戦敗となる異例の事態が起こった。
いずれも佐渡ケ嶽部屋と浅香山部屋の力士の対戦が組まれていた。
20日に佐渡ケ嶽、玉ノ井両部屋の全力士の途中休場が決まり、21日には浅香山部屋での陽性者判明も発表された。
相次ぐ不戦に館内がざわつく場面もあった。
2022/07/21
11日目、豊昇龍の目まぐるしい攻めを残した照ノ富士が2敗をキープした。
横につかれた豊昇龍にすそ払い、ちょんがけで揺さぶられ、下手出し投げには土俵の真ん中でクルクルと振り回された。
それをしのぐと右から絞り上げ、力ずくで寄り切った。
八角理事長は「よく考えてから左上手を取っている」と豊昇龍の動きをほめたが、「照ノ富士も落ち着いていた」と横綱の安定感を評価していた。
貴景勝はうるさい翔猿を問題にしなかった。
張り手も交えて懐に入れさせず、相手が体勢を崩したところをはたき込んだ。
「あまり覚えていない」と振り返ったが、冷静な取り口だった。
5月の夏場所は千秋楽で辛くも勝ち越した。
今場所は賜杯争いに1差で食らい付き、八角理事長は「千秋楽までついていくことが条件だが、久しぶりにチャンスなんじゃないか」と期待。
本人は「一生懸命やり切るだけ。また集中したい」と気を引き締めた。
正代が遠藤を退け、かど番脱出に王手をかけた。
引いて土俵際まで後退したが、左を差して耐え、右をねじ込みながら反撃。
最後は巻き替えに乗じて寄り切り、「何とか残して攻め返せた。反応は良かったと思う」と一息ついた。
序盤戦で4敗して大関陥落が危ぶまれたが、6日目から白星を六つ並べ、「まさかここまで来られるとは思っていなかった。早い段階で勝ち越せたらいい」。
日に日に表情が和らいできた。
11日目、西前頭2枚目の逸ノ城が、小結阿炎を送り出しで破り9勝目を挙げた。
突き押しが得意の阿炎の攻めにも動じず左で振っていなし、後ろに回って押し出した。
「自分の相撲ではなかったですけど、タイミング良くいけた」と2敗を守り、横綱照ノ富士と共に優勝争いを引っ張る。
12日目は幕内の翔猿と対戦する。
終盤戦に向けて負けられない戦いが続く中、「しっかり頑張りたいです」と気持ちを込めた。
11日目、張ってこようが、鋭い立ち合いはにぶらない。
錦富士は当たってから突いていき、千代大龍の上体を起こして2本差し込んだ。
両下手ともしっかりと引く。
そして181センチ、190キロの相手を力強く寄り切った。
「部屋でも横綱や宝富士関、熱海富士がいる。もろ差しになってすぐ動いて、自分の形でできた」と話したように、大きくて腰の重い関取相手と常日ごろ稽古している成果が出た。
183センチ、149キロと体格では見劣りしても、力では決して引けを取らなかった。
新入幕ながら11日目で勝ち越しを決めた。
トップの照ノ富士、逸ノ城を1差で追う。
照ノ富士からは「決定戦をしよう」とハッパを掛けられているそうだ。
その言葉通り、同部屋の優勝決定戦を実現できれば、1997年11月場所の貴ノ浪、貴乃花以来25年ぶり、6度目(ともえ戦、トーナメント戦除く)となる。
「横綱は全部勝つと思います。自分は1日1番でいいかなと。ここから調子の良い力士と当たる。頑張ってやっていきたい」
6日目から横綱土俵入りの露払いを務めている。
横綱を先導する役目だが、相撲では横綱の背を必死に追っている。
目の前の一番にとにかく全力を注ぐ。
幕尻から無欲で残り4日間に挑む。
大相撲名古屋場所で、新型コロナウイルス感染に伴う力士の休場が急増し、11日目の20日は全体の約2割の取組が「不戦」になる異例の事態が生じた。
力士らのコロナ感染が判明するのは5日連続となった。
この日は大所帯の佐渡ケ嶽、玉ノ井の両部屋で力士のコロナ陽性が明らかになった。
感染拡大を防ぐため、優勝争いをしていた平幕の琴ノ若を含む全力士(計49人)が休場。
この影響で全体で143番の取組のうち十両以上の5番を含む25番が不戦になった。
八角理事長は「大変だ。でも、残った人で頑張るしかない。苦しいですね」と苦境にあえぐ胸中を吐露。
感染対策を徹底しているだけに「本当に基本的なことをやるしかない。15日間取らせてあげたかった。お客さんにも申し訳ない」とやりきれない思いを口にした。
2022/07/20
横綱照ノ富士は7年ぶりの横綱戦となった佐田の海を寄せ付けなかった。
左上手を取ってあっさりと捕まえ、胸を合わせて前に出て寄り切った。
三役以上では唯一の2敗を守って、3人の平幕力士とトップで並走。
11日目からは2場所連続優勝に向けて役力士との連戦に臨む。
大関貴景勝が大栄翔に完勝。
得意の突き押しで前進すると、最後はいなしに乗じて送り出した。
場所前の稽古で手合わせをした相手に隙を与えなかった。
勝ち越しに王手をかけ、トップ4人を1差で追う。
8日目の遠藤戦後には、左肩辺りを痛がるしぐさを見せていたが心配なさそう。
「きょうは集中してやった」と、手応えを口にした。
この勢いを止めるつもりはない。
10日目、大関正代が幕内宇良を寄り倒して6勝目。
立ち合いで低く当たった相手を起こし、そのまま攻め込んで土俵下に落とした。
「仕切り線から離れていたので何かされるんじゃないかと。(立ち合いで)迷いそうになったけど、一歩踏み込んでがっちりかまそうと考えました」。
業師≠ェ相手だっただけにいろんなことが頭に浮かんだようだが、大関の体が反応した。
苦戦が続いた序盤戦から一転して5連勝。
「調子が上がってきているので、ますます初日からの連敗がもったいないと考えてしまう」と率直な心境を明かした。
カド番脱出が見えてきた正代は「この調子で一番一番大事とっていけたら」ときっぱり。
勝ち越しだけでなく、大関としての意地を見せるつもりだ。
10日目、5勝4敗の若隆景は遠藤との対戦。
2桁勝利へこれ以上負けられない若隆景。
19日は、過去1年間で3勝0敗と得意にしている前頭五枚目の遠藤と対戦。
立ち会いから5秒互いにまわしを取ると、一時膠着状態に。
体を入れ替えた若隆景の出し投げはかわされるが、そのまま押し出して6勝目。
二けた勝利へ希望をつないだ若隆景、20日は碧山と対戦する。
若隆景の兄の若元春は、隠岐の海を寄り切って5勝目、星を五分に戻した。
20日は北勝富士と対戦する。
10日目、西前頭2枚目の逸ノ城が、東前頭3枚目の玉鷲との一番を制し8勝目を挙げた。
土俵際まで追い込み、最後は自分の体を預けるようにして寄り倒した。
初日から6連勝で一時独走態勢に入るかと見えたが、7、8日目と連敗。
そこから2連勝と持ち直してきた。
「本当に体は悪くない。前に出れている」と終始納得のいく相撲ができている。
終盤戦に向けて「後のことを考えず目の前のことだけ考える。一番、一番集中していけば星は付いてくる」と突き進む。
10日目、西前頭6枚目翔猿が、東前頭10枚目千代大龍を押し出しで下し8勝目を挙げた。
途中、相手にまげ付近をつかまれて激しく振られる厳しい攻めにも耐え、「(相撲を)取っているときは分からなかったです。しっかり前に出られて良かったです」と喜ぶ快勝だった。
3月の春場所以来の勝ち越しを早々と決め、自身の幕内最高成績の20年秋場所(11勝4敗)を上回る可能性もある。
優勝争いに絡んでの終盤戦へ「ここから一番、一番積み重ねていけるよう頑張ります」と気合を入れた。
10日目、西前頭8枚目の錦木が「勝ち越し第1号」となった。
千代翔馬の動きを見極め、引いてきたところを一気に押し出した。
10日目の勝ち越しは自己最速。
06年春場所初土俵の同期で引退した元小結松鳳山の思いも背負う土俵で、伏兵に浮上してきた。
横綱照ノ富士、平幕で逸ノ城、翔猿が2敗を守り、勝ち越しを決めた。
17年目のベテランが初体験の優勝争いにちむどんどん(沖縄の方言でワクワクする気持ち)してきた。
錦木はくせ者千代翔馬の動きを見極めて押し出し。
10日目の勝ち越しは10勝をあげた18年夏場所の11日目を超える自己最速。
「こんなに早い勝ち越しは初めて。うれしいですね」と喜んだ。
19日、武蔵川部屋の力士が新型コロナウイルスの陽性判定を受けたため、師匠の武蔵川親方や所属力士らが同日から休場すると発表した。
所属力士や関係者の感染に伴い、力士らが途中休場するケースは4日連続で4部屋目。
また呼び出し次郎(春日野部屋)も感染が判明し、同日から休場した。
結びの取組は克之が務めた。
2022/07/19
万事休すの土俵際から形勢逆転。
照ノ富士は相撲巧者の遠藤を最後は力でねじ伏せた。
立ち合いの低い遠藤に懐へ入られた。
相手の右腕を抱えようとしたところを突かれて俵に足がかかったが、残して振り回すように体を入れ替え、力強く押し出した。
土俵下で見届けた師匠の伊勢ケ浜審判長は「2本差されたが、腰が割れていて、慌てないで良かった」と冷静な取り口を評価した。
貴景勝が初顔合わせとなった若元春の挑戦を退けた。
立ち合いで相手の上体を起こし、すかさず左からの強烈な突き落とし。
3敗に踏みとどまり「集中していく。勝ちたい」と表情を引き締めた。
この日、師匠の常盤山親方の兄弟子で、元横綱2代目若乃花の死去が発表された。
先人から伝統を受け継ぐ思いを聞かれ「一生懸命やるべきことをやっていく」と応じた。
大関かど番の正代が4連勝でついに白星先行。
小結阿炎の強烈な突きに耐え、逆転の突き落としを決めた。
勝ち星が挙がらずに苦しんだ序盤、取組前に偶然すれ違った間垣親方から「汗をかいて、(体を)温めてから行け」と声を掛けられた。
その後は軽めのスクワットをしてから土俵へ。
体の動きが良くなったことが勝ちにつながってきており、「押し込まれる相撲もあるが、そこをなくしていけば結果もついてくる」と正代。
金言も力にして巻き返しを誓う。
琴ノ若が相撲巧者の若隆景に快勝した。
右四つに組むと、圧力をかけて前へ。
右からの投げで崩した後、体を預けながら寄り切り、「じっくり攻めながら形をつくって出られた」と自賛した。
照ノ富士らと2敗でトップに並び、勝ち越しにも王手。
「どんな形であれ、攻める相撲の流れで取らないと墓穴を掘る。できるだけいい内容を心掛けている」。
しっかりと足元を見詰めた。
9日目、翔猿が志摩ノ海との我慢比べを制して2敗を守った。
過去2勝5敗と合口の悪い相手と激しい攻防の末、最後は蹴返しからのはたき込み。
「引かずに我慢して前に出ることができた。いつも相手の形になってしまう。苦手だったんでよかったです」。
優勝争いにはクールで「これからも頑張っていくだけ」と話した。
18日、放駒親方が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
同親方が師匠を務める放駒部屋所属の幕内・一山本、十両・島津海ら力士6人は名古屋場所9日目から休場となった。
一山本は8日目まで6勝2敗で優勝争いのトップに並んでいた。
9日目、対戦相手の一山本が休場のため、不戦勝で7勝目を挙げた。
勝ち越しまであと1勝。
新入幕での勝ち越しに注目。
大相撲の第56代横綱2代目若乃花の下山勝則(しもやま・かつのり)さんが16日午後6時47分、肺がんのため大阪市内の病院で死去した。
日本相撲協会が18日に発表した。
69歳だった。
青森・大鰐町出身。
現役時代は優勝4度で、引退後は年寄「間垣」を襲名して間垣部屋を興した。
横綱照ノ富士の入門当時の師匠だった。
日本相撲協会は18日、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大相撲名古屋場所10日目の19日から来場者の座席での飲食を禁止すると発表した。
飲食は相撲協会が指定する館外の場所などに限定。
座席では水分補給のみ認める。
2022/07/18
8日目、結びの照ノ富士―若元春戦は、行司がかけた「まわし待った」で止まらない異例の一番となった。
約2分の攻防の末、左四つで組んでこう着するうちに若元春のまわしが緩んだ。
行司の式守伊之助の「待った」で照ノ富士が力を抜いたが、微妙なタイミングでかかったこともあってか、「全然分からなかった」という若元春は勝負を続け、横綱を寄り切る格好に。
館内は騒然となった。
土俵上では佐渡ケ嶽審判長らが対応を協議。
その間に若元春はまわしを締め直した。
前代未聞の中断を経て、同審判長が確認しながら、「待った」の直前の体勢に戻して再開。
照ノ富士の下手投げで決着した。
若元春は「頭の中が真っ白で、あまり覚えていない」。
八角理事長は「若元春は自分で勝機を逃した。最初からきっちりまわしを締めないといけない」と苦言を呈した。
8日目、かど番の大関正代が、寄り切りで幕内の玉鷲を下した。
立ち合いで鋭く当たられて土俵際まで追い込まれたが、簡単には割らない。
しぶとく耐えて反撃に転じると、もろ差しから相手を力強く攻めたてた。
「押し込まれるところがありましたが、最後までなんとか残りきれた」と自らの頑張りをたたえた。
これで3連勝で星を五分に戻した。
白星が付いてくると、言葉にも表情にも余裕が生まれる。
「序盤の相撲に比べて良くなっている」「もっともっと良い方向にいったらいいなと思います」と前向きな姿が目立った。
初日から3連敗でスタートした当時はなかった傾向だ。
かど番脱出するために勝負の後半戦へ「きょうは上体が起きちゃったんで、立ち合いをもうちょっと鋭くしたい。さらに角度をつける。そういう相撲が取りたいです」と力強く意気込みを語った。
8日目、東前頭2枚目琴ノ若が、西前頭2枚目逸ノ城を寄り切りで下して、単独トップから引きずり降ろした。
右四つから巻き替えて右上手を取り、振って体勢を崩して寄り切った。
「止まると苦しくなるので止まらずに攻められた。先に先に動いて相撲が取れた」と狙い通りの一番だった。
2敗を守り、優勝争いでトップタイに並んだ。
8日目を終えての2敗は自身を含んで7人と混戦模様の名古屋場所。
初優勝へ力が入る残り7日間となるが「なるようにしかならない。まずは自分の相撲に集中したい」と目の前の一番に集中する。
中日、前頭六枚目・翔猿が、前頭九枚目・琴恵光を蹴返しで下した一番で、勝負が決まった瞬間、解説を務めていた元横綱・若乃花の花田虎上氏が「巧い!」と絶賛した。
立ち合い正面からぶつかっていった両者だったが、翔猿は相手と組むと隙を見たのか、右足で対戦力士の右足を内側から払う蹴返しを決めた。
その瞬間、花田氏は「巧い!」と一言。
それから「ちょっと琴恵光は見過ぎてしまいましたかね。上半身でどういう動きをしているのかを見過ぎて、足の動きがわからなかったのではないでしょうか」と敗因を分析していた。
8日目、新入幕の東前頭17枚目錦富士が、西前頭13枚目千代翔馬を寄り切りで破って2敗を守った。
立ち合い変化で右に跳んだ千代翔馬だったが「頭にはあった」と想定済みの錦富士。
しっかりついていき、右上手を取って動きを止めた。
土俵際での出し投げ気味の上手投げは不発となったが、体を入れ替えて寄った。
「割と思った通りだった。ここまではいいと思う」と8日目を終えての6勝2敗に手応えを感じた。
新入幕ながらに2敗を守り、優勝争いに絡んでいる。
だが「意識は全く。横綱がいるので」と同じく2敗で兄弟子の横綱照ノ富士をたてた。
この日に3敗に後退したが、7日目を終えた時点では同期の翠富士も2敗で並走。
照ノ富士から「一緒に頑張ろうなと言って頂きました」と激励を受けたといい、結果で応えた。
8日目、新十両欧勝馬の新型コロナウイルス陽性が判明した。
今場所中の関取の陽性判明は、前日の大関御嶽海に続いて2人目。
名古屋場所担当部長の出羽海親方も感染し、17日に休場が発表された。
感染拡大に、八角理事長は「(対策を)しっかりやっていくしかない」。
これまでも力士たちは取組後のうがいや手洗いを徹底するなど、予防に努めてきた。
理事長は「本当に頑張っている。勝負以外にいろいろ気を使うところもあるから」と話した。
プロ野球やJリーグでは中止に追い込まれる試合も出ている。
大相撲でも陽性による休場者がこれ以上増えれば、難しい判断を迫られるかもしれない。
2022/07/17
真っすぐ当たってきた相手を抱え込んで土俵の外へ。
八角理事長は「何とか振りほどいて、という宇良の意図は見えたが、抜けなかった」。
横綱の冷静な取り口を評価した。
黒星発進から徐々に調子を上げてきている様子。
土俵下の粂川審判長は「連敗もないし、ここまで悪くない」とみた。
所属する出羽海部屋で感染者が出たことが判明し名古屋場所の7日目から休場した大関・御嶽海が新型コロナウイルスに感染したことが分かった。
休場が決まった出羽海部屋の力士ら協会員は16日、PCR検査を実施。
相撲協会によると御嶽海が陽性反応を示したという。
場所中のコロナ感染による途中休場は初で、御嶽海は2勝5敗8休で名古屋場所を終える。
場所前にコロナ関連で全休となったケースでは翌場所の番付は据え置き、もしくは1枚降下等の措置が取られたが、伊勢ケ浜審判部長は27日の秋場所番付編成会議で協議する方針を示した。
7日目、かど番の大関正代が逸ノ城の全勝を止めた。
過去4勝12敗と苦手にしていた相手。
気迫にあふれた立ち合いで、逸ノ城が得意の右差しを許さず、左からいなし、下からの攻めで最後は押し出した。
今場所初の連勝で3勝4敗とした。
全勝力士はいなくなったが、1敗も逸ノ城だけで単独トップは守った。
大関貴景勝は阿炎の意表を突く変化気味の立ち合いからの上手投げに屈し、3敗目を喫した。
横綱照ノ富士は業師の宇良をきめ出し、逸ノ城に1差となる2敗を守った。
7日目、阿炎が上手投げで貴景勝を破り、3敗をキープした。
立ち合いで貴景勝がスッと沈み込んだ動きに反応。
「かなり深く沈んだので、手が抜けてすぐ分かった。体がとっさに動きました」と左へ回り込みながら、まわしをつかんで豪快に投げた。
これで貴景勝には4連勝で、通算でも5勝2敗。
「ちゃんと集中して取れてるんだろうと。一番一番、しっかり集中して取りたい」と話した。
幕内・隆の勝が7日目を休場した。
6日目の琴ノ若戦で敗れた一番で右肩を痛めたという。
師匠の常盤山親方は「差して出ていって投げられた時に痛めたようだ。再出場は分からない」と説明した。
隆の勝の休場は2度に及んだ十両時代の19年初場所以来3度目。
この日の対戦相手、若隆景は不戦勝となった。
7日目、琴ノ若が玉鷲の突きに屈して土俵際に追い込まれたが、とっさに体を開いて突き落とした。
軍配は玉鷲に上がるも物言い。
協議の結果、先に玉鷲が落ちたとして、行司軍配差し違えで5勝目を挙げた。
右足1本で徳俵に残っており「感覚はあった」と自信があった。
ただ「前に出る相撲で勝負を決めないといけない」と反省した。
7日目、ともに近大中退で2016年秋場所初土俵の錦富士と翠富士が5勝目。
照ノ富士の横綱土俵入りで露払いと太刀持ちを務める伊勢ケ浜部屋の25歳コンビが好調だ。
新入幕の錦富士は豊山に快勝。
青森・三本木農高時代には稽古をつけてもらったといい「その頃はレベルが全然違った。初めて対戦できて良かった」と喜んだ。
翠富士は左に動いて立ち「上手を取りにいったら相手が滑った。ラッキー」と妙義龍を素早く突き落とした。
幕内5場所目で「錦富士に負けないようにという気持ちが強い。いまは互角なのでバチバチです」と笑った。
6場所の出場停止処分が明け、三段目で今場所から復帰した元大関の朝乃山が4番相撲でも勝利し、4戦全勝で勝ち越した。
幕下経験もある和歌桜に当たって押し込み、回り込むいとまも与えず突き出した。
力量差は歴然で、勝負あった後は和歌桜へ右手をさしのべる余裕もあった。
取組後は取材対応しなかった。
2022/07/16
7日目、大関御嶽海が、名古屋場所7日目の16日から休場することになった。
御嶽海の休場は小結だった19年初場所以来で3度目。
7日目の対戦相手、豊昇龍は不戦勝となる。
愛知・犬山市に宿舎を構える、所属する出羽海部屋から新型コロナウイルスの感染者が出たためで、御嶽海自身には感染はないという。
また、宿舎が別の出羽海親方(元前頭小城ノ花)と呼び出しは出場する。
今場所、かど番で迎えた御嶽海は6日目を終え2勝4敗。
ケガや病気など通常の休場なら7日目以降、黒星扱いとなり、御嶽海も負け越しとなり大関陥落となる。
ただ、20年3月のコロナ拡大以降、場所前に陽性判定や部屋で感染者が出てた場合、全休となっていたが、番付は基本的に据え置きとなっていた。
ここまで場所途中での、コロナによる関取の休場は初めてのケースとなるため、来場所の番付の扱いについては、番付編成を担う日本相撲協会審判部が協議する。
その対応が注目される。
2022/07/16
6日目、横綱・照ノ富士は、東前頭3枚目・玉鷲を突き落としで下し、4勝目を挙げた。
玉鷲にはこれまで3場所連続で金星を配給。
負ければ昭和以降初となる同一横綱から4場所連続金星の快挙を玉鷲に許すことになったが、完勝で阻止した。
それでも横綱は、この日の報道陣のリモート取材には応じなかった。
玉鷲との立ち合いは突き放されるも、動じずに前へ。相手の右の突きをかわすと、そのまま突き落としが決まった。
幕内後半戦を土俵下で見守った師匠の伊勢ケ浜審判部長は「落ち着いて相撲を取っていた。相手に持っていかれることもなかったですし、よかったんじゃないですか」と、弟子を評価した。
6日目を終えて単独全勝は平幕・逸ノ城、単独1敗は翔猿、2敗で照ノ富士ら10人が続く。
先場所に引き続き、大混戦の名古屋で横綱が連覇を狙う。
6日目、不振の正代がようやく本来の相撲を取り、2勝目を挙げた。
踏み込みが鋭く、大栄翔の突き、押しにも動じない。
左をのぞかせ、目の覚めるような出足で押し出し。
昨年九州場所から4連敗していた苦手を退け「立ち合いの勢いがよく伝わった。勢いのままいった」と満足そうだった。
4度目のかど番を迎えた今場所は苦しい土俵が続く。
1勝4敗の序盤戦から流れを好転させられるか。
7日目は全勝の逸ノ城戦。
「今日みたいに攻める相撲が出てくれば内容は変わる。このままいい方向にいったらいい」と意気込んだ。
6日目、横綱照ノ富士は玉鷲を落ち着いて退け、連敗を免れて4勝目を挙げた。
玉鷲の4場所連続金星獲得はならず。
かど番の2大関は、正代が大栄翔を圧倒して2勝4敗としたが、御嶽海はただ一人土つかずの逸ノ城に寄り切られて4敗目。
貴景勝は宇良を寄せ付けず4勝とした。
ともに上を目指す同世代の熱戦に館内が沸いた。
若隆景が霧馬山に動き勝って星を五分に。
2連敗スタートから、本来の相撲を取り戻してきたようだ。
場所前に稽古場で番数を重ねた相手に、「しっかり自分の相撲を取ろうと思った」。
突っ張られて土俵際まで後退したが、右上手を引いて反撃開始。
いったん離れておっつける。
右を差す。
低い体勢で頭をつけて我慢。
左もこじ入れて一気に寄り倒した。
本人は状態が上向いていることを自覚しており、「しっかり自分の相撲を」と繰り返す。
三役以上は2敗が最高という荒れる場所。
「一日一番、一生懸命」を貫けば、再び旋風も起こせる。
6日目、琴ノ若が上手投げで隆の勝を破り2敗を守った。
隆の勝の動きを止め、最後の詰めも慌てることなく、ぬかりなく決めてみせた。
「土俵の円の感覚をつかみながら相撲を取れているかなと思います」と土俵の勘もさえている。
「やることは変わらないので、しっかり出し切ってつながっていければ」と一日一日を大事にしながら千秋楽を目指す。
6日目、翔猿が錦木を下手投げで倒した。
小兵の平幕力士が躍動感あふれる相撲で、土俵を盛り上げている。
翔猿が錦木との1敗同士の対決を制した。
6日目、新入幕の東前頭17枚目錦富士が、待望の横綱土俵入りでの露払いを務めた。
この日、兄弟子の横綱照ノ富士の横綱土俵入りで露払いデビュー。
「感慨深いものがあった。初めて(横綱土俵入りを)間近で見てうれしかった」と目を輝かせた。
実は場所前から、6日目に露払いを務めることを照ノ富士から言われていたという。
幕尻のため今場所は初口(幕内最初の取組)が多くなると予想されていた。
初口だと横綱土俵入り後すぐの取組となる。
準備が慌ただしくなる上に、新入幕として普段以上に緊張するのではないかと照ノ富士に気遣われていた。
そのため中盤戦の6日目にとお願いされたものだった。
結果的にこの日は初口となったが横綱土俵入りから力をもらい、西前頭17枚目千代丸を寄り切りで破って4勝目を挙げた。
露払いの所作については「YouTubeを見たり、(兄弟子の)宝富士関や照強関から聞きました」という。
コツについては「リズムを崩さず、横綱に合わせるようにすることです」と明かした。
十両の炎鵬が大技で館内を沸かせた。
左を深く差して右で小股すくいのような動きから頭で持ち上げ、豪快に天空海を背中から落とした。
自身より60キロ以上重い体を宙に浮かせた100キロの小兵は「たまたまですね。あまり覚えてないです」と振り返った。
昨年春場所も同じような体勢になり、炎鵬が「つり落とし」を決めていた。
持ち上げ方も倒れ方もほぼ同じだったが今回の決まり手は「寄り倒し」だった。
2022/07/15
5日目、関脇大栄翔が、小結阿炎を突き出しで下して3勝目を挙げた。
「きょうは前に圧力をしっかり掛けられたし、立ち合いもしっかりいけたので良かった。同じ突き押し同士を相手に良い形でいけたのは、流れがきていると思う」と納得の内容で前半戦を締めた。
初日、2日目と黒星が続いたが、これで3連勝。
場所中の朝稽古で立ち合いや足の運びを入念に見直し、結果につなげている。
「気持ちの面で良くなっている。明日からも集中して1日一番と思ってしっかりいきます」。
大関取りの足固めを目指す今場所。白星先行で中盤戦に向かう。
5日目、結びの一番で、平幕の逸ノ城が横綱照ノ富士を、もろ差しのガップリ四つから力でねじ伏せるように寄り切って、5連勝で単独トップに立った。
同時に9個目の金星で歴代10位に名を連ねた。
立ち合いの一瞬で左前まわしを引くと、前に出ながらの出し投げ、さらに頭をつけもろ差しの体勢に。
苦し紛れに、両腕をきめる照ノ富士だったが、何せ200キロの巨漢だけに効かない。
そのまま巨体を寄せ、横綱を寄り切った。
宇良が初めて大関・御嶽海を破った。
見ながらじっくり前に出てくる相手の右腕を抱え「思い切っていけた」と鮮やかなとったりで転がした。
同学年の両者は大学3年時に全国大会の決勝で対戦したこともあるが「稽古とかも含めて一度も勝ったことはなかった」という。
アマチュア時代から実績が上で、プロ入り後の出世も常に先を行く同期に初勝利。
「少しだけ成長できたかな」と控えめに喜んだ。
5日目、持てる力を思い切りぶつけた。
初の大関挑戦。
「負けて当然なんで気楽でした」。
若元春は鋭い立ち合いから左を差し、前に出た。
正代のすくい投げをこらえると同時に右上手を引く。
再び前に出て、すくい投げに耐えながら寄り切った。
込み上げてくるものをこらえるかのような表情。
「泣いてないです。ニヤニヤしてたと思うんですけど」と言ったが、勝利をかみしめていたのは間違いない。
自己最高位の東前頭4枚目。
上位陣総当たりとなる今場所で壁を一つ乗り越えた。
2022/07/14
4日目、照ノ富士が伸び盛りの琴ノ若をとったりで退け、2日目から3連勝。
差してきた相手に落ち着いて対処し、タイミング良く抱えた右腕を振り、土俵にはわせた。
「じっくりと見ていこうと思った。(内容は)悪くないと思う。引き続いて頑張っていきたいと思う」。
八角理事長は「横綱の思い切りが良かった。反応が速い」と照ノ富士の相撲勘を評価した。
4日目、かど番の大関御嶽海が、霧馬山を下して2勝目を挙げた。
立ち合いから突っ込んでくる相手を冷静に見てかわし、土俵中央で突き落としを決めた。
「自分より下に入られたんで、体が勝手に反応した」と振り返り、これで星を五分に戻した。
5月の夏場所で右肩を負傷。
名古屋場所開幕直前の取材でも相撲は取らずに調整してきたことを明かし、「ぶっつけ(本番)。『大丈夫です』としか言いようがない。相撲は取れるよ、という感じ」。
迎えた今場所4日目を終えて2勝2敗。
大関として黒星先行だけは避けたかったのか、この日の取組はがっちりと体を合わせない相撲内容。
右肩の不安を抱えながらの相撲に、幕内後半戦の粂川審判長は「しょうがないというか、星が欲しいという気持ちも分からなくもない」と思いやった。
4日目、かど番の大関正代がようやく初日を出した。
小結の豊昇龍と対戦。
左を差し込みながら攻めきれず、土俵際まで追い込まれたが、必死の相撲で最後ははたき込んだ。
ぶさいくでもいい。
大関正代がなりふりかまわぬ相撲で豊昇龍をはたき込み、ようやく初日を出した。
「落ち着いていけるように相手を見ていきました」という言葉が弱気だ。
立ち合いで左を差し込みながら攻め込めず、土俵際に追い詰められるピンチを脱して最後は何とか白星をつかんだ。
「たぐられたりしてバタついてしまった。そこは改善しないと」と言った。
4日目、コロナ休場明けの不安はどこにもない。
逸ノ城が得意の左上手をつかむと、211キロの巨体を生かして前へ。
貴景勝をグイグイと寄り切り、2019年春場所以来の初日から4連勝を決めた。
「前に出る相撲。それしかないんで。相手より先に先に前に出る相撲を目指して」
逸ノ城がまげをつかんだのではないかと物言いがついた。
昨年の九州場所では貴景勝戦でまげをつかんで反則負け。
「もしかしたら、九州みたいに反則負けになるんじゃないかと心配しました」と判定を待ったが、軍配は変わらず。
「よかったと思います」と胸をなで下ろした。
八角理事長は「どっしりしていますね。今場所、逸ノ城が活躍できるんじゃないですか」。
5日目の照ノ富士戦で、それが試される。
4日目、2日目で勝ちっ放しが消えるなど安定しない上位陣に比べ4連勝と好調だ。
31歳の錦木は3連勝同士の碧山を押し出した。
2006年春場所初土俵の同期生で仲の良かった元小結松鳳山が6月に引退。
「おまえは頑張れよ」と明るく声をかけられたといい「このまま白星先行でいければ」と闘志をかき立てた。
4日目、2日目で勝ちっ放しが消えるなど安定しない上位陣に比べ4連勝と好調だ。
28歳の一山本は初日から5連勝の先場所に続く4連勝をマーク。
琴勝峰をはたき込む内容に「当たれているが、あと1、2歩押し込めていれば、もっといい相撲だった」と向上心をのぞかせた。
2022/07/13
照ノ富士が、先場所で金星を与えた隆の勝を下して2連勝。
すぐには組み止めることができなかったものの、左上手を引くと横綱の流れ。
投げの打ち合いで相手を土俵にたたき付けた。
優勝した先場所も初日を落としており、黒星発進にも焦りはないだろう。
八角理事長は「(照ノ富士にとって)ようやく普通の場所に戻ってきた」と気持ちを代弁した。
3日目、貴景勝が、大関の意地を見せた。
初日から2日連続大関撃破で勢いに乗る平幕の琴ノ若を、押し出しで下して2勝目。
強烈な張り手をかますなど、埼玉栄高の先輩としての意地も見せる相撲内容だった。
阿炎はもろ手突きから御嶽海を攻め立てて快勝した。
2日目に宇良の立ち合いの動きに対応できずに敗れたことを反省。
「視野を広く、いろいろな想定を自分の中でしていた」と冷静だった。
初日の横綱照ノ富士に続いて大関からも白星。
上々の滑り出しにも、「その辺は考えずに次の相撲に集中したい」と、淡々と言った。
逸ノ城が場所前まで2勝6敗だった豊昇龍を得意の左四つから寄り切って3連勝。
左から張っていった立ち合いに、「相手を捕まえて自分の体勢をつくりたかった」と苦手克服への闘志を見せた。
新型コロナウイルス感染による全休明けだが、「まあ、自分の相撲が取れている」。
きょう4日目の貴景勝戦で、14勝した19年春場所以来の初日から4連勝を目指す。
3日目、重心の低い遠藤がたまらず浮き上がった。
玉鷲のすさまじい押し。
2日目にして三役以上の全勝が消えた場所を、関取最年長の37歳が3連勝で引っ張っている。
「よかったですね。ほんとに。自分の技で勝てて。自分の相撲を取ってよかった」。
持ち味を存分に発揮でき、屈託のない笑みを浮かべた。
幕下以下の2人、3人を同時に相手にするなど稽古への工夫もさることながら、衰え知らずの秘密は食欲にもある。
名古屋場所では暑さのため食欲が減退し、体重を減らしてしまう力士が多い中で、玉鷲は「自分の体、ちょっと前とは違う…」と切り出した。
「多分、太り過ぎ。もうちょっと食事を減らして…」。
ばつが悪そうに続けた。
東京では「幼稚園に迎えに行ったりいろいろ用事があるから」とパパとしても走り回っているが、地方場所に来ると相撲の基本である稽古と食事に集中。
「5キロぐらい増えたんじゃないですかね。180キロ超えてます。食べるのが好きなんで。何でもおいしそうに食べちゃうっすね。一番悪いクセです」と恥じらいながらも正直に打ち明けた。
3日目、東前頭6枚目の碧山が初日から3連勝と好調だ。
今場所は初日から午前6時半には稽古場に下り、約2時間しっかりと汗を流しているという。
ブルガリア出身で36歳のベテランは「若い衆と一緒に準備運動して、30番くらい胸を出す。さらに2人のぶつかり稽古に胸を出した後、私も最後にぶつかる」と涼しい表情で話した。
3日目にして全勝が平幕5人と波乱含みの展開。
先場所は初日から6連勝するなど10勝を挙げた碧山は「上半身に力が入り過ぎているので、肩の力が抜ければ大丈夫だ」と自信をのぞかせた。
2022/07/12
2日目、横綱照ノ富士が、東前頭筆頭の霧馬山との熱戦を制して初日を出した。
立ち合いから頭をつけて低く攻め込まれ苦戦を強いられたものの、そこは横綱。
じっくりと好機をうかがい、最後は深く左を差して一気に寄り切った。
取組後の取材には応じなかった。
なんとしても連敗を避けたい中で対戦相手の霧馬山には過去7戦無敗と合口が良かった。
苦戦を強いられ1分以上に及ぶ熱戦となったが、白星をつかんだ。
これで星を五分に戻した。
幕内後半の審判長を務めた佐渡ケ嶽審判部長は「うまく相撲を取っているように見えた」と評し、同じ轍(てつ)は踏まないとばかりに、一人横綱が盤石の戦いぶりを見せたと評価した。
2日目、大関貴景勝が、小結豊昇龍を小手投げで下し、初日を出した。
激しく動き回る相手を冷静に見ながら、豊昇龍が足を滑らせてバランスを崩したところを逃さなかった。
この日、3大関で唯一の白星も、取組後のオンライン取材には応じず。
佐渡ケ嶽審判長は「先に攻めていたのがいい結果になった」と相撲内容を分析した。
隆の勝が大関正代に5連勝。
右喉輪で上体を起こし、一気に土俵の外へ運んだ。
「うまく喉輪が入ってくれたので、その後の流れも良かった。止まらずに前に出られた」と自賛した。
先場所は千秋楽まで優勝争いを演じ、自信になった。
今場所は黒星発進だったが、「きょうみたいな相撲が取れれば、白星を重ねられると思う」ときっぱり。
八角理事長も「大関とやっている感じではない。地力がついたのかもしれない」と評価した。
伸び盛りの琴ノ若が暑い名古屋で躍動した。
正代に続き、御嶽海も倒して連日の大関撃破。
24歳が充実の姿を見せている。
相手の当たりに後退はしたものの、持ち前の上体の柔らかさも生かし、右を差して抵抗。
大関の巻き替えに乗じて体を入れ替え、素早く土俵の外に運んだ。
土俵下の審判長は父で師匠の佐渡ケ嶽親方が務めており、その前での勝ち名乗り。
「我慢して引かず、形をつくってから攻めることができた」と本人が納得の表情を浮かべれば、師匠も「どっしり構えている」と評価した。
先場所も初日から大関を3人続けて破り、格上相手にも気負いはない。
きっかけは幕内上位の壁にはね返された昨年9月の秋場所。
「そこで見詰め直したのがよかった。少しずつ通用するようになってきたのかな」と今では自信も垣間見える。
3日目は貴景勝戦が組まれた。
大関陣のふがいなさも目立つ中、「相手が誰というのは関係なく、自分の相撲を取る」。
白星をこつこつ積み重ねられれば、新三役も見えてくる。
5場所ぶりの勝ち越しを目指す豊山が、白星を二つ並べた。
土俵際で阿武咲をはたき込み、「苦手な相手に連勝できた」とえびす顔。
初日も幕内で過去2戦2敗だった王鵬を破っただけに、好調ぶりを実感できているようだ。
6場所の出場停止処分が明け、三段目から出直した元大関の朝乃山は学生時代からしのぎを削り、出世では先を越された相手。
「彼が番付を駆け上がったとき、彼のおかげで気持ちを切らさずに頑張れた。今度は逆の立場になれればいい」。
温かくエールを送った。
西前頭16枚目の大奄美が、大相撲名古屋場所2日目の11日から左足首の関節靱帯(じんたい)損傷のため休場した。
約1週間の安静を要する見込み。
2日目の対戦相手、千代丸は不戦勝となった。
2022/07/11
10日、横綱に昇進し、1年がたとうとしている。
「名古屋での優勝はないので、『今年こそ』という気持ちがある」と照ノ富士。
真夏の名古屋に懸ける思いは人一倍強いが、土俵際で思わぬ逆転を許し、2場所連続で初日から土がついた。
立ち合いで阿炎の突き押しを受け止め、頭をつけるように前へ出た。
しかし、あと一押しが足りずにいなされ、土俵下に落ちた。
粂川審判長は「慌てて出たところを阿炎がうまく回り込んだ。もう少し左前みつをしっかり取っていれば良かった」と指摘した。
10日、御嶽海は、西前頭筆頭・隆の勝を押し出しで破った。
今場所負け越せば大関陥落となる「かど番」脱出へ、前に出る相撲で白星スタートを切った。
過去6勝6敗の難敵相手に一歩も引かず、初めて大関で迎えた地元・信州から近い”準ご当所”場所を沸かせた。
立ち合い喉輪で突き起こされるのは、寄り切りに屈して完敗した先場所と同じだったが、今場所の御嶽海は下半身の前傾姿勢が崩れない。
左のおっつけを効かせながらしっかりと踏み込み、たまらず引いた相手にも反応し、慌てることなく足を運んで押し出した。
初日、2場所連続優勝を狙う横綱照ノ富士を小結阿炎が送り出しで破った。
新型コロナウイルスの感染拡大以来、初めて観客数を制限せずに開催された今場所。
初日に来場した6300人超を最も沸かしたのは阿炎だった。
結びの照ノ富士戦。
立ち合い、もろ手で突いていったが、全く押し込めない。
逆に横綱が前に出てくると、こらえきれず一気に土俵際に追い込まれてしまう。
この窮地で出たのが、阿炎らしいがむしゃらで素早い身のこなしだ。
右に回り込みながら相手の左腕を引っ掛けるように体を入れ替えることに成功。
送り出して殊勲の白星をもぎ取った。
「よく覚えていない。必死に体を動かしたら勝てた」。
客席から紫色の座布団がいくつか舞うのを横目に、37本の懸賞の束を受け取った。
まさに場所前、「技術面、力では圧倒的に横綱が強い。攻略法も何もない。全力で何かした時、チャンスが転がってくると思う。諦めず、最後まで力を出し切ること」と語っていた通りの相撲である。
初日の3日前に、痛風のような痛みが出た左足首は「万全な調子にまとめているので大丈夫」だという。
精力的だった場所前の出稽古の成果が、初日に早くも表れた。
霧馬山が貴景勝に快勝。
「(相手は)大関だし、ちゃんと相撲を取ろうと思った」。
真っ向勝負でつかんだ白星の味をかみしめた。
鋭い踏み込みで相手の出足を止めた。
激しい攻防の中、大関がよく繰り出す左からの攻めにも崩れない。
すかさず中に入り、一気に勝負を決めた。
出稽古が期間限定で解禁された6月には貴景勝を追って追手風部屋に出向き、2人で土俵を占拠するかのように番数を重ねた。
胸を借りて得た感覚が、この日の一番に生きているのだろう。
八角理事長も、「一発では押されない、というぐらいの気持ちが出てきている」と、霧馬山からにじみ出る自信を感じ取った。
幕内上位で2場所続けて2桁白星。
番付運に恵まれずに三役復帰こそ果たせていないものの、地力は確実に増している。
「負けても勝っても、自分の相撲を取ることをしっかり考えている」と無心を強調する霧馬山。
今場所、上位陣を大いにかき回しそうな雰囲気が漂っている。
10日、琴ノ若が過去3戦負けなしの大関正代を押し出しで破った。
立ち合いから圧力に屈することなく、下からの攻めを貫き勝機をつかんだ。
「部屋に稽古相手が豊富にいるので、やることをやってきた」と成長ぶりを実感したが、喜びに浸らない。
「場所が終わったわけではないので」と気を引き締めた。
初日、遠藤が若元春を一気に突き出した。
迷いのない突き押しは若元春も想定外だったようで、まわしを取らせるとやっかいな相手をうまく退けた。
取り組み後はリモート取材に応じ「また明日から頑張ります。自分らしい相撲を取れるように頑張ります」と話した。
先場所は7勝8敗で負け越したが、今場所は幸先の良いスタートを切った。
2022/07/10
御嶽海は新たな化粧まわしを着け、かど番脱出に向けて勢いをつける。
松本市在住の漫画家、高橋ヒロシさんの作品「WORST」の登場人物を中心に、全勝を意味する15個の白星と「信州」の文字が描かれたデザインだ。
9日、愛知県東海市の錣山部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、初日の照ノ富士戦に向け「相手は横綱。攻略法もくそもないと思っている。とにかく思い切りぶつかっていくことが勝ちにつながる」と気合十分だった。
幕下以下の力士を相手に差し手を許すなど不得手の形も確認。
「思った通りに体が動いたので、良かった。すごく手応えのある稽古だった」と充実感を漂わせた。
数日前に痛風の症状が出たという左足首にテーピングを巻いたが「大丈夫そう」ときっぱり。
関脇の先場所は7勝8敗と負け越しただけに「がっかりさせないように自分の相撲を取れたらいい」と意気込んだ。
9日、ドルフィンズアリーナの正面ロビーでは、色とりどりの短冊がつるされたササが飾られ、ファンを出迎えてくれる。
七夕企画の『関取衆の願い事』が3年ぶりに復活。
横綱照ノ富士ら関取衆や、昨年名古屋場所を最後に現役を引退した元横綱白鵬の間垣親方らも直筆で願い事を書いている。
4度目のかど番を迎える正代が願うのは、そのまま「角番脱出」。
初のかど番に臨む御嶽海の方は「4回目の優勝」と大関としての初優勝を目指す。
ロシアとウクライナの戦闘が続いている。
そんな中でジョージア出身の栃ノ心は「世界平和」と漢字で書き記した。
天空海は「甘い物をたらふく食べたい?」。
一山本はズバリ「八山本」。
しこ名をもじって勝ち越しを目標に書いた。
9日に会場で土俵祭りが行われ、日本相撲協会の八角理事長や、名古屋場所担当部長の出羽海親方(元幕内小城ノ花)らが15日間の安全を祈願した。
出羽海親方は「照ノ富士が横綱となって初めて名古屋に来る。
照ノ富士が引っ張る形になるが、幕内上位の若手も元気のある力士が多い。
どれだけ向かっていけるか」と、横綱中心の優勝争いに期待を寄せた。
2場所連続優勝を目指す照ノ富士を含め力士は昨年に続いて参加しなかった。
本場所では新型コロナウイルス感染拡大前の2020年1月の初場所以来、2年半ぶりに観客数の制限がない通常開催となる。
出羽海親方は「力士は熱い相撲を取ってくれると思うので、感染対策をしっかり取った上で、ぜひ多くのお客さんに来場してほしい」と呼び掛けた。
名古屋場所はコロナ禍により20年は会場を東京に移し、昨年は観客数の上限を収容人数の約半数としていた。
2022/07/09
初のかど番で大関3場所目を迎える西の御嶽海は、勝ち越してかど番を脱出できるかが注目される。
先場所で痛めた右肩の回復は進んでいるものの、実戦的な稽古はできておらず、「ぶっつけ本番。初日、2日目を取ってみないと正直分からない」と不安も抱える。
伊勢ケ浜審判部長は8日、大相撲名古屋場所の取組編成会議後に報道陣の電話取材に応じ、関脇若隆景について「いい内容で優勝したら、可能性はあるかもしれない」と場所後の大関昇進へ含みを持たせた。
若隆景は新関脇の春場所を12勝3敗で初優勝し、先場所は9勝を挙げた。
今場所で12勝すれば、昇進の目安となる直前3場所合計33勝に到達する。
先場所は8日目までに5敗。伊勢ケ浜部長は「むらのある相撲では駄目だ」と安定感を求めた。
御嶽海と正代がかど番で臨むなど精彩を欠く大関陣には「あまり期待していない」と厳しい口調。
「大関を維持するのがやっとという感じの相撲。しっかりと自分の相撲を見つめ直して、横綱を目指して頑張るということが必要ではないか」と指摘した。
8日、愛知県尾張旭市での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、意気込みを語った。
先場所は肋骨(ろっこつ)を骨折したため無念の途中休場。
骨が2本折れたという。
せき、くしゃみはもちろん、寝返りもつらく、なんと1週間ほど座ったまま寝ていたというから驚きだ。
この日は幕下以下の力士と25番取り22勝3敗。
「しっかり相撲を取れる状態に仕上げた。あとは思い切ってやるだけ」と話した。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は8日、名古屋場所の懸賞申し込みが約1500本だったと発表した。
昨年の同場所は1088本で、芝田山部長は「通常開催並みに戻ってきた」と述べた。
2022/07/08
元大関が本場所の土俵に戻ってくる。
日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所の出場停止処分が明けた朝乃山が、名古屋場所で三段目から出直し。
しこ名の下を本名の「朝乃山広暉(ひろき)」に改めて心機一転、臨む。
6月11日の朝稽古後、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は「1年は長いが我慢して、本当に我慢、我慢しか言っていない」。
弟子の思いを代弁するように、これまでの日々を振り返った。
プロ野球の読売巨人軍や日本相撲協会など、東京を本拠地とする14のスポーツチームや団体が競技の壁を越えて連携し、スポーツの発展や共同プロモーションに取り組むプロジェクト「TOKYO UNITE」が発足し、7日、東京都内で報道発表会が行われた。
同日、東京ドーム(東京都文京区)で行われた巨人―東京ヤクルトスワローズ戦前にもプロジェクトが紹介され、大相撲の間垣親方(元横綱白鵬)、巨人の岡本和真選手ら14人が始球式に登場した。
2022/07/07
6日、埼玉県草加市の追手風部屋で稽古を行い電話取材に応じた。
夏場所は小結で11勝を挙げた大栄翔にとって、名古屋場所は大関取りへの足固め。
ただ、本人は「もちろんやっぱり上を目指してやっているんで、本当に上がりたい気持ちはあるんですけど、まだ1場所2桁勝っただけなんで」とコメント。
「早まって考えないで、いつも通りの場所にしようと考えてます」と平常心で臨む構えを強調した。
小学生の時から好きだという格闘技からも刺激を受けた。
「直接、見には行けなかったんですけど、配信とかそういうやつは全部見ました」。
中でも、ボクシングの井上尚弥(29)=大橋=が3団体統一を果たした試合を見て「日本中のみんなが期待していて、いろんなプレッシャーあると思うんですけど、そういう中で100%のパフォーマンスができるというのは精神力もそうですけど、すごいことだと思った。自分も頑張ろうと思った」と話していた。
6日、電話取材に応じた。
この日の稽古では幕下以下と約15番取るなどして調整。
3日夕方に名古屋入りしてから連日、相撲を取る稽古を続けており「いつも通り」と、状態の良さをうかがわせた。
6月は2年3カ月ぶりに解禁された出稽古をフル活用。
荒汐部屋、追手風部屋にみっちり出向き、若隆景、若元春、大栄翔らと肌を合わせた。
「いろんな関取とやって、その人に合わせて。押し相撲、突っ張り相撲とかの稽古をしていた」と対応を磨いた。
2場所連続で10勝の要因を「負けても勝っても自分の相撲をとることをしっかり考えているので、それが一番良いかなと」と分析。
場所と場所の間は、週3回のジム通いで筋力アップを図っているといい「まわしを取る力が出るように、自分でまだ足りない筋肉とかをしっかり考えてやっている」と説明した。
2022/07/06
5日、東京・墨田区の片男波部屋で稽古を行い、電話取材に応じた。
注目は昭和以降では初となる同一横綱からの4場所連続金星獲得。
5月の夏場所では右おっつけ、左のど輪から一気に照ノ富士を押し出し、大豪以来、57年ぶりの同一横綱から3場所連続金星という記録を作った。
「もちろん楽しみにしていますんで、それは。それはやっぱり負けないように頑張っていきたいですね」と断言。
今場所前から解禁された出稽古には「疲れるかなと思って」と行かず、先場所前と同様に幕下以下の力士2、3人を同時に相手にする工夫した稽古をこなしてきた。
部屋は玉鷲のほかに幕下1人、序二段2人しかいないが、序二段の力士を横や背後から仕切らせることで、番付の差があっても危機的状況を生み出すことができるという。
師匠の片男波親方は「それをどう回避するか。結構しんどいからいい稽古になると思います」と話し、玉鷲も「足腰、年を取ると弱くなるんで。2人やったら鍛えてくれるっすね」と効果を口にした。
松鳳山が引退し、今場所から関取最年長。
初土俵から休むことなく史上4位の通算1436回連続出場を誇る鉄人は、暑い名古屋でも衰え知らずの姿を披露する。
5日、名古屋場所を前に電話取材に応じ、2場所連続の勝ち越しへ強い思いを見せた。
5月の夏場所は終盤に左足首負傷で休場しただけに、西前頭三枚目として臨む今場所は「15日間、相撲を取り切れるようにしたい」と誓った。
6月末に名古屋入り。
今場所では上位陣との対戦が控える中、「技術、圧力しかり、単純に自分の力が足りない」と厳しい自己評価。
立ち合いから圧力をかけて相手を押し込むことが理想だといい、思い描いた相撲に近づくため厳しい暑さにも負けず相撲を取る稽古も続ける。
6月22日で30歳を迎えた。
体の変化を感じる年頃だが、本人は「けがが重なってきて思うようにいかないこともありますが、年のせいではない。けがなければもっと稽古ができる」と自信をのぞかせる。
地道な食トレで体重も増えつつあり「体重が増えた体をまだ使いこなせていない。そこは自分の伸びしろ」と前向きにとらえる。
上位陣に圧力負けすることなく、自分の相撲を取り切る。
日本郵便信越支社(長野市)は7日、長野県木曽郡上松町出身の大相撲・御嶽海関のフレーム切手を発売する。
大関昇進の祝意を込めて例年とは趣向を変え、切手シートとオリジナル手拭いをセットにした。
1シートに84円切手5枚を掲載している。
日本相撲協会の提供を受け、優勝を飾り大関昇進を果たした今年の初場所での写真を使った。
切手の下部には大関昇進時の口上のキーワード「感謝」「持ち味」などを添えた。
手拭いは紫色を基調に、しこ名を題材に図案化した。
浮世絵「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をほうふつとさせるような、勢いよく波立つ海と、遠くに御嶽山がそびえる様を描いた。
白字で「大関 御嶽海」と大きく書き、地元の相撲関係者のアイデアで大関昇進時の口上全文も載せた。
限定2500シート(県内郵便局分1700シート・オンライン分800シート)を用意し、税込み2500円で販売する(オンラインは15日から)。
上松町の上松郵便局の担当者は「御嶽海関を応援する方に例年以上に喜んでもらいたい」と話していた。
2022/07/05
名古屋場所をかど番で迎える大関の正代が4日、愛知県犬山市での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、「守りに入らないように、思い切りやりたい」と決意を述べた。
2日に愛知県へと移動。
この日はジメジメとした暑さの中だったが、入念に四股を踏み、チューブを使ったトレーニング。
そして幕内の豊山などと相撲を9番取り、8勝1敗だった。
「前に出るのを意識して、あまり引き込まないように」との言葉通り、積極的に前へ圧力をかけるシーンが目立った。
2場所連続で初日から大きくつまずいている(春場所4連敗、夏場所3連敗)。
「後半までに(かど番脱出を)持ち込まないようにしたい。前半で貯金をしてっていう感じで」。
暑さで後半は体力の消耗が激しくなる。
思い切った攻めの姿勢で前半から白星を重ね、勢いに乗って優勝争いに加わりたい。
4日、幕内志摩ノ海の本名が浜口航洋から福薗航洋に変更になったことを発表した。
志摩ノ海は6月18日に福薗清香さんと入籍。
同19日に都内で挙式披露宴を行っていた。
清香さんは故先代井筒親方の福薗好昭氏(元関脇逆鉾)の長女。
先代井筒親方は2019年9月に58歳で死去した。
同親方が師匠を務めていた井筒部屋は閉鎖され、横綱鶴竜(現親方)ら所属力士は陸奥部屋へ転籍。
年寄名跡「井筒」は現在、元関脇豊ノ島が襲名している。
青森県十和田市は4日、同市出身の錦富士=本名・小笠原隆聖、伊勢ケ浜部屋=の大相撲名古屋場所での新入幕を祝い、市役所別館東側に懸垂幕を設置した。
24日まで掲出する。
懸垂幕の大きさは縦12メートル、幅1メートル。
5月から市役所本館に設置している十両優勝を祝う横断幕にデザインを合わせた。
設置を見守った小山田久市長は「十和田市から初の幕内力士。市民と一緒に応援したい。これからの道は大変だと思うが、勝ち越しを目指して取り組んでほしい」と活躍に期待した。
2022/07/04
2日、電話取材に応じ、名古屋場所に向けて順調な仕上がりを語った。
同部屋所属の関取衆を除き既に名古屋入りしているという中、この日は同じ幕内の若元春や十両の荒篤山と申し合い稽古を行って汗を流した。
「(仕上がりは)普段通り。稽古はできているので、悪くはないですね」と話した。
3場所続けて関脇として臨むことについて「先場所と番付は変わりないので、しっかり準備して、また気を引き締めて稽古していきたいと思います」。
大勝ちすれば大関昇進の可能性も出てくるが、本人は「一生懸命にやるだけです」と淡々とした口調で語った。
常日頃から意識する下からの攻めを武器に、「気を引き締めてやっていきたい」と誓った。
このところ世間を悩ませる厳しい暑さには「対策も何も暑すぎです」と驚きを隠せない様子。
こまめな水分補給や体温管理を欠かさず、地方場所には必ず持っていくというマットレスでしっかり睡眠を取って暑さを乗り切りたい。
名古屋場所について「もちろん良い場所にしたいと思いますし、ただ、そのためには15日間精いっぱい相撲を取ることが大事なので、そこに集中してやっていきたいと思います」と抱負を述べた。
立浪部屋が名古屋市南区での稽古を公開し、東小結の豊昇龍はぶつかり稽古で胸を出すシーンも見られたが、ほとんど土俵周りでのトレーニングに終始した。
1日に名古屋入りしたばかりとあって、まだ体を慣らしている段階。
しかも2日は右足首から甲の辺りにテーピングを施し、足袋を履いていた。
報道陣の電話取材では出稽古で痛めたことを明かし、「大丈夫」と口にしたが無理はしなかったようだ。
「とにかくこの三役の地位を守っていきたい」と意気込みを語った。
2日、電話取材に応じ、名古屋場所での上位陣との対戦に胸を高鳴らせた。
「上位の方、役力士と当たるんで、変わらず挑戦です。もちろん緊張はするんですけど、楽しみの方が勝ちますね」と心待ちにしていた。
新入幕以降3場所連続で9勝6敗という成績を残し、順調に番付を上げてきた。
前頭4枚目という自身最高位で臨む今場所。横綱照ノ富士戦ら格上力士たちとの対戦が想定される中で「頑張んなきゃいけないなと思います。1場所、1場所が大切ではあるんですけど、ここでどういう成績を残すかが大事」と気を引き締める。
開催期間中の息抜きには好きなプロレスを挙げ、新日本プロレスの最強決定リーグ戦「G1クライマックス32」が場所中に開幕することについて、「めっちゃ楽しみですね。場所中も僕リアルタイムで観るので」と声を弾ませた。
優勝候補には元IWGP・USヘビー級王者SANADAの名を出し、「そろそろ来てもいい」と熱烈なファンの目線でエールを送った。
若元春は「プロレス見ているときは自分がお相撲さんということを完全に忘れているので(笑)。本当に1番切り替えられるスポーツ。どんだけ負けが込んでへこんでいても、プロレスを見ていたら元気になれる」と熱弁。
SANADAの活躍に背中を押され、自身も夏の名古屋で健闘を誓う。
2日、新型コロナウイルスに感染した幕内高安ら田子ノ浦部屋所属の力士15人が大相撲名古屋場所を休場すると発表した。
6月28日に高安と同部屋所属の幕下以下の力士1人が感染。
同部屋では今後、定期的に検査を実施し、高安らは陰性となれば名古屋場所に出場することができるとされていたが、この日も幕下以下の1人の陽性が判明した。
そのため師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は名古屋入りが困難と判断。
力士全員の休場を申し入れ、協会側に了承された。
今年に入り、同部屋の力士による新型コロナ感染での休場は1月の初場所に続いて2度目となった。
2日、大相撲名古屋場所に向けて稽古を行い、報道陣の電話取材に応じた。
前日に東京から名古屋市南区の宿舎へ移動し、この日が現地で初めての稽古。
「初日に向けて良い感じで入れたら」と調整して仕上げていく。
6月6日〜22日の出稽古期間は伊勢ケ浜部屋と荒汐部屋に出向いた。
同じく出稽古に来ていた阿炎や北勝富士とも肌を合わせ「自分より番付上の人と稽古させてもらえてありがたい」と充実感。
「また上位でやりたいなって気持ちになった」と振り返った。
春場所で1勝14敗を経験するなど関脇から3場所連続で負け越し、夏場所で久しぶりに勝ち越した。
それでも手応えは特に感じず「足の運びとか動かし方とか、課題があるだけ伸びしろがあると思う」と前を向く。
前頭10枚目で臨む名古屋場所へ「これからまた番付を戻していければ、あの14敗を経験して良かったと思えるんじゃないですかね。
そう思えるように頑張りたい」。
初場所以来遠ざかっている三役の地位を見据え、復活を誓った。
3日、東京都江東区の伊勢ケ浜部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
古傷の左肘が痛む日もあるというが、この日は50番近く相撲を取り「番数も含め、やれることを全力でやれている」と充実の様子だった。
名古屋場所に向け、兄弟子の照ノ富士から横綱土俵入りを「一緒にやろう」と声をかけられたという。
最終決定でないものの「いつもお世話になっている横綱。機会があれば務めさせていただきたい」と実感を込めて話した。
2022/07/01
30日、北陣親方(40=元前頭翔天狼)が、この日付で年寄「錦島」に名跡を変更したと発表した。
「錦島」は元大関朝潮の長岡末弘氏が昨年6月に協会を退職し、空き名跡となっていた。
2022/06/29
28日、西前頭4枚目の高安と同部屋所属の幕下以下の力士1人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
芝田山広報部長によると、田子ノ浦部屋では今後定期的に検査を行い、その結果で名古屋場所の出場可否を判断するという。
相撲協会は名古屋場所へ向け、28日に協会員全員を対象にPCR検査を実施。
2人以外は全員陰性だった。
新入幕の錦富士は、伊勢ケ浜部屋でオンライン会見し、「ここで終わらず、もっと精進したい。スピードのある相撲を15日間取って、結果につなげたい」と意気込んだ。
青森・三本木農高から進んだ近大を中退し、2016年秋場所で初土俵。
入門から3年で東幕下3枚目まで番付を上げたが、そこから左肘のけがに苦しんだ。
負担を減らすため下半身や右腕の強化に励み、1年後に新十両昇進。
得意の左四つに、突きや押しも磨き、西十両6枚目で迎えた先場所は11勝4敗で優勝し、幕内の座をつかんだ。
同席した師匠の伊勢ケ浜親方は「やっと幕内で取れそうな体になってきた。勝ち越しを目指して頑張ってほしい」と同郷の弟子に期待を込めた。
28日、東京・両国国技館で師匠の放駒親方と並んで引退会見を行った。
会見後には相撲協会のサプライズで先代師匠の荒磯親方(元大関若島津)、みづえ夫人から花束が贈られた。
「自分は指導者には向いていない。根気強く人に教えるのはあんまり得意ではない」と親方として協会には残らず、自身が糖尿病で苦労した経験から、今後は「食事で苦労するアスリートは多い。そういう人のサポートができたら」と飲食関係の職を目指す。
夏場所は関取最年長だった。
悔いがあるとすれば「40歳まで関取」という目標が果たせなかったこと。
ただ、「14日目(千代の国戦)の相撲を取り終わったとき、すごいすっきりしたものがあった。やり切ったなと思って」とすがすがしい笑みを浮かべていた。
6場所出場停止処分を受けていた朝乃山が、いよいよ土俵に戻ってきます。
日本相撲協会の新型コロナ対策ガイドラインに違反し、6場所連続の出場停止処分を受けていた朝乃山。
27日、復帰場所となる七月場所の番付が発表され、朝乃山は「西の三段目22枚目」となりました。
2016年に角界入りした時の番付が「三段目付け出し」で、また一からの再出発となります。
また、今回の番付から、四股名が恩師の名前を取った朝乃山英樹から、本名の石橋広暉と同じ朝乃山広暉へと改名しました。
2022/06/23
大相撲の常盤山部屋が22日、名古屋場所へ向けた稽古を報道陣に公開した。
大関・貴景勝は四股や鉄砲などの基礎運動で汗を流した。
前日までは追手風部屋へ出稽古し、連日20番以上の番数をこなして「体の反応的に新鮮なものが得られた」と振り返った。
この日は相撲を取らず調整。
「まだ番付発表前なので、しっかり体を疲れさせてやっていきたい」と本場所へ向けて仕上げていく。
部屋頭として若手の育成にも力を入れている。
埼玉栄高の後輩で、まだ入門から半年の序二段・若ノ勝に熱血指導する姿が見られた。
「10代っていうのはかけがえのない時間で、全て吸収できるくらい良い期間」と重要性を説く。
大相撲名古屋場所を初のかど番で迎える大関御嶽海が22日、東京都墨田区の出羽海部屋での稽古後に取材に応じ、5月の夏場所で右肩を負傷していたことを明らかにした。
「ぶっつけ本番でもやらないといけない」と悲壮な覚悟を口にした。
右肩は初日の高安戦で勝った後、土俵下に落ちた際に痛めた。
場所中も気にするそぶりを見せており、昇進2場所目で6勝9敗と負け越し。
現在は四股などの基本運動中心で汗を流し、相撲を取る稽古の再開は不透明だという。
「焦りはないが、ちょっともやもやする」と率直に話す。
名古屋は4年前に初優勝した思い出の場所。
「間に合わせる。しっかり結果を残す」と気を引き締めた。
不安を抱えながら、先場所は皆勤。
「来たからには一目見たいという人もいる。そういう人たちを僕は大事にしたい。休場しなかったのが一番良かった」と大関の責任感もにじませた。
幕内の宇良が22日、所属する木瀬部屋の朝稽古に参加した。
関取衆の申し合いには加わらず、四股やすり足といった基礎運動で下半身の強化に励んだ。
5月の夏場所では前半戦から勝ち星を積み上げたが、14日目に左足首負傷で休場を余儀なくされた。
この日は30歳の誕生日。
節目の日を迎えたことに「大人になったなと思います」としみじみとした表情で語った。
名古屋場所に向けて「やれるところまでやる。最後まで頑張りたい」と意気込みを語った。
宇良は「30歳まで相撲を取れるとは思わなかった」とうれしそうに語った。
母校の関学大から初の角界入りを果たした15年春場所から順調に出世を重ねたが、17年秋場所を右膝の負傷で途中休場。
翌年秋場所で三段目で復帰するまで1年を要した。
さらに19年初場所でも同じ箇所を負傷して手術。
長期の休場を経て、19年九州場所は序二段106枚目で復帰。
力士にとっては致命傷となる膝のケガを乗り越え、昨年の名古屋場所で21場所ぶりに幕内に復帰した。
夏場所では、優勝の可能性も残していただけに悔しい結果となった。
本人は「何もないですね」と、既に気持ちを切り替えている。
30代での目標について「年を重ねても相撲を長く続けたい。やれるところまでやりたいですね」。
30歳となって迎える7月の名古屋場所へ気持ちを新たにしていた。
大相撲の幕内志摩ノ海が22日、都内での部屋で稽古を行った。
19日の挙式披露宴後初めての稽古では16番とって関取衆とは4勝1敗。
「稽古場なのでしっかり自分の得意な形とか展開をチェックしながら取っていた」と納得の表情を見せた。
元タカラジェンヌでもある清香夫人は、先代井筒親方の長女。
志摩ノ海は「すごく支えてもらっている。『相撲だけ頑張って』と常々言われて。『元気な相撲を取ってくれるだけでうれしい』と言ってくれる。
相撲だけに集中できる」と内助の功に感謝。
手料理も「本当に何でもおいしい。栄養とかも考えてくれる」と絶賛した。
夏場所は7勝8敗と負け越し。
新婚パワーも得て臨む名古屋場所へ向け「先場所負け越したし、大勝ちして借りを返したい」と燃えていた。
名古屋の夏の風物詩、大相撲名古屋場所。
22日、名古屋場所担当部長の出羽海親方ら5人が見守る中、「蒙御免(ごめんこうむる)」と書かれた、高さ約4メートルの「御免札」が、会場のドルフィンズアリーナの入口近くに立てられました。
「御免札」は江戸時代に相撲興行の許可を幕府から得た証として立てられた札に由来しています。
「(見どころは)横綱 照ノ富士が名古屋に横綱として初めて来るので、若手の三役力士たちが、どれだけ向かっていけるかというところです」
ことしの大相撲名古屋場所は入場制限はなく、7月10日に初日を迎えます。
日本相撲協会は22日、元小結松鳳山(38)=本名松谷裕也、福岡県出身、放駒部屋=の引退届を受理したと発表した。
東十両12枚目で迎えた5月の夏場所で3勝12敗と負け越し、7月の名古屋場所で2011年以来となる幕下への転落が確実になっていた。
現役の関取では最年長だった。28日に記者会見する。
駒大から元大関若嶋津が師匠を務めていた松ケ根部屋(現放駒部屋)に入門し、06年春場所で初土俵。
10年夏場所新十両、翌年九州場所で新入幕、13年初場所で新小結となった。
闘志あふれる突き押しなどで、日馬富士から3個、鶴竜から2個の金星を挙げた。
三賞は殊勲賞1回、敢闘賞3回。
2022/06/21
大関貴景勝が20日、出稽古で追手風部屋に赴き、申し合い稽古で小結大栄翔や、同じく出稽古に来ていた幕内霧馬山らと計30番取るなど精力的に汗を流した。
霧馬山に対しては3勝5敗と分が悪かったが、稽古後半では15番連続で土俵を独占し、十両の大奄美や剣翔といった大型力士を相手に立ち合いから一気に持っていく相撲を繰り返して体を追い込んだ。
16日から追手風部屋に通っているそうで、「せっかく出稽古に来られるようになったから積極的にやろうと。
(連日)20番、25番は必ず取っている」という。
名古屋場所の初日まで約3週間。
「今は一番疲れていい時期。勝ち負けではなくて、番数をこなして相撲にキレを出していく」と狙いを語った。
幕内志摩ノ海と先代井筒親方(元関脇逆鉾)の長女福薗清香さんの結婚披露宴が19日、東京都内で行われ、大関御嶽海をはじめとした角界関係者ら約560人が出席した。
2人は披露宴に先立ち記者会見し、志摩ノ海は清香さんの白無垢(むく)姿を見て「きれいで見とれてしまった」と白い歯を見せた。
「責任は重大。次は名古屋場所なので、良い成績を残せるよう稽古をしたい」と語った。
清香さんは、2019年に死去した父の誕生日に当たる18日に婚姻届を提出したことを明かし、「これも父が結んでくれた縁。天国で見守ってくれているのかなと思う」と喜びを語った。
清香さんは宝塚歌劇団の元俳優で「天咲千華(あまさき・ちはな)」として舞台に立った。
幕内・霧馬山が20日、追手風部屋に出向き、小結・大栄翔や同じく出稽古に訪れた大関・貴景勝らと計21番の申し合い稽古を行い、15勝6敗と好調ぶりを示した。
先週までは荒汐部屋に通い、この日から追手風部屋へ。
「久しぶりだし凄く楽しめた」と充実の表情を見せた。
最初に土俵に入ってから翔猿、遠藤、大栄翔を相手に9連勝。
その後は貴景勝と6番連続で取って4勝2敗と勝ち越し。
18番連続で土俵を独占した。
「疲れは全然ない。まだ若いので」と笑顔。
「暑すぎて2、3番取ったらバテちゃう」と苦笑いしていた剣翔は「霧馬山の強さとスタミナにはビビりました」と舌を巻いた。
連日の出稽古で名古屋場所へ向けて仕上がりは順調。
「もっとやりたかったな」とまだまだ意欲的で、残り2日となった出稽古期間も全力を出し切るつもりだ。
日本相撲協会は20日、国技館南門付近に「両国大相撲ビジョン」を設置すると発表した。
200インチ横2面の大型ビジョンでJR両国駅から視認できる位置正面に設置。
本場所中の取組速報に加え、通常時は現役人気力士の紹介、相撲協会秘蔵映像の常時公開など、相撲ファンの興味を満足させるさまざまなコンテンツを展開する。
また、墨田区情報などの告知や広告・プロモーション媒体としても街のにぎわいを創出。
地震・水害など非常時には、Lアラート情報を自動的に配信・提供する。
情報サービスは9月1日から開始される。
2022/06/14
関脇の若隆景が13日、気迫にあふれる朝稽古を行った。
関脇の阿炎、幕内の霧馬山と北勝富士が同部屋に出稽古で訪れ、「いろんな関取と稽古できたのはありがたかった」と喜んだ。
名古屋場所の成績次第で大関昇進の可能性を残す。
22日まで出稽古解禁期間を生かし、調整を重ねる。
関取衆の申し合いが始まると、ガラス張りの窓の外から見学したファンたちが釘づけになった。
関取だけに許される稽古用の白まわしを締めたのは実に6人(若隆景、若元春、荒篤山、阿炎、霧馬山、北勝富士)。
17番取った若隆景はいつものように「本当に下から(攻める)」という意識を持ちながら、阿炎や霧馬山と胸を合わせて9勝8敗だった。
関脇の地位で勝ち続ける重みを知るからこそ「しっかり地道にいくだけです」。
今後も他の部屋には行かず、出稽古に来た関取衆たちと汗を流す。
名古屋場所に向けて「初日からしっかりとしていきたいです」と誓っていた。
関脇・阿炎が13日、荒汐部屋に出稽古し、名古屋場所に向けて始動した。
夏場所は千秋楽で同じ関脇の若隆景に敗れて負け越し。
「凄く勉強になる場所だった」と振り返った。
この日は“因縁”の若隆景や霧馬山らと16番の申し合い稽古を行い、「体調を確かめるためにいろいろ試してやった。良い稽古になりました」と約2年ぶりの出稽古に充実感をにじませた。
2年3カ月ぶりの出稽古解禁から1週間がたった13日、東京・日本橋にある荒汐部屋に、関脇阿炎、平幕の霧馬山と北勝富士が参集。
荒汐部屋の関脇若隆景、その兄で平幕の若元春が迎え入れる形で稽古を行った。
部屋付きの鶴竜親方(元横綱)と足を運んだ霧馬山は、親方衆も集まる中での稽古に「久しぶりなんで…気合入ってました」と、つい力が入ったようで、5人の関取衆で最多の20番(12勝8敗)を取った。
特に若隆景とは「ちょっと気合が入っちゃいました。いい稽古になった。稽古場では激しくやって、稽古終わったらゴメンねって」と充実の内容を展開した。
大相撲の元十両彩(いろどり、30=錣山)が、5月の夏場所を最後に引退した。
最後の番付は西三段目18枚目で、5勝2敗だった。
昨年11月に母・純子さんを亡くしながらも奮闘してきたが、両膝のケガで十分な稽古ができず、引退を決断した。
「ケガをして、満足いく稽古ができず、十両に戻って幕内にもいくつもりでやりたかったのですが…。稽古ができずに中途半端にはしたくなかったんです」
中卒で錣山部屋に入門し、12年かけて27歳で新十両に昇進した。
18歳で幕下に上がるスピード出世だったが、そこから関取になるまで8年以上かかった苦労人でもある。
新弟子から兄弟子まで、分け隔てなく接する優しい性格。師匠の錣山親方(元関脇寺尾)も、部屋付きの立田川親方(元小結豊真将)も「錣山部屋のムードメーカー」と認める存在だった。
大相撲名古屋場所で三段目から復帰する見通しの元大関・朝乃山が11日、処分後では初めて報道陣の前で稽古を行った。
取材に応じた師匠・高砂親方は、「長かったけど、名古屋場所からの再出発。復活ということで頑張ってもらいたい」と、期待を寄せた。
朝乃山は昨年の夏場所中に、コロナの感染対策に伴う外出禁止期間に飲食店を訪れていたことが発覚。
ちょうど1年前のこの日、理事会で6場所出場停止などの処分が下された。
師匠によると、朝乃山は番付通りに雑用もこなし、幕下用の2〜3人部屋で生活をしているという。
この日の申し合い稽古では十両・朝乃若らと計24番。
弟弟子の朝乃若は「(復帰が)楽しみというか、応援しております。できれば幕内で一緒に相撲を取りたい」と、エールを送った。
2022/06/07
大相撲で各部屋間を行き来する出稽古が6日、解禁され、元大関の幕内高安は、埼玉県草加市の追手風部屋に出向いた。
関取衆と18番取って11勝7敗。
そのうち、小結大栄翔とは三番稽古など11番で6勝5敗だった。
出稽古はコロナ禍で20年春場所後から禁止に。
所属部屋の関取は自身のみの高安は、約2年3カ月ぶりの再開を「やっぱり関取衆との稽古はいいなと。心待ちにしていたし、本当に今日はウキウキしたような気持ちで稽古ができた」と喜んだ。
稽古後は、大栄翔に腰のストレッチを指南する場面も。
出稽古ならではのやりとりに「対戦相手ですけど、自分も成長できるので」とうなずいた。
教わった大栄翔も「すごい効きました。体のことをすごい勉強しているなと感心しました。あらためて出稽古というのは良いものだなと思う」と利点を実感した。
出稽古解禁期間は22日まで。
高安は「強い力士とやりたい。問題点をしっかり消化して、名古屋場所で結果を出すためにやりたい」と意欲満々だった。
早くも効果あり?
大相撲の出稽古が約2年3か月ぶりに解禁された。
小結大栄翔は、部屋の稽古に参加した幕内高安と11番取って5勝6敗。
「コロナ禍はずっと部屋の力士しかやってなかった。(出稽古は)新しい収穫だったり、自分の新しい弱点を発見できる。そういうプラスなところはたくさんある」と汗をぬぐいながら振り返った。
稽古後は2人でストレッチを行う場面も見受けられ、大栄翔は「高安関は昔腰を痛めていて、自分も今腰が痛いので教えていただいた」。
続けて「すごい効きました。体のことをすごい勉強しているなと。出稽古や巡業がないと、そういう会話もないので。改めて出稽古というのは良いものだなと思います」と感想を語った。
大相撲の幕内の翔猿は6日、約2年3カ月ぶりの出稽古再開に「やっとかなという感じです」と歓迎した。
解禁初日から元大関で幕内の高安が同部屋を来訪。
他の部屋の力士たちとの稽古は「やっぱり全然違いますね。ピリッと引き締まりますね」と独特の緊張感を感じ取っていた。
関取衆の申し合いでは高安や同じ部屋の小結大栄翔と6番取り、2勝4敗。
「上位でやるためには、上位の人たちと稽古した方がいいのかなと思います」と語り、出稽古の良さを実感していた。
夏場所は初日から4連勝と好調なスタートを切ったが、7日目から6連敗で7勝8敗に終わり「連敗している時は全然切り替えられなくて、きつかった」と明かす。
名古屋場所に向けて終盤戦まで衰えぬ体力アップを課題に挙げ、「とりあえず勝ち越し目指して頑張ります」と話していた。
観客数の制限を設けず三年ぶりの通常開催となる大相撲名古屋場所の先発事務所が六日、会場となる名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)に開設された。
名古屋場所担当部長の出羽海親方をはじめ、岩友、熊ケ谷、千賀ノ浦、待乳山の各親方が着任。
約一カ月後に幕開けする本場所に向け、準備へ動きだした。
昨年、二年ぶりに開催された名古屋場所は定員が約半数となる上限があったが、今場所は制限なしの七千四百四十八人の入場を見込む。
本場所の通常開催は二〇二〇年一月の初場所以来で、新型コロナウイルスの感染拡大後では初めて。
場所中は感染状況次第で会場内に飲食スペースが設けられ、座席での軽食も可能になる。
出羽海親方は「昨年の対策を継続しつつ、よりしっかり徹底したい」と説明し、「横綱が引っ張り、大関、三役陣が優勝争いを面白くしてほしい」と土俵の熱戦を求めた。
大相撲の元横綱・稀勢の里が師匠を務める二所ノ関部屋の部屋開きが5日、茨城県阿見町で行われた。
2021年8月に田子ノ浦部屋から独立後は筑波大の施設を利用していたが、新築された部屋に6月から移った。
二所ノ関親方は「ようやくスタートという感じ。自分の城ができ、稽古(けいこ)にも身が入る」と話した。
2022/05/23
千秋楽、3場所ぶり7度目の優勝を果たして大混戦の夏場所に幕を下ろした。
縛られていたものから解き放たれ、横綱照ノ富士の顔にようやく笑みがこぼれた。
国技館の観客が見守る土俵下で行われた恒例の優勝インタビュー。
「優勝の味は?」と質問されると「う〜ん、まあ、やっと終わったなという感じですね」と本音とともにほほ笑んだ。
8日目までに3敗を喫したばかりか、大関陣も三役陣も黒星を重ねた場所をリードしていったのは平幕の力士。
横綱としての責任が重くのしかかる中、「最後まで取り切る気持ちで」と周囲の状況には目もくれず、目の前の一番に集中。
11日目の阿炎戦で「立ち合いで久しぶりに当たった感覚がありました。そこからじゃないですかね」と終盤でついに本来の姿を取り戻した。
勝てば優勝という千秋楽の大一番も、「自信がないと土俵に上がるの失礼なんで。自信を持ってやってますんで」と右前まわしを引き、さらに頭をつける盤石の取り口で大関御嶽海を寄り切った。
貴景勝は物言いがついた一番で正代に勝ち、千秋楽で辛うじて給金を直した。
御嶽海と正代が既に負け越しており、現行のかど番制度となった1969年名古屋場所以降では初めてとなる3大関の「皆勤」負け越しという不名誉な記録が迫っていたが、「自分が弱いだけなので。あまり考えずに一生懸命やることだけ考えた」と淡々と振り返った。
大関の責任を果たせずに混戦を招いた今場所。
「苦しいことはないが、勝ってなんぼの世界なので、白星につなげられない歯がゆさはあった」と悔しがった。
先場所優勝の若隆景は9勝まで伸ばして場所を終えた。
前半は「思うような相撲が取れなかった」と黒星が先行したが持ち直し、千秋楽は阿炎との関脇対決に勝利。
「よく我慢できたと思う」と振り返った。
7月の名古屋場所の成績次第で大関昇進につながるかどうかについて、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は、「ちょっと難しい」との見解。
それでも若隆景は、「しっかり自分の相撲が取れるように頑張りたい」と冷静に足元を見つめていた。
千秋楽、大栄翔は志摩ノ海をはたき込み、4敗を守った。
優勝決定戦に備えて結びの一番を待ったが、照ノ富士が優勝を決めて終戦。
「決定戦になったら、気合を入れてやる気持ちで待っていた。ただ11番となるとひとつ変わってくると思っていたので、勝ててうれしい」。
幕内2度目の優勝はならなかったが、三役としては20年7月場所に並ぶ11勝目に力強くうなずいた。
今場所は初日に横綱を押し出しで破り、自身5度目の殊勲賞を手にした。
「自分の中で一番の相撲だったので、自信もついた。あの初日があったからこそ、この千秋楽を迎えられたと思う」と手応え。
2場所連続勝ち越しで、さらなる飛躍を期す来場所以降へ「もちろん、上を目指して日々、精進していきます」と力を込めた。
22日、「おにぎり君」の悲願は、あと1歩のところで届かなかった。
トレードマークの笑顔は消え、険しい表情が広がった。
隆の勝は「落ち着いて前にいきたかったけど、(得意の右を差せず)少し慌てた」と振り返った。
逆に佐田の海にもろ差しを許し、土俵際で鮮やかなすくい投げを決められた。
4敗に後退し「自分らしい相撲が取れなかったのが一番悔しい」と実力を発揮しきれなかった自分を責めた。
千葉県柏市出身。
同県出身者としては1991年名古屋場所で平幕優勝を飾った元関脇琴富士以来の賜杯獲得を目指した。
今場所では鋭い立ち合いから自慢の押し相撲を展開し、4日目から自己最長の9連勝。
12目目まで単独トップに立っていた。
終盤戦にかけて、初めて加わった優勝争いの重圧がのしかかった。
13日目以降は1勝2敗。
「後半戦は精神的に削られる相撲になった」と正直に明かし、「緊張している中でも自分の相撲を取りきる」ことを課題に挙げた。
それでも横綱・大関総なめ(同部屋の貴景勝は対戦なし)を達成するなど快進撃を続け、混戦の夏場所を大いに盛り上げた。
初の殊勲賞にも輝き「自信になる。部屋ではいつも大関(貴景勝)と稽古していますが、これまでの稽古は間違ってないと感じた」と力強く言った。
既に視界は2か月後の名古屋場所に向く。
心身をさらに磨きをかけ「名古屋場所でリベンジをしたい」。
今後こそ、とびきりの笑顔を待ちわびるファンに届ける。
千秋楽、西前頭6枚目の若元春が新入幕から3場所連続で9勝という好成績で場所を終えた。
師匠の荒汐親方によると、13日目に女児が誕生したという。
千秋楽は琴ノ若に寄り切られ、初の2桁勝利は逃したが「手応え自体は感じてないんですけど、自分の相撲は取れてるのかなと。左おっつけて差すという」。
来場所は上位との対戦が予想されるが、「そういう人たちと取れるのは光栄なことなので楽しみです」と話していた。
佐田の海は粘り強さを発揮し、トップに並んでいた隆の勝を破って締めくくった。
優勝の可能性を残して千秋楽を迎え、荒れ模様の今場所で存在感を示した35歳。
幕内で自己最多の11勝を挙げ、「あまり注目されたことがなかったのでありがたい」と照れ笑いした。
新入幕だった2014年夏場所以来となる2度目の敢闘賞を獲得した。
47場所ぶりの三賞受賞は、大関経験者だった出島と並んで4番目に長いブランク。
「相撲が充実し、内容も良いことが白星につながった点を評価してもらえた」と喜んだ。
十両は、錦富士が優勝決定戦を制して、初めての十両優勝を果たしました。
夏場所の十両は21日の14日目まで4敗で3人が並んでいました。
22日の千秋楽で、追手風部屋の大奄美と、伊勢ヶ濱部屋の錦富士の2人が勝って優勝決定戦が行われ、錦富士が大奄美に勝って、初めての十両優勝を果たしました。
錦富士は青森県十和田市出身の25歳。
平成28年の秋場所で初土俵を踏み、ひじのけがに苦しんだ時期はありましたが、おととしの秋場所で十両に昇進しました。
その後、一度幕下に番付を下げましたが、去年の春場所で再び十両に上がり、今場所は十両6枚目で臨んでいました。
錦富士は「うれしいなというのと、やっと終わったなという思いだ。緊張もなく思い切って行けた」と振り返りました。
同じ部屋の横綱・照ノ富士からは場所中の朝稽古での話を明かし「自分が序盤から調子がいいことを知って、『一緒に優勝しよう』と声をかけてもらった」と述べました。
そして「ちょっとずつ形になってきている。一日一番にかける思いを忘れずに、来場所もしっかり取りたい」と意気込みました。
千秋楽の22日、ともに元十両で
西三段目18枚目の彩(30)=本名・松本豊、埼玉県出身、錣山部屋
東幕下55枚目の極芯道(25)=本名・福島貴裕、兵庫県出身、錦戸部屋
が引退届を提出したと発表した。
彩は今場所を5勝2敗で、極芯道は全休した。
大相撲夏場所は22日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1625本だった。
3月の春場所から131本増えた。
1日当たりの最多は千秋楽の157本。
今場所は観客数上限が通常の約87%に緩和された。
2022/05/22
14日目、照ノ富士が盤石の相撲で正代を退け、3敗を守った。
立ち合ってすぐに左前まわしを取ると、腰を落として一気に寄り切った。
大関に何もさせず「落ち着いて取れたかなと思う」と優勝争いが佳境になっても、どこまでも冷静だった。
休場明けの場所で初日に黒星を喫するなど、8日目までに3敗と心配されたが、これで9日目から6連勝だ。
復調の理由について「積み重ねじゃないか」と淡々。
横綱の“定位置”ともいえるV争いトップで千秋楽を迎える。
「一日一番集中してやっている。そういうことを気にしてもしょうがないので」と平常心で3場所ぶりの賜杯奪還に向かう。
貴景勝は御嶽海を圧倒し、7敗で踏みとどまった。
頭で当たって上体を起こすと、電車道であっさりと押し出し。
「集中してやろうと思っただけ」と表情を変えずに振り返った。
正代に続いて御嶽海も負け越し。
千秋楽で貴景勝が正代に敗れれば、来場所は3大関そろってかど番で迎えることになる。
番付の重みが問われかねない一番を前に、「初日から変わらず、やり切ることだけを考えている。最後も集中してやっていく」と言葉に力を込めた。
14日目、若隆景は宇良の休場で不戦勝となり、思わぬ形で5場所連続の勝ち越しが決まった。
地元福島から駆けつけた両親ら応援団が見守る中、勝ち名乗りを受けた。
リモート取材には姿を見せなかった。
新関脇の春場所は12勝3敗で初優勝。
今場所は12日目に6敗目を喫し、大関昇進への足場固めの目安となる2桁白星が消滅した。
それでも気持ちを切らさず、13日目に隆の勝を撃破。
阿炎との関脇対決となる千秋楽も白星で締めくくれるか。
14日目、大栄翔は2度目の優勝の可能性を残した。
佐田の海に腕をたぐられ密着されたが、タイミング良く引いて、攻め急ぐ相手をはたき込んだ。
返り三役の場所で、大関とりの足がかりとなる2桁白星に到達。
トップとは1差と不利な状況だが、昨年初場所以来となる優勝は「そんなに考えずにやれている」と無欲を強調した。
14日目、西前頭4枚目の隆の勝が平幕の霧馬山を突き落としで退け3敗を死守し、初の賜杯へ王手をかけた。
横綱照ノ富士とともにトップで千秋楽を迎える。
失意の敗戦から一夜明け、隆の勝は吹っ切れていた。
幕内では過去7戦全勝と合口の良い霧馬山に、鋭い出足から先手を取った。
本来の形ではない左四つに組まれたが、相手の強引な左からの外掛けを利用して突き落とした。
自分の相撲に集中できていたと振り返り「とっさに体が動いてくれた。勝てて良かった」とほっとした表情をみせた。
単独トップで迎えた前日13日目は関脇若隆景に敗れ、3敗に後退。初優勝への重圧からか「場所に来てからめちゃくちゃ緊張した」と出足の鋭さは影を潜めた。
帰り道には取組を見返し「駄目だったところを修正した」と引きずらなかった。
周囲からは「自分の相撲を取れば良い」「楽しんでやってきな」と背中を押され、迷いは消えていた。
14日目を終えて横綱照ノ富士とともにトップをキープ。
本人の口からも「ここまできたら(優勝を)取りにいくつもりです」と力強い言葉が出た。
優勝決定戦を見据えて2番取る可能性について問われると「そうですね。そのつもりでいきます」。
気持ちを引き締めて、初優勝をかけて千秋楽に臨む。
14日目、前頭六枚目・若元春が、前頭十五枚目・一山本をうっちゃりで下した一番は、際どい勝負に物言いがついたが、行司軍配どおり、若元春が9勝目となる勝ち星を挙げた。
視聴者からは「行司よく見てた!」「やっぱり、プロはよく見てるな」といった行司に対する称賛の声が寄せられていた。
立ち合い、正面から当たっていった一山本は強烈なのど輪を徹底するも、土俵際で若元春に残られる。
そこから若元春は右下手を深く取り、勝負を決めようと、うっちゃりを繰り出した。
際どい勝負に物言いがついたが、協議後の場内説明は「ただいまの協議は一山本の足が先に出たかどうかの確認であり、先に出ていました。軍配通り若元春の勝ちと致します」といった内容。
一山本は6敗目を喫した。
14日目、取組前に客席から手拍子が起きた。
おそらく佐田の海へ向けられたものだろう。
前頭12枚目で優勝争いに食らいついていたが、大栄翔にはたき込まれ4敗目。
「もっと下から下から足を出していけばついていけたと思う」と悔しさをにじませたが、まだチャンスは残されている。
「今日まで(優勝争いに)加わってこれたので、それはそれでいいんじゃないかと。
最後、勝って終わらないと気持ち良くないんで勝って終わりたい」と気合を入れ直した。
3大関全員が負け越す危機を迎えている。
14日目、貴景勝が御嶽海との大関対決を制し、貴景勝が7勝7敗、御嶽海が6勝8敗と負け越しが決定した。
正代は13日目に8敗目を喫しており、すでに負け越しが決まっていた。
7勝7敗の貴景勝は、千秋楽で勝ち越しを懸ける。
仮に番付上の大関全員が皆勤して負け越せば、現行のかど番制度となった1969年(昭44)名古屋場所以降では初めてとなる。
2人以上の大関が皆勤して負け越すのは、8年前の14年九州場所での琴奨菊(6勝9敗)、豪栄道(5勝10敗)が最後。
当時は稀勢の里(11勝4敗)を含めた3大関で、琴奨菊と豪栄道は翌場所でかど番を脱出した。
2022/05/21
13日目、主役は最後に登場するもの。
いきなり初日に土がつくと、8日目までに早くも3敗。
ここまで後塵(こうじん)を拝してきた照ノ富士が、ついに指定席であるトップの座についた。
貴景勝の攻めを完全に封じた。
照ノ富士もなかなかつかまえることができなかったが「圧力を前にかけて、落ち着いてさばいていこうと」。
貴景勝の意表をつく猫だましにも「うーん、そうですね、冷静に、落ち着いていこうと思ってましたね」と全く動じなかった。
13日目、現行のカド番制度では初となった大関の7敗対決は御嶽海が正代を寄り切り、東正位の意地を見せた。
敗れた正代は名古屋場所で4度目のカド番。
春場所同様中盤から盛り返したが、2場所ぶりの負け越しにコメントはなし。
伊勢ケ浜審判長は「いつも通り。何も感じないですね」と酷評した。
先場所優勝した若隆景が、隆の勝を3敗に引きずり下ろした。
低く当たり、「先に下から攻められたのでよかった」。
慌てた相手の足がそろったところを、タイミング良く引き落とした。
12日目に6敗目を喫し、今場所の2桁白星はなくなったものの、残り2日の結果次第では、今後の大関昇進に望みもつながるだろう。
「思い切って相撲を取ろうという気持ち」。
一日一番、集中して土俵に臨む。
東前頭6枚目、宇良が夏場所14日目の21日、日本相撲協会に「左足関節捻挫で3週間の休場を要する」との診断書を提出して休場した。
師匠の木瀬親方によると、13日目に関脇阿炎に敗れた相撲で負傷したという。
千秋楽は再出場しない。
今場所は13日目まで9勝4敗と好調で、優勝の可能性を残していた。
休場は十両だった昨年春場所以来で13度目となる。
14日目の対戦相手の関脇若隆景は不戦勝で勝ち越し。
宇良は右膝負傷による2度の長期休場で一時は序二段まで転落。
再起し、昨年名古屋場所で再入幕を果たした。
今場所の十両以上の休場者は幕内の逸ノ城、石浦らに続いて5人目(再出場者を含む)。
速攻で東龍を寄り切り、給金を直した。
新入幕から3場所連続での勝ち越しにも、「あまり意識はしていなかった。一日一日、出せるものを全部出して、しがみついている」と控えめだった。
左四つの形には磨きがかかり、安定感は増している。
「毎日必死で、ぎりぎりのところで相撲を取っている。力は出せているのかな」。
謙虚に振り返った。
13日目、平幕の佐田の海が小結・豊昇龍を寄り倒しで破った。
35歳の佐田の海が22歳の小結・豊昇龍に勝ち、3敗で優勝争いの先頭に並んだ。
立ち合いから右に続いて左も入り、双差しとなった。
相手が強引に投げを打ってきたところを前に出て、寄り倒した。
年齢を感じさせない内容に、八角理事長も「2本差してからが速い。体の寄せ方も良い」と称賛した。
2022/05/20
照ノ富士が力勝負で若隆景を圧倒した。
土俵中央で相手の両腕をきめて機をうかがう。
数呼吸の後、つり上げるように土俵外へ運んだ。
トップの隆の勝を1差で追う終盤戦。
先場所を制した若隆景を難なく退け、「変わることなく落ち着いて取れた」。
取り口に安定感が戻った横綱に、逆転優勝への道筋が見え始めた。
12日目、大関正代が踏みとどまった。
西前頭5枚目の翔猿との取り直しの一番を制して5勝7敗とした。
最初の一番は“奇襲”に対応できなかった。
立ち合いから沈み込んだ翔猿に足を取られて、重心が浮いたまま土俵際に後退。
肩越しの右上手、左からすくって逆転を狙った。寄り倒されるような形で軍配は翔猿に上がったが、物言いがついて同体の判断が下った。
取り直しの一番では、相手の立ち合いを警戒しながら小兵を一蹴。
引きに乗じて一気に押し出した。
来場所のかど番回避に向けて、残り3日間は全勝が求められる。
13日目は7敗同士で同じく後がない大関御嶽海と対戦。自
身を含めて3大関の成績が振るわないことについて「今場所はそういう場所なのかなと思って、あまり悩まずにできたらいい」と切り替えに努めた。
12日目、小結・大栄翔が玉鷲を下して勝ち越しを決めた。
激しい立ち合いで突き起こしてからの引き落とし。
「立ち合いしっかり当たれている。慌てず自分のリズムでよく攻めている」と連日の好内容に手応えを得た。
この日は通算出場800回の節目の日。
初土俵から10年間、休場は一度もない。
「日頃の稽古が一番。基礎をしっかりやらないとケガが多くなると思うので」と頑丈な体作りの秘訣を語った。
まだまだ若い28歳だが「年を取ってくると治療とかも入れながらやらないと。若手に負けないように頑張りたいんですけど」と笑った。
この日の対戦相手の玉鷲は18年間一度も休場していない37歳の鉄人。
先はまだまだ長いようだ。
既に三役に定着しつつある実力者だが、意外にも入幕以来夏場所では勝ち越したことがなかった。
十両で10勝を挙げた15年以来、実に7年ぶり。
その事実を聞かされると「全然知らなかった。それはびっくりしました」と本人も驚いた様子。
5月の土俵に苦手意識があるわけでもなく、「そんな久々だとは思わなかったです。でもうれしいです」と笑顔を見せた。
12日目、「おにぎり君」の勢いが止まらない!
