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ライン

48.睨め!
クシングの亀田興毅。好き嫌いは別として、「頼もしい」とは思う。相手を真っ向からニラみつけるから。たとえそれが「浪花の闘犬」と異名を取る彼によるショーアップの一部だったとしても、長らく相撲を見続けてきた私には新鮮に映る。今の力士たちには感じない、メラメラと燃える闘志を亀田に感じる。
の春場所を終えて、ますます朝青龍の強さを痛感した。週刊現代による一連の八百長疑惑騒動のあおりか、朝青龍はまさかの2連敗スタート。しかし、そこから本来の相撲を取り戻し、鬼神のごとき13連勝。千秋楽で、星ひとつリードしていた白鵬を本割で一蹴。続く優勝決定戦では、白鵬の立会いの変化に不覚を取った。これが朝青龍の強さを物語っている。
つまり「朝青龍に対抗しうる唯一の存在」、「朝青龍に土を着けるとしたらこの男しかいない」と言われている白鳳ですら、こんな奇襲を用いなければ勝てないということだ。朝青龍強し!
挿絵と文章は関係ありません
つきが変われば強くなるという訳でもあるまいが、力士たちは戦わずして朝青龍に敗れているような気がしてならない。仕切っているときの朝青龍は、痛いほどギラギラした視線を、終始相手に注いでいる。これをニラみ返そうとする力士は皆無。満足に朝青龍の顔を見ることさえなく、皆一様に目を伏せている。
昔の、元気がいい頃の千代大海なら真っ向からニラみ返していたはずだ。他の相手ならニラみつける稀勢の里も、相手が朝青龍だと目線が下がる。目ではなく、せいぜい胸元あたりまでしか視線が上がらない。若手の成長株と言われる琴奨菊も、豊ノ島も、豊真将も、ベテランの実力者も大関も、誰ひとり横綱をニラみ返せない。それが歯がゆくて仕方ない。
青龍は、決して恵まれた体格を持っているわけではない。それをずば抜けた集中力で、一気に最高位まで上りつめ、4年もの長きにわたって「無敵」の状態を堅持してきた。朝青龍の集中力を生み出しているのは闘志だ。朝青龍に勝とうと思ったら、まずその闘志で相手を凌駕しなければなるまい。
古来より日本では、闘志を内に秘めることが美徳とされてきた。そういう力士もいていいだろう。大物食いが得意だった舞の海は、相手に自分の考えを悟られぬよう目を反らした。史上最多の金星を獲得した安芸乃島も、ひょうひょうと仕切っていた。だが幕内の全部が全部そうじゃなくてもいいだろう。亀田のようなファイタータイプの力士も、1人ぐらい出てきてよさそうなものだ。
(2007/04/01)
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