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平成16年春場所はモンゴル力士の独壇場だった。まず最後まで優勝を争い、決定戦を戦ったのが朝青龍と白鳳。その結果、朝青龍は16回目の優勝を果たし、白鵬は大関昇進を決定づけた。三賞を受賞したのも白鵬・旭鷲山・安馬の3力士。三賞こそ逃したが、5枚目で11勝と勝ちまくった旭天鵬。朝赤龍も2ケタ白星。残る幕内力士の時天空でさえ千秋楽を待たずに勝ち越しを決めた。 モンゴル勢の活躍は幕内に留まらない。十両では3枚目の蒙古浪が9勝をあげ入幕目前。新十両の鶴竜も、これまた9勝して快進撃を続けている。もはや大相撲はモンゴル勢に制覇されてしまったと言っても過言ではない。 相撲界は、その時々において潮流がある。例えば平成に入ってからは、二子山勢、ハワイ勢、日大勢、武蔵川勢…などが時代をリードした。最近では青森県勢が6〜7人も幕内を占め、ひとつの潮流を作っていた。それも今となっては昔話か…。 先場所ほど完璧に、1つの場所を席巻した勢力はかつて無かったのではないだろうか。42人の幕内力士のうち、全体の「6分の1」に及ぶ7人ものモンゴル力士がいて、それらが全て勝ち越し、あげくの果てには優勝と準優勝と三賞を独占するなどということは。 |
モンゴル力士が俄かに活気づいたのは、白鵬の急成長が起爆剤になっているような気がする。並み居る大関よりはるかに力強い相撲を取り、独走する朝青龍を脅かし、入幕からわずか2年で一気に大関へと上ってしまった。 この破竹の勢いに朝青龍は新たなモチベーションを見出し、先輩のモンゴル勢も刺激されたことだろう。それだけ白鵬の普段からの稽古量は豊富で、本場所での取り口は申しぶんない。 朝青龍も息を吹き返しそうだ。ここ数場所はやたらテレビのバラエティー番組に出演し、稽古量も減ってきていた。場所前になると決まって風邪をひくのも、気持ちの緩みから来る自己管理の甘さではなかったか。終盤で栃東と白鵬に連敗したのも、稽古不足と気持ちの緩み。それが、決定戦で目を覚ました。 史上1位の優勝回数を誇る昭和の大横綱・千代の富士が横綱に昇進したのは26歳のとき。朝青龍はまだその年齢にさえ達していない。白鵬というライバルの出現で息を吹き返した朝青龍。はたしてこれからどのぐらい優勝回数を伸ばすのだろう。 (2006/04/01) |
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