西前頭4枚目の隆の勝が一山本を押し出しで退け2敗をキープし、単独首位を快走する。
4日目から負けなしと連勝街道を続け、自己最長の9連勝。
鍛えぬいた出足の速さを武器に戦う中で残り3日。
混戦の夏場所で初優勝に向けまい進する。
1差の3敗に横綱照ノ富士、平幕の宇良と35歳ベテラン佐田の海の3人が追う。
まん丸とした顔と癒やし系の笑顔で「おにぎり君」の愛称で親しまれる隆の勝が充実感をにじませた。
一山本に完勝しての10勝目。
2桁に白星を積み重ねたのは、幕内では昨年の九州場所以来となる5度目だ。
「(白星が)2桁に乗れたので良かった」と声を弾ませた。
初顔合わせとなった相手の強烈な突き放しを警戒しながら、自分の相撲を貫く。
素早い出足から一気に前に出た。
一山本のはたきを物ともせず押し出した。
わずか2秒の決着。
「本当に調子が良い。いつも以上に気が楽というか、落ち着いて相撲を取れている」と納得の内容が続いている。
宇良の勝利への執念に、館内は大きな拍手に包まれた。
「精いっぱいだった」。
大関貴景勝から白星をもぎ取り、6連勝で優勝戦線に残った。
抜群の身体能力を発揮した。
貴景勝の猛攻を受けて土俵際まで後退したが、弓なりになって喉輪を耐えて左へ。
追ってきたところをもう一度左にひらり。
目の前から相手が消えた大関は、たまらず土俵の外へ飛び出した。
回り込んだ宇良も、勢い余って宙を舞うように転倒。
物言いがついた際どい一番は、軍配通りに宇良が制した。
「勝ててよかった」。
いつも通りの控えめな口調が、充実ぶりを際立たせる。
度重なる膝のけがで、幕内から序二段まで番付を落とした苦労人。
西前頭筆頭に上がった先場所は4勝11敗だった。
「もう一度チャレンジしたいという気持ちで頑張ってきた」。
何度でもはい上がる気持ちの強さこそ、宇良の真骨頂だ。
残るは3日。
賜杯争いは佳境に入ったが、「何も感じていない」とけむに巻いた。
「トップじゃないし、上の人が負けることを祈ってやっているわけではない」。
目の前の一番しか見ていない。
12日目、佐田の海は一本気な力士だ。
「体力があるわけではないので、自分の相撲を取りにいかないと勝てない」。
持ち味は速攻。
志摩ノ海との一番も目の覚めるような相撲だった。
頭で当たって左をのぞかせると一気に前に出た。
得意の右差しではなかったが「とにかく先手を取って攻め込み、あとは体に任せようと思った」。
そのまま押し出し、しぶとい相手に何もさせなかった。
会心の内容に「先手が取れて足もよく出てくれたと思う」。
充実の表情で勝ち名乗りを受けた。
日本相撲協会は19日、夏巡業の日程を発表した。
8月5日から東京・立川市で始まり、5か所で行われる。
巡業は新型コロナウイルス感染拡大の影響で2019年12月の冬巡業を最後に中止が続いていた。
夏巡業は東北や北海道を回ることが多いが、新型コロナ対策もあり関東近郊に限定する形となった。
開催地は以下のとおり。
▽8月5日 東京・立川市(アリーナ立川立飛)
▽同6日 千葉・船橋市(船橋アリーナ)
▽同7日 さいたま市(さいたまスーパーアリーナ)
▽同11日 茨城・古河市(イーエスはなもも体育館)
▽同14日 埼玉・春日部市(ウイング・ハット春日部)
12日目、よもや13日目に、7敗同士の大関戦が実現してしまうとは…。
今場所の大関陣の不振ぶりを象徴する取組が、13日目に組まれた。
この日は正代が翔猿との取り直しの一番に勝ち、何とか5勝目(7敗)を挙げ、負け越しの崖っぷちに踏みとどまった。
だが御嶽海が関脇阿炎に元気なく押し出され7敗目。
この両大関が13日目に「負けた方が負け越し」の一番に臨むことになった。
日本相撲協会の八角理事長も、これには落胆のコメント。
「御嶽海は、いい時は力を出せるが、こういう時は粘り強くなれない。修行が足りないということ」と御嶽海の一番が終わった後に話した後「明日は正代戦。優勝争いの大関戦なら(ともかく)負けた方が負け越し。寂しいよね」と看板力士の名が泣く不調ぶりに、落胆の色は隠せないようだった。
2022/05/19
混戦の様相を呈したまま終盤戦に入った夏場所で、照ノ富士が調子を上げてきた。
1月の初場所で完敗している阿炎に納得の相撲で快勝。
給金を直し、横綱が1差で優勝争いに踏みとどまった。
光ったのは立ち合いの踏み込みの良さ。
阿炎の突き押しにのけぞりながらも、下半身はびくともしない。
たまらず相手が引いたところを逃さず、一気に前へ。
何もさせずに押し出した。
休場明けの今場所は、馬力のある押し相撲の力士に苦戦している。
初日の大栄翔との一番のように、圧力を受けると残せずに三つの黒星を重ねた。
だからこそ、突き押しの強い阿炎を圧倒した一番には「久しぶりに立ち合いで当たった感覚」と手応えを得た。
相手の攻めを受け止めた上で前に出る取り口こそ、目指してきた「横綱相撲」。
佳境で本来の自分を取り戻しつつある。
トップを走る隆の勝、3敗で並ぶ他の平幕4力士に賜杯を抱いた経験はない。
「きょうみたいな当たりができれば」と自信を示した照ノ富士。
逆転優勝へ、視界は開けてきていることだろう。
若隆景が東洋大の先輩、御嶽海との1分以上の熱戦を制した。
土俵際まで寄られても耐え、頭をつけて好機を待った。
相手が腕をたぐりにきたところで一気に寄り切り、「我慢して、よく攻められたと思う」。
土俵上で大きく息を吐いた。
大関昇進の足固めを目指す今場所は、8日目で5敗。
ただ、そこから大関を3連破し、2桁白星に望みをつないでいる。
12日目は横綱照ノ富士戦。「頑張ります」と短い言葉で決意を示した。
11日目、グイッと翔猿をつり上げ、勢いのまま一気に寄った。
つりは師匠の陸奥親方譲りだ。
霧馬山が豪快な技を繰り出しながら、5日目から7連勝で勝ち越し。
3敗を守り、堂々の優勝争いを演じている。
「よかったです。体は動けている。まだ残りがあるので頑張ります。頑張っていきたいです」。
大事な局面だった。
翔猿には幕下、十両時代の対戦を含め、前回の対戦まで3勝7敗と分が悪かった。
優勝争いに加わって突入した終盤戦。
苦手から白星をもぎ取り笑顔が浮かんだ。
11日目、西前頭4枚目の隆の勝が、自己最長の8連勝で単独首位に立った。
おっつけから右を差して組み止めると、土俵中央で膠着状態が続いた。
機を見て右から下手投げを打つと、相手の外掛けにも構わず体を預け、なぎ倒すように寄り倒した。
過去1勝3敗の難敵に対し「投げが得意な相手だったので、自由に動かさないようにした」と対策は万全。
会心の勝利に「もっと、もっと勝ち星を伸ばす」と声を弾ませた。
先場所は4勝11敗と負け越し、「気持ち的に落ち込みました」。
同じ94年度生まれの阿炎、先場所覇者の若隆景の両関脇に水をあけられ、悔しさが募った。
「元の場所に戻りたい」と三役復帰を目指し、奮起して臨んだ今場所。
3日目まで1勝2敗と出遅れたが、そこから1横綱2大関撃破を含む自己最長の8連勝。
10日目には昨年の九州場所以来の勝ち越しを決めた。
勢いに乗り、「もっと上を目指していかなきゃいけない」と意気込む。
ただ一人2敗で優勝争いを引っ張る展開になった。
「そこは意識せず。まだ4日もあるので全然分からない。自分の相撲に集中するだけです」と無欲を強調した。
11日目、東前頭6枚目・宇良が優勝戦線に踏みとどまった。
同11枚目・碧山との3敗対決を制した。
業師で鳴らしたが、自己最重量となった体を生かし、巨漢の相手を堂々の寄り切り。
度重なるけがに泣いた男が、悲願の初優勝へ向けトップを追走する。
「今日も頑張ろうと思って(土俵に)上がりました」。
立ち合いで190センチ、182キロの巨漢の懐にすばやく潜り込んだ。
もろ差しから右の下手に手が掛かると、相手の小手投げと同時に前へ。
体重差34キロも何のその、一気に寄り切った。
5連勝で3敗を死守し、「自分でもここまで頑張れると思っていなかったので、うれしいです」と勝利をかみ締めた。
11日目、佐田の海が力強い相撲で、2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
若元春得意の左四つの形になってしまったため、「一気に走っちゃえ」とやや強引に前に出て寄り倒した。
35歳のベテランは今場所好調をキープ。
優勝争いにも残り、「35歳だから衰えるのではなく、若い頃の積み重ねがある。今、一番調子良いと思う。自分らしい相撲が取れれば、白星につながると思う」と胸を張った。
11日目、一山本が志摩ノ海に押し倒しで敗れて3敗に後退した。
立ち合いから突っ張って先手を取ったが、突きが空振りとなったところで「中途半端に引いてまわしを取りにいったら転びました」と攻めきれず自滅。
「集中力が足りなかった」と悔やんだ。
12日目は単独首位の隆の勝と対戦する。
引きずり降ろして再び首位に並ぶためにも「しっかり一日一番取れればいいのかな」と平常心を貫くことを誓った。
2022/05/18
10日目、3敗同士の結び。
豊昇龍が何かするかと期待していたが、何もしなかった一番でもあった。
立ち合いで左前まわしを取った。
問題はその後。
左に回って照ノ富士の横につくのが正解だろう。
膝の悪い照ノ富士は押されると苦しい。
横の動きにもついていけない。
しかし、豊昇龍は右を差しにいって胸を合わせてしまった。
恐らく中に入ろうとしたのだろう、がっぷりでは照ノ富士に勝てる力はない。
作戦ミスといえる。
照ノ富士は落ち着いていた。
豊昇龍の右上手をかかえながら差して、左上手をガッチリ握った。
最後は引きつけて豪快に寄り倒した。
すでに5敗を喫している先場所優勝の関脇若隆景が、力強い相撲で大関正代を寄り切った。
「しっかり体を寄せながらということを意識した。下から攻められた」と納得の表情を浮かべた。
立ち合いから得意の右おっつけで攻めたて、さらに頭を付けて最後は左を差しながら寄り切った。
先場所に何度も見せた鋭い取り口を彷彿(ほうふつ)とさせる内容。
今場所初めてとなる連勝に「あと5日も思い切って取りたい」と語った。
10日目、土俵際からの逆転で白星を伸ばした。
6連勝で7勝目を挙げた霧馬山が混戦の夏場所で存在感を増している。
立ち合いから阿炎の強烈なのど輪を受けて土俵際まで後退したが、回り込んで形勢逆転。
前のめりになった相手をはたき、土俵にはわせた。
「粘られて危なかったけど、よく体が動いた。(はたき込みは)流れで、ですね」と霧馬山。
自然に体が反応し、状態の良さをうかがわせた。
10日目、幕内・北勝富士が大関・貴景勝を押し出して3勝目を挙げた。
前回対戦した昨年の秋場所も勝っており、埼玉栄高の先輩として今回も意地を見せた。
立ち合い右でかち上げるようにして弾くと、貴景勝が少し引いたところを一気に前に出て押し出した。
「当たり負けしないように思いっきり、勝っても負けても前に出るっていう気持ちが強かった」と振り返った。
いつもは立ち合い頭で当たることが多いが、この日は胸から当たっていった。
「自分の新しい相撲を見いだせたような気がする。それをしっかり磨いていきたい」と手応え。
勝ち越しへ後がない7敗から踏みとどまり、逆襲の終盤戦へ良いきっかけをつかんだ。
平幕遠藤を押し出して2敗を守り、勝ち越しを決めた平幕隆の勝は「良い調子でいけている」と目を細めた。
立ち合いで低く当たり、左から差されかけたが、右おっつけで相手の体を起こし、引きに乗じて勝負を決めた。
三役経験のある実力者。
今場所は西前頭4枚目まで番付を落としているが、4日目から7連勝と波に乗る。
「早めに勝ち越したら気持ち的に楽になる。もっと明日からいけるかな」と残り5日を見据えた。
10日目、宇良は立ち合いで左へフェイントをかけてから右へ。
それでも錦木の圧力をまともに受けてしまったが、宇良の動きはさえていた。
右へ回り込みながらの肩透かしが決まる。
これが宇良らしさでもあるのだが、ヒヤリとする場面もあったからかフーッと息を吐きながら白星をかみしめた。
3敗で優勝争いに食らいつく活躍に、ファンは大きな拍手でエールを送るが「いやいや、終わってみないと分からないですね。あしたからずっと負けることも相撲ではありえない話ではないんで。終わってみないと分からない」と一喜一憂することなく、客観的に自身をみつめる。
常に全力を出し切るだけに、終盤は体力勝負になってくる。
4勝目を挙げた6日目に「まだ折り返してないので、何か嫌ですねえ。もう10日目ぐらいの気分です」と話していたが、その10日目を迎えて心身ともに疲労を感じているころ。
優勝争いの前にまずは勝ち越しをかけた11日目の碧山戦。
「元気な相撲を取っていきたい」と気合を入れた。
勝ち越しが懸かった一番で、一山本は師匠の放駒親方の教えを思い浮かべた。
「迷ったときは、当たって前へ」。
琴勝峰に低く当たると、動きの良さを生かして横に回る。
体勢を崩した相手をやすやすと突き出した。
中大から北海道福島町役場での勤務を経て角界へ。
さまざまな競技の実績を条件に、年齢制限の規定が25歳未満に緩和された新弟子検査の合格者第1号だ。
入門当時は「ぼやっとしていた」と、はっきりとは意識できなかった幕内の土俵。
しなやかな突き押しを武器に暴れている。
精神面も成熟してきた。
新入幕で勝ち越した昨年名古屋場所では、7勝目を挙げてから5連敗。
その記憶もあって「ちょっと緊張した」というが、目の前の一番に集中して連勝を3に伸ばした。
2022/05/17
照ノ富士が連敗を免れ、3敗で踏みとどまった。
動きのいい翔猿をなかなかつかまえ切れなかったが、最後はがっちりと抱え、豪快にきめ出した。
前日は隆の勝に一方的に敗れて金星を与えていただけに、気持ちの面を心配していた八角理事長も「落ち着いていたね。きょうは何とかね」。
力強い相撲に胸をなで下ろしていた。
9日目、時すでに遅し、の感もあるけど…。
2勝6敗と苦戦が続く大関正代が、突き押し相撲の関脇阿炎を相手に、見違えるような相撲で3勝目を挙げた。
阿炎のもろ手突きにアゴが上がりながらも、下から必死にあてがいながらこらえると、阿炎がたまらず引いた。
そこを逃さず猛進。
勢いそのままに押し出して今場所初の連勝となった。
前日、豊昇龍に勝った後に「今場所初めてじゃないの?必死に取っている相撲はいいね」と正代の気力をほめた、日本相撲協会の八角理事長は「左からのおっつけが効いていた。きのう1つ勝って体がよく動くようになった気がするね。気持ちが前向きにね」と、ようやくエンジンのかかった正代の心中を察した。
もっとも、大関という協会の看板力士だけに「大関なんだから、もっと前に、だよね」と前半戦からエンジン全開できなかった正代への苦言も忘れなかった。
土俵下で審判長を務めた審判部の佐渡ケ嶽部長も「(阿炎に)引かれても、しっかり肘で挟み付けて持って行った。休まないのが良かった」と、この一番については評価したが「初日から、こういう相撲を取っていれば良かったんだけど」と苦言を呈していた。
豊昇龍は高安の突き押しに後退しながらも、うまくたぐって、とったりで仕留めた。
過去に一度も勝てていなかった相手とあって、「思い切り気合を入れて頑張ろうという気持ちでいった」と、闘志を前面に出して臨んだ。
トップから1差の3敗を守り、10日目は横綱照ノ富士戦が組まれた。
「(取組表は)見ていない。帰ってから見る」。
集中力を保ったままだった。
9日目、霧馬山が大栄翔のお株を奪う押しを見せ、3敗を守った。
大栄翔の突きを下からはね上げてしのぎ、のけ反らせると押し返して前へ。
「よく相手を見て攻めてたと思うんで、よかったと思います」。
大栄翔の攻めにひるむことなく「とりあえず真っすぐ当たって、そっからいこうと思ってて」と気持ちを強く持って臨んだ結果だった。
初日から4日目まで横綱、大関戦が続き1勝3敗のスタート。
その後は5日目から5連勝と波に乗る。
この1年で幕内上位に定着した。
昨年九州場所は新三役にも昇進。
負けが込んでも、千秋楽までけっして気持ちを切らすことなく取り続けることができるのが、霧馬山の強みでもある。
「そういうの(優勝争い)はまだ考えず、一日一番しっかり取りたいと思います」と無欲で挑んでいく。
9日目、隆の勝が同じ押し相撲を得意とする御嶽海に完勝した。
「前傾姿勢を保たれたらきついので、体を起こしたかった」と立ち合いで鋭く当たると、一気に寄り切った。
これで1横綱2大関を撃破し、2敗で首位をキープ。
混戦の今場所だが「自分の相撲を取ることだけ考える」と平常心を貫く。
平幕4人が先頭に並ぶ大混戦に、35歳の佐田の海が食らいついている。
輝に立ち合いで突き起こされた。
そこで冷静に体を開いて得意の右差しに持ち込む。
「体力があるわけではない」と、速い攻めに徹し、押し出した。
「動きながら自分の相撲がとれた」。
2敗を守った取組に満足げだった。
2003年に15歳で角界入りし、最高位は15年名古屋場所の西前頭筆頭だ。
父は元横綱千代の富士と同時期に活躍した同じしこ名の元小結。
「番付で父に追いつきたい」と目標を口にしてきた。
9日目、平幕一山本が千代翔馬を突き出し、トップタイの2敗を守った。
幕内唯一の道産子力士が北海道勢31年ぶりの優勝チャンスだ。
休まず攻めてトップを守った。
一山本は両手で当たって千代翔馬の体を起こすと、速射砲のような突きを繰り出してぐいぐい前進。
一気に土俵の外へ追いやった。
完勝を「手繰られそうにもなったんですけど、しっかり我慢して前に出られたのがよかった」と満足げに振り返った一山本。
初日から5連勝後、2連敗と足踏みしたが、師匠の放駒親方から「小手先で相撲を取るんじゃなくて、もっと思い切り当たっていけ」と助言を受けて再び連勝。
「それがしっかりできていると思う」と手応えを感じている。
勝ち越しに王手をかけ、初めて後半戦で優勝争いのトップに立ったが「まず勝ち越したい」と意識せず。
過去2度の勝ち越しは千秋楽で決めたもので、新入幕の21年春は今場所と同じ7勝2敗から5連敗しており、「そういうことがないように相撲を取れれば」と気持ちを引き締める。
2022/05/16
8日目、照ノ富士が隆の勝に初金星を配給し、3敗に後退した。
春場所は右かかと、左膝の負傷で途中休場。
復帰した今場所も不安定な内容が続く。
前日の勝利後も「立ち合いが全然しっくりこない。早く立ち合いの感覚を取り戻したい」と話していたが、この日も立ち合い負けでの完敗。
1敗力士も消えた大混戦の場所を鎮められるか、横綱の立ち合いが鍵を握る。
正代が過去1勝4敗だった小結豊昇龍を下した。
出足を止めずに寄り倒し、「合口が悪かったので、思い切りいった。圧力負けしなかった」。
苦しむ大関が表情を緩ませた。
好調時の馬力がなく、既に6敗を喫している。
「今場所の中で立ち合いが一番良かった。この感覚を忘れないようにしたい」と努めて前向きに話した。
8日目、貴景勝が大栄翔の攻めをしのぎ、最後は少し余裕を見せながらはたき込んだ。
敗れれば横綱、大関陣は大栄翔に全敗となっていただけに、意地を見せた形だ。
既に3敗を喫しているもののトップとは1差。
「初日から、しっかり準備をして集中してやることだけを考えている。また明日からも集中してやる」と自らへ言い聞かせるように話した。
8日目、琴ノ若は父でもある師匠の誕生日に白星を添えた。
若隆景と投げの打ち合いとなった土俵際。
命綱となった右下手で投げ飛ばした。
15日は佐渡ケ嶽親方の54歳の誕生日。
祖父には元横綱琴桜を持つサラブレッドは「負けて(部屋に)帰るわけにはいかないと思っていたので、勝って良かった」と胸を張った。
8日目、三役経験のある隆の勝が持ち前の馬力で初めての金星を挙げた。
横綱を後退させ、場所の行方も混沌(こんとん)としてきた。
立ち合いのもろ手突きから右のど輪で横綱の上体を起こすと、双差しで圧力をかけた。
体勢が崩れた照ノ富士の左足が土俵を割ったところで、二所ノ関審判が手を上げて勝負はついた。
照ノ富士には6連敗中だった。
「止まったら(横綱は)重い。一気に攻めようと思った」と経験を踏まえ、狙い通りの展開に持ち込んだ。
粂川審判長は「良い相撲だった」とたたえた。
琴勝峰は埼玉栄高で同学年の王鵬と幕内で初めて顔を合わせた。
体を生かして出てくる相手に対し、右で前まわしをつかんで主導権。
うまく攻めて押し出し、「焦らないでじっくりいけたのがよかった」。
熱戦を制し、充実感を漂わせた。
感情を表に出すことが少ない22歳だが、「負けたくない気持ちはあった」と、強烈なライバル心を隠さない。
お互い将来を嘱望されているだけに、今後も注目の一番となりそうだ。
8日目、5人の平幕力士が先頭集団を形勢し、後半戦に突入する大混戦。
相撲王国と呼ばれた、北海道出身の一山本もその中にいる。佐田の海を抜群の反射神経ではたき込み。
2敗を死守した。
長い手足を生かした突き押しが武器。
この日は腕を手繰られたが、土俵際でクルリとまわって大逆転。
「僕もいまいち分かってなくて。気づいたら佐田の海関が落ちていた感じなので」と無我夢中でつかみとった白星に笑みを浮かべた。
先場所は序盤に5連敗したが、終盤は5連勝で盛り返した。
連勝もするが、連敗もしてしまうのが一山本。
今場所も5連勝してから2連敗という展開に、7日目の取組後は「この連敗をどう止めるか。止まらなくなっちゃうので」と頭を悩ませていたが、これでひとまず安心。
「止めたのは大きいです。一番一番、積み重ねていくことができれば」と後半戦に弾みがついた。
優勝争いについて話しを向けられると「何も考えてないです。とりあえず勝ち越せるように」と無欲だが、誰が抜け出してもおかしくない状況にある。
2022/05/15
7日目、照ノ富士が前日、玉鷲に金星配給も連敗は避けた。
遠藤にもろ差しを許す厳しい流れを小手投げでしのいで最後ははたき込んだ。
「立ち合いが全然しっくりこない。ちゃんと当たろうという気持ちだったんだけど。そこから冷静に対応できたんじゃないですかね」と渋い表情。
大混戦の場所だけに「早く立ち合いの感覚をつかみたいと思います」と課題をあげた。
7日目、大関正代は2勝目が遠い。
平幕の北勝富士に押し出されて6敗目を喫した。
立ち合いからのど輪で起こされると、密着できずに突き放されて防戦一方だった。
4日目に初日を出したが、中盤戦から6連勝して立て直した先場所のように勢いが続かない。
大関在位10場所目。
不振の看板力士は「そんなに甘くなかった。(初日を出して流れが)変わると思ったが、悪いところばかり。体調的には問題ないと思うけど、きっかけがつかめていない感じがします。思っている以上に体が動いていない。精神的にも落ち着きがない。どこかで切り替えられたら」と話した。
7日目、大関・貴景勝が平幕の玉鷲を退けた。
丸い体を生かすように実力者を圧倒した。
貴景勝が大関の面目を保ち、中日を前に白星を先行させた。
立ち合いで175センチの小柄な大関は、189センチの玉鷲の深い懐に入って突き起こし、そのまま前に出て押し出した。
大関・御嶽海に続き、横綱・照ノ富士を破るなど好調ぶりが目立つ幕内最年長37歳を相手に、何もさせなかった。
両者と同じ押し相撲を得意としていた八角理事長は「(玉鷲は貴景勝の)体が小さいから当たりづらかったかも。その分、貴景勝は思い切りいかなきゃと開き直れた」とそれぞれの心中を察した。
25歳の大関が体格差を生かし、精神的にも優位に立った。
7日目、小結豊昇龍が「朝青龍ばり」の鋭い出足で関脇阿炎に完勝した。
突き放せば強い相手を素早く組み止め、一気の出足で寄り切った。
元横綱朝青龍、ドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のおい。
元横綱白鵬の間垣親方から「出足の鋭さがおじさんに似てきた」と太鼓判を押された。
全勝が消え、1敗も平幕2人。
横綱照ノ富士ら2敗組に残った豊昇龍も主役候補に浮上してきた。
7日目、大栄翔は6連敗中と合口の悪い御嶽海から、昨年の春場所以来の白星を挙げた。
立ち合いから攻めの姿勢を崩さず、のど輪と強烈な突きで体を起こし、反撃の隙を与えなかった。
1横綱、2大関を撃破し「理詰めによく攻めることができた。良い相撲を取れて気持ちが乗ってきている」と手応え十分の様子だった。
7日目、攻めたのは若元春だった。
師匠の荒汐親方が「一つの武器としてできあがっている」と認める左四つで勝負に出た。
軍配は寄り倒した若元春に上がったが、物言いがつく。
差し違えで2敗を守ることはできなかったが、幕内も3場所目となり「内容も全然問題ない」と手応えの日々。
何よりも、場所後にパパとなることがモチベーションを高めてくれている。
「恥ずかしながら、いい夫婦の日に婚姻届を出させていただきました」という夫人とは2020年11月22日に結婚した。
「周りからも、結婚して成績が伸びてよかったんじゃないのと言われます」と公私ともに充実。
そして間もなく第1子が誕生する。
7日目、佐田の海が碧山を押し出しで破った。
幕内に無敗はいなくなった。
無敗の碧山と、1敗の佐田の海の好調平幕対決は、佐田の海に軍配が上がった。
碧山の突き押しをこらえながら前に出ると、相手がたまらず引いたところを逃さず、一気に押し出した。
「頭を上げないように、我慢してとった」と白星を引き寄せた。
2022/05/14
6日目、横綱・照ノ富士が、西前頭3枚目・玉鷲に完敗した。
張り差しに出たが、構わず出てくる相手に一気に押し出された。
これで6個目の金星を配給。
うち3個が玉鷲戦だ。
取組後のリモート取材には応じなかった。
八角理事長は「張り差しにいったのがだめだった。当たりが弱くなってしまった。玉鷲を褒めるべきだが、下がると力が入らない。立ち合いの意識が大事ですよ」と指摘していた。
6日目、上松町出身の大関・御嶽海は、東前頭3枚目の北勝富士と対戦。
立ち合いで左に動き、すぐに上手を取った御嶽海は、そのまま北勝富士を上手出し投げで破りました。
星を3勝3敗の五分に戻した御嶽海、あすは小結の大栄翔と対戦します。
若隆景は高安に対し、右前まわしを取って頭をつけた。
低い体勢でじっくりと攻め、最後は横について送り出し。
初優勝を果たした春場所の優勝決定戦で争った相手に完勝しても、「まあ、一日一番しっかり自分の相撲を取る」と表情は変えなかった。
大関昇進へ足固めをしたい場所。
星を五分に戻しても一息つくことはできない。
「まだまだ。もっともっと下からの攻めを出していかないと」と自分に言い聞かせるように話した。
6日目、関脇阿炎が大関貴景勝を引き落として4勝目(2敗)。
取組後は「素直にうれしい。内容自体はあまり良くないけど、体が動いているからいいと思います」と冷静に振り返った。
玉鷲が止まらない。
もう負けるわけにはいかない照ノ富士は、立ち合いで珍しく右で張ってきたが、「お構いなく。自分の相撲を生かそうと思った」。
右から強烈におっつけて、そのまま前進。
横綱を一気に土俵外へ追いやった。
昭和以降では3位タイの3場所連続金星。
平幕力士が3場所続けて同じ横綱を破ったのは、1964年九州場所から65年春場所まで栃ノ海に勝った大豪以来で、57年ぶりだ。
「信じられないところもある」。
勝ち名乗りを受けても表情を崩すことはなかったが、記録の話に水を向けられると、「すごくうれしい」。
歴史に名を刻み、ほほ笑んだ。
これで5勝1敗。
先場所優勝の若隆景、さらに御嶽海、照ノ富士と看板力士を相次いで撃破した。
それでも、「まだ穴がある。これからも長いので、自分の相撲を取り切るだけ」。
酸いも甘いもかみしめてきた37歳は、快進撃にも浮かれることはない。
34歳だった19年初場所で初の賜杯を抱いた。
さらに心身ともに充実するベテラン。
周囲の期待も自然と高まりそうだ。
6日目、平幕・阿武咲が13日、日本相撲協会に「左肋骨骨折で約1カ月間の加療必要見込み」との診断書を提出して休場した。
師匠の阿武松親方によると、5日目の12日に大関・貴景勝戦で土俵下へ落ちた際に負傷した。
再出場について同親方は「まずはしっかり治すこと。本人は出たいと言っていたので、様子を見て判断したい」と述べた。
休場は2018年春場所以来で4度目。
6日目の対戦相手、翔猿は不戦勝となった。
6日目、35歳のベテランが全勝対決を制した。
平幕の碧山が、一山本を下して幕内唯一の無敗をキープした。
強烈な突きをものともせず、落ち着いてはたき込みを決めた。
初日からの6連勝は20年春場所以来3度目。
今年3月には日本国籍を取得し、氏名をダニエル・イヴァノフから古田亘右(ふるた・こうすけ)に変更した。
気持ちを新たに臨む今場所で快進撃を続ける。
碧山は「しっかり踏み込んで前に前に攻めた。相手のバランスを崩して、最後に決めることができた」と振り返った。
八角理事長は「努力している人が成績が良いとうれしい。35歳だけど、地力を稽古量で維持しているのは立派」と、ブルガリア出身の関脇経験者をたたえた。
過去に2度準優勝に輝いたが、まだ賜杯は手にしていない。
初優勝へ期待がかかるが、本人は「まだまだですね。
半分も終わっていない」と気を引き締めた。
2022/05/13
5日目、照ノ富士が冷静に北勝富士を仕留めた。
右差しで前進すると、小手投げで振った勢いできめ倒した。
「落ち着いて圧力かけて前に出た」と納得の表情。
黒星発進から4連勝と復調気味だが「始まったばかりだし、あと10日もあるので終わってみないと分からない」と淡々。
休場明けの場所で体の状態が心配されるが「大丈夫ですよ」と明るい声だった。
5日目、大栄翔が同じ突き押しのライバルに完勝した。
立ち合いはリーチで勝る阿炎のもろ手突きが優勢だったが、下からのど輪を外して逆襲。
回転の速い突っ張りで一気に押し出した。
「突き押しなので先に自分から攻めることが大事」。
三役、埼玉県出身、得意は突き押しと共通点の多い相手。
先場所は敗れていただけに「悔しい負け方を頭に入れてやった」と気合がみなぎっていた。
幕内最年長37歳の玉鷲が、歴代単独4位となる通算1426回連続出場の節目を白星で飾った。
相手の大関・御嶽海には過去3勝27敗。
圧倒されていたが、恐れずに頭から当たっていった。
「前はバタバタして引いたり逃げたりしたが、今回は自分の相撲を信じて前に出た」。
左のおっつけで相手を起こすと、再び頭で当たり、腕を伸ばして土俵下に追いやった。
八角理事長は「気力がすごいね。頭から(当たって)いくのは気力がないとできない」と称賛する。
土俵下の粂川審判長も「正攻法だからいい。馬力があるから相手も怖いんじゃないかな」と評価した。
5日目、人気業師で東前頭3枚目の宇良が“珍手未遂”連発で観客を沸かせた。
取り直しを含めた西前頭6枚目の若元春との計2番。
最初の一番は相手得意の左四つで攻め込まれ、土俵際の「うっちゃり」で逆転を狙った。
行司は東の宇良に上げたが、物言いがついて同体。取り直しの一番は、足取りかなわず大技「居反り」を仕掛けたが、それを食わなかった若元春に送り出された。
敗れはしたものの、宇良の粘りや奇襲に観客も大きな拍手を送った。
3勝2敗で序盤5日間を終えて、自身の状態は「分からないです。終わってみないと」と目の前の一番に集中。
中盤戦に向けて「元気な相撲を見せたい」と意気込んだ。
若元春が初顔の宇良の巧みな相撲によく対応した。
最初の一番は見事にうっちゃられ、同体とみなされ取り直し。
「際どい相撲だった。粘りがすごかった」。
次はそろりと立ち合い、相手の反り技にも慌てなかった。
最後は力強く送り出し、「体が自然と反応できた」と喜んだ。
新入幕だった初場所から2場所続けて勝ち越し、今場所も4勝1敗と快調に滑り出した。
「星のことは考えていない。ここから落ち着いて自分の相撲を取れるようにしたい」と先を見据えた。
5日目、35歳の関脇経験者の碧山が、20年春場所以来となる初日から5連勝を飾った。
自身より40キロ軽い141キロの千代翔馬を、豪快な小手投げでねじ伏せた。
過去の対戦では、変化やいなしに翻弄(ほんろう)されることも多かったが「怖がらずに頭から当たっていった」。
長く付け人を務めてくれた同部屋の栃丸が、今場所新十両で4勝1敗と好調。
「うれしいですね」と刺激を受けている。
5日目、一山本は突き起こしてからの引きで王鵬を破り、5戦全勝とした。
先場所終盤からの連勝を10に伸ばしたが「前の場所なので、気にすることない。まだ“五山本”なので」と笑った。
場所前から始めた一人暮らしが好調の要因。
好物の鶏肉など「好きなものを好きなだけ食べられるので楽しくやっている」と上機嫌だ。
同じく平幕の碧山も5戦全勝。
2人は6日目に対戦が組まれ、勝った方が単独トップとなる。
2022/05/12
4日目、照ノ富士が壁となって琴ノ若の前に立ちはだかった。
相手は初日から3大関を連破して勢いに乗る24歳の若手。
照ノ富士が負ければ、昭和以降では3例目となる平幕力士の横綱、大関総なめを許すことになる。
休場明けの初日こそ大栄翔に不覚を取ってしまった照ノ富士だが、そこは横綱。
日ごとに調子を上げてきた。
「そうですね、落ち着いてやれたかなと思います」。
まずは得意の右をねじ込み、左上手をつかんで琴ノ若の動きを封じる。
危なげなく寄り切って2日目から3連勝とした。
正代は立ち合いに苦しんでいる。
「自分の中で、決まっていないというほどではないが、つかめていない」。
高安との一番も立ち合いで鋭い体当たりをくらい、跳ね飛ばされた。
だが窮地で粘った。
俵に足をかけ、ねじ込んだ右が命綱になった。
土俵際でくるりと体を入れ替えて形勢逆転すると、低い姿勢で押し出した。
合口の良い高安から初日を出し「やりやすさは感じていないが、同じ組み相撲なので差し身に集中できている」と振り返った。
阿炎が力強く遠藤を土俵下に追いやって3連勝。
うまく相手の腕をたぐって中に入り、一気の寄り。
「突きにくい」と感じ、流れの中で柔軟に対応したことが奏功した。
「集中できている。これを糧に、できることをやっていきたい」と改めて気を引き締めていた。
4日目、小結・大栄翔が突き起こして攻め込んでおいてのはたき込みで先場所優勝の関脇・若隆景を破った。
「立ち合いでしっかり踏み込めているから、流れもいい」と完勝に納得の表情。
先場所「送りつり落とし」の大技で敗れた相手に雪辱を果たした。
突き押しの腕が良く伸びて連日会心の内容。
横綱、大関に続いて関脇も破って3勝1敗と星を伸ばした。
4日目、西前頭3枚目の玉鷲が初土俵からの連続出場を「1425」に伸ばし、歴代4位の元関脇高見山に並んだ。
西前頭4枚目隆の勝に下手出し投げで敗れて今場所初黒星。
初日からの4連勝を逃したが、角界の歴史にまた名を残した。
19年初場所には賜杯も抱いた37歳。
今年は1月の初場所、3月の春場所で金星を獲得した。
衰え知らずの突き押しと明るいキャラクターで人気を集める。
4日目、これぞ宇良というような立ち合いだった。
もぐりこむように体をかがめ、琴勝峰の懐に入る。
体勢はいつもよりさらに低く見えたほど。
間髪入れず前に出て、懐の深い相手に何もさせずに寄り切った。
体がよく動いており、「勝って良かったです」と目を細めた業師。
初日こそ翔猿に敗れたものの、2日目から3連勝。
星も伸びてきたが、「まだ4日目なんで。前半の一部でしかないです。特に(うれしいとか)何もないです」と話した。
4日目、千代大龍は珍手のとっくり投げで翠富士を破り、今場所の初日を出した。
言葉通り、とっくりをはさむように首をはさみこんで投げる技。
幕内では昨年九州場所で阿炎が佐田の海に決めて以来となる。
「決まり手がとっくり投げになってびっくりしました。狙ってできるもんじゃないし。決まり手とか内容じゃなく、1勝できたのがうれしいです」と初白星を喜んだ。
大相撲の三役格行司、木村玉治郎が腰椎椎間板ヘルニアのため、夏場所4日目の11日から休場した。
2022/05/11
照ノ富士に少しずつ力強さが戻ってきた。
頭をつけた霧馬山に対して「じっくりやった」。
慌てず、相手の上体を起こしてから豪快に切り返した。
休場明けで、初日こそ大栄翔に完敗したが、2連勝とした。
「できることはやれているんじゃないか」と納得顔。
3大関が総崩れし、早くも混戦の気配が漂う中、「始まったばかりだし、残りも気合を入れていきたいと思う」と言葉に力を込めた。
2日目に敗れ、迎えた遠藤戦。
技巧派に対して自分の相撲を貫いた。
低い立ち合いから動き続け、主導権を握る。
右から崩し、一回転して体勢を立て直そうとした相手をつかまえると、すかさず左からの上手出し投げ。
「下からよく攻めることができた」。
連敗しなかった安堵(あんど)感よりも、ぶれずに戦った満足感が漂っていた。
春場所後は慌ただしい時間を過ごし、賜杯を手にした者だけが知るその「重み」を実感してきた。
土俵入りでも、しこ名が呼び上げられると、館内からは大きな拍手。
己への期待の大きさは自覚しており、「あまりプレッシャーに感じないように、しっかり自分の相撲を取っていきたい」。
対戦相手からの警戒は高まる。
優勝力士としての重圧も、計り知れないものがあるだろう。
それでも、「そういうものはない。しっかり相撲を取るだけ」。
大関昇進の足固めを目指す場所。
短い言葉に意気込みが垣間見えた。
3日目、小結・大栄翔が大関・正代を一方的に押し出した。
これで正代戦4連勝。
のど輪の腕がよく伸びた会心の内容に「しっかり前に出て圧力をかけられたので良かったと思います」と納得の表情を見せた。
初日の横綱戦に続いて殊勲の星。
「胸を借りるつもりでやっているだけなので、それが良い結果になっている」と上位陣への強さを発揮した。
2日目は敗れたが連敗せず。
「(連敗癖が)一番の課題でもあるので、しっかり切り替えられて良かった」と課題克服へ手応えを得た。
琴ノ若が大関3連破。
御嶽海に追い詰められた土俵際、しぶとく右足1本で踏ん張っての突き落とし。
軍配は相手に上がったが、行司差し違えで白星を手にした。
「攻める姿勢を忘れなかったので、間合いをうまくつくれた」と振り返る。
土俵下の審判長は、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が務めた。
息子の勇姿にも「私は足元しか見ていないので」と素っ気なく、「もっと攻める気持ちを持ってほしい」と注文も。
琴ノ若は「とりあえず白星になってよかった」と胸をなで下ろした。
新弟子らによる前相撲が始まり、初の東大生力士となった須山(24=木瀬部屋)が初土俵で“プロ1勝”を挙げた。
名前を呼ばれた須山は、タイミングが分からず、行司に促されて土俵に上がった。
プロ初の一番。
相撲経験のない16歳を一気に寄り倒して完勝したが、取組前には緊張した様子も見られた。
大相撲の歴史に新たな一ページが刻まれたこの日、「始まったなという気持ち」と力士人生のスタートに実感を込めた。
師匠の木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)は「他の力士の刺激にもなる」と異色の新弟子を歓迎する。
東大相撲部OB会長で日本相撲協会顧問を務める櫟原(ひらはら)利明氏は「相撲エリートだけじゃなく、東大生も相撲をやれるんだと、多様性の象徴になる」と分析した。
2022/05/10
2日目、初日に不覚を取った照ノ富士が、執念で勝利をたぐり寄せた。
先場所12勝を挙げた大関経験者の高安を相手に得意の右四つに持ち込み、しぶとく食らいつく相手を小手投げで土俵にたたきつけた。
攻めきった末の仕切り直しの白星に「慎重に、前に圧力をかけていこうと思った。良かったと思う」と語った。
2日目、阿炎は北勝富士を突き出し、初日を出した。
「よかった。集中できたと思います」。
自己最高位の関脇2場所目。
先場所は同じ新関脇の若隆景が優勝を飾ったが、「星は気にしていない。自分の相撲を取りきれるよう準備していきたい」と邪念は排除する。
2日目、相手の立ち合いにひるむどころか、押し勝ったのは豊昇龍。
そのまま反撃を許さない。
御嶽海が回り込もうとした隙を見逃さず、真正面から押し出した。
「相手は大関だったので、自分を信じて思い切りいきました」。
4度目の対戦で御嶽海から奪った初白星。
成長ぶりをファンの目にしっかりと焼き付けた。
9日、琴ノ若は正代を突き落としで破った。
正代に右下手を許して押し込まれても簡単には諦めない。
琴ノ若は最後の最後、右足1本を俵の上に残して逆転の突き落とし。
微妙な決着となったが、物言いは付かず、執念で殊勲の白星をもぎ取った。
「(取り直しで)『もう一番ある』というつもりだった。ポイントのところは冷静に取れたかな」。
24歳は一切、表情を緩めることなく取組を振り返った。
自己最高位の西前頭2枚目に番付を上げて今場所を迎えた。
真価が問われる地位で、初日の貴景勝に続いて大関を連破。
先場所も正代と御嶽海に勝っており、大関戦は4連勝だ。
「稽古場でできることを少しずつ本場所でも出せるようになってきた。気持ちも乗ってよい相撲が取れている」。
3日目の御嶽海戦も思い切った勝負ができるか。
2022/05/09
8日、大関初優勝を目指す御嶽海が、上々の滑り出しを見せた。
高安にまわしを引かれたが、押しに徹っするとうまく回り込んで押し出した。
「ちょっと立ち遅れました。圧力がかからなかったけど、最後は力を出せてよかったです」
先場所も敗れ、取組前まで8勝20敗と差をつけられていたが「やりにくい相手にこうやって初日から勝てたので、うれしいです。気持ちよく明日からも臨める」と今後の手応えも十分につかんだ。
この日は母の日。御嶽海の母・マルガリータさんも白星のプレゼントを喜んでくれたことだろう。
大関昇進後は初めて母とのテレビ出演も経験した。
「いつもはプレゼント、花とかハンカチとかいろいろあげてますけど、場所がかぶることが多くなって、ぼくの白星がプレゼントでいいねって、楽してますけど。今の自分があるのもお母さん、お父さんのおかげなんで。お母さんには性格も似ていると言われるので感謝しかない」と思いを明かす。
母の日に勝てたことを「いい白星だったと思います。(メッセージは)まだです。送ります、帰ってから」とかみしめていた。
8日、東京・両国国技館で行われ、先場所優勝の関脇・若隆景は北勝富士を降し、白星を飾った。
初日に1横綱2大関が敗れ、上位陣がふがいなかっただけに、冷静さが際立った。
先場所の優勝で注目度が高まる若隆景が勝機を逃さず、三役経験のある実力者を退けた。
8日、小結・大栄翔が結びの一番で横綱・照ノ富士を倒した。
小結に返り咲いた大栄翔が休場明けの横綱を先場所に続いて破った。
低く当たって、突き押しを繰り出すと、下がった照ノ富士の引いた足が俵の外に出た。
大栄翔は「立ち合いが良かった。前に前にと出ることができた」と手応えを語った。
2021年初場所で初優勝した実力者は、横綱昇進後の照ノ富士との対戦成績が3勝2敗。
相手が新横綱だった同年秋場所でも土を付け、強敵ぶりを発揮している。
四方をびっしりと埋めた観衆が、琴ノ若に温かい拍手を送った。
「思い切って前に出ることだけを考えていた」。
24歳の若武者は、真っ向から貴景勝に挑んだ。
大関の圧力に屈することなく、うまくいなして崩し、一気に前へ。
「受け身にならずに攻めようと思った」と、突き押しで対抗。
腰をしっかり落として押し出した。
2場所続けて優勝争いに加わり、自己最高位の西前頭2枚目で臨む。
埼玉栄高の1学年先輩、貴景勝とは過去2戦2敗。
成長のほどを示すには、これ以上ない相手と言えた。
8日、大相撲夏場所初日から休場した東前頭16枚目・石浦が「頸椎(けいつい)捻挫、頸椎損傷疑いで3週間の安静・加療を要する見込み」と診断されたと発表した。
石浦は3月の春場所で首を痛めて4日目から途中休場し、11日目から再出場した。
観客数上限が通常の約87%の9265人に緩和され、コロナ禍の本場所では最も多い人数となった夏場所。
大広間でのちゃんこ販売も復活し、売店などいたるところでにぎわいを見せた。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は、活気が戻りつつあることに喜びながらも「内部で感染しないように対策を立ててやっていく」と引き締めた。
2022/05/08
土俵祭り終了後に優勝額贈呈式が行われ、関脇だった初場所で3度目の優勝を飾った大関・御嶽海と春場所で初優勝した若隆景が出席した。
ともに東洋大出身。笑顔で談笑するなどリラックスムードの2人は夏場所での健闘を誓い合った。
先輩の御嶽海は「3枚もらえて本当にうれしい」と述べると2場所ぶりの賜杯奪還に向け「しっかり4枚目を狙って頑張る」と意欲を燃やした。
後輩の若隆景も「5月場所も頑張ります。応援よろしくお願いします」とコメントした。
8日に東京都墨田区の両国国技館で初日を迎える大相撲夏場所では、先場所12勝で初優勝を飾った関脇若隆景が大関昇進への足固めを狙う。
今場所も勝ち星を2けたに乗せ、名古屋場所で昇進を懸ける形に持っていけるか注目される。
若隆景は「期待の声はすごく伝わってくる。応えられるように、やるべきことをやって臨みたい」と、自分の相撲に集中する姿勢を崩していない。
部屋で稽古相手を務める兄の若元春が「以前と比べて全然勝てない。10番取って1番勝てればよい方。(若隆景は)今、ノリノリなんで。気合もすごい」と語るように、心技体とも充実している。
7日、両国国技館で本場所の安全を祈願する土俵祭りが行われた。
春場所を途中休場した横綱照ノ富士や新関脇優勝した若隆景らに注目が集まる。
そんな中、関脇阿炎がこのほど、日刊スポーツの電話取材に対応。
同居を始めた家族や支えてくれた人への感謝を口にし、夏場所への意気込みを語った。
ようやく家族と一つ屋根の下での生活が始まった。
阿炎は「妻、娘が安心して暮らせるように強くならないといけない」と、父親としての一面を見せた。
新型コロナウイルスの感染対策のため初場所では1日当たり5000人としていた定員は、夏場所では通常の約87%に当たる9265人に緩和され、コロナ下では最多となる。
案内所(相撲茶屋)の営業も再開され、芝田山部長は「久しぶりにたくさんのお客さんが入るので、私たちも楽しみ。
力士たちが攻防のある相撲で盛り上げていけば、お客さんも戻ってくると思う」と期待を寄せた。
2022/05/07
取組編成会議が6日に開かれ、照ノ富士は初日に小結大栄翔、2日目には高安との一番が組まれた。
休場明けの横綱にとってカギとなる序盤戦は、難敵との連戦でスタートする。
四つ相撲にはめっぽう強いものの、馬力のある突き押しを受けると、上体が起きて苦戦する場面が多い。
昨年名古屋場所後に昇進してから、大栄翔とは4度対戦して2勝2敗。
春場所は12勝で優勝決定戦に進んだ高安にはしぶとさがあり、立ち合いで一気に主導権を握りたいところだ。
左膝の古傷などを悪化させた先場所は6日目から休場。
「常に痛みと付き合いながらやっている」と言うように、万全な状態で臨むことは難しい。
師匠の伊勢ケ浜親方は、「とりあえず相撲は取れる状態になっている。気合は入っているようだ」と現状を説明した。
6日、夏場所を前に、東京都墨田区の野見宿禰神社で行われた例祭で土俵入りを披露した。
メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬とワクチンのパイオニアであるバイオテクノロジー企業Moderna Inc.(以下、「モデルナ」)の日本法人であるモデルナ・ジャパン株式会社(東京都港区、代表取締役社長:鈴木蘭美、以下、「モデルナ・ジャパン」)は、5月8日(日)より東京、両国・国技館において開催される大相撲五月場所に、懸賞旗を掲出します。
この取り組みは三月場所に続き行われるもので、新型コロナウイルス感染症の拡大により、将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めて、若元春関、翔猿関、明生関といった若手力士の取組に懸賞旗を掲出する予定です。
モデルナ・ジャパンでは今後も、様々な伝統行事を通して、日本で生活する幅広い世代の人々に向けて、啓もう・支援活動を展開していきます。
2022/05/06
3日、東京・墨田区の出羽海部屋で稽古を行い電話取材に応じた。
新大関の春場所は優勝を逃したが、優勝に次ぐ11勝をマーク。
自己採点するなら「ほぼ高得点に近い場所だった。横綱、大関は毎回優勝争いに絡まなければいけないんじゃないかというのはありますけど、まあ新大関なんでいいんじゃいないかと、ぼくの中で。気楽にやれました、今まで以上に」と振り返った。
大関に昇進後はプレッシャーから解放され、余裕を持って土俵に上がることができた。
「関脇から大関に上がる緊張感の方が強かった。今は伸び伸びやれてる」と話す。
部屋関係者に新型コロナウイルスの感染者が出たため合同稽古に参加できず、関取衆との申し合いはできないまま場所に臨む。
「不安はない。大関としての仕事をしっかりやりたい」。
3場所連続で2桁勝利を重ねているが、大関初優勝を目指す今場所もまずは「絶対最低限クリアしないといけないので。最低10勝ですね」と目標を定めていた。
3日、報道陣の電話取材に応じ、大相撲夏場所に向け「定着と考えていたら、ダメだと思う。やっぱり上を目指してやっていく。勝ち越し以上を目指したい」と話した。
先場所では8勝7敗と勝ち越し。
今場所で2場所ぶりに三役に復帰するが「いつもと変わらない気持ちでいる」。
自身の課題について「やっぱり連敗をしないようすることが大事。しっかり一番、一番は本当に大事に集中していきたい」と語った。
2020年4月に通い始めた日大大学院を今年3月に修了した。
「相撲界のことをメインにして、ファミリービジネスとつなげて書いた」修士論文は実に40ページ以上に及び、担当教授からも高評価を受けた。
2年間の学業を通じて「相撲界も入門して師匠からいろいろ学んだことを引き継ぐが、同じようなことが会社にもあった。自分も継ぐことになったら、今の師匠の教えを継いでいきたい」。
その上で「簡単ではないんですけど、やっぱり確実に自分のためにはなる。意欲がある人はぜひやってほしい」と呼びかけていた。
3月の春場所で優勝争いのトップを走り続けた高安。
決定戦の末、賜杯は新関脇の若隆景にさらわれたが、死力を尽くしただけに、「また一つ、いい経験になった」と言い切る。
苦い結果も受け入れ、前向きに過ごしてきた。
先場所は持ち前の力強い取り口を披露して自己最多に並ぶ12勝。
初めて決定戦に進み、「ステップアップできた」と振り返る。
夏場所に向け、東京・両国国技館内の相撲教習所であった合同稽古には4日間とも参加するなど精力的。
けがもあって大関から転落したが、最近は納得いく稽古を重ねられているといい、「今が一番強いと思っている」。
口ぶりには自信もにじませる。
立ち合いから主導権を握り、素早く攻め切る相撲を磨いている。
自身の他に関取がいない所属部屋でも稽古量を増やし、さまざまなタイプの力士を相手に相撲を取るなど、工夫を凝らしてきた。
「(本場所で)落ち着いてできれば、負けることはないと思うので、当たり前のことを当たり前にやる」
新十両、新入幕、新三役と平成生まれで最初に出世してきた高安も、もう32歳。
「千秋楽まで優勝争いに加わるのが目標。初日から最後までいい相撲を取りたい」。
酸いも甘いも知り尽くしているからこそ、淡々とひたむきに初賜杯を目指す。
4日、千葉県松戸市の部屋で稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
2場所連続で11勝を挙げて千秋楽まで優勝争いに絡み、夏場所は自己最高位の西前頭2枚目。
「攻めていく相撲が特に出るようになった」と自己評価すると「この地位でしっかりいい相撲取りきることが、一つ重要になってくる。気持ちでは負けないようにいければ」と上位戦が多くなる15日間を見据えた。
夏場所は観客の上限が収容人員の約87%で開催。
通常に近い状態に戻る。コロナ禍直前はまだ十両だった琴ノ若は「新入幕の時には無観客だったので、お客さんがたくさん入っているイメージがあまりわかないんですけど、師匠たちが取っていた頃の(イメージ)は多少あって。ああいう空気感で自分も取れるんだなというのは楽しみ」と大観衆の中での土俵を心待ちに。
「力にできるように頑張ります」と気合を入れた。
幕内志摩ノ海が、夏場所後の6月19日に東京都内で結婚披露宴を開くことが4日に分かった。
昨年12月22日に先代井筒親方(元関脇逆鉾)の長女で、元タカラジェンヌの福薗清香さん(34)との婚約を発表していた。
夏場所は披露宴を前にした場所となるが、4日に電話取材に応じた志摩ノ海は「身が引き締まる思いです。プレッシャーはありますけど、守るべき人がいて自分なりに頑張っていきたい気持ちです」と話した。
清香さんとはすでに新居での生活も始めている。
責任も増し、「いい場所にしたい。しっかり調整していい結果を出したい」と稽古に余念がない。
夏場所は、次の名古屋場所へ向けた大事な場所にもなる。
「名古屋はデビューした場所でもあるし、新十両も名古屋。ご当所でもあるので、番付上位で頑張りたい。いろいろな思いがある場所なので、名古屋に向けてはずみをつけていきたい」と気合を入れた。
4日、「昭和の大横綱」大鵬の孫の幕内王鵬が東京・江東区の部屋で調整。
部屋の幕下以下の力士を相手に相撲を20番取って汗を流した。
新入幕で臨んだ1月の初場所は10日目に7勝目を挙げながら、5連敗で負け越し。
春場所の十両転落を経て、返り入幕を果たした。
「(新入幕の場所は)前半戦は良かったので、通用しなかったとは思っていない。あと1番で勝ち越しという気持ちが出て相撲がバラバラになった。しっかり自分の自信のある形で相撲を取っていけたら」と意気込んだ。
その王鵬には、本場所中に欠かさない清めの儀式≠ェあるという。
「朝出る前に、部屋を掃除したり、物を整えたり、帰ってきて洗濯したり…。きれいにして場所に行くというのは、ずっとやってます。(掃除や掃除は)割と好きなほうなので、自分でやる。頻繁に掃除機とか拭いたりとかしています」。
十両以上の関取になれば、掃除や洗濯などは付け人に任せるのが通例。王鵬の独自のこだわりがうかがえる。
今場所の目標は幕内初の勝ち越し。
「幕内で2場所目ですけど、まだ勝ち越していないんで。早く勝ち越して、そこから大勝ちを目指せたら」。
偉大な祖父に近づくために、目の前にある目標を一つずつクリアしていく構えだ。
先場所中に首を痛めた幕内・石浦は、初日から休場と発表されました。
2022/05/03
2日、西前頭筆頭の逸ノ城が新型コロナウイルスの検査で陽性となり、夏場所を休場すると発表した。
同部屋の幕下以下の力士に陽性者が出たため、1日に検査を受けた。
2022/05/02
5月場所での“復権”に向け、闘志を燃やしている横綱照ノ富士。
合同稽古は24日の最終日のみ参加し、時折バクダンを抱えるヒザを気にする様子もあったが、「リフレッシュできた」と自信をのぞかせた。
3度目のカド番を脱出した大関正代が29日、大好きな漫画が脱出の原動力だったと稽古後の電話取材で明かした。
カド番を乗り越え大関在位10場所目となる夏場所に臨む正代は、「春場所の始まったころにジャンプ(週刊少年ジャンプ)のワンピースとか呪術廻戦がすごくアツい時期で、(発売日の)次の月曜日が待てない感じでした。次はどういうふうになるんだろうな、とか。それで何とか精神状態を安定させていた感じです」
春場所は現行のカド番制度となってワーストとなる初日から4連敗を喫しながら、相撲のことを頭から切り離して9勝6敗と大逆転した。
「月曜日が気になりすぎて、どういう展開になるんだろうなとずっと想像していて逆に寝られなかったかも。自分らしさが出ていたのかなと思います」と漫画に助けられたという。
春場所は場所前に感染したコロナの影響もあって調整が遅れたが、今場所は豊山らとの申し合いも積めている。
先場所中盤以降の勢い継続が期待できそうだ。
2日、都内の部屋で稽古後に報道陣の電話取材に応じ、夏場所向けて「しっかり稽古して来ている。体調が悪いとかはない」と順調な調整ぶりを明かした。
大関とりの足固めを期す夏場所。
先場所で優勝決定戦と初優勝を経験したことには「そうですね。勉強になったと思います」と大きさを認めた。
長所である冷静さや平常心を保つメンタルについて、アマチュア時代から現在まで「経験が少しずつ気持ちのコントロールという部分では、良くなっているのかと」と自己分析。
初優勝の経験も「自分の力にしていきたい」と血肉に変える構えだ。
注目される優勝の翌場所。
周囲の期待の声も、もちろん届いている。
「本当に今場所からが大事だと思っている。期待に応えられるように自分もしっかりやるべきことをやって、今場所に臨みたい」と気合を入れる一方「あまりプレッシャーに感じないように、しっかり自分の相撲を取っていきたい」と落ち着いたところをみせた。
2日、電話取材に応じ「調整はすごく順調に進んでいると思う」と手応えを口にした。
2場所連続で優勝争いを演じた後、新関脇として臨んだ先場所は千秋楽で何とか勝ち越し。
「研究されている」と感じたという。
相手の対策を上回るべく、さらなる体幹の強化に着手。
体が起きないように低い姿勢を保つことを意識して、稽古に取り組んでいる。
念願だった妻子との同居も、先月末にスタート。
一昨年7月にガイドライン違反が発覚して3場所出場停止などの処分と部屋での生活を義務づけられ、新婚直後から別居していた。
「本来の形に戻れてうれしい。あらためて守っていかなきゃいけないなと思いますし、気持ちはすごくいい方向に向いている」と意気込みも新た。
長女の世話について「お風呂を担当しています」とうれしそうに“パパの顔”を見せつつ「安心させるためにも、強い自分を家族に見せられたら」と自覚がさらに増した様子だった。
1日、豊昇龍が電話取材に応じた。
この日、稽古が休みだった豊昇龍は、合同稽古前に「若い衆たちと70番近く取った日もありましたね」とし、番付発表後も30番取るなど精力的に汗を流している。
体は仕上がりつつあるようで「(状態は)悪くないです」と話した。
初優勝を果たした関脇若隆景(荒汐)については「すごいなと思いましたね。まあ、悔しい思いもありました」
豊昇龍にとって5歳上の先輩力士ながら、実は親しい関係だと言い「若い衆のときから仲がいい。一緒に合宿とか行っていたので」。
かつて荒汐部屋の合宿に参加したことがあり、三番稽古で互いに鍛えていたという。
夏場所に向けては「(三役)2場所目だし、このままケガせずに勝ち越しを目指したい。そうすれば次の目標も出てくるので」と力を込める。
一方で「次の目標? それは言いません」とその先に見据えるものは内に秘める22歳。
1日、報道陣の電話取材に応じ「大関時代より今は強い。まだまだ伸びしろもあると思っている」と意欲を示した。
32歳のベテランは春場所の優勝決定戦で関脇若隆景に敗れた。
4月下旬の合同稽古には4日間全て参加。田子ノ浦部屋は自分以外に関取がいない環境ながら、1日は東京都江戸川区の同部屋で約50番をこなし「力量的には差があるが、数を取っていけば下半身にも効いてくる」と手応えを口にした。
春場所で12勝をマークして自信を深め、初優勝、大関返り咲きを目指す。
「先場所の調子をしっかりキープして、もう一つ、二つエンジンをかけていきたい」と気合を入れた。
26日、関取衆の身長・体重を発表した。
十両以上の関取による親睦組織、力士会が両国国技館で行われ、会合後に体重を計ることが恒例となっている。
最重量は、5キロ増えて211キロとなった逸ノ城。
200キロ超えは、ちょうど200キロの十両剣翔を含めて2人だけ。
最軽量は十両炎鵬の100キロで、幕内では111キロの照強が最も軽い。
幕内力士の体重増減を見ると、最も増えたのは9キロ増量で141キロの豊昇龍。
8キロ増えて161キロの阿武咲、7キロ増えて184キロの高安が続く。
最も減ったのは、14キロ減で168キロの栃ノ心。
2桁減は栃ノ心だけだった。
幕内力士の平均身長は183・3センチ、平均体重は157・3キロ。
十両力士の平均身長は180・9センチ、平均体重は160・5キロ。
平均体重では、十両が幕内を上回った。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は27日、大相撲夏場所(5月8日初日・両国国技館)に向けて協会員を対象に27日に実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、親方や十両以上の力士は全員陰性だったと明らかにした。
大相撲の元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方が、今年に入ってから一般女性と結婚していたことが関係者への取材で分かりました。
元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方は、茨城県牛久市出身の35歳。
3年前の初場所で引退したあと、荒磯親方として後進の指導に当たり、去年8月には田子ノ浦部屋から独立して、相撲部屋を構えました。
12月には、大相撲に5つある一門の名前の1つになっている由緒ある年寄名跡の「二所ノ関」を襲名しました。
関係者によりますと、二所ノ関親方は3年前に知り合った6歳下の一般女性とことしに入ってから結婚したということです。
現在、二所ノ関部屋は茨城県つくば市に稽古場を設けていますが、ことし6月からは茨城県阿見町に新たに建設した相撲部屋で力士の育成に当たる予定です。
元横綱 稀勢の里の二所ノ関親方は二所ノ関部屋の公式ツイッターで「本日報道がありました通り、結婚をご報告いたします。より一層気を引き締めて、引き続き後進の育成に邁進して参ります。今後とも二所ノ関部屋をよろしくお願い申し上げます」と記しました。
2022/04/18
年間優秀賞 過去の年間集計一覧に誤りがございました。
平成30年(2018年)の内容が、平成29年(2017年)と同じ内容になっておりました。
ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
現在、修正は完了いしておりますで、ご参照頂ければ幸いです。
リンクは下記から。
年間優秀賞 平成30年(2018年)
2022/03/28
千秋楽、途中休場した横綱照ノ富士の現状について、師匠の伊勢ケ浜親方が説明した。
照ノ富士は右かかとや左膝の負傷で、18日の6日目から休場。
伊勢ケ浜親方は「もう上半身のトレーニングはしている。下半身はけがしたばかりだから様子を見ながら」と軽めの運動ながら、すでに始動しているとした。
千秋楽、大関正代が、関脇若隆景の本割での優勝を阻止した。
立ち合いでおっつけをくらってもろ差しとはいかなかったが、うまくつかまえて右をねじ込んだ。
好機とばかりに前に出て寄り切りで下し、9勝でかど番場所を締めくくった。
前日の14日目に勝ち越してかど番を脱出。
優勝争いでトップを走っていた若隆景との一番について「昨日勝ち越してなかったら相当緊張したと思う。伸び伸びやれました。好調と分かっていたので、当たり負けしたら厳しいなと思っていた」と振り返った。
千秋楽、御嶽海が、大関貴景勝を上手出し投げで破って、新大関場所を白星で締めくくった。
今場所は初日から4連勝し、終盤では優勝争いにも加わった。
2場所連続優勝とはならなかったが、11勝で終えて「いいんじゃないですか。悪くはないと思います」と振り返った。
一方で、東洋大の後輩の関脇若隆景が初優勝した話題を振られると「大関として恥ずかしいと思います」と厳しい表情を浮かべた。
千秋楽、新関脇の若隆景が12勝3敗で並んだ元大関の平幕高安との優勝決定戦を上手出し投げで制し、初優勝を飾った。
本県出身力士の優勝は時津山、栃東(初代)に続いて3人目で、栃東の1972年初場所以来50年ぶり。
新関脇の優勝は36年夏場所の双葉山以来86年ぶり、1場所15日制となった49年夏場所以降では初めてで、大関候補に名乗りを上げた。
ともに12勝2敗で千秋楽を迎えた若隆景と高安。
先に高安が敗れ、若隆景は結びの一番で勝てば初優勝が決まったが、大関正代に寄り切られた。
優勝決定戦では高安に攻め込まれたものの、土俵際での驚異的な粘り腰で逆転し、賜杯を手にした。
若隆景は3度目の技能賞に輝いた。
千秋楽、琴ノ若は下手出し投げで豊昇龍に敗れ、この時点で初優勝の可能性が消滅。
「そんなに(優勝争いは)頭に入れていなかった。この相撲を忘れず、この悔しさを忘れず、しっかり来場所に向けてやっていきたいと思います」と唇をかみしめた。
それでも2場所連続11勝で、千秋楽まで優勝争いに絡んだのは立派の一言。
来場所は自己最高位となる可能性が決定的で、さらなる飛躍が期待される。
千秋楽で、茨城県土浦市出身の平幕・高安が優勝決定戦で関脇・若隆景に敗れ、初めての優勝は逃しましたが、馬力のある相撲で初日から優勝争いを引っ張り、敢闘賞を受賞しました。
春場所の優勝争いは、27日の千秋楽で茨城県土浦市出身で前頭7枚目の高安と、関脇・若隆景がいずれも敗れて12勝3敗で並び、優勝決定戦が行われました。
優勝決定戦で高安は若隆景に上手出し投げで敗れ、初めての優勝を逃しました。
高安は「力が足りなかった。最後は気持ちしかなかったので、すべて出し尽くしました」と話していました。
高安は優勝こそ逃しましたが、馬力のある相撲で初日から優勝争いを引っ張り、敢闘賞を受賞しました。
千秋楽、十両は東13枚目の竜電が13勝2敗の好成績で優勝した。
水戸龍を相手に左上手をつかみ、頭をつけるしぶとい相撲で寄り切った。
「相撲をとれることがうれしいです。感謝してこれからもやっていきたい」。
三役経験のある実力者だが、不要不急の外出をした日本相撲協会のガイドライン違反をしたとして昨年夏場所から3場所連続の出場停止処分を受けた。
復帰した昨年九州場所で幕下優勝を飾り、先場所も6勝をあげて関取の座に戻った。
来場所は再入幕を狙える地位まで番付を戻すことは確実となった。
「毎日いい相撲をとろうとやってきたのがよかった。しっかり稽古していきたいと思います」と話した。
2022/03/27
14日目、正代がようやく大関かど番を脱出した。
優勝争いで単独トップだった高安に土俵際のすくい投げで逆転勝ち。
土壇場で意地を見せ、「相手の相撲になったが、最後まで諦めなかった。何かしようとしたのがうまくいった」と胸をなで下ろした。
今場所は初日から4連敗を喫し、「勝つイメージが全然できない状態だった」と振り返る。
「それを考えると、勝ち越しているのがすごい」。
率直に喜びを口にした。
14日目、西大関・御嶽海は西前頭6枚目・琴ノ若に押し出しで敗れた。
4敗目を喫し、優勝の目がなくなった。
千秋楽の27日は西大関・貴景勝と対戦する。
御嶽海は精彩を欠いた。
立ち合い左を差され、右も差されると上体が起き、そのまま土俵を割った。
貴景勝はここまで8勝6敗。
過去6場所では御嶽海の2勝1敗となっている。
14日目、小さな体をぶち抜くような重い押しを、関脇若隆景はあごを引き、下からあてがってしのぐ。
大関貴景勝は押し切れず、思わず引いた。
その瞬間を見逃さなかった。
右を差し、左も差して前へ。
こうなれば過去1勝5敗という対戦成績は関係ない。
伸び上がった貴景勝を難なく寄り切った。トップタイの2敗。
千秋楽で初優勝に挑む。
「押し込まれましたけど、はたかれたときに足が運んだんで。そこはよかった。しっかり踏み込んで下から。そういう攻めですね」
本割で決まるのか、決定戦か、ともえ戦か。
いずれにしてもやることは一緒だからなのか、ここまできても多くは語らず静かに闘志を燃やす。
14日目、幕内琴ノ若が大関御嶽海を押し出しで破り、11勝目を挙げた。
優勝争いでトップの幕内高安が敗戦した直後の一番。
負けた方が、脱落する中で新大関を撃破した。
前日の正代戦に続く、2日連続での大関戦勝利に「踏み込んで負けずに、中に入れればいいかなと。あまり覚えていない」と無我夢中だった一戦を振り返った。
この日の取組前には父で師匠の佐渡ヶ嶽親方から金言≠授けられたことも明かした。
「『相手の方が上なので自分の力を試すと思って思い切っていってこい』と言われた。対策を練っても硬くなるだけ。それで肩の力が抜けた」
先の初場所も終盤まで優勝を争ったことも自信となっている。
その一方で「これで終わりじゃない。今日は今日。明日に切り替えてやっていきたい」と言い切り、最後の一番への集中を強調した。
14日目、単独首位だった元大関の平幕高安が大関正代にすくい投げで敗れ、2敗目を喫した。
立ってすぐ高安は左上手の良い位置を引いた。
正代の寄りを一度こらえてから反転攻勢。
必死の形相で寄り立てていく。
正代を土俵際まで追い詰めた次の瞬間、相手の右からのすくい投げで、ごろんと裏返しに。
悲鳴と歓声が館内に交錯した。
優勝決定は千秋楽へ持ち越しとなった。
高安は土俵から下がる際、わずかに首をひねり、オンライン取材に姿を見せなかった。
土俵下の高田川審判長(元関脇安芸乃島)は「高安は良い形になったけど、そこから出すぎてしまった。いつもならゆっくりジリジリ行くんだけど、焦りが出たのか」と異変≠指摘する。
2年に1度の役員改選に伴い、日本相撲協会が28日に開く理事会で現職の八角理事長(58=元横綱北勝海)の再選が確実であることが26日、関係者の話で分かった。
評議員会で親方10人の新理事を承認し、その後の理事会で理事長を互選する。
15年11月に急逝した北の湖前理事長(元横綱)の後を受け継ぎ、実質4期目に入る。
1月の役員候補選挙では無投票で当選者が決定。
理事候補に新任の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)、11年4月以来の復帰となる陸奥親方(元大関霧島)らが名を連ねた。
2022/03/26
13日目、正代は琴ノ若に苦杯をなめ、13日目でのかど番脱出はならなかった。
「他の相撲と比べてすごく硬かった。意識しないようにしていたけど、意識しちゃうところがあった」と率直に話した。
立ち遅れ、後手に回った。
突き、押しで上体を起こされ、防戦一方で土俵を割った。
6連勝で勝ち越しに王手をかけ「流れを止めたくない気持ちはあった」という。
14日目は高安戦が組まれ、千秋楽は若隆景戦が濃厚。
場所の主役との連戦が予想される。
苦境の大関は「とりあえず自分らしさを出せたらいい。いつも通りに取れたらいいと思っている」と自然体を強調した。
13日目、新大関の御嶽海が意地を見せた。
1敗でトップに並んでいた若隆景を圧倒し、優勝争いに踏みとどまる10個目の白星。
すぐに左を差すと、相手に反撃の隙を与えずに寄り切った。
余裕十分の表情で勝ち名乗りを受け、「(相撲内容は)問題なかった」。
少ない言葉に満足感をにじませた。
若隆景は東洋大の2学年後輩。
絶対に負けられない存在だった。
強烈な対抗意識はたびたび口にしており、2度目の顔合わせとなった2020年11月場所では全く寄せ付けず、「レベルが違う」とまで言い放った。
その後、急速に力をつけてきた後輩には、初めて敗れた昨年の名古屋場所からは五分の対戦成績だった。
それだけに、「しっかり勝ちにいこうと思っていた」。
快進撃の引き立て役になるわけにはいかなかった。
2桁白星に到達し、大関としてただ一人、優勝の可能性は残した。
「一つの目標はクリアできたので、気持ちよく帰りたい。あと2日、頑張っていきたい」。
角界を背負う立場として重責は承知している。
13日目、若隆景は立ち合いで持ち前の厳しさを発揮できず、御嶽海に体を起こされて完敗。
「先に攻められた」と悔しがった。
右上手を狙った動きに、八角理事長は「勝ちたい気持ちが出た。おっつけてからいかないと」と言い、優勝争いの重圧も影響したと分析。
1差で高安を追う状況となり、若隆景は「あと2日、思い切って相撲を取りたい」と自らを奮い立たせた。
13日目、琴ノ若は正代に完勝し、2場所連続の2桁勝利を果たした。
6連勝と勢いを取り戻した大関を強烈な喉輪でのけ反らせ、右上手も取って寄り切り。
24歳の大器は「覚えていない。思い切っていくことを考えていた」と声を弾ませた。
3敗を守ったが、単独首位の高安とは2差。
わずかに残す初優勝への望みをつなげるためにも、負けは許されない。
14日目は御嶽海戦が組まれ、連日の大関戦に挑む。
「相手が誰であろうと、やることは変わらない。気持ちを崩さず、強気に思い切っていく」と頼もしかった。
13日目、悲願の初優勝に向けて、東前頭7枚目高安が単独トップに立った。
大関貴景勝を上手投げで破って12勝目。
1つ前の取組で並走していた新関脇若隆景が2敗に後退した。
14日目に大関正代に勝ち、若隆景が負ければ初優勝が決まる。
新入幕から苦節101場所目で、多くの苦楽を経験してきた実力者がついに賜杯を手にする時がきた。
2022/03/25
12日目、正代が貴景勝との大関対決にも快勝し、6連勝でカド番脱出へ王手をかけた。
当たってすぐ、差した右腕を返しての寄り切り。
「今場所一番いい立ち合いができた」と満足感を漂わせた。
6日目、玉鷲に一方的に突き出されてからV字回復した。
「がむしゃらに取った結果。千秋楽まで続けられたら」と気持ちの切り替えが奏功している。
12日目、御嶽海は高安に寄り切られ、3敗に後退した。
連覇が遠のいた取組後は取材に対応せず会場を後にした。
伊勢ケ浜審判長は「胸を合わせて半身になってしまった。あまりにもまともに差しにいった」と無策だった立ち合いに敗因を求めた。
13日目は1敗の若隆景戦。新大関の存在感を示したいところだ。
12日目、若隆景は俵に足がかかっても、自身の相撲スタイルを貫き通した。
立ち合いは下から鋭く。それでも体格で勝る琴ノ若の出足に後退した。
若隆景は左からおっつけ、右は下手を引いて残すと頭をつける。
こうなると若隆景のペースだ。
体勢が苦しくなった琴ノ若が強引に投げを打ってきたところを、サッと前に出て寄り切り。
高安が登場する結びの一番を前にトップを守った。
「まあ、体が動いていたんで。下からという意識を持って相撲を取りました」と、いつものように淡々と振り返る。
11日目を終えてトップ。
当然ながら賜杯も視界に入っているはずだが「一番一番、しっかり取りたいと思います」と高ぶりも見られない。
この取組を見た八角理事長は「おっつけながら残る意識があったよね。あそこで投げとか苦し紛れにいかないから残れる。よく、最初に寄られたときに引き落としとか投げにいかずに我慢したよね」と一つのことに徹する強さを評価した。
12日目、若隆景に寄り切られ、3敗に後退した琴ノ若は「相手どうこうより自分の問題。攻めきれなかった」と反省した。
立ち合いから若隆景の両足が俵につくまで押し込んだが、痛い連敗。
13日目は11日目の貴景勝戦に続く今場所2度目の結びの一番で大関・正代に挑む。
「切り替えて、前へ出る相撲を取れたら」と前向きに話した。
前日の初黒星の影響はみじんも感じさせなかった。
結びで新大関の御嶽海を圧倒。
1敗を堅持した高安は柔らかい表情で「きょうも気楽に、のびのびやろうと思っていた」。
賜杯争いの中にいる緊迫感が、不思議と伝わってこなかった。
立ち合いで浅く左上手をつかみ、「いいところが取れてペースを握れた」。
胸を合わせると御嶽海の動きが止まる。
慌てず右前まわしも引き、相手の巻き替えに乗じて寄り切った。
優勝戦線に絡むのは1年ぶり。
昨年の春場所は12日目まで単独トップを守ったが、硬さが出て翌日から3連敗を喫した。
何度も味わった苦い経験から学んだのは、「切羽詰まってやってもいい結果は出ない」ということ。
この日の相撲ぶりからは、精神面での進歩が垣間見えた。
2敗力士が消え、若隆景と一騎打ちの様相を呈してきた。
「持てる力を土俵で発揮して、それで負ければ弱いということ。精いっぱい取って後は結果がついてくる」。
経験豊富の元大関。
最後まで肩の力さえ抜ければ、初優勝が見えてくる。
2022/03/24
正代は立ち合いでしっかり当たって宝富士の動きを止めると、タイミング良く突き落とした。
5連勝で白星を先行させ、「気持ちにも余裕が出てくる」と一息ついた。
大関かど番の今場所は初日から4連敗。
「だいぶ苦しい展開だった」と振り返る。
それでも5日目に初日を出してから、「ちょっと変わってきたのかな」。
12日目は貴景勝と大関同士の一番。
苦しい状況は変わらないが、「いい流れが来ているので。止めないようにできたらいい」と前向きだった。
11日目、貴景勝は立ち合いで琴ノ若にいなされたが、すぐに体勢を立て直して反撃。
左から突き落として土俵にはわせた。
正面から当たってこなかった埼玉栄高の後輩に思うところがあったのか、取組後は眉間にしわを寄せた。
けがによる休場明けの今場所、2日目から連敗を喫した。
相撲勘を心配されたが、持ち前の気持ちの強さで徐々に復調。
かど番脱出を決め、無言で引き揚げた。
11日目、前日10日目に2敗目を喫した新大関の御嶽海が、気落ちすることなく9勝目を挙げた。
全勝の高安に土がついたため、再びトップに1差と射程圏に入って残り4日の土俵に臨む。
突き押しの阿炎の、強烈なアゴ付近への突きにもアゴを上げず、したからあてがいながら対応。
距離を開けず突きの腕を伸ばさせず、逆におっつけながらの攻めで圧力をかけ、上体が上ずった阿炎を引き落とした。
1つ負けると、それが尾を引きガタガタと崩れるのが三役常連だった頃の御嶽海で、日本相撲協会の八角理事長も、そのたびに「明日が大事」と連敗しないことを求めていた。
11日目、白星を並べてきた好調の実力者にもひるまなかった。
若隆景は、突き放そうとする高安の脇が空いたところを逃さず、おっつけて食らいついた。
双差しになると、約50キロの体重差をものともせずに前に出て決着をつけた。
「下からよく攻められた」と若隆景。
土俵下で見届けた高田川審判長も「下からおっつけて、いい相撲ですね」と評価した。
11日目、貴景勝に挑んだ琴ノ若は、土俵際で突き落としに遭い、2敗と一歩後退した。
立ち合いでやや右へとずれて大関の意表を突き、一気に巨体を生かして押していった。
ただ、その作戦も実らず、最後に逆転される形となり「思い切りなんでもやろうと気持ちだけは負けないようにいきました。最後の部分、もっときっちりいければ良かった」と振り返った。
11日目、高安についに土がついた。
若隆景にもろ差しを許し、抵抗するも及ばず。
初日からの連勝は10で止まり、若隆景と1敗で並走となった。
取組後はオンライン取材に応じず。
悲願の初優勝に向けて2連敗は避けたい中、12日目は直近の対戦では2連敗中の新大関御嶽海と対戦する。
左肩の負傷により、大相撲春場所7日目から休場した西前頭13枚目の千代の国が12日目の24日から再出場することが23日、決まった。
栃ノ心はくせ者の照強に潜り込まれたが、肩越しにまわしをつかみ、力ずくでつり出した。
豪快な相撲で8場所ぶりに給金を直し、「長かった。よかった」と胸をなで下ろした。
怪力自慢の元大関も、けがなどがあって幕尻近くまで番付を落としている。
それでも、「気持ちは折れていない。まだまだやれる。頑張れる」。
34歳は言葉に力を込めた。
2022/03/23
10日目、相撲巧者のしぶとい相手を攻め続け、星を五分にした。
序盤は元気のなかったカド番大関の正代が、力強さを取り戻してきた。
ともに学生相撲出身で1学年上の遠藤に対し、立ち合いで左を差して組み止めた。
押されながらも右をねじ込むと、今度は一気に前に出て、最後は力強く押し出した。
「攻めが早かったから良かった」と手応え十分の内容だった。
1936年5月場所。
優勝を飾ったのは69連勝へ向けて歩み始めていた新関脇の双葉山だった。
同じく新関脇若隆景の行く先にも同じ光景が見えてきた。
双葉山以来、86年ぶりとなる新関脇優勝。
歴史的な快挙に向け、若隆景は前へ前へ。
10日目、阿炎を寄り切り1敗を守った。
「下からの意識で取れたと思います。自分の相撲に集中してます」。
相撲内容も、日々の言葉も全くぶれることがない。
祖父は元小結若葉山。
今場所は番付を抜き「一つの目標だったのでうれしい」と祖父へのいい報告ができた。
その祖父は、双葉山の弟子として教えを受けた。
双葉山は41年5月に師匠と横綱の二枚鑑札として「双葉山道場」を開設。
若葉山はその「双葉山道場」から42年1月場所に初土俵を踏んだ。
双葉山以来の記録的な優勝を成し遂げられれば、それこそ何よりの恩返しとなる。
10日目、春場所4日目から休場していた西前頭5枚目の石浦が再出場する。
日本相撲協会は22日、11日目の取組を発表し、石浦と西前頭7枚目隠岐の海との対戦が組まれた。
石浦は4日目の16日、日本相撲協会に「頸椎(けいつい)症性神経根症の増悪により2週間程度の安静加療を要する」との診断書を提出して休場した。
2敗目を喫した3日目の琴ノ若戦で土俵下に転落し、しばらく動けない場面があるなど状態が心配されていた。
10日目の時点で1勝3敗6休。
残り5日間で来場所の幕内残留を懸ける。
10日目、西前頭6枚目の琴ノ若は大栄翔の突き押しに押し込まれたが、うまくはたき込んで1敗をキープした。
前に押し込みたかったそうだが「自分の空間で勝負できたので、最後はああなったと思います」とうなずいた。
先場所に続いて優勝争いに絡む24歳。
11日目は結びで大関貴景勝に挑むが「気持ちは変わらず、自分の相撲を取りきるだけです」と静かに闘志を燃やした。
10日目、東前頭7枚目高安が、小結豊昇龍を寄り切りで下し、初日からの連勝を10に伸ばした。
くせ者の相手にもろ差しを許したが振りほどき、次は頭を胸に着けられて粘られた。
攻め手に欠いたが我慢。
次は半身になられて小手投げや首投げを試みられたが、それも耐えてしのぐと力が抜けた豊昇龍を寄り切った。
平幕の初日からの10連勝は10年名古屋場所の豊真将以来で、単独首位をキープした。
悲願の初優勝が近づき「千秋楽まで優勝争いを意識していきたい」とはっきりと口にした。
2022/03/22
9日目、大関かど番の正代は豊昇龍に初めて勝って3連勝。
右上手を与えて攻め込まれたが、圧力をかけて体を寄せた。
過去4戦全敗だった新小結から何とか白星をもぎ取り、「落ち着いて取れた。素直にうれしい」と表情を緩ませた。
かど番脱出まではあと4勝。
「いい流れが来るんじゃないかなとは思っている」。
負けが込み、重苦しかった雰囲気も和らいできた。
9日目、照ノ富士をも沈めた玉鷲の強烈な突き押し。
大関御嶽海はしかも、一瞬立ち遅れたように見える。
押し込まれ、厳しい展開。
だが、巧みに下からあてがいながら、右手でまわしをつかんだ。
水を得た魚のように形勢逆転。
一気に前に出て寄り切った。
9日目の勝ち越し。
新大関としてプレッシャーのかかる場所で、5日目に霧馬山に不覚を取っただけで安定した相撲が続いている。
ただ、今場所初めて応じたリモート取材では「あと2つ勝たないと、大関の勝ち越しじゃないので」と口元を引き締めた。
9日目、新関脇の若隆景が自己最速の9日目での勝ち越しを決めた。
体重で76キロも上回る逸ノ城に抱え込まれ膠着(こうちゃく)状態が続いたが、粘り強くもろ差しになると渾身(こんしん)の寄り。
「我慢して下から、下からという意識。体が小さいんで、しっかり下からという意識を持ってやっています。よく我慢できたかなと思います」。
優勝争いも注目。
八角理事長は「自信がつくのでは。ぎりぎりの勝ち越しではないから。この場所まだあるから」と話した。
9日目、西前頭4枚目の遠藤が、大関貴景勝を寄り倒し、6勝目をあげた。
突き放しにくる大関に対し、右を差して引いたところを一気に出た。
「しっかり集中できてよかったです」と振り返り、ここまでの相撲を「すごくいいわけではないが、相撲がとれている感じです」と話した。
3年ぶりに有観客での大阪場所。
「声援が力になっています」と言った。
9日目、翔猿が捨て身で打ってきた土俵際の下手投げにも冷静に反応した。
琴ノ若はすぐさま小手投げを打ち返し、棒立ちとなった翔猿を続けざまに押し出した。
2人の2敗力士に土がつき、優勝争いが絞られてくる中で琴ノ若は1敗を死守。
伸び盛りを証明するかのように、昨年の名古屋場所の10日目を上回り、自己最速となる9日目での勝ち越しを決めてみせた。
「どんどん前へ攻める相撲を心がけてきて、少しずつ出てきている」
昨年の秋場所はけがで途中休場。
番付を下げていったが、今年の初場所は、千秋楽の取組に勝てばともえ戦出場という大活躍で11勝。
まだ9日目だが、2場所連続で目が離せない存在となっている。
9日目、大関経験者の東前頭7枚目・高安が碧山との激しい攻防を制して初日から負けなしの9連勝を飾った。
重い相手に押し込まれたが、粘って冷静に対処。最後は押し出した。
高安がただ1人勝ちっぱなし。
連勝を「9」に伸ばした。
重量級の碧山が蹴返しをみせるなど必死の抵抗を耐えしのぎ、最後は押し出した。
「全体的に前に攻めた相撲だった」と振り返りつつ、「余計なはたきもあったが、もうやらないようにします、次から」と反省も。
悲願の初優勝に前進も「こういうシーンは今までもあった。いろんな経験があっての今場所。気を引き締めていく」と言った。
4月26日に65歳で日本相撲協会の定年を迎える尾車親方(元大関・琴風)が21日、オンラインで記者会見した。
14歳で佐渡ケ嶽部屋に入門してからの51年間を振り返り、「思い返せば本当にいろいろなことがあった。苦しいことも、つらかったことも、終わってみると、いい思い出」と心境を語った。
2022/03/21
8日目、遅ればせながら、かど番大関の正代にエンジンがかかってきた。
霧馬山を寄り切り3勝目。
今場所初の連勝に「負けている時よりは精神的に安定していると思う」と一時のスランプからは脱しつつあるようだ。
8日目、同じ25歳。
小さい頃からよく知る相手だけに、貴景勝の立ち合いに迷いはなかった。
頭から阿武咲にぶつかると、乾いた音が館内に響き渡る。
土俵下で見た高田川審判長が「強い当たりだった」とうなった。
下から圧力をかけて上体を起こすと、左から狙い澄ましたような突き落とし。
横綱不在の結びを締め、白星が五つ並んだ。
自身5度目の大関かど番。
首には古傷を抱え、先場所は序盤戦で右足首を痛めて途中休場した。
このところ、けがが目立つようになり、成績は浮き沈みを繰り返している。
8日目、新大関・御嶽海が会心の相撲で1敗を守った。
新小結・豊昇龍に頭から当たると、何もさせずに一気に押し倒した。
会心の内容で、新大関での勝ち越しに王手。
取組後のリモート取材にはこの日も応じなかった。
八角理事長は「立ち合いの踏み込みが良かった。立ち合いがいいから豊昇龍が何もできなかった。この立ち合いを15日間やることが(今後の)課題でしょう。関脇だったら一つぐらい負けてもいいと思っていたかもしれない。大関(という地位が)がいい方向にいっている。大関だからいい緊張感でいって、いい方向に出ている。集中もしている。大関というのがいいような気がしますね」と話していた。
8日目、新関脇・若隆景が、業師の西前頭筆頭・宇良を終始、攻め立てて完勝した。
低く鋭い立ち合いから先手を取ると、最後は左押っつけで体を起こし、差した右かいなも返して寄り切った。
「(相手を)正面に置いて、下から(攻める)という意識だった」と振り返った。
新関脇で1敗と好調。
「体は動いていると思う」と話した。
八角理事長は「非常にいい。左からの絞りが良かった。下から下からの正攻法がいいですよ。今後、上位と対戦してもいい内容、おもしろい相撲になると思いますよ。立ち合い負けしないこと。今場所も今後もそれができればもっと上の番付にいける」と期待をかけていた。
8日目、西前頭6枚目・琴ノ若が、相撲巧者で同4枚目の遠藤を馬力で圧倒した。
右を差して前進すると、相手の巻き替えに乗じて押し出した。
琴ノ若は「相手は相撲がうまいので、思い切って何でもやろうと思っていた。最後の最後まで先に攻めることができたと思う」と、うなずいた。
24歳の若武者は先場所、千秋楽まで堂々の優勝争い。
今場所も1敗と好調を維持している。
「星数関係なく攻める気持ちを忘れずに、残りも一番一番頑張っていければ」と気合を入れ直した。
八角理事長は「前に出ようとする意識がある。それをやっていったら力は付いていきますよ。いい体を持っているんだから、使わないのはもったいない。あの(体の)大きさで前に出られると、押し返すのは厳しい」と、評価していた。
8日目、東前頭7枚目の高安の快進撃が止まらない。
攻めの速い相撲へとモデルチェンジした元大関の実力者が、2017年春場所以来の初日から8連勝。
「先に先に先手を取って攻めることができました。全体的に前に出てますから」。
大関時代と同じ183キロまで戻した体を生かして前に出る。
5年前の春場所は兄弟子で新横綱の稀勢の里についていき、2人でトップを並走した。
「部屋の横綱とずっと連勝してたこと覚えてます」。
今場所は単独トップで、悲願の初優勝へ向かって折り返した。
左四つ、押しでも取れる高安だが、大きく変えたのは立ち合い。
師匠の田子ノ浦親方は「今までだったら左を差す立ち合いだった。今は右の上手から攻めている」。
立ち合いの左差し狙いが相手に読まれ、「分かっている相手におっつけられて、体が浮いたりしていた。体も左に流れて、当たりの力を相手に与えられていなかった」と師匠。
立ち合いで右から攻めることで真っすぐ相手に圧力をかけ、速い相撲につながっている。
2022/03/20
7日目、結びの一番に臨んだ、かど番大関の正代が、明生の攻めを何とかしのぎ、すくい投げで破り2勝目を挙げた。
左四つに組みながら、明生の圧力に後退。何とかしのぎ、なおも足をかけられながら寄られたが、体を開いての投げで白星をもぎ取った。
かど番脱出に、依然として苦しい状況に変わりはないが、日本相撲協会の八角理事長は「結びの一番だから、これぐらいの気持ちで取ってほしい」と、この日は闘志が相撲に表れていたことを読み取った。
その上で「大阪のファンだけでなく、地元(出身地の熊本)のファンも応援している。
このまま、あきらめずに頑張ってほしい」と今後の巻き返しに期待していた。
7日目、大関貴景勝が、連日の横綱、大関撃破で勢いに乗る玉鷲を下し、かど番脱出まであと3勝とした。
低く激しくぶつかり、突き押し自慢の相手を一気に土俵外へ押し出した。
3日目に2連敗を喫するも、4日目から立て直して4連勝。
集中するかのように、取組後はオンライン取材に応じずに会場を後にした。
7日目、新大関の御嶽海は阿武咲を引き落として6勝目。
7日目、大栄翔の重い突きをはね上げながら、その時を待った。
一瞬の隙を突いて左からいなし、若隆景が体勢を逆転。
大栄翔を半身にさせ、深く差した両腕で抱え上げながら前へ。
2007年秋場所で安馬が新入幕の豪栄道に決めて以来、幕内では15年ぶり4度目となる「送りつり落とし」の大技を決めてみせた。
若隆景が中学1年生だった15年前に出たその大技は「(見たことは)あります」と記憶にはあった。
ただ「いつも通り下から下からという意識です。
一生懸命取っただけです」と自分の相撲に徹した結果が、新関脇で7日目を終えて1敗キープという好成績につながっている。
7日目、阿炎の気力が充実している。
不祥事もあって遠ざかった三役の地位に、約2年ぶりに新関脇として復帰。
勢いに乗って小結に昇進した時とは「気持ちの部分で違うようにしないといけない」。
そう心に決めて臨んだ大阪の土俵で、高い集中力を保っている。
宇良との一番は、立ち合いがやや合わなかった。
攻め切れず、潜り込まれたものの、冷静だった。
上手投げで相手をはわせ、連敗はせずに5勝目。
「集中していたので対応できた」。納得の表情を浮かべた。
7日目、24歳の琴ノ若の勢いが止まらない。
照ノ富士の休場で横綱不在となった土俵を、けれん味のない相撲でもり立てている。
立ち合いで当たって懐に入ろうとした佐田の海を右からいなし、後ろを向かせて危なげなく送り出した。
34歳の相撲巧者の差し手を封じ「体が動いてくれた」と琴ノ若。
反応の良さが好調さを物語る。
土俵下の錦戸審判長も「粗削りだけど、元気がいい」と評価した。
7日目、高安が北勝富士を退け、大関だった2018年秋場所以来となる初日からの7連勝。
「前に出られたのでよかった。こっちから押し込んでいく流れができている」とうなずいた。
無傷の勝ち越しが懸かる8日目は2敗の若元春との対戦。
好調な相手と初の顔合わせにも「自信がついているし、気力十分でできている。千秋楽まで盛り上げられたら」と自信をのぞかせた。
7日目、西前頭13枚目・千代の国が大相撲春場所7日目の19日、日本相撲協会に「左三角筋筋損傷につき、2週間の安静加療を要する見込み」などの診断書を提出して休場した。
今場所は6日目を終え、4勝2敗だった。
6日目の荒篤山との一番で受傷。
はたき込みで敗れた際には、左肩を押さえるそぶりをしていた。
7日目の対戦相手、平幕・照強は不戦勝。
今場所の関取の休場は平幕・石浦、横綱・照ノ富士に続いて3人目となった。
2022/03/19
6日目、一人横綱の照ノ富士が横綱昇進後で初となる休場となった。
古傷であるヒザに続き、先場所に痛めた右カカトの負傷を抱えながら土俵に立ち続け、普段は痛みを表に出さない男にとっては無念のリタイア。
だが、今後も活躍を続けるためには英断だったという。
照ノ富士が「右踵骨骨挫傷、左変形性膝関節症」で、2020年秋場所以来となる12度目、横綱昇進後で初の戦線離脱となった。
師匠の伊勢ヶ浜親方(元横綱旭富士)は「本人からの申し出。(普段は)自分から言ってくる子じゃない。あの状態で普通に相撲を取っているのが(普通じゃない)」と明かした。
6日目、かど番の大関正代(30=時津風)が、痛い5敗目を喫した。
5日目に横綱照ノ富士から金星を挙げた玉鷲に、立ち合いから一気に突き出される電車道の相撲を取られた。
1勝5敗。
勝ち越しに向けて苦しい状況となった。
「左が入ったように感じたけど、持って行かれた。立ち合い自体は当たれたような気がするんですけどね。密着できなかった。相手の手を伸ばさせてしまった」と悔やんだ。
6日目、新大関が場所の主役を託された。
御嶽海が明生を気迫に満ちた攻めの相撲で寄り切り、連敗を回避。
照ノ富士の休場で横綱不在となった場所で、大関陣でただ一人1敗を守り、場所を引っ張っていく。
その主役は、この日もオンライン取材には姿を現さなかった。
初日から6日連続で無言を貫いているが、場所前は対照的に冗舌だった。
初場所後に新型コロナウイルスに感染。
回復後は基礎運動に重点を置いて汗を流してきた。
不安視する声に対しても「不安はそんなにないですかね。どうにかなります。どうにかさせます」と話していた。
6日目、新関脇の若隆景が小結隆の勝を引き落とし、1敗を堅持。
動きの激しい一番を制し「体は動いているのかなと思う」とうなずいた。
場所の前半は苦戦することが多く、6日目を終えて1敗は幕内12場所目で初めて。
「(優勝争いの意識は)全くない。自分の相撲に集中するだけ」と言うが、得意の後半戦へ向け楽しみな存在になってきている。
6日目、新小結の豊昇龍は阿炎に逆転勝ちし、星をまた五分に戻した。
2連敗スタートから徐々に盛り返しているが、「あまり気にしてはいない。これからが大事」と冷静だった。
持ち味の反応の良さと、足腰の強さには磨きがかかっている。
阿炎に押し込まれながらも、上体を反らせてしのぎ、左はずから一気に押し出し。
「体の動きは悪くないし、あしたから一日一番、大事にしていきたい」と言い切った。
6日目、玉鷲がまた上位陣を破った。
大関正代に何もさせずに突き出し、「自分のスタイルで勝てて、本当によかった」。
5日目に照ノ富士から奪った金星に続く大暴れに胸を張った。
白星の要因を問われると、「自分の相撲を信じて前に出た」ときっぱり。
37歳にしてなお、突き押し相撲一本で上位陣と渡り合える自負がある。
「強い人と当たるほどわくわくする」。
馬力あふれるベテランは、ますます元気だ。
6日目、西前頭6枚目の琴ノ若がしぶとい千代翔馬を上手投げで破り、1敗を守った。
11勝を挙げ2度目の敢闘賞を受賞した先場所の勢いを持続させ、全勝の高安を1差で追う。
立ち合いの張り手がきかず、相手に左を差されると土俵際まで運ばれた。
ここをしのぐと持ち直し、足技もかわす。
少し間を置くと、上手を握った右手で相手をかぶせるように土俵へ投げつけた。
「内容は良いとはいえなかったが、我慢して辛抱して取り切れたと思う。相手の技、足技に対応できるように、瞬時に切り替えられたのは良かった。少しずつ良い相撲を取れてきていると思う」
6日目、東前頭7枚目の高安は志摩ノ海を一蹴して初日から6連勝とした。
立ち合いから一気の出足で押し出し「足を止めないで、いい攻めができたと思う。(全勝は)やっぱり気持ちいい」と納得顔。
今場所は速い攻めが目につく元大関のベテランは「昨年はよく長い相撲を取っていたが、体力という面では後半に響く。厳しく、速く攻めることを心掛けて稽古をしてきた」という。
省エネ効果を後半の優勝争いで発揮したい。
2022/03/18
5日目、かど番で初日から4連敗を喫していた正代が、ようやく初白星を手にした。
阿武咲の押しをしのぎ、つかまえてから上手投げ。
「とりあえずホッとしてます」と素直に語った。
場所前に新型コロナウイルスに感染し、稽古、調整不足は明らか。
取組後は今場所初めてオンライン取材に応じたが、まだ声がかすれ、せき込む場面もあった。
この白星で流れを変えたい。「初日が出たんでこの調子でいけたら」と立て直しを誓った。
5日目、新大関の御嶽海に土がついた。
東前頭4枚目の霧馬山に浅い位置で上手を許し、頭をつけられると上体が起き上がってしまった。
抵抗するもまわしは最後まで切ることができず、外四つの寄りに屈してしまった。
2場所連続4度目の優勝に向けて、前半5日間を1敗で終えた。
取組後のリモート取材にはこの日も現れず、闘志を内に秘めて中盤戦に突入する。
5日目、16日夜に大きな地震に見舞われた福島県出身の新関脇若隆景が、新小結豊昇龍を寄り切って4勝目。
3兄弟の平幕若元春、幕下若隆元もそろって白星を挙げた。
みなぎる気合を土俵で存分に発揮した。
16日夜、地元の福島が地震に見舞われた大波3兄弟≠ェそろって白星。
末弟で番付最上位の若隆景は、短い言葉に思いを込めた。
「(地元へは)そうですね…明日から頑張ります」。
立ち合い、低く当たってから豊昇龍を右のはず押し、左でおっつけながら土俵際まで押し込んだ。
最後は右を差してから体を預けるように寄り切り。
5秒4の会心の相撲を「いつも通りです。自分の相撲に集中して」と静かに振り返った。
5日目、西前頭2枚目・玉鷲が、横綱・照ノ富士から2場所連続の金星を獲得した。
第一人者を押し倒しで圧倒。
37歳4か月での金星は昭和以降の新入幕力士では5番目の年長記録となった。
今の高安には、心身ともに充実ぶりが見て取れる。
ただ一人、白星を五つ並べて「やっと、しっくりきている」。
腰痛など度重なるけがに苦しんできた元大関の声は明るい。
気迫十分の突き押しで、腰が重い宝富士の上体を起こした。
左を差した相手の反撃にも、ぐっとこらえて右からの突き落とし。
「攻め切れなかったが、体が動いた」。
今場所は足腰に持ち前の粘り強さがある。
師匠らが新型コロナウイルスに感染したため、先場所は田子ノ浦部屋の全力士が休場した。
その間、自身は下半身強化に時間を割き、「自分の体を見詰め直すいい機会になった」という。
昨年8月に独立した元横綱稀勢の里との三番稽古はできなくなったものの、その兄弟子から教わった理論的なトレーニング法は今も役立っている。
初日からの5連勝は、大関だった2018年秋場所以来。
苦手意識があったという序盤戦を上々の結果で乗り切り、「内容がいい。引き続き厳しい攻めをしたい」。
復活を期す32歳が「荒れる春場所」で存在感を示している。
13日に大阪市浪速区のエディオンアリーナ大阪で開幕した大相撲春場所で「モデルナ製」懸賞旗が登場し、土俵を彩っている。
新型コロナウイルスワクチンを供給する米モデルナ社の日本法人は「将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めて」と27日の千秋楽まで新関脇の阿炎、平幕の宇良、琴ノ若の取組に懸賞を出す。
懸賞旗は対象となる力士の取組前に呼び出しが持って土俵周りを1周するため、来場者の注目を集める。
場内放送で名前が読み上げられ、取組表への記載もある。
話題性も含めて接種を広くアピールしたい狙いもあるとみられる。
2022/03/17
4日目、照ノ富士は2大関撃破と好調な逸ノ城を寄せ付けず3勝目。
あっさりと右を差すと一気に巨体を運ぶ万全の攻めに「体がよく反応してくれた」とうなずいた。
2日目に早々と土がつき、3日目の宇良戦は軍配差し違えで冷や汗の勝利。
不安を抱かせたものの、この日は横綱相撲を披露した。
三役以上では御嶽海が唯一の全勝をキープ。
横綱も「最後までこっちも頑張っていきたい」と意欲十分に話した。
4日目、3年ぶりに観客の熱気があふれる大阪で、大関かど番の正代には春風が吹かない。
この日も白星を挙げられず、初日からずるずる4連敗。
早くも窮地に立たされた。
宇良に左腕をたぐられると上体が伸び、立て直す余裕はない。
後ろに付かれてあっさり土俵を割った。
4日目、貴景勝に一筋の光が見えた。
立ち合いは頭で当たって突き放して突っ張った。
再び頭で当たって突き放す一連の動き。
これが貴景勝のリズム、真骨頂だ。
最後は右からの強烈なおっつけで好調な大栄翔の体を横向きにさせた。
自分らしさを取り戻し、本来の相撲で白星を積み重ねた。
4日目、新大関御嶽海が初日から好調を維持して4連勝。
隆の勝の圧力を受けて引いてしまい土俵際に追い込まれたが、俵に沿って右へ足を運びながら形勢逆転のはたき込み。
肝を冷やしたが、何とか体を残して無敗を守った。
場所前には「今まで目標にしていた2桁(勝利)というのは変わらない。相手よりも自分の相撲を意識したい」と語っていた。
4日続けて取組後のオンライン取材には姿を見せなかったが、一喜一憂することなく目の前の一番に集中する。
4日目、新関脇の阿炎が3連勝と調子を上げてきた。
明生を立ち合いから突き放せず、ふところに潜られたが、右から抱え込んで小手投げ。
「体が動いて、調子がいいのかなと思う」と振り返った。
右手による突きが相手にヒットせず、逆に差されてしまうピンチにも素早く対応できたことに手応えを示した。
2場所連続12勝と終盤まで優勝争いに加わった次の大関候補が、存在感を発揮し始めた。
やはりこの人の相撲は見る者を引きつける。
地元の大阪府寝屋川市出身の宇良が業師の本領を発揮し4日目にして初日を出した。
立ち合いでやや左に動くと、おっつけた右手でうまく正代の左腕をたぐり、横を向かせて勝負あり。
不調の大関に何もさせずに送り出した。
「とにかく自分の相撲を取れるように頑張った」と振り返った。
4日目、3日目の琴ノ若戦に敗れ2敗目を喫した際に土俵下でしばらくうずくまって立ち上がれなかった西前頭5枚目の石浦が日本相撲協会に「頸椎症性神経根症の増悪で2週間程度の安静加療を要する」との診断書を提出し休場した。
前日、土俵下で苦悶の表情を浮かべしばらく動くことができなかったが、その後自力で引き揚げていた。
16日も医師の診断を受けた結果「頸椎症性神経根症の増悪」で2週間程度の安静が必要と診断された。
宮城野親方は再出場について「状況を見てみないと分からない」とした。
石浦の休場は4度目。
宮城野部屋で新型コロナウイルス感染者が出た昨年秋場所以来となった。
今場所の十両以上の力士の休場は初。
4日目、ともに初日から3連勝と好調同士の一番は、元大関の高安が新鋭の琴ノ若を上手投げで破り、初日から4連勝。
良い思い出が多い3年ぶりの大阪で順調に白星を重ねている。
高安にとっては新年幕開けの場所。
2月に32歳となった元大関だが、土俵に上がる喜びにあふれているように見える。
成長著しい琴ノ若と押し合う。相手が得意の右四つになるが、ここからが力強かった。「下から攻めることができて、そこからの右四つだったんで形は良かった」。
不利と思われた中で、若手のホープを上手投げで土俵に沈めた。
「ポテンシャルの高い力士ですから。そこはしっかり集中して、厳しい相撲を取りました」。
気分はいい。
初日から4連勝。御嶽海と並んでトップをいく。
2022/03/16
3日目、照ノ富士が際どい一番を制した。
機敏に回り込もうとする宇良を追い詰めたところで、勢い余って右足が土俵外へ。
軍配を受けた宇良のかかとが先に出ており、辛くも行司差し違えで白星を拾った。
「余裕はあった。(宇良の)上に倒れてもいいぐらいの状態だったが、ちょっと優しさで」と振り返った。
新型コロナウイルスの感染もあり、調整面で不安があった今場所。
2日目は大栄翔に金星を与えていたが、「過ぎたこと。その日の一番に集中して、落ち着いて取れている」と強気の姿勢だった。
3日目、正代は206キロの巨漢・逸ノ城を相手に踏み込めず、右四つになった。
上手も許し胸が合うと、力なく寄り切られた。
過去4勝11敗と合口の悪い難敵を攻略できず、初日から3連敗となった。
八角理事長は、「逸ノ城を相手に止まってはダメ。左を巻きかえるとか何とかしたかった」と分析。
3日目、過去3戦全勝の豊昇龍に右差しを許しながらも構わず一気に出たが、土俵際に落とし穴。
その右からすくわれ、物言いがつくも軍配通りで2連敗となった。
八角理事長は、「密着したくなかった。押せたからそのまま行け、という感じだった。左を差した後、一回冷静になるべきだった」と指摘した。
3日目、西大関・御嶽海は東前頭筆頭・大栄翔を突き落としで下し、3連勝を飾った。
4日目の16日は東小結・隆の勝と対戦する。
御嶽海は大栄翔の出足に後退させられながらも、動じることなく白星を重ねた。
のど輪にのけ反ったが踏みとどまり、最後は右から突き落とした。
隆の勝は1勝2敗。
御嶽海は過去6場所で5回顔を合わせ、対戦のなかった先場所まで4場所続けて押し出しで勝っている。
3日目、新関脇で3連勝と上々のスタート。
しかも相撲内容が抜群にいい。
その若隆景が取組後に話す言葉は、判を押したように「下からよく攻められたかなと思う」。
声を弾ませることもなく、うれしそうな表情も浮かべない。
阿武咲に快勝した2日目に続き、この日も前に出る力が際立った。
先場所まで4場所連続で三役を務めていた実力者の明生に、低く頭で当たると、さっともろ差し。
休まず相手の体を起こしながら寄り切り、「自分の攻めに集中した」。
会心の一番を短く振り返った。
3日目、逸ノ城が大関を連破した。
立ち合いで右を差し勝ち、正代が寄るタイミングで左上手をつかんだ。
後は1メートル90、206キロの体格にモノを言わせて寄り切り。
大関を圧倒する内容にも「相撲は特に変わっていません」と表情を変えない。
2019年春場所は終盤まで横綱・白鵬と優勝を争い、14勝1敗の好成績を収めた。
3年ぶりに観客が戻った大阪場所で、その再現を期待される。
「頑張ります」と短い言葉で決意を示した。
3日目、先場所11勝で優勝争いに絡んだ24歳の琴ノ若が3連勝と元気いっぱいだ。
過去4戦全敗と苦手の石浦をもろ差しからのつり寄りを生かして押し出し。
出足の迫力は増した感があり「いい相撲を取ることだけを心掛けて土俵に上がっている。
それがしっかりできてきた」と自信を漂わせた。
「相手はたくさんいるので恵まれた環境」と語るように、佐渡ケ嶽部屋では弟弟子で22歳の琴勝峰らと十分な稽古を積んできた。
「自分の持っているものを出すだけ。余計なことを考えず、前に出る相撲を心掛けたい」と迷いなく言った。
3日目、豊山は我慢強い相撲で3連勝と好調だ。
幕内で初日から土つかずは2019年九州場所以来。
「勢いで相撲を取っていない。以前の3連勝の時よりもいい」と自信をにじませた。
琴勝峰の突き、押しに土俵際まで後退したが、諦めない。
右差しで残すと、おっつけで逆襲。
さらに左差し、右はずで寄り切った。
内容の伴う結果に「悪くない。ただまだ3日目。ここから何が起こるか分からない」と気を引き締めた。
今場所も右肘のサポーターは欠かせないが、全体的なバランスは良いという。
「体も保ってくれているので、いけるところまでいきたい」と意気込んだ。
2022/03/15
2日目、新大関御嶽海が幕内宇良を一方的に押し出して快勝。
横綱大関陣の中で唯一の連勝スタートを切った。
その御嶽海は史上9人目となる新大関Vを目指す一方で、地元では特別な役割を期待されている。
それは長野県が長年にわたって抱えてきた相撲不毛の地≠フイメージを一新することだ。
新大関の御嶽海が業師の宇良を一方的に退けて連勝発進した。
普段は多弁な男が初日に続き取材に応じなかったのは、今場所にかける気合の表れか。
新大関Vなら2008年夏場所の白鵬以来?年ぶり。
過去に8人しか達成していない快挙へ向けて、好スタートを切った。
2日目、阿炎が新関脇で初白星をあげた。
ベテランの玉鷲を突き出す相撲に「番付は意識していないが、この白星をつなげていきたい」と言った。
幕内に復帰し、2場所連続で優勝争いに絡む12勝の好成績。
今場所も優勝候補にあげられるが、初日は黒星スタートとなった。
「体が動いている。初日は阿武咲関のおっつけに体が浮いてしまった。内容は悪くない」と前向きだ。
好調を自覚しているから慌てない。
大栄翔は立ち合いで横綱に押し込まれたが、右を伸ばして距離を取った。
タイミング良く体を開くと、左喉輪も使ってどんどん前へ。
「休まず攻められた。勝てて本当にうれしい」。実直な実力者が、少しだけ表情を緩めた。
金星は通算四つ目で、照ノ富士からは新横綱だった昨年の秋場所以来となった。
「胸を借りるつもりでやっている。自分でも勝てるのは不思議」。
敗れても熱戦に持ち込むことが多く、第一人者にとっては油断ならない相手となっている。
土俵下で見た高田川審判長は、「久しぶりに期待できそう」と今場所を予想。
初日の正代戦に続いて、上位を相手に本領を発揮している。
3日目には新大関御嶽海に挑むが、「あしたも気合を入れて自分の相撲を取りたい」と大栄翔。
その声にも力がみなぎっていた。
2022/03/14
初日、横綱・照ノ富士が新小結の豊昇龍を寄り切りで降し、白星発進した。
初の三役に昇進して勢いのある22歳の若手を難なく退けた。
照ノ富士は立ち合いからすぐに豊昇龍のまわしを取り、そのまま前へ出て寄り切った。
万全の内容に「落ち着いていられたと思う」と振り返った。
初日、3度目のカド番となった正代は幕内大栄翔に一方的に押し出されて早くも土がついた。
場所前には新型コロナウイルスに感染。
土俵下の錦戸審判長(元関脇水戸泉)は「稽古不足なんじゃないかな。体がふっくらして背中の肉が結構ついていた」と指摘。
2日目以降へ向けて、大きな不安を残した。
初日、先の初場所で右足のけがのため4日目から休場し、5度目のカド番を迎えた貴景勝は、幕内宇良を一方的に押し出して白星発進。
取組後は「いつもと変わらず、全力を出すことを考えていた。まだ始まったばかりなので何も考えず明日から頑張りたい。(体調は)大丈夫」と安堵の表情を見せた。
初日、御嶽海が白星スタートを決めた。
東前頭2枚目・逸ノ城を押し出して完勝。
過去8人の新大関優勝力士は全員が白星発進しており、2006年夏場所の白鵬以来の快挙へ向け第一関門を突破した。
御嶽海の本来の立ち合いではなかった。
当たりが弱く、右かち上げで前に出てきた逸ノ城に押されてしまった。
それでも上体が起きることがなかった。
余裕を持って下がり、右に回り込んで、右のおっつけから顎を引いて押し出した。
大関らしい相撲だった。
夢にまで見た大関という地位が御嶽海を変えたのかもしれない。
先場所までは「早く大関に上がりたい。勝ちたい」という気持ちが強すぎた。
背負っていた重い十字架がなくなったのだろう。
大関という“スイートルーム”に入り、責任さえも心地良く感じている相撲内容でもあった。
初日、大栄翔が過去10勝7敗と勝ち越していたかど番大関の正代に完勝した。
「久々の大阪場所で緊張したが、いい相撲がとれてよかった」。
立ち合いから突き放し、大関に相撲をとらせなかった。
「うれしいし自信になる」。
先場所は三役に復帰も7勝8敗と惜しくも負け越して陥落した。
「1場所で戻りたい」と意欲が通じた。
初日、東前頭10枚目の志摩ノ海が、土俵入りで締めた新しい化粧まわしが注目を集めた。
荒木飛呂彦作の人気連載漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に登場する人気キャラクター「岸辺露伴」を描いた化粧まわしを着用。
アップで描かれた顔の両横には、名せりふの「だが断る」が配置された。
また、しこ名は同作品で使用される独特な文字をモチーフとして「シマノウミィイ〜ーッ」と書かれるなど、作品の世界観があふれる化粧まわしだった。
初日、豊山は千代の国を押し出し、2年ぶりに大阪で開催された春場所の初日を飾った。
大阪の後援会関係者が観戦に訪れていた中での白星。
新型コロナウイルス感染対策のため直接的な交流はできないが「目配せするだけでも違うと思うので。多くの方に来ていただいた」と感謝した。
2月上旬に新型コロナに感染し、稽古再開は中旬だった。
「不自由な生活が続いたが、それはしょうがない。体を動かしても問題はなかった」と言うように、影響は少なかったという。
2場所連続で負け越し、西前頭14枚目に甘んじる。
「ずるずると来ている。欲を出して上を目指したい」と意気込んだ。
初日、大阪の本場所で観客を入れるのは3年ぶり。
観客の上限は定員の約75%に当たる約5600人に定められ、初日は約5000人が来場した。
八角理事長は初日恒例の協会あいさつで「3年ぶりに大阪でお客さまをお迎えして本場所を開催できますことは、協会員一同、喜びに堪えません」と述べ、館内のファンも割れんばかりの拍手で歓迎した。
2022/03/13
先の初場所で13場所ぶり3度目Vを果たし、悲願の大関昇進も決め、地元・長野を熱狂させた。
それに後押しされるかのように県は先月、御嶽海に県民栄誉賞を贈呈することを発表した。
県の公式サイトでは「個人又は団体で、広く県民に敬愛され、県の名を高めるとともに、県民に明るい希望を与えることに特に顕著な功績があった方を表彰」と説明され、いわば県で最も栄誉ある賞。
これまで指揮者の小澤征爾、2018年の平昌五輪で金メダルを獲得したスピードスケートの小平奈緒(相沢病院)、菊池彩花、高木菜那(日本電産サンキョー)が受賞している。
12日、小結隆の勝が報道陣の電話取材に応じた。
隆の勝は先場所、7勝8敗と負け越し、今場所は三役在位6場所目ながら初の小結で迎える。
「目標は2桁」と明確に掲げているが、ライバル意識がさらにモチベーションを与えてくれている。
今場所は4人の三役のうち、隆の勝を含めた3人が1994年生まれの同学年。
今場所で若隆景と阿炎に出世レースで追い抜かれ「気持ち的には本当に悔しいですし、ぼくも負けられないなという気持ちになる。本当に倒してやろうという気持ちもあります。(同世代の中で)番付が一番上にいたいという気持ちはあります」と闘志を表に出した。
場所前は新型コロナウイルスに感染し、高熱と味覚、嗅覚障害に苦しめられた。
10日間ほど隔離生活を強いられたが、かど番の大関貴景勝と稽古も積めた。
大関争いにも「(同世代でも)当然、はい、一番先に上がりたいと思います」と決意を語っていた。
2年ぶりの大阪開催となる大相撲春場所は13日にエディオンアリーナ大阪で初日を迎える。
前日の12日は恒例の土俵祭りが行われ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)、審判部の親方らが出席。
15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルスの影響で2年前は初の無観客開催だったため、有観客の大阪開催は3年ぶりとなる。
観客の上限は定員の約75%の約5600人。
春場所の高島担当部長(元関脇・高望山)は「お客さんの安心、安全を15日間しっかりやっていきたいと思います」と気を引き締めていた。
2022/03/12
11日、取組編成会議を開き、初日と2日目の取組を決めた。
2場所ぶりの優勝を目指す一人横綱の照ノ富士(伊勢ケ浜)は、初日に新小結豊昇龍(立浪)、2日目に大栄翔(追手風)の挑戦を受ける。
照ノ富士がぶっつけ本番でV奪回に挑む。
取組編成会議後に電話取材に応じた伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は、弟子である横綱について「そう(ぶっつけに)なりますよね」と本調子ではないことを明かした。
2月4日に新型コロナウイルス感染が判明。
熱はあまり出ず、喉の痛みが主症状だったが、部屋の関取衆も照強以外の全員が感染。
調整は大きく遅れた。
伊勢ケ浜部長は「10日間、何もしていないので、そこはちょっと厳しい。1日稽古を休んだら3日遅れる。稽古できる状態に戻った感じ。稽古してますよ。でも、足りないということ」と説明した。
それでも、優勝争いは横綱の責務だ。
幸い初場所の終盤に痛めた右かかとは完治。
「場所中にでもしっかり稽古して、どこまで良くなるか」とポイントを挙げると「相撲だけはやってみないとわからないので。休んでいたとはいえ、今までの稽古の貯金もある」と底力に期待した。
11日、大相撲春場所の取組編成会議を開き、2日目までの取組を決めた。
新大関御嶽海(29)は初日に逸ノ城(28)、2日目に宇良(29)との対戦が組まれた。
15日間の懸賞申込総本数は1610本で、力士指定では御嶽海が最多だったことが判明。
2年ぶりの大阪開催で、新大関に主役の期待が懸かる。
新型コロナウイルスの影響で、昨年の春場所は東京開催。
2年ぶりとなる大阪の土俵で、注目はやはり新大関だ。
懸賞で御嶽海が1番人気になった。
力士指定で懸けられた本数について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)が「御嶽海、貴景勝、遠藤(の順)」と明らかにした。
個別の数字は明かさなかったものの「周りからの期待が大きいということの証しじゃないか」と感じ取った。
1月場所後、コロナ感染者が山のように出た相撲協会。
そんな中、複数いる関取にひとりの感染者も出さなかったのが、佐渡ケ嶽部屋だ。
今場所は前頭6枚目の琴ノ若を筆頭に、同12枚目・琴恵光、同14枚目・琴勝峰らが幕内に顔を揃えている。
もともと稽古相手にも不足しておらず、他の部屋の力士に比べてアドバンテージは大きい。
佐渡ケ嶽勢が台風の目となりそうだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、春場所を新型コロナウイルス感染で休場する力士はいないと明らかにした。
全休措置が取られなかったのは昨年九州場所以来。
幕内格行司の木村寿之介(54=大島)は家族内感染で陽性となり、休場する。
角界では1月の初場所後に新型コロナ感染者が続出し、2月9日時点で協会員の累計は252人に上っていた。
2月のトーナメント大会やNHK福祉大相撲は中止になっていた。
米バイオ企業モデルナの日本法人は11日、13日から始まる大相撲春場所で懸賞旗を出すと発表した。
幕内の阿炎、宇良、琴ノ若といった若手力士の取組で掲げる予定。
モデルナは新型コロナウイルスワクチンを日本に供給している。
3回目接種の広がりが鈍いなか、懸賞を通じてワクチン接種を促す狙いもある。
同社は「新型コロナの拡大により将来への不安が増している若い人々への応援の気持ちを込めた」とコメントした。
今後も日本の伝統行事を通じてワクチン接種の啓発・支援を続けるとしている。
モデルナは2021年以降、日本向けにコロナワクチンを供給している。
日本政府と22年分前半までに計9300万回分を供給する契約を結んでいる。
21年に日本法人のモデルナ・ジャパン(東京・港)を設立した。
11日、大阪市内で理事会を開き、1月27日の役員候補選挙で副理事候補に当選した新任の粂川(元小結琴稲妻)、2期連続の若松(元幕内朝乃若)、4期連続の藤島(元大関武双山)の親方3人を選任した。
八角理事長(元横綱北勝海)ら理事候補の親方10人は3月28日の評議員会での承認後に就任が発表される。
年寄総会では2021年度の収支決算についても報告された。
20年から続く新型コロナウイルス禍で、本場所はまだ観客数の上限を設けて開催。
巡業も再開できていない。
詳細は28日の評議員会終了後に発表となるが、約30億円の赤字が見込まれている。
2022/03/11
初場所を制し大関に昇進。
何度もはね返され、何人ものライバルに先を越されて、ようやく念願の地位にたどり着いた。
それでも御嶽海は、「大関だからとかは関係ない。自分は自分」と泰然と構えている。
初日に向けて意識するのは、「押し相撲を徹底する。自分のことをしっかり考える」。
貴景勝、正代の先輩2大関はかど番とあって、ファンは昇進間もない御嶽海に連覇の期待を寄せる。
それは本人も自覚しているが、目標はこれまでと変わらず、「まずは2桁」と断言した。
「今まで通り。受ける立場にはなるが、挑戦者としていく」。
余分な肩の力を抜き、静かに闘志を燃やしている。
幕下から出直し、丸1年かけて自己最高位の関脇にたどり着いた。
阿炎は3年前、新小結に昇進している。
当時の自分自身と比べ、「気持ちの部分で大きく違うと思うし、違うようにしていかないといけない」と話し、春場所へ闘志を燃やす。
錣山部屋での生活を義務付けられて妻子と別居していたが、春場所後には一緒に暮らす予定だ。
それも大きな励みで、「ここで満足してはいけない。たくさんの人に認めてもらえるような相撲取りになりたいと思っている」。
父親として、さらに上を目指す力士として、なお成長する姿を見せたい。
22歳で新小結に昇進した豊昇龍は、「自分がここまで来るとは。信じられない」。
おじの元横綱朝青龍は20歳で新小結。
その背中を追うように、着々と出世している。
初日を13日に控え、会場のエディオンアリーナ大阪では2年ぶりの大阪開催となる本場所への準備が進んでいる。
10日は土俵づくりなどが報道陣に公開された。
新型コロナの影響で2020年は史上初の無観客で実施されたため、大阪の本場所で観客が入るのは3年ぶりとなる。
観客の上限は定員の約75%にあたる約5600人。
マスク着用は必須で大声での声援はできず、拍手が推奨される。
会場正面入り口のスペースには、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)ら、協会に在籍する元横綱7人の現役時代を描いた縦約3.3m、横約1.5mの錦絵が飾られ、雰囲気を盛り上げる。
2022/03/10
新小結で迎える豊昇龍に、叔父が果たせなかった関脇以下での優勝に期待が懸かる。
9日、大阪市内での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
叔父で第68代横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏は、大関2場所目の2002年九州場所で初優勝。
新三役場所の目標は「まずは勝ち越し」と控えめながら、「もちろん優勝したい気持ちはある」と意欲をのぞかせた。
9日、西前頭3枚目の明生が、大阪市内での朝稽古終了後、報道陣の電話取材に応じ、近況や春場所に臨む胸中などを明かした。
春場所の番付で幕内力士42人中、半数が2月までに新型コロナウイルスに感染していることが確認されている。
明生も2月上旬に感染が判明。
40度近い発熱が2日ほどあったという。
その後は、都内の自宅で10日間の隔離期間があり、体は動かせなかった。
ただ、それを明生はプラスにとらえた。
食欲はあり体重減も最小限にとどめられ、さらに「腰もケガをしていて、それを治そうという時期だったので、そこまで神経質な感じはなく、ユックリ休もうという時期だった」と精神的にも冷静に対処できた様子。
2022/03/08
3度目のカド番を迎える大関・正代が4日、電話取材に応じ、2月上旬の新型コロナウイルス感染で味覚障害になったと明かした。
38度を超えた発熱は3日で治まったが「塩分、苦味、酸味、甘味は分かるけど、それが全部バラバラに単体で来る」と独特の症状を経験。
現在は回復したが、療養の10日間は体を動かせず「体力的に少し落ちた。いつもより稽古内容はちょっと遅れている」と不安な心境を吐露した。
同じ学生相撲出身で1学年下の御嶽海の大関昇進は刺激になっており、「コロナにかかったことを感じさせない相撲を取りたい。とりあえず勝ち越しを目指します」と決意を示した。
御嶽海は、とにかく前向きだった。
初場所後の1月31日に新型コロナウイルス感染が判明。
39度の発熱症状もあり、10日間の療養期間で170キロ前後だった体重も164キロまで落ちたというが、場所前の取材対応で悲愴(ひそう)感を一切漂わせなかった。
「逆に場所後の1週間は(取材対応などで)バタバタしていたので、休みを味わえてなかった。プラスに捉えないといけない」。
部屋では基礎運動や、若い衆を相手にした一丁押し(立ち合いの当たりを行う稽古)を中心に調整。
自然体で“大関デビュー”に備える。
新関脇の阿炎が7日、東京都江東区の錣山部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「場所へ向けていい感じになってきている」と好調を実感した。
10日の大阪入り前ではこの日が最後の申し合い。
幕下力士と15番程度取り「あとは気持ちを整えるだけ。勝負に対する熱量を高めていく」と意気込んだ。
コロナ対策違反による3場所出場停止処分を経て、昨年九州場所で幕内に復帰。
2場所連続12勝で優勝争いにも加わった。
改心した27歳の実力者は3年ぶりに観客を入れて開催の春場所へ「いろいろな人に見てもらい、変わっていく姿を見せたい」と張り切る。
日本大相撲トーナメント(2月6日)、NHK福祉大相撲(同11日)が相次いで中止となった。
そうしたなかでも開催されているのが「引退相撲」だ。
1月末から2月中旬にかけ、元大関・豪栄道(武隈親方)、元関脇・栃煌山(清見潟親方)、元関脇・嘉風(中村親方)、元前頭・誉富士(楯山親方)の襲名披露が次々と行なわれた。
他にも元関脇・豊ノ島(井筒親方)、元大関・琴奨菊(秀ノ山親方)、元横綱・鶴竜(鶴竜親方)、元横綱・白鵬(間垣親方)ら、10人の親方が髷をつけたまま引退相撲の日程待ちの行列を作っている。
初場所後の感染者に重症者はいないとの発表だったが、糖尿病や高血圧の持病を抱える力士や親方は多い。
その重症化リスクのなかでも開催されるのは、やむにやまれぬ事情がありそうだ。
2022/03/03
新大関の御嶽海は2日、報道陣の電話取材に応じた。
1月の初場所後には、新型コロナウイルス感染が判明。
約1週間の入院を強いられたが「いい休養になった。不安はあまりない」と前向きに話した。
高安の妻で演歌歌手の杜このみが1日、自身のブログを更新。
第2子を妊娠したことを報告した。
出産は夏頃を予定しているという。
杜は「今日は皆さまへご報告したい事があります。お陰様で、昨年2月に長女が誕生し日々愛娘の成長に驚きと喜び、幸せを感じる日々を過ごさせて頂いております」とし、「そして、この度私事で大変恐縮ではありますが、第二子となります新たな命を授かりました」と伝えた。
「とても元気な娘との日々を過ごしながらお腹の新たな命の成長にも感動しとても、幸せで充実した日々を過ごさせて頂いております」としている。
2022/02/21
1983年より大阪市内で観光船を運航している大阪水上バス株式会社(本社:大阪市中央区 社長:奥村茂之)は、公益財団法人日本相撲協会と共同で大阪春場所の魅力を発信する「大相撲クルーズ」を運航します。
大阪市内を流れる大川で、観光船ひまわりと大阪場所会場をオンラインで結び、富士ヶ根親方(元大善)から今大阪場所の見どころなどを伺います。
また、大阪場所前の会場の様子もオンラインで案内し、普段見ることができないような場所もご覧いただけます。
予約サイト
https://eipro.jp/suijo-bus/
【問合せ】 0570-07-5551 (予約センター 10:00〜16:00)
元幕内誉富士の楯山親方(36)が19日に東京・両国国技館で断髪式を行った。
元横綱日馬富士のダワーニャム・ビャンバドルジ氏や横綱照ノ富士ら約300人がはさみを入れた。
2019年9月に引退。
新型コロナウイルス禍などの影響もあり、現役に別れを告げて約2年以上経過しての大いちょうとの別れに「自分らしい断髪式だった。思った以上にこみ上げるものがある。14年、ずっと髪の毛を伸ばして、その思いが全部髪の毛に入っている。それがパッと落ちて、親方としてやっていくんだなという気持ち」と感慨深げ。
新たな髪型は「楽しみ。いろんな髪型で遊ぶっていうのはある。これから徐々に理想の髪型にしていこうかな」と胸をときめかすが、最も心血を注ぐのは後進の育成だ。
「強くなりたいと思ってくれる力士を育てたい。難しいけど、ただ教えるだけではなく相手のやる気を起こさせる、そういうことができれば」と決意を語った。
佐藤政敏さん(さとう・まさとし=大相撲の元十両白岩、日本相撲協会若者頭)17日、腹部大動脈りゅう破裂のため死去、64歳。
秋田県出身。
葬儀・告別式は家族葬で行う。
現役時代は伊勢ケ浜部屋に所属し、最高位は東十両7枚目。
引退後は幕下以下の力士の指導や本場所の運営を補佐する若者頭を務め、浅香山部屋などに在籍。
3月に相撲協会の定年退職を控えていた。
2022/02/14
2月10日の状況
幕内
宇良
十両
平戸海
2月5日から8日までの状況
幕内
千代の国、宝富士、正代、霧馬山、天空海、明生
十両
志摩ノ海、紫雷、美ノ海
2年ぶりに大阪で行われる大相撲春場所(3月13日初日)の開催を知らせる「御免札」が11日、会場のエディオンアリーナ大阪に設置された。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年の春場所は東京・両国国技館で実施された。
2020年の春場所は新型コロナの影響で史上初の無観客での開催だった。
今回は1日約5500人を受け入れる予定。
春場所担当部長の高島親方(元関脇高望山)は「感染対策を第一として、無事に相撲を見ていただきたい」と願った。
新大関御嶽海の闘いぶりも注目で「自覚を持って優勝に絡む成績を残してもらいたい」と熱戦を期待した。
チケットを持っていない人も入れるように館外正面にスペースを設け、グッズ販売や親方衆によるファンサービスも実施するという。
前売り券の販売は13日から始まる。
2022/02/08
11日に東京・両国国技館で開催を予定していた「第54回NHK福祉大相撲」が新型コロナウイルスの感染拡大のため中止となった。
7日、主催するNHK厚生文化事業団などが発表した。
観客や出演者らの健康や安全を考慮した。
相撲界は横綱・照ノ富士、新大関・御嶽海らの新型コロナウイルス感染が発表されており、6日の大相撲トーナメントも中止となっていた。
8日には全相撲協会員を対象にしたPCR検査を実施する。
大相撲の元関脇・嘉風の中村親方(39)の引退相撲が5日、東京・両国国技館で行われた。
断髪式には公明党の山口那津男代表、音楽グループ、ケツイメイシのリーダー、大蔵やプロゴルファーの宮里優作、聖志兄弟、元プロ野球選手の川崎憲次郎ら約250人がはさみを入れた。
土俵上で表情を変えることがなかった中村親方も徐々に感極まって目頭を潤ませる場面も。
最後は師匠の尾車親方(元大関・琴風)の止めばさみで大銀杏(いちょう)に別れを告げた。
19年秋場所中に現役を引退して2年半。
コロナ禍で開催が延期され、直前になって新型コロナウイルスの感染拡大で多くの関取が休場となった。
「不安ばっかりだったが、たくさんの人が来ていただいた。感謝しています」と感無量の様子だった。
断髪式後は美容師の兄弟に髪を整えてもらい、りりしい姿で会見場に登場。
「恥ずかしいですね。でも、まだまげがついているみたい」と感想を述べると「さみしくて、昨日はそわそわしていた。でも切り落とされて親方になったな、という感じがしました」と笑顔を見せた。
2月5日報道
1月26日 鶴竜親方
1月31日 御嶽海
2月 2日 隆の勝、大栄翔、翔猿、碧山、剣翔、大奄美
2月 4日 照ノ富士、貴景勝、若隆景、豊昇竜、豊山、一山本、若元春、栃ノ心、荒篤山、翠富士、錦富士、徳勝龍
春日野親方、竹縄親方、清見潟親方、常盤山親方
※幕下以下の力士は、非公表
2022/01/24
千秋楽、長野県上松町出身の東関脇・御嶽海は横綱・照ノ富士に勝ち、13勝2敗で、2019年秋場所以来3度目の幕内優勝を果たした。
悲願の大関昇進もたぐり寄せる快進撃に、恩師らから祝福の声が上がった。
7連敗中と相性の悪い照ノ富士に対して、立ち合いから一歩も引かず、寄り切りで勝利した御嶽海。
3度目の賜杯を抱くとともに、直近3場所で33勝を積み重ね、大関昇進の目安となる「三役で直近3場所で33勝以上」の条件もクリアした。
優勝インタビューでは大関昇進に向けた臨時理事会の開催の決定を伝えられ、目を潤ませる場面もあった。
千秋楽、福島市出身で東前頭筆頭の若隆景が9勝目を挙げ、来場所からの関脇昇進を濃厚とした。
黒星先行の苦しい前半戦を乗り越えると、後半戦は粘りの相撲で白星を重ねた。
昇進すれば、昨年の名古屋場所以来の三役復帰となる。
若隆景は阿武咲の突き、押しに後退したが土俵際で右に体を開いて何とか残し、逆転の肩透かし。
粘りの相撲で白星をつかみ「しっかり体が動いたかなと思う」と満足げに振り返った。
横綱、大関戦があって初日からは4連敗だった。
そこから諦めずに立て直し、11日目からの5連勝で締めくくった。
「序盤は苦しい展開だったけど、自分の相撲に集中して取れた。一番一番、取り切ることを最後にできた」と収穫を口にした。
23日、人気業師の東前頭2枚目宇良が、自己最高位で勝ち越しを決めた。
巨漢の千代丸に会心の相撲を見せた。立ち合いはもろ手突きを避けるように頭を下げて突っ込むと、のど輪で起こしてハズで攻め立てた。
圧力に耐えかねた千代丸が体勢を崩し、すかさず宇良が押し倒した。
8勝7敗。2場所連続の勝ち越しとなった。
今場所は連敗発進だったが、大関貴景勝ら三役以上を4人破るなど存在感を放った。
「(15日間を通じて)課題が見つかった。(課題は)それは言わないです。(来場所に向けて)終わったばかりであれですけど、来場所も頑張りたいです」。
大阪・寝屋川市出身で、3月の春場所はご当所。
新三役の可能性もあるが「分からないですね、番付のことは」と関心を示さなかった。
千秋楽、豊昇龍は自己最多の11勝目を挙げた。
右四つに組み合った巨漢の碧山に力負けせず、右下手投げで転がした。
11日目から5連勝で終え、春場所では新小結の可能性も出てきた。
「集中できて、いい相撲を取っていた。今場所、本当に良かった」と上機嫌に振り返った。
14日目の正代戦では、叔父の元横綱朝青龍譲りの気迫あふれる取り口で顔から落ち、額から流血。
傷痕は残っていたが「男前になったと思う。ありがとうございました」と笑顔で引き揚げた。
阿炎は、3敗同士でぶつかった琴ノ若を激しい攻防の末に下した。
互いに突いて、いなす展開となる中、引き落としで仕留め、「先手を取って、四つに組まないようにした」と振り返った。
御嶽海が2敗を守って賜杯を抱いたため、優勝決定ともえ戦とはならなかったものの、14日目に照ノ富士から奪った金星も評価され、初めて殊勲賞を獲得。
「思い切り相撲が取れた。自分を全部出せたのかなと思う」と手応えを感じていた。
千秋楽、大相撲初場所が開催されている両国国技館内で同場所の三賞選考委員会を開き、千秋楽の結果に関係なく、受賞力士が決まった。
敢闘賞は、阿炎同様に11勝3敗で優勝の可能性を残し、千秋楽で直接対決する東前頭14枚目の琴ノ若が、昨年7月の名古屋場所以来、2度目の敢闘賞受賞(三賞も2度目)となった。
4敗力士による決定戦となった十両は琴勝峰が矢後を下し優勝した。
本割では緊張してはたき込まれたが決定戦は本来の出足で快勝。
「思い切っていった」と笑みをこぼした。
春場所は1年ぶりの幕内復帰が確実。
今場所初土俵を踏んだ弟(琴手計)にも刺激を受けており「もっともっと強くなりたいと思う場所だったので、稽古して力をつけていきたい」と抱負を述べた。
2022/01/23
14日目、横綱照ノ富士からはいつもの粘りが消えていた。
阿炎の猛攻を受け止めることができないまま押し出されて3敗目。
今場所は栃木山以来、103年ぶりとなる新横綱から3場所連続優勝の偉業に挑んでいるが、最終盤で一歩後退した。
千秋楽は2敗の御嶽海との直接対決が組まれており、逆転の目はあるものの、膝の状態も気になる。
オンライン取材に応じることなく引き揚げていった。
14日目、思い通りに体が動き、狙い通りの相撲を取って、番付の差の通り相手を圧倒した。
関脇の御嶽海が平幕の宝富士を破り、唯一2敗を守って3度目の優勝に王手をかけた。
左四つが強烈な宝富士に、得意な型を出させなかったのが相撲の妙。
「まわしを取られないようにすれば、苦手ではない」と御嶽海は見切っていた。
右を固めておっつけるとともに、左をねじ込み、ぐいぐいと押し込む。
耐えきれなかった宝富士の体が回ったところを、最後は送り出した。
先場所は11勝を挙げた一方、精神的に不安定なところも見せ、終盤に2連敗した。
だが、今場所は取りこぼしがあったものの連敗はなし。
「(精神状態は)最高です。気持ちいいです。今場所はしっかり整えています」と充実している。
14日目、前頭六枚目・豊昇龍と大関・正代の一番は、激しい攻め合いで、場内がどよめく激闘となった。
軍配は正代に上がったものの、物言いがつき取り直し。
豊昇龍は額から出血するハプニングもあったが、その後、気迫あふれる相撲を見せ、寄り切りで正代を下した。
1度目の取り組みで、土俵際、投げの打ち合いとなったが、豊昇龍は倒れ込む際に、手を付かずにこらえて顔から落ちる根性を見せた。
額を思い切り擦り剥き、出血してしまったが、同体取り直しとなった。
ABEMAで解説を務めた元横綱・若乃花の花田虎上氏は「正代の左膝と豊昇龍の顔が落ちるのが同じですね。手をつかなかったからこうなる。手をついてたら負けてましたよ。スローで見ればわかると思いますけど、豊昇龍は“ダメだと”手を引いてますよ」と豊昇龍の勝負に対する姿勢を讃えた。
取り直しの一番では豊昇龍の額から痛々しいほどの出血が確認できたが、まさに気迫といった相撲を見せ、正代を寄り切りで下し10勝目を挙げた。
14日目に組まれた照ノ富士戦。
その横綱に敗れて優勝を決められた阿炎が、雪辱を果たした。
もろ手で突くと、まわしを許さず前進。
冷静にいなして相手の体を崩し、最後は腹を押して土俵外へ運んだ。
2018年名古屋場所で鶴竜から奪って以来、三つ目の金星。
「うれしい。相手は横綱なので、がむしゃらに取ろうという気持ちだった」と振り返った。
13日目は御嶽海に敗れているが、攻めの相撲を取り切った。
優勝争いに踏みとどまっても、「全く考えていない。あしたの一番に集中したい」と力強く話した。
14日目、東前頭14枚目の琴ノ若が関脇の隆の勝を上手投げで破り3敗を死守した。
千秋楽まで優勝争いに加わっている。隆の勝に押し込まれたが、土俵際で上手に手が届いた。
「しっかり体が動いてくれたかなと思います」。
優勝争いについても「最後の最後まで分からないことなので、そこまでしっかりやり切るだけです」と意識せずに臨むつもりだ。
史上12組目の兄弟幕内となった若隆景と若元春が、そろって給金を直した。
幕下では長兄の若隆元も4勝目を挙げ、14日目に勝ち越し。
「3人でできたのは、うれしい」と次兄の若元春。
本名の姓から「大波3兄弟」と呼ばれる彼らにとって、忘れられない日になりそうだ。
新入幕の若元春は今場所、「チャレンジするぐらいの気持ち」で臨んだそうだが、相撲っぷりは堂々。
動きのいい翔猿をつかまえて寄り切り、「何とか勝ててよかった」と喜んだ。
22日、西幕下筆頭の熱海富士(19)、熱海市出身、伊勢ケ浜部屋=が勝ち越しを決め、新十両昇進に大きく前進した。
春場所の番付編成会議で昇進が決まれば、熱海市出身の関取が初めて誕生する。
母校飛龍高の相撲部は喜びに包まれた。
2022/01/22
照ノ富士は隆の勝を圧倒した。
鋭く踏み込み、相手の右を手繰るようにして崩すと、素早く左上手を引いて一気の寄り。
圧力が持ち味の関脇も、なすすべなく土俵を割った。
2敗目を喫した12日目は取組後に、古傷を抱える膝を気にするそぶりも見せていた。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長は「このまま下がらない相撲をしてほしい」と話した。
2敗同士がぶつかった注目の一番。
賜杯争いに踏みとどまったのは御嶽海だった。
阿炎のもろ手突きからの攻めにあてがって前進。
たまらず相手が引いたところで難なく勝負をつけた。
3場所の出場停止などの処分を経て、見違えるような取り口で幕内に戻ってきた阿炎。
終盤まで照ノ富士と優勝を争った先場所の勢いそのままに白星を重ねてきたのに対し、先頭を走ってきた御嶽海は10日目に初黒星を喫し、3日間で2敗。
まさに正念場と言えた。
重要な局面で一歩も下がらずに足を出し、圧力をかけ続けた。
その姿に、八角理事長は、「きょうは勇気があった」と褒めた。
雑念を捨て、存分に持ち味を発揮した攻めに、「以前は負けたら、投げやりになったところもあったが、何とか頑張ろうという気持ちが見えている」。
気迫で追い込んだ。
右太ももを痛め、大相撲初場所11日目から休場していた東前頭10枚目の妙義龍が14日目の22日から再出場することが21日、決まった。
小結大栄翔戦が組まれた。
13日目、東前頭14枚目の琴ノ若が3敗を死守して2桁10勝目をあげ、優勝争いに踏みとどまった。
幕内最年長37歳の玉鷲と対戦。
琴ノ若は左右おっつけからのはず押しで一気に土俵際まで詰めた。
最後に玉鷲が逆転の突き落としを決めたかに見えたが、その前に土俵を割っており、琴ノ若が軍配をもらった。
「相手が先に出たように見えたが、軍配が見えず、物言いもつかなかったのでどうなるかと。徹底して攻められたのがよかった」。
2桁勝利は12勝3敗で敢闘賞を受賞した昨年名古屋場所以来だが、「結果は場所が終わってからで、最後までしっかりいい相撲をとって終わりたい」と優勝争いも意識から外した。
祖父が元横綱琴桜、父が現・佐渡ケ嶽親方の元関脇琴ノ若。
徐々に開花しつつある「伝統の血筋」が、残り2日まで夢をつないだ。
21日、元幕内で東幕下筆頭の旭秀鵬(33)、モンゴル出身、友綱部屋=の現役引退を発表した。
東十両14枚目だった昨年九州場所で6勝9敗と負け越し、幕下に転落した今場所は初日から休場していた。
2007年夏場所初土俵。
右四つ、寄りを武器に11年秋場所で新十両、翌年初場所で新入幕。
最高位は東前頭4枚目で、幕内に20場所在位した。
2022/01/21
12日目、照ノ富士が小結明生に敗れ2敗目を喫した。
立ち合いで相手に踏み込まれ、慌てて前に出たところを肩透かしを繰り出されて土俵外へ追い出された。
取組後は取材に応じなかった。
土俵下の高田川審判長は「焦って出たね。いつもだったら自分の形になってからやるんだけど強引に出過ぎた。いつもと違う戦いだった」と敗因を分析した。
12日目、11日目を終えて1敗の関脇御嶽海。
横綱照ノ富士と並走して優勝争いトップに立つ中、阿武咲の引き落としにあっさり屈して2敗に後退した。
2場所連続の2桁白星で大関とりの足固めを作ったが、勢いに乗れなかった。
12日目、小結明生が、横綱照ノ富士を破って、勝ち越しに望みをつなげた。
立ち合いで照ノ富士にさがりをつかまれたが、腕を伸ばして必死に抵抗。
引いて土俵際に呼び込む形となったが、右に動きながら肩すかしを決めた。
優勝争いでトップに立つ横綱からの白星。
「精いっぱいやりました。うれしかったです。強い横綱に勝てたので自信を持っていきたいと思います」と手応えを口にした。
今場所は初日から腰にテーピングを施していたが、この日はテーピングを施さずに土俵に上がった。
7敗と後がなく「気合を入れました。強い気持ちを持っていきたいなと。集中しました」と痛みを考えることもなく、目の前の一番に集中。
これまで意識してきた同期でもあったが「意識はない。もう横綱なので精いっぱいやりました」と胸を借りるつもりで土俵に上がり、勝ち越しへ望みをつなげた。
やや緊張した面持ちの御嶽海とは対照的に、阿武咲の目には力があった。
勢いよく頭で当たると、両腕を伸ばして上体を起こす。
一瞬の隙を逃さず、体を開いて引き落とし。
「足がそろったところが見えていた。落ち着いていた」。
軽くうなずき、土俵にはった相手の横を悠然と歩いた。
今場所の主役とも言える御嶽海との対戦だったが、「誰が相手でも変わらない。思い切ってやろうというだけ」と平静を保った。
新年恒例の書き初めでは、大きな字で「心」と記した。
その言葉通り、精神面の充実が感じられる。
ついにトップに並んだ。
12日目、幕内阿炎が関脇隆の勝を突き出しで破って、2場所連続2桁勝利を挙げた。
先場所に苦杯を喫した相手に、立ち合いから得意の突きで押し込んでの快勝。
2敗を死守した取組後は「攻められた。師匠(錣山親方=元関脇寺尾)から『今日は引かない方がいい』と言っていただいた。
しっかり自分の相撲が取り切れた」と手応えを語った。
1差で追っていた照ノ富士と御嶽海がこの日に揃って黒星。
2敗で3人が並び、三つどもえの賜杯戦線となった。
しかし阿炎は「意識していない。明日の相撲に集中するだけ」ときっぱり。
まずは13日目の御嶽海との直接対決に全力を尽くす。
12日目、幕内魁聖が休場となった。
日本相撲協会に「左足関節捻挫により1月場所は休養を要する」との診断書を提出した。
直近3場所連続で負け越していた魁聖は、今場所はここまで5勝6敗。
初日に元横綱大鵬の孫で新入幕の王鵬(大獄)に敗れ黒星スターとなったが、4日目から3連勝をマークした。
だが前日11日目に幕内佐田の海に敗れ黒星が1つ先行。
この取組の際、土俵際で左足をひねり決着後は患部を押さえながら苦悶の表情を浮かべていた。
12日目、NHKの大相撲中継の実況で知られる藤井康生アナが、この日が最後のNHKでの実況担当になると明かした。
解説の北の富士さんとのやり取りの中で、北の富士さんが入門のために上京した1957年1月のことが話題になり、その流れで北の富士さんが「そういう時に藤井さんが生まれたんだな」と語った。
藤井アナも57年1月生まれ。
さらに、北の富士さんから「ところで、きょうが最後なの?」と水を向けられ、「NHKの放送としては。大相撲の放送としては。いろいろお世話になりましたが」と感謝。
北の富士さんも「(私の)つまらん話を面白くしてくれました」と、こちらも感謝していた。
2022/01/20
11日目、照ノ富士は必死に抵抗する千代翔馬を寄り切りで退けた。
立ち合いすぐに左まわしをつかんだが、慌てずに攻めた。
「じっくり落ち着いていこうと思っていました」との言葉通り、右上手も取ってから、相手をしっかりと引きつけ前に出た。
御嶽海とともに1敗をキープ。
「あと4日間、集中していきたいと思います。毎日ベストを尽くして頑張っていきたい」と普段通り冷静に話した。
11日目、常に前へ前へと攻めた。
御嶽海は立ち合いから右を差して圧力をかけていく。
正代も大関の意地でこらえ、反撃に出ようとしたが、主導権は渡さなかった。
左上手を引くと胸を合わせ、力強く寄り切った。
「しっかり大関の下に入って、前に出ることを意識しました。四つになったけど、前に出る意識を持っていたのでああいう結果になったと思う」。
今場所元気のない大関相手とはいえ、きっちりと勝ちきった。
三役では自身初の2場所連続2桁勝利を決め「やったことなかったので、素直にうれしい」と喜んだ。
11日目、逸ノ城の逆襲を浴びても、立ち合いで押し込んでいた阿炎には残す余裕があった。
「攻める意識があったんで、それが最後に良かったかなと」
俵を背負ったが右からいなすと、すぐさま左からはたき込み。
「自然と体が動いた感じです」と先場所からの好調ぶりそのままに9勝目。唯一の2敗を守り、照ノ富士と御嶽海を1差で追走していく。
八角理事長(元横綱北勝海)は「最初に攻めてますからね。攻めているから土俵際で残れる」と評価。
藤島審判長も「本来の相撲じゃないが、しのいで勝つあたりが調子いいんじゃないか。力はついている」。
照ノ富士、御嶽海と対戦を組む可能性についても「そういうふうになるかも。一日一日の状況を見ながら、一番最善の取組を作る」とした。
11日目、琴ノ若が2敗と好調の宝富士に圧勝した。
右を固めて相手得意の左差しを封じると、まわしにこだわらずに突っ張った。
「終始先に自分が動いて、最後まで攻め切れた」と納得の表情を見せた。
元横綱琴桜を祖父に、師匠の佐渡ケ嶽親方を父に持つサラブレッド。
勝ち越しを決めたが「上(の番付)を目指さないといけないと、強い気持ちを持っていけている」と貪欲に語った。
11日目、琴恵光が再出発の場所で早々と勝ち越しを決めた。
立ち合い張ってもろ差しになると、出足の勢いそのまま寄り切る速攻相撲。
11日目での勝ち越しは、20年7月場所以来で自己最速タイとなった。
先場所は初日から7連敗を喫して3勝12敗。
「先場所の悔しい気持ちを忘れずに稽古して、それがつながって良かった。(残り4日間も)攻める意識で土俵に上がりたい」と、充実した表情だった。
2022/01/19
11日目、西前頭9枚目の志摩ノ海、東前頭10枚目の妙義龍が休場した。
ともに10日目は白星で5勝5敗としていた。
志摩ノ海は日本相撲協会に「右ハムストリング(太もも裏)損傷で約1週間の加療を要する」との診断書を提出した。
休場は志摩ノ海が序二段だった2014年夏場所以来7度目、妙義龍が19年秋場所以来9度目。
志摩ノ海の対戦相手の遠藤、妙義龍の対戦相手の若元春はともに不戦勝。
今場所の十両以上の休場者は大関貴景勝ら9人となった。
2022/01/19
照ノ富士は阿武咲を危なげなく下し、1敗を守ってトップに並んだ。
目の前で御嶽海に土がついた後の一番にも、「自分の相撲に集中していた」と浮つくことはなかった。
鋭く踏み込んで左でまわしを引き、相手に反撃の隙を与えない万全の寄り。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長は、「前に出ないと、まわしは取れない。いいんじゃないか」と評価した。
10日目、ついに初日からの連勝が止まった。
関脇御嶽海が北勝富士のおっつけに屈して、抵抗むなしく押し出された。
取組後は取材に応じず。
大関とりの足固めとなる2桁白星に向けて、11日目は大関正代と対戦する。
照ノ富士と並走となった優勝争いに向けても、正念場の一番を迎える。
10日目、人気業師の東前頭2枚目宇良が、優勝経験者の小結大栄翔を破って5勝5敗と星を五分に戻した。
強烈な突っ張りを下からあてがい、いなしで崩すと勝機を見いだすように懐に飛び込んだ。
もろ差しとなって一気に走り、飛び込みながら押し倒し。
大関貴景勝ら三役以上の力士4人から白星を挙げた。
残り5日間で勝ち越しを懸ける。
取組後のリモート取材では「今日も頑張ろうと思いました。頑張れたと思います」と振り返り、星が五分に戻ったことについては「考えていないです」と話した。
10日目、西前頭4枚目・北勝富士が会心の相撲で関脇・御嶽海の連勝を止めた。
左右の強烈なおっつけで相手の出足を止め、じわじわと押し込んだ。
それに根負けした御嶽海が引いたのに乗じて一気に押し出した。
「いい当たりから足を運べた」と納得の表情で振り返った。
両者は学生時代からしのぎを削ってきた。
日体大の北勝富士に対し、東洋大の御嶽海。
北勝富士は大学4年の全国学生選手権個人決勝で敗れた。
プロ入り後も火花を散らし、対戦成績はこれで11勝12敗とほぼ互角に。
北勝富士は「元々、負けたくない相手。いい相撲を取れてよかった」と、うなずいた。
快勝に、普段は弟子に厳しい師匠の八角理事長も「会心の相撲じゃないか。きょうは北勝富士を褒めてやってよ」と最大級の賛辞を送っていた。
10日目、阿炎は隠岐の海を押し出しで破った。
2敗の阿炎が存分に持ち味を発揮した。
立ち合いから隠岐の海を猛然と突いて先手を取った。
直後、土俵際に詰まった相手に回り込まれて危ない体勢になったが、素早く反応して向き直る。
腕をたぐるようにして体を入れ替え、押し出した。
10日目で早くも勝ち越しを決め、1敗の照ノ富士、御嶽海に食らいつく。
「うれしく思います。場所に向けて体作りをしっかりできたのが良かった」。
気が緩む様子はみじんも感じられない。
宝富士は一山本の突っ張りにも動じず、4連勝で勝ち越しを決めた。
この日は、2年前に亡くなった近大時代の恩師、伊東勝人さんの命日。
「勝たせてください、力を貸してください、と心の中で思っていた」。
少し照れくさそうに言った。
近大の監督として伊東さんは、左半身になりがちだった宝富士に右の使い方を指導。
「それが今も生きている」と感謝する。
同じ部屋の照ノ富士らを1差で追うが、「気を抜くと、いつもと一緒になる。より気を引き締めて臨みたい」。
元気なベテランは謙虚に意気込みを示した。
2022/01/18
照ノ富士は北勝富士をうまくつかまえて勝負あり。
左下手を深く取ると、投げ捨てるようにして転がした。
「落ち着いてやろうと思っていた。よかった」と余裕たっぷりに振り返った。
9日目で勝ち越しが決まったが、「場所が終わったわけじゃない。残りも頑張っていきたい」。
103年ぶりとなる新横綱からの3連覇を目指し、御嶽海を1差で追う。
御嶽海は危なげなかった。
立ち合いで隠岐の海を押し込み、左右をのぞかせて一気に前進。
「しっかり集中して自分の相撲が取れている」と自信を示した。
相撲内容も伴い、大関昇進の足固めに必要な2桁白星まで、あと一つに迫った。
「目標を達成できるように白星を重ねていきたい」と言う表情は引き締まったまま。
後半戦に入り、集中力はさらに研ぎ澄まされているようだ。
変心≠ナ連敗ストップだ。
9日目、幕内阿炎が幕内妙義龍を破って7勝目(2敗)。
連敗を止めるとともに、幕内での2場所連続勝ち越しに王手をかけた。
妙義龍に押し込まれながらも、とっさに体を開いて引き落としを決めた。
取組後は「体が勝手に動いた。立ち合いはもっと鋭く当たりたいと思っているので、まだ強くなれると思いながらやっている」と振り返った。
9日目、新入幕の東前頭15枚目の若元春は、照強を寄り切って5勝目。
白星を先行させた。
祖父・元小結若葉山の命日、期する思いを白星につなげた。
若元春が照強を寄り切り3連勝。
新入幕の場所で、白星を1つ先行させる5勝目を挙げた。
「流れる感じというか、自分ができるいま一番いい寄りだった」。
立ち合って左差し。
前へ出ながら右上手も取って、引きつけながら直線的に寄って出た。
9日目、元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、3日目以来の連勝で6勝目を挙げた。
豊山の突き押しを冷静に対処した。
激しい押し合いから1度引く場面もあったが、左を差して回り込みながらすくい投げ。
「立ち合い良かったので何とか勝てた。
しっかり土俵際見えていて慌てなかった」と、新入幕らしからぬ落ち着きようだった。
勝ち越しまであと2勝とした。
「このままいい状態をキープしていきたい。毎日充実している」と、残り6日間に向けて意気込んだ。
2022/01/17
8日目、横綱・照ノ富士は、西前頭4枚目・隠岐の海を万全の寄り切りで下し、1敗を守った。
立ち合いから左四つになると、相手が巻き替えて外四つになったところを前へ。
最後は確実に寄り切った。
会心の内容に「冷静に取れたかなと思います。体が勝手に動いてくれているので」と振り返った。
7勝で折り返し、「終わってみないと分からないので、今のところは悪くはないんじゃないですかね」と調子は上々。
賜杯争いでは1差で全勝の関脇・御嶽海を追うが、「自分の相撲に集中しているだけなので、特に考えてないですけどね」と淡々と話した。
8日目、関脇・御嶽海が大栄翔を退け、勝ち越しを決めた。
難敵に押し込まれても勝機は逃さなかった。
好調の御嶽海が唯一、無傷で場所を折り返した。
1年前の初場所を制した大栄翔の突き押しを下からあてがいながら踏ん張ると、たまらず相手が引いたところで前に出て押し出した。
「絶対押される。我慢するしかない。どこか勝機を見つけて攻めるしかない」としたたかに攻めきった。
8日目、宇良がグングンと白星を伸ばしてきた。
立ち合いで隆の勝の右足を狙って踏み込む。
しっかりと抱きかかえて土俵外へと運び出した。
3日目に貴景勝に土をつける活躍はあったものの、5日目までは上位の壁にはね返されて1勝4敗。
だが、6日目から3連勝とし、折り返し地点で星を五分に戻した。
幕内100回出場を達成。
8日目、東前頭3枚目玉鷲の“鉄人”ぶりにほころび? が出た。
この日は西前頭4枚目北勝富士を退けて6勝目を挙げた。
しかし押し出した際に勢い余って倒れ込み、土俵にみぞおち付近を打ち付けて、苦悶(くもん)の表情を浮かべた。
大事には至らなかったが、04年初場所の初土俵から18年間1度も休場がない丈夫な玉鷲にしては、珍しい場面だった。
取組後のリモート取材で「鉄人でも痛いのか」との質問に対しては笑いながら「痛いっすよ! 同じ人間なので」と強調していた。
8日日、新入幕の東前頭15枚目・若元春が石浦をはたき込み、星を4勝4敗の五分とした。
中日の節目から新しい化粧まわし。
祖父の元小結・若葉山が締めていた化粧まわしを系譜したデザインのものを後援会関係者が発注していたが、ようやくできあがった。
「あこがれだったのですごくうれしいです」。
17日は祖父の命日だが、「特別な日だからという特別な感慨はないです。
毎日が特別なんで」と言った。
元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、連敗を免れて5勝3敗で後半戦に突入する。
相手をはじき飛ばすような当たりだった。
リーチを生かした突っ張りが持ち味の西前頭14枚目一山本に対して、立ち合いから頭でぶちかました。
そのまま電車道で突き出し。
新入幕の今場所。白星先行で中日を折り返した。
前日7日目は琴ノ若との“横綱の孫”対決に敗れて3敗目を喫したが、引きずらなかった。
後半戦に向けて「まだ元気だし調子いいので、このまま取っていきたい。勝っても負けても、勝つに越したことはないけど、いい相撲を取っていきたい」と意気込んだ。
2022/01/16
昨年秋場所13日目からの連勝が「23」で止まった照ノ富士は、相撲巧者の遠藤に攻められながら落ち着いた相撲で寄り切り。
1敗を守った。
「冷静にとれたかなと思います」。
「昨日のことは昨日のことでしか考えていない。集中して残り頑張っていきたいと思います」。
3場所連続優勝へ再発進した。
7日目、“眠れる大関候補”御嶽海が、お目覚めの7連勝で、優勝争いで単独トップに立った。
前日6日目に、横綱照ノ富士から完璧な押し相撲で金星を奪ったベテラン玉鷲との一番。
立ち合いに押され、やや後退したものの左を差すと迷わず右をあてがいながら前進。
玉鷲に突き押しの距離を与えず、危なげなく寄り切った。
報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は「御嶽海は当たりの重さがある」と、簡単に下がらなかった立ち合いを評価。
下がってからの攻めのうまさにも言及し「左をうまく差した。(それで玉鷲の)右肘が浮いて押せなかった。左を差しての型がいい」と技巧ぶりもほめた。
差した場面も「押し込もうとしているから差せる。圧力がないと玉鷲に突き放される」と攻めの気持ちを察した。
ここまでの7日間は「最高じゃないか。内容がいい。危ない相撲がない」と満点の評価。
7日目、阿武咲が全勝の阿炎に土をつけ、連敗を2で止めた。
「(阿炎は)ほぼ同期みたいで切磋琢磨(せっさたくま)してきたし仲もいい。だからこそ負けたくなかった。いい刺激になる。勝ててよかったと思います」。
自身にとっても大きな5勝目。
「常に上を目指しているし、もっともっと星を積み重ねていきたい」と気合十分に語った。
7日目、琴ノ若と王鵬が対決。
期待の新鋭同士の取組がついに実現した。
2人とも3代続く力士の家系である。
琴ノ若の祖父は猛牛≠フ異名を取った元横綱琴桜、父が元関脇琴ノ若(現・佐渡ケ嶽親方)。
そして王鵬は祖父が昭和の大横綱大鵬で、父が元関脇貴闘力だ。
注目を集めた初対戦で、白星をつかんだのは琴ノ若だった。
「慌てず、落ち着いて取れた」との言葉通り、立ち合いから押し込んで先手を取ると、王鵬が押し返してきたところで肩すかし。
取組後、経歴に話題が集まることについて「言われるものだと思っている。深くは考えず、思い切りやることだけ考えた」と毅然(きぜん)と語った。
大相撲の木瀬部屋所属で、違法賭博関与の疑いがある平幕英乃海と新十両の紫雷が、調査を進める日本相撲協会コンプライアンス委員会に対し、賭博行為を認めたことが15日、関係者の話で分かった。
両力士は埼玉県内の違法賭博店に出入りし、賭博に関与した疑いがあるとして、埼玉県警から事情聴取を受けていた。
捜査関係者によると、同県警が昨年9月に摘発した同県草加市の違法賭博店への出入りが確認されているという。
現在開催中の初場所は、師匠の木瀬親方の判断により、2人とも休場している。
不祥事などの調査を担当する同委員会による答申を受け、処分は27日の協会定例理事会で最終決定する見通しとなっている。
2022/01/15
ベテランに不覚を取った。
6日目、横綱照ノ富士が幕内玉鷲に敗れ、初黒星。
昨年秋場所から続く連勝も23で止まった。
立ち合いから相手の押しに自分の相撲が取れず、最後は突き落とされて土俵に手をつけた。
取組後はコメントを残すことなく引き揚げた。
土俵下の高田川審判長は「玉鷲が鋭く攻め込んだので、受けすぎてパっと透かしたような感じになった」と敗因を分析。
一方で「気にせずに明日から力を出してくれたら」と語った。
6日目、御嶽海が一気の電車道で初日からの連勝を6に伸ばした。
昨年は2度、苦杯をなめている遠藤を相手に左前まわしを取られたが、構わずに前に出て押し出した。
「申し分ないと思います」との言葉通り、言うことなしの内容。
7日目は照ノ富士を破った玉鷲が相手だが「しっかり自分の相撲を取れば負けないと思う。集中できている」と自信をのぞかせた。
6日目、人気業師の東前頭2枚目宇良が“トリッキーな技”を繰り出し2勝目。
ネット上では「宇良関がウラに回って2勝目」「今日は宇良もスゴイ相撲。これは技能賞ものでは」「こういう取り組みがあるから、宇良が好きなんだよね〜」と盛り上がりを見せた。
いつも明るい玉鷲が、普段に増して朗らかな表情を見せた。
大関正代に続き、23連勝中の照ノ富士も破る殊勲星。
2019年夏場所以来となる金星を奪って5勝目を挙げ、「よかった。ようやく勝てた」。
最近は、土俵際まで押し込みながら照ノ富士に勝てず、「止まったら下からもう一度当たっていこう」と心に決めていた。
この日は、立ち合いから一気に喉輪で押し込んだ。
反撃しようとする相手をもう一押しして、いなすように突き落とし。胸中を問われると、「(映像で)見直してから実感したい」。
幕内で最年長の37歳。
難攻不落の横綱に土をつけ、金星獲得の年長記録では昭和以降の新入幕で6番目となった。
「若手に負けない気持ちでいられるようにしている」と、精神面の充実を口にし、自慢の馬力も全く衰えない。
「師匠の教えを素直に聞くことが大事」と、謙虚さを忘れず稽古場に立っている。
19年の初場所で初賜杯を抱いている。
「昔のことなので忘れました」とはぐらかしたが、まだまだ場所を盛り上げそうだ。
6日目、阿炎は志摩ノ海にヒヤリとさせられながらも全勝を守った。
いつも通り立ち合いから突いていったが、うまく下からさばかれ、引いたところを逆に攻め込まれた。
土俵際まで追い詰められたが、ヒラリとかわすように起死回生の上手投げ。
「思ったより手が回転しなかった。引いてしまったけど、流れで体が動いてくれた」と胸をなで下ろした。
6日目、元横綱大鵬の孫で元関脇貴闘力の三男、東前頭18枚目の王鵬が、大関経験者の西前頭15枚目栃ノ心に完勝した。
新入幕の今場所。
6日目を終えて4勝2敗となった。
立ち合いで栃ノ心に前まわしを取られたが、構わずに出た。
土俵際まで押し込むと左四つ、右上手で辛抱強く寄り切り。
「つかまってしまったけど、前傾姿勢は崩れていなかった」。
怪力を誇る栃ノ心を相手に、自信となる1勝。
「めちゃくちゃ重かったです」と口も滑らかだった。
2022/01/14
逸ノ城の挑戦を受けた照ノ富士は、立ち合いで左上手を奪うと、豪快な上手投げで体重206キロの巨漢を転がした。
相四つでやりやすい相手。
「良かったと思います」と淡々と振り返った。
初日の大栄翔戦や、4日目の宇良戦で土俵際まで追い詰められる場面もあったが、無傷で序盤戦を終えた。
5日目の相撲を土俵下で見届けた藤島審判長は「押し込まれていても、慌てていない」と評価。
横綱自身は「あと10日あるんで、残りも気を引き締めて頑張っていきたい」と表情を緩めることはなかった。
5日目、東関脇・御嶽海は西前頭筆頭・霧馬山に押し出しで勝ち、連勝を5に伸ばした。
6日目の14日は西前頭3枚目・遠藤と対戦する。
御嶽海は安定感のある相撲内容で5連勝を飾った。
霧馬山のもろ手突きを払いのけていなして体勢を入れ替えると、最後ははず押しで退けた。
遠藤はここまで2勝3敗。
過去6場所は御嶽海の1勝2敗で、先場所は寄り切りで敗れている。
幕内最年長の玉鷲が37歳の年齢を感じさせない若々しい相撲で2年半ぶりに正代を破り、序盤を1敗で乗り切った。
立ち合いで正代が胸を出すように出るところに頭で当たった。
相手の双差しにもかまわず腕を伸ばして突き放し、休まず攻めて押し出した。
5日目、西前頭6枚目・阿炎は、平幕唯一の無傷5連勝とした。
低い体勢が持ち味の同4枚目・北勝富士をもろ手で起こすと、一気に前進。
回り込もうとする相手を押し出した。
「(内容は)良かったと思う」と、うなずいた。
この日、部屋を出る前に師匠の錣山親方から「いなしを気をつけろ」と助言を受けたという。
「とにかく自分の距離で攻めすぎずというか、前のめりにならないように意識した。北勝富士関はおっつけが上手。おっつけられないように、自分で考えて相撲を取った」と語った。
優勝争いを演じた先場所に続いて、好調な様子。
「場所に合わせて体調管理してきたので、調子はいいと思う」と手応えをつかんでいる様子だった。
5日目、34歳の西前頭7枚目・宝富士が幕内連続800回出場の節目を白星で飾った。
ここまで全勝だった東同5枚目・阿武咲との一番。
好調な相手の押しに下がったが、耐えしのいで土俵際で逆転の突き落としを決めた。
初日は阿炎に敗れたが、その後は4連勝。
「自分のいいところを生かして、連勝も続いているので、気持ちも上がってきていいと思う」と、うなずいた。
記念すべき一番で白星を飾り、「そういう記録の時はだいたい負けているが、今日は勝てたので、今年はいいことがあるかな」と、ほほえんでいた。
棚田好男さん(たなだ・よしお=大相撲の立行司、第34代式守伊之助)4日午後11時、肝臓がんのため死去、80歳。
北海道出身。葬儀・告別式は近親者で済ませた。
花籠部屋に入門し、55年夏場所で初土俵。
貴乃花部屋に所属した06年初場所で行司の最高位の一人である式守伊之助を襲名した。
立行司を務めたのはこの1場所で、06年2月に相撲協会を定年退職した。
2022/01/13
4日目、横綱照ノ富士は宇良にひやりとさせられる場面があったが、最後は突き倒しで全勝を守った。
小手投げを打ったところ、呼び込む形になり、宇良に土俵際まで追い詰められた。
上体はのけぞり危ない場面だったが、粘り腰でこらえ、「落ち着いてできたと思います」。
大関貴景勝が休場し、横綱の責任はさらに増すが、「自分なりに頑張っていきたい」と冷静に話した。
4日目、右足首の負傷で休場した大関貴景勝に、日本相撲協会の八角理事長は治療に専念することを求めた。
3月の春場所は5度目の、かど番で臨む貴景勝。
報道陣の電話取材に応じた八角理事長は「この1年で(貴景勝の休場は)何度目?」と逆質問。
昨年初場所、7月の名古屋場所と、2場所を皆勤しては途中休場が続く大関に「ケガをしない体を作らないと。どれだけ痛めたのか分からないが、体が重たいだけに下がると(余計に)ケガにつながる」と、取り直しになった前日3日目の、宇良との最初の相撲を分析。
「とにかく今は(ケガを)治すことに専念することでしょう」と話した。
取り直しの一番でも、御嶽海は気持ちを切らさなかった。
立ち合いでしっかりと踏み込んで当たると、下から攻めて明生を一気に押し出し。
「(最初の一番は)微妙だったので、取り直しになってよかった。集中はずっとできていた」。
納得の口ぶりで振り返った。
内容も伴って4連勝。
先場所は11勝を挙げており、大関昇進の足固めへ今場所も白星を2桁に乗せたいところ。
「いいんでね。ここから気を引き締めてやっていきたい」と手応え十分だ。
4日目、阿武咲が豊昇龍を寄り倒しで下し、20年秋場所以来の初日から4連勝とした。
突き放しにくる相手に、懸命に体を寄せて右を差した。
「勝負どころはここだなと思った」と休まず前に出て勝負を決めた。
順調に白星を伸ばしているが「まだまだ場所はある。今日は今日なので切り替えて頑張るだけ」と引き締めた。
4日日、西前頭6枚目の阿炎が、初日から4連勝を飾った。
阿炎の長い手足は最大の武器だ。
長い上に速射砲のような突っ張りが繰り出されると、千代の国はたまらず土俵を割った。
師匠の錣山親方がNHKで解説を務めた。
「かなり落ち着いて土俵に上がれる性格ですからね。上ばかり突くから残される。腹も突けばいい」と指摘。
それに対し、阿炎は取組後に「左がうまく使えていない。左を使えれば、そういうこともできると思います」と語った。
物言いがついた一番で妙義龍が辛くも白星を得た。
掛け投げを狙った天空海を押しつぶすようにして、すくい投げ。
相手のまげがわずかに先についており、「もうちょっとで食らいそうだったが、うまく反応できた」と胸をなで下ろした。
先場所は2勝13敗と苦しんだものの、今場所は足もよく動いて4連勝。
「一番一番、集中してやっている。また、あしたから気分良くいきたい」と声が明るかった。
大相撲の出羽海一門は12日、東京・両国国技館で会合を開き、初場所後に実施される2年に1度の日本相撲協会役員候補選挙で、理事候補には現職の出羽海親方(元幕内小城ノ花)、春日野親方(元関脇栃乃和歌)、境川親方(元小結両国)の3人の擁立を確認した。副理事候補も現職の藤島親方(元大関武双山)が立つ予定。
5つある一門のうち、出羽海以外では二所ノ関が3人、時津風が2人、高砂と伊勢ケ浜からは各1人が理事候補に名乗り出る見通し。
立候補者が定員の10人なら2期連続で無投票となる。
2022/01/12
4日目、大関貴景勝が日本相撲協会に休場を届け出た。
今場所は2日目から明生、宇良に連敗していた。
再出場しなければ、来場所はかど番で迎える。
2022/01/12
3日目、3連覇を狙う横綱照ノ富士は幕内霧馬山を上手投げで下し、初日から3連勝とした。
初日、2日目と苦戦を強いられたが、この日は立ち合いから圧力をかけて相手に何もさせなかった。
取組後は「(相手を)正面に置いてじっくりと思った。体が自然に動いてくれた」と淡々とコメント。
貴景勝、正代の2大関が相次いで敗れた後の結びの一番となったが「(心境の変化は)特にない。やることは一つしかない。じっくりやっていこうと思った」と風格を漂わせた。
御嶽海が若隆景に地力の違いを見せつけた。
立ち合いで動いた相手に左上手を与えたが、慌てずにおっつけなどで応戦。
胸を合わせて寄り切った。
先場所、苦杯を喫した東洋大の後輩を退け、「何でも予想していたので、しっかり対応できた」と涼しい顔で振り返った。
大関昇進の足固めを狙う場所で3連勝の好スタートを切り、「気持ちで負けないように、勝つイメージを持ってやっている」。
精神面の充実を強調した。
3日目、小結・大栄翔が大関・正代を破り、今場所初勝利。
1年前の初場所覇者が白星をきっかけに調子を上げていくか。
「いい相撲をとっても、負けたら意味がない。調子はよく、細かいところだと思っている。今日はいい相撲が取れた。(4日目以降に向けて)ここからしっかり盛り返していけるように頑張ります。」と語る。
3日目、宇良が大関貴景勝を押し倒し、初白星を挙げた。
いつも以上に、宇良の一挙手一投足に視線が集まっていた。
どんな技を繰り出すか分からない業師であることだけが、その理由ではない。
前日の正代戦で後頭部を強打し、ふらついていたからである。
慎重な対応が求められる脳振盪(しんとう)。
出場が不安視される中、宇良は土俵に立ち、貴景勝を相手に暴れまわった。
突き押しが強烈な大関に対して、うまく右前まわしを引いて懐に潜る。
拝むよな格好で前へ出ると、土俵際でもつれて同体取り直しとなった。
「そんな何回も相撲を取りたいわけじゃない」。
顔をしかめて2度目の勝負。
今度は立ち合いで当たりながら右に動いた。
土俵際まで走ってしまった貴景勝を勢い良く押し倒した。
新入幕の王鵬は、200キロの剣翔を休まず攻めて押し出した。
3連勝に「調子はいい。体をしっかり動かせていると思う」と満足げだった。
祖父で昭和の大横綱大鵬は、新入幕の場所で初日からの11連勝を含む12勝。
それについて水を向けられると、「あまり気にしていないが、負けるより勝った方がいい。勝てるときに番付を上げたい」。
静かに闘志を燃やした。
尾車部屋付きの中村親方(元関脇嘉風)が初場所後の同部屋閉鎖に伴って、二所ノ関部屋に移籍することが11日、関係者への取材で分かった。
初場所後の理事会で承認される予定。幕内経験者の幕下友風らと移籍する方向で調整中で、元横綱稀勢の里の二所ノ関親方が師匠を務める二所ノ関部屋の部屋付き親方になる。
2022/01/11
追い込まれても動じなかった。
2日目、3連覇を狙う横綱照ノ富士は幕内若隆景を下して2連勝。
相手の低い当たりから腕をたぐられ、押し込まれたものの、最後は小手投げで土俵際に転がした。
初日の幕内大栄翔戦に続いて苦戦とも受け取れる展開となったが、横綱は「落ち着いてやれたんじゃないかなと。一人で相撲を取っているわけじゃない。相手のいることなので、そのときの状況で落ち着いてやっていこうと思っている」と冷静だった。
この日の白星で昨年秋場所13日目から20連勝。
それでも本人は「特に考えていない」と気にしていない。
記録については「そういうことにこだわっているわけではないので」と話すように、まさに不動心≠貫いている。
正代は宇良を潜り込ませず、一気に押し出した。
顔を合わせるのは2017年以来。過去2戦2敗だっただけに、「苦手意識もあって、ちょっとやりづらかった」と率直に打ち明けた。
土俵下に転落した宇良がふらつく場面もあった。正代は「自分は大丈夫だったが、宇良関は頭から落ちたんじゃないかと思う」と、心配そうな表情を浮かべていた。
三役常連の御嶽海が危なげなく2連勝。
大関昇進の期待に応えるべく、新年最初の場所で活躍を狙う。
206キロの巨漢・逸ノ城得意の右四つを封じようと、左から当たった。
相手が前に出てくるところを回り込み、体を入れ替えて最後は押し出した。
「立ち合いで押し込まれたが、下から攻めたのがよかった」と御嶽海。
「ここまではいつも通り。しっかり白星をつなげて気持ちよく進みたい」と話した。
集中力は切らさなかった。
明生が先場所に続いて貴景勝を撃破。
押し込まれたものの、うまく右に回り込んで突き落とし。
大関の圧力に屈せずに白星をつかみ取り、「やれることをやった」と、静かに勝利の味をかみしめた。
昨年は、最後に悔しさを経験した。
けがもあり、十両に落ちていた2020年の7月場所から、6場所連続で勝ち越して新小結に昇進したが、関脇2場所目の先場所で負け越した。
久々の苦さを一年の納めで味わう中、収穫はあった。
10日、人気業師の東前頭2枚目宇良が、大関正代との取組で背部を強打し、車いすで搬送された。
宇良は正代に左を差されると、圧力を逃がせないまま一気に押し出された。
正代とともに土俵下へ落下し、宇良は背面を強打。
なかなか立ち上がることができず、勝った正代も手を貸すなど気づかった。
ともに土俵上へ戻り、正代が勝ち名乗りを受けようとした時だった。
ふらつく宇良は直立できず、行司の式守伊之助や呼び出しも状態を危険視するように声をかけた。
宇良は呼び出しの肩を借りて土俵下へ。
花道で車いすに乗り、治療に向かった。
正代の勝ち名乗りは、間を置いて行われた。
幕内後半戦の藤島審判長は「脳振とうじゃないか。上位にくると圧力のある人ばかり。どうしてもああいう相撲になる」と、宇良の状態を心配していた。
10日、西前頭6枚目の阿炎が千代翔馬を押し出しで下し2連勝とした。
阿炎は「千代翔馬関は技が多いので、自分の距離で相撲を取ることだけ考えた。自分の中でしっかりやっていけば、いい方向にいくと思っている」と手応えを感じていた。
10日、祖父の背中はまだ遠いかもしれないが、いつか新たな時代を背負って立つ。
そう期待せずにはいられない。
新入幕の王鵬が初日から2連勝の好スタート。
昭和の大横綱である祖父、大鵬から受け継いだ素質を開花させるときがきている。
得意は押し。
琴恵光にもろ差しを許す不利な体勢になったが、攻めることしか頭になかった。
左からおっつけながら突き落とし。
「突き落としてしまいましたが、引く気はなかった。正面で我慢して取れた」と持ち味を出し切り白星をつかみ取った。
新しい未来のテレビ「ABEMA(アベマ)」は、「ABEMA大相撲LIVE」と連動したオリジナルサイト『ABEMA大相撲センター試験』をオープンした。 『ABEMA大相撲センター試験』は、1月9日の初場所から放送を開始した「ABEMA大相撲LIVE」との連動サイト。視聴者に場所開催中、力士とともに勝負をする感覚で『ABEMA 大相撲センター試験』に挑戦してもらうことで、より大相撲のことを深く理解し、楽しみながら取り組みを視聴できるというもの。 本場所開催期間中、「ABEMA大相撲LIVE」の番組内で大相撲に関するクイズが出題され、『ABEMA 大相撲センター試験』にてクイズに回答していくと、正答数に応じて番付が発表される。 大相撲と同様に「横綱」「大関」「関脇」「小結」「平幕」と五段階で格付けされ、本場所終了時の番付上位者のなかから抽選で10名に日本相撲協会が発売する「横綱全勝セット」(6,000円相当)がプレゼントされる。
2022/01/10
緊張感漂う初日の相手は大栄翔。
難敵を下しての白星発進に「ちゃんと受けていこうと思ったが、ああいう相撲になってしまった」と、苦戦を強いられたことを素直に認めた。
大栄翔は、新横綱だった昨年の秋場所で初めて金星を与えた実力者。
押し込まれて右足一本で踏ん張った後、休まずに動く相手をつかまえ切れない。
これにいら立ったのか、あまり見せない張り手も繰り出した。
最後は、中に入られかけたところをはたき込み。
「体が自然と動いてくれている」。
理想とする相撲からは遠くても、普段の稽古が生きた。
今年の抱負は、現在6度の優勝回数を2桁に乗せること。
「目標を大きく持たないと、モチベーションは保てない。毎年そういう目標を立てて、それに向けてやっている」。
第一人者だった白鵬が昨年、土俵を去り、言葉には覚悟と自信がより一層にじむ。
「始まったばかりなので、気合を入れていきたい」と自らに言い聞かせた。
慢心なく土俵を務めれば、今年も照ノ富士の一年になる。
9日、大関貴景勝は幕内若隆景を下して白星スタートを切った。
立ち合いから前に出て一気に押し出した大関は「もう終わったこと。また明日に向けて頑張りたいです」と表情を変えることなく振り返った。
昨年は綱とり挑戦失敗や首の負傷もあり2度カド番を迎えたが、いずれも脱出。
一方、先場所は最終的に12勝(3敗)を挙げながらも、13日目の幕内阿炎に黒星を喫してV争いから脱落した。
賜杯は一昨年11月場所から遠ざかっており、今場所にかける思いは強い。
「去年も妥協してやったわけではない。今年も引き続き頑張っていきたい」と静かに闘志を燃やす貴景勝。
9日、大関正代はひやひやの初日となった。
立ち合いから霧馬山を押し込んだ土俵際、残されてもろ差しを許し、逆に土俵際に詰められた。
絶体絶命のピンチだったが、執念の小手投げが決まった。
「土俵際に押し込むのと同時に自分の体も起きてしまって厳しい形になった。白星で始まったのはいいと思うが内容的には…。土俵際落ち着いて寄り切れるよう持っていきたい」と反省しきりだった。
9日、元横綱朝青龍を叔父に持つ、東前頭6枚目の豊昇龍が新年から切れ味抜群の技を披露した。
得意の右四つではなかったが、千代翔馬を組み止めると右からの外掛け。
これがきれいに決まった。
「まあ、一日一番、大事にしていきたい気持ちがあります」。
取組前の幕内土俵入り後に中日スポーツ、東京中日スポーツ制定「第58回大相撲幕内最優秀新人賞」の表彰式があり、佐藤敦東京中日スポーツ総局長から賞状、賞金、記念盾を受け取った。
2002年の初場所で同じ新人賞の表彰を受けた叔父さんは、その年に大関まで駆け上がっている。
伸び盛りの豊昇龍にも叔父さんのような期待がかかる。
部屋では30番から40番の稽古を積み、昨年12月の合同稽古でも20番以上の申し合いを続けた。
「やるだけやってきたので、あとはやるだけですね」。
稽古が確かな自信となっている。
9日、先場所優勝争いを演じた西前頭6枚目・阿炎が完勝発進だ。
もろ手で立って同7枚目・宝富士の体を起こすと、回り込む相手をさらに攻めて押し出した。
「前に出られて相手得意の相撲を取らせなかったのが良かった」と、うなずいた。
今場所も力強い内容での白星。
それでも「一番一番集中して、自分の相撲を取りきる気持ちで臨んでいる」と自らを見つめる。
22年の目標には「見ている人たちに認めてもらえるよう、努力を重ねる1年にしたい」と決意を語っていた。
9日、新入幕の東前頭15枚目の若元春が、西前頭14枚目の一山本を寄り寄り切りで下して白星発進した。
立ち合いで低くぶつかってきた一山本に当たり負けせず、足を踏み込んで前に出た。
「押し込みながら左を差して(右)上手を取るのが1番いい形」と話すように、体を寄せながら左を差し、右上手を取って寄り切った。
見事に白星発進を飾り「緊張は特になかった。何回もやっている相手なので」と堂々と口にした。
弟の若隆景と史上12組目の兄弟幕内で臨む今場所。
弟と同じく「1日一番の気持ちで」と引き締めた。
報道陣に「弟と同じことを口にしている」と突っ込まれると「あれ(若隆景)は集中力を高める『1日一番』。僕のはプレッシャーに負けないための『1日一番』です」と兄弟だからこそ分かる違いを説明した。
9日、「昭和の大横綱」を祖父に持つ大器が、幕内デビューを白星で飾った。
新入幕の東前頭18枚目王鵬が西前頭17枚目魁聖を押し出し。
鋭い出足で三役経験者を圧倒した。
元横綱大鵬の孫で、元関脇貴闘力の三男。
入門から4年で立ったあこがれの幕内の土俵で、好スタートを切った。
会場の熱気に圧倒されながらも、王鵬が迫力満点の押し相撲を見せた。
194キロの巨漢、魁聖に対して、強烈な左おっつけで主導権を握った。
まわしを遠ざけて一気に押し切り「すごく重かったけど、前に運べて良かった」。
191センチ、181キロのホープは納得の表情を浮かべた。
大相撲初場所は2日目、3場所連続優勝に向けて白星スタートを切った横綱・照ノ富士は前頭筆頭の若隆景と対戦します。
今場所に103年ぶりとなる新横綱からの3場所連続優勝がかかる照ノ富士は初日、小結・大栄翔との熱戦を制して白星スタートを切りました。
10日の2日目は前頭筆頭の若隆景の挑戦を受けます。
過去の対戦は照ノ富士が7勝1敗と勝ち越していて、四つに組み合ってまわしをつかむ展開になれば横綱は万全です。
一方の若隆景は持ち味のスピードを生かして動きを止めず、チャンスを探りたいところです。
大関・貴景勝は小結の明生と対戦。過去の対戦は3勝3敗と五分の星で、貴景勝は先場所も敗れています。
大関・正代は前頭2枚目の宇良との一番で、過去の対戦では宇良が2回ともに勝っています。
ともに白星スタートとなった大関2人ですが、2日目は難しい相手との一番となります。
2022/01/09
9日、照ノ富士は昨年の秋場所と九州場所の優勝額贈呈式に出席。
栃木山以来103年ぶりの新横綱から3連覇を期す初場所へ「15日間いい相撲を見せて頑張りますので、応援よろしくお願いします」と静かに闘志を燃やした。
9日、東京・両国国技館で初日を迎える。
8日は土俵祭が行われ、八角理事長(元横綱・北勝海)らが場所中の安全を祈願した。
新型コロナウイルスの感染が急速に広がり、大相撲でも田子ノ浦親方(元前頭・隆の鶴)ら4人が感染して、大関経験者の前頭・高安ら田子ノ浦部屋所属の力士14人全員が全休となった。
東京場所を担当する尾車事業部長(元大関・琴風)は報道陣の電話取材に応じ、「(2021年12月25日に)全員の検査をした時は(陽性反応が)一人も出なかった。
感染力が想像以上に強い。
場所中に感染者が出ないよう15日間、みんなが注意を払って千秋楽を迎えたい」と話した。
日本相撲協会は8日、今年から「3大クイズ」を実施、協力することを発表した。
初級から上級までさまざまなクイズを用意しており大相撲を楽しめる。
「大相撲QUIZ」は目指せ相撲博士!と題し、9日から1日1問連日更新する。
協会特設HP https://www.sumo.or.jp/Entertainment/quizで実施。
「ABEMA大相撲センター試験」は初場所から各本場所で15日間、ABEMA大相撲LIVE放送時間中に大相撲にちなんだ問題を毎日出題する。
ABEMA大相撲の特設ページ https://abema-sumo.com/で実施。
「大相撲検定」は6月に開催を予定。
1500年以上続く日本の伝統文化である相撲の世界をより深く知ることを目的に、オンラインのテスト形式による日本相撲協会公式の検定だ。
詳細は後日、発表する。
2022/01/08
9日に東京・両国国技館で初日を迎える。
一人横綱として2場所目の照ノ富士は、重圧との闘いを苦にする様子はない。
優勝を果たせば新横綱から3場所連続で、1919年夏場所の栃木山以来、103年ぶりの偉業となる。
照ノ富士は初日から難敵の大栄翔の挑戦を受ける。
両膝に古傷を抱える中、最近は強引な取り口が目立たなくなった。
師匠の伊勢ケ浜親方は「優勝を何回もしている。安定感が出てきていると思う」と評価。
今場所も賜杯争いの中心となるだろう。
稽古も本場所も日々の積み重ね。
大関貴景勝はこう肝に銘じている。
苦しんだ昨年を振り返り、かみしめるように「いろいろと経験させてもらった」。
試練を糧に初場所に臨む。
稽古場では表情を変えず課題に取り組んでいる。
若い衆に助言を与えながら、スクワットや腕立て伏せで汗を流す。
時折鏡の前に立って筋肉の付き具合を確認する。
「自分は次の日のことしか考えない」。
相撲を取る相手や負荷の加減など、稽古の詳細な日程を事前に決めない。
微妙な体の変化を意識しながら慎重に進めるのが今の調整法だ。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜審判部長が7日、関脇御嶽海の大関昇進について「全勝優勝すればそういう話になるんじゃないですか」などと言及した。
9日に初日を迎える初場所の取組編成会議後に、報道陣の電話取材に応じた。
3場所連続の関脇で臨む御嶽海は、昨年9月の秋場所で9勝、同年11月の九州場所で11勝を挙げて、合計20勝としている。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝」。
審判部は初場所が大関とりの場所になると明言はしていないが、同場所で13勝を挙げれば数字上は達成する。
しかし、伊勢ケ浜審判部長は「数字じゃない。それはあくまで目安であって、相撲の内容とかそういうのがありますから。その時の周りの力士たちのこともある。そういうのを全部見て総括的に判断します」と15日間の相撲内容にも注視する構えだ。
その上で「当然、全勝優勝すればそういう話になるんじゃないですかね。そうならないといけないので予想する必要はない。本人が頑張ればいい」と全勝優勝を求めた。
過去2度の優勝を果たしている御嶽海だが13勝が最多。
高いハードルが設けられた。
先場所12勝を挙げて敢闘賞を獲得した前頭阿炎が7日、電話取材に応じ、愛する妻子のためにも快進撃を誓った。
この日の取組編成会議で初日は宝富士、2日目は千代翔馬との対戦が決まった。
部屋で幕下力士らと連日15番前後の稽古をこなし「順調に準備はできている」と不安はなし。
先場所は優勝の可能性が消えた後の千秋楽に敗れ、師匠から最後の気の緩みを指摘されたといい「そう思われないような、集中しきった相撲を取りたい」と意気込んだ。
7日、大相撲初場所で、ゲームなどで人気の「ポケットモンスター(ポケモン)」と伝統的な和柄がデザインされた行司装束や、オリジナルの化粧まわしをお披露目すると発表した。
昨年11月の九州場所から、互いの魅力を発信する取り組みを行っている。
九州場所では、おなじみの「ねずみポケモン ピカチュウ」などの懸賞旗が15日間で計64本出された。
初場所では200本以上の懸賞旗が登場予定。
国技館内ではポケモンにまつわる展示も実施される。
木瀬部屋所属の平幕、英乃海と新十両の芝改め紫雷が、埼玉県内の違法賭博店に出入りし、賭博に関与した疑いがあるとして、埼玉県警から事情聴取を受けていたことが7日、捜査関係者への取材で分かった。
同県警は容疑が固まり次第、2人を賭博容疑で書類送検する方針だ。
日本相撲協会は7日、オフィシャルパートナーの取り組みを今年1月から開始し、3カテゴリーで最上位の「オフィシャルトップパートナー」として、飲料メーカーの伊藤園との契約締結を発表した。
同社は年6度の本場所で広告を掲示し、館内に専用ブースを設置。
情報発信を行っていく。
伊藤園は「おーいお茶」の主力商品で知られる。
相撲とお茶は日本の伝統文化であるという共通項。
伊藤園の本庄大介社長は「相撲とお茶の魅力を世界中に発信し、日本文化の発展と認知拡大に貢献したい」とコメントした。
2022/01/07
大横綱大鵬の孫、王鵬が2018年初場所の初土俵から4年をかけて新入幕を果たした。
191センチ、181キロ。
恵まれた体も受け継いだ21歳は、突き押しを磨き、じっくり力をつけてきた。
「持っているものがどれだけ通用するか楽しみ」。
新年初日を心待ちにする。
先場所は東十両7枚目で11勝を挙げ昇進。
立ち合いから圧倒する相撲も増えてきた。
「地力がついたことを実感できている。得意な形になれば負けない」と自信を深めている。
祖父は新入幕の場所で12勝を挙げている。
「12番に近づきたいとかではなく、しっかり勝ち越して、そこからさらに勝てるように」と王鵬。
一気に番付を駆け上がるつもりだ。
「NHK福祉大相撲」を2022年2月11日(金・祝)に国技館で開催すると報道がありました。
開場:午後0時10分/開演:午後1時/終演予定:午後5時30分
この催物の純益等で、障害者福祉・高齢者福祉の施設や団体などに、福祉車両「福祉相撲号」を寄贈します。
「福祉相撲号」は、これまで全国各地に321台贈呈しており、障害児・者や高齢者の福祉に役立てられています。
2022/01/05
日本相撲協会は4日、田子ノ浦親方と、田子ノ浦部屋所属の幕下以下2力士、一等床山の床鳴の計4人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。
東前頭7枚目の高安を含む全力士14人ら同部屋所属の協会員計18人は陽性者および濃厚接触の可能性があるとして、大相撲初場所の全休が決まった。
今後は保健所の指示に基づき、濃厚接触者の調査や療養などの対応を行う。
場所前に感染者が出て全休措置が取られるのは昨年秋場所の宮城野部屋以来で、横綱白鵬らが休場した。
芝田山広報部長によると、田子ノ浦部屋のマネジャーが4日朝に体調不良を訴え、抗原検査で陽性が判明。
すぐに部屋全員が検査を受けたという。
新変異株のオミクロン株かどうかは不明といい「まだ陽性者が出る可能性もある」と警戒感を示した。
2021/12/23
日本相撲協会はいずれも木瀬部屋に所属する、幕内力士の英乃海と、来月の初場所で十両に昇進する紫雷が、違法賭博に関与した疑いがあるとして、初場所を休場することになったと発表しました。
日本相撲協会によりますと、英乃海と紫雷は違法賭博に関与した疑いがあり、処分の対象となる可能性があるため、師匠の木瀬親方の判断で初場所を謹慎休場させることになったということです。
関与の疑いのある時期など詳しい内容については調査中としています。
英乃海は東京都出身の32歳。
平成24年の夏場所が初土俵で、先月の九州場所は前頭9枚目で8勝7敗と勝ち越していました。
また、紫雷は東京都出身の29歳で、平成26年春場所で初土俵を踏みました。
九州場所は幕下2枚目で5勝2敗で勝ち越して初場所で十両に昇進することが決まり、しこ名を「芝」から改名したばかりでした。
日本相撲協会の芝田山広報部長は「どういう違法賭博なのか調査中なのでわからない。2人だけに限るのかもまだわからない」と述べました。
そのうえで「調査をしてみなければわからないことだが、休場させるという決断にいたったというのは非常に残念であり遺憾だ」と述べました。
幕内志摩ノ海(32=木瀬)が22日に東京・墨田区の部屋で会見を開き、婚約を発表した。
お相手は元タカラジェンヌの天咲千華(あまさき・ちはな)でヨガインストラクターの福薗清香さん(34)。
先代井筒親方で元関脇逆鉾の福薗好昭氏(故人)の長女で、角界とも深い縁がある。
志摩ノ海は角界関係者の紹介で清香さんと10月上旬に初対面し、結婚を前提に交際をスタート。
そこから3、4回のデートを経てスピード婚約となった。
志摩ノ海は「(清香さんは)やさしくて気配りのできる方。
明るく、ともに成長していける関係で家庭を築いていきたい。
身が引き締まる思いで、また相撲に精進できる。
もっと上を目指して頑張りたい気持ちが、さらに持てました」と心境を語った。
清香さんは「笑顔のすてきな方。関取のやさしいお人柄と思いやり深いところにひかれました。厳しい勝負の世界で生きていらっしゃる方なので、家に帰られた時だけでも心が安らいでいただけるサポートをしていければ」と幸せいっぱいの表情だった。
荒磯親方(35)=元横綱稀勢の里、本名萩原寛、茨城県出身=が年寄「二所ノ関」を襲名することが19日、関係者の話で分かった。
師匠を務める荒磯部屋は初場所(来年1月9日初日・両国国技館)から二所ノ関部屋に名称が変更。
既に日本相撲協会理事会でも承認されている。
現在の二所ノ関親方(元大関若嶋津)は来年1月12日に65歳になり定年となる。
「二所ノ関」は五つある一門の一つで伝統の名跡。
関係者によると、将来的には相撲協会の中心を担ってほしいとの期待が込められているという。
二所ノ関部屋は13年に閉鎖されたが、14年12月に松ケ根部屋からの名跡変更で復活した。
2021/12/10
大相撲の年寄総会が9日、東京・両国国技館で行われ、来夏から巡業の再開を検討していることが報告された。
新型コロナウイルスの影響で昨年春場所後の春巡業から中止が続いていた。
巡業開催なら2019年の冬巡業以来となる。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「来年春(巡業)までは中止。夏(巡業)以降に関しては状況によって開始する」と説明。
現在、巡業部が収容人数、感染対策など準備を進めている。
相撲の二所ノ関、時津風一門は9日、都内で会合を開き、初場所(来年1月9日初日、東京・両国国技館)後に実施の日本相撲協会役員候補選挙で、二所ノ関一門は理事候補に現職の芝田山親方(元横綱大乃国)、花籠親方(元関脇太寿山)と新たに佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)が立候補する方針を確認した。
出席者が明らかにした。
時津風一門は陸奥親方(元大関霧島)と伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)が立候補の見通し。
現職理事の二所ノ関一門の尾車親方(元大関琴風)、時津風一門の鏡山親方(元関脇多賀竜)は任期中に定年の65歳になるため立候補できない。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は9日、来年の初場所(1月9日初日、東京・両国国技館)に向けた合同稽古について、今月20〜23日に国技館内の相撲教習所で行うと発表した。
年内には、全協会員を対象とした新型コロナウイルスのPCR検査を実施する予定。
大相撲の伊勢ケ浜一門は6日、都内で会合を開き、関係者によると、来年1月の初場所後に実施見込みの日本相撲協会の役員候補選挙で、理事候補に現職の伊勢ケ浜理事(元横綱・旭富士)を擁立することを確認した。
伊勢ケ浜理事は現在、審判部長を務めている。
現役引退した元横綱・白鵬の間垣親方が今年達成した五つの記録が、ギネス世界記録に認定された。
3日、東京・両国国技館で間垣親方に公式認定証が贈呈された。
認定された記録は、幕内優勝の最多回数(45回)▽横綱在位の最長期間(84場所)▽幕内通算勝利の最多回数(1093勝)▽大相撲通算勝利の最多回数(1187勝)▽幕内全勝優勝の最多回数(16回)。
間垣親方は「最後の最後に、うれしいご褒美をいただきました。今後も親方として精いっぱいがんばります。ギネス世界記録をもらえるような弟子を育てていきたい」とコメントした。
間垣親方は現役時代の2015年に歴代単独最多の幕内優勝回数を更新し、ギネス世界記録に認定された。
日本相撲協会は2日、東京・両国国技館で理事会を開き、来年春場所(3月13日初日、エディオンアリーナ大阪)の開催方法に関し協議し、入場定員数を通常の75%、約5500人予定とすることを決めた。
政府の方針に沿い現在の上限50%から動員数を増やす。
たまり席、いす席は全席販売、通常4人の升席は2人掛けで使用する。
来年初場所(1月9日初日、両国国技館)は従来通り、上限50%のまま開催する。
2021/11/29
千秋楽、横綱照ノ富士が大関貴景勝を力強く押し出して快勝。
自身初の全勝で2場所連続6度目の優勝に花を添えた。
名実ともに一人横綱で臨んだ今場所は重責やヒザの古傷など懸念材料もある中、1962年の大鵬以来となる新横綱からの連覇を達成。
今後も角界のけん引を期待される横綱は、若手力士の壁となって立ちはだかる決意を口にしている。
照ノ富士は初の全勝優勝を達成し「今までできなかったのでうれしい。ちょっとずつ理想の相撲になりつつあるのかな」と充実の表情を浮かべる一方で「(理想の相撲が)引退まで100%になることはない。100%に近い相撲を取るために一生懸命やっていきたい」と今後に向けて気を引き締めた。
千秋楽、大関・貴景勝は、横綱・照ノ富士に押し出しで敗れて3敗目。
最後の一番に敗れたものの、12勝3敗の成績で一年納めの場所を終えた。
立ち合いから押し合った一番。
低く当たる大関に対し、横綱も膝を曲げて受け止める。
離れて見合った状態からいなしてのど輪で攻めたが、こらえた照ノ富士が前進。
はたきにも落ちず、最後は押し出された。
取組後のリモート取材では「もっと強くなるしかない」と、淡々と敗戦を受け止めた。
御嶽海は左四つになると、巻き替えようとする正代を難なく押し出した。
昨年7月場所以来の11勝を挙げ、「気持ちいい。来場所もしっかりと2桁取れる自信になった」。
大関とりへの足掛かりをつくり、手応えを強調した。
八角理事長は白星の数を評価しつつも、平幕相手に3敗を喫した内容に「波をなくすことが大事。気持ちが入らないときこそ、気合を入れるのが大事」と指摘。
御嶽海も「あとは気持ち。しっかり気持ちを乗せていけたら」と課題を自覚していた。
若隆景が躍進の1年を白星で締めくくった。
前傾姿勢の翔猿に、右をのぞかせて攻め込む。
相手がたまらず引いたところを一気に前進。
2勝7敗から6連勝で勝ち越した。
新型コロナウイルスに感染して初場所を全休したが、名古屋場所では新三役に。
「幕内上位で相撲を取れたのは自信につながった。まだまだ地力が足りないので、もっともっと稽古したい」と意欲的に話した。
千秋楽、西前頭2枚目隆の勝が、西前頭15枚目阿炎を押し出しで下して敢闘賞を獲得した。
好調の阿炎に対して、鋭い出足で立ち合いで圧倒。
一気に前に出て押し出した。
勝てば敢闘賞受賞の条件付きだったことを取組直前に知ったといい「少し緊張したけど、本当にうれしいです。勝ててよかった」を笑顔だった。
今場所は11勝を挙げ、上位陣の成績を見ると、来年1月の初場所での三役復帰が確実となっている。
弾みをつける三賞獲得となり「前に出る相撲が評価されたのかなと。自信になるし、いい感じで来場所につながると思う」と手応えを口にした。
千秋楽、東前頭7枚目の宇良は千代丸の足を取りにいったが、あと少しのところで届かなかった。
逆に上手を取られてばったり。
千秋楽を白星で締めくくることはできなかったが、それでも宇良に笑みが浮かんだ。
何といっても初の三賞を獲得。
それも念願だった技能賞だ。
「相撲界に入ってからの夢だったので。1つの夢がかなえられてよかったです」と素直に喜んだ。
けがをする前の2017年夏場所。
入幕2場所目で11勝4敗という好成績を残した。
それでも受賞とならず「技能賞、欲しかったです」と残念そうにつぶやいていた。
今場所は足取り、とったり、肩透かしなど宇良らしさが全開。
三賞選考委員会では満場一致で決まった。
「途中、けがもあって2度と取れないと思っていたので、ほんとにうれしいです」と満面の笑みだった。
千秋楽、西前頭12枚目の北勝富士が、11勝4敗の好成績で終えた。
幕内上位が定番だったが、先場所は休場があり、18年名古屋場所(東16枚目)以来の前頭2桁台で相撲をとった。
それだけに「番付を落とした分、少しは元いた地位に近づけたかなと思います」と話し、「上位と下位の違いを肌で感じた。同じ幕内でも世界が違う」としみじみ話していた。
西前頭15枚目の阿炎は引いてしまい隆の勝に押し出されたが、自己最多となる12勝3敗で終え、敢闘賞を受賞。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で、3場所出場停止の処分を受けてからは自分と向き合い、押しに徹する素晴らしい内容。
14日目には照ノ富士をあと一歩のところまで追い詰めた。
「自分の相撲で取れたので、すごく意味のあるものだと思います」と話したが、14場所ぶり3回目の敢闘賞にふさわしかった。
それでも「勝って締めたかったというか、自分の相撲を取れずに終わったのでまた課題が出きました」と気を緩めることはない。
「まだ自分自身では変われたか分かってないですけど、相撲と向き合えた1年でした。家族との会話も大事にしてきました。変わるための1年だったので、これで止まらずもっと変われる1年にしたい」と来年への誓いを立てていた。
日本相撲協会は九州場所千秋楽の28日、会場の福岡国際センター内に「満員御礼」の垂れ幕を下げた。
協会広報部によると、東京・両国国技館で行われた昨年1月の初場所千秋楽以来。
この日の千秋楽は、収容人数の半分にあたる約3700人の観客が集まった。
八角理事長は協会あいさつで「コロナ禍の大変な中、今年一年、大相撲を支えていただき、協会員一同、心から感謝しております。本当にありがとうございました」と述べた。
大相撲九州場所が28日に終了し、秋場所中に年間最多勝を確定させていた横綱照ノ富士は77勝だった。
70勝を超えたのは、81勝だった平成26年の白鵬以来7年ぶり。
横綱の年間最多勝は17年の白鵬以来となった。
2位は関脇御嶽海で55勝。
大関陣は正代が52勝で3位、2度の休場があった貴景勝は45勝にとどまった。
今年は新型コロナウイルスの影響を受けながらも、6場所を実施した。
2021/11/28
照ノ富士が一人横綱としての重責を果たした。
初日から白星を重ね、14日目での優勝に「ほっとしている。一生懸命やっただけ」。表情を変えずに話した。
勝てば優勝の一番は平幕阿炎が相手。もろ手で突き、迷わず前進してくる相手のペースで土俵際まで後退した。
しかし左足で残し、相手のハズを外して右で抱える。離れようとしてバランスを崩した阿炎を押し倒した。
横綱白鵬が秋場所後に引退。責任が一層増した九州場所に「受けて立つ気持ち」で臨んだ。
相手の形になっても、最後は負けない相撲が目立った。
この日も押し込まれたように見えたが、あえて自分から上体を起こすことで、相手の上体も起きてつかまえやすくなる。
今場所の阿炎の取組を見て、研究しながら練っていた作戦だった。
両膝のけがなどで序二段まで番付を落とした時に決めたのは「毎日、一生懸命」ということ。
日々の稽古、対戦相手の研究など努力を欠かさない姿勢こそが、新横綱場所からの連覇、今年4度目の優勝を手繰り寄せた。
師匠の伊勢ケ浜親方は「十分責任を果たした」とたたえ、八角理事長も「一人横綱で大変なところをよくやった」と称賛した。
千秋楽は自身初の全勝優勝が懸かる。
「そう簡単なことではない。チャンスがあればつかみたいと思う」。
大関返り咲きを果たし、番付の最高位まで上り詰めた一年を最高の形で締めくくる。
14日目、貴景勝は一方的に正代を突き出して大関対決に快勝した。
前日、平幕の阿炎に敗れた影響は感じさせず、「また、しっかり準備してやった。きょうはきょうなので」と振り返った。
今場所は9日目まで照ノ富士と並走したが、その後2敗を喫し、目の前で千秋楽を待たずに優勝を決められた。
「負けている自分が悪いだけ。別にあまり思うところはない。勝ちたければ(自分が)全部勝てよ、という思い」。
悔しさは隠せなかった。
14日目、御嶽海が大関とりへの起点作りとなる10勝目を挙げた。
おっつけ、のど輪を受けて土俵際に後退も、回り込んではたいた。
夏場所以来の10勝も「後半戦で自分の相撲が取れなかった。もうちょっと早くいけた」と反省。
今年最後の一番に向けて「気持ちよく終わりたい」と昨年7月場所以来の11勝を狙う。
大相撲の元小結・千代鳳が現役を引退し、年寄・佐ノ山を襲名することになりました。
九重部屋の千代鳳は、鹿児島県志布志市出身の29歳。
平成20年夏場所で初土俵を踏み、力強い突き押しで番付を上げて、平成25年夏場所で新入幕を果たしました。
平成26年の夏場所では、小結として初めて三役に昇進しました。
鹿児島県出身力士の新三役は、平成4年秋場所の旭道山以来22年ぶりでした。
また、兄の千代丸も幕内に昇進し、兄弟ともに幕内力士として活躍しました。
千代鳳は、その後、けがなどもあって、平成29年の初場所を最後に幕内には復帰できず、東の幕下12枚目で迎えた今場所は、1勝6敗の成績でした。
日本相撲協会は27日の理事会で、千代鳳の引退と年寄・佐ノ山の襲名を承認したと発表しました。
千代鳳は28日、引退の記者会見を行う予定です。
2021/11/27
一人横綱が2連覇へ王手をかけた。
13日目、横綱照ノ富士が関脇御嶽海を一方的に寄り切って無傷の13連勝を決めた。
危なげない相撲で圧勝した取組後は「集中して当たろうと思っていた。残り2日間、頑張っていきたい」と淡々と語った。
ここまで1敗で並んでいた幕内阿炎と大関貴景勝の直接対決は阿炎に軍配。
本来は横綱と大関の対戦となる割が崩され、14日目に阿炎と直接対決することになった。
照ノ富士が勝てば2場所連続6度目の賜杯を手中に収めることになるが「土俵に上がったら変わらない。一日一番の気持ちでやっている」と格下相手にも一切の油断を見せなかった。
正代が玉鷲を寄り切り、初場所以来で大関昇進後2度目の2桁白星に王手をかけた。
強く胸から当たって左を差して前進。
「立ち合いでよく足が出た。この調子でいきたい」と手応えを語った。これで4連勝。
「九州場所だから一番でもいい相撲を」と地元ファンを喜ばせている。
日本相撲協会は13日目の打ち出し後からコロナ下での協会員の行動制限を緩和し、部屋後援者らとの会食を条件つきで認めたが、大関は「流れを変えるのは良くない」と相撲としっかり向き合う構えだ。
宇良が206キロの巨漢、小結逸ノ城を翻弄(ほんろう)した。
前傾姿勢で頭をつけ、抱え込まれそうになったところで左腕を抜きながら横について相手の左腕を取ると、そのまま振り回すようにして「肩透かし」。
大きな相手を土俵にはわせ、「重かった」と率直な感想を口にした。
これで10勝目。
星が伸びており、東前頭7枚目ながら14日目は関脇明生と顔を合わせる。
連日、三役との対戦が続くが「あと2番あるので、余計に気を引き締めて頑張りたい」と話した。
13日目、英乃海が大関経験者の高安を破り、勝ち越しを決めた。
勝った2016年春場所以来、5年8カ月ぶりに対戦した思いを語った。
「勝てて良かった。いい攻めができた。何より高安関に勝てたことが自信になる。巡業の時は胸を出していただき、アドバイスをいただいた。そういう面でも勝てたのでうれしい。前回は立ち合いから一瞬で勝負がついたが、今回はしっかり相撲を取って勝てた。大関になっても稽古をつけていただいていたので、もう一回顔合わせできたのは本当にうれしい。(恩返しにもなる)できているか分からないが、そういう気持ちで向かっていきました。」
13日目、前頭十五枚目・阿炎は、ともに1敗で並んだ大関・貴景勝との一番。
立ち合い後、互角の押し合いが続くも、阿炎が回り込む貴景勝を押し出して勝利。
阿炎は1敗同士の対決を制し、優勝へ向け望みをつなぐ。
14日目に照ノ富士と対戦。
照ノ富士に勝てば、千秋楽へ望みがつながります。
2021/11/26
連覇を狙う照ノ富士にとって、終盤戦最初の難敵だった。
初土俵が同じ関脇明生には秋場所で不覚を取っている。
気負いが生じかねない状況だからこそ、「落ち着いて取ろう」。
泰然と向き合うよう努めた。
左四つで攻め込まれたが、前回対戦では取れなかったまわしに左手が届いた。
この左下手を命綱として「余裕を持ってやっていこうと思った」。
相手の寄りをこらえると、左足をはね上げながら豪快に掛け投げ。
土俵下まで転がしてみせた。
正代の圧力が光った。
霧馬山に強く当たると、左を差して一気に寄り切った。
先場所敗れた相手に何もさせず、「後半に差し掛かって立ち合いも良くなってきた」。
12日目で給金を直し、手応え十分の様子だった。
熊本出身の大関にとって、大きな声援を浴びる九州場所で勝ち越して「まずは一安心」。
残り3日、優勝争いを左右する存在になるためにも「思い切りいけたら」と言葉に力を込めた。
12日目、大関貴景勝が東前頭5枚目高安を送り出しで下し、1敗を守った。
昨年11月場所以来3度目の優勝に向け、全勝の横綱照ノ富士を追いかける残り3日間。
13日目は、1敗同士で再入幕の阿炎との一番が組まれた。
過去2勝2敗と五分で、ここまで好調な相手を下し、優勝争いへ弾みをつけたい。
貴景勝が大関の強さを見せた。
立ち合いで、高安から右の張り手を受けたが動じずに前へ。
組まれそうになったが力強く突き放し、強烈な左の張り手を浴びせた。
休むことなく突いて出る。
左の張り手が空振りとなり、後ろ向きになった相手を送り出した。
「相手(のこと)よりも、自分が何をするかを考えていた。稽古場でやってきたことをやるだけなので」と堂々としていた。
12日目、東前頭7枚目の宇良が、前日まで2敗と好調な北勝富士との対戦を鮮やかに制して、9勝目をあげた。
頭をつけるような立ち合いから、出てきた相手を誘い込むように自ら下がる。
うまく土俵を回り込みながら、最後はとったりを決めた。
勢い余って振り上げた両腕がガッツポーズのようだった。
取組について「分からないけど、流れた感じはしましたね」と表現。
北勝富士とは同じ年の同期生。
「(幕内で)相撲がとれたのはよかった。平成4年生まれのお相撲さんは優しい人が多いと思います」。
2桁10勝目に王手をかけた。
12日目、俵に足がかかった阿炎だが、玉鷲を押し返すと一気に土俵下に突き出した。
1敗を守る逆転勝ちを生み出したのは反省の日々で培った「深い集中」だ。
9勝2敗と好調だった三役経験者の玉鷲を「押し始めたら止まらない」と警戒していた阿炎だったが、立ち合いで後ろにはじかれた。
しかし、ひるむことなく189センチ、172キロの相手を前傾姿勢で押し戻すと、下からののど輪を連発して勝負を決めた。
2021/11/25
11日目、2場所連続6度目の優勝を目指す横綱照ノ富士が、小結逸ノ城を寄り倒して無傷の11連勝を飾り、単独首位を守った。
相四つの巨漢から、左上手がなかなか取れない展開だった。
左右に振りながら上手を取ると、すかさず圧力をかけて逸ノ城を半身にさせて、頭をつけながら体を預けるように寄り倒した。
直近4連勝中の相手に完勝とはいかず、取組後には首をかしげる場面もあった。
「立ち合いが当たれなかった。納得いく相撲ではなかった」。
前日10日目に同じく勝ちっ放しだった大関貴景勝が敗れ、単独トップに浮上した。
1敗勢2人、2敗勢3人が追走するが、心境については「変わりません」と淡々としていた。
11日目、大関貴景勝が押し出しで遠藤を下し、連敗を回避した。
油断できない相手だった。
遠藤との対戦成績は6勝4敗(不戦勝含めず)で、最近は2連敗している。
「まあ、勝つためにはどうしたらいいか考えただけです。まあまあって感じです」。
前まわしを狙いにきた遠藤をよく見て突き放し、最後はまわしを取られたが、迷わず前に出た。
八角理事長は「よく相手を見ていましたね。いい相撲で勝ってる」と貴景勝の考えた相撲を評価した。
連敗すれば優勝争いから脱落し、目標の2桁勝利も厳しくなる大事な一番。
好不調の波が激しい御嶽海が難敵の元大関を相手に執念を見せ、土俵際で踏みとどまった。
立ち合いは頭からではなく、もろ手突きでいった。
高安の圧力にずるずると下がりかけたが、右に回りながらいなして反撃した。
すぐに左を差しての寄りで勝負あり。
この1年は1勝5敗と分が悪かった相手とあって「最後の最後まで気を抜けなかった」と胸をなで下ろした。
横綱が優勝争いを引っ張る場所で、前頭12枚目の北勝富士が白星を伸ばしている。
三役経験者としては不本意な地位とはいえ、終盤に入っても勢いは落ちない。
幕内最初の取組である「初口(しょっくち)」に登場した北勝富士は立ち合いで距離を取るように右腕を伸ばし、千代丸の懐に入った。
土俵際まで押し込み、最後は後ろを向かせて送り出した。
「自分の距離を大事にとった。相手の力を逃がしながら、うまい相撲が取れたかなと思う」と振り返った。
1差でピタリと追走する西前頭15枚目の阿炎が、この日も業師の宇良を全く寄せ付けず、10勝目を挙げた。
もろ手突きで宇良を突き放すと、懐に飛び込ませまいと威力のある突き押しで宇良を横向きに。
体勢の崩した相手を、そのまま突き倒す快勝だった
。
この相撲に、報道陣の電話取材に応じた日本相撲協会の八角理事長は、阿炎の迷いのなさをこの日も強調。
「突っ張ってから全然、引く気持ちがないから、相手に力が伝わる。だから(宇良の体勢が)崩れる」と解説した。
精神的な充実ぶりにも言及し「とにかくいい相撲を取ろうという意識じゃないかな。勝つんだというのではなく、とにかくいい相撲を、というね。いなされても前に出るんだという」と前向きな気持ちが相撲に表れていることを読み解いた。
三役経験者が加わり、これで優勝争いが盛り上がる。
上位にとっては嫌な存在だが「盛り上げるという意味で、嫌な存在でなく、いい存在だね」と期待していた。
2021/11/24
照ノ富士が豪快に10連勝。
豊昇龍の両腕をきめ、持ち上げるように土俵外へ運んだ。
同じモンゴル出身の新鋭を寄せ付けず、「落ち着いて取れたのでよかった」。
これでただ一人の勝ちっ放しに。
控えの土俵下では、転落してきた高安が古傷がある右膝付近にぶつかるアクシデントもあったが、「大丈夫。あしたから頑張ります」。
短い言葉に充実感を漂わせた。
10日目、大関貴景勝の全勝が止まった。
明生を左から突き落とそうとしたが効かず、状態が浮いて後退し押し出された。
「まあ勝たなきゃいけないんで、よくなかったですね」と貴景勝。
9日目の取組で右膝を強打したことの影響は「ないです」ときっぱり。
照ノ富士に単独トップを許したが、まだ1差。
「しっかり準備するだけです」と11日目に視線を向けていた。
成長株の明生が無敗だった貴景勝に土を付けた。
関脇が存在感を見せた。
貴景勝の突き押しを受けながら丸い土俵をうまく使って回り込み、相手が体勢を崩すと攻勢に転じた。
たまらず大関が引いたところを逃さず、最後は頭をつけるようにして押し出した。
土俵下の高田川審判長は「明生の動きが良かった。攻めながらも圧力を受けないようにして、うまくさばいて引かずに持っていった」と評した。
10日目、西前頭6枚目の玉鷲が碧山を一蹴した。
頭で力強く当たり、そこから一気に突き出した。
190センチ、183キロの巨漢をものともせず2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
「良かったです。自分の相撲が取れたと思います」と笑顔をみせた。
10日目での勝ち越しは2019年初場所で初優勝して以来。
2年前の再現も期待されるが「そこはあまり意識していない。優勝争いは全然考えていない」と目の前の一番に集中している。
10日目、東前頭7枚目の宇良がスッと頭を下げて琴ノ若の懐へ飛び込んでいく。
いなされても問題にしない。
足取りの動きを見せながら、もろ差しを奪う。
さぁ、ここからが宇良の真骨頂。
流れるような動きで決めた肩透かしは、何と8日目から3日連続。
これぞ業師。
右膝を大けがする直前の2017年夏場所に並ぶ自己最速タイの10日目での勝ち越しを決めた。
相撲内容を聞かれた宇良の反応が面白い。
「分からないですね」の3連発。
4年前のことも「覚えていないです。今場所は今場所なんで。4年前の話をされても分かんないです」と素っ気ない。
ただ、10日目というスピード勝ち越しには「いやまぁ、奇跡というか、めったにこういうことはないかなと思います」。
声を大にして、あふれる思いを吐き出した。
10日目、北勝富士が7日目からの4連勝で2場所ぶりの勝ち越しを決めた。
佐田の海に土俵際に押し込まれたが「落ち着いて反応できた。後ろも余裕があった」と、はたき込みを決めた。
先場所の秋場所は右膝を負傷して途中休場。
それだけに「勝ち越しは自信になった。今年最後の相撲なので来年につなげたい」と来年1月の初場所を見据えた。
10日目、西前頭15枚目の阿炎は翔猿を全く相手にせず1敗を守った。
立ち合いから突きで後ずさりさせ、その後も攻め手を緩めなかった。
「良かったと思います。
引きや、いなしがある相手なので、しっかり警戒して前に出られた」。
番付は幕内下位ながらも、元は三役経験のある実力者。
「一番一番、集中して相撲を取ることだけ考えている」。
優勝争いのダークホース的存在になってきた。
日本相撲協会の芝田山広報部長は23日、九州場所13日目の26日から、力士ら協会員が守る新型コロナウイルス感染防止対策を緩和し、条件付きで後援者らとの会食を許可すると発表した。
これまで不要不急の外出を認めていなかったが、「行動記録をつける」「師匠の許可を得る」「午後10時前には終了し、帰宿する」ことなどを求め、「接待を伴う店は禁止」とした。
芝田山部長は「13日目からであれば、万が一のことがあっても場所は終了できる。協会員は厳しい感染対策をしてきた。緩和して、気持ちをリフレッシュしてもらいたい」と説明した。
中村親方(元関脇嘉風)が23日、来年2月5日に東京・両国国技館で開く引退相撲をPRした。
昨年10月に開催予定だったが、コロナ禍で2度延期。中村親方は「ようやくという感じ」と感慨を語った。
今回は土俵で相撲も取る意向。
2019年6月に右膝にけがをして同年秋場所で引退しており「19年夏場所の千秋楽が最後の一番だったが、まさかそうなるとは思わなかった。最後の時間を取りたかった」と説明した。
「ご想像にお任せします」という相手とは交渉中。
チケット料金など詳細は12月に公式ホームページなどで発表する。
2021/11/23
照ノ富士が貫禄十分に実力者の高安を退けた。
相手得意の左四つになったものの、上手をがっちりと引いて動きを止めると、圧力をかけながらの力強い寄りで完勝。
「良かったと思う」と納得の表情を浮かべた。
ここまで一人横綱の重圧は全く感じさせず、得意の右四つに組めなくても取り口には余裕がある。
先場所は9日目に初黒星を喫したが、「一日一番、集中していきたい」と言い、普段と変わらず冷静だった。
貴景勝は無傷の9連勝としたが、得意の突き押しだけで仕留められなかった。
豊昇龍にまわしを許し、反撃される場面も。
休まず動いて事なきを得たが、「相撲というのは、なかなかうまくいかない」とつぶやいた。
8日目は相撲内容で完敗だったものの、まげをつかんだ逸ノ城の反則で白星を拾っている。
土俵下の錦戸審判長は「自分の相撲じゃない。小手に振ったりして、本来の調子ではない」と評した。
御嶽海が給金を直した。
明生を突いて攻め、流れの中で引く場面こそあったものの、最後は右四つに組み止めて力強く寄り切り。
「瞬時の判断が正確にできた」と満足そうに言った。
9日目までに勝ち越しを決めたのは、初めて賜杯を抱いた2018年名古屋場所以来。
実力者ながらも調子の波があり、「いつも期待させているだけなので、そろそろ結果を出さないといけない」。
自らに言い聞かせるように話した。
ちょっぴり反省の残る相撲内容でも、この日の白星は素直に喜べる。
7場所ぶりに戻った幕内で勝ち越しを決めた阿炎は、「うれしい」。
短い言葉に実感を込めた。
馬力のある千代大龍にもろ手で当たった。
長い腕を伸ばす前に後退させられたが、「集中して相撲を取れている」。
冷静に相手の動きを見て、タイミング良く引き落とした。
昨年7月場所中に新型コロナウイルス対策のガイドライン違反が発覚。
3場所の出場停止処分を受けて幕下から再出発した。
軽率な行動を恥じ、「相撲と向き合うことを意識していた」という日々。
落ち着いた言葉遣いに反省の念をうかがわせた。
騒動の後は家族と離れ、相撲部屋で生活を続けている。
「自分の中で『よし』、と思えた時、胸を張って一緒に住める」。
自らを律して基礎運動に励み、自己最速の9日目で給金を直した。
支えとなる家族、出直す機会を与えてくれた師匠がいる。
「相撲を取れているという感謝の気持ちで臨んでいる」。
出直しを誓った阿炎が、再起への階段をまた一歩踏みしめた。
2021/11/22
一人横綱が盤石の相撲だ。
8日目、横綱照ノ富士は幕内遠藤を押し出して、初日から無傷の8連勝とした。
立ち合いは相手の激しい当たりに若干、後退を余儀なくされる。
しかしその後は動じることなく、最後は力でねじ伏せた。
抜群の安定感で4場所連続となる自身5度目の中日勝ち越しを決めるも、取組後は「差されないようにと思って当たった。(立ち合いは)ふわっと立っちゃった。差される時もあるんで考えてやっていくしかない」と反省の弁を口にした。
土俵下の伊勢ヶ浜審判部長は「落ち着いて、ここぞというところで前に出ていた。今のペースを崩さないようにやっていけば」と戦いぶりを評価する。
それでも本人は「まだ終わっていない。残り頑張ります」ときっぱり。
4場所連続のストレート給金も通過点にすぎないことを強調した。
8日目、7戦全勝の大関・貴景勝は、小結・逸ノ城との一番に臨みました。
貴景勝は立ち合いで激しくぶつかると、その後は土俵中央で膠着(こうちゃく)状態に。
開始から2分30秒を超え、最後は逸ノ城に土俵の下へ飛ばされます。
軍配は逸ノ城に上がりました。
しかし、ここで「物言い」がつきます。
協議の結果、逸ノ城に「相手のまげを故意につかんで引っ張る反則があった」と認められ、一転して貴景勝の「反則勝ち」に。
貴景勝は苦しみながらも8勝目を挙げ、全勝を守りました。
8日目、御嶽海は立ち合いで隠岐の海に右を差されたが、前に出続けて一気に寄り切った。
寒暖差が苦手という九州場所でも足は動いており「悪くない。しっかり自分の相撲を取っていったら、勝ち越し、その上の2桁も見えてくる」と自信をのぞかせた。
隠岐の海には通算6勝5敗。
9日目の相手は西関脇の明生。
8日目、再入幕の阿炎はもろ手突きから右のど輪で英乃海を攻め、最後は右を差して寄り切った。
2018年初場所で新入幕して以来、幕内で8日目に7勝を挙げるのは初めて。
取材には応じなかった。
20日、日本相撲協会によると浜田真二さん(元幕内豊ノ海、元山響親方)が病気のため死去、56歳だった。
福岡県豊前市出身。
葬儀・告別式は28日午前10時から東京都杉並区和田2の14の6、東円寺会館で行う予定で喪主は妻美香(みか)さん。
200キロを超える巨体を武器に幕内を30場所務め、最高位は前頭筆頭。
1981年春場所の初土俵から一日も休まず、史上8位の1316回連続出場を記録した。
1999年春場所限りで現役を引退。
二子山部屋付きの親方になり、2002年6月に相撲協会を退職した。
2021/11/21
7日目、横綱照ノ富士が、西前頭3枚目妙義龍を下し、初日から7連勝とした。
妙義龍にもろ差しを許したが動じず、がっちり抱えて小手投げで調理。
「正面に置いて落ち着いていこうと思った。焦ってもしょうがないからね」とどっしりとした相撲で完勝した。
これで4場所連続となる初日から8連勝に王手をかけた。
7日目を終えて全勝は、大関貴景勝との2人だけに。
2場所連続優勝に向けて、日に日に期待が高まるが「まだ終わった訳ではない。終わってみないと分からない。1日1日集中してやるだけです」と引き締めた。
正代は3連敗を免れた。
立ち合いで勝てず宝富士に右上手を取られたが、素早く反撃。
「良いタイミングでできた」と、うまく右を差し込み、最後はもろ差しで寄り切った。
前日は隆の勝に敗れ、この日の朝稽古では当たり方の修正に努めた。
「押し込むことができていないのでまだまだ。だんだん調子を上げて連勝していけたら」。
不満の残る内容でも白星を先行させた。
7日目、横綱、大関陣で無傷の7連勝とした両力士を、日本相撲協会の八角理事長も評価した。
平幕の隠岐の海と対戦した大関貴景勝は、最初の立ち合いで隠岐の海が突っかけ、仕切り直しの立ち合は迷いなく踏み込み、ほぼ電車道で隠岐の海を押し出した。
取組前に「貴景勝は(立ち合いで)当たれれば問題ない」と予想していた八角理事長は、そのとおりの展開に「(隠岐の海は立ち合いで)逃げも隠れもしない相手だから、足がよく動いていますね」と迷いのない相撲を分析。
調子の悪いときに出る引きや、いなしもない状況に「いい当たりで押せているし、足が出ているからその必要もない。相手がいい当たりをして、押せないと思うと、はたきとかが出るけど」と心と体がかみ合っている貴景勝の現状を推しはかった。
7日目、関脇御嶽海は新小結霧馬山を下して1敗を守った。
立ち合いから突かれるも、左に開いて突き落とし「前に出たいですけどね。でも、体は動いているのでいいんじゃないですかね」と淡々とした口調で振り返った。
5日目に初黒星を喫し、その後は2連勝ながら「昨日、今日としっくりくる相撲じゃないんでね、納得いかないです」と話す。
それでも結果的に白星を挙げており「それはうれしい。中盤戦、いい形なのでこのまま行きたい」と率直な心境を明かした。
初土俵以来一度も休場のない「角界の鉄人」玉鷲が、被災地への思いを胸に白星街道を突き進んでいる。
2004年初場所から数えて通算1383回目(歴代5位)の相撲は頭から当たった。
そこから見せた押しは16日に37歳になったとは思えない威力。
「(相手が)粘り強いので一気に前に出た」。
大関経験者で腰の重い高安に何もさせず、あっという間に押し出した。
2021/11/20
6日目、2場所連続6度目の優勝を目指す横綱照ノ富士が、盤石の“横綱相撲”で初日から無傷の6連勝を飾った。
左四つから1枚まわしの右上手を力強く引きつけ、抵抗する東前頭3枚目隠岐の海を寄り切った。
形をつくってから攻め立てる内容に「良かったと思います。焦ってもしょうがないので、やるべきことをやっていこうと思っていました」と振り返った。
この日から中盤戦に突入し「体が動いていると思うので、残りも頑張っていきたいと思っています」と話した。
6日目、初日から5連勝の芦屋市出身で大関の貴景勝は前頭4枚目の宝富士と顔を合わせました。
貴景勝は宝富士を押し出しで破って、初日から6連勝としました。
貴景勝の過去2度の優勝はいずれも11月の場所で、今場所も期待が高まります。
6日目、東関脇の御嶽海は西前頭3枚目の妙義龍をはたき込みで下し、連敗せずに5勝目を挙げた。
妙義龍には通算7勝5敗。
7日目の相手は西小結の霧馬山。
6日目、隆の勝は攻め込んだ。
大関正代に土俵際ではたかれて判定は取り直しに。
それでも「悪くないと思っていたので、落ち着いて取れた」。
続く一番も喉輪におっつけと、厳しい攻め。
投げを打たれながらも体を預けるように寄り切った。
今年、5戦全敗だった正代を破り、「気持ち的に大きい。あしたからの自信につながる」とにっこり。
三役以上との対戦を五分で終え、「もう一回、気持ちを引き締め直して、自分らしい相撲を取れるように頑張っていく」と意気盛んだった。
6日目、苦い記憶のある高安との対戦。
2017年名古屋場所、初めての幕内上位戦で、高安との取組で右膝を負傷。
翌場所に状態を悪化させ、1年も土俵から遠ざかることになった。
それ以来の高安戦。
今度も頭を低くして勝機を探る。
張り手をかわしてもぐり込むと、右脚を抱えて鮮やかに足取りを決めた。
「一番一番、一喜一憂しないようにしている。あしたからも変わらず頑張っていきたい」と語る。
6日目、前頭十五枚目・阿炎が前頭十六枚目・佐田の海との一番を“珍手”で勝利しました。
阿炎は立ち合いから激しい突っ張りで押し込みますが、佐田の海にのど輪で状態を崩され、押し返されます。
それでも佐田の海の首を両手ではさみ、ひねり返す珍手“徳利(とっくり)投げ”で勝利。
これで阿炎は横綱・照ノ富士、大関・貴景勝と並び無傷の6連勝。
2021/11/19
5日目、照ノ富士は隆の勝の挑戦も退けた。
右差しで先手を取られたが慌てない。
落ち着いて立て直すと、左上手をがっちり。
たたきつけるように投げた一番を、「よかったと思う」と淡々と振り返った。
序盤戦を5連勝で終えた。
我慢強い取り口について「秘訣(ひけつ)はない。普段やっている稽古が出ている」。
土俵下の師匠、伊勢ケ浜審判部長も「相手を冷静に見ることができている」と評していた。
5日目、横綱、大関陣で無傷の5連勝とした両力士を、日本相撲協会の八角理事長も安定感を評価した。
押し相撲に迷いのない大関貴景勝は、この日も会心の相撲で先場所、苦杯をなめた平幕の妙義龍を押し出し。
この一番は「貴景勝次第。いい立ち合いならいいが、迷ったら差される」と読んでいた八角理事長は「気合を入れてやっていた。ドッシリしている。立ち合いで当たれれば貴景勝のものだから」と迷わず踏み込んだ大関の立ち合いを評価。
5連勝の大関に「これを毎日、繰り返すこと。体が動くし、いい流れでいっている。(15日間は)長いから、いい時もあれば悪い時もある。その都度、一生懸命にやれば、いいこともありますよ」との言葉を投げかけた。
5日目、隠岐の海が力強い相撲で正代に土を付けた。
鋭い立ち合いで左四つになると、迷いなく一気に前へ。
大関をあっという間に寄り切り「攻める気持ちで、挑戦者の気持ちで良い相撲が取れたと思います」としてやったりの表情だった。
36歳とは思えない相撲に、師匠の八角理事長も「なかなかやるな。(大関に)当たり勝っている」と感心した。
5日目、大関経験者である前頭・高安が豊昇龍との一番を寄り切りで制し、4勝1敗とした。
今場所、長い相撲が続いていた高安が、約10秒の速攻で力強さを見せつけた。
立ち合い、期待の若手である豊昇龍を目がけて右肩で猛然とぶつかった。
左四つで胸が合ったが、まわしを切ると右で厳しくおっつけ、前に出た。
土俵際で粘られたが反撃の余地を与えず、最後は寄り切り。
「短い相撲が一番いいですね」。
一方的に勝った会心の一番を、ご満悦で振り返った。
西前頭15枚目阿炎が、平幕唯一の初日から5連勝とした。
東前頭16枚目天空海を押し倒しで下し、自身初の初日から5連勝。
昨年7月場所前などに新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反し、出場停止処分を受けて一時は幕下まで陥落。
昨年秋場所以来の幕内の土俵に、感謝の気持ちを持って上がる。
立ち合いから強烈な突き押しで天空海を圧倒。
自身初、そして平幕唯一の初日から5連勝としたが「あまり星数は気にしない」と表情を引き締めた。
こまでの相撲内容を、八角理事長も評価する。
「立ち合いに圧力があるから、絶対に引かないぞという突っ張りに迷いがない。相手には、いつか引いてくるんじゃないかというイメージがある。余計に突っ張りが効く。せっかく戻ってきたんだから、この相撲を続けることでしょう」と期待。
2021/11/18
4日目、照ノ富士が粘る阿武咲を退けた。
突き放してくる相手にじわじわ圧力をかけると、中に入ろうとする相手の腕をつかまえ、きめ出した。
この1年の対戦成績が五分と楽な相手ではなかったが、「対策どうこうより、やることは変わらない。やるべきことをやっているだけ」と振り返った。
序盤戦は相手に攻めさせながら自分の形に持ち込む内容の相撲が多い。
横綱は「できることはそれしかないので、頑張ってやっているだけ」と表情を緩めなかった。
2日目から3連勝とした。
立ち合いで胸から思い切って当たると、圧力をかけながら一気に前進。
土俵際で回り込もうとする相手をよく見ながら、最後は左手ではじき飛ばすようにして勝負を決めた。
過去2勝3敗と苦戦していた難敵を退け、弾みのつく白星。
課題の詰めの甘さを見せることはなく、「立ち合いから常に圧力をかけられてよかった」と納得の様子。
八角理事長(元横綱北勝海)は「上がってきた頃の、良かったときに戻った感じ」と高く評価した。
4日目、大関の貴景勝は、大栄翔との一番。
立ち合いから互いに激しい突っ張り合い。
大栄翔は跳んで突っ張りをかわそうとしますが、貴景勝はしっかりついていきます。
最後は大栄翔が体勢を崩したところを見逃さず「突き落とし」。
激しい押し合いを制し、白星をあげました。
大関・貴景勝は、初日から無傷の4連勝。
5日目は2勝2敗の前頭三枚目・妙義龍と対戦します。
4日目、関脇御嶽海が、初日から内容も伴った相撲で4連勝。
この日は200キロ超の巨漢力士、小結逸ノ城を、左右に動かしながら常に攻め続け、いなして中に入り、最後は押し出した。
三役常連の“眠れる大関候補”の好調ぶりに、日本相撲協会の八角理事長も「いい流れになっている。
元々、力はあるからね」と、まずは優勝2回の実力からして、特段の評価は避けた。
それでも期待を込めて「集中できている。それを途切れさせないで1つでも多く、連勝してほしい。
1つ(連勝が)途切れると集中力が切れる、きらいがあるからね」と指摘。
今場所は期待できそう?という報道陣の問い掛けに「毎場所、期待していますよ」と苦笑いで返し、大関昇進の期待がかかって久しいことに「そろそろも何も遅いぐらい。もっと欲を持って自分が相撲界を引っ張るんだ、というぐらいの気持ちでやってほしい」とハッパを掛けた。
協会トップの激励を受け、“万年大関候補”の看板を外せるか−。実力者の残る土俵に注目だ。
4日目、立ち合い、高安は出足の圧力で簡単に志摩ノ海を土俵際まで運び、一気に仕留めにかかる。
だが、回り込まれて押し切れない。
「詰めが甘かったのか、逃げられてしまった」。
ばたばたした末に、互いに頭を付けて動きが止まった。
3分30秒がたつころ、高安の左がようやく入り、右も上手を奪って上手投げ。
長い相撲が決着し、「じっくり相撲が取れました」。
3勝1敗とした元大関が、胸をなで下ろした。
前日に37歳の誕生日を迎えたばかりの玉鷲が力強く3勝目。
千代翔馬が立ち合いで張り差しにきたが、慌てることなく小手に振って相手の体勢を崩すと、すぐに距離を取って突いて出た。
「自分の一番いいのが突き押し。それを出せれば何とかなると思っている」と振り返った。
これで通算700勝に到達。
白鵬が秋場所後に引退したため、現役では最多勝ち星となっている。
「数字にはこだわっていないが、よくやったなと思う」と笑みを浮かべた。
4日目、西前頭13枚目・栃ノ心が九州場所5日目の18日から出場することが17日、決まった。
5日目に東前頭14枚目・輝との一番が組まれた。
大関経験者の栃ノ心は初日に豊山との一番が組まれたが、急性腰痛症のため休場し、不戦敗に。
師匠の春日野親方は途中出場の可能性を示唆していた。
4日目、西前頭15枚目・阿炎は、東前頭17枚目・魁聖を押し出しで下した。
8場所ぶりに幕内の土俵に立つ今場所、自身の初日からの連勝記録を4に伸ばした。
もろ手で立つと、右のど輪で攻める。
194センチの相手をのけぞらせたが、魁聖も194キロの体重と足腰でこらえた。
それでも猛然と前に出ると、たまたらず相手も後退。
最後まで右腕を伸ばして土俵を割らせた。
「やっぱり重い人だったので、まわしを取られたら何もできない。距離を取って相撲を取ることを考えた」。
押しも引きも多彩な阿炎だが、この日は力で押し切った。
2021/11/17
3日目、2年ぶりの福岡開催となった今場所。
一人横綱の照ノ富士は、若隆景との一番。
照ノ富士は立ち合いで若隆景の前回しを取ろうとしますが、若隆景がうまく距離を取ります。
しかし照ノ富士はそれに動じる様子もなく、土俵際に逃げようとする若隆景を冷静に「押し出し」。
若隆景に何もさせない横綱相撲で、白星をあげました。
一人横綱として挑む照ノ富士は、初日から無傷の3連勝。
4日目は3敗の前頭二枚目・阿武咲と対戦します。
初日の黒星で館内をため息でいっぱいにした大関・正代が2連勝で白星を先行させ、今度は多くの拍手を会場に響かせた。
三役経験者で押し相撲に定評のある前頭・阿武咲を押し続けた。
「最初から圧力をかけて1歩、2歩、3歩とちゃんと出る意識を持った」といい、最後は鮮やかにはたき込んだ。
3日目、大関・貴景勝が、新小結の霧馬山を下して初日から3連勝とした。
立ち合い当たってから低く突き上げ、完璧なタイミングで左の突き落とし。
6場所ぶりに序盤3連勝を飾り「始まったら一生懸命やるだけなので。準備だけしっかりして、という感じでした」と話した。
八角理事長も大関の一番を「余裕がある。相手が見えているということ。いなす前の突きがいい」と高評価。
一方では「でも、突き落としは癖になってしまう」と指摘した。
突き押しが身上の25歳。
理事長は「泥臭く泥臭く、前に出る相撲を続けていかないと、優勝はね。でも、さらによくなると思いますよ」と期待を寄せた。
3日目、関脇・御嶽海が平幕筆頭の大栄翔を下し、初日から3連勝を飾った。
前日15日に横綱・照ノ富士を土俵際まで追い詰めた大栄翔との押し合いを制し、「少しのミスが命取りになるので、特に大栄翔関は。自分も負けないようにその突きに対抗できるように我慢した」とうなずいた。
八角理事長が「お互いに力を出し合った」と高く評価した一番。
大栄翔の突きの連発をこらえた御嶽海に対しては「受け身ではなく、自分から圧力をかけた。こういう相撲を続けていくこと。それには精神的な強さが必要になってくる。それが今後、必要だ」と期待を寄せた。
3日目、37歳の誕生日を迎えた西前頭6枚目玉鷲が、東前頭6枚目志摩ノ海を押し出しで破って白星を先行させた。
立ち合いは低く下からもろ手であたり、一気に前に出て押し出した。
「気持ちよく自分の相撲が取れて良かったと思います」と好感触だった。
37歳を迎えたが「あまり意識はしていない。土俵に上がったらやることは決めている。元気よく、若手に負けない相撲を取りたい」と老け込むつもりはない。
2004年初場所の初土俵から、ここまで休場が1度もない鉄人。
「毎日毎日、自分の相撲を取って楽しく、それだけを意識して稽古している」と秘訣(ひけつ)を明かした。
2年ぶりの開催となった福岡のファンに対して「みんなの声援に応えるように、喜ばせたいと思っています」と語った。
3日目、宇良は潜り込むような低い立ち合いで豊昇龍を引かせると、タイミング良く引き落としで仕留めた。
3連勝の好発進にも「何も変わらない」。
淡々とした口ぶりのままだった。
幕下だった2年前の初場所、豊昇龍との対戦で膝を負傷した。
けがから再起する途中だったが、再び長い休場を強いられた。
その相手と「幕内で対戦できたことはうれしかった」と宇良。
少しだけ表情を緩めた。
3日目、東前頭9枚目碧山が、東前頭8枚目琴恵光を突き出しで破って初日から3連勝した。
「いったん、引いた所もあったけど、突きなおせてよかった」と振り返った。
秋場所後の10月23日に、待望の第1子となる長女のモニカちゃんが生まれた。
福岡入りする前に約1週間一緒に過ごすことができたといい「すごくかわいいです。頑張らないとね」と表情を緩ませた。
3場所連続負け越し中なだけに「まずは勝ち越しを目指したい」と帰りを待つ家族に吉報を届ける。
3日目、返り入幕の西前頭15枚目阿炎が、西前頭17枚目松鳳山を突き出しで下して3連勝した。
得意のもろ手突きで松鳳山の上体を起こし、強烈な突き押しで勝負あり。
「次につながる相撲が取れているのでいいと思います」と納得の一番だった。
自身初の初日から3連勝。
報道陣から「3連勝は初めてだと思うが」と問われるも「覚えてないですね」と話すなど、星勘定は意識していない。
昨年7月場所中に新型コロナ感染対策のガイドラインに違反し、出場停止処分で一時は幕下まで陥落した。
ようやく幕内まで戻った今場所では、会場内で自身のしこ名が書かれたタオルを持って応援するファンも多い。
「本当にありがたいと思います。もっと思い切りいい相撲を取りたい」と引き締めた。
3日目、返り入幕の西前頭16枚目佐田の海が、苦手としている東前頭15枚目千代丸を破って3連勝した。
千代丸の突き押しに負けることなく前に出て行き右四つに組み、一呼吸置いて、一気に寄り切った。
千代丸には十両の土俵での対戦を含め、8連敗中と苦手としていた。「何連敗しているか分からないぐらい合口が悪かった」と意識しながらの白星。
「(千代丸は)圧力があるので引かれてもいいや、と思いながらいきました。しっかりと体を寄せて中に入れたのでよかったです」と狙い通りの相撲で難敵を破った。
2021/11/16
15日、豪快なすくい投げで照ノ富士が窮地を脱した。
先場所は苦杯を喫した大栄翔の喉輪にのけ反り、右を深く差されて土俵際まで攻め込まれた。
だが慌てずに右を差し、振った相手の反動も利用して投げ捨てた。
白鵬の引退で文字通り一人横綱の重圧とも闘う照ノ富士は2連勝。
「落ち着いて取れた。相手というより、自分の相撲を取りきることしか考えていなかった」と気概が詰まる言葉で振り返った。
15日、ヤキモキしていた正代ファンが、待ってましたとばかりにひときわ大きな拍手を送る。
大関としてご当所に初凱旋(がいせん)。
1日遅れとなってしまったが、逸ノ城を寄り切り今場所初白星を届けてみせた。
15日、大関貴景勝の復調ぶりに、協会トップの八角理事長も太鼓判を押した。
同じ押し相撲ながら、まわしを狙ったのか、立ち合いの当たりが弱かった阿武咲を頭で当たって押し込むと、何とか回り込もうとする相手を逃さず、向こう正面に一気の押しで土俵下まで吹っ飛ばした。
7月の名古屋場所で首を痛め、先場所はかど番。
その先場所と比較しながら、八角理事長は「押せるという自信だね。先場所は『勝たなきゃいけない』だったけど、今場所は『いい相撲を取るんだ』という気持ちが強いんじゃないかな。(初日に続き)内容がいい」と語った。
さらに「首を痛めたのは、押し相撲にとっては致命傷。頭で当たれないと(威力が)半減するからね」と、何の不安もなく頭から当たれている今場所の、貴景勝の好調ぶりを分析した。
15日、東関脇・御嶽海は西前頭2枚目・隆の勝を押し出しで破り、連勝を飾った。
3日目の16日は東前頭筆頭・大栄翔と対戦する。
御嶽海は、俵に足が掛かりながら盛り返した。
押し込まれたところでかいなを返して右に回り込み、最後は相手の引きに乗じて前に出た。
15日、両者の息遣いまで追ってしまう取組だった。
前頭五枚目・高安と前頭四枚目・宝富士が、3分以上にもわたる熱戦を繰り広げ、視聴者からも「まさに大相撲」「熱戦だった!」といった興奮気味のコメントが続出した。
立ち合い後、左を差して攻めた宝富士。
だが右上手を探るも取れず、じっくりと攻める高安と左四つの体勢となり、こう着状態が続いた。
互いに攻め切れず土俵中央で組み合ったままの両者に、館内からは繰り返し拍手が沸き起こった。
3分近く経過した頃、投げの打ち合いとなって両者残すも、最後は高安がすかさず攻め、下手出し投げで長丁場の一番を制した。
15日、西前頭15枚目・阿炎は、同14枚目・千代の国を突き出しで破って初日から2連勝。
7場所ぶりに幕内に復帰した今場所、好スタートを切った。
突き押し同士の一番は、もろ手で立ってのど輪で攻める。
たまらず後退した相手を、一方的に突き出した。
初日の千代丸戦に続き、持ち味をいかした相撲。
「(前に)出られたと思う。突き相撲同士なので、先手を取らないといけない。先手を取れたのでよかった」とうなずいた。
2021/11/15
14日、初めて番付上の一人横綱となった照ノ富士が白星発進した。
新小結・霧馬山を小またすくいで下した。
やや苦しんだが、新鋭の挑戦を退け最高位の威厳を示した。
白星を重ね、先場所限りで引退した元横綱・白鵬の間垣親方が去った土俵を盛り上げる。
14日、正代は2年ぶりの九州場所にあふれるファンの熱気に乗れなかった。
大栄翔の突き押しをこらえ、いなしたところまでは良かったが、そこから攻めが続かず。
体勢を立て直した相手に押し倒され、「立ち合いは悪くなかったが、その後が出なかった」と悔やんだ。
14日、大関貴景勝が、西前頭筆頭若隆景を突き落としで下し、昨年11月場所以来の優勝に向けて白星発進した。
もろ手つきから一気に攻め立て、左からの突き落としで白星。
「いいスタートを切れればと思っていました。しっかり準備して集中できた。また明日に向かって集中したいです」と充実した表情を浮かべた。
14日、福岡国際センターで初日を迎え、東関脇の御嶽海は東前頭2枚目の阿武咲を寄り切って白星発進した。
阿武咲には十両時代から通算10勝3敗。
14日、大栄翔は武器の突き、押しがさえ、初日から正代を撃破する殊勲の星を挙げた。
通算400勝となり「これまでの積み重ねなのでうれしい。今日の相撲は本当に良かった。体がよく動いて、しっかり攻められた」と言葉を弾ませた。
初場所で初優勝を成し遂げた実力者は、2日目に照ノ富士に挑戦する。
一人横綱から2場所連続の金星獲得となると、初場所のような活躍も期待される。
「明日(2日目)も今日のような相撲を取りたい。自分の力をしっかり出さないと勝てないので、集中していく」と表情を引き締めた。
14日、文句のない内容で白星発進した西前頭5枚目の豊昇龍は「立ち合いが良かったし、前に攻めていたので良かった」と充実した表情だった。
早い立ち合いからの突き押しで志摩ノ海の上体を起こし、さっと右を差した。
相手に左上手を許しながらもぐいぐいと土俵際まで押し込み、右手でまわしをつかむと間髪を入れずに下手投げ。
横転した志摩ノ海を横目に、淡々と勝ち名乗りを受けた。
大関経験者の西前頭13枚目栃ノ心が九州場所初日の14日、日本相撲協会に「急性腰痛症により約2週間の治療を要する」との診断書を提出して休場した。
2019年九州場所以来11度目の休場で、初日の対戦相手、豊山は不戦勝となった。
師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)によると前日13日の朝稽古後に痛みを訴えたという。
成績次第では14年秋場所以来7年ぶりの十両陥落となるが、春日野親方は回復状況によっては再出場を視野に入れる意向を示した。
14日、昨年秋場所以来の返り入幕となった西前頭15枚目阿炎が、西前頭15枚目千代丸を押し倒しで破った。
得意のもろ手つきで千代丸にまわしを与えず、手を休めることなく突いて押し倒した。
久しぶりの幕内の土俵も「変わらずに集中できた」と淡々と振り返った。
2021/11/14
正代が13日、電話取材に応じ2度目の優勝へ強い意欲を見せた。
コロナの影響により福岡での開催は2019年以来、2年ぶり。
昨年は新大関を九州場所で迎えるはずだったがかなわなかった。
福岡に来ても後援者やファンと触れ合うことはできないが、思いは感じている。
「みなさん、2年ぶりということで、待ちに待った感じがしてるんで、期待に応えたいというふうには思っています」。
「ちょっと(九州場所まで)時間が空いたのは残念ですけど、ここらへんでいい相撲を見せて地元の人にいいとこ見せたいなとは感じます。大関に上がって優勝してないんで。優勝するんだったらすね、地元っていう気持ちはありますね。2年ぶりの九州場所ということで、地元なので、それなりに、いつもの場所よりは気合入るのかなあと。入ってもらわないと困るなとは思ってます」
「頑張らないといけないというのは思いますね、自分でも」と言葉をかみしめながら話していた。
大関貴景勝は13日、報道陣の電話取材に「(場所に向けた調整、準備は)しっかりできたと思うんで、あとは力発揮するだけかなと思います」と応じた。
九州場所は2018年に初優勝を飾り、東京開催となった昨年は2度目の優勝。
相性はいいが「もう過ぎたことなので、あまりそういうことは考えず、今年は今年で」と気合を入れた。
13日は、15日間の安泰を祈願する土俵祭りが会場であり、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や同場所担当部長の境川親方(元小結両国)らが出席した。
昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために11月場所として東京・両国国技館で実施。
2年ぶりの九州場所に境川親方は「白鵬が引退して一人横綱になった照ノ富士や三役陣を中心に活気のある土俵に期待したい」と見どころを話した。
協会は新型コロナ対策のガイドラインで不要不急の外出を制限している。
境川親方は「(九州は)おいしいものもあるけど(協会の)中から感染者を出すわけにはいかない。ファンの皆さんとのふれあいもなく申し訳ないが、今後(の地方場所)に響いてくる。油断することなくやっていきたい」と理解を求めた。
2021/11/13
12日、福岡県新宮町の出羽海部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、大関昇進の足場固めに向け、九州場所での2桁勝利を目標に掲げた。
「もう何年も待たせている。(大関を)狙っていないわけじゃない。しっかり目指してはいる。10勝以上で今年を終わりたい」と意欲を語った。
高見山、安芸乃島と並び昭和以降6位の三役在位27場所になり、2度の優勝を誇る。
東京開催だった昨年まで、11月の本場所は3年連続で負け越しと苦手の季節だ。
「2年ぶりの九州でわくわくはしているけど、不安が大きい場所でもある」と気を引き締めた。
12日、九州場所の初日、2日目の取組を発表した。
同日、平幕・大栄翔が宿舎での稽古後に電話取材に応じ、「普段通りに稽古をやってこられたので、あとは場所でしっかり力を出すだけです」と自信をのぞかせた。
前頭筆頭で臨む今場所は上位総当たりで、初日は大関・正代、2日目には横綱・照ノ富士戦が組まれた。
先場所は全勝だった新横綱を9日目に撃破し、金星を初配給させただけに、「自分の相撲を120%出せれば、チャンスがあると思うので、しっかり自分の相撲を取りきることが1番の目標です」と意気込んだ。
再入幕を果たした西前頭17枚目松鳳山が12日、報道陣の電話取材に応じ、ご当地場所への思いを語った。
2年ぶりの福岡開催となった九州場所について「こういうコロナの中で九州場所を開催していただいてすごく感謝もしているし、あと何回九州に現役で来られるか分からない。こういう風な中でも開催してくれることはすごくありがたい」と話した。
14日に初日を迎える九州場所で、大相撲と国民的アニメの「ポケモン」が史上はじめてのコラボ。
土俵では、ポケモンにまつわる懸賞旗が登場する。
千秋楽には、ゲーム「ポケットモンスター」の歴代パッケージを描いた懸賞旗が36枚登場。
また会場には、15日間ファンクラブブースが設置され、来場した子どもには「ピカチュウサンバイザー」と「はじめてブック(シールブック)」がプレゼントされる。
2021/11/11
9月の秋場所で最後まで優勝争いを演じ、西前頭3枚目に上昇した35歳の妙義龍が10日、報道陣の電話取材に応じ、九州場所を控え「三役を狙える位置に戻れてチャンスはある。それに向けて今は準備するだけ」と意気込んだ。
画面越しのオンライン取材でも気合の入りようは伝わってきた。
関取最年長のベテランらしくぎらぎらした覇気ではない。
肩の力は抜け、心の奥で静かに闘志を燃やしているようだった。
福岡県築上町出身の松鳳山が、昭和以降9番目の年長記録となる37歳8カ月23日で再入幕を果たした。
7場所ぶりの幕内で迎えるご当地、九州場所(14日初日)に向け「今でも若手には絶対負けないと思いながら、より若い相撲を取るんだと思いながら相撲を取りたい」と意気込みを語った。
大相撲の清見潟親方(元関脇栃煌山)が10日、東京・両国国技館で来年1月30日に予定している引退相撲の升席観覧券が、所属する春日野部屋がある東京都墨田区のふるさと納税の返礼品となっていることを明らかにした。
既に引退相撲事務局を通じてチケット販売が開始。
14日からは「チケットぴあ」でも購入できるという。
もろ差しからの鋭い出足を武器に三役在位25場所と活躍した清見潟親方。
報道陣の代表取材に「(返礼品は)相撲に興味を持ってもらう一つのきっかけになればと思った。自分としても縁が深い墨田区の力に少しでもなれれば」と話した。
2021/11/10
ご当所の大相撲九州場所へ臨む鹿児島・奄美大島出身の明生は、新関脇から2場所連続での勝ち越しを目指す。
「今年最後の場所なので三役でしっかり勝ち越して、その後の成績はその後から生まれてくると思うので、まずはいい形で勝ち越すことを心がけたい」。
三役に満足することなく、その上の番付もしっかりと見据えている。
「勝ち越しだけじゃその上の番付は見えないし、星を積み上げたい」と意欲を口にしていた。
2年ぶりの福岡開催となる大相撲九州場所で、2場所ぶりの勝ち越しを狙う幕内・豊昇龍が9日、当地の部屋宿舎での稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
この日は関脇・明生、幕内・天空海の部屋の関取衆と30番ほど取るなどして調整。「ちょうどいい感じでやっているので体もいい感じで動いているし、しっかり当たれているし、いい感じですね」と好調ぶりをアピールした。
叔父で元横綱・朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が先月、自身のツイッターで九州場所の来場を示唆した。
叔父の目の前で本場所の取組を見てもらったことはないといい「いいところを見せたい。褒めてもらえる相撲を取りたい。自分の集中力が100%の相撲を取りたい」と意気込みを語った。
先月22日に各相撲部屋に対して、師匠判断で11月5日から稽古見学を可能とする通達を出していたことが9日、分かった。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)が明かした。
対象は後援者などの関係者や近親者のみで、一般公開はしない。
新型コロナウイルスが感染拡大した昨年春以降、各部屋は協会の通達に合わせて原則的に稽古を非公開としていたが、条件付きで稽古見学が解禁された。
見学者には検温や手指の消毒、マスクの着用などを義務づける。
期間は協会員が2回目のPCR検査を終えた5日以降で、九州場所中も対象。
一方で芝田山広報部長は「ただし感染状況によって再度変更もある」と付け加えた。
元大関豪栄道の武隈親方が9日、引退相撲を来年1月29日に東京・両国国技館で開催することを明かした。
新型コロナウイルスの影響で実施が見合わされ、2020年初場所限りの引退から2年でようやく節目を迎える。
35歳の同親方は電話取材に「コロナで大変な時でも(開催に向け)多くの方に支援していただき、大変ありがたい」と話した。
チケットの受け付けは12月4日に開始する。
2021/11/09
2場所連続の小結で臨む逸ノ城が8日、報道陣の電話取材に応じ、9月の秋場所後に日本国籍を取得してから初の本場所に向け「先場所に続けて勝ち越すこと。あとは2桁。一番でも多く勝てるようにやっていく」と目標を掲げた。
国籍取得により、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得て「相撲しか分からないので、将来ちゃんと日本に恩返しできればいいと思った」と決断理由を明かした。
高砂部屋は5日、ツイッターの公式アカウントに、富山市出身で西前頭10枚目の朝乃山が稽古に励む2本の動画を投稿した。
朝乃山は、日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドラインに違反し、6場所出場停止処分を受けている。
処分決定後、稽古の様子が広く公開されるのは初めて。
動画はいずれも、九州場所(14日初日・福岡国際センター)で新十両に昇進した朝乃若との取組。
左足首にテーピングを巻いた朝乃山は、幕内と十両の力士しか着けられない白いまわし姿で汗を流した。
『相撲道〜サムライを継ぐ者たち〜』Blu-ray&DVD 2022年1月26日(水)発売!
1500年以上もの歴史の中で日本人の暮らしに深く根付き、国技・相撲に命をかける強き男たちの生き様を描いた世界初“大相撲”エンターテイメント・ドキュメンタリーのBlu-ray&DVDコンボが2022年1月26日(水)に発売されることが決定!
詳細は下記サイトで!
https://www.amuse-s-e.co.jp/title/sumodo/
2021/11/08
5日、30歳の誕生日を迎え、報道陣の電話取材に対し「区切りの1年にはなる。今まで以上に体のケアは気にしていかないと。まだまだ若い子たちには負けられない」と気持ちを新たにした。
以前よりも食べる量が減ってきているというが「前の年よりもいい年になればいいな」と意欲的だった。
熊本県出身の大関にとって、2年ぶりの九州場所(14日初日・福岡国際センター)はご当地。
「見に来る人も楽しみにしていると思う。成績の面でこだわっていきたい」と2場所連続8勝からの巻き返しを期した。
5日は東京都墨田区の時津風部屋で幕内豊山と約10番取ったという。
5日、9月に日本国籍を取得した小結逸ノ城が本名をアルタンホヤグ・イチンノロブから三浦駿に変更したと発表。
師匠の湊親方(元前頭湊富士)の本名三浦孝行の姓をもらい、駿はしこ名の下の名前から取った。
5日、幕内若隆景が報道陣の電話取材に応じた。
この日は自主的に部屋で体を動かし「いつも通りしっかり準備するだけですね」と、初日向けて調整を続けている。
新小結で臨んだ7月の名古屋場所は5勝10敗に終わったものの、秋場所は9勝6敗。
西前頭筆頭で迎える今場所は「また三役が見えてくる番付だと思うので、しっかり自分の相撲を取りきって勝ち越したいと思います」と気合十分だ。
5日、幕内阿武咲が報道陣の電話取材に応じた。
初日まで約1週間となり、徐々に本場所モードの阿武咲は「しっかり気持ちを高めて、あとは思いきりやるだけかなと思います」と気合十分。
先月25日から4日間行われた合同稽古を皆勤し「そこから動きもよくなって、(部屋の)稽古場で稽古していても感覚自体ものすごくいい」と、体は順調に仕上がっている。
3日、報道陣の電話取材に応じ、2年ぶりの開催となる九州場所に向け「元気な姿を見せたい」と意気込みを語った。
宇良にとって、関取として福岡の土俵に立つのは十両時代の2016年以来5年ぶりとなる。
2年前は右膝の大けがによる5場所連続休場から西序二段106枚目で再出発を果たした場所。
それ以降、ハイペースで番付を上昇させ「最短に近い感じで上がれたと思うが、それでも長かった。関取として九州場所に出られるのはうれしい」と実感を込めた。
4日、電話取材に応じた。
阿炎は日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス対策のガイドラインに昨年違反。
3場所出場停止などの処分を受けて幕下まで番付を落とした「試練」を克服し、はい上がってきた。
幕内の土俵に上がるのは昨年の7月場所以来で、「新しい気持ちで変わった自分を見せられたら」と意欲を示した。
秋場所後に引退し、委員待遇年寄として指導普及部に配属予定となっていた間垣親方(元横綱白鵬)が同部に加えて社会貢献部にも配属となったことを、日本相撲協会が5日までに発表した。
協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10月上旬の時点で、間垣親方の配属が指導普及部に配属になることは明かしていた。
社会貢献部は協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)の直轄部署で、相撲を通じた法人組織としての社会貢献の推進などが目的。
災害支援や地域貢献、福祉活動などを主な活動としている。
2021/10/28
27日、東京都内の部屋で稽古を行い、代表取材に応じた。
ようやく地元のファンに勇姿を見せることができるとあって「2年ぶりですし、大関としていろいろ他の場所と比べて注目もされると思うので自分の相撲が取れたら」と自然と気合も入る。
昨年11月場所はけがのため途中休場となってしまったが、福岡で開催された九州場所は入門から一度も負け越したことがない。
「九州場所ということで、いつもの感じなのか違う感じになるのか行ってみないと分からないですけど。九州だからって気持ちは特別…、とりあえず負けられないっていう気持ちが(ある)。でも注目されるのかなっていう意識はあるんで」と語る。
合同稽古3日目が27日、東京・両国国技館で行われた。
この日から合流した関脇明生は、小結高安、幕内霧馬山らと22番取って15勝7敗。
ぶつかり稽古では高安の胸を借りて約5分、何度も転がされて泥だらけになりながら汗を流した。
部屋には元横綱朝青龍の甥の幕内豊昇龍、十両天空海がいるものの、明生は「関取衆がケガだったりそういったもので稽古内容が落ちてきた」と、合同稽古の参加を決意。
本場所でも対戦が見込まれる相手と体を合わせ「番数と勝ち負けはそこまで意識していない。それよりも、やろうと決めていた動きができればという気持ちで一番一番やりました。いい稽古ができたと思います」と充実の表情だった。
霧馬山は26日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古に参加し、高安らと19番取った。
身長193センチの輝をつり出した場面もあり、「前に攻めて、力を出せていた。本当にいい稽古になった」と得意げに振り返った。
9月の秋場所は西前頭2枚目で9勝。
千秋楽には千代丸をつり出すなど、細身の体ながら筋力も備わってきた。
つり出しは怪力で知られた師匠の陸奥親方が現役時代に得意とした技。
「親方の相撲は昔から見ていて、いつも教えてもらっている。これからもできるように頑張りたい」と意欲を見せた。
合同稽古3日目が27日、東京・両国国技館で行われた。
この日から合流した幕内妙義龍は、関脇明生、小結高安らと11番取って5勝6敗。
稽古後は「三役も来て実力がある人ばかり集まったので、番数どうこうじゃなくていい内容の稽古ができたと思います」と振り返った。
秋場所は千秋楽まで優勝争いに絡み、11勝4敗で技能賞を獲得した。
場所前には初めて合同稽古に参加していたが、本人は「それ(合同稽古と本場所の結果)は別に関係ない」と強調。
その一方で「今は総見も連合稽古もないので、こうやってみんなで集まる稽古はいいことだと思う」と付け加えた。
来場所も活躍が期待される35歳。
それでも「今は体づくりと体調を整えて。そこが一番」と自然体を貫いて九州に乗り込むつもりだ。
合同稽古第2日は26日、東京・両国国技館内の相撲教習所で行われ、元大関で平幕転落が決定的となっている小結高安が15番取るなど、再起へ積極的に汗を流した。
9月の秋場所を右臀部のけがで途中休場して負け越した31歳の実力者は、ともに25歳の霧馬山や阿武咲らを相手に5勝10敗だったものの「若いだけにスタミナがあり、いろんな動きもある。やっていて、身に付くところがたくさんある」と前向き。
「しっかり体をつくり直して、千秋楽まで優勝争いに絡みたい。もう一回、上を目指す」と意気込んだ。
幕内豊山が27日、東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
この日は幕下相手に11番。
一方的に押し出す展開が目立ったが、時栄には逆転のすくい投げを許すなど、1勝4敗という結果に「彼(時栄)に勝てないんすよね、ムキになっちゃう。徐々に肌が合ってくると対策できるんですけど、最初は転がされちゃう。幕下で負け越されたらもう立場ないっす」と自虐気味に語った。
豊山は3月の春場所で右腕を負傷したことで「かばって後半失速してしまう」ことが増えたと自己分析。
そこで自身の押し相撲を見直し、上手を引いたり、頭をつけるなど試行錯誤が続いている。
「15日間右手をフルに使うんじゃなくて、どこかで抜くじゃないですけど使わないで済む日があればいい。大事なところで力を使う。今までがむしゃらに相撲を取っていたけど、大人の相撲にしないと」と豊山。
新たなスタイルを確立できるか。
再入幕が濃厚な天空海が27日、都内の部屋で基礎運動を中心に汗を流した。
西十両筆頭の先場所は9勝6敗。柔道出身で内股のような掛け投げを連発し、同技で4勝を挙げた。
幕内に戻り、ファンは期待するが、自重。
一方で期待に応えたい思いもある。「目立てれば目立ちたいですね。いろいろ技の研究、相手の研究もして。一暴れしたいですね、目立ちたいです。目立って損はないですからね」と笑った。
「11月は験(げん)がいい場所。1回も負け越したことがない。我慢して来場所、我慢の場所。どうにか勝ち越して、勝ち越さないと下がっちゃうので、負け越さないように」と、意気込んだ。
日本相撲協会で九州場所担当部長を務める境川親方らが27日、福岡市の住吉神社を参拝し、2年ぶりの開催となる九州場所の安全な開催を祈願した。
同神社では毎年九州場所前に横綱の奉納土俵入りが行われ、ファンから親しまれてきたが、東京開催となった昨年は中止。
2年ぶりの福岡開催となった今年も、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために取りやめた。
相撲愛好家でつくる「九州溜(たまり)会」の安部泰宏会長らと参拝した境川親方は「土俵入りを楽しみにしていたファンの方には申し訳ない。本場所では、一人横綱となった照ノ富士や大関陣が元気いっぱいの相撲を取って盛り上げてくれると思う」と期待した。
日本相撲協会は27日、ゲームなどで人気の「ポケットモンスター(ポケモン)」と協力し、両者の魅力を発信する取り組みを開始すると発表した。
大相撲九州場所では千秋楽にゲームの歴代パッケージを描いた懸賞旗が登場する。
来年1月の初場所では懸賞旗の他、ポケモンのデザインをあしらった行司装束や化粧まわしがお披露目される予定。
芝田山広報部長は「今回の取り組みをきっかけにより多くの人が相撲の魅力を知り、大相撲本場所を楽しんでもらえるようになれれば幸いです」とコメントした。
関連記事はこちら
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/photonews/photonews_nsInc_202110270000588-0.html
2021/10/15
日本相撲協会の芝田山広報部長は14日、大相撲九州場所に向けて全協会員が受ける予定の新型コロナウイルスのPCR検査について、28日の1度に変更すると明らかにした。
当初は24日と11月4日の2度実施するとしていた。
変更の理由について、仮に10月28日の検査で陽性判定を受けても、九州場所初日までに治療期間が取れることを挙げた。
また、合同稽古を国技館内の相撲教習所で25日から4日間実施する。
東京・板橋区の自宅で大麻を所持したとして警視庁に書類送検された元十両の貴源治(24)について、東京地検は不起訴処分としました。
大相撲の元十両・貴源治は今年7月、板橋区内の自宅マンションで大麻を所持した疑いで先月、警視庁が書類送検していました。
東京地検は貴源治を今月12日付で不起訴処分としました。
不起訴の理由は明らかにしていません。
2021/10/12
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は11日、大相撲九州場所(11月14日初日・福岡国際センター)に向け、親方や力士ら全協会員を対象とした新型コロナウイルスのPCR検査を、10月24日と11月4日に実施すると発表した。
2度目の検査で陰性が確認された後、部屋単位で福岡へ移動する予定。
2021/10/01
30日、東京・両国国技館で理事会を開き、横綱白鵬の引退と年寄「間垣」襲名を承認した。
理事会では白鵬の間垣襲名を認めるに当たり、年寄として当然守るべき事項を誓約することを条件とした。
白鵬は両国国技館を訪れ、師匠の宮城野親方が同席した上で誓約書にサイン。
5月に年寄名跡を取得したが、その際に年寄資格審査委員会から受けた忠告がその後守られなかったため、条件付きという異例の襲名となった。
引退会見を日本相撲協会公式YouTubeで生配信すると発表した。
記者会見は10月1日午後3時開始を予定。
11月の九州場所は予定通り、福岡市の福岡国際センターで開催することが、日本相撲協会の理事会で確認された。
11月場所は昨年、コロナ禍で東京・両国国技館に会場を変更して実施。
福岡での九州場所は2年ぶりとなる。
芝田山広報部長は「予定通りに。既に先発事務所が福岡に入り、開催を前提に準備を進めている」と語った。
地方場所の開催は7月の名古屋で再開。
芝田山広報部長は「名古屋場所と同じように(11月1日の)番付発表後に(力士らの)PCR検査をし、陰性を確認して順次、部屋ごとに福岡へ入る」と説明した。
感染防止のため、不要不急の外出や出稽古などを禁じた厳しい行動制限は、緊急事態宣言解除後も継続する。
日本相撲協会は30日、理事会を開き、来年の大相撲初場所(1月9日初日、東京・両国国技館)を上限5000人で開催することを決めた。
また、来年の春巡業の中止も発表した。
2021/09/30
現役引退を日本相撲協会に届け出た横綱白鵬のしこ名が、九州場所の番付表にも記載されることが29日、決まった。
協会関係者が明らかにした。
この日、九州場所番付編成会議が行われたが、発表された引退力士のリストに白鵬のしこ名が入っておらず、同日時点で現役の扱いのため。
秋場所を制した横綱照ノ富士と東西に並ぶ最後の番付になる。
白鵬の引退は30日の相撲協会理事会で承認される見込み。
小結逸ノ城が日本国籍を取得したことが29日付の官報で告示された。
年寄名跡の襲名には日本国籍が必要で、現役引退後に親方として日本相撲協会に残る資格を得た。
逸ノ城は鳥取城北高に相撲留学し、全日本実業団選手権個人で優勝。
幕下15枚目格付け出しで2014年初場所に初土俵を踏み、所要4場所のスピード出世で新入幕を果たした。
26日に千秋楽だった秋場所では13場所ぶりに三役へ復帰し、8勝7敗と勝ち越した。
2021/09/27
横綱白鵬が現役引退の意向を固めたことが27日、分かった。
関係者が明らかにした。
進退を懸けて臨んだ7月の名古屋場所で、歴代最多を更新する45度目の優勝を全勝で飾り復活を印象付けたが、右膝の古傷などに長く苦しんでいた。
26日、新横綱の照ノ富士が2場所ぶり5度目の優勝を遂げた。
新横綱の優勝は2017年春場所の稀勢の里以来で、史上9人目。
新横綱が初日から一人横綱で賜杯を抱くのは、戦後初。
単独トップだった照ノ富士は大関正代を圧倒して13勝2敗で終えた。
1差で追っていた妙義龍が敗れ、結びの一番を待たずに決定。
もう一人の横綱、白鵬が休場した場所で重責を果たした。
年内にも第1子が誕生予定で、横綱と一家の大黒柱の責任を果たした。
千秋楽、西前頭4枚目大栄翔が、小結逸ノ城を押し出しで破って10勝目を挙げ、殊勲賞獲得に花を添えた。
巨漢の相手を得意の突き押しで圧倒。
初優勝した1月の初場所以来の2桁白星で締め「全体的に自分の相撲が取れた」と今場所を振り返った。
9日目に新横綱の照ノ富士の初日からの連勝を止める金星などが評価されて、自身4度目の殊勲賞を獲得した。
「本当に光栄なこと。横綱に勝って自信になった一番。これからもそういう相撲を取ろうと思います」と声を弾ませた。
霧馬山が西前頭2枚目で9勝目を挙げた。
千代丸を相手に、「しっかりまわしを取って、頭をつけて」と持ち味のしぶとさを発揮。
最後は176キロの巨体を豪快につり出した。
以前は幕内上位で上位陣の壁にはね返されていたが、「稽古をちゃんとやって、体がしっかり動いていた。来場所も今場所みたいにやりたい」と意気込んだ。
26日、優勝争いで横綱・照ノ富士を1差で追っていた平幕・妙義龍は関脇・明生に敗れ、初優勝には手が届かなかった。
立ち合いで勢いよく当たった妙義龍だったが、関脇・明生の肩すかしに土俵へ両手をつくあっけない幕切れ。
結びに控える照ノ富士の優勝が決まると、館内はため息に満ちた。
待望の賜杯は逃したが「緊張感はあったが精いっぱいやった結果」と晴れやかな表情だった。
10月に35歳となるベテランは、実に8年ぶりとなる技能賞に輝いた。
「派手ではない押し相撲を評価していただき、うれしい」と6回目の受賞を素直に喜び、「まだまだやれると分かった」。
自信を取り戻した関脇経験者、早くも来場所が楽しみになってきた。
千秋楽、東十両5枚目・阿炎は、同9枚目・錦富士をはたき込みで下して13勝目。
14日目に今場所の十両優勝は決めていたが、最後の一番も勝って12連勝で締めた。
立ち合いから強烈な突き押しで押し込むと、こらえて前のめりになった相手を冷静にはたき込んだ。
白星で今場所を終え「いい結果が残せてうれしいです。最後まで集中して、相撲と向き合えたのがよかったと思う」と、自身2度目の十両Vを改めてかみしめた。
平幕だった昨年7月場所中に、協会の定める新型コロナウイルス感染防止のためのガイドライン(指針)違反が発覚。
3場所出場停止の処分で、一度幕下下位まで番付を下げた。
春場所で復帰以降白星を重ね、今場所の成績で再入幕も確実にした。
阿炎は「新しい1歩だと思って、進んで行こうと思います」と、気持ちを新たにしている。
2021/09/26
14日目、新横綱の照ノ富士が、2場所ぶり5度目の優勝に王手をかけた。
結びで大関貴景勝を下して12勝目。
2敗で単独首位をキープし、優勝の可能性は3敗を守った妙義龍との2人に絞られた。
千秋楽は妙義龍が負けるか、照ノ富士が大関正代に勝てば、優勝が決まる。
新横綱場所での優勝は2017年春場所の稀勢の里に続き、1場所15日制となった1949年(昭24)以降では5人目の快挙となる。
14日目、小結逸ノ城が、2018年秋場所以来3年ぶりに三役で勝ち越した。
3敗で優勝の可能性を残していた好調の東前頭11枚目遠藤に勝利。
三役残留を決める大きな白星となった。
立ち合いは左手を出して相手の出足を止めると、すかさず左に引いて土俵際で逆転の突き落としを決めた。
「(遠藤を)中に入れさせないで何とか(勝てた)。(相手は好調だったが)自分のことだけ考えて集中していた。とりあえず良かった」と振り返った。
負ければ7勝7敗となり、千秋楽が給金相撲となっていた。
重圧に関しては「あまり考えてなかった。(千秋楽は)最後しっかり勝って気持ちよく終わりたい」と力強く話した。
14日目、西前頭10枚目の妙義龍が、大関正代に圧勝でただ1人3敗を守った。
立ち合いで左前みつをつかみ、続けざまに右の前みつも引きつけると一気に前に出て寄り切った。
妙義龍の11勝は、2014年名古屋場所以来7年ぶりとなる。
14日目、幕尻、東前頭17枚目の千代の国が、碧山に勝って9勝目をあげた。
決まり手は「つき手」。
昨年秋場所13日目の高安以来となる珍しい決まり手だ。
「あっという感じでしたね。拍子抜けではないが、決まったんだという感じでした」。
何より勝った事実が大きい。
千秋楽に向けて「明日の一番、しっかり集中していきたい」と気合を入れ直した。
大相撲秋場所の十両は元小結・阿炎が12勝目を挙げ、26日の千秋楽を待たずに優勝を決めました。
阿炎は去年、出場停止の処分を受けて一時、幕下まで番付を下げましたが、7場所ぶりの幕内復帰へ大きく前進しました。
秋場所の十両は5枚目の阿炎が持ち味の力強い突き押しで白星を重ね、13日目を終えて11勝2敗で単独トップに立ち、錦木と錦富士が星の差2つで追っていました。
14日目の25日、阿炎は錦木に押し出しで勝って12勝目を挙げた一方、錦富士は敗れたため、千秋楽を待たずに阿炎の優勝が決まりました。
阿炎は「振り返るには早いのであしたの一番に集中します」と話し、気を緩めていない様子でした。
14日目、日本相撲協会は25日、元十両竜虎(本名・川上竜虎、23=尾上)が引退届を提出し、受理したと発表した。
熊本県宇土市出身の竜虎は学生時代に中学横綱に輝き、熊本・文徳高を経て2017年初場所に初土俵。
師匠の尾上親方(元小結浜ノ嶋)のおいっ子としても注目を集めた。
2019年名古屋場所で新十両昇進を果たし、通算十両在位は2場所。
最近は今年3月の春場所から4場所連続で休場していた。
2021/09/25
13日目、重圧のかかる結びで、照ノ富士が単独トップの座を死守した。
3敗の妙義龍と阿武咲が、連続で大関を撃破して迎えた一番。
負ければ3敗の平幕3人に並ばれる中で、2度の優勝経験を持つ難敵を退けた。
13日目終了時で年間勝利数を60に乗せた。
2位で43勝の正代と御嶽海が、仮に来場所まで全勝しても上回らないため、初の年間最多勝が確定。
秋場所13日目で決めるのは、1場所15日制が定着した1949年(昭24)夏場所以降では2005年朝青龍、10年白鵬に並ぶ史上最速タイ。
阿武咲が正代を撃破して3敗を守った。
一度は大関の圧力に土俵際まで後退したが、これを残すと反撃。もろ差しになると一気に走った。
「しっかり下からあてがえた。冷静さもあって、最後まで集中できていた」と納得の口ぶりだった。
昨年の秋場所以来、1年ぶりに白星を2桁に乗せ、残り2日で横綱照ノ富士とは1差。
終盤まで堂々と優勝を争っている。
「光栄なこと。だからこそ一日一番、集中してやれることをやるだけ」と表情を引き締めた。
13日目、西前頭10枚目妙義龍が、大関貴景勝をすくい投げで破り、14度目の挑戦にしてようやく初白星を挙げた。
立ち合いは正面から激しくぶつかった。
距離ができると、互いに腕を伸ばしたりはたいたりしてけん制。
呼び込んでしまい土俵際に追い込まれたが、逆転のすくい投げを決めた。
「今までいろいろ考えすぎて勝てなかった。思い切り踏み込んでから、という感じだった」と狙い通りだった。
貴景勝からようやくつかんだ初白星に「初めて勝ったことが大きい」と声を弾ませた。
さらに、優勝争いで単独トップに立つ照ノ富士に1差でピタリとつく白星にもなったが「何やろ。特には考えてないけど」と淡々と話した。
それよりも「相撲を取れていること、声援をもらえることに感謝してやっています」と話した。
13日目、東前頭11枚目の遠藤は霧馬山をはたき込み、3連勝で10勝目を挙げた。
今年に入って先場所まで両膝や右肘につけていたサポーターや伸縮性のベルトを取り去った。
立ち合ってすぐに、体を右へ開く。俊敏な動きに対応できなかった霧馬山は、つんのめって手をついた。
2秒0。
3連勝で2場所ぶりの2桁白星となり「自然に体が動いた。しっかり集中して相撲が取れた。あしたも頑張る」。
前日と同じ短い言葉を並べた。
2021/09/24
12日目、新横綱・照ノ富士は新関脇・明生に下手投げで不覚を取り、2敗目を喫した。
ただ一人2敗だった平幕の妙義龍も敗れたため、単独トップは守った。
12日目、大関・貴景勝が西前頭5枚目・宝富士を押し出しで下して8勝目。
自身4度目のカド番を、12日目に脱した。
勝ちを確信した直後、一つ息をはいた貴景勝。
立ち合い当たってからいなし、張ってひるんだ相手を一気に押し出した一番を「積極的にやろうと思っていました」と振り返った。
12日目、明生が2011年技量審査場所で前相撲を踏んだ同期の照ノ富士に、序ノ口時代から7度目の対戦で初めて勝った。
横綱戦としてもこれが初勝利。
「いやぁもう、無我夢中でした。同期生という前に、相手は横綱なんで、そういうこと考えず思い切っていこうと思ってました」
右から外掛けにいくシーンもあったが、「ちょっと覚えてないです」と、言葉通り無我夢中で先手を取って攻め立てた。
新関脇で既に7敗目を喫しているが、「強い横綱に勝つことができて、すごくいい一番だった」。
今後に向け、大きな財産となる白星を手に入れた。
元大関で小結の高安が臀部(でんぶ)のけがで秋場所12日目の23日から休場した。
11日目の照ノ富士戦で負傷し、日本相撲協会に「右大臀筋筋挫傷の疑いで約2週間の安静加療が必要」との診断書を提出した。
阿武咲が格上の御嶽海を圧倒した。
突き押しで休まず攻め、最後は観念した様子の相手を押し出した。
「よく攻められた。しっかり前に出ようと思ったので、よかった」。
手応え十分の内容に、土俵上で小さくうなずいた。
前日の黒星を引きずらず、単独トップの照ノ富士に1差で食らい付く。
13日目は大関正代との一番が組まれた。
「やることは変わらない。自分の相撲を取り切りたい」。
これまで通り、無心を貫く構えだ。
12日目、左大腿(だいたい)二頭筋損傷で名古屋場所5日目から途中休場した遠藤が復帰した場所で快進撃を続けている。
2連敗中だった隆の勝を土俵際のはたき込みで破り9勝目を挙げた。
あまりオンライン取材に姿を見せない遠藤も、この日は勝ち越しを決めた11日目に続いて登場。
「しっかり自分の相撲を取ることだけ考えていました。明日も頑張ります」と意気込んだ。
2021/09/23
大相撲の東小結、高安が秋場所12日目の23日、休場した。
8敗目で負け越しが決定。
7敗目を喫した11日目の横綱照ノ富士戦で土俵下へ転落後にしばらく立ち上がれなかった。
休場は2場所連続10度目。
12日目の対戦相手、玉鷲は不戦勝。
2021/09/23
11日目、新横綱の照ノ富士が高安の粘りに苦しみながらも、1敗キープで単独トップを守った。
持久戦にも慌てず、落ち着いた内容で元大関を寄り切った。
「相手の(形の)左四つなので、何があるか分からない。じっくり前に出ようと思った」。
通算成績で負け越している難敵を下し、2場所ぶりの優勝へまた一歩、近づいた。
前へ、前へと攻め抜き、正代が勝ち越しを決めた。
「勝ち越しが懸かっていたので硬くなった」と打ち明けた立ち合い。
得意の右を差せず、左はおっつけられて自分の形に持ち込めなくても、止まらない。圧力をかけながら左上手を引くと、新関脇の明生を振り回し、投げ捨てた。
「ひと安心。先場所は(勝ち越しが)千秋楽に持ち越したから」。
大関としてはいただけないせりふだが、正代らしい言葉に実感が詰まる。
貴景勝は頭で当たって阿武咲の上体を起こすと、反応良く体を開いて引き落とした。
今場所、好調な相手に相撲を取らせず、「しっかり準備してやろうと思っていた」。
集中力は高く、短い言葉の中に手応えをにじませる。
かど番で迎えた今場所は初日から3連敗と苦しんだが、7日目からの5連勝で勝ち越しまであと1勝。
「15日間やってみないと分からない。あすの一番に集中する」と厳しい表情は崩さなかった。
11日目、東関脇の御嶽海は西前頭4枚目の大栄翔を押し出し、連勝で8勝目(3敗)を挙げて5場所連続の勝ち越しを決めた。
立ち合いで踏み込み、大栄翔の突きに後退せずに下から応戦。
引きに乗じて前に出て、土俵の外に運んだ。
大栄翔には十両時代から通算11勝7敗。
12日目の相手は西前頭6枚目の阿武咲。
11日目、34歳の妙義龍が初顔の一山本を寄り切り、9勝目を挙げた。
「ぐいぐい、もろ手で当てるイメージ。あまり前のめりにならないように、足で取ろうと思った」と入幕2場所目の相手に経験の差を見せつけた。
優勝争いでは新横綱照ノ富士と1差だが「特にない。別に」と関心は示さなかった。
幕尻の千代の国が連日、きっぷのいい突き押し相撲で館内を沸かせている。
この日も持ち味を発揮し、11日目にして勝ち越しを決めた。
「しっかり集中できている」。表情にも充実感が漂っている。
2021/09/22
10日目、新横綱・照ノ富士は、人気業師の幕内・宇良を上手投げで下し、9勝目を挙げた。
9日目は、平幕・大栄翔に寄り切りで敗れ、金星を初めて配給したが、連敗はしなかった。
10日目、大関正代が幕内大栄翔を下し7勝目(3敗)を挙げた。
前日9日目に新横綱照ノ富士に初黒星をつけた大栄翔の強気な突きの攻勢に手を焼きながらも、さばきながら回り込み、はたき込んで勝利した。
取組後は「馬力、立ち合いの圧力が強いと思っていたので、負けないように踏み込んでぶつけにいった。結局さばくような形になってしまったがよく体が反応した」。
金星奪取で勢いづいた相手に番付の違いを見せつけた。
10日目、かど番の大関貴景勝は新関脇の明生を圧倒しての4連勝で6勝目をあげた。
かど番脱出へあと2勝。本来の力強い押し相撲を取り戻してきた。
「集中してやろうと思いました。また明日から相撲がとれるように準備したい。(応援に)感謝して頑張ります」。
11日目は同じ押し相撲で勢いのある阿武咲の挑戦を受ける。
10日目、東関脇の御嶽海は東前頭3枚目の若隆景を押し出し、7勝目(3敗)を挙げた。
若隆景には通算5勝1敗。
10日目、左ひざのけがのため、休場することになりました。
今場所、自己最高位の前頭3枚目で迎え、9日目は、宝富士との攻防のある相撲の末、下手投げで敗れここまで3勝6敗の成績でした。
21日、千葉県内の病院で診察を受けた結果、左ひざのじん帯と半月板の損傷で全治10日間と診断され、10日目の21日から休場することになりました。
休場は、去年7月場所で左ひざを痛めて以来、2回目です。
過去、1勝5敗と合口の悪かった遠藤を破った。
まわしを与えず、よく見て突っ張ると、休まず押し出し。
弾みをつける好内容で給金相撲を物にし、「手も足も出ていたのでよかった」と実感を込めた。
好調の要因を「無駄な力が入らず、集中できている」と自己分析したが、11日目の貴景勝との同学年対決でも平常心を貫けるか。
「土俵に上がったら関係ない。しっかり勝ちにこだわっていきます」と誓った。
10日目、新横綱・照ノ富士に上手投げで屈し、6敗目を喫した。
だが、驚異的な粘りを見せた。
約1分30秒の激闘。
左の上手を肩越しに取られると、照ノ富士が豪快に投げ飛ばしにかかるが、右手一本をまわしにかけ、くの字に体を曲げブリッジのような体勢で残し、観客を沸かせた。
10日目、西前頭10枚目妙義龍は隠岐の海に対し、左差し右前まわしで寄り切った。
「立ち合いで勝負かけていました。踏み込んで前みつ取って前に出ることができたんでよかったですね」。
自身は今年初場所以来、4場所ぶりの勝ち越し。
気を緩めることなく、「また明日から頑張ります」と厳しい表情だった。
新型コロナウイルス感染者が出て横綱白鵬ら18人の所属力士全員が大相撲秋場所を全休措置となった宮城野部屋が21日、東京都墨田区の同部屋で稽古を再開させた。
関係者によると、四股などの基本運動で汗を流したという。
宮城野部屋では新十両北青鵬の感染が今月1日に判明。
6日には力士1人の陽性も確認、全力士の休場が決まった。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は11月の九州場所番付に関し、同部屋勢は据え置きを軸に検討する方針を示している。
2021/09/21
新横綱照ノ富士の連勝が8で止まった。
まわしを取ることができず大栄翔の下からの攻めに土俵を割った。
悔しそうな表情を浮かべながら花道を引き揚げ、報道陣のリモート取材には今場所、初めて応じなかった。
9日目、大関正代が幕内千代翔馬を退けて6勝目(3敗)を挙げた。
立ち合いは千代翔馬の変化を警戒。
土俵際まで押し込まれる場面もあったが、最後は落ち着いて押し出した。
取組後は「とりあえず1歩だけ踏み込んで、むやみに走らないようにしました。相手も考えてくるだろうと想像して見ていった」と振り返った。
この日は全勝だった新横綱照ノ富士に土がつき、優勝争いのトップとは2差に接近。
残り6日間での逆転優勝へ向けて「今のところケガもないですし、このままの調子でいけたら」と気持ちを引き締めた。
9日目、かど番の大関貴景勝が、今場所初めて白星を先行させた。
馬力のある小結高安を立ち合いで弾くことはできなかったが、いなして体勢を崩して優勢に。
必死の押しやのど輪で攻めて押し出して5勝目を挙げた。
初日から3連敗などしたが、何とか持ち堪えて白星を先行させた。
それでも気持ちに緩みが出るはずもなく、「一生懸命力を出し切ることだけ。星勘定しないように頑張るだけです」と短い言葉に力を込めた。
9日目、豊昇龍が驚異的な粘りから、柔道を思わせる豪快な一本背負いで白星をつかんだ。
立ち合いから若隆景に押し込まれたが、土俵際でのけぞりながら残すと、相手の右腕を抱えて最後は投げ飛ばした。
際どい勝負に軍配は相手に上がったが、協議の末、差し違えで勝利を手にした。
幕内では2017年初場所8日目に豪風が魁聖に決めて以来、4年8カ月ぶりの大技で「勝負が終わるまであきらめなければ大丈夫。体が反応できてよかった」と振り返った。
照ノ富士の独走に「待った」をかけたのは、大栄翔だった。
新横綱から最初の金星を獲得した。
四つ相撲で無類の強さを誇る照ノ富士に対し、大栄翔は「まわしを取られたら話にならない。自分の押し相撲で向かっていった」。
立ち合いでいきなり横綱の左が伸びてきてまわしをかすめたが、つかまれたのはさがりだけ。
なおもまわしを狙われ続けたが、死守した。
必死で重たい体を突き起こし、一気の攻めで寄り切った。
肩を落として土俵を下りた横綱を尻目に、万雷の拍手の中で堂々と勝ち名乗りを受けた。
「自信になる相撲だった。この先もしっかり、こういう相撲を取れるように」と、手応えを得た様子だ。
9日目、東十両筆頭水戸龍が日本相撲協会に「腰椎椎間板ヘルニアにより休場を要する」との診断書を提出して休場した。
休場は2018年秋場所以来3度目。
今場所の十両以上の休場者は宮城野部屋に新型コロナウイルス感染者が出て全休措置が取られた横綱白鵬ら10人(再出場を含む)となった。
2021/09/20
中日、新横綱照ノ富士は平幕玉鷲を寄り切り、初日から8連勝で勝ち越し。
単独首位を守った。
新横綱のストレート給金は、1場所15日制が定着した昭和24年以降6人目。
カド番の貴景勝が3連敗スタートから巻き返し、4勝4敗で前半戦を終えた。
「集中していった。押し相撲同士。気持ちで積極的にいこうと思った」と淡々とした口ぶりだ。
2日連続で強烈なぶちかましを披露し、先場所に首を痛めた影響を取り口からは感じさせない。
高田川審判長は「今日の立ち合いが一番良かった。だんだん上向いている」と復調を感じ取っていた。
8日目、東関脇の御嶽海は西関脇の明生を引き落とし、6勝目を挙げた。
明生には幕下時代から通算5勝2敗。
8日目、大関正代から初白星を挙げた。
「うれしい。自分の力を出して、向かっていくことしか考えていなかった。立ち合いに持っていかれたが、しっかりと出し切れたと思う。気持ちの面でプラスになるし、自信にもなる」と喜びをかみしめた。
19日、大相撲秋場所の新序出世力士3人と再出世力士3人を発表した。
11月の九州場所から番付に加わり、序ノ口で相撲を取る。
※かっこ内は出身、部屋
□新序出世
浦崎(三重、立浪)桝谷(兵庫、山響)中西(三重、二子山)
□再出世
千代獅子(富山、九重)艶郷(埼玉、湊)福湊(東京、湊)
2021/09/19
7日目、ここまで6勝負けなしの新横綱・照ノ富士が、前頭3枚目・琴ノ若との結びの一番。
立ち合い、照ノ富士は琴ノ若に「のど輪」で少し距離をとられますが、落ち着いて右手で回しをつかみます。
その後、体を引きながら脇を締める琴ノ若に対し、十分な体勢がとれなかった照ノ富士ですが、右手を巻き返すと最後は「寄り切り」で勝利。
安定した取り組みで唯一の全勝を守りました。
7日目、大関・正代が東前頭4枚目・玉鷲を寄り切り、2敗をキープした。
昨年秋場所で初優勝して大関に昇進したが、その後は思うような成績を残せず、賜杯には届いていない。
大関の誇りにかけて、無傷7連勝でトップを独走する新横綱・照ノ富士に食らいついていく。
7日目、大関・貴景勝は、東前頭3枚目・若隆景を押し倒しで破って3勝目。
カド番で迎えている今場所、前日からの連敗は避けた。
2度目で立った立ち合いは、強烈なぶちかましで「ゴスッ」と鈍い音が響いた。
一度はたかれても踏ん張り、低く押し込んで相手を吹っ飛ばした。
「あんまり覚えてないですけど、集中してやることしかできないので。明日もそういう準備をしていきたい」。
名古屋場所で負傷した首の不安も感じさせず、取組後は淡々と振り返った。
5日目の16日に「急性扁桃(へんとう)炎」の診断で休場した東前頭筆頭、豊昇龍が、8日目の19日から再出場する。
8日目は小結・逸ノ城との対戦が組まれた。
豊昇龍は16日に発熱があったが、師匠の立浪親方によると新型コロナウイルスのPCR検査は陰性で、体調を見て再出場する意向を示していた。
7日目、前頭・妙義龍が志摩ノ海を寄り切りで破り6勝1敗とした。
横綱・照ノ富士が幕内で唯一全勝を守って突き進む中、34歳の妙義龍が1敗で食らいつき、意地を見せている。
しぶとい相撲を持ち味とする力士同士の一番。
志摩ノ海も頭を下げた良い出足だったが、妙義龍の方が「立ち合いが良かった」。
脇を締めて足を前に運び、相撲の教科書のような姿勢で攻め立てる。
右四つに組み合えば、どっしりと腰を沈めたまま万全の寄りで制した。
7日目、前頭11枚目・遠藤と前頭17枚目・千代の国の一番は、激しい攻め合いで、場内がどよめく激闘となった。
遠藤はあわやの場面もあったが、顔面から流血しながらも最後は千代の国を寄り切りで下した。
視聴者からも「これは名勝負だった」「よく耐えた」という称賛の声が寄せられた。
2021/09/18
6日目、まさに閂(かんぬき)だった。
横綱照ノ富士は若隆景の両腕をがっちりときめると、悠然と前に出てきめ出した。
強さを見せつけ6連勝。
千代の国が敗れたため、一人横綱が早くも単独トップに立った。
「落ち着いていこうと思ってました。焦らずという感じで考えていました」
「残りまだ9番残っているので、一日一日集中してやりたいと思ってます」と語る。
6日目、関脇・御嶽海が、新鋭の西前頭3枚目・琴ノ若の挑戦を一蹴した。
一気の押し出しで1敗をキープした。
今場所で、三役在位は26場所目で昭和以降8位タイ。
優勝も2回と実力者ながら壁を破れずにいる。
大関候補返上に向け、無傷6連勝で単独トップとなった新横綱・照ノ富士を1差でピタリ追走する。
6日目、西前頭2枚目の霧馬山は大関正代を寄り切って5勝目を挙げた。
白星は2大関を含む、いずれも三役以上から奪った。
玉鷲が貴景勝を破り、大竜川に並ぶ史上5位の通算連続出場1367回に花を添えた。
モンゴル出身で2004年初場所の初土俵から一度も休まず土俵に上がる36歳は「意識していなかったが、良かった」と笑みを浮かべた。
約2年ぶりに福岡市で開かれる大相撲九州場所を前に、5人の親方が17日、福岡市役所を訪問しました。
17日午前、福岡市の中村副市長を表敬訪問したのは、境川親方や三保ヶ関親方ら、九州場所の運営を担う5人の親方です。
去年の九州場所は新型コロナウイルスの影響で開催地が東京の両国国技館に変更されたため、福岡市での開催は2年ぶりとなります。
九州場所担当部長・境川親方は、「コロナ禍の中で来ていただいたお客さんには少しでも喜んでいただけるように安心して観戦していただけるように努めてまいりたいです。」
中村副市長は「博多の風物詩として、一緒に盛り上げていけるよう、私たちもがんばります」と話しました。
大相撲九州場所は11月14日から28日まで、福岡国際センターで開催され、前売り券は10月2日からインターネットで販売されます。
2021/09/17
照ノ富士が序盤を無傷で乗り切った。
好調の霧馬山に低い体勢で頭を付けられて攻めあぐねたが、「慌てずにやろうと思っていた」と半身で我慢。
相手の巻き替えに乗じ、胸を合わせて寄り切った。
緊張感漂う新横綱場所でも、膝を曲げた前傾姿勢でじっくり対処する相撲が崩れる気配はない。
照ノ富士は「一日一番、集中してやるだけ」と表情を変えなかった。
正代が苦手とする若隆景を圧倒した。
立ち合いの当たりで相手の体を浮かせると、そのまま一気に押し出した。
3連敗中の悪いイメージはあったというが、「いろいろと考えずに、思い切り走ることだけを考えていた」と無心を強調した。
横綱照ノ富士は5連勝。
このまま1差で追って大関の責任を果たしたいところだ。
正代は「こういう相撲が増えていけば成績もついてくる」と自信を示した。
5日目、東前頭筆頭の豊昇龍が国技館到着後に「急性へんとう炎」と診断され、急きょ休場した。
新型コロナウイルスのPCR検査は「陰性」だった。
幕内の土俵入りが終わり、新横綱照ノ富士の横綱土俵入りが始まる直前にその一報は伝わった。
国技館に姿をみせていた豊昇龍が、国技館内の相撲診療所で診察を受けた結果、「急性へんとう炎」と診断され「約2日の自宅療養を要する」との診断書を提出して、休場が決まった。
芝田山広報部長によると、38度ほどの発熱があったという。
取組を編成する審判部では、すでに6日目の取組を発表しており、豊昇龍は宝富士との対戦が決まっていた。
だが、取組を再編成する「割り返し」が行われ、5つの取組がかわった。
師匠の立浪親方によると、この日朝に発熱がありPCR検査を受けて「陰性」だった。
豊昇龍が「相撲を取る」と希望したため国技館入りしたが、頭痛がおさまらなかったと説明。
「審判部にご迷惑を掛けて申し訳ない」とし、様子をみて再出場するという。
5日目、東前頭2枚目北勝富士が「右膝内側側副じん帯損傷」の診断書を提出して休場した。
4日目の横綱照ノ富士戦で右ヒザを負傷。
ここまで2勝2敗だった。
休場は2018年夏場所以来2度目。
5日目、やはり、宇良の相撲から目が離せない。
幕内では朝青龍が2005年九州場所で決めて以来、16年ぶりの送りつり出し。
大技でファンの期待に応えた業師は、「これでどや!」とばかりに土俵でドンと胸を張った。
隙をついて大栄翔の背後へつき、162キロを持ち上げながら左へ回転。
経験があるレスリングの裏投げのように、ひねりをきかせて、そのまま土俵外へ追いやった。
5日目、千代の国が魁聖を下した。
幕尻の千代の国が奇麗に白星を並べている。
6連勝発進だった昨年11月場所以来となる初日からの5連勝で、勝ちっ放しは新横綱の照ノ富士と2人だけ。
中卒たたき上げの31歳は、「一日一番でしっかり集中できている」と端正な顔立ちをかすかにほころばせた。
幕内で2番続けて不戦敗となるのは、22年ぶり6度目の異例の事態となった。
5日目、午前中には北勝富士の休場も発表されており、豊昇龍の休場によって幕内後半戦で組まれていた「北勝富士−隆の勝」「高安−豊昇龍」が2番続けて不戦敗となる異例の事態に陥った。
幕内での2番連続不戦敗は、平成11年春場所11日目「□平幕寺尾−大関千代大海■」「□平幕栃乃洋−横綱貴乃花■」以来22年ぶり6度目の珍事。
2021/09/16
4日日、新横綱照ノ富士が、北勝富士を引き落とし、三役以上でただ1人の全勝を守った。
相手はつかまらないよう、動き回ってくるが「落ち着いていけたと思います」と平然。
相手が何とかかく乱してこようとしても、どっしり構えて動じない。
優勝争いをリードするが、「一生懸命やっているだけですね。悪くはないと思います。残り頑張りたいと思っています」。
普通の言葉に自信がにじみ出た。
4日目、大関正代が幕内隆の勝を突き落とし、2日目から3連勝に伸ばしトップと1差をキープした。
昨年秋場所で初優勝し大関昇進を果たしてから1年。
地位の責任感を胸に逆転連覇へ勢いづいてきた。
4日目、必死だった。
なりふり構っていられない。
そこには大関らしい落ち着きは見られない。
貴景勝から見えたのは、ただ勝ちへの執念。
それがなんとか実った。
4日目にしてようやく出た初日。
「毎日、準備してやっているんで。勝たないといけないけど、これ(結果)ばかりは仕方ないこと。毎日、準備することだけ考えています」。淡々と話し
新関脇の明生が星を五分に戻した。
琴ノ若の力任せの攻めを右の下手を命綱にして残し、相手が出てくるところを体を入れ替えるように出し投げ。
伸び盛りの若手を破り、「自分のことに集中した。(最後は)いい反応だった」と納得の表情を見せた。
豊富な稽古量で番付を上げてきた26歳。
次の目標を大関に定めている。
連勝でようやくエンジンもかかってきたようだ。
「自分を信じて最後までやり切ろうと思う」と表情を引き締めた。
4日目、霧馬山の攻めは本当にしぶとい。
まわしを引いて、逸ノ城の懐に頭をつけた。
逸ノ城に得意の右を差し許したが、ここは我慢。
66キロの体重差をものともせず、食らいついて寄り切り。幕内で自身初の初日から4連勝を決めた。
「まわしを取って、頭をつけて、それでちょっと落ち着いたっすね」。
場所前にコロナに感染し、調整が不十分だった逸ノ城が相手とはいえ、過去2度の対戦では敗れている。
上位で通用し始めた霧馬山の成長を感じさせる一番だった。
4日目、妙義龍が初日から4連勝とした。
34歳の妙義龍が奮闘している。
初日から4つの白星を並べるのは5連勝発進だった今年春場所以来。
「このまま行ければいい。場所はもう始まっているのだから、変わらずに日々、淡々とやっていくだけ」と歴戦のベテランらしく静かに残りの土俵を見据えた。
4日目、打ち出し後に電話取材に応じた芝田山広報部長によると「40度くらいまで上がった」という発熱に見舞われた。
休場で4日目の千代の国戦は不戦勝。
PCR検査の結果は陰性で、同広報部長は「蜂窩(ほうか)織炎の可能性もある」と説明していた。
剣翔は5日目から再出場する。
2021/09/15
新横綱照ノ富士は、西前頭筆頭の隆の勝を下し、初日から無傷の3連勝を飾った。
激しく動く相手に序盤はまわしを取れなかったが、前に出て圧力をかけた。
捕まえて抱え込んで万全。
最後は寄り切った。
立ち遅れて北勝富士のおっつけをまともに浴びても、この日の正代にはどっしりと受け止めるだけの馬力があった。
わずかに差した左を糸口にして相手をはねのけるように一歩ずつ前進。そのままゆっくりと寄り切った。
「内容も体の動きも悪くない。このままの流れで自分の相撲を取り切れたら」と語る。
初日からの3連敗は、大関昇進前を含めても3度目。
かど番の貴景勝は「一生懸命にやって負けたから弱いわけだし…。勝てるように日々やっているが、なかなかそう簡単にはいかない」と表情を曇らせた。
明生は若隆景を突き落とし、新関脇の初日をようやく出した。
「よかったです」とあっさりしたコメント。
「まだまだ長いんで、集中していきたい。相手どうこうじゃなく、自分自身の相撲に集中したい」と語った。
霧馬山が高安との我慢比べを制した。
馬力のある元大関の攻めを半身になって耐え、機をみて右から引き落とした。
3分以上の熱戦に「相手も苦しいと思っていた。頑張ってよかった」。
肩で大きく息をしながら勝ち名乗りを受けた。
三役以上との対戦が続く中で、初日から白星を三つ並べた。
部屋付きの鶴竜親方からも連日のように助言をもらい、好結果につなげている。
西前頭5枚目の宝富士が、現役1位を記録した記念日を白星で飾った。
同じ近大相撲部で、左の合四つの志摩ノ海に攻め込まれたが、土俵際で突き落としを決めた。
「危なかったけど、最後まであきらめずにいけた」。
2011年九州場所での再入幕から、幕内連続出場768回は、横綱白鵬を超えて現役1位となった。
「自分にそういう記録はほかにない。大事にしていきたい」。
休まず土俵を務めてきた要因を「しっかり稽古をしてきた。力士は休んじゃいけない」と言った。
癒やし系のま〜るいおなかは健在だが、以前と比べてどことなくほっそりしている。
「20キロぐらい落としました。なんか、ちょっとずつ落ちていって」と千代丸九重。
今場所の体重は新十両に昇進した8年前と同じ176キロ。
土俵際で軽やかに左へ回り込んで一山本にすくい投げ。
若返ったような動きで初日から3連勝を決めた。
2021/09/14
横綱・照ノ富士が前頭筆頭・豊昇龍を寄り倒しで下し、初日から2連勝を飾った。
安定感のある内容に、視聴者からは「さすが横綱」「気迫がすごい」といった声が相次いだ。
新横綱の危なげない相撲内容に、ABEMAで解説を務めた元横綱・大乃国の芝田山親方は「問題ないですね」と感嘆するように一言。
続けて「豊昇龍が右の下手を差しにきたときに、包み込むように照ノ富士が左の上手を取りにいきましたよね。自分の懐に包み込むような形で」と解説すると、照ノ富士について「万全ですね」と賛辞を送った。
大関・正代が難敵を降して初日を出した。
大関経験者の高安と頭を付け合う体勢から自ら動いて相手の上体を起こし、最後は押し出した。
「常に相手を正面に置けたのがよかった。圧力をかけることができ、全体的に自分の方が攻めていたのではないか」と振り返った。
高安には8月下旬の合同稽古(げいこ)で圧倒されていた。
「いいイメージがなかったが、あれから自分も稽古して、体は動くようになった」と大関としての実力を示した。
2日目、大関カド番の貴景勝が幕内霧馬山に一方的に押し出され、平幕相手に2連敗。
本来の力強い押し相撲が鳴りを潜めている。
角界内では痛めている首の状態が場所前から懸念されており、一部では「休場説」もささやかれていたほど。
このままズルズルと負けが込めば、2度目の関脇転落が現実味を帯びてくる。
取組後は「いい相撲を取りたいと思ったけど、取れなかった」と悔しさをにじませた。
審判部副部長の高田川親方は「調子のいいときは我慢をして相手の中に入り込むが、いなしてから呼び込んでしまっている」と敗因を指摘した。
霧馬山が自身4度目の大関撃破で2連勝した。
立ち合いでのもろ手つきは空を切ったが、体勢を整えて突いて前へ。
力なく後退した貴景勝を一気に押し出した。
場所入り前には部屋付きの鶴竜親方から「ちゃんと当たって前に出ろ」とアドバイスを受けたという。
「今日みたいな相撲を取っていきたい」と自信をつける一番となった。
130キロの若隆景が、200キロを超える小結逸ノ城を鮮やかに倒した。
右下手を命綱に頭をつけ、まわしを与えない。
しびれを切らし出てきた相手の勢いを利用するように下手投げ。
反応の良さを発揮し、「小よく大を制す」を体現した。
初日の小結高安に続いて三役を破った。
余韻には浸るつもりはなく「しっかり自分の相撲に集中していきたい」と言葉にも勢いがあった。
琴ノ若は、大栄翔を破り初日を出した。
父と祖父から受け継いだものがある。
自己最高位に番付を上げた琴ノ若が「四つ」と「押し」の二刀流を武器に初の上位戦に挑んでいる。
本来の型は父で師匠の佐渡ケ嶽親方から受け継いだ左四つ。
一方で母方の祖父は頭からぶちかまし、猛牛の異名をとった元横綱琴桜。
四つ相撲だけじゃない。
琴ノ若は押しでもやれることを証明してみせた。
2021/09/13
第73代横綱の照ノ富士が、本場所で初めて「不知火型」の土俵入りを披露した。
また、早くも独走Vの予感だ。
初日、小結逸ノ城を危なげなく寄り切って白星発進。
取組後は「よかったです。今までやってきたことを信じて、一生懸命やるだけ」と納得の表情を浮かべた。重圧がかかる大事な初日を難なく乗り切った。
カド番の大関・貴景勝は、平幕・北勝富士に押し出しで敗れて初日黒星。
立ち合い当たって右おっつけで起こされ、横向きになって粘ったが土俵を割った。
名古屋場所では逸ノ城(湊)戦で首を負傷し、途中休場。
「いい相撲を取りたいと思っていた」とこの日の取組を振り返った貴景勝は、患部については「大丈夫です」とキッパリ語った。
切り替えが何よりの持ち味の大関。
2日目からの巻き返しを誓う。
御嶽海が幕内隆の勝を一方的に押し出して白星発進した。
取組後は「しっかり踏み込んで前に出れた。調子はいい感じはします。自分の持っているスピードのある相撲が取れた。気分がいいですね」と納得の表情を浮かべた。
豊昇龍は大関正代を寄り切って白星発進した。
押されながらもこらえて逆襲。
相手を土俵外に退け「体が上がらないように我慢していたので良かったと思います」と安堵した。
大関を破った豊昇龍は「気持ちとしてうれしいですね」と率直な感想を述べ、通算3勝で正代キラー≠ノなっていることには「得意というのはないけど集中して良かった」と振り返った。
北勝富士が、大関貴景勝を押し出しで破って白星発進した。
1度目の立ち合いはつっかけてしまい仕切り直しに。
2度目の立ち合いで、しっかりと踏み込んで頭からぶつかった。
貴景勝に圧力勝ちし、腕を伸ばしながら前進。
土俵際で貴景勝が逃れるようにくるんと体を反転させたが、落ち着いて押し出した。
三役復帰に向けて幸先のいいスタートを切った。
「踏み込みがしっかりできて良かった。前に出る意識を持っていて、それが本場所で出せて良かった」と安堵(あんど)の表情。
2021/09/12
初日を翌日に控えた11日、両国国技館で土俵祭りの後、優勝額贈呈式が行われ、夏場所で優勝した新横綱照ノ富士が参加した。
新横綱Vへ向け、いざ出陣。
ファンに対し「皆さんにいい相撲を見せられるように。横綱としてこれからも頑張っていく」と意気込んだ。
東京開催場所の責任者、尾車事業部長も“1強”と見る。
「一番安定した成績を残している。一人横綱でしっかりと勝ち進んで締めてもらいたい」と信頼した。
11日は国技館で土俵祭りが行われ、日本相撲協会の八角理事長や審判部の親方衆らが15日間の安全を祈願した。
報道陣の電話取材に応じた尾車事業部長は照ノ富士に対し「ここ数場所は一番安定した成績を残している。気負ったところがなければ、今場所もやってくれるんじゃないか。一人横綱だが、しっかりと勝ち進んで締めてもらいたい」と期待した。
12日、現役最年長の西序二段101枚目華吹(51=立浪)が、今場所の1番相撲に臨み、東序二段101枚目浪速武蔵(17=武蔵川)との34歳差対決を制した。
立ち合いから左四つにつかまえると右上手で振りまわし、最後は体を預けながら下手投げ。白星発進に成功した。
先場所は3勝4敗で惜しくも勝ち越しを逃していた。
今場所は歴代最多を更新する212場所目。
初場所以来4場所ぶりの勝ち越しを目指す場所となる。
日本相撲協会は東京・両国国技館の売店などで人気の「名物国技館カレー」の発売1周年を記念して「横綱北の富士カレー」を新発売した(400円)。
大相撲中継で解説を務める元横綱の北の富士勝昭氏が監修。
ユーチューブの協会公式チャンネルで、北の富士氏が自ら包丁を握って試作する様子が公開されている。
国技館カレー、国技館ハヤシとのセットで通販限定の販売。
2021/09/11
10日、取組編成会議を行い、初日、2日目の取組を決めた。
新横綱の照ノ富士は初日、小結逸ノ城、2日目に東前頭筆頭の豊昇龍を迎える。
取組編成を担う審判部の伊勢ケ浜部長が会議後に電話取材に対応。
横綱白鵬は部屋で新型コロナ感染者が出た影響により全休。
いきなり一人横綱となる弟子の照ノ富士に関し「初めての横綱の場所で、いろんな思いがあるだろうけど優勝を目指して頑張らないといけない」とハッパ。
2017年春場所、稀勢の里以来、昭和以降7人目の新横綱Vを指令した。
10日、両国国技館で取組編成会議を開き、大相撲秋場所の初日、2日目の取組を決めた。
初日に新横綱の照ノ富士と対戦する。
8月27日に新型コロナウイルス感染が確認された小結逸ノ城は、隔離期間を経て稽古を再開したのは8日で、万全ではない状況で新横綱照ノ富士との一番に臨む。
同日に電話取材に応じた師匠の湊親方は、感染の後遺症の症状がみられないとし「どうなるかは分からないが、できる限り頑張ってほしい」と話した。
10日、初日、2日目の取組を決め、取組編成を担う審判部の伊勢ケ浜部長が会議後に電話取材に応じた。
白鵬、幕内石浦、十両炎鵬、北青鵬ら宮城野部屋の力士全員が全休。
来場所の番付に関し「番付は基本、据え置きという形できている。加味しながら決めていく。(前回は)十両は全員が半枚落ちた。公平な形でやっていかないといけない。なるべく落ちないようにやっていく」と説明した。
日本相撲協会の芝田山広報部長は10日、秋場所後の全日本力士選士権を中止すると発表した。
新型コロナウイルスの影響で昨年に続いて開催を取りやめる。
2021/09/10
9日、都内の部屋で基礎運動、ぶつかり稽古を中心に調整した。
稽古後、電話取材に応じ「本当にいつも通りっていう感じ」と語った。
2年前に優勝した秋場所で目指すはV3。
最大の敵は新横綱照ノ富士になる。
対戦は5連敗中で5戦すべて寄り切られて完敗しており「最近、番狂わせを起こせなくなってしまったんで、ちょっと新横綱に初黒星を付けたいなという気持ちではいる」と一矢報いたい思いは強い。
東前頭筆頭の豊昇龍、西前頭3枚目の琴ノ若ら20代前半の若手も番付を上げてきた。
大関候補と呼ばれ続ける28歳は「下から若い者たちがきているので、譲れない部分はある」と意気込んだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長は9日、秋場所15日間の懸賞申し込み本数が1519本であることを明らかにした。
前回東京で開催された5月の夏場所は、申し込みの段階で1345本だった。
電話取材に応じた芝田山広報部長は「直近3場所、昨年同じ場所からすると増えている」と説明。
新規も9件あったという。
「企業さん、こうやって出していただける、非常にありがたい。いつも話してはいますが、力士にとっては大きな励みになる」と感謝していた。
今場所から日刊スポーツ新聞社の新たな評論家に、元横綱若乃花の花田虎上さんが就任。
本場所中は「若乃花の目」と題したコラムで、取組を柔軟に解説。
11日の紙面にて、秋場所の展望を掲載。
2021/09/09
大関貴景勝が8日、カド番で迎える12日初日の秋場所への出場を明言した。
電話による代表取材で明らかにした。
名古屋場所で首を痛めて途中休場。
立ち合いからのぶちかましが生命線の大関だけに秋場所への影響が心配されたが、貴景勝はけがについて「もう治っています」と説明。
「毎場所優勝を狙っているので、カド番はあまり関係がない。一生懸命やりきることが大事だと思っている」と話した。
8日、小結高安が報道陣の電話取材に応じた。
先月23日から4日間行われた合同稽古に参加した高安は、同じく参加者の小結逸ノ城が新型コロナに感染したことで自宅待機期間があったという。
それでも「(待機は)2、3日ですね。自宅でもできるようなトレーニングもありますから。腹筋でも背筋でも、体を動かしていましたので、体がなまったというところはなかった」と振り返る。
本場所で実力を発揮するためにも「痛いときは無理をしないというのは考えてますね。一番は場所の15日間で痛いところなく、ベストなコンディションで取れるというのがベストですから。しっかり考えて場所前の稽古を過ごしてきました」と語る。
2021/09/08
新関脇の明生が7日、東京都台東区の立浪部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ「まずは勝ち越し。上を目指して自分の相撲を貫いていきたい」と意気込みを語った。
この日は幕下以下と20番程度こなした。
26歳のホープは番付発表後の記者会見で、早くも大関昇進を視野に入れる発言をした。
まず2桁勝利が求められるが「自分にはまだ大関の力はない。そういう力をこの地位でつけていきたい」と謙虚に話す。
180センチ、148キロでスピード感あふれる攻撃が持ち味。
「自分の相撲に集中してやるだけ。相手よりも自分の精神面」と闘志を燃やした。
8月27日に新型コロナウイルス陽性反応が出た小結逸ノ城は出場が決定。
「まだはっきりした状況は協会に報告されていないが、問題なく出場できる。時間的には問題ない」(芝田山部長)。
豊昇龍が7日、都内の部屋で稽古後、電話取材に応じ、「押し合いの、強い当たりの、いい稽古をしていますので」と、充実感を漂わせた。
自己最高位の今場所、増量に取り組み、先日の健康診断では132キロ。
「立ち合いのことを意識して、体ももうちょっと大きくしないといけないと思ってやってきた。まだ体重を測ってはないけど、体が重くなっている感じはしますね。いつもより多く食っていますので」と、“食トレ”の効果も出てきた。
横綱白鵬が部屋で新型コロナウイルス感染が出た影響により全休が決まった。
叔父とも熱戦を繰り広げた偉大なモンゴルの先輩への初挑戦がお預けとなった。
「やっぱり一番やりたかった人だったので、先場所もできなかったし、今場所やっとやれると思って楽しみにしていたけど、コロナでできなくなった」と残念がった。
2021/09/07
照ノ富士は、白鵬の休場によって新横綱としては2003年春場所の朝青龍以来、18年ぶりに一人横綱を務めることになった。
大関正代が6日、稽古後に電話取材に応じ、12日初日の秋場所に向けた決意を示した。
昨年の秋場所で初優勝を果たし、大関に昇進して1年。
2度のかど番も経験し「この1年間よく守り抜いたなという感じなので。ここからは守るのではなく攻めていけたら」と意気込みを示した。
11月5日で30歳。
同世代の照ノ富士も横綱に昇進した。
20代最後の場所となる今場所に向けて「今のところは人は人。とりあえず自分のことだけやっていけたらと思っているが、一応目指してはいきたいと思っている」と目標を語った。
小結逸ノ城が感染した湊部屋については、まだ最終的な検査結果が報告されていない様子。
秋場所は、観客上限5000人で開催する方針だが、芝田山部長は「今回、入場されるお客さまに関しても、布マスクをされている方には協会から不織布マスクをお渡ししようかという話も出ている」と説明。
協会員へ注意喚起の通達を改めて出したことも明かした。
日本相撲協会は6日、横綱・白鵬ら宮城野部屋に所属する全力士が大相撲秋場所を休場すると発表した。
宮城野部屋では、1日に新十両の北青鵬が新型コロナウイルスに感染したことが判明。
その後も力士に陽性者が出たため、感染拡大防止のために判断したという。
幕内力士:白鵬、石浦
十両力士:炎鵬、北青鵬
自宅で大麻を所持したとして、警視庁は7日までに大麻取締法違反の疑いで、大相撲の元幕内貴源治を書類送検した。
捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、書類送検容疑は7月、東京都板橋区の自宅で微量の大麻を所持した疑い。
警視庁が自宅を家宅捜索した際、テーブルの上にあった吸引用の水パイプの受け皿から微量の大麻の燃えかすなどが見つかった。
2021/09/06
大関の灯を絶やさず、次につなげられるか。
8月30日に発表された大相撲9月場所の番付。
そこで新関脇に出世したのが明生(26)だ。
中卒で立浪部屋に入門し、腰のヘルニアに悩まされながらも稽古に邁進。徐々に番付を上げ新小結だった先場所を8勝7敗で勝ち越した。
会見では「大関への足がかりをつくりたい。ここからが大事」と、さらなる昇進に意欲を燃やしている。
自己最高位の西前頭3枚目に番付を上げた琴ノ若が3日、千葉県松戸市の部屋で稽古した後、電話取材に応じた。
先の名古屋場所は12勝の好成績で初の三賞を受賞。
今場所は初の上位総当たりとなるが、注目は横綱白鵬戦。
父で師匠の佐渡ケ嶽親方も2度対戦しており、親子二代で挑むことになる。
「親子で対決できる可能性があるということで、なかなか経験できることじゃないので。師匠が現役のときから上で取っていて、自分が上がったときにまだ取っているっていうのはすごいことだと思います。そこに向かっていけるというのも楽しみというのはあります」と話した。
日本相撲協会の芝田山広報部長は3日、前日2日に新型コロナ感染が確認された尾車部屋の世話人・錦風の症状について「発熱は収まり自宅で療養ということです。現状では無症状のようで、当面は自宅で経過観察」と説明した。
現状で濃厚接触と認定されていない尾車部屋力士の、秋場所(12日初日、東京・両国国技館)出場については「現状では問題なさそう」と話した。
一方、やはり2日に感染が確認された宮城野部屋の新十両北青鵬(19)について、この日は状況についての情報が入っていないとし、宮城野部屋の力士の同場所出場については「力士が稽古していたということで(判断は)検査の結果、状況をみて」と、あらためて説明した。
鳥取城北高校出身の大相撲・照ノ富士関が横綱に昇進したことを受けて、同校相撲部後援会(浜崎晋一会長)は、横綱が土俵入りをする際に用いる太刀を寄贈することにした。
太刀は6、7の両日、県庁1階ロビーで一般公開される。
後援会によると、1576年作製の備前国長船の日本刀で、長さは約1メートル。
横綱にふさわしいものをと探し、入手したという。
12日に初日を迎える9月場所から、土俵入りの脇を固める「太刀持ち」が掲げる。
同校の石浦外喜義(ときよし)校長によると、横綱は8月の明治神宮での奉納土俵入りには親方の刀を借りて臨んだという。
3日に県庁であった太刀のお披露目式で、石浦校長は「本人は『この刀でしっかりと土俵をつとめたい。感謝しかありません』と喜んでいた」と話した。
元横綱・稀勢の里の荒磯親方が師匠を務める荒磯部屋が始動した。
10代の若手を含む4人の力士と行司1人とともに田子ノ浦部屋から独立し、茨城県阿見町に来年夏に部屋が完成するまでは、同県つくば市の筑波大の施設を利用する。
「みなさんに応援されるような強い力士を育てたい」と意欲をみなぎらせている。
2021/09/03
右膝の大けがなどで序二段まで番付を落とした宇良が2日、東京都墨田区の木瀬部屋で相撲記者クラブの電話取材に応じ、東前頭6枚目で臨む秋場所に向け、「自分の今出せる良好な状態をつくって挑みたい」と意気込みを語った。
21場所ぶりに幕内復帰を果たした7月の名古屋場所では10勝。
「実力以上の結果。運が良かっただけ」と謙遜するが、自己最高位の東4枚目に近づき、「過去の自分に追い付いた。自信を持って前の所に戻ってきたと言っていい」と力強い口ぶりだった。
日本相撲協会は2日、尾車部屋に所属する世話人の錦風が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
電話取材に応じた芝田山広報部長は「稽古場には行っていたみたいなので、部屋の他の力士ほか、みんなをPCR検査したところ全員陰性でした」。
さらに「稽古は見に来ていてもマスクはしていたみたいだから。保健所からの話ではそういうことで直接携わっていないので、濃厚接触にはあたらないとの判断でした」と語った。
気になる力士らの秋場所出場については、近日中に実施する全協会員対象のPCR検査の結果を踏まえて判断する。
芝田山部長は「それで大丈夫であれば大丈夫だと。保健所は濃厚接触者と認めていないので」と明かした。
一方、十両北青鵬の感染が判明した宮城野部屋も力士らは全員陰性だったが、尾車部屋とは扱い≠ェ異なるという。
芝田山部長は「宮城野部屋は力士なので、そういうこともあって状況がまだね。もう一度検査をして症状だとか今後出てこないとかを見てどうするかというのは先生方の判断に委ねるということですね」と理由を説明した。
十両北青鵬の感染が判明した宮城野部屋も力士らは全員陰性だったが、尾車部屋とは扱い≠ェ異なるという。
芝田山部長は「宮城野部屋は力士なので、そういうこともあって状況がまだね。もう一度検査をして症状だとか今後出てこないとかを見てどうするかというのは先生方の判断に委ねるということですね」と理由を説明した。
2021/09/01
日本相撲協会の芝田山広報部長は1日、十両北青鵬が新型コロナウイルスに感染したことを明らかにした。
北青鵬はこの日、風邪の症状が出たため検査を受けたところ陽性反応が出たという。
芝田山部長は「(部屋の)他の者に関してはどこまでが濃厚接触者かというのは分かりませんが、北青鵬は部屋にいるので、みんなが濃厚接触者にあたるのではないかと思います。
他の者の検査結果はとにかく明日しか出ないようです」と説明。
また、横綱白鵬に関しては「(部屋に)行っているのか行っていないのかはわからないが、部屋に行っていればその中に入りますよね」と付け加えた。
また、途中出場の可能性については「部屋全体が間違いなく大丈夫ですよ、という(専門家の)先生からの確認が取れないことには、途中出場だって難しい」という。
2021/08/27
合同稽古の最終日が26日、同所の相撲教習所で行われ、平幕の妙義龍は精力的に汗を流した。
「参加している人が多いので、ずっと行きたいとは思ってました」。
新型コロナウイルス感染拡大により出稽古が制限されている中で、昨年秋から行われている合同稽古は他の部屋の関取衆と肌を合わせる貴重な機会。
34歳のベテランは25日から合流。
今回が初めての参加だった。
「なかなか来るタイミングがなくて、今回(全協会員を対象とした22日の)PCR検査で陰性だったので。こうやっていろんな相手とね、できるっていうのはいいんで、いい稽古だったですね」。
この日は関取衆との申し合いで計9番相撲を取り、巨漢の逸ノ城を四つ身で持っていく場面もあった。
「逸ノ城、重たかったです(笑い)。重たかったけど、やっぱり前に持って行けたんで、こういう気持ちでまた場所まで行こうかな」と手応えを語った。
合同稽古が24日、国技館内の相撲教習所で行われ、逸ノ城が精力的に番数をこなした。
「(師匠に)言われているのは、腰を下ろしてまわしにこだわらず前に出ること。その辺を考えてやっている」との言葉通り、実力者の御嶽海を押し出す場面もあった。
7月の名古屋場所で10勝した。場所前の合同稽古が開催されず、関取衆との実戦機会がなかった分、基礎運動などに時間をかけて臨み、2桁勝ち星。その経験が自信につながっているという。
秋場所は2019年夏場所以来の三役復帰が濃厚。
「(番付が)下がらないようにしっかりやっていきたい」と短い言葉に力を込めた。
2021/08/26
合同稽古が26日、両国国技館内の相撲教習所で4日間の日程を終え、打ち上げられた。
先場所、復活の45回目優勝を果たした横綱白鵬は相撲は取らず、連日、ストレッチ、四股、すり足、鉄砲など基礎運動を入念に行った。
関取衆の稽古中、関脇御嶽海(出羽海)、幕内逸ノ城(湊)らに技術面などをアドバイス。
ぶつかり稽古では御嶽海に胸を出し、積極的に体を動かした。
稽古後は取材には応じず引き上げた。
前日から参加したが実戦はまだ回避。
前日には「ちょっと体を作ってからというかね。まだ番付発表前ですからね」と話しており、体と相談しながらの調整になる。
進退を懸けた先場所、手術した右膝の痛みに耐えながら全勝優勝。
患部の回復には「良くなったり悪くなったり」と話し、状態を見極め強度を上げていく。
合同稽古3日目が25日、国技館内の相撲教習所で行われた。
初めて合同稽古に参加している幕内・隆の勝(常盤山)は初日から精力的に汗を流し、この日は3日目からの参加となった横綱・白鵬(宮城野)に約3分間、ぶつかり稽古で胸を借りた。
新入幕以来という横綱との稽古を「ありがたいです。横綱に教えていただけることはなかなかないですし、貴重な機会です」と振り返った。
技術的な面でも、「右ばかりを使うのではなく、もっと左も使って攻めていったほうがいい」と、助言をもらったという。
関取衆との申し合い稽古では、24番取って12勝12敗。
7月の名古屋場所では勝ち越し、返り三役を目指す隆の勝は「非常にいい稽古をさせてもらっています。こうやってみんなで集まれる機会はなかなかないし、合同稽古があって本当に良かったと思います」と充実した様子で語った。
大相撲の連敗記録を持つ序ノ口の勝南桜(しょうなんざくら、23=式秀)が7月の名古屋場所を最後に引退したことが25日、分かった。
今月7日に茨城・龍ケ崎市の部屋で断髪式を行い、引退届も提出済み。
先場所更新した自身が持つ連敗記録「104」を止められず、土俵に別れを告げる。
2021/08/24
大相撲秋場所(9月12日初日)前の合同稽古が23日、両国国技館内の相撲教習所で始まった。
初日は計13人の関取が参加し、大関以上では正代がただ一人顔を見せて汗を流した。
名古屋場所は千秋楽に勝ち越すなど、存在感を見せられずにいる正代。
関脇高安と15番続けて相撲を取ったが、元大関の圧力に屈する場面が目立つなど本調子にはほど遠い稽古内容だった。
親方衆から厳しく叱咤しったされる一幕もあり、「まだ動いていない。これから(調子は)上がっていくと思う」と話した。
合同稽古は26日までの4日間行われる。
合同稽古が23日、始まり、関脇御嶽海が東洋大後輩の五輪戦士からパワーをもらい躍進へと意気込んだ。
「(東洋大の)後輩たちが頑張ってくれていたので。(陸上の)リレーの方は残念ですけど、水泳の方で頑張ってくれて、僕も刺激になった。(萩野)公介が決勝まで残ってくれたことだけでうれしかったですし、その前に大橋(悠依)さんが2冠を取ってくれたのでうれしいですね」と刺激を大いに受けた。
23日、東京・両国国技館で4日間の日程で行われる合同稽古の初日に参加した。
関取衆との申し合い稽古のほか、大関正代との三番稽古では12勝3敗と圧倒。
稽古後は「いい稽古できました。力を出し切っていい相撲取れましたので。熱の入った稽古になったと思います」と充実感を漂わせた。
合同稽古が23日、始まり、幕内隆の勝が関取衆との申し合い稽古で12勝4敗と気を吐いた。
左おっつけで巨漢の逸ノ城(湊)を起こし寄り切るなど実力を発揮。途中7連勝する勢いもあった。
押し相撲ながら右を差しての寄りも得意。
さらに左からの攻めも効いていた。
「いろいろと試行錯誤をして。どれが効いてどれが効かないか試していた。左も意識して。右からだけだとしょうがない」と上々の手応え。
合同稽古は初めてとなる。
部屋の関取衆は大関貴景勝が首痛で先場所、休場。
十両貴源治は大麻使用で解雇された。
これまでは部屋での調整を優先してきたが、実戦経験を求めて参加した。
「いろいろあって行ってみようと。いろんなタイプの関取と相撲が取れるし、いい経験になっている。自分がどれだけ調子がいいのか、体が動けているのか、いろいろと考えながら。まあ、まだきょうが初日なので。4日とも来るつもり」と実りある4日間とする。
合同稽古が23日、国技館内の相撲教習所でスタート。
十両・炎鵬(宮城野)が初参加。
幕内・阿武咲(阿武松)ら他の部屋の関取衆と相撲を取る稽古を行い「(体としては)まあまあ。稽古はできるかなという感じですね」と汗を拭った。
2021/08/23
日本相撲協会は22日、新横綱に昇進した照ノ富士の横綱推挙状授与式と奉納土俵入りを、24日に東京都渋谷区の明治神宮で実施すると発表した。
新型コロナウイルス対策として一般客は入れず、協会の公式ユーチューブで映像を配信する。
照ノ富士は7月の名古屋場所後に73人目の横綱に昇進。
既に横綱の「綱打ち」を行い、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から不知火型の土俵入りを伝授されていたが、新型コロナの影響を考慮して、明治神宮での行事は延期されていた。
日本相撲協会は22日、親方、力士らを含む全協会員を対象にPCR検査を行い、幕内呼び出しの利樹之丞(47=高砂)が陽性だったことが分かった。
芝田山広報部長が明らかにした。
親方、力士は全員陰性だった。
芝田山部長は「利樹之丞の奥さんが陽性だった」と説明し、家庭内感染の可能性を指摘。
23日からは合同稽古を4日間行い、27日からは外出禁止となる。
全協会員を対象にした検査は本場所1週間前にも実施するという。
日本相撲協会は18日、大相撲秋場所(9月12日初日、東京・両国国技館)に向けて、国技館内の相撲教習所で合同稽古を行うことを発表した。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)が明かした。
期間は23日から26日の4日間とした。
合同稽古の実施は、夏場所前以来2場所ぶりとなる。
名古屋場所前は、国技館が東京五輪のボクシング会場となっており、準備のため使用できなかった。
合同稽古前日の22日には、合同稽古に参加する力士だけでなく全協会員を対象にPCR検査を行う。
新型コロナウイルスの感染拡大が続いているだけに、同広報部長は「合同稽古出席者だけでなく、協会員全員(PCR検査を)やろうということになった。
(全国的に)感染が広がっているから。陰性の者だけが合同稽古に出席できる」と説明した。
今年3月26日に60歳で亡くなった、元力士で相撲漫画家・琴剣淳弥さんの初のイラスト作品集「相撲絵師 琴剣大相撲イラスト集」(出版・株式会社ホビージャパン、税込み2750円)が20日に発売される。
琴剣さんはスポーツ報知の相撲漫画で約30年にわたり紙面を彩った。
月刊誌「相撲」(ベースボール・マガジン社)など多くの連載を担当した。
今回の書籍では相撲ファンになじみの深いイラストに加え、なかなか見ることができない力士の結婚披露宴用に描かれたウェルカムボードなどの貴重な絵も掲載。
現役時代に見た相撲風景をベースに、元力士でしか描くことのできないリアルな描写が特徴となっている。
大相撲の大関朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)の父、石橋靖さん(64)=同市呉羽町=が16日に死去していたことが17日、関係者の話で分かった。
2021/08/02
7月27日、大相撲で73人目の横綱に昇進した照ノ富士(29)が土俵入りで締める横綱の「綱打ち」が東京都江東区の伊勢ケ浜部屋で行われた。
伊勢ケ浜一門の力士ら約30人がマスク姿で参加し、純白の綱をより合わせた。
真新しい綱を締めた照ノ富士は電話取材に応じ、「実感が湧いている。何キロという重さではなく、自覚を持って行動しなきゃいけない重さを感じた」と話した。
土俵入りは不知火型。
師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)から手ほどきを受け、「実際にやってみて、こんなに難しかったんだなと感じた。もっと練習して、いい姿を見せたい」と述べた。
荒磯親方が師匠を務める荒磯部屋の部屋開きが1日、茨城県つくば市の筑波大で行われた。
茨城県阿見町に部屋が完成する来年夏まで、同大の施設を利用する。
田子ノ浦部屋の力士4人らと独立した荒磯親方は稽古場で早速、約2時間半の稽古を行った。
オンラインで取材に応じた荒磯親方は「いよいよ始まるなという感じ。応援されるような、強い力士を育てたい。今は自分が前に立っているが、いつか自分の存在がわからないくらいの力士が出てくるといい」と抱負を語った。
7月30日、日本相撲協会は臨時理事会を開催し、7月場所中の大麻の使用が判明した十両・貴源治(常盤山部屋)に懲戒解雇の処分を下した。
賞罰規定で最も重い処分となったが、大麻所持で逮捕された若ノ鵬(2008年8月)、抜き打ち検査で陽性反応が出た露鵬と白露山(同9月)、大麻所持で逮捕された若麒麟(2009年1月)はいずれも懲戒解雇処分となっており、コンプライアンス委員会も懲戒解雇処分が相当と答申していた。
理事会では監督責任が問われた師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)に対して、「委員」から「年寄」への2階級降格の懲戒処分が決まった。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は30日、相撲記者クラブの代表取材に応じ、新型コロナウイルスの検査で幕下以下の力士2人が陽性と判定されたことを明らかにした。
うち1人は27日に7人の陽性が発表された高砂部屋の所属で、同部屋の陽性者は計8人となった。
2021/07/22
21日午前、東京都内で大相撲秋場所の番付編成会議と臨時理事会を開き、大関照ノ富士の横綱昇進を満場一致で決めた。
2017年初場所後に昇進した稀勢の里に続く73人目の横綱が正式に誕生した。
理事会後、相撲協会の使者として理事の高島親方と審判部の浅香山親方が東京都江東区の伊勢ケ浜部屋に赴き、照ノ富士と師匠の伊勢ケ浜親方に昇進を伝達。
照ノ富士は「謹んでお受けいたします。不動心を心掛け、横綱の品格、力量の向上に努めます」と口上を述べた。
21日、都内で理事会を開き、同日付で鏡山部屋所属の協会員全員の『伊勢ノ海部屋転属』と『鏡山部屋封鎖』を承認した。
また、11月場所の福岡開催を発表。
1日の観客数は、会場の福岡国際センターの収容人数の半分以下となる3700人を上限にする。
9月の秋場所は、これまで通りに、東京・両国国技館で1日の観客数5000人以下で開催。
基本的に午後1時開場だが、新序出世披露が行われる8日目は正午、後半戦の13日目以降は午前10時開場となる。
芝田山広報部長は「少しずつ元の状態に戻していきたい」と話した。
2021/07/19
18日、千秋楽での全勝対決。
横綱・白鵬が小手投げで大関・照ノ富士を下し、7場所ぶり45回目の優勝を全勝で飾りました。
白鵬はこれで16回目の全勝優勝。自身のもつ最多記録を更新しました。
立ち合い後の序盤は両者が強烈な張り手の打ち合い。
その後、白鵬が照ノ富士の両まわしをとると、最後は小手投げで勝利。
優勝が決まった瞬間、白鵬は雄叫びをあげ、喜びをあらわにしました。
白鵬は「全てを懸けようと思って、気合を入れてやりました。これでまた前に進める」と語り、横綱としての完全復活を印象付けました。
18日、14勝1敗の優勝次点だった大関照ノ富士の横綱昇進を諮る臨時理事会の開催を八角理事長に要請し、了承された。
横綱昇進が確実となった。
理事長は19日の横綱審議委員会に諮問し、推薦を受けた上で、21日の秋場所番付編成会議と理事会で正式に決定する。
横審の内規では、横綱推薦の基準を「大関で2場所連続優勝か、それに準ずる成績」と定めている。
新横綱誕生は、2017年初場所後に昇進した稀勢の里以来で73人目。
モンゴル出身では、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜に続いて5人目となる。
新小結の明生が千秋楽に勝ち越し、三役の座を死守。
「ホッとしているが、毎日が必死だった」と15日間を振り返った。
輝の突き、押しに後退しながら、冷静に引き落とし。
「負けが先行して苦しい展開もあったが、最後に勝てたので良かった」と充実感を漂わせた。
高安が負け越し、来場所の新関脇昇進へ可能性が広がった。
「集中して稽古していく」と早くも来場所を見据えた。
初三賞となる技能賞を獲得した豊昇龍は北勝富士をはたき込み、自身初の2桁10勝に到達した。
「めちゃくちゃうれしい。千秋楽で勝って終わることができたので良かった。ちょっとずつ自信がついてきたし、まだまだ体が小さいのでこれから大きくしていきたい」。
体格は1メートル86、131キロで幕内平均160キロより軽い。
叔父の元横綱・朝青龍をほうふつさせる機敏な動きが持ち味で、大関・正代を破った11日目など足技を絡めた攻めが評価された。
琴ノ若は剣翔を寄り切って自己最多の12勝に達し、祖父の元横綱・琴桜(故人)、父で師匠の佐渡ケ嶽親方と3代続けての三賞受賞となった。
「(祖父と父のことは)あんまり考えていなかったけど、獲れてうれしい」と喜んだ。
1メートル88、167キロの体格は父譲りで今場所は前に出る好内容が目立った。
佐渡ケ嶽親方は「この1勝は大きい。重圧の懸かる相撲に勝ち、成長を感じさせた」と目を細め、初の幕内上位で挑む来場所へ期待した。
18日、人気力士の西前頭13枚目・宇良が、千代翔馬を押し出し、2桁10勝で終えた。
張り手を食らいながら、下から攻め抜いた。土俵を下りる際に呼び出しの肩を借りるほどだったが「大丈夫です」。
両膝の大けがで序二段106枚目まで落ちながら、17年九州場所以来の幕内復帰を果たし、2桁の白星を挙げた。
18日、前頭十七枚目・一山本が前頭十四枚目・千代ノ皇を送り出しで下し、新入幕の場所で千秋楽にうれしい勝ち越しを決めた。
勝ち越しにあと1つと迫る7勝目を挙げてから、まさかの5連敗を喫し、しびれる7勝7敗で千秋楽を迎えた一山本。
脱サラ力士、さらには話し方が「ギャルっぽい」「YouTuber風」と、いろいろな話題を振りまいてきたが、勝てば勝ち越し、負ければ負け越しという一番で積極的に攻め、土俵際でも緩めず送り出しで8勝目を手にした。
大相撲名古屋場所は18日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1088本だった。
1日当たりの最多は千秋楽の100本。名古屋開催は2年ぶりで、東京・両国国技館で行われた昨年7月場所は1000本だった。
2021/07/18
14日目、横綱白鵬が大関正代を退けて無傷の14連勝とした。
千秋楽は、同じく全勝の大関照ノ富士と約4年ぶりに激突する。
白鵬の構えに、会場がざわついた。
立ち合い。仕切り線から目いっぱい遠ざかり、両足が俵にかかりそうな位置で腰を落とした。
そっと立って正代に近づき、左で張って体をぶつけた。
おっつけてから強烈な張り手を見舞う。
一度はまわしを引きかけたが、再び離れ、最後は右四つで組み止めて浴びせ倒した。
土俵下で見届けた藤島審判長は「実力者の正代に当たられて両差しになられるのが嫌だったと思う」と白鵬の心中を推し量った。
八角理事長は「奇襲は弱い方がやること。これだけ優勝している横綱がああいうことをしてはいけない」と苦言を呈した。
大関照ノ富士が名古屋場所後に横綱に昇進することが17日、ほぼ確実となった。
同日の14日目に関脇高安を下して14連勝とし、優勝争いの首位を守った。
審判部は千秋楽の18日に昇進について会議を開く。
昇進問題を預かる日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は優勝か優勝に準ずる成績で、昇進の可能性があるとしていた。
照ノ富士の師匠でもある同部長は13勝した時点で「優勝するに越したことはないが、成績的には十分満たしている」との見解を示していた。
14日目、関脇御嶽海が幕内豊昇龍を寄り切って4場所連続の勝ち越しを決めた。
元横綱朝青龍のおいとして注目を集める豊昇龍は、11日目に大関正代を撃破して自己最速で勝ち越しを決めるなど勢いに乗る相手。
しかし、格の違いを見せつけるように危なげなく寄り切り、取組後は「しっかり相手を見て前に向けられた。ヒヤリとしたが。自分の相撲ができた」と振り返った。
14日目、玉鷲が歴代6位となる通算1360回連続出場を白星で飾った。
11勝は優勝した19年初場所以来。
記録には「現役中にはあまり感じない。辞めてから『よかった』と感じると思う」。
横綱白鵬と並ぶ幕内最年長の36歳だが衰え知らず。
「まだ若手には負けたくない。人を興奮させる相撲を見せたいと思います」と若々しい意欲をたぎらせた。
14日目、幕内琴ノ若が自己最多となる11勝目(3敗)を挙げた。
幕内宝富士に土俵際まで追い込まれる場面もあったが、最後は寄り切った。
取組後は「体勢的には悪かった。褒められた相撲じゃなかったが慌てなかったのがよかった。星数は意識せず一日一番(の気持ち)で臨めている」と振り返った。
14日目、宇良は平幕下位力士としては珍しく、幕内後半戦の土俵に上がった。
小結明生を寄り切りで破って9勝目。
自身の取組内容よりも「(幕内)後半はお客さんがすごい」と結びから3番前の館内の雰囲気に驚いた。
取組を知った前日は「とんでもないとこに当たった」。
ただ、白星を挙げて「いい経験ができたと思う」と喜びを口にした。
2021/07/17
白鵬も盤石の内容で全勝を守った。
巧みなとったりで難敵の高安を撃退。
「体が動いている。タイミングも良かったし、横にじゃなくて下に投げたのが勝利につながった」と満足げに話した。
右張り差しが決まらず中へ入られそうになるも冷静。
瞬時に左へ動き、右腕を抱えて鮮やかに転がした。
千秋楽は照ノ富士戦が確実。
ともに勝ち続ければ、12年名古屋場所の日馬富士―白鵬以来6度目の全勝決戦となる。
「頑張ります」と短い言葉で結んだ。
12日目、大関・照ノ富士の横綱昇進に“当確ランプ”がともった。
大関・正代との一番を押し出しで制し、土つかずの13連勝を決めた。
師匠で、番付を編成する審判部の伊勢ケ浜部長は「成績的には十分満たしている」との見解を示した。
進退を懸ける横綱・白鵬も全勝を守り、賜杯のゆくえは2人に絞られた。
13日目終了時で全勝が2人は、2013年夏場所の白鵬と大関・稀勢の里以来となった。
照ノ富士が、ついに73代横綱の椅子に手をかけた。
初日から13連勝をかけた正代戦。
立ち合いから攻め込んだところを一度すくわれ俵を背負ったが、こらえて前進。
押し切って、大関戦を制した。
「焦ることなくやろうと思っていた。良かったかなと思う」。初の綱取り場所で、自己最多タイの白星を重ねた。
豊昇龍が逸ノ城との取り直しの一番を制した。
右四つから巻き替えてもろ差しに。
200キロの巨体を右から引きずるように投げて、土俵にはわせた。
力を使い果たしたかのように付け人の肩に手を置いて支度部屋へ引き揚げ、「今までで一番重かった」。荒い息のまま振り返った。
幕内で初となる2桁白星まであと1番としたが、「初日から一日一番と思っている。一日一日を大事にしていきたい」と表情を変えなかった。
幕内最年長で36歳の玉鷲が節目の取組を会心の勝利で飾った。
厳しい攻めで宝富士を押し出し、6場所ぶりの2桁白星に到達。
「本当に久しぶりなので、凄くうれしく思う。本当に良かった」と感慨に浸った。
この日、1359回連続出場となり、史上6位の寺尾(現錣山親方)に並んだ。
04年初場所の初土俵から一度も休場がない鉄人は「記録は意識していない。自分の相撲を取りきって、見ているお客さんを盛り上げるのが一番」と語った。
13日目、21場所ぶり幕内に返り咲いた人気業師の宇良が190キロ巨漢魁聖を連続技で転がしたが、反則負けで5敗目(8勝)を喫した。
立ち合い、相手の足をとり、さらに腕をたぐって懐に飛び込み、もろ差し。
上手を取られ組まれたが、相手の脇をすり抜け何と反り技。
これは不発ながら、くるり一回転し、相手を右から出し投げで崩した。
業師の本領に観客も沸いたが、物言い。
高田川審判長が「宇良がまげを引っ張っており、反則負けで魁聖の勝ちとします」とアナウンス。
投げる際に宇良の左手が魁聖のまげにかかっており、軍配が覆って、9勝目はならなかった。
13日目、西前頭16枚目の石浦が横綱秘伝の下手投げで勝ち越した。
左下手をがっちりつかみ、右手で志摩ノ海の右膝付近を押さえながら豪快に投げた。
「相手の膝を押さえての下手投げは横綱に教えてもらった技」と兄弟子の白鵬に教わった技で白星。
それだけに「小さいことかもしれないけど恩返しができたと思う」としみじみと話した。
16日、優勝争いのトップを並走する横綱・白鵬と大関・照ノ富士が全勝を守り、初日から無傷の13連勝を遂げた。
白鵬と照ノ富士の13連勝を受けて、ABEMAで解説を務めた元小結の臥牙丸は「楽しみですね、あと2日間」と一言。
続けて「千秋楽がとても楽しみじゃないですか。照ノ富士関は横綱がかかっているし、横綱は久しぶりの優勝がかかっているから、2人とも凄く力を出しますので、面白いと思います」と語り、千秋楽結びの一番に期待を寄せた。
連勝が止まらない白鵬と照ノ富士の活躍に、視聴者からも「強すぎる」「圧倒的だな」「千秋楽の全勝対決が見たい!」「どっち勝つんだろう」「全勝決戦間違いなし」と直接対決での”優勝決定戦”に期待する声が続々と寄せられた。
来場所の新十両が確実な西幕下2枚目の北青鵬(宮城野部屋)が石崎(高砂部屋)を全勝対決で退け、幕下以下で全て優勝を果たした。
昨年7月場所の序ノ口から序二段、三段目と制した。
「序ノ口優勝した時に『1年で(十両に)上がる』と言ったので、自分の口から出した言葉にはしっかり責任を持って頑張った」と胸を張った。
2021/07/16
12日目、6場所連続休場明けで進退をかける白鵬は関脇御嶽海を寄り切り、全勝を守った。
かねて横綱の2桁≠ニ位置付ける12勝に無傷で到達。
取組後は「今場所の目標だった。とてもうれしいですね。ホッとしている」と安堵の表情を浮かべた。
優勝争いは照ノ富士との一騎打ちの状況が続いている。
「明日(13日目)起きたら、また気持ちを切り替えていかないと。いい流れで来ているので、崩さずにいきたい」と45回目の優勝に視線を向けていた。
12日目、綱とりに挑む大関照ノ富士が新小結明生を豪快にきめ倒して、初日からの連勝記録を自己新の「12」に伸ばした。
八角理事長(元横綱北勝海)らは内容も結果も絶賛し、昇進へまた一歩、前進した。
照ノ富士の“横綱相撲”だった。
動きのいい明生に左、右と差されたが慌てない。
下半身をどっしり構え、強烈な張り手を見舞って、引っ張り込んだ。
外から右腕をきめ上げると相手はもん絶。最後は豪快に投げ捨てた。
ついに自己新の12連勝。
「落ち着いて取れて良かった。一日一番の気持ちでやっているだけ。(12連勝も)特別な思いはない」と自信満々に言い切った。
15日、霧馬山が関脇高安に初勝利で勝ち越しを決めた。
「我慢していったのがよかった。今まで勝ったことがないんで、先に上手を取らせないようにした」。
激しい攻防で長い相撲を制した。
それだけに喜びも大きい。
「いい相撲で勝ち越せてうれしいです。最後までいい相撲をとって終わりたい」と意欲を示した。
15日、宝富士が初場所以来3場所ぶりの勝ち越しを決めた。
一山本ののど輪を何発も受けたがひるまず前へ。
おっつけで土俵際まで押し込み、タイミング良く引き落としを決めた。
「素直にうれしい。慌てると、いなしやはたきがうまい相手なので、じっくり攻めようと思っていた」と狙い通りの相撲だった。
15日、「鉄人」、東前頭10枚目玉鷲が小兵の石浦を押し出して9勝3敗と星を伸ばした。
立ち合いは呼吸が合わず2度目で立ったが、左を差されつつも小手で振りながら圧力をかけた。
「しっかり気を引き締めて、下から逃がさないようにいった」。
9勝を挙げるのは、10勝した昨年7月場所以来1年ぶりとなった。
13日目の出場で初土俵からの連続出場回数が1359となり、歴代7位の元関脇寺尾に並ぶが「いえいえ、それはとんでもないです。内容が大事。自分より親方の方が内容がいい。自分は数なので」と謙虚に語った。
12日目、多くの力士に勇気を与えるカムバックだ。
人気力士の宇良が、元大関の栃ノ心を突き落として勝ち越しを決めた。
17年九州場所以来の幕内復帰で、勝ち越しは同年夏場所以来。
苦難の時を乗り越え、最後は頭から土俵下に転落して1回転した宇良は、まるで子どものような笑みを浮かべた。
取組後は勝ち越しに「うれしいです」と話すも「まだ終わっていない気持ちが強い。残りの相撲があるんで、そっちに集中したい」と表情を緩めなかった。
「力士かまぼこ」の記事を発見!
記事はこちら
下記が投稿された方のツイッターです。
@changasano
なんだか、すごく和みました(^^)
2021/07/15
11日目、6場所連続休場明けで進退をかける横綱白鵬が、新三役の小結若隆景を下し初日から11連勝とした。
よく動く相手をしっかり組み止め、寄り倒しでの勝利に「(相手のおっつけは)いいものはあった。でも若隆景関は考えが浅かったかな」と振り返った。
綱獲りの照ノ富士は御嶽海を圧倒した。
初日から11連勝は15年秋場所に並ぶ自己最長だが「特にない。必死に一日一日やっているだけ」と淡々と話した。
立ち合いで浅く左上手を引くと、優勝2度の関脇を一気に寄り切り。
終盤でも取り口は安定している。
琴ノ若が3敗に後退し、白鵬との一騎打ちの様相がさらに濃くなり「これからが大事。一日に全力を尽くしていく」と集中力を高めた。
11日目、翔猿戦で主導権を握り続けた。
立ち合いで強く当たって突っ張り合う。
いなされても冷静についていき、土俵中央付近で動きが止まってからタイミングよくはたき込んだ。
圧力をかけ続けた一番を、「じっくりいって落ち着いて対応できた」と振り返った。
3日目から途中出場の高安が、今場所の焦点の行方を左右するキーマンに浮上。
進退の懸かる白鵬、綱取りに挑んでいる照ノ富士の両全勝力士との対戦を残して自身も勝ち越しを目前にする実力者は、「ベストを尽くしていい相撲を取りたい」と力を込めた。
逸ノ城が隆の勝を押し出して勝ち越しを決め、19年夏場所以来の三役復帰が見えてきた。
左上手をつかめなくても右差しで圧力をかけ続けて圧倒。
「(三役へ)もちろん上がりたい。そのためにも残りの相撲もしっかり集中して取っていきたい」
11日目、幕内豊昇龍が大関正代を寄り倒して8勝目(3敗)。
看板力士を撃破して自己最速となる11日目での勝ち越しを決めた。
取組後は「当たって前に攻めたら何とかなると思った。
何より勝って良かった。とりあえず、あと4日間を一日一番、大事にしていきたい」と表情を引き締めた。
かねて元横綱朝青龍のおいとしても注目を集める存在。
元横綱からはこれまでもツイッターで「なめられたら終わり」「また負けか?」などと辛口のエールを送られてきた。
この日の白星には早速「勝ち越し! 先ずおめでたい。後勝て!」(原文ママ)と祝福のツイート。
母国のモンゴルから遠く離れていても常に気に掛けられ、豊昇龍も叱咤激励を発奮材料にしている。
11日目、玉鷲が昨年11月場所以来、4場所ぶりの勝ち越しを決めた。
新入幕の一山本を、立ち合いから強烈な突き押しで攻め立てた。
いつも通りの力を発揮したようにも見えたが「心の中は結構やばかった」と緊張。
次に狙うは1年ぶりの2桁白星。
「勝ち越したけど落ち着いている場合ではない。楽しみながら取っていきたい」と話した。
11日目、2度の右膝手術を乗り越え、21場所ぶり幕内復帰した人気業師の宇良が難敵の霧馬山を肩すかしからすくい投げの鮮やかな連続技で破った。
3連勝で7勝目を挙げ、2017年夏場所以来4年ぶり幕内での勝ち越しに王手をかけた。
リモート取材で鮮やかな逆転と問われると、返答を熟慮。
そして「自分から仕掛けているので逆転とは思っていない」と、業師のプライドをにじませた。
11日目、十両阿炎が若元春を押し出し、勝ち越しを決めた。
立ち合いからもろ手で突いて出ると、休まず攻め立てた。
7連勝から3連敗して足踏みしていたが、ようやく勝ち越し。
「素直にうれしいです」と安どの表情を浮かべた。
昨年7月に協会が定めたガイドラインを違反して3場所の出場停止となり、幕内から幕下に転落。
今年の春場所で土俵に復帰し、関取復帰となった今場所も星を伸ばした。
2021/07/14
白鵬は盤石の内容で10連勝。
右で張ってから左を差すと、隠岐の海に何もさせずに寄り切った。
報道陣のリモート取材には応じなかったが、花道を引き揚げる表情には余裕が感じられた。
綱とりに挑む照ノ富士と互いに譲らず、終盤戦に向かう。
三役以上との対戦を控えるが、八角理事長(元横綱北勝海)は「あしたから気合が入るだろう。膝も万全の感じがする」と印象を述べた。
綱獲りの照ノ富士が労せず10勝に到達した。
立ち合い不成立と判断したのか棒立ちになった千代大龍をあっという間に寄り切った。
「一瞬待ったかなと思ったけど、そのままいった。冷静にできた」と淡々と話した。
三役以上との対戦が確実な残り5日間へ「自分のやってきたことを信じてやるだけ」と気を引き締めた。
高安が新小結・若隆景を落ち着いてさばき、逆転勝ちした。
おっつけ、喉輪、はず押しなどで攻め込まれたが、相手の押しに後退しながらも懸命に抵抗。
最後は土俵際で右から突き落とした。
これで6勝目をマークし、大関復帰への望みを来場所へつなげたい。
「腰を落として、しっかり自分の相撲を取っていきたい」と横綱、大関戦が予想される終盤へ力を込めた。
10日目、前頭5枚目の豊昇龍が7勝目を挙げ、勝ち越しにあと1勝とした。
優勝25度の元横綱朝青龍を叔父に持つ豊昇龍が、着実に力を伸ばしている。
うるさい翔猿をつかまえて料理し、2場所ぶりの勝ち越しに王手。
「体の動きがよく、落ち着いて相手を見て相撲が取れている。いい感じです」と手応えを口にする言葉も弾む。
13日、前頭十枚目・照強が前頭十四枚目・大奄美を素早い動きで翻弄し、押し出しで下して5勝目を挙げた。
華麗なフェイントに視聴者からは「さすが策士」「作戦勝ち!」といった声が続々と寄せられた。
身長169センチの小兵ながら持ち前のバランス感覚とスピードを活かした相撲内容で技巧派として知られている照強。
大奄美と対戦した十日目の取組では、立ち合いで八艘飛びをするようにふわりと上体を起こしたものの、すぐに向きを変え下に潜り込んで相手の左足を奪取。
バランスを崩した大奄美はなすすべもなくよろめき、そのまま照強が鋭く前に出て押し出しを決め勝ち星を挙げた。
10日目、西前頭11枚目・琴ノ若が、自己最速での勝ち越しを決めた。
新入幕で東同17枚目・一山本との2敗対決を寄り切りで制した。
元横綱・琴桜は祖父、師匠の佐渡ケ嶽親方は父と相撲一家の23歳が、全勝でトップを走る横綱・白鵬、大関・照ノ富士の2人に食らいついていく。
13日、西前頭16枚目の石浦が7連勝で勝ち越しに王手をかけた。
栃ノ心との一番は、立ち合いやや左へずれ、得意の左前まわしを引き、さらには右まわしも取った。
絶好の体勢となり、出し投げで相手を崩し、前に出た。
「いいところの前みつが取れたので、自分の攻めができました」と満足顔の石浦。
場所前に腰を痛めた影響で、序盤は苦しんだが、癒えると白星を重ねた。
同じ部屋の白鵬から「15日間長いから、徐々に調子を上げるように」と助言されているそうで、その通りの上り調子となった。
13日、十両五枚目・炎鵬と十両筆頭・松鳳山の一番で、最後まで粘る炎鵬の攻めに館内が盛り上がる一幕があった。
視聴者からは「残念」「惜しい」といった声が寄せられた。
張り手を交えた厳しい攻めを見せる松鳳山に対して、素早く手を出して応戦していった炎鵬。
四つに組み合うことなく激しい攻防戦を繰り広げると、土俵際に追い込まれた後も粘りを見せ、ラグビーやレスリングのタックルでもするように、相手の下半身めがけて突っ込んだ。
客席からは大きな歓声が沸き起こったが、あと少し手が届かず最後ははたき込みで敗れ、今場所負け越しとなる8敗目を喫した。
2021/07/13
9日目、白鵬は馬力のある千代大龍を相手にしなかった。
体当たりをはたいていなし、体勢を崩したのを見逃さず。
右を差して一気の寄り切りで下した。
6場所連続休場明けで、進退を懸けて臨んだ場所ながら初日から無傷の9連勝。
取組後はオンライン取材に応じず、会場を後にした。
昨年春場所以来45度目の優勝を虎視眈々(たんたん)と狙う。
新たな戦闘服≠ナ悲願を達成する。
9日目、綱取りに挑む大関照ノ富士が幕内隠岐の海を力強く寄り切って無傷の9連勝。
横綱白鵬とともに全勝を守った。
取組後は「必死にやっているだけ。重圧? やることは一緒なので、特に何もない」と表情を引き締めた。
いかにも隆の勝らしい、柔和な笑みが戻ってきた。
連敗スタートから気持ちを立て直して5連勝とし、今場所初めて白星が先行。
「いい感じで、どんどん調子が上がってきている」。その声は明るい。
先場所まで4連敗していた大栄翔に真っすぐ当たった。
「お互いに変化をしないと分かっている。思い切りいった」。
あてがうようにして使って相手を崩した右をすかさず差せば得意の形に。休むことなく一気に押し出した。
先場所は7場所ぶりに負け越し、4場所続けて務めた関脇から平幕へと転落した。
精神的なもろさだけでなく、下半身に粘りが足りないと痛感し、足腰の鍛錬に励んできた。
自身と入れ替わるようにして、年の近い若隆景と明生が新小結に昇進。
「負けてはいられない」と、強い対抗心も芽生えた。
豊昇龍が若隆景を豪快に転がした。
右四つに組み、先に上手を与えたものの、思い切りよく、振り回すような下手投げ。
新小結を破っても、「あまり何も考えていない」と淡々と振り返った。
兄弟子の明生が、今場所新小結。
「自分も早く上がりたいと体がすごく燃えていた」。
そう闘志を抱く。西前頭5枚目で6勝目を挙げ、「一日一番と思って、大事にしていきたい」と先を見据えた。
有望株の琴ノ若が好調を維持している。
千代の国を突き、押しで上回り、一方的に突き出し7勝目。
「自分の中でめりはりをつけ、切り替えることができた。体も動いている」と満足感を示した。
新入幕・一山本が元気だ。
3連勝で2敗を守り、目標の勝ち越しに王手をかけた。
立ち合い、千代丸のもろ手突きに臆さず前に出た。
直後の引きにも動じず右四つに組む。
「攻め手がなかった」と、体重185キロの相手の体勢を崩せない。
それでも上手は与えず、我慢強く1分以上かけて寄り切った。
2021/07/12
8日目、進退をかける横綱白鵬が幕内琴恵光を一方的に寄り切り、自身51回目の中日勝ち越しを決めた。
取組後は「6月初めからしてみれば想像できなかったが、場所に入ってからは行きそうだなと。まあ一つクリアしたことになるのかな」と安堵感を漂わせた。
8日目、綱とりを狙う大関照ノ富士が“くせ者”の幕内翔猿をはたき込み、中日勝ち越しを決めた。
相手は前日7日目に、トリッキーな動きで横綱白鵬を翻弄した小兵だったが、盤石の相撲で完勝。
取組後は「落ち着いて正面に置いて相撲を取ろうと思っていた。動きのいい相手なんでしっかり見ていこうと思っていた」と振り返った。
これで2場所連続のストレート給金。
だが「これからです。残り1週間頑張ります」と相変わらず淡々と答え、通過点としか捉えていない。
8日目、元大関の関脇高安が、関脇御嶽海を破り4勝目を挙げた。
途中、こう着状態になるなど我慢の相撲を強いられたが、最後は寄り切った。
過去18勝(6敗)で直近も5連勝中と合口のいい相手からきっちり白星を拾い「まわしが取れたのでじっくり見てできた」としてやったりの表情を見せた。
8日目、隆の勝が低い当たりで千代大龍を引かせ、右に逃げる相手に足を運んでついていった。
腰を落としたまま前に行き、右を差して寄り切り。
初日から4連敗も5日目から4連勝で星を五分に戻した。
「やっと星が戻った。明日から初日の気持ちでという感じ」。
転機は4日目の白鵬戦。
「善戦できて自信がついて緊張もほぐれた。ここからです」と話した。
8日目、逸ノ城は圧力をかけて足を滑らせる形になった若隆景をはたき込み、三役以上との対戦を5勝3敗の好成績で終えた。
「落ち着いていけて、タイミングがよかったのもあると思います。相手の動きにも対応できたと思う」。
全勝の横綱、大関には完敗もさすがの実力を発揮。
後半戦も星を伸ばして19年夏場所以来の三役復帰を狙う。
8日目、東前頭10枚目の玉鷲が千代の国を押し出しで下し、2敗同士のサバイバル戦を制した。
予想通りに激しい相撲となったが、玉鷲が覚えているのは「最後だけ」。
「最後は突きで押して、しっかり決められました。自分の相撲を取り切れて良かった」と目を細めた。
「楽しんで相撲を取っていきます」と若々しかった。
新入幕で、東前頭17枚目の一山本が魁聖を破り6勝目を挙げた。
立ち合いから押し込まれたが、うまく回り込んで左上手を取ると、「ここが勝負」と一気に寄り切った。
2敗をキープ。その活躍ぶりはキラリと光る。
「幕内はみんな強いので、勝つことで少しずつ自信になってくる。少し疲れはあるけど、しっかり寝れているので、回復できています」と笑みを浮かべた。
2021/07/11
7日目、進退を懸ける横綱白鵬が、初顔となった翔猿のトリッキーな“モンキー相撲”を冷静にさばいて無傷7連勝に伸ばした。
長いお見合い、フェイント…、コントのような爆笑“猿回しショー”に場内は盛り上がったが、横綱は怒りの表情。
最後は上手投げでたたき付けた。
7日目、綱とりに挑戦する大関照ノ富士が、初日からの連勝を「7」に伸ばして勝ち越しに王手をかけた。
東前頭4枚目琴恵光に対して得意の右四つ、左上手を取って難なく寄り切った。
2場所連続3度目のストレート給金に王手。
3場所連続優勝と横綱昇進が懸かる場所で、最高の形で中日を迎えることになった。
関脇・御嶽海が大栄翔をはたき込み、5勝目を手にした。
大関獲りの足場固めには2桁10勝が必要。
折り返し地点の8日目を前にその半分に達した。
出身地の長野と近い名古屋では18年に初優勝を飾った験のいい場所。
全勝の横綱・白鵬、大関・照ノ富士を懸命に追う。
幕内最年少の22歳、豊昇龍が動きの良さを見せている。
34歳のベテラン宝富士を得意の足技で破り、2敗を守った。
立ち合いから右上手を引き、頭を付けた。
外掛けで相手の体勢を崩すと、動きながら再び外掛けで関脇経験もある実力者を倒した。
7日目、琴ノ若が上手ひねりで英乃海で下した。
横綱の血を受け継ぐ23歳の琴ノ若が、全勝の白鵬と照ノ富士に食らいついている。
英乃海を下し、ただ1人となった1敗を死守。
充実の7日間を終え、「形が悪くなっても冷静に動いて対応できている。これからも続けていければいい」と穏やかに振り返った。
7日目、31歳の誕生日に旭大星を寄り切り2敗を守った千代の国。
実は前日の9日に次女が誕生していたことを明かし「昨日、おかげさまで生まれました。お昼ごろです。(場所後に会うのを)楽しみにしてます」と頬を緩めた。
無事に出産したことを聞いてから臨んだ6日目は負けてしまい「昨日勝ちたかったんですけどね」と悔しさはあるものの「相撲は変わらず一日一番で頑張っていきます」と2児の父としての責任を力に変えていく。
日本相撲協会の新型コロナウイルス感染予防のガイドライン(指針)に違反し、今場所から6場所出場停止の処分を受けた朝乃山が大関から陥落することが10日、決まった。
カド番で迎えた今場所、8日目の取組が組まれず負け越しが確定。
秋場所で関脇に転落する。
朝乃山は、不要不急の外出が禁止されていた夏場所前にキャバクラに通うなどし、場所中に問題発覚。
同場所を途中休場し、負け越していた。
師匠の高砂親方によれば、今場所中も部屋で稽古をしているという。
同親方は「またしっかり稽古をさせていただく」と再起への思いを代弁した。
2021/07/10
白鵬は北勝富士を危なげなく退けて6連勝とした。
前のめりの相手を左に回り込みながらはたき、腹ばいにした。
「(立ち合いで)圧力がある分、引きも決まった」と自賛した。
休場明けで進退を懸けた場所で安定感を示し「体が動いているね」と納得の表情。
7日目は翔猿と初対戦する。
宮城野部屋で炎鵬、石浦と小兵力士に胸を出しているだけに「うちにも小さい2人がいる。その分、頑張りたい」と意気込んだ。
9日、大関・照ノ富士が平幕・逸ノ城を破った。
かつてのライバルを全く問題にしなかった。
綱取りの照ノ富士が、今場所一番の内容で連勝を6に伸ばした。
正代が4日ぶりの白星。
琴恵光を難なく組み止め、落ち着いて寄り切った。
持ち味の馬力が影を潜めて序盤に3連敗し、「気持ち的にも悪い方向にいっていた」という状況から、ようやく立ち直った。
今場所の話題の中心にいる白鵬と照ノ富士が無傷で並走している中で、大関としてこれ以上取りこぼすわけにはいかない。
気を取り直し、「ここから星を伸ばしていけたら」と話した。
3日目から出場している関脇・高安が大栄翔を突き落として3勝1敗2休。
場所後の大関復帰は厳しい状況だが、再挑戦へ弾みをつける勝利となった。
望みをつなげるための、いい仕切り直しになったのかもしれない。
大関返り咲きが5日目に絶望的となった高安だが、ショックを引きずることなく大栄翔を冷静に仕留めて連敗を回避。
「今日の一番に集中できた」と短くうなずいた。
琴ノ若がただ一人、1敗を守った。
徳勝龍に攻め込まれるも土俵際で右から突き落とし、「流れの中、体が動いてくれたと思っている」と淡々と振り返った。
後退しても前傾姿勢を保つなど、普段の稽古場からやっていることを無意識に出せているという。
祖父は元横綱琴桜、父も元関脇琴ノ若という相撲一家で育った23歳は「勝ち星一つ取れたのは大きい。直すところを直してあしたから臨みたい」。
7日目以降へ気を引き締め直していた。
7日目の10日、西序ノ口24枚目・勝南桜が3敗目を喫し、100連敗を記録した。
幕下以下の連敗は公式に集計されていないが、過去に89連敗したことがある勝南桜は2019年初場所の5番相撲で挙げた通算3勝目を最後に2年半、白星がなく、自己ワースト記録を更新している。
7日目、現役最年長の東序二段100枚目華吹が「35歳差対決」に敗れて2敗目を喫した。
4番相撲での西序二段97枚目千代天照との一番。
立ち合いから相手の低い当たりに上体を起こされ、立て直すことができないまま送り出された。
連勝は2でストップ。
2勝2敗となり、残り3番で勝ち越しを目指す。
夏場所後の5月28日に51歳の誕生日を迎えた。
先場所は3勝4敗で惜しくも負け越しを喫した。
今場所は歴代最多を更新する211場所目。
初場所以来3場所ぶりの勝ち越しを目指す場所となる。
2021/07/09
5日目、巨漢の逸ノ城に上手を取られてしまう。
横綱白鵬にとっても想定外だっただろう。
ただそこから、華麗なるテクニックで大向こうをうならせた。
「安易に立ってしまって不利な体勢になりましたけど、なんとかうまさでカバーした」
右からの投げで、まずもろ差しに。
次に腰と肘を使って逸ノ城の左上手をあっさりと切る。一瞬にして形勢を逆転すると、200キロを軽々と寄り切った。
注目される場所の序盤を無傷で乗り切った。
綱とりに挑む照ノ富士が初日から5連勝。
北勝富士の攻めを冷静にさばき、「思った通りだったのかな、と思う」。
淡々と振り返る姿に揺るぎない自信がのぞいた。
立ち合いでずれて立った北勝富士に動き回られたが、左で抱え、右ものぞかせ組み止めた。
怪力で差し手を返しながら前へ。
逃れようとする相手を小手投げで難なく転がした。
新小結の明生が今場所初めて相撲を取って白星を挙げた。
高安におっつけながら組ませず、左からいなし、押し込んでから肩透かしで仕留めた。
元大関を退け、「(動きが)良かった」と自賛した。
3日目に組まれた貴景勝戦は、相手の休場により不戦勝だった。
これで2勝目。
「ここから頑張ろうという気持ち」と中盤戦での巻き返しを誓った。
5日目、平幕・大栄翔は、新小結・若隆景を突き出しで下し、初日が出た。
一度は背後を取られかけるも、強烈ないなしで立て直して反撃。
攻め手を緩めずに土俵外に吹っ飛ばした。
今場所初白星を挙げ、「まだまだ実力不足なんですけど、この一番をきっかけにしてここから盛り返していきたいと思います」と巻き返しを誓った。
翔猿はよく動いて正代を翻弄(ほんろう)した。
突きを交えて四つに組ませず、最後は低い姿勢から一気に押し出し。
3度目の挑戦で正代から初白星を挙げ、「ずっと悔しい思いをしていたので、勝ててよかった」と充実感に浸った。
先場所は西前頭2枚目で5勝10敗と苦しんだが、番付運に恵まれ西3枚目にとどまった。
初の横綱戦が組まれる地位におり、「楽しみ。上位でもっともっと活躍できるように頑張る」と威勢がよかった。
5日目、最高位小結で、東十両14枚目の阿炎が、無傷の5連勝を飾った。
「勝ち星は意識せず、自分の相撲に集中するだけですね」。
昨年7月場所中のコンプライアンス違反で3場所連続休場の処分を受けた。
ちょうど1年で関取に復帰。
「最初からスタートする気持ちでやっています。一番一番に集中して相撲に向き合うことが大事と思っています」。
気持ちを新たに、白星も積み重ねている。
6日目、序ノ口の勝南桜が大典翔に寄り切られ、平成31年初場所の6番相撲から続く連敗が99になった。
今場所が序ノ口デビューで2連敗中だった15歳を相手に、立ち合いふわっと立つとふところに入り込まれて一気に寄られた。
勝南桜は今場所の2番相撲でも白星をあげられず、大相撲史上ワースト連敗記録を更新。
大台「100」にあと1つと迫ってしまった。
2021/07/08
遠藤が名古屋場所5日目の8日、日本相撲協会に「左大腿二頭筋損傷で約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。
4日目までは1勝3敗だった。
5日目の対戦相手、関脇御嶽海は不戦勝。
休場は3月の春場所以来8度目。
今場所の十両以上の休場者は、首を負傷した大関貴景勝、新型コロナウイルス対策のガイドライン違反で出場停止処分を受けた大関朝乃山ら6人となった(途中出場者を含む)。
2021/07/08
4日目、進退を懸けて土俵に上がっている横綱白鵬が、鮮やかな反転攻勢で初日から4連勝とした。
平幕の隆の勝に背中を取られる場面があったものの、軽やかな身のこなしからの突き落としで逆転。
6場所連続休場による相撲勘への不安を払拭(ふっしょく)する相撲内容だった。
苦戦の末に白星を手にした照ノ富士は土俵上で首をひねった。
大栄翔に押し込まれ、中に入られる場面も。何とかしのぎ、最後は寄り切った。
3日目まで見せていた冷静さは感じられなかったものの、「相手もいるので、思い通りにいかないこともある」と言い、既に気持ちは切り替えているよう。
綱とり場所もまだ序盤。
「勉強しながらやっていきたい」とゆったり構えていた。
3日目から出場した高安が好内容で2連勝。
遠藤に差させず、距離を取りながらうまく横から崩し、「落ち着いて、しっかり厳しい相撲を取れた」と納得顔だった。
腰の痛みで数日、稽古をできなかったそうだが、「2日、3日で一生懸命に体をつくった。今は体調もいい」という。
三役で2場所続けて2桁白星を挙げている元大関の復調ぶりが頼もしい。
4日目の7日、御嶽海は西前頭3枚目・翔猿に押し出しで勝ち、連勝を3にのばした。
5日目の8日は遠藤と対戦する。
御嶽海は安定した相撲で快勝した。
翔猿の攻めを受けるも動じず、捨て身の蹴返しにも冷静に押し出した。
遠藤はここまで1勝3敗。
過去6場所では、御嶽海が2勝1敗と勝ち越している。
4日目、新三役の小結若隆景が、大関撃破で星を2勝2敗の五分に戻した。
得意のおっつけがさえ、大関正代を押し出し。
正代には、これで3月の春場所から3連勝で通算3勝1敗と、すっかりキラーぶりを発揮している。
4日目、今場所で幕内在位71場所目、幕内最年長の36歳となった東前頭10枚目玉鷲が、幕内で初の初日から4連勝。
「それは言わないでください」と年齢の話題は笑って受け流したが、23歳の琴ノ若を送り出しで下し、元気いっぱいだ。
2019年の初場所で初賜杯を手にしたこともあるベテランは衰え知らず。
「心、元気にしていい相撲を見せたいと思います」と笑顔で取材に応じていた。
2021/07/07
横綱白鵬が危なげない相撲で白星を挙げた。
押し相撲が武器の大栄翔相手だったが、鋭い踏み込みから勢いを止め、すくい投げを決めた。
「昨日(2日目)からスピードがあるような気がしますね。速い相撲だったと思います」と納得の表情を浮かべた横綱。
前夜は宿舎で夕食時に「気を抜かずに頑張っていこう」と若い衆に声をかけたという。
幕下の北青鵬の活躍などから力をもらい3連勝とした。
大関照ノ富士が初めてかいなひねりで白星を挙げ、初日から3連勝とした。
隆の勝とお互い頭を付け合い膠着(こうちゃく)状態になったところで、相手の左手首を取ってひねり、土俵上に転がした。
稽古場でたまに繰り出すそうだが、「場所で出るとは思わなかった。体が反応してくれた感じです。ギリギリのところで技が出るのは良かったと思います」。
稽古のたまもののようだ。
3日目、この日から出場した高安は逸ノ城を寄り切り、初日を出した。
場所直前に腰を痛めて初日から休場していた高安。
出遅れを感じさせない力強さで2日遅れの白星発進だ。
「ばたばたせず、頭を上げないように」と、立ち合いから前傾姿勢を崩さず勝機をうかがった。
最後は左が入り、体重200キロの逸ノ城を寄り切った。
土俵下の高田川審判長も「どこが痛かったんだろうというような相撲でしたね」と評する内容だった。
遠藤が大関撃破で初日を出した。
鋭い踏み込みから右をのぞかせると、素早く体を開いて正代を引き落とした。
先場所は千秋楽まで優勝を争い11勝。
今場所は返り三役を目前としている。
金沢市出身で名古屋は地元からほど近い。
「応援に応えられるように頑張ります」と、故郷のファンの期待を背負って土俵に上がっている。
前頭十枚目・玉鷲が前頭九枚目・英乃海を小手投げで下し、初日から3連勝を飾った。
これで幕内通算500勝となり、視聴者からは「おめでとう」「まだまだ若いね!」と祝福のコメントが続出した。
2021/07/06
5日、横綱・白鵬は平幕・遠藤を降した。
横綱のリズムが整い始めてきた。
6場所連続休場明けの白鵬は、遠藤を危なげなく退けた。
立ち合いは珍しくもろ手突き。
懐に入れたらうるさい相手だけに、距離を取って突き押しで圧力をかけた。
一度は前まわしに手を掛けられたが、素早く体を開いて体勢を崩させ、最後は左上手から出し投げを決めた。
「判断よく動けている。今日もスピードがあった」と自賛の内容だった。
照ノ富士が慌てることなく新小結の若隆景を下した。
初日に続く白星で綱とりの場所を順調に滑りだし、「落ち着いて取れたので良かった」と表情を変えずに話した。
序盤は動きの激しい攻防だった。
左の前回しを取られ、右も差される不利な体勢。
それでも落ち着いていた。
両腕で抱え込みながら、サッと左で上手をつかむ。
動きが止まると、態勢を整えて攻勢に転じ、左腕に力を込めながら前へ。
土俵際に追い詰め、そのまま休まず寄り切った。
大関貴景勝が名古屋場所3日目の6日、日本相撲協会に「頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアによる神経根症により1カ月間の休養加療を要する」との診断書を提出して休場した。
貴景勝は前日2日目の逸ノ城戦で、右四つに組み止められて力なく寄り切られると、土俵下で右肩付近を気にしながら、しばらく動けなくなる場面があった。
若者頭に車いすに乗せられ、左手で右腕を押さえながら花道を引き揚げた。
2日目の打ち出し後に電話取材に応じた師匠の常盤山親方は「思い切りいったら電気が走った。本当に痛がらない男なので心配」と説明していた。
打ち出し後は病院で診察し、自力で歩行できる状態だったという。
貴景勝の休場は今年1月の初場所以来。再出場して勝ち越さなければ、9月の秋場所はかど番となる。
3日目の対戦相手、新小結の明生は不戦勝となった。
正代が大栄翔を難なく下して2連勝発進。
過去5勝8敗だった相手を意識してしまい、立ち合いは3度目で成立したが、馬力自慢に当たり負けすることなく、押し込んでからの突き落とし。
「きのう、きょうと一歩目の出足が良く、踏み込めて体重がかけられている」と納得顔だった。
負け越した3月の春場所は初日に、かど番だった先場所は2日目に黒星を喫しただけに、「体もよく動いている。いいスタートじゃないか」と、表情は明るかった。
腰痛のため、初日から休場した関脇・高安が3日目の6日から出場することが5日、決まった。
平幕・逸ノ城との対戦が組まれた。
春、夏場所と三役で連続10勝し、一昨年九州場所で陥落して以来となる今場所後の大関復帰を目指したが、1日の稽古後に痛みが出て「急性腰痛症で約10日間の安静、休養が必要」と診断されていた。
大相撲名古屋場所2日目、小兵力士、炎鵬は貴源治との対戦で、取組続行不可能と判断されて無念の「不戦敗」となった。
十両以上の関取では初めてとなる、審判規則が適用された。
1月の初場所、幕下の取組で両力士の頭が衝突。
立ち合い不成立ながら一方の力士が脳振とう状態で立てなくなった問題を機に、日本相撲協会は同場所後に審判規則を一部変更。
「不戦敗」の項目を追加した。
2021/07/05
今場所に進退を懸けて土俵に上がった横綱白鵬が、辛くも白星発進した。
新小結の明生との一番は、左四つがっぶりになったがすぐには勝負を決められず。
土俵際に押し込まれる場面もある中、耐えて掛け投げで退けた。
6場所連続休場中で、3月には右膝を手術するなど不安要素を抱える。
それでも歴代最多44度の優勝を誇る横綱が、意地を見せる形で勝利をもぎ取った。
綱取りに挑む大関・照ノ富士は、先場所敗れた前頭筆頭・遠藤を寄り切りで下し、白星発進を決めた。
因縁の相手に会心の内容でリベンジを果たし、「落ち着いて取れてよかった」とうなずいた。
今場所は、昨年3月に無観客で開催された春場所以来、1年4か月ぶりの地方開催。
圧倒的な存在感を見せる大関は「久しぶりの地方ということで、自分がお客さんを盛り上げる立場になっていきたい」と力強く意気込んだ。
日本相撲協会審判部の伊勢ケ浜部長は、名古屋場所初日の4日、先場所12勝3敗で優勝同点だった大関貴景勝の綱とりについて「レベルが高い優勝。全勝優勝くらい」が求められるとの見解を示した。
横綱昇進の内規は「2場所連続優勝、もしくはそれに準ずる成績」。
内規通りなら先場所優勝の大関照ノ富士と同じく、貴景勝も今場所は綱とりに位置づけられるが、伊勢ケ浜部長は「ただ優勝すればいいというわけじゃない。レベルが高い優勝。全勝優勝くらい。そうすればそういう声も出るんじゃないの」と、終盤戦までの成績次第では機運が高まるとした。
前頭三枚目・翔猿が、前頭四枚目・琴恵光を蹴返しで下し、初日を白星で飾った。
素早い動きと巧みな技が持ち味の翔猿。
素早い出足で琴恵光に立ち合いからプレッシャーをかけると、相手の上体が浮き上がり、右足に体重がかかったところでタイミングばっちりの蹴返し。
強さ以上にバランスを崩すことに成功すると、琴恵光もたまらず両手を土俵につくしかなかった。
21場所ぶりに幕内に戻った宇良が、館内を沸かせた。
大奄美の喉輪にのけ反りながらも、うまく回り込んで突き落とし、土俵にはわせた。
右膝の大けがなどで番付を序二段まで落としただけに、故障につながるような相撲を取らないように気を付けているという。
白星スタートに「勝負になると、体が勝手に粘る方向にいく」と反省したが、久々に感じた幕内の熱気は格別だったよう。
「ここでまた、この位置で取れる喜びはある」とかみしめるように言った。
新入幕の一山本が、西前頭16枚目石浦をはりま投げで破って白星発進した。
立ち合いはもろ手つきで出たが、低く潜られて空を切った。
中に入られて不利な状況となったが、低い体勢となった石浦の頭越しに左上手を取り、土俵際に押し込まれながらも、右足一本で残って後方に投げた。
幕内の土俵ではりま投げが決まったのは18年春場所5日目の栃煌山以来で、令和になってからは初となった。
一山本にとっても人生初だったようで「人生最初で最後だと思う」と苦笑いしながらも、「とりあえず勝てたのはよかった。緊張したけど勝ててよかった」と安堵の表情を浮かべた。
午後1時の開場前から、入場を待つ長い列ができた。
2年ぶりに活気が戻った7月のドルフィンズアリーナ。
日本相撲協会の八角理事長は、初日恒例の協会あいさつで「名古屋で本場所を開催できることは協会員一同、喜びに堪えません」と言葉に実感を込めた。
芝田山広報部長は「感染を抑え、次の九州場所につなげていくのが大事なこと」と気を引き締める。
白星発進した正代は「違った感覚で相撲を取れた」と喜び、三重県出身の志摩ノ海は「久々なので気合が入っている」。
ファンだけでなく、力士も格別な思いを抱いている。
東十両14枚目・阿炎が、西十両14枚目・矢後を引き落としで下して初日白星。
1年ぶりに関取として立った土俵で、好スタートを切った。
立ち合い鋭く当たって前に出ると、土俵際で冷静に引き落とし。
取組後は「白星発進なのでうれしいです」と語った。
2021/07/04
大相撲名古屋場所初日を翌日に控えた3日、日本相撲協会の尾車事業部長が報道陣の電話取材に応じ、進退をかける横綱白鵬について言及。
「初日が大事」とポイントを挙げた。
大横綱にとっては、勝負となる名古屋場所。
これまで同様の強さを見せつけるか、それとも…。
尾車事業部長は「強い白鵬というか、一番番付の上に君臨する人ですから。できれば勝ち進んでいってもらって、綱の責任を果たしてもらえれば」と期待を口にした。
“史上最弱力士”西序ノ口24枚目の勝南桜が白猿に押し出され、初日黒星スタートとなった。
自身の持つ史上ワースト連敗記録は「98」に伸びた。
67キロの小兵相手に立ち合いから一方的に押し込まれ、なすすべなく土俵を割った。
1年4か月ぶりの地方開催となる大相撲名古屋場所は4日に、ドルフィンズアリーナで初日を迎える。
3日は場所前恒例の土俵祭りが行われた
。八角理事長(元横綱・北勝海)は、大雨による新幹線の運転見合わせで急きょ欠席したが、出羽海名古屋場所担当部長(元幕内・小城ノ花)らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス感染対策で一日の観客数上限は、収容人数の50%に当たる3800人で実施する。
今場所は横綱・白鵬が進退を懸けて出場する。
電話取材に応じた尾車事業部長は「(白鵬は)一番番付の上に君臨する。勝ち進んで、綱の責任を果たしてもらえたら」と期待を寄せた。
新型コロナウイルス感染拡大で本場所の中止や観客制限など大きな影響を受けている角界だが、意外なところにもその影響が及んでいる。
引退後も断髪式ができず、ちょんまげ姿の親方が目立っているのだ。
世代交代の時期とも重なり現役を引退する力士が続く中、コロナ下で今後の状況も見通せず困惑する親方衆は多い。
2021/07/03
5月場所にて発表させて頂きました、優秀番付につきまして、
一部の印刷物、ホームページ掲載のPDFにおきまして、
横綱の点数が「一一八一三点」と記載されておりました。
正しくは「一八一三点」です。
大変ご迷惑をおかけ致しまして誠に申し訳ございませんでした。
今後十分注意致しますので、宜しくお願い申し上げます。
優秀番付表はこちら
http://www.jtng.com/sumo_touoh/m_quizu/images/y_ban202105.pdf
2021/07/03
歴代最多44度の優勝を誇る横綱白鵬が進退を懸け、名古屋場所に臨む。
昨年3月の春場所で賜杯を抱いた後、6場所連続で休場。
2007年に新横綱として土俵に立った思い出の名古屋場所がくしくも正念場となる。
3月の春場所は途中休場し、右膝の内視鏡手術を受けた。
5月の夏場所は全休。
関係者によると、今場所前は、本場所を中継するNHKも含めてほとんどの取材を断った。
師匠の宮城野親方は、「気持ちが、開き直っている感じが見える」と言った。稽古を積んで体の張りも戻りつつあり、表情も明るいようだ。
綱獲りの大関・照ノ富士は初日に平幕の遠藤と対戦する。
緊張の綱獲り初日。
照ノ富士は難敵を迎えることになった。
過去の対戦は4勝5敗。
夏場所14日目の対戦では、土俵際の際どい勝負となり軍配差し違えで敗れた。
1年4カ月ぶりの地方開催。
取材に応じた師匠の伊勢ケ浜審判部長は部屋にケガを抱えている関取衆が多く、相撲を取る稽古が十分ではないと説明した上で「やれることをしっかりやり、結果はその後に付いてくる」と期待した。
3月の春場所、5月の夏場所を制しており、直近6場所で3回優勝と安定感は抜群。
師匠は審判部長として「優勝も2回続けているし、それに準ずる成績であれば十分可能性はある」と昇進の条件の見解を示した。
名古屋市上下水道局は2日、日本相撲協会においしい水道水「名水」を寄贈したと発表した。
名古屋場所の初日(4日)と中日(11日)に熱中症対策とPRで来場者に配られる。
名水は木曽川が水源で、木曽川流域の長野県木曽郡上松町出身の御嶽海は「うまい!!地元の水を力に変えて頑張ります」とコメントした。
関西学院大学は、2度の大けがを乗り越え、7月4日に開幕する大相撲名古屋場所で幕内復帰を果たした宇良関に、学長賞を贈ることを決定しました。
場所前のため、授与式は行わず、学長賞の授与が決まったことを宇良関に報告、宇良関からコメントをいただきました。
賞状代わりのクリスタルの楯と奨励金は場所後に贈ります。
■宇良関のコメント
「学長賞を授与いただき、たいへん光栄に存じます。この度、おかげさまをもちまして幕内に復帰することができ、場所に向けての更なる励みとなりました。いただいたご声援を力に変え、私からも相撲を通じてたくさんの方に元気や勇気を与えられるよう、一日一番を全力で取り組みたいと思います」
■村田治・関西学院大学学長のコメント
「2度の大けがで序二段まで番付を下げたにもかかわらず、不屈の闘志で幕内まで復帰されました。努力と鍛錬の賜物だと思います。コロナ禍のなか、母校関西学院大学の後輩たち、学生や教職員に大きな勇気を与えてくれました。その努力と頑張りに関西学院大学として、学長賞を贈りたいと思います」
元音羽山親方で元前頭光法の峯山賢一さんが、2日までに死去していたことが関係者への取材で分かった。
大相撲名古屋場所で進退を懸けて臨む横綱白鵬の兄弟子で、47歳だった。
関係者によると、峯山さんは新型コロナに感染し名古屋市内の病院に入院していた。
2021/07/02
大相撲名古屋場所を休場することが決まった関脇高安について、師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)が2日、報道陣の電話取材に応じ「急性腰痛症。ぎっくり腰みたいなもの」と、休場理由を説明した。
高安は2場所連続で10勝しており、今場所の成績次第では19年九州場所以来となる大関復帰の可能性があった。
高安が腰を痛めたのは前日1日の稽古後。
「歩くのに支障があった。本人も出たい気持ちがあったみたいだけど、昨日(1日)の夜遅くに(休場を)決めた」と師匠。
病院では加療10日間と診断されたという。
高安自身は腰の状態が回復すれば、出場する意向を示しているという。
現在は都内で治療中で、3日までに名古屋入りする予定。
田子ノ浦親方は「どの場所も大事だが、今場所はいろんな意味で大事だった。具合によってはいつ出るか、考えながらやっていきたい」と話した。
2021/07/02
大相撲の6場所連続休場中の横綱白鵬が進退を懸けるとしている名古屋場所に出場することが決まった。
取組編成会議前日の1日、報道陣の電話取材に応じた師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が明言した。
6月27日に宿舎のある愛知・豊田市に移動した。
同28日から稽古を再開し、平幕の石浦や十両炎鵬ら関取衆と相撲を取る稽古を行ってきたという。
「普通通りに稽古している。徐々に上がっている」と白鵬の現状を説明。
3月の春場所を途中休場し、右膝の手術を行った当時と比べると「前の体に戻ってきた感じはある。最初の1カ月間ぐらいはお尻がしょんぼりしていた。今は肉が張っている」と仕上がっているようだ。
大相撲名古屋場所で大関返り咲きに挑む関脇高安が1日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じた。
8月1日付で独立する荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸を借りる最後の機会だったとし「気を引き締めていい稽古ができた。感謝の気持ちでいっぱい」と実感を込めた。
同じ茨城県出身で背中を追ってきた兄弟子と20番。
「(通算)1万番以上やっていると思う。15歳で入門してから稽古をつけていただいているので、その時のことを考えながら身を入れて精いっぱいやることができた」と感慨に浸った。
2日に名古屋入りする予定という。
新三役の小結若隆景が1日、名古屋市内の部屋で十両若元春、新十両荒篤山と申し合い稽古を行った。
稽古後、電話取材に応じ、「体調自体は悪くない」と語った。
直前まで東京で調整し、前日6月30日に新しい名古屋の宿舎に入った。
コロナ禍による異例の地方場所調整ながら「しっかり稽古して、しっかり体調管理して場所に向けて準備したいと思います」と気を引き締めた。
初日へ向け力士たちが続々と名古屋へ移動している中で1日、武蔵川部屋は感染対策としてチャーターした大型バスで力士ら15人で出発した。
今回は「相撲列車」として風物詩になっている新幹線での団体移動はなく、白鵬は先月27日に名古屋に入り、高安は2日に移動を予定など各部屋ごとに移動。
新幹線利用以外にも、自家用車に分乗するなど各部屋が感染対策を実施している。
大須商店街に部屋がある武蔵川親方(元横綱武蔵丸)は「新幹線の方が楽だけど、コロナに感染したら全員アウト。無事に病気、けがなく終えられたら。部屋と稽古場の往復だけで相撲に集中させる」と徹底。
「久しぶりに外へ出るから、緊張してるよ」と話した。
2021/07/01
チャンスを目の前に悠然と構えている。
6月21日の新番付発表の記者会見。
綱とりが懸かる名古屋場所への気負いを問われた照ノ富士が、ふっと表情を緩めた。
「(自分は)いつも緊張してますか?」と聞き返した後、「あまりしていないと思う」。
にやりと笑う姿から自信が垣間見えた。
相撲を取る稽古は、古傷を抱える両膝の具合を見ながら慎重に。
その分、土俵周りでの筋力トレーニングなどでみっちり汗を流し、「人より3倍ぐらい、という気持ちでやっている」と言い切る。
今できることを精いっぱいにこなす日々だ。
「稽古でやってきたことしか出ないから、準備が一番大切」。勝負の場所へ、無心で力を出し尽くすことを肝に銘じている。
大相撲名古屋場所を新小結で迎える明生が30日、名古屋市内の宿舎で稽古を行い、代表の電話取材に応じた。
鹿児島県奄美大島出身。
「毎日食べてます」という地元から送られてきたパッションフルーツで暑い名古屋を乗り切る。
1年4カ月ぶりの地方場所となる名古屋へ足を踏み入れたのは27日。
名古屋は2年ぶり。
すでに稽古を再開している明生は、「本当に久しぶりの名古屋の宿舎での稽古はすごい新鮮な感じ」と新たな気持ちで豊昇龍、天空海と申し合いを重ねている。
暑さを乗り切る源は7月にも世界自然遺産に登録される地元、奄美大島特産のパッションフルーツ。
意外にも「唯一食べられる果物」だ。
「(ほかの果物は)全部駄目っすね。ただパッションフルーツだけはすごいおいしいって感じで食べてます。真っ二つにして、中に種が入ってるんで、果実と種ごと食べるみたいな。暑い時期に届きますね。この時期にいっぱい送られてきます」とベータカロテン豊富な果物が貴重なビタミン源となっている。
今場所は早々に横綱戦が組まれる。
過去、白鵬と鶴竜との対戦があるが未勝利。
横綱戦初勝利へ向けて「集中して相撲を取りたいと思います。久しぶりの名古屋場所なので、名古屋のみなさんの前で頑張りたいなという気持ちです」と新三役場所へ意気込んだ。
大相撲名古屋場所の会場であるドルフィンズアリーナ内が30日、報道陣に公開された。
2年ぶりの開催となる名古屋場所は、コロナ禍のもと開催される初の地方場所。
そのため新型コロナウイルス感染防止対策に万全の対策が施されている。
マスク着用、消毒はもちろん、網戸を設置して窓は全て開放、さらには升席下に大型扇風機を16台設置するなどした。
会場外には民間の救急車も2台配備された。
名古屋場所担当部長の出羽海親方(元幕内小城ノ花)は「換気と、密にならないようにやっている。初めてのことだから慎重に準備を進めていきたい。感染防止対策をしっかりやっていくので、お客さまには安心して見にきていただきたい」と話した。
また、同日、会場の名古屋・中区のドルフィンズアリーナで、感染対策が発表されました。
入場者数は、会場の収容人数の50%にあたるおよそ3800人に抑え、4人用のマス席を2人で使用したり、イス席は座席の前後左右を空けて、密にならないようにします。
また体調不良者が出たときのために、民間の救急車両を配置し、医療機関へ搬送する体制を取ったり、巨大な扇風機16台を設置して、会場内の換気にも力を入れます。
「感染防止対策をしっかりやっているので、(観客には)安心・安全に相撲を楽しんで欲しい」(出羽海親方)
2021/06/30
大相撲の横綱・白鵬の主治医で、整形外科医の杉本和隆氏がこのほど、スポーツ報知のオンライン取材に応じた。
進退を懸けるとしている名古屋場所へ向けた調整は「想定よりは優秀」と評価。
3月の右膝手術も執刀した同氏は、出場に関して「変なこと(アクシデントなど)をやらない限りは間に合うと思う」との見通しを示した。
若隆景(荒汐部屋)が新三役の小結に昇進して名古屋場所に挑む。
1メートル82センチ、130キロと幕内力士の中では小柄ともいえる体格ですが、強い足腰と「おっつけ」(手から肘を使って相手の腕やわきの下を絞り上げるように押しつける技)を武器に、3月の春場所に10勝、5月の夏場所に9勝を挙げてともに技能賞を獲得。
祖父の若葉山(昭和20年代から30年代に活躍した)の最高位・小結に並んだ。
7月4日の初日に向け、大相撲名古屋場所(愛知・ドルフィンズアリーナ)の開催準備が着々と進んでいる。
新型コロナウイルスの感染拡大により、大阪での昨年春場所を最後に1年4カ月も遠ざかっていた地方場所。
軽やかな寄せ太鼓の音が鳴り響くのを、多くのファンが心待ちにしている。
2021/06/29
名古屋場所の担当部長を務める出羽海親方が25日、名古屋城の「金シャチ」に触れ、2年ぶりの名古屋場所の成功を祈願。
25日、名古屋・栄で行われている「金シャチ特別展覧」の会場を訪れ、もともと城を火災から守る厄除けの意味がこめられていたと伝わる金のしゃちほこに、新型コロナの退散と名古屋場所の成功を祈願した。
出羽海親方は「金シャチが疫病退散ということで、名古屋場所がコロナに負けないように無事に開催でき、また無事に千秋楽を迎えられればなと思いまして、やってまいりました」と述べた。
1位 貴景勝 3320票
2位 照ノ富士 2329票
3位 朝乃山 2233票
4位 遠 藤 2221票
5位 若隆景 1923票
6位 大栄翔 1906票
7位 隆の勝 1887票
8位 明瀬山 1621票
9位 翔 猿 1539票
10位 正 代 1462票
第10回大相撲総選挙の結果はこちら!
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/election/
閉鎖された旧東関部屋に埼玉・所沢を拠点としていた二子山部屋が移転し、5月1日に始動した。
葛飾区は2016年、地域活性化などを目的として相撲部屋の誘致を発表し、2018年、同地に東関部屋が開設。
2019年12月に先代東関親方(元前頭・潮丸)が死去し、元小結・高見盛が部屋を継いだが、4月1日付けで閉鎖された。
二子山親方は「葛飾区には九重部屋もある。関取もたくさんいる大きい部屋で、それに比べると二子山部屋はまだ若い部屋。強くて人間的にもしっかりとした力士をどんどん増やして、九重部屋と一緒に葛飾区を盛り上げていきたい」と意気込む。
2021/06/28
大関正代は22日、相撲記者クラブの電話取材に応じ、名古屋場所に向けて「かど番を脱出したことで、伸び伸びと相撲が取れたらいい。優勝争いにも加わりたい」と意気込みを示した。
23日、新型コロナウイルスのワクチン接種のため東京・墨田区の両国国技館を訪れた。
厳罰を受けてから公の場に姿を見せるのは初めてで、報道陣の質問に対して「大変申し訳ありません。今は何もお話しすることができません。すいません」とだけ話して去っていった。
人気の業師、宇良が2017年九州場所以来、21場所ぶりに幕内の土俵に戻ってくる。
報道陣の電話取材に応じ「一方的にやられるのではなく、ちゃんと相撲を取って、勝ち越しを目指して勝負したい」と意気込みを語った。
22日は29歳の誕生日だった。
誕生日プレゼントに欲しい物を聞かれ「締め込みを新調したい。色はあの色(本場所で締めているピンク色)でいいです。新十両から(この色で)結構頑張っているので」と答えた。
21日に引退と年寄「春日山」襲名を発表した大相撲の元関脇・勢(34)=本名・東口翔太、伊勢ノ海部屋=が25日、リモートで会見し「やれるだけのことはやって納得している。気持ちもすっきりしています」と心境を述べた。
また、女子ゴルフの比嘉真美子(27)が23日、大相撲の夏場所後に現役を引退した元関脇勢の春日山親方(34)との婚約を昨年末に解消していたことを明らかにした。
綱とりに挑む大関の照ノ富士にうれしい援護だ。
自動車販売業のグッドズピード社(本社・名古屋市東区、加藤久統社長)が25日、新しい化粧まわしを制作し贈呈すると発表した。
化粧まわしは『気』という文字をモチーフにデザイン。
照ノ富士が最高位の横綱、同社がスポーツタイプ多目的車(SUV)販売台数日本1位を目指すという経営ビジョンを掲げているということで日本一高い富士山と、縁起物の鶴も描かれている。
7月10日前後に完成予定で、名古屋場所の後半に着用予定という。
自衛隊を経て再入門した異色の経歴を持つ大相撲の元関脇・玉ノ富士で、先代片男波親方の大野茂(おおの・しげる)さんが21日に大分県内の病院で肝臓がんのために死去した。
24日、日本相撲協会が発表した。
71歳だった。
葬儀・告別式は家族葬にて執り行われた。
2021/05/25
貴景勝は最後まで見せ場をつくったものの、賜杯を手にすることはできなかった。
本割では、立ち合いで強く当たって照ノ富士の体を起こすと、突き落としで巨体を転がした。今場所ずっと独走を許していた相手を千秋楽でようやく捉えたが、決定戦では先手を取れないまま苦杯。万雷の拍手の中で突っ伏し、立ち上がって天を仰いだ。
自力で逆転優勝の可能性を引き寄せたが、あと一歩届かず。顔をしかめながら花道を引き揚げた。悔しさはいかばかりか、取材には対応せずに国技館を後にした。
ただ、横綱は不在、大関朝乃山が途中休場となる中、大関として最後まで重責を果たした。
大相撲夏場所千秋楽から一夜明けた24日、2場所連続、大関として初の優勝を果たした照ノ富士がリモートでの記者会見に臨み、「大関での優勝がないと、次の番付が見えてこないと思っていた」と喜びを語った。
今場所は安定した強さを発揮し、13日目まで1敗で単独トップ。
しかし14日目、千秋楽と連敗し、貴景勝に3敗で並ばれた。
優勝決定戦の一番を振り返り、「体に任せた。一生懸命、全力を出し切ることを考えた。自分を信じてやった」と無心を貫いた相撲だったことに胸を張った。
7月の名古屋場所は綱とりが懸かる。
両膝のけがや病気などで序二段まで陥落する苦労を味わっただけに気負うことはなく、「できなかったら、できなかったでいい。力を振り絞って最後までやりたい」。
淡々とした口調の中に最高位への思いをにじませた。
大相撲の横綱審議委員会の定例会合が24日、東京・両国国技館で開かれた。
横審の矢野弘典委員長は夏場所で大関初優勝を果たした照ノ富士について「どん底まで落ちて、よくここまで戻ってきたなということで、称賛の言葉があった。ファンの心をつかんだんじゃないか」とねぎらった。
また、照ノ富士が優勝後のインタビューで「一日一番のつもりで土俵に務めていましたので、それがこうやって優勝につながったかなと思います」などと話していたことを受けて「浮かれたところがまったくなくて好感が持てた」と評価。
綱取りとなる名古屋場所に向けては「横綱を目指す場所になる。他の大関も含めましてみんなで競い合ってほしい」と期待を寄せた。
幕内後半戦の審判長を務めた藤島審判長は、名古屋場所の成績次第で関脇高安が大関に再昇進することを示唆した。
高安は小結だった初場所で10勝を挙げ、今場所も10勝を挙げた。
大関昇進の目安は「三役で3場所33勝以上」で、同審判長は「13勝以上で優勝なら、そういう話しも出るんじゃないですか。今までの大関もそうやってきた。そういう地位ですから」と話した。
千秋楽、御嶽海は腰を落としながらもろ差しになり、巨漢の逸ノ城を押し出しで下した。
「当たって中に入って、自分の相撲ができた」と納得の一番。
昨年7月場所以来の2桁白星を挙げて、大関とりの足がかりを作った。
「いろんな人に先を越されて悔しさはある。上に行く意識で引き締めていきたい」と大関の地位を意識した。
来場所の新三役が確実となっている若隆景が、二場所連続二度目の技能賞に輝いた。
千秋楽は東前頭十二枚目、琴恵光に敗れて九勝六敗となり、二場所連続の二桁勝利は逃した。
それでも、二大関を破るなど好成績を支えたおっつけの技術が、三賞選考委員会で評価された。
春場所に続いて技能賞のトロフィーを手にした若隆景関は「自分でも力が付いたと思うし、自信につながる。来場所も自分の相撲を見せられるように頑張りたい」と語り、名古屋場所での活躍に意欲を示した。
約3年半ぶりの幕内復帰を確実にしている宇良が十両優勝で花を添えた。
立ち合いで潜って武将山の右脚を取り、そのままもろ差しになって寄り切り12勝3敗。
2017年九州場所以来の幕内返り咲きとなる来場所へ「力を出し切れるように頑張りたい」と控えめに意気込みを示した。
2019年以来2年ぶりに名古屋市で開催を予定する大相撲名古屋場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ)に向けて、主催する日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)と中日新聞社の大島宇一郎社長が24日、東京・両国国技館で会談を行った。
昨年の7月場所は東京開催だった。
地方場所開催は大阪で行われた昨年春場所以来、観客を入れての開催は2019年九州場所以来となる。
代表取材に応じた八角理事長は「昨年は東京開催となり、名古屋の皆さまは残念だったかと思います。今年は感染対策を万全に行い、安心、安全な会場で、迫力ある大相撲をご覧いただければと思っております。まずは名古屋場所を再開し、成功させ、各地で相撲文化が廃れないようにしていきたい」と話した。
2021/05/21
夏場所直前、キャバクラ通いが報じられた大関朝乃山関に対し20日、「3場所連続出場停止」以上の厳罰が下る可能性が高まり、大関陥落は避けられない見通しとなってきた。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反に関し、当初は否定していたが一転させ報道内容を認めた。
協会幹部からは怒り、批判の声が相次いだ。
部屋で「謹慎」措置となり12日目から休場。
故郷富山の親しい関係者に電話で号泣して謝罪を繰り返したことも分かった。
激しい突き合いの最中、大関貴景勝の右膝がガクンと折れた。
黒星がちらつきかけたが、なんとか持ちこたえた。
勝利への執念を見せ、再び攻勢に出る。
最後は192センチ、200キロの巨漢逸ノ城を押し出した。
照ノ富士との差は1のまま。
まだ直接対決を残しており、自力での優勝の可能性を残している。
「一生懸命、一日集中して、明日からもやっていきます」。
照ノ富士との対戦の前に負けるわけにはいかない。
かど番の正代が苦しみながら7勝目を手にした。
隆の勝の厳しい攻めを受けて後退したが、左からのすくい投げで逆転し、「よく対応できた。最後まで諦めなかったのがよかった」と胸をなで下ろした。
8日目から3連敗するなど苦しんだが、ようやく勝ち越しに王手。
「早く心を落ち着かせたい。あと一つしっかり勝って、そのまま最後まで気を抜かないようにできたらいい」と気持ちを奮い立たせた。
前日に相手のまげをつかんでしまったことによる反則負けを喫した大関照ノ富士は、阿武咲と対戦し、寄り切って優勝争い単独トップとなる1敗を守った。
関脇高安は、対戦相手の大関朝乃山が休場したため、不戦勝により勝ち越しを決めた。
相手の休場を知ったのは、この日の稽古後だったという。
昨年11月場所の三役復帰から4場所連続の勝ち越しとなった。
先場所は小結で10勝。
今場所も10勝以上の白星を重ねて“再”大関とりの足固めとしたい。
「(残り3日間は)精神的にリラックスして、メリハリをつけて自分の相撲を取りきりたい」と意気込んだ。
1敗で優勝争い単独トップの大関 照ノ富士が平幕の逸ノ城と対戦します。
横綱不在の夏場所の優勝争いは1敗の大関 照ノ富士が単独トップで、2敗で大関 貴景勝、3敗で平幕の遠藤が追う展開です。
13日目の21日、照ノ富士は前頭6枚目の逸ノ城とモンゴル出身どうしの一番です。
照ノ富士が過去7勝2敗としていますが、この1年は対戦がありません。
照ノ富士としては、重さのある逸ノ城を相手に古傷のひざに負担がかからないような相撲を取りたいところです。
逸ノ城は、身長1メートル92センチ、体重200キロの体格をいかして大関から白星をもぎ取りたいところです。
結びの一番では大関 貴景勝が前頭8枚目、遠藤の挑戦を受けます。
過去の対戦では貴景勝が7勝3敗と勝ち越しています。
貴景勝は遠藤のうまさや粘り強さに足をすくわれることなく、照ノ富士との直接対決までは白星を重ねていきたいところです。
このほか角番脱出へあと1勝の大関 正代は平幕の宝富士と対戦します。
大関朝乃山について、日本相撲協会の八角理事長が組織の最高責任者として、謝罪の言葉を述べた。
結びの一番の、3番前から始まる報道陣の電話取材に対応。
報道陣の問い掛けの前に「(朝乃山の件について)こちらから」と発した後に「本当に申し訳ないと思っています。(取組が)1番、なくなるわけですしケガとか(が不戦勝負の理由)なら仕方ないけれど」とし「詳しくは広報部長に聞いてください」と続けた。
さらに報道陣からの「4大関の1人がいなくなるわけですし」という問い掛けに「お客さんに本当に申し訳ない。こういうこと(を起こしたこと)で自覚が足りないというか…。お客さんに対して本当に申し訳ない」と謝罪の言葉を並べた。
西十両2枚目の宇良は離れて取る千代の海に対して頭を下げて慎重に攻め、相手の引きに乗じて前に出た。
土俵際で体が泳いだが、何とか押し出し、「紙一重の勝負だったと思う」と胸をなで下ろした。
膝のけがに苦しみ、一時は序二段まで落ちた人気力士。
9勝目を挙げ、来場所は21場所ぶりの幕内復帰が濃厚になったが、「それは場所が終わってからの結果の話。あと三つ、白星を重ねられるように頑張りたい」と気を緩めることはなかった。
2021/05/20
大関朝乃山が12日目の20日、日本相撲協会に休場を届け出た。
19日、週刊文春のウェブ上で、夏場所直前、キャバクラ通いが報じられた。
新型コロナウイルス対策のガイドライン違反の疑いがあり、日本相撲協会の聞き取りに対し、一部を認めていた。
当初は「事実無根」と完全否定していたが、19日の再調査では改める回答。
虚偽報告の疑いもあり、場所後の理事会で厳罰が下る可能性がある。
朝乃山は11日目まで7勝4敗と勝ち越しに王手をかけていたが、負け越しは確実で来場所が、かど番。
処分次第では大関陥落の危機となる。
度目の賜杯を抱くためには、貴景勝にこれ以上の負けは許されない。
「一生懸命やるだけ」との姿勢は不動。重圧を背負いながらも、厳しい攻めで高安をはね返した。
好調の相手との一番には、「気持ちで負けないように」との一念で臨んだ。
顔面に激しい突きを何度も受けながら、はね上げるようにして応戦。
前に圧力をかけて高安のバランスを崩し、好機を逃さずに送り出した。
先場所は千秋楽で照ノ富士に敗れ、目の前で優勝を決められた。
その悔しさは、今も胸の奥にあるだろう。
朝乃山、正代の両大関が本調子とは言えない中、「とにかく集中してやるしかない」。
独走を許すまいと、必死に白星を重ねている。
照ノ富士によもやの反則負けによって土がつき、直接対決を残す貴景勝に自力優勝の可能性が復活。
ただ、八角理事長が「同じ大関でも、今の貴景勝と照ノ富士には力の差がある。一つの差はなかなか重い」と言うように、逆転への道のりは平たんではない。
「また、あしたの相撲に集中したい」と貴景勝。短い言葉に決意を込めた。
正代が4日ぶりの白星。
馬力のある阿武咲に当たり負けせずに圧力をかけ、休まずに前進して勝負を決めた。
本来の攻めを発揮し、「立ち遅れずに(体を)ぶつけることができた。久しぶりにああいう相撲が取れた」と納得の口ぶりだった。
初日から10連勝していた大関照ノ富士が、平幕の妙義龍に反則負けで初黒星を喫した。
力強い小手投げ。照ノ富士は妙義龍を土俵にたたきつけ、どうだと言わんばかりの表情を浮かべた。やっぱり強い。
観衆も拍手に加え、ため息を漏らしたほどだ。しかし、それもつかの間。物言いがつき、国技館がざわついた。
土俵上で繰り広げられる協議を、じっと見詰める照ノ富士。
戸惑い、いら立ち。その表情はいつもと違った。そして、まさかの結末が待っていた。
「まげをつかんで引っ張っており反則」。行司の差し違えで妙義龍の白星となったのだ。
21歳の豊昇龍を圧倒して7勝目を挙げた。
右からのおっつけが強烈で、2大関を撃破して勢いに乗る相手に何もさせなかった。
文句なしの相撲ぶりだったが、取組後は表情を変えることなく、「下からいい攻めができた。よかったと思う」と冷静に言った。
遠藤が難敵を退けて2敗を守った。
立ち合いで千代大龍の強烈な当たりにのけ反ったが、直後の引きにも耐えて逆襲開始。
横へ動きながら引いてくる相手を逃さず押し出した。
5連勝で9勝目を挙げてトップの照ノ富士とは1差。
逆転優勝へと望みをつなげる白星をつかみ取った。
12日目は琴恵光と対戦する。
19日に初黒星を喫したものの依然として単独トップの大関・照ノ富士は、平幕、阿武咲と対戦します。
夏場所は大関に復帰した照ノ富士が盤石の相撲を続けてきましたが19日、妙義龍との一番でまげをつかんで引っ張る反則負けで今場所初黒星となりました。
1敗で依然単独トップの照ノ富士を2敗で大関・貴景勝と平幕の遠藤が追っています。
12日目の20日、照ノ富士は平幕の阿武咲の挑戦を受けます。
過去の対戦成績は照ノ富士の1勝4敗と合い口が悪い相手です。
右四つに組めば照ノ富士が優位ですが、過去の対戦では阿武咲の出足を止められずにもろ差しを許すなどして敗れる相撲がたびたびありました。
どちらがしっかりと踏み込んで有利な体勢を作れるか、立ち合いが勝負を決めそうです。
2敗で追う貴景勝は、平幕の逸ノ城との対戦です。
過去の対戦成績は貴景勝の7勝3敗ですが、逸ノ城もおよそ200キロの巨体に加えて今場所は前に出る圧力があり、ここまで3敗と好調です。
貴景勝としては立ち合いの当たりで相手を突き起こし、一気に前に出て勝負を決めたいところです。
一方の逸ノ城は、組み止めて胸を合わせる展開に持ち込めば勝機があります。
平幕でただ1人2敗の遠藤は、琴恵光と対戦します。
スピードのある相手だけに遠藤としてはまわしを引いて四つ相撲に持ち込みたいところです。
2021/05/18
白星を先行させても、朝乃山の表情がさえない。
阿武咲に土俵際まで押し込まれる場面もあり、「また立ち合いが駄目だった。上体が起きて、押されてしまった」と首をひねった。
今場所は平幕相手に4敗するなど、本調子とは言えない状態が続く。
「相撲内容はあまりぱっとしないが、しっかり元気な相撲を取りたい」と気持ちを奮い立たせた。
自身にとって、一番の難敵と言える相手を下した。
物言いがついた高安との際どい一番で、苦しみながら白星をつかんだ照ノ富士。
少し険しい表情で勝ち名乗りを受けた。
照ノ富士9連勝、貴景勝2敗 大相撲夏場所9日目
今場所、盤石の相撲を見せてきた大関が初めて苦戦した。
大きな体を前傾させてまわしを狙っても、高安に突き放される。
頭を押さえ込まれ、バランスを崩しかけたところで前に出られたが、何とかこらえてはたき込み。
「残った感覚があった」と言う。
軍配通りの決着となった。
高安には、幕内に復帰した昨年7月場所から4戦全敗だった。
この日も、自分の相撲は取らせてもらえなかったものの、「我慢してよかった」という短い言葉に安堵(あんど)感がにじむ。
幕内で無傷の9連勝は、大関だった2015年秋場所以来。
この場所で右膝を痛めてけがとの闘いが始まった。
序二段まで落ちた後、劇的な復活劇を見せ、元の地位まで戻ってきた。
貴景勝が敗れ、後続とは2差に。
まだ中盤戦ながら、このまま独走しそうな雰囲気が漂う。
果たせていない大関としての優勝へ、大きな弾みがつく1勝になった。
大相撲夏場所9日目は17日、両国国技館で行われ、御嶽海は若隆景を上手投げで破った。
注目の一番はあっという間に決着が付いた。
立ち合いで御嶽海が左に変化。
今場所2大関を倒している若隆景が土俵に前のめりに落ちた。
熱戦を期待した館内からは「あー」というため息。
消化不良感を残しつつ御嶽海が2敗を守った。
若隆景は母校・東洋大の2学年下の後輩。
今場所前には「今は勢いで上がってきている。ずっと上位にいる力がついていけば、すごいなと注目するけど」と辛口の評価をしていた。
先場所まで3戦3勝と苦にしていたわけでもない。
受けて立つべき相手に変化し、ばつが悪かったのか、報道陣の取材に応じなかった。
土俵下で見守った藤島審判長(元大関武双山)は「2敗で勝ちたいのでしょうけど、これからのことを考えるとよくない。いいものを持っているんだから」と苦言を呈した。
御嶽海は決して注文相撲が多い力士ではない。
ただ、どうしても勝ちたい場面でたまに変化することがある。
優勝した令和元年秋場所では14日目に変化し、勝利を手にしている。
今場所は貴景勝や正代を倒すなど、この日で7勝を挙げ、2桁勝利が見えている。
全勝の照ノ富士ともまだ2差で、逆転優勝の目がないわけではない。勝利への貪欲さが相撲に表れたとプラスに捉えるべきか。
8日目に正代を会心の相撲で破った後には「自分の持ち味の前に出る相撲を取っていけば、後半戦も前半戦同様に取れると思う」と話していた。
残り6日。そんな理想的な内容で優勝戦線に食らいついてほしい。
豊昇龍が連日の大関撃破。
正代にもろ差しを果たすと、右から外掛けを決めた。
「大関は力が強いので、絶対に差されないようにと思っていた。体の反応が良かった」と笑顔。
朝乃山戦と同様に鮮やかな足技を披露した。
4日連続で組まれた大関戦が終わり、「大変だったが、いい勉強になった」と言う。
おじの元横綱朝青龍の反応はやはり気になるようで、「見ていると思うから、怒られないようにいい相撲を取りたい」と気を引き締め直した。
前頭6枚目の逸ノ城(28)=湊=が、隠岐の海との2敗対決を制して7勝目。優勝戦線に食らいついている。
得意の右四つから堂々の寄り。
「自分の形になったんで出るしかないと思って。自分から前に出る、相手に圧力をかける、体を生かした相撲を取りたい」といい、200キロの巨体を武器にする。
ただ、今の番付はまだ通過点。
「早く(上位に)戻りたい」と貪欲に勝ち進む。
前頭14枚目の千代大龍(32)=九重=が、十両の白鷹山を寄り切って2敗を守った。
2011年の技量審査場所で初土俵を踏んだ同期生。
「ちょっと負けたくないという気持ちはありました」と気合が入った。
優勝争いにも加わっているが、まずは勝ち越し。
「立ち合いで変化せず、中途半端な当たりで引くこともなく、土俵際も動いて動いて最後まであきらめずというのが白星につながっている」と乗っている。
大相撲夏場所は10日目、ただ1人9連勝で優勝争いを独走する大関・照ノ富士は、平幕の霧馬山と対戦します。
夏場所は大関に復帰した照ノ富士がきわだった集中力で白星を重ねていて、きのうは苦手としていた関脇・高安との一番を物言いがつく際どい相撲で制しただ1人9連勝としました。
1敗はいなくなり、大関・貴景勝と小結・御嶽海など5人が2敗で追う展開です。
10日目の18日、照ノ富士は平幕の霧馬山との対戦で、過去の対戦成績は照ノ富士の2戦2勝です。
照ノ富士としてはしっかりまわしを引きつけ前に出ていけば万全で、終盤戦に向けて平幕相手に確実に白星を挙げたいところです。
霧馬山は勝機を見いだすため、頭をつけて前みつを取るなど有利な体勢を作ってしぶとく食らいついていくしかありません。
17日敗れて2敗に後退した貴景勝は、同学年で小学生のころからライバル、阿武咲との対戦です。
過去の対戦成績は貴景勝の6勝3敗です。
阿武咲は貴景勝と同じく押し相撲を得意とするだけに激しい突き押しの応酬が予想されます。
どちらがより低い体勢で下から突き上げていけるかが勝負の鍵を握りそうです。
2敗の御嶽海は、大関・朝乃山と対戦します。
過去の対戦では御嶽海が6勝4敗とリードしています。
御嶽海は、三役以上との対戦は今場所最後で優勝争いに残るためには大事な一番です。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)9日目の17日、東小結・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭筆頭・若隆景(荒汐部屋)に上手投げで勝った。
連勝を3に伸ばし、星を7勝2敗とした。
10日目の18日は勝ち越しを懸け、東大関・朝乃山(高砂部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いで左に変化し、頭から突っ込んできた若隆景をかわすと、上手をつかんで投げを打った。
朝乃山はここまで5勝4敗。
過去6場所では5場所対戦し、御嶽海が3勝2敗と勝ち越している。先場所は朝乃山に軍配が上がった。
元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が、おいの活躍を喜んだ。
9日目打ち出し後の午後7時すぎ、ツイッターで「今日また大関食ったらしいな。ダイジスト見ます。勢いに乗ってがんばれー♪」(原文のまま)。
その約1時間後には「今相撲見ました。いいんじゃない? がんばれ」と連投した。
おいの豊昇龍はこの日、大関正代を外掛けで破った。
8日目は朝乃山に内掛けを決めており、2日続けて足技で大関を連破。
NHKのインタビュールームに呼ばれて、おじの朝青龍について聞かれると「多分、見ていると思いますけど、怒られないようにいい相撲を取りたいです」と話していた。
2021/05/17
平幕・豊昇龍が大関・朝乃山を内掛けで破った。
立ち合いから低い姿勢で当たり、すぐに右を差す。
がっぷり四つに組まれたが、右で投げを打って揺さぶり、右足を相手の左足に絡め大関をあおむけに倒した。
前日の貴景勝戦は、立ち合いで右に変化し墓穴を掘った。
結果よりもその取口に「相撲を安易に考えすぎている」と“おかんむり”だった八角理事長(元横綱・北勝海)もこの日は一転。
「やればできる。こういう相撲ですよ、将来を思えば。勝って自信になると思う。大関をあおむけにしたわけだから。跳んだり跳ねたりするんじゃなくて、苦労して前みつを取るとかね。そういう相撲を取れば、勝っても負けても将来につながる」と評価した。
大関の貴景勝(24)=常盤山=が危なげない相撲で7勝目を挙げ、1敗を守った。
過去12戦全勝と合口のいい妙義龍(34)=境川=相手に、力強く当たり押し込んでから、タイミング良くはたき込んだ。
「集中することだけを考えてやりました」と普段と同じような言葉を発し「明日も相撲に集中して、(白星を)毎日積み重ねていくだけだと思います」と言い、引き揚げた。
鋭い踏む込みから、どんどん前へと出る。
照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=の圧力に、大栄翔(27)=追手風=は何もできない。
相手の突き押しも意に介さず、あっという間に土俵外へと押し出した。
「思い切ってやることだけを考えていました。足がよく動いてくれたんでよかったです」。
納得の一番で唯一人、初日から8連勝。
「別に意識していない」と涼しい顔だが、2015年秋場所で11連勝して以来のストレート給金だ。
先場所で優勝し、21場所ぶりに大関に復帰。
4大関となったが、ここまでの取り組みを見ると、力は群を抜いている感じだ。
八角理事長(元横綱北勝海)も「悪い相撲がない。自分から攻めているというのかな。そういう印象です。強い所しか見せてない。前に出れば圧力があるから、安定感がある」と認める。
9日目は高安(31)=田子ノ浦=戦。
通算で7勝12敗と合口が悪く、最近も4連敗中で天敵ともいえる。
だが、今場所は死角らしい死角もなく、充実している。
「一生懸命やるだけなんで」。
前に出る相撲で、最初の難関も突破してみせる。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)中日の16日、東小結・御嶽海(出羽海部屋)は東大関・正代(時津風部屋)に押し出しで勝った。
今場所2度目の連勝で、6勝2敗で折り返した。
9日目の17日は、東前頭筆頭・若隆景(荒汐部屋)と戦う。
御嶽海は、正代の左差しをものともせずに圧倒した。立ち合いに踏み込みよく当たり、左はずで起こすと、右から挟み付けるように一気に土俵の外に運んだ。
若隆景は5勝3敗。直近6場所は3度の対戦が組まれ、戦績は御嶽海の3勝となっている。
大相撲夏場所7日目 琴恵光の結果です。
延岡市出身、前頭12枚目の琴恵光は、前頭14枚目の千代大龍に寄り切りで敗れ、4勝3敗となりましました。
16日は、大奄美との取り組みです。
大相撲夏場所8日目は16日、東京・両国国技館で行われた。
元横綱・朝青龍のおい、豊昇龍が大関戦初勝利を挙げた。
朝乃山を内掛けで倒し、「いい立ち合いだった。勝ててよかった」と喜んだ。
入幕5場所目で大関初挑戦となった6日目の照ノ富士戦は完敗し、7日目の貴景勝戦は立ち合いで変化して敗れた。
「勝ちたい、勝ちたいと思っていた。集中して、自分から当たっていきたいと思った」と反省を生かし、真っ向勝負で白星をつかんだ。
22日に22歳になる豊昇龍は、モンゴルからレスリング留学で千葉・日体大柏高に入学したが、両国国技館で大相撲を観戦して興味を持ち、角界入り。2018年初場所で初土俵を踏んだ。
同学年の琴勝峰や元横綱・大鵬の孫、王鵬らと出世を争ってきた。
初めて役力士と対戦する地位まで番付を上げ、早速大関から白星を挙げて「自信になる」と笑顔を見せた。
高安 霧馬山との長い相撲を制して6勝目。「きのう負けているので、ここでしっかり勝つことに意味がある」と満足げ。
◇気持ち乗っている
御嶽海 正代に快勝して6勝目。自信ありげに「しっかり自分の相撲が取れた。今場所は気持ちが乗っているのがいい」。
◇自分の相撲を
若隆景 隆の勝を押し出す。関脇以上との対戦を終えて5勝3敗で後半戦へ。「とにかく必死だった。(残りも)しっかり自分の相撲を取り切りたい」
◇踏み込み甘い
朝乃山 初顔の豊昇龍に不覚を取って4勝4敗に。「踏み込みが甘いので自分の相撲が取れていない。あしたから気持ちを切り替えて」
宇良(28)=木瀬=が2017年秋場所2日目以来1343日ぶりに幕内の土俵に上がり、魁聖(34)=友綱=をすくい投げで破り、7勝目を挙げた。
190キロの魁聖の足を取りにいく宇良らしい取り口に、日曜日に足を運んだ多くの観客が拍手で応援。
「まだ(幕内に)上がったわけではないので、十両としてですけど」と謙虚に話していたが、勝ち越せば21場所ぶりの幕内復帰が見えてくる。
日本相撲協会は夏場所8日目の16日、先代時津風親方(元前頭時津海)の長男木竜皇(18=立浪)と次男春雷(16=立浪)ら新序出世力士11人(再出世1人を含む)を発表した。
2021/05/12
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が11日、夏場所千秋楽翌日の24日に横綱審議委員会(横審)の定例会を開催する方針を明らかにした。
6場所連続休場中で一人横綱の白鵬への言及に注目が集まる。
白鵬は途中休場した春場所後に右膝の手術を受け、7月の名古屋場所で進退を懸ける意向。
横審は昨年11月場所後、白鵬に対して「引退勧告」に次ぐ重さの「注意」を決議。
春場所後の定例会ではこの措置を継続し、名古屋場所の結果を見て最終判断するとの意見でまとまった。
大関貴景勝(24=常盤山)は連敗を許さなかった。
2連敗中の西前頭筆頭北勝富士(28=八角)を押し出して2勝目。
立ち合いで相手を突き起こし、一気に押し込んだ。
白星を挙げた初日の若隆景戦と同様、回転の速い突っ張りが光った。
「いろいろな突き押しのやり方がある。そういうものがプラスになるように、稽古したものが出ればなと思っています」と話した。
無観客開催の3日間が終わり、4日目以降は上限5000人で観客が入る。
24歳の看板力士は「明日からお客さんにいい相撲を見せればなと思います。やれることを出し切るしかない。明日の相撲に集中して頑張りたいと思います」と意気込んだ。
かど番の大関正代(29=時津風)が“かえるジャンプ”で大きな白星を手にした。
先場所まで3連敗と苦手の大栄翔と対戦。
攻め込まれた土俵際で突き落とし。
正代は大栄翔の体の流れを見るようにしながら、最後は両足をそろえてのかえる跳びのように土俵外へ。
大栄翔の体が出るタイミングと微妙で物言いがついたが、軍配通りで正代の勝ちとなった。
「自分としてもタイミングがどうだったか、あまり自信はなかった」。
立ち合いは踏み込めたが、その後の流れで主導権を奪われただけに相撲内容としては満足できない。
一方で、その中で拾った大きな白星となる。
「こういうのを地道に積み重ねて、早い段階でかど番を脱出できたら」。
勝ち負けで白星先行か、黒星先行か、厳しい分け目となっていただけに結果は喜びしかなかった。
ただ、相撲内容には満足できない。
「反省してまた明日に生かしていきたい」と誓った。
大関復帰の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、この日も力強い相撲で、大関陣ただ一人の3連勝。
協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、ここまで「冷静さ」を好調の要因に挙げた。
相手は小兵の翔猿(29=追手風)。
挑戦する立場として策を仕掛けることが予想されたが「翔猿が、いろいろと考えて取るかなと思ったけど逆だった」と同理事長。
立ち合いで踏み込んだ翔猿の右腕を瞬時に手繰り、左上手を結び目近くの深く取り、休まず豪快に上手から投げ飛ばした。
「照ノ富士は、よく考えていた。(翔猿の)かいなを手繰っての(左上手の)取り方。冷静に相手が見えている。どうすれば自分の相撲になるか、よく考えている」と照ノ富士の“技巧派ぶり”を高く評価していた。
高安の攻めの相撲に圧力があった。
かち上げや体当たりではなかったが、腰が決まっているから立ち合いの踏み込みがいい。
あの元気な明生もズルズル下がるばかりだった。
回り込む相手を最後まで冷静にさばいて、腰が浮いたところで押し倒した。
大関経験者だから序盤は勝っても驚かないが、目前で優勝を逃した先場所のことがある。
手放しでは喜べないだろうし、2日目は少しバタバタした相撲を取ったが、ここまで3日間は無難に取っている。
先場所、終盤で崩れたのは優勝経験がない精神面のもろさが出たと思う。
どんな状況でも自分の相撲を取りきることが、いかに大事かと思い知ったはずだ。
いい経験をさせてもらった、苦い経験を土俵に生かそうと切り替えて今場所に臨んでいればいい。
1日で15番を取るわけではない。
一番一番の積み重ねを自分に言い聞かせればおのずと結果は出る。
東前頭筆頭若隆景(26=荒汐)が、2場所連続で2大関を撃破した。
大関朝乃山を寄り倒して2勝1敗。
前日2日目には正代を破っており、連日の大関戦勝利となった。
立ち合いは左に変化すると、懐に潜り込んでもろ差しに。
巻き替えられて相手得意の右四つとなったが、左上手を命綱に体勢を立て直して頭をつけると、出し投げで崩して休まず攻めた。
「我慢して攻められたのが良かった」。
一度は右四つに組まれたが、左上手は最後まで許さず「左上手は先場所取られて相撲にならなかったので(左上手を取らせない)そういう意識はありました」と振り返った。
先場所は10勝5敗で技能賞も獲得。
新三役が期待される26歳は4日目以降に向けて「いい相撲を取っていきたい」と意気込んだ。
西前頭7枚目宝富士(34=伊勢ケ浜)は、無観客開催の雰囲気について言及した。
この日は大関経験者の東前頭7枚目栃ノ心を押し出して2勝目。白星先行で3日間を終えた。
観客がいないことに寂しさを覚えながらも「無観客が少し影響というか、静かだと集中できている気がする」と、少なからず好影響を感じていた。
4日目以降は上限5000人で観客を迎える。
「明日からお客さんも入るので集中していきたい」と意気込んだ。
元横綱大鵬の孫、西十両14枚目王鵬(21=大嶽)が、西十両13枚目錦木を破って初日を出した。
立ち合いは両手で突いていき、前に出ながら左を差した。
右上手は取れず、錦木に左四つを許したが我慢。
がぶるように前に出て行き、寄り切りで破った。
焦ることなく我慢の相撲で白星を挙げたようにも見えたが「立ち合いからはじいていけるのがいい」と納得はしていない。
しかし、ようやく初日が出たことで「とりあえず良かったです」と安堵(あんど)感をにじませた。
明日4日目からは、有観客での開催となる夏場所。
「やってみないと分からないけど、盛り上がっている方がいいと思う。しっかりやっていきたい」と声援を味方に2連勝を目指す。
現役最年長、50歳の西序二段94枚目華吹(はなかぜ、立浪)が、2番相撲で東序二段94枚目風武(22=武蔵川)に寄り切られて、今場所初黒星を喫した。
左四つに組み止めたがまわしに手が届かず、力なく土俵を割った。1勝1敗で星が五分となった。
初場所では東序ノ口9枚目で勝ち越し、50歳以上で勝ち越しは116年ぶりという偉業を成し遂げた。
先場所は2勝5敗。
86年春場所で初土俵を踏み、今場所は歴代最多を更新する通算210場所目。
5月28日に51歳の誕生日を迎える。
先代時津風親方(元前頭時津海)の長男の木竜皇と次男の春雷(ともに立浪部屋)が前相撲デビューを果たした。
兄は向中野を下手投げで退けて「自分の夢だった土俵に立てて、身が引き締まる」と感慨深げだった。
父は初場所中にマージャン店に出入りするなど、協会の新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反。
2月に退職勧告の懲戒処分を受けて協会を去っていた。
今春に青森・三本木農高を卒業した木竜皇は当初、父が師匠を務める時津風部屋に入門する予定だったが、千葉・柏第二中を卒業した弟の春雷とともに立浪部屋に入門。
「小さい頃から夢だった。こういうことがあろうと挑戦しようと思っていた」。
宮城に逆転の居反りを食らって敗れた春雷も「10代で関取になれるように頑張る」と意気込んだ。
伝統の懸賞がアナログから脱して、間もなく1年が経過する。
森永製菓が掲出する「デジタル森永賞」は昨年7月場所から始動。
同賞は初、春、秋の東京場所で、ファン投票によって選出された一番に懸賞を懸ける。
1951年(昭26)初場所から始まり70年の歴史があるが、コロナの波が押し寄せた昨年、姿を変えた。
従来はキャラメルなど森永製品の空箱に取組や氏名、住所を記入して投票箱に入れる投票形式。
投票対象者は国技館の来場者に限られていた。
同社担当者によると「デジタル−」に変わり、誰でも投票可能に。
直近の初場所では2万超の票が集まったという。
「日によっては菓子箱を使った投票の5倍以上の投票数になることもあります」。
大関貴景勝を筆頭とした4大関が人気だ。
ウェブ投票への転換は、コロナ禍により観客数の制限がかかっている影響が大きい。
「観戦に行けないお客様でも簡単に懸賞を懸けられる新しい取り組みで、国技大相撲を盛り上げたい」と意図を説明する。
従来の形式では集計も手作業で行っていた。
古き良きを重んじる大相撲ではあるが、ファンの目線に立ち、懸賞の形も変化している。
2021/05/11
結びの一番に臨んだ大関朝乃山(27=高砂)が、小結大栄翔を下して4大関安泰を演出した。
立ち合いは大栄翔ののど輪を受けて押し込まれたが、俵に足をかけて耐えた。
上体をのけ反らせながらも、左が深く差さると体をうまく入れ替えて送り出した。
「しっかり足が俵にかかったので残れたけど相撲はよろしくない」と反省した。
自身の取組の前に、照ノ富士、正代、貴景勝の3大関が白星を挙げていた。
それだけに「気にはしました。目の前で勝つと自分も勝たないといけないと思った。そういう気持ちがありました」と力が入った。
重圧がかかる中で白星を挙げて「初日に勝つのと負けるのでは違う。勝てて良かったです」と安堵(あんど)した。
昨年の春場所後に新大関に昇進してから1年がたった。
同年7月場所での12勝が大関としての自己最多だが、大関として優勝はまだ経験していない。
場所前には優勝を目標に掲げ、この日も「出る力士の最高位として優勝が求められる。それが結果です」と、あらためて優勝への思いを口にした。
大関貴景勝(24=常盤山)が、小結御嶽海に押し倒されて今場所初黒星を喫した。
突きを下からはね上げながらも土俵際まで押し込んだが、低い姿勢を維持する御嶽海を押し込めなかった。
4大関は照ノ富士以外の3人がそろって敗れた。
立て直しに向けて、4大関最年少の貴景勝は「明日また集中してやります。どっちにしてもやるしかないと思うので、気持ちだと思います。一生懸命やるだけ。明日集中して頑張るだけです」と自らを奮い立たせた。
かど番の大関正代(29=時津風)が、東前頭筆頭若隆景に寄り切られ、連勝発進を逃した。
若隆景の低い当たりを受け、相手得意の右おっつけを攻略することができずに後手に回った。
後退した土俵際で右差しを許し、寄り切られた。
物言いがついたが、軍配通りとなった。
立ち合いの踏み込みについては「押し込むことができた」と感触があった。
しかし、「その後に自分の形になることができなかった。いろいろとバタバタしてしまった」と攻めきれなかったことを反省した。
若隆景のおっつけは警戒していたが「動きの中で差せると思ったけど厳しかった」と想定外の強さだった。
初日にそろって安泰だった4大関の中で、2連勝したのは返り咲きの照ノ富士だけだった。
北勝富士のおっつけに苦戦したが引かず、右を差して送り出した。
集中力を高めるかのように、報道陣の取材には応じずに会場を後にした。
4大関で先陣を切った朝乃山は、明生にもろ差しを許して押し出された。
照ノ富士の後に上がったかど番正代は、若隆景の得意のおっつけに屈した。
おっつけは警戒していたが「動きの中で差せるかなと思っていたけど厳しかった」と想定外の強さだった。
結びの一番に臨んだ貴景勝は、御嶽海を土俵際まで追い込むも押し切れなかった。
早くも1敗を喫し「どっちにしろやるしかない。気持ちだと思う。一生懸命やるだけ」と自分に言い聞かせるように言った。
小結大栄翔(27=追手風)が、我慢の四つ相撲で今場所初白星を挙げた。
東前頭4枚目霧馬山の張り差しで組み止められると、四つ身の展開になった。
左四つから右上手を引きつけると、外掛けで崩しながら寄り倒した。
突き押し相撲を信条とするだけに「内容は本当に悪いので、修正していかないとダメ。我慢できたのは良かったが、突き押し相撲なのでしっかり突いていかないといけない」と猛省。
ただ、突き押しへ本格的に転向したのはプロ入り後で、埼玉栄高時代は四つでも取っていた。
「高校生のころの話なので。高校の相撲がプロ、上位で通用しないと思うので…どうなんですかね」。
この日の取組で12年初場所の初土俵から、連続出場が700回となった。
「知らなかった。そう聞くとそんなに長い回数なんだなと思いますし、これからもケガなく取っていきたい」。
1月の初場所では13勝2敗で初優勝。
優勝経験を持つ27歳は、3日目以降に向けて連勝を目指す。
かど番の大関正代(29=時津風)を破った東前頭筆頭の若隆景(26=荒汐)について、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)が、その技能相撲を高く評価した。
先場所、初の三賞を受賞した身上のおっつけが、この日も奏功。
正代の左の差し手を何度も、この右からのおっつけで差し込まさせず、下からあてがうように封じた。
正代の敗因を探すことより「今日は若隆景の攻めが良かった」と八角理事長。
「うまい相撲を取った。おっつけながら相手の差し手を差させない。右からおっつけながら(正代の左を)振りほどいて出ている。右からの攻めが良かったですね」と何度も「おっつけ」の言葉を並べた。
小兵力士は珍しくない。
土俵狭しと動き回り、相手の足を取ったり、相手を幻惑させる多彩な技で人気力士も多い。
ただ、そんな小兵力士との違いを、八角理事長は力説もした。
「跳んだり跳ねたりするのとは、同じ小兵力士でも(若隆景は)違う。実力で、いい相撲を取っている」。
派手さはないが、正攻法で体格差のハンディを克服する182センチ、127キロの若隆景を褒めた。
東前頭2枚目明生(25=立浪)が、2場所連続で大関を撃破した。
大関朝乃山を押し出して今場所初白星となった。
圧力負けしたが、土俵際の反応が光った。
右を差して相手の得意な左上手を与えず、押し込まれながらもすくい投げで崩して一押し。うまく体を入れ替えた。
朝乃山には、場所前の4月に行われた合同稽古で胸を借りていた。「(合同稽古で)挑戦できたので良かったです」。
先場所は2大関を破って10勝5敗。今場所は自己最高位に並び、新三役が期待される。「しっかり勝ち越せるように頑張ります」と意気込んだ。
西前頭筆頭の北勝富士(28=八角)が、大関照ノ富士に送り出され、初日から2連敗となった。
立ち合い低くぶつかり、下からの低いおっつけですぐにはまわしを与えなかった。
その後も、時折いなしながらの下からのおっつけで攻めたが決定打に欠け、粘り負けして右差しを許して送り出された。
足もよく動き、見応えのある一番となり「ガムシャラにやるだけだったので悔しい」と振り返った。
初日は大関正代、2日目は大関照ノ富士、3日目には大関貴景勝との一番が組まれるなど、初日から試練の大関3連戦に。
「早い段階で白星が欲しいけど大関戦が続くのはこの地位のさだめ。1日一番、しっかりやった結果が勝ち越しにつながってくると思う」と意気込んだ。
日本相撲協会は夏場所初日の9日、東前頭3枚目碧山(34=春日野)の「急性腰痛症により約2週間の安静加療を要する見込み」、西前頭15枚目翠富士(24=伊勢ケ浜)の「腰椎椎間板ヘルニアにより手術を要する見込みで全治2カ月を要する見込み」との診断書を公表した。
西十両2枚目の宇良(28=木瀬)が、東十両筆頭・炎鵬との業師対決に2連勝した。
「完全に流れは負けてましたね」と宇良。
立ち合い、左を差されて一気に土俵際まで追い詰められ、体ものけぞるピンチに陥った。
そこから何とか残し、差された右を抱えて投げを打ち、きめ出した。炎鵬は右肘を抱えるようにうずくまった。
宇良は勝負を決めた場面を「ここで逃したらダメだと。絶対に逃さない気持ちだった」と振り返った。
先場所に続く注目の一番だったが、今回は無観客。
「お客さんも入ってなかったので、前とは違って落ち着いてとれた」と話す一方で、「しんどいですね。意識するというより、当たるといやな相手とは思う。何をしてくるか分からない」と言った。
幕内復帰が見えてきた番付で、2連勝と好発進を決めた。
難敵を突破し「残りも自信を持って一番一番、相撲をとっていきたい」と意気込みを新たにした。
東幕下7枚目阿炎(27=錣山)が、西幕下6枚目平戸海をはたき込みで破って、白星発進した。
「非常に柔らかい人だったので前に出すぎずに様子を見ながら」と、立ち合いから突いて距離を取った。
相手が距離を詰めてきたのを見計らってはたき込み。取組後の表情には余裕があった。
昨年の7月場所前と場所中に、新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反した。
3場所出場停止の処分を受け、幕内上位から幕下下位に転落。復帰した3月の春場所では全勝優勝を果たし、今場所は全勝優勝なら十両復帰も狙える位置にいる。
「一番、一番と思っている」と欲は出さず。
場所前の4日には27歳の誕生日を迎え「先場所も言ったけど1歩ずつ進まないといけない。人として成長できる年にしたい」と誓った。
元中学横綱の17歳のホープ、西幕下37枚目の吉井(時津風)が、鈴木を送り出して白星発進した。
先場所は初めて番付に載ってから10場所目で初めて負け越した。
その悔しさから稽古に精進「自分には得意(の型)がないんで」と立ち合い、左前みつを狙う形に取り組んでいる。
「携帯でいろんな力士の方の相撲を見て研究しました」。
最も参考にしているのが元大関豪栄道(現・武隈親方)という。
「前みつを取って相手を起こしていく相撲をとっていきたい」と明確な目指す形を示した。
8月には18歳になる。目標の関取の座へ、前進していきたい。今場所の目標を「全勝優勝です」とキッパリ。
「場所前の稽古も調子よかった。全勝できるように一番一番、気を引き締めて頑張りたい」。
先場所の初負け越しで後退した分を一気に取り戻す。
若い意欲に燃えている。
先月14日に現役を引退した元関脇琴勇輝の君ケ浜親方(30=佐渡ケ嶽)が9日、都内で会見に臨んだ。
「少しホッとしている。安堵(あんど)感もあるけど、これから親方として気の引き締まる思い」と心境を明かした。
「いろんな人に応援してもらった」と周囲への感謝を口にすると言葉が詰まり、涙をぬぐう場面もあった。
引退を決断した要因は、相撲を取る恐怖心からだったという。
昨年11月場所前に左膝の内視鏡手術を受けた影響で休場し、十両に陥落した初場所は4勝11敗と負け越して幕下に陥落。
たび重なる膝の負傷を乗り越えてきたが「土俵に上がるのが怖いという気持ちが先行していた。勝負師として終わり。いろいろ考えて決断した」と、リハビリの中で気持ちを立て直すことができなかった。
現役生活で印象に残る一番は、16年春場所3日目の日馬富士戦で挙げた金星。
この場所は上位総当たりで12勝3敗の好成績を残して殊勲賞も獲得し、翌場所は新関脇昇進も果たした。
「とにかく稽古場通りの自分の立ち合いがどこまで通用するかという気持ちだった。結果的に12番勝ったというのも分からなかったくらい、体もよく動いていた」。
会見に同席した師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は「私の中ではもう少しできるんじゃないかと思っていた」と、弟子の引退を惜しんだ。
「負けず嫌いなところが相撲に出る力士。本当にいい力士だった。先代師匠が元気だったら、琴勇輝の相撲を喜んで見ていたと思う。先代に似ている部分があった」と「猛牛」と呼ばれた亡き先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)に姿を重ねた。
一時は立ち合いの直前に「ホウッ」と気合のこもった声を発することでも注目を浴びていた。
琴勇輝は「関取になってからかなり注目されるようになったけど、もっと前からやっていて、地位が上がるにつれて覚えてもらえるきっかけになっていった。しっかりと気合を入れて、おなかに力を入れるイメージだった。一気に自分の気合が入るようなルーティンになった」と振り返った。
2021/05/10
◇9日 大相撲夏場所初日(両国国技館)
大関朝乃山(27)が土俵際で小結大栄翔(27)を送り出して逆転勝ち。
「先場所みたいに持っていかれそうになった。よろしくない」と反省したが、2連敗していた相手を下してのスタート。
4大関がそろって勝ったのは2016年九州場所5日目以来でもあり、「(取組前は)やっぱり気にしますね。自分も勝たなくちゃいけないという気持ちはありました」とホッとしていた。
貴景勝は若隆景を問題にしなかった。
先場所、不覚を取った相手に反撃の機会を与えずに押し出し。
会心の取り口にも、「あまり覚えていない。稽古場でやっていることしか出ないので、考えずに集中してやった」と無心の攻めを貫いた。
照ノ富士の返り咲きで4大関となった。
新横綱の誕生が待望される中、「毎日、一生懸命やり切ること。強くなるしかないので。自分の力を全部出し切りたい」と己に言い聞かせるように話した。
大相撲夏場所初日(9日、東京・両国国技館)、カド番の大関正代(29=時津風)は幕内北勝富士(28=八角)を突き落として白星発進。
取組後は「(立ち合いから)よく踏み込めたんじゃないか」と振り返った。
春場所を7勝8敗で終え、今場所も負け越せば大関陥落となる。
課題に挙げていた立ち合いからの踏み込みや圧力については「初日なので何とも言えない」と控えめだが「初日に勝つか負けるかでは気持ちの持ちようも違うのでよかった」と安堵の表情を見せた。
「早い段階で勝ち越しを決めてカド番を脱出できれば」と正代。
8日には相撲協会の尾車事業部長(64=元大関琴風)が「『8番勝てばいい』と思った時点で、8番勝てない。だから常に上を目指して土俵に臨まないと」と話していたが…。
今のところ、目標設定に変更はなさそうだ。
次は番付の頂点で――。
大相撲夏場所初日(9日、東京・両国国技館)、大関に復帰した照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)が幕内明生(25=立浪)をきめ出して白星発進。先場所に続く連覇に向けて上々のスタートを切った。
2017年秋場所以来、21場所ぶりに大関返り咲きとなったが、この快進撃はまだまだ終わりそうにない。
そんな中、ゆかりの地からは横綱となっての“凱旋”を期待する声が上がっている。
まさに“大関相撲”だった。
照ノ富士は明生にもろ差しを許しても全く動じない。
両腕で抱えながら前へ出ると、そのまま力でねじ伏せた。
取組後は「前に足が出たのでよかった」と淡々と振り返った。
両ヒザの故障や内臓疾患などで一時は序二段まで転落。そこから不屈の精神ではい上がり、17年秋場所以来の大関に返り咲いた。
大関での白星は実に1355日ぶりとなったが「特に深い考えはない」と意に介さなかった。
史上最大の復活劇とも言われる照ノ富士の大関復帰には、ゆかりの地からも喜びの声が上がっている。
神奈川・出雲大社相模分祀の草山清和分祀長は「多くの人の励みになりますよね。(ヒザは)まだ痛いと思うんですが、それでも痛みをこらえて一生懸命いい相撲を取っていますよ」と称賛した。
同分祀では師匠の伊勢ヶ浜親方(60=元横綱旭富士)が現役時代から節分の豆まきを行い、引退後は部屋の弟子たちとともに参加している。
ケガや病気に苦しんだ照ノ富士も例外ではない。
草山氏が「下(序二段)に落ちたときも来てくれた」と話すように、ここまで“皆勤”を続けているという。
ところが、約40年続く恒例行事も新型コロナウイルス禍により、昨年から2年連続で実施できていない。
ワクチン接種が普及するなど終息しなければ再開のメドは立たないが、同分祀関係者からは「こうなったら横綱に上がって豆まきに来てもらえたら」と、番付の頂点での“凱旋”を期待する声が上がっている。
その出雲大社と相撲の関係は古く、出雲国造第13代野見宿禰(のみのすくね)は「相撲の祖」と伝えられている。
一方で、縁結びとともに病気平癒のご利益もあるとされ、体調面で不安を抱える大関にとっては、ありがたい神様に見守られているのかもしれない。
この日は自身を含めて4大関が揃って白星。
連覇と綱取り挑戦に向けて第一歩となった照ノ富士は「(15日間)全力を出して頑張りたい」と力を込める。
横綱不在の今場所も土俵の「主役」を務めることになりそうだ。
<大相撲夏場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館
新関脇から4場所連続の勝ち越しを目指す関脇隆の勝(26=常盤山)が、西前頭3枚目千代の国(30=九重)を押し出し、初日白星を飾った。
立ち合いはやや押し込まれたが、体勢は崩れず一気に逆襲。
「立ち合いちょっと起こされたんですけど、そこからの攻めが良かったと思う」と振り返った。
昨年春場所以来の無観客開催。
4日目以降は観客を入れるとはいえ「寂しいし、お客さんが盛り上がっていないと物足りない気持ちもある。いつも通りになってくれればいい」と望んだ。
三役で2桁白星に到達したことはない。
次期大関候補は「2桁狙って1日一番集中していきます」と明確に目標を掲げた。
高安は、動きのいい翔猿を中に入らせることなく突き出した。
完勝に「自分の考えた攻めがしっかりできた」と涼しい顔で振り返った。
先場所は優勝争いをしながら、13日目からの3連敗で失速。敗れた相手の一人が翔猿だった。
高安は「ふがいない相撲もあったが、そこは終わってしまったことなので。しっかり反省して次に生かしたい」と集中した様子で言った。
前頭十枚目の照強(伊勢ケ浜)が前頭十一枚目・琴ノ若(佐渡ケ嶽)を足取りで破って初日を飾った一番。
その取組前にちょっとしたハプニングが発生すると、元横綱・若乃花の花田虎上氏が「それは一番マズいですね」と苦笑いを浮かべる一幕があった。
新型コロナウイルス感染拡大、さらに緊急事態宣言などを受け、無観客で初日を迎えた大相撲五月場所。観客のいない静かな国技館の土俵上に、ソルトシェイカーとしても人気のある照強が、手から溢れんばかりの大量の塩を豪快にまいた。
塩の一部は土俵を通り越すほどの勢いだったが、そのことについてABEMAで実況を務めた清野茂樹アナウンサーが「照強の塩まきが土俵の外まで飛んでいきました」と話すと、これを受けた元若乃花が「お客さまがいないから遠慮ないですね」と笑顔で応じた。
しかし、清野アナが「正面審判の藤島親方(元大関・武双山)にかかってると思うのですが…」と続けると一転、元若乃花は「それは一番マズいですね…」と苦笑いを浮かべた。
「ご覧のように、土俵はずいぶん白くなりました」の一声とともに時間を迎えたこの取組。
立ち合い頭を下げ、素早く右に変化した照強が琴ノ若の左足をとって背後に回り込むと、琴ノ若は前のめりにバランスを崩し、両手を土俵について黒星スタートとなった。
さらに成す術なく黒星を喫した琴ノ若について元若乃花は「足が揃ってしまいましたね。怖いからどうしようという感じで手をついてしまったのでは。プロであれば、もう少し体の動きが速くならないといけないですね。これぐらいで怖がっていたらダメですね。厳しいことを言わせていただくと。これでは見ている方が、『お相撲さんって、あれで倒れちゃうの?』って思ってしまう」と話し、奮起を促していた。
大相撲・夏場所初日、前頭12枚目の琴恵光は、前頭11枚目の千代翔馬を小手投げで破り、白星スタートです。
10日は前頭13枚目の明瀬山との取り組みです。
大相撲夏場所は2日目、大関に復帰した照ノ富士は初日を白星でスタートし、10日は前頭筆頭の北勝富士と対戦します。
白鵬の休場で今場所も横綱が不在となる中、期待がかかる4人の大関はいずれも初日を白星でスタートしました。
このうち21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は、初日に平幕の明生を破り2日目は前頭筆頭、北勝富士との一番です。
過去の対戦成績は、照ノ富士の4勝3敗でこのところは4連勝中です。
照ノ富士が北勝富士の当たりを受け止め、まわしをつかむか、抱え込んでしまえば断然優位です。北勝富士としてはしつこく押っつけるなど、照ノ富士を正面に置かずに攻めることができれば勝機が出てきます。
角番の大関・正代は前頭筆頭の若隆景との対戦です。
若隆景は動きの早い相撲で自己最高位に番付を上げてきて勢いがあり、正代は受け身に回ると危なくなりそうです。
立ち合いでしっかりと圧力をかけられるかが鍵になります。
また大関・貴景勝は小結・御嶽海との対戦です。
過去の対戦成績は、貴景勝が10勝9敗とかろうじてリードしています。
ともに押し相撲が持ち味ですが、突き放して離れて取る形になれば貴景勝、密着して押すことができれば御嶽海が優位です。
貴景勝は、序盤で難敵を退けて流れをつかみたいところです。
もう1人の大関・朝乃山は前頭2枚目の明生と対戦します。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は9日、夏場所の懸賞申し込みが1345本あったことを明らかにした。
今場所は3日目まで無観客で行われる。
芝田山部長は「こういう状況の中でも力士の励みになる」と感謝を込めて話した。
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言により、昨年3月に大阪で開催された春場所以来となる無観客で始まった夏場所。
静寂の中での土俵で、務めを果たそうとする力士の姿に、八角理事長(元横綱北勝海)は「気持ちの持ちようが大変だと思うが、頑張ってほしい」と述べた。
コロナ禍によって声援の自粛が求められていたものの、拍手だけでも力士には励みとなる。
正代は「一度経験して慣れたと思っていたが、いざやってみると静かで違和感があった」と明かした。
「自分たちは一生懸命やるだけ」とは貴景勝。集中して、目の前の一番と向き合った。
制限が緩和される4日目からは、国技館に観客のにぎわいが戻る。
大栄翔は「4日目以降はたくさんの方が入ってくれる。それまでに白星を重ねていきたい」と心待ちにした。
2年ぶりの開催となった大相撲夏場所初日、土俵で珍しい出来事があった。
3月の春場所の新弟子検査合格者のうち、付け出しや休場者を除く31人の新序出世披露が行われた。
卒業式に出席するため、感染を防ぐ上で1場所遅れとなった。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関・琴風)は「すべてがイレギュラー。経験したことのないようなことがいっぱい起きている」。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は春場所が無観客開催、そして夏場所は中止された。
地方場所の東京開催など角界の「緊急事態」は今も続く。
昨年5月には三段目だった勝武士(本名・末武清孝さん)が亡くなった。
共同生活が基本の相撲部屋で感染防止を図るため、協会は力士らに不要不急の外出自粛を求めてきた。
今場所を前に約900人の協会員を対象に実施したPCR検査では、全員が陰性だった。
尾車事業部長は「日ごろから一人一人が自覚を持って注意して生活した結果」と安堵(あんど)した。
一方で、範を示すべき立場の関取や親方らの不適切な行動は後を絶たない。
今場所はガイドラインに抵触するような行動があったとして、勝武士の兄弟子である前頭・竜電が休場し、場所後に調査を受ける。
個々の力士らが、さらに自らを律する自覚を持つことが求められる。
今日5月9日から大相撲の夏場所が開幕する。
連日熱い取り組みが期待される一方で、今年3月の春場所後には痛ましい事故も起きた。
三段目の力士だった響龍が、4月28日、急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去したのだ。
響龍は春場所13日目にすくい投げで敗れた際、頭部・頸部を土俵に強打。
そのまま動けなくなり、救急搬送され入院していた。
大相撲同様、激しいコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールの本場アメリカでは、10年以上前から試合中・練習中の頭部や頸部のアクシデントに関して非常に厳格な措置が取られるようになっている。
その専門家はこの事故をどう見たのか。
スタンフォード大アメリカンフットボール部コーチの河田剛さんに聞いた。
今回の力士の事故に関しては、映像で取り組みとその後の処置を見ました。
もちろん実際の現場にいたわけではないので、細かな部分にまでは言及できません。
ただ、大相撲と同じような激しいコンタクトスポーツであるアメリカンフットボールに携わる者としては、いくつか非常に気になったポイントがありました。
■ポイント1 土俵周りに医療関係者が配備されていなかった
まず1番は、土俵周りに医療関係者が配備されていなかったことです。
大相撲という危険性の高いコンタクトが日常茶飯事である競技にもかかわらず、その現場の周囲に医療関係者が立ち会っていないというのは驚きを隠せませんでした。
アメリカンフットボールの場合、NFLでもカレッジでもゲームはもちろん、日常の練習でも医療関係者の立ち合いが義務付けられています。
試合ともなれば1人ではなく10人近い専門家がスタンバイしているのが普通です。
その理由は各々に専門があり、アクシデントが起きた際に例えば肩のケガなのか、膝のケガなのか、それとも脳震盪なのかによって対応が全く違ってくるからです。
特に頭部や頸部へのケガの場合、確認しなければならない要素が非常に多いです。
呼吸、脈拍、手足の麻痺、意識レベル…生死に直結するケガに成り得るものですから、その確認はとても大切です。
中でも意識レベルの確認の際に最も重要なのが、「複数の医療関係者で意識確認を行う」ことだと言われています。仮に誰か1人が「大丈夫だ」と言っても、それだけでは危険性が残る。
ダブルチェック、トリプルチェックが重要なのです。
そこで一定レベル以上の意識障害がある場合は、首から上をしっかりと固定したうえで、絶対に大きく動かさないように気をつけながら担架で救急車に運び、病院に搬送することになります。
アメリカンフットボールの試合ではスタジアムに救急車の待機も義務付けられていて、危険な事故の場合はすぐに病院へ搬送できるようにスタンバイしている。
もちろん競技ごとで予算や規模の違いはあるでしょうが、少なくとも興行として成立しているプロスポーツである以上は、そのくらいの備えは必要であるように感じます。
■ポイント2 対応に時間がかかっている
また、2つ目としてその後の対応にかかった時間に関しても疑問が残りました。
映像を確認すると、取組後に負傷した力士はうつぶせのまま動けず、倒れてから約1分後に呼び出しなどの関係者が3人であおむけにしています。
その約3分後、国技館内の相撲診療所からようやく医師が到着し、力士の状態を確かめ、担架に乗せて土俵を降りています。
その後、救急搬送されたと報じられていますが、一連の対応に約6分以上の時間を要しています。
アメリカンフットボールでは選手が立ち上がれないような事故が起こった時には、フィールド外にいる医療関係者が、それこそ肉離れせんばかりの勢いでフィールドに猛ダッシュしてきます。
それは1分1秒が選手のその後を左右することを分かっているからです。
今回の事故のように、倒れた選手をそのままにして、勝ち名乗りを続行するというのはあまりにも異様な光景だったように思います。
また、医療関係者ではないスタッフたちが倒れた力士を無造作に動かしているというのも信じられない衝撃を受けました。
■ポイント3 頭部や頸部に関するケガへの意識
最後に最も気になったのが、頭部や頸部に関するケガに対する関係者と力士たち自身の意識の部分です。
今年1月の初場所では、ある取組で頭からぶつかった力士の片方が立てなくなったにもかかわらず、回復直後に取り直しの一番が行われたことがありました。
それもあってようやく「勝負がつく前でも審判団が危険だと判断した場合は、その力士を不戦敗として相撲を取らせない」という決まりができました。
大相撲の競技特性を考えるとおそらくこれまでも似たような事態は起きていたはずです。
そういった状況について関係者も力士たち自身も、本当に深刻に考えていたでしょうか。
歴史や慣例というのは確かに大切なものだと思います。
ですが、それと比べるまでもなく、人の命や若い力士の将来はもっと重要です。
もし、関係者や力士たちがこれまでのケースから真剣に対応を考えていたのなら、今回のような事故が起きた際に、医学的知識も何もない審判団の判断に事を委ねるということは起きなかったように思います。
2015年にウィル・スミスが主演した映画『コンカッション』が話題になりました。
NFLの選手たちが引退後も脳震盪などの後遺症に悩まされていることに気づいた医師の物語です。
そういった作品にも代表されるように、NFLではここ10数年ほどで明らかに脳震盪をはじめとする選手の負傷に対する注意意識が上がっている。
これは周囲のスタッフや経営陣はもちろんのこと、選手たち自身も強く考えていることでもあります。
■NFLではトレーニングの場を労組がチェック、脳震盪3回で引退
例えば、NFLではオフの練習に関する制限がものすごく厳密に決まっています。
チームとしてはレギュラーシーズンで結果を出すために、もちろん各選手に練習をさせたい。
でも、そこは選手会や労働組合にあたるNFLPAがちゃんと主張する。
「NFLは世界で一番儲かっているのに、選手の平均寿命は短い。そういうスポーツだからこそ、セカンド・キャリアや家族との時間、プライベートを含めた『ワークライフバランス』を重視するべきだ」と言うわけです。
具体的に言えば、9月〜翌年2月の通常シーズン中以外のオフシーズンに行うチームの全体練習は、決められた期間内に10回だけしか許されません。
その10回しかない練習も、ヘルメットだけを着けた状態で行う軽い練習が中心で、激しいコンタクトや競争を煽るようなシビアな練習は許されていません。
また、2年目以上のベテラン選手がチームの施設に滞在していいのは4時間までとも決められています。
2018年にはオフシーズン中にボルティモアのチームが「規定を超えたコンタクト練習をした」という理由で、10回しかない練習を8回に減らされています。
オーナーには1000万円以上の罰金も科せられました。
さらに一定以上の脳震盪を3回起こした選手は有無を言わさず引退になります。
実際にスタンフォードのOB選手でも、NFLのチームに入団した有望なルーキーだったにも関わらず、1年目に2度の脳震盪を起こしたため自身の判断で引退した選手もいました。
その選手は「夢の舞台で危険を冒しながらプレーすることよりも、命や将来の方が大事だ」と言っていました。
■「伝統」を隠れ蓑にせず、改善すべき安全性
アメリカンフットボールも大相撲も、スポーツ選手としてのキャリアはもちろん大事です。
それまでその選手が積み上げてきたものは並大抵のものではないでしょう。
それは十二分に理解できます。
ですが、実際には引退後の人生の方がはるかに長いわけです。
それを軽んじてまでスポーツにすべてを懸けるのは、明らかに間違っている。
最近ではスタンフォード大のアメフト部は、ヘルメットの上にさらにショックパッドをつけて練習をしています。
例えば相撲界でも、稽古の時にヘッドギアをつけたりすることはできると思います。
もちろん大相撲とアメリカンフットボールは全く違う競技ですし、大相撲には「伝統」という側面もあるかと思います。
ですが、そういった言葉を隠れ蓑にして、力士たちの命を危険にさらすというのはもはや時代にそぐわないのではないでしょうか。
そういった部分は、競技に関わらず改善されていかなければならないと思っています。
シンプルに考えて欲しいのは、伝統を守る事と人の命や若者の将来、どちらが大事なのかということです。
今回の事故のように若い命や将来が犠牲になることは、決してあってはならないと思います。
2021/05/09
大相撲夏場所(9日初日、両国国技館)を前に8日、尾車事業部長(元大関琴風)が4大関に奮起を促した。
大関陣の優勝は昨年11月場所の貴景勝が最後で、2017年初場所の稀勢の里以来22場所ぶりだった。
今年になっても大栄翔の平幕優勝から始まり、3月は関脇の照ノ富士が優勝。
昨年も2度の平幕優勝に、関脇正代の優勝が1回。
横綱の休場、引退があっても大関陣が結果を残せないでいる。
今場所は2019年名古屋場所以来となる4大関。
尾車部長は「平幕優勝も面白いというか、エーッと思う意外性としては確かに沸くんだけど4大関そろって出てるわけだから。平幕優勝とか平幕がトップを走ることになられたんでは。見ているお客さんに番付って何なんだと思われないようにね。ここは大関の責任は大きいと思います」とハッパを掛けた。
これも期待の裏返し。
「どの大関も横綱を狙える大関だと思う。志高く持って、おれたちの中から優勝しないといけないんだと目標を立てて、あしたから臨んでもらいたいと思う」と話した。
大相撲夏場所は9日、初日を迎える。
8日は会場となる東京・墨田区の両国国技館で土俵祭りが催され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方衆らが参加して15日間の安全を祈願した。
21場所ぶりに照ノ富士(29)が大関へ復帰し、令和元年名古屋場所以来の4大関時代に。
協会のナンバー2、尾車事業部長(元大関琴風)は、2度目のかど番で迎える大関正代(29)に活を入れた。
■令和で大関の優勝1度だけ「責任は重い」■
夏場所は緊急事態宣言発令を受け、3日目(11日)までは無観客開催。
東京都で大規模イベントの人数制限が緩和される4日目以降は上限約5000人の観客を入れる。
東京開催場所の責任者でもある尾車事業部長は「お客さんが入ることで、力士も激しい相撲が見せられる」と歓迎した。
昨年の夏場所はコロナ禍で中止され、開催は2年ぶり。
土俵は4大関が名を連ねる。だが、令和になって大関の優勝は1度だけ。
5、4大関時代を経験した尾車部長は「平幕優勝も意外性で沸くが、お客さんに番付ってなんだと思われないように。大関の責任は重い」と奮起を促した。
春場所で7勝8敗と負け越し、夏場所は大関在位4場所目で早くも2度目のかど番となる正代は今場所の目標を「とりあえず勝ち越せたらいい」と繰り返している。
尾車部長は名指しこそ避けたが、正代に苦言を呈す。
一人横綱の白鵬は6場所連続休場し、大関陣は出場する力士の番付最高位。
「勝ち越しなどに目標を置かず、志を高く持って。8番勝とうと思って取っていると、8番も勝てない」。
耳に届いてほしい一喝だ。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた8日、同所で恒例の土俵祭りが行われた。
力士は参加しなかったが、春場所覇者で大関復帰場所となる照ノ富士(29=伊勢ケ浜)は、その後の優勝額贈呈式に出席。
公式ユーチューブチャンネルで「今場所もいい成績を残せるように頑張ります」と意気込みを語った。横綱白鵬の休場により照ノ富士を含めた4大関が出場最高位。電話取材に応じた尾車事業部長(元大関琴風)も「どの大関も横綱を狙える。早く横綱を張る人が出てきてほしい」と期待を寄せた。
緊急事態宣言の下、5月9日に大相撲夏場所が初日を迎える。
厳しい感染予防態勢の元でどんな気迫に満ちた取組を力士たちは見せてくれるのか。
全国の相撲ファンの視線が集まる。
そしてその視線の中に、小結・安の巻き返しを特別な想いで待ち望む元アスリートがいる。
女子バレー日本代表のエースとして一世を風靡した大山加奈さんだ。
「安関が頑張っている姿にいつも力を貰っているので、今場所も自分らしく戦って欲しいです」
大山さんとその家族にとって、恩人とも言える存在となった高安への想いを聞いた。
2人の縁は2016年春の巡業に始まる。
大山さんが知人の紹介で巡業先の支度部屋を訪れ、一緒に写真を撮った際にメールアドレスを交換、やりとりする仲になった。
大山さんは東京都江戸川区出身。
安の所属する田子ノ浦部屋も江戸川区小岩にあり、「家から車で5分ほどの距離です。地元の部屋ということもあり両親が熱心に応援してましたし、相撲が大好きだったので、場所がある度にテレビで応援する姿を見ていました」と話す。
一方の安は、少年時代から大山さんに憧れていた。
6歳年下の安がまだ中学生の頃、全日本で大ブレイクし『メグカナブーム』を巻き起こした大山さんを見て、バレーボール観戦に夢中になった。
187センチの長身で活躍する姿に「自分も早くこんな風に大きくなりたい」と憧れていた。
そんなお互いを意識し合うアスリート同士。
大山さんにとって、生涯忘れることの出来ない一番が生まれる。
4年前に他界した母・久美子さん(享年55歳)に膵臓ガンが見つかり、ガン専門病院に入院していた時のことだ。
「発見された時にはステージ4でかなり進行している状況で、もう手術は出来なかったんですよね。それで抗がん剤で、なんとか延命じゃないですけど治療していた」頃だという。
2017年1月、初場所の9日目。小結の安が格上の横綱・白鵬に挑んだ。
「病院のラウンジで、母と一緒にテレビで見ていました。他にも患者さんが沢山いて、この取組を注目していました」
この一番は、安と同部屋の兄弟子・稀勢の里(当時大関)が、白鵬と優勝争いを繰り広げる最中での戦いでもあった。
「安関はもちろん自分のために戦っていたと思いますが、兄弟子の稀勢の里関のためという思いもヒシヒシと伝わって来た」と大山さんは言う。
固唾をのんで見守る中、立ち会いから安が右で当たり、横綱を相手にかち上げた。その圧力に後ずさりする白鵬。あとはその好機を逃さず安が押し出した。
大山さんは、「安関が勝った瞬間、歓声が起きてみなさん一緒になって喜んでいました。ガン専門の病院だったので、どうしても重たい空気が流れていたんですけど、その空気が一変して明るいポジティブな空気になりました。
母も安関に初めて合った巡業の時に、一緒に支度部屋でお会いしたので、応援する熱量も高かったですね。私のファンだということを知ってから、さらに特別な存在になっていたので、声を出しながら応援して、喜んでいました」と振り返る。
この一番に、当時大山さんは自身のツイッターにこう書き綴っていた。
文面には、病気と闘っている母たちを元気付けてくれた安への感謝と、スポーツの力への想いが溢れた。
この取組から約1ヵ月後の2月、大山さんは田子ノ浦部屋の稽古場に、両親を連れて見学に訪れていた。
当時、母・久美子さんの病状は「厳しい状況で、治療はもう何も出来ない状況」であり、ガン専門の病院でも施せる治療がなくなり、残された時間を家族と一緒に過ごし始めていた。
大山さんの家族3人が、安の計らいで見守る中、初場所の優勝で新横綱に決まったばかりの稀勢の里との激しい稽古が始まった。
気迫の込もった三番稽古。2人は繰り返し繰り返し、何番もぶつかり合った。
「土俵の空気がピリピリしていて、あの場にいられて幸せだなって思いました。なかなか感じることが出来ない空気感でしたし、あんなに間近で本気のぶつかり合いを見ることはないので、すごく貴重な経験をさせて貰いました」
この稽古を目の当たりにした母・久美子さんは、「ちょっとうるうるしていました。あの空気感は無条件に心が動かされるものでした」と大山さんは語る。
そして稽古の後、安が久美子さんの手を握り、励ましの言葉を贈った。
「何より嬉しそうで、顔色もずっと悪かったんですけど良くなって、すごく大きなパワーを貰いました」
家族にとって、かけがえのない思い出の時間となった。
母の他界から4年、偶然にも2人は今年2月に子の親となった。
大山さんは双子の女の子を出産し、安には長女が生まれた。
現在の生活ぶりを大山さんに聞くと「大変ですが幸せを噛み締めながら過ごしています。
双子なので2人同時に泣かれると、どうしようもなくて大変ですが、偶然にも同じ時期に女の子の親になるというのはご縁を感じました」という。
一方の安は3月場所を終えた後、出産のために里帰りしていた妻が待つ北海道へ迎えに赴き、今は東京で一緒に生活を始めている。
沐浴を手伝ったり、ミルクをあげたり安の顔を見るとニコニコと笑みを返してくれるという。
この夏場所は、父親となった事をあらためて実感しながら戦うことになる。
大山さんは「守るものが増えて責任とか覚悟を感じていると思いますが、すごい真面目な方なので、難しいですが重荷にせずに、ポジティブなパワーに変えてもらいたいと思います」とエールを送る。
それでも怪我と戦いながら31歳で挑む戦いは、決して平坦ではない。
かつて大関の看板を張ったその地位への帰り咲きという期待も、確実に生まれて始めている。
「安関ならまた大関に帰り咲いてくれると信じています。身体もしんどくなるし、怪我もあって厳しいとは思うんですけど、きっとお嬢さんの存在が力になってくれると思うので、自宅で癒やされながら頑張って欲しいです」
先場所、安は終盤まで単独トップを守り、初優勝まであと一歩と迫りながら最後に力尽きた。
人々の期待を集める力士として、そして一人の父親として、飛躍をかけた15日間の土俵が明日から始まる。
大相撲初場所で初優勝を果たした小結大栄翔(27=追手風)が8日、東京・両国国技館で行われた優勝額贈呈式に出席した。
縦約3メートル、横約2メートルの額を贈られ「その大きさに驚いた。間近で見ると、すごく大きいんだなと。2場所前ですけど、改めて優勝の実感を味わいましたね」と感想を語った。
翌9日に控えた夏場所(国技館)の初日に向けて「自分のできることをやってきたつもり。しっかり力を出し切りたい。自分の相撲を取り切ることが一番」と気持ちを引き締めた。
今場所は初日から3日目(11日)までは無観客、4日目(12日)以降は観客を入れて開催される。「お客さんに入ってもらって拍手があることで、自分も力が出ると思う。ありがたいし、より一層気合が入る」と話していた。
大相撲夏場所(東京・両国国技館)初日を翌日に控えた8日、日本相撲協会の尾車事業部長(64=元大関琴風)が報道陣の取材に応じた。
前日7日、幕内竜電(30=高田川)が相撲協会が定める新型コロナウイルス対策のガイドラインに違反したことが判明。師匠の高田川親方(54=元関脇安芸乃島)の判断で夏場所を休場することになった。
尾車部長は「コンプライアンス委員会できちんと調査することになると思う。場所後に話(調査報告)を聞いて、処分しなきゃいけないような案件になるなら処分をする」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を翌日に控えた8日、同所で本場所の安全を祈願する恒例の土俵祭りが行われた。
先場所に続き、新型コロナウイルス感染予防のため非公開で行われ、三役以上の力士は出席しなかった。
土俵祭りの様子は日本相撲協会の公式ユーチューブチャンネルでライブ配信された。
「大相撲夏場所」(9日初日、両国国技館)
優勝額の贈呈式が8日、東京・両国国技館で行われ、春場所で3度目優勝の大関照ノ富士(29)=伊勢ケ浜、初場所で初優勝した小結大栄翔(27)=追手風=が参加した。
21場所ぶり大関返り咲きの照ノ富士は日本相撲協会のYouTubeに「今場所もいい成績を残せるように頑張ります」と短く意気込みを語った。
今場所は一人横綱の白鵬(36)=宮城野=が休場。出場最上位の4大関、朝乃山(27)=高砂、貴景勝(24)=常盤山、正代(29)=時津風、照ノ富士で、次の横綱を目指す争いも過熱する。
東京開催場所の責任者、尾車事業部長(元大関琴風)は「どの大関も横綱を狙える大関だと思う。横綱がいない中、俺たちの中で優勝しなきゃダメという気持ちで臨んでもらいたい。早く横綱を張る人が出てきてほしい」と、4大関で場所を引っ張ることを求めた。
最近は群雄割拠の様相で誰にでも優勝チャンスがあるものの、番付の威厳も問われる。
尾車部長は「平幕優勝もおもしろいし、意外性で沸くけれど、4大関がそろって出て平幕優勝、平幕トップを走る、そうなられたら見ているお客さんは番付ってなんだと思われる。大関の責任は大きい」とハッパをかけた。
平幕上位にも大関候補の勢いある若手がいる。
「若隆景(荒汐)が上に上がってきて楽しみ。相撲がおもしろい。明生(立浪)とか元気な若手がいいんじゃないですか」と、期待した。
大相撲夏場所は9日、初日を迎えます。21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は、平幕の明生との対戦です。
夏場所は9日、初日を迎え、先場所中に右ひざの手術を受けた白鵬が6場所連続で休場することになり横綱不在となりました。
今場所の出場力士で最高位となる四大関のうち、21場所ぶりに大関に復帰した照ノ富士は前頭2枚目の明生と対戦します。
過去2回の対戦はともに照ノ富士が勝っています。
先場所、持ち味の圧力のある四つ相撲で白星を重ね3回目の優勝を果たした照ノ富士は、動きのいい明生を相手にがっぷりと組むことができれば優位は動きません。
一方、自己最高位まで番付を戻した25歳の明生は、まずは休まず動き回って攻め照ノ富士を動かして勝機を伺いたいところです。
このほかの大関陣は、先場所10勝の朝乃山が過去6勝9敗と負け越している小結・大栄翔との一番、角番の正代は前頭筆頭の北勝富士と、貴景勝は前頭筆頭の若隆景と顔を合わせます。
大関経験者で、7場所ぶりに関脇に復帰した高安は、過去2回の対戦でいずれも黒星を喫した前頭2枚目、翔猿との対戦です。
大相撲夏場所は9日、東京・両国国技館で初日を迎える。
8日は土俵祭が行われ、場所中の安全を祈願した。3月の春場所で取組中に土俵に頭部を強打し救急搬送された三段目・響龍(本名・天野光稀さん)が4月28日に急性呼吸不全で亡くなったことから、日本相撲協会審判部の親方らは7日に応急対応処置の講習会を受け、本場所に臨む。
夏場所は昨年、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言が延長されて中止になり、2年ぶりの開催となる。今年も緊急事態宣言が出される中、3日目までは無観客で、大規模イベントの人数制限が緩和される4日目の12日からは5000人を上限に実施する。
尾車事業部長(元大関・琴風)は「感染対策が一番。無事に15日間、千秋楽を迎えることを目標に頑張っていきたい」と話した。
また、協会が策定した新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに違反する行動があったとして夏場所を休場する前頭・竜電について、コンプライアンス部長も兼ねる尾車部長は「場所後に調査し、処分しなければならないなら処分する」と述べた。
大相撲の三段目力士、響龍さん=本名・天野光稀、山口県出身、境川部屋=が4月28日午後、急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去した。
28歳だった。日本相撲協会が29日に発表した。
響龍さんは3月26日の春場所13日目にすくい投げで敗れた際、頭部を土俵に強打。
そのまま動けなくなり、救急搬送され、入院していた。
現役力士の死去は、昨年5月に新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全で亡くなった三段目の勝武士さん以来。
1月の初場所では不成立となった立ち合いで頭をぶつけあい、意識がもうろうとなった力士がそのまま相撲を取ったケースがあった。
場所後に審判規則を変更し、脳しんとうなどで相撲を取れる状態ではない場合、不戦敗とすることを決めるなど、協会として安全対策を強化したばかりだった。
日本相撲協会審判部は8日、東京・両国国技館での土俵祭り終了後に、力士への迅速な応急処置の徹底を再確認した。
同協会は7日にスポーツ現場の事故対応専門家を招いて講習会を実施。
大相撲夏場所初日を翌日に控え、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)が改めて処置の徹底を求めた。
審判部によると、応急処置の方法を説明したDVDも配布されたという。
負傷者が出た場合は全ての対応が終わってから、勝ち名乗りを上げることも申し合わせた。
大相撲では1月の初場所取組で力士が脳振とうを起こすケースが発生。
3月の春場所では土俵に頭部を強打した三段目力士、響龍の天野光稀さんが4月下旬に急性呼吸不全のために亡くなる極めて異例の事態も起きた。
2021/05/08
3月に持病の右膝を再手術した横綱白鵬(36)=宮城野=が7日、相撲協会に休場を届け出た。
昨年7月場所から6場所連続での休場となり、年6場所制となった1958年以降で、横綱としては史上3番目(ワーストは稀勢の里の8場所連続)の長さとなった。
白鵬は名古屋場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ)で進退を懸ける意向を示しているが、伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「横綱の責任を果たしているのか果たしていないのかということになりますよね。そういう意味でこれだけ休んでいるんですから、横綱としてきちんと判断しないといけない。正直言って、ここまで休まれると、あんまり期待というものもこれから先できない」と苦言。
「出ていない人(白鵬)のことを考えても…。白鵬どうこうではなく、まず大関陣が頑張って横綱になってほしいと思ってますけど」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関朝乃山(27=高砂)が電話取材に応じた。
初日向けて部屋の幕下を相手に汗を流してきた朝乃山は「手応えとかは分からないですけど、しっかり自信を持っていきたい」と意気込んでいる。
また、4都府県を対象に発出されている緊急事態宣言が延長となる見込みだが、これについては「無観客(開催)が延びる可能性もある。自分たちは精いっぱい相撲取ることが大事」と気を引き締めた。
そんな初日は母の日。これまで何かを贈った経験はないようだが「白星を届けることが一番のプレゼントじゃないですかね」と話す。
大関昇進から1年。朝乃山は「大関の地位で出場して求められるのは優勝」と言葉に力を込めた。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた6日、大関正代(29=時津風)が電話取材に応じた。
先月の合同稽古後は部屋で十両豊山(27)や幕下らと胸を合わせてきた。
「(1日)15番以上を目標に。問題なく調整はできたんじゃないかなと思います」。
また、春場所で課題に挙げていた立ち合いの圧力については「初日を迎えてみないとなんとも言えないですけど、意識して稽古してきたつもりです」と語った。
本来であれば、5日は地元の熊本・宇土市で聖火リレーの走者を務める予定だったが、新型コロナ禍で断念。
それでも「参加できなかったのは残念ですけど本職は力士。力士である以上協会のルールに則って生活するのが義務なので、場所で活躍して地元の人に頑張っている姿を見ていただけたら」と前を向いてる。
自身2度目のカド番となる夏場所へ「早い段階で勝ち越して、早いうちに安心したい」と正代。土俵で存在感を発揮するしかない。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の取組編成会議が7日開かれ、初日と2日目の取組が決まった。
21場所ぶりに大関に返り咲いた照ノ富士は初日に先場所10勝した明生、2日目に三役経験のある北勝富士と対戦する。
師匠の伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)によると、照ノ富士は古傷の膝が本調子ではないというが、「出るからには大関の責任を果たせるように、2桁(勝利を)目指して頑張ればいい」と話した。
横綱・白鵬は6場所連続休場。
途中休場した春場所中に右膝の手術を受け、7月の名古屋場所で進退を懸ける意向を示している。
日本相撲協会の芝田山広報部長は7日、東前頭14枚目の竜電(30)=高田川部屋=に協会が策定した新型コロナウイルス感染対策のガイドラインに抵触する行為があり、夏場所を休場すると明らかにした。
緊急事態宣言中は無観客で行われる大相撲5月場所の注目は、御嶽海(28)と大栄翔(27)の両小結だ。
対戦成績は御嶽海の8勝7敗と、ほぼトントン。
大関を目指す者として双方ともに負けられないだろう――が、この2人、相撲に関しては正反対だ。
御嶽海は平幕在位9場所に対して、三役在位が5月で24場所目。
一見凄い数字に見えるものの、稽古不足がたたって「強いのに安定しない」というだけの話だ。
むしろ昇進できない「万年三役」と言うべきだろう。
一方、大栄翔は地道な努力の人。
昨年から幕内で頭角を現し、今年1月場所で自身初優勝した。
御嶽海、大栄翔とも大関の朝乃山、正代に勝ち越すなど、上位陣には強い。
ある親方は「御嶽海が昇進するなら今年がラストチャンスではないか」と、こう続ける。
「素質はピカイチなのに稽古をしない。
本人は今場所に向けて『2ケタしか考えていない』と話していたが、もはや角界でも彼の大関昇進を期待する声は皆無ですよ。
“三年先の稽古”をおろそかにしてきたのだから、いつ下降線に突入してもおかしくない。
大栄翔はその逆。
苦労がようやく実を結び、今後も伸びていく力士です。
先場所序盤は気持ちだけが空回りした雑な相撲で4連敗を喫したが、その後は持ち直した。こっちの方が断然期待できますよ」
とはいえ、御嶽海も優勝2回。
忘れた頃にいつの間にか賜杯を掴んでいる。
努力家が勝つか、それとも天才肌があざ笑うのか……。
日本相撲協会は7日、大相撲夏場所4日目の12日から観客を入れて開催すると発表した。
政府が東京都などに発令中の緊急事態宣言の延長を決めた際、当初期限だった11日まで「原則無観客」としていたスポーツなど大規模イベントの制限を緩和したことを受けて、協会は観客を入れた開催が可能と判断した。
すでに上限5000人の想定でチケットを販売済みで、新たな販売は行わないという。
9日に初日を迎える大相撲夏場所(両国国技館)では、新三役の座を狙う前頭筆頭の若隆景(わかたかかげ)(26)と前頭2枚目の明生(めいせい)(25)が注目される。
ともに3月の春場所で10勝を挙げ初三賞を獲得。
スピード感あふれる取り口も共通している。
初日、2日目はいずれも大関戦が組まれ、力が試される。
東洋大出身の若隆景は3兄弟の三男。
同部屋の長男若隆元(わかたかもと)(幕下)、次男若元春(わかもとはる)(十両)と兄弟力士として注目されてきた。
低い体勢からの押っつけを武器に、前頭2枚目の先場所は技能賞に輝いた。
師匠の荒汐親方(元幕内蒼国来(そうこくらい))は「前は立ち合いが軽かった。それをなくすために意識して稽古している。そこが思ったより早くできてきた」と成長を認める。
初日の貴景勝、2日目の正代は先場所倒しており、再現を狙う。
若隆景は「自分の相撲を取り切って勝ち越しを目指したい」と三役を見据えている。
明生は中卒で角界入りして10年が経過した。
「学生(出身)の人たちに負けたくない」と話すように、負けん気の強さと豊富な稽古量で頭角を現した。
先場所は前頭3枚目で敢闘賞を受賞し、勢いに乗る。
三役が視界に入る夏場所へ、「自分の相撲を信じて15日間取り切れば大丈夫」と力強い。
初日は大関に復帰した照ノ富士戦が組まれた。
同期入門で強く意識している相手だ。
結果を出して弾みをつけたい。
日本相撲協会審判部は7日、東京・両国国技館で取組編成会議を開き、大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の初日と2日目の取組を決めた。
3月の春場所を3日目から途中休場し右膝を手術した横綱白鵬(36=宮城野)は、かねて師匠の宮城野親方(元前頭竹葉山)が示唆していた通り、休場届を提出。
6場所連続休場が決まった。
年6場所制となった58年以降で、横綱として6場所連続休場は3番目の長さとなった(最長は稀勢の里の8場所連続)。
これにより出場する番付最上位は、今場所から4人になった大関陣となった。
十両以上の休場は白鵬の他、平幕の碧山(34=春日野)、竜電(30=高田川)、翠富士(24=伊勢ケ浜)の4人で、28人の十両で休場力士はおらず、14番が組まれた。
その十両で注目は4場所ぶりの幕内返り咲きを狙う炎鵬(26=宮城野)。
東前頭筆頭の最上位で、勝ち越せば昨年11月場所以来の幕内復帰は確実だ。
初日は西筆頭の千代ノ皇(九重)と対戦する。
また、こちらも17年九州場所以来の再入幕を目指す宇良(28=木瀬)も、西十両2枚目の好位置につけておりファンの期待は高まる。
初日は東龍(玉ノ井)と対戦する。
大相撲の力士が取組でケガをして倒れた際などに、審判や警備を担当する親方がどのように対処すべきかを学ぶ講習会が開かれ、担架で搬送し、医師に引き渡すまでの手順を確認しました。
この講習会は、東京 両国の国技館で開かれ、審判や警備担当の親方のほか、国技館内にある診療所の医師など、およそ60人が参加しました。
スポーツの現場で安全な環境作りを支援するNPO法人の担当者の指導を受けながら、力士が取組で頭を打つなどして、うつぶせや、あおむけの状態で動けなくなった際、安全に担架に乗せて搬送し、医師に引き渡すまでの手順を学びました。
参加した人たちは、力士に見立てた親方の首を固定し、あおむけにしてから担架に乗せたあと、慎重に搬送していました。
相撲協会の警備本部長を務める春日野親方は「医師に少しでも早く力士の状態を判断してもらうためには、迅速な対応が必要だ」と話していました。
大相撲では、ことし春場所の取組で土俵に頭を打ちつけて搬送され、入院を続けていた三段目の力士が急性呼吸不全のため、亡くなりました。
1月の初場所では、幕下で立ち合いが不成立となった際、頭でぶつかりあった力士がしばらく立ち上がることができず、仕切り直した取組があり、相撲協会は、立ち合いの成立前に力士が脳しんとうを起こすなどして危険な状態だと判断された場合、相撲を取らせず不戦敗とできるよう審判規則を変更しています。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、伊勢ヶ浜審判部長(60=元横綱旭富士)が電話取材に応じ、6場所連続休場の横綱白鵬(36=宮城野)に苦言を呈した。
白鵬は春場所に出場しながらも右ヒザの状態が悪化して3日目から途中休場。
その後、右ヒザを再手術し、名古屋場所(7月4日初日、愛知県体育館)で進退をかける意向を示している。
しかし、6場所連続の休場は年6場所制となった1958年以降、横綱としては史上3番目の長さ(ワーストは稀勢の里の8場所連続)。
こうした状況に伊勢ヶ浜部長は「ケガして痛くて出れないんだろうけども、こういう状態がずっと続いているのは結果として出ている。じゃあ、ここで横綱の責任を果たしているか、果たしていないかということになる。そういう意味ではこれだけ休んでいるわけだから、そこでどうかというのは、自分が横綱としてきちんと判断しないといけないこと」と厳しく指摘する。
続けて「正直言ってここまで休まれると、期待というものもこれから先できない状態。これは当たり前のことで、誰もがそう思うこと」と言いきった。
白鵬自身は術後のリハビリを経て再び土俵に立つ決意だが、伊勢ヶ浜部長は「早く治して出てほしいという気持ちもあるが、毎回同じこと言ってますから。
ここまで来てしまうと、もう本人の問題。なので、白鵬がどうこうではなく、まず大関陣が頑張って横綱を目指して頑張ってほしい」と、出場力士最上位≠ノ奮起を促した。
春場所後に開かれた横綱審議委員会の定例会合では、昨年11月場所後に決議した「注意」が継続となったが…。
優勝44回の大横綱への風当たりは強まるばかりだ。
大相撲の序ノ口力士、勝南桜(22=式秀)が、3月の春場所で90連敗を喫した。
もう2年以上、白星がない。不謹慎ながら、対戦が決まった相手は戦う前から勝ったも同然、ラッキーだと思うのだろうなと勝手に考えていた。
ところが違った。
春場所後、勝南桜と対戦したある力士に聞くと「すごいプレッシャーでした。絶対に負けちゃいけないので」と打ち明けた。
その力士の師匠も「そりゃあ、プレッシャーですよ。負けたらヤフーニュースになってしまいます。相撲に絶対はありませんから」と話していた。意外な事実だった。
確かに、相撲に絶対はない。力の差があっても、実力上位が足を滑らせることもある。
何が起きるか分からない。
90連敗と言っても、その一番一番をよく見ると、かなり善戦している取組もあるのだ。
勝南桜は2015年九州場所で序ノ口デビュー以来、3勝224敗1休。最長の連敗記録を現在継続中で、次の白星は、これまでの3勝以上に注目されるだろう。
ここで思い出すのは、二子山親方(元大関雅山)の行動だ。
以前、二子山部屋の力士が服部桜(現在の勝南桜)に負けた。
二子山親方がまずやったことは、弟子をしかることではない。
ほかの兄弟子らに連絡を入れ、こう言った。
「いいか、絶対にバカにしちゃだめだぞ。服部桜だって一生懸命稽古して、強くなっているんだ」
頭が真っ白になったであろう、その力士の気持ちを思いやり、相手も尊重した。
その一番で負けた力士は盛り返し、その場所で勝ち越した。
私は4年前、勝南桜(当時は服部桜)が所属する式秀部屋の稽古を見たことがある。
本場所では立ち合いの当たりを怖がっているように見えたが、稽古場ではその改善に努めていた。
式秀親方(元幕内北桜)の熱血指導のもと、強度を徐々に高めながら頭と頭をぶつけ合ったりと、本場所を意識して稽古していた。
内容も濃い。
これを続ければ、もっと勝てると思えた。
やる気も感じた。
どうやら、稽古場の力を本場所で発揮できないタイプのようだ。
まもなく夏場所が始まる。
幕内が最高レベルであることは言うまでもないが、序ノ口には序ノ口なりの意地や重圧がある。
それを心の片隅に置きつつ、勝負を見守りたい。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は6日、電話取材に応じ、力士659人に行ったPCR検査で、全員が陰性であったことを発表した。
力士以外の協会員約260人も3日までに検査を受け、陰性。
同部長は「協会員約900人ちょっと、感染者ゼロということで結果がでています。とくに発熱者、体調不良者の報告は受けていません」と説明した。
場所前の全協会員を対象としたPCR検査は今場所で3度目だが、1人も陽性者が確認されなかったのは初めて。
芝田山部長は「協会員がみんな感染予防対策に対して、一生懸命取り組んで協力してくれている一つの証だと思います」と語った。
夏場所(東京・両国国技館)は9日初日と目前だけに「今日も協会員にはPCR検査の結果とともに、引き続き、感染予防対策に努めてもらいたいと伝えた」という。
今場所は緊急事態宣言下で初日を迎え、3日目までは無観客開催となる。
宣言が延長される可能性も高まっており、この日の定例会議でも対応を話し合ったという。
万全の状態で初日を迎えるべく、同部長は「場所に入れば人と人との接触も多くなる。引き続き、感染予防対策をして、行動して下さいと通達した」と話した。
2021/05/07
3月に右膝を手術し、夏場所で6場所連続休場が確実視される横綱白鵬は、都内の部屋で術後初めて四股を踏んで汗を流した。
師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が明らかにした。
7月の名古屋場所で進退を懸ける意向。
術後はリハビリに努め、経過は良好だという。
苦境に立つ横綱について、同親方は「本人が一番分かっていると思う。いい相撲を取れるようにしていくだけ」と語った。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の初日まで3日となった6日、大関朝乃山(27=高砂)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
先月19日から4日間の日程で行われた合同稽古では、連日の三番稽古(同じ相手と連続して相撲を取る)で、同じ大関の正代(29=時津風)や小結御嶽海(28=出羽海)らと約60番取り、実戦感覚を磨いた。
その後の部屋での稽古は関取衆不在のため連日、幕下以下の若い衆と稽古。
この日は「勝敗に関係なく番数を取ろうと思って20番ぐらい」(朝乃山)取った。
調整に入る時期でもあるため少なめのようだが、番付発表後は30番ほど取ったという。
2年前の夏場所は、トランプ前米国大統領から大統領杯を贈られた記念すべき初優勝。
昨年の夏場所は新大関として臨むはずが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止。
何かと縁深い場所を前に「気付けばもう大関になって1年がたちます。大関になってふがいないし、納得いかない結果になっている。大関に求められるのは優勝ですから」と、休場を除けば8場所連続2ケタ勝利中にも、さらなる向上を自分に求めた。
結果的には2ケタ勝利を挙げても、番付下位への取りこぼしで優勝争いには、なかなか加われない状況が続く。
「自分より下の番付(の力士)に負けないことが大事。それを突破しても大関同士で(の対戦)も勝っていかないといけない」と本人も重々、承知のことだ。
大関昇進時に先代の師匠(現錦島親方=元大関朝潮)から「13勝で優勝しなければダメだ」と言われたことも頭にあり「12番しかないので、それ以上、勝たないといけない」とクリアすべき数字も明確に挙げた。
季節がら相撲界では関取衆が、後援者らに日頃の感謝のしるしとして贈る、浴衣地の反物を作るシーズンだ。
朝乃山は今年、チューリップをデザインした反物を作った。出身地・富山の名花で「地元のやつを何か入れようかなと思ってチューリップがあるので。皆さんに喜んでいただけるように、少しでも地元を入れたいと思って」と説明。
夏場所初日は母の日でもあり「5月場所と(母の日が)重なるので白星を届けることが一番のプレゼント」と話すように、浴衣地の反物同様、感謝の思いを土俵上の白星とともに送る。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)にかど番で臨む大関正代(29=時津風)が6日、都内の部屋で行った朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
この日は、幕下以下の若い衆と約20番相撲を取ったと説明。
「とりあえず初日を迎えてみないと何とも言えないけど、立ち合いの圧力や出足は意識して稽古はしてきたつもりです」と感触を口にした。
かど番は初場所以来2度目となる。
春場所では、思うような立ち合いが出来ずに7勝8敗と及ばず。
同場所後は、立ち合いの確認を入念に行ってきたという。
「できるだけ番数をなるべく多く取って、どういう状況でも出足と圧力が相手に伝えられるように、いろいろ試しながらやった」と説明。
大関4場所目にして、早くも2度目のかど番だが「前回のかど番に比べるとモチベーションといいますか、そういうのは安定はしている。あまり考えないようにしている」と自然体を強調した。
本来であれば5月5日に、東京五輪の聖火ランナーとして地元・熊本を走る予定だった。
しかし、時期が本場所4日前だったことや新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより辞退。
直接、地元で勇姿を見せることはできなかったが「参加できなかったのは残念だけど本職は力士。
今回は残念でしたけど、場所の方で活躍して地元の人に頑張っている姿を見ていただけたら、それでいいかなと思っています」と言葉に力を込めた。
かど番脱出を目指す夏場所は、緊急事態宣言発令に伴い、3日目までの無観客開催が決まっている。
しかし、緊急事態宣言は延長される可能性があり、それに合わせて4日目以降も無観客開催となる可能性も出てきた。
「去年の3月に無観客の経験はしているので違和感はそこまでない。あまり影響を受けずに自分の相撲を取り切れたら、テレビで見ていただいている方にも楽しんでもらえると思う」と話した。
「とりあえず勝ち越せたらいい。今回に関しては勝ち越さんと話にならないので」と、かど番脱出に全神経を集中させる。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で6場所連続の三役在位となる小結御嶽海(28=出羽海)は2日、都内の部屋で基礎運動を中心に稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催となる夏場所へ「無観客だからこそ頑張らないといけない」と意気込んだ。
故郷の長野県上松町でスナックを経営する母マルガリータさんは、1年以上も観戦に訪れていない。
母がテレビ画面越しで声援を送る本場所へ「2桁。そこしか見えていない」と、10勝以上を目標に掲げた。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で返り三役2場所目となる小結大栄翔(27=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行い汗を流した。
報道陣の電話取材に応じ「今日は20番くらい。いつも通り本当にいい稽古ができています」と話した。
初場所の優勝力士として迎えた春場所では、初日から4連敗を喫しながらも、中盤以降は立て直して千秋楽で勝ち越しを決めた。
「まだまだやっぱり実力も安定していない。力もまだまだなのかなという思いですね」と、さらなる成長を期す。
昨年春から日大大学院に通い文武両道を実践中。
コロナ禍のため授業は全てリモート形式という。
直近では4月の入学生との自己紹介や、修士論文の方向性などについて話し合った。
「だいぶ慣れてきましたね。まだまだですけど。大学院も稽古も(外に)出られないからこそ時間をいいふうに利用してやっている」と時間を効率よく使う。
春場所後には埼玉・朝霞市の実家に日帰りで帰省。愛犬チロルとの散歩でリフレッシュした。
夏場所は照ノ富士が大関に復帰して4大関となる。
次の大関候補として期待される27歳は「出るからにはいい成績残して、上を目指すという思い。やっぱり今は関脇に上がりたいですね」と意欲を示した。
緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「テレビの前でたくさん見ている方がいると思う。4日目以降はお客さんもたくさん入ってくれると思うので、しっかりいい相撲見せられるように頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に自己最高位の東前頭筆頭で臨む若隆景(26=荒汐)が28日、都内の部屋で申し合い稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、兄で十両の若元春らと約20番取ったと説明。
番付発表前に実施された合同稽古にも参加しており「合同稽古でもいい稽古が出来たと思う。これからもう少ししっかり体を作ってやっていきたい」と話した。
西前頭2枚目で臨んだ3月の春場所では、10勝して初の技能賞を獲得するなど奮闘した。
しかし、同場所では関脇、小結陣が全員勝ち越すなど、番付運に恵まれずに新三役の座はつかめなかった。
それでも「しっかりやろうという気持ち。番付発表があったので、また気が引き締まる気持ちです」と気にすることはなかった。
また、春場所では貴景勝と正代の2大関を撃破。
「慣れてきたかと言われたら分からないけど、緊張はせずに思い切ってやれると思う」と夏場所では春場所の経験を生かす。
春場所での技能賞獲得につながった強烈なおっつけは「相撲を小学1年生からやってますけど、その頃から下からの攻めというのは常日頃ずっと言われてきたこと」と20年以上磨いてきたものだという。
原点を磨いた地元・福島には、春場所後に日帰りで帰省した。
英気を養い「自分の相撲を取りきって、勝ち越しを目指したい」と宣言するように、2場所連続勝ち越しと今度こそ新三役の座をつかみ取る。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で東前頭2枚目に就いた明生(25=立浪)が新三役への思いを語った。
5日、茨城・つくばみらい市での部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
春場所では2大関撃破を含む10勝5敗で、初めての敢闘賞も獲得するなど飛躍。
自己最高位に並ぶ夏場所に向けて「しっかり気持ちを強く持って自分の相撲を信じて、15日間取り切れば大丈夫。まずは三役に上がりたい気持ちを強く持っています」と意気込んだ。
左上腕の負傷で昨年初場所を休場して以降、専属トレーナーをつけた効果が出ているという。
「(専属トレーナーとのトレーニングを)週4回くらい、2時間くらいやっている。相撲は動きがある中でのトレーニングなので、動きを取り入れたトレーニングだったり、そういうことを意識しながらやっている。全部(相撲に)生きていると思う」。
稽古熱心で知られるが、けがをするまでは土俵外でのトレーニングに頓着していなかった。
「相撲を強くなるのは相撲しかないという意識ではいたので、そこの意識、考え方が少し変わった」と明かした。
11年技量審査場所が初土俵で、夏場所から11年目となる。
大関復帰を果たした照ノ富士や、幕下15枚目付け出しでデビューした日体大出身の千代大龍らが同期。
中学を卒業して15歳で入門した明生は「学生の人たちに負けたくないなとずっと思ってましたね」。
新弟子のとき、教習所の稽古ではレベルの高いA土俵へ勝手に乗り込んでいたと振り返る。
「吹っ飛ばされていた。(相手は)学生ばっかりで。何か負けたくなかったので(A土俵に)いったんですけど、全然相手になっていなかったと思います」。
元来の負けず嫌いだった。
入門から丸10年がたち、三役目前の地位まで番付を上げた。
「やはり三役とかそういうことより、入門したときからずっと横綱になりたくて入ってきた。簡単なことではないが、横綱にと思ってやってきて入ってきたので、ずっと思って10年たった」。
高い志を持って今後も出世を目指す。
この日は平幕の豊昇龍、天空海らを相手に約20番取って汗を流した。
初日まで残り4日。
「上位なので厳しい戦いになると思う。しっかり勝ち越せるように強い気持ちで土俵に上がりたい」と話した。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで10日となった29日、平幕の千代の国(30=九重)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
3月の春場所は、8勝目を挙げ勝ち越しを決めた翌日の13日目から休場した。
「右母趾(ぼし)脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折」の診断だった。
右手親指は5日目の竜電戦で突いている途中で痛め、左脇腹は「10日目ぐらいより前から、ちょっとおかしいなという感じがあった。右手の親指が痛くて右が使えない分、ちょっと左の脇の方に負担がかかっちゃったのかなと思う」と言う。
5日目に右手親指を痛めたが「ケガしてからの(相撲)内容が悪すぎる。引きとか逆転が多くなってきて、体に負担が倍以上かかって、結果的に休場となっている。まずはケガをしないということ」を先場所の反省点とした。
膝のケガで幕下以下に落ちるなど、幾度も泣かされてきた。
克服するのに「少しずつ少しずつ、コツコツコツコツという感じで」と話すように、焦りや気負いを自制する大切さを自分に言い聞かせた。
それは「今回のケガで、より意識するようになった。前のケガより、よりいっそうという感じで。前は『休んじゃダメ、休んじゃダメ』と無理して(本当の)心の声を聞いてあげられなかった。今は毎日、体の声を聞いてあげながら無理しないで毎日続けている」と継続の重要性を理解した。
春場所は8勝5敗2休で、1点の勝ち越しだった。
それでも番付運が味方し今場所は、東前頭9枚目から西前頭3枚目と、一気に6枚も番付を上げた。
最高位は4年前の同じ夏場所の東前頭筆頭で、上位総当たりは約3年ぶり。
久々に、荒々しい敢闘精神あふれる千代の国らしい相撲が、幕内後半戦で見られる。
「特に気負いとかはないけど、どこまで通用するのか。変に気負っちゃうとダメなので、いつも通りじゃないですかね」と自制を言い聞かせる一方、念願の新三役への思いは「もちろん、もちろんですよ。ずっと本当に、ここ何年も目標にしていることなので」と意気込みは隠せない。
愛夫人と長女との公園遊びが、つかの間の息抜きになっているという。
「もうね、子どもは公園が好きなんで。出来るときは公園に連れて行ってあげています。その時は相撲のことも考えないし、息抜きになる。一緒に散歩したり」と笑いながら父親の一面ものぞかせていた。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で東前頭5枚目に就いた元横綱朝青龍のおい、豊昇龍(21=立浪)が3日、約3年半過ごした茨城・つくばみらい市の部屋から通う最後の場所に向けて「最後の場所となるので、何とか力を出し切るしかないですね」と意気込んだ。
夏場所後に部屋がつくばみらい市から、2月中旬まで常盤山部屋が使用していた東京都台東区の建物に移転する。
稽古後に報道陣の電話取材に応じ「(つくばみらい市の部屋は)入門してからずっといたので。(両国国技館に)近くなるのはいいけど、自分は茨城の部屋が好きでしたよ」と話した。
自然豊かなモンゴル出身。部屋から車で1時間半ほどの筑波山(つくば市、標高877メートル)を登るのが好きだった。
「関取になってからよく登りに行っていた。1カ月に1回は行ってました。トレーニングより気持ちのリフレッシュ。モンゴル人は山に登るの好きなんで。昔のことを思い浮かべる。筑波のいろんな場所はモンゴルに似ている感じがして。引っ越しても行きたいね」。
移転先からほど近い浅草には、高さ634メートルの東京スカイツリーがあるが「スカイツリーは山じゃないね(笑い)」と笑い、現時点での高い関心は示さなかった。
現部屋での最後の場所は、自己最高位で役力士と対戦する可能性もある。
「番付を見たとき、わくわくして早く場所始まらないかなと。体もわくわくして半端なかったです」。
おじからは「アドバイスはなかったけど『立ち合い甘いな』と(言われて)、立ち合いのことを意識しました」という。
目標は勝ち越し。
「早くやりたい。上位倒したらどんだけ気持ちがいいかと」と興奮気味に語った。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西前頭12枚目に就いた隠岐の海(35=八角)が1日、昨年春場所以来となる無観客開催の場所に向けて気持ちを高めた。
都内の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「(無観客は)そんなに嫌じゃない。逆にお客さんが入ってもシーンとしている方が緊張しますよ。自分結構土俵に上がるとむせるタイプなので、せき払いとかしづらいなあとか無観客の時はありましたけど、意外と稽古場みたいで自分は嫌いじゃないですけどね」と話した。
昨年秋場所から4場所連続で負け越しており、「やっぱり体が硬いですよ。小さなけがをかばっていると思いますし、その積み重ねが良くないのかもしれない」と不調の原因を分析する。
7月には36歳の誕生日を迎えるベテラン。
「もうひと花、もうひと花と思いながらやっているけどね。もうひと花と言いながら5年も10年もたっている」と笑った。
春場所後に旧東関部屋の力士が八角部屋に転属したため、計30人という大所帯となった。
「いい雰囲気ですよ。東関部屋の魂もですね、(19年12月に41歳で死去した)前親方の潮丸関の気持ちを引き継いで一生懸命やってほしいですよね」と期待を寄せた。
悲しいニュースもあった。
先月28日に境川部屋の三段目力士、響龍(ひびきりゅう)の天野光稀(あまの・みつき)さんが急性呼吸不全のため東京都内の病院で死去。
響龍さんは春場所13日目の取組で、すくい投げを食った際に頭部を強打し、自力で立ち上がることができず都内の病院に救急搬送され、入院先で寝たきりの状態が続いていた。
「つらいと思いますよ。対戦相手の子も。何もないと思ったって感じることがあるだろうし、自分らだってきついから」。
土俵に頭を打つなどの衝撃で電気が走り、腕が上がらなくなるなどのアクシデントは、力士にとって珍しくないという。
「よくあることって『大丈夫、大丈夫』ってなっちゃうんですよね。
やっぱり『それを乗り越えて先がある』ってなっちゃうし、顔から落ちろっていう指導もあるし。でも本当に危ないときは手を着かないといけないと思いましたよ」。
自身も巡業の稽古で投げの打ち合いの結果、頭から落ちて腕のしびれが半日なくならなかったことがあるという。
「紙一重なところをいっているんですよね。それを怖がって相撲にならないのもいけないですしね。こればかりは難しいですよ。だから我々は一生懸命にやるだけ。それが最大限の予防」と話した。
日本相撲協会の理事長を務める師匠の八角親方(元横綱北勝海)からは、響龍さんの死去を受けて力士に話があったという。
「とにかくそれだけ危ないことをやっているんだという話はありましたね。気を引き締めてやらないとダメだ、と。改めて気を引き締めてやろうということはありましたね。それ以上、あまり言い過ぎても、かえってびびっちゃうし、頭にみんな残っていますからね、衝撃が。考えれば考えるほど怖いだろうし。一生懸命やるのが正解なんじゃないですかね」と話した。
大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で2場所ぶりの幕内復帰を果たした東前頭17枚目天空海(30=立浪)が5日、春場所中に再び追突事故に巻き込まれていたことを明かした。
茨城・つくばみらい市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ「(春場所)2日目ですね。びっくりですよ。ぎりぎり(土俵入りに)間に合ったから良かったけど」と当時の心境を明かした。
天空海は場所中、つくばみらい市の部屋から父の送迎で国技館まで移動している。
所要時間は約1時間、渋滞時は約1時間半という。
昨年11月場所中も部屋から両国国技館に移動している最中、高速道路を下りて出入り口で信号待ちしているところで、後方からダンプカーに追突された。
当時乗っていた車の後方部はへこみ、自身は大事には至らなかったものの病院でむち打ちの診断を受けた。
春場所で巻き込まれた2度目の追突事故は、高速道路の料金所を出たところで「左後ろから突っ込まれた」と説明。
「本線に入った後ですね。本線入って、あっちは一番左の料金所から入ってきて、急いでたんじゃないですかね。しかも向こうは無保険、無車検だったんですよ。やんなっちゃいますよ、踏んだり蹴ったり(笑い)。勘弁して欲しいですよ。(昨年11月場所で追突事故に巻き込まれた)前の車から買い替えたばっかで、事故車になっちゃいました、すぐに」。
車の修理費は約60万円で、現状は自腹。
「(向こうは)保険も入ってないから。(修理費は)自分の保険を減らすしかない」と嘆いた。
自身は後部座席で追突の衝撃をもろに受けた。
事故時は頸椎(けいつい)を捻挫したというが、痛みを抱えながらも8勝7敗で勝ち越し。
「がむしゃらに出ようと思って出たりしていたら、勝ちがどんどん重なってって感じですね。当てられた場所は勝ち越しているんですよね。当たりがいいのかもしれないですね」と自身の“超人”ぶりに驚いていた。
自動車保険に加入していたことも幸い。
保険会社からの懸賞を期待したいかと問われると「自分は日新火災なので日新火災が希望です」と笑った。
再入幕の夏場所まで残り4日。
同部屋の明生と豊昇龍は幕内上位に就いただけに「早く追いつけるように大勝ちして。追いついて抜かしたいですね」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西十両2枚目に就いた人気業師の宇良(28=木瀬)が3日、“ミニマリスト”になったことを明らかにした。
報道陣の電話取材に応じ「最近ミニマリストに憧れていた。本格的に始めたのは去年の4月くらい。いろいろメリットがあるので」と説明した。
物欲が強いタイプではないが、もらい物などを部屋にため込んでしまう傾向があったという。
「(昨年春に)大阪に帰ってから、ずっとユーチューブで勉強して、本も読んできた。(何冊読んだかは)読み過ぎて分からない」。
現在は服なども必要な分だけ残し、Tシャツは5枚に厳選。
服選びに費やす時間や、部屋掃除の時間が減った。
「自分に必要なものは何かを見つめ直せた。整頓もしなくていい。置く場所も決まっている。モノの住所を決めるじゃないけど、自然とちらからないような部屋になった」。
紙媒体で読んでいたミニマリスト関連の書籍は古本屋に売り、電子書籍に切り替える徹底ぶりだ。
ミニマリストに転身したことで、本業の相撲でも「(プラスになったことは)ありますよ。自分が日常で何をやるか明確になった。自分に使う時間も増える」と強調する。
関取復帰3場所目となった先場所は、左ふくらはぎの負傷で途中休場がありながら2桁白星に到達。
17年九州場所以来の幕内復帰も見えてきた。
公称の体重は143キロ。
「自分で言うのもなんなんですが」と前置きした上で「昔(幕内で活躍していた時期)の動きにはついていけないが、絶対体は強くなっている。失ったものを別のもので補っている感じ」と説明。
アクロバティックな動き以上に、力強くなった押しの威力を好調の要因に挙げた。
押しに磨きをかけるため、さらなる体重増が必要と考えている。
自身の食の細さを認める宇良。
「楽しく(食事を)している人がうらやましい。僕はけがもあって仕方なくこういう形で取っているけど、仕方ないからやっているだけ。僕は痩せたいです」と冗談っぽく話し、笑いを誘った。
大相撲東十両12枚目、千代の海(28=九重)が1日、長野県出身の看護師の女性(28)と4月29日に結婚したことを明らかにした。
師匠の九重親方(元大関千代大海)の誕生日に合わせて婚姻届を提出した。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で自己最高位の東前頭6枚目に就いた英乃海(31=木瀬)が3日、兄弟同時三役への思いを語った。
都内の部屋での稽古後に報道陣の電話取材に対応。
弟の西前頭筆頭2枚目翔猿(28=追手風)が新三役に迫っていることについて「負けずに頑張りたい」と刺激を受けていた。
春場所で再入幕を果たし、史上9組目の同時幕内となった。
「今までも何組もいますからね。上には上がいる。
一番上だと両方横綱(3代目若乃花と貴乃花)という人たちがいたのであれですけど。お互い三役くらいになったらうれしい」と話した。
翔猿への対抗心については「全くないといったらウソ」と高め合う存在だが「敵対心はない」という。
「弟ですから。『(上位に)上がりやがってこの野郎!』とかはない」。
普段から連絡を取る関係ではないものの、仲はいい。
この日の取材でも翔猿の性格について「兄とか他人とか関係なく人に興味がないんですよね。すみません、言い方間違えたけど、男の人には興味がなくて。今は女の子と相撲のことしか頭にないんじゃないですか」といじり倒した。
翔猿以上に刺激を受ける存在が兄弟子の明瀬山(35=木瀬)だ。
自身も先場所まで幕内での勝ち越しがなかったが、明瀬山は今年の初場所で35歳にして初めて幕内で勝ち越しを決めた。
「何がきっかけになって奮起しましたかと聞かれて、弟さんですか? とよく聞かれるけど、意外とそんなことはなくて、最近思ったのは明瀬山関は本当にすごいなと。あの年齢で初めて勝ち越した。全然まだまだやれるなと思ったのは、それがきっかけ」。
自身も15年名古屋場所に新入幕を果たしたが、5年以上も幕内と十両をいったりきたりだった。
年齢を重ねても諦めない兄弟子がお手本だ。
明瀬山は埼玉栄高、日大の先輩でもあり、仲もいい。
「いつも僕は明瀬山関のことが好きだからいじっていて、そういう(尊敬している)ことを言うといじってると思われて、また怒られちゃうから言ったことはないですけど、本当に思っているし、かわいがってもらえている。あの人は本当にコツコツやる人ですし、すごいなと思います」。
2場所連続2桁白星を目指す来場所。
先場所は「自分でもびっくりするくらい内容も成績も良かった」と振り返る。
場所後の6月に32歳の誕生日を迎える。
「30超えて勢いだけで相撲取れない。頭を使って相撲を取りたい。今までは前に出て流れで何とか勝てればという相撲だったが、考えて相手の弱いところを攻めないと馬力負けしてしまう」。
夏場所は緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「相手のタオルがめちゃくちゃ多いと、めちゃくちゃやる気が出る。めちゃくちゃ燃えますね。勝ったら『どうだ』って感じになります。3日以降(観客が)入るといいんですけどね」と望んでいた。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)に向けて実施した力士659人の新型コロナウイルス感染を調べるPCR検査の結果について、全員が陰性であったことを発表した。
報道陣の電話取材で明かした。
検査は5日に実施。
これで親方衆らを含めて、PCR検査を受けた協会員約900人全員が陰性という結果になった。
全員が陰性という結果について「協会員みんなが感染予防策に対して、一生懸命取り組んで協力してくれている1つの証だと思う。今回は0を達成できた。非常によかった。これから(夏場所)初日を迎える。場所に入れば人と人との接触も多くなる。引き続き、感染予防対策をして行動して下さい、と通達した」などと話した。
緊急事態宣言を受けて、夏場所は宣言期間と重なる3日目までの無観客開催が決まっている。
しかし、同宣言が延長される可能性があり、延長された場合の対応については「状況が出ないことにはお話しできない」と話した。
大相撲の先代時津風親方(元前頭時津海)を父に持つ長男の木竜皇(18、本名・坂本博一)と次男の春雷(16、本名・坂本正真)がそろって立浪部屋に入門し、夏場所(9日初日、東京・両国国技館)で初土俵を踏む。
先月28日の新弟子検査合格を経て前相撲でデビューする予定。
将来性豊かな坂本兄弟に、周囲も期待の声を寄せる。
坂本兄弟はすでに、部屋の幕下を相手に相撲を取っている。
5日に報道陣の電話取材に応じた天空海は「持ち前のセンスというか、真面目ですよ。びっくりするくらい。みんな見習うくらい。自分らを見直しちゃうくらい、まじめで謙虚ですね」と2人の稽古姿勢を褒めれば、千葉・柏第二中の先輩でもある豊昇龍は「すぐ上がってくると思いますね」と早期の出世を予感。
師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「関取(明生、豊昇龍、天空海)の次の勢力になってもらうように期待しています」と期待を寄せていた。
3学年差の2人はともに名門、柏相撲少年団のOBでもある。
飛躍が期待される坂本兄弟について、同少年団の監督を務め2人を指導した永井明慶氏は「(兄弟ともに)中1の時から親元を離れて努力してきた。兄弟仲もいい」と振り返る。
兄弟だが性格は違う。
兄の木竜皇は「ユーモアな人間性があって、そこをつぶさないように育ててきた」と永井氏。
弟の春雷は「すごく真面目で、我が強くてストイック。兄は言われたことをどんどんやるタイプだけど、弟は自分で決めたことをやり通すタイプですね。どちらにも良さがあると思います」と説明する。
先代時津風親方の時津海は、四つ身の技術が光る相撲巧者だった。
2人は父と同じ右四つ。永井氏いわく「兄は“受け”が強くて、弟は“攻め”が強い」。木竜皇は父と似て組んでからの攻めが光り、春雷は前に出る力強さがあるという。
入門前の1カ月間は、同少年団の稽古に参加して角界入りの準備を進めてきた。
永井氏は「2人でどんどん稽古していた。これから雑用やいろんな苦労があると思うけど、そこは兄弟でうまく苦労を“山分け”して乗り切っていってほしい」とエールを送る。
先月28日の新弟子検査を受けた坂本兄弟は「やっている人たちに目標とされるような力士になりたい」(木竜皇)、「部屋の関取たちのようなお相撲さんになりたい」と目を輝かせた。
2人のしこ名が番付に載るのは7月場所となる流れ。夢への階段を上り始める。
大相撲の待乳山(まつちやま)親方(元小結播竜山)が4日に70歳の誕生日を迎え、日本相撲協会を定年退職した。
三保ケ関部屋に入門し、15歳で初土俵を踏んでから55年。
「この業界にずっとお世話になって、肩の荷が下りたというか、やり遂げたという感じですね。一言で55年と言いますが、こんなにやったのかと。いろんなことがありました」と振り返った。
現役時代の最高位は小結。
横綱北の湖、大関北天佑とともに三保ケ関部屋をもり立て、北の湖の土俵入りの際は露払いなどを務めた。
33歳で引退後は、部屋付き親方として後進の指導に当たってきた。
相撲界での一番の思い出には、病気で苦しんだ時期を挙げた。
「昭和53年は上り調子で、一番いい時の54年に肝炎にかかった。体がやせ細り、黄疸(おうだん)が出て目も黄色くなった。体重は140キロ以上あったのに、25キロくらいやせましたからね。部屋の関取衆も、ばたばた倒れた」。
1979年春場所ごろから三保ケ関部屋で流行性A型肝炎がまん延し、幡竜山ら10人以上が入院。
名古屋場所は医師の許可を得て強行出場したものの連敗し、3日目から休場。
その3場所後、幕下に陥落し、そこから1年かけて幕内に復帰した。
「今でも思い出すけど、病院の窓から外を見て、表を歩いている人がうらやましかった。もうダメかと思ったけど、そこから復活して幕内に戻ったんです」。
どん底の時に励ましてくれた女性がのちの妻で、「ミス着物」にも選ばれたことがある真知子さんだった。
引退後は、長期間にわたってチケット担当として国技館の入場券売り場に詰めた。
現金での手売りのみだった時代から始まり、カード払いや、チケットぴあなどネットを介した販売に移行する時期をすべて経験した。
今では考えられないが、1マスで4人が座れるチケットを売ることが、当時のデジタル化では難題だったという。
「例えば、あるマス席を売る時、1つの席にチケットが4枚ある。コンピューターでは、これがダブルブッキングになってしまってできないんです。そういう面で苦労しました」。
チケットが売れる時も、売れない時も経験した。
「若貴の時は、勢いがすごかった。手売りの時代です。売り出しの日は、国技館のエントランスに売り場を設置すると、お客さんがばーっと並ぶ。通路の下から上まで人が来ました」。
15日間分が、わずか1日で売り切れた時代だった。
今はコロナ禍にあり、観客の上限を設けておきながらも、チケットが余る日は珍しくない。
待乳山親方は「コロナが収まっても、すぐに(客足が)戻るわけではない。一からまたやり直しになると思う。心配ですよ」と今後を案じた。
今後については「ゆっくり考えたこともなかったですけどね。人生の区切り。のんびりしようとかと思うけど、さみしい面もありますよ」。まずは9日から始まる夏場所を、テレビで見ながら楽しむという。
◆播竜山孝晴(ばんりゅうやま・たかはる)本名・田口孝晴。
1951年(昭26)5月4日生まれ、兵庫県出身。三保ケ関部屋に入門し、1966年11月初土俵、74年7月新十両、75年3月新入幕。敢闘賞1回、十両優勝4回。
引退後は、部屋付き親方に。三保ケ関部屋閉鎖後は、春日野部屋へ転籍した。
2021/04/30
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで2週間を切った27日、大関朝乃山(27=高砂)が都内の部屋での稽古後に報道陣の電話取材に応じ、静寂の夏を盛り上げる覚悟を語った。
前日26日に、夏場所の初日から3日目までの無観客開催が正式に決定した。
無観客開催は昨年春場所以来。
「今まで人がいて相撲を取るのが当たり前だったけど、(昨年)3月場所無観客で取っているときは、お客さんがいない時はさみしかったですし、勝っても負けても拍手がなかったですから、改めてお客さんが大事だなと思いました」と振り返った。
前回無観客開催だった昨年春場所では大関昇進をつかんだ。
「15日間出るからには、今の番付は優勝を求められますので、しっかりと結果を残したい」と意気込む。
緊急事態宣言が延長しなければ4日目から観客が入る。
「お客さんがいれば自分以外の力が出ると思いますし、でも、自分自身の気持ち(が重要)だと思うので集中して、目の前の一番で自分の相撲を取れるかの問題ですね」と話した。
19日から22日まで両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古は全4日間を皆勤した。大関正代、小結御嶽海ら上位陣と相撲を取り「いろんな人と稽古ができたので良かった」。
上位に定着し始め、得意の右四つの形が研究されていることを自覚している。
「徹底的に研究されているからこそなかなか右四つになれないというのが多分あると思う。
15日間戦う相手は1人1人タイプが違いますので、それをどうやって攻めるのかを決めていかないといけないですね」と対策を練る。
夏場所は2年前の19年に平幕で初優勝をつかんだ場所。
米トランプ前大統領から表彰され注目を集めた。
昨年の夏場所は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止。
2年ぶりの夏場所を再び飛躍の場所にする。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)を、2度目のかど番で臨む大関正代(29=時津風)が、番付発表から一夜明けた27日、都内の部屋で稽古を再開した。
この日は基礎運動後、十両豊山と約1週間ぶりに相撲を取った。
新型コロナウイルス感染防止のため、報道陣の入室が禁じられ、あくまでも本人の“自己申告”で「10番ぐらいで3番ぐらい負けました」。
稽古場の土俵整備などで、基礎運動などで体は動かしていたが、相撲を取る稽古は久しぶりとあって「ちょっと日にちが空いたので、今日は感覚を確かめる感じで」と10番ほどに抑えた。
東京都に緊急事態宣言が発出されているため、夏場所は3日目まで無観客開催が決定。
ただ、昨年は夏場所が中止になったこともあり「場所を開いていただけるだけでも、とてもありがたいと思う。開催されることをポジティブに考えていけたらと思います」と前向きにとらえた。
昨年3月の大阪での春場所は全日程で無観客開催。
「初めて経験したときは戸惑いで慣れない感じだったけど(今回は)初めての経験じゃないので、そこは大丈夫かなと。4日目からは、お客さんも入れると思うので、そんなに気にしてはいないです」不安はないようだ。
刺激を受ける場所になる。
今場所は19年名古屋場所以来の4大関となった。
「これから、さらに相撲界が盛り上がると思う。その中で優勝争いに絡んでいけたらいい」とし、とりわけ大関復帰の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)については「一応、同い年。昔から部屋の方に出稽古に来ていただいていたので、お互いに同い年ということで意識もすると思う。お互いに負けたくない気持ちは強いかなと思う」とカンフル剤にしたい思いだ。
優勝争いの前に、まずはかど番脱出というクリアすべきことがある。
「かど番を脱出しないことには、どうしようもないので、とりあえずそれを目指したい。意識しすぎて硬くなるのも良くないので、ノビノビ取れればいいと思っている」と心構えを自分に言い聞かせた。
先場所、負け越した大きな要因として、立ち合いを挙げる正代。
「出来るだけタイミングとか、踏み込みというか、そこらへんは徹底したい。立ち合いが良ければ、それなりの相撲になると思う」と馬力を生かすためにも、立ち合いが第一であることを再認識した様子だった。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で返り三役2場所目となる小結大栄翔(27=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行い汗を流した。
報道陣の電話取材に応じ「今日は20番くらい。いつも通り本当にいい稽古ができています」と話した。
初場所の優勝力士として迎えた春場所では、初日から4連敗を喫しながらも、中盤以降は立て直して千秋楽で勝ち越しを決めた。
「まだまだやっぱり実力も安定していない。力もまだまだなのかなという思いですね」と、さらなる成長を期す。
昨年春から日大大学院に通い文武両道を実践中。
コロナ禍のため授業は全てリモート形式という。
直近では4月の入学生との自己紹介や、修士論文の方向性などについて話し合った。
「だいぶ慣れてきましたね。まだまだですけど。大学院も稽古も(外に)出られないからこそ時間をいいふうに利用してやっている」と時間を効率よく使う。
春場所後には埼玉・朝霞市の実家に日帰りで帰省。愛犬チロルとの散歩でリフレッシュした。
夏場所は照ノ富士が大関に復帰して4大関となる。
次の大関候補として期待される27歳は「出るからにはいい成績残して、上を目指すという思い。やっぱり今は関脇に上がりたいですね」と意欲を示した。
緊急事態宣言下のため3日目まで無観客開催。
「テレビの前でたくさん見ている方がいると思う。4日目以降はお客さんもたくさん入ってくれると思うので、しっかりいい相撲見せられるように頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)に自己最高位の東前頭筆頭で臨む若隆景(26=荒汐)が28日、都内の部屋で申し合い稽古を行った。
報道陣の電話取材に応じ、兄で十両の若元春らと約20番取ったと説明。
番付発表前に実施された合同稽古にも参加しており「合同稽古でもいい稽古が出来たと思う。これからもう少ししっかり体を作ってやっていきたい」と話した。
西前頭2枚目で臨んだ3月の春場所では、10勝して初の技能賞を獲得するなど奮闘した。
しかし、同場所では関脇、小結陣が全員勝ち越すなど、番付運に恵まれずに新三役の座はつかめなかった。
それでも「しっかりやろうという気持ち。番付発表があったので、また気が引き締まる気持ちです」と気にすることはなかった。
また、春場所では貴景勝と正代の2大関を撃破。
「慣れてきたかと言われたら分からないけど、緊張はせずに思い切ってやれると思う」と夏場所では春場所の経験を生かす。
春場所での技能賞獲得につながった強烈なおっつけは「相撲を小学1年生からやってますけど、その頃から下からの攻めというのは常日頃ずっと言われてきたこと」と20年以上磨いてきたものだという。
原点を磨いた地元・福島には、春場所後に日帰りで帰省した。英気を養い「自分の相撲を取りきって、勝ち越しを目指したい」と宣言するように、2場所連続勝ち越しと今度こそ新三役の座をつかみ取る。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で西前頭2枚目に就いた翔猿(29=追手風)が28日、埼玉・草加市の部屋で関取衆との申し合い稽古などを行って調整した。
春場所では10勝5敗の好成績。
報道陣の電話取材に応じ「楽して勝とうとせずに、我慢して我慢して取ってるのがよかったのかなと思います」と振り返った。
注目される取組ほど燃えるタイプ。
「やっぱり一矢報いてやろうという気持ちはいつでもあります」。
夏場所は自己最高位を更新し、昨年から目標に掲げている新三役も見えてきた。
「一番一番大事にしたい。チャンスは何度も来るもんじゃないし」と意気込む。
東京・江戸川区出身で競泳女子の池江璃花子とは同郷。
白血病から復帰し、先日の日本選手権で東京五輪の内定を決めた泳ぎには「めちゃくちゃ感動しましたね。すごかったですね。僕も頑張ろうと思いました」と感激していた。
大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)まで10日となった29日、平幕の千代の国(30=九重)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。
3月の春場所は、8勝目を挙げ勝ち越しを決めた翌日の13日目から休場した。
「右母趾(ぼし)脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折」の診断だった。
右手親指は5日目の竜電戦で突いている途中で痛め、左脇腹は「10日目ぐらいより前から、ちょっとおかしいなという感じがあった。
右手の親指が痛くて右が使えない分、ちょっと左の脇の方に負担がかかっちゃったのかなと思う」と言う。
5日目に右手親指を痛めたが「ケガしてからの(相撲)内容が悪すぎる。引きとか逆転が多くなってきて、体に負担が倍以上かかって、結果的に休場となっている。まずはケガをしないということ」を先場所の反省点とした。
膝のケガで幕下以下に落ちるなど、幾度も泣かされてきた。
克服するのに「少しずつ少しずつ、コツコツコツコツという感じで」と話すように、焦りや気負いを自制する大切さを自分に言い聞かせた。
それは「今回のケガで、より意識するようになった。前のケガより、よりいっそうという感じで。前は『休んじゃダメ、休んじゃダメ』と無理して(本当の)心の声を聞いてあげられなかった。今は毎日、体の声を聞いてあげながら無理しないで毎日続けている」と継続の重要性を理解した。
春場所は8勝5敗2休で、1点の勝ち越しだった。
それでも番付運が味方し今場所は、東前頭9枚目から西前頭3枚目と、一気に6枚も番付を上げた。
最高位は4年前の同じ夏場所の東前頭筆頭で、上位総当たりは約3年ぶり。
久々に、荒々しい敢闘精神あふれる千代の国らしい相撲が、幕内後半戦で見られる。
「特に気負いとかはないけど、どこまで通用するのか。変に気負っちゃうとダメなので、いつも通りじゃないですかね」と自制を言い聞かせる一方、念願の新三役への思いは「もちろん、もちろんですよ。ずっと本当に、ここ何年も目標にしていることなので」と意気込みは隠せない。
愛夫人と長女との公園遊びが、つかの間の息抜きになっているという。
「もうね、子どもは公園が好きなんで。出来るときは公園に連れて行ってあげています。その時は相撲のことも考えないし、息抜きになる。一緒に散歩したり」と笑いながら父親の一面ものぞかせていた。
大相撲の西十両3枚目の東龍(33=玉ノ井)が29日、東京都内の病院を退院した。
東龍は19日に発熱の症状があり、医療機関で検査を受けた結果、新型コロナウイルスへの感染が判明。入院して療養に努めていた。
夏場所(5月9日初日、両国国技館)の出場について、師匠の玉ノ井親方(元大関栃東)は、「状態を見て、本人と話します。できる限り出場する方向ですが、調整不足の面もあるので、様子を見ます」と話した。
大相撲の境川部屋の三段目力士、響龍が、急性呼吸不全のため東京都内の病院で28日に死去した。
日本相撲協会が29日、発表した。
28歳だった。
響龍さんは、春場所13日目の取組で頭部を強打。
救急搬送されて入院中だった。
現役力士の死去は、昨年5月に新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全でなくなった三段目の勝武士さん以来。
取組で負傷した力士が死亡するのは異例の事態となった。
◆最近の土俵上のアクシデント
初場所10日目、幕下の湘南乃海−朝玉勢戦でのこと。
最初の立ち合いは手つき不十分だったとみられ、行司が待ったをかけた。
しかし、頭同士がぶつかり、湘南乃海がフラフラになって立てなくなった。
脳振とうになったとみられる。
審判団が協議し、本人の意思を確認した後に取組をやり直した。
だが、この判断は危険だったとされ、日本相撲協会は初場所後の理事会で審判規則の一部を変更。
「審判委員は、力士の立ち合いが成立する前に、相撲が取れる状態でないと認めた場合には、協議の上で当該力士を不戦敗とすることができる」とした。
大相撲の立浪親方(元小結旭豊)が28日、先代時津風親方(元前頭時津海)を父に持ち、夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)で初土俵を踏む坂本兄弟に大きな期待を寄せた。
報道陣の電話取材に応じ「やはり力はある。44ぐらい部屋がある中で縁があってうちの部屋を選んでくれたし、必ず強くしなきゃっていう気持ちはあります。大変な気持ちはあったと思いますけど、そこを全部守りますよという話で家族と話したので」と語った。
今春に青森・三本木農高を卒業した先代時津風親方の長男、坂本博一(18)は当初、父が師匠を務める時津風部屋に入門する予定だったが、父の退職をきっかけに入門部屋を再考。同じく今春に千葉・柏第二中を卒業した次男の坂本正真(16)とともに立浪部屋入門を決断した。
坂本兄弟はこの日、両国国技館で夏場所の新弟子検査を受検した。
師匠の立浪親方によると兄弟のしこ名はすでに決定しており、兄の博一が「木竜皇(きりゅうこう)」、次男の正真が「春雷(しゅんらい)」に決定。
坂本兄弟の関係者が名付けたという。
坂本兄弟はすでに部屋の幕下、三段目を相手に稽古を行っているという。
力士としての特徴について「お兄さんは(先代時津風親方に)似ているのかな。頭を中に入れて取るタイプ。顔は似ていますよね」と立浪親方。
「関取の次の勢力になってもらうように期待しています」と期待を寄せた。
坂本兄弟もこの日、新弟子検査後に報道陣の電話取材に応じた。
兄の博一は「プロに入ったので頑張るぞっていう心が引き締まった感じです」と角界入りを実感。
「木竜皇」のしこ名の由来は「まだ聞いていない」というが「格好いい名前いただいた。ここからこの素晴らしい名前に負けないように強くなります」と意気込んだ。
弟の正真は兄へのライバル意識を隠さない。
「兄ですが負けたくないので、勝てるように頑張りたい」。
高校進学の道もありながら、プロ入りを選んだ理由については「高校の先生が転任になってしまい、兄もプロ行くと言ったので僕もプロに行こうと思いました」と説明。
部屋には新三役を目前にしている明生や、元横綱朝青龍をおじに持つ豊昇龍ら有望株がそろう。
「(稽古は)中学の時より全然きつくて、必死についていけるように頑張ります。部屋の関取たちのようなお相撲さんになりたいです」と目標を掲げた。
坂本兄弟の父である先代時津風親方は、初場所中にマージャン店に出入りするなど、協会作成の新型コロナウイルス感染対策ガイドラインに違反。
2月に退職勧告の懲戒処分を受け、協会を退職した。
日本相撲協会は26日、大相撲夏場所(5月9日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。
現役力士の今場所達成可能な歴代10傑入りなどの記録は以下の通り(在位したことで達成済みも含む)。
【通算勝利数】
先場所、3日目から休場したものの2勝を上積みした横綱白鵬(35=宮城野)が、1172勝で歴代トップに君臨。
今場所は既に休場を“表明”しており、7月の名古屋場所で更新できるか。
現役2位の785勝だった横綱鶴竜(現鶴竜親方)が引退したため、現在の現役2位は玉鷲(36=片男波)の673勝。
歴代10位で860勝の元関脇寺尾(現錣山親方)までは、あと187勝で、歴代10傑入りは苦しいか…。
ちなみに現役3位は、西序二段94枚目の50歳力士・華吹(立浪)の670勝。単純比較は出来ないが、元横綱朝青龍の669勝を1つ上回る立派な記録だ。
【幕内在位場所数】
先場所で白鵬が、旭天鵬(元関脇=現友綱親方)を抜き歴代単独2位の100場所となり、今場所が101場所目。
歴代1位の元大関魁皇(現浅香山親方)の107場所まで、あと1年、現役を続ければ並ぶ。
なお、新入幕からの幕内連続在位は先場所、史上初の100場所となり、これも101場所に更新した。
【幕内出場回数】
白鵬が歴代8位の1265回だが、今場所は休場する方向で上積みは来場所以降になる。
7月の名古屋場所で皆勤すれば、9月の秋場所初日に、歴代7位の安芸乃島(元関脇=現高田川親方)に並ぶ。
歴代1位は、元関脇旭天鵬(現友綱親方)の1470回。
【幕内勝利数】
白鵬が1078勝で、2位の魁皇に199勝もの差をつけ歴代トップ。
現役2位は玉鷲の490勝、3位は栃ノ心(33=春日野)の488勝。
【通算連続出場】
初土俵以来、無休の「鉄人記録」。歴代7位に1331回の玉鷲が入っている。
04年春場所の序ノ口デビューから足かけ18年の「皆勤賞」だ。
歴代6位の寺尾まで、あと28回。2場所皆勤で5位に浮上する。
ちなみに1位は元関脇青葉城の1630回。
【金星獲得】
現役力士で歴代10傑(9個で三根山ら5人)入りは不在だが、ただ1人、現在8個で西前頭6枚目の逸ノ城(28=湊)に10傑入りのチャンスがあった。
だが、白鵬休場で横綱戦はなし。
横綱がいなければ獲得できないものだが、7個の北勝富士(28=八角)や遠藤(30=追手風)にも今後、10傑入りのチャンスがありそうだ。
大相撲夏場所は5月9日に初日を迎える。
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年の7月場所から丸1年、6場所連続東京・両国国技館での開催となる。
ただ今年の7月場所(7月4日初日、ドルフィンズアリーナ=愛知県体育館)は、東京五輪・パラリンピック開催で両国国技館が使用される関係上、名古屋で行われる方向。
昨年は東京に開催変更となり、開催がなかった。
名古屋のお茶屋さんに話を聞いた。
−昨年は東京に代替開催
お茶屋さん 直前のことで対応も苦慮しました。
(損失は)数千万円になると聞いております。
−今年は名古屋で
お茶屋さん これまでのごひいきさんから、すでに購入していただいております。
ただ、どうなるか分からない情勢ですので「開催できるかどうかは分かりません」と話しております。
−食事、土産ものは
お茶屋さん まだ発注できていません。
開催が決まった時点で発注したいと思っています。
発注してから中止となると、相当なダメージを受けます。
昨年のケースを受けて、慎重に対処したいと思っています。
名古屋場所は年に1度。
そのイベントをふまえて、1年以上前から営業活動を行っているが、新型コロナウイルスの影響は想定できるはずもない。
各地方場所の「お茶屋さん」は、死活問題に直面している。
2021/04/27
4都府県に対する緊急事態宣言発出を受け、日本相撲協会は26日、夏場所を初日から3日間、無観客開催とすることを正式発表した。
5月11日までの宣言期間に合わせ、政府の要請に添った変更。
宣言延長がなければ4日目から有観客で開催する。
当初は先場所までと同様、初日から観客上限5000人で開催する予定だった。
昨年3月、大阪での春場所は15日間、無観客で開催したが、東京開催で無観客は初めて。
2021/03/29
貴景勝は照ノ富士を一度は押し込んだものの、攻め切れずに敗れ、優勝決定ともえ戦に持ち込むことはできなかった。
「勝たないことには始まらない。今場所に関しては自分の方が弱いから負けた」と悔しさを押し殺すように言った。
左足首のけがによる途中休場明け。
かど番で臨み、10勝を挙げた。
来場所は4大関となる。
「お互いに力を存分に発揮できればと思う。一生懸命稽古をやっていきたい」と先を見据えた。
大相撲春場所千秋楽は28日、東京・両国国技館で行われ、東関脇の照ノ富士(29)=本名ガントルガ・ガンエルデネ、モンゴル出身、伊勢ケ浜部屋=が、幕尻優勝した昨年の7月場所以来、4場所ぶり3度目の優勝を果たした。
貴景勝を破って12勝3敗とした。
関脇以下の地位で3度優勝した力士は初めて。照ノ富士は大関に14場所在位した後、けがで休場が続き序二段まで転落。
昨年7月場所で幕内に復帰後、今回で2度目の優勝となった。
日本相撲協会審判部は、照ノ富士の大関復帰を諮る臨時理事会の開催を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し了承された。
31日の夏場所番付編成会議と臨時理事会で正式に決まる。
高安は10日目終了時点で後続に2差をつけながら、終盤にまさかの3連敗で初優勝を逃した。
碧山にはたき込まれ優勝の可能性が消えると、オンラインの取材を受けずに引き揚げた。
悔しさは計り知れないが、三役復帰から3場所目で2桁勝利。
八角理事長は「堂々と来場所から仕切り直してほしいですね」と話し、伊勢ケ浜審判部長も「(大関とりの)起点になるんじゃないか」と来場所以降に期待した。
大相撲春場所(東京・両国国技館)千秋楽の28日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は西前頭6枚目・逸ノ城(湊部屋)を押し出しで下し、勝ち越しを決めた。
12日目に7敗目を喫したが、最後は3連勝して帳尻を合わせた。
御嶽海が巨漢を相手に持ち味を見せた。
立ち合いに踏み込んで頭で当たると、左でおっつけるなど終始、下から攻め、腰が伸びた逸ノ城を土俵の外に運んだ。
5月場所は両国国技館で5月9日に初日を迎える。
番付発表は4月26日となっている。
若隆景は立ち合いで左に動いて北勝富士を泳がせ、難なく押し出した。
自身3度目の2桁勝利。初の三賞となる技能賞を獲得し、「(評価されたのは)おっつけなのかなと思う。幼い頃から練習してきたのでうれしい」と声を弾ませた。
新型コロナウイルスに感染して1月の初場所を全休。
場所前の稽古では、体力面で不安を感じることもあった。それでも終わってみれば2大関を破り、優勝争いをリードしていた高安も倒す充実ぶりだった。
福島県出身。「(東日本大)震災から10年の節目の年でもあったので活躍する姿を見せたかった。いい場所を締めくくれたと思う」と胸を張った。
大相撲春場所の十両は、山形県出身の白鷹山が11勝4敗で初めての優勝を果たしました。
十両の優勝争いは14日目を終えて高田川部屋の白鷹山と常磐山部屋の貴源治が10勝4敗のトップで並び、星の差1つで5人が追う展開でした。
28日の千秋楽の取組で先に土俵に上がった貴源治が敗れ、白鷹山が千代丸に押し出しで勝ったため、白鷹山が11勝4敗で初めての十両優勝を果たしました。
白鷹山は山形県白鷹町出身の25歳。平成23年5月の技量審査場所で初土俵を踏みました。
身長1メートル86センチ、体重165キロの体格を生かした突き押しが持ち味で、平成30年夏場所で新十両に昇進しました。
その後、幕下への陥落を2回経験し、去年4月には新型コロナウイルスに感染しましたが、西十両9枚目で迎えた今場所は、力強い突き押しで白星を重ね、初めての十両優勝を果たしました。
白鷹山は「緊張していたがいい相撲を取れた。誰も止められないような押し相撲が自分の目標だ。それを考えて稽古をして次の場所に臨みたい」と話していました。
大相撲春場所は28日に千秋楽を迎え、懸賞総数は1191本だった。
1日当たりの最多は千秋楽の96本。
新型コロナウイルスの影響で通常開催できていない昨年春場所以降では、今年初場所の1270本が最多。
大相撲春場所千秋楽(28日、両国国技館)NHK大相撲中継の公式ツイッターが、テレビ解説を務めた北の富士勝昭氏(元横綱)のオフショットを掲載した。
この日、79歳の誕生日を迎えた北の富士氏は「あ〜終わったな! 巴戦はなかなかなるもんじゃないよ 俺もあと一年だな! もう来年80だよ」と苦笑。
同ツイッターは「いえいえ! これからも末永くよろしくお願いいたします!」と期待を寄せていた。
2021/03/27
朝乃山が大関同士の一番を落として4敗となり、賜杯争いから後退した。
立ち合いから貴景勝の間合いで距離を取られ、つかまえられない。
いなしから相手を崩して勝機を見いだしたが、不十分な体勢のまま出て、土俵際ではたかれた。
自身の取組を迎える前に高安が3敗となった。
貴景勝に勝っていれば、自力優勝の可能性が復活していただけに痛恨の黒星。
取材に応じることなく、国技館を後にした。
大相撲の東前頭9枚目、千代の国(30)=本名沢田憲輝、三重県出身、九重部屋=が春場所13日目の26日から休場した。
日本相撲協会に「右母指脱臼、左肋骨(ろっこつ)骨折で約2週間の加療を要する」との診断書を提出した。師匠の九重親方(元大関千代大海)によれば、いずれも場所中に負傷したという。
千代の国は12日目の妙義龍戦で8勝目を挙げていた。13日目の対戦相手、剣翔は不戦勝。
大相撲春場所は、26日に13日目を迎える。
幕下と序二段は6戦全勝同士の直接対決があり、勝った方が優勝。三段目と序ノ口は、勝敗次第で優勝者が決まる可能性がある。
幕下 西56枚目の阿炎(26=錣山)と、東15枚目の時栄(24=時津風)が6戦全勝で並んでおり、直接対決で全勝、優勝を争う。
阿炎は最高位小結で、昨年7月場所中のコンプライアンス違反で3場所連続出場停止などの処分を受け、今場所から復帰。時栄は勝てば7戦全勝となり、新十両昇進が確実になる。
三段目 中大相撲部出身で今場所三段目100枚目格付け出しデビューの西川(22=境川)が6戦全勝で、勝てば千秋楽の優勝決定戦に進出する。
他に全勝は西45枚目の高麗の国(30=芝田山)と西68枚目の欧鈴木(23=鳴戸)で、両者は直接対決する。
序二段 西48枚目の熱海富士(18=伊勢ケ浜)と西79枚目の千代大和(20=九重)が6戦全勝で直接対決する。
序ノ口 西21枚目の村山(18=鳴戸)がただ1人6戦全勝で、13日目に秋山に勝てば優勝が決まる。
1敗は秋山ら5人。
大相撲春場所の序ノ口は、千葉市出身の村山が7戦全勝で優勝しました。
春場所の序ノ口は、ただひとり6戦全勝としていた鳴戸部屋の村山が13日目の26日、八角部屋の秋山を押し出して7戦全勝で優勝しました。
村山は千葉市出身の18歳。
新潟県の強豪、県立海洋高校から鳴戸部屋に入門し、ことし初場所の前相撲で初土俵を踏みました。
初めて番付にしこ名が載った今場所は、西の序ノ口21枚目で身長1メートル68センチと小柄ながら得意の押し相撲で順調に白星を重ねてきました。
村山は「最初に結果を出せたうれしさもあるが、次の場所からどのように活躍できるかが大切だ。体が小さいので、大関・貴景勝関のような相撲を取って上を目指したい」と話していました。
三段目の響龍(28)=境川=が今福(二所ノ関)に投げられた際、首付近から土俵に落ち、動かなくなるアクシデントがあった。
うつぶせのまま、土俵上でぐったり。
館内は騒然となった。
審判の親方もぼう然と見守るしかない状況。
5分たち、医者が土俵に到着。たんかに乗せられ、国技館内の相撲診療所に運ばれた。
中継のNHKは「話すことはできるが首から下が動かない。意識はある。救急車が到着し病院に向かう」などと説明した。
探求心の強さは土俵外でも変わらない。
昨年10月に早大大学院スポーツ科学研究科の修士課程1年制に合格した荒磯親方(元横綱稀勢の里)。
修士論文が最優秀論文として表彰された。
荒磯親方は現在、田子ノ浦部屋付きの親方として後進の指導にあたっているが、将来的には独立して部屋を興す意向があり、論文のテーマは「新しい相撲部屋経営の在り方」。
大学院で荒磯親方にスポーツビジネスなどを指導し、論文の推薦者でもある平田竹男教授(61)は「ここまでのデキになるとは思わなかった。想像以上に勉強熱心」とたたえた。
平田ゼミでは、過去に現プロ野球巨人の桑田真澄投手チーフコーチ補佐や、元テニスプレーヤーの伊達公子さんら多くのアスリートが学んだが、角界からは初めて。
意欲十分に取り組む荒磯親方の姿は「同級生にも強い影響を与えていた」と断言する。
授業では他競技から多くの学びを得た。
欧州の名門サッカークラブが実践する下部組織の育成法などを、慣れないリポート作業でまとめることもあった。
時にはJリーグなど他競技の公式戦を観戦して、競技運営の知見も得た。
11年に亡くなった先代師匠(元横綱隆の里)が糖尿病に苦しんだこともあり、栄養学の勉強にも改めて着手。
生活習慣病への理解も深めたという。
授業で得たことから、理想的な相撲部屋の設計も研究した。
角界では土俵の数は「部屋に1つ」が常識だが「2つ以上あれば効率的に稽古ができるということ」と平田教授。
土俵を使う力士らの「待機時間」は間違いなく減る。
さらに稽古場には複数のカメラを設置し、部屋内には親方や弟子が話し合えるミーティングルームがあり、観光客用に部屋オリジナルグッズなどを置いたお土産コーナーも設置する−−。
スペース確保の問題こそあるものの、固定観念にとらわれず、今までにない相撲部屋をイメージしてきたという。
4月からは安治川親方(元関脇安美錦)が入学し、同教授が指導する。
すでに対面しており「謙虚で真面目で、けがと闘って長く力士を務めた方。4月から楽しみです」と平田教授。
荒磯親方に対しても「修士論文で書いたことをぜひ実現してほしい」とエールを送った。
研究熱心の親方衆が、角界に新たな風を吹き込みそうだ。
大相撲春場所13日目(26日、東京・両国国技館)
小結の高安は若隆景に寄り倒され、3敗に後退。
大関復帰が懸かる照ノ富士が正代を圧倒して10勝目を挙げ、高安とトップで並んだ。
朝乃山は貴景勝との大関同士の一番に敗れ、ともに9勝4敗。正代は6敗となった。
4敗は若隆景、碧山、英乃海を含む5人。小結の大栄翔は白星先行。
2021/03/26
大関朝乃山が優勝争いに踏みとどまった。
過去3勝6敗と苦手の小結御嶽海と対戦。
「先場所は胸からいって持っていかれている。思い切りいきました」と立ち合い、頭からかまして寄り切り。(9勝)3敗を守った。
「何も考えず、自分の相撲をとりきることだけを考えた相撲です」。
後がない状況で無心になった。
優勝争いも「特に何も。気持ちは変わっていない。1差なんでついていくだけです」と強調した。
残り3日。
2大関に関脇照ノ富士と実力者を相手に1つも落とせない。
「しっかり前に出る自分の相撲がとれているのは、いい方向に向いていると思う。あと3日しかないんで、悔いがないようとりきりたい」と気持ちを入れ直した。
大関貴景勝が3度目のかど番を脱した。
低い立ち合いで、隠岐の海を土俵際に追い込むと、最後は前傾姿勢で飛び込むように一気に押し出し、国技館の観客から拍手を浴びた。
「毎日一番、一生懸命やることしか考えていない」。
12日目での勝ち越しに安堵(あんど)することはなかった。
淡々とオンライン取材に答えるのはいつも通りだが、「テレビで良い相撲を見せることが、地元の人にも喜んでもらえる」と応援に心から感謝した。
万全の相撲ではなかったが、勝ったことがすべてだ。
大関復帰を目指す照ノ富士が玉鷲に勝ち、大関昇進の目安となる「三役で直近3場所33勝以上」に到達した。
立ち合いからじりじりと前に出たが、差した左をたぐられて体勢を崩した。
再び向き合うも、玉鷲の突き押しの前にまわしを取れず、一気に後退。俵に足が掛かり、のど輪でのけぞらされたが、最後はなんとかこらえて突き落とし。
大きく息を吐き、ほっとしたように眉間(みけん)のしわを緩めた。
高安が、東前頭2枚目北勝富士を押し出しで下し、単独首位を守った。
立ち合いで力強く踏み込むと、北勝富士ののど輪をはねのけた。
右のおっつけで相手の体勢を崩し、一気に前へ出た。
「立ち合いがとてもよかった。しっかり厳しく攻めたかったので考えていきました」と納得の一番だった。
三役での10勝は、大関だった19年春場所以来2年ぶりとなった。
「本当に三役で久しぶりの2桁。ただ終わりではないので引き締めていきたい」と引き締めた。
初優勝に向けても、後続に2差つけて残り3日の土俵に上がる。
日に日に優勝への期待が高まるが「なるようにしかならない。しっかり準備して精いっぱいやりたい」と意気込んだ。
2敗で単独トップの小結 高安は、平幕の若隆景と対戦します。
春場所は2敗の小結 高安が単独トップで、星の差1つで大関 朝乃山と関脇 照ノ富士が追う展開です。
初優勝を目指す高安は13日目、前頭2枚目の若隆景と対戦します。
これまでの対戦では高安が1勝2敗です。
今場所の高安は、押してもまわしを引いても強さを見せていて、26日も立ち合いから持ち味の強烈なあたりで押し込むことができれば優位に立ちます。
若隆景としては持ち味のスピードで休まず動き回ってチャンスをうかがいたいところです。
照ノ富士は、25日、9勝目を挙げて直近3場所の勝ち星の合計で大関昇進の目安とされる33勝に到達しました。
26日は大関 正代との対戦です。
2人の過去の対戦は6勝6敗の五分で、照ノ富士がまわしを取って得意の四つの形を作れば優位は動きません。
照ノ富士としてはさらに勝ち星を重ねて大関復帰を確実にしたいところです。
大関 朝乃山は角番から脱出した貴景勝との大関どうしの対戦で優勝争いから脱落しないためにも白星を挙げたいところです。
2021/03/25
横綱鶴竜の現役引退が24日、日本相撲協会から発表された。
進退を懸けて臨むはずだった春場所を左脚の負傷で休み、5場所続けて休場していた。
25日に本人と師匠の陸奥親方が会見する。
2020年12月に日本国籍を取得しており、年寄「鶴竜」として日本相撲協会に残り、後進の指導に当たる。
鶴竜の引退により、12年秋場所以来の白鵬の一人横綱となる。
横綱の引退は19年初場所の稀勢の里(現荒磯親方)以来。
大関朝乃山が力強い取り口で結びの一番を締めた。
当たってすぐに右を差して圧力をかけ、上手も取ると万全の体勢。
そのまま寄ってベテランの妙義龍に何もさせなかった。
「しっかりと踏み込めて右を差せたので、落ち着いて体を預けられた」と納得の表情を見せた。
横綱鶴竜の引退が発表されたこの日、今後の相撲界を引っ張っていくべき3大関が、今場所初めて安泰。
正代がトップを走る高安を破り、貴景勝も霧馬山に完勝
。
「2人の大関が目の前で勝ったので、負けられない気持ちになった」。
気合を入れ直して上がった土俵で、大関の存在感を示した。
鶴竜には感謝の思いも抱いている。
「本場所でも対戦したし、出稽古先でも稽古をつけていただいた」と振り返る。
横綱に胸を出してもらえたからこそ、力がついた実感もあるという。
前日まで五分の星で3大関で最も元気のなかった正代が、今場所、強さを見せてきた1敗の小結・高安に土を付け、11日目にしてようやく大関そろい踏みとなった。
正代は「残りの相撲にもいい影響があるのではないか」と手応えを得るとともに、「教えられたことを生かしていきたい」。
引退した横綱・鶴竜への思いも口にした
。
翔猿は、敢闘賞に輝いた昨年秋場所以来の勝ち越し。
「今までは楽に勝とうとしていたが、厳しい相撲で勝ち越せて良かった。めっちゃうれしい」と満面の笑みを見せた。
右四つから上手を引いた琴恵光の寄りに後退したが土俵際で耐えた。体を反らしながら左突き落としで逆転。
「攻められて危なかった。余裕はなかった」という薄氷の勝利。
平幕ただ一人の3敗となり「一番一番集中していく」と意気込んだ。
優勝争いは小結・高安が24日に2敗目を喫したものの依然として単独トップで、25日は平幕の北勝富士と対戦します。
春場所は大関経験者で小結の高安が24日、大関・正代に敗れて9勝2敗となりましたが、依然として単独トップに立っています。
星の差1つで大関・朝乃山と関脇・照ノ富士、それに平幕の翔猿が追う展開です。
初優勝を目指す高安は12日目の25日、前頭2枚目の北勝富士と対戦します。過去の対戦は7勝7敗の五分です。
ともに馬力の強さには定評があり、立ち合いの踏み込みで勝ったほうが優位となります。
押し相撲が持ち味の北勝富士に対して、高安は左四つでも相撲が取れるだけに、立ち合いの当たりのあとどのような展開になるのか注目されます。
ここまで3敗の照ノ富士は前頭6枚目の玉鷲との対戦です。照ノ富士は突き押しに威力がある玉鷲に対して、受けにまわるとひざにも負担がかかるだけに、ひざを曲げてしっかり踏み込み自分から攻める展開が理想です。
目標の大関復帰に向けてこの一番に勝ち、直近3場所で33勝の目安にまずは到達したいところです。
このほか3敗力士のうち大関・朝乃山は小結・御嶽海と、平幕の翔猿は明生と対戦します。
2021/03/24
1敗単独トップの元大関、小結・高安(田子ノ浦)は、カド番大関・貴景勝(常盤山)との新旧大関対決に勝ち1敗を守った。
立ち合いから互いに突き放し、頭四つに。
互いにしばらく動けない状態となったが、しびれを切らした貴景勝が蹴返しに来たタイミングで、左四つになると右上手投げで転がした。
取組前に2敗力士が消えたため初優勝に向け10日目で2差に。
「いい緊張感でできています。楽しんで頑張りたい」と語った。
大相撲春場所(東京・両国国技館)10日目の23日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は西前頭筆頭・阿武咲(阿武松部屋)に寄り切りで勝った。
星を五分に戻し、5勝5敗とした。
11日目の24日は東前頭2枚目・北勝富士(八角部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに鋭く頭で当たると、阿武咲の突っ張りをはねのけ、右を差して一気に前に出て寄り切った。
北勝富士とは過去6場所で5度対戦し、御嶽海が4勝1敗と分が良い。
昨年9月の秋場所からは3連勝している。
志摩ノ海が大関復帰を狙う照ノ富士を破った。
まわしを取らせないように左脇を固めながら、右のおっつけで攻めた。
左右によく動き、うまく回り込んで突き落とし。
「頭を下げながら脇を固めて、集中して我慢できた」と声を弾ませた。
自身初の三役撃破にもなり「何も考えてなかった。チャレンジャーの気持ちで向かっただけ」と無心だった。
大相撲の東前頭5枚目遠藤(30)=追手風部屋=が春場所10日目の23日、日本相撲協会に休場を届け出た。
遠藤の休場は昨年秋場所以来、7度目。
今場所は9日目を終えて5勝4敗の成績だった。
師匠の追手風親方(元幕内大翔山)によると、左ふくらはぎの肉離れで、春場所初日の約1週間前の稽古で痛めたという。
サポーターをつけて出場していたが、勝利した9日目の琴ノ若戦で悪化させた。再出場はしない見通し。
10日目の対戦相手だった明生は不戦勝となる。
翔猿が鮮やかに小またすくいを決め、7勝目を挙げた。
突っ張ってから右を深く差すと、左で千代翔馬の脚を抱えて転がし、「自分の相撲で攻めていこうと思った」と満足そうに振り返った。
新入幕だった昨年の秋場所は千秋楽まで優勝を争った。
今場所も2連敗スタートから盛り返し、10日目を終えてトップの高安と2差の位置にいる。
終盤戦に向け「集中して頑張る」と意気込んだ。
大相撲春場所は11日目、24日から終盤戦です。9勝1敗で単独トップに立つ小結 高安は、大関 正代と対戦します。
春場所はここまで小結 高安が安定した相撲で白星を重ね、23日は大関 貴景勝との一番を制し9勝1敗として単独トップを守りました。
2敗はいなくなり、大関復帰を目指す関脇 照ノ富士や大関 朝乃山など4人が星の差2つで追う展開です。
11日目の24日、高安は大関 正代との一番です。
過去の対戦成績は高安が8勝11敗と負け越していて、特にこの1年では4戦全敗と苦手にしています。
ただ、今場所の高安が大関時代を思わせる馬力で前に出る相撲を続けているのに対し、正代は23日勝ってようやく5勝目を挙げ本調子ではありません。
高安が立ち合いの当たりで大関を下がらせ、どんどん圧力をかけていけば十分に勝機があります。
一方、これ以上負けられない正代としても立ち合いでしっかり踏み込めるかが鍵になってきます。
3敗の照ノ富士は関脇 隆の勝との対戦です。
過去の対戦は2戦2敗と苦手にしていて、得意の右差しを相手のおっつけで封じられて敗れる相撲が続いています。
照ノ富士としては立ち合いで相手をしっかり押し込んでから得意の右四つに組むことが重要です。
終盤戦は上位陣との対戦が続くと予想されるだけに、24日勝ち越しを決めて大関復帰へ前進したいところです。
同じく3敗で優勝へ望みをつなぎたい朝乃山は平幕の妙義龍と対戦します。
2021/03/21
正代が幕内志摩ノ海を下して3勝目(4敗)。
前日までの連敗を3で止めた。
志摩ノ海に土俵際まで押し込まれてヒヤリとする場面もあったが、最後は上手投げで何とか白星をつかんだ。
取組後は「自分の形にならなくて慌てた」と辛勝を反省。
両横綱が不在で出場力士では番付最上位となる大関は「ここからいい流れになるように。集中してやっていきたい」と巻き返しを誓った。
朝乃山が痛い黒星を喫して2敗に後退した。
しっかり踏み込んでいったが、左上手を狙ってややずれて当たってきた霧馬山の動きに対応できず。
出し投げで崩されると、最後は後ろにつかれて簡単に土俵を割った。
前日は得意の右四つで快勝し、いい流れが生まれつつあっただけに悔やまれる一番。
この日は取材に応じなかったが、土俵下の藤島審判長は「思い切りいくのは大事だが、相手によっては、よく見ないと。もったいない。今後を考えると、この1敗は痛い」と話した。
かど番の大関貴景勝が、明生に押し出されて前半戦で早くも3敗目を喫した。
立ち合いで突き放せず、まともに引いたところを一気に出られた。
「また明日、切り替えてやるしかないですね」と絞り出す。
「相撲がしっくりこないか?」の問いにも「そんなことはない。明日、また相撲があるんで、それに向かってやるしかないんで」とだけ話した。
照ノ富士は、御嶽海を寄り切り、1敗を守った。
照ノ富士は、立ち合いで左前まわしを引くと、右もつかんで万全の形。
2度の優勝経験を誇る実力者をもろともせずに、土俵外へと運んだ。
これで大関昇進目安の「三役で直近3場所33勝」までは、残り3勝とした。
高安が宝富士との約3分に及ぶ相撲を制して6連勝。
ともに得意は左四つで、半身になる守勢が続いたが、腰も使って相手の上手を切ると、すぐに右でまわしを引き、出し投げで仕留めた。
今場所はここまで、粘り強さも光る。
度重なるけがもあって、大関陥落から1年余り。八角理事長は「相撲に重さが出ているような気がする。稽古を積み重ねて、ようやく戻りつつあるんじゃないか」と評価。
8日目は照ノ富士との元大関同士の一番が組まれ、理事長は「いい相撲になればいい」と期待を寄せた。
明生が、2日続けて大関を破った。
この日は貴景勝を相手に立ち合いで左前まわしを狙い、切られてからも休まず前に出て押し込んだ。
最後は相手の引きに乗じて押し出し。
取組後は繰り返しうなずきながら喜びをかみしめ、オンライン取材には「鋭くいけた。良かった」と語った。
両横綱が不在で大関陣も安定感に欠ける中、平幕で白星を伸ばしているのが千代の国だ。
土俵際の逆転勝ちで平幕でただ一人、1敗を守った。
立ち合いから差してきた明瀬山の右を小手に巻いて、下がりながら181キロの巨体を転がした。
「攻め込まれた。あまりいい内容ではない」と素っ気なかったが、「精いっぱいやった。負けよりは白星のほうがいい」と結果には納得していた。
十両の宇良が一瞬のうちに土俵スレスレまで上体を沈み込ませた。
矢後からしてみれば、消えたように感じただろう。
その次の瞬間、矢後の右足を抱えて反撃に転じ、寄り倒して5勝目を決めた。
「負けていたような勝負でしたね。けがもあるので、あんまり理想とはしないですけど。落ち着いて最後、詰められたのがよかったですね、焦らず」。
幕内力士に劣らない拍手を浴びる人気力士でありながら、冷静に自分を見つめるのは大けがを乗り越えてきた過去があるからだ。
2021/03/20
大相撲三月場所は6日目、大関・朝乃山は若隆景との一番で貫録の相撲を見せました。
ここまで3連勝で1敗を守っている朝乃山。対するは前頭二枚目、荒汐部屋の若隆景です。
右のおっつけからうまく差した朝乃山。貫録の大関相撲で寄り切って4連勝です。
1敗を守った朝乃山。6日目を終え5勝1敗と白星を積み上げました。
7日目は前頭四枚目、陸奥部屋の霧馬山と対戦です。
正代が早くも4敗目を喫した。強引に前へ出て右を差したが、明生に巻き替えを許すと体を入れ替えられ、粘れずに寄り切られた。
土俵際まで攻めた後の詰めの甘さを敗因に挙げ、「力強く寄り切れるようにしたい」と肩を落とした。
かど番で迎えた先場所は故障明けながら11勝と奮闘したが、今場所は初日につまずき、さらに4日目から3連敗。「どこかで流れを変えたいとは思っている」と苦しい胸の内を明かした。
関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が大関復帰へ再加速した。
東前頭4枚目霧馬山を豪快につり出して5勝目。
大関昇進目安の「三役で3場所33勝」まで残り4勝とした。
5日目に初黒星を喫したが、不安を一蹴する内容。
唯一勝ちっ放しだった平幕の妙義龍に土。正代が3連敗となり、この日も3大関安泰とはならなかった。
クレーン車のごとく、相手を宙に浮かせた。
霧馬山の得意な左四つに組んだが、左下手、1枚まわしの右上手をがっちり引くと照ノ富士の怪力ぶりが発揮される。
関取としては細身とはいえ、137キロある霧馬山を高々とつり上げること約2・5秒。館内がどよめく中、土俵外へ運び出した。
観客も喜ぶド派手な一番にも、「できることをやっているだけなので」と冷静に振り返った。
今場所最高の相撲だった。
初日から4連勝も強引な投げが目立ち、5日目は阿武咲に会心の相撲を取られて初黒星。
まわしを取って前に出た内容に、幕内後半戦の審判長として土俵下から取組を見守った師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)も「(大事なのは)やっぱり前に出ること。今日は落ち着いて取れていた」と評価した。
3場所で計29勝となり、大関復帰の目安まで残り4勝とした。
全勝の妙義龍が敗れたため、前半戦ながら1敗で賜杯争いの先頭を並走する。
4日目以来2日ぶりにリモート取材に応じ「1日一番なので」。
一喜一憂せず、17年秋場所以来の大関返り咲きへ歩みを進める。
阿武咲に快勝し、1敗を守る。
「このまま勝ち続ければいいかなと思う。食欲は落ちていないし、疲れもない」
御嶽海を下して5連勝。
「体調がいいことが今場所の結果につながっている。けがをしないようにして、我慢強い相撲を取りたい」
先場所優勝の大栄翔を押し倒して初日。
「とりあえず、ほっとしている。全力で前に出ようと思っていた」
北勝富士が好調な妙義龍に土をつけた。
頭を下げて押し合い、いなしにも崩れず、攻め続けて押し出した。
高校、大学の先輩を破り、「我慢して、辛抱強くできてよかった」と振り返った。
場所前は稽古以外のトレーニングも順調に積めて、「一日一日を大切に過ごせた」と体調面には自信を見せる。
4日目の正代戦で負傷したまぶたを3針縫って出場したが、「問題ない」と力強く話した。
6日目で土がついたが、さばさばと振り返り、「勝負を決め切れなかった。攻め切れなかった。またあしたから」。
気鋭の弟に負けじと奮闘――していればいいのだが……。
今場所、2018年3月場所以来となる幕内に返り咲いた英乃海。
今となっては「翔猿の実兄」と言った方がわかりやすいかもしれない。
「知名度ではすっかり3歳下の弟に水をあけられたが……」と、某親方がこう続ける。
「だからといってライバル心などはなさそうなんだよな。翔猿に対しては本当にいいお兄ちゃん。向こうは追手風部屋だが、入門時から気にかけて電話やメールなどでアドバイスを送っていた。さすがに関取に昇進してからは遠慮するようになったらしいけど。翔猿が話題になっていた時も素直に喜んでいたし、『負けたくないだろ』と水を向けても『頑張ってほしいですね』と笑顔だった。あまり欲がないタイプかもしれない」
さるタニマチ筋も「本心では弟と一緒の部屋でやりたかったみたい」と言う。
「日大から木瀬部屋というのはある意味、定番のルート。でも、翔猿は追手風部屋を選んだ。英乃海は弟も木瀬部屋に来るものだと思い込んでいたらしいからね。でも、『アイツは追手風の方が合ってるかも』とも話していた。木瀬部屋は各自の自主性に任せた稽古が特徴。追手風部屋は反対にノルマがあるというか、やらされる稽古が多い。どっちが良い悪いではなく、そこは本人の取り組み方次第だからね」
英乃海も日大時代は1年時からレギュラーに名を連ねるなど素質は一級品。
しかし、素質頼みのところもあったのか、3年以降は後輩にレギュラーの座を奪われ、やる気を失った時期もあったという。
35歳の明瀬山を筆頭に木瀬部屋は徳勝龍(34)、志摩ノ海(31)ら高齢関取が多い。
闘争心を前面に出して、弟を上回る活躍ができるか。
本意ではない注目の集め方だった。
場所前に大関正代が、熊本県宇土市で走る予定だった東京オリンピック(五輪)の聖火ランナーを辞退することを表明。
日本相撲協会が新型コロナウイルス感染対策として場所前2週間の外出を原則禁止としており、走行予定の5月5日が夏場所(5月9日初日)の4日前にあたるためだった。
スケジュール調整の問題などを理由に、聖火ランナーの辞退者が相次いでいる。
大役に前向きだった正代は「(辞退は)仕方ない」と受け止めつつ、他の辞退者との発表時期が重なり「タイミング的には嫌だった」と本音を吐露していた。
一方で聖火ランナーを務める協会員もいる。
十両錦木(30=伊勢ノ海)は地元の岩手県盛岡市を、押尾川親方(元関脇豪風)は応援大使を務めるなどゆかりのある秋田県大潟村を走る。
2人の走行日はともに6月上旬で、現時点では、予定通り走ることになっている。
錦木は「僕もギリギリでOKだった」と明かす。
「(正代の辞退は)しょうがないと思うけど、走れる力士は少ないので残念。自分はまず相撲を頑張りたい」と話した。
2021/03/16
横綱白鵬(宮城野)が、前頭筆頭宝富士(伊勢ケ浜)と対戦。
土俵中央で豪快な小手投げを繰り出し、連勝スタートとなった。
攻め返して阿武咲を下す。
「連敗しなくてよかった。ここ2日、出足がないので、考えないといけない」
攻めの姿勢を貫いて、貴景勝が大栄翔との一番を制した。
何度も頭で当たっては突き放し、主導権を握る。
相手の足がそろったところを左からの突き落としで難なく仕留めた。
先場所の優勝力士を好内容で下して2連勝。
「実力があるので、自分もしっかりと向かっていく気持ちでやった」。
取組後は普段通り、表情を変えることはなかったが、初日から4連敗した先場所とは相撲ぶりが違う。
体重は、前回発表から17キロ減って166キロ。
その効果もあるのだろう。
初の綱とりに挑んだ先場所は左足首を痛めて途中休場し、かど番として臨む今場所。
動きからは、けがの影響を感じさせない。
八角理事長(元横綱北勝海)は「負けない気持ちで押し勝ったいい相撲。押し込んでいるから、いなしが効く。先に動けている」と心身ともに充実しているとみる。
再び綱とりに挑戦するには、3度目の賜杯獲得がまずは条件。ここまでの攻めなら、期待も膨らむ。
「またあしたに向かって、しっかり準備していきたい」と引き締まった表情で言った。
高安が大関朝乃山を破って初日を出した。
立ち合いで左四つを許しかけたが、右で抱えて回避。
先に左上手を取ると、うまく体を動かしながらまわしを与えず、右四つになって寄り倒した。
「有利な形になることだけを考えた。相手にまわしを取らせなかったのがよかった」と納得の一番。
大関復帰を見据える苦労人は「内容のいい相撲を取っていく」と意気込んだ。
明生を圧倒して2連勝。
「体の状態はいい。自分の相撲を取れば、絶対に負けない」と自信たっぷり。
初優勝の翌場所は連敗スタート。
「立ち合いも攻めも、あまり良くない。しっかり切り替えてやっていかないといけない」
鋭い踏み込みから、志摩ノ海を寄り切って連勝スタート。
「全体的によかった。いつも通り、またあした集中して頑張る」
大相撲春場所2日目(15日、両国国技館)の郷土勢は、東前頭8枚目の琴ノ若(千葉、佐渡ケ嶽親方の長男)が千代の国をはたき込み、今場所初白星を挙げた。
十両の白鷹山(白鷹)は松鳳山に送り出しで敗れた。
序二段の琴大興(東根)は峻峰に押し出された。
序ノ口の最上錦(大蔵)は房州山を突き落としで下した。
ほかは取組がなかった。
明瀬山が照強を送り出しで下し、再入幕の先場所に続いて初日から2連勝。
「まだまだこれからです。とりあえず明日に集中するだけなので」。
人気力士の東十両4枚目・炎鵬(26=宮城野)が2連勝と幕内復帰へ好スタートを切った。
突き放してくる巨漢の千代丸が相手。
「引きにいこうかと何度も思ったが、我慢していった」。
潜り込もうと狙い続け、最後は左からの下手投げで崩して引き落とした。
昨年春場所、自己最高位の東前頭4枚目から4場所連続負け越して19年春場所以来の十両。
先場所は新型コロナウイルス感染症の影響で部屋全体が休場となった。
出直しの場所をいい形で再出発できた。
「思ったように体は動けている。まだ2日間。継続してやっていきたい」と話した。
2021/03/15
8カ月ぶりの本場所の土俵で白鵬が、どんな立ち合いをするのか。
思った通り右から張っていった。
物議を醸した立ち合いだが自分の一番、得意な形を出したかったんだろう。
押し相撲の出足を止めるにも最良の選択だった。
その後の足の運びには多少のぎこちなさも感じたし、最後もどっちが先に出たかとなると際どかったが、大栄翔は宙に浮き完全に攻め勝った。
立ち合いから勝負どころまで、今場所にかける必死さを感じさせる一番だった。
白鵬にとってそれほど、この一番が持つ意味は大きい。
勝てば8カ月の空白が埋められ流れに乗れる。
負ければ「3場所全休は厳しい。やっぱりダメかな」という落胆になりかねない。
しかも相手は先場所の覇者。
負けて世代交代を感じるか、勝って「まだまだ若いもんには負けん」という気持ちになれるか雲泥の差だ。
苦手な御嶽海に攻め返されて黒星スタート。
「詰めが甘い。全体的に硬かった。少し焦ったのもある」と反省の弁。
先場所は影を潜めた貴景勝の代名詞が戻ってきた。
低い立ち合いから阿武咲を突き起こすと、一歩も引かず一方的に押し出した。
中学時代からのライバルが「終始低く、がんがん内に入ってきた」と圧倒されるほどの突き押しで3度目のかど番初日を飾った。
兵庫県出身で108年ぶり2人目の最高位を目指した初場所は左足首の負傷で途中休場。
初の綱とりは初日から4連敗で遠のき「ただ単に実力がなかったから負けた。もう一回頑張って、稽古を積むしかない」と鍛え方を変えた。
体重は昨年秋場所前の測定から17キロ減の166キロ。
この日も、間合いを詰めて押し込むなど動きは軽快だった。
照ノ富士は、大関復帰が懸かる春場所の初日を「緊張なんかしない」と振り返った。
その言葉通り、北勝富士に狙った右差しを封じられても動じない。
すぐに左四つで組み止めると、機を見て豪快に投げ捨てた。
三役に返り咲いた昨年の11月場所から13勝、11勝と好成績を続けてきたように、安定感のある攻めを早速披露した。
「まずは9番勝ってそこから、という感じで。一日一番、力を出し切って臨めればいい」。
両膝に抱える古傷を物ともせず、着実に歩を進める構えだ。
所属部屋で新型コロナウイルス感染者が出た影響により、初場所は全休。
白星発進に「落ち着いて取れたと思う。(休場が)プラスになるように結果を出したい」
外出自粛期間中に接待を伴う飲食店に出入りし、昨年7月場所後に3場所出場停止などの処分を受けた阿炎(26)=錣山=が、東前頭5枚目から西幕下56枚目に番付を下げて復帰。
泉川を上手投げで下し、「体が震えました、緊張で。土俵に上がれることは幸せなんだとしみじみ感じました」と感謝の気持ちを表していた。
初日のこの日から、新型コロナウイルス感染対策の一環として、テレビ中継で解説者の北の富士勝昭氏(元横綱)と実況アナウンサーがマスク姿で登場した。
感染防止策強化で初の試みで、今場所はこのまま続ける方針。
場所直前のPCR検査で社会貢献部の親方2人の陽性が判明し、親方では濃厚接触者の5人が全休。
同部で一緒に業務に従事した親方15人は再検査で陰性だったが、経過観察で4日目まで休場となった。
大相撲の元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏(40)が14日、新たな音声SNS「クラブハウス」に予告通り”降臨”した。
2月14日に自身のツイッターで「場所中 club houseで朝青龍部屋開きます。オモロイかも笑笑 生声で指導するよ」とつぶやき、この日もあらためて告知。幕内取組が始まると、自身の経験などをふまえながら、相撲ファンと音声で交流した。
クラブハウスのルール上、話した詳細は記せないが、おいの豊昇龍が敗れた際には、厳しい直接指導をしたい旨も口にした。
元朝青龍氏は2月12日にクラブハウスのアカウント(@asashoryu68)を取得した。プロフィール欄に「毎場所朝青龍部屋開きます。生声聞きたいですよね。」と書き込んでおり、日本時間14日午後8時時点で38000人以上のフォロワーがいる。
次回は春場所8日目にクラブハウスでの生解説を行うという。
2021/03/14
大相撲3月場所(東京・両国国技館)の初日を翌日に控えた13日、大関正代(29=時津風)が電話取材に応じた。
この日は基礎運動などで調整。2日前まで幕内豊山(27)と相撲を取って体を仕上げてきた正代は「万全というか、まあ可もなく不可もなくという感じです」と淡々と語った。
初場所後に前師匠(元幕内時津海=47)が協会を退職し、時津風親方(36=元幕内土佐豊)が部屋を継承して迎える初の本場所。
それでも正代は「師匠が代わったからといって結局やってきたことは変わらないので。
いつも通り成績を残せたらいい」と自然体を強調する。
そんな時津風親方は10日が36歳の誕生日だった。
しかし、新型コロナ感染対策で本場所の2週間前から原則外出禁止のため「今は物を準備することができないので。場所が終わって何か用意できれば」と大関。まずは土俵で存在感を示すつもりだ。
今場所は横綱白鵬(36=宮城野)が4場所ぶりに出場する。
正代は「当たるとしたら後半になると思うので、それまでになるべく多く星を重ねておきたい」と気を引き締めた。
日本相撲協会は13日、大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)の2日目までの取組を発表した。
西大関の朝乃山(27)=富山市出身、高砂部屋、写真=は、初日に東前頭筆頭の宝富士(伊勢ケ浜部屋)、2日目に東小結の高安(田子ノ浦部屋)と対戦する。
報道陣の電話取材に応じた朝乃山は「初日から連勝し、後半戦に向けて波に乗りたい。優勝を目指して頑張る」と活躍を誓った。
朝乃山は1月の初場所で11勝を挙げ、かど番を脱出。
春場所では、2019年夏場所以来2度目の賜杯獲得を目指す。
先場所は初日から6日目までに3敗を喫した。
今場所の初日に当たる宝富士とは過去に7勝2敗、高安には2勝1敗とリードしているが、いずれも左四つを得意とする実力者。
朝乃山は「けんか四つなので、しっかりと自分の右四つに持っていけるように。思い切って前に出て行く」と気を引き締めた。
優勝を目指すには、これまで勝ったことのない東横綱白鵬(宮城野部屋)や東関脇照ノ富士(伊勢ケ浜部屋)との対戦がポイントになる。
特に番付が下の照ノ富士には「勝たないと結果もついてこない。『次こそは』という気持ちはある」と静かに闘志を燃やした。
東京・両国国技館には、朝乃山や1月場所で優勝した大栄翔ら力士のカラフルなのぼり旗が並んだ。
応援する力士の旗をスマートフォンで撮影するファンの姿があった。
14日に始まる大相撲春場所(東京・両国国技館)の初日と2日目の取組が13日、発表された。
西小結の御嶽海(上松町出身、出羽海部屋)は、初日に東大関・正代(時津風部屋)と、2日目は東前頭3枚目・明生(立浪部屋)と対戦する。
元学生横綱同士で1歳上の正代とは、幕下時代から数えて通算23戦目。
3場所ぶりに顔を合わせた先場所は、常に先手を取って動いた御嶽海が攻防ある相撲を制し、戦績を11勝11敗の五分に戻した。
明生は、御嶽海が幕下10枚目格付け出しで初土俵を踏んだ平成27(2015)年3月8日、初白星を挙げた相手だ。
対戦は令和元年11月場所以来で、過去3戦とも御嶽海が寄り切りで勝っている。
朝日村社会福祉協議会はこのほど、地域でボランティア活動をしている「あさひ有償生活支援サービス『いいせ』」の研修会を開いた。
ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を使って他地域で同様の活動をしている団体とオンラインで結び、交流を楽しみながら人と人との「つながり」の大切さを学んだ。
東日本大震災から10年、津波で大きな被害を受けた茨城県大洗町出身、大相撲の西十両筆頭・天空海(あくあ、30)=立浪=が故郷への思いを語った。
「まだ4万1000人以上の人が避難所にいて帰れない人がいるというのをニュースとかで見て壮絶だったんだなあと。そして、きょう(3月11日)になって特に本当に丸10年になったんだな、と思うと、やはり忘れてはいけないことだと思う。これからも将来の人たちにも、これから生まれてくる人たちにも伝えていかないといけないことだと思う」と、かみしめた。
海に面し茨城県のほぼ中央に位置する大洗町は津波での死者は出なかった。
被害が甚大だった東北各地の被災地に比べれば、知られていないものの、水没し破壊された故郷の光景は忘れられない。
当時、立浪部屋に入門し、豊乃浪のしこ名で新弟子だった。
11年初場所は序ノ口で勝ち越した。相撲と同時に、茨城県水戸市の専門学校に通い、自動車整備士の国家資格を取るために勉強。
卒業を控え本格的に力士一本を志していた時だった。
震災の午後2時46分は同専門学校にいた。
「ちょうど周りが田んぼのところだったので、地盤沈下とかを目の前で見ながらびっくりしたのを思い出しますね」と振り返る。
両親や家族の安否は同日の夕方に確認できた。
街は津波にのみ込まれたが実家は幸い高台にあり「半壊の手前」の一部損壊だった。
水戸市内で一時、避難し実家には同級生の車で送ってもらい同日中に何とか帰れた。
道中は「すごい渦潮巻いててびっくりした。これで大丈夫かなと不安だった」と言う。
実家に戻ると、隣村に住む祖母の家をまず訪れ安否を確認。
「行く時は大丈夫だった道が、夜だったからあまり見えてなくて、次の日の朝、また大洗の方に帰る時に反対車線、要は来た時の道が半分崩れていたんですよ。2メートルぐらい段差になって、地盤沈下しちゃって。その道を夜走ってきたんだと思ったらすごい鳥肌が立ったのを覚えています」と、恐怖に震えた。
知人、友人は無事だったが同級生の家や町役場が1階まで水没した。
「車とか船とか建物の上に乗っちゃっていたのも見えていましたね。中央分離帯のところにセルシオとかひっくり返っていたりとか。すごい覚えていますね。すごい光景だったですもんね。アウトレットとかで火事場泥棒もあったりして。うわー、ひでーなーと思いながら」と、無法地帯にもなっていた。
ざんばら髪の力士が町の復興のため、できるのは力仕事。
「祖母の知り合いが撤去をやっていて、その手伝い。銅線とか入っていて一番危ないと言われている壁というか、ブロック塀なんですけど、それをバラバラにして撤去したり。大谷石(おおおやいし)を重機で持ち上げたり」と、朝から夕方5時くらいまで毎日、がれきを撤去し続けた。
余震もある中、損壊する実家に住むのも怖かった。
電気は1週間ほどで復旧したが、水は10日以上かかった。
その間、トイレは外。「トイレが流れないから。それが大変だった。暗い中、用を足した。寒かった」と言う。
見上げた夜空をよく覚えている。
「夜は死ぬほど、星がきれいだった。すごい、初めての経験だった。明るい中の星空しか見ていないけど、あんな暗い時の空ってすごいきれいなんだって覚えている。日本どうなるのかなあ、と思いながら星空を見上げていましたね。きれいだけど、これって電気がないからきれいに見えているだけ。怖かった。大丈夫なのかなと。テレビも写っていないから。大丈夫なのかなと、これって復旧するのかなと、思っていた」と、美しい星空が逆に不安をかきたてた。
四股など踏む暇もない程、復旧のため働いた。
「今から相撲を挑戦することを優先するのか、地元に残って、地元で働いた方がいいのかなとも考えて、葛藤で、やっている場合と言ったらおかしいが、挑戦することが正解なのかなと、自分で迷って。家もあれ(修理)するために、こっちで働いた方がいいのかなと考えて迷って。貢献できるように、街のために…」と相撲どころではなかった。
相撲をあきらめようと思った時、父が言った。
「俺たちのこと考えなくていいから、お前がそっちに行って活躍すれば、俺らだけでなくて家族も親戚もそうだし、大洗の名前も知ってもらえるようになる。喜んでくれる人もいる。俺らのこと気にせず、頑張りなさいと後押ししてくれた。って感じですね。父の言葉にやろうと決めて、やっていて正解だったですね」と後押しがあり、5月場所(技量審査場所)に戻った。
14年春場所で角界屈指の“キラキラしこ名”に改名した。
地元のアクアワールド茨城県大洗水族館から命名。港町・大洗をイメージして、天と空と海の漢字を当てた。
2018年初場所で新十両、昨年11月場所で新入幕と順調に出世。
現在、同水族館には何と「頑張れ天空海翔馬関」と記された応援水槽まで設置された。
水槽内には「白星を連想させる白星赤藻海老(シロボシアカモエビ)」、「白星を重ねるスターとなることを願うシースターヒトデ」、「体の色がしこ名の空を連想する出歯雀鯛(デバスズメダイ)」が展示され、自身の勝利が願われている。
家族には恩返しも果たした。
数年前に天空海が一軒家を両親にプレゼント。大洗町の隣の鉾田市に「いいところあったんで」と即決。父の海沿いの希望をかなえた。
昨年12月に自身が新型コロナウイルスに感染した。
先場所は5勝10敗と負け越し、幕内から陥落。感染の影響はあったが、言い訳はせず、「やりきれたことがやっぱりすごく良いこと」と、悔しさは春場所にぶつける。
震災後の春場所は特別だ。
「2桁以上勝って元の地位までは戻って、幕内に。そこからどんどん(同僚の幕内)明生に、豊昇龍に早く追いついて。そうすれば3人で目立って、部屋も目立つし、(大洗の)町とかも一緒に応援してもらえるようになる。町が目立って他の人からあそこは立浪(部屋)の天空海が住んでいた町だとなればうれしいし、だから俺はどうにか自分自身、頑張らないと目立てないと何にもならないから」。
故郷のため、故郷を思い、キラキラ天空海は輝く。
大相撲春場所は14日、初日を迎えます。4場所連続休場から復帰する横綱 白鵬は、先場所優勝した小結 大栄翔と対戦します。
大相撲春場所は、新型コロナウイルスの影響で、会場を大阪市から東京 両国の国技館に変更して14日、初日を迎えます。
4場所連続で休場していた横綱 白鵬は、初日に先場所、初優勝を果たした小結 大栄翔との一番が組まれました。
過去の対戦では白鵬が6勝2敗と勝ち越していますが、最後に対戦した去年の7月場所では敗れています。
白鵬はことし1月に新型コロナウイルスに感染し、場所前には調整について不安も口にしていました。
先場所、持ち味の突き押し相撲が光った大栄翔に対して、休場明けの白鵬が立ち合い、鋭い踏み込みから安定した相撲を見せられるか、注目されます。
今場所、大関復帰をかける関脇 照ノ富士は平幕の北勝富士と対戦します。過去の対戦は3勝3敗の五分ですが、このところは照ノ富士が3連勝しています。
四つ相撲の照ノ富士が、突き押しの北勝富士を立ち合いから組み止められれば、有利な展開となります。
角番の貴景勝は、先場所敗れた阿武咲との一番です。過去の対戦では貴景勝が5勝3敗と勝ち越しています。
日本相撲協会の尾車事業部長(元大関琴風)は13日、相撲記者クラブの電話取材に応じ、大相撲春場所(14日初日)の期間中に新型コロナウイルスの感染者が出た場合について、「濃厚接触者は休むことになると思うが、場所自体を中止することはないと思う」との見通しを示した。
春場所に向け、原則として全協会員を対象としたPCR検査では、親方2人の陽性が判明したが、力士の感染者は確認されなかった。
「力士は行動を制限して、やれることを精いっぱいやっている。本当によく真面目にやってくれているなと感心した」と述べた。
1月の初場所では、コロナ関連で計65力士が全休した。
2021/03/13
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)を休場する横綱鶴竜(35=陸奥)が横綱審議委員会(横審)による“最後通告”を免れる可能性が出てきた。
当初は今場所で進退をかける構えを見せていたが、左太ももを負傷して5場所連続の休場。
一方で、師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)には現役続行の意思を伝えている。
横審は昨年11月場所後の定例会合で休場の多さを理由に史上初の「注意」を決議。
今回の休場を受けて、最も重い「引退勧告」の決議を下す可能性もあった。
ただ、現時点では今後の横審の予定は“白紙”の状態。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で初場所後の会合は中止となっており、今場所後も開催が見送られる可能性があるという。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「今場所はやるかどうかわからない。緊急事態宣言が延長される場合もある」と説明した。
横審が開かれなければ、引退勧告が決議が下されることもない。
結果的に、鶴竜の“延命”をアシストする格好となるが…。果たして、どうなるか。
大相撲春場所は14日に初日を迎える。
新型コロナウイルスの影響で、今年は例年の大阪ではなく東京・両国国技館で開催。大関から陥落し辛酸をなめてきた二人の三役が返り咲きを期しており、関脇照ノ富士は場所後の復帰を、小結高安は足場固めを狙う。
◇今場所で決める
2度目の大関昇進を懸ける照ノ富士は、「やっと近づいてきた。今場所で決めておかないと」と腕を鳴らす。
小結だった昨年11月場所で優勝同点の13勝、関脇の初場所で11勝。
春場所で2桁に届けば復帰がかないそうだ。
最初に昇進したのは初優勝した2015年夏場所後。
勢いで番付を駆け上がった。
力任せの取り口も多く、それが両膝のけがにつながった。
内臓疾患も重なって低迷。
5場所連続の休場も経験し、19年春場所には序二段まで転落した。
その間には引退も考えた。
しかし、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の説得を受けて土俵に戻ると、「元いた地位へ」が悲願となった。
稽古ぶりが変わり、すり足などの基礎を重視。
筋力トレーニングで強化を図るなど地道に積み上げてきた。
照ノ富士は「目の前のことを精いっぱいやっているから結果が出ている」と泰然と話す。
試練の時を経て精神的にも成長。土俵上では強引さが影を潜めた。
まずは押し込み、得意の右四つに持ち込んで出る相撲に、かつてなかった落ち着きがうかがえる。
6年前と違う姿で目指す大関の地位。
「今はそれ(当時)よりいい部分もあるだろうし、冷静にやれている」と手応えもある。
コロナの影響で出稽古はできないが、さまざまなタイプの関取がそろう部屋の環境も、大望の実現を後押し。
勝負の春場所に「変わらずいつも通り」と平常心で臨む。
◇大関復帰へ意気盛ん=高安、父の自覚ひしひし
2月末に誕生日を迎えた小結高安は、30歳だった一年をこう振り返った。
「苦しかったが、充実していて、本当に勉強になった」。
一時は東前頭13枚目まで番付を落としながら、大関復帰を目指して出直しを図ってきた。
2017年夏場所後に大関に昇進してからは、腰痛など度重なるけがに悩まされ、19年九州場所を途中休場して陥落。
「自分の体の弱さを痛感した」と反省し、「自由奔放にやってきた」という生活面から見直した。
食事を制限して無駄な脂肪を減らすなど、健康には特に気を配るようになった。
2月下旬には、相撲教習所での合同稽古に加わり、大関朝乃山を圧倒するなど元気な姿を見せた。
体の張りには自信があるようで、三役に戻って3場所目となる春場所では「そろそろ、いい結果が出せるんじゃないか」。
兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸も借り、入念に仕上げている。
心の支えも増えた。
妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子となる女の子が誕生し、「自慢のお父さんだと言われるように、家族のために精いっぱいベストを尽くしたい」と意気込む。
看板力士として活躍する背中を見せたい思いは強い。
元大関照ノ富士の復活劇にも心を揺さぶられ、「まだ闘志は消えていない。最高位を目指して頑張りたい」。これまで以上の気概に満ちている。
「大相撲春場所」(14日初日、東京・両国国技館)
取組編成会議が12日行われたが、春場所初日、2日目の取組発表は初日前日、13日午後まで異例の延期となった。
複数の親方が新型コロナウイルスのPCR再検査を13日に予定し、結果を待ち確定する。
万が一、陽性者が出れば力士65人が全休した先場所に続き、休場者多発の可能性があり混乱は必至。
前日、感染が判明した音羽山親方(元幕内天鎧鵬)が所属する尾上部屋は協会発表を前にSNSで同部屋の休場を掲載するなどフライング。
緊急事態宣言下、今場所も一気に緊迫感が高まってきた。
通常は2日前となる初日の取組発表は今場所も1日延期された。
先場所は初日前日、九重、友綱部屋で陽性者が発覚。
結局、力士65人が全休となり、混乱の中、緊急事態宣言下の場所が幕を開けた。
今場所も全協会員約900人がPCR検査を受検。
力士の感染はゼロと安どの結果ながら、小野川親方(元幕内北太樹、山響部屋)、音羽山親方の陽性が11日に判明した。
両親方は社会貢献部に所属し、協会のYouTubeを場所前から配信。
同業務をともにした親方らは陰性だったものの、自宅待機措置の上、親方と協会職員15人前後を再検査することとなった。
再検査の結果は13日の午後に判明予定。
万が一、陽性者が出れば濃厚接触者を特定し、出場可否を判断する必要がある。最悪、先場所同様、大量の協会員休場の事態に陥る。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「(取組を)きょう(12日)発表してしまうと、どんでん返しを食らってしまう。なのできょうの時点では休場者も出しません」と説明した。
陽性となった両親方が所属する部屋の出場可否も13日に発表する。
ただ、尾上部屋はすでに部屋のSNSで所属する全員が春場所を休場することを掲載。
フライング発表に芝田山部長は「勝手に発表しているみたいだけど。
まだ、どこで変わるか分からないからSNSで勝手に出されると困る」と苦言を呈した。
場所直前のドタバタ。コロナ禍の中、6場所目の本場所も緊迫感が漂う。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)が12日、電話取材に応じ、尾上部屋がフェイスブックで「休場」と公表したことに苦言を呈した。
協会は11日に同部屋付きの音羽山親方(36=元幕内天鎧鵬)と山響部屋付きの小野川親方(38=元幕内北太樹)が新型コロナのPCR検査で陽性が確認されたことを発表。
これを受けて尾上部屋は同日、フェイスブック上に「相撲協会の決定を受け今場所は休場となりました」などとつづった。
だが、芝田山広報部長は「部屋に住んでいない裏方さんは休場にはならない」と指摘。
続けて「力士の休場は仕方ないとして、まだどこでどう変わるか分からないからSNSで勝手に出されると困る」と語った。
また、この日は大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)取組編成会議が開かれ、初日と2日目の取組が決まったが、発表は13日に延期となった。
通常は初日2日前の発表だが、PCR検査の結果待ちが理由で、芝田山広報部長は「再検査を予定している親方が万が一、陽性となった場合、濃厚触者を特定する必要に迫られる。今日発表してしまうと、どんでん返しを食らってしまう」と説明した。
青森県十和田市の十和田中学校(附田篤校長)の1、2年生134人が10日、同校卒業生で大相撲十両復帰を果たした錦富士関(24)の母と姉に応援メッセージを贈った。
錦富士関の中学時代を題材にした道徳の授業を3日に受け、刺激を受けた生徒たちが感謝の思いを込めた。
2021/03/12
まさかの現役続行だ。大相撲の横綱鶴竜(35=陸奥)が春場所(14日初日、東京・両国国技館)を休場することになった。
今場所に進退をかけて臨む構えを見せていたが、9日の稽古中に左太ももを負傷して出場を断念。
師匠の陸奥親方(61=元大関霧島)には、引き続き土俵復帰を目指す意思を伝えた。ただ、地位にしがみついているだけにも見える姿に周囲の風当たりは強まるばかり。劇的な復活を見せない限り横綱としての“寿命”は残り1場所となりそうだ。
出場か、引退か。
誰もが鶴竜の進退問題を二者択一と考えていた中、本人が出した結論は休場した上での現役続行だった。
昨年5場所のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは史上初の「注意」を決議された。
今年1月の初場所も持病の腰痛のため全休。
今場所で進退をかける構えを見せていた。
しかし、9日の稽古中に左太ももを負傷。
11日には師匠と休場と進退についての話し合いが行われた。
陸奥親方は「今場所は出ないということ。まだ気持ちは切れていない。
『(現役を)やめる選択もある』と言ったんですけど、本人は『まだやりたい』と言っていた」と説明。
今後は横審で「注意」より重い「引退勧告」が決議されることも予想されるが「それはもう覚悟しています。(引退勧告が出た場合は)また本人と話をする」と神妙な様子で話した。
いずれにせよ、次の夏場所(5月9日初日、国技館)では今度こそ「待ったなし」で進退を問われることは不可避となった。
ただ、ここから奇跡の復活を果たす可能性は限りなくゼロに近い。
左太ももを痛める以前から、復帰への強い意欲がうかがえなかったからだ。
鶴竜は2月、国技館で6日間の日程で行われた合同稽古に参加した。
しかし、相撲を取ったのは最初の2日間だけ。
相手は実力者とはいえ、稽古で力を発揮しないタイプの小結御嶽海(28=出羽海)だった。
その後は若手に軽く胸を出しただけで、最後の2日間は姿すら見せなくなってしまった。
この様子を伝え聞いた親方の一人は「必死さが伝わってこない」。
半年以上にわたる休場から復帰を目指す力士とは、とても思えない調整ぶりだった。
次の夏場所まで2か月足らず。
今回の休場と現役続行を受けてネット上では「現役続行はあり得ない」「地位にしがみついている」などと厳しい意見が噴出している。
ひとまずは“延命”を選択したものの、引退の瞬間は刻々と近づいていると言えそうだ。
大相撲春場所は14日に初日を迎える。
新型コロナウイルスの影響で、今年は例年の大阪ではなく東京・両国国技館で開催。大関から陥落し辛酸をなめてきた二人の三役が返り咲きを期しており、関脇照ノ富士は場所後の復帰を、小結高安は足場固めを狙う。
2度目の大関昇進を懸ける照ノ富士は、「やっと近づいてきた。今場所で決めておかないと」と腕を鳴らす。
小結だった昨年11月場所で優勝同点の13勝、関脇の初場所で11勝。
春場所で2桁に届けば復帰がかないそうだ。
最初に昇進したのは初優勝した2015年夏場所後。
勢いで番付を駆け上がった。
力任せの取り口も多く、それが両膝のけがにつながった。
内臓疾患も重なって低迷。5場所連続の休場も経験し、19年春場所には序二段まで転落した。
その間には引退も考えた。
しかし、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)の説得を受けて土俵に戻ると、「元いた地位へ」が悲願となった。
稽古ぶりが変わり、すり足などの基礎を重視。
筋力トレーニングで強化を図るなど地道に積み上げてきた。
照ノ富士は「目の前のことを精いっぱいやっているから結果が出ている」と泰然と話す。
試練の時を経て精神的にも成長。
土俵上では強引さが影を潜めた。
まずは押し込み、得意の右四つに持ち込んで出る相撲に、かつてなかった落ち着きがうかがえる。
6年前と違う姿で目指す大関の地位。
「今はそれ(当時)よりいい部分もあるだろうし、冷静にやれている」と手応えもある。
コロナの影響で出稽古はできないが、さまざまなタイプの関取がそろう部屋の環境も、大望の実現を後押し。
勝負の春場所に「変わらずいつも通り」と平常心で臨む。
2月末に誕生日を迎えた小結高安は、30歳だった一年をこう振り返った。
「苦しかったが、充実していて、本当に勉強になった」。
一時は東前頭13枚目まで番付を落としながら、大関復帰を目指して出直しを図ってきた。
2017年夏場所後に大関に昇進してからは、腰痛など度重なるけがに悩まされ、19年九州場所を途中休場して陥落。
「自分の体の弱さを痛感した」と反省し、「自由奔放にやってきた」という生活面から見直した。
食事を制限して無駄な脂肪を減らすなど、健康には特に気を配るようになった。
2月下旬には、相撲教習所での合同稽古に加わり、大関朝乃山を圧倒するなど元気な姿を見せた。
体の張りには自信があるようで、三役に戻って3場所目となる春場所では「そろそろ、いい結果が出せるんじゃないか」。
兄弟子の荒磯親方(元横綱稀勢の里)の胸も借り、入念に仕上げている。
心の支えも増えた。
妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子となる女の子が誕生し、「自慢のお父さんだと言われるように、家族のために精いっぱいベストを尽くしたい」と意気込む。
看板力士として活躍する背中を見せたい思いは強い。
元大関照ノ富士の復活劇にも心を揺さぶられ、「まだ闘志は消えていない。最高位を目指して頑張りたい」。これまで以上の気概に満ちている。
「大相撲春場所」(14日初日、両国国技館)
2011年3月11日。東日本大震災から10年、福島市出身、荒汐部屋の大波3兄弟は特別な日を迎えた。
10年前の被災時、学法福島高の学生だった三男の幕内若隆景(26)、次兄の十両若元春(27)は長兄の幕下若隆元(29)の所属する荒汐部屋(東京都中央区)に1カ月、身を寄せた。
当時の恐怖は忘れたことがない。
稽古後、電話取材に応じた若隆景は「毎年そうだけど3月11日が来ると、あの日を思い出し、また頑張ろうという気持ちになる。10年の節目もあって何日も前からあの日のことを思い出していた。地震の揺れとか被災された方とか」と神妙に語った。
若元春は「揺れた時のことをよく思い出しますよね。よく思い出すというか、すごい今まで経験したことない揺れ」と思い返す。
震災後1年で高校を卒業しプロ入り。
「年に1回くらい帰ると、福島がどんどん復興していくのを見ると、早いなというふうになります」と、10年はあっという間だった。
祖父は小結若葉山、父は幕下若信夫の相撲一家。
若元春は「10年前は自分が相撲を見ている側だったんで、やっぱりそういう姿を見て、巡業とかも来てくださったり、何て言うんですかね、やっぱり盛り上がるんで、そういうところを見ると。そういった面では自分が今は逆に相撲で頑張って、福島を少しでも勇気づけられたらなと思います」と、使命感を口にする。
先場所は新型コロナウイルスに感染し全休。息苦しさなど後遺症もあったが、今は大丈夫。
「今場所、上位戦もあるので、そういうところで活躍していい相撲を見せられるようにしたい」と、先場所の分まで暴れる。
「(福島は)果物がおいしい。地元に帰って桃狩りとかも行くので、それは自分が好きで行っているので、やっぱり福島の桃はすごいおいしい」と故郷の魅力をアピールした。
日本相撲協会は11日、山響部屋付きの小野川親方(元幕内北太樹)と尾上部屋付きの音羽山親方(元幕内天鎧鵬)が新型コロナウイルスに感染したと発表した。春場所(14日初日・両国国技館)へ向け、力士と親方計750人を対象としたPCR検査で陽性が判明。
2人は春場所を全休する。力士は全員陰性だった。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)によると、感染した2親方と同じ部屋の力士らが濃厚接触者に該当するかどうか調査を進めており、濃厚接触していたとみなされた協会員も春場所を休場する可能性がある。
12日の取組編成会議までに結果が判明する見通し。
両親方と同じ協会業務に従事した親方衆や職員は初日前日の13日に再検査を行う。
大麻を所持したとして、警視庁が大相撲の十両力士だった元若麒麟(わかきりん)、鈴川真一容疑者(37)を大麻取締法違反(所持)容疑で現行犯逮捕したことが11日、池袋署への取材でわかった。
同庁は認否を明らかにしていない。
池袋署によると、鈴川容疑者は8日、東京都豊島区のJR池袋駅構内で、微量の乾燥大麻を所持した疑いがある。
警察官の職務質問を受け、その際に「自分のものではない」と床に投げ捨てた器具に乾燥大麻が残っていた。器具は大麻を砕くためのものだったとみられるという。
2021/03/11
大相撲で史上最多44度の優勝を誇る横綱・白鵬(36)=宮城野=が、年寄名跡「間垣」を取得する方向で調整を進められていることが10日、複数の関係者の話で分かった。
モンゴル出身の白鵬は、2019年9月に日本国籍を取得し、日本相撲協会が定める年寄名跡襲名の条件をクリア。
名跡取得となれば引退後も協会に残ることができ、将来的な部屋創設への道筋も整うことになる。
白鵬が引退後も相撲協会に残る資格を得る方向となった。
複数の関係者によると、年寄名跡「間垣」の取得へ向けた調整が進められているという。
同名跡は2月まで元幕内・土佐豊の現時津風親方が襲名していたが、前時津風親方(元幕内・時津海)の坂本正博氏(47)が、不適切行動のため退職勧告処分となり、協会を去った。
それに伴い現時津風親方が名跡を交換したために空き名跡となっている。
間垣の名跡は、かつて元横綱の2代目・若乃花や、同じモンゴル出身の先輩でもある元小結・時天空らも襲名していた。
正式には今後の年寄資格審査委員会の承認を経て、最終的に理事会で認められることで取得が決まる。
白鵬は19年9月に日本国籍を取得し、相撲協会が定める年寄名跡襲名の条件をクリア。
帰化の際には「日本人として恥じないように頑張ります。今まではモンゴルという国があったけど、2つの国が背中にのしかかってくる。18年間、相撲一筋にやってきたことが今日につながった」と相撲への感謝の気持ちを示していた。
取得となれば名実ともに、引退後も相撲協会に親方として残ることができる。
また、十両・石浦(31)、炎鵬(26)らを角界へスカウトしているが、引退後の独立への道筋も整うことになる。
一方で土俵上に目を向けると、11日に36歳の誕生日を迎えた白鵬は現在、4場所連続休場中。休場の多い状況に、昨年11月場所後には横綱審議委員会(横審)から史上初めて、内規による「注意」の決議が横綱・鶴竜(35)=陸奥=とともに出された。
ただ、今年1月の初場所は新型コロナウイルス感染のため、休場を余儀なくされた。
名跡取得に向けては大きく前進したが、横綱として春場所(14日初日、東京・両国国技館)での復活を狙う。
◆白鵬 翔(はくほう・しょう)本名同じ。1985年3月11日、モンゴル・ウランバートル市生まれ。
36歳。2001年春、宮城野部屋から初土俵。
04年初、新十両。同年夏、新入幕。
07年夏場所後に第69代横綱昇進。
10年に史上2位タイの63連勝。
同年春から11年技量審査場所(八百長問題による夏場所の代替開催)にかけ、史上最多タイの7連覇。
19年9月に日本国籍を取得した。
得意は右四つ、寄り。
192センチ、158キロ。
◆年寄名跡 日本相撲協会が定めている資格で、引退した力士は、この年寄名跡を取得襲名して初めて協会の年寄(親方)になれる。
襲名資格は日本国籍を有する者で、幕内通算20場所以上、幕内・十両を通算28場所以上、三役を1場所以上、また横綱・大関を務めた力士に限られる。
部屋を新設し師匠になるにはさらなる条件があるが、横綱経験者はそれをクリアしている。
協会の「年寄名跡目録」に記載されているのは105で現在の空きは間垣と君ケ浜の2つ。
著しい功績のあった横綱に対しては、その個人一代限りにおいて年寄待遇される「一代年寄」があり大鵬、北の湖、貴乃花の例がある(なお千代の富士は辞退)。
小結・御嶽海が電話取材に応じ、「目標は2桁以上。それしか考えていない」と言い切った。
先場所優勝した大栄翔が大関候補に名乗りを上げ、今場所は照ノ富士が大関復帰に挑む。
過去に2度優勝しながら出世争いでは貴景勝、朝乃山、正代に先を越された。
「一番負けたくない(大関)3人でもある。ずっと意識して取り組んでいきたい」とライバル心をむき出しにした。
「大相撲春場所」(14日初日、両国国技館) 西前頭8枚目の翔猿(28)=追手風=が8日、埼玉県草加市の部屋で関取衆の申し合いで約10番取って調整した。今場所は兄の英乃海(31)=木瀬=が再入幕を果たし、史上9組目の兄弟同時幕内を果たした。 直近では千代丸・千代鳳(ともに九重)兄弟以来。初の兄弟横綱の若貴が有名ながら、江戸時代から数えて、兄弟同時幕内は9組しかない。「意外と少ないですね。すごいですね。あんまり気持ちは変わらずに、頑張れたらいいんじゃないですかね。兄弟で」とともに活躍へ意気込んだ。 まだ直接、話はしてないものの、2人で優勝決定戦となれば歴史的。「すごいですね、それは」と、夢として今場所、戦い抜く。 昨年秋場所、新入幕で11番勝ち、優勝争いに加わった。ただ、その後は連続で6勝9敗と調子が出ない。 「やっぱり勝ち越していないので、とりあえず勝ち越し以上を目指してどんどん前に出る相撲を取っていきたい」と力を込めた。 敗因は「楽に勝とうとしていていた。すぐに引いたり相手をなめたり」と言う。相手をなめるのは、昔からの悪い癖だという。 「やっぱり、格上だと思いっきりいこうとなるんですけど、こういう言い方も悪いんですけどなめていくと、こんくらいで勝てるから引いてやろうと余計なことばっかり考えて、良い相撲にならないですね。調子下ろし(相手を見くびり手を抜く)まくりです」と、猛省した。 部屋の同僚、小結大栄翔が先場所、優勝。「コツコツ努力しているのを見てきたので、優勝して自分にも手が届かないところにはないので、コツコツ努力してやっていきたいと思います。みんな自信にはなっている。優勝力士と胸を合わせることで自信にはなります」。大いに刺激を受け、“モンキー旋風”の再現を目指す。
大相撲の西前頭14枚目剣翔(29=追手風)が8日、埼玉・草加市での部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、昨年春場所以来1年ぶりの返り入幕となる春場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて「夢は大きく優勝を目指して。やるからには全勝するつもりでと思ってる」と意気込んだ。
1月の初場所で同部屋の大栄翔が初優勝を果たし、自身も十両優勝するなど波に乗る。「追手風部屋幕内連続優勝したい」と意欲的に語った。
新入幕だった19年秋場所では終盤まで優勝争いに絡み、10勝5敗で敢闘賞を獲得して存在感を示したが、昨年春場所で左膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂して途中休場した。
翌場所から十両に陥落し、1年かけて幕内に返り咲き。
左膝の前十字靱帯(じんたい)は切れたままで「多少の痛みと多少のぐらつきはある」。
左膝を悪化させないために「新入幕の時よりも前に出る相撲」を心掛けているという。
1年ぶりの幕内で“悪役”ぶりを発揮したい。
「相手の相撲を見て研究して、自分の得意な体勢よりも相手の不利な体勢でやりたいと思っている。
僕は右四つなんですけど、相手の右肘が甘かったら左差しにいきますし、相手の嫌なことを研究して嫌なことをやりたいと思っている」。
相手の嫌がる相撲を理想に掲げており、優勝を争った19年秋場所では自身を「バイキンマン」と評するなど、角界のヒール役を目指している。
「バイキンマンは健在かもしれませんね。剣翔とやるの嫌だなと思ってほしいですね」。
春場所での活躍に向けて報道も利用? する。
持ち味は約10種類あるという立ち合いの引き出しで「今日はどんな立ち合いがくるんだろうと相手に思わせるのが僕の狙いなんですよ」と力説。
「基本的にみんな立ち合い一緒じゃないですか。右四つだったら右でくるんだな、左だったら左でくるんだなとか、押し相撲だったらかましてくるんだなって分かるじゃないですか。僕はどうやってくるのか分からないのを目指している。そうすると相手は思いきり当たってこれないですよね。というのを記事にしてほしいです。それを見た相手がまた混乱するので」とまくしたてた。
誰が悪いということではなく、すべてが悪い方向に転がってしまった。
9日、元小結高見盛(44)が師匠を務める東関部屋が閉鎖の危機に瀕していることが明らかになった。
東関部屋の創設者は初の外国出身関取で、関脇まで出世した“ジェシー”こと高見山(76)。
定年退職後は弟子の潮丸(元前頭)が後を継いだものの、2019年12月に急逝。昨年1月から、当時部屋付きの振分親方だった“ロボコップ”高見盛が3代目東関親方として指導をしていた。
だが、高見盛は「1年限定」を前提に引き受けた暫定師匠。
その間、高砂一門内から後継者を探していたが、交渉はことごとく不調に終わったという。
現時点で誰もなり手がおらず、横綱曙らを輩出した部屋はこのまま閉鎖となるのが濃厚だ。
事情を知るある親方が「高見盛は最初から部屋の継承に難色を示していた」と、こう続ける。
「彼はいわば、超個人主義。極端に言えば他人に興味がなく、協調性に欠けるタイプです。現役時代から面倒見もよくなかったので、後輩から慕われているという話も聞いたことがない。高見盛はそんな自身の性格を自覚していることもあって、最初から『自分に弟子は育てられない』と固辞していた。1年限定と条件をつけたのも、妥協の産物です」
高見盛の事情は仕方ないにせよ、なぜ一門内から後継者が出なかったのか。
部屋持ちになれるチャンスではないのか。
■建物の所有者は先代一家
「現在の東関部屋は土地は葛飾区から借りているが、上物は先代師匠の遺族の持ち物。高見盛も彼らに家賃を払っていた。潮丸の遺族と今の部屋に問題が生じていたわけではありませんが、部屋の所有権が先代側にある場合、トラブルが起こりがちなんです。過去には、先代の夫人や家族が部屋の運営方法や稽古にまで口を挟み、当代師匠とモメにモメたという例がゴマンとある。こうなると穏便に済んだ事例はひとつもない。今の東関部屋にはそんな雰囲気はなくても、今回のような部屋の継承が難しいことは、親方衆ならみんな分かってますから」
この状況で他の部屋から、「今日から俺が師匠だ」と乗り込むのは誰しも腰が引ける。
弟子といっても知らない顔ばかり。
東関部屋には元力士の敏腕マネジャーがいるので部屋運営に負担はかからないものの、裏を返せば自分の色も出しにくい。
ハナからトラブルを抱え込むようなものなのだ。
先代が急逝した時点で、東関部屋閉鎖は避けられない運命だったのかもしれない。
日本相撲協会とKDDIは3月10日、大相撲の観戦体験向上に向け、AR (拡張現実) などの先端技術を活用してファンと力士がバーチャル交流できるムービーサイネージ「Movie Wall」、ユーザーでは撮影できない場所からプロ仕様の構図で記念写真の撮影が可能な「マチカメ」を3月14日から開催の大相撲三月場所から提供すると発表した。
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う感染防止対策のため、声を出しての応援の禁止や座席数の制限、観客と力士の接触を伴うファンサービスの禁止など、大相撲の観戦方法が変化しており、従来と同じような楽しみ方の提供が難しくなっている。
2021/03/10
白鵬、鶴竜の両横綱は、ともに4場所連続休場中で大相撲春場所は試練の土俵になる。
昨年11月場所後、横綱審議委員会が引退勧告の次に重い「注意」を決議して以降では初めての出場で、2人には厳しい視線が注がれることになる。
鶴竜は進退をかける。
最後の白星は昨年3月の春場所まで、優勝は令和元年7月の名古屋場所までさかのぼる。
不調の要因は腰椎の一部がずれる「腰椎すべり症」で、痛みが消えず満足に稽古ができなかった。
今年に入って明るさが戻ってきた。
腰の状態が回復し、体を自由に動かせるようになった。
休場した1月の初場所後には、週2回ジムに行き、筋力や持久力強化に努めた。
2月の合同稽古では久々に他の部屋の力士と胸を合わせ「やっと元気になってきた」と笑った。
絶対的な技はなく、生命線は瞬時の判断や体の反応になる。
4場所連続休場が“土俵勘”に影を落とす可能性はある。
「始まってみないと分からないが、そこ(ブランク)を気にしてもしようがない。相手というよりまず自分との闘い」と覚悟を決めている。
白鵬は加齢による衰えとともに、1月上旬に感染した新型コロナウイルスからの回復具合が焦点になる。
合同稽古では同じく新型コロナ感染明けの平幕若隆景(わかたかかげ)相手に30戦全勝した一方、勢いのある平幕阿武咲(おうのしょう)には20勝10敗と苦しんだ。
稽古場でこれほど負ける白鵬は非常に珍しく「私の相撲勘が鈍っている部分もある」と話した。
番数を重ね、回復状況は「上出来」とも語った。
合同稽古後は取材に応じず、所属部屋で汗を流している。
11日には36歳を迎え、今場所で幕内在位100場所目を迎える。
優勝44度を誇る第一人者は、「3月場所を東京で取るのは初めて。まあ初めてのことが好きだからね」と不敵に笑った。横綱の真価が問われる。
大相撲春場所は14日、新型コロナウイルスの影響で大阪から東京・両国国技館に会場を変更して初日を迎える。
休場明けの横綱、大関昇進を狙う三役、巻き返しを期す大関?と、見どころが多い場所に向かう力士たちを追った。
小結・御嶽海が電話取材に応じ、「目標は2桁以上。それしか考えていない」と言い切った。
先場所優勝した大栄翔が大関候補に名乗りを上げ、今場所は照ノ富士が大関復帰に挑む。
過去に2度優勝しながら出世争いでは貴景勝、朝乃山、正代に先を越された。
「一番負けたくない(大関)3人でもある。ずっと意識して取り組んでいきたい」とライバル心をむき出しにした。
先場所、初優勝を果たし3場所ぶり三役復帰した小結大栄翔(27)=追手風=が8日、埼玉県草加市の部屋で関取衆と申し合いを行い、約25番取って調整した。
稽古後、電話取材に応じ、「休まず毎日やってます」と連日、番数を重ね、順調な仕上がりを明かした。
コロナ禍での稽古環境はNo.1だ。部屋には相撲巧者の遠藤をはじめ、くせ者の翔猿ら多才な幕内力士がそろい実戦漬け。
「遠藤関は前さばきとかトップレベル。自分も本当に突き押しを鍛えられます」と充実感あふれ、連続Vも夢ではない。
11日に10年となる東日本大震災の被災者へ力を届けたい思いもある。
大栄翔自身は当時、埼玉栄高2年で何と、海外ボランティアに選ばれ、ロサンゼルスに滞在中だった。
「テレビで見て、すごいニュースになっている、どこの国かな、と思ったら日本だった」と異国で見た東北の惨状は今も心に残る。
「本当に大変な時間だったと思う。自分の突き押しを見てもらって勇気を与えたりできれば」と活躍を誓った。
日本相撲協会の芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)が8日、電話取材に応じ、大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて行司、呼び出しら裏方155人にPCR検査を実施し、全員陰性だったことを明らかにした。
今回のPCR検査は初場所前同様、全協会員を対象にしており、親方や力士ら約750人は10日に検体を提出する。
第1段階を感染者ゼロ≠ニし、芝田山広報部長は「場所を開催していくということが私たちの一番の目標。辛抱し合って、検査も受けて、クラスターという感染にならないようにみんなで気をつけてやっていくことが大事だということ。家庭を持っている者は部屋に行っていないのもあるだろうし、裏方だから部屋住みもいる。そんな中で全員陰性ということで、まずよかったなと」と話した。
大相撲の東関部屋が春場所(14日初日、東京・両国国技館)後にも閉鎖される方向であることが9日、関係者の話で分かった。
19年12月に先代の東関親方(元幕内・潮丸)が41歳で急逝し、現師匠の東関親方(元小結・高見盛)が暫定的に継承。
所属する高砂一門内で後継者選びが難航しているという。
同部屋は米ハワイ出身の先々代の東関親方(元関脇・高見山)が86年2月に高砂部屋から独立し、外国出身者として初めて部屋を構えた。
同郷の曙を横綱に育て、人気者の高見盛、潮丸らの力士を育てた。
09年に定年となることに伴い、先代が部屋を継承。
18年には東京・墨田区の東駒形から葛飾区の柴又に移転した。
先代の死去に伴い、一時は同じ一門で日本相撲協会理事長を務める八角親方(元横綱・北勝海)が師匠を務める八角部屋預かりとなっていたが、20年1月30日付で現師匠が継承していた。
東関親方は電話取材に、「ノーコメントでお願いします。場所も近い。今は力士たちが(新型コロナウイルスに)感染しないようにということで頭がいっぱい」と話すにとどめた。
関係者によると、八角部屋に吸収合併される可能性もあるという。
2021/03/09
大相撲の大関朝乃山(高砂)が7日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、今年の目標に大関としての初優勝を掲げた。
1日に27度目の誕生日を迎えてから、初の取材対応。
今年の抱負を問われ「もっと上の番付を目指すには優勝しかない。優勝しないと次へ進めない」と意気込んだ。
昨年の春場所で大関昇進を決めたが、賜杯を抱いたのは平幕だった19年夏場所が最後。
優勝も横綱昇進もいばらの道。
それでも「大関まで来たらもう1つ上を、もう1回頑張りたい」と春場所(14日初日、東京・両国国技館)で2度目の優勝を狙う。
大相撲の小結高安(31=田子ノ浦)が5日、都内の部屋で行った朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じて近況を語った。
この日は相撲は取らずに基礎運動などで汗を流したと説明。
部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と「昨日まで2日間(相撲を)取りました。
立ち合いも思い切り当たってくれますし、土俵際も力を抜かないので、とてもいい稽古になっています」と話すなど、春場所(14日初日、東京・両国国技館)に向けて稽古は充実している。
ここ2年間は相次ぐ負傷で大関から陥落したが、昨年11月場所で三役に復帰すると、小結として2場所連続勝ち越しを決めた。
「場所を追うごとに結果を出せている」と手応えをつかむ一方、「そろそろいい結果を出せるんじゃないかという気持ちはある。何回も優勝争いしたこともありますけど、その時よりも稽古内容もそうだけど、だいぶよくなってきている」と初賜杯への思いが強まっている。
2月に妻で演歌歌手の杜このみが、第1子となる長女を出産した。
地元・北海道での出産で、現在も母子共に北海道にいるために会えていない。
「電話で声聞いたりしかできないけど、すごく励みになっている。励みにしながら3月は頑張りたい。しっかりと結果を出して、また会えればいいかなと思っています」と意気込んだ。
また、2月28日には31度目の誕生を迎えたこともあり「自分にとって素晴らしい、濃い1年にしたい。まだまだ闘志は消えてない。もう1回上を目指して、最高位目指して頑張りたい」と気合を入れた。
小結御嶽海は、2月の合同稽古で負傷した右胸部について、順調に回復していることを明かした。
この日は都内の部屋で若い衆と約20番相撲を取った。
合同稽古2日目の横綱鶴竜との三番稽古で右胸付近を痛め「つった感じ。力も入らなかった部分があった」。現在は「しっかり治療できたので今のところ問題はない」と万全を強調した。
大相撲初場所で初優勝した小結大栄翔(27=追手風)が8日、埼玉・草加市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、自身の“番付運”について言及した。
優勝した初場所は西前頭筆頭で13勝2敗。
照ノ富士と隆の勝の両関脇、高安と御嶽海の両小結が勝ち越すなど三役に“空き”はなかったものの、春場所(14日初日、東京・両国国技館)では関脇復帰を予想する声も多かった。
「そこまで自分が気にしても仕方ないこと。やっぱり、どの番付にいても成績を残さないと意味がないことなんで。まずは三役に戻ることが目標だったんで、まずは良かったですし、ここからまたいい成績を残していければなと思います」と前を向いた。
一方で小結と関脇では上位陣との対戦順が変わってくる。
先場所同様、序盤に横綱、大関陣との対戦を迎える見通しだが「自分はそこまで(意識は)ないですけどね」と淡々。
先場所は初日から7日目まで役力士に全勝。
平幕が初日から三役以上に7連勝したのは、1場所15日制が定着した49年夏場所以降では初めての快挙だった。
「前半は勝つことで先場所は乗っていけた。やっぱり上位の方はみんな強いので、前半どんな相手にも勝てれば乗っていけるのかなと思う」。
真価が問われる今場所も、2場所連続となる“ロケットスタート”を目指す。
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)に自己最高位で臨む、東前頭8枚目琴ノ若(23=佐渡ケ嶽)が6日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、近況を語った。
この日は平幕の琴恵光と琴勝峰と申し合い稽古を行ったという。
「番数は数えていない。だいたい時間でやっている。1時間くらいかと思うけど、自分たちの感覚でしっかりやっている。番数とかに縛られずにやれることをやっている」と連日、納得するまで稽古している。
昨年春場所で新入幕を果たし、1年がたった。
同場所では9勝するも、同年7月場所では左膝を負傷して途中休場して十両に陥落。
しかし、翌秋場所で9勝を挙げて1場所で再入幕を果たすなど踏ん張った。
「けがをするというのは弱かったということなので、その部分をしっかり鍛えたりとか。考え過ぎないでやることも大事なのかなと思って、がむしゃらにやることだけを考えてやっていました。勉強した1年だったと思います」と振り返った。
1月の初場所では、自己最多の10勝を挙げた。
勢いに乗る若手の1人は「地力をしっかりつけて、当たり負けしないとか、基礎的な部分が大事になってくると思う。先場所の成績は自分の中では自信になりましたし、土台を作る上での経験になったかなと思います」と地に足をつけている。
スポーツの強豪校の埼玉栄高時代には、プロ野球の19年育成ドラフト1位で西武に入団した出井敏博と、3年間同じクラスだったという。
「結構しゃべってました。本人も(プロを)目指してましたし、入ってからもお互い頑張ろうと言って」と親交があったという。
現在も連絡を取り合う仲で「向こうもキャンプだったりで忙しいと思う。おのおのでいい報告ができればいいんじゃないかなと思います」と、それぞれの舞台での切磋琢磨(せっさたくま)を誓った。
大相撲春場所(14日初日、東京・両国国技館)が入幕4場所目となる西前頭8枚目翔猿(28=追手風)が8日、埼玉・草加市の部屋での稽古後、報道陣の電話取材に応じ、ビッグマウス? ぶりを発揮した。
6勝9敗で2場所連続の負け越しとなった1月の初場所の感想を求められると「楽に勝とうとしていたのが敗因ですね、すぐに引いたり相手をなめたり…。調子おろしまくりです。わざとじゃないんですけど、昔からなんですよ、人をなめる悪いクセが出るのは」と回答。
相手によって油断が生まれていたことを明かした。
昨年秋場所では新入幕ながら千秋楽まで優勝争いに絡み、知名度を一気に高めた。
きっぷのいい相撲と端正なマスクに加えて、素直なインタビュー対応や、土俵上で感情を前面に出す姿でも相撲ファンを引きつけた。
同場所では自身より番付が上の相手との対戦がほとんど。
「やっぱり、格上だと思いっきりいこうとなるんですけど、こういう言い方も悪いんですけど(相手を)なめていくと、こんくらいで勝てるから引いてやろうと余計なことばっかり考えて、いい相撲にならないですね」と反省。
春場所では自身の姿勢を見直し「誰とやっても思い切りいく。そこが一つの目標でもある」と“改心”を誓った。
春場所では兄の西前頭15枚目英乃海(31=木瀬)が18年春場所以来3年ぶりの幕内復帰を果たし、史上9組目の兄弟幕内となった。
「意外と少ない。すごいですね」と快挙に驚きつつ「あんまり気持ちは変わらずに、頑張れたらいいんじゃないですかね。兄弟で」と平常心を強調した。
大相撲の小兵・翠富士(24=伊勢ケ浜)が、試練の春場所(14日初日、東京・両国国技館)に挑む。
得意の肩すかしを武器に、新入幕だった初場所で9勝。
技能賞を獲得し、土俵を沸かせた。
春場所での活躍に期待がかかる中、「腰がヘルニアになってしまった。場所休みが終わって1週間、2週間たってぐらいですかね」と2月の稽古中にヘルニアを発症してしまったという。
負傷当初は、歩行も困難だったという。
「前々から痛いなとは思っていたけど、一気に痛みがきた。調べてもらったらヘルニアとか椎間板がつぶれてたり…」と説明。
稽古も思うようにできない日々が続いていたが、今週になってようやく、四股を踏めるようになったという。
この日は、幕下以下の若い衆と一番だけ相撲を取り「歩いたりは全然できる。一時期は本当にヤバかったけど、今は大丈夫です。場所には間に合うだろうなという感じ。いけそうな雰囲気はありました」と前向きだった。
自信は持って土俵に上がる。
初場所は得意の肩すかしだけで5勝。
計9勝で三賞を獲得し「本当に自信になった。昔からテレビで見ていたり、大きい人ばっかりだったので。その中で9番勝って自信になりました」と振り返った。
思うように稽古が出来ない中でも、取組の動画などを見てイメージトレーニングもしているといい「不安もあるけど勝ち越しを目標にしたい」と意気込んだ。
大相撲の西前頭11枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)が6日、稽古後に報道陣の電話取材に応じ、近況を語った。
この日は、平幕の琴ノ若と琴恵光と申し合い稽古を行った。
「よく右半身にはんるクセがあるのでそうならないように意識して稽古した。悪いクセ、自分がよくなる形にならないように意識してやっている」と話した。
初場所は初日から11連敗するなど、試練の場所になった。
「初めての経験でどうしていいか分からないところはあった。1日の相撲に集中しようと思ったけど、それでも下向きになった」と泥沼にはまった。
12日目に連敗を止めたが、終わってみれば2勝13敗。
「あまり勝ちにこだわらない。勝つか負けるかしかないので、勝つことばかり意識しないで思い切っていくことが大事。こだわらないことも大事だと思った。経験を生かさないと意味がないので生かしていきたい」と苦い経験も無駄にしない。
息抜きはマンガを読むこと。電子版で読んでいるといい、風呂場でも読めるようにiPadの防水ケースを購入。
「キングダム」や「呪術回戦」といった、人気作品を熟読してリラックスしているという。
初場所で13敗を喫したが、幕内になんとか残った。
「純粋に強くなりたいと想っています。早ければ早いほうがいい」と幕内にいる限りは、新三役昇進を目標に土俵に上がる。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が8日、報道陣の電話取材に応じ、7日までにPCR検査を受けた行司、床山、呼び出し、若者頭、世話人の裏方と呼ばれる155人の協会員全員が陰性だったことを明らかにした。
同広報部長は「昨日の夜(検査結果が)出まして、おかげさまで全員陰性でした。今までのいろんな状況と流れを見て、みんな自粛してくれているんだと思う」と感謝した。
協会は1月の初場所に続き、春場所(14日初日、東京・両国国技館)でも場所前に全協会員にPCR検査を実施する。
力士と親方衆を合わせた約700人は10日までに検査を受ける予定。
同広報部長によると、8日に行われた協会執行部による定例会で、体調不良を訴える力士の報告はなかったが「無症状っていうところが一番のネック」と警戒心を緩めなかった。
外国人力士のパイオニアが創設し、優勝11回の横綱を輩出した東関部屋(東京都葛飾区柴又)が、大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)を最後に、閉鎖される可能性があることが8日、関係者への取材で分かった。
現師匠である東関親方(44=元小結高見盛)の後任選びが難航しているためで、このままの状況が続けば約35年の歴史に幕を閉じるという。
東関親方は、19年12月に41歳の若さで死去した先代東関親方(元前頭潮丸)の死去に伴い、部屋付き親方だったことから、年明けの昨年1月、部屋を継承した。
ただ、部屋の運営には師匠としての精神的負担から難色を示し、関係者によれば1年ほどの“暫定的”な継承として師匠の座を引き継いだという。
そのため高砂一門内で、次期継承者を模索。
先代高砂親方(現錦島親方=元大関朝潮)の定年に伴い、高砂部屋を継承しなかった若松親方(元前頭朝乃若)らが候補に挙がったが、不調が続き現状では候補者不在。
前述の「1年間」のリミットが切れる状況では、部屋封鎖もやむなしの方向で話が進んでいるという。
東関部屋は、ハワイ出身で高砂部屋付きだった12代東関親方(元関脇高見山)が、86年2月に高砂部屋から分家独立して東京・東駒形に創設。外国出身者による初めての部屋で、ジェシーの愛称で人気を博したこともあり話題を集めた。
同じハワイ出身の曙が横綱に上り詰め、高見盛や潮丸らの関取を輩出。09年6月の定年後は、当時小野川親方の先代東関親方が部屋を継承。
18年1月に現在の部屋に移転した。
現在の部屋は、地域活性化の狙いで誘致した葛飾区が、区有地を有償で貸し出した土地に建築された。
行政側との問題なども残り「完全には(撤退は)決まっていないが、その方向にはある」と関係者は話し、その際には東関親方と力士6人は、同じ高砂一門の八角部屋(師匠=元横綱北勝海)に移籍する方向性も示されているという。
○…部屋の存続問題について東関親方は、電話取材に「自分がどうこう言っても悪い方にとられてしまう。正直、ノーコメントです」と話した。
14日初日の春場所が迫っていることもあり「場所も近いし余計なことは言いたくありません」とも付け加えた。コロナ禍で力士の生活環境も厳しい状況が続く。
「自分も力士も外出はしてませんが、こんな状況ですから、いつ感染するかもしれない。(いつ感染するか分からないという)覚悟はしています」と予断を持たずに責務を全うする姿勢を示した。
2021/03/03
正代は2日、初日まで2週間を切った春場所(14日初日)に向け、東京都墨田区の時津風部屋で豊山と10番ほど取った。
相撲記者クラブの電話取材に応じ、「いつもならまだ調整している時期だが、もう相撲が取れている。いい流れかなと思う」と好感触を口にした。
昨年11月場所で左足首を痛めており、先月に相撲教習所で実施された合同稽古には大事を取って参加しなかった。
「痛みは感じないが、変な感覚が残っている」。
けがを悪化させないためにも、下がらないことを強く意識している。
大相撲3月場所(14日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表された1日、大関復帰を目指す関脇照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)がオンラインで会見を行った。
ヒザの故障などで一時は序二段に陥落しながらも、不屈の闘志ではい上がってきた照ノ富士は「やっと近づいてきたかなと。今場所で決めないとまた最初からのことになるので、頑張らないと」と率直な思いを語った。
大関復帰の目安は三役の地位で33勝。
照ノ富士は直近2場所で計24勝を挙げており、3月場所で9勝以上の成績が求められる。
これには「内容が一番大事。
数字も大事だけど、とりあえず33勝を達成しないと始まらないことなので、それを目標にして全力を出していい相撲を取りたい」と冷静に話した。
先月11日に挙式し、大関復帰につなげたいところだが、本人は「挙げたことはありがたいと思って次に進もうと思う」としながらも「気合いが入っているといって、変に硬くなるのは嫌なのでいつも通りにやっている」と、あくまで平常心を貫いている。
苦しい時期を乗り越え、ようやく勝負の15日間に臨む元大関は「過ぎたことを考えてもしょうがない。目の前のことを精いっぱいやっているから今の結果に出ていると思うし、落ちて上がっているから注目されている部分もあると思うし、別にどうこう考えはない」ときっぱり。
どん底からの復活劇を果たせるか注目が集まる。
大相撲・春場所の新番付が発表され、上松町出身の御嶽海は、初場所と同じ西小結で臨むことになりました。
初場所を9勝6敗で終えた御嶽海は、大関とりにつなげるためにも去年の7月場所以来の2桁勝利を目指します。
春場所は、14日に東京の両国国技館で初日を迎え、新型コロナの感染防止で観客を5000人までに制限して行われます。
日本相撲協会は3月1日、大相撲春場所(両国国技館)の新番付を発表した。
三重県伊賀市出身の千代の国関(30)=九重=は初場所と同じ東前頭九枚目で、初日は14日。
春場所は今回、開催地が大阪から東京に変更。
1月の初場所では、開幕前に九重など4つの相撲部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生。
所属する力士は陰性だった千代の国関を含め全員が全休になった。
今月14日に初日を迎える大相撲春場所の番付が発表され、琴恵光は、東前頭14枚目となりました。
前頭11枚目で臨んだ初場所で6勝9敗で負け越した琴恵光。
今回番付を3枚下げ、東前頭14枚目となりました。
春場所は今月14日から両国国技館で始まります。
2021/01/29
28日、東京・両国国技館で理事会を開き、大相撲3月場所は例年の大阪ではなく、東京・両国国技館へ会場を変更して開催することを決定した。
新型コロナウイルスの国内での感染状況を考慮した。
この日、電話取材に応じた芝田山広報部長は、会場変更について「感染症の先生も(実際に)足を運んでいるが『国技館並みの感染対策は非常に困難を要するだろう』と。それからコロナ禍で宿舎を確保できない部屋が出てくる可能性があり、宿舎を貸していただく方との共用、接触も危惧している」と説明した。
番付発表を東京で行い、本場所直前に大阪入りする案もあったが「基礎疾患があって重症化リスクの高い力士が感染しても、入院が困難な可能性がある」と指摘したように、リスクは少なくない。
また、緊急事態宣言についても「2月7日までだが、いっぺんに解除になる可能性は低いんじゃないか」とした上で「準備するリミットもあれば、今の感染状況、会場、宿舎の感染対策など積み重なり、それら相対的に考えたら今年は(大阪開催は)難しいということになった」と語った。
大相撲の地方場所は昨年3月、大阪で史上初の無観客で開催。7月の名古屋場所、11月の九州場所(福岡)は東京で開催された。相撲協会は3月場所から1年ぶりに地方場所を再開する方針だったが、新型コロナの影響で困難と判断。これで東京での開催は、昨年7月場所から5場所連続となる。
また、協会は東京五輪開催のため夏巡業を中止することを発表した。
2021/01/22
朝乃山の逆転優勝は厳しくなった。
照ノ富士に左上手を許し、寄り切られた。
完全に力負けした形で、対戦成績はこれで4戦全敗。
「どうしても上手を先に取りたかった。先に先に攻められ、形を作られた」と悔しがった。
この日は富山商時代の恩師、浦山英樹元監督の命日だった。
白星で飾れず、優勝争いからも後退し、「気持ちを切り替えて、千秋楽まで自分の相撲を取りきります」と気丈に話した。
正代は合口がいい竜電に2本差すと、難なく寄り切り、2敗を守った。
土俵際での逆転勝ちや、取り直しの末に相手の勇み足で星を拾った前日までの2日間の反省を踏まえ、ようやく本来の攻めを取り戻し、「今回は落ち着いて詰めができた」と胸をなで下ろした。
大栄翔とトップに並ぶ。
3敗の力士が消えても、2度目の優勝に向けて油断はできない。
大関は「あとはその日にできる一番いい相撲を取ることだけに集中できればいい」と気を引き締めた。
照ノ富士は大関・朝乃山を破って4場所連続の幕内勝ち越しを決めた。
朝乃山に過去3場所全勝の照ノ富士が、またも若き大関の壁となって立ちはだかった。
右の相四つ、新旧大関対決。
勝敗を分けたのは、元大関の先輩として見せた意地だった。
小細工なしの立ち合い、先に右を深く差した照ノ富士。
右のかいなを返し、相手に上手を許さない。
「そんなに深く考えていない」と語るが、長年稽古(けいこ)で鍛えた成果を体が勝手に発揮した。
互いの荒い息づかいが客席まで響く中で、先に左上手を取ったのも照ノ富士。
「どんな相手でも、まわしを取れば自分の方が上」と自信をみなぎらせ、最後は力いっぱいの攻めで大関を寄り切った。
観客は好勝負に圧倒されて拍手を忘れてしまったのか、少し遅れて大きな音が響いた。
御嶽海は、西前頭4枚目の玉鷲を巻き落としで下した。
7勝5敗とし、22日は西前頭6枚目の輝と対戦する。
立ち合いが合わず2度目で立つと、御嶽海はすかさず左差し。
こらえる玉鷲を左で巻いて転がし、今場所の勝ち越しまであと1勝とした。
今場所の輝は5勝7敗。
御嶽海は過去5度の対戦で全勝している。
新たな歴史が刻まれるのが恒例となってきた初場所。
今年は大栄翔が初の賜杯を抱いて時の人となるか。
好調の明生との正念場の一番は土俵際の逆転で星を拾い、何とか2敗をキープした。
互いに頭でぶちかまし、突きといなしの激しい応酬。
まわしを取られて寄られたが、半身で残しながら左ですくうように突き落とし、俵を伝うようにして相手が先に手をつくのを待った。
「(相手を)見過ぎて、(先に)まわしを取られた。最後まであきらめないでよかった」とゆっくりと息をついた。
自身より身長が20センチ、体重が74キロも上回る相手との初顔合わせに、翠富士は「昨日から怖かったので。ビビっていた。体の大きさとか、突き押しが怖くて。死ぬのかも知れないと思っていた」と率直な心境を明かした。
だが取組では堂々たる相撲で、左を差してからの代名詞・肩透かし。
新入幕での勝ち越しに、王手をかけた。
現役最年長の華吹が、偉業を達成した。
西序ノ口11枚目の桜(34=高田川)との、両部屋ちゃんこ長の対決。
立ち合いすぐに左を差して右上手を取ると、土俵中央付近で静止。
桜の下手投げに耐えると、上手投げで相手の体勢を崩し頭を押さえながらのはたき込みで料理した。
昨年5月28日に50歳になってから4場所目で初の勝ち越し。
実に116年ぶりの50歳以上力士の勝ち越しとなった。
2021/01/21
自分の型を持つ力士は強い。
調子が上がらず、苦境に立たされた朝乃山だが、「自分の相撲」を信じて5連勝。
勝ち越しを決め、初のカド番を切り抜けた。
立ち合い、すぐに右を差して前に出る朝乃山の相撲。
土俵際まで寄り立てたが隆の勝も一筋縄ではいかない。
右からすくった隆の勝にうまく体を入れ替えられて突き落とされかけたが、踏ん張った。
揺さぶられても大きくは崩れず、最後ははたき込み。
「踏ん張れたのはよかった」と、納得の表情で振り返った。
正代はよもやの形で命拾いした。
背中から落ちた取り直しの一番で、隠岐の海に勇み足。
行司差し違えの辛勝だった。
10日目に給金を直し、初めてのかど番の重圧を乗り越えたばかりだった。
そんな状況で迎えたこの日、大栄翔が逆転負けを喫して2敗に後退し、臨んだ一番。
どこかに硬さがあったのか、本来の前への攻めを発揮できなかったが、賜杯を獲得するにはこういった白星も必要だ。
優勝争いに向け、「いい方向にもっていかないと」と八角理事長。
九死に一生を得て、本人も「これを拾えたことが今後大きくなるんじゃないか。流れは来ているんじゃないかと思う」と前向きに捉えた。
大栄翔は相撲に勝って勝負に負けた。
立ち合いから阿武咲を一気に押し込む。
勝負は決まったかに思われたが、土俵際の突き落としで2敗目。
7日目から単独トップを守ってきたが、ついに正代に並ばれた。
ただ、相撲内容はよかったので「立ち合いはよかったんで」と重要視する立ち合いは満足。
土俵際のところだけ「あそこをしっかり見ていかないとダメでした」と反省した。
阿武咲が土俵際の逆転で、大栄翔を2敗に後退させた。
立ち合いから強烈な突きで一気に押し込まれたものの、俵に足がかかったところで相手の右喉輪をたぐって突き落とし。
「(一方的に押され)やばいと思ったけど、あそこで逆らうと体勢が崩れる。足が着いたところで勝負しようと。まぐれですけど良かった」。
冷静な判断が光り、勝ち越しに王手をかけた。
18日に新型コロナウイルス感染が判明した大相撲の九重親方(元大関・千代大海)が20日、入院した。
日本相撲協会の芝田山広報部長が明らかにした。
九重親方が師匠を務める九重部屋では19日までに幕内千代翔馬ら計14人の感染が判明。
19日に陽性が確認された幕下以下の力士4人と行司1人は部屋で隔離生活を送っている。
2021/01/20
左足首のけがを理由に途中休場し、負け越しが決まった大関貴景勝。
押し相撲では難しいとされた綱とりを前に、重圧も重なったか。
かつての指導者たちは異変を感じ取っていた。
小学3年から中学1年まで教えた関西奄美相撲連盟の山口久義会長は、初日の御嶽海戦を例に挙げた。
「押し相撲は足の運びと腕の回転が大事だが、前への圧力がない負け方だった」。
大関本人も「修正していかないといけない」とオンライン取材に答えていたが、左足首を痛めた3日目を含め、4連敗を喫した。
「半分は気力で取るタイプ。歯車が狂うと負け続けることもある」。
埼玉栄高の恩師、山田道紀監督=兵庫県浜坂町(現新温泉町)出身=は貴景勝の性格に不振の理由を求め、場所前にも気負いを感じたという。
「『(稽古を)やりすぎた』と連絡があった。胸の筋肉が付きすぎて、突き押しの手が出しにくい感じもした」と明かす。
貴景勝は今場所、負けが先行しても「しっかり準備して」と土俵に立ち続けたが、ご当所の大阪で予定される春場所は3度目のかど番となった。
山口会長は「(けがの休場は)割り切れる。体を休めて稽古すればいい」と思いやり、山田監督も完治を願った上で「勝ち越しを目標にするのではなく、また優勝を狙う気持ちで頑張ってほしい」とエールを送った。
朝乃山(26)=高砂=が立ち合いから抜群の出足で、玉鷲を寄せ付けなかった。
得意の右四つから盤石の寄り切り。
「しっかり踏み込めた。喉輪も下からはねのけたと思うし、自分の相撲が取れたと思います」と納得顔を浮かべた。
7日目から4連勝で7勝3敗とし、かど番脱出へあと1勝とした。
「考えれば考えるほど硬くなるので。一日一番。結果は付いてくると思います」と気を引き締めた。
正代が痛恨の2敗目。御嶽海に2本差されて先手を許すと、動きながら勝機を探ったが、両まわしを引かれて力尽きた。
「自分の力を出し切れなかった」と肩を落とした。
大栄翔が無傷の8連勝とし、結びで自身が敗れたため、8日目を終えて単独トップの平幕が後続に2差をつけた。
1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初の不名誉な事態となったが、まずはかど番脱出に意識を置く。気を取り直し、「自分の相撲を徹底し、最後まで集中してできたらいい」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)8日目の17日、西前頭筆頭の大栄翔(27)=本名・高西勇人(はやと)=が破竹の8連勝で勝ち越しを決めた。
出身は埼玉県ながら、そのルーツを奥能登に持つ。
珠洲市内で暮らす親戚の高西利雄さん(72)は「(大栄翔の)祖父は体が大きく、飯田高の相撲部員だった」と明かし、「この勢いで優勝してほしい」と快進撃を見守っている。
同じ追手風部屋の遠藤より3歳下だが、入門は約1年早く兄弟子となる。
取組が迫ると、高西さんは珠洲市宝立町春日野の自宅でテレビにくぎ付けになる。
大栄翔の母恵美子さんはいとこに当たる。
17日の相手は郷土力士の輝だが、声援はもちろん親戚の「勇人」に向けられた。
土俵際でとったりを決めると「おー、勝った」と大喜びだった。
高西さんによると、大栄翔の祖父弘勝さんは珠洲生まれ。
身長が180センチ近くあったそうで「目元が似ている。相撲の道に進んだのは祖父の影響があるのかもしれない」と目を細める。
弘勝さんは若い頃に東京に移って鉄工所を営み、死後は家族が埼玉県に引っ越したという。
大栄翔は園児のころ珠洲の自宅に遊びに来た。
高西さんは「小さかった子がこんな立派な力士になるとは」と感慨にふける。恵美子さんとは年賀状のやりとりを続け、昨年秋に珠洲産米の「ひゃくまん穀(ごく)」30キロを贈ると、返礼として手形入りのサイン色紙などが送られてきた。
「今場所の活躍は珠洲の米のおかげかもしれない」と笑顔を見せる。
大雪のストレスも吹き飛ばす快進撃に心が弾む。
「知人や近所の人たちに、大栄翔の本名は『高西勇人』やぞ、と紹介してます。優勝して大喜びしたいね」と高西さん。
大栄翔ブームの広がりを期待し、声援を送り続ける。
遠藤は過去2勝7敗と苦手の貴景勝から一昨年秋場所以来の白星。
土俵中央での激しい押し合いから前に出るも大関の反撃に後退。
土俵際まで追い詰められたが、巧者らしく冷静にいなして引き落とした。
取組後、テレビ中継の殊勲インタビューに久しぶりに応じた遠藤。
涼しい顔で「我慢して相撲を取るだけでした。(後半戦は)できることを精いっぱいやるだけ」と語った。
輝は隆の勝との同学年対決。
過去3勝5敗と分が悪い相手だが、辛うじて白星をつかみ、4連敗を阻止した。
取組後のリモート取材では「ぎりぎりで何とか。必死に動かないとと思った」と振り返った。
後半戦に向けては「最後の詰めをしっかりできることが大事」と自戒を込めた。
東前頭15枚目の豊山(金沢学院高OB)は、東十両4枚目の松鳳山に辛勝し、6勝3敗。西十両8枚目の大翔丸(金沢学院高OB)は、同3枚目の美ノ海に押し倒しで敗れて3連勝を逃し、6勝3敗とした。
今年は関取として土俵に上がった。1月19日は横綱大鵬の命日。
直近2年のこの日は幕下で相撲を取っていた孫の西十両11枚目王鵬(20=大嶽)は、大翔丸にはたき込まれて7敗目。
「2年前から命日の日にたまたま相撲があるが1番も勝てていない。今日こそはという思いがあった」と悔しさをにじませた。
黒星が続く新十両の今こそ、耐え忍ぶ。
9日目からの土俵入りは「忍」の文字が入った化粧まわしを使用。
祖父が生前、好んでいた言葉だ。
師匠の大嶽親方(元十両大竜)によると、この「忍」は大鵬が直筆した字を「プリント」したもの。
化粧まわしを製作した知人に、希望の漢字1文字を問われて王鵬が選んだ。
「よく(祖父が)サインにも書いていた字。耐え忍んで、稽古も自分のためになることはきつい。それを忍んでやっていかなければということ」と王鵬。
自分なりに「忍」の意味をかみ砕く。
勝ち越しに向けて後がない状況となったが、相手の引きを怖がらず、前に出る相撲を貫いている。
「引いて負けるより、前に出て負けた方が星もついてくる」。
信念を持って、天国から祖父が見守る土俵に立っている。
大相撲初場所は11日目、20日から終盤戦です。1敗で単独トップに立つ前頭筆頭の大栄翔は平幕の阿武咲と対戦します。
大相撲初場所は大関 貴景勝が休場して戦後最多の関取17人が休場する異例の事態の中、前頭筆頭の大栄翔がただ1人1敗でトップに立っています。
2敗で大関 正代、3敗で大関 朝乃山、いずれも平幕の明生と逸ノ城が追う展開です。
大栄翔は、11日目の20日、平幕の阿武咲との対戦で、過去の対戦成績では3勝5敗と負け越しています。
大栄翔としては、ここまで続けている思い切りのいい突き押しで一気に勝負を決めたいところです。
阿武咲も同じ突き押しを得意とするだけに、どちらがより鋭く踏み込み、腰を落として下から攻めていけるかが勝負の鍵を握ります。
星の差1つで追う正代は、35歳のベテラン、平幕の隠岐の海との対戦で、過去の対戦成績は4勝5敗と負け越しています。
正代としては、四つ身のうまい隠岐の海を相手に、立ち合いから足を止めず一気に前に出ていきたいところです。
7勝3敗の大関 朝乃山は、角番脱出をかけて関脇 隆の勝との一番で、過去の対戦は朝乃山の2勝1敗です。
朝乃山は、得意の右四つに持ち込むために立ち合いでしっかり踏み込んで、隆の勝の出足を止めることが重要です。
幕下の取組で立ち合いが不成立になったものの力士どうしの頭が激しくぶつかり、1人がしばらく立ち上がれなくなりました。
審判団は、取組をどうするか協議し、力士も相撲を取れる状態になったことから仕切り直して行われる珍しい事態となりました。
東京 両国の国技館で行われている初場所10日目、幕下の湘南乃海と朝玉勢の一番は立ち合いが不成立になりましたが、2人は勢いあまって頭が激しくぶつかりました。
この衝撃で、湘南乃海がひざから崩れ落ち、何度か立ち上がろうとしましたが、足に力が入らない様子でふらふらする状態となりました。
2人は土俵の下に降りたものの取組が中断する形になり、審判団が取組の扱いについて協議することになりました。
協議の間に湘南乃海の状態が回復したとみられ、取組は続けられました。
仕切り直しの末に行われた取組では、しばらく立ち上がれなかった湘南乃海がはたき込みで勝ちました。
2021/01/17
貴景勝が持ち前の相撲を取り戻した。
立ち合いから低い当たりで栃ノ心をはじくと、相手に何もさせず突き押しで一気に土俵の外へ押し出した。
鋭い出足で攻めきる会心の内容を見せて「土俵で出さないと何も意味がない。また明日以降しっかり準備していく」と気を引き締めた。
7日目でようやく二つ目の白星。
初日から4連敗で目指した綱とりは絶望的だが、大関の役割は果たさねばならない。
後半戦の巻き返しに向け、「気持ちとか、精神的なものが(結果に)出てくる。自分がどこまでできるか。とにかく集中して力を出し切りたい」と力を込めた。
物足りなさが目立つ大関陣にあって、カド番の正代が1敗を守り、看板力士の面目を保っている。
この日は動きのいい阿武咲を右を差して組み止め、そのまま前に出て力強く土俵下まで押し出した。
「立ち合いから出足が良かった。落ち着いて取り切れている」と納得の表情だ。
関脇照ノ富士は、小結御嶽海を寄り切りで下して4勝目を挙げた。
元大関の真骨頂と呼べる一番だった。
立ち合いから素早く左上手を引くと、流れで右上手も取って外四つの形に。
腰の重い相手に胸を合わせると、そのまま力任せに寄り切った。
「(上手を)取れたのでよかった。取ったら安心という感じ。(相手は)差してくるだろうと思ったので」と、予想通りの展開での完勝に胸を張った。
迷いのない取り口は、いつもすがすがしい。
大栄翔は鋭く当たり、関脇隆の勝を大きく後退させた。
「先に攻めることができてよかった」。間髪入れずに重い突きを見舞い、何もさせずに土俵の外へと押しやった。
初日の大関朝乃山に始まり、今場所出場の役力士を全員撃破。
「内容もいいので力が付いてきたんじゃないかと実感できる」。
素朴な口ぶりに自信がみなぎっている。
平幕が初日から三役以上に7連勝したのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降では初めて。
対戦する三役以上を全て破ったのは、西前頭3枚目だった91年秋場所の若花田(後の横綱3代目若乃花)以来の快挙だ。
両横綱が初日から不在の今場所。
けれん味のない大栄翔の姿に、八角理事長は「救世主が現れたというのかな。こういう内容で相撲を取ると期待が全然違うよね」とたたえた。
明瀬山が敗れて単独トップに。
平幕力士との対戦しか残っておらず、有利な立場にいるとも言えるが、「変わらずに、思い切って向かっていく気持ちでやりたい」と語る。
日本相撲協会の芝田山広報部長は16日、新型コロナウイルスに感染して入院していた荒汐部屋の協会員全員と、湊部屋の幕内格行司、木村元基が退院したと明らかにした。
2021/01/16
貴景勝の初日からの連敗がようやく止まった。
琴勝峰を右喉輪で起こすと、タイミング良く左から突き落とした。
「白星を挙げられたことが、いいきっかけになれば」。
表情を変えずに淡々と振り返った。
今場所の綱とりは遠のいたが、両横綱が不在の中、出場力士の最上位としての重責は変わらない。
「一生懸命やることしかできない。集中して一日一日準備していくだけ」と必死に前を向いた。
かど番の2大関は対照的だった。
正代は厳しい攻めで5勝目を挙げたが、朝乃山は詰めを誤って3敗となった。
栃ノ心にもろ差しを果たした正代はまわしも与えず、「体が動いてくれているので、この調子で最後までいけたらな」と言葉にも勢いがある。
朝乃山は宝富士と自分十分の右四つに組んだ後、相手に上手を与えて投げを食った。
「土俵際まで攻めたが、その後に攻め切れない自分がすごく悔しい」と自らを責めるように言った。
28場所ぶりの幕内で、明瀬山が存在感を発揮している。
初日から6連勝とした35歳は「素直にうれしい」と実感を込めた。
懐に入ってきた照強に一気に出られるピンチにも、冷静さが光った。
土俵際で残すと、右から逆転の突き落とし。
独特な体形で愛嬌(あいきょう)たっぷりなベテランの快進撃は止まらない。
故北の湖親方(元横綱)からも手ほどきを受けた右四つと、押しを武器に2016年春場所に新入幕を果たしたが、わずか4勝とはね返され、幕下まで転落。史上4番目に長いブランクを記録して再入幕した今場所は、見違えるような好成績だ。
そんな姿に、八角理事長(元横綱北勝海)も「真面目にやっていればいいことがあるという見本じゃないか。立派。お手本になる」。
08年初場所の初土俵から休場することなく土俵を務めてきた地道な姿勢も、下地になっていることだろう。
昨年1月の初場所では、同じ木瀬部屋で1学年下の徳勝龍が幕尻優勝。
もっとも本人は気負いはなく、「まだ前半も終わってないんだから」。
軽妙に語ると、にやりと笑った。
大相撲初場所は7日目、前頭筆頭の大栄翔はここまで三大関などを破って6連勝とし関脇 隆の勝と対戦します。
大栄翔は16日に勝てば、出場しているすべての役力士から白星を挙げることになります。
横綱不在の初場所 平幕2人が6連勝
横綱不在の初場所は、6日目を終えて役力士に勝ちっ放しがおらず、前頭筆頭の大栄翔と、前頭16枚目の明瀬山の平幕2人が、初日から6連勝としています。
上位陣では角番の大関 正代が1敗で追っています。
大栄翔は、16日に対戦する隆の勝から白星を挙げれば、出場している役力士全員に勝っての7連勝となります。
過去の対戦成績は大栄翔の2勝3敗で、ともに思い切りのいい押し相撲が持ち味です。
互いに相手の突き押しに対して、どこまで我慢して自分の相撲を貫けるか、地力の試される一番になります。
6連勝の明瀬山は、逸ノ城との対戦
同じく勝ちっ放しの明瀬山は、逸ノ城との対戦です。
両者ともに右四つを得意とする力士で、がっぷり四つに組み合う展開が予想されます。
35歳の返り入幕の場所で連日、土俵を沸かせている明瀬山が、体重およそ200キロと重い逸ノ城を相手にどのような相撲を見せてくれるのか楽しみです。
1敗で追いかける正代は、平幕の阿武咲との対戦で、対戦成績は正代の不戦敗を含めて2勝2敗です。
今場所の阿武咲は出足が非常によく、突き押しも強烈なだけに、正代としては前に出る相撲で退けて勢いに乗っていきたい一番です。
2021/01/12
「この年末年始も角界はコロナに振り回されっぱなしですよ…」と、疲労感のにじむ表情を浮かべるのはさる角界関係者だ。
1月10日に初日を迎えた大相撲1月場所は、開催前から予断を許さない状態が続いていた。
「昨年の大みそかに、荒汐部屋の若隆景(26)のコロナ感染が判明。翌元日には、荒汐親方を含む計11人のクラスター発生が確認されて、角界周辺は一気に慌ただしくなりました。一方で、20年度の収支決算が55億円の大赤字を見込んでいる相撲協会としては、緊急事態が発令されようが、約5000人を上限に、観客を入れた本場所開催の方針を曲げるわけにはいかなかった。5日には、横綱・白鵬(35)の感染も発表。昨年同様に難しい舵取りを迫られましたが、1場所5億円の放映権料と入場料収入のために中止の判断は下せなかったようです」
3日に嗅覚異常、4日にPCR検査を受けて感染が確認された白鵬は、3場所ぶりの本場所復帰が断たれたことになる。
くしくも引退の先延ばしに成功した白鵬だが、かつて大相撲界の一大勢力として君臨していた「モンゴル互助会」も、ヘッド不在で機能不全に陥っているという。
衰退の一途を辿るモンゴル人横綱から、学生相撲出身の正代(29)、朝乃山、貴景勝の日本人大関3人衆の時代へと政権交代が進むのも角界の飛花落葉。
中でも、初場所で大関からの一抜けに期待がかかるのは貴景勝だ。
相撲界のジンクスに打ち勝てるかどうかが綱取りの鍵を握っている。
1月12日発売の「週刊アサヒ芸能1月21特大号」では、もはや崩壊の危機に瀕する「モンゴル互助会」の近況と、21年の大相撲初場所で貴景勝が目論む「押し相撲クーデター」について詳報している。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われた。
カド番の大関・正代が熱戦を制し、3大関で唯一2連勝を飾った。
立ち合いから左が入ると、大関経験者の高安を土俵際まで押し込んだ。
反撃を試みる高安に上手を許しかけたが、いなして相手の体勢を崩すと、再び左が入り、前に出て寄り倒した。
激しい攻防を制し、正代は「立ち合いから前に出られた」と言い、「途中、相手の形になりかけて引いてしまい、良くなかった」と反省も忘れなかった。
新大関だった11月場所3日目の高安戦に勝った後、左足首を痛め、結局5日目から休場に追い込まれた。
因縁の相手との対戦に「決着後のけがだったので、そういう意識はない」とはいえ、難敵を退け、安心した様子だった。
大関2場所目で早くもカド番ながら、「(新大関だった)先場所に比べれば緊張していないかな。吹っ切れていると思う」と話していた。
両横綱が不在の中、綱取りがかかる貴景勝が初日から連敗し、同じカド番の朝乃山も初日に敗れた。
土俵下の錦戸審判長(元関脇・水戸泉)も「(3大関で)一番安定感があるように見える」と評価した。
正代は「負け越してもなるようになると考えて、一番一番取れれば、それなりの成績になるのではと思っています」。
気負いを感じさせず、連勝を伸ばしていくつもりだ。
大関かど番の朝乃山が北勝富士に快勝して初白星。
3度目で成立した立ち合いで思い切りよく踏み込み、すぐに右を差して自分の形に。
上手は引けなくても、圧力をかけて前へと攻め、すくい投げで仕留めた。
「これが自分の相撲だと思う。続けていきたい」と納得の口ぶりだった。
右肩を痛めて先場所を途中休場し、今場所の初日は黒星。嫌な流れを断ち切るような好内容に「かど番を脱出して、2桁勝って、優勝争いに加われたらいい」と意気込んだ。
大栄翔が大関を連破した。
初日の朝乃山に続いて貴景勝も重い突き押しで苦しめ、「自分でも内容がいいと思う。本当に自信になる」。
十分な手応えをつかんだ。
綱とりを目指す貴景勝は埼玉栄高の後輩に当たる。
特に仲の良い相手でもあるが、「普段と変わらず、大関に胸を借りるつもりで思い切りいった」と無心で攻めた。
先場所は西前頭2枚目で10勝を挙げながら三役復帰はかなわず、「1場所でも早く戻りたい」。
目標に向けて快調なスタートを切っている。
大相撲初場所(東京・両国国技館)2日目の11日、西小結・御嶽海(出羽海部屋)は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦、寄り切りで敗れた。
3日目の12日は、結びの一番で東大関・朝乃山(高砂部屋)と対戦する。
御嶽海は攻めきれずに土が付いた。
立ち合いで踏み込んで押し込んだものの、右を差し勝って前に出たところでいなされて泳ぎ、体勢を入れ替えられて土俵を割った。
朝乃山は2日目に白星を挙げて1勝1敗。
過去6場所で5度当たり、対戦成績は御嶽海の3勝2敗となっている。
阿武咲が元大関の照ノ富士を圧倒した。
突き起こして上手を与えず、懐に飛び込むと、休まず攻めて寄り切った。
「思い通りの相撲が取れたのでよかった」と充実感たっぷりに振り返った。
西前頭3枚目。
3年ぶりの三役復帰を目標に掲げ、昨年12月の合同稽古では6日間休まず稽古に励んだ。
初日も高安に圧力勝ち。
「あと一息。しっかり集中して頑張りたい」と気合は十分だ。
新入幕の翠富士が「十八番」の肩透かしで初日から2連勝とした。
自身より約60キロも重い豊山に立ち合いで鋭く当たり、右を差すと間髪入れずに肩透かし。
見事に豊山を転がした。
十両優勝した先場所は10勝のうち4勝を決めた得意技で快勝し「出ましたね。しっかり(立ち合い)当たって、その流れの中で(肩透かしを)打てました」としてやったり。
目標の三賞に向かって絶好のスタートとなった。
大相撲初場所2日目は11日、東京・両国国技館で行われ、十両復帰2場所目の宇良(28)=木瀬部屋=は、新十両の納谷改め王鵬(20)=大嶽部屋=を押し出しで降し、2連勝とした。
元横綱・大鵬(故人)の孫で191センチ、170キロの大きな体で期待を集める王鵬に対し、175センチ、136キロの宇良。
立ち合いで頭を下げて当たってきた王鵬に「飛ばされないように」と、さらに下をいった。
胸に頭をつけると左を手繰って体を入れ替え、リズムよく押し出し。
両手を広げ、余裕の表情で客席を見渡した。
かつて幕内で「業師」として脚光を浴びた宇良だが、両膝のけがで一時は序二段まで番付を落とした。
気付けば期待の若手を迎え撃つ立場となり「自分も年を取ったな」と自嘲気味に笑う。
王鵬を「体も大きくて強そうだった」と認めつつ、持ち味を発揮して退けた。
「自分の相撲は取り切れた」と納得の表情の宇良。
目指す幕内復帰へ、好スタートを切った。
改名を機に「敗北」のイメージを拭い去る。
史上ワースト89連敗の記録を持つ、東序ノ口28枚目の服部桜改め勝南桜(しょうなんざくら、22=式秀)が、改名後初の取組に臨んだ。
西序ノ口27枚目大陸山になすすべなく押し倒され、昨年初場所の6番相撲から76連敗となったが「冷静に取れた」と気持ちを切り替えた。
生まれ育った神奈川県茅ケ崎市への思いから、昨年11月場所中に師匠の式秀親方(元前頭北桜)に改名を志願した。
当初は「湘南桜」だったが、師匠の提案で「勝南桜」に。
下の名前も高校生棋士、藤井聡太2冠から取って「聡太」にした。
自身もスマホのアプリで遊ぶなど将棋が好き。
縁起を担ぎ「希望通りのしこ名です」と声を明るくした。
「勝」「南」のそれぞれ対義語は「敗」「北」。
師匠の式秀親方(元前頭北桜)によると「『敗北』となったのは後で気付いた」と、偶然だったという。
師匠は「名前を変えたいと聞いてやる気になってるんだなと感じた。稽古も一生懸命やっているので、これから頑張ってほしい」と期待。
通算3勝210敗となったが、勝南桜は「勝ちにこだわりたい。今年で通算10勝くらいはあげたい」と目標を設定した。
◇師匠も教えてくれる
翠富士 新入幕で2連勝スタート。
豊山を得意の肩透かしで仕留め、「体重が増えて、押し込んでから決まるようになった。師匠(の伊勢ケ浜親方)も教えてくれる」と自信ありげ。
◇良くない
照ノ富士 阿武咲にいいところなく寄り切られて連勝ならず。立ち合いからの流れを問われ、「良くないと思う。まあ、あしたから」と淡々。
◇我慢して取れた
宝富士 御嶽海との攻防ある相撲で、最後は得意の左を差して寄り切る。
「我慢して取れた。きょう勝ったのは大きい。三役に戻れたらいい」
◇だいぶ良さそう
正代 高安に粘り勝ち、大関かど番で2連勝発進。
先場所で痛めた左足首は「だいぶ状態が良さそう。立ち合い自体もそんなに悪くない」と不安はない様子。
2021/01/11
初の綱とりに挑む初日。
貴景勝は「自分ではいつも通り」という心構えで臨んだが、初めて経験する重圧は計り知れなかったことだろう。
低く、重い攻めを貫けずに黒星。
厳しい船出となった。
照ノ富士が期待の若手、琴勝峰を豪快に押し倒した。
まわしは取れなくても構わず前に出て、土俵外まで飛ばした。
幸先良く新年を滑り出し、「よかった。自分のやれることだけをやろうと思っている」。
淡々と振り返った。
大相撲初場所(東京・両国国技館)は10日、初日を迎えた。
西小結・御嶽海(出羽海部屋)は結びの一番で東大関・貴景勝(常盤山部屋)を押し出しで破り、白星発進となった。
2日目の11日は東前頭2枚目・宝富士(伊勢ケ濱部屋)と対戦する。
御嶽海は立ち合いに踏み込んで頭で当たると、下からはね上げて貴景勝の攻めに応戦。
右に回り込みながら相手が引いたところを逃さず前に出て、綱とりの懸かる大関に土をつけた。
宝富士は、黒星でスタートした。
過去6場所で4度対戦し、御嶽海の3勝1敗となっている。
大相撲初場所が10日、東京都墨田区の両国国技館で初日を迎え、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言下で、厳重な対策を講じて開幕した。
5千人を上限に観客を入れての興行。
翠富士が幕内デビューを白星で飾った。
立ち合い変化で“勝った”はずの相撲が立ち合い不成立。
仕切り直しは迷わず、思い切り当たって勝利した。土俵入りで「幕内」を実感したという。
「そうそうたるメンバーで『ハッ』となってちょっと緊張しましたね」。
それが逆に刺激となった。
場所前は「関取になって初めて」という1日40〜50番の猛稽古。
「稽古した自信がある」と旋風を狙う。
大相撲の序二段力士、琴貫鉄(22)=本名柳原大将、滋賀県出身、佐渡ケ嶽部屋=が10日までに、新型コロナウイルス感染を懸念して現役引退したことを自身のツイッターで表明した。
「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖い」などとつづった。
関係者によると、既に同部屋で断髪式も行われた。
ツイッターによると、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)を通じて日本相撲協会に大相撲初場所の休場を申し出たが、「コロナが怖い」との理由で休場はできないと伝えられたと主張。
「自分の体が大事」と引退を選んだという。
本場所の休場は医療機関の診断書の提出が義務付けられている。
相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は10日の代表取材に「協会は安全対策を取ってきた。それに対応ができないなら、本人が出処進退を考えるしかない」と説明した。
今場所の琴貫鉄は全休扱いとなる。
大相撲初場所は2日目、「綱とり」の場所で黒星スタートとなった大関 貴景勝は、前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
初場所は両横綱を含む関取16人が休場する異例の事態の中、大関 貴景勝の「綱とり」に注目が集まりますが、初日は難敵 御嶽海を押し切れず黒星スタートとなりました。
2日目は前頭筆頭の大栄翔との対戦で、過去の対戦成績は不戦敗も含めて貴景勝の7勝3敗です。
ともに押し相撲の力士で、立ち合いの低さ前に出る圧力などは大関が上ですが、大栄翔も場所を重ねるごとに力をつけてきました。
貴景勝は突き押しを貫いて力の差を見せたい一番で、初日の取組のように引いてしまうことは禁物です。
一方、負け越せば大関から陥落する「角番」の朝乃山も初日敗れて黒星スタートとなりました。
2日目は押し相撲の実力者、前頭筆頭の北勝富士と対戦します。
過去の対戦では朝乃山が7勝2敗と勝ち越していて得意の四つ相撲に持ち込むことができれば優位です。
出足のいい北勝富士を相手に立ち合いでしっかり踏み込んで自分の形を作れるかどうかが鍵になります。
同じく「角番」の大関 正代は、大関経験者の高安と対戦します。
高安もここ数場所は力が戻ってきているだけに正代としては、立ち合いで当たり負けしないよう圧力をかけて白星を重ねていきたいところです。
大相撲の序二段の力士が新型コロナウイルスへの感染を恐れて休場を申し出たものの受け入れられなかったため現役を引退したと、ツイッターに投稿したことを受けて、日本相撲協会の芝田山広報部長は「コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」と話し、休場は認められないという考えを明らかにしました。
大相撲の序二段力士、琴貫鐵は9日、自身のツイッターで現役引退を表明したうえで「このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのはさすがに怖いので、休場したいと親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く」などと理由を説明しました。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「会社にもコロナが怖いから出社したくないっていう人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない。協会は安全対策をとってきた。コロナが怖いから休場させては理屈が通らない」などと話し、感染への懸念を理由にした休場は認められないという考えを明らかにしました。
そのうえで「対応ができないなら本人が進退を考えるしかない。本人の自由だから止めることもない。もう引退して断髪式もしたと聞いている」と現役引退についてもやむをえないという考えを示しました。
新型コロナウイルスの感染拡 大が続く中、大相撲初場所が10日、東京・両国国技館で初日を迎えた。
場所前のPCR検査で感染拡大が判明。
力士65人が休場する異例の事態となり、八角理事長(57=元横綱・北勝海)は初日恒例の協会あいさつで、異例の謝罪。
さらなる感染拡大なら打ち切りも視野に入る“緊急事態場所”が幕を開けた。
本場所途中での打ち切りも視野に入れた、試練の15日間が始まった。
東京を含めた1都3県は、緊急事態宣言下。
相撲協会は初日直前に878人の全協会員を対象としたPCR検査を実施し、九重部屋、友綱部屋の集団感染が判明するなど、全力士665人の約1割に及ぶ65人の力士を休場させて開催する異例の事態で初日を迎えた。
恒例の協会あいさつで八角理事長(元横綱・北勝海)は「このたびは場所前、相撲部屋において複数の感染者が判明し、多大なご心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます」と謝罪した。
いつもは観客に向けたお礼などを簡潔に話すが、この日は謝罪の言葉もあり、約2分30秒の長さとなった。
文字通り、異例ずくめの場所だ。
初日から関取が16人も休場するのは戦後初で、幕内の取組数は21番から18番に減少。
さらに深刻なのは十両で、28人のうち9人が休場し取組数は9番に激減した。
そのため、初日の取組開始時間は先場所初日より1時間15分も遅い午前9時50分。
2日目は午前10時に変更された。
入場者数も昨年11月の時点では最大5300人とする方針だったが、6日に売り止めとし上限を5000人に制限。
通常は払い戻しを認めていないチケットは、今場所に関しては前日までに要望があれば応じるとした。
さらに、館内ではちゃんこ販売を再開する予定だったが中止とし、飲食スペースも削減した。
力士が使うタオルは、そのまま支度部屋の上がり座敷に直接置かず、袋に入れるように指示。
協会員用の食堂で食事をする際は1テーブル1人と指定された。
地元・両国では「地元民として街の人の流れは気になる。無観客で開催する手はなかったのか」(会社員・久保田裕子さん、34)や「一人一人が感染防止に気を使っているし有観客開催は問題ないのではないか。通勤電車の方が感染の危険性はあると思う」など、賛否さまざまな意見がある。
中でも目立ったのは相撲協会に対する「責任と覚悟をもって頑張ってほしい」という声。
緊急事態場所の行方は、全国民が注目している。
新型コロナウイルスの感染急拡大で首都圏に緊急事態宣言が発令された中、大相撲初場所は10日、東京・墨田区の両国国技館で初日を迎えた。
場所前の緊急PCR検査で5力士の陽性が判明。
濃厚接触の可能性がある者や5日に感染が判明して入院した横綱白鵬(35)らを含め、コロナ関連で65力士が初日から休場した。
場所中に感染が拡大すれば打ち切りの可能性もある綱渡りの15日間。
戸惑いと手慣れた様子が交錯した。
新春にことほぐ、空気感はない。
緊急事態宣言下で、観客動員は上限5000人を厳格に守る初場所の土俵。
八角理事長(57)=元横綱北勝海=は、恒例の協会あいさつで謝罪の言葉を盛り込んだ。
「このたびは場所前、相撲部屋において複数の関係者の感染が判明し、多大なご心配をお掛けしましたことを深くおわび申し上げます」
場所直前、感染拡大防止を徹底するため親方、力士ら協会員878人を対象にPCR検査を行った結果、5力士の陽性が判明した。
濃厚接触の可能性がある者や感染が判明した白鵬らを含め、コロナ関連に関わる全休が全力士(665人)の約1割に当たる65人。
腰痛の横綱鶴竜(35)を含めて戦後最多となる関取16人が初日から休む異常事態となった。
28人のうち9人が休み、本来14番ある取組が9番となった十両の土俵入りでは、力士同士の間隔が皮肉にもソーシャルディスタンス(社会的距離)にならざるを得なかった。
東十両10枚目の宇良(28)は「いつもは(両隣と)もうちょっと詰めていた。どれくらいの距離を取っていいのかわからず、すぐに最後の力士が(土俵上に)呼ばれてびっくりした」と、東西で約4分間で終わった土俵入りを振り返った。
けがなどによる休場を合わせれば、初日から休んだ力士は98人となり取組数も大幅減少。
本場所は通常午前8時40分前後に開始されるが、昨年11月場所より1時間15分も遅らせて始まった。
それでも、土俵を掃き清める回数を増やすなど進行の時間を調整し、幕内土俵入りの時間は定刻(午後3時35分)より5分遅れた程度だった。
基本的に21番組まれる幕内の取組も18番になったが、結びの一番は午後5時50分すぎには終了。
進行に滞りや混乱はなかった。
自身初の綱とりに挑む大関貴景勝(24)は結びで小結御嶽海(28)に敗れて黒星発進となったものの「自分だけでなく、出ている力士は一生懸命やることで何かの活力になればと。自分も少しでも影響を与えられれば」と、出場する力士の番付最高位としての意識を示した。
芝田山広報部長(58)=元横綱大乃国=はこの日、15日間の懸賞申し込み総本数が約1400本だったと公表した。
新規は3件で力士の休場などでキャンセルは約100本。
先場所の懸賞総本数1040本を大きく上回り「非常に多くなっている。ありがたい」。心強い支えを感じながらも、場所中に力士らに感染が広がれば、途中打ち切りの可能性にも言及している。
一瞬の気の緩みが“黒星”に直結する。
2021/01/10
大相撲初場所は鶴竜とともに休場
大相撲初場所が10日に初日を迎えるが、横綱・白鵬は新型コロナウイルス感染のため休場となった。
先場所優勝した貴景勝の綱獲りがかかる場所で、腰痛の横綱・鶴竜とともに両横綱が不在となったのは残念だ。
昨年の11月場所後、白鵬と鶴竜は休場が多いとして、横綱審議委員会が引退勧告に次ぐ「注意」を決議。
それだけに名誉挽回するはずだった今場所の休場は、誰よりも本人が一番悔しいだろう。
とはいえ、白鵬の積み上げてきた実績が色褪せることはない。
改めてここまでの功績を振り返ろう。
通算勝ち星1170勝、驚異の勝率.826
モンゴルのウランバートル出身の白鵬はメキシコ五輪レスリング銀メダリストのジグジドゥ・ムンフバト氏を父に持つ。
15歳だった2000年に来日し、宮城野部屋に入門。
2003年11月場所後に十両昇進すると、2004年3月場所で優勝して十両をわずか2場所で通過し、新入幕を果たした。
2006年3月場所で13勝を挙げて大関に昇進。
翌5月場所で初優勝、2007年3月場所と5月場所では連続優勝を果たし、第69代横綱となった。
以降13年以上に渡って綱を張り続け、史上最多の44回優勝など数々の記録を打ち立ててきた。
通算勝ち星はダントツ1位の1170勝。
勝利数もさることながら、驚くべきは.826という勝率の高さだ。
史上初めて1000勝を挙げ、31回優勝した千代の富士でさえ.705、優勝24回の北の湖が.731だから、いかに白鵬が負けない力士かということがよく分かる。
ただ、白鵬が唯一超えられていないのが32回優勝の大横綱・大鵬。
872勝182敗で勝率.827と、白鵬をわずか1厘だけ上回っているのだ。
来場所14勝1敗なら大鵬超え
勝利数ベスト10に入っていない力士を見渡しても、22回優勝の貴乃花が794勝262敗で勝率.752、25回優勝の朝青龍が669勝173敗で勝率.795。
1場所で考えると12勝3敗で勝率8割なので、通算成績で勝率8割を超えるだけでも驚異的だ。
これまであらゆる記録を塗り替えてきた白鵬。双葉山の69連勝を超えられず、史上2位の63連勝でストップした連勝記録だけは、35歳という年齢を考えると更新は難しいだろう。
しかし、通算勝率の大鵬超えは射程圏内。
白鵬にとっては、残された「最後の頂」と言えるかも知れない。
ちなみに、もし来場所に出場して14勝1敗なら大鵬を上回るが、13勝以下なら超えられない。わずか1厘を伸ばすのも、このレベルになると相当大変だ。
大相撲の佐渡ケ嶽部屋に所属する序二段の琴貫鐵(22)が9日、自身のツイッターを更新し、新型コロナウイルスを理由に引退することを発表した。
「今日を持って引退することになりました。このコロナの中、両国まで行き相撲を取るのは怖いので、休場したいと佐渡ケ嶽親方に伝え協会に連絡してもらった結果、協会からコロナが怖いで休場は無理だと言われたらしく、出るか辞めるかの選択肢しか無く、コロナに怯えながら我慢して相撲を取ると言う選択肢は選べず引退を決意しました(原文から抜粋)」などとつづった。
日本相撲協会の宮田哲次主事によると、8日に佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)から電話で相談があったという。
宮田主事は同日に協会員878人を対象に実施したPCR検査で、陰性だった協会員のみが初場所に出場すると説明。
また、休場には診断書の提出が必要であることも説明したという。
佐渡ケ嶽親方は「詳細は宮田主事に聞いて下さい」と琴貫鐵との話し合いの内容は明かさなかった。
協会員のSNS使用は禁止されているが、琴貫鐵は「力士を引退してTwitter禁止は無くなったと思います」とSNS上で主張。
引退届も協会に提出済みだといい、アカウント名も「柳原大将(元琴貫鐵大将)」と本名を使用して更新を続けるとした。
大相撲初場所は10日、初日を迎えます。
新型コロナウイルスに感染した影響などで関取16人が休場する中、「綱とり」に挑む大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
初場所は横綱 白鵬など新型コロナウイルスの感染者と濃厚接触の可能性がある力士15人のほか、けがで休場する横綱 鶴竜の関取合わせて16人が初日から休場します。
こうした中、「綱とり」に挑む注目の大関 貴景勝は初日に小結 御嶽海と対戦します。
過去の対戦成績は貴景勝の9勝8敗ときっ抗しています。
ともに押し相撲を得意としていますが、立ち合いから突き放していけば貴景勝、密着して押し合う形になれば御嶽海が優位です。
貴景勝は難敵相手に初日から白星をあげて流れをつかみたいところです。
負け越せば大関から陥落する「角番」の2人のうち朝乃山は前頭筆頭の大栄翔と対戦します。
朝乃山は突き押しの威力が増してきた大栄翔の当たりを立ち合いで踏み込んで受け止め、まわしを取っての四つ相撲に持ち込みたいところです。
一方、大関2場所目で早くも角番の正代は前頭筆頭、北勝富士との対戦です。
過去の対戦では正代が6勝1敗と大きくリードしています。
正代が北勝富士の力強い当たりを受け止めることができるのか、11月場所の休場の原因となった左足首のけがの回復具合が気がかりです。
大相撲初場所(東京・両国国技館)初日前日の9日、両国国技館で土俵祭りが実施され、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)や審判部の親方、行司らが15日間の安全を祈願した。
新型コロナウイルス対策のため力士は出席しなかった。
先場所で2度目の優勝を果たし、初の綱とりに挑む大関貴景勝は土俵祭り後の優勝額贈呈式に臨み、引き締まった表情を見せた。
今場所は緊急事態宣言が発令された厳戒態勢での実施。
国技館のJR両国駅側には医療従事者への感謝を示すとともに、徹底した感染対策を行うことをアピールする横断幕が掲げられた。
異常事態の中で10日初日の大相撲初場所(東京・両国国技館)を迎える。日本相撲協会は9日、協会員878人を対象に実施した新型コロナウイルスのPCR検査の結果を発表。
九重部屋の西前頭13枚目千代翔馬(29)、西十両5枚目千代鳳(28)、幕下以下の力士2人、友綱部屋の幕下以下の力士1人の計5人の感染が判明した。
協会は直近で力士らの感染が判明した宮城野部屋、荒汐部屋、湊部屋を含む計5部屋に所属する親方や力士らの初場所全休を決定。
新型コロナの影響で、関取15人を含む力士65人が休場となった。
取組編成を担う審判部も休場力士の続出で対応に追われた。
PCR検査の結果を待つため1日遅れで初日、2日目の取組編成会議を開いた。
感染者と濃厚接触者が大量に判明し、本来は21番ある幕内は18番に、14番ある十両は9番となるなど取組数が縮減。
10日の取組開始は通常の場所初日より大幅に遅い午前9時50分となった。
電話取材に応じた伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「結構(休場者が)多いので割は難しいけど、つくっていかないといけない」と、緊迫感を漂わせた。
大関貴景勝の綱とりについては「そのときの流れ。結果を見てから決める」と慎重に言葉を選んだ。
休場力士の番付措置は場所後の27日に行われる番付編成会議で話し合う。
強行開催≠フ背景とは――。
大相撲初場所(東京・両国国技館)が10日に初日を迎えた。
日本相撲協会が実施した新型コロナウイルスのPCR検査で、陽性者が出た部屋の力士は全員が休場。
横綱白鵬(35)が感染した宮城野部屋など4部屋で計65人もの力士が大量休場する異常事態となった。
今後に新たな感染者が出れば、途中で打ち切りとなる可能性もある。
7日に1都3県に緊急事態宣言が発令され、世間からの逆風が強まる中、あえて開催に踏み切った舞台裏を追跡した。
日本相撲協会は9日に親方、力士、行司ら全協会員(878人、すでに検査済みの一部の部屋を除く)を対象に実施したPCR検査の結果を公表。九重部屋で幕内千代翔馬(29)と十両千代鳳(28)ら力士4人、友綱部屋で幕下以下の力士1人の計5人が新たに陽性判定を受けた。
感染者が出た部屋の力士は濃厚接触の可能性があるため、全員が休場することになった。
コロナ関連の休場者数は十両以上の関取だけで15人。
腰痛で休場する横綱鶴竜(35=陸奥)を合わせれば、戦後最多の16人だ。
幕下以下を含めた休場力士は4部屋で65人にも上り、これは全力士665人の約1割にあたる数字。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は初場所中に陽性者が出た場合は「一刻も早く(部屋を)封鎖していくしかない」としており、今後も一度に10人以上の単位で休場者が出る可能性もある。
尾車事業部長(63=元大関琴風)はさらに感染が拡大した場合の打ち切りの可能性について「もちろん、八角理事長(57=元横綱北勝海)の頭の中にはあると思う」と含みを持たせた。
本場所途中での中止は昭和以降で前例がない。そうなれば、大関貴景勝(24=常盤山)の綱取りや優勝力士などの取り扱いをめぐり、大混乱が生じることは避けられない。
一方で、国内でも感染者数が拡大の一途をたどる中での強行開催≠ノは、ネット上で「どういう神経をしてるのか」「中止にすべき」といった批判の声が噴出。相撲協会に対する風当たりは厳しさを増している。こうした世間の白い目≠承知の上で、開催にこだわる理由は何なのか。
角界関係者は「昨年はどん底だった。
せっかく一歩ずつ前進してきたのに、今さらゼロ≠ノ後戻りはできない」と事情を明かす。
昨年はコロナ禍の影響で3月の春場所を史上初の無観客で開催。5月の夏場所は中止を余儀なくされた。
7月場所からは観客の上限を約2500人、11月場所以降は約5000人に増やし「正常開催」への道筋をつくり上げてきた。
今年の春場所(3月14日初日、大阪府立体育会館)から地方場所を再開する方針も、その一環だ。
3月1日の番付発表は東京で行い、力士らは初日の3日前に大阪入り。
千秋楽後は3日以内に帰京する異例の強行日程で準備を進めている。
ここまでして大阪で開催するのは、地方のファン離れを防ぐ狙いがあるためだ。
相撲協会の2020年度の決算は中止や観客減の影響で約55億円の赤字となる見込み。
ただちに倒産危機≠ノ直面する状況ではないとはいえ、この状況が続けば協会の経営が一気に傾きかねない。
緊急事態宣言発令を受けて、初場所のチケット販売は6日で売り止め(終了)とする一方、有観客開催そのものは「譲れない線」(前出関係者)だったということだ。
今場所の開催にあたり、相撲協会は「安心・安全」を強調しているが…。
現状を見る限り、逆に不安が募るばかりだ。
2021/01/09
横綱鶴竜(35)=陸奥=が8日、初場所を休場することが決まった。
休場は自身ワーストタイの4場所連続で19度目。
初場所は3場所連続で初日から横綱不在という異常事態の中で幕を開ける。
鶴竜は出場の意向を師匠の陸奥親方(元大関霧島)に伝えたまま年を越していたが一転。
電話取材に応じた師匠は、「きのう電話あって。腰の調子。腰があんまり良くない。それと準備不足だと思うんだけどね。急にじゃないけど、まあぼちぼち胸出すのも数を増やしてきたんだけど、腰の調子が良くないということで、休場させてもらいます」と語った。
電話があったのは7日の夜。
師匠は「結構遅い時間だった。午後9時ぐらいかな。だいぶ迷ったんじゃないかな」と鶴竜の心中を思いやった。
持病の腰痛で関取衆との稽古はほとんどできないまま。
調整のルーティンだった出稽古もコロナ禍でままならない。
その状況は今後もしばらく続きそうだが、11月場所後の横綱審議委員会では史上初の「注意」を決議されている。
3月に予定されている春場所は「休場」という退路を断って臨む覚悟でいる。
師匠も「期待はしています。本人しか分からないからどうこう言えないんだけど、もう次はないよということで本人も来場所、引退かけて1日でも早く稽古出来る体を作って頑張りますっていうこと」。
次は正真正銘の進退場所となる。
小結御嶽海が初場所に向けて、都内の部屋で基礎運動などで調整した。
電話取材に応じ「目標は2桁。8勝じゃ物足りない。2桁を狙っていきます」と宣言。
昨年12月に28歳になり「ぐずぐずしていられない歳になった。優勝して大関に上がりたい」と大関昇進を見据えた。
角界でも新型コロナの渦が拡大しているが「自分のことだけを考えていく」と動揺はなかった。
日本相撲協会は8日、都内で臨時理事会を開き、1日あたりの観客数の上限を5000人として初場所を開催することを決めた。
当初は両国国技館の収容人数の約1万600人の半分にあたる、約5300人を上限としていた。
しかし、緊急事態宣言を受けて5000人に変更。
また、会場内でのちゃんこ販売の中止、グッズの売店を分散させるなどの感染防止対策を決めた。
電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦にする」と話した。
7日に急きょ、実施を決めた協会員約900人へのPCR検査の結果は、まだ判明していない。
芝田山広報部長によると、この日中には判明する見込み。
年末から年明けにかけて新型コロナウイルスの集団感染が発生した荒汐部屋や、感染した横綱白鵬が所属する宮城野部屋の力士らの出場は、9日にあらためて判断するという。
「協会全体の状況を把握しないことには進んでいかない。感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と検査結果を確認し、初場所初日前日の9日に取組編成会議を開くとした。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所の開催を正式決定した。
「『緊急事態宣言』ならびに『東京都の緊急事態処置』と、協会の新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づき、お客さまの健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じた上で安心安全な大相撲観戦とする」と発表した。
理事会では政府指針に沿い、観客上限5300人を15日間、5000人を上限に変更することを改めて説明された。
収容人数以外では協会員の外出、買い出しなど細かいルール。
お客さんの館内で利用する飲食スペースも席数を減らすこと。
ちゃんこの販売は中止することも決まった。
グッズの売店も分散させる。
職員のテレワークなども話し合われた。
会議後に広報部の芝田山部長(元横綱大乃国)が電話対応。
「テレワークに関しては場所中は困難ですけど、場所後はテレワークにも対応」と説明した。
昨年の12月中旬から立浪部屋、荒汐部屋、宮城野部屋の白鵬が感染した状況も報告された。
全協会員に対するPCR検査もこの日、行われ、初日前日の9日までには約900人の検査結果がまとまる見通しだ。
「昨日からみなさんにお伝えしている通り。結果が出て、それからどういう対応をするかというのは感染症の先生方と執行部で話し合って、対応を決めて取組編成に入る」と同部長は話した。
9日は土俵祭りの後、検査結果を待って、初日、2日目の取組を決める取組編成会議が行われる。
通常は初日の2日前に行う取組編成会議を初日前日に行うのは異例の事態だ。
「明日(9日)の夕方までにはちゃんと取組は決まると思いますけど」と同部長が見通しを示した。
白鵬、荒汐部屋の感染した全10人の力士は全休が確実ながら、白鵬以外、陰性だった宮城野部屋の力士の出場可否はまだ決まっていない。
同部長は「それも含めて専門家の話を聞いてからか今個別ではなくて、総まとめにしてやらなければいけないので。そういう話をまだ持つ段階ではないと。結果が出ないことには。宮城野部屋は陰性と出ていますが、それも含めて全部協会全体の状況を把握しないことには進んでいかないということ」と、手順を踏むことを強調した。
日本相撲協会は、8日、臨時の理事会を開き10日に初日を迎える初場所について、緊急事態措置に基づき要請されたイベントの開催にあたっての人数の上限、5000人以下を守って予定どおり開催することを決めました。
日本相撲協会は、10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れて開催する準備を進めてきました。
相撲協会は8日午後、臨時の理事会を開き、緊急事態宣言下で初場所を開催するかどうか協議した結果、政府の緊急事態宣言と、イベント開催の人数の上限を5000人以下とするなどとした都の緊急事態措置の要請に沿って予定どおり開催することを決めました。
相撲協会では、感染防止対策として観客席での飲食を避けるために飲食スペースを設けていますが、対策を徹底しようとスペースに入れる人数を制限するほか、予定していた「ちゃんこ」の販売を中止するということです。
相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出されたことに対して相撲協会は政府などの要請に対応していますよということだ」と話しました。
また今月に入って感染者が出た部屋に所属するほかの力士の出場については、協会員全員を対象に実施しているPCR検査の結果を待って、場所前日の9日に判断するとしています。
芝田山広報部長は「どこが出場できるのかできないのかは、分けないとならないが、協会全体の状況を把握しないことには進まない。感染症の先生方と話し合って、対応を決めていく」と説明しました。
日本相撲協会は8日、臨時理事会を開き、大相撲初場所を予定通り10日から開催することを決定しました。
協会は前日に、全協会員およそ900人のPCR検査を実施。
9日までに結果が出る見通しです。
芝田山広報部長は電話取材で、「お客様の健康と安全を確保するため、これまで以上の感染防止策を講じたうえで安心安全な大相撲観戦とする所存です」と語りました。
日本相撲協会は8日、東京都墨田区の両国国技館で臨時理事会を開き、大相撲初場所(10日初日・国技館)について、徹底した新型コロナウイルス感染防止策を講じて開催することを確認した。
力士、親方ら約900人にPCR検査を実施。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は今後、結果を受けて力士らの出場可否などを感染症の専門家と協議するとし「どこが出場できるのか、できないのかを分けていかないと。全体の状況を把握しないことには進んでいかない」と話した。
検査の判定を待つ必要があるため、通常は初日の2日前に開かれる取組編成会議を9日に実施することになった。
NHK厚生文化事業団は8日、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を踏まえ、毎年2月に東京・両国国技館で開催しているNHK福祉大相撲を今年は中止すると発表した。
福祉大相撲では幕内取組や力士と女性歌手らによる歌比べが行われ、純益などで福祉施設に福祉車両を寄贈してきた。
2021/01/08
大相撲の陸奥親方(元大関霧島)が7日に電話取材に応じ、3場所連続休場している弟子の横綱鶴竜(35)=陸奥=が初場所に出場する意向であることを明かした。
鶴竜は取材に応じなかった。
鶴竜と出場に関して話をしたのは「だいぶ前だけど」とし、「最初やるって言って、それ以来何も聞いてないよ。今場所やる。出るっていうことで」。
出場することで親方と鶴竜の考えが一致しているかと再度問われたが「私はそう思ってますけど」と語った。
ただ、「明日一応、霧馬山もそうだけど、若い衆もけがをしているのもいるので、聞きます」と8日に鶴竜本人と話をして最終確認する。
鶴竜は合同稽古にも参加したが、関取衆との申し合いは回避。
年末には霧馬山と稽古したが、霧馬山が膝を痛めており年が明けてからは申し合いができない状態。
ほとんどぶっつけ本番で進退をかける場所に挑むことになる。
「白星がなんと言っても薬になると思う。勝っていけば調子も出てくるだろうし。まあ体はそんなに落ちてないし、気持ちだけだと思うんですけどね」と期待を寄せる一方で、「自分の格好になって力が出ないような形になると、本人が自分でもう無理かなと思っちゃうと思うので。その辺は本人しか分からないと思いますよ」と話した。
大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
11月場所で、稀勢の里以来となる大関として22場所ぶりの優勝を果たし、自身2度目の賜杯を抱いた貴景勝が初の綱とりに挑む。
綱とりの壁となるはずだった横綱白鵬は新型コロナウイルスに感染し、出場は厳しい状況となったが、出場すれば進退を懸けて土俵に立つことになる横綱鶴竜、ともに初のかど番で尻に火が付いている正代、
朝乃山の2大関、先場所の本割で敗れた照ノ富士など、越えなければならない障壁は多い。それでも貴景勝は「本当にいつも通り」と泰然とした口ぶりだ。
基礎鍛錬重ね、11月場所で結実
新型コロナウイルスに大きく左右された昨年を「見つめ直せた1年だった」と貴景勝は振り返る。
3月は無観客開催となり、5月場所は中止。
相撲を取る稽古ができない時期もあったが、「それが自分にとっていい気づきになった。基礎運動を増やしたことが大きい。応用よりもまずは当たる強さを磨こう、と根本的な意識が変わった」という。
出稽古禁止や番付発表前の合同稽古などイレギュラーな調整が続く中、こつこつと四股やすり足、スクワットで下半身を重点的に鍛えてきた成果が11月場所で結実した。
基礎鍛錬が中心になったとはいえ、実戦も十分に積んできた。
先場所前に続き2度目の開催となった12月の合同稽古には3日間参加。
朝乃山との三番稽古に加え、白鵬に胸を借りた。
「肌で感じるものが多く、得られたものがたくさんあった」と充実感を漂わせている。
立ちはだかるかど番の2大関
綱とりの難敵となるのが、ともに先場所を途中休場し、今場所がかど番の2大関だ。
昨年の対戦成績は朝乃山に1勝2敗、正代には3連敗と分が悪い。
朝乃山は「先輩大関に向かっていくだけ」。
正代も「(相手が)綱とりだろうと負けたくない気持ちは変わらない」。
かど番ということも相まって、いつも以上に闘志むき出しでぶつかってくるだろう。
2場所連続で全休中の鶴竜は先場所後に横綱審議委員会から「注意」の決議が出されたこともあり、次に本場所に出る時は並々ならぬ思いでの出場となる。
腰の故障もあって、先月末にようやく同部屋の霧馬山と相撲を取る稽古を始めた。
コンディションこそ十分とは言えないものの、出場となれば相当の覚悟で来るはずで、一筋縄ではいかないだろう。
周囲の注目とは裏腹に、本人には力みがない。
「プロに入った時からいい成績を残したいと思って毎場所臨んできた。(初場所は)大事な場所だけれど、何かを変える必要はない」。
突き押し一本で横綱になるのは難しいともいわれるが、「だからこそ目指す価値がある。無理と言われているからやりがいがある」と意に介さない。
「優勝するためには集中し切って自分の相撲を取るしかない」。
欲を出さず、培ってきた押し相撲に徹するのみ。24歳の若武者はやるべきことをわきまえている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を打ち上げた。
幕下力士と相撲を取って立ち合いや出足を確認。
体の状態は「問題なく相撲は取れる。何とかここまで来れたかなあ〜というところ」と自己評価した。
2日から6日まで幕内豊山(27)と相撲を取るなど精力的に汗を流し、昨年11月場所で負傷した左足首も回復。
ただし「ぶつかり(稽古で胸)を出したり、最初から(後ろに)下がる前提でやるのは大丈夫なんですけど、ふいに押されたときにどうなるか。ちょっと心配はあります」と付け加える。
また、初優勝を決めた昨年9月の秋場所は「挑戦している側だったので、あんまり変に考えることもなかった」と振り返るが、カド番で迎える初場所は「今まで以上に厳しい場所になると思う」と精神的負担も大きくなりそうだ。
同じくカド番の朝乃山(26=高砂)、綱取り初挑戦の貴景勝(24=常盤山)と2大関にとっても大事な本場所となる。
それでも正代は「自分のことだけ考えて、カド番を脱出することに集中できたら」と自然体で臨む。
大相撲史に残るであろう復活劇は新年も続くか。
元大関の照ノ富士は両膝負傷や内臓疾患で転落した序二段からはい上がり、初場所(10日初日・両国国技館)を18場所ぶりの関脇で迎える。
20代最後の年に、くっきりと視界に入る「大関復帰」の4文字。
「いい締めをして30代に入りたい」と意欲も十分だ。
昨年、再十両を果たした初場所を優勝で飾ると、幕内に返り咲いた7月場所で5年ぶりに賜杯を抱いた。
「(現役を)続けてきて良かった。いろんなことがあったけど、笑える日が来ると信じてやってきた」とインタビューで実感を込め、見る者の心を打った。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
1年前はまだ十両2場所目。
そこから負け越し知らずで東前頭3枚目まで出世した琴勝峰は、自らの歩みを「番付が止まることなく、上がり続けたことはよかった」と実感を込めて振り返る。
昨年11月場所は11日目に初めて結びで取り、埼玉栄高の先輩に当たる貴景勝に初挑戦。
さすがに「まだ余裕がなかったというか、いっぱいいっぱいになった」そうだが、小細工せずに真っすぐ大関に当たり、圧力負けしなかった。
最後は突き落とされての黒星にも、「すごくいい経験になった」と前向きに捉える。
191センチ、156キロの恵まれた体格を生かし、右四つでも、突き押しでも取れる器用さを併せ持った幕内最年少の21歳。
元横綱朝青龍のおいで東前頭14枚目の豊昇龍、元横綱大鵬の孫で新十両の王鵬と同じ1999年度生まれ。
華やかな世代をリードしている。
もっとも、本人は浮かれるそぶりを見せず、「引っ張るとか、そういう意識はなく、競争という意識。いずれは同じようなところでやると思っている。自分は自分でどんどん上を目指していく」という心構えもいい。
白鵬、鶴竜の両横綱の休場が相次ぐ中、将来の看板力士候補としての大きな期待も背負う。
「もっともっと上に行きたいし、強くなりたい。限界を決めず、行けるところまで行きたい」。
それに応える意欲に満ちている。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内徳勝龍(34=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、立ち合いの確認などで調整。
3日後に迫った本場所へ「(仕上がりは)順調というか、いつも通りだと思います」と手応えを口にした。
先場所後の稽古では部屋の関取衆と相撲を取って体を仕上げてきた。
ただし、新型コロナウイルス禍は油断できず「体調を崩さないように気を付けてやっていました。予防はしっかりするしかないですからね」と気を引き締めている。
昨年初場所の優勝から1年。
「なんか、あっという間に1年って感じですね。早かったですね。お客さんの声援を思い出します」と当時を懐かしむ徳勝龍は初場所へ「まずはケガなく15日間しっかりやりきることだと思います」と気合十分だった。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた7日、幕内志摩ノ海(31=木瀬)が電話取材に応じた。
この日は東京・墨田区の部屋で自主トレーニングを行い、四股やすり足など基礎運動で汗を流した。
ここまで納得の調整ができているようで「稽古はしっかりできているし、自分なりに先場所のいい感覚をしっかりつかみながら稽古できていると思います」と語った。
昨年11月場所は幕尻力士としてV争いに加わり11勝4敗。終盤3連敗と失速したものの、大きな注目を浴びた。
初場所でリベンジを狙っているかと思いきや、本人は「全然ないっす。波がある相撲取りなので。型にハマればいいんですが、ハマらなければ負けが続くこともある。優勝が近いとか考えてない」と自然体を貫く。
今年32歳を迎える志摩ノ海は「遅咲き三役を目指して頑張りたい」と意気込んだ。
角界屈指の業師に慢心はない。東十両10枚目の宇良(28=木瀬)が自主練習となった7日の朝稽古後、報道陣の電話取材に応じた。
何度も口にしたのは「不安」の2文字。
慎重を期して、関取復帰2場所目となる3日後に迫った大相撲初場所(1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む。
ここまでの仕上がりは「良くないんじゃないですか」、不満があるかについては「ちょっと不安しかない」、それは膝か? の問い掛けには「全部です」、先場所は9勝を挙げたが「不安は変わらない」、自信より不安? の声には「不安しかない」、幕内を目指す気持ちは「視野に入ってはいない」−。3年半前には前頭4枚目まで番付を上げたが、膝の負傷で休場が続き三段目まで番付を落とした。
同じ轍(てつ)は踏むまいという、宇良流の思いが「不安」の2文字や、いっけんネガティブにとらえられがちな言葉に表れた。
ただ、周囲は心配する必要はなさそうだ。
ここまで、部屋の関取衆との稽古はもちろん、相撲を取る稽古もしていないが、それはいつものペースだという。
16場所ぶりの関取復帰となった先場所、宇良の代名詞ともいえる反り技の「居反り」も繰り出し、後ろもたれという珍手でも白星を挙げた。
「(技を)見せる相撲を取りたいという気持ちはないけど、来るべき時が来たら出す感じですね」と話すように、相撲の感性は体が覚えているということだろう。
不安なコロナ禍は「このご時世、いつどこでかかるか分からない。誰が悪いとか、そういうことではないと思う」と、こればかりは希代の業師でもコントロールできない。
そんな気の抜けない中でも、年末年始のつかの間の休息は、時間があるときは自己啓発本を読み、「砂糖しょうゆがいちばん好き」という切り餅をほおばりながら過ごした。
「膝の安定感を増していくこと。ほとんど今は、そればかりに集中してやっています」。
現状の課題もしっかり見据えながら、戦いの場に身を委ねる。
日本相撲協会は1都3県に緊急事態宣言が出されたことを受けて、今月10日からの初場所の観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
日本相撲協会は、今月10日に東京・両国の国技館で初日を迎える初場所について新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日、夕方で入場券の販売を取りやめた一方、観客を入れての開催を前提に準備を進めています。
政府は1都3県を対象に「緊急事態宣言」を出し、対象地域に講じるとしている措置で、イベントの開催要件については人数の上限を収容人数の半分か、5000人の少ないほうとするなどとしています。
これについて相撲協会の芝田山広報部長は「初場所は開催する方向で行くが、足を運んでいただけるお客様への安心・安全という部分を含めて、感染予防をしていこうということだ。人数は大丈夫だ。5000人は守る」と話し、観客の上限を5000人として開催する準備を進めていく方針を示しました。
角界も緊急事態≠セ。
大相撲初場所(10日初日、東京両国国技館)が目前に迫る中、日本相撲協会は親方や力士ら約900人の全協会員を対象に新型コロナウイルスのPCR検査を緊急実施することを決定した。
角界では横綱白鵬(53=宮城野)が感染して衝撃が走ったばかり。
全員検査の結果次第では大混乱が生じる可能性もあるだけに、これまでにない緊張感に包まれている。
相撲協会は7日に各部屋へ検査キットを配布。
8日に回収して、その日のうちに検査を行う。
取組編成会議は検査結果が出てから開くため、通常の初日2日前(8日)から前日(9日)へ変更される異例の事態となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「お客さまの安心安全を一番に頭に置いて、検査を決めた。信頼性を高めていくということ」と説明した。
角界内は昨年末からコロナ禍への対応に追われている。
荒汐部屋では幕内力士を含む12人の集団感染が発生。
湊部屋でも行司1人に陽性反応が出た。
そして、ついに横綱白鵬までもが感染し、大きな衝撃が走った。
こうした中で政府は首都圏の1都3県に緊急事態宣言を再発令。
力士らの健康を守るだけでなく、観客の不安を払拭するために緊急検査に踏み切った。
ただ、親方、力士、行司、呼出、床山ら全協会員の人数は約900人にも上る(検査実施済みの一部の部屋は除く)。
感染症に詳しい医療関係者は「PCR検査を実施すれば、1%は陽性反応を示す」と指摘した。
データ通りなら感染者ゼロは考えにくく、最低でも10人前後は陽性反応を示す計算になる。
集団生活を送る相撲部屋であれば、さらに人数が膨れ上がっても何ら不思議ではない。
しかも、全員の検査結果が判明するのは、初日を翌日に控えた9日になる見込み。
仮に大人数の陽性者が出た場合には、取組編成などをめぐって大混乱が生じる可能性もある。
芝田山部長は「万が一、検査で陽性者が出た場合は感染症専門の先生の話を聞きながら、どうするかを一つひとつ決めていく。なるようにしかならない。あとはどういうふうに対処するか」と話しているが…。
いずれにせよ、慌ただしい中での出たとこ勝負≠ニなる印象は否めない。
果たして、新年最初の場所は無事に初日を迎えられるのか。
今はただ、感染者が最小限にとどまることを願うばかりだ。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は6日、横綱白鵬の新型コロナウイルス感染を受けてPCR検査を行った宮城野部屋の力士ら関係者が、いずれも陰性だったと明らかにした。
同部屋の力士が初場所(10日初日)に出場できるかどうかは未定で、芝田山部長は「濃厚接触者に当たる可能性もある。ちょっと分からない」と話した。
2021/01/06
初場所で3場所連続休場からの再起を目指していた横綱白鵬(35)=宮城野=が5日、新型コロナウイルスに感染したと日本相撲協会が発表した。
3日に嗅覚の異常を感じ、4日にPCR検査を受け5日朝に陽性が判明した。
三役以上の感染は白鵬が初めて。
芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「病院に入院しました。特に高熱が出ているとか、そういう話は何も聞いてない」と状況を説明したが、出場に関しては「それはもう難しい。それはないと思います」。
初日まであと5日。
昨年末の合同稽古から好調ぶりを猛アピールし、ここまで順調にきていたが休場が決定的となった。
相撲協会は先月25日以降は原則外出禁止にして感染予防を徹底。
それでも感染を防ぎ切れなかった。
芝田山広報部長はあらためて各部屋に注意喚起を通達した。
白鵬は年明けに部屋で稽古。
内部での感染拡大も懸念される。
芝田山広報部長は「ほかには誰も症状を訴える者は出ていない」としたが、師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)、十両の石浦、炎鵬を含む関係者全員がこの日、PCR検査を受診した。
荒汐部屋では年末年始に幕内の若隆景ら計12人が感染。
初場所出場の見通しは立っていない。
宮城野部屋の所属力士に関しても「検査の結果にもよる。検査して誰もがみんな陰性であったなら専門家の先生の話を聞かないと。自分の方からは厳しいとは言えない」と検査結果を待って可否を判断する。
横綱鶴竜(35)=陸奥=が5日の稽古後に代表取材に応じ、白鵬がコロナに感染したことを受け「とにかく気をつけてやらないと。一層というか、しっかり結果を残さないといけないと思ってます」と話した。
この日は若い力士に胸を出して終了。
「いつもと比べて満足いく形ではないかもしれないですけど、体の状態はよくなってきているのはいいことかな」。
7日の稽古後に出場可否を判断する。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、大関正代(29=時津風)が東京・墨田区の部屋で稽古を行った。
幕内豊山(27)と3日連続で取り「体はよく動いていると思いますけど、もうちょっと動けるようにしたい」と語った。
11月場所で負傷した左足首にはまだテーピングを巻いているが「最初に比べるとだいぶ薄くなった」ようで、初場所では「できれば外せたらなと」と完全復活≠目指している。
すでに「前に出る分には怖いことはない」と恐怖心を克服しつつあるが「ちょっと左足が残ったりすると、ちょっと変な感じはします」と言う。
初のカド番に向けて「もうそろそろ緊張してくるんじゃないかなと思うので、そこらへんもしっかり備えていけたら」と話す大関。
体の仕上がりは「(100%のうち)60とか70くらい。ここからもうちょっと詰めていって100に」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた4日、「昭和の大横綱」大鵬の孫で新十両の王鵬(20=大嶽)が東京・江東区の部屋で稽古を行った。
約40番取って「ケガも体調を崩すこともなく、調子よくできている」と手応えを口にした。
新年は3日が稽古始めで、この日から本格的に再開。
そんな王鵬は新十両として初めて15日間、土俵に上がるため、体力面を課題に挙げている。
「スタミナ面が怖いところがある。最初、初めて付き人についたとき15日行くだけできつかった。それが相撲を取ると考えると…」
対策として食事はもちろん、睡眠を意識するようになったという。
昼寝は「今のところだと1時間くらいがベストなんですよね」と明かし、夜も「11時には寝るようにしています。(起床時間は朝が)弱いんでバラバラになっちゃうんですけど、しっかり8時間くらいは寝られるように」と関取リズム≠確立しつつある。
また、年末年始は特番が多かったが「録画してちょっとずつ見てます」と工夫しているようだ。
新十両会見後と先月24日には祖父の墓前で手を合わせ「今年はありがとう、来年もよろしくお願いします」と報告した王鵬。
初場所に向けては「15日間、自分らしい『王鵬、いい相撲取るな』と思われる相撲を取っていきたいですね」と力を込めた。
日本相撲協会は4日、湊部屋に所属する行司1人(木村元基=52)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
協会によれば、この日に発熱とせきの症状があり、PCR検査で陽性が判明。陽性判明後は居住地の保健所から本人に連絡があり、状況のヒアリングが行われたという。
行動記録から同部屋の全員が濃厚接触者とは認定されなかったが、5日にPCR検査を実施し、今後は保健所の指示に基づいて家族など濃厚接触者の検査や当人の加療などの対応を行う予定。
同部屋では湊親方(52=元幕内湊富士)が先月14日に新型コロナ感染が確認され、同24日に退院していた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を前に、角界が激震に見舞われた。
日本相撲協会は横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表。
3場所連続で休場中の大横綱は、初場所の出場も絶望的となった。
力士に陽性者が相次ぐ中でも白鵬の感染は衝撃的に受け止められており、協会内では最悪の事態≠ワでささやかれ始めている。
ついに、大横綱までもがコロナ禍の直撃を受けた。
白鵬は3日に嗅覚異常の症状があったため、4日に都内の病院でPCR検査を受検。
5日朝に陽性であることが判明した。
宮城野部屋の所属力士ら関係者全員もPCR検査を受けた。
白鵬以外の力士にも陽性反応が出た場合には、所属力士全員が出場できなくなる可能性もある。
白鵬は右ヒザの故障の影響で先場所の11月場所を全休。昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会からは横綱鶴竜(35=陸奥)とともに「注意」の決議を受けた。
再起を目指す大横綱は12月に国技館で行われた合同稽古に参加。
綱取りに初挑戦する大関貴景勝(24=常盤山)らと精力的に稽古をこなすなど、復帰への意欲を見せていた。
しかし、本番直前の時期になってコロナ感染が判明。
軽症で済んだとしても、隔離期間などを考慮すれば事実上、出場は絶望的な状況となった。
芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は「(白鵬は)病院に入院した。特に高熱が出ているという話は聞いていない。(初場所出場は)もう難しい。それはないと思う」と断言した。
角界では年明けに荒汐部屋で幕内若隆景(26)ら計12人の集団感染が発生したばかり。
そして、今度は第一人者までもが不在となる異常事態となった。
協会内でも「白鵬感染」の一報は衝撃的に受け止められている。
角界関係者からは「まさか横綱まで感染するとは…。もう誰が感染していてもおかしくない。場所中に集団感染が起きれば、15日間を乗り切れなくなる」と打ち切り≠フ可能性もささやかれ始めた。
昨年9月の秋場所前には玉ノ井部屋で力士24人が集団感染。
この時は所属力士28人全員を休場させることで封じ込めることができた。
しかし、初場所開催中にクラスターが発生すれば、感染の連鎖を完全に断ち切ることは困難。
本場所そのものが立ち行かなくなる可能性もある。
果たして、初場所は無事に千秋楽を迎えることができるのか。
新年最初の場所で、いきなり暗雲が漂い始めた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所について、6日の夕方で入場券の販売を取りやめるものの引き続き、観客を入れて開催する方針を明らかにしました。
日本相撲協会は今月10日に初日を迎える初場所の入場券について、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6日午後5時の時点で販売を取りやめると発表しました。
6日午後5時まではインターネットで購入できますが、それ以降は入場券の在庫があっても購入できず、場所中の当日券の販売も行われないということです。
これについて日本相撲協会の芝田山広報部長は「緊急事態宣言が出る手前で柔軟に対応する。その反面、あすまで売るというのは、何かないかぎりは通常開催をしますよという意味もある」と説明し、引き続き、観客を入れての開催を前提に準備を進めていく方針を明らかにしました。
角界に激震が走った。
日本相撲協会は5日、横綱白鵬(35=宮城野)が新型コロナウイルスに感染したことを発表した。
入院措置となり、初場所(10日初日、東京・両国国技館)出場は絶望的な状況。
三役以上では初の感染となった。
菅義偉首相は1都3県を対象とした緊急事態宣言の再発令について、7日に決定する方針を表明。
観客の上限を約5000人として開催を目指す初場所に向けて、危機感が高まりそうだ。
初場所は、両国国技館の収容人数の半分にあたる約5000人の観客を上限とした通常開催を目指している。
有観客開催が再開した昨年7月場所から観客間でのクラスターは確認されず、芝田山広報部長は「飲食スペースはちゃんと区切っているし。ソーシャルディスタンスをしっかりと協会は取っている」と強調した。
一方で政府の方針によっては、必要に応じて臨時理事会を開き対応を協議する構え。
新型コロナウイルスの感染が拡大する首都圏で、緊急事態宣言の再発令が検討に入るなか、大相撲初場所(両国国技館)は10日に初日を迎える。
日本相撲協会はあくまで通常開催を目指す構えだ。
協会は4日、執行部の定例会議を開催。今週末に迫る初場所について、芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「今のところは通常開催と考えています。方針が出された場合は、それに向けて対応を考えていく」と話した。
前回の緊急事態宣言が出た5月場所は中止にしたが、芝田山部長は「5月は何が感染を強めているのか分からなかった。状況を調べていくと、飲食メインということになっている。イベント関係からクラスターが出たことは1度もない」とキッパリ。
収容人員の半分となる約5000人を上限に、観客も入れて開催する方向で進めている。
昨年末の年寄総会で、2020年度の収支決算が約55億円の大幅赤字になる見込みと報告されたばかり。
中止となれば、1場所5億円とみられるNHKの放送権料が入ってこないため、最悪でも無観客で強行する構えを崩していない。
一方で年明け早々から、角界に押し寄せるウイルス禍の存在感は強まるばかりだ。
協会はこの日、発熱とせきの症状があった幕内格行司の木村元基(52)が、PCR検査で陽性と判明したと発表。
所属する湊部屋の力士らは濃厚接触者と認定されなかったが、5日に協会が検査を実施する。
去る1日には荒汐部屋所属の力士全10人、荒汐親方(元幕内蒼国来)、床山1人の集団感染が発表された。
この日になって西前頭2枚目の若隆景が退院も、「出場するには日数が足りない」(芝田山部長)といい、全力士が休場になりそうだ。
それでも、場所前だったのは不幸中の幸いか。
もし感染した力士が国技館に入り相撲を取っていたら、他の部屋にも感染が広がり大クラスターが発生する可能性が高い。
緊急事態宣言が出されても劇場や映画館は対象外とされているが、接触競技の大相撲が同じと判断してよいものか。
強行開催は危険な賭けとなりそうだ。
2021/01/04
土俵上の注目とは別に、角界に波乱を巻き起こしそうなのが2人の横綱、白鵬(35)と鶴竜(35)だ。
いずれも近年は休場が多くなり、11月場所後に横綱審議委員会から「引退勧告」の次に重い「注意」の決議を受けた。
1月場所も休むようなら、それこそどうなるか。
ケガがちの横綱2人だが、ここにきて「休場」という選択肢を断たれたに等しい。
親方のひとりは「まず、問題は鶴竜です」と、こう続ける。
■日本国籍取得
「腰椎のすべり症で、腰に力が入らない。12月の合同稽古にも参加したが、結局、相撲は取らずじまいだった。鶴竜は引退後は親方になる目標があり、現在は消滅した井筒部屋の再興が夢。これまでは親方になるための資格のひとつ、日本国籍を取得できていなかったから、ずるずると休場して引退を引き延ばしていた。その懸念も、12月に帰化したことで雲散霧消。初場所序盤で引退、あるいは本場所直前に『やはり相撲はもう取れません』と引退するのではないか、と角界ではウワサされている。それほど腰の状態は良くないということです」
一方、まだまだ引退するつもりのない白鵬。
本人が目標としていた「東京五輪での土俵入り」は、五輪そのものの開催が危ぶまれているものの、まだ中止が決定したわけではない。
開催するかもしれない以上、夏の東京五輪まで現役を続けたいはずだ。
■開き直り休場
ただ、こちらも休場癖があるのは変わらず。
序盤で星を落とすなど、優勝の可能性が遠のくや、ケガを理由にケツをまくってしまう。
近年はその傾向が顕著で、2017年からの23場所中、「優勝せずに本場所を完走」したのは、たったの3場所。
半分以上の13場所を休場した。
「白鵬は横審をナメているからね。以前、苦言を呈されたときも、『出場したときは結果を残しているのに』と、ブーブー文句を言っていた。
実際、今の横審は弱腰もいいところ。
1月場所も状態次第ではさっさと休場し、『さあ、引退勧告でも何でもしてみろ。どうせできないだろ?』と、開き直るかもしれない。実際、横審にその度胸はないだろうからね」
土俵上より、横綱2人の去就や言動に注目だ。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で進退がかかる横綱鶴竜(35=陸奥)が3日、東京・墨田区の部屋で新年の初稽古を行った。
11月場所は持病の腰痛のため全休。
昨年5場所(5月の夏場所は中止)のうち4場所で休場し、横綱審議委員会から「注意」を決議された。
この日は基礎運動などで軽めの調整。
12月24日の番付発表後は幕内霧馬山(24)と相撲を取る稽古を再開しているものの、初場所の出場については「(腰の状態は)せっかくいい感じに持ってきているので、無理せずにやっていく。(本番まで)まだ何日かあるので。稽古ができて体の調子がもっと上がってくれば、そこで判断できるんじゃないかと思います」と慎重な姿勢を見せた。
新年を迎えて「(昨年は)本当にひどい年だった。(今年は)いい年にしたいなという気持ちは持っています。新たな年が始まるわけですからね」と話したが…。
果たして、どうなるか。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)で初の綱取りに挑む大関貴景勝(24=常盤山)が3日、東京・台東区の部屋で稽古始めを行った。
この日は基礎運動やぶつかり稽古などで調整。
初稽古を終えた貴景勝は「体の感触? いいと思います。新しい年になって、また気を引き締めて、また一年間頑張っていきたいという思いです」と気持ちを新たにした。
年末年始は休まず体を動かす一方、大みそかはボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチをテレビ観戦。
4階級王者の井岡一翔(31=Ambition)が3階級王者の挑戦者、田中恒成(25=畑中)を8回TKOで退けた一戦に「日本人対決だし、面白かった。レベルの高い戦い。ボクシングファンとして見て、感情を震わせるものがあった。自分も相撲で人の感情を動かせるような相撲を取りたい」と刺激を受けた様子だった。
本番まで、あと1週間。
番付の頂点への挑戦を前に「あとは実戦あるのみ。体はもうできているので。相撲勘とか相撲の流れとかを磨いてやっていきたいと思います」と気持ちを引き締めた。
大相撲初場所(10日初日・両国国技館)をかど番で迎える大関正代が2日、東京都墨田区の時津風部屋で稽古始めを行い、平幕豊山と10番取った。
昨年の初場所では13勝して飛躍のきっかけとなった。
「出だしが重要。初場所に好成績を残して、その勢いで今年もいけたらいい」と意欲を語った。
関取と胸を合わせるのは昨年の11月場所で左足首を負傷し途中休場してから初めて。
8勝2敗だったそうで「そんなに問題なく踏み込めていると思う。下がったらちょっと恐怖感がある。そこを稽古でもうちょっと慣れさせていけたらいい」と初日まで約1週間の鍵を挙げた。
大相撲初場所(10日初日、東京・両国国技館)を控えた3日、大関朝乃山(26=高砂)が東京・墨田区の部屋で稽古始めを行った。
この日は部屋の幕下力士と相撲を20番取るなどして汗を流した。
年末年始も稽古場に降りて四股やすり足などで調整。
新年を迎えて「大関の一個上の番付(横綱)を目指したいし、大関で優勝しないとその話は出てこない。そこが一番だと思う」と決意を語った。
大みそかは部屋で格闘技イベント「RIZIN.26」を観戦。
元十両貴ノ富士のスダリオ剛(23)がミノワマン(44)にKO勝ちした一戦や、堀口恭司(30)がRIZINバンタム級王者の朝倉海(27)を破り王座を奪還したメインなどに熱視線を送った。
朝乃山は「スダリオさんがミノワマンさんを(カーフ)キックで4発蹴って、ダウンして、そのまま立ち上がれなくなった。すごかった。スダリオさんもそうですし、朝倉兄弟(海)と堀口さんとの試合を見て興奮したので。自分も頑張ろうという気持ちになりましたね」と刺激を受けた様子だった。
昨年11月場所で負傷した右肩は順調に回復。
初のカド番で臨む初場所へ向けて「カド番を気にしてたら、上を目指せない。出場するからには、勝ち越しじゃなくて、優勝目指して頑張りたいです」と意気込んだ。
小結高安は2日、東京都江戸川区の田子ノ浦部屋で今年の稽古を始め、部屋付きの荒磯親方(元横綱稀勢の里)と25番ほど取った。
相撲教習所で昨年12月に行われた合同稽古の後も番数を重ねており、報道陣の電話取材に「こつこつと体をつくってきた。きょうもいい稽古ができた」と充実感をにじませた。
2月には、妻で演歌歌手の杜このみさんとの間に第1子が誕生予定。
初場所(10日初日)に向け、元大関は「いい結果を出して、気持ちのいいスタートを切りたい」と初優勝を目標に掲げた。
日本相撲協会は、幕内の若隆景が新型コロナウイルスに感染したと発表しました。
日本相撲協会によりますと荒汐部屋に所属する前頭2枚目の若隆景は、38度以上の発熱とのどの痛みがあり、31日朝、医療機関を受診したところ新型コロナウイルスの感染が確認され現在は保健所の指示に従って隔離されているということです。
今後、同じ部屋の師匠や力士などがPCR検査を受けるということです。
また相撲協会は、すべての部屋で出稽古が禁止されていることから、ほかの部屋の力士との接触はなかったとしています。
日本相撲協会の芝田山広報部長は来月10日に初日を迎える初場所まで2週間を切る中での感染を受けて「本場所がどうなるか、今のところは何とも言えない。ほかの部屋との接触はしていないから部屋の中で感染をおさえることができると思う」と話しています。
大相撲初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)に臨む琴恵光(29=佐渡ヶ嶽)が千葉・松戸市内の部屋で琴勝峰(21)、琴ノ若(23)と申し合い稽古し「トレーニングも稽古もしっかりできている」と順調に調整できているという。
課題となる立ち合いでは相手を押し込める圧力を意識しており、11月に現役を引退したばかりの秀ノ山親方(元大関琴奨菊)から助言を受けているという。
「いろいろなアドバイスをいただけるので自分に合うところを見つけていっている」と、さらなる進化を目指している。
来年の目標を「三役」に定め「自分の相撲が取り切れれば、しっかり結果が出ることもわかったし、それを15日間取り切るっていうのが重要になってくる」と語った。
大相撲の炎鵬(26)=金沢市出身、宮城野部屋、金沢学院大OB=が3日までに北國新聞社のインタビューに応じ、入門5年目の2021年は「起死回生」を信条に闘う決意を示した。
10場所ぶりに十両で迎える初場所(10日初日、両国国技館)に向け「一場所で幕内復帰を果たし、故郷に元気を与えられるように頑張りたい」と宣言した。
「心を込めて書かないと、思いが通じないですから」。
炎鵬はそう言うと、着物の袖をたくし上げ、真剣な表情で筆を走らせた。
書き初めの言葉もじっくり考えた。
困難を乗り越えて初めて立派な人間に成長するという意味の「艱難汝(かんなんなんじ)を玉(たま)にす」と「起死回生」の二つを候補に挙げ、後者を選んだ。
「2020年はなかなか自分の相撲ができず、一番悔しい1年になりました。十両に落ちたこともあり、起死回生の言葉がふさわしいと思いました。炎鵬はまだ死んでいないぞ、燃えているぞ、という姿を見せたいという気持ちも込めています」
昨年は首や手首のけがに苦しんだ。
ひどい時は、2時間ごとに首の痛みで起き上がる日もあるという。
11月場所は3勝12敗と大きく負け越し、9場所維持した幕内から十両に転落。
「手首も、ごまかしがきかないぐらい痛く、ほとんど握力が入らなかった。正直なところ、よく3勝もできたなと思うぐらいです」と明かす。
試練の1年となったものの、気力は失っていない。なぜなら「けがさえなければ、11月も勝ち越せた」と感じているからだ。
同月、自身初の写真集「炎鵬 燃える小兵」が北國新聞社から発売されたことも「やる気をたぎらせてくれた」という。
初場所は東十両3枚目で迎える。
「けがを治せば絶対に勝てる。そう信じて土俵に上がりたい」と炎鵬。
十両上位には幕内経験者がずらりと並ぶが、白星を積み上げて復活を証明する。
大相撲の荒汐部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生した。
日本相撲協会は1日、師匠の荒汐親方(36=元幕内蒼国来)、十両若元春(27)、幕内以下の力士8人、床山1人が新型コロナに感染したことを発表した。
荒汐部屋では12月31日に幕内若隆景(26)の感染が判明。
同日に師匠や力士ら関係者がPCR検査を受けたところ、新たに11人の陽性が確認された。
これで部屋の感染者は合計12人となった。
この日、芝田山広報部長(58=元横綱大乃国)は報道陣の取材に対応。
荒汐部屋の力士の初場所(10日初日、東京・両国国技館)への出場について「部屋で(一緒に)稽古をしていたからこうなった。この状況だと本場所も近いから(出場は)厳しい状況」と見通しを語った。
大相撲では昨年9月の秋場所前に玉ノ井部屋で新型コロナの集団感染が発生した。
力士24人が感染し、所属力士28人全員が秋場所を休場。
番付は据え置かれる救済措置が取られた。
荒汐部屋の力士については、今後に対応を協議する。
日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は2日、東京都の小池百合子都知事ら1都3県の知事が新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令するよう政府に要請したことを受けて、代表取材に応じ「国が協議をしてどんな見解を出すか。それを踏まえて協会はどう判断をするか。まず執行部で話し合い、必要なら理事会となる」と話した。
前日1日の段階では、初場所(10日初日、東京・両国国技館)開催について「(緊急事態宣言が出たとしても)我々はお客さん入れないでも何とかやりたい」と話していたが、この日は「きのうはそういう状況(緊急事態宣言)になっても相撲はやりたいと言ったけど、できるかできないかはこれからの段階」とした。
荒汐部屋では荒汐親方(元前頭蒼国来)や若隆景、若元春ら計12人が新型コロナウイルスに感染した。
芝田山広報部長は「それぞれ症状のある者は入院した。ぜんそくを持っている者もいる。せきが出たり、熱の症状とかもあるので。専門家の先生が動いてくれている」と説明。
一方で「それでも医療機関が逼迫(ひっぱく)しており、これ以上だと病院に入れるのが難しくなる」と危機感を募らせた。